(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一方の歯部の凸部の非当接面は、前記一対の歯部を噛み合わせたとき、前記他方の歯部の凸部の非当接面との距離が、前記端面側に向かうに従って大きくなるように構成される
ことを特徴とする請求項2に記載の歯部。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上拡張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0020】
[画像形成システム300の構成例]
図1は、画像形成システム300の構成の一例を示している。
図1に示すように、画像形成システム300は、用紙に画像を形成する画像形成装置100と、画像が形成された複数枚の用紙束に対して圧着綴じ等を行う後処理装置200とを備えている。なお、後処理装置200は、用紙処理装置の一例を構成している。
【0021】
画像形成装置100は、原稿搬送部160と、画像読取部170と、給紙部130と、画像形成部110と、定着部120と、表示部140と、入力部150とを有している。
【0022】
原稿搬送部160は、搬送トレイにセットされた原稿シートをガラス台に給送する。画像読取部170は、ガラス台上にセットされた原稿や原稿搬送部160により給送された原稿をレーザー光により走査して光電交換素子で読みとることで画像データを生成する。給紙部130は、A4、A3等のサイズの用紙Pを収容する複数段の給紙トレイを有し、印刷ジョブの開始に伴って指定された紙種の用紙Pを取り出して画像形成部110に搬送する。
【0023】
画像形成部110は、入力される画像データに基づいて感光体ドラムの表面に帯電、露光、現像処理を行うことにより所定のトナー像を形成し、給紙部130から搬送される用紙Pの表面に画像を転写する。なお、画像形成部110としては、モノクロ画像のみを形成可能な構成を採用しても良いし、カラー画像を形成可能な構成を採用しても良い。
【0024】
定着部120は、画像形成部110により画像が転写された用紙Pに加圧、加熱処理を行うことにより画像を用紙Pに定着させる。定着部120により定着処理された用紙Pは、搬出口から後処理装置200に順次搬出される。また、両面印刷を行う場合には、図示しない用紙反転経路を経由して用紙Pの表裏が反転された後、用紙Pの裏面側に画像が転写され、搬出口から後処理装置200に搬出される。
【0025】
表示部140および入力部150は、タッチパネルや、その周辺部に設けた操作ボタン等により構成することができる。表示部140および入力部150では、用紙サイズや印刷枚数等の画像形成条件の他に、綴じ歯を用いた圧着による圧着綴じやステープルを用いたステープル綴じ等の有無や綴じ枚数、綴じ位置等の後処理条件の設定を、操作画面や操作ボタンで入力できるように構成されている。
【0026】
図2(A)は後処理装置200の構成の一例を示す平面図であり、
図2(B)はその側面図である。なお、
図2において、紙面右は後処理装置200の下側に対応し、紙面左は後処理装置200の上側に対応している。
【0027】
図1および
図2に示すように、後処理装置200は、画像形成装置100の用紙搬送方向Dの下流側に連結され、画像形成装置100で画像が形成された用紙Pの用紙束に対して、圧着綴じやステープル綴じを行って冊子を作成する。なお、以下において、ステープル綴じについては、公知の技術を採用することができるため、詳細な説明については省略する。
【0028】
後処理装置200は、搬送経路R1,R2と、搬送経路切替部204と、綴じ装置210と、用紙積載部280とを有している。
【0029】
搬送経路R1は、圧着綴じ等の綴じ処理が行われない場合に用紙Pが搬送される経路であり、搬入口から搬出口に向かって水平に延在している。搬送経路R2は、圧着綴じ等の綴じ処理が行われる場合に用紙Pが搬送される経路であり、搬送経路R1から分岐して略U字形状に延在し、分岐部よりも下流側で搬送経路R1に合流している。
【0030】
搬送経路切替部204は、搬送経路R1,R2の分岐部に配置され、圧着等の綴じ処理の有無に基づいて搬送経路の切り替えを行う。搬送経路切替部204には、例えばソレノイドを用いることができる。
【0031】
用紙積載部280は、搬送ローラー282,283と、サイドジョガー286,287と、用紙積載台290と、ガイド部材291と、エンドウォール292とを有している。用紙積載部280は、搬送経路R2の下方から上方に向かう搬送経路に設けられている。
【0032】
搬送ローラー282,283は、正回転および逆回転可能に設けられ、搬送経路R2に搬入された用紙Pをスイッチバック搬送して用紙積載部280に収容したり、綴じ処理が完了した冊子を用紙積載部280から排紙トレイ206に送り出したりする。なお、冊子の排紙トレイ206への排出方法は、搬送ローラー282,283を用いた方法に限定されることはなく、爪部を有した搬送手段により冊子を保持して搬送することで排紙トレイ206上に排出するようにしても良い。
【0033】
サイドジョガー286,287は、搬送ローラー282,283間であって、用紙Pの側面部のそれぞれに対応した位置(搬送経路R2の両側)に設けられている。サイドジョガー286,287は、用紙幅方向に移動可能に構成され、用紙積載部280に集積された用紙Pの側面位置を揃える。
【0034】
用紙積載台290には、用紙積載部280に搬送される用紙Pが順次積載される。ガイド部材291は、綴じ装置210の綴じ位置の手前から側面に沿うように略L字状に形成され、用紙積載台290上に集積された用紙束を綴じ装置210の綴じ位置まで案内する。これにより、用紙束が綴じ装置210の隙間や綴じ歯250Aに引っ掛からないように綴じ位置まで搬送することができる。
【0035】
エンドウォール292は、側面形状が略コの字形状からなり、用紙積載台290の下方に配置され、用紙積載部280に搬送される用紙Pの先端部(下端部)を揃えて支持する。エンドウォール292は、搬送経路R2の用紙搬送方向に沿って移動可能に設けられ、ホームポジション(初期位置)と綴じ位置との間を移動できるようになっている。なお、本実施の形態では、エンドウォール292とガイド部材291とを一体に形成しているが、別体で形成することもできる。エンドウォール292の下端部には、二つの切欠き部292a,292bが形成されている。切欠き部292a,292bには、図示しない電動ステープラを配置することができる。電動ステープラは、切欠き部292a,292b間を移動し、用紙束に対する綴じ位置を変更することにより一箇所または二箇所を綴じ処理するように構成しても良い。
【0036】
綴じ装置210は、用紙積載部280に設けられ、用紙積載台290に集積された用紙束を一対の綴じ歯250Aにより圧着することで綴じる。本実施の形態では、綴じ装置210を固定して設置した例について説明しているが、綴じ装置210を移動可能な構成とし、綴じ位置を変更できるようにしても良い。このとき、上述した切欠き部292a,292bに綴じ装置210を移動できるようにしても良い。なお、綴じ装置210の構成や動作については、後述する。
【0037】
[後処理装置200の動作例]
図3〜
図7は、綴じ処理を行う場合における後処理装置200の動作の一例を説明するための図である。
図3(A),
図4(A),
図5(A),
図6(A),
図7(A)は、後処理装置200の平面図であり、
図3(B),
図4(B),
図5(B),
図6(B),
図7(B)は、その側面図である。なお、
図5〜
図7では、2枚以上の用紙Pが積載された用紙束であるものとする。また、
図3〜
図7において、紙面右は後処理装置200の下側に対応し、紙面左は後処理装置200の上側に対応している。
【0038】
画像形成装置100で画像が形成された用紙Pは、後処理装置200の搬送経路R2に搬送される。
図3(A)および
図3(B)に示すように、搬送経路R2に搬送された用紙Pは、搬送ローラー282,283によりスイッチバック搬送され、用紙積載台290上に順次載置される。
【0039】
次に、
図4(A)および
図4(B)に示すように、用紙Pが用紙積載台290上に載置されると、搬送ローラー282,283の用紙Pとの当接状態が解除されると共に回転が停止される。続けて、サイドジョガー286,287のそれぞれが内側方向に移動し、用紙Pの側面位置を揃える。なお、用紙Pの側面位置の揃え動作は、用紙一枚毎に行っても良いし、複数枚毎に行っても良い。また、側面位置として用紙Pの一方の端部側を基準とする場合には、一方側のサイドジョガー286,287のみを移動するようにしても良い。
【0040】
次に、
図5(A)および
図5(B)に示すように、指定された枚数の用紙Pの側面揃えが完了したら、サイドジョガー286,287が用紙束PPの側面部を挟んだ状態で、用紙幅方向における綴じ装置210側に移動する。つまり、サイドジョガー286,287により用紙束が綴じ位置に移動され、綴じ位置の用紙幅方向が位置合わせされる。
【0041】
次に、
図6(A)および
図6(B)に示すように、サイドジョガー286,287による移動が終了すると、エンドウォール292が上方側に移動する。つまり、エンドウォール292により用紙束が綴じ位置まで移動され、用紙搬送方向の綴じ位置が位置合わせされる。これにより、用紙束PPがユーザーにより指定された綴じ位置にセットされ、綴じ装置210により用紙束に綴じ処理が行われる。なお、上述した実施の形態では、用紙束PPを形成した後に綴じ位置に移動させるようにしたが、用紙Pを一枚単位で直接綴じ位置に移動させるようにしても良い。
【0042】
次に、
図7(A)および
図7(B)に示すように、綴じ処理が終了すると、搬送ローラー282,283が再度用紙Pと当接されると共に回転駆動される。これにより、綴じ処理が行われた用紙束PPが用紙積載台290から搬送され、排紙ローラーを介して排紙トレイ206上に排出される。
【0043】
[綴じ装置210の構成例]
図8は綴じ装置210の構成の一例を示す斜視図であり、
図9はその側面図であり、
図10はその平面図であり、
図11はその正面図である。
図12(A)は
図11のA−A線に沿った断面図であり、
図12(B)はその要部Aの拡大図である。なお、
図8〜
図12において、綴じ歯250Aが設けられる側を先端側とし、その反対側を後端側とする。
【0044】
図8〜
図12に示すように、駆動部の一例を搭載した綴じ装置210は、駆動モータ212と、偏芯カム216と、ホームポジションセンサ(以下、HPセンサという)218と、タイミングセンサ220と、綴じ具230とを備えている。なお、駆動部は、本実施の形態に記載したものに限定されるものではない。
【0045】
駆動モータ212は、例えばDCモータやステッピングモータ等から構成され、綴じ指令に基づいて回転駆動する。
【0046】
偏芯カム216は、円板カムであって、ギア214を介して駆動モータ212のモータギア213に接続され、駆動モータ212の回転に伴って偏芯回転する。なお、偏芯カム216は、一回転でホームポジションに戻るように制御しても良いし、例えば最大荷重位置まで回転させた後に逆回転させることでホームポジションに戻すように制御しても良い。
【0047】
偏芯カム216の駆動モータ212とは反対側の面には、駆動軸217が突設されている。駆動軸217には、偏芯カム216側から扇形状をなすHPセンサ用の検出片219およびタイミングセンサ用の検出片221がそれぞれ取り付けられている。一例として検出片221は、偏芯カム216の回転位置を180°間隔で検出するため、検出片219よりも中心角が大きくかつ180°以下で形成される。
【0048】
HPセンサ218は、例えば透過型または反射型の光センサから構成され、検出片219の近傍に配置されている。HPセンサ218は、検出片219の有無に基づいて偏芯カム216がホームポジションに位置しているかを検出する。タイミングセンサ220は、例えば透過型または反射型の光センサから構成され、検出片221の近傍に配置されている。タイミングセンサ220は、検出片221の有無に基づいて偏芯カム216の回転位置を検出する。
【0049】
綴じ具230は、押圧レバー232と、上アーム234と、下アーム236と、リターンばね238と、弾性部材240と、綴じ歯250Aとを有している。なお、上アーム234および下アーム236は、駆動部の一例を構成している。
【0050】
押圧レバー232は、細長の平板部材であって、一端側の外面が偏芯カム216の周面に当接している。押圧レバー232の他端部には、その側面から押圧レバー232の長手方向に対して直交する方向に延びる突出部233,233が設けられている。突出部233,233は、上アーム234の後端部に外側から嵌め込まれ、軸部材からからなるレバー支点部246を介して上アーム234に回動可能に取り付けられている。
【0051】
上アーム234は、下方側が開口された細長の直方体形状からなる。下アーム236は、上方側が開口された細長の直方体形状からなり、上アーム234に対向して配置されている。上アーム234と下アーム236は、中央部より若干先端側において軸部材からかなるアーム支点部242を介して互いに回動可能に構成されている。
【0052】
図13は、複数の凸部を有する一対の歯部の一例としての綴じ歯250Aの構成の一例を示している。
図12(B)および
図13に示すように、綴じ歯250Aは、一対の下歯260および上歯270から構成されている。下歯260は下アーム236の先端部側に着脱可能に取り付けられ、上歯270は上アーム234の先端部側に着脱可能に取り付けられている。下歯260および上歯270は、用紙束が介在している状態で互いに噛み合うことで用紙束を圧着して綴じる。なお、綴じ歯250Aについては後述する。
【0053】
図8〜
図12に戻り、リターンばね238は、例えば引っ張りばね等から構成され、一端部が上アーム234の略中央部の内側に取り付けられ、他端部が下アーム236の略中央部の内側に取り付けられている。押圧レバー232に荷重がかかっていない状態では、リターンばね238の付勢により、上アーム234の先端部と下アーム236の先端部とが離間した状態とされる。
【0054】
弾性部材240は、例えば圧縮ばねから構成され、下アーム236の後端部の内側に取り付けられている。押圧部材244は、軸部材から構成され、突出部233,233間に跨って取り付けられると共に、その外周面が弾性部材240の上端部によって弾性的に支持されている。押圧部材244は、押圧レバー232の回動に伴って弾性部材240を押圧しながら後部側に移動すると共に、レバー支点部246を上アーム234から離れる方向に移動させる。なお、弾性部材240は、板バネやゴム、樹脂材料等から構成することもできる。
【0055】
[綴じ装置210の動作例]
図14(A)〜
図14(C)は、圧着綴じ処理を行う場合における綴じ装置210の動作の一例を示す図である。
図14(A)に示すように、綴じ指令を受けるまでは、偏芯カム216がホームポジションに位置しており、上アーム234および下アーム236のそれぞれの先端部側に設けられた綴じ歯250Aは離間した状態とされる。
【0056】
図14(B)に示すように、綴じ指令を受けると、駆動モータ212の回転駆動により偏芯カム216が回転して押圧レバー232の一端部側を押圧し、押圧レバー232が上アーム234に接近する方向に移動する。押圧部材244は、付与される荷重に応じて弾性部材240を押圧しながら後部側に移動すると共に、押圧レバー232のレバー支点部246を下アーム236から離れる方向に移動させる。これに伴い、上アーム234の後端部側が上方に押し上げられることで、上アーム234の先端部側がアーム支点部242を支点として下アーム236側に移動し、上歯270が下歯260に噛み合った状態となる。
【0057】
図14(C)に示すように、上歯270と下歯260の噛み合いを最大荷重の状態とする場合、駆動モータ212の回転駆動により偏芯カム216が回転し、押圧レバー232が上アーム234にさらに接近する方向に移動する。これに伴い、押圧部材244は、付与される最大荷重に応じて弾性部材240を押圧しながら後部側に移動する。これにより、上アーム234の後端部が若干上方に押し上げられることで、下歯260と上歯270との噛み合いが最大荷重となる。また、弾性部材240は、押圧部材244からの最大荷重により収縮することで、荷重を逃がすと共に、押圧レバー232の移動が停止してロック状態となることを防止する。
【0058】
図15(A)〜
図15(D)は、綴じ歯250Aの噛み合わせにより用紙束PPを圧着して綴じる工程の一例を示している。
図15(A)に示すように、先端や側面が揃えられた用紙束PPが下歯260と上歯270との間の綴じ位置まで搬送される。続けて、
図15(B)および
図15(C)に示すように、上歯270が下方に移動していき、上歯270が下歯260に噛み合う。続けて、
図15(D)に示すように、上歯270に最大荷重が付与されると、用紙束PPが凹凸状に変形して圧着される。このような工程により、圧着綴じされた冊子が作成される。
【0059】
[綴じ歯250Aの構成例]
図16(A)は本発明に係る綴じ歯250Aを構成する下歯260の構成の一例を示す斜視図であり、
図16(B)はその要部を示している。
図17(A)は下歯260の平面図であり、
図17(B)はその正面図であり、
図17(C)はその側面図である。
図18(A)は下歯260と上歯270とを噛み合わせた際の綴じ歯250Aの側面図であり、
図18(B)はそのB−B線に沿った平断面図である。なお、下歯260と上歯270とは構成が同一であるため、以下では下歯260の構成のみを代表して説明する。
【0060】
図16〜
図18に示すように、下歯260は、細長の直方体形状からなる基台261と、基台261上に形成された複数の凸部の一例としての歯部262とを備えている。歯部262は、細長の凸条体であって、例えばSK材(炭素工具鋼)やSUS材等の金属材料からなる。歯部262は、他方の歯部の凸部と対向する対向面の一例としての側面部263と、凸方向に沿う面として構成される端面の一例としての端面部である前面部266Aと、頂面部268と、傾斜面部269とを有している。前面部266Aと側面部263との境界部には、第1の稜線部267aが設けられている。前面部266Aと傾斜面部269との境界部には、第2の稜線部267bが設けられている。傾斜面部269と側面部263との境界部には、第3の稜線部267cが設けられている。第1の稜線部267a、第2の稜線部267bおよび第3の稜線部267cのそれぞれは、例えば丸みを有する曲面である。
【0061】
側面部263は、対をなす上歯270が噛み合わされた際に上歯270の側面部に対向する面であって、上歯270との間に用紙Pを挟んで圧着することにより用紙同士を結合させる機能を有している。側面部263は、当接面部264と、非当接面部265とを有している。
【0062】
当接面部264は、頂面部268に連続する面であると共に、用紙Pがない状態で上歯270が噛み合わされた際に上歯270の対向する当接面部274と当接(接触)する面である。
【0063】
非当接面部265は、当接面部264に連続する面であって、当接面部264と第1の稜線部267aとの間に設けられている。非当接面部265は、用紙Pが無い状態で上歯270が噛み合わされた際に、上歯270の対向する側面部との間に隙間を有する(上歯270の側面部に当接しない)面である。なお、非当接面部265は、当接面部264よりも弱いが用紙束を圧着する機能を有している。また、下歯260の非当接面部265は、
図18に示すように、上歯270が噛み合わされた際における上歯270の非当接面部275(側面部273)との距離が、端面部の一例としての前面部266A側(前方)に向かうに従って大きくなっている。この非当接面部265を設けることで、第1の稜線部267a、第2の稜線部267bおよび第3の稜線部267cでの用紙の局所的な伸びを緩和することができる。なお、本実施の形態では、非当接面部265を角度の異なる2面で構成しているが、1面で構成しても良いし、3面以上で構成しても良い。
【0064】
頂面部268は、歯部262の頂上に設けられる面であり、湾曲面で構成されている。なお、頂面部268は、平面で構成することもできる。
【0065】
傾斜面部269は、頂面部268から前面部266Aに向かって傾斜する面である。本実施の形態では、
図17(C)に示すように、頂面部268と傾斜面部269とのなす角度αが、0°<α≦20°の範囲に設定される。この範囲とすることで、後述するように、用紙束を綴じ処理する際における用紙の局所的な伸びを防止することができ、冊子の破れを防止できる。
【0066】
前面部266Aは、側面部263の一端側から屈曲し、基台261の水平面に対して角度が例えば45°超で傾斜するように構成されており、用紙Pを挟んで綴じる位置において圧着綴じする用紙束の中央側(内側)を向いている。なお、綴じ歯250の後面部266Bは、用紙束の外側を向いており、例えば湾曲面で構成される。
【0067】
複数の歯部262は、それぞれ所定方向に列なるように歯部262の長手方向とは直交する方向に沿って並ぶように配置されると共に、複数の歯部262の長手方向のそれぞれが互いに平行となるように配置されている。
【0068】
なお、
図17(A)等では、複数の歯部262の長手方向の長さを同一で構成しているが、これに限定されることはない。例えば、複数の歯部262のうち両端側に配置される歯部262の長手方向の長さが、中間部に配置される歯部262の長手方向の長さよりも長くなるように構成することもできる。また、複数の歯部262の側面部263等の長手方向の長さをそれぞれ異なる長さで構成し、長手方向の長さが異なる複数の歯部262を交互に配置することもできる。歯部262の長手方向の長さは、第1の長さと、これよりも長い第2の長さの2つの長さで構成しても良いし、3つ以上の異なる長さで構成しても良い。
【0069】
また、上歯270についても、
図16(A)および
図16(B)等で示した下歯260とは符号が異なるのみで、それ以外の構成は共通している。図示は省略するが、上歯270は、当接面部274および非当接面部275を含む側面部273と、端面部の一例としての前面部276Aと、頂面部278と、傾斜面部279と、第1の稜線部277aと、第2の稜線部277bと、第3の稜線部277cとを有する歯部272を備えている(
図16(A)および
図16(B)参照)。
【0070】
[綴じ部の綴じ位置について]
図19(A)〜
図19(J)は、綴じ歯250Aにより用紙束を圧着して綴じ処理した綴じ部Pa〜Pjの綴じ位置を説明するための図である。
【0071】
図19(A)に示すように、綴じ部Paは、用紙束の角部の近傍であって、綴じ処理の圧着により形成される凹凸(以下、綴じ部の凹凸という)の配列方向が辺P1に沿って形成される。
図19(B)に示すように、綴じ部Pbは、用紙束の角部の近傍であって、綴じ部Pbの凹凸の配列方向が辺P1に沿って形成されると共に綴じ部Pb全体が辺P2側に寄って形成される。また、辺P2にかかっても良い。
【0072】
図19(C)に示すように、綴じ部Pcは、用紙束の角部の近傍であって、綴じ部Pcの凹凸の配列方向が辺P2に沿って形成される。
図19(D)に示すように、綴じ部Pdは、用紙束の角部の近傍であって、綴じ部Pdの凹凸の配列方向が辺P2に沿って形成されると共に綴じ部Pd全体が辺P1側に寄って形成される。また、辺P1にかかっても良い。
【0073】
図19(E)に示すように、綴じ部Peは、用紙束の角部の近傍であって、綴じ部Peの凹凸の配列方向が辺P1,P2に対して互いに略45°となるように形成される。
図19(F)に示すように、綴じ部Pfは、用紙束の角部の近傍であって、綴じ部Pfの凹凸の配列方向が辺P1,P2に対して互いに略45°となると共にその両端部が各辺P1,P2からはみ出した位置(角部を跨いだ位置)に形成される。
【0074】
図19(G)に示すように、綴じ部Pgは、用紙束の角部の近傍であって、綴じ部Pgの凹凸の配列方向が
図19(E)に示す綴じ部Peの凹凸の配列方向よりも辺P1に対して若干緩やかに傾斜するように形成される。
図19(H)に示すように、綴じ部Phは、用紙束の角部の近傍であって、綴じ部Pgの凹凸の配列方向と同一方向に形成されると共に、一端部が辺P2からはみ出した位置に形成される。
【0075】
図19(I)に示すように、綴じ部Piは、用紙束の角部の近傍であって、綴じ部Piの凹凸の配列方向が
図19(E)に示す綴じ部Peの凹凸の配列方向よりも辺P2に対して若干緩やかに傾斜するように形成される。
図19(J)に示すように、綴じ部Pjは、用紙束の角部の近傍であって、綴じ部Piの凹凸の配列方向と同一方向に形成されると共に、一端部が辺P1からはみ出した位置に形成される。
【0076】
図19(A)〜
図19(J)に示した何れの場合でも、綴じ歯250Aの端面部の一例としての前面部266Aは、用紙束の中央側(内側)を向くように配設されている。このように、前面部266Aを配置することで、圧着綴じされた用紙束から用紙をめくり剥がす際の剥がし荷重を大きくして、用紙を剥がれ難くすることができる。
【0077】
なお、本実施の形態では、綴じ部Pa〜Pjの配列方向を用紙束の角部の0°〜90°の範囲の綴じ位置で綴じる場合について説明したが、より好ましくは用紙Pの紙目方向に対して0°〜30°未満の範囲で綴じ部を形成することが好ましい。
【0078】
[綴じ歯の変形例]
図20(A)は本発明に係る綴じ歯250Bの下歯260の構成の一例を示す斜視図であり、
図20(B)はその平面図であり、
図20(C)はその正面図であり、
図20(D)はその側面図である。なお、綴じ歯250Aと、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付すと共に重複する説明を省略する。また、下歯260と上歯270とは構成が同一であるため、以下では下歯260の構成のみを代表して説明する。
【0079】
綴じ歯250Bの下歯260は、基台261と、基台261上に形成された複数の歯部262とを備えている。歯部262は、当接面部264および非当接面部265を含む側面部263と、端面部の一例としての前面部266Aと、第1の稜線部267aと、頂面部268と、傾斜面部269とを有している。綴じ歯250Bは、綴じ歯250Aよりも、傾斜面部269の傾斜角度が小さくなると共にその面が曲面で形成されて構成されている。
【0080】
図21(A)は本発明に係る綴じ歯250Cの下歯260の構成の一例を示す斜視図であり、
図21(B)はその平面図であり、
図21(C)はその正面図であり、
図21(D)はその側面図である。なお、綴じ歯250Aと、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付すと共に重複する説明を省略する。また、下歯260と上歯270とは構成が同一であるため、以下では下歯260の構成のみを代表して説明する。
【0081】
綴じ歯250Cの下歯260は、基台261と、基台261上に形成された複数の歯部262とを備えている。歯部262は、当接面部264および非当接面部265を含む側面部263と、端面部の一例としての前面部266Aと、第1の稜線部267aと、頂面部268とを有している。綴じ歯250Cは、傾斜面部を設けていない点で綴じ歯250Aの構成と相違している。
【0082】
図22(A)は本発明に係る綴じ歯250Dの下歯260の構成の一例を示す斜視図であり、
図22(B)はその平面図であり、
図22(C)はその正面図であり、
図22(D)はその側面図である。なお、綴じ歯250Aと、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付すと共に重複する説明を省略する。また、下歯260と上歯270とは構成が同一であるため、以下では下歯260の構成のみを代表して説明する。
【0083】
綴じ歯250Dの下歯260は、基台261と、基台261上に形成された複数の歯部262とを備えている。歯部262は、当接面部264および非当接面部265を含む側面部263と、端面部の一例としての前面部266Aと、第1の稜線部267a,第2の稜線部267bと、頂面部268と、傾斜面部269とを有している。綴じ歯250Dは、綴じ歯250Aよりも、傾斜面部269の面積が小さいと共に、前面部266Aの傾斜角度が小さくなるように構成されている。
【0084】
図23(A)は本発明に係る綴じ歯250Eの下歯260の構成の一例を示す斜視図であり、
図23(B)はその平面図であり、
図23(C)はその正面図であり、
図23(D)はその側面図である。なお、綴じ歯250Aと、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付すと共に重複する説明を省略する。また、下歯260と上歯270とは構成が同一であるため、以下では下歯260の構成のみを代表して説明する。
【0085】
綴じ歯250Eの下歯260は、基台261と、基台261上に形成された複数の歯部262とを備えている。歯部262は、当接面部264および非当接面部265を含む側面部263と、端面部の一例としての前面部266Aと、第1の稜線部267a,第2の稜線部267bと、頂面部268と、傾斜面部269とを有している。綴じ歯250Eは、綴じ歯250Aよりも、傾斜面部269の面積が小さいと共に、前面部266Aの傾斜角度が小さくなるように構成されている。
【0086】
図24(A)は本発明に係る綴じ歯250Fの下歯260の構成の一例を示す斜視図であり、
図24(B)はその平面図であり、
図24(C)はその正面図であり、
図24(D)はその側面図である。なお、綴じ歯250Aと、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付すと共に重複する説明を省略する。また、下歯260と上歯270とは構成が同一であるため、以下では下歯260の構成のみを代表して説明する。
【0087】
綴じ歯250Fの下歯260は、複数の歯部262を備えている。歯部262は、当接面部264および非当接面部265を含む側面部263と、端面部の一例としての前面部266Aと、第1の稜線部267a,第2の稜線部267bと、頂面部268と、傾斜面部269とを有している。綴じ歯250Fは、基台を設けていない点において綴じ歯250Aの構成と相違している。
【0088】
[側面離間距離Mおよび圧接距離Nの関係について]
次に、用紙束を圧着綴じする際の好適な側面離間距離Mおよび圧接距離Nについて説明する。本実施の形態に係る綴じ歯250Aは、用紙束を圧着したときの側面離間距離Mが、0.23mm以上かつ0.35mm以下である場合に、圧接距離Nが0mm以上である。
【0089】
図25は、側面離間距離Mおよび圧接距離Nを説明するための図である。
図25に示すように、側面離間距離Mとは、下歯260と上歯270とを噛み合わせて用紙束を圧着した際における下歯260の当接面部264と上歯270の当接面部274との間の法線の長さである。圧接距離Nは、下歯260と上歯270とを噛み合わせて用紙束を圧着した際における下歯260の当接面部264と上歯270の当接面部274とが平行に対向する長さである。
【0090】
図26は、複数の種類の綴じ歯を使用し、各綴じ歯の下歯と上歯との間の距離Oを変化させると共に、圧接距離Nが0mmとなるように側面離間距離Mを変化させた場合における、用紙束の綴じ部における保持力の検証結果を示している。なお、距離Oは、下歯(上歯)の山部と谷部との間の距離である。また、実施例1〜3、および比較例1〜3では、本発明の綴じ歯250Aを、大きさをそれぞれ異ならせた相似形状のものを使用した。
【0091】
また、
図26に示す綴じ部の保持力の評価指標は以下の通りである。
◎:綴じ部がしっかりとくっついており、綴じ冊子として十分に実用に耐え得る。
○:用紙をめくりあげた際に綴じ部が簡単には剥がれない。
×:用紙をめくりあげた際に綴じ部が簡単に剥がれる。
【0092】
図26に示すように、実施例1〜3によれば、下歯の山部と谷部との距離Oを0.63mm〜0.96mmとし、側面離間距離Mが0.23mm以上かつ0.35mm以下とした際における圧接距離Nを0mmとすることで、2枚、5枚、10枚の綴じ保持力が何れも「○」または「◎」となった。
【0093】
これに対し、比較例1、2では、下歯の山部と谷部との距離Oを0.27mm、0.55mmとし、側面離間距離Mが0.23mm未満とした際における圧接距離Nを0mmとした場合、2枚、5枚の綴じ保持力は何れも「○」となったが、10枚の綴じ保持力は何れも「×」となった。これは、用紙束が10枚の場合に、圧接距離Nが無くなり、用紙同士の結合力が弱まり、綴じ保持力が低下するためである。
【0094】
また、比較例3では、下歯の山部と谷部との距離Oを1.09mmとし、側面離間距離Mが0.35mm超とした際における圧接距離Nを0mmとした場合でも、5枚、10枚の綴じ保持力は「○」または「◎」となったが、2枚の綴じ保持力は「×」となった。これは、用紙束が2枚の場合に、側面離間距離Mを0.35mm超とすると、圧着による荷重が不足し、十分に綴じることができないからである。
【0095】
このように、用紙束を圧着したときの側面離間距離Mが0.23mm以上かつ0.35mm以下である場合に、圧接距離Nが0mmとすることが可能な本実施の形態に係る綴じ歯250Aを用いることで、一般に圧着綴じに良く使用される2〜10枚の用紙束を破れなく好適に圧着して綴じることができる。
【0096】
なお、本例では、綴じ歯として本実施の形態に係る綴じ歯250Aを使用したが、これに限定されることはなく、上述した綴じ歯250B〜250Fを使用した場合でも、
図26に示す結果と同様の結果が得られることが分かった。また、非当接面部や傾斜面部が設けられていない綴じ歯(図示省略)においても、側面離間距離Mが0.23mm以上かつ0.35mm以下である場合に圧接距離Nが0mm以上とすることで、
図26に示す結果と同様の結果が得られることが分かった。また、側面離間距離Mが0.23mm以上かつ0.35mm以下である場合に、圧接距離Nを0mm超とした場合にも、
図26に示す結果と同様の結果が得られることが分かった。
【0097】
[伸び率および伸び率の変化割合について]
次に、用紙束を圧着綴じする際の好適な伸び率の変化割合について説明する。本実施の形態では、非当接面部265,275および傾斜面部269,279を有する綴じ歯250Aを用い、従来よりも伸び率の変化割合を小さくすることで、綴じ処理後の冊子の破れを防止している。
【0098】
まず、伸び率について説明する。
図27は、伸び率を説明するための図であり、歯250の長手方向に直交する方向の断面の一部を示している。なお、
図27において、下歯260と上歯270との側面離間距離M(
図25参照)は0.09mmとしている。側面離間距離M=0.09mmは、一般的なコピー用紙2枚の圧着後の用紙束の厚さに相当する。
【0099】
本実施の形態において伸び率とは、歯250により用紙束を噛み合わせて圧着した際における、用紙束の非圧着時の基準の長さに対する伸びを仮想的に示したものである。伸び率は、
図27に示す綴じ歯250Aの各部の長さA〜Eに基づいて以下の式(1)で定義される。
【0100】
伸び率=(A+B+C+D+E)/F・・・(1)
A:下歯260の傾斜面部269の直線部の半分の長さ
B:上歯270の傾斜面部279の直線部の半分の長さ
C:下歯260の第3の稜線部267cと上歯270の第3の稜線部277cとの共通接線部の長さ
D:下歯260の第3の稜線部267cと傾斜面部269の直線部との交点から共通接線部までの湾曲線に沿った長さ
E:上歯270の第3の稜線部277cと傾斜面部279の直線部との交点から共通接線部までの湾曲線に沿った長さ
F:下歯260の傾斜面部269の直線部の中心点と上歯270の傾斜面部279の直線部の中心点との間の長さ
【0101】
図28は、下歯260および上歯270が噛み合った状態の側面図を示している。
図29(A)〜
図29(D)は、
図28に示した綴じ歯250Aの各断面における伸び率を示している。
図29(A)は綴じ歯250Aのw−w線に沿った断面図であり、
図29(B)は綴じ歯250Aのx−x線に沿った断面図であり、
図29(C)は綴じ歯250Aのy−y線に沿った断面図であり、
図29(D)は綴じ歯250Aのz−z線に沿った断面図である。なお、
図29(A)に示すw−w線に沿った断面は、下歯260と上歯270とが噛み合い始める位置wwでの断面である。
【0102】
図29(A)〜
図29(D)に示すように、綴じ歯250Aに非当接面部265および傾斜面部269を設けているので、前面部266A側の第2の稜線部267bに向かって伸び率を徐々に小さくできる。このように、頂面部268から前面部266Aに向かって伸び率を徐々に変化させることにより、綴じ歯250Aの噛み合い始めを基準とした際の伸び率の急激な変化を防止することができる。なお、
図28の図示において、前面部266Aは、平面をなす部分を備えている例を示したが、必ずしも平面をなす部分を備えている必要はなく、前面部266Aは曲面で構成されていても良い。
【0103】
次に、伸び率の変化割合について説明する。本実施の形態において、伸び率の変化割合とは、綴じ歯250Aの長手方向に直交する方向における2つの断面間の伸び率の変化の割合であり、用紙束の圧着時の破れやすさを示す指標である。伸び率の変化割合は、以下の式(2)で定義される。
【0104】
伸び率の変化割合=(伸び率Y−伸び率X)/距離Z・・・(2)
伸び率X:断面Xでの伸び率
伸び率Y:断面Yでの伸び率
距離Z:断面Xと断面Yとの距離
【0105】
図30(A)は、複数の種類の綴じ歯を使用した場合における伸び率の変化割合を示すグラフである。
図30(A)において縦軸は伸び率の変化割合であり、横軸は歯の噛み合い始めからの距離である。
図30(B)は、
図30(A)で使用した綴じ歯の形状を示すと共に、これらの綴じ歯を使用して用紙束の綴じ処理を行った際の綴じ冊子の破れの検証結果を示している。綴じ歯Aは、本実施の形態で説明した綴じ歯250Aであり、非当接面部265,275および傾斜面部269,279を有する。綴じ歯Dは、従来における綴じ歯であり、非当接面部および傾斜面部を有していない構成となっている。綴じ歯B,Cは、非当接面を持ち、傾斜面部が曲面形状の構成となっている。なお、用紙束は、10枚で構成されたものを用いた。
【0106】
図30(A)および
図30(B)に示すように、綴じ歯Aを用いた場合、非当接面部265,275および傾斜面部269,279を設けたことで、伸び変化率の割合が噛み合い始めから徐々に大きくなり、0.4未満の値をピーク値として徐々に小さくなっている。これにより、
図30(B)に示すように、綴じ歯Aを用いた場合には、伸び率の変化割合がピーク値として、0.4を超えないため、用紙束の圧着時における急激な伸び変化を防止できるので、綴じ処理後の冊子において破れが発生しなかった。
【0107】
綴じ歯Bを用いた場合、伸び率の変化割合が、綴じ歯Bの噛み合い始めから急激に上昇するが、伸び率の変化割合のピーク値が0.4を超えないため、綴じ処理後の冊子において、破れが生じなかった。
【0108】
これに対し、綴じ歯Cを用いた場合、伸び率の変化割合が噛み合い始めから急激に上昇して0.4を超え、その後、急激にさがった。綴じ歯Dを用いた場合、伸び率の変化割合が綴じ歯Aよりも大きい傾きで上昇して0.4を超え、その後、徐々に下降している。これらの場合、
図30(B)に示すように、用紙束の圧着時に第2の稜線部267や第3の稜線部267c等での急激な伸び変化が生じてしまい、その結果、綴じ処理後の冊子において破れが発生した。
【0109】
[画像形成システム300のブロック構成例]
図31は、画像形成システム300の機能構成の一例を示すブロック図である。
図31に示すように、画像形成システム300は、画像形成装置100と、後処理装置200とを備えている。
【0110】
画像形成装置100は、各構成部の動作を制御するための制御部102を備えている。制御部102は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)等を有している。CPUは、ROMに格納されているプログラムを読み出して実行することにより、画像形成処理に関する各種機能を実行する。
【0111】
制御部102には、表示部140および入力部150のそれぞれ接続されている。表示部140および入力部150は、ユーザーにより入力される後処理条件等の情報を制御部202に供給したり、制御部202からの制御に基づいて所定の画像を画面上に表示したりする。
【0112】
また、制御部102には、一例としてLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して外部装置500が接続されている。外部装置500は、パーソナルコンピュータや情報携帯端末等から構成され、制御部102との間で印刷ジョブ等の画像形成処理に関する通信を行う。
【0113】
後処理装置200は、各構成部の動作を制御するための制御部202を備えている。制御部202は、画像形成装置100の制御部102に接続され、制御部102との間で連動して圧着綴じを含む後処理に関する機能を実行する。制御部202は、制御部102と同様に、CPUやROM等を有している。
【0114】
制御部202には、綴じ装置210と、用紙搬送部284と、用紙積載部280と、ドア開閉検知部294と、電源部296とがそれぞれ接続されている。
【0115】
綴じ装置210は、駆動モータ212と、HPセンサ218と、タイミングセンサ220と、エンコーダ224とを有している。
【0116】
駆動モータ212は、制御部202から供給される駆動信号に基づいて駆動し、偏芯カム216を回転させる。なお、駆動モータ212に供給される電流値に対して上限値を設定することで、過電流による駆動モータ212の損傷等を防止するようにしても良い。また、駆動モータ212の停止制御としては、ショートブレーキや、逆転ブレーキ、オーバーラン時の戻しを採用することができる。
【0117】
HPセンサ218は、偏芯カム216がホームポジションにあるかを示す検出片219の有無を検出して検出信号を制御部202に供給する。
【0118】
タイミングセンサ220は、偏芯カム216の回転位置を示す検出片221の有無を検出して検出信号を制御部202に供給する。例えば、制御部202は、綴じ処理中に綴じ装置210の故障等の異常が発生した場合であって、タイミングセンサ220がオンの場合、偏芯カム216が半分の位置よりも進んでおり、荷重がピーク後であるので、偏芯カム216を正回転でホームポジションに戻すように駆動モータ212を制御する。一方、制御部202は、異常が発生した場合であってタイミングセンサ220がオフの場合、偏芯カム216が半分の位置より進んでおらず、荷重がピーク前であるので、偏芯カム216を逆回転でホームポジションに戻すように駆動モータ212を制御する。
【0119】
エンコーダ224は、駆動モータ212のモータギア213(
図10参照)に取り付けられ、駆動モータ212の回転速度を検出して検出信号を制御部202に供給する。制御部202は、エンコーダ224により検出された駆動モータ212の回転速度に基づいて駆動モータ212の回転速度を制御することにより、例えば駆動モータ212の騒音を抑制する。
【0120】
用紙搬送部284は、例えばDCモータやステッピングモータ等から構成され、制御部202から供給される駆動信号に基づいて駆動することにより、搬送経路R1の搬送ローラーや搬送経路R2の搬送ローラー282,283等を回転駆動する。
【0121】
用紙積載部280は、ジョガー駆動部288と、エンドウォール駆動部293とを有している。ジョガー駆動部288は、例えばDCモータやステッピングモータ等から構成され、制御部202から供給される駆動信号に基づいて駆動することによりサイドジョガー286,287を用紙幅方向に移動させる。
【0122】
エンドウォール駆動部293は、例えばDCモータやステッピングモータ等から構成され、制御部202から供給される駆動信号に基づいて駆動することによりエンドウォール292を用紙搬送方向に設けられた綴じ位置に移動させる。
【0123】
ドア開閉検知部294は、後処理装置200の手前側に設けられた開閉ドアの開閉動作を検知して検知信号を制御部202に供給する。電源部296は、例えば100Vの交流電源であって、後処理装置200に電力を供給する。制御部202は、ドア開閉検知部294からの検出信号を取得すると、電源部296を制御して後処理装置200への電力の供給を停止させる。これにより、後処理装置200が異常停止した場合等において、電源をオフできる。
【0124】
[後処理装置200の動作例]
図32は、綴じ指令を含む綴じ動作の一例を示すフローチャートである。制御部202のCPUは、ROM等のメモリからブログラムを読み出すことにより
図32に示す処理を実行する。
【0125】
ステップS100において、制御部202は、綴じ指令を含む印刷ジョブが例えば制御部102から送信されたか否かを判断する。制御部202は、綴じ指令を含む印刷ジョブが送信されたと判断した場合にはステップS110に進み、綴じ指令を含む印刷ジョブが送信されていないと判断した場合には綴じ指令があるまで待機する。
【0126】
ステップS110において、制御部202は、画像が形成された用紙束が綴じ位置にセットされると、駆動モータ212を回転駆動させる。これにより、偏芯カム216が一回転することで、歯250が離間状態から噛み合い状態となり、用紙束が圧着されて綴じられ、冊子が作成される。
【0127】
ステップS120において、制御部202は、駆動モータ212の回転駆動に伴い、異常判断用のタイマーをセットし、カウントを開始する。
【0128】
ステップS130において、制御部202は、HPセンサ218がオンになったか否かを判断する。つまり、偏芯カム216が一回転して再びホームポジションに戻ってきたか否かを判断する。制御部202は、HPセンサ218がオンになった場合、綴じ歯250Aによる用紙束の圧着処理が完了したと判断してステップS140に進み、駆動モータ212の回転を停止させる。
【0129】
一方、ステップS130において、制御部202は、HPセンサ218がオンになっていないと判断した場合、ステップS150に進む。ステップS150において、制御部202は、セットしたタイマーがタイムアウトになったか否かを判断する。制御部202は、タイマーがタイムアウトしていない場合、歯250による綴じ処理がまだ終了していないと判断し、ステップS130に戻り、駆動モータ212の駆動を継続する。
【0130】
一方、制御部202は、タイマーがタイムアウトしたと判断した場合、駆動モータ212等の故障による異常が発生したと判断してステップS160に進み、駆動モータ212の回転駆動を停止させる。
【0131】
ステップS160において、制御部202は、表示部140の画面上や外部装置500の画面上に綴じ処理が正常に終了していない旨のエラー表示を行う。本実施の形態では、このような処理を繰り返し実行する。
【0132】
以上説明したように、本実施の形態によれば、綴じ歯250A等において、当接面部264と第1の稜線部267aとの間に非当接面部265を設けたり、頂面部268と第2の稜線部267bとの間に傾斜面部269を設けているので、圧着時における用紙Pの局所的な伸びを緩和することができる。つまり、側面部263および傾斜面部269と第1の稜線部267a,第2の稜線部267bとの境界部を緩やかに変化させることができる。これにより、用紙Pの破れを確実に防止することができる。また、圧着時の押圧荷重を大きくした場合であっても用紙Pの破れを防止できるため、押圧荷重を大きくすることで綴じ枚数を増やすことができる。例えば、圧着綴じで5〜10枚程度の用紙束の綴じ処理も良好に行うことができる。
【0133】
また、本実施の形態によれば、圧着綴じした冊子の剥がれ始めの起点と、冊子の圧着部の起点との距離を近づけるので、冊子束の綴じ部における保持力を向上させることができる。
【0134】
なお、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に記載の範囲には限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能である。
【0135】
上述した実施の形態では、綴じ歯250A等において、全ての歯部262の両方の側面部263に非当接面部265を設けた例について説明したが、これに限定されることはない。例えば、歯部262の一方側の側面部263にのみ非当接面部265を設けるようにしても良いし、複数の歯部262のうち特定の歯部262にのみ非当接面部265を設けるようにしても良い。また、下歯260および上歯270のうち一方の歯のみに非当接面部265を設けるようにしても良い。また、傾斜面部269についても同様である。
【0136】
また、上述した実施の形態では、綴じ装置210を後処理装置200内に搭載した例について説明したが、これに限定されることはなく、画像形成装置100内に搭載するようにしても良い。この場合、定着部120よりも用紙搬送方向Dの下流側に綴じ装置210を設置する。
【0137】
また、上述した実施の形態では、綴じ装置210により用紙束の角を圧着綴じする場合について説明したが、これに限定されることはなく、中折りされた冊子の折り部分の近傍を圧着綴じして冊子を作成するようにしても良い。この場合、圧着綴じの凹凸の配列方向を折り目に沿うようにすることが好ましい。
【0138】
また、上述した実施の形態では、綴じ歯250A等の歯部262を直線状に配列した場合について説明したが、これに限定されることはない。例えば、下歯260および上歯270を、直線状ではなく湾曲状や環状に配列しても良いし、複数段の列で配列しても良いし、格子状に配列するようにしても良い。