特許第6989107号(P6989107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6989107-標識、及び標識の形成方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989107
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】標識、及び標識の形成方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 7/00 20060101AFI20211220BHJP
   B32B 27/42 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   G09F7/00 D
   B32B27/42
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-152424(P2017-152424)
(22)【出願日】2017年8月7日
(65)【公開番号】特開2019-30997(P2019-30997A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2020年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】517181081
【氏名又は名称】ライノジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】緒方 修一
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−521540(JP,A)
【文献】 特開2016−078449(JP,A)
【文献】 特表2013−534961(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102702475(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第101302394(CN,A)
【文献】 特開2003−073624(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0045380(US,A1)
【文献】 特開2005−169353(JP,A)
【文献】 Scott Prahl,Perylene,2017年06月02日,p.1−3,https://omlc.org/spectra/PhotochemCAD/html/023.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B05D 1/00−7/26
G09F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護対象物と、
保護対象物の表面に、紫外線により励起して発光するルミネッセンス材料を用いて描かれた特定デザインの意匠を含む中間層と、
該中間層の表層に形成されて、外部から前記意匠を視認可能に前記中間層及び前記保護対象物を保護すると共に、前記紫外線を透過させる性質を有した透明な脂肪族系ポリウレア樹脂層と、を備えることを特徴とする標識
【請求項2】
保護対象物の表面に紫外線により励起して発光するルミネッセンス材料を用いて描かれた特定デザインの意匠を含む中間層を形成する工程と、
該中間層の表層に、外部から前記意匠を視認可能に前記中間層及び前記保護対象物を保護すると共に、前記紫外線を透過させる性質を有した透明な脂肪族系ポリウレア樹脂層を形成する工程と、を含むことを特徴とする標識の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明な脂肪族系のポリウレア樹脂層と保護対象物とを備えた標識、及び該標識の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレア樹脂はウレア結合を有する合成樹脂であり、ポリイソシアネート化合物(主剤)と活性水素を持つアミン化合物(硬化剤)とをスプレーガンで衝突混合させて化学反応させることにより生成される。ポリウレア樹脂は、高反応性(超速硬化)、強靭な物性(引裂強度・引張強度・伸び性・耐薬品性・耐摩耗性等)を有しており、船舶、床や天井などのコーティング材、ペンタゴンの防爆対策等に利用されている。
芳香族系のポリウレア樹脂は紫外線を吸収して薄い黄色〜アンバー色に変色することから、従来はポリウレア樹脂が変色しても支障のない箇所に塗布して使用するか、ポリウレア樹脂を濃色に着色した上で対象物に塗布し、塗布対象物の美観が損なわれないようにしていた。
芳香族系とは異なり、脂肪族系のポリウレア樹脂(ポリアスパラギン酸・ポリウレア)は紫外線吸収特性を有さないことから、紫外線により黄変することはなく、塗布時の色を長期に渡って維持できるという特徴を有する。
特許文献1には、建築物の外壁タイルの表面に透明なポリウレア樹脂を塗布して透明補強層を形成した外壁タイルの剥落防止構造が記載されている。特許文献1においては、脂肪族系のポリウレア樹脂の透明、且つ黄変しない性質を活かして、外壁タイルの保護と意匠性の維持とを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−030974公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、長期間紫外線に曝されても透明補強層の強度が低下しないようにするために、ポリウレア樹脂塗材に光安定剤と紫外線吸収剤を混合し、更に、透明補強層の表面に光安定剤と紫外線吸収剤を混合したアクリルシリコン樹脂塗材からなる透明保護層を形成することが記載されている。即ち、特許文献1の透明補強層においては紫外線による悪影響の回避が考慮されているが、照射される紫外線を活用することについては考慮されていない。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、ポリウレア樹脂による保護対象物のひび割れ、摩耗、剥離、衝撃による破壊、腐食等からの保護と、照射される紫外線の活用とを両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の標識は、保護対象物と、該保護対象物の表面に、紫外線により励起して発光するルミネッセンス材料を用いて描かれた特定デザインの意匠を含む中間層と、該中間層の表層に形成されて、外部から前記意匠を視認可能に前記中間層及び前記保護対象物を保護すると共に、前記紫外線を透過させる性質を有した透明な脂肪族系ポリウレア樹脂層と、を備えることを特徴とする。
請求項に記載の標識の形成方法は、保護対象物の表面に紫外線により励起して発光するルミネッセンス材料を用いて描かれた特定デザインの意匠を含む中間層を形成する工程と、該中間層の表層に、外部から前記意匠を視認可能に前記中間層及び前記保護対象物を保護すると共に、前記紫外線を透過させる性質を有した透明な脂肪族系ポリウレア樹脂層を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、脂肪族系ポリウレア樹脂を透過した紫外線がルミネッセンス材料を励起させることによりルミネッセンス材料が発光するので、ポリウレア樹脂による保護対象物のひび割れ、摩耗、剥離、衝撃による破壊、腐食等からの保護と、照射される紫外線による視認性の向上とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】発明の第一の実施形態に係る保護構造を示す断面図である。
図2】発明の第二の実施形態に係る保護構造を示す断面図である。
図3】ポリウレア樹脂を対象物に吹き付ける吹付装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0010】
〔第一の実施形態〕
本発明の第一の実施形態について説明する。図1は、本発明の第一の実施形態に係る保護構造を示す断面図である。
本実施形態に係る保護構造1は、保護対象物11と、保護対象物11の表面に形成された中間層13と、中間層13の表層(上層)に形成されることにより、保護対象物11及び中間層13を保護する保護層としての透明、且つ紫外線透過性を有したポリウレア樹脂層15と、を備える。
【0011】
保護対象物11は、表面に中間層13及びポリウレア樹脂層15を形成することができるものであればよく、例えばコンクリート、金属、木材、石材、樹脂、これらの複合材等とすることができる。また、上記基材から形成される保護対象物としては建築物の外壁、屋根、駐車場の床、トンネルの内壁、中央分離帯、トラックの車体、灯台等を例示することができる。なお、保護対象物11の表面には中間層13を形成する前に必要に応じて下地(プライマー)を塗布しておく。
【0012】
中間層13は、保護対象物11の表面を塗料により着色した層(着色層)や、保護対象物11の表面にシート状の媒体を貼付した層(シート層)等から構成される。中間層13は、保護対象物11の表面の全体を被覆するものでもよいし、一部のみを被覆するものでもよい。
中間層13は、ポリウレア樹脂層15を透過した紫外線のエネルギーにより励起して可視光を放射する(発光する)フォトルミネッセンス材料を含む。ここで、フォトルミネッセンス材料は、蛍光する蛍光材料、りん光する蓄光材料の何れでもよい。中間層13にフォトルミネッセンス材料を含むことにより、光輝性が向上するので視認性を高めることができる。
【0013】
中間層13は透明なポリウレア樹脂層15を介して外部から視認可能であるため、中間層13には特定の意匠を与えることができる。例えば中間層13には、JISZ9101(安全色及び安全標識―産業環境及び案内用安全標識のデザイン通則)により定められた文字、図形、記号及び色等を用いた安全標識を形成することができる。
中間層13は、フォトルミネッセンス材料以外の材料により構成される部分を備えてもよい。また、中間層13には、フォトルミネッセンス特性と、フォトルミネッセンスとは異なる光学特性の双方を併せもった復合材料を用いてもよい。例えば、中間層13にはフォトルミネッセンス材料の光学特性と再帰性反射体の光学特性とを併せ持った複合材料を用いて、より光輝性及び視認性を高めるようにしてもよい。
【0014】
ポリウレア樹脂層15は、脂肪族系の透明なポリウレア樹脂(例えばポリアスパラギン酸ポリウレア樹脂)から構成される。脂肪族系のポリウレア樹脂は紫外線を透過する性質を有しているため、紫外線による黄変の虞がないという特徴を有する。このようなポリウレア樹脂としては、一例として、米国ライノライニング社のSoloarMaxを挙げることができる。
保護対象物11及び中間層13をポリウレア樹脂層15によって被覆することにより、保護対象物11及び中間層13のひび割れ、摩耗、剥離、衝撃による破壊、腐食等を防止できる。また、脂肪族系のポリウレア樹脂層15は透明であるため、ポリウレア樹脂層15を介して中間層13と、中間層13により被覆されていない保護対象物11の表面と、を視認することができる上、黄変しにくいため視認性を長期に渡って維持できる。更に、脂肪族系のポリウレア樹脂層15は紫外線を透過させるため、ポリウレア樹脂層15を透過した紫外線により中間層13に含まれるフォトルミネッセンス材料を発光(蛍光又はりん光)させることができ、中間層13に形成された意匠の視認性を高めることができる。
【0015】
〔第二の実施形態〕
本発明の第二の実施形態について説明する。図2は、本発明の第二の実施形態に係る保護構造を示す断面図である。
本実施形態に係る保護構造2は、保護対象物11と、保護対象物11の表面に形成されることにより保護対象物を保護する保護層17とを備える。本実施形態において保護層17は、紫外線透過性を有する透明なポリウレア樹脂に対して、紫外線により励起して可視光を放射する(発光する)ルミネッセンス材料が混合されている点に特徴がある。以下、第一の実施形態と同様の部分については適宜説明を省略する。
【0016】
本実施形態に係る保護層17は、第一の実施形態に示した中間層13とポリウレア樹脂層15の双方の機能を有する。
即ち、保護対象物11を、ポリウレア樹脂を含む保護層17によって被覆することにより、保護対象物11のひび割れ、摩耗、剥離、衝撃による破壊等を防止できる。また、脂肪族系のポリウレア樹脂は透明であるため、保護層17に含有されるルミネッセンス材料を外部から視認することができる上、黄変しにくいため視認性を長期に渡って維持できる。更に、脂肪族系のポリウレア樹脂は紫外線を透過させるため、ポリウレア樹脂を透過した紫外線により保護層17中のルミネッセンス材料を発光(蛍光又はりん光)させることができ、保護層17により形成した意匠の視認性を高めることができる。
【0017】
〔吹付装置・吹付方法〕
図3は、ポリウレア樹脂を対象物に吹き付ける吹付装置の一例を示す模式図である。脂肪族系のポリウレア樹脂は、脂肪族系のポリイソシアネート化合物(主剤)と活性水素を持つ脂肪族系のアミン化合物(硬化剤)とをスプレーガンで衝突混合させて化学反応させることにより生成される。吹付装置20は、ポリイソシアネート化合物とアミン化合物を衝突混合させてミスト状にして対象物に吹き付ける装置である。
【0018】
吹付装置20は、ポリイソシアネート化合物を収容した第一タンク21a、アミン化合物を収容した第二タンク21b、第一タンク21aから化合物を送り出す第一ポンプ22a、第二タンク21bから化合物を送り出す第二ポンプ22b、化合物に十分な圧力をかけて所定量を送り出す高圧定量ポンプ23、輸送される化合物を加熱するヒータ24、化合物の温度を保持するヒータ付ホース25、及び、両化合物を衝突混合させてミスト状態で射出するスプレーガン26を備えている。また、吹付装置20は、高圧定量ポンプ23を制御して両化合物の混合割合を可変させたり、ヒータを制御して加熱温度等を可変させる反応制御装置等も備えている。
第一タンク21aと第二タンク21bに収容されたポリイソシアネート化合物とアミン化合物は、それぞれ第一及び第二ポンプ22a、22bにより送液され、高圧定量ポンプ23により所定の圧力に加圧されて所定量が送り出される。両化合物は、ヒータ24により所定の温度に加熱されヒータ付ホース25により所定の温度に保持されたままスプレーガン26に送られる。スプレーガン26は、両化合物を衝突混合させると共に、ミスト状にして射出する。両化合物は化学反応によりポリウレア樹脂を生成し、吹付対象物の表面において固化し、塗膜を形成する。
【0019】
対象物に吹き付けるポリウレア樹脂には粉末状の添加剤(例えば粉末状のルミネッセンス材料や再帰性反射体等)を混合することができる。添加剤の混合方法としては、予めアミン化合物を収容した第二タンク21b内に添加剤を混合しておく方法(内部混合)と、対象物への吹付時にポリウレア樹脂に添加剤を混合する方法(外部混合)とがある。仮に、スプレーガン26内部の流路の内径が0.7mm程度の場合、添加剤の直径が概ね0.1mm程度であれば、内部混合を採用できる。また、スプレーガン26内部の流路の内径が0.7mm程度の場合、添加剤の直径が概ね0.1mmを越える場合には、吹付装置の故障を回避するために、外部混合を採用した方がよい。
図3に示す吹付装置20は、添加剤を外部混合する添加剤混合装置30を更に備えている。添加剤混合装置30は、添加剤を収容した第三タンク31、第三タンク31から添加剤を輸送するホース32、ホース32から供給された添加剤を射出する第二スプレーガン33、第二スプレーガン33に高速のエアを供給するエアホース34等を備える。
第三タンク31には、エアコンプレッサにより所定の内圧が加えられている。第二スプレーガン33は、エアブラシと同様の構成である。エアホース34を介して第二スプレーガン33に高速エアを供給することにより、添加剤が高速のエアに引き込まれて第二スプレーガン33の先端部に配置されたノズルから射出される。第二スプレーガン33は、スプレーガン26からミスト状に射出したポリウレア樹脂に向けて添加剤を噴射することにより、ポリウレア樹脂に添加剤を均一に混合する。
【0020】
内部混合の場合は、第二タンク21b内への添加剤の添加量により、ポリウレア樹脂に対する添加剤の混合割合を調整できる。
また、外部混合の場合、スプレーガン26から単位時間に射出されるポリウレア樹脂の量が既知であるため、ポリウレア樹脂の単位時間当たりの射出量に対して、添加剤の単位時間当たりの射出量を調整することにより、添加剤の混合割合を調整できる。添加剤の単位時間当たりの射出量は、第二スプレーガン33のノズル口径を調整することにより制御できる。
【0021】
第一の実施形態のような保護構造1を形成する場合は、保護対象物11の表面に中間層13を形成する工程と、中間層13の表層にポリウレア樹脂層15を形成する工程の複数工程が必要である。仮に、中間層13が蛍光塗料の塗布により形成され、乾燥に時間を要する場合は、中間層13が乾燥するまでポリウレア樹脂の吹き付けを待機する必要があり、施工に時間が掛かるという問題がある。
第二の実施形態においては、予めアミン化合物側にフォトルミネッセンス材料を内部混合しておくか、吹き付け時に外部混合することにより、ポリウレア樹脂に対するフォトルミネッセンス材料の混合と保護対象物に対する保護層の形成とを同時に実施することができ、施工時間が短時間で済む。
もちろん、第二の実施形態においては、保護層17自体によって特定の意匠を表すようにしてもよい。
【0022】
〔本発明の実施態様例と作用、効果のまとめ〕
<第一の実施態様>
本態様に係る保護構造1は、保護対象物11の表面に形成されると共に、紫外線により励起して発光するルミネッセンス材料を含む中間層13と、中間層の表層に形成されることにより中間層及び保護対象物を保護する透明な脂肪族系ポリウレア樹脂層15と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、脂肪族系ポリウレア樹脂を透過した紫外線が中間層を構成するルミネッセンス材料を励起させることにより中間層が発光するので、ポリウレア樹脂による保護対象物及び中間層の保護と、照射される紫外線による視認性の向上とを両立させることができる。
【0023】
<第二の実施態様>
本態様に係る保護構造2は、紫外線により励起して発光するルミネッセンス材料、及び紫外線透過性を有した透明な脂肪族系ポリウレア樹脂が混合されており、保護対象物11の表面に形成されることにより保護対象物を保護する保護層17を備えることを特徴とする。
本態様によれば、脂肪族系ポリウレア樹脂を透過した紫外線が保護層を構成するルミネッセンス材料を励起させることにより保護層が発光するので、ポリウレア樹脂による保護対象物の保護と、照射される紫外線による視認性の向上とを両立させることができる。
【0024】
<第三の実施態様>
本態様に係る保護構造の形成方法は、保護対象物11の表面に紫外線により励起して発光するルミネッセンス材料を含む中間層13を形成する工程と、中間層の表層に中間層及び保護対象物を保護する透明な脂肪族系ポリウレア樹脂層15を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
本態様によれば、保護対象物に対して中間層を形成した後、ポリウレア樹脂層を形成するので、中間層に自在な意匠を与えることができる。
【0025】
<第四の実施態様>
本態様に係る保護構造の形成方法は、脂肪族系のポリイソシアネート化合物と、紫外線により励起して発光するルミネッセンス材料を予め混合した脂肪族系のアミン化合物とをスプレーガン26で衝突混合させることにより生成されたミスト状の紫外線透過性を有する透明な脂肪族系ポリウレア樹脂を、保護対象物11の表面に吹き付けることを特徴とする。
ポリウレア樹脂は、ポリイソシアネート化合物とアミン化合物とを衝突混合させることにより生成される。ポリウレア樹脂を保護対象物へ吹き付ける前に、予めアミン化合物側にルミネッセンス材料を混合(内部混合)しておくことにより、保護対象物の表面にルミネッセンス材料が混合されたポリウレア樹脂層を生成することができ、施工時間を短縮できる。
【0026】
<第五の実施態様>
本態様に係る保護構造の形成方法は、脂肪族系のポリイソシアネート化合物と、脂肪族系のアミン化合物と、をスプレーガン26で衝突混合させてミスト状の紫外線透過性を有する透明な脂肪族系ポリウレア樹脂を生成する工程と、ミスト状の脂肪族系ポリウレア樹脂に対して紫外線により励起して発光するルミネッセンス材料を噴射して混合する工程と、ルミネッセンス材料が混合されたミスト状の脂肪族系ポリウレア樹脂を保護対象物の表面に吹き付ける工程と、を含むことを特徴とする。
ポリウレア樹脂は、ポリイソシアネート化合物とアミン化合物とを衝突混合させることにより生成される。両化合物を衝突混合することにより生成されたミスト状のポリウレア樹脂に対してルミネッセンス材料を噴射して混合(外部混合)することにより、保護対象物の表面にルミネッセンス材料が混合されたポリウレア樹脂層を生成することができ、施工時間を短縮できる。
【符号の説明】
【0027】
1、2…保護構造、11…保護対象物、13…中間層、15…ポリウレア樹脂層、17…保護層、20…吹付装置、21a…第一タンク、21b…第二タンク、22a…第一ポンプ、22b…第二ポンプ、23…高圧定量ポンプ、24…ヒータ、25…ヒータ付ホース、26…スプレーガン、30…添加剤混合装置、31…第三タンク、32…ホース、33…第二スプレーガン、34…エアホース
図1
図2
図3