特許第6988685号(P6988685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6988685
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】トレイ
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/22 20060101AFI20211220BHJP
   B65D 5/44 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   B65D5/22 G
   B65D5/44 H
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-96840(P2018-96840)
(22)【出願日】2018年5月21日
(65)【公開番号】特開2019-202784(P2019-202784A)
(43)【公開日】2019年11月28日
【審査請求日】2020年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 麻美
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−012020(JP,A)
【文献】 特開2015−131677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/22
B65D 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、
前記底板に連設された前後一対の端壁と、
前記底板に連設された左右一対の側壁と、
前記端壁の上縁部に連設された桟板と、を備え、
前記側壁の前後方向の縁部には、前記端壁の内面に重ねられた内板が連設され、
前記桟板の左右方向の縁部には、前記側壁の内面に重ねられた第一角板が連設され、
前記第一角板の前後方向の縁部には、前記内板の内面に重ねられた第二角板が連設されており、
前記内板の上縁部および前記第二角板の上縁部が前記桟板の下面に当接するとともに、
前記内板の下縁部、前記第一角板の下縁部および前記第二角板の下縁部が前記底板の上面に当接し
前記第一角板の下縁部および前記第二角板の下縁部には係合部が突出しており、
前記係合部は、前記底板の係合穴に差し込まれていることを特徴とするトレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
トレイとしては、底板と、底板に連設された前後一対の端壁および左右一対の側壁と、端壁の上縁部に連設された桟板と、を備え、桟板の左右の縁部には側壁の内面に重ねられるフラップが連設されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−131677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来のトレイでは、桟板の上面に他のトレイを積み重ねたときに上方から桟板に作用する荷重に対して、十分な強度(以下、「耐圧強度」という)を有していることが求められている。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、上方から作用する荷重に対する耐圧強度を高めることができるトレイを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、トレイであって、底板と、前記底板に連設された前後一対の端壁と、前記底板に連設された左右一対の側壁と、前記端壁の上縁部に連設された桟板と、を備えている。前記側壁の前後方向の縁部には、前記端壁の内面に重ねられた内板が連設されている。前記桟板の左右方向の縁部には、前記側壁の内面に重ねられた第一角板が連設されている。前記第一角板の前後方向の縁部には、前記内板の内面に重ねられた第二角板が連設されている。前記内板の上縁部および前記第二角板の上縁部が前記桟板の下面に当接するとともに、前記内板の下縁部、前記第一角板の下縁部および前記第二角板の下縁部が前記底板の上面に当接している。前記第一角板の下縁部および前記第二角板の下縁部には係合部が突出しており、前記係合部は、前記底板の係合穴に差し込まれている。
【0007】
本発明のトレイでは、側壁と内板とによる角部の内側に、第一角板と第二角板とによる角部が重ねられている。このように、本発明のトレイでは、桟板が端壁および二重の角部によって支持されるため、上方から桟板に作用する荷重に対する耐圧強度を高めることができる。
【0008】
本発明のトレイでは、側壁に連設された内板が端壁と第二角板との間に挟まれるため、側壁を端壁に対して確実に連結することができる。
【0009】
前記したトレイでは、前記第一角板の下縁部および前記第二角板の下縁部に係合部を突出させ、前記係合部を前記底板の係合穴に差し込むことで、第一角板および第二角板を底板に確実に連結することができる
【発明の効果】
【0010】
本発明のトレイでは、角部が二重に構成されているため、上方から作用する荷重に対する耐圧強度を高めることができる。また、側壁を端壁に対して確実に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るトレイを前方左上から見た斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るトレイのブランクシートを示した図である。
図3】本発明の実施形態に係るトレイの平面断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るトレイの側断面図である。
図5】本発明の実施形態に係るトレイにおいて、端壁を組み立てる前の状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向とは、トレイ1を説明する上で便宜上設定したものであり、トレイ1の構成を限定するものではない。
【0013】
トレイ1は、図1に示すように、上面が開口している包装箱であり、搬送時、保管時、陳列時などに複数のトレイ1を積み重ねることができる。
トレイ1は、底板10と、底板10に連設された前後一対の端壁20,20と、底板10に連設された左右一対の側壁30,30と、両端壁20,20の上縁部にそれぞれ連設された前後一対の桟板40,40と、を備えている。トレイ1では、前後の桟板40,40の間に開口部が形成されている。
【0014】
トレイ1は、図2に示すように、一枚の段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートSを各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図2に示すブランクシートSは内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートSの各罫線(折線)は、ブランクシートSの表面を押し込んで形成された線状の溝である。なお、罫線に切れ込みを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
【0015】
底板10は、図5に示すように、四角形に形成されている。底板10の前後の縁部には、後記する第二角板42の係合部42aが差し込まれる左右の係合穴12,12が形成されている。また、底板10の左右の縁部には、後記する第一角板41の係合部41aが差し込まれる前後の係合穴11,11が形成されている。
【0016】
底板10の左縁部には、罫線を介して、左側の側壁30が連設されている。左側の側壁30は、四角形に形成されており、底板10の左縁部から上方に向けて延びている。左側の側壁30は、底板10に対して垂直に形成されている。
【0017】
左側の側壁30の前後の縁部には、罫線を介して、内板31,31がそれぞれ連設されている。内板31は、四角形に形成されており、左側の側壁30の縁部から内方に向けて延びている。
内板31の下縁部は、底板10の上面に当接している。内板31の高さは、左側の側壁30の高さと同じである。内板31の上縁部は、図4に示すように、後記する桟板40の下面に当接している。また、図1に示すように、内板31の左右方向の長さは、底板10の左右方向の長さの約1/4に設定されている。
【0018】
底板10の右縁部には、図5に示すように、罫線を介して、右側の側壁30が連設されている。右側の側壁30と左側の側壁30とは左右対称な構成である。また、右側の側壁30の前後の縁部にも、左側の側壁30と同様に、内板31,31がそれぞれ連設されている。
【0019】
底板10の前縁部には、図1に示すように、罫線を介して、前側の端壁20が連設されている。前側の端壁20は、四角形に形成されており、底板10の前縁部から上方に向けて延びている。前側の端壁20は、底板10に対して垂直に形成されている。前側の端壁20の内面(後面)には、左右の内板31,31の外面が重ねられている(図3参照)。
【0020】
前側の端壁20の上縁部には、罫線を介して、桟板40が連設されている。桟板40は、前側の端壁20の上縁部に沿って帯状に形成されている。桟板40は、前側の端壁20の上縁部から内方に向けて延びている。桟板40は、前側の端壁20に対して垂直に形成されている。
桟板40の左右方向の長さは、左右の側壁30,30の間隔と略同じである。また、桟板40の前後方向の長さは、側壁30の前後方向の長さの約1/4に設定されている。
【0021】
桟板40の左右の縁部には、罫線を介して、第一角板41,41がそれぞれ連設されている(図2参照)。第一角板41は、四角形に形成されており、桟板40の縁部から下方に向けて延びている。第一角板41は、桟板40に対して垂直に形成されている。第一角板41の外面は、図3に示すように、側壁30の内面に重ねられている。
【0022】
第一角板41の下縁部は、図4に示すように、底板10の上面に当接している。また、第一角板41の下縁部には、係合部41aが突設されている。係合部41aは、第一角板41の下縁部の後端部から下方に向けて突出している(図2参照)。第一角板41の係合部41aは、底板10の係合穴11に差し込まれている。
【0023】
第一角板41の前縁部には、図3に示すように、罫線を介して、第二角板42が連設されている(図2参照)。第二角板42は、四角形に形成されている(図5参照)。第二角板42は、第一角板41の前縁部から内方に向けて延びている。第二角板42は、第一角板41に対して垂直に形成されている。第二角板42の外面は、内板31の内面に重ねられている。
【0024】
第二角板42の下縁部は、図4に示すように、底板10の上面に当接している。また、第二角板42の下縁部には、係合部42aが突設されている。係合部42aは、第二角板42の下縁部の内端部から下方に向けて突出している(図2参照)。第二角板42の係合部42aは、底板10の前縁部に形成された係合穴12に差し込まれている。また、第二角板42の上縁部は、桟板40の下面に当接している。
【0025】
後側の端壁20は、図1に示すように、罫線を介して、底板10の後縁部に連設されている。前側の端壁20と後側の端壁20とは前後対称な構成である。また、後側の端壁20にも、前側の端壁20と同様に、桟板40が連設されるとともに、その桟板40に第一角板41および第二角板42が連設されている。
【0026】
次に、本実施形態のトレイ1を組み立てる手順について説明する。
まず、図2に示すブランクシートSの状態から、図5に示すように、底板10に対して左右の側壁30,30を立ち上げるとともに、側壁30に対して前後の内板31,31を内側に折り曲げる。
また、桟板40に対して左右の第一角板41,41を立ち上げるとともに、第一角板41に対して第二角板42を内側に折り曲げる。
【0027】
続いて、図1に示すように、底板10に対して前後の端壁20,20を立ち上げて、内板31の外面に端壁20の内面を重ねる。
また、端壁20に対して桟板40を内側に折り曲げて、第一角板41および第二角板42を両側壁30,30の間に挿入する。
【0028】
これにより、図3に示すように、第一角板41の外面が側壁30の内面に重なるとともに、第二角板42の外面が内板31の内面に重なる。
図4に示すように、内板31の上縁部は桟板40の下面に当接し、内板31の下縁部は底板10の上面に当接する。これにより、内板31は、桟板40と底板10との間に挟み込まれた状態となる。
【0029】
また、第一角板41の上縁部は桟板40の縁部に連設されており、第一角板41の下縁部は底板10の上面に当接する。これにより、第一角板41は、桟板40と底板10との間に挟まれた状態となる。
【0030】
また、第二角板42の上縁部は桟板40の下面に当接し、第二角板42の下縁部は底板10の上面に当接する。これにより、第二角板42は、桟板40と底板10との間に挟み込まれた状態となる。
【0031】
また、第一角板41の係合部41aは底板10の係合穴11に差し込まれるとともに、第二角板42の係合部42aは底板10の係合穴12に差し込まれる。これにより、トレイ1の組み立て作業が完了する。
【0032】
以上のようなトレイ1では、図3に示すように、側壁30と内板31とによる直角な角部の内側に、第一角板41と第二角板42とによる直角な角部が重ねられている。このように、本実施形態のトレイ1では、図1に示すように、桟板40が端壁20および二重の角部によって支持されている。これにより、トレイ1の四隅の強度が高くなっている。
したがって、本実施形態のトレイ1では、桟板40の上面に他のトレイ1を積み重ねたときに、上方から桟板40に作用する荷重に対する耐圧強度を高めることができるため、他のトレイ1を安定して積み重ねることができる。
【0033】
本実施形態のトレイ1では、図3に示すように、側壁30に連設された内板31が端壁20と第二角板42との間に挟まれるため、側壁30を端壁20に対して確実に連結することができる。
【0034】
本実施形態のトレイ1では、図4に示すように、第一角板41の係合部41aが底板10の係合穴11に差し込まれるとともに、第二角板42の係合部42aが底板10の係合穴12に差し込まれている。これにより、第一角板41および第二角板42を底板10に対して確実に連結することができる。
【0035】
本実施形態のトレイ1は、図2に示すブランクシートSの状態において、端壁20の側縁部に内板31の側縁部および第二角板42の側縁部が接しているとともに、内板31の先端縁部と第二角板42の先端縁部とが接している。この構成では、ブランクシートSをコンパクトな長方形に形成することができるため、一枚のシートから取れるブランクシートSの数を増やすことができる。ひいては、図1に示すトレイ1の製造コストを低減することができる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態のトレイ1において、図1に示す桟板40の形状や大きさは限定されるものではなく、内容物に応じて、桟板40の形状や大きさを設定することができる。
【0037】
本実施形態のトレイ1では、図3に示すように、内板31および第二角板42の左右方向の長さとが略同じであるが、内板31と第二角板42との左右方向の長さとが異なっていてもよい。
【0038】
本実施形態のトレイ1では、図4に示すように、第一角板41および第二角板42に係合部41a,42aを形成するとともに、底板10に係合穴11,12を形成しているが、本発明の参考例としては、係合部41a,42aおよび係合穴11,12を形成しなくてもよい。
【0039】
本実施形態のトレイ1は段ボール製であるが、各種公知の板紙によってトレイを形成してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 トレイ
10 底板
11 係合穴
12 係合穴
20 端壁
30 側壁
31 内板
40 桟板
41 第一角板
41a 係合部
42 第二角板
42a 係合部
S ブランクシート
図1
図2
図3
図4
図5