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特許6988984エレベータ、操作盤、エレベータの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6988984
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】エレベータ、操作盤、エレベータの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/50 20060101AFI20211220BHJP
【FI】
   B66B1/50 A
【請求項の数】27
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2020-187592(P2020-187592)
(22)【出願日】2020年11月10日
【審査請求日】2020年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】廣畑 圭司朗
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2020/084660(WO,A1)
【文献】 特開2015−151253(JP,A)
【文献】 特開2011−162307(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第111634772(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00−20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出可能な非接触操作検出部を有するかご内操作盤と、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定部と、を備え、
前記かご内操作盤は車椅子用かご内操作盤であり、
前記期間設定部は、
乗場に設置された乗場操作盤のうち、車椅子用の乗場操作盤における乗場呼び操作を受け付けたか否かに応じて、該乗場呼び操作に対応する階床に到着したかごの前記車椅子用の操作盤において、前記非接触操作検出部によって検出された前記非接触操作を受け付けない期間を変更する、
ことを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出可能な非接触操作検出部を有するかご内操作盤と、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定部と、を備え、
前記期間設定部は、前記かごが走行中の期間、または前記かごの扉が閉状態である期間を、前記非接触操作を受付けない期間として設定する、
ことを特徴とするエレベータ。
【請求項3】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出可能な非接触操作検出部を有するかご内操作盤と、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定部と、を備え、
前記期間設定部は、前記非接触操作検出部が前記かごの扉が閉状態のときに前記非接触操作を検出しており、かつ、前記扉が閉状態から開状態になっても前記非接触操作の検出状態が継続している場合、前記非接触操作検出部によって検出された前記非接触操作を受付けない期間を変更する、
ことを特徴とするエレベータ。
【請求項4】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出可能な非接触操作検出部を有するかご内操作盤と、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定部と、を備え、
前記期間設定部は、前記非接触操作検出部が前記かごが走行中に前記非接触操作を検出しており、かつ、前記かごの停止時においても前記非接触操作の検出状態が継続している場合、前記非接触操作検出部によって該非接触操作を受け付けない期間を変更する、
ことを特徴とするエレベータ。
【請求項5】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出可能な非接触操作検出部を有するかご内操作盤と、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定部と、を備え、
前記期間設定部は、
乗場に設置された乗場操作盤の乗場非接触操作検出部における呼び操作を受け付けたか否かに応じて、該乗場呼び操作に対応する階床に到着したかごの前記かご内操作盤において、前記非接触操作検出部によって検出された前記非接触操作を受付けない期間を変更する、
ことを特徴とするエレベータ。
【請求項6】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出可能な非接触操作検出部を有するかご内操作盤と、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定部と、を備え、
前記かご内操作盤は、前記かごの行先階を登録するための接触操作を検出可能な接触操作検出部をさらに備え、
前記期間設定部は、
前記かごが走行中であり、かつ、前記接触操作検出部によって前記接触操作が検出された場合、前記非接触操作検出部によって検出された前記非接触操作を受け付けない期間を変更する、
ことを特徴とするエレベータ。
【請求項7】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出可能な非接触操作検出部を有するかご内操作盤と、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定部と、を備え、
前記期間設定部は、
前記かごの扉が閉状態となった時点から、所定時間経過後まで、前記かご内の前記非接触操作検出部によって検出された前記非接触操作を受け付けない期間を変更する、
ことを特徴とするエレベータ。
【請求項8】
少なくとも1つの前記非接触操作検出部が搭載された複数のかご内操作盤を備え、
前記期間設定部は、前記複数のかご内操作盤のうち、少なくとも1つのかご内操作盤が有する前記非接触操作検出部によって検出された前記非接触操作を受け付けない期間を設定する、
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のエレベータ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのかご内操作盤が、車椅子用かご内操作盤である、
ことを特徴とする請求項に記載のエレベータ。
【請求項10】
前記かごの積載重量、および前記かご内の画像のうち少なくともいずれか一方であるかご情報を取得するかご情報取得部を備え、
前記期間設定部は、前記かご情報に応じて、前記非接触操作を受付けない期間を設定することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のエレベータ。
【請求項11】
前記かご情報に基づいて前記かご内の状況を判定する、かご内状況判定部をさらに備え、
前記かご内状況判定部は、前記かご情報に基づいて、前記かご内の混雑度、および前記かご内の利用者が前記かご内操作盤を操作しているか否かを示す利用者の状態のうち少なくともいずれか一方を判定する、
ことを特徴とする請求項10に記載のエレベータ。
【請求項12】
前記非接触操作検出部が、前記非接触操作を受付け可能であるか否かを示す情報を利用者に通知するための通知部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のエレベータ。
【請求項13】
前記通知部は、スピーカ、ディスプレイおよび照明のうち少なくともいずれかである、ことを特徴とする請求項12に記載のエレベータ。
【請求項14】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出可能な非接触操作検出部と、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定部と、を備える操作盤であって、
前記操作盤は車椅子用かご内操作盤であり、
前記期間設定部は、
乗場に設置された乗場操作盤のうち、車椅子用の乗場操作盤における乗場呼び操作を受け付けたか否かに応じて、該乗場呼び操作に対応する階床に到着したかごの前記車椅子用の操作盤において、前記非接触操作検出部によって検出された前記非接触操作を受け付けない期間を変更する、
ことを特徴とする操作盤。
【請求項15】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出可能な非接触操作検出部と、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定部と、を備え、
前記期間設定部は、前記かごが走行中の期間、または前記かごの扉が閉状態である期間を、前記非接触操作を受付けない期間として設定する、
ことを特徴とする操作盤。
【請求項16】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出可能な非接触操作検出部と、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定部と、を備え、
前記期間設定部は、前記非接触操作検出部が前記かごの扉が閉状態のときに前記非接触操作を検出しており、かつ、前記扉が閉状態から開状態になっても前記非接触操作の検出状態が継続している場合、前記非接触操作検出部によって検出された前記非接触操作を受付けない期間を変更する、
ことを特徴とする操作盤。
【請求項17】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出可能な非接触操作検出部と、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定部と、を備え、
前記期間設定部は、前記非接触操作検出部が前記かごが走行中に前記非接触操作を検出しており、かつ、前記かごの停止時においても前記非接触操作の検出状態が継続している場合、前記非接触操作検出部によって該非接触操作を受け付けない期間を変更する、
ことを特徴とする操作盤。
【請求項18】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出可能な非接触操作検出部と、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定部と、を備える操作盤であって、
前記操作盤はかご内操作盤であり、
前記期間設定部は、
乗場に設置された乗場操作盤の乗場非接触操作検出部における呼び操作を受け付けたか否かに応じて、該乗場呼び操作に対応する階床に到着したかごの前記かご内操作盤において、前記非接触操作検出部によって検出された前記非接触操作を受付けない期間を変更する、
ことを特徴とする操作盤。
【請求項19】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出可能な非接触操作検出部と、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定部と、
前記かごの行先階を登録するための接触操作を検出可能な接触操作検出部と、を備え、
前記期間設定部は、
前記かごが走行中であり、かつ、前記接触操作検出部によって前記接触操作が検出された場合、前記非接触操作検出部によって検出された前記非接触操作を受け付けない期間を変更する、
ことを特徴とする操作盤。
【請求項20】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出可能な非接触操作検出部と、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定部と、を備え、
前記期間設定部は、
前記かごの扉が閉状態となった時点から、所定時間経過後まで、前記かご内の前記非接触操作検出部によって検出された前記非接触操作を受け付けない期間を変更する、
ことを特徴とする操作盤。
【請求項21】
車椅子用かご内操作盤におけるかごの行先階を登録するための非接触操作を検出する検出ステップと、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定ステップと、を含み、
前記期間設定ステップにおいて、
乗場に設置された乗場操作盤のうち、車椅子用の乗場操作盤における乗場呼び操作を受け付けたか否かに応じて、該乗場呼び操作に対応する階床に到着したかごの前記車椅子用の操作盤における検出ステップにおいて検出された前記非接触操作を受け付けない期間を変更する、
ことを特徴とするエレベータの制御方法。
【請求項22】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出する検出ステップと、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定ステップと、を含み、
前記期間設定ステップにおいて、前記かごが走行中の期間、または前記かごの扉が閉状態である期間を、前記非接触操作を受付けない期間として設定する、
ことを特徴とするエレベータの制御方法。
【請求項23】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出する検出ステップと、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定ステップと、を含み、
前記期間設定ステップにおいて、
前記検出ステップにおいて前記かごの扉が閉状態のときに前記非接触操作を検出しており、かつ、前記扉が閉状態から開状態になっても前記非接触操作の検出状態が継続している場合、前記検出ステップにおいて検出された前記非接触操作を受付けない期間を変更する、
ことを特徴とするエレベータの制御方法。
【請求項24】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出する検出ステップと、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定ステップと、を含み、
前記期間設定ステップにおいて、
前記検出ステップにおいて前記かごが走行中に前記非接触操作を検出しており、かつ、前記かごの停止時においても前記非接触操作の検出状態が継続している場合、前記検出ステップにおいて検出された該非接触操作を受け付けない期間を変更する、
ことを特徴とするエレベータの制御方法。
【請求項25】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出する検出ステップと、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定ステップと、を含み、
前記期間設定ステップにおいて、
乗場に設置された乗場操作盤の乗場非接触操作検出部における呼び操作を受け付けたか否かに応じて、該乗場呼び操作に対応する階床に到着したかごのかご内操作盤において、前記検出ステップにおいて検出された前記非接触操作を受付けない期間を変更する、
ことを特徴とするエレベータの制御方法。
【請求項26】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出する検出ステップと、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定ステップと、
前記かごの行先階を登録するための接触操作を検出可能な接触操作検出ステップと、を含み、
前記期間設定ステップにおいて、
前記かごが走行中であり、かつ、前記接触操作検出ステップにおいて前記接触操作が検出された場合、前記検出ステップにおいて検出された前記非接触操作を受け付けない期間を変更する、
ことを特徴とするエレベータの制御方法。
【請求項27】
かごの行先階を登録するための非接触操作を検出する検出ステップと、
前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定ステップと、を含み、
前記期間設定ステップにおいて、
前記かごの扉が閉状態となった時点から、所定時間経過後まで、前記検出ステップにおいて検出された前記非接触操作を受け付けない期間を変更する、
ことを特徴とするエレベータの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触での操作によってかごの行先階を登録可能なエレベータ、操作盤、およびエレベータの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触での操作は、従来のボタン操作に比べて衛生的であることから、近年、エレベータのかごの行先階を非接触での操作によって登録できる技術への関心が高まっている。非接触での操作によってかごの行先階を登録する場合、利用者は、例えば、操作盤に設けられたセンサに手を近づける操作を行えばよく、ボタンに触れたり押下したりする必要が無い。
【0003】
非接触での操作は従来のボタン操作と比較して、誤操作および誤登録が生じる可能性が高いため、利用者の意図とは異なる行先階を誤登録することを防ぐための対策を講じることが望ましい。
【0004】
特許文献1には、非接触での操作を検出可能な操作ボタンが開示されている。複数の操作ボタン(行先階ボタン)が同時に操作検出状態になった場合には、操作信号が出力されない構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2015−151253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、例えば、乗客が操作ボタン付近に凭れた場合、必ずしも複数の操作ボタンが同時に操作検出状態になるとは限らない。複数の操作ボタンが同時に操作検出状態になっていない場合には、操作信号が出力されて誤検出となる。
【0007】
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、かご内での非接触操作による誤検出を低減するエレベータ、操作盤、およびエレベータの制御方法等を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るエレベータは、かごの行先階を登録するための非接触操作を検出可能な非接触操作検出部を有するかご内操作盤と、前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定部と、を備える。
【0009】
また、本発明の一態様に係る操作盤は、かごの行先階を登録するための非接触操作を検出可能な非接触操作検出部と、前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定部と、を備える。
【0010】
また、本発明の一態様に係るエレベータの制御方法は、かごの行先階を登録するための非接触操作を検出する検出ステップと、前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定ステップと、を含む。
【0011】
本発明の各態様に係るエレベータの制御方法は、コンピュータによって実行されてもよく、この場合には、コンピュータに前記エレベータの制御方法に含まれる各ステップを実行させる制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、かご内での非接触操作による誤検出を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態1に係るエレベータの要部構成の一例を示すブロック図である。
図2図1に示すエレベータの構成の一例を示す機能ブロック図である。
図3】かご内操作盤の一例を示す図である。
図4】エレベータが行う処置の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態2に係るエレベータシステムの要部構成の一例を示すブロック図である。
図6図5に示すエレベータの構成の一例を示す機能ブロック図である。
図7】利用者による非接触操作の一例を示す図である。
図8】エレベータが行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】乗場操作盤の外観の一例を示す図である。
図10】かご内の一例を示す図である。
図11】エレベータが行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12】本発明の実施形態3に係るエレベータの構成の一例を示すブロック図である。
図13図12に示すエレベータの構成の一例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0015】
(エレベータ100の構成)
図1は、本実施形態に係るエレベータ100の要部構成の一例を示すブロック図である。図2は、本実施形態に係るエレベータ100の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0016】
図1に示すように、エレベータ100は、制御装置1、およびかご2を備えている。
【0017】
<制御装置1の構成>
制御装置1は、エレベータ100の運転制御全般を統括して行うコンピュータであり、CPU11およびメモリ12を備えている。
【0018】
CPU11は、メモリ12からエレベータの運転を制御するための各種制御プログラム等を読み出して実行する。これにより、制御装置1は、エレベータ100の円滑な運転を実現する。制御装置1の機能については、後に説明する。
【0019】
メモリ12には、例えば、かご2の移動制御、およびかご2の扉(不図示)の開閉制御等を行うための各種制御プログラムが格納されている。かご2の移動制御には、例えば、乗場呼びが行われた階床にかご2を移動させる制御、行先階として登録された階床にかご2を移動させる制御等が含まれていてもよい。
【0020】
<かご2の構成>
かご2は、建物に設けられた昇降路内を通り、該建物の複数の階床間を移動する乗りかごである。かご2は、かご内操作盤20、およびかご情報取得部24を備える。かご内操作盤20は、非接触操作検出部22、および通知部21を備える。
【0021】
かご2内には、利用者の行先階の登録を受付けるためのかご内操作盤20が設置されている。図1においては、かご内操作盤が1つである形態を示すが、かご内操作盤の個数は限定されず、2つ以上であってもよい。また、複数のかご内操作盤のうち、少なくとも1つが車椅子用操作盤であってもよい。
【0022】
かご内操作盤20は、少なくとも1つの非接触操作検出部22を備えている。かご内操作盤20は、2つ以上の非接触操作検出部22を備えていてもよい。すなわち、かご内操作盤20は、エレベータが設置される建物の階床の数に応じた行先階の登録を受付けるための非接触操作検出部22を備えていてもよい。また、かご内操作盤20は、建物の階床を表す文字または数字を利用者に視認させるための階表示部(不図示)を備えていてもよい。一例において、1つの非接触操作検出部22に対して1つの階表示部が対応付けられていてもよい。かご内操作盤20は、かご2のドア近傍の袖壁またはかご2の側壁等に設置され得る。
【0023】
非接触操作検出部22は、かご2の行先階を登録するための非接触での操作を検出可能なセンサである。一例において、非接触操作検出部22は、例えば、投光器および受光器が一体になった反射型光電センサである。非接触操作検出部22において、投光器が赤外線などの光を照射し、受光器が該光を照射された物体からの反射光を受光する。非接触操作検出部22は、受光器が受光した受光量に基づいて、近接している物体の有無を検出する。ここで、物体とは、例えば、行先階を登録するための操作を行う利用者の手等であってもよい。
【0024】
非接触操作検出部22は、反射型光電センサの受光器側の受光量を調節することにより、非接触操作検出部22の検出距離を調節することができる。非接触操作検出部22は、一例として、かご内操作盤20から5cm以内に接近している利用者の手等を検出するように設定されている。非接触操作検出部22が利用者の手等を検出した場合、非接触操作検出部22は制御装置1に操作を検出した旨の検出信号を送信する。
【0025】
なお、非接触操作検出部22は、操作を検出している期間、検出信号の送信を継続する構成であってもよい。この場合、非接触操作検出部22は、一定の時間間隔で(例えば、1秒間に10回)検出信号を送信してもよい。この構成を採用すれば、制御装置1は、非接触操作検出部22からの検出信号に基づいて、操作が検出されたタイミングと検出されなくなったタイミングとを、非接触操作検出部22毎に特定することができる。
【0026】
かご情報取得部24は、かご2の積載重量、およびかご2内の画像のうち少なくともいずれか一方である、かご情報を取得する。かご情報取得部24は、一例として、ロードセル、カメラ等であってもよい。かご2は、かご情報取得部24を複数備えていてもよい。また、1つのかご情報取得部24が異なる種類のかご情報を複数取得してもよい。
【0027】
かご2の積載重量は、例えば、かご情報取得部24であるロードセルによって、数値として取得されてもよい。かご2内の画像は、例えば、かご情報取得部24であるカメラによって取得されてもよい。かご2内の画像とは、静止画像または動画像であればよい。かご情報取得部24が取得したかご情報は、後述するかご内状況判定部115に出力される。
【0028】
通知部21は、非接触操作検出部22が、非接触操作を受付け可能であるか否かを示す情報を利用者に通知する。通知部21は、例えば、音声案内を発するスピーカであってもよく、ディスプレイ等の表示装置であってもよく、LED等の照明であってもよい。このような構成により、利用者に、非接触操作検出部22の非接触操作によって行先階を登録できるか否かを通知することができる。
【0029】
図3は、通知部21の一例を示した概略図である。図3では、通知部21は、かご内操作盤20の上部に配置されるディスプレイである。例えば、該かご内操作盤20内の非接触操作検出部22が非接触操作を受付け可能である場合は、通知部21に非接触操作を受付け可能であるマークが表示される。また、通知部21がディスプレイである場合は、例えば、ディスプレイに「現在、非接触センサは使用可能です」などの文字の表示をさせてもよい。
【0030】
また、通知部21がスピーカである場合は、利用者がエレベータに搭乗した際に、「現在、非接触センサが使用できます」または「現在、非接触センサは使用できません」などの音声案内を行ってもよい。利用者がエレベータに搭乗したか否かは、例えば、上述したかご情報取得部24から取得した情報によって判断されてもよい。
【0031】
また、通知部21が照明である場合は、照明のON/OFFによって、または照明の色を変化させることによって、非接触操作を受付け可能であるか否かを示す情報を利用者に通知してもよい。
【0032】
通知部21はかご内操作盤20に1つ備えられてもよく、種類の異なる通知部21を複数備えていてもよい。
【0033】
(制御装置1の機能)
次に、制御装置1の機能について、図2を用いて説明する。図2は、図1に示すエレベータ100の構成の一例を示す機能ブロック図である。なお、説明の便宜上、図1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0034】
制御装置1は、制御部110および記憶部120を備えている。制御部110は、図1のCPU11に対応しており、記憶部120は、図1のメモリ12に対応している。
【0035】
記憶部120には、期間設定情報121および行先階登録情報122が格納されている。期間設定情報121は、後述する期間設定部113が期間を設定するためのルールに関する情報である。期間を設定するためのルールとは、例えば、エレベータの運転状況に基づき、どの場合に期間を設定するかを決定するための規定である。行先階登録情報122は、後述する行先階登録部116が登録した行先階を示す情報である。
【0036】
制御部110は、検出信号取得部111、運転制御部112、期間設定部113、通知制御部114、かご内状況判定部115、および行先階登録部116を備えている。
【0037】
検出信号取得部111は、非接触操作検出部22からの検出信号を取得する。また、検出信号取得部111は、検出信号の送信元である非接触操作検出部22に対応する階床を、検出信号毎に特定する。
【0038】
運転制御部112は、エレベータの運転を制御する。運転制御部112は、例えば、乗場呼びが行われた階床にかご2を移動させる制御、行先階として登録された階床にかご2を移動させる制御、かごの扉の開閉制御等を行う。
【0039】
期間設定部113は、かご内操作盤の非接触操作検出部22による非接触操作を受付けない期間を設定する。通常、非接触操作検出部22が非接触操作を検出した場合、検出信号取得部111によって特定された階床が呼び登録として登録される。期間設定部113が非接触操作を受付けない期間を設定することにより、該期間は、非接触操作検出部22が非接触操作を検出し、検出信号取得部111が信号を取得しても、行先階を登録するための行先階登録部116には信号が出力されない。すなわち、期間設定部113が設定した非接触操作を受付けない期間は、利用者が非接触操作によって行先階を登録することができない。このような構成により、かご2内での非接触操作による誤検出を低減することができる。
【0040】
期間設定部113は、かご2内に複数あるかご内操作盤のうち、少なくとも1つのかご内操作盤が搭載する非接触操作検出部22によって検出された非接触操作を受付けない期間を設定してもよい。例えば、かご2内に複数あるかご内操作盤のうち、誤操作がされやすい位置に設置された操作盤から検出された非接触操作のみを受付けない期間を設定してもよい。このような構成により、かご2内での非接触操作による誤検出を低減することができる。
【0041】
また、期間設定部113は、かご2内に複数あるかご内操作盤のうち、車椅子用の操作盤の非接触操作検出部22によって検出された非接触操作を受付けない期間を設定してもよい。図7はかご内操作盤が複数設置された様子を示す図である。図7において、かご内操作盤20bは、かご2内の袖壁に設置された一般用かご内操作盤であり、非接触操作検出部22bを備える。かご内操作盤20cは、かご2内の側壁に設置された車椅子用かご内操作盤であり、非接触操作検出部22cを備える。車椅子用かご内操作盤20cは、かご2の側壁に設置されているため、また、一般用かご内操作盤20bよりも低い位置に設置されているため、利用者が意図せずに非接触操作してしまう可能性が高い。そのため、期間設定部113が、車椅子用かご内操作盤20cの非接触操作検出部22cによって検出された非接触操作を受付けない期間を設定する構成とすることにより、車椅子用かご内操作盤20cによる誤操作を防ぐことができる。
【0042】
期間設定部113が、非接触操作検出部22によって検出された非接触操作を受付けない期間を設定する場合については、後に詳細に説明する。
【0043】
なお、期間設定部113が設定した非接触操作を受け付けない期間は、操作盤毎に設定されてもよく、一の操作盤に含まれる複数の非接触操作検出部22の全てが、当該操作盤において設定された期間、非接触操作を受付けないこととしてもよい。また、期間設定部113が設定した非接触操作を受付けない期間においては、登録された所定の行先階に向けて運転している、かご2の進行方向の先の階に対応する非接触操作も受付けられない。また、期間設定部113が設定した非接触操作を受付けない期間であっても、ボタンの押下などの接触操作によれば、かご2の進行方向とは逆の階に対応する行先階が登録されてもよい。
【0044】
図2に戻り、通知制御部114は、非接触操作検出部22が、非接触操作を受付け可能であるか否かを示す情報を通知するよう通知部21を制御する。例えば、期間設定部113がかご内操作盤20の非接触操作検出部22によって検出された非接触操作を受付けない期間を設定した場合、通知制御部114は、非接触操作検出部22が非接触操作を受付けできないことを通知部21に通知させる。
【0045】
かご内状況判定部115は、かご2内の状況を判定する。かご内状況判定部115は、かご情報に基づいて、かご2内の混雑度、およびかご2内の利用者が前記操作盤を操作しているか否かを示す利用者の状態のうち少なくともいずれか一方を判定する。例えば、かご内状況判定部115は、かご2の定員に対応する荷重(かご2の最大積載重量)に対する、かご情報取得部24より取得された現在の荷重(現時点のかご2の積載重量)が占める割合を「混雑度」として判定してもよい。また、かご内状況判定部115は、かご2の最大積載重量に対する現時点のかご2の積載重量が占める割合が、所定の閾値よりも高いか否かを「混雑度」として判定してもよい。所定の閾値は、特に限定されないが、例えば、60%以上、70%以上、80%以上のように予め決定されていてもよい。かご内状況判定部115は、かご情報取得部24より取得した画像より、かご内のスペースに対して利用者が占める割合を「混雑度」として判定してもよい。
【0046】
かご内状況判定部115は、かご情報取得部24より取得された画像より、かご内の利用者が前記操作盤を操作しているか否かを示す利用者の状態を判定してもよい。例えば、かご内状況判定部115は、非接触操作検出部22に近接する利用者の指先の方向と、利用者の顔が向いている方向とが、または利用者の視線の方向とが同じであるか否かによって、利用者がかご内操作盤を操作しているか否かを判定してもよい。かご内状況判定部115は、利用者の立ち位置を検出し、利用者がかご内操作盤を操作しようとしているか否かを判定してもよい。この場合、例えば、かご内状況判定部115は、かご情報取得部24より取得された画像に基づいて、利用者と、かご内操作盤との距離を計測し、該距離に基づいて、利用者がかご内操作盤を操作しているか否かを判定してもよい。
【0047】
行先階登録部116は、利用者がかご呼び操作を行った階床を登録する。かご呼び操作とは、かご内で利用者が行先階を選択する操作のことである。期間設定部113が、非接触操作検出部22によって検出された前記非接触操作を受付けない期間を設定している間は、行先階登録部116には、検出信号取得部111からの信号は出力されない。行先階登録部116は、決定した行先階を記憶部120の行先階登録情報122に登録してもよい。行先階登録部116は、非接触操作を受付けた直後に行先階を登録してもよく、また、非接触操作を所定時間(例えば、0.3秒)継続して受付けた後に登録してもよい。
【0048】
(期間設定部113の期間設定)
期間設定部113は、以下の(1)および(2)の場合に、非接触操作検出部22によって検出された非接触操作を受付けない期間を設定する。以下の(1)および(2)の場合に期間設定部113が行う処理については、予め記憶部120の期間設定情報121に格納されていてもよい。
【0049】
また、期間設定部113が行う(1)および(2)の処理は、常時適用されるよう設定されてもよいし、時期、日、時間帯等に応じて自動的に適用されるよう設定されてもよい。エレベータの管理業者等が、時期、日、時間帯等に応じて手動で設定してもよい。建物内に複数のエレベータのかごがある場合は、かご毎に適用されてもよい。
【0050】
(1)かごが走行中またはかごの扉が閉状態の場合
期間設定部113は、かごが走行中またはかごの扉が閉状態の場合は、非接触操作検出部22によって検出された非接触操作を受付けない期間を設定してもよい。かごが走行中またはかごの扉が閉状態であるか否かを示すかご2の運転情報は、運転制御部112より取得してもよい。また、かご情報取得部24がカメラである場合には、かごの扉が閉状態であるか否かを示すかご2の運転情報は、かご情報取得部24から取得した画像に基づき、かご内状況判定部115が判定する構成であってもよい。
【0051】
期間設定部113は、例えば、一定の時間間隔で(例えば、1秒間に10回)、運転制御部112から、かご2の運転情報を取得してもよい。そして、期間設定部113は、かご2が走行中である、またはかご2の扉が閉状態である、という情報を取得した時点で、非接触操作を受付けない期間を設定することを決定してもよい。期間設定部113は、かご情報取得部24から取得された画像に基づいて判定された、かご2の扉が閉状態である、という情報を取得した時点で、非接触操作を受付けない期間を設定することを決定してもよい。また、期間の設定を決定したと同時に、期間を開始してもよい。
【0052】
期間設定部113は、かごが走行中の期間、またはかごの扉が閉状態の期間を、該非接触操作を受付けない期間として設定してもよい。一般に、エレベータの行先階が登録されるのは、利用者が乗り降りする、かご停止中の期間、またはかごの扉が開状態の期間である場合が多く、かごが走行中の期間、またはかごの扉が閉状態の期間は、エレベータの行先階が登録される可能性が比較的低い。そのため、かごが走行中の期間、またはかごの扉が閉状態の期間が、非接触操作を受付けない期間として設定されることにより、かごが走行中の期間、または扉が閉状態の期間の誤操作による誤検出を防ぐことができる。
【0053】
期間設定部113は、例えば、一定の時間間隔で(例えば、1秒間に10回)、運転制御部112から、かご2の運転に関する情報を取得してもよい。そして、期間設定部113は、かご2が停止している、またはかごの扉が開状態である、という情報を取得した時点で、設定した期間の終了を決定してもよい。期間設定部113は、かご情報取得部24から取得された画像に基づいて判定された、かご2の扉が閉状態である、という情報を取得した時点で、非接触操作を受付けない期間を設定することを決定してもよい。また、期間の終了を決定したと同時に、期間を終了してもよい。
【0054】
(2)かご情報取得部24が取得したかご情報に応じて
期間設定部113は、かご情報取得部24が取得した、かご2の積載重量、およびかご2内の画像のうち少なくともいずれか一方であるかご情報に応じて、非接触操作を受付けない期間を設定してもよい。
【0055】
このような構成により、かご2の走行停止状態または扉の開閉状態だけでなく、かご情報に応じて、柔軟に非接触操作による誤検出を防ぐことができる。
【0056】
かご情報取得部24が取得したかご情報は、かご内状況判定部115によって判定されてもよい。期間設定部113は、例えば、一定の時間間隔で(例えば、1秒間に10回)、かご内状況判定部115から判定結果を取得し、後述の(2−1)または(2−2)であると判定した結果を取得した時点で、非接触操作を受付けない期間を設定することを決定してもよい。また、期間の設定を決定したと同時に、期間を開始してもよい。以下に、かご内状況判定部115が判定する場合について説明する。
【0057】
(2−1)かご内状況判定部115が、かご内が混雑していると判定した場合
かご内状況判定部115は、かご情報に基づいて、かご2内の混雑度を判定する。期間設定部113は、かご内状況判定部115が、かご2内が混雑していると判定した場合、非接触操作検出部22によって検出された非接触操作を受付けない期間を設定してもよい。かご内状況判定部115がかご2内の混雑度を判定するタイミングは特に限定されないが、例えば、かご内状況判定部115は、かご2が走行を開始する時点毎、またはかご2の扉が閉状態になった時点毎に混雑度を判定してもよい。
【0058】
かご内が混雑している場合は、利用者の体および荷物等によって、意図しない非接触操作が起こりやすい。そのため、かご2内が混雑していると判定された場合に非接触操作を受付けない期間が設定されることにより、利用者が意図しない非接触操作である誤操作による誤検出を防ぐことができる。
【0059】
非接触操作を受付けない期間の長さは特に限定されないが、例えば、かご内状況判定部115が、かご2内が混雑していると判定した時点から、かご2内が混雑していないと判定される時点までであればよい。期間設定部113は、例えば、一定の時間間隔で(例えば、1秒間に10回)かご内状況判定部115から判定結果を取得し、かご2内が混雑していないという判定結果を取得した時点を、非接触操作を受付けない期間の終了を決定してもよい。また、かご2内の混雑度が変化するのは、利用者の乗降が発生する場合、すなわち、かご2が停止した場合、またはかご2の扉が開状態である場合である。そのため、期間設定部113は、かご2が行先階への移動を開始する時点毎、またはかご2の扉が閉状態になった時点毎に混雑度の判定結果を取得してもよい。また、期間の終了を決定したと同時に、期間を終了してもよい。
【0060】
また、非接触操作を受付けない期間の長さは、例えば、かご内状況判定部115が、かご2内が混雑していると判定した時点から、予め決定された第1の所定時間が経過するまでであってもよい。予め決定された第1の所定時間とは、例えば、数秒から数分の時間であってもよい。
【0061】
(2−2)かご内状況判定部115が、利用者がかご内操作盤を操作していないと判定した場合
かご内状況判定部115は、かご情報に基づいて、かご2内の利用者がかご内操作盤20を操作しているか否かを示す利用者の状態を判定する。期間設定部113は、かご内状況判定部115が、利用者がかご内操作盤20を操作していないと判定した場合、非接触操作検出部22によって検出された非接触操作を受付けない期間を設定してもよい。
【0062】
利用者の体および荷物等によって、利用者自身も意図していない非接触操作が検出されることが多々ある。そのため、利用者が意識的にかご内操作盤20を操作していないと判定された場合に、非接触操作を受付けない期間が設定されることにより、利用者が意図しない非接触操作である誤操作による誤検出を防ぐことができる。
【0063】
非接触操作を受付けない期間の長さは特に限定されないが、例えば、かご内状況判定部115が、利用者がかご内操作盤20を操作していないと判定した時点から、利用者がかご内操作盤20を操作していると判定された時点までであればよい。期間設定部113は、例えば、一定の時間間隔で(例えば、1秒間に10回)かご内状況判定部115から判定結果を取得し、利用者がかご内操作盤20を操作していないという判定結果を取得した時点を、非接触操作を受付けない期間の終了を決定してもよい。また、期間の終了を決定したと同時に、期間を終了してもよい。
【0064】
また、非接触操作を受付けない期間の長さは、例えば、かご内状況判定部115が、利用者がかご内操作盤20を操作していると判定した時点から、予め決定された第2の所定時間が経過するまでであってもよい。予め決定された第2の所定時間とは、例えば、数秒から数分の時間であってもよい。
【0065】
〔エレベータ100が行う処理〕
以下では、本実施形態に係るエレベータ100が行う上述の(1)の場合における処理について、図4を用いて説明する。図4は、エレベータ100が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0066】
まず、制御部110(期間設定部113)は、かご2の扉が閉状態であるか、またはかご2が走行中であるか否かの情報を運転制御部112から取得する(ステップS1)。扉が開状態、またはかご2が停止中である場合(ステップS1のNO)は、ステップS1を繰り返す。扉が閉状態、またはかご2が走行中である場合(ステップS1のYES)は、ステップS2へ進む。
【0067】
次に、制御部110(期間設定部113)は、非接触操作検出部22の非接触操作を受付けない期間を設定し(ステップS2:期間設定ステップ)、ステップS3へ進む。
【0068】
制御部110(期間設定部113)は、かご2の行先階を登録するための非接触操作が検出されたか否かの情報を検出信号取得部111から取得する(ステップS3:検出ステップ)。非接触操作が検出されない場合(ステップS3のNO)は、ステップS3を繰り返す。非接触操作が検出された場合(ステップS3のYES)は、ステップS4へ進む。
【0069】
制御部110は、非接触操作を受付けない期間内であるか否かを判定する。非接触操作を受付けない期間内である場合(ステップS4のYES)は、ステップS3に戻る。非接触操作を受付けない期間内でない場合は、ステップS5へ進む。
【0070】
制御部110は、検出信号取得部111から取得された非接触操作を受付け(ステップS5)、ステップS1に戻る。
【0071】
上記の構成によれば、エレベータ100は、かご2の扉が閉状態、またはかご2が走行中の場合に非接触操作を受付けない。これにより、エレベータ100は、かご2の扉が閉状態、またはかご2が走行中の場合のかご2内での非接触操作による誤検出を防ぐことができる。
【0072】
〔実施形態2〕
実施形態1では、期間設定部113が、非接触操作を受付けない期間を設定する形態を記載したが、期間設定部113は、非接触操作を受付けない期間を変更してもよい。また、期間設定部113は、乗場呼び操作によって、または接触操作によって、非接触操作を受付けない期間を変更してもよい。乗場呼び操作とは、エレベータの乗場において、利用者がかごを呼ぶための操作である。
【0073】
図5は、本実施形態に係るエレベータシステム1000の要部構成の一例を示すブロック図である。図6は、本実施形態に係るエレベータシステム1000の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0074】
図5に示すように、本実施形態に係るエレベータシステム1000は、乗場操作盤30と、エレベータ100とを備えている。
【0075】
(乗場操作盤30)
乗場操作盤30は、各階床のエレベータの乗場に設置され、乗場非接触操作検出部32および乗場接触操作検出部33を備えている。乗場非接触操作検出部32は、かご2を呼ぶための、非接触での乗場呼び操作を検出可能なセンサである。乗場非接触操作検出部32が非接触操作を検出する仕組みについては、かご内の非接触操作検出部22と同様である。
【0076】
乗場接触操作検出部33は、かご2を呼ぶための、接触での乗場呼び操作を検出する。乗場接触操作検出部33は、一例として、ボタンである。利用者によってボタンが押下されることで、乗場接触操作検出部33は接触操作を検出する。
【0077】
乗場操作盤30は、1つに限定されず、複数設けられてもよい。例えば、一般用の乗場操作盤と、車椅子用の乗場操作盤とが設けられていてもよい。
【0078】
(エレベータ100の構成)
図5に示すようにエレベータ100は、制御装置1、およびかご2を備えている。
【0079】
<制御装置1の構成>
制御装置1は、実施形態1で記載した制御装置1と同様に、CPU11およびメモリ12を備えている。
【0080】
<かご2の構成>
かご2は、かご内操作盤20、およびかご情報取得部24を備える。かご内操作盤20は、非接触操作検出部22および通知部21を備える点で、実施形態1のかご内操作盤20と同じであるが、本実施形態のかご2は、接触操作検出部23をさらに備える。
【0081】
接触操作検出部23は、かご2の行先階を登録するための接触操作を検出する。接触操作検出部23は、一例として、ボタンである。利用者によってボタンが押下されることで、接触操作検出部23は接触操作を検出する。
【0082】
(制御装置1の機能)
次に、制御装置1の機能について、図6を用いて説明する。図6は、図5に示すエレベータ100の構成の一例を示す機能ブロック図である。なお、説明の便宜上、図5にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0083】
制御装置1は、制御部110および記憶部120を備えている。制御部110は、図5のCPU11に対応しており、記憶部120は、図5のメモリ12に対応している。
【0084】
制御部110は、実施形態1の制御部110と同様、検出信号取得部111、運転制御部112、期間設定部113、通知制御部114、かご内状況判定部115、および行先階登録部116を備えている。
【0085】
検出信号取得部111は、かご内操作盤20の非接触操作検出部22、および接触操作検出部23、ならびに乗場操作盤30の乗場非接触操作検出部32、および乗場接触操作検出部33からの検出信号を取得する。検出信号取得部111は、取得した検出信号のうち、どの検出部による検出信号であるかを特定してもよい。また、図6には図示していないが、一般用の検出部からの信号であるか、または車椅子用の検出部からの信号であるかを特定してもよい。
【0086】
(期間設定部113の期間変更)
期間設定部113は、以下の(3)から(8)の場合は、非接触操作検出部22によって検出された非接触操作を受付けない期間を変更してもよい。非接触操作を受付けない期間を変更するとは、例えば、非接触操作を受付けない期間の長さを短縮する、または延長することである。また、期間の長さの変更に加えて、または期間の長さの変更をせずに、非接触操作を受付けない期間の開始時期を変更してもよい。
【0087】
以下の(3)から(8)の場合に期間設定部113が行う処理については、予め記憶部120の期間設定情報121に格納されていてもよい。また、期間設定部113が行う(3)から(8)の処理は、常時適用されるよう設定されてもよいし、時期、日、時間帯等に応じて自動的に適用されるよう設定されてもよい。エレベータの管理業者等が、時期、日、時間帯等に応じて手動で設定してもよい。建物内に複数のエレベータのかごがある場合は、かご毎に適用されてもよい。
【0088】
(3)かごの扉が閉状態のときに非接触操作が検出されており、かつ、扉が閉状態から開状態になっても非接触操作の検出状態が継続している場合
期間設定部113は、かご2の扉が閉状態のときに非接触操作が検出されており、かつ、扉が閉状態から開状態になっても非接触操作の検出状態継続している場合、非接触操作検出部22によって検出された非接触操作を受付けない期間を変更してもよい。非接触操作を受付けない期間の変更とは、例えば、非接触操作を受付けない期間を延長することである。
【0089】
期間設定部113は、例えば、一定の時間間隔で(例えば、1秒間に10回)、検出信号取得部111から非接触操作の検出状態の情報、および運転制御部112から扉の開閉情報を取得してもよい。そして、期間設定部113は、非接触操作の検出、かつ扉が閉状態でないという情報を取得した時点で、期間の長さの変更を決定してもよい。
【0090】
図7を用いて具体的に説明する。図7は、かご2内の様子を示している。かご2内には、かご内操作盤20bおよびかご内操作盤20cが設置され、それぞれのかご内操作盤は、それぞれ行先階を登録するための非接触操作検出部22bおよび22cを備えている。
【0091】
かご2の扉が閉状態の間は、期間設定部113が、非接触操作検出部22bおよび非接触操作検出部22cによる非接触操作を受付けない期間を設定している。そのため、図7で示すように、かご内操作盤20cの前に利用者が凭れかかり、利用者の体によって非接触操作検出部22cが非接触操作を検出していても、該非接触操作は受付けられることはない。
【0092】
しかし、かご2の扉が閉状態から開状態になった場合には、期間設定部113が設定した非接触操作を受付けない期間が終了するため、非接触操作検出部22cによる非接触操作が受付けられる。かご2の扉が開状態になっても、利用者がかご内操作盤20cに凭れかかったままであり、利用者の体によって非接触操作検出部22cが非接触操作を検出し続けたままである場合、該非接触操作は受付けられてしまう虞がある。そのため、かご2の扉が閉状態のときに非接触操作が検出されており、かつ、かご2の扉が閉状態から開状態になっても非接触操作の検出状態が継続している場合は、期間設定部113は、例えば、非接触操作を受付けない期間を延長する。
【0093】
上記の構成により、かごの扉が閉状態から開状態になった場合に検出され得る、利用者が意図しない非接触操作による誤検出を防ぐことができる。
【0094】
非接触操作を受付けない対象のかご内操作盤は、かご2の扉が閉状態から開状態になるときに非接触操作を検出し続けているかご内操作盤20cのみでもよく、かご2内の全てのかご内操作盤でもよい。
【0095】
延長する期間の長さは、例えば、かごの扉が開状態のときに継続している非接触操作が検出されなくなる時点までの期間であってもよい。期間設定部113は、例えば、一定の時間間隔で(例えば、1秒間に10回)、検出信号取得部111から非接触操作の検出状態、および運転制御部112から扉の開閉情報を取得してもよい。そして、期間設定部113は、非接触操作の検出が無く、かつ扉が閉状態でないという情報を取得した時点を、期間の終了時点として決定してもよい。
【0096】
(4)かごが走行中に非接触操作が検出されており、かつ、かごの停止時においても非接触操作の検出状態が継続している場合
期間設定部113は、かごが走行中に非接触操作が検出されており、かつ、かごの停止時においても非接触操作の検出状態が継続している場合、非接触操作検出部22によって検出された非接触操作を受付けない期間を変更してもよい。
【0097】
利用者の体および荷物等によって非接触操作が検出されている場合、かごが走行中の期間は、期間設定部113が非接触操作検出部22によって検出された非接触操作を受付けない期間を設定しているため、非接触操作が検出されない。しかし、かごの停止時も、利用者の体および荷物等による非接触操作が継続している場合、非接触操作検出部22の操作が受付けられるため、誤検出となる虞がある。そのため、かごの走行中からかごの停止時まで非接触操作の検出状態が継続している場合は、非接触操作検出部22によって検出された非接触操作を受付けない期間を延長してもよい。これにより、利用者が意図しない非接触操作である誤操作による誤検出を防ぐことができる。
【0098】
延長する期間の長さは、例えば、かごの走行中およびかごの停止時に継続している非接触操作が検出されなくなる時点までの期間であってもよい。
【0099】
上記の構成により、かごが走行中から停止している間に検出され得る、利用者が意図しない非接触操作による誤検出を防ぐことができる。
【0100】
非接触操作を受付けない対象のかご内操作盤は、かご2が走行中から停止するときに非接触操作を検出し続けているかご内操作盤20cのみでもよく、かご2内の全てのかご内操作盤でもよい。
【0101】
延長する期間の長さは、例えば、かご2が停止時において継続している非接触操作が検出されなくなる時点までの期間であってもよい。期間設定部113は、例えば、一定の時間間隔で(例えば、1秒間に10回)検出信号取得部111から非接触操作の検出状態の情報、および運転制御部112からかご2の運転情報を取得してもよい。そして、期間設定部113は、非接触操作の検出が無く、かつ、かご2が停止しているという情報を取得した時点を、期間の終了時点として決定してもよい。
【0102】
〔エレベータ100が行う処理((3)および(4)の場合)〕
以下では、本実施形態に係るエレベータ100が行う、上記の(3)および(4)の場合における処理について、図8を用いて説明する。図8は、エレベータ100が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0103】
まず、期間設定部113は、かご2の扉が閉状態であるか、またはかご2が走行中であるか否かの情報を運転制御部112から取得する(ステップS11)。扉が開状態、またはかご2が停止中である場合(ステップS11のNO)は、ステップ11を繰り返す。かご2の扉が閉状態、またはかご2が走行中である場合(ステップS11のYES)は、ステップS12へ進む。
【0104】
期間設定部113は、非接触操作検出部22の非接触操作を受付けない期間を設定し(ステップS12:期間設定ステップ)、ステップS13へ進む。
【0105】
次に、期間設定部113は、かご2の行先階を登録するための非接触操作が検出されたか否かの情報を検出信号取得部111から取得する(ステップS13:検出ステップ)。非接触操作が検出されない場合(ステップS13のNO)は、ステップS13を繰り返し、非接触操作が検出された場合(ステップS13のYES)は、ステップS14へ進む。
【0106】
期間設定部113は、かご2の扉が閉状態であるか、またはかご2が走行中であるか否かの情報を運転制御部112から取得する(ステップS14)。扉が開状態、またはかご2が停止中である場合(ステップS14のNO)は、ステップS15へ進む。かご2の扉が閉状態、またはかご2が走行中である場合(ステップS14のYES)は、ステップS13に戻る。
【0107】
続いて、期間設定部113は、ステップS13における非接触操作の検出状態が継続しているか否かの情報を検出信号取得部111から取得する(ステップS15)。非接触操作の検出状態が継続している場合(ステップS15のYES)は、ステップS16へ進み、非接触操作の検出状態が継続していない場合(ステップS15のNO)は、ステップS11に戻る。
【0108】
期間設定部113は、非接触操作を受付けない期間を変更する(ステップS16)。その後、ステップS15に戻る。
【0109】
期間設定部113は、本処理において、S11に応じて、非接触操作を受付けない期間の開始を設定し、S15に応じて、非接触操作を受付けない期間の終了を設定する。
【0110】
(5)車椅子用の乗場操作盤における乗場呼び操作がされた場合
期間設定部113は、車椅子用の乗場操作盤における乗場呼び操作がされた場合に、乗場呼び操作に対応する階床に到着したかご2の車椅子用操作盤において、非接触操作検出部22によって検出された非接触操作を受付けない期間を変更してもよい。
【0111】
図9は、乗場操作盤30を示す。乗場操作盤30は、一般用の乗場操作盤30a、および一般用の乗場操作盤30aよりも低い位置に車椅子用の乗場操作盤30bを備え、それぞれの操作盤は乗場接触操作検出部33a、33b、および乗場非接触操作検出部32a、32bを備えている。
【0112】
また、図10は、かご2を示す。かご2は、かご内操作盤20bおよび20cを備える。かご内操作盤のうち、20cは車椅子用のかご内操作盤である。また、各かご内操作盤は、それぞれ非接触操作検出部22bおよび22cを備える。車椅子用の乗場操作盤30bにおいて乗場呼び操作がされた場合は、車椅子の利用者が乗場呼び操作を行った可能性が高く、該利用者は、かご2内においても車椅子用のかご内操作盤20cを操作する可能性が高い。そのため、期間設定部113は、乗場呼び操作が行われた階床に到着したかご2内の車椅子用のかご内操作盤20cの非接触操作を受付けない期間を変更してもよい。この場合、乗場接触操作検出部33bであっても、乗場非接触操作検出部32bであっても、車椅子用の検出部が操作されれば、期間設定部113は、かご2内の車椅子用のかご内操作盤20cの非接触操作を受付けない期間を変更してもよい。
【0113】
例えば、期間設定部113は、非接触操作を受付けない期間の開始時期を変更してもよい。具体的には、期間設定部113は、一定の時間間隔で(例えば、1秒間に10回)、検出信号取得部111から乗場呼び操作が行われたことを示す情報を取得してもよい。そして、期間設定部113は、車椅子用の乗場操作盤30bにおいて乗場呼び操作がされた旨の情報を取得した時点で、期間の開始時期を変更することを決定してもよい。
【0114】
期間設定部113は、かご2内で操作された車椅子用操作盤に対応する階床に到着するまでの期間は、非接触操作を受付けない期間を設定せず、前記対応する階床に到着した時点から非接触操作を受付けない期間を設定するよう変更してもよい。具体的には、期間の開始時期は、かご2が車椅子用の乗場操作盤30bによって乗場呼び操作された階床に到着し、かご2が停止した時点から、車椅子用のかご内操作盤によって登録された行先階に到着し、かご2が走行を始める時点までに変更されてもよい。
【0115】
上記の構成により、車椅子用の乗場操作盤30bにおける乗場呼び操作がされた場合は、車椅子用のかご内操作盤20cによる非接触操作を受付けることができる。すなわち、かごの扉が閉状態、またはかごが走行中の場合であっても、車椅子の利用者が非接触操作によって行先階を登録することができる。また、車椅子用のかご内操作盤を利用する可能性が低い場合には、乗降時の乗客の動作による誤検出を防ぐことができる。
【0116】
(6)乗場操作盤の乗場非接触操作検出部による呼び操作がされた場合
期間設定部113は、乗場操作盤の乗場非接触操作検出部32による呼び操作がされた場合に、非接触操作検出部22によって検出された非接触操作を受付けない期間を変更してもよい。
【0117】
乗場操作盤30の乗場非接触操作検出部32において乗場呼び操作がされた場合は、該乗場呼び操作を行った利用者は、かご2内においても非接触操作検出部22bおよび22cを操作する可能性が高い。そのため、乗場呼び操作が行われた階床に到着したかご2内の非接触操作検出部22bおよび22cは非接触操作を受付けない期間を変更してもよい。
【0118】
例えば、期間設定部113は、非接触操作を受付けない期間の開始時期を変更してもよい。具体的には、期間設定部113は、一定の時間間隔で(例えば、1秒間に10回)、検出信号取得部111から乗場呼び操作がされたことを示す情報を取得してもよい。そして、期間設定部113は、乗場非接触操作検出部32において乗場呼び操作がされた旨の情報を取得した時点で、期間の開始時期を変更することを決定してもよい。
【0119】
期間設定部113は、かご2内で操作された非接触操作検出に対応する階床に到着するまでの期間は、非接触操作を受付けない期間を設定せず、前記対応する階床に到着した時点から非接触操作を受付けない期間を設定するよう変更してもよい。具体的には、期間の開始時期は、かご2が乗場非接触操作検出部32によって乗場呼び操作された階床に到着し、かご2が停止した時点から、非接触操作検出部22によって登録された行先階に到着し、かご2が走行を始める時点までに変更されてもよい。
【0120】
上記の構成により乗場非接触操作検出部32によって乗場呼び操作がされた場合は、かご内操作盤20による非接触操作を受付けることができる。すなわち、かごの扉が閉状態、またはかごが走行中の場合であっても、積極的に非接触操作を行いたいと希望する利用者が、非接触操作によって行先階を登録することができる。
【0121】
〔エレベータ100が行う処理((5)および(6)の場合)〕
以下では、本実施形態に係るエレベータ100が行う、上記の(5)および(6)の場合における処理について、図11を用いて説明する。図11は、エレベータ100が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0122】
まず、期間設定部113は、かご2の扉が閉状態であるか、またはかご2が走行中であるか否かの情報を運転制御部112から取得する(ステップS21)。扉が開状態である場合、またはかご2が停止中である場合(ステップS21のNO)は、ステップS21を繰り返す。扉が閉状態である場合、またはかご2が走行中である場合(ステップS21のYES)は、ステップS22へ進む。
【0123】
期間設定部113は、非接触操作検出部22の非接触操作を受付けない期間を設定し(ステップS22:期間設定ステップ)、ステップS23へ進む。
【0124】
期間設定部113は、乗場操作盤30によって、所定の乗場呼び操作が検出されたことを示す情報を検出信号取得部111より取得する(ステップS23)。所定の乗場呼び操作とは、例えば、上記の(5)の場合は、図9における車椅子用の乗場操作盤30bによる乗場呼び操作、または上記の(6)の場合は、図9における乗場非接触操作検出部32aおよび32bによる乗場呼び操作のことである。
【0125】
所定の乗場呼び操作が検出された場合(ステップS23のYES)は、ステップS24に進み、所定の乗場呼び操作が検出されていない場合(ステップS23のNO)は、ステップS23を繰り返す。
【0126】
続いて、期間設定部113は、所定の乗場呼び操作に対応する階床にかご2が到着したか否かの情報を運転制御部112より取得する(ステップS24)。所定の乗場呼び操作に対応する階床とは、ステップS23において乗場呼び操作が検出された階床のことである。例えば、建物の3階に設置された乗場操作盤による乗場呼び操作が検出された場合は、期間設定部113は、3階にかご2が到着したか否かの情報を取得する。
【0127】
所定の乗場呼び操作に対応する階床にかご2が到着した場合(ステップS24のYES)は、ステップS25に進み、かご2が到着していない場合(ステップS24のNO)は、ステップS24を繰り返す。
【0128】
続いて、期間設定部113は、乗場呼び操作に対応したかご内操作盤による非接触操作を受付けない期間を変更する(ステップS25)。ここで、乗場呼び操作に対応したかご内操作盤による非接触操作とは、例えば、上記の(5)の場合は、図10におけるかご内操作盤20cに設置された非接触操作検出部22cの非接触操作よるかご呼び操作のことである。また、乗場呼び操作に対応したかご内操作盤による非接触操作とは、例えば、上記の(6)の場合は、図10におけるかご内操作盤20b、20cに設置された非接触操作検出部22b、22cの非接触操作によるかご呼び操作のことである。
【0129】
期間設定部113は、かご呼び操作に対応する階床にかご2が到着したか否かの情報を運転制御部112より取得する(ステップS26)。ここで、かご呼び操作に対応する階床とは、ステップS23におけるかご2内のかご呼び操作によって行先階が登録された階床のことである。例えば、上記の(5)の場合は、図10における非接触操作検出部22cによる非接触操作で登録された行先階のことであり、上記の(6)の場合は、図10における非接触操作検出部22bおよび22cによる非接触操作で登録された行先階のことである。
【0130】
かご呼び操作に対応する階床にかごが到着した場合(ステップS26のYES)は、ステップS21に戻り、かご呼び操作に対応する階床にかごが到着していない場合(ステップS26のNO)は、ステップS26を繰り返す。
【0131】
(7)かごが走行中であり、かつ、接触操作検出部23によって操作が検出された場合
かご2が走行中であっても、かご2内の利用者の何れかが接触操作検出部23によって行先階を登録した場合、連鎖的にかご2内の別の利用者が行先階を登録する場合がある。
【0132】
そのため、期間設定部113は、かご2が走行中であり、かつ、接触操作検出部23によって操作が検出された場合に、非接触操作検出部22によって検出された非接触操作を受付けない期間を変更してもよい。
【0133】
期間設定部113は、例えば、接触操作検出部23によって操作が検出された時点から第3の所定時間は、非接触操作を受付けない期間を設定せず、所定時間経過後から非接触操作を受付けない期間を設定すればよい。第3の所定時間とは、例えば数秒から数分の時間であってもよい。
【0134】
また、期間設定部113は、例えば、接触操作検出部23によって操作が検出された時点から、かごの扉が開状態になるまで、またはかご2が停止状態になるまでの期間を、非接触操作を受付けない期間としてもよい。
【0135】
上記の構成より、かご2が走行中であっても、接触操作検出部23によって操作が検出された場合に、非接触操作検出部22によって検出された非接触操作が受付けられる。これにより、かご2内の利用者が非接触操作によって行先階を登録することができる。
【0136】
(8)かごの扉が閉状態となった時点から、所定時間内
かご2の扉が閉状態になっても、第4の所定時間内は、かご2内の利用者が行先階を登録する可能性が高い。
【0137】
そのため、期間設定部113は、かご2の扉が閉状態となった時点から、第4の所定時間経過後まで、非接触操作検出部22によって検出された非接触操作を受付けない期間を変更してもよい。
【0138】
期間設定部113は、例えば、非接触操作を受付けない期間の開始時点を、かご2の扉が閉状態となった時点から第4の所定時間経過時点に変更してもよい。第4の所定時間とは、例えば数秒から数分の時間であってもよい。すなわち、かご2の扉が閉状態となった時点から、第4の所定時間内は、非接触操作検出部22によって検出された非接触操作は受付けられる。また、第4の所定時間が長すぎると、かご2が次の行先階へ到着した後も非接触操作が受け付けられないため、第4の所定時間は、少なくとも次の行先階にかご2が到着する前に、第4の所定時間が終了することとしてもよい。
【0139】
上記の構成により、かご2の扉が閉状態であっても、所定の時間内は、非接触操作検出部22によって検出された非接触操作が受付けられる。これにより、かご2内の利用者が非接触操作によって行先階を登録することができる。
【0140】
〔実施形態3〕
上記の実施形態に係る制御装置1の検出信号取得部111、期間設定部113、および通知制御部114をかご2aに設置されるかご内操作盤20aが備える構成であってもよい。このような構成を備えるエレベータ100aについて、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0141】
(エレベータ100aの構成)
本発明の実施形態3に係るエレベータ100aの構成について、図12および図13を用いて説明する。図12は、エレベータ100aの構成の一例を示すブロック図であり、図13は、図12に示すエレベータ100aの構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0142】
図12に示すように、エレベータ100aは制御装置1aおよびかご2aを備えている。
【0143】
<制御装置1aの構成>
制御装置1aは、エレベータ100aの運転制御全般を統括して行うコンピュータであり、CPU11aおよびメモリ12aを備えている。
【0144】
CPU11aは、メモリ12aから各種制御プログラムを読み出して実行する。一方、メモリ12aには、例えば、かご2aの移動制御、およびかごの扉の開閉制御、乗場呼びが行われた階床にかご2aを移動させる制御、行先階として登録された階床にかご2aを移動させる制御等が含まれていてもよい。
【0145】
<制御装置1aの機能>
次に、制御装置1aの機能について、図13を用いて説明する。
【0146】
図13に示すように、制御装置1aは、制御部110aおよび記憶部120aを備えている。制御部110aは、図12のCPU11aに対応しており、記憶部120aは、図12のメモリ12aに対応している。
【0147】
制御部110aは、運転制御部112および行先階登録部116aを備えている。運転制御部112は、エレベータの運転を制御する。運転制御部112は、例えば、乗場呼びが行われた階床にかご2を移動させる制御、行先階として登録された階床にかご2を移動させる制御、かご2の扉の開閉制御等を行う。
【0148】
行先階登録部116aは、利用者がかご呼び操作を行った階床を登録する。行先階登録部116aは、期間設定部113aが非接触操作を検出しない期間を設定していない期間において、かご呼び操作がされた階床を登録することができる。行先階登録部116aは、かご2の行先階についての情報を記憶部120aの行先階登録情報122aに格納してもよい。
【0149】
<かご2aの構成>
かご2aは、実施形態1のエレベータ100のかご2と同様、利用者の行先階の登録を受付けるためのかご内操作盤20a、およびかご情報を取得するためのかご情報取得部24が設置されている。
【0150】
<かご内操作盤20aの構成および機能>
図12に戻り、かご内操作盤20aは、通知部21、非接触操作検出部22、CPU26、およびメモリ27を備えている。
【0151】
かご内操作盤20aは、図13に示すように、通知部21および非接触操作検出部22に加え、制御部260、記憶部270およびかご内状況判定部115を備えている。制御部260は、図12のCPU26に対応しており、記憶部270は、図12のメモリ27に対応している。記憶部270には、期間設定情報121が格納されている。
【0152】
制御部260は、検出信号取得部111、期間設定部113a、および通知制御部114を備えている。
【0153】
期間設定部113aは、検出信号取得部111、運転制御部112、およびかご内状況判定部115から取得する情報に基づいて、非接触操作検出部22の非接触操作を受付けない期間を設定する。期間設定部113aは、記憶部270の期間設定情報121に基づいて、非接触操作検出部22の非接触操作を受付けない期間を設定してもよい。
【0154】
エレベータ100aでは、期間設定部113aが行う、非接触操作検出部22によって検出された非接触操作を受付けない期間を設定する処理を、かご内操作盤20aにおいて実行することができる。この構成を採用すれば、かご内操作盤毎に非接触操作を受付けない期間を設定することが可能であり、かご内操作盤20aの非接触操作による誤検出を低減することができる。
【0155】
〔エレベータ100aが行う処理〕
エレベータ100aが行う処理は、実施形態1のエレベータ100が行う処理と同じであるため、説明を省略する。
【0156】
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御装置1、1aの制御部110、110aおよびかご内操作盤20aの制御部260は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0157】
後者の場合、制御装置1、1aおよびかご内操作盤20aは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0158】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0159】
2 かご
20、20a かご内操作盤
21 通知部
22 非接触操作検出部
23 接触操作検出部
24 かご情報取得部
30 乗場操作盤
32 乗場非接触操作検出部
100、100a エレベータ
113、113a 期間設定部
115 かご内状況判定部
【要約】
【課題】かご内での非接触操作による誤検出を低減するエレベータ、操作盤、およびエレベータの制御方法等を実現する。
【解決手段】エレベータ(100)はかご(2)の行先階を登録するための非接触操作を検出可能な非接触操作検出部(22)を有するかご内操作盤(20)と、前記非接触操作を受付けない期間を設定する期間設定部(113)と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13