特許第6989108号(P6989108)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6989108-索道の運行状況表示装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989108
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】索道の運行状況表示装置
(51)【国際特許分類】
   B61B 12/00 20060101AFI20211220BHJP
【FI】
   B61B12/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-183375(P2017-183375)
(22)【出願日】2017年9月25日
(65)【公開番号】特開2019-59255(P2019-59255A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2020年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】天谷 広郎
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−011810(JP,A)
【文献】 特開2015−224013(JP,A)
【文献】 特開平06−075967(JP,A)
【文献】 特開2006−335076(JP,A)
【文献】 特開2010−221822(JP,A)
【文献】 特開昭60−110561(JP,A)
【文献】 特開昭55−110657(JP,A)
【文献】 特開2002−187542(JP,A)
【文献】 特開2002−096729(JP,A)
【文献】 特開2002−239059(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0252562(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 10/00−12/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる複数の索道に各々に設けた複数の搬器を運搬する索条を各々に巻き掛けた原動滑車と、該原動滑車を各々に駆動する電動機と、これらの電動機に各々に接続されて前記索条の速度を検出する各々の速度検出器と、該速度検出器から検出された速度信号を受信し、該電動機に電力を供給して該電動機の回転速度を制御する制御装置と、該制御装置に設けられた前記電動機への出力電流を検出する出力電流検出回路と、前記各索道における乗車率および前記各索道における前記索条の速度を表示部に表示する表示制御器と、を備え、前記制御装置は、該制御装置にあらかじめ設定された前記搬器に対する乗車率に対応する電流値と前記出力電流検出回路で検出された電流値とを比較することにより得られる乗車率信号と、前記索条の現行速度である前記速度信号とを一つの前記表示制御器へ発信し、該表示制御器が、前記各索道から受信した前記速度信号と前記乗車率信号を基に、前記各索道における複数の乗車率と前記各索道における前記索条の複数の速度を表示器に表示するように制御することを特徴とする索道の運行状況表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にスキー場のゲレンデ内に設置し、スキー場で稼働する索道の運行状況を表示する索道の運行状況表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキーやスノーボードは、ウインタースポーツとして幅広い年齢層に親しまれており、これらスキー等を行うために各地の山岳地域には、さまざまな規模のスキー場が設けられている。多くのスキー場においては、複数の滑走コースが斜面に沿って形成されており、滑走コースの傾斜角度によって初級者コース、中級者コース、上級者コースといった区分が設定されている。そしてゲレンデ内には、これら各コースの上部へ利用者を輸送するために、チェアリフトやゴンドラリフト等の索道が複数配置されている。
【0003】
スキー場においてスキーやスノーボードを行うには、利用期間が降雪シーズンに限定されるため冬季の休日には利用客が集中し,利用客を輸送する索道は大変混雑する状態となる。このような状況において、ゲレンデ内の利用者が索道やレストハウス等の混雑状況をあらかじめ把握できれば、利用者にとっては索道やレストハウスを選定する場合に好都合である。
【0004】
このようなことから従来、以下のような混雑状況表示システムが提案されている。このシステムにおいては、利用者はICチップ付のリフト券を所持し、リフトやレストハウスのゲートを通る時リフト券からの微弱電波で入・出場を検知する。リフトゲート管理部等でリフトの乗り場ゲート等の入場者数から降り場ゲート等の出場者を減じ、リフトの搬送定員を減じて待ち人数を算出し、各リフトのデータをリフトゲート主管理部で収集し、ゲート管理部等でレストハウスの入口ゲート等の入場者数から出口ゲート等の出場者数とレストハウスの座席数を減じて待ち人数を算出し、各レストハウスのデータをレストハウス主管理部で収集し、双方のデータを管理センターで収集し、第1、第2表示制御部等を介し第1、第2表示部等に表示する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−239059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記のシステムは、ICチップ付のリフト券やこれが発する微弱電波を受信するセンサを各入・出場に設けなければならず、設備に要する費用が高価になるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、簡易な構成により設備に要する費用が安価である索道の運行状況表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に発明は、互いに異なる複数の索道に各々に設けた複数の搬器を運搬する索条を各々に巻き掛けた原動滑車と、該原動滑車を各々に駆動する電動機と、これらの電動機に各々に接続されて前記索条の速度を検出する各々の速度検出器と、該速度検出器から検出された速度信号を受信し、該電動機に電力を供給して該電動機の回転速度を制御する制御装置と、該制御装置に設けられた前記電動機への出力電流を検出する出力電流検出回路と、前記各索道における乗車率および前記各索道における前記索条の速度を表示部に表示する表示制御器と、を備え、前記制御装置は、該制御装置にあらかじめ設定された前記搬器に対する乗車率に対応する電流値と前記出力電流検出回路で検出された電流値とを比較することにより得られる乗車率信号と、前記索条の現行速度である前記速度信号とを一つの前記表示制御器へ発信し、該表示制御器が、前記各索道から受信した前記速度信号と前記乗車率信号を基に、前記各索道における複数の乗車率と前記各索道における前記索条の複数の速度を表示器に表示するように制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、索道の運行を制御する制御装置からの信号で索道の運行状況を表示するため、構成が簡易であり設備に要する費用が安価となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】スキー場の模式図
図2】チェアリフトの全体を表す模式図
図3】表示器の一例を示した図
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、スキー場の模式図である。山50の斜面には、山麓から山頂へ向けて樹木が伐採されて各種の滑走コース51が形成されており、また、各滑走コース51へスキーヤーやスノーボーダーを輸送する複数の索道53が架設されている。山50の山麓部52は、傾斜が緩い広場状に形成されており、各滑走コース51を滑走したスキーヤーやスノーボーダーは、最終的にここへ滑り降りることができる。山麓部52には、滑走コース51を含むゲレンデや索道53を管理する管理センター54が立設されており、滑走コース51や索道53のレイアウトを示したゲレンデマップ55等も立設されている。また、ゲレンデマップ55には、各索道53の運行状況を表示する表示器57を備えている。
【0013】
図2は、索道53の代表的な設備であるチェアリフトの全体を表す模式図である。低所側停留場10と高所側停留場11には、それぞれ折返し滑車12と原動滑車13とを回転自在に備え、これらの滑車12、13間に索条14を無端状に張架している。線路中には地形に応じて支柱15を立設し、索条14を移動可能に支持している。高所側停留場11の原動滑車13は、減速機16及び電動機17等からなる駆動装置に連結されており、これを駆動することにより原動滑車13が回転して索条14が線路に沿って循環移動する。索条14には、椅子式の搬器18が所定の間隔で取り付けられており、低所側停留場10と高所側停留場11間で人員の輸送を行う。
【0014】
電動機17は、索条14の速度が指定速度となるように、制御装置19によって次のように回転速度が制御される。電動機17には、指速発電機等の速度検出器20が接続されており、この信号が制御装置19に入力される。制御装置19には複数の速度指令が設定されており、指定された速度指令と前記速度検出器20からの速度信号とが合致するように、電動機17へ出力する電力を制御装置19が制御する。また、制御装置19には、制御装置19から電動機17へ出力する電流値を検出する出力電流検出回路21を備え、この回路で検出した電流値とあらかじめ制御装置19に設定された電流値とを比較するようにしている。
【0015】
この、あらかじめ制御装置19に設定された電流値は、任意の乗車率のときに電動機17へ供給する電流値であって、例えば、上り線の乗客の乗車率が100%、50%のときの電流値として設定されており、この設定値は各速度指令に対して設定されている。これにより制御装置19は、出力電流検出回路21で検出した電流値とあらかじめ制御装置19に設定された電流値とを比較して、運行中の上り線乗車率が100%であるのかどうかや、50%以上あるいは以下であるかどうかを判定することができる。索道53の運転中において制御装置19は、出力電流検出回路21で検出された電流値とあらかじめ制御装置19に設定された電流値とを常時比較し、乗客の乗車率の判定を行う。
【0016】
以上のように各索道53の制御装置19では、索条14の速度と乗客の乗車率が検出されるようになっており、制御装置19はこれらの検出値から索条14の速度を速度信号として、乗客の乗車率を乗車率信号として管理センター54へ発信する。管理センター54には、表示器57の表示を制御する表示制御器56を備えており、この表示制御器56へ各索道53の制御装置19からの速度信号および乗車率信号が入力される。
【0017】
図3は、表示器57の一例を示した図である。表示器57は、名称部58と状況部59と速度部60とを備えており、名称部58には各索道53の名称が表示されている。状況部59は、各索道53の混雑状況が表示されるようになっており、例えば表示制御器56に入力された制御装置19からの乗客率信号が100%の場合には「混雑」、50%以上の場合には「やや混雑」等の如く表示するように表示制御器56が制御する。また、速度部60は、各索道53の運転速度が表示されるようになっており、表示制御器56に入力された制御装置19からの速度信号によって、各索道53の現在の運転速度を表示するように表示制御器56が制御する。
【0018】
以上の構成により、スキーヤーやスノーボーダー等のスキー場利用者は、ゲレンデマップ55を見ることにより滑走コース51や索道53の位置を確認するとともに、表示器57により各索道53の混雑状況を知ることができるので、利用する索道53を選択する際の目安とすることができる。また、表示器57には、索道53の運転速度も表示されるので、利用者は自分の技量に合わせて、すなわち搬器18の速度に起因する乗降の難易度によって索道53を選択することができる。
【0019】
なお、上記においては、ゲレンデマップ55および表示器57を山麓部52に設置した態様で説明したが、ゲレンデ内の適所にゲレンデマップ55および表示器57を設置すれば、利用者の利便性が増す。また、表示器57に表示される情報を利用者の所有するスマートフォンで閲覧できるようにすれば、さらに利用者の利便性が増す。また、表示制御器56に入力される速度信号および乗車率信号を、日時および時間の経過とともに記録するようにしておけば、このデータを利用してスキー場の管理者が各索道53の運行状況等を分析することができる。
【符号の説明】
【0020】
10 低所側停留場
11 高所側停留場
12 折返し滑車
13 原動滑車
14 索条
15 支柱
16 減速機
17 電動機
18 搬器
19 制御装置
20 速度検出器
21 出力電流検出回路
50 山
51 滑走コース
52 山麓部
53 索道
54 管理センター
55 ゲレンデマップ
56 表示制御器
57 表示器
58 名称部
59 状況部
60 速度部
図1
図2
図3