特許第6988730号(P6988730)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ車体株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6988730-ステッチ加飾部品及びその製造方法 図000002
  • 特許6988730-ステッチ加飾部品及びその製造方法 図000003
  • 特許6988730-ステッチ加飾部品及びその製造方法 図000004
  • 特許6988730-ステッチ加飾部品及びその製造方法 図000005
  • 特許6988730-ステッチ加飾部品及びその製造方法 図000006
  • 特許6988730-ステッチ加飾部品及びその製造方法 図000007
  • 特許6988730-ステッチ加飾部品及びその製造方法 図000008
  • 特許6988730-ステッチ加飾部品及びその製造方法 図000009
  • 特許6988730-ステッチ加飾部品及びその製造方法 図000010
  • 特許6988730-ステッチ加飾部品及びその製造方法 図000011
  • 特許6988730-ステッチ加飾部品及びその製造方法 図000012
  • 特許6988730-ステッチ加飾部品及びその製造方法 図000013
  • 特許6988730-ステッチ加飾部品及びその製造方法 図000014
  • 特許6988730-ステッチ加飾部品及びその製造方法 図000015
  • 特許6988730-ステッチ加飾部品及びその製造方法 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6988730
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】ステッチ加飾部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20211220BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   B60R13/02 B
   B60K37/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-144900(P2018-144900)
(22)【出願日】2018年8月1日
(65)【公開番号】特開2019-64576(P2019-64576A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年10月15日
(31)【優先権主張番号】特願2017-194496(P2017-194496)
(32)【優先日】2017年10月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】村主 隆博
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−064976(JP,A)
【文献】 特開2015−093601(JP,A)
【文献】 特開2006−273312(JP,A)
【文献】 特開2016−182780(JP,A)
【文献】 特開2006−282052(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0068425(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
B60K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材の表面に接着された表皮材とを備え、前記表皮材の表面側から挿入した糸によって前記表皮材の表面側に形成したステッチ模様を有するステッチ加飾部品であって、
前記糸は、前記ステッチ模様の縫い目の位置で前記基材と前記表皮材との間に挿入された糸係止部材によって係止されていること
前記糸係止部材は、前記基材に沿って延びる抜け止め部と、前記抜け止め部の反基材側に形成され前記糸を係止する糸係り部とを有すること、
前記抜け止め部は、棒状体でその長手方向の大きさが、前記糸係り部の同方向の外形寸法より大きく形成され、前記糸係り部に係止された前記糸に前記表皮材の表面側へ引張力が作用しても、前記抜け止め部を覆う前記表皮材が抵抗して、前記抜け止め部が前記表皮材から抜け出すのを阻止することを特徴とするステッチ加飾部品。
【請求項2】
請求項1に記載されたステッチ加飾部品において、
前記基材の表面には、前記ステッチ模様に沿って溝状空隙部が形成され、前記糸係止部材は、前記溝状空隙部内に挿入されていることを特徴とするステッチ加飾部品。
【請求項3】
請求項2に記載されたステッチ加飾部品において、
前記溝状空隙部には、ゴム系部材が嵌装され、前記糸係止部材は、前記ゴム系部材内に挿入されていることを特徴とするステッチ加飾部品。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載されたステッチ加飾部品において、
前記抜け止め部は所定の長さを有する円柱体からなり、前記糸係り部は前記糸を通す円環体又はC字体からなり、前記円柱体の軸心と前記円環体又はC字体の軸心とが直交し、前記円環体又はC字体の軸方向の厚さが前記円柱体の外径より小さいことを特徴とするステッチ加飾部品。
【請求項5】
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載されたステッチ加飾部品の製造方法において、
前記糸係止部材を保持して前記基材と前記表皮材との間に挿入する挿入針と、前記挿入針から前記糸係止部材を押し出す押出しピンと、前記挿入針及び前記押出しピンを進退させる駆動機構とを有する針駆動装置を備え、
前記針駆動装置は、前記糸を係止した前記糸係止部材を保持した状態の前記挿入針の先端部を、前記ステッチ模様の縫い目の位置で前記表皮材の表面側から前記基材と前記表皮材との間に挿入した後又は挿入すると同時に、前記押出しピンを前進させて前記挿入針の先端部から前記糸係止部材を前記表皮材内に押し出して、前記糸を係止した状態の前記糸係止部材を前記基材と前記表皮材との間に挿入させることを特徴とするステッチ加飾部品の製造方法。
【請求項6】
請求項に記載されたステッチ加飾部品の製造方法において、
複数の前記糸係止部材が、直線状に形成された案内棒に所定のピッチで連結されている係止部材ユニットを予め製作し、前記係止部材ユニットを前記針駆動装置に装着させること、
前記針駆動装置は、前記案内棒を所定のピッチずつ軸方向へ移動させながら、前記案内棒に連結された前記糸係止部材を切り離し、切り離された前記糸係止部材を前記挿入針に保持させて前記表皮材内に押し出し、前記表皮材と前記基材との間に挿入させることを特徴とするステッチ加飾部品の製造方法。
【請求項7】
請求項又は請求項に記載されたステッチ加飾部品の製造方法において、
前記挿入針の前記表皮材に対する傾斜角は、30度〜70度の範囲内であることを特とするステッチ加飾部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材表面に接着された表皮材の表面側から挿通する糸のみによってステッチ模様が縫製されたステッチ加飾部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の内装部品においては、硬質の合成樹脂からなる基材の表面を柔らかい表皮材で覆い、その表皮材の表面にシボ模様とステッチ模様とを施すことによって、デザイン上の見栄えを向上し、高級感やソフト感を醸す工夫がなされている。このステッチ模様を糸の縫製によって形成する方法として、例えば、下糸を使用せず、上糸だけでステッチ模様を形成したステッチ加工部品の製造方法が、特許文献1に開示されている。
【0003】
すなわち、特許文献1には、図15に示すように、表皮材102の上方に配置され針先に糸孔101aを有する縫い針101を上下方向へ作動させて糸103を基材104の裏面側に供給する糸供給装置105と、基材104の裏面に当接し当該基材104を所定の姿勢で保持するとともに、糸103のループ部分103aが収容可能に配置された糸逃し部106aを有する受け治具106とを備え、縫い針101を基材104及びその裏面に重ね合わせたゴム系部材107に挿通した所定位置から表皮材102の表面側(矢印Hの方向)に引き戻す時に、ゴム系部材107に形成された糸挿通孔107aが縮径して、糸のループ部分103aの根元部を拘束することを特徴とするステッチ加工部品の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−71382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたステッチ加工部品の製造方法では、以下のような問題があった。
すなわち、基材104の裏面側に補強リブが配置されている箇所では、縫い針101や糸103が補強リブと干渉して、基材104の裏面側に安定した糸のループ部分103aを形成できないので、そのような場所に見栄えの良いステッチ模様を形成することが困難となる問題があった。また、基材104が直角又は鋭角状に屈曲した角部では、基材104の裏面側にスペースが少なく、隣接する縫い目間で、先に形成した糸のループ部分103aに後に挿通する縫い針101が干渉することが生じるので、そのような場所に見栄えの良いステッチ模様を形成することが困難となる問題があった。いずれの場合も、基材104の裏面側における構造的要因によってステッチ模様の形成が制限されるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、基材の裏面側における構造的要因に影響されず、見栄えの良いステッチ模様を形成することが容易なステッチ加飾部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るステッチ加飾部品及びその製造方法は、次のような構成を有している。
(1)基材と、前記基材の表面に接着された表皮材とを備え、前記表皮材の表面側から挿入した糸によって前記表皮材の表面側に形成したステッチ模様を有するステッチ加飾部品であって、
前記糸は、前記ステッチ模様の縫い目の位置で前記基材と前記表皮材との間に挿入された糸係止部材によって係止されていることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、糸は、ステッチ模様の縫い目の位置で基材と表皮材との間に挿入された糸係止部材によって係止されているので、基材の裏面側における構造的要因に影響されずに、表皮材の表面側にステッチ模様を形成することができる。すなわち、ステッチ模様の縫い目の位置で糸を係止する糸係止部材は、基材と表皮材との間に挿入されているので、基材の裏面側まで糸を挿通させる必要がなく、基材の裏面側における構造的要因には影響されない。例えば、基材の裏面側に補強リブが形成されている場合において、補強リブの上方又は補強リブに隣接した位置にも、ステッチ模様を容易に形成することができる。また、基材が直角又は鋭角状に屈曲して形成されている場合において、その基材が屈曲した角部にも、ステッチ模様を容易に形成できる。
【0009】
よって、本発明によれば、基材の裏面側における構造的要因に影響されず、見栄えの良いステッチ模様を形成することが容易なステッチ加飾部品を提供することができる。
【0010】
(2)(1)に記載されたステッチ加飾部品において、
前記基材の表面には、前記ステッチ模様に沿って溝状空隙部が形成され、前記糸係止部材は、前記溝状空隙部内に挿入されていることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、基材の表面には、ステッチ模様に沿って溝状空隙部が形成され、糸係止部材は、溝状空隙部内に挿入されているので、表皮材の発泡層が薄い場合又は発泡層の剛性が高い場合でも、基材と表皮材との間に糸係止部材を無理なく挿入することができる。そのため、表皮材の発泡層が偏平状に圧縮されている場合でも、糸係止部材を変形させることなく基材の溝状空隙部内に埋め込んで、糸係止部材の表皮材側への突出量を減らすことができる。その結果、基材と表皮材との間に挿入した糸係止部材によって表皮材の表皮が変形(凹凸)するのを抑制し、表皮材の表面側に見栄えの良いステッチ模様を簡単に形成できる。なお、溝状空隙部は、ステッチ模様に沿って連続状に形成しても、ステッチ模様の縫い目の位置毎に間欠的に形成しても良い。
【0012】
(3)(2)に記載されたステッチ加飾部品において、
前記溝状空隙部には、ゴム系部材が嵌装され、前記糸係止部材は、前記ゴム系部材内に挿入されていることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、溝状空隙部には、ゴム系部材が嵌装され、糸係止部材は、ゴム系部材内に挿入されているので、表皮材の発泡層が柔らかく、糸係止部材の保持力が少ない場合でも、ゴム系部材の弾性拘束力によって糸係止部材の保持力を高めることができる。そのため、基材と表皮材との間に挿入した糸係止部材の抜けを抑制し、表皮材の表面側に見栄えの良いステッチ模様を簡単に形成できる。
【0014】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載されたステッチ加飾部品において、
前記糸係止部材は、前記基材に沿って延びる抜け止め部と、前記抜け止め部の反基材側に形成され前記糸を係止する糸係り部とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明においては、糸係止部材は、基材に沿って延びる抜け止め部と、抜け止め部の反基材側に形成され糸を係止する糸係り部とを有するので、糸係り部に係止された糸に表皮材の表面側へ引張力が作用しても、抜け止め部を覆う表皮材が抵抗して、基材に沿って延びる抜け止め部が表皮材から抜け出すのを阻止することができる。そのため、糸を係止した糸係止部材が表皮材から外へ抜け出ることなく、ステッチ模様を形成する糸の抜け・ほつれを防止して、見栄えの良いステッチ模様を形成することができる。
【0016】
(5)(4)に記載されたステッチ加飾部品において、
前記抜け止め部は所定の長さを有する円柱体からなり、前記糸係り部は前記糸を通す円環体又はC字体からなり、前記円柱体の軸心と前記円環体又はC字体の軸心とが直交し、前記円環体又はC字体の軸方向の厚さが前記円柱体の外径より小さいことを特徴とする。
【0017】
本発明においては、抜け止め部は所定の長さを有する円柱体からなり、糸係り部は糸を通す円環体又はC字体からなり、円柱体の軸心と円環体又はC字体の軸心とが直交し、円環体又はC字体の軸方向の厚さが円柱体の外径より小さいので、糸係止部材の体積を小型化して基材と表皮材との間に容易に挿入できる。そのため、基材と表皮材との間に挿入された糸係止部材による表皮材の圧縮量を最小限に抑えて、見栄えの良いステッチ模様を形成することができる。
【0018】
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載されたステッチ加飾部品の製造方法において、
前記糸係止部材を保持して前記基材と前記表皮材との間に挿入する挿入針と、前記挿入針から前記糸係止部材を押し出す押出しピンと、前記挿入針及び前記押出しピンを進退させる駆動機構とを有する針駆動装置を備え、
前記針駆動装置は、前記糸を係止した前記糸係止部材を保持した状態の前記挿入針の先端部を、前記ステッチ模様の縫い目の位置で前記表皮材の表面側から前記基材と前記表皮材との間に挿入した後又は挿入すると同時に、前記押出しピンを前進させて前記挿入針の先端部から前記糸係止部材を前記表皮材内に押し出して、前記糸を係止した状態の前記糸係止部材を前記基材と前記表皮材との間に挿入させることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、糸係止部材を保持して基材と表皮材との間に挿入する挿入針と、挿入針から糸係止部材を押し出す押出しピンと、挿入針及び押出しピンを進退させる駆動機構とを有する針駆動装置を備え、針駆動装置は、糸を係止した糸係止部材を保持した状態の挿入針の先端部を、ステッチ模様の縫い目の位置で表皮材の表面側から基材と表皮材との間に挿入した後又は挿入すると同時に、押出しピンを前進させて挿入針の先端部から糸係止部材を表皮材内に押し出して、糸を係止した状態の糸係止部材を基材と表皮材との間に挿入させるので、ステッチ模様の縫い目の位置に、挿入針を差し込んで、押出しピンを前進させるだけで、糸を係止した状態の糸係止部材を表皮材と基材との間に簡単に挿入し固定させることができ、表皮材の表面側にステッチ模様を容易に形成することができる。
【0020】
よって、本発明によれば、基材の裏面側における構造的要因に影響されず、見栄えの良いステッチ模様を形成することが容易なステッチ加飾部品の製造方法を提供することができる。
【0021】
(7)(6)に記載されたステッチ加飾部品の製造方法において、
複数の前記糸係止部材が、直線状に形成された案内棒に所定のピッチで連結されている係止部材ユニットを予め製作し、前記係止部材ユニットを前記針駆動装置に装着させること、
前記針駆動装置は、前記案内棒を所定のピッチずつ軸方向へ移動させながら、前記案内棒に連結された前記糸係止部材を切り離し、切り離された前記糸係止部材を前記挿入針に保持させて前記表皮材内に押し出し、前記表皮材と前記基材との間に挿入させることを特徴とする。
【0022】
本発明においては、複数の糸係止部材が、直線状に形成された案内棒に所定のピッチで連結されている係止部材ユニットを予め製作し、係止部材ユニットを針駆動装置に装着させるので、複数の糸係止部材を1つ1つ針駆動装置に装着する手間が省ける。また、針駆動装置は、案内棒を所定のピッチずつ軸方向へ移動させながら、案内棒に連結された糸係止部材を切り離し、切り離された糸係止部材を挿入針に保持させて表皮材内に押し出し、表皮材と基材との間に挿入させるので、ステッチ模様の縫い目に沿って針駆動装置を移動させるだけで、案内棒から切り離した糸係止部材を表皮材と基材との間に連続的に挿入させることができる。そのため、より迅速に見栄えの良いステッチ模様を形成することができる。
【0023】
(8)(6)又は(7)に記載されたステッチ加飾部品の製造方法において、
前記挿入針の前記表皮材に対する傾斜角は、30度〜70度の範囲内であることを特徴とする。
【0024】
本発明においては、挿入針の表皮材に対する傾斜角は、30度〜70度の範囲内であるので、挿入針に保持された糸係止部材が表皮材内に挿入された状態で、押出しピンが前進して糸係止部材を挿入針から押し出すときに、糸係止部材を基材等に沿って滑らかに移動させることができる。そのため、糸係止部材が基材等から受ける抵抗力を緩和させて、基材と表皮材との間に糸係止部材を安定して挿入させることができる。その結果、見栄えの良いステッチ模様を安定的に形成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、基材の裏面側における構造的要因に影響されず、見栄えの良いステッチ模様を形成することが容易なステッチ加飾部品及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態に係るステッチ加飾部品を表す斜視図である。
図2図1に示すステッチ加飾部品の内、第1実施例のステッチ加飾部品におけるA−A断面図である。
図3図1に示すステッチ加飾部品の内、第2実施例のステッチ加飾部品におけるA−A断面図である。
図4図1に示すステッチ加飾部品の内、第3実施例のステッチ加飾部品におけるA−A断面図である。
図5図1に示すステッチ加飾部品の内、第4実施例のステッチ加飾部品におけるA−A断面図である。
図6図1に示すステッチ加飾部品の内、第5実施例のステッチ加飾部品におけるA−A断面図である。
図7図1に示すステッチ加飾部品の内、第6実施例のステッチ加飾部品におけるA−A断面図である。
図8図2図7に示す糸係止部材の詳細図であって、(a)はその正面図であり、(b)はその平面図である。
図9図2図7に示す糸係止部材における変形例の詳細図であって、(a)はその正面図であり、(b)はその平面図である。
図10図2図7に示す糸係止部材が連結棒に所定のピッチで連結されている係止部材ユニットと挿入針の斜視図である。
図11図10に示すB矢視図であって、糸係止部材ユニットの先頭の糸係止部材を切り離して挿入針が保持する状態を表す。
図12図11に示すC矢視図である。
図13図2に示すステッチ模様を形成する加工手順を表す加工断面図である。(a)は挿入針を縫い目の位置に挿入する前の状態を示し、(b)は押出しピンを前進させて挿入針の先端部から糸係止部材を表皮材内に押し出す状態を示し、(c)は縫い目の位置で、糸を係止した糸係止部材が基材と表皮材との間に挿入されている状態を示す。
図14図5に示すステッチ模様を形成する加工手順を表す加工断面図である。(a)は挿入針を縫い目の位置に挿入する前の状態を示し、(b)は押出しピンを前進させて挿入針の先端部から糸係止部材を表皮材内に押し出す状態を示し、(c)は縫い目の位置で、糸を係止した糸係止部材が基材と表皮材との間に挿入されている状態を示す。
図15】特許文献1に記載されたステッチ加工装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明に係る実施形態であるステッチ加飾部品及びその製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。はじめに、本ステッチ加飾部品の第1〜第6実施例における構造について詳細に説明し、その後、その製造方法について詳細に説明する。
【0028】
<本ステッチ加飾部品の第1〜第6実施例における構造>
まず、本実施形態に係るステッチ加飾部品の第1〜第6実施例における構造を、図1図9を用いて説明する。図1に、本実施形態に係るステッチ加飾部品を表す斜視図を表す。図2に、図1に示すステッチ加飾部品の内、第1実施例のステッチ加飾部品におけるA−A断面図を示す。図3に、図1に示すステッチ加飾部品の内、第2実施例のステッチ加飾部品におけるA−A断面図を示す。図4に、図1に示すステッチ加飾部品の内、第3実施例のステッチ加飾部品におけるA−A断面図を示す。図5に、図1に示すステッチ加飾部品の内、第4実施例のステッチ加飾部品におけるA−A断面図を示す。図6に、図1に示すステッチ加飾部品の内、第5実施例のステッチ加飾部品におけるA−A断面図を示す。図7に、図1に示すステッチ加飾部品の内、第6実施例のステッチ加飾部品におけるA−A断面図を示す。図8に、図2図7に示す糸係止部材の詳細図であって、(a)はその正面図を示し、(b)はその平面図を示す。図9に、図2図7に示す糸係止部材における変形例の詳細図であって、(a)はその正面図を示し、(b)はその平面図を示す。
【0029】
(第1実施例)
図1図2に示すように、本ステッチ加飾部品10は、基材1と、基材1の表面12に接着された表皮材2とを備え、表皮材2の表面側から挿入した糸31によって表皮材2の表面側に形成したステッチ模様3を有するステッチ加飾部品10である。また、ステッチ模様3を形成する糸31は、ステッチ模様3の縫い目32の位置で、基材1と表皮材2との間に挿入された糸係止部材4によって、係止されている。
【0030】
上記構成によって、基材1の裏面側における構造的要因に影響されずに、表皮材2の表面側にステッチ模様3を形成することができる。すなわち、ステッチ模様3の縫い目32の位置で糸31を係止する糸係止部材4は、基材1と表皮材2との間に挿入されているので、基材1の裏面側まで糸31を挿通させる必要がなく、基材1の裏面側における構造的要因には影響されない。例えば、基材1の裏面側に補強リブ11が形成されている場合において、補強リブ11の上方又は補強リブ11に隣接した位置にも、ステッチ模様3を容易に形成することができる。
【0031】
ここでは、本ステッチ加飾部品10は、例えば、車両の運転席及び助手席の前方に配置するインストルメントパネルに適用され、所要の形状に形成された硬質の合成樹脂からなる基材1と、基材1の表面12に接着された軟質の表皮材2とから構成されている。基材1は、例えば、射出成形されたポリプロピレン(PP)樹脂製である。
【0032】
また、表皮材2は、表面側の延性に優れた表皮21と基材側の発泡層22とで構成されている。表皮21には、高級感やソフト感を醸すため、革調のシボ模様が形成されている。表皮21は、例えば、0.5〜0.8mm程度の厚さを有するオレフィン系エラストマ(TPO)樹脂製である。発泡層22は、例えば、3〜4mm程度の厚さを有するポリプロピレンフォーム(PPF)樹脂製である。
【0033】
また、表皮材2の表面には、例えば、車両左右方向に延びるステッチ模様3が形成されている。ステッチ模様3の糸31は、例えば、外径が0.5〜0.8mm程度の合成繊維製である。また、糸係止部材4は、ステッチ模様3の縫い目32の位置で糸31を係止する部材であって、例えば、強度上優れたポリアミド系合成樹脂(例えば、ナイロン(登録商標)など)製、又はコスト上優れたポリプロピレン(PP)樹脂製等である。糸係止部材4は、基材1の表面12に当接し、表皮材2の発泡層22によって周囲が覆われている。
【0034】
また、図2図8に示すように、糸係止部材4は、基材1に沿って延びる抜け止め部41と、抜け止め部41の反基材側(基材1に沿って延びる面と反対側)に形成され糸31を係止する糸係り部42とを有する。抜け止め部41は、棒状体でその長手方向の大きさが、糸係り部42の同方向の外形寸法より大きく形成されている。また、糸係り部42は、係止した糸31から掛かる負荷が抜け止め部41の長手方向における両端部に略均等に作用するよう、抜け止め部41の長手方向の中間部に形成されている。なお、抜け止め部41の長手方向は、図2に示すように、ステッチ模様3の縫製方向Fと略同一方向に配置されている。
【0035】
なお、図8図9に示すように、糸係止部材4、4Bは各種形状に形成することができる。例えば、抜け止め部41は所定の長さlを有する円柱体からなり、糸係り部42は糸31を通す円環体42a又はC字体42bからなり、円柱体の軸心CL1と円環体42a又はC字体42bの軸心CL2とが直交し、円環体42aの軸方向の厚さt1又はC字体42bの軸方向の厚さt2が円柱体の外径t3より小さいように形成されている。
【0036】
また、円環体42aには、糸31を挿通する通孔421aが形成されている。また、C字体42bには、糸31を係止する鈎爪421bが形成されている。円環体42a又はC字体42bは、首部43を介して抜け止め部41と連結されている。首部43は、抜け止め部41の長手方向の中間部411に形成されている。なお、C字体42bは、係止する糸31が外れないように、鈎爪421bの開放部422bを首部43に隣接する位置に形成することが好ましい。また、鈎爪421bの開放部422bの隙間は、糸31の外径と同等又は僅かに小さいことが好ましい。
【0037】
(第2実施例)
図1図3に示すように、第2実施例のステッチ加飾部品10Bは、基材1Bと、基材1Bの表面12Bに接着された表皮材2Bとを備え、表皮材2Bの表面側から挿入した糸31によって表皮材2Bの表面側に形成したステッチ模様3を有するステッチ加飾部品10Bである。表皮材2Bは、表面側の延性に優れた表皮21Bと基材側の発泡層22Bとで構成されている。また、ステッチ模様3を形成する糸31は、ステッチ模様3の縫い目32の位置で、基材1Bと表皮材2Bとの間に挿入された糸係止部材4によって、係止されている。ここで、ステッチ模様3及び糸係止部材4の構成については、第1実施例と共通するので、同一の符号を付して、その詳細な説明は割愛する。
【0038】
第2実施例のステッチ加飾部品10Bは、以下の構成が、第1実施例と相違する。すなわち、本第2実施例のステッチ加飾部品10Bにおいては、基材1Bの表面12Bに、ステッチ模様3に沿って溝状空隙部121Bが形成され、糸係止部材4は、溝状空隙部121B内に挿入されている。また、溝状空隙部121Bは、略矩形状断面でステッチ模様3に沿って連続状に形成されている。溝状空隙部121Bの溝幅と溝深さは、少なくとも糸係止部材4の抜け止め部41が挿入されるように形成されている。ここでは、糸係止部材4の糸係り部42が表皮材2Bの発泡層22B内に突出しているが、糸係り部42も含めて、溝状空隙部121B内に挿入しても良い。
【0039】
上記構成によって、表皮材2Bの発泡層22Bが薄い場合又は発泡層22Bの剛性が高い場合でも、基材1Bと表皮材2B(21B、22B)との間に糸係止部材4を無理なく挿入することができる。例えば、基材1Bが直角又は鋭角状に屈曲した箇所等の近傍において、表皮材2Bの発泡層22Bが偏平状に圧縮されている場合でも、糸係止部材4を変形させることなく基材1Bの溝状空隙部121B内に埋め込んで、糸係止部材4の表皮材側への突出量dを減らすことができる。その結果、基材1Bと表皮材2Bとの間に挿入した糸係止部材4によって表皮材2Bの表皮21Bが変形(凹凸)するのを抑制し、表皮材2Bの表面側に見栄えの良いステッチ模様3を簡単に形成できる。
【0040】
(第3実施例)
図1図4に示すように、第3実施例のステッチ加飾部品10Cは、基材1Cと、基材1Cの表面12Cに接着された表皮材2Cとを備え、表皮材2Cの表面側から挿入した糸31によって表皮材2Cの表面側に形成したステッチ模様3を有するステッチ加飾部品10Cである。表皮材2Cは、表面側の延性に優れた表皮21Cと基材側の発泡層22Cとで構成されている。また、ステッチ模様3を形成する糸31は、ステッチ模様3の縫い目32の位置で、基材1Cと表皮材2Cとの間に挿入された糸係止部材4によって、係止されている。ここで、ステッチ模様3及び糸係止部材4の構成については、第1実施例と共通するので、同一の符号を付して、その詳細な説明は割愛する。
【0041】
第3実施例のステッチ加飾部品10Cは、以下の構成が、第1実施例と相違する。すなわち、本第3実施例のステッチ加飾部品10Cにおいては、基材1Cの表面12Cに、ステッチ模様3に沿って溝状空隙部121Cが形成され、また、溝状空隙部121Cには、ゴム系部材6Cが嵌装され、糸係止部材4は、ゴム系部材6C内に挿入されている。また、溝状空隙部121Cは、略矩形状断面でステッチ模様3に沿って連続状に形成され、溝状空隙部121C内に嵌装されたゴム系部材6Cも、略矩形状断面でステッチ模様3に沿って連続状に形成されている。
【0042】
また、溝状空隙部121Cに嵌装されたゴム系部材6Cの幅と高さは、少なくとも糸係止部材4の抜け止め部41が挿入されるように形成されている。ここでは、糸係止部材4の糸係り部42が表皮材2Cの発泡層22C内に突出しているが、糸係り部42も含めて、ゴム系部材6C内に挿入しても良い。また、ゴム系部材6Cは、表皮材2Cよりも糸係止部材4に対する保持力、拘束力が強い部材であれば良く、例えば、天然ゴム、合成ゴムなどの加硫ゴムや、熱可塑性エラストマ、熱硬化性エラストマ等が該当する。
【0043】
上記構成によって、表皮材2Cの発泡層22Cが柔らかく、糸係止部材4の保持力が少ない場合でも、ゴム系部材6Cの弾性拘束力によって糸係止部材4に対する保持力、拘束力を高めることができる。そのため、基材1Cと表皮材2Cとの間に挿入した糸係止部材4の抜けを抑制し、表皮材2Cの表面側に見栄えの良いステッチ模様3を簡単に形成できる。
【0044】
(第4実施例)
図1図5に示すように、第4実施例のステッチ加飾部品10Dは、基材1Dと、基材1Dの表面12Dに接着された表皮材2Dとを備え、表皮材2Dの表面側から挿入した糸31によって表皮材2Dの表面側に形成したステッチ模様3を有するステッチ加飾部品10Dである。表皮材2Dは、表面側の延性に優れた表皮21Dと基材側の発泡層22Dとで構成されている。また、ステッチ模様3を形成する糸31は、ステッチ模様3の縫い目32の位置で、基材1Dと表皮材2Dとの間に挿入された糸係止部材4によって、係止されている。ここで、ステッチ模様3及び糸係止部材4の構成については、第1実施例と共通するので、同一の符号を付して、その詳細な説明は割愛する。
【0045】
第4実施例のステッチ加飾部品10Dは、以下の構成が、第1実施例と相違する。すなわち、本第4実施例のステッチ加飾部品10Dにおいては、糸係止部材4の抜け止め部41の長手方向は、ステッチ模様3の縫製方向Fと直交する方向に配置されている。そのため、ステッチ模様3の縫製方向Fと略同一の方向で糸係り部42に糸31が挿通されている。
【0046】
上記構成によって、ステッチ模様3の縫い目間隔が狭い場合でも、抜け止め部41同士の干渉を回避できる。また、ステッチ模様3の縫い目32の位置で、糸31を糸係り部42に対してステッチ模様3の縫製方向Fと直交する方向に捩じることなく係止できるので、より一層見栄えの良いステッチ模様を形成することができる。
【0047】
(第5実施例)
図1図6に示すように、第5実施例のステッチ加飾部品10Eは、基材1Eと、基材1Eの表面12Eに接着された表皮材2Eとを備え、表皮材2Eの表面側から挿入した糸31によって表皮材2Eの表面側に形成したステッチ模様3を有するステッチ加飾部品10Eである。表皮材2Eは、表面側の延性に優れた表皮21Eと基材側の発泡層22Eとで構成されている。また、ステッチ模様3を形成する糸31は、ステッチ模様3の縫い目32の位置で、基材1Eと表皮材2Eとの間に挿入された糸係止部材4によって、係止されている。ここで、ステッチ模様3及び糸係止部材4の構成については、第1実施例と共通するので、同一の符号を付して、その詳細な説明は割愛する。
【0048】
第5実施例のステッチ加飾部品10Eは、以下の構成が、第1実施例と相違する。すなわち、本第5実施例のステッチ加飾部品10Eにおいては、基材1Eの表面12Eに、ステッチ模様3に沿って溝状空隙部121Eが形成され、糸係止部材4は、溝状空隙部121E内に挿入されている。また、溝状空隙部121Eは、略矩形状断面でステッチ模様3に沿って間欠的に形成されている。溝状空隙部121Eの溝幅と溝深さは、少なくとも糸係止部材4の抜け止め部41が挿入されるように形成されている。ここでは、糸係止部材4の糸係り部42が表皮材2Eの発泡層22E内に突出しているが、糸係り部42も含めて、溝状空隙部121E内に挿入しても良い。
【0049】
上記構成によって、表皮材2Eの発泡層22Eが薄い場合又は発泡層22Eの剛性が高い場合でも、基材1Eと表皮材2E(21E、22E)との間に糸係止部材4を無理なく挿入することができる。例えば、基材1Eが直角又は鋭角状に屈曲した箇所等の近傍において、表皮材2Eの発泡層22Eが偏平状に圧縮されている場合でも、糸係止部材4を変形させることなく基材1Eの溝状空隙部121E内に埋め込んで、糸係止部材4の表皮材側への突出量dを減らすことができる。その結果、基材1Eと表皮材2Eとの間に挿入した糸係止部材4によって表皮材2Eの表皮21Eが変形(凹凸)するのを抑制し、表皮材2Eの表面側に見栄えの良いステッチ模様3を簡単に形成できる。
【0050】
また、第5実施例のステッチ加飾部品10Eにおいては、糸係止部材4の抜け止め部41の長手方向は、ステッチ模様3の縫製方向Fと直交する方向に配置されている。そのため、ステッチ模様3の縫製方向Fと略同一の方向で糸係り部42に糸31が挿通されている。
【0051】
上記構成によって、ステッチ模様3の縫い目間隔が狭い場合でも、抜け止め部41同士の干渉を回避できる。また、ステッチ模様3の縫い目32の位置で、糸31を糸係り部42に対してステッチ模様3の縫製方向Fと直交する方向に捩じることなく係止できるので、より一層見栄えの良いステッチ模様3を形成することができる。
【0052】
(第6実施例)
図1図7に示すように、第6実施例のステッチ加飾部品10Fは、基材1Fと、基材1Fの表面12Fに接着された表皮材2Fとを備え、表皮材2Fの表面側から挿入した糸31によって表皮材2Fの表面側に形成したステッチ模様3を有するステッチ加飾部品10Fである。表皮材2Fは、表面側の延性に優れた表皮21Fと基材側の発泡層22Fとで構成されている。また、ステッチ模様3を形成する糸31は、ステッチ模様3の縫い目32の位置で、基材1Fと表皮材2Fとの間に挿入された糸係止部材4によって、係止されている。ここで、ステッチ模様3及び糸係止部材4の構成については、第1実施例と共通するので、同一の符号を付して、その詳細な説明は割愛する。
【0053】
第6実施例のステッチ加飾部品10Fは、以下の構成が、第1実施例と相違する。すなわち、本第6実施例のステッチ加飾部品10Fにおいては、基材1Fの表面12Fに、ステッチ模様3に沿って溝状空隙部121Fが形成され、また、溝状空隙部121Fには、ゴム系部材6Fが嵌装され、糸係止部材4は、ゴム系部材6F内に挿入されている。また、溝状空隙部121Fは、略矩形状断面でステッチ模様3に沿って連続状に形成され、溝状空隙部121F内に嵌装されたゴム系部材6Fも、略矩形状断面でステッチ模様3に沿って連続状に形成されている。
【0054】
また、溝状空隙部121Cに嵌装されたゴム系部材6Fの幅と高さは、少なくとも糸係止部材4の抜け止め部41が挿入されるように形成されている。ここでは、糸係止部材4の糸係り部42が表皮材2Fの発泡層22F内に突出しているが、糸係り部42も含めて、ゴム系部材6F内に挿入しても良い。また、ゴム系部材6Fは、表皮材2Fよりも糸係止部材4に対する保持力、拘束力が強い部材であれば良く、例えば、天然ゴム、合成ゴムなどの加硫ゴムや、熱可塑性エラストマ、熱硬化性エラストマ等が該当する。
【0055】
上記構成によって、表皮材2Fの発泡層22Fが柔らかく、糸係止部材4の保持力が少ない場合でも、ゴム系部材6Fの弾性拘束力によって糸係止部材4に対する保持力、拘束力を高めることができる。そのため、基材1Fと表皮材2Fとの間に挿入した糸係止部材4の抜けを抑制し、表皮材2Fの表面側に見栄えの良いステッチ模様3を簡単に形成できる。
【0056】
また、第6実施例のステッチ加飾部品10Fにおいては、糸係止部材4の抜け止め部41の長手方向は、ステッチ模様3の縫製方向Fと直交する方向に配置されている。そのため、ステッチ模様3の縫製方向Fと略同一の方向で糸係り部42に糸31が挿通されている。
【0057】
上記構成によって、ステッチ模様3の縫い目間隔が狭い場合でも、抜け止め部41同士の干渉を回避できる。また、ステッチ模様3の縫い目32の位置で、糸31を糸係り部42に対してステッチ模様3の縫製方向Fと直交する方向に捩じることなく係止できるので、より一層見栄えの良いステッチ模様3を形成することができる。
【0058】
<本ステッチ加飾部品の製造方法>
次に、本ステッチ加飾部品の製造方法を、図10図14を用いて説明する。ここでは、図2に示す第1実施例のステッチ加飾部品10の製造方法と、図5に示す第4実施例のステッチ加飾部品10Dの製造方法とを、例示的に説明する。図10に、図2図7に示す糸係止部材が連結棒に所定のピッチで連結されている係止部材ユニットと挿入針の斜視図を示す。図11に、図10に示すB矢視図であって、糸係止部材ユニットの先頭の糸係止部材を切り離して挿入針が保持する状態を表す。図12に、図11に示すC矢視図を表す。図13に、図2に示すステッチ模様を形成する加工手順を表す加工断面図を示し、(a)は挿入針を縫い目の位置に挿入する前の状態を示し、(b)は押出しピンを前進させて挿入針の先端部から糸係止部材を表皮材内に押し出す状態を示し、(c)は縫い目の位置で、糸を係止した糸係止部材が基材と表皮材との間に挿入されている状態を示す。図14に、図5に示すステッチ模様を形成する加工手順を表す加工断面図を示し、(a)は挿入針を縫い目の位置に挿入する前の状態を示し、(b)は押出しピンを前進させて挿入針の先端部から糸係止部材を表皮材内に押し出す状態を示し、(c)は縫い目の位置で、糸を係止した糸係止部材が基材と表皮材との間に挿入されている状態を示す。
【0059】
図10に示すように、まず、複数の糸係止部材4が、直線状に形成された案内棒45に所定のピッチで連結されている係止部材ユニット40を予め製作する。係止部材ユニット40では、各抜け止め部41が案内棒45に対して直交する方向へ向けて平行に配置され、抜け止め部41の中間部411でそれぞれ連結片44を介して案内棒45に等間隔で連結されている。連結片44は、抜け止め部41の中間部411に接続されている。連結片44の抜け止め部41に対する接続部44aは、切り離しが簡単に行えるように薄肉化されている。また、糸係り部42としての各円環体42aの通孔421aは、案内棒45の長手方向(軸方向)に沿って一直線状に配置されている。各円環体42aの通孔421aには、糸31が挿通されている。
【0060】
また、図10図14に示すように、糸係止部材4を保持して基材1と表皮材2との間に挿入する挿入針51と、挿入針51から糸係止部材4を押し出す押出しピン52と、挿入針51及び押出しピン52を針軸方向Pへ進退させる駆動機構53とを有する針駆動装置5を備えている。針駆動装置5には、係止部材ユニット40が案内棒45の軸方向Qへ移動可能に装着されている。なお、挿入針51及び押出しピン52の駆動機構53は、特に限定しないが、ラック&ピニオン機構でも、流体シリンダ機構でもよい。
【0061】
また、図10に示すように、挿入針51及び押出しピン52は、案内棒45から切り離される先頭の糸係止部材4の抜け止め部41と同一軸心上に、進退可能に配置されている。挿入針51は、先端部511が傾斜状にカットされた略円筒状の中空針である。押出しピン52は、挿入針51の中空部内に装着されている。挿入針51には、先端部511の基端側から針軸方向Pに沿ってスリット溝512が形成されている。挿入針51の内径は、円柱体に形成された抜け止め部41の外径と略同一径に形成されている。また、スリット溝512の溝幅は、糸係止部材4の首部43が挿通可能に形成されている。
【0062】
また、図10図12に示すように、挿入針51を針軸方向Pへ移動させると、連結片44の接続部44aが切り離されて、挿入針51の中空部内には、円柱体に形成された抜け止め部41が先端部511から挿入される。このとき、スリット溝512には、首部43が挿通される。この状態で、抜け止め部41と押出しピン52とが当接し、糸係止部材4が挿入針51に保持される。また、糸係止部材4が挿入針51に保持された状態では、円環体に形成された糸係り部42は、挿入針51の外周側へ突出している。
【0063】
また、図13図14に示すように、針駆動装置5は、糸31を係止した糸係止部材4を保持した状態の挿入針51の先端部511を、ステッチ模様3の縫い目32の位置で表皮材2の表面側から基材1と表皮材2との間に挿入した後又は挿入すると同時に、押出しピン52を前進させて挿入針51の先端部511から糸係止部材4を表皮材内に押し出して、糸31を係止した状態の糸係止部材4を基材1と表皮材2との間に挿入させる。表皮材2の発泡層22は、挿入された糸係止部材4によって圧縮されている。
【0064】
具体的には、抜け止め部41の長手方向が、ステッチ模様3の縫製方向Fと略同一方向となるように、糸係止部材4を基材1と表皮材2との間に挿入させる場合(図2に示す第1実施例のステッチ加飾部品10を参照)には、図13(a)に示すように、挿入針51の先端部511が縫い目の位置に近接し、挿入針51の基端側が縫製方向Fに対して斜め上方へ向くように、挿入針51を傾斜させる。この挿入針51の表皮材2(21、22)に対する傾斜角θは、30度〜70度の範囲内が好ましい。ここで、傾斜角θが30度より小さいと、縫い目32の孔が楕円状となりステッチ模様3の見栄え品質が低下する恐れがある。一方、傾斜角θが70度より大きいと、抜け止め部41の屈曲が生じる恐れがあり、傾斜角θは、30度〜70度の範囲内が好ましい。
【0065】
次に、図13(b)に示すように、挿入針51の先端部511を表皮材内に挿入させた状態で、押出しピン52を前進させる。抜け止め部41は、押出しピン52に押されて、挿入針51の先端部511から離脱する。挿入針51の傾斜角θは、30度〜70度の範囲内であるので、抜け止め部41は基材1の表面を滑りながら前進し、図13(c)に示すように、糸係り部42を上方に向けたまま、糸係止部材4が基材1と表皮材2との間に挿入される。
【0066】
また、抜け止め部41の長手方向が、ステッチ模様3の縫製方向Fと略直交する方向Hとなるように、糸係止部材4を基材1Dと表皮材2D(21D、22D)との間に挿入させる場合(図5に示す第4実施例のステッチ加飾部品10Dを参照)には、図14(a)に示すように、挿入針51の先端部511が縫い目の位置に近接し、挿入針51の基端側が縫製方向Fと略直交する方向Hに対して斜め上方へ向くように、挿入針51を傾斜させる。この挿入針51の表皮材2に対する傾斜角θは、30度〜70度の範囲内が好ましい。
【0067】
次に、図14(b)に示すように、挿入針51の先端部511を表皮材内に挿入させた状態で、押出しピン52を前進させる。抜け止め部41は、押出しピン52に押されて、挿入針51の先端部511から離脱する。挿入針51の傾斜角θは、30度〜70度の範囲内であるので、抜け止め部41は基材1の表面を滑りながら前進し、図14(c)に示すように、糸係り部42を上方に向けたまま、糸係止部材4が基材1Dと表皮材2Dとの間に挿入される。この場合、ステッチ模様3の縫い目間隔が狭い場合でも、抜け止め部41同士の干渉を回避できる。また、ステッチ模様3の縫い目32の位置で、糸31を糸係り部42に対してステッチ模様3の縫製方向Fと直交する方向に捩じることなく係止できるので、より一層見栄えの良いステッチ模様3を形成することができる。
【0068】
なお、図13では、図2に示す第1実施例のステッチ加飾部品10を形成する加工手順を示したが、抜け止め部41の長手方向が、ステッチ模様3の縫製方向Fと略同一方向となるように、糸係止部材4を基材1と表皮材2との間に挿入させる場合である、図3に示す第2実施例のステッチ加飾部品10B、及び図4に示す第3実施例のステッチ加飾部品10Cにも適用できることは言うまでもない。また、図14では、図5に示す第4実施例のステッチ加飾部品10Dを形成する加工手順を示したが、抜け止め部41の長手方向が、ステッチ模様3の縫製方向Fと略直交する方向Hとなるように、糸係止部材4を基材1と表皮材2との間に挿入させる場合である、図6に示す第5実施例のステッチ加飾部品10E、及び図7に示す第6実施例のステッチ加飾部品10Fにも適用できることは言うまでもない。
【0069】
また、図10図12に示すように、針駆動装置5は、案内棒45を所定のピッチずつ軸方向Qへ移動させながら、案内棒45に連結された次の糸係止部材4を切り離し、切り離された糸係止部材4を挿入針51に保持させて表皮材内に挿入し、基材1と表皮材2との間に挿入させることによって、ステッチ模様3の糸31を連続的に縫製することができる。また、針駆動装置5を図示しないロボット装置に装着させて、本ステッチ加飾部品10(10B、10C、10E、10F)のステッチ模様3を自動的に縫製させることができる。
【0070】
<作用効果>
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係るステッチ加飾部品10、10B、10C、10D、10E、10Fによれば、糸31は、ステッチ模様3の縫い目32の位置で基材1、1B、1C、1D,1E、1Fと表皮材2との間に挿入された糸係止部材4、4Bによって係止されているので、基材1、1B、1C、1D、1E、1Fの裏面側における構造的要因に影響されずに、表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fの表面側にステッチ模様3を形成することができる。すなわち、ステッチ模様3の縫い目32の位置で糸31を係止する糸係止部材4、4Bは、基材1、1B、1C、1D、1E、1Fと表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fとの間に挿入されているので、基材1、1B、1C、1D、1E、1Fの裏面側まで糸31を挿通させる必要がなく、基材1、1B、1C、1D、1E、1Fの裏面側における構造的要因には影響されない。例えば、基材1、1B、1C、1D、1E、1Fの裏面側に補強リブ11、11B、11C、11D、11E、11Fが形成されている場合において、補強リブ11、11B、11C、11D、11E、11Fの上方又は補強リブ11、11B、11C、11D、11E、11Fに隣接した位置にも、ステッチ模様3を容易に形成することができる。また、基材1、1B、1C、1D、1E、1Fが直角又は鋭角状に屈曲して形成されている場合において、その基材1、1B、1C、1D、1E、1Fが屈曲した角部にも、ステッチ模様3を容易に形成できる。
【0071】
よって、本実施形態によれば、基材1、1B、1C、1D、1E、1Fの裏面側における構造的要因に影響されず、見栄えの良いステッチ模様3を形成することが容易なステッチ加飾部品10、10B、10C、10D、10E、10Fを提供することができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、基材1B、1Eの表面12B、12Eには、ステッチ模様3に沿って溝状空隙部121B、121Eが形成され、糸係止部材4、4Bは、溝状空隙部121B、121E内に挿入されているので、表皮材2B、2Eの発泡層22B、22Eが薄い場合又は発泡層22B、22Eの剛性が高い場合でも、基材1B、1Eと表皮材2B、2Eとの間に糸係止部材4、4Bを無理なく挿入することができる。そのため、例えば、基材1B、1Eが直角又は鋭角状に屈曲した箇所等の近傍において、表皮材2B、2Eの発泡層22B、22Eが偏平状に圧縮されている場合でも、糸係止部材4を変形させることなく基材1B、1Eの溝状空隙部121B、121E内に埋め込んで、糸係止部材4、4Bの表皮材側への突出量dを減らすことができる。その結果、基材1B、1Eと表皮材2B、2Eとの間に挿入した糸係止部材4によって表皮材2B、2Eの表皮21B、21Eが変形(凹凸)するのを抑制し、表皮材2B、2Eの表面側に見栄えの良いステッチ模様3を簡単に形成できる。
【0073】
また、本実施形態によれば、溝状空隙部121C、121Fには、ゴム系部材6C、6Fが嵌装され、糸係止部材4は、ゴム系部材6C、6F内に挿入されているので、表皮材2C、2Fの発泡層22C、22Fが柔らかく、糸係止部材4、4Bの保持力が少ない場合でも、ゴム系部材6C、6Fの弾性拘束力によって糸係止部材4、4Bの保持力を高めることができる。そのため、基材1C、1Fと表皮材2C、2Fとの間に挿入した糸係止部材4、4Bの抜けを抑制し、表皮材2C、2Fの表面側に見栄えの良いステッチ模様3を簡単に形成できる。
【0074】
また、本実施形態によれば、糸係止部材4、4Bは、基材1、1B、1C、1D、1E、1Fに沿って延びる抜け止め部41と、抜け止め部41の反基材側に形成され糸31を係止する糸係り部42とを有するので、糸係り部42に係止された糸31に表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fの表面側へ引張力が作用しても、抜け止め部41を覆う表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fが抵抗して、基材1、1B、1C、1D、1E、1Fに沿って延びる抜け止め部41が表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fから抜け出すのを阻止することができる。そのため、糸31を係止した糸係止部材4、4Bが表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fから外へ抜け出ることなく、ステッチ模様3を形成する糸31の抜け・ほつれを防止して、見栄えの良いステッチ模様3を形成することができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、抜け止め部41は所定の長さを有する円柱体からなり、糸係り部42は糸を通す円環体又はC字体からなり、円柱体の軸心CL1と円環体又はC字体の軸心CL2とが直交し、円環体又はC字体の軸方向の厚さt1、t2が円柱体の外径t3より小さいので、糸係止部材4、4Bの体積を小型化して基材1、1B、1C、1D、1E、1Fと表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fとの間に容易に挿入できる。そのため、基材1、1B、1C、1D、1E、1Fと表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fとの間に挿入された糸係止部材4、4Bによる表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fの圧縮量を最小限に抑えて、見栄えの良いステッチ模様3を形成することができる。
【0076】
また、他の実施形態に係るステッチ加飾部品10、10B、10C、10D、10E、10Fの製造方法によれば、糸係止部材4、4Bを保持して基材1、1B、1C、1D、1E、1Fと表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fとの間に挿入する挿入針51と、挿入針51から糸係止部材4、4Bを押し出す押出しピン52と、挿入針51及び押出しピン52を進退させる駆動機構53とを有する針駆動装置5を備え、針駆動装置5は、糸31を係止した糸係止部材4、4Bを保持した状態の挿入針51の先端部511を、ステッチ模様3の縫い目32の位置で表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fの表面側から基材1、1B、1C、1D、1E、1Fと表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fとの間に挿入した後又は挿入すると同時に、押出しピン52を前進させて挿入針51の先端部511から糸係止部材4、4Bを表皮材2、2B、2C、2D、2E、2F内に押し出して、糸31を係止した状態の糸係止部材4、4Bを基材1、1B、1C、1D、1E、1Fと表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fとの間に挿入させるので、ステッチ模様3の縫い目32の位置に、挿入針51を差し込んで、押出しピン52を前進させるだけで、糸31を係止した状態の糸係止部材4、4Bを表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fと基材1、1B、1C、1D、1E、1Fとの間に簡単に挿入し固定させることができ、表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fの表面側にステッチ模様3を容易に形成することができる。
【0077】
よって、本他の実施形態によれば、基材1、1B、1C、1D、1E、1Fの裏面側における構造的要因に影響されず、見栄えの良いステッチ模様3を形成することが容易なステッチ加飾部品10、10B、10C、10D、10E、10Fの製造方法を提供することができる。
【0078】
また、本他の実施形態によれば、複数の糸係止部材4が、直線状に形成された案内棒45に所定のピッチで連結されている係止部材ユニット40を予め製作し、係止部材ユニット40を針駆動装置5に装着させるので、複数の糸係止部材4、4Bを1つ1つ針駆動装置5に装着する手間が省ける。また、針駆動装置5は、案内棒45を所定のピッチずつ軸方向へ移動させながら、案内棒45に連結された糸係止部材4、4Bを切り離し、切り離された糸係止部材4、4Bを挿入針51に保持させて表皮材2、2B、2C、2D、2E、2F内に押し出し、表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fと基材1、1B、1C、1D、1E、1Fとの間に挿入させるので、ステッチ模様3の縫い目32に沿って針駆動装置5を移動させるだけで、案内棒45から切り離した糸係止部材4、4Bを表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fと基材1、1B、1C、1D、1E、1Fとの間に連続的に挿入させることができる。そのため、より迅速に見栄えの良いステッチ模様3を形成することができる。
【0079】
また、本他の実施形態によれば、挿入針51の表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fに対する傾斜角θは、30度〜70度の範囲内であるので、挿入針51に保持された糸係止部材4、4Bが表皮材2、2B、2C、2D、2E、2F内に挿入された状態で、押出しピン52が前進して糸係止部材4、4Bを挿入針51から押し出すときに、糸係止部材4、4Bを基材等に沿って滑らかに移動させることができる。そのため、糸係止部材4、4Bが基材等から受ける抵抗力を緩和させて、基材1、1B、1C、1D、1E、1Fと表皮材2、2B、2C、2D、2E、2Fとの間に糸係止部材4、4Bを安定して挿入させることができる。その結果、見栄えの良いステッチ模様3を安定的に形成することができる。
【0080】
<変形例>
上述した実施形態は、本発明の要旨を変更しない範囲で変更することができる。例えば、本実施形態によれば、抜け止め部41は所定の長さを有する円柱体からなり、糸係り部42は糸を通す円環体42a又はC字体42bからなり、円柱体の軸心CL1と円環体42a又はC字体42bの軸心CL2とが直交し、円環体42a又はC字体42bの軸方向の厚さt1,t2が円柱体の外径t3より小さいように形成されているが、必ずしも、これに限定する必要はない。
【0081】
例えば、抜け止め部41は所定の長さを有する角柱体からなり、糸係り部42は糸31を通す角環体からなり、角柱体の軸心と角環体の軸心とが直交し、角環体の軸方向の厚さが角柱体の一辺より小さいように形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、基材表面に接着された表皮材の表面側から挿通する糸のみによってステッチ模様が縫製されたステッチ加飾部品及びその製造方法として利用できる。
【符号の説明】
【0083】
1、1B、1C、1D、1E、1F 基材
2、2B、2C、2D、2E、2F 表皮材
3 ステッチ模様
4、4B 糸係止部材
5 針駆動装置
6C、6F ゴム系部材
10、10B、10C、10D、10E、10F ステッチ加飾部品
12、12B、12C、12D、12E、12F 表面
31 糸
32 縫い目
40 係止部材ユニット
41 抜け止め部
42 糸係り部
42a 円環体
42b C字体
45 案内棒
51 挿入針
52 押出しピン
53 駆動機構
121B、121C、121E、121F 溝状空隙部
511 先端部
θ 傾斜角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15