特許第6988830号(P6988830)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6988830
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】MnAl合金の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C25C 3/36 20060101AFI20211220BHJP
   C22C 1/02 20060101ALI20211220BHJP
   C22C 21/00 20060101ALI20211220BHJP
   C22C 22/00 20060101ALI20211220BHJP
   C22F 1/04 20060101ALI20211220BHJP
   C22F 1/16 20060101ALI20211220BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20211220BHJP
   C22F 1/02 20060101ALN20211220BHJP
【FI】
   C25C3/36
   C22C1/02 503K
   C22C1/02 503J
   C22C21/00 L
   C22C22/00
   C22F1/04 B
   C22F1/16 C
   !C22F1/00 691B
   !C22F1/00 691Z
   !C22F1/00 660C
   !C22F1/00 621
   !C22F1/02
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-560389(P2018-560389)
(86)(22)【出願日】2017年12月27日
(86)【国際出願番号】JP2017046986
(87)【国際公開番号】WO2018128153
(87)【国際公開日】20180712
【審査請求日】2020年12月4日
(31)【優先権主張番号】特願2017-365(P2017-365)
(32)【優先日】2017年1月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】入江 周一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 卓
(72)【発明者】
【氏名】三浦 泰直
【審査官】 坂口 岳志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−270223(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/093668(WO,A1)
【文献】 特開2009−197318(JP,A)
【文献】 国際公開第1997/015701(WO,A1)
【文献】 特開平05−255890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25C 1/00− 7/08
C22C 21/00
C22C 22/00
C22F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mn化合物であるMnClおよびAl化合物を含む溶融塩を電解することによってMnAl合金を析出させるMnAl合金の製造方法において、電解中に前記溶融塩に前記MnClを追加投入することにより、前記溶融塩中における前記MnClの濃度を0.2mass%以上、3mass%以下に維持しながら電解を行うことを特徴とするMnAl合金の製造方法。
【請求項2】
電解によって析出した前記MnAl合金に対して熱処理を施すことを特徴とする請求項に記載のMnAl合金の製造方法。
【請求項3】
前記熱処理の温度を400℃以上、600℃未満とすることによって、前記MnAl合金にメタ磁性を与えることを特徴とする請求項に記載のMnAl合金の製造方法。
【請求項4】
前記熱処理の温度を600℃以上、700℃以下とすることによって、前記MnAl合金の残留磁化を増加させることを特徴とする請求項に記載のMnAl合金の製造方法。
【請求項5】
前記熱処理の雰囲気を不活性ガス中または真空中とすることを特徴とする請求項乃至のいずれか一項に記載のMnAl合金の製造方法。
【請求項6】
前記溶融塩中における前記MnClの濃度1mass%当たり、且つ、電極面積1cm当たりの電気量を50mAh以上で電解を行うことにより、粉末状のMnAl合金を析出させることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のMnAl合金の製造方法。
【請求項7】
前記溶融塩は、アルカリ金属ハロゲン化物をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のMnAl合金の製造方法。
【請求項8】
前記溶融塩は、希土類ハロゲン化物又はアルカリ土類ハロゲン化物をさらに含むことを特徴とする請求項に記載のMnAl合金の製造方法。
【請求項9】
電解中における前記溶融塩の温度を150℃以上、700℃以下とし、電極面積1cm当たりの電気量を30mAh以上、120mAhとすることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のMnAl合金の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はMnAl合金の製造方法に関し、特に、溶融塩電解法を用いたMnAl合金の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MnAl系合金の製造方法としては、アーク溶解法や高周波誘導溶解法などの溶解法が知られており、溶解して得られた溶湯を鋳造法、アトマイズ法、ロール急冷法などを用いて冷却固化することによってMnAl系合金が得られる。例えば、特許文献1には、主成分としてL1型の正方晶系結晶構造を有するτ相を主相とするMnAl系強磁性材料が報告されている。また、特許文献2にはMn−Al−C系の磁性材料が提案され、溶解法で得られた合金がτ相を主相とするMnAl系強磁性材料になることが開示されている。
【0003】
溶解法を用いたMnAl系合金の製造法において、本来τ相の化学量論比はMn:Al=1:1であるが、後工程の熱処理によってε相(hcp)からτ相へできるだけ完全に変態させるために、前工程の急冷時にε相が多く含まれるようにする必要がある。このため、溶解時における合金組成はMn:Al=55:45にすることが重要とされ、結果的にMn過剰のτ相が生成してしまうという問題点があった。
【0004】
一方、Mn−Al−C系の磁性材料においては、炭素を添加することでε相を中間生成相として経由せず、溶解、急冷することで、熱処理を施さずに直接τ相を得ることができる。しかしながら、炭素を添加すると、MnAlCなる異相がわずかに生成されてしまうという問題点があった。
【0005】
MnAl系合金の製造方法としては、溶融塩電解法も知られている。非特許文献1には、Al化合物を主成分としMn化合物が添加された溶融塩を電解することによって、電極の表面にMnAl合金が析出することが開示されている。非特許文献2には、Al化合物を主成分とする溶融塩に添加するMn化合物の添加量を調整し、所定の条件で電解することで、強磁性を示すτ相を主相とするMnAl系磁性材料が析出することが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭34−30435号公報
【特許文献2】特公昭37−57224号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J. Uchida et al., Tetsu-to-hagane Vol. 77(1991) No.7 p.931.
【非特許文献2】G.R. Stafford et al., J. Alloy Compd. 200 (1993) 107-113.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の溶融塩電解法を用いたMnAl系合金の製造法では、Al化合物を主成分とする溶融塩に添加するMn化合物の添加量を調整することでMn含有率が55%よりも低いMnAl系合金が得られ、化学量論比に近いτ相単相のMnAl系磁性材料を得ることが可能である。しかしながら、電解が進むにつれて溶融塩中のMn化合物の濃度が徐々に低下するため、析出するMnAl合金の組成にばらつきが生じ、安定した製造条件を維持することができなかった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、溶融塩電解法を用いたMnAl系合金の製造方法において、析出するMnAl合金の組成のばらつきを低減し、高い磁気特性を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し目的を達成すべく本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、溶融塩中のMn化合物の濃度を安定させることにより、析出するMnAl合金の組成のばらつきが低減され、結果的に高い磁気特性が得られることを見いだした。本発明はこのような技術的知見に基づき成されたものであって、本発明によるMnAl合金の製造方法は、Mn化合物およびAl化合物を含む溶融塩を電解することによってMnAl合金を析出させるMnAl合金の製造方法において、電解中に溶解塩にMn化合物を追加投入することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、Mn化合物の追加投入によってMn化合物の濃度が維持されることから、析出するMnAl合金の組成のばらつきが低減され、安定した製造条件を維持することが可能となる。溶融塩中におけるMn化合物の濃度は、Mn化合物の追加投入によって0.2mass%以上に維持することが好ましい。これによれば、高い磁気特性を有するMnAl合金を安定的に製造することが可能となる。また、溶融塩は、アルカリ金属ハロゲン化物をさらに含んでもよく、希土類ハロゲン化物又はアルカリ土類ハロゲン化物をさらに含んでも構わない。電解中における溶融塩の温度は150℃以上、600℃以下とすることが好ましく、電極面積1cm当たりの電気量は30mAh以上、120mAhとすることが好ましい。ここで、電解中における溶融塩の温度に応じて、MnAl合金に様々な磁気特性を付与することができる。具体的には、電解中における溶融塩の温度を150℃以上、400℃未満とすることによってMnAl合金に強磁性を与えることができる。電解中における溶融塩の温度を400℃以上、600℃未満とすることによってMnAl合金にメタ磁性を与えることができる。電解中における溶融塩の温度を600℃以上、700℃以下とすることによって、強磁性を与えることができ、600℃未満で作製されたMnAl合金と比べて残留磁化を増加させることができる。
【0012】
本発明においては、電解によって析出したMnAl合金に対して熱処理を施しても構わない。析出したMnAl合金に対して熱処理を施せば、熱処理条件に応じて、MnAl合金に様々な磁気特性を付与することができる。具体的には、熱処理の温度を400℃以上、600℃未満とすることによってMnAl合金にメタ磁性を与えることができ、熱処理の温度を600℃以上、700℃以下とすることによって、熱処理前のMnAl合金と比べて残留磁化を増加させることができる。熱処理の雰囲気は、不活性ガス中または真空中とすることが好ましい。
【0013】
本発明においては、溶融塩中におけるMn化合物の濃度1mass%当たり、且つ、電極面積1cm当たりの電気量を50mAh以上で電解を行うことにより、粉末状のMnAl合金を析出させても構わない。これによれば、高い生産性を得ることができるとともに、粉状体のMnAl合金を圧縮成形することによって任意の製品形状を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
このように、本発明によれば、溶融塩電解法を用いたMnAl系合金の製造方法において、析出するMnAl合金の組成のばらつきを低減し、高い磁気特性を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、MnAl合金を製造するための電析装置の模式図である。
図2図2は、実施例の製造条件及び評価結果を示す表である。
図3図3は、実施例の製造条件及び評価結果を示す表である。
図4図4は、実施例の製造条件及び評価結果を示す表である。
図5図5は、実施例の製造条件及び評価結果を示す表である。
図6図6は、実施例の製造条件及び評価結果を示す表である。
図7図7は、実施例の製造条件及び評価結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下に記載の実施形態及び実施例の内容により限定されるものではない。また、以下に記載の実施形態及び実施例にて示された構成要素は適宜組み合わせても良いし、適宜選択してもよい。
【0017】
図1は、MnAl合金を製造するための電析装置の模式図である。
【0018】
図1に示す電析装置は、ステンレス製の密閉容器1の内部に配置されたアルミナ坩堝2を備えている。アルミナ坩堝2は溶融塩3を保持するものであり、密閉容器1の外部に配置された電気炉4によってアルミナ坩堝2内の溶融塩3が加熱される。アルミナ坩堝2内には、溶融塩3に浸漬する陰極5及び陽極6が設けられており、これら陰極5及び陽極6には、定電流電源装置7を介して電流が供給される。陰極5はCuからなる板状体であり、陽極6はAlからなる板状体である。アルミナ坩堝2内の溶融塩3は、攪拌機8によって攪拌することが可能である。また、密閉容器1の内部は、ガス経路9を介して供給されるNなどの不活性ガスで満たされる。
【0019】
溶融塩3は、少なくともMn化合物およびAl化合物を含む。Mn化合物としてはMnClを用いることができ、Al化合物としてはAlCl、AlF、AlBr又はAlNaを用いることができる。Al化合物はAlCl単独であっても構わないし、その一部をAlF、AlBr又はAlNaによって置換しても構わない。
【0020】
溶融塩3は、上述したMn化合物およびAl化合物の他に、別のハロゲン化物を添加しても構わない。別のハロゲン化物としては、NaCl、LiCl又はKClなどのアルカリ金属ハロゲン化物を選択することが好ましく、アルカリ金属ハロゲン化物にLaCl、DyCl、MgCl、CaClなどの希土類ハロゲン化物、アルカリ土類ハロゲン化物などを添加しても構わない。
【0021】
このようなMn化合物、Al化合物及び別のハロゲン化物をアルミナ坩堝2にチャージし、電気炉4によって加熱溶融させることによって、溶融塩3を得ることができる。また、溶融塩3の組成分布が均一となるよう、溶融直後は攪拌機8によって溶融塩3を十分に攪拌することが好ましい。
【0022】
溶融塩3の電解は、定電流電源装置7を介して陰極5と陽極6との間に電流を流すことによって行う。これにより、陰極5にMnAl合金を析出させることができる。電解中における溶融塩3の加熱温度は、溶融塩3の組成及び目的とするMnAl合金の特性にもよるが、150℃以上、600℃以下とすることが好ましい。電気量についても、溶融塩3の組成及び目的とするMnAl合金の特性にもよるが、電極面積1cm当たりの電気量を30mAh以上、120mAhとすることが好ましい。電解中においては、密閉容器1の内部をNなどの不活性ガスで満たすことが好ましい。
【0023】
また、陰極5と陽極6との間に流す電流は、溶融塩3中におけるMn化合物の濃度1mass%当たり、且つ、電極面積1cm当たりの電気量を50mAh以上とすることにより、陰極5に粉末状のMnAl合金を析出させることができる。これは、溶融塩3中におけるMn化合物の濃度が高いほど析出が促進されるとともに、単位電極面積当たりの電気量が多いほど析出が促進される結果、上記の数値範囲(50mAh以上)を満たすことによって、析出するMnAl合金が粉末状になりやすくなるからである。陰極5に析出するMnAl合金が粉末状であれば、電解を長時間行ってもMnAl合金の析出が停止することがないため、MnAl合金の生産性を高めることができる。また、得られた粉状体のMnAl合金を圧縮成形することによって、任意の製品形状を得ることも可能となる。
【0024】
溶融塩3中におけるMn化合物の初期濃度は、0.2mass%以上であることが好ましく、0.2mass%以上、3mass%以下であることがより好ましい。そして、本実施形態においては、電解中にMn化合物を追加投入することによって、溶融塩3中におけるMn化合物の濃度を維持している。追加投入するMn化合物は、粉末状あるいは粉末を成形したペレット状とし、これを溶融塩3に連続的又は定期的に追加すればよい。このように、溶融塩3の電解中にMn化合物を追加投入すれば、電解の進行に伴うMn化合物の濃度低下が抑制され、溶融塩3中におけるMn化合物の濃度を所定値以上に維持することができる。これにより、析出するMnAl合金の組成のばらつきを抑制することが可能となる。
【0025】
電解によって析出したMnAl合金に対しては、熱処理を施すことによってMnAl合金に所定の磁気特性を与えることができる。具体的には、熱処理の温度を400℃以上、600℃未満とし、熱処理時間を約0.5時間とすればMnAl合金にメタ磁性を与えることができ、熱処理の温度を600℃以上、700℃以下とし、熱処理時間を約0.5時間とすればMnAl合金の残留磁化を増加させることができる。熱処理の雰囲気は、不活性ガス中または真空中とすることが好ましい。熱処理温度が400℃以上、600℃未満である場合、より長時間の熱処理を行うことでシャープなメタ磁性を得ることができる。また、熱処理温度が600℃以上である場合、熱処理時間が所定の時間を超えると、非磁性となる。
【0026】
なお、電解中における溶融塩3の加熱温度が、400℃以上、700℃以下の場合、電解中に実効的に熱処理が施されるため、電析物に熱処理を施すことなく、電解中における加熱温度に応じて、MnAl合金に様々な磁気特性を付与することができる。具体的には、電解中における溶融塩3の加熱温度を400℃以上、600℃未満とすることによってMnAl合金にメタ磁性を与えることができ、電解中における溶融塩3の加熱温度を600℃以上、700℃以下とすることによって、熱処理前のMnAl合金と比べて残留磁化を増加させることができる。
【0027】
メタ磁性とは、磁場により常磁性(PM:Paramagnetic)もしくは反強磁性(AFM:Anti−Ferromagnetic)から強磁性(FM:Ferromagnetic)に一次相転移する性質を指す。磁場による一次相転移とは、磁場に関する磁化の変化が不連続になる点をもつことを指す。メタ磁性材料は、磁場により常磁性から強磁性に転移するPM−FM転移型メタ磁性材料と、磁場により反強磁性から強磁性に転移するAFM−FM転移型メタ磁性材料に分類される。PM−FM転移型メタ磁性材料は、キュリー温度の近傍でのみ一次相転移が生じるのに対し、AFM−FM転移型メタ磁性材料は、反強磁性状態が消失するネール温度以下であれば一次相転移が生じる。そして、本実施形態による方法で製造されたMnAl合金は、AFM−FM転移型メタ磁性材料であることから、幅広い温度でメタ磁性を発現する。
【0028】
以上説明したように、本実施形態によるMnAl合金の製造方法は、電解中にMn化合物を追加投入すすることによって溶融塩中におけるMn化合物の濃度を維持していることから、析出するMnAl合金の組成のばらつきを抑制することができる。また、析出したMnAl合金に対して熱処理を施せば、MnAl合金に所定の磁気特性を与えることが可能となる。さらに、溶融塩3中におけるMn化合物の濃度及び単位電極面積当たりの電気量を調整すれば、陰極5に析出するMnAl合金を粉状とすることが可能となる。
【0029】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【実施例】
【0030】
<比較例1>
まず、図1に示す構造を有する電析装置を用意した。陰極5は、溶融塩3への浸漬面積が5cm×8cmとなるよう切断した厚み3mmのCu板を用い、陽極6は、溶融塩3への浸漬面積が5cm×8cmとなるよう切断した厚み3mmのAl板を用いた。
【0031】
次に、Al化合物である無水AlClと、別のハロゲン化物であるNaClをそれぞれ50mol%ずつ秤量し、Mn化合物として予め脱水処理したMnClを0.1mass%秤量し、総重量が1200gとなるようアルミナ坩堝2に投入した。したがって、MnClの量は1.2gである。脱水処理は、MnCl水和物をNガスなどの不活性雰囲気中で約400℃、4時間以上加熱することにより行った。
【0032】
材料が投入されたアルミナ坩堝2を密閉容器1の内部に移動し、電気炉4によって材料を350℃に加熱することによって溶融塩3を得た。次に、攪拌機8の回転羽根を溶融塩3に沈降させ、400rpmの回転数で0.5時間撹拌した。その後、陰極5と陽極6の間に単位電極面積当たり60mA/cm(2.4A)の定電流を0.5時間通電し、電流および加熱を停止した。そして、溶融塩3が冷却固化する前に電極を離脱し、陰極5をアセトンで超音波洗浄した。陰極5の表面には、膜状の電析物が析出していた。膜状の電析物は、陰極5を構成するCuを濃硝酸で溶解除去することによって回収した。回収された電析物は、乳鉢で粉砕し粉末状である比較例1のサンプルを得た。
【0033】
比較例1の電解条件、電析物の形態、濃度ムラ及び磁気特性を図2に示す。図2に示すように、比較例1のサンプルは強磁性を示したが、その残留磁化はほぼ0emu/gであった。残留磁化の測定は、振動試料型磁力計(VSM、玉川製作所製)を用いて行った。また、濃度ムラは以下のようにして評価した。まず、得られた膜の断面もしくは粉末の成型体の断面をイオンミリングで削り、酸化等の影響を除いた後、EPMA(電子線マイクロアナライザー:Electron Probe Micro Analyzer)を用いてMn及びAlの元素マッピングを行った。具体的には、50μm角の領域で元素マッピング(256点×256点)を行い、領域内におけるMn:Al比率の最大値と最小値が、2.5at%未満の場合を〇、2.5at%以上5.0at%未満を△、5.0at%以上を×とした。図2に示すように、比較例1のサンプルにおいては、濃度ムラの評価は×であった。
【0034】
<比較例2〜15>
Mn化合物であるMnClの濃度を変えた他は、比較例1と同様にして比較例2〜5のサンプルを作製した。また、通電時間を1時間又は4時間とした他は、比較例1〜5と同様にして比較例6〜15のサンプルを作製した。図2に示すように、比較例2〜15においても電析物は膜状であった。また、比較例2〜15のサンプルにおいても、濃度ムラの評価はいずれも×であった。
【0035】
このように、比較例1〜15では強磁性の膜状電析物が得られた。電析物の残留磁化は、Mn化合物の初期濃度が高いほど増加する傾向が認められたが、得られる残留磁化は比較的小さかった。これは、電解の進行に伴って溶融塩中のMnが消費されるため、生成される電析物中のMn比率が低下するためであると考えられる。その結果、Mn比率の低い強磁性のτ相や、Mn比率の低い非磁性のγ2相又はγbrass相が生成されるため、残留磁化が低下したものと考えられる。一方、Mn化合物の初期濃度が3mass%と多すぎると、通電時間の短い比較例5や比較例10では、残留磁化がやや減少した。これは、Mn化合物の初期濃度が高すぎると、Mn化合物が溶融塩に対して飽和するため固形物として溶融塩中に分散してしまい、電流密度が例えば30mA/cm未満に低下することで電気化学的反応が阻害されるためであると考えられる。
【0036】
参考例1、実施例〜5>
電解中にMn化合物であるMnClを追加投入した他は、それぞれ比較例6〜10と同様にして参考例1及び実施例〜5のサンプルを作製した。
【0037】
MnClの追加投入は、下記の通りに行った。まず、MnCl水和物を予めNガスなどの不活性雰囲気中で約400℃、4時間以上脱水処理し、得られた無水MnClを不活性雰囲気中で乳鉢を用いて粉砕した。得られた粉末を5mm径の円柱状ペレットに成形して無水MnClのペレットを作製した。このようにして得られたペレットを電解中に溶融塩3に追加投入した。ペレットの追加投入は10分毎に行い、1回当たりの投入量は参考例1及び実施例〜5において、すべて0.38gとした。
【0038】
図2に示すように、参考例1及び実施例〜5のサンプルは強磁性を示し、それぞれ対応する比較例6〜10よりも残留磁化が大きかった。また、初期のMn化合物濃度が1mass%以上である実施例4及び5においては、陰極5に析出するMnAl合金の形態が膜状だけでなく、大部分が粉状であった。また、参考例1及び実施例〜5のサンプルにおいては、濃度ムラの評価はいずれも○であった。
【0039】
尚、粉状の電析物については、一部が陰極5に残留するものの、残りはアルミナ坩堝2の底部に堆積する。このため、溶融塩3中に沈降した粉末状の電析物をろ過回収するとともに、溶融塩をデカンテーションし、底部に残った粉末状の電析物と溶融塩の混合物を冷却固化後、アセトンで洗浄し、ろ過回収した。いずれの回収法で得られた粉末状電析物も、膜状電析物を粉砕した粉末状サンプルと合わせて混合し、評価サンプルとした。
【0040】
このように、参考例1及び実施例2、3では強磁性の膜状電析物が得られ、実施例4及び5では強磁性の膜状電析物と粉末状電析物の両方が得られた。尚、参考例1及び実施例〜5において、溶融塩中におけるMn化合物の濃度1mass%当たり、且つ、電極面積1cm当たりの電気量は、それぞれ6mAh、12mAh、30mAh、60mAh及び180mAhである。
【0041】
電析物の残留磁化は、Mn化合物の初期濃度が0.1〜1mass%までは増加し、3mass%ではやや減少した。これは、Mn化合物の初期濃度が0.1mass%と低すぎると、初期濃度の維持操作を行っても生成される電析物のMn比率が低く、Mn比率の低い強磁性のτ相や、Mn比率の低い非磁性のγ2相又はγbrass相が生成しやすくなるため膜状電析物を形成しやすく、Mn化合物の初期濃度が0.2mass%以上と適切であれば、τ相が生成し、さらにMn化合物の初期濃度の維持操作を行っていることから、膜状に生成できなかったτ相が粉末状電析物となって得られたものと考えられる。一方、Mn化合物の初期濃度が3mass%と高いと、Mn化合物の追加投入量が電解によって消費されるMn量を上回り、Mn化合物が溶融塩に対して飽和するため、固形物として溶融塩中に分散することで、電気化学的反応を阻害する原因になるものと考えられる。
【0042】
参考例2及び実施例〜10>
電解中にMn化合物であるMnClを追加投入した他は、それぞれ比較例11〜15と同様にして参考例2及び実施例〜10のサンプルを作製した。使用するペレット及び投入条件は、それぞれ参考例1及び実施例〜5と同じとした。
【0043】
図2に示すように、参考例2及び実施例〜10のサンプルも強磁性を示し、それぞれ対応する比較例11〜15よりも残留磁化が大きかった。また、いずれの参考例2及び実施例〜10においても、陰極5に析出するMnAl合金の形態が膜状だけでなく、大部分が粉状であった。また、参考例2及び実施例〜10のサンプルにおいても、濃度ムラの評価はいずれも○であった。
【0044】
このように、参考例2及び実施例〜10では強磁性の膜状電析物と粉末状電析物の両方が得られた。得られた強磁性の電析物の残留磁化は、Mn化合物の初期濃度が0.1〜1mass%までは増加し、3mass%ではやや減少した。これはMn化合物の初期濃度が0.1mass%と低すぎると、生成される電析物のMn比率が低下し、Mn比率の低い強磁性のτ相や、Mn比率の低い非磁性のγ2相又はγbrass相が生成しやすくなり、Mn化合物の初期濃度が3mass%と高いと、Mn化合物の追加投入量が電解によって消費されるMn量を上回り、Mn化合物が溶融塩に対して飽和するため、固形物として溶融塩中に分散することで、電気化学的反応を阻害する原因になるものと考えられる。
【0045】
<実施例11〜16>
通電時間を0.5時間に設定するとともに、得られた析出物に熱処理を施した他は、実施例4及び9と同様にして実施例11〜16のサンプルを作製した。電析物はいずれも膜状であった。熱処理は、粉末状のサンプルをNガスフローにて1時間かけて300℃〜700℃まで昇温し、この状態を0.5時間維持することにより行った。
【0046】
図3に示すように、熱処理温度がそれぞれ300℃、600℃及び700℃である実施例11、15及び16のサンプルが強磁性を示したのに対し、熱処理温度がそれぞれ400℃、500℃及び550℃である実施例12〜14のサンプルはメタ磁性を示した。尚、残留磁化が0emu/gであっても、ある強度の磁場で磁化(磁場誘起型強磁性転移)する場合はメタ磁性と判定し、その磁場を応答磁場とした。応答磁場は転移における磁化曲線の接線と磁場軸との切片とした。また、メタ磁性の応答磁場は、熱処理温度が高いほど低くなる傾向があった。また、実施例11〜16のサンプルにおいても、濃度ムラの評価はいずれも○であった。
【0047】
<実施例17〜19>
通電時間をそれぞれ0.5時間、2時間及び3時間に設定した他は、実施例4及び9と同様にして実施例17〜19のサンプルを作製した。図3に示すように、実施例17のサンプルは膜状であり、実施例18及び19のサンプルは膜状及び粉状であった。尚、実施例17〜19において、溶融塩中におけるMn化合物の濃度1mass%当たり、且つ、電極面積1cm当たりの電気量は、それぞれ30mAh、120mAh及び180mAhである。
【0048】
このように、通電時間が短いと電析物は膜状であったが、通電時間を長くすると電析物が粉末状となった。これは、Mn化合物の濃度1mass%当たり60mAh/cmの電気量で電解した場合、通電時間が長くなると膜状電析物の膜厚が10〜20μm程度となり、初期状態の電極表面に比べて平坦性が失われ、凹凸の凸部分にデンドライト成長が始まることで粉末状電析物が生成すると考えられる。また、実施例17〜19のサンプルにおいても、濃度ムラの評価はいずれも○であった。
【0049】
尚、実施例17は、熱処理を省略した他は、実施例11〜16と同じ条件である。図3に示すように、熱処理を行わない実施例17と比べ、熱処理を行った実施例11(熱処理温度:300℃)、実施例15(熱処理温度:600℃)及び実施例16(熱処理温度:700℃)の方が大きな残留磁化が得られた。特に、熱処理温度がそれぞれ600℃及び700℃である実施例15及び16においては、残留磁化の増加が顕著であった。
【0050】
<比較例16〜21>
電解中にMnClの追加投入を行わなかった他は、それぞれ実施例11〜16と同様にして比較例16〜21のサンプルを作製した。
【0051】
図3に示すように、比較例16のサンプルは強磁性を示したが、比較例17〜21のサンプルでは磁性が認められなかった。また、比較例16〜21のサンプルにおいては、濃度ムラの評価はいずれも×であった。このように、電解後に熱処理を行ったとしても、電解中にMnClの追加投入を行わない場合には、高い磁性を得ることができず、且つ、濃度ムラも大きかった。
【0052】
<実施例20〜25>
得られた析出物に0.5時間の熱処理を施した他は、実施例9と同様にして実施例20〜25のサンプルを作製した。電析物はいずれも膜状及び粉末状であった。
【0053】
図3に示すように、熱処理温度がそれぞれ300℃、600℃及び700℃である実施例20、24及び25のサンプルが強磁性を示したのに対し、熱処理温度がそれぞれ400℃、500℃及び550℃である実施例21〜23のサンプルはメタ磁性を示した。また、強磁性を示した実施例20、24及び25のサンプルは、熱処理を施していない実施例9のサンプルと比べ、残留磁化が増加した。特に、熱処理温度が600℃である実施例24においては、残留磁化の増加が顕著であった。また、メタ磁性の応答磁場は、熱処理温度が高いほど低くなる傾向があった。実施例20〜25のサンプルにおいても、濃度ムラの評価はいずれも○であった。
【0054】
<実施例26〜30>
単位電極面積当たりの電気量を30mAh/cmとした他は、実施例17、4、18、19及び9と同様にして実施例26〜30のサンプルを作製した。
【0055】
図4に示すように電流密度を30mA/cmに小さくしても、強磁性の膜状電析物が得られた。また、実施例26及び27のサンプルは膜状であり、実施例28〜30のサンプルは膜状及び粉状であった。また、実施例26〜30のサンプルにおいても、濃度ムラの評価はいずれも○であった。尚、実施例26〜30において、溶融塩中におけるMn化合物の濃度1mass%当たり、且つ、電極面積1cm当たりの電気量は、それぞれ15mAh、30mAh、60mAh、90mAh及び120mAhである。
【0056】
<実施例31〜35>
単位電極面積当たりの電気量を120mAh/cmとし、通電時間をそれぞれ0.2時間、0.4時間、0.5時間、1時間及び2時間とした他は、実施例26〜30と同様にして実施例26〜30のサンプルを作製した。
【0057】
図4に示すように電流密度を120mA/cmに大きくしても、強磁性の膜状電析物が得られた。また、実施例31及び32のサンプルは膜状であり、実施例33〜35のサンプルは膜状及び粉状であった。また、実施例31〜35のサンプルにおいても、濃度ムラの評価はいずれも○であった。尚、実施例31〜35において、溶融塩中におけるMn化合物の濃度1mass%当たり、且つ、電極面積1cm当たりの電気量は、それぞれ24mAh、48mAh、60mAh、120mAh及び240mAhである。
【0058】
<実施例36〜48>
Al化合物の種類及び割合とハロゲン化物の種類及び割合を変えた他は、実施例9と同様にして実施例36〜48のサンプルを作製した。Al化合物の種類及び割合とハロゲン化物の種類及び割合は、図4及び図5に示すとおりである。
【0059】
図4及び図5に示すように、ハロゲン化物がKClである場合よりもNaClである場合の方が残留磁化が高くなり、ハロゲン化物がNaClである場合よりもLiClである場合の方が残留磁化が高くなる傾向にあるが、実施例39のようにKClとLiClを組合せると残留磁化がより大きくなった。また、Al化合物であるAlClをAlF又はAlBrによって少量置換しても強磁性の粉状電析物が得られた。実施例44のように氷晶石(AlNa)を用いても粉状電析物が得られた。実施例45及び46では希土類ハロゲン化物のLaClおよびDyClを少量含有させることで残留磁化が僅かに増加した。実施例47及び48のように、アルカリ土類ハロゲン化物を少量含有させても、強磁性の粉状電析物が得られた。また、実施例36〜48のサンプルにおいても、濃度ムラの評価はいずれも○であった。
【0060】
<実施例49〜56>
電解時の溶融塩の温度をそれぞれ150℃、200℃、300℃、400℃、450℃、500℃、550℃及び600℃に設定した他は、実施例9と同様にして実施例49〜56のサンプルを作製した。但し、実施例55及び56においては、溶融塩の温度を考慮して、AlClとNaClの割合を49:51に調整した。
【0061】
図5に示すように、電解時における溶融塩の温度が150℃〜350℃の範囲では、温度が高いほど強磁性の電析物の残留磁化が増加した。これは、溶融塩の温度が低すぎると電析物中のMn比率が減少し、Mn比率の低い強磁性のτ相や、Mn比率の低い非磁性のγ2相又はγbrass相が生成しやすくなるためである。一方、温度が400℃以上、600℃未満の範囲ではメタ磁性が観測され、メタ磁性の応答磁場は、溶融塩の温度が高いほど低くなる傾向があった。また、温度が600℃である場合には強磁性となり、非常に大きな残留磁化が得られた。したがって、十分な残留磁化を得るためには、電解時における溶融塩の温度を150℃以上、350℃以下、或いは、600℃程度とすればよい。さらに、メタ磁性を得るためには電解時における溶融塩の温度を400℃以上、600℃未満とすればよい。実施例49〜56のサンプルにおいても、濃度ムラの評価はいずれも○であった。
【0062】
<実施例57〜60>
電解時における電流密度をそれぞれ15mA/cm、30mA/cm、120mA/cm及び150mA/cmに設定した他は、実施例9と同様にして実施例57〜60のサンプルを作製した。
【0063】
図5に示すように、電解時における電流密度が15mA/cm〜60mA/cmの範囲では、電流密度が高いほど強磁性の電析物の残留磁化は増加したが、電流密度を150mA/cmまで上昇させると、かえって残留磁化が著しく減少した。これは、電流密度が低すぎると電析物中のMn比率が減少し、Mn比率の低い強磁性のτ相や、Mn比率の低い非磁性のγ2相やγbrass相が生成しやすくなるためであり、電流密度が高すぎるとτ相の形成自体が起こりにくくなるためであると考えられる。したがって、十分な残留磁化を得るためには、電解時における電流密度を30mA/cm以上、120mA/cm以下とすればよい。また、実施例57〜60のサンプルにおいても、濃度ムラの評価はいずれも○であった。
【0064】
<実施例61〜73>
Al化合物の種類及び割合とハロゲン化物の種類及び割合を変えた他は、実施例23と同様にして実施例61〜73のサンプルを作製した。Al化合物の種類及び割合とハロゲン化物の種類及び割合は、図5及び図6に示すとおりである。
【0065】
図5及び図6に示すように、Al化合物の種類及び割合とハロゲン化物の種類及び割合を変えても、所定の温度で熱処理することによりメタ磁性が得られることが分かった。また、実施例61〜73のサンプルにおいても、濃度ムラの評価はいずれも○であった。
【0066】
<実施例74〜81>
電解時の溶融塩の温度をそれぞれ150℃、200℃、300℃、400℃、450℃、500℃、550℃及び600℃に設定した他は、実施例23と同様にして実施例74〜81のサンプルを作製した。但し、実施例80及び81においては、溶融塩の温度を考慮して、AlClとNaClの割合を49:51に調整した。
【0067】
図7に示すように、電解時の溶融塩の温度が150℃〜550℃であれば、所定の温度で熱処理することによりメタ磁性が得られ、電解時の溶融塩の温度が600℃であれば、所定の温度で熱処理することにより強磁性が得られることが分かった。また、実施例74〜81のサンプルにおいても、濃度ムラの評価はいずれも○であった。
<実施例82〜85>
電解時における電流密度をそれぞれ15mA/cm、30mA/cm、120mA/cm及び150mA/cmに設定した他は、実施例23と同様にして実施例82〜85のサンプルを作製した。
【0068】
図7に示すように、電解時における電流密度を変えても、所定の温度で熱処理することによりメタ磁性が得られることが分かった。また、実施例82〜85のサンプルにおいても、濃度ムラの評価はいずれも○であった。
【符号の説明】
【0069】
1 密閉容器
2 アルミナ坩堝
3 溶融塩
4 電気炉
5 陰極
6 陽極
7 定電流電源装置
8 攪拌機
9 ガス経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7