特許第6988861号(P6988861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6988861
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
   B66B 23/14 20060101AFI20211220BHJP
【FI】
   B66B23/14 A
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-139762(P2019-139762)
(22)【出願日】2019年7月30日
(65)【公開番号】特開2021-20802(P2021-20802A)
(43)【公開日】2021年2月18日
【審査請求日】2020年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】中林 宗一
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第108975139(CN,A)
【文献】 実開平06−063601(JP,U)
【文献】 特開2000−230202(JP,A)
【文献】 実開平01−094376(JP,U)
【文献】 特開2003−335489(JP,A)
【文献】 特開昭48−082507(JP,A)
【文献】 実公昭35−009703(JP,Y1)
【文献】 中国実用新案第206692187(CN,U)
【文献】 中国実用新案第202440220(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00 − 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客が乗るためのステップと、
前記ステップの移動を案内する案内レールと、
を備え、
前記ステップは、前記案内レールの上面を転がるローラを有し、
前記案内レールは、
第1端部を有する第1レールと、
前記第1レールと一続きになるように配置され、第2端部が前記第1端部に隣接する第2レールと、
を備え、
前記ローラが前記第1レールの前記第1端部と前記第2レールの前記第2端部との間を移動する際に前記ステップは斜め上方又は斜め下方に移動し、
前記第1端部は、第1基部と前記第1基部より幅が小さい第1突出部とを備え、
前記第2端部は、第2基部と前記第2基部より幅が小さい第2突出部とを備え、
前記第1突出部は、前記第1基部から前記第2基部側に突出し、前記第1基部と前記第2基部との間に配置され、
前記第2突出部は、前記第2基部から前記第1基部側に突出し、前記第1基部と前記第2基部との間に配置され、
前記第1突出部の先端は、前記第2突出部の先端より前記第2基部に近い位置に配置され、
前記第1突出部に、前記第2基部に近づくに従って前記第1基部の上面を含む平面から徐々に下方に離れていく第1傾斜面が形成され、
前記第1傾斜面は、前記第1レールの長手方向の特定の位置において、前記第2突出部の上面と同じ高さに配置され、
前記第2突出部に、前記第1基部に近づくに従って前記第2基部の上面を含む平面から徐々に下方に離れていく第2傾斜面が形成された乗客コンベア。
【請求項2】
前記第2傾斜面は、前記特定の位置より前記第2突出部の先端側に形成された請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
前記第1突出部は、前記第2基部には接触せず、前記第2突出部に接触し、
前記第2突出部は、前記第1基部に接触しない請求項1又は請求項2に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
前記ローラは、前記第1レールの前記第1端部から前記第2レールの前記第2端部に移動し、
前記第1傾斜面の第1縁は、前記第1突出部の幅方向に隣接する前記第2突出部の上面より高い位置に配置され、
前記第1縁は、第1傾斜面の縁のうち第1突出部の根元側に形成された縁である請求項1から請求項3の何れか一項に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
前記第1傾斜面の第1縁と前記第2傾斜面の第2縁との距離は前記ローラの直径より短く、
前記第1縁は、第1傾斜面の縁のうち第1突出部の根元側に形成された縁であり、
前記第2縁は、第2傾斜面の縁のうち第2突出部の根元側に形成された縁である請求項1から請求項の何れか一項に記載の乗客コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗客コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、エスカレーターが記載されている。エスカレーターは、乗客が乗って移動するためのステップを備える。ステップの移動は、案内レールによって案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−194058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ステップの移動を案内する案内レールは、1本の部材からなる訳ではない。案内レールは、複数のレールが一続きに配置されることによって形成される。このため、案内レールには、レールの繋ぎ目に段差が発生する。繋ぎ目の段差が大きいと、乗り心地が悪くなる。このような問題は、動く歩道といった他の乗客コンベアでも生じ得る。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされた。この発明の目的は、案内レールに起因する乗り心地の悪化を抑制できる乗客コンベアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る乗客コンベアは、乗客が乗るためのステップと、ステップの移動を案内する案内レールと、を備える。ステップは、案内レールの上面を転がるローラを有する。案内レールは、第1端部を有する第1レールと、第1レールと一続きになるように配置され、第2端部が第1端部に隣接する第2レールと、を備える。ローラが第1レールの第1端部と第2レールの第2端部との間を移動する際にステップは斜め上方又は斜め下方に移動する。第1端部は、第1基部と第1基部より幅が小さい第1突出部とを備える。第2端部は、第2基部と第2基部より幅が小さい第2突出部とを備える。第1突出部は、第1基部から第2基部側に突出し、第1基部と第2基部との間に配置される。第2突出部は、第2基部から第1基部側に突出し、第1基部と第2基部との間に配置される。第1突出部の先端は、第2突出部の先端より第2基部に近い位置に配置される。第1突出部に、第2基部に近づくに従って第1基部の上面を含む平面から徐々に下方に離れていく第1傾斜面が形成される。第1傾斜面は、第1レールの長手方向の特定の位置において、第2突出部の上面と同じ高さに配置される。第2突出部に、第1基部に近づくに従って第2基部の上面を含む平面から徐々に下方に離れていく第2傾斜面が形成される。

【発明の効果】
【0007】
この発明に係る乗客コンベアであれば、案内レールに起因する乗り心地の悪化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1における乗客コンベアの例を示す図である。
図2】ステップの移動を説明するための図である。
図3】ステップの移動を説明するための図である。
図4】駆動用レールを図2のB方向から見た図である。
図5図4のC部を拡大した図である。
図6】駆動用レールを図5のD方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付の図面を参照し、本発明を説明する。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における乗客コンベアの例を示す図である。図1は、乗客コンベアの一例として、エスカレーターを示す。動く歩道といった乗客コンベアの他の例については、具体的な説明を省略する。
【0011】
エスカレーターは、トラス1、及びステップ2を備える。トラス1は、上下の階に架け渡される。エスカレーターの乗客は、ステップ2に乗って乗り口3から降り口4に移動する。図1は、上りのエスカレーターを示す。図1に示すエスカレーターは、下りのエスカレーターでも良い。図2及び図3は、ステップ2の移動を説明するための図である。図2は、図1のA方向からステップ2を見た図である。
【0012】
降り口4の下方に、機械室5が設けられる。機械室5は、トラス1の内部に形成された空間である。機械室5に、電動機6及び制御装置7が設けられる。電動機6は、ステップ2を駆動する。制御装置7は、電動機6を制御する。
【0013】
例えば、電動機6は、減速機8を介して、機械室5に設けられた軸9を回転させる。軸9にスプロケット10が設けられる。スプロケット10に、ステップチェーン11が巻き掛けられる。ステップチェーン11に、ステップ2のステップ軸12が設けられる。
【0014】
軸9は、双方向に回転可能である。電動機6が軸9を一方の方向に回転させると、本実施の形態で示す例のように、乗客を乗せたステップ2は斜め上方に移動する。電動機6が軸9をもう一方の方向に回転させると、ステップ2は斜め下方に移動する。
【0015】
ステップ2の移動は、案内レールによって案内される。ステップ2は、案内レールに案内されることにより、乗客を乗せた状態で斜め上方に移動する。下りのエスカレーターであれば、ステップ2は、乗客を乗せた状態で斜め下方に移動する。エスカレーターは、案内レールとして、例えば駆動用レール13及び14と従動用レール15及び16とを備える。案内レールは、トラス1に設けられる。案内レールは、乗り口3の下方から降り口4の下方に渡って配置される。
【0016】
ステップ2は、ステップ軸12の他に、踏み板17、ライザ18、支持部材19、駆動ローラ20、駆動ローラ21、従動ローラ22、及び従動ローラ23を備える。
【0017】
踏み板17は、乗客が移動する際に実際に乗る板状の部材である。ライザ18は、ステップ2のうち蹴上げに相当する部材である。ライザ18は、踏み板17の縁から下方に延びる。支持部材19は、踏み板17及びライザ18を支持する。また、ステップ軸12は、支持部材19に固定される。ステップチェーン11が移動すると、ステップ軸12に引かれて踏み板17が移動する。
【0018】
駆動ローラ20及び21は、ステップ軸12に回転可能に設けられる。駆動ローラ20は、ステップ軸12の一方の端部に設けられる。駆動ローラ20は、駆動用レール13の上面を転がる。駆動ローラ21は、ステップ軸12のもう一方の端部に設けられる。駆動ローラ21は、駆動用レール14の上面を転がる。従動ローラ22及び23は、支持部材19に回転可能に設けられる。従動ローラ22は、従動用レール15の上面を転がる。従動ローラ23は、従動用レール16の上面を転がる。
【0019】
本実施の形態に示す例では、エスカレーターに備えられた各案内レールは、同様の構造を有する。このため、以下においては、駆動用レール13について詳しく説明する。駆動用レール14、並びに従動用レール15及び16については、詳細な説明を省略する。
【0020】
駆動用レール13は、図2及び図3に示すように、断面がL字形状である。駆動用レール13は、複数のレールが一続きに配置されることによって、乗り口3の下方から降り口4の下方に渡って配置される。
【0021】
図4は、駆動用レール13を図2のB方向から見た図である。図4は、駆動用レール13に含まれるレール24とレール25とを示す。レール24とレール25とは、互いに一続きになるようにトラス1内に配置される。図4は、レール24の一方の端部26とレール25の一方の端部27とが互いに隣接する例を示す。図5は、図4のC部を拡大した図である。図6は、駆動用レール13を図5のD方向から見た図である。
【0022】
なお、以下の説明を容易にするため、図5及び図6に示すように、x軸及びy軸を設定する。x軸は、レール24の長手方向及びレール25の長手方向と平行な軸である。y軸は、x軸に直交し、且つレール24の上面及びレール25の上面に平行な軸である。
【0023】
レール24の端部26には、基部28、突出部29、及び規制部30が備えられる。同様に、レール25の端部27には、基部31、突出部32、及び規制部33が備えられる。駆動ローラ20は、基部28の上面と突出部29の上面とを転がる。また、駆動ローラ20は、基部31の上面と突出部32の上面とを転がる。規制部30は、駆動ローラ20がレール24から外れることを防止するために備えられる。同様に、規制部33は、駆動ローラ20がレール25から外れることを防止するために備えられる。
【0024】
突出部29のy軸方向距離、即ち幅は、基部28の幅より小さい。突出部29は、基部28の先端から基部31側に突出するように、基部28に設けられる。突出部29は、基部28と基部31との間に配置される。図5及び図6に示す例では、突出部29は基部31に接触していない。突出部29の先端は基部31の端面に対向し、突出部29と基部31との間には一定の隙間が形成される。
【0025】
突出部32のy軸方向距離、即ち幅は、基部31の幅より小さい。突出部32は、基部31の先端から基部28側に突出するように、基部31に設けられる。突出部32は、基部28と基部31との間に配置される。図5及び図6に示す例では、突出部32は、基部28に接触していない。突出部32の先端は基部28の端面に対向し、突出部32と基部28との間には一定の隙間が形成される。
【0026】
突出部29と突出部32とは、y軸方向に並んで配置される。即ち、突出部29の先端は、突出部32の先端より基部31に近い位置に配置される。同様に、突出部32の先端は、突出部29の先端より基部28に近い位置に配置される。図6は、突出部29と突出部32との間に、x軸に沿って一定の隙間が形成される例を示すが、突出部29と突出部32とは接触していても構わない。
【0027】
突出部29の先端部分に、傾斜面34が形成される。傾斜面34は、基部31に近づくに従って、基部28の上面を含む平面から徐々に下方に離れるように傾斜する。レール24が水平に配置されていれば、傾斜面34は、突出部29の先端に近づくに従って低くなるように傾斜する。
【0028】
突出部29は、図5に示すようにレール24を側方から見て、傾斜面34が突出部32の上面と交差するように配置される。即ち、傾斜面34の縁34aは、y軸方向に隣接する突出部32の上面より低い位置に配置される。傾斜面34の縁34bは、y軸方向に隣接する突出部32の上面より高い位置に配置される。したがって、傾斜面34は、x軸方向の特定の位置において、突出部32の上面と同じ高さに配置される。図5は、位置x1において、傾斜面34と突出部32の上面とが同じ高さに配置される例を示す。なお、縁34aは、傾斜面34の縁のうち、突出部29の先端側に形成されたy軸に沿う縁である。縁34bは、傾斜面34の縁のうち、突出部29の根元側に形成されたy軸に沿う縁である。
【0029】
本実施の形態に示す例では、基部28の上面を転がってきた駆動ローラ20は、突出部29の傾斜面34から突出部32の上面に移動する。基部28の上面と基部31の上面とが同一平面上に正確に配置されていなくても、駆動ローラ20は、レール24からレール25にスムーズに移動する。したがって、本実施の形態に示す例であれば、駆動用レール13に起因する乗り心地の悪化を抑制できる。
【0030】
このような効果を奏するためには、図5に示すように、傾斜面34が突出部32の上面と交差するように突出部29を配置すれば良い。このため、従来のような高精度の調整は不要であり、駆動用レール13の取付作業を簡単に且つ短時間で行うことができる。本実施の形態に示す例であれば、案内レールを取り付ける際の作業者の負担を軽減できる。
【0031】
なお、図5及び図6に示す例では、突出部32の先端部分にも傾斜面35が形成されている。傾斜面35は、基部28に近づくに従って、基部31の上面を含む平面から徐々に下方に離れるように傾斜する。レール25が水平に配置されていれば、傾斜面35は、突出部32の先端に近づくに従って低くなるように傾斜する。傾斜面35は、図5に示すように、位置x1より突出部32の先端側に配置される。
【0032】
突出部32に傾斜面35が形成されている場合は、レール25を側方から見た際に傾斜面35が突出部29の上面と交差するように、突出部32が配置されても良い。かかる場合、傾斜面35の縁35aは、y軸方向に隣接する突出部29の上面より低い位置に配置される。傾斜面35の縁35bは、y軸方向に隣接する突出部29の上面より高い位置に配置される。即ち、傾斜面35は、x軸方向の特定の位置において、突出部29の上面と同じ位置に配置される。なお、縁35aは、傾斜面35の縁のうち、突出部32の先端側に形成されたy軸に沿う縁である。縁35bは、傾斜面35の縁のうち、突出部32の根元側に形成されたy軸に沿う縁である。
【0033】
本実施の形態では、駆動用レール13の断面がL字形状である例について説明した。これは一例である。駆動用レール13は、断面がL字形状以外の形状であっても良い。例えば、レール24では、基部28の両側に規制部30が設けられても良い。同様に、レール25では、基部31の両側に規制部33が設けられても良い。他の例として、レール24は、規制部30を備えていなくても良い。規制部30の機能を別の部材によって実現しても良い。同様に、レール25は、規制部33を備えていなくても良い。規制部33の機能を別の部材によって実現しても良い。
【0034】
本実施の形態では、乗客コンベアがエスカレーターである例について詳細に説明した。乗客コンベアが動く歩道であっても、上述した例が奏する効果と同様の効果を奏することができる。なお、動く歩道では、ステップ2は、案内レールによって案内されることにより、乗客を乗せた状態で水平方向に移動する。
【符号の説明】
【0035】
1 トラス、 2 ステップ、 3 乗り口、 4 降り口、 5 機械室、 6 電動機、 7 制御装置、 8 減速機、 9 軸、 10 スプロケット、 11 ステップチェーン、 12 ステップ軸、 13 駆動用レール、 14 駆動用レール、 15 従動用レール、 16 従動用レール、 17 踏み板、 18 ライザ、 19 支持部材、 20 駆動ローラ、 21 駆動ローラ、 22 従動ローラ、 23 従動ローラ、 24 レール、 25 レール、 26 端部、 27 端部、 28 基部、 29 突出部、 30 規制部、 31 基部、 32 突出部、 33 規制部、 34 傾斜面、 34a 縁、 34b 縁、 35 傾斜面、 35a 縁、 35b 縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6