(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記電力変換装置により変換された発電電力が最大となるように前記スイッチング素子に対してスイッチング制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の発電システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る発電電力変換器を、図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る発電電力変換器を備えた発電システムAの概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、発電システムAは、電源装置1、発電機2、及び発電電力変換器3を備える。
【0015】
電源装置1は、直流電源であって、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、電源装置1は、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることもできる。さらに、電源装置1は、交流電源からの出力を直流に整流する装置であってもよい。
【0016】
発電機2は、再生可能エネルギーや蒸気タービン等により駆動されることで電力(以下、「発電電力」という。)を発電する発電機である。本実施形態では発電機2は、三相(U、V、W)の交流発電機である。具体的には、発電機2は、永久磁石を有するロータと、三相(U、V、W)それぞれに対応するコイルLu、Lv、Lwがロータの回転方向に順に巻装されているステータとを備えている。そして、各相のコイルLu、Lv、Lwのそれぞれは、発電電力変換器3に接続されている。
【0017】
発電電力変換器3は、発電機2で発電した交流の発電電力を直流に変換して電源装置1に供給する。以下に、本発明の一実施形態に係る発電電力変換器3の構成について、具体的に説明する。
【0018】
発電電力変換器3は、インバータ4及びインバータ制御部5を備える。なお、インバータ4は、本発明の「電力変換装置」の一例である。
【0019】
インバータ4は、発電機2で発電した交流の発電電力を直流に変換する。そして、インバータ4は、直流に変換した発電電力を電源装置1に供給する。
【0020】
具体的には、インバータ4は、出力端子N1、基準端子N2、及び入力端子N3〜N5を備える。
【0021】
出力端子N1は、接続線L1を介して電源装置1の正極端子に接続されている。基準端子N2は、接続線L2を介して電源装置1の負極端子に接続されている。また、入力端子N3には、コイルLuが接続されている。入力端子N4には、コイルLvが接続されている。入力端子N5には、コイルLwが接続されている。
したがって、インバータ4は、入力端子N3〜N5に入力した交流の発電電力を直流に変換して出力端子N1から電源装置1に出力する。
【0022】
以下に、インバータ4の構成について、具体的に説明する。
【0023】
インバータ4は、複数のスイッチング素子SWを有し、このスイッチング素子のオン状態とオフ状態とがインバータ制御部5によりスイッチング制御されることで発電機2からの交流の発電電力を直流に変換して電源装置1に出力する。これにより、電源装置1に発電電力が充電される。なお、本実施形態では、6つのスイッチング素子SW1〜SW6がFET(Field Effective Transistor)である場合について説明するが、これに限定されず、例えば、IGBT(Insulated gate bipolar transistor)、及びBJT(bipolar junction transistor)であってもよい。また、インバータ4は、スイッチング素子SWの個数には特に限定されない。
【0024】
具体的には、直列に接続されたスイッチング素子SW1,SW2と、直列に接続されたスイッチング素子SW3,SW4と、直列に接続されたスイッチング素子SW5,SW6とは、出力端子N1と、基準端子N2との間に並列に接続されている。
【0025】
スイッチング素子SW1のドレイン端子は、出力端子N1に接続されている。スイッチング素子SW2のソース端子は、基準端子N2に接続されている。スイッチング素子SW1のソース端子と、スイッチング素子SW2のドレイン端子との接続点(入力端子N3)は、コイルLuの一端に接続されている。
【0026】
スイッチング素子SW3のドレイン端子は、スイッチング素子SW1のドレイン端子に接続されている。スイッチング素子SW4のソース端子は、基準端子N2に接続されている。スイッチング素子SW3のソース端子と、スイッチング素子SW4のドレイン端子との接続点(入力端子N4)は、コイルLvの一端に接続されている。
【0027】
スイッチング素子SW5のドレイン端子は、スイッチング素子SW1のドレイン端子に接続されている。スイッチング素子SW6のソース端子は、基準端子N2に接続されている。スイッチング素子SW5のソース端子と、スイッチング素子SW6のドレイン端子との接続点(入力端子N5)は、コイルLwの一端に接続されている。
【0028】
また、各スイッチング素子SW1〜SW6のゲート端子は、インバータ制御部5に接続されている。
【0029】
インバータ制御部5は、インバータ4の駆動を制御する。具体的には、インバータ制御部5は、スイッチング素子SW1〜SW6をスイッチング制御する。以下に、インバータ制御部5の構成について、具体的に説明する。
【0030】
インバータ制御部5は、電流検出部6、電圧検出部7、及び制御部8を備える。
【0031】
電流検出部6は、インバータ4の出力端子N1から電源装置1に出力する出力電流Ioutを検出する。例えば、電流検出部6は、接続線L1に設けられ、接続センサL1に流れる電流を検出することで、出力電流Ioutを検出する。そして、電流検出部6は、検出した出力電流Ioutを制御部8に出力する。
【0032】
この電流検出部6は、出力電流Ioutを検出する構成であれば特に限定されないが、例えば、トランスを備えたカレントトランス(CT)やホール素子を備えた電流センサである。また、電流検出部6は、接続線L1に直列に接続されたシャント抵抗の両端の電圧から出力電流Ioutを検出してもよい。
【0033】
電圧検出部7は、インバータ4から電源装置1に出力される出力電圧Voutを検出する。例えば、電圧検出部7は、出力端子N1と基準端子N2との間の電位差を検出することで、出力電圧Voutを検出する。なお、電圧検出部7は、インバータ4から出力される出力電圧Voutをそのまま読み取るのではなく、例えば、抵抗分圧回路で出力電圧Voutを抵抗分圧した電圧(以下、「分圧電圧」という。)を読み取ってもよい。この場合には、電圧検出部7は、読み取った分圧電圧から、抵抗分圧回路の分圧比に基づいて出力電圧Voutを算出する。
【0034】
電圧検出部7は、検出した出力電圧Voutを制御部8に出力する。なお、上述したように、出力端子N1が電源装置1の正極端子に、基準端子N2が電源装置1の負極端子に接続されているため、出力電圧Voutは電源装置1の出力電圧に相当する。
【0035】
制御部8は、スイッチング素子SW1〜SW6を任意のスイッチング周波数fswでスイッチング制御する。例えば、制御部8は、スイッチング素子SW1〜SW6のゲート端子に制御信号を出力することで、スイッチング素子SW1〜SW6をオン状態又はオフ状態に制御するスイッチング制御を行う。この制御信号は、例えば、PWM(パルス幅変調)信号である。
【0036】
具体的には、制御部8は、発電機2の出力が目標値に追従するようにPWM信号のディーティ比を設定することで発電機2の出力をフィードバック制御する。ここで、発電機2の出力とは、発電機2から出力される電流(発電電流)でもよいし、発電機2から出力される電圧(発電電圧)でもよい。
【0037】
また、制御部8は、インバータ4のスイッチング周波数fswを、上記フィードバック制御の制御系(以下、「第1の制御系」という。)とは異なる第2の制御系で設定する。なお、上記スイッチング周波数fswは、制御信号の周波数に相当する。
ここで、本実施形態に係る特徴の一つは、インバータ4のスイッチング周波数fswを固定せずに変化させながら、発電機2で発生する損失(以下、「発電機損失」という。)P
Gとインバータ4で発生する損失(以下、「インバータ損失」という。)P
IVとを合計した損失(以下、「合計損失」という。)P
Sが最小となるスイッチング周波数fsw(以下、「fsw
min」という。)を常に探索する最小損失点追従制御を行うことである。
【0038】
換言すれば、最小損失点追従制御とは、発電機2が駆動している状態において、合計損失P
Sが最小となるように、スイッチング周波数fsw(例えば、制御信号の周波数)をパラメータとして変化させながら合計損失P
Sが最小となるようにインバータ4をスイッチング制御することである。
【0039】
以下に、合計損失P
Sについて、
図2を用いて説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る発電機損失P
G、インバータ損失P
IV、及び合計損失P
Sのスイッチング周波数fsに対する傾向の一例を示す図である。
【0040】
本発明者らは、スイッチング周波数fswが高くなるにつれて、発電機損失P
Gが減少する傾向にあるともにインバータ損失P
IVが増加する傾向にあることを発見した。これは、
図2に示すように、縦軸を損失、横軸をスイッチング周波数fswとしたグラフにおいて、発電機損失P
G及びインバータ損失P
IVをプロットした場合には、スイッチング周波数fswの所定範囲内において、損失P
Sが最小となるポイント(以下、「最小損失点」という。)が存在する。すなわち、合計損失P
Sには、スイッチング周波数fswの所定範囲内において、必ず最小損失点が存在することになる。したがって、制御部8は、再生可能エネルギーや蒸気タービンの駆動が変動することで発電機2の回転数が変動した場合でも、スイッチング周波数fswを変化させながら常に最小損失点のスイッチング周波数fsw
minを探索してスイッチング制御することで、合計損失P
Sを低減することができる。
【0041】
ここで、発電機2の回転数が一定である場合には、スイッチング周波数fswに対する合計損失P
Sの傾向とインバータ4から出力される発電電力Poutの傾向とは、互いに反対の傾向を示す。すなわち、発電機2の回転数が一定である場合には、合計損失P
Sが最小となるスイッチング周波数f
SWと、発電電力Poutが最大となるスイッチング周波数f
SWとが、同一の周波数となる。したがって、本実施形態に係る制御部8は、最小損失点追従制御において、発電機2の駆動時にインバータ4のスイッチング周波数f
SWを変化させながら、発電電力Poutが最大となるようにスイッチング素子SW1〜SW6のスイッチング制御を行う。
【0042】
なお、発電機2の回転数が変動すると最小損失点も変動するため、
図3に示すように、最小損失点追従制御においてスイッチング周波数fswを変化させる制御系(第2の制御系)の応答角周波数ω
SWは、想定される発電機2の回転数変動の周波数ω
Lよりも大きい値に設定される。この第2の制御系の応答角周波数ω
SWとは、スイッチング周波数fswを制御する周波数(スイッチング周波数fswの制御周波数)である。なお、想定される発電機2の回転数変動の周波数ω
Lは、想定される発電機2の回転数変動の最大周波数であることが望ましい。
さらに、応答角周波数ω
SWが発電機2の回転数変動時における上記第1の制御系の共振角周波数ωr(>ω
L)より大きいと、スイッチング周波数fswが共振などの過渡状態(不安定状態)に追従してしまう可能性がある。
【0043】
したがって、応答角周波数ω
SWは、上記共振角周波数ωrよりも小さい値に設定される。例えば、応答角周波数ω
SWは、以下の条件(1)になるように設定される。
ω
L<<ω
SW<<ωr…(1)
【0044】
次に、本発明の一実施形態に係る最小損失点追従制御の動作の流れについて、
図4を用いて説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る最小損失点追従制御のフロー図である。
【0045】
まず、制御部8は、スイッチング周波数fswを予め設定された初期値fsw0に設定した制御信号をスイッチング素子SW1〜SW6に出力することで、インバータ4を駆動する。これにより、スイッチング周波数fsw=初期値fsw0でスイッチング制御されたインバータ4は、発電機2で発電された交流の発電電力を直流に変換して、当該直流の発電電力Poutを電源装置1に供給する(ステップS101)。なお、初期値fsw0は、例えば、シミュレーションから得られた基準値や設計値、試験的に得られた基準値である。
【0046】
次に、制御部8は、発電機2が駆動している状態において、現在のスイッチング周波数fswに、微小周波数Δfsw×増減フラグFを加える。ここで、微小周波数Δfswは、予め設定されており、最小損失点追従制御においてスイッチング周波数fswを変化させる変化量である。増減フラグFは、最小損失点追従制御においてスイッチング周波数fswを変化させる場合に、当該スイッチング周波数fswを増加させるのか、又は減少させるのかを決定するものである。例えば、増減フラグFが「+1」ならばスイッチング周波数fswを増加させ、増減フラグFが「−1」ならばスイッチング周波数fswを減少させる。なお、増減フラグFの初期値は、ステップS101において設定され、本実施形態では初期値として「+1」に設定する。ただし、増減フラグFの初期値は、「−1」でもよい。
【0047】
電流検出部6は、インバータ4から電源装置1に出力される出力電流Ioutを検出し、その検出した出力電流Ioutを制御部8に出力する。また、電圧検出部7は、インバータ4から電源装置1に出力される出力電圧Voutを検出し、その検出した出力電圧Voutを制御部8に出力する(ステップS103)。
【0048】
制御部8は、電流検出部6から取得した出力電流Ioutと、電圧検出部7から取得した出力電圧Voutとを乗算することで、現在の発電電力Pout(=Iout×Vout)を算出する(ステップS104)。
【0049】
制御部8は、現在の発電電力Poutを算出すると、その算出した現在の発電電力Poutと、前回算出した発電電力Poutとを比較する(ステップS104)。なお、説明が煩雑になることを防ぐため、前回算出した発電電力Poutを発電電力Prefと表記する。なお、発電電力Prefの初期値は、ステップS101において設定され、本実施形態では「0」に設定される。
【0050】
制御部8は、現在の発電電力Poutと前回の発電電力Prefとを比較し、現在の発電電力Poutが、前回の発電電力Prefより大きい場合(Pout>Pref)には、増減フラグFの符号は変更しない。そして、制御部8は、現在の発電電力Poutを前回の発電電力Prefとして設定して(ステップS107)、ステップS102の処理に戻る。
【0051】
一方、制御部8は、現在の発電電力Poutと前回の発電電力Prefとを比較し、現在の発電電力Poutが、前回の発電電力Pref以下である場合(Pout≦Pref)には、増減フラグFの符号を反転させる(ステップS106)。そして、制御部8は、現在の発電電力Poutを前回の発電電力Prefとして設定して(ステップS107)、ステップS102の処理に戻る。
【0052】
このように、制御部8は、ステップS102〜ステップS107を繰り返すことで、スイッチング周波数fswをパラメータとして、前回のスイッチング周波数fswから微小周波数Δfswだけ増加又は減少させながら発電電力Poutが前回の値よりも大きくなるようにインバータ4をスイッチング制御する。これにより、制御部8は、スイッチング周波数fswを増加又は減少させながら最小損失点を探索することが可能となる。その結果、発電システムAは、発電機2の回転数、発電機2やスイッチング素子SW1〜SW6の温度、発電機2の発電電圧、発電機2やスイッチング素子SW1〜SW6の個体ばらつき等によらず、最小損失で発電機2の運転を継続することができる。
さらに、発電システムAは、発電機2の回転数に変動があった場合でも、最小損失に維持し、常に高い発電効率に維持することができる。
【0053】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0054】
(変形例1)
上記実施形態において、最小損失点追従制御において、変更するスイッチング周波数fswの範囲に制限を設けてもよい。例えば、制御部8は、最小損失点追従制御におけるスイッチング周波数fswを、最小値fsw
MIN(最小限度値)と最大値fsw
MAX(最大限度値)との間の範囲(fsw
MIN≦fsw≦fsw
MAX)内において変更してもよい。
【0055】
(変形例2)
上記実施形態において、制御部8は、最小損失点追従制御の開始時において、ステップS101の処理で初期条件を設定した後に、スイッチング周波数fsw(初期値fsw0)に微小周波数Δfsw×増減フラグFを足してから(ステップS102)、出力電流Iout及び出力電圧Voutの取得(ステップS103)、発電電力Poutの演算(ステップS104)を行ったが、本発明はこれに限定されない。例えば、制御部8は、最小損失点追従制御の開始時においては、ステップS101の処理を行った後に、ステップS102の処理を行わずに、ステップS103,S104の処理を実行してもよい。この場合には、制御部8は、ステップS107の処理を行った後に、ステップS102の処理を行うことになる。
【0056】
具体的には、
図5に示すように、まず、制御部8は、初期条件を設定する。すなわち、制御部8は、スイッチ101の処理と同様に、スイッチング周波数fswを予め設定された初期値fsw0に設定した制御信号をスイッチング素子SW1〜SW6に出力することで、インバータ4を駆動する。さらに、制御部8は、前回の発電電力Prefを初期値「0」に、増減フラグFを初期値「+1」に設定する(ステップS201)。
【0057】
初期条件が設定された後、電流検出部6は、インバータ4から電源装置1に出力される出力電流Ioutを検出し、その検出した出力電流Ioutを制御部8に出力する。また、電圧検出部7は、インバータ4から電源装置1に出力される出力電圧Voutを検出し、その検出した出力電圧Voutを制御部8に出力する(ステップS202)。
【0058】
制御部8は、電流検出部6から取得した出力電流Ioutと、電圧検出部7から取得した出力電圧Voutとを乗算することで、発電電力Pout(=Iout×Vout)を算出する(ステップS203)。
【0059】
制御部8は、現在の発電電力Poutを算出すると、その算出した現在の発電電力Poutと、前回算出した発電電力Prefとを比較し(ステップS204)、現在の発電電力Poutが、前回の発電電力Prefより大きい場合(Pout>Pref)には、増減フラグFの符号は変更しない。そして、制御部8は、現在の発電電力Poutを前回の発電電力Prefとして設定する(ステップS206)。一方、制御部8は、現在の発電電力Poutと前回の発電電力Prefとを比較し、現在の発電電力Poutが、前回の発電電力Pref以下である場合(Pout≦Pref)には、増減フラグFの符号を反転させる(ステップS205)。そして、制御部8は、現在の発電電力Poutを前回の発電電力Prefとして設定する(ステップS206)。その後、制御部8は、現在のスイッチング周波数fswに、微小周波数Δfsw×増減フラグFを加えて(ステップS207)、ステップS202の処理に戻る。
【0060】
(変形例3)
上記実施形態において、発電システムAは、スイッチング素子SW1〜SW6の温度Tswを測定する第1の温度センサを備えてもよい。そして、制御部8は、最小損失点追従制御において、上記第1の温度センサで測定された温度Tswが予め設定された第1の閾値Tth1以上になった場合には、当該温度Tswが第1の閾値Tth1未満になるまで強制的にスイッチング周波数fswを低減させてもよい。例えば、制御部8は、最小損失点追従制御を行っていても、温度Tswが第1の閾値Tth1以上になった場合には、割り込み処理として強制的にスイッチング周波数fswを低減させてもよい。これにより、スイッチング素子SW1〜SW6による損失(インバータ損失)が低減され、制御部8は、スイッチング素子SW1〜SW6が発熱により故障することを防止することができる。なお、強制的にスイッチング周波数fswを低減させる方法として、例えば、増減フラグFの符号を強制的に反転させる方法がある。
【0061】
(変形例4)
上記実施形態において、発電システムAは、発電機2の温度T
Gを測定する第2の温度センサを備えてもよい。この発電機2の温度T
Gとは、例えば、コイルLu、Lv、Lwの各温度である。そして、制御部8は、最小損失点追従制御において、上記第2の温度センサで測定された温度T
Gが予め設定された第2の閾値Tth2以上になった場合には、当該温度T
Gが第2の閾値Tth2未満になるまで強制的にスイッチング周波数fswを増加させてもよい。例えば、制御部8は、最小損失点追従制御を行っていても、温度T
Gが第2の閾値Tth2以上になった場合には、割り込み処理として強制的にスイッチング周波数fswを増加させてもよい。これにより、発電機損失が低減され、制御部8は、コイルLu、Lv、Lwの発熱により発電機2が故障することを防止することができる。なお、強制的にスイッチング周波数fswを増加させる方法として、例えば、増減フラグFの符号を強制的に反転させる方法がある。
【0062】
(変形例5)
上記実施形態において、発電システムAは、上記第1の温度センサと上記第2の温度センサとの双方を備えてもよい。そして、制御部8は、温度Tswが第1の閾値Tth1以上となり、かつ、温度T
Gが第2の閾値Tth2以上となった場合には、発電機2の出力(例えば、発電電流)が低減するように制御する。例えば、制御部8は、発電機2の出力の目標値を下げる。これにより、インバータ損失と発電機損失との双方が低減され、スイッチング素子SW1〜SW6と発電機2との発熱による故障を防止することができる。
【0063】
(変形例6)
上記実施形態では、制御部8は、電流検出部6で検出された出力電流Ioutと電圧検出部7で検出された出力電圧Voutとを乗算することで発電電力Poutを取得したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、制御部8は、発電電力Poutを取得できればよく、その取得方法には特に限定されない。例えば、制御部8は、接続線L1に設けられた電力センサにより発電電力Poutを取得してもよい。また、制御部8は、発電機2の発電電流やインバータ4の変換効率等から発電電力Poutを算出することで、当該発電電力Poutを取得してもよい。
【0064】
(変形例7)
上記実施形態では、インバータ4から出力される発電電力Poutが電源装置1に供給される場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、インバータ4から出力される発電電力Poutが負荷に供給されればよく、その負荷の種類には特に限定されない。例えば、発電システムAは、インバータ4から出力される発電電力Poutを交流に変換する変換装置をさらに備え、当該変換装置により交流に変換された発電電力を電力系統等の負荷に供給してもよい。
【0065】
上述したように、本発明者は、スイッチング周波数fswが高くなるにつれて、発電機損失P
Gが減少する傾向にあるともにインバータ損失P
IVが増加する傾向にあることを発見し、合計損失P
Sにはスイッチング周波数fswをパラメータとする最小損失点が存在することを見出した。本実施形態に係る発電電力変換器3は、このような知見に基づいてなされたものであって、インバータ4を構成するスイッチング素子SW1〜SW6のスイッチング周波数を変化させながら、発電機損失P
Gとインバータ損失P
IVとを含む合計損失P
Sが最小となるようにスイッチング素子SW1〜SW6をスイッチング制御する制御部8を備える。
【0066】
このような構成によれば、発電機2の回転数変動が発生した場合であっても、合計損失P
Sを常に最小損失となるように維持することができる。そのため、発電機2の回転数変動により発電システムAで発生する損失を低減することができる。
【0067】
より具体的には、制御部8は、インバータ4により直流に変換された発電電力Poutが最大となるようにスイッチング素子SW1〜SW6をスイッチング制御する。
【0068】
また、制御部8は、発電機2の出力をフィードバック制御する構成を備えてもよい。そして、スイッチング周波数fswの制御周波数は、負荷変動時におけるフィードバック制御の共振周波数よりも小さく、かつ、発電機2の回転数変動の周波数よりも大きい値に設定されてもよい。
【0069】
このような構成によれば、最小損失点追従制御において設定されるスイッチング周波数fswは、共振などの過渡状態には追従せずに、発電機2の回転数変動には十分に応答して追従できる。
【0070】
また、発電システムAは、スイッチング素子SW1〜SW6の温度Tswを測定する第1の温度センサを更に備えてもよい。そして、制御部8は、第1の温度センサにより測定された温度Tswが第1の閾値Tth1以上になった場合には、強制的にスイッチング周波数fswを低減させてもよい。
【0071】
このような構成によれば、インバータ損失が低減され、スイッチング素子SW1〜SW6が発熱により故障することを防止することができる。
【0072】
また、発電システムAは、発電機2の温度を測定する第2の温度センサを更に備えてもよい。そして、制御部8は、第2の温度センサにより測定された温度T
Gが第2の閾値Tth2以上になった場合には、強制的にスイッチング周波数fswを増加させてもよい。
【0073】
このような構成によれば、発電機損失が低減され、コイルLu、Lv、Lwの発熱により発電機2が故障することを防止することができる。