(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】高さ寸法が最も大きい最大状態の包装箱を示す斜視図である。
【
図2】高さ寸法が最も小さい最小状態の包装箱を示す斜視図である。
【
図3】高さ寸法が最大状態よりも小さく最小状態よりも大きい中間状態の包装箱を示す斜視図である。
【
図4】中間状態の包装箱の要部を拡大して示す模式図である。
【
図5】包装箱に組み立てられるシート材の平面図である。
【
図7】シート材から包装箱に組み立てる途中の状態を示す平面図である。
【
図8】開口が全開の開封状態の包装箱を示す斜視図である。
【
図9】開口が半開の開封状態の包装箱を示す斜視図である。
【
図11】第一変形例の包装箱に組み立てられるシート材の一例を示す平面図である。
【
図12】第一変形例の包装箱に組み立てられるシート材のもう一例を示す平面図である。
【
図14】第二変形例の包装箱に組み立てられるシート材の一例を示す平面図である。
【
図15】第二変形例の包装箱に組み立てられるシート材のもう一例を示す平面図である。
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態としての包装箱およびシート材を説明する。
本実施形態の包装箱は、平面状のシート材(「ブランクシート」とも称される)から組み立てられた立体状の包装体である。包装箱に組み立てられるシート材には、所定の形状への切り取りや罫線の付与といった加工の施された包装資材が用いられる。シート材に用いられる包装資材としては、段ボールシートや厚紙などが挙げられる。
【0009】
本実施形態では、包装箱およびシート材が水平面に載置されたものとし、説明で用いる方向を下記のように定義する。
包装箱については、水平方向を前後方向(図中には前方を「F」で示すとともに後方を「B」で示す)および左右方向(図中には左方を「L」で示すとともに右方を「R」で示す)に細別して説明する。左右方向については、前方から後方へ向いた状態を基準に左右を定める。また、鉛直方向のうち重力の作用方向を下方(図中には「D」で示す)とし、下方の反対方向を上方(図中には「U」で示す)とする。上下方向は、包装箱の高さ方向である。そこで、上下方向の寸法を高さ寸法と呼ぶ。そのほか、包装箱の上部には、物品を出し入れする開口が設けられる。
【0010】
シート材については、水平方向において互いに直交するX方向およびY方向を用いて説明する。X方向およびY方向のそれぞれは、互いに反対向きの二方向に延びる。そこで、X方向の一方をX
1方向とし、他方をX
2方向とする。同様に、Y方向の一方をY
1方向とし、他方をY
2方向とする。
【0011】
[I.一実施形態]
[1.構成]
以下に述べる一実施形態では、項目[1]で構成を述べる。この項目[1]では、小項目[1.1]で包装箱を説明し、小項目[1.2]でシート材の構成を説明する。それから、小項目[1.3]で包装箱およびシート材の使用手順を述べる。そして、項目[2]で項目[1]の構成による作用および効果を述べる。
【0012】
[1.1.包装箱]
図1,
図2,
図3には、高さ寸法の異なる包装箱1の三状態を例示する。
図1には、高さ寸法が最も大きい最大寸法L
Hの状態(以下「最大状態」と称する)をなす包装箱1を示す。
図2には、高さ寸法が最も小さい最小寸法L
Lの状態(以下「最小状態」と称する)の包装箱1を示す。
図3には、高さ寸法が最大寸法L
Hよりも小さく最小寸法L
Lよりも大きい中間寸法L
Mの状態(以下「中間状態」と称する)の包装箱1を示す。
【0013】
この包装箱1は、高さ寸法が可変である。具体的に言えば、包装箱1は、最大寸法L
Hと最小寸法L
Lとの間(所定の寸法範囲)で無段階に高さ寸法が調節自在に構成されている。
図1に示すように、最大状態の包装箱1は、直方体状の概形をなす。
図2に示すように、最小状態の包装箱1も直方体状の概形をなす。なお、最小状態の包装箱1と最大状態の包装箱1とでは、前後方向や左右方向の寸法は同様であり、上記のように高さ寸法が異なる。
図3に示すように、中間状態の包装箱1は、中間寸法L
Mの高さ寸法をなす直方体における前後の上側を仮想的な傾斜平面で切り落とした概形をなす。
【0014】
上記の包装箱1には、下方から上方に向けて、底壁部2,立壁部3,蓋部4がこの順に設けられている。
底壁部2は、前後方向かつ左右方向(高さ方向に対して直交する方向)に沿って延在し、包装箱1の下部に配置される。
立壁部3は、上下方向かつ左右方向(高さ方向)に沿って延在し、包装箱1の前後に配置される。この立壁部3は、互いに対向する前後一対が底壁部2に対して折り立てられている。
【0015】
蓋部4は、前後方向かつ左右方向(高さ方向に対して直交する方向)に沿って延在し、包装箱1の上部に配置される。
この蓋部4には、前側に配置された前蓋部4F(第一蓋部)と後側に配置された後蓋部4B(第二蓋部)との前後一対が設けられている。さらに、前蓋部4Fおよび後蓋部4Bのそれぞれにおける先端側の一部(以下「先端部」と称する)4f,4bどうしが互いに重ね合わせられた状態で、包装箱1の上部に設けられた開口O(
図8,
図9参照)が覆われる。
【0016】
上記の底壁部2,立壁部3および蓋部4は、包装箱1が最大状態,中間状態および最小状態の何れの状態であっても延在方向が不変である。
これに対して、本包装箱1には、最大状態,中間状態,最小状態の各状態で延在方向の異なる調節壁部5が設けられている。
調節壁部5は、包装箱1の高さ寸法を無段階に調節するための構成である。この調節壁部5は、二つの折れ曲がり線(以下「折曲線」と記す)35,45を介して、立壁部3および蓋部4と連設されている。具体的には、中折曲線35(第一調節折曲線)を介して立壁部3と連設され、上折曲線45(第二調節折曲線)を介して蓋部4と連設される。すなわち、立壁部3と蓋部4との間に前後一対の調節壁部5が配置されている。
【0017】
図1に示すように、最大状態の包装箱1における調節壁部5は、上下方向かつ左右方向に沿って延在し、包装箱1で前後それぞれの上側に配置される。すなわち、立壁部3を仮想的に上方へ延長した領域に調節壁部5が位置する。
図2に示すように、最小状態の包装箱1における調節壁部5は、前後方向かつ左右方向に沿って延在し、包装箱1の上部の前側および後側に配置される。すなわち、蓋部4を仮想的に前後へ延長した領域に調節壁部5が位置する。
図3に示すように、中間状態の包装箱1における調節壁部5は、前側および後側において、上下方向および前後方向の双方に対して傾斜しつつ左右方向に延在する。
【0018】
調節壁部5は、中折曲線35を中心に揺動することで、上折曲線45の前後方向位置および上下方向位置を連続的に変動させ、包装箱1の高さ寸法を無段階に調節する。これに伴って往復動する蓋部4は、先端部4f,4bどうしが互いに摺動し、先端部4f,4bどうしの重合する領域が増減する。また、包装箱1の高さ寸法を無段階に調節するときに、中折曲線35および上折曲線45での折曲角度が連続的に変化する。
具体的に言えば、
図4に例示するように、立壁部3に対する調節壁部5の下内角θ
M(第一折曲角度)と蓋部4に対する調節壁部5の上内角θ
U(第二折曲角度)との和が270°に保持されたまま、下内角θ
Mおよび上内角θ
Uが連続的に変化する。すなわち、内角θ
M,θ
Uのそれぞれの角度変化分「α」は、変化方向が互いに反対向きであって絶対値が等しく、つぎの等式「(θ
M+α)+(θ
U−α)=270°」が成立する。
【0019】
調節壁部5の連続的な揺動にともなって往復動する蓋部4F,4Bには、この往復動を許容しつつ先端部4f,4bどうしを仮に係止する仮止め機構40が設けられている。つまり、包装箱1の無段階な高さ寸法の調節を許容する仮止め機構40が設けられている。
仮止め機構40には、差込穴41とこの差込穴41に挿抜される舌片42とが設けられている。差込穴41に差し込まれた舌片42は、差込穴41周辺の部位との摩擦力で先端部4f,4bどうしを仮止めする。前蓋部4Fおよび後蓋部4Bのうち、何れか一方に差込穴41が設けられ、何れか他方に舌片42が設けられる。
【0020】
調節壁部5が折り倒されて先端部4f,4bどうしの重合領域が増大するときには、差込穴41に舌片42が差し込まれた領域も増大する。反対に、調節壁部5が折り起こされて先端部4f,4bどうしの重合領域が減少するときには、差込穴41に舌片42が差し込まれた領域も減少する。
ここでは、前蓋部4Fに舌片42が設けられ、後蓋部4Bに差込穴41が設けられる。
【0021】
さらに、前後の立壁部3どうしの間には、側壁部6が設けられている。側壁部6は、立壁部3と同じ上下方向の範囲(高さ方向)かつ前後方向に延在し、包装箱1の左右に配置される。この側壁部6は、底壁部2に対して互いに対向する左右一対が折り立てられている。
この側壁部6は、底壁部2,立壁部3および蓋部4と同様に、包装箱1が最大状態,中間状態および最小状態の何れの状態であっても延在方向が不変である。
【0022】
これに対して、最大状態,中間状態,最小状態の各状態で延在方向が異なる補助壁部7も設けられている。
補助壁部7(
図1および
図3参照)は、上記の側壁部6に対して底壁部2とは反対側に配置され、側折曲線67(
図3参照)を介して側壁部6と連設されている。この補助壁部7は、調節壁部5と同様に包装箱1の状態に応じて延在方向が異なり、調節壁部5よりもやや低い上下方向の範囲かつ前後方向に延在する。
【0023】
なお、補助壁部7は、側壁部6と反対側には何も連設されておらず、最小状態や中間状態の包装箱1において開口O(
図8,
図9参照)における左右方向の一部を覆う内蓋として機能する。このことから、蓋部4における左右方向の一部は、最小状態や中間状態の包装箱1において補助壁部7の上側(外側)を覆う外蓋として機能する。
上記の側壁部6および補助壁部7は、後述する折込シート片8′(
図5参照)の折り込まれた折込部8(
図8,
図9参照)を介して、立壁部3あるいは調節壁部5と接続されている。
【0024】
そのほか、側壁部6よりも上方かつ蓋部4よりも下方の少なくとも一部の領域を覆うフラップ部9が設けられている。
フラップ部9には、包装箱1の高さ寸法が調節されるときに他の部位に干渉しにくい構成が用いられている。つまり、包装箱1の高さ寸法の無段階な調節を許容するフラップ部9が採用されている。
【0025】
ここでは、蓋部4から左右に延出するフラップ部9(以下「蓋フラップ部90」と称する)が設けられる。具体的には、前蓋部4Fに対して左右のそれぞれに前蓋フラップ部91(第一蓋フラップ部)が延出し、後蓋部4Bに対して左右のそれぞれに後蓋フラップ部92(第二蓋フラップ部)が延出している。
上記の蓋フラップ部90には、最小状態の包装箱1において折り倒された蓋フラップ部90が包装箱1の載置面に干渉しない寸法であって、調節壁部5が上下に延在しうる範囲の寸法よりも大きな寸法で蓋部4から延出している。すなわち、包装箱1の高さ寸法の無段階な調節を許容しつつ、側壁部6よりも上方かつ蓋部4の下方の上下方向領域をできるだけ上下に覆う寸法が設定されている。
【0026】
なお、包装箱1は、蓋部4,仮止め機構40や蓋フラップ部90を除いて前後方向に対称であり、左右方向に対称である。そのため、特に説明しない限りは、左方の構成および右方の構成は配置箇所を除いて同様であり、前方の構成および後方の構成も配置箇所を除いて同様である。
【0027】
[1.2.シート材]
上記した包装箱1は、
図5に例示するシート材1′を折り曲げることで組み立てられるたとう式(「やっこ式」とも称される)の箱である。
図5には、切線を太線で示し、罫線(折曲線)を細線で示す。切線には、シート材1′の外形線とシート材1′を厚み方向に貫通する切込線とが含まれる。
このシート材1′には、段ボールシートが用いられ、フルート(「段目」とも称される)がX方向に配向されている。具体的には、厚み寸法が1.5mmの段ボールシート(いわゆる「E段」)がシート材1′に用いられる。
【0028】
以下、シート材1′の各部位については、包装箱1で対応する部位の名称における末尾の「部」を「シート片」に置換した名称で呼び、符号の末尾に「′」を付加する。たとえば、底壁部2に対応する部位を底壁シート片2′と称する。逆に言えば、包装箱1の各部位については、シート材1′の各部位の名称における末尾の「シート片」を「部」に置換した名称で呼び、符合の末尾から「′」を削除する。
ただし、差込穴41および舌片42の仮止め機構40については、シート材1′において対応する構成を同様の名称で称し、符号の末尾に「′」を付加する。
【0029】
シート材1′のX方向およびY方向の中央には、底壁シート片2′が設けられている。
底壁シート片2′からX
1方向側およびX
2方向側(以下「X方向外側」と称する)のそれぞれに向けて、立壁シート片3′,調節壁シート片5′,蓋シート片4′がこの順に設けられている。
【0030】
蓋シート片4′のうちX
1方向側の前蓋シート片4F′に対して、Y
1方向側およびY
2方向側(以下「Y方向外側」と称する)のそれぞれに向けて前蓋フラップシート片91′(蓋フラップシート片90′)が設けられている。同様に、蓋シート片4′のうちX
2方向側の後蓋シート片4B′に対して、Y方向外側のそれぞれに向けて後蓋フラップシート片92′(蓋フラップシート片90′)が設けられる。
【0031】
前蓋シート片4F′には舌片42′(仮止め機構40′)が切り込まれ、後蓋シート片4B′には差込穴41′(仮止め機構40′)が切り込まれている。
また、底壁シート片2′からY方向外側のそれぞれに向けて、側壁シート片6′,補助壁シート片7′がこの順に設けられている。
【0032】
さらに、立壁シート片3′および調節壁シート片5′のY方向外側かつ側壁シート片6′および補助壁シート片7′のX方向外側のそれぞれには、折込シート片8′が設けられている。
折込シート片8′は、包装箱1の状態で前後に配置されるシート片3′,5′と左右に配置されるシート片6′,7′とを接続する構成であるとともに、包装箱1の高さ寸法の無段階な調節を許容しながら折り込まれる構成である。
【0033】
上記したさまざまなシート片2′〜8′は、種々の罫線を介して連設されている。
ここでは、シート材1′の罫線のうち、包装箱1に組み立てられた状態において外形をなす罫線であって、水平方向に延在する罫線には符合「H」を付し、上下方向に延在する罫線には符合「V」を付す。その他の罫線には符号「R」を付す。
【0034】
底壁シート片2′の周囲には、包装箱1の下端縁に対応する下罫線H
Dが設けられる。
下罫線H
Dは、底壁シート片2′と立壁シート片3′との間でY方向に延びる第一下罫線H
D1と、底壁シート片2′と側壁シート片6′との間でX方向に延びる第二下罫線H
D2とに大別される。
【0035】
下罫線H
DのX方向外側およびY方向外側には、中罫線H
Mが設けられる。詳細に言えば、第一下罫線H
D1に対してX方向外側のそれぞれには、第一下罫線H
D1とY方向寸法が同様かつ延在方向が平行な第一中罫線H
M1が設けられる。また、第二下罫線H
D2に対してY方向外側のそれぞれには、第二下罫線H
D2とY方向寸法が同様かつ延在方向が平行な第二中罫線H
M2が設けられる。
第一中罫線H
M1に対してX方向外側のそれぞれには、第一中罫線H
M1とY方向寸法が同様かつ延在方向が平行な上罫線H
Uが設けられる。
【0036】
第一中罫線H
M1は、立壁シート片3′と調節壁シート片5′との間に設けられ、上述した中折曲線35(
図1〜
図4参照)に対応する構成である。
第二中罫線H
M2は、側壁シート片6′と補助壁シート片7′との間に設けられ、上述した側折曲線67(
図3参照)に対応する構成である。
上罫線H
Uは、調節壁シート片5′と蓋シート片4′との間に設けられ、上折曲線45に対応する構成である。
【0037】
そのほか、前蓋シート片4F′と前蓋フラップシート片91′との間には、Y方向に近接して平行に並ぶ内罫線H
Iおよび外罫線H
Oが設けられている。同様に、後蓋シート片4B′と後蓋フラップシート片92′との間には、Y方向に近接して平行に並ぶ内罫線H
Iおよび外罫線H
Oが設けられている。
【0038】
さらに、折込シート片8′と他のシート片3′,5′,6′,7′との間には、縦罫線Vが設けられている。
図6に示すように、縦罫線Vは、X方向に沿って延在する第一縦罫線V
1と、Y方向に沿って延在する第二縦罫線V
2とに大別される。
【0039】
第一縦罫線V
1は、立壁シート片3′との間に設けられた第一下罫線V
1Dと、調節壁シート片5′との間に設けられた第一上罫線V
1Uとに細別される。また、第二縦罫線V
2は、側壁シート片6′との間に設けられた第二下罫線V
2Dと、補助壁シート片7′との間に設けられた第二上罫線V
2Uとに細別される。
この第二上罫線V
2Uは、包装箱1の円滑な組み立てを図るため、Y方向に対してややX方向外側(
図6ではX
1方向側)へ第一微小角度だけ傾斜して設けられている。
【0040】
ここでいう第一微小角度は、第二上罫線V
2Uの円滑な折り曲げを図る観点から、2°よりも大きく6°よりも小さいことが好ましく、3°よりも大きく5°よりも小さいことが更に好ましい。厚み寸法が1.5mmの段ボールシートをシート材1′に用いる場合には、上記の第一微小角度を4°に設定するのが最も好ましい。
第二下罫線V
2Dも、Y方向に対してX方向外側(
図6ではX
1方向側)へ第二微小角度(ここでは1°)だけ傾斜して設けられている。この第二微小角度は、上記の第一微小角度よりも小さく設定される。
ただし、第二上罫線V
2Uおよび第二下罫線V
2DはY方向と平行であってもよい。
【0041】
そのうえ、折込シート片8′には、包装箱1の状態で中折曲線35や側折曲線67に対応する箇所に中折込罫線R
Mが設けられている。
中折込罫線R
Mは、第一中罫線H
M1に対してY方向外側の第一中折込罫線R
M1と、第二中罫線H
M2に対してX方向外側の第二中折込罫線R
M2とに細別される。ここで例示する第一中折込罫線R
M1は、円滑な折り曲げを図る観点から、第一中罫線H
M1をY方向外側へ仮想的に延長した領域に対してややX
2方向側へずらされて配置される。なお、第二中折込罫線R
M2は、第二中罫線H
M2をX方向外側へほぼそのまま仮想的に延長した領域に配置される。
【0042】
また、折込シート片8′には、縦罫線V
1,V
2の交差箇所からX方向外側かつY方向外側に延びる傾斜折込罫線R
Sが設けられている。傾斜折込罫線R
Sは、X方向およびY方向の双方に対して傾斜して設けられている。
この傾斜折込罫線R
Sは、包装箱1の円滑な組み立てを図るため、X方向に対する傾斜角度θ
Sが45°よりもやや大きい角度に設定されている。
【0043】
ここでいう傾斜角度θ
Sは、傾斜折込罫線R
Sの円滑な折り曲げを図る観点から、45°よりも大きく49°よりも小さいことが好ましく、46°よりも大きく48°よりも小さいことが更に好ましい。厚み寸法が1.5mmの段ボールシートをシート材1′に用いる場合には、上記の傾斜角度θ
Sを47°に設定するのが最も好ましい。ただし、傾斜折込罫線R
Sの傾斜角度θ
Sは、X方向に対して45°に設定されてもよいし、45°よりもやや小さく設定されてもよい。
折込シート片8′は、傾斜折込罫線R
Sに対してX方向外側の第一折込シート片81′と、傾斜折込罫線R
Sに対してX方向内側の第二折込シート片82′とに大別される。
【0044】
ところで、罫線が交差する箇所は、シート材が折り曲げられたときに折れ戻ろうとする反発力が大きくなる傾向にあり、この大きな反発力が箱の組立性を低下させるおそれがある。
そこで、折込シート片8′には、折り込まれたときに折れ戻ろうとする反発力を適正化する(ここでは弱める)ための補助穴B(言わば「弱め穴」)が穿設されている。
【0045】
ここでは、角穴B
C,中穴B
Mおよび長穴B
Lが補助穴Bとして設けられる。
角穴B
Cは、第一縦罫線V
1と第二縦罫線V
2との交差点に対応する箇所に配置される。この角穴B
Cは、四半円状に形成される。
中穴B
Mは、縦罫線Vと中罫線H
Mとの交差点に対応する箇所に配置される。この中穴B
Mは、半円状に形成される。
【0046】
長穴B
Lは、長穴B
Lが設けられていなければ中折込罫線R
M1,R
M2と傾斜折込罫線R
Sとが交差する箇所に配置される。この長穴B
Lは、傾斜折込罫線R
Sに沿って延在する長円と真円とを組み合わせた形状(いわば「UFO形」)に形成される。
なお、上記の角穴B
C,中穴B
Mおよび長穴B
Lは、上記した円形状に限らず、三角や四角などの多角形状に形成されてもよい。
【0047】
さらに、補助壁シート片7′には、第二中罫線H
M2のX方向端部からX方向内側かつY方向外側へ向けて延びる上傾斜罫線R
Uが設けられている。
この上傾斜罫線R
Uは、包装箱1の円滑な組み立てを図るため、X方向に対する傾斜角度θ
Gが45°よりもやや大きい角度に設定されている。
【0048】
ここでいう傾斜角度θ
Gは、上傾斜罫線R
Uの円滑な折り曲げを図る観点から、45°よりも大きく53°よりも小さいことが好ましく、47°よりも大きく51°よりも小さいことが更に好ましい。厚み寸法が1.5mmの段ボールシートをシート材1′に用いる場合には、上記の傾斜角度θ
Gを49°に設定するのが最も好ましい。ただし、上傾斜罫線R
Uの傾斜角度θ
Gは、X方向に対して45°に設定されてもよいし、45°よりもやや小さく設定されてもよい。
【0049】
補助壁シート片7′は、上傾斜罫線R
Uに対してX方向外側の第一補助壁シート片71′とその他の第二補助壁シート片72′とに大別される。
なお、
図5および
図6には、上記した罫線H,V,Rから上罫線H
Uおよび第二下罫線V
2Dを除いた罫線には、スジ押しと切り込みとを交互に設けたリード罫の採用されたシート材1′を例示している。ただし、リード罫の配置箇所は任意であり、リード罫を省略してもよい。
【0050】
[1.3.使用手順]
つぎに、上述したシート材1′から組み立てられる包装箱1の使用手順を説明する。
以下、包装箱1を使用する手順A1〜A4を列挙する。
・手順A1:シート材1′のY方向外側を折り畳む
・手順A2:折り畳まれたシート材1′のX方向外側の部位を折り立てる
・手順A3:蓋部4を調節壁部5に対して折り倒す
・手順A4:調節壁部5を立壁部3に対して折り倒す
【0051】
手順A1では、
図5および
図7に示すように、第二下罫線H
D2および第一縦罫線V
1でシート材1′を折り畳む。具体的には、底壁シート片2′,立壁シート片3′および調節壁シート片5′に対して側壁シート片6′,補助壁シート片7′および折込シート片8′を重ねるように折り畳む。それから、立壁シート片3′あるいは調節壁シート片5′に第一折込シート片81′を貼り付ける。
【0052】
手順A2では、
図7および
図8に示すように、底壁シート片2′に対してX方向外側の部位を第一下罫線H
D1で折り立てる。このとき、第二下罫線H
D2を折り返しつつ傾斜折込罫線R
Sを谷折れさせる。このようにして、側壁シート片6′および補助壁シート片7′を折り立て、第一折込シート片81′に第二折込シート片82′を重ね合わせる。このように第一折込部81と第二折込部82とを重ね合わせて折込部8を折り込むことで、開口Oが全開した開封状態の包装箱1が組み立てられる。その後、図示省略する物品が包装箱1に収容される。
手順A3では、
図8および
図9に示すように、調節壁部5に対して蓋部4を水平に折り倒す。それから、
図1に示すように、蓋部4の先端部4f,4bどうしを重ね合わせ、仮止め機構40の差込穴41に舌片42を差し込む。このようにして、最大寸法L
Hの包装箱1が組み立てられる。
【0053】
手順A4では、
図2および
図3に示すように、立壁部3および蓋部4の姿勢を保持したまま調節壁部5をその上端縁5uどうしが近接する方向へ連続的に折り倒す。すなわち、中折曲線35および上折曲線45を山折りして、立壁部3の鉛直な姿勢かつ蓋部4の水平な姿勢を保ちつつ、調節壁部5を徐々に折り倒す。このようにして、中間寸法L
Mの包装箱1が組み立てられる。
【0054】
このとき、先端部4f,4bどうしが互いに摺動して重合する領域が拡大し、仮止め機構40の差込穴41に対する舌片42の差込寸法が増加する。また、蓋部4の高さ位置が下降し、包装箱1の高さ寸法が連続的に小さくなる。この蓋部4の下降にともなって、折込部8を介して補助壁部7が押し下げられる。これと同時に、中折込罫線R
M1,R
M2(
図6参照)が折り込まれ、上傾斜罫線R
U(
図6参照)が谷折りされる。
【0055】
そして、調節壁部5が水平方向(上内角θ
Uが180°かつ下内角θ
Mが90°)にまで折り倒されると、最小寸法L
Lの包装箱1が組み立てられる。
このようにして、包装箱1の高さ寸法が連続的に小さく調節される。反対に、最小寸法L
Lの包装箱1の調節壁部5を連続的に折り起こせば、包装箱1の高さ寸法を連続的に大きく調節することもできる。すなわち、包装箱1の高さ寸法を可逆的に調節可能である。
【0056】
なお、中間状態の包装箱1にシート材1′が組み立てられたときには、第一補助壁部71の上端縁71u(
図8,
図9参照)が、第二補助壁部72の上端縁72u(
図8,
図9参照)よりも上方に配置される。言い換えれば、中間状態の包装箱1では、蓋部4と補助壁部7との間に生じる隙間は、第一補助壁部71と蓋部4との隙間よりも第二補助壁部72と蓋部4との隙間のほうが大きい。
このような比較的大きな隙間が生じる箇所がつぎに説明する蓋フラップ部で覆われる。
【0057】
蓋フラップ部90は、手順A2以降の任意のタイミングで折り倒す。このとき、前後の蓋フラップ部90どうしが干渉しにくくなるように、蓋フラップ部90の折り倒し箇所を前後で左右方向に相違させることが好ましい。たとえば、前蓋フラップ部91を内罫線H
Iで折り下げるとともに後蓋フラップ部92を外罫線H
Oで折り下げることが好ましい。あるいは、前蓋フラップ部91を外罫線H
Oで折り下げるとともに後蓋フラップ部92を内罫線H
Iで折り下げることが好ましい。
そのほか、包装箱1を封緘するときに、折り倒した蓋フラップ部90と側壁部6とをテープ止めしたり、前蓋部4Fと後蓋部4Bとをテープ止めしたりすれば、包装箱1の封緘状態が確実に確保される。
【0058】
[2.作用および効果]
本実施形態の包装箱1は、上述のように構成されるため、以下のような作用および効果を得ることができる。
(1)手順A4のように中折曲線35および上折曲線45での折曲角度を連続的に変化させて調節壁部5を徐々に折り倒すことで、包装箱1の高さ寸法を連続的に調節することができる。このとき、蓋部4の先端部4f,4bどうしが互いに重ね合わせられた状態で摺動する。そのため、高さ寸法の調節時に変位する蓋部4の先端部4f,4bどうしが干渉せず、円滑に包装箱1の高さ寸法を調節することができる。よって、包装箱1の高さ寸法の調節性を高めることができる。
【0059】
たとえば、包装箱1の高さ寸法を小さく調節していくときに収容された物品に突き当たった高さ寸法で包装箱1を封緘すれば、収容された物品の高さ寸法(大きさ)に応じて包装箱1の高さ寸法を抑えることができる。
このように包装箱1のサイズを最適化させることで、包装箱1の輸送コストを低減させることができる。
【0060】
(2)さらに、包装箱1の無段階な高さ寸法の調節を許容する仮止め機構40によって蓋部4の先端部4f,4bどうしが仮に係止されることから、調節された高さ寸法を容易に保持することができる。延いては、包装箱1の高さ寸法を微調節する作業性を向上させることができ、包装箱1の封緘作業を容易にすることができる。
この仮止め機構40は、差込穴41に挿抜される舌片42によって先端部4f,4bどうしを仮止めする。この仮止め機構40は、蓋部4を切り込むだけで形成することができる。よって、包装箱1の製造コストを抑えつつ利便性を高めることができる。
【0061】
(3)フラップ部9には、包装箱1の高さ寸法が調節されるときに他の部位に干渉しにくい構成の蓋フラップ部90が用いられる。このように包装箱1の高さ寸法の無段階な調節を許容する蓋フラップ部90が採用されることから、たとえば包装箱1の内部への異物の侵入を抑えることができ、包装箱1の被包性を高めることができる。
(4)なお、包装箱1に組み立てられるシート材1′によっても、上述した作用および効果を得ることができる。
【0062】
[II.変形例]
上述した実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
たとえば、フラップ部は、蓋部から延出する蓋フラップ部に限らない。具体例を挙げれば、フラップ部は、蓋フラップ部に替えてまたは加えて、下記の第一変形例で説明する調節フラップ部や下記の第一変形例で説明する補助フラップ部を有していてもよい。
【0063】
〈第一変形例〉
図10に示すように、第一変形例の包装箱1Aには、調節壁部5Aから延出する調節フラップ部9Aが設けられる。
この包装箱1Aは、
図11に例示するシート材1A′や
図12に例示するシート材1A″から組み立てられる。シート材1A′,1A″には、調節壁シート片5A′,5A″からY方向に延出する調節フラップシート片9A′,9A″が設けられる。
【0064】
調節フラップシート片9A′,9A″は、封緘された中間状態の包装箱において、調節壁部5Aの左右方向端縁から前後方向内側かつ下方に延出する調節フラップ部9Aを構成する。
このように調節壁部5Aから延出する調節フラップ部9Aによって、蓋フラップ部90Aでは覆い切れない前後の隙間を覆ことができる。よって、包装箱1Aの被包性を向上させることができる。
【0065】
〈第二変形例〉
図13に示すように、第二変形例の包装箱1Bには、補助壁部7Bから延出する補助フラップ部9Bが設けられる。
この包装箱1Bは、
図14に例示するシート材1B′や
図15に例示するシート材1B″から組み立てられる。シート材1B′,1B″には、第一補助壁シート片71B′,71B″のY方向端縁からX方向内側かつY方向外側に延出する補助フラップシート片9B′,9B″が設けられる。
【0066】
ここでは、補助フラップシート片9B′,9B″において、Y方向内側の外形が上傾斜罫線R
UBを仮想的にY方向外側に延長した線上に配置され、これと平行にY方向外側の外形が設けられる。いわば魚のヒレのように、補助フラップシート片9B′,9B″が補助壁シート片7B′,7B″から延出している。
図14に例示する補助フラップシート片9B′には、X方向外側かつY方向内側の端部から放射状に延びる罫線が設けられている。さらに、補助フラップシート片9B′のY方向内側には、上傾斜罫線R
UBと平行な下傾斜罫線R
DBが底壁シート片2B′の角部から延設されている。
なお、
図13〜
図15には、仮止め機構の省略された包装箱1Bおよびシート材1B′,1B″を例示する。
【0067】
補助フラップシート片9B′,9B″は、封緘された中間状態の包装箱において、第一補助壁部71Bの上端縁から左右方向外側かつ上方に延出する補助フラップ部9Bを構成する。
この補助フラップ部9Bによって、蓋フラップ部90では覆い切れない前後の隙間を覆ことができる。よって、包装箱1Bの被包性を向上させることができる。
【0068】
なお、シート材1B′に下傾斜罫線R
DBが設けられていれば、下傾斜罫線R
DBを谷折りすることでシート材1B′をシート状に折り重ねることができ、保管スペースを低減させることができる。
また、補助フラップシート片9B′に放射状の罫線が設けられていれば、この補助フラップシート片9B′が所望の箇所で折り曲げられやすくなり、包装箱1Bの被包性向上に資する。
【0069】
〈その他〉
そのほか、包装箱の載置方向は、立壁部が前後に配置される姿勢に限定されず、立壁部が左右や上下に配置されてもよい。立壁部が左右に配置される場合には、前後を左右に読み替えるとともに左右を前後または上下に読み替え、左右を上下に読み替えたときには上下を前後に読み替えればよい。立壁部が上下に配置される場合には、前後を上下に読み替えるとともに上下を前後または左右と読み替え、上下を左右と読み替えたときには左右を前後に読み替えればよい。
あるいは、上述した手順A1は、少なくともシート材のY方向外側を折り畳めばよく、シート片の貼り付けを省略してもよい。この場合には、組み立て工程が簡素化され、包装箱の製造コストを低減させることができる。