(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
帯状の連続体がコンベアで搬送される搬送状態と、前記コンベアによる前記連続体の搬送が停止された停止状態とが設定される製造装置に配備されたストッパ機構であって、
前記搬送状態で前記連続体から離間し、前記停止状態で前記コンベアとの間に前記連続体を挟んで押さえるストッパと、
前記ストッパを前記連続体の搬送方向に沿って揺動させる揺動機構と、を備え、
前記揺動機構は、前記ストッパの揺動にともなって回動するシャフトと、前記シャフトを回動自在に支持し、固定されたフレームに取り付けられた連結部材とを有し、
前記連結部材は、前記フレームに対する取り付け角度に応じて、前記連続体に対する前記シャフトの離間寸法を変化させる
ことを特徴とするストッパ機構。
前記ストッパは、前記連続体の幅方向から見て、前記曲面において最も突出した凸端部と前記ストッパの揺動軸心とが離間する第一寸法のほうが前記揺動軸心と前記連続体とが離間する第二寸法よりも大きく設定された
ことを特徴とする請求項2を引用する請求項3に記載されたストッパ機構。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態としてのストッパ機構を説明する。
ストッパ機構は、搬送される帯状の連続体を加工する製造装置に配備される。連続体は、連続して延在する製品材料である。不織布や薄紙といった帯状のシート材やこれを用いた積層体が連続体に用いられる。
下記の実施形態では、ストッパ機構の設けられる製造装置として、おむつを製造する装置を例示する。また、ストッパ機構で押さえる対象の連続体として、おむつの半製品を例に挙げる。
【0011】
本実施形態では、説明に用いる方向を以下のように定義する。
重力の作用方向を下方とし、下方の反対方向を上方とする。
また、連続体を基準にして長手方向,幅方向および厚み方向の三方向を定める。長手方向は、連続体の延在面において帯状に延びる方向である。この長手方向は、連続体の搬送方向である。幅方向は、連続体の延在面において長手方向に直交する方向である。厚み方向は、長手方向および幅方向の何れにも直交する方向である。
さらに、連続体の搬送方向を基準に上流および下流を定める。
そのほか、幅方向から見ることを「幅方向視」と称し、上方または下方から見ることを「平面視」と称し、搬送方向から見ることを「搬送方向視」と称する。
【0012】
[I.一実施形態]
以下に述べる一実施形態では、項目[1]で構成を説明し、その後の項目[2]で項目[1]の構成による作用および効果を述べる。
【0013】
[1.構成]
本項目[1]では、小項目[1.1]で製造装置のうちストッパ機構に関する構成を概説し、小項目[1.2]でストッパ機構の構成を詳述する。そして、小項目[1.3]でストッパ機構の使用手順を述べる。
【0014】
[1.1.製造装置]
図1に示すように、製造装置1には、連続体Wを搬送するコンベア2が設けられている。この製造装置1には、搬送される連続体Wをコンベア2へ向けて吸引するサクション機構3も設けられている。
なお、
図1では、図示の便宜上、コンベア2のベルト21に対して連続体Wをやや離隔させて示すが、連続体Wはベルト21に対して接触した状態となっている。
【0015】
コンベア2には、連続体Wが載せられるベルト21と、ベルト21の巻き掛けられたコンベアロール2U,2Dとが設けられている。コンベアロール2U,2Dの少なくとも一方を回転駆動することで、ベルト21のうち連続体Wの載せられた部位が搬送方向に沿って移動する。
ここでは、傾斜して配置されたコンベア2を例示する。具体的には、上流から下流へ向かうほど下方に位置する経路に沿って連続体Wを搬送するコンベア2を例に挙げる。
【0016】
サクション機構3は、コンベア2に内蔵(付設)され、連続体Wをベルト21に付勢する方向(
図1に白抜きの矢印で示す)へ吸引する。具体的には、ベルト21に対して連続体Wが載せられた側(ここでは上側)からその反対側(ここでは下側)へ向けて空気を吸い込むことで、連続体Wをベルト21へ向けて付勢する。
【0017】
サクション機構3による吸引を可能とするために、下記に例を列挙する構成のベルト21が用いられる。
・第一例:幅方向に間隔を設けて並べられたベルト21
・第二例:通気性材料のベルト21
・第三例:通気口(吸引口)をもつベルト21
第一例によれば、サクション機構3によって吸引された空気がベルト21どうしの間を流通可能である。第二例によれば、サクション機構3によって吸引された空気が厚み方向にベルト21を通過可能である。第三例によれば、サクション機構3によって吸引された空気が通気口を流通可能である。
【0018】
おむつを製造するときには、上記のコンベア2およびサクション機構3が作動した状態(以下「搬送状態」という)であり、連続体Wが吸引されつつ搬送される。
一方、製造装置1のメンテナンス時や休業時といったおむつの製造が停止されるときには、コンベア2およびサクション機構3の作動も停止した状態(以下「停止状態」という)であり、連続体Wの搬送に加えて連続体Wの吸引も停止される。
【0019】
そのほか、コンベア2に対して上流側または下流側には、図示省略するテンションロールが設けられている。テンションロールは、連続体Wを挟み込んで張架し、連続体Wに対して厚み方向の一方および他方のそれぞれに設けられる。このテンションロールは、搬送状態では連続体Wの搬送速度に対応する速度で回転し、停止状態では連続体Wを挟み込んだまま回転が停止する。
【0020】
ここでは、
図2に示すように、幅方向に並ぶ二つの連続体Wがそれぞれに搬送される製造装置1を例示する。そのため、
図2では図示省略するコンベア2やサクション機構3,テンションロールは、連続体Wのそれぞれに対応して設けられる。この
図2には、搬送状態を実線で示し、停止状態を二点鎖線で示す。
上記の製造装置1には、つぎに説明するストッパ機構5が取り付けられている。
【0021】
[1.2.ストッパ機構]
ストッパ機構5は、製造装置1のフレーム4に取り付けられている。
フレーム4は、製造装置1において固定された構造部材である。このフレーム4は、幅方向に沿って延在する丸軸状をなしている。ここでは、連続体Wよりも下方であってコンベア2で搬送される二つの連続体Wどうしの間にフレーム4が配置されている。以下、連続体Wどうしの幅方向中間点に向かう方向を「内側」と称し、内側の反対側を「外側」と称する。
【0022】
なお、ストッパ機構5は、幅方向対称に設けられている。このように幅方向の一方と他方とが同様に構成されるため、ストッパ機構5の構成については幅方向の一方だけを説明(他方の説明は省略)する。
このストッパ機構5は、フレーム4に取り付けられる連結プレート6(連結部材)と、連結プレート6に対して回動自在に支持(枢支)されるシャフト7と、シャフト7の回動に連動して揺動するストッパ8との三部材に大別される。
【0023】
すなわち、連結プレート6は固定されるのに対し、一体的に結合されたシャフト7およびストッパ8は可動に設けられている。連結プレート6に対してシャフト7を回動させると、ストッパ8が揺動する。言い換えれば、ストッパ8の揺動にともなってシャフト7が回動する。
上記のように可動なシャフト7およびストッパ8は、連結プレート6を介してフレーム4に連結される。
【0024】
連結プレート6は、二つの連続体Wどうしの間に設けられている。この連結プレート6は、幅方向視では連続体Wを厚み方向に貫通するように配置され、上下に延設された板状をなす。
シャフト7およびストッパ8は、連続体Wよりも上方に設けられている。シャフト7は、二つの連続体Wに亘って幅方向に延在する寸法に設定される。このシャフト7は丸軸状をなす。ストッパ8は、平面視で連続体Wと重複する箇所に配置される。このストッパ8よりも連結プレート6のほうが上下方向の寸法が長い。
以下、
図2および
図3を参照して、連結プレート6,シャフト7,ストッパ8の順に各構成を述べる。
【0025】
〈連結プレート〉
連結プレート6は、フレーム4に対して取り付けられる部材であるとともに、シャフト7が取り付けられる部材である。
この連結プレート6には、フレーム4およびシャフト7のそれぞれに対応する二種の穴6D,6Uが設けられている。穴6D,6Uは、何れも幅方向に貫通する取付穴である。
【0026】
二種の穴6D,6Uのうち、一方はフレーム4に対応する下穴6D(第一穴)であり、他方はシャフト7に対応する上穴6U(第二穴)である。
下穴6Dは、連結プレート6の下部に設けられ、フレーム4の外径に応じた内径に形成される。また、上穴6Dは、連結プレート6の上部に設けられ、シャフト7の外径に応じた内径に形成される。
【0027】
この連結プレート6は、
図3に示すように、上穴6Uが穿設されるとともに下穴6Dの上半部を区画する主プレート61(主部)と、下穴6Dの下半部を区画する補助プレート62(補助部)とに細別される。
補助プレート62は、主プレート61に対してボルトB
1によって着脱可能に締結される。詳細に言えば、主プレート61と補助プレート62との間であって下穴6Dに対応する箇所にフレーム4を挟み込むようにボルトB
1を締結することで、プレート61,62どうしが締結されるとともにフレーム4に対して連結プレート6が固定される。
【0028】
さらに、本締めされたボルトB
1がやや緩められた状態やボルトB
1が仮締めされた状態では、フレーム4に対する連結プレート6の取り付け角度が調節可能である。
このような連結プレート6の姿勢調節によって、上穴6Uの上下方向位置を調節することができる。すなわち、シャフト7の回動軸心Cの上下方向位置が調節可能である。言い換えれば、連結プレート6は、フレーム4に対する取り付け角度に応じて、連続体Wに対する回動軸心Cの離間寸法を変化させる。
【0029】
なお、シャフト7の回動軸心Cは、ストッパ8を揺動させる中心でもある。このことから、「揺動軸心C」とも称する。
上記のように位置が調節されうる上穴6Uには、つぎに説明するシャフト7が回動自在に挿通されている。
【0030】
〈シャフト〉
シャフト7は、上穴6Uに挿通された内側部71に上記の連結プレート6が取り付けられ、外側部72にストッパ8が取り付けられる。言い換えれば、内側部71の連結プレート6に対して外側部72のストッパ8がシャフト7によって幅方向に接続される。この外側部72は、平面視で連続体Wと重複する箇所に配置される。
【0031】
さらに、シャフト7の幅方向端部73には、シャフト7を回動させるハンドル74(操作部)が取り付けられる。ハンドル74は、シャフト7の回動軸心Cを基準とした径方向(以下、単に「径方向」と称する)に沿って延在する操作部材である。
図2では、シャフト7において幅方向の一方だけに取り付けられたハンドル74を例示する。ただし、シャフト7において、幅方向の一方および他方の双方にハンドル74が取り付けられてもよいし、幅方向の他方だけにハンドル74が取り付けられてもよい。
【0032】
図3では、シャフト7に対してハンドル74が取り付けられる構造として、下記の雄ネジおよび雌ネジが螺合する構造を例示する。
・雄ネジ:ハンドル74の基部(シャフト7側の部位)に螺刻された雄ネジ
・雌ネジ:シャフト7の幅方向端部73に穿設された穴に螺刻された雌ネジ
上記のハンドル74は、たとえばオペレータ(作業員)によって揺動操作されることでシャフト7が回動し、この回動に連動してつぎに説明するストッパ8が揺動する。
【0033】
〈ストッパ〉
ストッパ8は、
図1および
図2に実線で示すように搬送状態で連続体Wから離間し、
図2に二点鎖線で示すように停止状態でコンベア2のベルト21との間に連続体Wを挟んで押さえる部材である。すなわち、ストッパ8は、搬送状態および停止状態の各状態に応じた位置へ揺動され、連続体Wに対して離接する。
【0034】
ここでは、ストッパ8が手動で揺動させられ、揺動方向が連続体Wの搬送方向に沿って設定される。この揺動は、ストッパ8の揺動にともなって回動するシャフト7や回動自在にシャフト7を支持する連結プレート6によって実現される。このことから、連結プレート6およびシャフト7は、搬送状態および停止状態の何れか一方から他方へ切り替わるときに、ストッパ8を連続体Wの搬送方向に沿って揺動させる揺動機構67を構成する。
【0035】
このストッパ8は、シャフト7に対して取り付けられるアーム81と、アーム81に取り付けられる支持プレート82(支持部)と、支持プレート82に取り付けられるストッパ部材83とに細別される。アーム81および支持プレート82は、ストッパ部材83とシャフト7との間に設けられた構造部材である。
【0036】
アーム81は、径方向に沿って延在する。アーム81の径方向外側に支持プレート82が取り付けられる。支持プレート82は、停止状態で幅方向に沿う方向に延在する。支持プレート82の径方向外側にストッパ部材83が取り付けられる。アーム81によってストッパ8の揺動半径が確保され、ストッパ部材83で連続体Wを押さえうる幅方向の範囲が支持プレート82によって確保される。
【0037】
――アーム――
図3に示すように、アーム81には、シャフト7に対する取付構造8Aとして、シャフト7に対応する取付穴8Hが幅方向に貫通して設けられる。
この取付構造8Aには、取付穴8Hに連設された割溝8Sが設けられ、この割溝8Sを跨いで締結されるボルトB
2も設けられている。ここでは、取付穴8Hから支持プレート82やストッパ部材83とは反対側に切り込まれた割溝8Sを例示する。
【0038】
取付穴8Hは、上記の上穴6Uと同様に、シャフト7の外径に応じた内径に形成され、シャフト7が挿通される。
シャフト7が取付穴8Hに挿通されたうえで、割溝8Sを跨ぐボルトB
2が締結されると、割溝8Sは狭まり、取付穴8Hが縮径する。このようにして、取付穴8Hに挿通されたシャフト7に対してアーム81が一体的に固定される。
【0039】
さらに、本締めされたボルトB
2がやや緩められた状態やボルトB
2が仮締めされた状態では、割溝8Sが狭まり切ってはおらず、取付穴8Hも縮径し切ってはいない。そのため、取付穴8Hに挿通されたシャフト7がアーム81に対して可動である。
すなわち、シャフト7に対するアーム81の取り付け角度が調節可能である。そのうえ、シャフト7に対するアーム81の取り付け箇所も幅方向に調節可能である。アーム81の取り付け箇所の調節によって、支持プレート82やストッパ部材83の幅方向位置を調節することができる。このように、シャフト7に対するストッパ8の取り付け箇所が取付構造8Aによって調節可能である。
【0040】
――支持プレート――
支持プレート82は、ストッパ部材83の支持部材である。
この支持プレート82は、幅方向に沿って延在する板状をなす。支持プレート82の幅方向寸法は、ストッパ部材83で連続体Wを押さえることが想定される最大の寸法やこれにマージンを加えた寸法に設定される。
ここでは、
図3に示すように、支持プレート82の幅方向中央がボルトB
3によってアーム81に締結される。このように締結されたアーム81と支持プレート82とはT字形をなす。詳細に言えば、アーム81および支持プレート82は、搬送状態において平面視でT字形をなし、停止状態において搬送方向視でT字形をなす。
【0041】
――ストッパ部材――
ストッパ部材83は、停止状態で連続体Wに接触する部材である。
このストッパ部材83は、
図1に示すように、連続体Wに対して接触する面(以下「接触面」という)Fが径方向外側に凸(凸状)の曲面をなしている。この接触面Fは幅方向視で円弧状をなしている。
【0042】
接触面Fの形状は、以下に示す第一寸法L
1が第二寸法L
2よりもやや大きく設定されている。
・第一寸法L
1:接触面Fにおいて最も径方向外側に突出した凸端部P
Fとストッパ
8の揺動軸心Cとが離間する寸法
・第二寸法L
2:ストッパ8の揺動軸心Cと連続体Wとが離間する寸法
上記の寸法L
1,L
2は、何れも幅方向視の寸法である。また、第二寸法L
2は、ストッパ8の揺動軸心Cと連続体Wとが離間する寸法のうち最も短い寸法を意味する。
【0043】
また、ストッパ部材83には、ウレタンゴムやスポンジなどの弾性部材が用いられている。連続体Wが押さえられた停止状態では、第一寸法L
1が第二寸法L
2よりも大きく設定されることにより、ストッパ部材83に用いられた弾性部材が収縮変形しながら連続体Wを圧接する。
【0044】
そのほか、ストッパ部材83は、
図2および
図3に示すように、支持プレート82の幅方向端部にそれぞれが配置されている。すなわち、幅方向に間隔を空けた二つのストッパ部材83が一つの支持プレート82に対して取り付けられている。
これらのストッパ部材83と支持プレート82とは一体的に固定される。
図3では、蒲鉾型のストッパ部材83が支持プレート82にボルトB
4で締結される構造を例示する。
【0045】
[1.3.使用手順]
つづいて、ストッパ機構5を使用する手順を説明する。
まず、製造装置1を搬送状態から停止状態に切り替えるときの手順について、以下に手順A1〜A3を列挙する。
・手順A1:コンベア2の作動を停止する
・手順A2:ハンドル74を一方に揺動操作する
・手順A3:サクション機構3の作動を停止する
【0046】
手順A1によって、連続体Wの搬送が停止する。手順A1は、手順A2,A3よりも前に実施される。
手順A2によって、連続体Wに対して離間していたストッパ8が一方(ここでは上流から下流に向かう方向)に揺動し、揺動したストッパ8がコンベア2のベルト21との間に連続体Wを挟んで押さえる。
手順A3によって、コンベア2のベルト21に対する連続体Wの吸引が停止される。
【0047】
つぎに、製造装置1を停止状態から搬送状態に切り替えるときの手順について、以下に手順B1〜B3を列挙する。
・手順B1:サクション機構3の作動を再開(開始)する
・手順B2:ハンドル74を他方に揺動操作する
・手順B3:コンベア2の作動を再開(開始)する
【0048】
手順B1によって、コンベア2のベルト21に対する連続体Wの吸引が再開(開始)される。
手順B2によって、連続体Wを押さえていたストッパ8が他方(ここでは下流から上流に向かう方向)に揺動し、揺動したストッパ8が連続体Wから離間する。
手順B3によって、連続体Wの搬送が再開(開始)される。手順B3は、手順B1,B2よりも後に実施される。
【0049】
手順A3は、手順A2の後に実施することが好ましい。また、手順B2は、手順B1の後に実施されることが好ましい。これらの実施順によれば、サクション機構3およびストッパ8の少なくとも何れかによって連続体Wが保持された状態が継続し、連続体Wの位置ズレが抑えられる。
ただし、手順A2の前に手順A3を実施してもよい。また、手順B1と同時や手順B1よりも前に手順B2を実施してもよい。
【0050】
[2.作用および効果]
本実施形態のストッパ機構5および製造装置1は、上述のように構成されるため、以下のような作用および効果を得ることができる。
(1)本実施形態のストッパ機構5は、停止状態においてコンベア2のベルト21とストッパ8との間に連続体Wを挟んで押さえる。このことから、製造装置1のメンテナンス時や休業時といったサクション機構3が停止されているときに、連続体Wが押さえられる。そのため、停止状態における連続体Wの位置を保持することができる。
よって、搬送が停止された帯状の連続体Wの位置ズレを抑制することができる。
【0051】
延いては、搬送再開(製造再開)後の連続体Wに対する皺やヨレの発生,加工箇所の位置ズレといった品質低下や歩留まりの低下を抑えることができる。
一方、ストッパ機構5は、搬送状態では連続体Wからストッパ8が離間する。このことから、搬送される連続体Wに対してストッパ機構5は影響せず、コンベア2やサクション機構3によって連続体Wを円滑に搬送することができる。
【0052】
(2)連続体Wに対する接触面Fが曲面をなすことから、停止状態から搬送状態へ切り替えるときのストッパ8の揺動にともなう連続体Wの破損を抑えることができる。さらに、ストッパ8の揺動に引き摺られて連続体Wが移動するのを抑制することができる。
このストッパ8は、連結プレート6およびシャフト7からなる揺動機構67によって搬送方向に沿って揺動することから、連続体Wの幅方向への位置ズレを確実に抑制することができる。
【0053】
(3)この揺動機構67は、連結プレート6が製造装置1のフレーム4に取り付けられ、ストッパ8の揺動と連動して回動するシャフト7を連結プレート6が枢支する。このことから、揺動自在なストッパ機構5を製造装置1のフレーム4に後付けすることができる。
(4)連結プレート6は、フレーム4に対する取り付け角度に応じて、連続体Wに対する揺動軸心Cの離間寸法を変化させる。このことから、ストッパ機構5の上下方向位置を調節することができ、連続体Wを押さえる度合いも調節することもできる。これらの位置調節や度合いの調節は、連続体Wの位置ズレを抑制するのに寄与する。
【0054】
(5)ストッパ部材83の接触面Fに関する第一寸法L
1は、第二寸法L
2よりもやや大きく設定される。このことから、ストッパ機構5の揺動角度を大きくするほど、連続体Wに対する接触面Fの押圧力を大きくすることができる。このように、連続体Wに対するストッパ8の圧接力を調節することで、適切に連続体Wの位置ズレを抑制することができる。
【0055】
(6)さらに、収縮変形しながら連続体Wを圧接する弾性部材がストッパ部材83に用いられる。このことから、連続体Wを押さえる面積(圧接面積)が確保され、連続体Wの位置ズレを確実に抑制することができる。そのうえ、連続体Wに対して接触面Fから入力される荷重が分散されるため、連続体Wの破損を抑制することもできる。
なお、幅方向に間隔を空けた二つのストッパ部材83が設けられることから、ストッパ部材83にかかる材料コストを低減させることができる。
【0056】
(7)また、搬送状態および停止状態のそれぞれで連結プレートに対してシャフトを固定するロック機構を増設してもよい。このロック機構は、停止状態では連続体がストッパで押さえられた状態を保持し、搬送状態では連続体からストッパが離間した状態を保持する。このようなロック機構が設けられた場合には、意図しないストッパの揺動を回避することができる。さらに、停止状態では、ストッパで連続体が押さえられた状態が確実に保持され、連続体の位置ズレも確実に抑制される。
【0057】
(8)本実施形態の製造装置1は、停止状態において、コンベア2のベルト21へ向けて連続体Wを吸引するサクション機構3が停止される。そのため、停止状態では連続体Wは吸引されず、吸引によって連続体Wの位置が保持されない。すなわち、製造装置1には、ストッパ機構5が設けられていなければ連続体Wの位置ズレを招きやすいシステムや運用が採用されている。下方に傾斜したコンベア2が設けられることからも、停止状態で連続体Wの位置ズレを招きやすい構造が採用されている。
これに対し、製造装置1において、停止状態の連続体Wをストッパ機構5のストッパ8でベルト21との間に挟んで押さえることにより、連続体Wの位置ズレを抑制することができる。
【0058】
(9)そのほか、シャフト7に対するストッパ8の取り付け箇所が取付構造8Aによって幅方向に調節可能である。このことから、ストッパ8によって連続体Wを押さえる箇所を幅方向に調節することができる。あるいは、連続体Wの搬送経路が幅方向に変更されたとしても、変更された経路に対応する幅方向位置にストッパ8を配置することができる。
なお、コンベア2の上流側または下流側に連続体Wを張架するテンションロールが設けられることから、停止状態においても連続体Wの張力を保持することができる。さらに、上記のストッパ機構5によって連続体Wが押さえられることから、停止状態における張力の保持に寄与する。
【0059】
連結プレート6よりもストッパ8のほうが上下方向の寸法が短いことから、フレーム4に対する連結プレート6の取り付け角度を調節することで揺動軸心Cの上下方向位置を大雑把に調節することができる。さらに、ストッパ8の揺動角度を調節することで連続体Wに対する押圧力を微細に調節することができる。これらの二段階調節によって、連続体Wを押さえるための位置調節作業を効率化することができる。
【0060】
[II.その他]
上述した実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
【0061】
たとえば、ストッパ機構におけるストッパの揺動は、オペレータによる手動操作に限らず、アクチュエータで自動的に実施してもよい。この場合には、搬送状態から停止状態に切り替えられるときに、連続体に近接する方向にアクチュエータで移動させられたストッパによって連続体が押さえられる。停止状態から搬送状態に切り替えられるときには、連続体から離隔する方向にアクチュエータでストッパを移動させ、連続体からストッパが離間する。このように連続体に対するストッパの離接を自動化することで、人件費を低減させることができる。
【0062】
また、ストッパ機構におけるストッパの移動形態は、搬送方向に沿う揺動に限らず、幅方向に沿う揺動や連続体に対して離接する往復動といったさまざまな移動形態であってもよい。この場合には、移動形態に応じた構造がストッパ機構に採用される。
なお、製造装置には、連続体を搬送させるコンベアが少なくとも設けられていればよく、サクション機構を省略してもよい。