特許第6988998号(P6988998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6988998
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】鍵アセンブリおよび鍵盤装置
(51)【国際特許分類】
   G10C 3/16 20190101AFI20211220BHJP
   G10C 3/12 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   G10C3/16 100
   G10C3/12 100
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-510178(P2020-510178)
(86)(22)【出願日】2018年3月26日
(86)【国際出願番号】JP2018012051
(87)【国際公開番号】WO2019186626
(87)【国際公開日】20191003
【審査請求日】2020年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小川 賢人
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 一郎
【審査官】 山下 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−194468(JP,A)
【文献】 特開2008−90167(JP,A)
【文献】 実公昭49−2178(JP,Y1)
【文献】 実開昭51−44915(JP,U)
【文献】 実開昭53−40220(JP,U)
【文献】 実開昭61−13897(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10C 3/12,3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャプスタンと、
上面、前記キャプスタンが支持される第1の内側面を有する孔部、および前記孔部と前記上との間に配置され、前記キャプスタンを囲む第2の内側面を有する開口部、を含む鍵と、
を備える鍵アセンブリ。
【請求項2】
前記開口部の前記第2の内側面と前記キャプスタンとは、少なくとも一部離隔する請求項1に記載の鍵アセンブリ。
【請求項3】
前記キャプスタンは、頭部と、ねじ部を含む軸部と、を有し、
前記ねじ部は前記孔部の前記第1の内側面と噛み合う請求項1又は請求項2に記載の鍵アセンブリ。
【請求項4】
前記軸部は、前記頭部と前記ねじ部との間に円筒部をさらに含み、
前記円筒部の最大径は前記ねじ部の最大径より小さい請求項3に記載の鍵アセンブリ。
【請求項5】
前記円筒部の最大径は前記ねじ部の最小径より小さい請求項4に記載の鍵アセンブリ。
【請求項6】
前記ねじ部はすべて前記孔部に配置される請求項4又は請求項5に記載の鍵アセンブリ。
【請求項7】
前記円筒部の一部は前記孔部に配置される請求項4乃至請求項6の何れか1項に記載の鍵アセンブリ。
【請求項8】
前記頭部の最大径は前記開口部の最大径より大きい請求項3乃至請求項7の何れか1項に記載の鍵アセンブリ。
【請求項9】
前記開口部の最大径と前記孔部の最大径とは同じである請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の鍵アセンブリ。
【請求項10】
軸方向における前記孔部の長さは、軸方向における前記ねじ部の長さより長い請求項3乃至請求項9の何れか1項に記載の鍵アセンブリ。
【請求項11】
前記鍵は、前記上面とは反対側に下面を含み、
前記孔部は、前記下面まで貫通している請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の鍵アセンブリ。
【請求項12】
前記鍵は木製である請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の鍵アセンブリ。
【請求項13】
棚板と、
キャプスタンと鍵とを含み、前記棚板に対して回動可能に配置された鍵アセンブリと、
前記キャプスタンに載置されるアクション機構と、を備え
前記鍵は、上面、前記キャプスタンが支持される第1の内側面を有する孔部、および前記孔部と前記上面との間に配置され、前記キャプスタンを囲む第2の内側面を有する開口部、を含む鍵盤装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵盤装置に用いる鍵に関する。
【背景技術】
【0002】
鍵盤楽器は多くの部品によって構成され、各鍵に対応して設けられるアクション機構は非常に複雑である。鍵盤楽器において鍵の押鍵動作は、鍵を回動し、アクション機構を介してハンマーが打弦することによって発音する。このとき、鍵は押鍵動作によって回動し、鍵後方部に取りつけられたキャプスタンによってアクション機構を駆動する。キャプスタンはスクリュー型であり、キャプスタンスクリューを回すことでキャプスタンスクリューの高さを調整することができる。キャプスタンスクリューの高さを調整することで、アクション機構を介したハンマーの高さ(打弦距離)を調整することができる。
【0003】
鍵、アクション機構、およびハンマーの動作は、鍵を介して演奏者の指に感覚(以下、タッチ感という)を与える。したがって、キャプスタンスクリューによって打弦距離を調整することで、鍵のタッチ感を変えることができる。さらに鍵盤楽器の各鍵の打弦距離を揃えることで、各鍵のタッチ感を調整することができる。また、鍵、アクション機構、およびハンマーは主に木材で構成されており、環境変化および経年変化などによって、調整にずれが生じることがある。このような場合にも、キャプスタンスクリューによって打弦距離を調整することで、いつでも同じタッチ感を維持することができる。
【0004】
特許文献1には、鍵本体へのキャプスタンの取付け位置を前後方向の任意の位置に調整でき、それにより、鍵のタッチ重さをより広い範囲で調整することができる鍵盤楽器の鍵が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−90167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1においては、環境変化および経年変化などによる調整のずれを抑制することに関しては何ら考慮がなされていない。本発明の目的の一つは、鍵の環境変化および経年変化を抑制することで、調整のずれを抑制し、信頼性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による鍵アセンブリは、キャプスタンと、前記キャプスタンが支持される内側面を有する孔部、および前記孔部よりも表面側に配置され、前記キャプスタンを囲む内側面を有する開口部、を含む鍵と、を備える。
【0008】
また、前記開口部の内側面と前記キャプスタンとは、少なくとも一部離隔してもよい。
【0009】
また、前記キャプスタンは、頭部と、ねじ部を含む軸部と、を有し、前記ねじ部は前記孔部の内側面と噛み合ってもよい。
【0010】
また、前記軸部は、前記頭部と前記ねじ部との間に円筒部をさらに含み、前記円筒部の最大径は前記ねじ部の最大径より小さくてもよい。
【0011】
また、前記円筒部の最大径は前記ねじ部の最小径より小さくてもよい。
【0012】
また、前記ねじ部はすべて前記孔部に配置されてもよい。
【0013】
また、前記円筒部の一部は前記孔部に配置されてもよい。
【0014】
また、前記頭部の最大径は前記開口部の最大径より大きくてもよい。
【0015】
また、前記開口部の最大径と前記孔部の最大径とは同じであってもよい。
【0016】
また、前記孔部は、軸方向に前記ねじ部より長くてもよい。
【0017】
また、前記孔部は、前記開口部とは反対側に貫通していてもよい。
【0018】
また、前記鍵は木製であってもよい。
【0019】
本発明の一実施形態による鍵盤装置は、棚板と、前記棚板に対して回動可能に配置された請求項1乃至12の何れか1項に記載の鍵アセンブリと、前記キャプスタンに載置されるアクション機構と、を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、鍵の環境変化および経年変化を抑制することで、調整のずれを抑制し、信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態における鍵盤装置のアクション機構近傍を示す拡大図である。
図2】本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大上面図である。
図3】本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大断面図である。
図4】本発明の一実施形態における締結前のキャプスタンスクリューの部分拡大断面図である。
図5】本発明の一実施形態における締結前の鍵の部分拡大断面図である。
図6】本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大上面図である。
図7】本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大断面図である。
図8】本発明の一実施形態における締結前のキャプスタンスクリューの部分拡大断面図である。
図9】本発明の一実施形態における締結前の鍵の部分拡大断面図である。
図10】本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大断面図である。
図11】本発明の一実施形態における締結前のキャプスタンスクリューの部分拡大断面図である。
図12】本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大断面図である。
図13】本発明の一実施形態における締結前のキャプスタンスクリューの部分拡大断面図である。
図14】本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大上面図である。
図15】本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大断面図である。
図16】本発明の一実施形態における締結前のキャプスタンスクリューの部分拡大断面図である。
図17】本発明の一実施形態における締結前の鍵の部分拡大断面図である。
図18】本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大断面図である。
図19】本発明の一実施形態における締結前のキャプスタンスクリューの部分拡大断面図である。
図20】本発明の変形例におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大断面図である。
図21】本発明の変形例におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大断面図である。
図22】本発明の変形例におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態における鍵盤装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、B等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率(各構成間の比率、縦横高さ方向の比率等)は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
【0023】
以下の説明で用いる方向(回動方向Rおよびヨーイング方向Y)について定義する。回動方向Rは、鍵2の回動する方向に対応する。ヨーイング方向Yは、鍵2を上方から見たときに左右方向に曲がる方向である。鍵2のヨーイング方向Yの移動はスケール方向Sに曲がる(反る)ことに相当する。
【0024】
<第1実施形態>
[鍵盤装置の全体構成]
本実施形態においては、鍵盤装置の一例として、その前面に演奏者によって演奏操作がなされる鍵が複数配列された鍵盤を有するグランドピアノについて説明する。しかしながら鍵盤装置はこれに限定されず、後述する鍵とキャプスタンスクリューとを有する鍵アセンブリによって駆動される鍵盤装置であればよい。
【0025】
複数の鍵は、白鍵および黒鍵を含む。複数の白鍵と複数の黒鍵とは並んで配列されている。鍵の数は、N個であり、ここでは88個とする。複数の鍵が配列された方向をスケール方向という。ここで白鍵および黒鍵を特に区別せずに説明する場合には、鍵2という。
【0026】
[鍵盤アセンブリの構成]
図1は、鍵盤装置のアクション機構近傍を示す拡大図である。図1において各鍵2に対応して設けられている構成については、図示する1つの鍵2(この例では白鍵)に対応して設けられている各構成に着目して示し、他の鍵2に対応して設けられている各構成については記載を省略している。
【0027】
なお、本明細書における説明において、上、下、左、右、手前および奥などの方向は、演奏するときの演奏者から鍵盤装置を見た場合の方向を示している。また、鍵前端側(鍵前方側)、鍵後端側(鍵後方側)のように、鍵2を基準として方向を示す場合もある。この場合、鍵前端側は鍵2に対して演奏者から見た手前側を示す。鍵後端側は鍵2に対して演奏者から見た奥側を示す。
【0028】
図1に示すように、鍵盤装置の内部には、鍵盤アセンブリ10が配置されている。鍵盤アセンブリ10は、上述した鍵2を含む鍵アセンブリ100、アクション機構45、ハンマ4および棚板6を含む。鍵盤アセンブリ10は、ほとんどの構成が木製の構造体である。棚板6は、鍵盤装置の筐体に固定されている。棚板6はバランスピン7を有する。棚板6のバランスピン7は、鍵アセンブリ100を棚板6に対して回動可能に接続する。バランスピン7は、鍵2が延在する方向の略中心で鍵アセンブリ100を支持する支点となる。したがって、鍵2の押鍵動作によって、鍵アセンブリ100はバランスピン7を支点に棚板6に対して回動する。
【0029】
鍵アセンブリ100は、鍵2の支点(バランスピン7により支持される位置)より後端側にキャプスタンスクリュー9を有する。キャプスタンスクリュー9は、金属製の構造体である。キャプスタンスクリュー9は、頭部12と軸部14を有する。キャプスタンスクリュー9の軸部14は鍵2の上面側(押鍵される面側)に締結され、キャプスタンスクリュー9の頭部12は鍵2の上方に配置される。すなわち、キャプスタンスクリュー9の頭部12は、鍵2の上方に突出している。なお、キャプスタンスクリュー9と鍵2との締結箇所の構成は後で詳しく説明する。
【0030】
鍵アセンブリ100の上には、アクション機構45およびハンマ4がフレーム40に対して回動可能に配置される。アクション機構45およびハンマ4は、各鍵アセンブリ100に対応して設けられる。アクション機構45の下面に配置されるサポートヒール43は、鍵アセンブリ100のキャプスタンスクリュー9の上面と摺動可能に接触している。この摺動部分、すなわちアクション機構45のサポートヒール43と鍵アセンブリ100のキャプスタンスクリュー9とが接触する部分は、鍵2の支点(バランスピン7により支持される位置)より後方であって鍵2の上方に位置する。
【0031】
通常時(押鍵していないとき)には、アクション機構45が鍵アセンブリ100のキャプスタンスクリュー9上に載置された状態であり、鍵2の前端側を押し上げている。鍵2の前端側が押鍵されると、鍵アセンブリ100は支点を中心に回動し、キャプスタンスクリュー9がアクション機構45を介してハンマ4を上方に移動する。この結果、ハンマ4は、各鍵アセンブリ100に対応して設けられた弦5を打撃する。弦5は、各鍵アセンブリ100に対応した振動周波数を有し、ハンマ4からの打撃により発音する。鍵2が離鍵されると、鍵アセンブリ100が支点を中心に回動して元に戻り、アクション機構45およびハンマ4を下方に移動する。このため、キャプスタンスクリュー9はアクション機構45を駆動し、一方で、鍵2に負荷を与える位置と定義する。
【0032】
[キャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の構成]
図2から図5を用いて、キャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の構成を詳しく説明する。図2は、本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大上面図である。図3は、本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大断面図である。図4は、本発明の一実施形態における締結前のキャプスタンスクリューの部分拡大断面図である。図5は、本発明の一実施形態における締結前の鍵の部分拡大断面図である。
【0033】
キャプスタンスクリュー9は、頭部12と軸部14を有する。本実施形態において、軸部14はねじ部16を有する。キャプスタンスクリュー9のねじ部16は、鍵2の孔部24に締結される。頭部12の径d1は、ねじ部16の径d2より大きい。ここで頭部12の径d1とは軸方向に見た頭部12の最大径を示し、ねじ部16の径d2とは軸方向に見たねじ部16の最大径を示す。キャプスタンスクリュー9は頭部12の径d1がねじ部16の径d2より大きいことで、アクション機構45を安定して載置することができ、鍵の押離動作に応じて安定してアクション機構45と摺動することができる。本実施形態において、上面から見た頭部12および軸部14は円形である。上面から見た頭部12の中心と軸部14の中心とは略一致する。しかしながらこれに限定されず、頭部12は例えば多角形であってもよく、頭部12の中心と軸部14の中心とはずれていてもよい。
【0034】
鍵2は上面(押鍵される面側)に、開口部22と、キャプスタンスクリュー9が支持される内側面を有する孔部24と、を含む。ここで、孔部24は開口部22の底部に配置される。すなわち、開口部22は孔部24よりも鍵2の表面側に配置され、開口部22と孔部24とは鍵アセンブリ100の回動方向に連続している。キャプスタンスクリュー9が支持される孔部24が開口部22の底部に配置されることで、キャプスタンスクリュー9が支持される領域付近の鍵2の回動方向における環境変化および経年変化を受ける幅がh3からh4に減少する。このため、鍵2の回動方向における変化量が同じ割合であれば、キャプスタンスクリュー9が鍵2から受ける軸方向における変化量はh4/h3に抑制される。すなわち、キャプスタンスクリュー9が支持される孔部24が開口部22の底部に配置されることで、キャプスタンスクリュー9が鍵2の回動方向における環境変化および経年変化により受ける影響を抑制することができる。このため、鍵アセンブリ100は調整のずれを抑制することができる。
【0035】
開口部22の内側面および孔部24の内側面は、何れもキャプスタンスクリュー9を囲むように配置される。別言すると、開口部22および孔部24は、鍵アセンブリ100の回動方向以外に閉じた穴である。したがって、開口部22のスケール方向の幅は鍵2のスケール方向の幅より小さい。開口部22がキャプスタンスクリュー9を囲むように配置されることで、鍵2の大部分は回動方向に幅h3を維持することができる。このため、鍵2は開口部22を有しても十分な強度を維持することができ、鍵アセンブリ100は信頼性を維持することができる。
【0036】
本実施形態において、上面から見た開口部22および孔部24は円形である。上面から見た開口部22の中心と孔部24の中心とは略一致する。しかしながらこれに限定されず、開口部22は例えば多角形であってもよく、開口部22の中心と孔部24の中心とはずれていてもよい。本実施形態において、開口部22の径D1は孔部24の径D2より大きい。ここで開口部22の径D1とは上面から見た開口部22の最大径を示し、孔部24の径D2とは上面から見た孔部24の最大径を示す。
【0037】
本実施形態において、キャプスタンスクリュー9のねじ部16は、開口部22の内側面と離隔している。開口部22の径D1はねじ部16の最大径d2より大きい。
【0038】
キャプスタンスクリュー9の頭部12は、開口部22の外に配置される。すなわち、キャプスタンスクリュー9の頭部12は、鍵2の上面側(押鍵される面側)に突出している。本実施形態においてキャプスタンスクリュー9の頭部12の径d1は開口部22の径D1より小さい。しかしながらこれに限定されず、キャプスタンスクリュー9の頭部12の径は開口部22の径より大きくてもよい。
【0039】
キャプスタンスクリュー9のねじ部16は、孔部24の内側面と噛み合う。したがって、ねじ部16の最大径d2(おねじの山先端間の直径)と孔部24の最大径D2(めねじの谷先端間の直径)とは略同一であり、ねじ部16の最小径d2’(おねじの谷先端間の直径)と孔部24の最小径D2’(めねじの山先端間の直径)とは略同一である。図5に示すように、キャプスタンスクリュー9を締結する前の孔部24はめねじを切られていない下穴である。このためキャプスタンスクリュー9を締結する前の孔部24の最大径とねじ部16の最小径d2’とは略同一である。図5の点線で示すように、キャプスタンスクリュー9を締結することで孔部24はめねじを切られ、孔部24の最大径はD2とねじ部16の最大径d2とは略同一となる。しかしながらこれに限定されず、キャプスタンスクリュー9の先端部が尖っていれば、下穴の径はねじ部16の最小径d2’より小さくてもよく、下穴はなくてもよい。本実施形態において、上面から見たねじ部16および孔部24は円形であり、ねじ部16の外側面は円周略全方向において、孔部24の内側面と噛み合う。しかしながらこれに限定されず、ねじ部16または孔部24は例えば多角形であってもよく、上面から見たねじ部16および孔部24が少なくとも3点で噛み合っていればよい。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る鍵アセンブリ100によると、開口部22の底部に孔部24を有することで、キャプスタンスクリュー9が鍵2の回動方向における環境変化および経年変化により受ける影響を抑制することができる。また、開口部22がキャプスタンスクリュー9を囲むように配置されることで、鍵2の強度を維持することができる。このため、鍵アセンブリ100は調整のずれを抑制し、信頼性を維持することができる。
【0041】
<第2実施形態>
第2実施形態では、第1実施形態における鍵アセンブリ100とは異なる構成の鍵アセンブリ100aについて説明する。第2実施形態の鍵2aは、開口部22aの径D1aがねじ部16aの最大径d2aと略同一であることが第1実施形態の鍵2と相違する。第2実施形態のキャプスタンスクリュー9aは、第1実施形態のキャプスタンスクリュー9と同一である。第2実施形態の鍵アセンブリ100aは、鍵2aの開口部22aとキャプスタンスクリュー9aのねじ部16aとが一部接触する。なお、第1実施形態と同様である部分は、前の説明と同じ番号を付すことで繰り返しの説明は省略する。
【0042】
[キャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の構成]
図6から図9を用いて、キャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の構成を詳しく説明する。図6は、本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大上面図である。図7は、本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大断面図である。図8は、本発明の一実施形態における締結前のキャプスタンスクリューの部分拡大断面図である。図9は、本発明の一実施形態における締結前の鍵の部分拡大断面図である。
【0043】
鍵2aは上面(押鍵される面側)に、開口部22aと、キャプスタンスクリュー9aが支持される内側面を有する孔部24aと、を含む。ここで、孔部24aは開口部22aの底部に配置される。すなわち、開口部22aは孔部24aよりも鍵2aの表面側に配置され、開口部22aと孔部24aとは鍵アセンブリ100aの回動方向に連続している。開口部22aの内側面および孔部24aの内側面は、何れもキャプスタンスクリュー9aを囲むように配置される。キャプスタンスクリュー9aが支持される孔部24aが開口部22aの底部に配置されることで、キャプスタンスクリュー9aが鍵2aの回動方向における環境変化および経年変化により受ける影響を抑制することができる。また、開口部22aがキャプスタンスクリュー9aを囲むように配置されることで、鍵2aの強度を維持することができる。このため、鍵アセンブリ100aは調整のずれを抑制し、信頼性を維持することができる。
【0044】
本実施形態において、開口部22aの径D1aは孔部24aの径D2aと略同一である。さらに、開口部22aの径D1aはねじ部16aの径d2aと略同一である。このため、開口部22aの内側面とねじ部16aのねじ山の頂とは接触する。開口部22aの径D1aが孔部24aの径D2aと略同一であることで、鍵2aの強度を向上することができる。開口部22aの内側面とねじ部16aのねじ山の頂とが接触することで、キャプスタンスクリュー9aと鍵2aとを安定して締結することができる。
【0045】
キャプスタンスクリュー9aの頭部12aは、開口部22aの外に配置される。すなわち、キャプスタンスクリュー9aの頭部12aは、鍵2aの上面側(押鍵される面側)に突出している。本実施形態においてキャプスタンスクリュー9aの頭部12aの径d1aは開口部22aの径D1aより大きい。
【0046】
キャプスタンスクリュー9aのねじ部16aは、孔部24aの内側面と噛み合う。したがって、ねじ部16aの最大径d2aと孔部24aの最大径D2aとは略同一であり、ねじ部16aの最小径d2’aと孔部24aの最小径D2’aとは略同一である。図9に示すように、キャプスタンスクリュー9aを締結する前の孔部24aはめねじを切られていない下穴である。このためキャプスタンスクリュー9aを締結する前の孔部24aの最大径とねじ部16aの最小径d2’aとは略同一である。また、キャプスタンスクリュー9aを締結する前の孔部24aの最大径D2’aは開口部22aの最大径D1aより小さい。図9の点線で示すように、キャプスタンスクリュー9aを締結することで孔部24aはめねじを切られ、孔部24aの最大径はD2aとねじ部16aの最大径d2aとは略同一となる。また、孔部24aの径D2aは開口部22aの径D1aと略同一になる。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る鍵アセンブリ100aによると、開口部22aの底部に孔部24aを有することで、キャプスタンスクリュー9aが鍵2aの回動方向における環境変化および経年変化により受ける影響を抑制することができる。また、開口部22aがキャプスタンスクリュー9aと接するように配置されることで、鍵2aの強度を向上しつつ安定してキャプスタンスクリュー9aと鍵2aとを締結することができる。このため、鍵アセンブリ100aは調整のずれを抑制し、信頼性を向上することができる。
【0048】
<第3実施形態>
第3実施形態のキャプスタンスクリュー9bは、軸部14bがねじ部16bと円筒部18bとを有することが第2実施形態のキャプスタンスクリュー9aと相違する。第3実施形態の鍵2bは、第2実施形態の鍵2aと同一である。第3実施形態の鍵アセンブリ100bは、鍵2bの開口部22bとキャプスタンスクリュー9bの円筒部18bとが接触する。なお、第1実施形態および第2実施形態と同様である部分は、前の説明と同じ番号を付すことで繰り返しの説明は省略する。
【0049】
[キャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の構成]
図10および図11を用いて、キャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の構成を詳しく説明する。図10は、本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大断面図である。図11は、本発明の一実施形態における締結前のキャプスタンスクリューの部分拡大断面図である。ここで、キャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大上面図と、締結前の鍵の部分拡大断面図とは、第2実施形態と同様であることから省略する。
【0050】
キャプスタンスクリュー9bは、頭部12bと軸部14bを有する。本実施形態において、軸部14bはねじ部16bと円筒部18bとを有する。キャプスタンスクリュー9bのねじ部16bは、鍵2bの孔部24bに締結される。図10において、ねじ部16bはすべて孔部24bに配置される。しかしながらこれに限定されず、ねじ部16bの一部は開口部22bに配置されてもよい。またこの場合、孔部24bの一部はねじ部16bが配置されない空間を有してもよい。円筒部18bの径d3bとねじ部16bの径d2bとは略同一である。ここで円筒部18bの径d3bとは軸方向に見た円筒部18bの最大径を示し、ねじ部16bの径d2bとは軸方向に見たねじ部16bの最大径を示す。本実施形態において、上面から見た円筒部18bおよび軸部14bは円形である。上面から見た円筒部18bの中心と軸部14bの中心とは略一致する。しかしながらこれに限定されず、円筒部18bは例えば多角形であってもよい。
【0051】
鍵2bは上面(押鍵される面側)に、開口部22bと、キャプスタンスクリュー9bが支持される内側面を有する孔部24bと、を含む。ここで、孔部24bは開口部22bの底部に配置される。すなわち、開口部22bは孔部24bよりも鍵2bの表面側に配置され、開口部22bと孔部24bとは鍵アセンブリ100bの回動方向に連続している。開口部22bの内側面および孔部24bの内側面は、何れもキャプスタンスクリュー9bを囲むように配置される。キャプスタンスクリュー9bが支持される孔部24bが開口部22bの底部に配置されることで、キャプスタンスクリュー9bが鍵2bの回動方向における環境変化および経年変化により受ける影響を抑制することができる。また、開口部22bがキャプスタンスクリュー9bを囲むように配置されることで、鍵2bの強度を維持することができる。このため、鍵アセンブリ100bは調整のずれを抑制し、信頼性を維持することができる。
【0052】
本実施形態において、開口部22bの径D1bは孔部24bの径D2bと略同一である。さらに、開口部22bの径D1bは円筒部18bの径d3bと略同一である。このため、開口部22bの内側面と円筒部18bの外側面とは接触する。開口部22bの径D1bが孔部24bの径D2bと略同一であることで、鍵2bの強度を向上することができる。開口部22bの内側面と円筒部18bの外側面とが接触することで、キャプスタンスクリュー9bと鍵2bとを安定して締結することができる。
【0053】
以上のように、本実施形態に係る鍵アセンブリ100bによると、開口部22bの底部に孔部24bを有することで、キャプスタンスクリュー9bが鍵2bの回動方向における環境変化および経年変化により受ける影響を抑制することができる。また、開口部22bがキャプスタンスクリュー9bと接するように配置されることで、鍵2bの強度を向上しつつ安定してキャプスタンスクリュー9bと鍵2bとを締結することができる。このため、鍵アセンブリ100bは調整のずれを抑制し、信頼性をさらに向上することができる。
【0054】
<第4実施形態>
第4実施形態のキャプスタンスクリュー9cは、円筒部18cの径d3cがねじ部16cの径d2cより小さいことが第3実施形態のキャプスタンスクリュー9bと相違する。第4実施形態の鍵2cは、第3実施形態の鍵2bと同一である。なお、第1実施形態から第3実施形態と同様である部分は、前の説明と同じ番号を付すことで繰り返しの説明は省略する。
【0055】
[キャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の構成]
図12および図13を用いて、キャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の構成を詳しく説明する。図12は、本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大断面図である。図13は、本発明の一実施形態における締結前のキャプスタンスクリューの部分拡大断面図である。ここで、キャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大上面図と、締結前の鍵の部分拡大断面図とは、第2実施形態と同様であることから省略する。
【0056】
キャプスタンスクリュー9cは、頭部12cと軸部14cを有する。本実施形態において、軸部14cはねじ部16cと円筒部18cとを有する。キャプスタンスクリュー9cのねじ部16cは、鍵2cの孔部24cに締結される。図12において、ねじ部16cはすべて孔部24cに配置される。しかしながらこれに限定されず、ねじ部16cの一部は開口部22cに配置されてもよい。またこの場合、孔部24cの一部はねじ部16cが配置されない空間を有してもよい。円筒部18cの径d3cはねじ部16cの径d2cより小さい。
【0057】
鍵2cは上面(押鍵される面側)に、開口部22cと、キャプスタンスクリュー9cが支持される内側面を有する孔部24cと、を含む。ここで、孔部24cは開口部22cの底部に配置される。すなわち、開口部22cは孔部24cよりも鍵2cの表面側に配置され、開口部22cと孔部24cとは鍵アセンブリ100cの回動方向に連続している。開口部22cの内側面および孔部24cの内側面は、何れもキャプスタンスクリュー9cを囲むように配置される。キャプスタンスクリュー9cが支持される孔部24cが開口部22cの底部に配置されることで、キャプスタンスクリュー9cが鍵2cの回動方向における環境変化および経年変化により受ける影響を抑制することができる。また、開口部22cがキャプスタンスクリュー9cを囲むように配置されることで、鍵2cの強度を維持することができる。このため、鍵アセンブリ100cは調整のずれを抑制し、信頼性を維持することができる。
【0058】
本実施形態において、開口部22cの径D1cは孔部24cの径D2cと略同一である。開口部22cの径D1cが孔部24cの径D2cと略同一であることで、鍵2cの強度を向上することができる。また、キャプスタンスクリュー9cの円筒部18cは、開口部22cの内側面と離隔している。開口部22cの径D1cは円筒部18cの最大径d3cより大きい。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る鍵アセンブリ100cによると、開口部22cの底部に孔部24cを有することで、キャプスタンスクリュー9cが鍵2cの回動方向における環境変化および経年変化により受ける影響を抑制することができる。また、開口部22cがキャプスタンスクリュー9cを囲むように配置されることで、鍵2cの強度を維持することができる。このため、鍵アセンブリ100cは調整のずれを抑制し、信頼性を向上することができる。
【0060】
<第5実施形態>
第5実施形態の鍵2dは、開口部22dの形状が第4実施形態の鍵2cと相違する。第5実施形態のキャプスタンスクリュー9dは、第4実施形態のキャプスタンスクリュー9cと同一である。第5実施形態の鍵アセンブリ100dは、鍵2dの開口部22dとキャプスタンスクリュー9dの円筒部18dとが一部接触する。なお、第1実施形態から第4実施形態と同様である部分は、前の説明と同じ番号を付すことで繰り返しの説明は省略する。
【0061】
[キャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の構成]
図14から図17を用いて、キャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の構成を詳しく説明する。図14は、本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大上面図である。図15は、本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大断面図である。図16は、本発明の一実施形態における締結前のキャプスタンスクリューの部分拡大断面図である。図17は、本発明の一実施形態における締結前の鍵の部分拡大断面図である。
【0062】
鍵2dは上面(押鍵される面側)に、開口部22dと、キャプスタンスクリュー9dが支持される内側面を有する孔部24dと、を含む。ここで、孔部24dは開口部22dの底部に配置される。すなわち、開口部22dは孔部24dよりも鍵2dの表面側に配置され、開口部22dと孔部24dとは鍵アセンブリ100dの回動方向に連続している。開口部22dの内側面および孔部24dの内側面は、何れもキャプスタンスクリュー9dを囲むように配置される。キャプスタンスクリュー9dが支持される孔部24dが開口部22dの底部に配置されることで、キャプスタンスクリュー9dが鍵2dの回動方向における環境変化および経年変化により受ける影響を抑制することができる。また、開口部22dがキャプスタンスクリュー9dを囲むように配置されることで、鍵2dの強度を維持することができる。このため、鍵アセンブリ100dは調整のずれを抑制し、信頼性を維持することができる。
【0063】
本実施形態において、開口部22dの形状は孔部24dの形状と略同一であり、めねじが切られている。開口部22dの最大径D1dは孔部24dの最大径D2dと略同一であり、開口部22dの最小径D1’dは孔部24dの最小径D2’dと略同一である。さらに、開口部22dの最大径D1dおよび孔部24dの最大径D2dはねじ部16dの最大径d2dと略同一であり、開口部22dの最小径D1’dおよび孔部24dの最小径D2’dはねじ部16dの最小径d2’dと略同一である。また、開口部22dの最小径D1’dおよび孔部24dの最小径D2’dは円筒部18dの最大径d3dと略同一である。このため、開口部22dのねじ山(最小径D1’dを有するめねじの山)の頂と円筒部18dの外側面とは接触する。開口部22dの最大径D1dが孔部24dの最大径D2dと略同一であることで、鍵2dの強度を向上することができる。開口部22dのねじ山の頂と円筒部18dの外側面とが接触することで、キャプスタンスクリュー9dと鍵2dとを安定して締結することができる。
【0064】
キャプスタンスクリュー9dのねじ部16dは、孔部24dの内側面と噛み合う。図17に示すように、キャプスタンスクリュー9dを締結する前の開口部22dおよび孔部24dはめねじを切られていない下穴である。このためキャプスタンスクリュー9dを締結する前の開口部22dの最大径および孔部24dの最大径D2’dとねじ部16dの最小径d2’dとは略同一である。図17の点線で示すように、キャプスタンスクリュー9dを締結することで開口部22dおよび孔部24dはめねじを切られ、開口部22dの最大径D1dと孔部24dの最大径D2dとねじ部16dの最大径d2dとは略同一となる。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る鍵アセンブリ100dによると、開口部22dの底部に孔部24dを有することで、キャプスタンスクリュー9dが鍵2dの回動方向における環境変化および経年変化により受る影響を抑制することができる。また、開口部22dがキャプスタンスクリュー9dと接するように配置されることで、鍵2dの強度を向上しつつ安定してキャプスタンスクリュー9dと鍵2dとを締結することができる。このため、鍵アセンブリ100dは調整のずれを抑制し、信頼性をさらに向上することができる。
【0066】
<第6実施形態>
第6実施形態のキャプスタンスクリュー9eは、円筒部18eの径d3eがねじ部16eの最小径d2’eよりさらに小さいことが第5実施形態のキャプスタンスクリュー9dと相違する。第6実施形態の鍵2eは、第5実施形態の鍵2dと同一である。なお、第1実施形態から第5実施形態と同様である部分は、前の説明と同じ番号を付すことで繰り返しの説明は省略する。
【0067】
[キャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の構成]
図18および図19を用いて、キャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の構成を詳しく説明する。図18は、本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大断面図である。図19は、本発明の一実施形態における締結前のキャプスタンスクリューの部分拡大断面図である。ここで、キャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大上面図と、締結前の鍵の部分拡大断面図とは、第5実施形態と同様であることから省略する。
【0068】
キャプスタンスクリュー9eは、頭部12eと軸部14eを有する。本実施形態において、軸部14eはねじ部16eと円筒部18eとを有する。キャプスタンスクリュー9eのねじ部16eは、鍵2eの孔部24eに締結される。図18において、ねじ部16eはすべて孔部24eに配置される。しかしながらこれに限定されず、ねじ部16eの一部は開口部22eに配置されてもよい。またこの場合、孔部24eの一部はねじ部16eが配置されない空間を有してもよい。円筒部18eの径d3eはねじ部16eの最大径d2eおよび最小径d2’eより小さい。
【0069】
鍵2eは上面(押鍵される面側)に、開口部22eと、キャプスタンスクリュー9eが支持される内側面を有する孔部24eと、を含む。ここで、孔部24eは開口部22eの底部に配置される。すなわち、開口部22eは孔部24eよりも鍵2eの表面側に配置され、開口部22eと孔部24eとは鍵アセンブリ100eの回動方向に連続している。開口部22eの内側面および孔部24eの内側面は、何れもキャプスタンスクリュー9eを囲むように配置される。キャプスタンスクリュー9eが支持される孔部24eが開口部22eの底部に配置されることで、キャプスタンスクリュー9eが鍵2eの回動方向における環境変化および経年変化により受ける影響を抑制することができる。また、開口部22eがキャプスタンスクリュー9eを囲むように配置されることで、鍵2eの強度を維持することができる。このため、鍵アセンブリ100eは調整のずれを抑制し、信頼性を維持することができる。
【0070】
本実施形態において、開口部22eの径D1eは孔部24eの径D2eと略同一である。開口部22eの径D1eが孔部24eの径D2eと略同一であることで、鍵2eの強度を向上することができる。また、キャプスタンスクリュー9eの円筒部18eは、開口部22eの内側面と離隔している。開口部22eの径D1eは円筒部18eの最大径d3eより大きい。
【0071】
以上のように、本実施形態に係る鍵アセンブリ100eによると、開口部22eの底部に孔部24eを有することで、キャプスタンスクリュー9eが鍵2eの回動方向における環境変化および経年変化により受ける影響を抑制することができる。また、開口部22eがキャプスタンスクリュー9eを囲むように配置されることで、鍵2eの強度を維持することができる。このため、鍵アセンブリ100eは調整のずれを抑制し、信頼性を向上することができる。
【0072】
<変形例1>
第1実施形態から第6実施形態の孔部にはねじ部が配置される。本変形例にかかる孔部24fは、ねじ部16fが配置されない空間を含む。本変形例の鍵2fは孔部24fが長いことが第4実施形態の鍵2cと相違する。本変形例のキャプスタンスクリュー9fは第4実施形態のキャプスタンスクリュー9cと同一である。なお、第1実施形態から第6実施形態と同様である部分は、前の説明と同じ番号を付すことで繰り返しの説明は省略する。
【0073】
[キャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の構成]
図20から図22を用いて、キャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の構成を詳しく説明する。図20から図22は、本発明の一実施形態におけるキャプスタンスクリューと鍵との締結箇所の部分拡大断面図である。
【0074】
鍵2fは上面(押鍵される面側)に、開口部22fと、孔部24fと、を含む。ここで、孔部24fは開口部22fの底部に配置される。図20に示すように、孔部24fは、キャプスタンスクリュー9fのねじ部16fより軸方向に長くてもよい。図21に示すように、孔部24fはさらに開口部22fとは反対側に貫通していてもよい。図22に示すように、孔部24fはさらに、開口部22fとは反対側の第2の開口部22’fと鍵アセンブリ100fの回動方向に連続していてもよい。なお図20から図22において、キャプスタンスクリュー9fは第4実施形態のキャプスタンスクリュー9cと同一である。しかしながらこれに限定されず、さらにキャプスタンスクリュー9fのねじ部16fも長くてもよい。
【0075】
図20から図22において、ねじ部16fはすべて孔部24fに配置される。さらに円筒部18fの一部が孔部24fに配置される。しかしながらこれに限定されず、ねじ部16fの一部は開口部22fに配置されてもよい。
【0076】
以上のように、本変形例に係る鍵アセンブリ100fによると、ねじ部16fより孔部24fが軸方向に長いことで、キャプスタンスクリュー9fをより広い範囲で調整することができ、鍵2fの加工性も向上することができる。
【0077】
<変形例2>
本実施形態において、キャプスタンスクリューはねじ部を有し、ねじ部のねじ山と孔部のねじ谷、およびねじ部のねじ谷と孔部のねじ山が噛み合うように締結される構成を示した。しかしながら本発明の実施形態はこれらに限定されるものではなく、他の締結方法に適応することもできる。この場合、開口部の内側面とキャプスタンスクリューの締結力が、孔部の内側面とキャプスタンスクリューの締結力より小さければよい。
【0078】
<変形例3>
本実施形態においては、鍵盤装置の一例としてグランドピアノの鍵盤アセンブリを示した。しかしながらこれらに限定されず、本発明の実施形態は、アクション機構に相当するものが載置されるキャプスタンスクリューに相当するものを有する鍵盤装置に適応することもできる。鍵盤装置の一例としては、例えば、電子ピアノであってもよい。
【0079】
本発明の実施形態として上述した実施形態および変形例は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、実施形態の鍵アセンブリを基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 鍵盤装置、2 鍵、4 ハンマ、5 弦、6 棚板、7 バランスピン、9 キャプスタンスクリュー、10 鍵盤アセンブリ12 頭部、14 軸部、16 ねじ部、18 円筒部、22 開口部、24 孔部、45 アクション機構、100 鍵アセンブリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22