(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989134
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント及び脂質系アジュバントを含むアジュバント系及び水を含まないワクチン組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 39/39 20060101AFI20211220BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20211220BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20211220BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20211220BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20211220BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20211220BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20211220BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20211220BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20211220BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20211220BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20211220BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20211220BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20211220BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20211220BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20211220BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20211220BHJP
A61P 33/06 20060101ALI20211220BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20211220BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20211220BHJP
A61K 39/12 20060101ALI20211220BHJP
A61K 39/02 20060101ALI20211220BHJP
A61K 39/002 20060101ALI20211220BHJP
A61K 39/08 20060101ALI20211220BHJP
C07K 7/06 20060101ALN20211220BHJP
【FI】
A61K39/39
A61K39/00 H
A61K47/24
A61K9/127
A61K47/44
A61K47/26
A61K48/00
A61P37/04
A61P31/04
A61P31/12
A61P31/10
A61P33/00
A61P37/08
A61P35/00
A61P31/16
A61P31/14
A61P33/06
A61P11/04
A61P25/28
A61K39/12
A61K39/02
A61K39/002
A61K39/08
!C07K7/06ZNA
【請求項の数】25
【全頁数】83
(21)【出願番号】特願2018-524713(P2018-524713)
(86)(22)【出願日】2016年11月15日
(65)【公表番号】特表2018-534304(P2018-534304A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】CA2016051324
(87)【国際公開番号】WO2017083963
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2019年9月17日
(31)【優先権主張番号】62/256,875
(32)【優先日】2015年11月18日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517237539
【氏名又は名称】イミューノヴァクシーン テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IMMUNOVACCINE TECHNOLOGIES INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100135242
【弁理士】
【氏名又は名称】江守 英太
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】ウェア, ジェネヴィーブ メアリ
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド, リーサ ダイアナ
(72)【発明者】
【氏名】リウスキー, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】マンスール, マーク
【審査官】
長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】
韓国公開特許第10−2014−0119362(KR,A)
【文献】
国際公開第2014/153636(WO,A1)
【文献】
Innate Immunity,2012年,Vol.19, No.2,pp.184-192
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00−39/44
A61K 9/127
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ヒトにおいて単位用量当たり約50マイクログラム未満のポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント;
(b)ヒトにおいて単位用量当たり約50マイクログラム未満の脂質系アジュバント;
(c)両親媒性化合物;及び
(d)疎水性担体
を含むアジュバント系であって、
前記脂質系アジュバントが、PAM3Cys−Ser−(Lys)4(配列番号1)であり、
前記両親媒性化合物が、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、DOPCを含むリン脂質の混合物、レシチン、又はレシチンを含むリン脂質の混合物であり、
前記担体が、植物油、ナッツ油、及び鉱油から選択される油又は油の混合物であるか、又は前記担体が、鉱油溶液中のマンニドオレエートである、アジュバント系。
【請求項2】
請求項1のアジュバント系及び抗原を含む、水を含まないか又は水を実質的に含まない組成物。
【請求項3】
ヒトにおいて単位用量当たり約10マイクログラム未満のポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント、及びヒトにおいて単位用量当たり約10マイクログラム未満の脂質系アジュバントを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
ヒトにおいて単位用量当たり約5マイクログラム未満のポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント、及びヒトにおいて単位用量当たり約5マイクログラム未満の脂質系アジュバントを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
水を実質的に含まない組成物が、前記担体の合計重量に基づき重量/重量で約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%又は0.01%未満の水を含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントが、
i)RNA、DNA又はそれらの組合せを含み;
ii)二重らせんであり、各ストランドがイノシン若しくはシチジル残基のホモポリマーであるか、又は二重らせんであり、各ストランドがイノシン及びシチジル残基の両方を含むヘテロポリマーであり、及び/又は
iii)ホモポリマー状のポリI:Cポリヌクレオチド及びヘテロポリマー状のポリI:Cポリヌクレオチドの両方を含む混合物である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記脂質が抗原の周りに閉じた小胞構造を形成し、前記閉じた小胞構造が単一層の小胞構造又は二重層の小胞構造である、請求項2〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記脂質系アジュバントが、PAM3Cys−Ser−(Lys)4(配列番号1)であり、前記ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントが、変化するストランド長さのポリIとポリCの混合物であり、前記混合物が約989,486ダルトンの分子量を含み;及び前記担体がモンタニド(登録商標)ISA51VGである、請求項2〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記抗原が、ポリペプチド;ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;炭水化物;微生物若しくはそれらの一部;又は毒素である、請求項2〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記抗原が、ウイルスから誘導され、細菌から誘導され、原生動物から誘導され、又は膜表面に結合した癌抗原から誘導されている、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記抗原が、
i)前記サバイビンタンパク質(配列番号69)若しくは改変されたそれらの変形体からのアミノ酸配列を含むペプチド抗原;又は前記ペプチド抗原をコードする核酸分子;
ii)FEELTLGEF(配列番号70);FTELTLGEF(配列番号71);LTLGEFLKL(配列番号72);LMLGEFLKL(配列番号73);RISTFKNWPF(配列番号74);RISTFKNWPK(配列番号75);STFKNWPFL(配列番号76);又はLPPAWQPFL(配列番号77)、又は任意のそれらの組合せから選択されるアミノ酸配列を含むペプチド抗原;又は前記ペプチド抗原をコードする核酸分子;又は
iii)アミノ酸配列:FTELTLGEF(配列番号71);LMLGEFLKL(配列番号73);RISTFKNWPK(配列番号75);STFKNWPFL(配列番号76);及びLPPAWQPFL(配列番号77)を含む5種のペプチド抗原の混合物
である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記抗原が、少なくとも1つのB細胞エピトープ、少なくとも1つのCTLエピトープ又はそれらの組合せを含む、請求項2〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
Tヘルパーエピトープをさらに含む、請求項2〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記Tヘルパーエピトープが、アミノ酸配列AKXVAAWTLKAAA(配列番号79)を含むPADRE;アミノ酸配列FNNFTVSFWLRVPKVSASHLE(配列番号80)を含む破傷風トキソイドペプチドF21E;又はアミノ酸配列AQYIKANSKFIGITEL(配列番号78)を含む改変された破傷風毒素ペプチドA16Lであり、前記Tヘルパーエピトープは任意選択で前記抗原とのコンジュゲート又は融合体である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントが、Toll様受容体3(TLR3)アゴニストであり、前記脂質系アジュバントが、TLR1/2ヘテロダイマーのアゴニストである、請求項2〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
抗体免疫応答及び/又は細胞媒介免疫応答を、単回用量で誘発することができる、請求項2〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
抗体免疫応答及び/又は細胞媒介免疫応答により緩和される疾患又は障害の治療又は予防に使用するための;細菌、ウイルス、真菌、寄生生物、アレルゲン、又は前記抗原を発現する腫瘍細胞により惹起される疾患の治療又は予防に使用するための;及び/又は毒素、ウイルス、細菌又はアレルゲンを、前記抗原に対して産生された抗体で中和するための、請求項2〜16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
抗原に対する抗体応答及び/又は細胞媒介免疫応答を誘発するための医薬の製造における、請求項2〜17のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項19】
細菌、ウイルス、真菌、寄生生物、アレルゲン、又は前記抗原を発現する腫瘍細胞により惹起される疾患の治療及び/又は予防のための医薬の製造における、請求項2〜17のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項20】
前記疾患が、インフルエンザ;ヒトRSウイルス、百日咳、炭疽、マラリア、又は癌により惹起された気道感染である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
抗原の発現と関連する神経変性疾患の治療及び/又は予防のための医薬の製造における、請求項2〜17のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項22】
毒素、ウイルス、細菌又はアレルゲンを抗体で中和するための医薬の製造における、請求項2〜17のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項23】
1つ又は複数の別の容器に、ヒトにおいて単位用量当たり約50マイクログラム未満のポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント、ヒトにおいて単位用量当たり約50マイクログラム未満の脂質系アジュバント、両親媒性化合物、及び疎水性担体を含むキットであって:
前記脂質系アジュバントが、PAM3Cys−Ser−(Lys)4(配列番号1)であり、
前記両親媒性化合物が、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、DOPCを含むリン脂質の混合物、レシチン、又はレシチンを含むリン脂質の混合物であり、
前記担体が、植物油、ナッツ油、及び鉱油から選択される油又は油の混合物であるか、又は前記担体が、鉱油溶液中のマンニドオレエートであり、
i)前記ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント、前記脂質系アジュバント、前記両親媒性化合物、及び前記疎水性担体が、各々別の容器中にあるか;
ii)前記ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント、前記脂質系アジュバント、及び前記両親媒性化合物が、一緒に第1の容器中にあり、前記疎水性担体が第2の容器中にあるか;
iii)前記ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント及び前記脂質系アジュバントが、一緒に第1の容器中にあり、前記両親媒性化合物が第2の容器中にあり、及び前記疎水性担体が第3の容器中にあるか;
iv)前記ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント及び前記脂質系アジュバントが、一緒に第1の容器中にあり、前記両親媒性化合物及び前記疎水性担体が、一緒に第2の容器中にあるか;又は
v)前記ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントが第1の容器中にあり、前記脂質系アジュバントが第2の容器中にあり、前記両親媒性化合物及び前記疎水性担体が、一緒に第3の容器にある、キット。
【請求項24】
i)前記ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント、前記脂質系アジュバント、前記両親媒性化合物、前記疎水性担体、及び/又はそれらの任意の混合物のうちの任意の1つ又は複数と一緒に前記容器中にある抗原、又は別の容器中にある抗原;
ii)前記ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント、前記脂質系アジュバント、前記両親媒性化合物、前記疎水性担体、前記抗原のうちの任意の1つ若しくは複数及び/又はそれらの任意の混合物と一緒に前記容器中にあるTヘルパーエピトープ;又は別の容器中にあるTヘルパーエピトープであって、任意選択で前記抗原とのコンジュゲート若しくは融合物であり、そうである場合、前記抗原と同じ容器中にある、Tヘルパーエピトープ;及び/又は
iii)医薬組成物の調製で使用するための説明書及び/又は対象において抗体応答及び/又は細胞媒介免疫応答の誘発で使用するための説明書
をさらに含む、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
水を含まないか又は水を実質的に含まない組成物の調製で使用するためのものであり、水を実質的に含まない組成物が、担体の合計重量に基づき重量/重量で約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%又は0.01%未満の水を含む、請求項23又は24に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[0001]本出願は、その全体で参照により本明細書に組み込まれる2015年11月18日出願の米国特許仮出願第62/256,875号の利益及び優先権を主張する。
【0002】
[0002]本開示は、一般に、免疫される対象において、抗原特異的な液性及び細胞媒介免疫応答を誘発及び/又は強化することにおける効力を増強したアジュバント系及びワクチン組成物に関する。
【0003】
[0003]既知のタンパク質又はペプチドの抗原を含有するワクチンは、急速で長期にわたる免疫を生じさせるほど十分な免疫原性を有さない。これは、抗原に対する免疫応答を高めるアジュバントの使用により克服され得る場合もある(Schijns及びLavelle、2011年)。アジュバントには、一般的に2つの広いカテゴリー:送達系及び免疫刺激剤がある(Dubensky及びReed、2010年;Schijns及びLavelle、2011年;Hafner、Corthesyら、2013年)。ワクチンの送達系は、抗原の安定性及び免疫系との長期にわたる相互作用を提供することによりアジュバントとして作用することができる(Alving、Peachmanら、2012年)。ワクチンには、免疫系の細胞を直接活性化することによりワクチンの免疫原性をさらに増強する目的で、免疫を刺激する活性を有する分子化合物をアジュバントとして組み込むこともできる。
【0004】
[0004]免疫刺激性アジュバントは、特殊化された受容体を通して免疫系により認識される限定された分子からなるアゴニストであり、例えばポリI:CはToll様受容体3を刺激し、Pam3CSK4(配列番号1)はToll様受容体1/2を刺激する(Duthie、Windishら、2011年;Ogawa、Liuら、2011年)。免疫刺激剤は、免疫系及びワクチン抗原に対して生じた免疫応答のタイプも直接活性化することができる。例えば、多くのワクチンの有効性は、抗体の発生と相関するが、しかしながら、他のタイプのワクチンについては、主としてCD8+T細胞により媒介される強い細胞傷害性免疫応答が望まれる。ワクチン抗原に対して発生される免疫応答のタイプは、サイトカイン及びケモカインの発生を通してこれらの応答を開始させることができる免疫細胞に見出される特定の受容体を活性化する免疫刺激剤を含むことにより操作され得る。
【0005】
[0005]アルミニウム系アジュバント(アラムと総称される)は、現在認可されているヒト及び獣医学的ワクチンで最も一般的なものである(Gupta、1998年;Wilson−Welder、Torresら、2009年)。アラムワクチンは、抗原を水酸化アルミニウム又はリン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩と混合することにより調製される(Gupta、1998年;Stills、2005年)。注射されると、アラムは、抗原に対して短寿命のデポー製剤を形成して(Gupta、Changら、1996年)、マクロファージによるワクチンの食作用を促進する(Heimlich、Regnierら、1999年;Rimaniol、Grasら、2004年)。アラムアジュバントは、それらが、生来の免疫細胞により発現されるNLRP3インフラマソームを活性化することが示されているので(Kang及びLocksley、2009年;He、Zouら、2015年)、免疫刺激物質として作用することもできる。アラムは、免疫の箇所で壊死を惹起することにより種々の危険を感知する受容体を間接的に活性化して、免疫細胞の動員により炎症性応答も強化する(Kool、Soullieら、2008年)。アラムアジュバントは、IL−4の産生、IgG1及びIgE抗体並びに好酸球の活性化により特徴づけられるタイプ2の免疫応答を誘発する傾向がある(Wilson−Welder、Torresら、2009年)。
【0006】
[0006]エマルション製剤のワクチンは、アルミニウム系ワクチンに対する代替である。これらの製剤は、水性緩衝液に溶解された抗原をフロイントの不完全アジュバント(IFA)又はモンタニド(Montanide)(商標)ISA51 VGなどの油で乳化することにより調製される。エマルション製剤は、短寿命のデポー製剤も形成し、生来の免疫細胞によるワクチンの食作用を容易にして、タイプ2の免疫応答も生じさせる(Leenaars、Koedamら、1998年)。エマルションで使用される油は、独特の免疫刺激を与えることができ、アラムをアジュバントとするワクチンよりも強い免疫応答を生ずることが示された(DeGregorio、Caproniら、2013年)。しかしながら、エマルション製剤は、免疫系に対する抗原の効果的でない提示の結果として、T細胞寛容を生じ得る(Aichele、Brduscha−Riemら、1995年;Hailemichael、Daiら、2013年)。エマルション製剤は、調製が煩雑になりがちで、2〜8℃で貯蔵しなければならず、貯蔵寿命が限られるなどの実用的考慮によっても制限される(Koh、Higginsら、2006年;Kumru、Joshiら、2014年)。さらに、エマルション製剤は、ヒトに使用するためのそれらの認可を阻む毒性及び反応原性と関連する(Graham、McElrathら、2010年)。
【0007】
[0007]最適のアジュバント系を見出すことは困難であり、その理由は、送達系タイプのアジュバント及び/又は免疫刺激剤タイプのアジュバントの間及びその中の相互作用又は関連は予測不可能な効果がある可能性があり、相乗効果よりむしろ拮抗作用又は不応答がしばしば起こり得るからである。
【0008】
[0008]種々の抗原に対して強い液性及び細胞媒介免疫応答を発生させるアジュバント系及びワクチン組成物の開発に対する必要性が依然として存在する。本開示において、本発明者らは、抗原特異的免疫原性を増強するための新規なアジュバント系及びワクチン組成物を記載する。
【0009】
[0009]一実施形態において、本開示は、(a)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント、(b)脂質系アジュバント、(c)両親媒性化合物、及び(d)疎水性担体を含むアジュバント系に関する。
【0010】
[0010]別の実施形態において、本開示は、(a)抗原、(b)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント、(c)脂質系アジュバント、(d)両親媒性化合物、及び(e)疎水性担体を含む組成物に関する。本明細書で記載されるように、該組成物は、水を含まないか又は水を実質的に含まない。
【0011】
[0011]本明細書に記載されたアジュバント系及び組成物の幾つかの実施形態において、脂質系アジュバントは、例えば、本明細書に記載されているパルミチン酸アジュバントなどの少なくとも1つのパルミチン酸部分を含む。特定の実施形態において、脂質系アジュバントは、Pam−3−Cys−Ser−(Lys)4(Pam3CSK4;配列番号1)である。
【0012】
[0012]本明細書に記載されたアジュバント系及び組成物の幾つかの実施形態において、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントは、およその分子量が989,486ダルトンのポリI:Cの伝統的形態であり、ポリI及びポリCの変化するストランド長さの混合物を含有する(Thermo Scientific、米国)。
【0013】
[0013]本明細書に記載されたアジュバント系及び組成物の幾つかの実施形態において、両親媒性化合物はリン脂質、例えばDOPC又はS100レシチンなどであり、それらは、実施形態では、コレステロールと一緒に使用される。
【0014】
[0014]本明細書に記載されたアジュバント系及び組成物の幾つかの実施形態において、疎水性担体は、例えば鉱油系担体(例えば、モンタニド(登録商標)ISA 51)などの油である。
【0015】
[0015]別の実施形態において、本開示は、前記対象において前記抗原に対する抗体応答及び/又は細胞媒介免疫応答を誘発するために、本明細書に記載されている組成物を、それらを必要とする対象に投与することを含む方法に関する。
【0016】
[0016]別の実施形態において、本開示は、細菌、ウイルス、真菌、寄生生物、アレルゲン、又は抗原を発現する腫瘍細胞により惹起される疾患の治療及び/又は予防のための方法に関し、前記方法は、本発明に記載された組成物を対象に投与することを含む。
【0017】
[0017]別の実施形態において、本開示は、神経変性疾患の治療及び/又は予防のための方法に関し、ここで、神経変性疾患は抗原の発現に関連して、前記方法は、本発明に記載された組成物を対象に投与することを含む。
【0018】
[0018]別の実施形態において、本開示は、毒素、ウイルス、細菌又はアレルゲンを抗体で中和するための方法に関し、前記方法は、本発明に記載された組成物を対象に投与することを含む。
【0019】
[0019]別の実施形態において、本開示は、1個又は複数の別の容器に、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント;脂質系アジュバント;両親媒性化合物;及び疎水性担体を含むキットに関する。
【0020】
[0020]本開示の他の態様、実施形態及び特徴は、添付の特許請求の範囲及び図面と併せて以下の記載を精査すれば、当業者には明らかになると予想される。
【0021】
[0021]本発明の実施形態を例示する例のために過ぎない図において:
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】アジュバントなしで、ポリI:C、Pam3CSK4(配列番号1)又はポリI:CとPam3CSK4(配列番号1)の組合せを含有する油系の水を含まないワクチンによるワクチン接種に対する応答における抗体力価及び機能活性を例示する図である。CD−1マウス(n=10)を、アジュバントなし(群1)、ポリI:C単独(群2)、Pam3CSK4(配列番号1)単独(群3)又はポリI:CとPam3CSK4(配列番号1)の組合せ(群4)を含有する油系の水を含まないワクチンで製剤化された組換えPA炭疽抗原でワクチン接種した。
図1a:抗体力価を、ELISAを使用して経時的に血清で測定し、ボンフェローニの事後検定を用いる2元分散分析による統計分析で群1と比較した。
図1b:血清の炭疽毒素中和酸性度を第8週に測定し、チューキー事後検定を用いる1元分散分析により統計分析した。
【
図2】免疫後12週間で測定した血清抗体応答を例示する図である。マウス(CD−1)を、アラムをアジュバントとするワクチンで製剤化された組換えHA抗原(群1)、各1マイクログラムのポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)アジュバントを有する油系の水を含まないワクチン(群2)、各20マイクログラムのポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)アジュバントを有する油系の水を含まない製剤(群3)、各1マイクログラムのポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)アジュバントを有するエマルション(群4)、又は各20マイクログラムのポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)アジュバントを有するエマルション(群5)でワクチン接種した。統計分析を、スチューデントのt検定により実施し、上で示された群を比較した。
【
図3】ポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)アジュバントの組合せの種々の用量でワクチン接種されたマウスのIFN−γELISPOT応答を例示する図である。C57BL6マウス(n=4)を、ポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)アジュバントの組合せを含有する油系の水を含まないワクチン製剤中のR9F−PADRE抗原を用いて以下の用量でワクチン接種した:0.2マイクログラム(群1)、1.0マイクログラム(群2)、5.0マイクログラム(群3)、10.0マイクログラム(群4)。IFN−γELISPOTを、ワクチン接種後8日のマウスから単離された脾臓細胞を使用して実施し、1匹の抗原に未だ曝されていない、ワクチン接種されていないマウスを、陰性対照として利用した。応答は平均±SEMとして示す。統計をチューキーの事後検定を用いる1元分散分析により実施した、
*p<0.05。
【0023】
[0025]タンパク質又はペプチドなどの高度に精製された抗原及び合成抗原は、免疫原性が弱く、したがって、しっかりした免疫応答を助長するためにアジュバントなどの免疫刺激剤が必要になる。アジュバントには、一般的に2つの広いカテゴリー:送達系及び免疫刺激剤がある(Dubensky及びReed、2010年;Schijns及びLavelle、2011年;Hafner、Corthesyら、2013年)。
【0024】
[0026]アラムアジュバントは、現在認可されているヒト及び獣医学的ワクチンで最も一般的である(Gupta、1998年;Wilson−Welder、Torresら、2009年)。アラムアジュバントは、IL−4産生、IgG1及びIgE抗体及び好酸球活性化により特徴づけられるタイプ2の免疫応答を誘発する傾向がある(Wilson−Welder、Torresら、2009年)。
【0025】
[0027]エマルション製剤のワクチンは、アルミニウム系ワクチンの代替である。エマルション製剤は、短寿命のデポー製剤を形成して生来の免疫細胞によるワクチンの食作用を助長し、タイプ2の免疫応答を誘発する傾向もある(Leenaars、Koedamら、1998年)。エマルションは、アラムをアジュバントとするワクチンより強い免疫応答を生ずることが示されているが(De Gregorio、Caproniら、2013年)、これらの製剤は、ヒトにおける使用のためのそれらの認可を阻んできた重大な限界を有する(例えば、T細胞寛容、毒性及び反応原性)(Graham、McElrathら、2010年)。
【0026】
[0028]免疫刺激物質アジュバントは、ワクチンの免疫原性を増大させて、タイプ1の免疫応答の発生を促進する狙いで、アラム又はエマルションワクチンに組み込むことができる。タイプ1の免疫応答は、細胞傷害性Tリンパ球の活性により特徴づけられ、ある種のワクチンの表示のために望ましい(Hansen、Metら、2012年;Gallo、2015年)。例として、Toll様受容体(TLR)のアゴニストは、この目的のために使用され得る(Duthie、Windishら、2011年)。
【0027】
[0029]TLRは、病原体に関連する分子のパターン(PAMP)のためのセンサーとして機能する受容体の群である。TLRは、主として生来の免疫細胞に見出され、TLRは、生来の免疫細胞の活性化のシグナルを送って、PAMPを発現するタイプの病原体のために特注された独特の免疫応答を生じさせる(Duthie、Windishら、2011年)。ヒトで発現される10種のTLRタンパク質がある(Chang、2010年)。各TLRは、ある特定のタイプのPAMPを検出するために特殊化されており;PAMPアゴニストは、二本鎖DNA及びRNA、フラゲリン、細菌リポペプチド、及びリポ多糖などの分子を含む。これらの受容体は、構造相同性を有し、ロイシンに富む反復の馬蹄形の細胞外ドメイン、単一のらせん状の膜貫通ドメイン、及び細胞内Toll−インターロイキン1受容体シグナル伝達ドメイン(TIR)モチーフを共有する(Watters、Kennyら、2007年;Song及びLee、2012年)。大部分のTLRは、細胞表面膜に見出されるが、一組の細胞内のTLR−3、7、8、及び9は、膜の内部、例えばエンドソームで発現されて、核酸の種々の形態を認識する(Chang、2010年)。
【0028】
[0030]TLRは、それぞれのリガンドが連結すると、集合してホモダイマーとなり、それは、下流のシグナル伝達カスケードを開始させる(Song及びLee、2012年)。TLR2は、それがTLR1又はTLR6と、ヒトではおそらくTLR10とヘテロダイマーを形成するので例外である(Govindaraj、Manavalanら、2010年)。各TLR2ヘテロダイマーは、異なるリガンド特異性を有する(Takeuchi、Satoら、2002年)。TLRは、免疫を刺激するアジュバントのための標的として最も徹底的に研究されたクラスの受容体であり、その理由は、それらのリガンドの多くが知られており、合成的に製造することができるからである(Duthie、Windishら、2011年)。しかしながら、他のクラスの受容体も、新規な免疫を刺激するアジュバントのための重要な標的であり得る(Pulendran及びAhmed、2006年;Ishii及びAkira、2007年)。
【0029】
[0031]TLRアゴニストは、合成的に作製することができ、特定のタイプの免疫細胞の刺激を通して特定のタイプの免疫応答を刺激する狙いで、ワクチン製剤に含まれる。幾つかのTLRアゴニストは、組み合わされたときに相乗的活性を示した。最も強い組合せの幾つかは、ポリI:C(TLR3アゴニスト)又はLPS(TLR4アゴニスト)との組合せであり、その理由は、おそらく、TLR3及びTLR4のシグナルは、TRIFアダプタータンパク質を使用するが、残りの他のTLRは、主として、MyD88アダプタータンパク質によるからである(Napolitani、Rinaldiら、2005年;Ghosh、Mickelsonら、2007年;Wells、Cowledら、2008年;Zhu、Egelstonら、2008年;Suet Ting Tan、Linら、2013年)。しかしながら、1種のTLRアゴニストに前に曝されていると他のアゴニストに寛容を生じ得るので、タイミングが非常に重要である(Sato、Nomuraら、2000年;Bagchi、Herrupら、2007年)。
【0030】
[0032]ポリI:CはTLR3を活性化する合成二本鎖RNA分子である。ポリI:Cは、RIG−I及びMDA5という核酸を感知する非TLR細胞内受容体も刺激することもでき、抗ウイルス免疫に関与する(Kato、Takeuchiら、2006年)。これらの3種の受容体を通して、ポリI:Cは、タイプ1のインターフェロンの産生を生じさせて、タイプ1の免疫応答を導く(Hafner、Corthesyら、2013年)。インビボで、ポリI:Cをアジュバントとするワクチンは、強い細胞傷害性T細胞免疫応答を誘発することができる(Zhu、Fallert−Juneckoら、2010年、Tsuji、Sabbatiniら、2013年)。しかしながら、これらの受容体は広範囲の細胞で発現するので、アジュバントとしてのポリI:Cの使用は、生じ得る全身的毒性のために限定される(Anders、Zecherら、2005年;Farina、Yorkら、2010年)。
【0031】
[0033]Pam3CSK4(配列番号1)は、TLR1/2ヘテロダイマーを活性化する合成細菌トリ−アシルリポペプチドである。Pam3CSK4(配列番号1)は、B細胞の強い活性化因子であり、インビトロで、クラスを切り替えて抗体の産生を刺激することができる(Agrawal及びGupta、2011年;Pone、Zhangら、2012年;Pone、Louら、2015年)。インビボで、Pam3CSK4(配列番号1)をアジュバントとして含有するワクチンは、強い抗体媒介免疫を誘発することができる(Stegmann、Kamphuisら、2010年;Caproni、Trittoら、2012年)。
【0032】
[0034]免疫系の異なる態様のそれらの望ましい増強に基づいて、ポリI:CとPam3CSK4(配列番号1)との組合せは、効果的なアジュバント系である可能性を有する。この関係で、ポリI:CとPam3CSK4(配列番号1)との組合せによる刺激は、インビトロで、マクロファージ(Bagchi、Herrupら、2007年)及び樹状細胞(Vanhoutte、Pagetら、2008年)において相乗的活性を有すると報告されている。ポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)により活性化されて、抗原を有する樹状細胞は、腫瘍担持マウスに移植されて養子化された場合に、腫瘍成長からの保護を、インビトロで、効果的に提供することができた(Lim、Kuhnら、2012年)。米国特許第8,216,595号(Moonら、2012年)で、ポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)は、エマルションワクチンでアジュバント系として、各々20マイクログラムの用量で使用された。該ワクチンは、開示されていない用量体積で、筋肉内に投与された。しかしながら、マウスにおけるこのタイプを注射するための現在の指針に基づいて、用量の体積は50マイクロリットルであったと推定されている(Diehl、Hullら、2001年)。
【0033】
[0035]本開示は、(a)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント;(b)脂質系アジュバント;(c)両親媒性化合物;及び(d)疎水性担体を含む新規アジュバント系に関する。本明細書で開示されるワクチン組成物は、それに加えて少なくとも1種の抗原を含む。
【0034】
[0036]本明細書で示すように、今や驚くべきことに及び予想外なことに、本明細書で開示されるアジュバント系を含む水を含まないワクチン組成物は、より低い用量のポリI:C及び脂質系アジュバントで、有意により高い抗体力価及びより強い細胞媒介免疫応答を生じさせることができることが見出された。
【0035】
[0037]本明細書において使用する、用語「用量」及び「単位用量当たり」は、互換的に使用してもよい。該用語は、投与の各々の場合に対象に与えられるワクチン成分(例えば、抗原、アジュバントなど)の合計量(amount)又は分量(quantity)を指すことが意図される。
【0036】
[0038]本明細書(実施例1)で開示される組成物の成分を使用する唯1回の免疫で、堅牢な及び長く続く抗原特異的な抗体免疫応答を生じさせる能力は、広範囲の医学的用途、例えば本明細書に記載されているものなどにおける、アジュバント系及び組成物の特定の有用性を例示する。水を含まないワクチン組成物では、本明細書で開示されたアジュバント系は、唯1種のみアジュバントを含む組成物と比較して、長引いた期間有意により高い抗体力価を生じさせることができる(
図1)。その上、本明細書で開示されたアジュバント系を使用して発生された抗体は、増大した機能能力を有する(
図2)。
【0037】
[0039]本明細書の実施例2及び実施例3に記載されたデータを下の表1及び表2にまとめる。
【0039】
[0041]上の表(表1)から、本明細書で開示されたワクチン組成物は、20分の1の用量のアジュバントでも、有意に増強された抗体免疫応答を生じさせ得ることがわかると予想される。本明細書で開示された水を含まない油系組成物(群2)中の1マイクログラムのポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)アジュバントで生じさせた抗体の免疫応答は、油エマルション組成物(群4)中の等価用量よりも7倍大きく、20倍多くの(即ち20マイクログラム)ポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)アジュバント(群5)を含む油エマルション組成物よりも約2倍大きかった。さらに、本明細書で開示された水を含まない組成物により生じた抗体免疫応答は、20分の1の用量のアジュバントが使用された場合に、約6.5倍大きかった(群2と群3を比較されたい)。これらの結果は驚異的であり、予想外である。
【0041】
[0043]上の表(表2)から、本明細書で開示された水を含まないワクチン組成物は、強い細胞媒介免疫応答を刺激し得ることがわかると予想される。驚くべきことに、該組成物は、ポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)アジュバントのより低い用量で使用されたときに、最も効果的である。ポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)アジュバントの1マイクログラム(群2)及び5マイクログラム(群3)で投薬されたワクチン組成物は、ポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)アジュバント(群4)の10マイクログラムで投薬されたワクチン組成物よりも殆ど2倍効果的であった。用量を、ポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)アジュバント(群1)の0.2マイクログラムにさらに減少させてさえ、1及び5マイクログラム用量で得られた応答の約1.5倍、及び10マイクログラム用量で得られた応答の約2.8倍大きいより効果的な細胞媒介免疫応答が生じた。これらの結果は驚異的で予想外である。
【0042】
[0044]本明細書に記載された実施例から、本明細書で開示されたアジュバント系及びワクチン組成物は、めったにないほど強い抗体及び細胞媒介免疫応答を誘発することがきること、及び驚くべきことに、アジュバントの用量が増大するにつれて、血清抗体又はIFN−ガンマELISPOT応答により測定された免疫応答が減少したことが明らかである。
【0044】
[0046]一実施形態では、ワクチン組成物又は他の医薬組成物で使用するためのアジュバント系がここで開示される。該アジュバント系は、(a)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント;(b)脂質系アジュバント;(c)両親媒性化合物;及び(d)疎水性担体を含む。
【0045】
[0047]幾つかの実施形態において、アジュバント系は、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント;脂質系アジュバント;両親媒性化合物;及び疎水性担体を含む、水を含まないか又は水を実質的に含まない製剤であってもよい。幾つかの実施形態において、アジュバント系は、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント;脂質系アジュバント;両親媒性化合物;及び疎水性担体を含む製剤であってもよく、それは、当技術分野で公知の方法(例えばフリーズドライ、凍結乾燥、回転蒸発、減圧蒸発など)により乾燥されて水を含まないか又は水を実質的に含まない製剤を形成することにより任意選択で乾燥され得る。
【0046】
[0048]本明細書において使用する、用語「アジュバント系」とは、ワクチン組成物中の1つ又は複数の抗原に対する抗原特異的免疫応答、例えば、抗体の免疫応答及び/又は細胞媒介の免疫応答を誘発又は強化するためのワクチン組成物の効力を一緒に増大させることができる成分の組合せを指す。本明細書に記載された特定の実施形態において、アジュバント系は、水を含まないか又は水を実質的に含まないワクチン組成物の調製に使用される。
【0047】
[0049]ワクチン組成物の「効力を増大させる」により、本明細書で開示されたアジュバント系が、ワクチン組成物中で使用される場合に、増強され免疫原性、例えば増強され抗体の及び/又は細胞媒介の免疫応答を誘発することができることが意味される。増強された免疫応答は、例えば、(i)本明細書で開示されたアジュバント系の成分の全てを含むことはない組成物;(ii)水を含まないか又は水を実質的に含まない組成物(例えばエマルション);及び/又は(iii)単位用量当たりのより高い量のポリI:C及び/又は脂質系アジュバントを含有する組成物と比較することもできる。
【0048】
[0050]別の実施形態において、ワクチン組成物の「効力を増大させる」とは、本明細書で開示されたアジュバント系が、ワクチン組成物中で使用される場合に、単位用量当たりのより低い量で投与されることができ、それでもなお、効果的な抗体の及び/又は細胞媒介の免疫応答を提供することを意味する。一実施形態では、単位用量当たりのより低い量のアジュバント(本明細書で開示されたワクチン組成物中で)を使用することにより発生した免疫応答は、単位用量当たりのより高い量で生じさせた免疫応答と少なくとも等価である。他の実施形態では、単位用量当たりのより低い量のアジュバント(本明細書で開示されたワクチン組成物中で)を使用することにより発生した免疫応答は、単位用量当たりのより高い量で発生させた免疫応答より強い。
【0049】
[0051]本明細書において使用する、「増強された免疫原性」又は「増強された免疫応答」により、免疫応答が対象の利益のために高められ、改善され又は強化されることが意味される。増強は、例えば、対象の以前の免疫応答状態(例えば、本明細書で開示された組成物の適用より前)に対してか又は別の組成物により提供された免疫応答と比較してであってもよい。
【0050】
[0052]
ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント
【0051】
[0053]ポリI:Cポリヌクレオチドは、イノシン酸残基(I)及びシチジル酸残基(C)を含有するポリヌクレオチド分子(RNA又はDNA又はDNAとRNAの組合せのいずれか)であり、それらはインターフェロンなどの炎症性サイトカインの産生を誘発する。幾つかの実施形態において、ポリI:Cポリヌクレオチドは二重らせんである。そのような実施形態では、それらは、典型的には、シトシン含有ヌクレオチドのみからなる一本鎖とイノシン含有ヌクレオチドのみからなる一本鎖とで構成されるが、他の構成も可能である。例えば、各ストランドは、シトシン含有及びイノシン含有ヌクレオチドの両方を含有することもできる。幾つかの場合に、いずれか又は両方のストランドが、追加的に、1つ又は複数の非シトシン又は非イノシンヌクレオチドを含有することもできる。
【0052】
[0054]別の実施形態では、ポリI:Cポリヌクレオチドは、イノシン酸残基(I)及びシチジル酸残基(C)を含有する一本鎖の分子であることもできる。例として、一本鎖のポリI:Cは、dIdCを反復する配列であることもできるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、一本鎖のポリI:Cの配列は、(IC)13個の26量体配列、即ちICICICICICICICICICICICICIC(配列番号3)であってもよい。当業者であれば認識していると予想されるように、それらの性質(例えば相補性)に基づいて、dIdCを反復するこれらの一本鎖の分子は、ホモダイマーを自然に形成して、それ故、それらはポリI/ポリCダイマーと概念的に同様であると予想される。
【0053】
[0055]ポリI:Cは、16残基毎にセグメント化することができて、インターフェロンを活性化するその潜在能力には影響がないと報告されている(Bobst、1981年)。さらに、シチジル酸残基を12回反復する毎にウリジン残基を導入することによりミスマッチしたポリI:C分子のインターフェロンを誘発する潜在能力は(Hendrix、1993年)、12残基の最小の二本鎖ポリI:C分子でインターフェロン産生を助長するために十分であることを示唆する。他の研究者も、二本鎖ポリヌクレオチドらせんの0.5〜1回転に対応する6〜12残基の小さい領域が、導入プロセスを開始させることができることを示唆した(Greene、1978年)。合成的に作製された場合、ポリI:Cポリヌクレオチドは、典型的には約20個以上の残基の長さである(一般的に22、24、26、28又は30残基の長さ)。半合成的に作製された場合(例えば、酵素を使用して)、ストランドの長さは500、1000個以上の残基であってもよい。
【0054】
[0056]ポリI:Cは、ウイルスゲノムの模倣体として作用し、免疫系をインビボで調整するために特に有用である。合成ポリI:ポリCホモポリマーは、例えば、インビボで静脈内又は筋肉注射により全身的に送達された場合に、インターフェロンγを非特異的に誘発することにより生来の免疫を強化すると報告されている(Krown、1985年;Zhu、2007年)。ポリイノシン酸及びシチジル酸ポリマーの数通りの変形体が、数年にわたって記載され(de Clercq、1978年;Bobst、1981年;de Clercq、1975年;Guschlbauer、1977年;Fukui、1977年;Johnston、1975年;米国特許第3,906,092号、Kamath、2008年;Ichinohe、2007年)、それらのうち幾つかは、共有結合で改変された残基の使用、リボ及びデオキシリボイノシン及びシチジル残基の使用、ホモポリマー及びイノシン酸及びシチジル酸残基を含有する交互コポリマーの使用、及びミスマッチのあるポリマーを創る特定の残基の導入を含むものであった。
【0055】
[0057]イノシン酸及びシチジル酸を含有する二本鎖ポリヌクレオチドの使用は、多くのウイルス性疾患(Kende、1987年;Poast、2002年;米国特許第6,468,558号、Sarma、1969年;Stephen、1977年;Levy、1978年)、癌(Durie、1985年;Salazar、1996年;Theriault、1986年;Nakamura、1982年;Talmadge、1985年;Droller、1987年)、多発性硬化症のよう自己免疫疾患(Bever、1986年)、及びマラリアなどの他の感染性疾患(Awasthi、1997年;Puri、1996年)の治療のために報告されている。ポリI:C分子の効力は、幾つかの場合、上記分子を正に荷電したポリリシン及びカルボキシメチルセルロースと複合化することによりさらに増強され(Stephen、1977年;Levy、1985年)、又はポリI:Cを正に荷電する合成ペプチドと複合化することにより(Schellack、2006年)ポリヌクレオチドを、インビボにおけるヌクレアーゼ分解から効果的に保護した。
【0056】
[0058]生来の免疫の非特異的エンハンサーとしてのその使用に加えて、ポリI:Cは、ワクチン組成物中のアジュバントとしても有用である。生来の免疫の増強は、おそらく、少なくとも部分的に、NK細胞、マクロファージ及び/又は樹状細胞を含む機構を通して、増強された抗原特異的な適応性のある免疫をもたらし得る(Chirigos、1985年;Salem、2006年;Alexopoulou、2001年;Trumpfheller、2008年)。この関係において、ポリI:C分子の使用についての証拠は、感染性疾患を制御するため(Houston、1976年;Stephen、1977年;Ichinohe、2007年;Sloat、2008年;Agger、2006年;Padalko、2004年)及び種々のワクチンの様相により癌を予防又は治療するための(Zhu、2007年;Cui、2006年;Salem、2005年;Fujimura、2006年;Llopiz、2008年)種々のワクチンの研究から生じている。これらの研究は、ポリI:Cが、特定の感染性疾患の抗原に対して増強された抗体応答から明らかなように、液性の応答を増強することを示す。ポリI:Cは、抗原特異的な細胞の応答の増強剤でもある(Zhu、2007年;Zaks、2006年;Cui、2006年;Riedl、2008年)。ポリI:C分子のアジュバント効果は、少なくとも部分的に、toll様受容体(TLR)、例えば、TLR3、TLR4、TLR7、TLR8及びTLR9などと、特に大部分のポリI:C分子と関連するTLR3とそれらとの相互作用を通してインターフェロン−γを誘発することにより起こると考えられる(Alexopoulou、2001年;Trumpfheller、2008年;Schellack、2006年;Riedl、2008年)。証拠も、ポリI:C分子が、少なくとも部分的に、TLR以外の受容体、例えばRNAヘリカーゼ、レチノイン酸が誘発したタンパク質I(RIG−I)/メラノーマ分化と関連する遺伝子5(MDA5)などと相互作用することにより、それらの効果を発揮することができることを示唆する(Alexopoulou、2001年;Yoneyama、2004年;Gowen、2007年;Dong、2008年)。ポリI:C分子の作用機構は、未だ完全に理解されてはいない。
【0057】
[0059]したがって、本明細書において使用する、「ポリI:C」、「ポリI:Cポリヌクレオチド」又は「ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント」は、二本鎖−又は一本鎖のポリヌクレオチド分子(RNA又はDNA又はDNAとRNAの組合せ)であり、それらの各ストランドは、少なくとも6個の近接するイノシン酸又はシチジル酸残基、又はイノシン酸及びシチジル酸から任意の順序で選択された6個の近接する残基(例えばIICIIC(配列番号4)又はICICIC(配列番号5))を含有し、それは、哺乳動物の対象において、少なくとも1種の炎症性サイトカイン、例えばインターフェロンの産生を誘発又は増強することができる。ポリI:Cポリヌクレオチドは、典型的には、約8、10、12、14、16、18、20、22、24、25、26、28、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、500、又は1000個以上の残基長さを有すると予想される。好ましいポリI:Cポリヌクレオチドは、約6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、又は30個のヌクレオチドの最小長さ及び約、1000;500、300、200、100、90、80、70、60、50、45又は40個のヌクレオチドの最大長さを有することができる。
【0058】
[0060]二重らせんポリI:Cポリヌクレオチドの各ストランドは、イノシン酸又はシチジル酸残基のホモポリマーであることもあり、又は各ストランドは、イノシン酸及びシチジル酸残基の両方を含有するヘテロポリマーであってもよい。いずれの場合も、ポリマーは、1個又は複数の非イノシン酸又は非シチジル酸残基(例えばウリジン)により中断されていてもよく、但し、上で記載された6個のI、6個のC又は6個のI/C残基の少なくとも1つの隣接領域がある。典型的には、ポリI:Cポリヌクレオチドの各ストランドは、6個のI/C残基当たり1個以下の非I/C残基を、より好ましくは、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28又は30個のI/C個の残基毎に1個以下の非I/C残基を含有すると予想される。
【0059】
[0061]ポリI:Cポリヌクレオチド中のイノシン酸又はシチジル酸(又は他の)残基は、当技術分野で公知のように誘導体化されていても又は改変されていてもよいが、但し、インターフェロンなどの炎症性サイトカインの産生を助長するポリI:Cポリヌクレオチドの能力が保持されることが条件である。誘導体又は改変の例として、例えば、アジド改変、フルオロ改変、又はインビボにおける安定性を強化するために天然のホスホジエステル連結の代わりにチオエステル(又は同様な)連結を使用することが含まれるが、これらに限定されない。ポリI:Cポリヌクレオチドは、例えば、インビボにおける分解に対するその耐性を、例えば、上記分子を正に荷電したポリリシン及びカルボキシメチルセルロースと又は正に荷電した合成ペプチドと複合体化することにより強化するために、改変されてもよい。
【0060】
[0062]幾つかの実施形態において、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントは、約989,486ダルトンの分子量を含み、数百塩基対のポリI及びポリCの変化するストランド長さの混合物を含有する(Thermo Scientific;米国)伝統的形態のポリI:Cである。
【0061】
[0063]ポリI:Cポリヌクレオチドの単位用量当たりの適当な量の決定は、特に本明細書で提供された開示に照らして、十分当業者の能力内である。幾つかの実施形態において、単位用量当たりの量は、従来のものと比較して低い用量のポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントであると予想される。本明細書で開示されたように、本発明のアジュバント系は、単位用量当たり低い量のアジュバントで強い免疫応答を生じさせることができる。一実施形態において、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントの低い用量は、マウスで計算して、又はヒトのために換算された単位用量当たりの等価な量として、組成物の単位用量当たり10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0.5マイクログラム未満である。特定の実施形態において、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントの低い用量は、マウスで計算して、又はヒトのために換算された単位用量当たりの等価な量として、単位用量当たり約0.2、0.3、0.4、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5又は5マイクログラムである。マウスにおける典型的な用量体積は、例えば、50マイクロリットルである。ヒトにおける典型的な用量体積は、50〜500マイクロリットルの間であってもよいが、これに限定されない。したがって、幾つかの実施形態において、ヒトにおける換算された低い用量は、単位用量当たり2〜50マイクログラムの間、例えば約2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、40又は50マイクログラムであると予想される。
【0063】
[0065]本明細書において使用する、脂質系アジュバントとは、少なくとも1種の脂質部分又は脂質成分を含むアジュバントである。
【0064】
[0066]「脂質部分」又は「脂質成分」という表現は、任意の脂肪酸(例えば脂肪族アシル)又は、例えばトリグリセリド、ジグリセリド、及びモノグリセリドを含むそれらの誘導体を指す。典型的脂肪酸として、パルミトイル、ミリストイル、ステアロイル及びデカノイル基又は任意のC2〜C30の飽和又は不飽和脂肪族アシル基、好ましくは、任意のC14〜C22の飽和又は不飽和脂肪族アシル基、より好ましくはC16の飽和又は不飽和脂肪族アシル基が含まれるが、これらに限定されない。したがって、ここで言及されたように、「脂質系アジュバント」という表現は、脂肪族アシル基又はそれらの誘導体を含むアジュバントを包含する。
【0065】
[0067]脂質系アジュバントは、アミノ酸、オリゴペプチド又は他の分子(例えば、炭水化物、グリカン、多糖、ビオチン、ローダミンなど)とカップルできる最小で少なくとも1種の脂質部分、又は合成/半合成脂質部分のアナログを含有する。したがって、脂質系アジュバントは、例えば、リポアミノ酸、リポペプチド、リポグリカン、リポ多糖又はリポテイコ酸であってもよいが、これらに限定されない。その上、脂質部分又は脂質部分を含有する構造は、共有結合で又は非共有結合で抗原とカップルすることができ、アジュバントの性質が組み込まれた抗原性化合物を創る。例えば、脂質系部分は、カチオン(例えばニッケル)を含むこともできるが、これらに限定されず、非共有結合カップリングのための正電荷を提供する。幾つかの実施形態において、脂質部分又は脂質部分を含有する構造は、リポソーム、PGLAナノ粒子、デンドリマー又は任意の他の適当な粒子を含むが、これらに限定されない粒子中に、脂質部分を抗原に密に近接にもたらし又は保たせ、その結果それらが効率的に共送達され得る目的で、抗原と共カプセル化させることもできる。
【0066】
[0068]幾つかの実施形態において、脂質部分又は脂質成分は、天然に存在する、例えば、グラム陽性菌又はグラム陰性菌、ロドシュードモナス・ビリディス(Rhodopseudomonas viridis)、又はマイコプラズマからの細胞壁成分(例えばリポタンパク質)であってもよい。他の実施形態では、脂質部分又は脂質成分は、合成又は半合成であってもよい。
【0067】
[0069]脂質系アジュバントは、アジュバントの脂質部分又は成分の少なくとも1つとしてパルミチン酸(PAM)を含むこともできる。そのような脂質系アジュバントは、本明細書では「パルミチン酸アジュバント」と称する。パルミチン酸は、大腸菌の免疫学的に反応性のBraunのリポタンパク質中で見出される低分子量の脂質である。パルミチン酸についての他の一般的化学名は、例えば、ヘキサデカン酸(IUPAC命名法)及び1−ペンタデカンカルボン酸を含む。パルミチン酸の分子式は、CH
3(CH
2)
14CO
2Hである。当業者には理解されるように、パルミチン酸の脂質鎖は変化させることが可能である。パルミチン酸アジュバントとして本願で使用され得る典型的化合物、及びそれらを合成する方法は、例えば、その開示が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2008/0233143号;米国特許出願公開第2010/0129385号;及び米国特許出願公開第2011/020,0632号に記載されている。
【0068】
[0070]脂質部分として上で一般的に記載されたように、パルミチン酸アジュバントは、最小で少なくとも1つのパルミチン酸部分を含有し、それは、アミノ酸、オリゴペプチド又は他の分子とカップルすることができる。パルミチン酸部分又はパルミチン酸を含有する構造は、共有結合で又は非共有結合で抗原とカップルすることができ、アジュバントの性質が組み込まれた抗原性化合物を創る。パルミチン酸部分又はパルミチン酸を含有する化学構造は、システインペプチド(Cys)とコンジュゲート化でき、アジュバントの直鎖状及び分岐構造を含む種々の構造的配置を可能にする。システイン残基は、セリン(Ser)及び/又はリシン(Lys)などの極性残基によりC末端で一般的に延長されて溶解度が改善されたアジュバント化合物を創る。パルミチン酸を含有するアジュバント化合物は、抗原と混合されて、非共有結合の相互作用により抗原と関連するか、又はその代わりに抗原と共有結合で連結されるか、直接又はリンカー/スペーサーの使用のいずれかで、増強された免疫応答を生じさせることができた。最も一般的には、2つのパルミチン酸部分が、グリセリル骨格及びシステイン残基に取り付けられて、ジパルミトイル−S−グリセリル−システイン(PAM
2Cys)又はトリパルミトイル−S−グリセリル−システイン(PAM
3Cys)を創り、それらも上で記載された複数の原子配置で使用され得る。
【0069】
[0071]パルミチン酸アジュバントは、B細胞を活性化して、抗体の急速な増殖及び産生を惹起することが公知である。ワクチン製剤中でアジュバントと共送達された抗原を親和性成熟により認識するB細胞は、抗原に対する増大した特異性を以て増殖すると予想される。活性化されたB細胞は、可溶性の標的、例えば、血液中に存在する細菌に結合することができる大量の可溶性のイムノグロブリン抗体を分泌することが公知である。抗体のエフェクター機能は、i)オプソニン化;ii)抗体依存性の細胞に媒介される細胞傷害性(ADCC);iii)補体の活性化;iv)中和である。大部分のB細胞は、成熟して抗体を分泌するプラズマ細胞になると予想されるが、一部は、免疫応答が感染を制御した後で存続する記憶B細胞に分化することになる。これは、病原体に対するその後の曝露の長期の免疫を提供する。理想的には、予防的ワクチンは、強い記憶B細胞の集団を誘発すべきである。
【0070】
[0072]それ故、一実施形態では、脂質系アジュバントは、パルミチン酸部分又は成分を含む任意のタイプのアジュバントである。一実施形態において、脂質系アジュバントは、1個又は複数のパルミチン酸部分を含むリポペプチドである。該パルミチン酸部分は、インビトロ又はインビボにおけるその安定性を改善し、受容体(例えば下で記載されるToll様受容体など)に対するその結合を強化するために又はその生物学的活性を強化するために、改変されていても又は操作されていてもよい。
【0071】
[0073]特定の実施形態において、パルミチン酸アジュバントは、PAM
2Cysを含むこともできる。
【0072】
[0074]別の特定の実施形態では、パルミチン酸アジュバントは、PAM
3Cysを含むことができる。
【0073】
[0075]別の特定の実施形態では、パルミチン酸アジュバントは、Pam2−Cys−Ser−(Lys)4(配列番号1)又はPam−3−Cys−Ser−(Lys)4(配列番号1)であってもよい。そのようなパルミチン酸アジュバントは、例えば、EMC Microcollections GmbH(ドイツ)及びInvivoGen(サンディエゴ、カリフォルニア州、米国)から研究試薬として入手できる。
【0074】
[0076]標識されたアナログを含むPam2−Cys−Ser−(Lys)4(配列番号1)及びPam−3−Cys−Ser−(Lys)4(配列番号1)の種々のアナログも、EMC Microcollectionsから入手できる。これらのアナログは、本発明に含まれ、PAM
3Cys−SKKKK(配列番号1)(β−線放射性)、R−PAM
3Cys−SKKKK(配列番号1)、S−PAM
3Cys−SKKKK(配列番号1)、PAM
3Cys−SKKKK(ビオチン−Aca−Aca)(配列番号1)、PAM
3Cys−SKKKK(フルオレセイン−Aca−Aca)(配列番号1)、PAM
3Cys−SKKKK(ローダミン−Aca−Aca)(配列番号1)、PAM
3Cys−SKKKK−FLAG−タグ(配列番号1)、PAM
3Cys−SSNAKIDQLSSDVQT(配列番号6)、PAM
3Cys−SSNKSTTGSGETTTA(配列番号7)、PAM
3Cys−SSTKPVSQDTSPKPA(配列番号8)、PAM
3Cys−SSGSKPSGGPLPDAK(配列番号9)、PAM
3Cys−SSGNKSAPSSSASSS配列番号10)、PAM
3Cys−GSHQMKSEGHANMQL(配列番号11)、PAM
3Cys−SSSNNDAAGNGAAQT(配列番号12)、PAM
3Cys−KQNVSSLDEKNSVSV(配列番号13)、PAM
3Cys−NNSGKDGNTSANSAD配列番号14)、PAM
3Cys−NNGGPELKSDEVAKS(配列番号15)、PAM
3Cys−SQEPAAPAAEATPAG(配列番号16)、PAM
3Cys−SSSKSSDSSAPKAYG(配列番号17)、PAM
3Cys−AQEKEAKSELDYDQT(配列番号18)、Pam
2Cys−SKKKK(RR及びRS立体異性体の混合物)(配列番号1)、R−Pam
2Cys−SKKKK(RR立体異性体)(配列番号1)、S−PAM
2Cys−SKKKK(RS立体異性体)(配列番号1)、PamCys(Pam)−SKKKK(配列番号19)、PAM
2Cys−SKKKK(ビオチン−Aca−Aca)−NH
2(配列番号1)、PAM
2Cys−SKKKK(フルオレセイン−Aca−Aca)−NH
2(配列番号1)、PAM
2Cys−SKKKK(ローダミン−Aca−Aca)−NH
2(配列番号1)、及びPAM
2Cys−SKKKK−FLAG−タグ(配列番号1)を含むが、これらに限定されない。必要に応じて、パルミチン酸アジュバント又はそれらのアナログは、立体化学的に規定された化合物又は立体異性体の混合物として使用することができる。
【0075】
[0077]特定の実施形態において、本明細書で開示されたアジュバント系及び組成物の脂質系アジュバントは、Pam−3−Cys−Ser−(Lys)4(配列番号1)である。
【化1】
【0076】
[0078]幾つかの実施形態において、脂質系アジュバントは、Toll様受容体(TLR)を活性化するか又は活性を増大させる、好ましくは、TLR2を活性化するか又は活性を増大させるものである。本明細書において使用される、TLR2を活性化するか又は活性を増大させることは、任意のモノマー、ホモダイマー又はヘテロダイマーの形態におけるその活性化、及び下でさらに詳細に記載されるように、特にTLR2のTLR1又はTLR6とのヘテロダイマーとしての(即ちTLR1/2又はTLR2/6)活性化を包含することができる。
【0077】
[0079]TLRは、主として樹状細胞(DC)及びマクロファージ、専門的抗原提示細胞などの白血球上で見出される膜貫通タイプの受容体の保存されたファミリーである。TLRは、特に進化して、病原体と関連する分子のパターン、例えば細菌リポタンパク質など及びリポペプチド及びウイルスの二本鎖RNAなどを認識してそれに対する免疫応答を誘発する。10種を超える性質が異なるTLRが、マウス及びヒトで同定されているが、リガンド及びシグナル伝達経路は一部について未知である(下の表3を参照されたい)。ヒトで13種の同定されたTLRがあり、1から13まで番号を付けられている。
【0079】
[0081]TLRは、典型的にはホモダイマーを形成するが、TLR2は例外であり、それはTLR1又はTLR6とヘテロダイマーを形成して、異なるリガンド特異性を生ずる。TLR2は、下流のシグナル伝達を媒介し、それ故、これらのヘテロダイマーは、しばしばTLR2と総称される(Takeuchi、2010年)。DCに対するTLRの刺激は、MHC及び共刺激性分子の上方制御を生じ、それは、これらの細胞の抗原提示機能、並びにTh1−タイプのサイトカインの産生及び交差提示の助長を強化する(Lahiri、2008年;Welters、2007年;Matsumoto、2008年;Blander、2008年)。TLRを通す刺激は、免疫応答を高める直接的効果を有するので、TLRアゴニストは、可能性のあるアジュバントとして研究されてきた(Barchet、2008年)。
【0080】
[0082]TLRは、Toll−インターロイキン1受容体(TIR)と命名された保存された細胞質のドメインを有し、それは、下流のシグナル伝達経路を助長して細胞の活性化を生じさせるアダプター分子と関連する。TLRは、それらが関連するアダプタータンパク質、MyD88又はTRIFにより広く分類され得る。TLR4は単独で、両方の経路を通してシグナルを伝達することができる。両方のシグナル伝達経路は転写因子NF−KBの活性化に収斂する(Ouyang、2007年)。数通りの研究が、異なるTLRが幾つかの下流のシグナル伝達分子を共有するが、各受容体は、炎症誘発性メディエーターの独自のプロファイルを生ずることを示した(Welters、2007年;Seya、2006年;Ghosh、2006年;Re、2004年;Avril、2009年)。TLR受容体についての完全な下流経路の解明は、完全ではないが、活性化における差は、リガンドの強度、受容体の細胞レベル下の位置、細胞のタイプ及びインターフェロン調節因子(IRF)の存在の結果であり得る。
【0081】
[0083]パルミチン酸アジュバントは、Toll様受容体2(TLR2)を通してシグナルを伝達すると報告されている。例えば、PAM
2Cysは、ヘテロダイマーTLR2及びTLR6により認識される。やはり例として、ヘテロダイマーTLR1及びTLR2により認識されるPAM
3Cysは、液性の活性により典型的に表される抗細菌応答を開始させる。対照的に、ウイルスからの二本鎖RNAは、TLR3により認識されて抗ウイルスの応答を誘発し、それはインターフェロン放出及びT細胞の活性により通常特徴づけられる。細胞応答の媒介はTLR2と関連していた。
【0082】
[0084]PAM
3Cysは、種々の動物モデル及びヒトにおける第I相臨床試験で試験され、副作用は報告されていない(Moyle、2008;Wiedemann、1991年)。マウスのDCにおけるTLRアゴニストのスクリーニングで、インビトロにおけるPAM
3Cysによる刺激は、高レベルの炎症誘発性サイトカインIL−12p40、IL−6及びTNFαを産生させ、それは、他のTLRアゴニスト試験と比較して少量にすぎないアジュバントで達成された(Welters、2007年)。
【0083】
[0085]幾つかの実施形態において、本明細書で開示されたアジュバント系の脂質系アジュバントは、TLRを活性化するか若しくは活性を増大させるか、又はTLRに対するアゴニストとして作用する。特定の実施形態において、脂質系アジュバントは、TLR2を活性化するか又は活性を増大させる。そのような脂質系アジュバントは、例えば、PAM
2Cys又はPAM
3Cys(例えばPam2−Cys−Ser−(Lys)4(配列番号1)又はPam−3−Cys−Ser−(Lys)4(配列番号1))を含み、TLRを活性化するか又は活性を増大させるパルミチン酸アジュバントであってもよいが、これらに限定されない。
【0084】
[0086]TLRアゴニストとして作用する他の合成パルミチン酸系リポタンパク質は、本明細書で開示されたアジュバント系でも使用することができ、パルミチン酸アジュバント及び上で記載されたアナログ及びInvivoGen(サンディエゴ、カリフォルニア州、米国)及びEMC Microcollections GmbH(ドイツ)から入手できる合成ジアセチル化されたリポタンパク質FSL−1を含むが、これらに限定されない。FSL−1(Pam
2CGDPKHPKSF;配列番号20)は、マイコプラズマ・サリバリウム(Mycoplasma salivarium)の44kDaのリポタンパク質LP44のN末端部分を表す合成リポタンパク質である。FSL−1は、PAM
2Cysを含み、マクロファージを活性化するリポペプチド−2(MALP−2)、マイコプラズマ・ファーメンタンス(Mycoplasma fermentans)から誘導されたリポペプチドと同様なフレームワーク構造を有する。脂質化されたN末端のジアセチル化されたシステイン残基を含有するFSL−1及びMALP−2は、ダイマーTLR2及びTLR6 9TLR2/6)により認識されると仮定される。合成MALP−2は、Enzo Life Sciences(ファーミングデール、ニューヨーク州、米国)から入手できる。
【0085】
[0087]一実施形態において、脂質系アジュバントは、FSL−1若しくはMALP−2を含むか、又はFSL−1若しくはMALP−2である。必要に応じて、FSL−1又はMALP−2は、立体化学的に規定された化合物として又は立体異性体の混合物として使用され得る。FSL−1又はMALP−2は、標識されていてもよい(例えばビオチン、フルオレセイン、ローダミンなど)。FSL−1は、9種の異なるFSL−1−Ala化合物を含むFSL−1 Ala−scan collection(EMC Microcollections)としても入手できる。これらのFSL1−Ala分子の各々は、本発明で個別に又は組合せで包含される。
【0086】
[0088]パルミチン酸を含む脂質系アジュバントのさらなる実施形態は、モノアシル化リポペプチドなどのTLR2リガンドの下部構造を含むこともある。これらは、例えば、Pam−Dhc−SKKKK(配列番号19)、Pam−CSKKKK(配列番号1)、Pam−Dhc−GDPKHPKSF(配列番号21)又はPam−CGDPKHPKSF(配列番号20;EMCMicrocollections)を含むことができるが、これらに限定されない。
【0087】
[0089]脂質系アジュバントの単位用量当たりの適当な量の決定は、特に本明細書で提供された開示に照らして、十分当業者の能力の内である。幾つかの実施形態において、単位用量当たりの量は、脂質系アジュバントの従来のものと比較して低い用量であると予想される。本明細書で開示されたように、本発明のアジュバント系は、低い用量のアジュバントで強い免疫応答を生じさせることができる。一実施形態において、脂質系アジュバントの低い用量は、マウスで計算して、又はヒトのために換算された単位用量当たりの等価な量として、組成物の単位用量当たり10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0.5マイクログラム未満である。特定の実施形態において、脂質系アジュバントの低い用量は、マウスで計算して、又はヒトのために換算された単位用量当たりの等価な量として約0.2、0.3、0.4、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5又は5マイクログラムである。マウスにおける典型的な用量体積は、例えば、50マイクロリットルである。ヒトにおける典型的な用量体積は、50〜500マイクロリットルの間であることもできるが、これらに限定されない。したがって、幾つかの実施形態において、ヒトにおける換算された低い用量は、単位用量当たり2〜50マイクログラムの間、例えば約2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、40又は50マイクログラムであると予想される。
【0089】
[0091]「両親媒性化合物」とは、親水性及び疎水性(親油性)の部分又は特性を両方とも有する化合物である。用語「両親媒性化合物」は、「両親媒性物質」又は「両親媒性」と互換的に使用されてもよい。幾つかの実施形態において、適当な両親媒性化合物は、乳化剤、例えばこれらの本明細書に下で記載されるものを含むこともできる。本明細書で用語「両親媒性化合物」により包含される乳化剤の典型的実施形態には、ポリソルベート(例えばソルビタンモノオレエート)、マンニドオレエート(アラセル(Arlacel)(商標)A)、レシチン、ツイーン(Tween)(商標)80、及びスパン(Spans)(商標)20、80、83及び85が含まれるが、これらに限定されない。両親媒性化合物は、水の不在下で油などの疎水性担体中に親水性親和性のワクチン成分を組み込むことを容易にすることができる。該ワクチン成分は、抗原及び/又はアジュバント及び/又は免疫応答が生ずることを容易にし得る他の含有成分(例えばTヘルパーエピトープ)を含むことができるが、これらに限定されない。
【0090】
[0092]両親媒性の化合物の疎水性部分は、典型的には大きい炭化水素部分、例えば長鎖の形態のCH
3(CH
2)
n(n>4)であるが、これらに限定されない。両親媒性の化合物の親水性部分は、荷電基又は極性の非荷電基のいずれかである。荷電基は、アニオン性及びカチオン性の基を含む。アニオン性荷電基の例は、以下の(ここで、分子の疎水性部分は「R」により表される):カルボン酸イオン:RCO
2−;硫酸イオン:RSO
4−;スルホン酸イオン:RSO
3−;及びリン酸イオン(リン脂質中の荷電機能性)を含む。カチオン性荷電基は、例えば、アミン:RNH
3+(「R」は分子の疎水性部分を再び表す)を含む。非荷電の極性基は、例えばジアセチルグリセロール(DAG)などの大きいR基を有するアルコールを含む。両親媒性化合物は、数個の疎水性部分、数個の親水性部分、又は数個の両方を有することもできる。タンパク質及び一部のブロックコポリマーが例である。ステロイド、コレステロール、脂肪酸、胆汁酸、及びサポニンも両親媒性物質である。
【0091】
[0093]使用することができる多数の両親媒性化合物があり、本明細書で開示されたアジュバント系及びワクチン組成物は、単一のタイプの両親媒性化合物又は異なるタイプの両親媒性の化合物の混合物を含有することもできる。
【0092】
[0094]一実施形態において、両親媒性化合物は脂質である。任意の両親媒性脂質が使用されてもよいが、特に適当な脂質は、少なくとも4個の炭素、典型的には約4〜28個の炭素を含有する長さの少なくとも1個の脂肪酸鎖を有するものを含むことができる。脂肪酸鎖は、任意の数の飽和及び/又は不飽和結合を含有することができる。脂質は、天然脂質であっても又は合成脂質であってもよい。両親媒性脂質の例には、リン脂質、スフィンゴ脂質、スフィンゴミエリン、セレブロシド、ガングリオシド、エーテル脂質、ステロール、カルジオリピン、カチオン性脂質及びポリ(エチレングリコール)及び他のポリマーで改変された脂質が含まれ得るが、これらに限定されない。合成脂質は、以下の脂肪酸構成要素:ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、アラキドイル、オレオイル、リノレオイル、エルコイル、又はこれらの脂肪酸の組合せを含むことができるが、これらに限定されない。
【0093】
[0095]一実施形態において、両親媒性化合物は、リン脂質又はリン脂質の混合物である。広く定義される「リン脂質」は、加水分解されて、リン酸、アルコール、脂肪酸、及び窒素を含む塩基を生ずる脂質化合物の群のメンバーである。
【0094】
[0096]使用することができるリン脂質には、例えば、ホスホグリセロール、ホスホエタノールアミン、ホスホセリン、ホスホコリン(例えばDOPC;1,2ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)及びホスホイノシトールからなる群から選択される少なくとも1つの頭基を有するものが含まれるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、DOPCとエステル化されていないコレステロールの混合物が使用されてもよい。他の実施形態では、Lipoid S100レシチンとエステル化されていないコレステロールの混合物が使用され得る。エステル化されていないコレステロールが使用される場合に、コレステロールは、リン脂質の重量の約10%に相当する量で(例えば、10:1w/wのDOPC:コレステロール比又は10:1w/wのS100レシチン:コレステロール比で)使用することができる。コレステロールは、リン脂質小胞の形成を安定化するために使用される。コレステロール以外の化合物が使用される場合には、当業者は、必要な量を容易に決定することができる。
【0095】
[0097]別の一般的なリン脂質は、スフィンゴミエリンである。スフィンゴミエリンは、スフィンゴシン、長い不飽和炭化水素鎖を有するアミノアルコールを含有する。脂肪族アシル側鎖はスフィンゴシンのアミノ基にアミド結合により連結されて、セラミドを形成する。スフィンゴシンのヒドロキシル基はエステ化されてホスホコリンになる。ホスホグリセリドのように、スフィンゴミエリンは両親媒性である。
【0096】
[0098]やはり使用することができるレシチンは、典型的には、鶏卵又は羊毛から誘導されるリン脂質の天然混合物である。
【0097】
[0099]全てのこれらの及び他のリン脂質は、本発明の実施において使用することができる。リン脂質は、例えば、Avanti lipids(アラバスター、アラバマ州、米国)、及びLipoidLLC(ニューアーク、ニュージャージー州、米国)から購入することができる。
【0098】
[00100]一実施形態において、両親媒性化合物は、疎水性担体中に実質的に均等に分散されることができて、その場合、両親媒性の化合物単独の存在は、親水親和性のワクチン成分(例えば抗原)の疎水性担体中への組み込みを容易にするために十分である。
【0099】
[00101]別の実施形態において、両親媒性化合物は、抗原を疎水性担体に混和性にするために、抗原と密接に関係することができる。「密接に関係する」により、両親媒性化合物が、抗原が疎水性担体中で混和性の形態で存在するように抗原と非常に近接していることが意味される。密接な関係には、抗原と両親媒性物質の間の物理的相互作用の関与があってもなくてもよい。典型的には、両親媒性の化合物の親水性部分が抗原における親水性部分に向かって配向している。両親媒性化合物は、互いに実質的に分離したままであってもよく又はそれらが、種々の異なるタイプの構造、集成体又はアレイを形成していてもよい。
【0100】
[00102]両親媒性化合物が形成し得る構造、集成体又はアレイのタイプの典型的実施形態は、単一層のシート、二重層シート、多層シート、単一層の小胞構造(例えばミセル)、二重層の小胞構造(例えば単ラメラの又は多ラメラ状の小胞)、又は種々のそれらの組合せを含むことができるが、これらに限定されない。「単一層」により、両親媒性化合物は二重層を形成せずに、むしろ疎水性部分が一方の側に向き、親水性部分が反対側に向いた層にとどまることが意味される。「二重層」により、両親媒性化合物が2層になったシートを形成して、典型的には各層の疎水性部分が二重層の中心方向に内側に向き、親水性部分が外側に向いていることが意味される。しかしながら、反対の配置も可能である。用語「多層」は、単一及び二重層構造の任意の組合せを包含することが意味される。採用される形態は、使用される特定の抗原、特定の両親媒性化合物、及び/又は特定の疎水性担体に依存し得る。
【0101】
[00103]一実施形態において、両親媒性化合物によって形成される構造、アセンブリー又はアレイは、抗原を部分的に又は完全に包囲することができる。例として、両親媒性化合物は、抗原の周りに閉じた小胞構造を形成することができる。
【0102】
[00104]一実施形態において、小胞構造は、単一層の小胞構造である。そのような構造の例はミセルである。水溶液中の典型的なミセルは、親水性部分が周囲の水溶液と接触しており、疎水性部分をミセル中心に隔離している凝集を形成する。対照的に、疎水性担体中では、逆ミセルが形成されて疎水性部分が周囲の水溶液と接触しており、親水性部分をミセル中心に隔離している。球形の逆ミセルは、親水親和性の抗原をそのコア内に包むことができる。
【0103】
[00105]一実施形態において、小胞構造は、ミセル又は逆ミセルである。ミセル又は逆ミセルのサイズは、直径が2nm(20A)〜20nm(200A)の範囲であるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、ミセル又は逆ミセルのサイズは、直径が約10nmである。
【0104】
[00106]別の実施形態において、小胞構造は、二重層の小胞構造、例えば、リポソームなどである。リポソームは、閉じ込められた水性体積を含有する完全に閉じた脂質二重層膜である。リポソームは、単ラメラの小胞(単一の二重層膜を有する)又は多膜二重層により特徴づけられる多層状の小胞であることもあり、各二重層は、水性層により隣から分離されていることもあり、分離されていないこともある。リポソームの一般的考察は、Gregoriadis G.Immunol.Today、11巻:89〜97頁、1990年;及びFrezard、F.Braz、J.Med.Bio.Res.、32巻:181〜189頁、1999年に見出すことができる。リポソームは、実質的には任意のタイプの細胞に吸着することができ、次に組み込まれた作用物質(例えば抗原)を放出する。或いは、リポソームは、標的細胞と融合することができ、それによりリポソームの内容物を標的細胞に移す。或いは、リポソームは、食作用のある細胞によりエンドサイトーシスにより取り込まれ得る。
【0105】
[00107]リポソームは、抗原並びに乳化剤をカプセル化して製剤を安定化する小胞として、疎水性担体を含む組成物の調製で使用されてきた(例えば国際公開第2002/038175号;国際公開第2007/041832号;国際公開第2009/039628号;国際公開第2009/146523号及び国際公開第2013/049941号を参照されたい)。親水性抗原は、典型的には、水性の内部に閉じ込められ、一方、疎水性抗原は、脂質二重層中に挿入されるか又は油相中に分散され得る。
【0106】
[00108]二重層及び多層小胞構造の他の実施形態には、ニオソーム、トランスファーソーム、ビロソーム、多ラメラ状小胞(MLV)、オリゴラメラ状小胞(OLV)、単ラメラ状小胞(UV)、小さい単ラメラ状小胞(SUV)、中程度のサイズの単ラメラ状小胞(MUV)、大きい単ラメラ状小胞(LUV)、巨大な単ラメラ状小胞(GUV)、多胞小胞(MVV)、逆相蒸発法により作製される単一ラメラ又はオリゴラメラ状小胞(REV)、逆相蒸発法により作製される多ラメラ状小胞(MLV−REV)、安定な多ラメラ状小胞(SPLV)、凍結解凍されたMLV(FATMLV)、押出し法により調製された小胞(VET)、フレンチプレスにより調製された小胞(FPV)、融合により調製された小胞(FUV)、脱水再水和された小胞(DRV)、及びバブルソーム(BSV)が含まれるが、これらに限定されない。当業者であれば、これらの小胞構造を調製する技法が、当技術分野で周知であることを認識していると予想される(例えば、Kreuter、J.ら、Colloidal Drug Delivery Systems、66巻、Marcel Dekker,Inc.、1994年を参照されたい)。
【0108】
[00110]本明細書で開示されたアジュバント系及び組成物は、疎水性担体、好ましくは液体の疎水性物質を含む。
【0109】
[00111]疎水性担体は、本質的に純粋な疎水性物質であっても又は疎水性物質の混合物であってもよい。本明細書に記載されている組成物において有用な疎水性物質は、薬学的に及び/又は免疫学的に許容される物質である。担体は、典型的には液体であるが、大気温で液体ではなく、例えば加温することにより液化し得るある種の疎水性物質も、有用であり得る。
【0110】
[00112]油又は油の混合物は、特に本明細書で開示されたアジュバント系及び組成物で使用するために適当な担体である。油は、薬学的に及び/又は免疫学的に許容されるべきである。適当な油には、例えば、鉱油(特に軽又は低粘度の鉱油、例えば、ドラケオール(Drakeol)(登録商標)6VRなど)、植物油(例えば、ダイズ油)、ナッツ油(例えば、ピーナツ油)、又はそれらの混合物が含まれる。したがって、一実施形態において疎水性担体は、疎水性物質、例えば、植物油、ナッツ油又は鉱油などである。動物脂肪及び人工疎水性ポリマー材料、特に大気温で液体であるもの又は比較的容易に液化され得るものも使用することができる。
【0111】
[00113]幾つかの実施形態において、疎水性担体は、不完全フロイントアジュバント(IFA)、鉱油系モデルの疎水性担体であるか、又はそれらを含むこともできる。別の実施形態において、疎水性担体は、鉱油溶液のマンニドオレエート、例えば、モンタニド(登録商標)ISA51(SEPPIC、フランス)として市販されているものであるか又はそれらを含むこともできる。これらの担体は、油中水エマルションを調製するために一般的に使用されるが、本開示は、本明細書に記載されているように、実質的量の水の不在下で、成分を懸濁させるために、両親媒性の化合物を使用することによって、このタイプの製剤を避ける。
【0112】
[00114]Immunovaccine Inc.は、デポバックス(DepoVax)(商標)(DPX)と称するワクチン送達プラットホームを開発した。DPXは、油中脂質の製剤であり、任意の抗原、又は抗原の混合物で製剤化することができる。抗原及びアジュバントを含有する水滴を閉じ込めている油に依存する油中水エマルション系のワクチンと異なって、デポバックス(商標)に基づく製剤は、油中への抗原及びアジュバントの直接の組み込みを容易にする脂質に依存して、乳化する必要がない。この手法の利点は、(1)さもなければ水系希釈剤において通常最大溶解度を有する、親水性抗原/アジュバントの油希釈剤における溶解度の増大、及び(2)ワクチン投与に先立つ煩雑な乳化手順の排除を含む。
【0113】
[00115]幾つかの実施形態において、本明細書で開示されたアジュバント系の疎水性担体及びワクチン組成物は、Immunovaccine,Incの送達プラットホームデポバックス(商標)であってもよい。
【0115】
[00117]本明細書で開示されたアジュバント系は、1つ又は複数の抗原と組み合わされるか又は混合されて、ワクチン組成物、例えば、本明細書で開示された水を含まないワクチン組成物を提供することができる。
【0116】
[00118]本明細書において使用する、用語「ワクチン」、「ワクチン組成物」又は「組成物」は、情況に応じて、互換的に使用することができる。
【0117】
[00119]本明細書で開示されたワクチン組成物は、対象に治療的有効量で投与することができる。本明細書において使用する、「治療的有効量」は、対象における免疫応答を刺激、誘発、維持、追加刺激又は強化するために効果的な、ワクチン又は活性成分(例えば、1つ又は複数の抗原)の量を意味する。幾つかの実施形態において、ワクチンの治療的有効量は、特定の疾患又は障害の治療において、対象において臨床的応答を誘発することができる量である。ワクチンの治療的有効量の決定は、特に本明細書で提供された開示に照らして、十分当業者の能力内である。治療的有効量は、対象の状態、体重、性別及び年齢などの種々の要因に従って変化し得る。
【0118】
[00120]一実施形態において、ワクチン組成物は、1つ又は複数の抗原と一緒に本明細書で開示されたアジュバント系を含む。したがって、一実施形態において、本開示は、(a)抗原;(b)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント;(c)脂質系アジュバント;(d)両親媒性化合物;及び(e)疎水性担体を含む組成物に関する。ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント;脂質系アジュバント;両親媒性化合物;及び疎水性担体は、上で本明細書に開示されている。
【0120】
[00122]本明細書で開示された組成物は、1つ又は複数の抗原を含むことができる。
【0121】
[00123]本明細書において使用する、用語「抗原」は、免疫系の成分に特に結合することができる任意の物質又は分子を指す。幾つかの実施形態において、本発明における組成物の適当な抗原は、対象において免疫応答を誘発するか又は発生させることができるものである。免疫応答を誘発することができる抗原は、免疫原性であると言われ、免疫原と呼ばれることもある。したがって、本明細書において使用する、用語「抗原」は、免疫原を含み、該用語は特に断りのない限り互換的に使用することができる。本明細書において使用する用語、抗原は、ハプテンも含む。当技術分野で理解されているように、ハプテンは、抗原性である小さい分子であるが(例えば、免疫系の成分により結合され得る)、担体分子に取り付けられない限り免疫原性でない。
【0122】
[00124]本明細書で開示された組成物で有用であり得る抗原は、例えば、ポリペプチド、炭水化物、微生物又はそれらの一部、例えば、生きている、減弱した、不活性化された即ち殺滅された細菌、ウイルス又は原生動物、又はそれらの一部を含むが、これらに限定されない。抗原は、例えば、病原性の生物学的作用物、毒素、アレルゲン、ペプチド、適当な自然のままの、自然のままでない、組換え又は変性されたタンパク質又はポリペプチド、又はそれらのフラグメント、又は対象において免疫応答を誘発するか若しくは強化することができるエピトープであってもよい。幾つかの実施形態において、抗原は、動物(動物抗原)、例えば、ヒトから誘導された抗原(ヒト抗原)、又はそれらに実質的に関係する抗原であってもよい。
【0123】
[00125]本明細書において使用する、用語「から誘導される」は、発生する供給源(例えば対象)から直接単離されるか若しくは得られる抗原;発生する供給源からの抗原と同一の若しくは実質的に関係する抗原である合成若しくは組換えで発生された抗原;又は発生する供給源の抗原から作製された抗原若しくはそれらのフラグメントを包含するが、これらに限定されない。抗原が供給源「から」であると述べられた場合、用語「から」は、「から誘導される」と等しいといってもよい。この関係における用語「実質的に関係する」は、抗原が化学的、物理的又は他の手段(例えば配列の改変)により改変されたかもしれないが、その結果生じた生成物が、元の抗原に又は元の抗原と関連する疾患又は障害に対して免疫応答を生ずることができるままであることを意味する。
【0124】
[00126]本明細書において使用する、用語「抗原」は、抗原として機能するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも含む。ポリヌクレオチドを含有するワクチン組成物が対象に投与される核酸系ワクチン接種の戦略は既知である。ポリヌクレオチドによりコードされる抗原性ポリペプチドは、対象において発現されて、その結果、丁度ワクチン組成物自体が該ポリペプチドを含有していたように、抗原性ポリペプチドが、最終的に対象中に存在する。本開示の目的のために、用語「抗原」は、情況が決める場合、抗原として機能するポリペプチドをコードするそのようなポリヌクレオチドを包含する。
【0125】
[00127]幾つかの実施形態において、抗原は、下で定義される少なくとも1つのB細胞エピトープ又はCTLエピトープを含む分子であり、それは、対象に適当に投与されたときに、疾患に対する保護となる液性の及び/又は細胞媒介免疫応答を誘発又は強化する。
【0126】
[00128]幾つかの実施形態において、抗原は、癌、感染性疾患、又は習慣性疾患と関連するものであってもよい
【0127】
[00129]本発明における組成物中の抗原として有用であり得るウイルス、又はそれらの一部は、例えば、牛痘ウイルス(Cowpoxvirus)、ワクシニアウイルス(Vaccinia virus)、偽牛痘ウイルス(Pseudocowpox virus)、ヘルペスウイルス(herpes virus)、ヒトヘルペスウイルス1(Human herpesvirus 1)、ヒトヘルペスウイルス2(Human herpesvirus 2)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus)、ヒトアデノウイルスA〜F(Human adenovirus A−F)、ポリオーマウイルス(Polyomavirus)、ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus)(HPV)、パルボウイルス(Parvovirus)、A型肝炎ウイルス(Hepatitis A virus)、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、オルトレオウイルス(Orthoreovirus)、ロタウイルス(Rotavirus)、エボラ出血熱ウイルス(Ebola virus)、パラインフルエンザウイルス(parainfluenza virus)、インフルエンザウイルス(influenza virus)(例えばH5N1インフルエンザウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス)、はしかウイルス(Measles virus)、おたふく風邪ウイルス(Mumps virus)、風疹ウイルス(Rubella virus)、ニューモウイルス(Pneumovirus)、RSウイルス(respiratory syncytial virus)、ヒトRSウイルス(human respiratory syncytial virus)、狂犬病ウイルス(Rabies virus)、カリフォルニア脳炎ウイルス(California encephalitis virus)、日本脳炎ウイルス(Japanese encephalitis virus)、ハンターンウイルス(Hantaan virus)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(Lymphocytic choriomeningitis virus)、コロナウイルス(Coronavirus)、エンテロウイルス(Enterovirus)、ライノウイルス(Rhinovirus)、ポリオウイルス(Poliovirus)、ノロウイルス(Norovirus)、フラビウイルス(Flavivirus)、デング熱ウイルス(Dengue virus)、西ナイルウイルス(West Nile virus)、黄熱病ウイルス(Yellow fever virus)及び水疱瘡(varicella)を含むが、これらに限定されない。
【0128】
[00130]一実施形態において、本明細書で開示された組成物は、それらを必要とする対象におけるインフルエンザウイルス感染を治療及び/又は予防するために有用な可能性のある抗原を含む。インフルエンザは、ファミリーオルトミクソウイルス科の一本鎖のRNAウイルスであり、ウイルスの粒子の外側にある2種の大きい糖タンパク質、ヘマグルチニン(HA)及びノイラミニダーゼ(NA)に基づいてしばしば特徴づけられる。A型インフルエンザの多数のHAサブタイプが同定されている(Kawaokaら、1990年;Websterら、1983年)。幾つかの実施形態において、抗原は、HA又はNA糖タンパク質から誘導され得る。特定の実施形態において、抗原は、組換えHA抗原(H5N1、A/Vietnam/1203/2004;Protein Sciences;米国)、例えば、Genbank受託番号AY818135で見出される配列から誘導されたもの又は任意のそれらの適当な配列の変形体であってもよい。
【0129】
[00131]別の実施形態において、本明細書で開示された組成物は、エボラ出血熱ウイルス感染を、それらを必要とする対象において治療及び/又は予防するために有用な可能性のある抗原を含む。
【0130】
[00132]別の実施形態において、本明細書で開示された組成物は、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染を、それらを必要とする対象において治療及び/又は予防するために有用である可能性のある抗原を含む。より特定の実施形態において、本明細書で開示された組成物は、HPVが関連する子宮頚癌又はHPVが関連する頭部及び頸部癌を治療及び/又は予防するために有用である可能性のある抗原を含む。幾つかの実施形態において、抗原は、配列RAHYNIVTF(HPV16E7(H−2Db)ペプチド49−57;R9F;配列番号2)を含むペプチドである。
【0131】
[00133]別の実施形態において、本明細書で開示された組成物は、RSウイルス(RSV)感染を、それらを必要とする対象において治療及び/又は予防するために有用である可能性のある抗原を含む。より特定の実施形態において、本明細書で開示された組成物は、RSV感染と関連する肺疾患を治療及び/又は予防するために有用な可能性のある抗原を含む。幾つかの実施形態において、該抗原は、例えば、国際公開第2012/065997号で開示された小さい疎水性タンパク質の外部ドメインから誘導される。幾つかの実施形態において、抗原の配列は、RSV株Aの小さい疎水性ドメイン:NKLCEYNVFHNKTFELPRARVNT(配列番号22)(Schepensら、2014年;国際公開第2012/065997号)、又は任意の適当なそれらの配列の変形体から誘導される。
【0132】
[00134]本発明における組成物中の抗原として有用であり得る細菌又はそれらの一部は、例えば、炭疽菌(Bacillus anthracis)、ブルセラ(Brucella)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、カンジダ(Candida)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、コレラ(Cholera)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、クリプトカッカス(Cryptococcus)、ジフテリア(Diphtheria)、大腸菌(Escherichia coli)O157:H7、腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic Escherichia coli)、腸内毒素原性大腸菌(Enterotoxigenic Escherichia coli)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、ピロリ菌(Helicobacter pylori)、レジオネラ(Legionella)、レプトスピラ(Leptospira)、リステリア(Listeria)、髄膜炎菌(Meningococcus)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、マイコバクテリア(Mycobacterium)、百日咳(Pertussis)、肺炎(Pneumonia)、サルモネラ(Salmonella)、赤痢菌(Shigella)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)及びエンテロコリチカ菌(Yersinia Enterocolitica)を含むが、これらに限定されない。
【0133】
[00135]一実施形態において、本明細書で開示された組成物は、炭疽菌感染(即ち炭疽)を、それらを必要とする対象において治療及び/又は予防するために有用である可能性のある抗原を含む。組成物に含有される抗原は、例えば、炭疽菌の組換え保護抗原(rPA)(List Biological Laboratories,Inc.、キャンベル、カリフォルニア州)又は炭疽菌変異体組換え保護抗原(mrPA)(Pfenex,Inc.、サンディエゴ、カリフォルニア州)によることもあるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において抗原は、Genbank受託番号P13423で見出される配列;又は任意の適当なそれらの配列の変形体から誘導され得る。
【0134】
[00136]本発明における組成物中の抗原として有用であり得る原生動物又はそれらの一部は、例えば、マラリアを惹起するプラスモディウム属(genus Plasmodium)(熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)又は二日熱マラリア原虫(Plasmodium knowlesi))を含むが、これらに限定されない。
【0135】
[00137]一実施形態において、本明細書で開示された組成物は、四日熱マラリア原虫感染(即ちマラリア)を、それらを必要とする対象において治療及び/又は予防するために有用である可能性のある抗原を含む。
【0136】
[00138]或いは、抗原は、天然に存在する又は合成毒素又はアレルゲンであってもよい。本明細書において使用する「毒素」とは、生きている細胞若しくは生物体(例えば植物、動物、微生物その他)により産生される、疾患若しくは軽い病気を惹起し得る任意の物質、若しくは感染性物質、又は有害な効果を及ぼし得る組換え若しくは合成分子を指す。毒素は、例えば、小さい分子、ペプチド、又はタンパク質であってもよい。毒素は、例えば、コカインなどの薬剤物質を含む。毒素は、抗体により中和され得ることもある。そのような実施形態では、抗原は、循環(例えば血液)中の毒素に結合して隔離し、それにより身体の別の領域(例えば脳)へのその送達を予防する可能性がある抗体の産生を誘発することもある。
【0137】
[00139]本明細書において使用する「アレルゲン」は、アレルギーを惹起し得る任意の物質を指す。アレルゲンは、細胞、細胞抽出物、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、多糖類、多糖コンジュゲート、ペプチド及び多糖類の非ペプチド模倣体及び他の分子、小さい分子、脂質、糖脂質、及び植物の炭水化物、動物、カビ、昆虫、食品、薬剤、塵埃、及びダニから誘導され得るが、これらに限定されない。アレルゲンには、環境の空気中のアレルゲン;植物花粉(例えばブタクサ/枯草熱);雑草花粉アレルゲン;牧草花粉アレルゲン;セイバンモロコシ;木の花粉のアレルゲン;ライグラス;クモ形綱アレルゲン(例えばハウスダストダニアレルゲン);蓄積ダニアレルゲン;スギ花粉/枯草熱;糸状菌/カビの胞子のアレルゲン;動物アレルゲン(例えば、イヌ、テンジクネズミ、ハムスター、アレチネズミ、ラット、マウス、その他のアレルゲン);食物アレルゲン(例えば甲殻類;ナッツ;柑橘類果実;小麦粉;コーヒー);昆虫アレルゲン(例えばノミ、ゴキブリ);毒液:(膜翅目、スズメバチ、ミツバチ、ジガバチ、スズメバチ、トフシアリ;細菌アレルゲン(例えば連鎖球菌の抗原;回虫抗原などの寄生生物アレルゲン);ウイルス抗原;薬物アレルゲン(例えばペニシリン);ホルモン(例えばインスリン);酵素(例えばストレプトキナーゼ);及び不完全な抗原又はハプテンとして作用し得る薬剤又は化学物質(例えば、酸無水物及びイソシアネート)が含まれるが、これらに限定されない。
【0138】
[00140]ハプテンが、本明細書で開示された組成物で使用される場合、それは、例えばタンパク質などの担体に取り付けられて、ハプテン−担体付加物を形成することができる。ハプテン−担体付加物は免疫応答を導き出すことができるが、ハプテン自体は、通常は、応答を導き出すことはない。ハプテンの例は、アニリン、ウルシオール(ウルシの毒素)、ヒドラジン、フルオレセイン、ビオチン、ジゴキシゲニン及びジニトロフェノールであるが、これらに限定されない。
【0139】
[00141]別の実施形態において、抗原は、循環中の抗原、例えば、アミロイドタンパク質(例えばアルツハイマー病)などを隔離することが望ましい疾患と関連する抗原であってもよい。したがって、幾つかの実施形態において、本明細書で開示された組成物は、抗原の発現と関連する神経変性疾患の治療及び/又は予防に、それらを必要とする対象において有用である可能性のある抗原を含む。
【0140】
[00142]別の実施形態において、抗原は、国際公開第2007/041832号で開示された任意の1つ又は複数の抗原;例えば国際公開第2007/041832号の17〜19頁における表1で開示されたペプチド抗原などであってもよい。
【0141】
[00143]例えば、本発明における組成物中の抗原として有用であり得るポリペプチド又はそれらのフラグメントには、コレラトキソイド、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、B型肝炎表面抗原、ヘマグルチニン(例えばH5N1組換えヘマグルチニンタンパク質)、炭疽の組換え保護抗原(List Biological Laboratories,Inc.;キャンベル、カリフォルニア州)、炭疽変異体の組換え保護抗原(Pfenex,Inc.;サンディエゴ、カリフォルニア州)、ノイラミニダーゼ、インフルエンザMタンパク質、PfHRP2、pLDH、アルドラーゼ、MSP1、MSP2、AMA1,Der−p−1、Der−f−1、アジポフィリン、AFP、AIM−2、ART−4、BAGE、α−フェトプロテイン、BCL−2、Bcr−Abl、BING−4、CEA、CPSF、CT、サイクリンD1Ep−CAM、EphA2、EphA3、ELF−2、FGF−5、G250、ゴナドトロピン放出ホルモン(GNRH)、HER−2、腸カルボキシルエステラーゼ(iCE)、IL13Rα2、MAGE−1、MAGE−2、MAGE−3、MART−1、MART−2、M−CSF、MDM−2、MMP−2、MUC−1、NY−EOS−1、MUM−1、MUM−2、MUM−3、百日咳トキソイドタンパク質、p53、PBF、PRAME、PSA、PSMA、RAGE−1、RNF43、RU1、RU2AS、SART−1、SART−2、SART−3、SAGE−1、SCRN1、SOX2、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TGFβRII、TRAG−3、TRP−1、TRP−2、TERT及びWT1から誘導されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0142】
[00144]用語「ポリペプチド」は、長さは問わない(例えば、少なくとも6、8、10、12、14、16、18、又は20アミノ酸)又は翻訳後改変された(例えば、グリコシル化又はリン酸化)アミノ酸の任意の鎖を包含し、例えば、天然のタンパク質、合成又は組換えポリペプチド及びペプチド、エピトープ、ハイブリッド分子、変形体、同族体、アナログ、ペプトイド、ペプチド模倣体などを含む。それ故、変形体又は誘導体は、切り落とし及びフラグメントを含む欠失;挿入及び付加、例えば保存的置換、箇所指定変異体及び対立遺伝子の変形体;及びペプチドに共有結合で連結した及び翻訳後改変された1つ又は複数の非アミノアシル基を有するペプトイド(例えば、糖、脂質など)を含む改変を含む。本明細書において使用する、用語「保存されたアミノ酸置換」又は「保存的置換」とは、ペプチド中で、所与の位置で1個のアミノ酸が別のアミノ酸と置換されて、その置換は関連する機能の実質的損失なしで行われ得ることを指す。そのような変化をするときに、似たアミノ酸残基の置換は、側鎖置換基の相対類似性、例えば、それらのサイズ、電荷、疎水性、親水性等を基準にして行うことができ、そのような置換は、日常的試験により、ペプチドの機能に対するそれらの効果を検定することができる。特定の保存的置換の例には、以下の例が含まれるが、これらに限定されない。
【0144】
[00145]抗原配列と実質的同一性を有するポリペプチド又はペプチドが使用され得る。2つの配列は、最適に整列された場合に(ギャップは許容される)、それらが少なくとも約50%の配列同一性を共有するか、又は該配列が規定された機能性モチーフを共有するならば、実質的同一性を有すると考えられる。代替的実施形態において、最適に整列された配列は、それらが、指定された領域にわたって少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を共有すれば、実質的に同一である(即ち、実質的同一性を有する)と考えてもよい。用語「同一性」は、2つのポリペプチド分子間の配列の類似性を指す。同一性は、整列された配列中における各位置を比較することにより決定することができる。アミノ酸配列間の同一性の程度は、配列により共有される位置における、例えば、指定された領域にわたる同一の又は一致するアミノ酸の数の関数である。同一性を比較するための配列の最適の整列は、http://clustalw.genome.ad.jpで入手できるClustalWプログラム、Smith及びWatermanの局所的相同性アルゴリズム(1981年)、Needleman及びWunschの相同性アラインメントアルゴリズム(1970年)、Pearson及びLipmanの類似性方法の捜索(1988年)、及びこれらのアルゴリズムのコンピューターで処理される実行(例えばGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA、Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、マディソン、ウィスコンシン州、米国)を含む、当技術分野で公知の種々のアルゴリズムを使用して実施することができる。配列同一性は、Altschulらに記載された(1990年)(公開されたデフォルトの設定を使用する)BLASTアルゴリズムを使用して決定することもできる。例えば、National Center for Biotechnology Informationを通じて入手できる(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/bl2seq/wblast2.cgiでインターネットを通じて)「BLAST 2 Sequences」のツールを、「blastp」プログラムを選択して、以下のデフォルトの設定:期待閾値10;ワードサイズ3;マトリックスBLOSUM62;ギャップコスト存在11、エクステンション1で使用することもできる。別の実施形態において、当業者は、任意の所与の配列を容易に及び適当に整列して、配列同一性及び/又は相同性を視覚的検査のみによって推定することができる。
【0145】
[00146]本発明を実施するために使用されるポリペプチド及びペプチドは、天然の供給源から単離されるか、合成されるか、又は組換えにより発生したポリペプチドであり得る。ペプチド及びタンパク質は、遺伝子組換えによりインビトロ又はインビボで発現させることができる。本発明を実施するために使用されるペプチド及びポリペプチドは、当技術分野で公知の任意の方法を使用して作製及び単離することができる。本発明を実施するために使用されるポリペプチド及びペプチドは、全体的又は部分的に、当技術分野で周知の化学的方法を使用して合成することもできる。例えば、Caruthers、1980年;Hom、1980年;Banga、1995年を参照されたい。例えば、ペプチド合成は、種々の固相技法を使用して実施することができて(例えば、Roberge、1995年;Merrifield、1997年を参照されたい)、例えば、ABI431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer)を、メーカーにより提供された使用説明書に従って使用して、自動化された合成を達成することもできる。
【0146】
[00147]幾つかの実施形態において、抗原は、例えば、約25%〜50%純粋な、約50%〜約75%純粋な、約75%〜約85%純粋な、約85%〜約90%純粋な、約90%〜約95%純粋な、約95%〜約98%純粋な、約98%〜約99%純粋な、又は99%を超えて純粋な精製抗原であってもよい。
【0147】
[00148]上で特に言及したように、用語「抗原」は、抗原として機能するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも含む。本明細書において使用する、用語「ポリヌクレオチド」は、任意の長さのヌクレオチド鎖(例えば9、12、18、24、30、60、150、300、600、1500以上のヌクレオチド)又は数のストランド(例えば一本鎖の又は二重らせん)を包含する。ポリヌクレオチドは、DNA(例えばゲノムのDNA又はcDNA)又はRNA(例えばmRNA)又はそれらの組合せであってもよい。それらは、天然に存在するか又は合成(例えば化学的に合成)されることもある。ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド鎖中に1個又は複数の窒素を含む塩基の改変、ペントース糖類又はリン酸基を含有することができると予想される。そのような改変は、当技術分野で周知であり、例えば、ポリヌクレオチドの安定性を改善する目的のためであってもよい。
【0148】
[00149]ポリヌクレオチドは、種々の形態で送達することができる。幾つかの実施形態において、裸のポリヌクレオチドが、直鎖状形態で、又はプラスミド中に挿入されて、例えば発現プラスミドのいずれかで使用することができる。他の実施形態では、ウイルスの又は細菌ベクターなどの生きているベクターが使用されることもある。
【0149】
[00150]DNAのRNAへの転写及び/又はRNAのポリペプチドへの翻訳を助成する1つ又は複数の制御配列が存在することもある。幾つかの場合に、メッセンジャーRNA(mRNA)分子であるポリヌクレオチドの場合などでは、転写プロセスに関係する制御配列(例えばプロモーター)は必要とされず、タンパク質の発現は、プロモーターの不在で生じ得る。当業者は、情況が要求するように適当な制御配列を含めることができる。
【0150】
[00151]幾つかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、発現カセット中に存在しており、その中でそれは、ポリヌクレオチドが本明細書で開示された組成物が投与される対象中で発現されることを可能にする制御配列と作動可能に連結されている。発現カセットの選択は、組成物が投与される対象並びに発現されるポリペプチドに望まれる特徴に依存する。
【0151】
[00152]典型的には、発現カセットは、対象において機能して;リボソーム結合箇所;必要であれば開始コドン(ATG);関心のあるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;停止コドン;及び任意選択で3’末端領域(翻訳及び/又は転写ターミネーター)を構成し得る又は誘発し得るプロモーターを含む。シグナルペプチドをコードする領域などの追加の配列が含まれてもよい。関心のあるポリペプチドコードするポリヌクレオチドは、発現カセット中の任意の他の制御配列と相同性であってもよく又は非相動性であってもよい。関心のあるポリペプチドと一緒に発現されるべき配列、例えば領域をコードするシグナルペプチドは、発現されるべきタンパク質をコードするポリヌクレオチドと典型的には隣接して位置し、適したリーディングフレームの前に置かれる。発現されるべきタンパク質(例えば、シグナルペプチド)をコードするポリヌクレオチドにより構成されるオープンリーディングフレームは、転写及び翻訳が、組成物が投与される対象中で起こるように、単独で又は発現されるべき任意の他の配列と一緒に、プロモーターの制御下に置かれる。
【0152】
[00153]一実施形態において、本明細書で開示された組成物は、それ自体抗原である抗原を含む。実施形態では、本明細書で開示された組成物は、癌に関連する抗原である抗原を含む。
【0153】
[00154]本発明に記載された組成物を用いる単回の治療で使用される抗原の量は、抗原のタイプ及び対象の特性(例えば背格好、体重、年齢、性別など)に依存して変化し得る。当業者は、過度の実験なしに、特定の適用で使用する抗原の有効量を決定できると予想される。本明細書において使用する用語「有効量」は、所望の結果を達成するために必要な投薬及び期間で有効な量を意味する。
【0154】
[00155]一実施形態において、組成物は、マウスで計算して、又はヒトのために換算された等価用量として、約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5又は10マイクログラムの抗原を含むことができる。幾つかの実施形態において、組成物は、ポリI:C及び/又は脂質系アジュバントと等価用量の抗原を含むことができる。特定の実施形態において、組成物は、マウスで計算して、又はヒトのために換算された等価用量として約1マイクログラムの抗原を含むことができる。ヒトに投与するための単位用量当たりの抗原の量は、500マイクログラムまでであってもよく、通常は100マイクログラム以下であるが、これに限定されない。
【0155】
[00156]ヒトからマウスに換算する用量の研究は、本明細書で前に提供した方程式を使用して計算することができる。
【0157】
[00158]幾つかの実施形態において、抗原は、癌又は腫瘍に関連するタンパク質又はそれらのフラグメントであってもよい。多くの癌又は腫瘍に関連するタンパク質は、当技術分野で知られており、例えば、国際公開第2007/041832号で開示されたのもなどであるが、これらに限定されない。
【0158】
[00159]幾つかの実施形態において、癌は、ウイルスなどの病原体により惹起され得る。癌の発生と関連するウイルスは、当業者に知られており、ヒトパピローマウイルス(HPV)、John Cunninghamウイルス(JCV)、ヒトヘルペスウイルス8、エプスタイン・バールウイルス(Epstein Barr Virus)(EBV)、メルケル細胞ポリオーマウイルス、C型肝炎ウイルス及びヒトT細胞白血病ウイルス−1を含むが、これらに限定されない。したがって、一実施形態において、本明細書で開示された組成物は、癌の発生と関連するウイルスと関連する抗原を含むことができる。
【0159】
[00160]幾つかの実施形態において、抗原は、標的とされる腫瘍細胞における特異的構造を効果的に認識して、それらの破壊を惹起することができる、特異的細胞傷害性T−リンパ球(CTL)の免疫応答を誘発することができる任意のものであってもよい。
【0160】
[00161]さらなる実施形態において、抗原は、以下の表から選択されるペプチド配列を含むことができる。
【0162】
[00163]特定の実施形態において、本明細書で開示された組成物は、HPVから誘導された抗原を含むことができる。一実施形態において、抗原は、HPVのE6、E7、L1又はL2タンパク質から誘導され得る。
【0163】
[00164]一実施形態において、HPVのE6タンパク質の抗原は、ペプチド配列TIHDIILECV(T10V;配列番号60)を含む。別の実施形態において、HPVのE7タンパク質の抗原は、RAHYNIVTF(R9F;配列番号2)、YMLDLQPETT(Y10T;配列番号61)、LLMGTLGIV(L9V;配列番号62)、又はTLGIVCPI(T8I;配列番号63)のペプチド配列を含む。
【0164】
[00165]他の実施形態では、HPVから誘導された抗原は、国際公開第1993/022338号;国際公開第2002/070006号;国際公開第2006/115413号;国際公開第2008/147187号;国際公開第2009/002159号又は国際公開第2010/123365号で開示された1つ又は複数のHPV抗原であってもよい。
【0165】
[00166]別の実施形態において、抗原は、例えば、メラノーマに関連するタンパク質などの腫瘍に関連するタンパク質から選択され得る。さらなる実施形態において、メラノーマに関連するタンパク質は、チロシンが関係するタンパク質−2(TRP−2)又はp53である。一実施形態において、TRP−2タンパク質から誘導された抗原は、ペプチド配列SVYDFFVWL(S9L;配列番号56)を含む。別の実施形態において、TRP−2タンパク質から誘導された抗原は、ペプチド配列VYDFFVWL(V8L;配列番号64)を含む。別の実施形態において、p53タンパク質から誘導された抗原は、KYMCNSSCM(K9M;野性型p53;配列番号65)、KYICNSSCM(mK9M;改変されたp53;配列番号66)、及びAKXVAAWTLKAAAKYICNSSCM(mK9M;配列番号67)から選択されるペプチド配列を含む。
【0166】
[00167]一実施形態において、組成物に含有される抗原は、1つ又は複数の本明細書に記載された抗原の混合物、任意選択で、抗原との間のスペーサー配列があるか又はない融合タンパク質として融合されて一緒になったものを含むことができる。
【0167】
[00168]他の実施形態では、抗原は、膜表面に結合した癌に関連するタンパク質由来であってもよいが、これらに限定されない。表面に結合した癌に関連するタンパク質(又はそれらの抗原)は、抗体により認識されることができることもある。
【0168】
[00169]特定の実施形態において、本明細書で開示された組成物は、1つ又は複数のサバイビン抗原を含むことができる。
【0169】
[00170]アポトーシス反復含有バキュロウイルス阻害剤5(BIRC5)とも呼ばれるサバイビンは、アポトーシスの負の調節に関与するタンパク質である。それは、アポトーシスタンパク質の阻害剤(IAP)のファミリーのメンバーとして分類されてきた。サバイビンは、単一BIRモチーフ、及びRINGフィンガーの代わりに高度に荷電したカルボキシ末端のコイル状の領域を含有する16.5kDaの細胞質タンパク質である。サバイビンをコードする遺伝子は、エフェクター細胞のプロテアーゼ受容体−1(EPR−1)の配列と殆ど同一であるが、反対方向に向いている。サバイビン(ホモサピエンス)の配列をコードするのは、停止コドンを含めて429ヌクレオチドの長さである。
atgggtgccc cgacgttgcc ccctgcctgg cagccctttctcaaggacca ccgcatctct 60
acattcaaga actggccctt cttggagggc tgcgcctgcaccccggagcg gatggccgag 120
gctggcttca tccactgccc cactgagaac gagccagacttggcccagtg tttcttctgc 180
ttcaaggagc tggaaggctg ggagccagat gacgaccccatagaggaaca taaaaagcat 240
tcgtccggtt gcgctttcct ttctgtcaag aagcagtttgaagaattaac ccttggtgaa 300
tttttgaaac tggacagaga aagagccaag aacaaaattgcaaaggaaac caacaataag 360
aagaaagaat ttgaggaaac tgcgaagaaa gtgcgccgtgccatcgagca gctggctgcc 420
atggattga 429
配列番号68
【0170】
[00171]コードされるタンパク質サバイビン(ホモサピエンス)は142アミノ酸長である。
Met Gly Ala Pro Thr Leu Pro Pro Ala Trp GlnPro Phe Leu Lys Asp
1 5 10 15
His Arg Ile Ser Thr Phe Lys Asn Trp Pro PheLeu Glu Gly Cys Ala
20 25 30
Cys Thr Pro Glu Arg Met Ala Glu Ala Gly PheIle His Cys Pro Thr
35 40 45
Glu Asn Glu Pro Asp Leu Ala Gln Cys Phe PheCys Phe Lys Glu Leu
50 55 60
Glu Gly Trp Glu Pro Asp Asp Asp Pro Ile GluGlu His Lys Lys His
65 70 75 80
Ser Ser Gly Cys Ala Phe Leu Ser Val Lys LysGln Phe Glu Glu Leu
85 90 95
Thr Leu Gly Glu Phe Leu Lys Leu Asp Arg GluArg Ala Lys Asn Lys
100 105 110
Ile Ala Lys Glu Thr Asn Asn Lys Lys Lys GluPhe Glu Glu Thr Ala
115 120 125
Lys Lys Val Arg Arg Ala Ile Glu Gln Leu AlaAla Met Asp
130 135 140
配列番号69
【0171】
[00172]サバイビンタンパク質は、カスパーゼ活性化を阻害し、それによりアポトーシス即ちプログラムされた細胞死の負の調節をもたらすように機能すると仮定されている。この機能と一致して、サバイビンは、多くのタイプの癌で必ず上方制御されているが、正常組織ではそのようなことはない重要な遺伝子の1つと同定されている(例えば、Altieriら、1999年;及び米国特許第6,245,523号を参照されたい)。それ故、この事実は、サバイビンを、癌細胞は標的とされるが正常細胞はそうされない癌治療のために理想的な標的にする。実際、サバイビンは、ヒト癌の大部分を含む多くの腫瘍タイプで高度に発現されており、予後予測としての価値が報告されている。
【0172】
[00173]幾つかの実施形態において、本明細書で開示された組成物は、1つ又は複数のサバイビン抗原を含むこともできる。本明細書において使用する、用語「サバイビン抗原」は、サバイビンタンパク質又はそれらのフラグメントから誘導された任意のペプチド、ポリペプチド又はそれらの変形体(例えばサバイビンペプチドの変形体)を包含する。用語「サバイビン抗原」は、サバイビンペプチド、サバイビンペプチド変形体又は本明細書に記載されるサバイビンペプチドの機能的等価物をコードするポリヌクレオチドも包含する。ポリヌクレオチドは、DNA(例えばゲノムのDNA又はcDNA)又はRNA(例えばmRNA)又はそれらの組合せであってもよい。それらは、天然に生じても又は合成されてもよい(例えば化学的に合成)。ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド鎖中において1個又は複数の窒素を含む塩基、ペントース糖類又はリン酸基の改変を含有していてもよいと考えられる。そのような改変は当技術分野で周知であり、例えば、ポリヌクレオチドの安定性を改善する目的のためであってもよい。
【0173】
[00174]一実施形態において、サバイビン抗原は、完全長のサバイビンポリペプチド又は完全長のサバイビンポリペプチドをコードする核酸を含むことができる。或いは、サバイビン抗原は、サバイビンタンパク質の任意の長さのフラグメントを含むサバイビンペプチドであってもよい。典型的実施形態は、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸残基を含むサバイビンペプチドを含む。特定の実施形態において、サバイビンペプチドは、サバイビンタンパク質の7、8、9、10、11と整数が続くアミノ酸残基からなる、それぞれヘプタペプチド、オクタペプチド、ノナペプチド、デカペプチド又はウンデカペプチドからなる(例えば配列番号69)。サバイビン抗原の特定の実施形態は、約9個又は10個のアミノ酸のサバイビンペプチドを含む。
【0174】
[00175]本開示のサバイビン抗原は、サバイビンペプチドの変形体及び機能的等価物も包含する。サバイビンペプチドの変形体又は機能的等価物は、サバイビンタンパク質の特定の配列と比較して、1個又は複数のアミノ酸置換、欠失又は付加、又は任意のそれらの組合せなどの相違を有するアミノ酸配列を示すペプチドを包含する。上記相違は、サバイビンタンパク質の配列とサバイビンペプチドの変形体又はサバイビンペプチドの機能的等価物との間の同一性における低下として測定され得る。
【0175】
[00176]アミノ酸配列間の同一性は、当技術分野で周知のアルゴリズムを使用して計算することができる。サバイビンペプチドの変形体又は機能的等価物は、それらが、それらの全長にわたって、サバイビンタンパク質のペプチド配列と少なくとも70%同一、例えば、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、又は、サバイビンタンパク質のペプチド配列と96%、97%、98%又は99%同一を含む少なくとも95%同一である場合に、「サバイビン抗原」の意味の内に入ると考えることができる。特定の実施形態において、サバイビンペプチドの変形体は、配列番号69のアミノ酸の数が整数で続く配列と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一の配列を有する。
【0176】
[00177]サバイビン抗原がそれから誘導され得るサバイビンタンパク質は、タンパク質が発現される任意の動物種からのサバイビンタンパク質である。特定の実施形態は、ヒトからのサバイビンタンパク質(配列番号69)である。選択されたサバイビンタンパク質の配列に基づいて、サバイビン抗原は、サバイビンタンパク質又はコード化核酸の何らかの適当な化学的又は酵素的処理により誘導され得る。或いは、サバイビン抗原は、当業者が熟知している任意の従来のペプチド又は核酸合成手順により合成することもできる。
【0177】
[00178]サバイビン抗原(ペプチド又は核酸)は、サバイビンの自然のままの配列である配列を有していてもよい。或いは、サバイビン抗原は、1つ又は複数の置換、欠失又は付加により改変されたペプチド又は核酸配列、例えば本明細書に記載されているサバイビンペプチド変形体又は機能的等価物であってもよい。ペプチドの免疫原性を増大させる典型的手順及びサバイビンペプチドの改変は、HLAクラスIの分子へのペプチド結合を増大させる、アンカー位置に導入されたアミノ酸置換を含む、例えば国際公開第2004/067023号に記載されたものを含む。
【0178】
[00179]一実施形態において、サバイビン抗原は、MHCクラスIのHLA分子に結合することができる、サバイビンタンパク質又はそれらの任意のサバイビンペプチド変形体から誘導された任意のペプチドである。これらの方向に沿って、サバイビン抗原は、任意のサバイビンペプチド、又は対象において免疫応答を誘発するか若しくは強化することができるそれらのサバイビンペプチドの変形体であってもよい。
【0179】
[00180]一実施形態において、サバイビン抗原は、対象において細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を導き出すことができるサバイビンタンパク質からのアミノ酸配列(例えば配列番号69)、又は前記ペプチドをコードする核酸分子を含むペプチド抗原である。
【0180】
[00181]一実施形態において、組成物は、1つ又は複数の合成サバイビンペプチド、又はサバイビンタンパク質のアミノ酸配列、例えば、配列番号69で表されるアミノ酸配列などに基づくそれらの変形体を含む。
【0181】
[00182]サバイビンペプチド、サバイビンペプチド変形体及びサバイビン機能的等価物、及び特に癌における診断及び治療の目的のためのそれらの使用は、例えば、国際公開第2004/067023号及び国際公開第2006/081826号に記載されている。これらの刊行物で開示された新規ペプチドは、癌患者で細胞傷害性T−リンパ球(CTL)応答を導き出すことができることが見出された。特に、国際公開第2004/067023号で;MHCクラスIに限定されたペプチドは、MHCクラスIのHLA分子に結合することができ、それにより広範囲癌疾患を患う患者において、ex vivo及びin situの両方でCTL免疫応答を導き出すことができるサバイビンタンパク質から誘導することができることが見出された。
【0182】
[00183]一実施形態において、本明細書で開示された組成物は、任意の1つ又は複数のサバイビンペプチド、サバイビンペプチド変形体又は国際公開第2004/067023号及び国際公開第2006/081826号で開示されたサバイビンペプチドの機能的等価物を含むこともできる。
【0183】
[00184]別の実施形態において、本明細書で開示された組成物は、1つ又は複数のサバイビンペプチド、HLA−A、HLA−B又はHLA−C分子から選択される任意のMHCクラスI分子に結合する能力を有するサバイビンペプチド変形体又はサバイビンペプチドの機能的等価物を含むこともできる。
【0184】
[00185]サバイビンペプチド、サバイビンペプチド変形体、又はサバイビンペプチドの機能的等価物が結合することができる典型的MHCクラスIのHLA−A分子は、HLA−A1、HLA−A2、HLA−A3、HLA−A9、HLA−A10、HLA−A11、HLA−A19、HLA−A23、HLA−A24、HLA−A25、HLA−A26、HLA−A28、HLA−A29、HLA−A30、HLA−A31、HLA−A32、HLA−A33、HLA−A34、HLA−A36、HLA−A43、HLA−A66、HLA−A68、及びHLA−A69を含むが、これらに限定されない。
【0185】
[00186]サバイビンペプチド、サバイビンペプチド変形体、又はサバイビンペプチドの機能的等価物が結合することができる典型的MHCクラスIのHLA−B分子は、HLA−B5、HLA−B7、HLA−B8、HLA−B12、HLA−B13、HLA−B14、HLA−B15、HLA−B16、HLA−B17、HLA−B18、HLA−B21、HLA−B22、HLA−B27、HLA−B35、HLA−B37、HLA−B38、HLA−B39、HLA−B40、HLA−B41、HLA−B42、HLA−B44、HLA−B45、HLA−B46及びHLA−B47を含むが、これらに限定されない。
【0186】
[00187]サバイビンペプチド、サバイビンペプチド変形体、又はサバイビンペプチドの機能的等価物が結合することができる典型的MHCクラスIのHLA−C分子は、HLA−C1、HLA−C2、HLA−C3、HLA−C4、HLA−C5、HLA−C6、HLA−C7及びHLA−C16を含むが、これらに限定されない。
【0187】
[00188]特定の実施形態において、本明細書で開示された組成物は、
i)FEELTLGEF(配列番号70) [HLA−A1]
ii)FTELTLGEF(配列番号71) [HLA−A1]
iii)LTLGEFLKL(配列番号72) [HLA−A2]
iv)LMLGEFLKL(配列番号73) [HLA−A2]
v)RISTFKNWPF(配列番号74) [HLA−A3]
vi)RISTFKNWPK(配列番号75) [HLA−A3]
vii)STFKNWPFL(配列番号76) [HLA−A24]
viii)LPPAWQPFL(配列番号77)[HLA−B7]
から選択される1つ又は複数のサバイビンペプチド抗原を含むこともできる。
【0188】
[00189]上でリストに挙げたサバイビンペプチドは、本開示により包含される典型的MHCクラスIに限定されたペプチドを表すが、これらに限定されない。サバイビンペプチドの各々が結合すると考えられる特異的MHCクラスIのHLA分子が、角括弧中で右側に示されている。本明細書で開示された組成物は、1つ又は複数のこれらのサバイビンペプチドを、任意の適当な組合せで含むこともできる。
【0189】
[00190]さらなる実施形態において、本明細書で開示された組成物は、下にリストを挙げた5種のサバイビンペプチドのうちの任意の1つ又は複数を、任意の適当な組合せで含むこともできる。
i)FTELTLGEF(配列番号71) [HLA−A1]
ii)LMLGEFLKL(配列番号73) [HLA−A2]
iii)RISTFKNWPK(配列番号75)[HLA−A3]
iv)STFKNWPFL(配列番号76) [HLA−A24]
v)LPPAWQPFL(配列番号77) [HLA−B7]
【0190】
[00191]特定の実施形態において、本明細書で開示された組成物は、上のリストに挙げたサバイビンペプチド抗原の全ての5種を含む。
【0191】
[00192]幾つかの実施形態において、少なくとも上記の少なくとも1種のサバイビン抗原に加えて、本明細書で開示された組成物は、1つ又は複数の追加の抗原、例えば、これらの本明細書に記載されたものなどを含むこともできる。
【0192】
[00193]CTLエピトープ及びB細胞エピトープ
【0193】
[00194]上記のように、幾つかの実施形態において、抗原は、少なくとも1つのB細胞エピトープ又はCTLエピトープを含む分子である。
【0194】
[00195]エピトープは、ペプチド、炭水化物、脂質、グリコペプチド及び糖脂質を含むが、これらに限定されない任意の化学的な天然物であることもできる。特定の実施形態において、エピトープは、本明細書に記載された抗原のいずれかから誘導されたペプチドである。エピトープは、天然に存在するエピトープと同一であっても、天然に存在するエピトープの改変された形態であってもよい。
【0195】
[00196]B細胞のエピトープは、B細胞及び抗体により認識されるエピトープである。B細胞のペプチドエピトープは、典型的には少なくとも5個のアミノ酸、多くの場合、少なくとも6個のアミノ酸、さらに多くの場合、少なくとも7又は8個のアミノ酸の長さであり、連続(「直鎖状」)であっても不連続(「立体的」)であってもよく、後者は、例えば、一次アミノ酸配列の不連続な部分を物理的に近接させるようなタンパク質のフォールディングにより形成されている。B細胞エピトープは、炭水化物エピトープであってもよい。
【0196】
[00197]一実施形態において、本明細書に記載されている組成物の抗原は、液性の免疫応答を誘発することができるB細胞エピトープであるか又はそれを含むことができる。
【0197】
[00198]幾つかの実施形態において、本明細書に記載されている組成物の抗原は、感染性疾患と関連するB細胞エピトープであるか又はそれを含むこともできる。該抗原は、例えば、インフルエンザウイルス又はRSウイルスなどのウイルスから誘導されたB細胞エピトープであるか又はそれを含むこともできる。別の実施形態において、B細胞エピトープは、H5N1インフルエンザウイルスのヘマグルチニン糖タンパク質から誘導されたエピトープであってもよい。
【0198】
[00199]別の実施形態において、本明細書に記載されている組成物の抗原は、例えば、百日咳菌又は炭疽菌などの細菌から誘導されたB細胞エピトープであるか又はそれを含むこともできる。特定の実施形態において、B細胞エピトープは、百日咳菌により産生された百日咳トキソイドタンパク質のエピトープであることもできる。別の特定の実施形態では、B細胞エピトープは、炭疽菌の組換え保護抗原(rPA)又は炭疽菌変異体の組換え保護抗原(mrPA)のエピトープであることもできる。
【0199】
[00200]別の実施形態において、本明細書に記載されている組成物の抗原は、プラスモディウム属などの原生動物から誘導されたB細胞エピトープであるか又はそれを含むこともできる。
【0200】
[00201]さらなる実施形態において、組成物は、B細胞エピトープの混合物を、液性の免疫応答を誘発するための抗原として含むこともできる。B細胞エピトープは連結されて、単一のポリペプチドを形成することもある。
【0201】
[00202]CTLエピトープは、細胞傷害性Tリンパ球により認識される分子である。CTLエピトープは、典型的には、MHC分子と複合体化して抗原提示細胞の表面に存在している。本明細書において使用する、用語「CTLエピトープ」は、抗原(ハプテンを含む)の天然CTLエピトープと実質的に同じである分子(例えばペプチド)を指す。CTLエピトープは、その天然の対応物と比較して、例えば1個又は2個のアミノ酸だけ改変されていてもよい。特に断りのない限り、本明細書ではCTLエピトープへの言及は、細胞により取り上げられて抗原提示細胞の表面に存在することができる結合していない分子についてである。
【0202】
[00203]CTLエピトープは、細胞媒介免疫応答が起こり得るように、典型的には、T細胞受容体により認識されるように修正することができるものであるべきである。ペプチドとして、CTLエピトープは、クラスI又はクラスIIのMHC分子と相互作用することができる。MHCクラスIの分子により提示されるCTLエピトープは、典型的には、8〜15個の間のアミノ酸長さの、及びより多くのしばしば9〜11個の間のアミノ酸長さのペプチドである。MHCクラスIIの分子により提示されるCTLエピトープは、典型的には5〜24個のアミノ酸の長さ、及びより多くのしばしば13〜17個の間のアミノ酸の長さのペプチドである。抗原がこれらのサイズを超える場合には、抗原は、免疫系により処理されてMHCクラスI又はIIの分子との相互作用のために、より適当なサイズのフラグメントになると予想される。それ故、CTLエピトープは、上記のものより大きいペプチドの一部であってもよい。
【0203】
[00204]多くのCTLエピトープが公知である。追加のCTLエピトープを同定する数通りの技法が当技術分野により認識されている。一般的に、これらは、CTLエピトープを提供する可能性のある分子を調製すること、及びその分子に対する免疫応答を特徴づけることを包含する。
【0204】
[00205]一実施形態において、本明細書に記載されている組成物の抗原は、CTL応答を誘発することができるCTLエピトープであるか又はそれを含むことができる。例えば、抗原は、HPVなどのウイルスから誘導されたCTLエピトープであってもよい。
【0205】
[00206]別の実施形態において、抗原は、HPVのE6又はE7タンパク質から誘導されたCTLエピトープであるか又はそれを含むこともできる。例えば、HPVのE6タンパク質のCTLエピトープは、ペプチド配列TIHDIILECV(T10V;配列番号60)を含むことができ、及びHPVのE7タンパク質のCTLエピトープは、ペプチド配列RAHYNIVTF(R9F;配列番号2)、YMLDLQPETT(Y10T;配列番号61)、LLMGTLGIV(L9V;配列番号62)、及びTLGIVCPI(T81;配列番号63)を含むことができるが、これらに限定されない。
【0206】
[00207]別の実施形態において、CTLエピトープは、例えば、1つ又は複数の本明細書に記載されているサバイビンペプチド又はメラノーマに関連するタンパク質などの腫瘍に関連するタンパク質のエピトープであることができる。一実施形態において、メラノーマに関連するタンパク質は、チロシンと関係するタンパク質−2(TRP−2)又はp53であってもよく、それは、組換え技術又は化学合成を含む種々の方法により得ることができる。
【0207】
[00208]例えば、TRP−2誘導タンパク質のCTLエピトープは、ペプチド配列SVYDFFVWL(S9L;配列番号56)又はVYDFFVWL(V8L;配列番号64)を含むことができるが、これらに限定されない。p53から誘導されたタンパク質のCTLエピトープは、例えば、ペプチド配列KYMCNSSCM(K9M;野性型p53;配列番号65)、KYICNSSCM(mK9M;改変されたp53;配列番号66)又はAKXVAAWTLKAAAKYICNSSCM(mK9M;配列番号67)を含むことができる。
【0208】
[00209]さらなる実施形態において、組成物は、CTLエピトープの混合物を、CTL応答を誘発するための抗原として含むこともできる。CTLエピトープは連結されて、単一のポリペプチドを形成していることもある。
【0209】
[00210]幾つかの実施形態において、B細胞及びCTLエピトープは、疾患と関連する及び/又は疾患に特異的なエピトープである。そのような疾患は、前に本明細書に記載されたいずれかを含むが、これらに限定されない。例えば、疾患は、癌(例えば、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膠芽細胞腫又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫など)、感染性疾患(例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染、RSウイルス(RSV)感染、インフルエンザウイルス感染、エボラ出血熱ウイルス感染、百日咳菌感染、又は四日熱マラリア原虫感染により惹起されるか又はそれらと関連する疾患など)又は習慣性疾患(例えば、コカインに対する習慣性など)であってもよいが、これらに限定されない。
【0211】
[00212]本明細書で開示された組成物は、組成物が水を含まないか又は水を実質的に含まないままである限り、当技術分野で公知の1つ又は複数の追加の成分をさらに含むことができる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、イーストン、ペンシルベニア州、米国、1985年;及び米国薬局方:The National Formulary(USP24NF19)、1999年出版を参照されたい)。
【0212】
[00213]幾つかの実施形態において、ワクチン組成物は、それに加えてTヘルパーエピトープ、乳化剤及び/又は賦形剤を含むことができる。
【0214】
[00215]幾つかの実施形態において、本明細書で開示された組成物は、少なくとも1つのTヘルパーエピトープ又はTヘルパー抗原も含むことができる。
【0215】
[00216]Tヘルパーエピトープは、Tヘルパー活性を有するアミノ酸の配列(天然又は非天然アミノ酸)である。Tヘルパーエピトープは、ヘルパーTリンパ球により認識されて、それは、免疫系の能力を確立して最大化することに重要な役割を担い、他の免疫細胞、例えば細胞傷害性Tリンパ球などを活性化して指示することに関与する。
【0216】
[00217]Tヘルパーエピトープは、連続した又は不連続のエピトープからなることができる。それ故、Tヘルパーの全てのアミノ酸がエピトープの部分であるとは限らない。したがって、Tヘルパーエピトープのアナログ及びセグメントを含むTヘルパーエピトープは、免疫応答を増強又は刺激することができる。免疫優性Tヘルパーエピトープは、動物及びヒトの集団で広く広がるMHCタイプと広く反応性である(Celisら(1988年)、J.Immunol.140巻:1808〜1815頁;Demotzら(1989年)、J.Immunol.142巻:394〜402頁;Chongら(1992年)、Infect.Immun.60巻:4640〜4647頁)。対象のペプチドのTヘルパードメインは、約10〜約50個のアミノ酸、より特に約10〜約30個のアミノ酸を有することができる。複数のTヘルパーエピトープが存在する場合、そのときは、各Tヘルパーエピトープが独立に作用する。
【0217】
[00218]幾つかの実施形態において、Tヘルパーエピトープは、本明細書に記載された抗原の一部を形成していることもある。特に、抗原が十分なサイズのものであれば、それは、Tヘルパーエピトープとして機能するエピトープを含有することができる。他の実施形態では、Tヘルパーエピトープは、抗原とは別の分子である。
【0218】
[00219]別の実施形態において、Tヘルパーエピトープのアナログは、Tヘルパーエピトープ中に1個〜約10個のアミノ酸残基の置換、欠失及び挿入を含むことができる。Tヘルパーセグメントは、免疫応答を強化又は刺激するために十分なTヘルパーエピトープの近接部分である。Tヘルパーセグメントの例は、単一の比較的長いペプチドから誘導された一連の部分に一致するペプチドである。
【0219】
[00220]特定の実施形態において、本明細書で開示された組成物は、Tヘルパーエピトープ又は抗原として、安定性を強化するためにアラニン残基がそのアミノ末端に付加されて(Slingluffら、Clin Cancer Res.、7巻:3012〜3024頁;、2001年)、改変された破傷風毒素ペプチドA16L(830〜844;AQYIKANSKFIGITEL(配列番号78)を含むことができる。
【0220】
[00221]本発明の組成物で使用することができるTヘルパーエピトープの他の供給源は、例えば、B型肝炎表面抗原のヘルパーT細胞エピトープ、百日咳毒素のヘルパーT細胞エピトープ、はしかウイルスのFタンパク質のヘルパーT細胞エピトープ、トラコーマ病原体(Chlamydia trachomatis)の主要な外部膜タンパク質のヘルパーT細胞エピトープ、ジフテリア毒素のヘルパーT細胞エピトープ、熱帯熱マラリア原虫胞子虫周囲(Plasmodium falciparum circumsporozoite)のヘルパーT細胞エピトープ、マンソン住血吸虫トリオース(Schistosoma mansoni triose)のリン酸イソメラーゼのヘルパーT細胞エピトープ、大腸菌TraTのヘルパーT細胞エピトープ及び任意のこれらのTヘルパーエピトープの免疫増強アナログ及びセグメントを含む。
【0221】
[00222]幾つかの実施形態において、Tヘルパーエピトープは、普遍的なTヘルパーエピトープであってもよい。本明細書において使用する普遍的なTヘルパーエピトープは、クラスII(CD4+T細胞)に限定された様式でT細胞機能を活性化する様式で、多様なMHCクラスII分子に結合するペプチド又は他の免疫原性分子、又はそれらのフラグメントを指す。普遍的なTヘルパーエピトープの例は、ペプチド配列AKXVAAWTLKAAA(配列番号79)を含むPADRE(汎DRエピトープ)であり、ここで、Xは、シクロヘキシルアラニルであることができる。PADREは、特に、CD4+Tヘルパーエピトープを有し、即ち、それはPADREに特異的なCD4+Tヘルパー応答の誘発を刺激する。
【0222】
[00223]前に言及した改変され破傷風毒素ペプチドA16Lに加えて、破傷風トキソイドは、PADREと同様な様式ではたらく他のTヘルパーエピトープを有する。破傷風及びジフテリアの毒素は、ヒトCD4+細胞にとって普遍的なエピトープを有する(Diethelm−Okita、B.M.ら、J.Infect.Diseases、181巻:1001〜1009頁;2000年)。別の実施形態において、Tヘルパーエピトープは、ペプチド配列FNNFTVSFWLRVPKVSASHLE(アミノ酸947〜967;配列番号80)を含むF21Eなどの破傷風トキソイドペプチドであってもよい。
【0223】
[00224]ある実施形態では、Tヘルパーエピトープは、本明細書で開示された組成物中の1つ又は複数の抗原の少なくとも1種と融合している(例えば融合ペプチド)。
【0225】
[00226]幾つかの実施形態において、本明細書で開示されたワクチン組成物は、1つ又は複数の乳化剤を含むことができる。乳化剤は、純粋な乳化剤であっても又は乳化剤の混合物であってもよい。乳化剤(1つ又は複数)は、薬学的に及び/又は免疫学的に許容されるべきである。
【0226】
[00227]乳化剤の使用は、水を含まないか又は水を実質的に含まない組成物を調製することに特別の関係があり得る。例えば、幾つかの実施形態において、乳化剤は、両親媒性化合物又は混合物を疎水性担体中に再懸濁するときに、両親媒性化合物、両親媒性の化合物と抗原との混合物、又は両親媒性の化合物、抗原及び他のワクチン成分(例えば、ポリI:C及び/又は脂質系アジュバント、Tヘルパーエピトープなど)の混合物の安定化を助けるために使用することができる。乳化剤の使用は、例えば、疎水性担体中における両親媒性の化合物又は混合物のより均一な分布を助長することができる。
【0227】
[00228]乳化剤は、両親媒性であってもよく、それ故、乳化剤は、広範囲の化合物を含み得る。幾つかの実施形態において、乳化剤は、例えば、非イオン性界面活性剤などの界面活性剤であってもよい。使用することができる乳化剤の例は、ポリエチレングリコール化されたソルビトール、及びソルビタンエステルから誘導された油性液体であるポリソルベートを含む。ポリソルベートは、例えば、ソルビタンモノオレエートを含んでもよい。通常の乳化剤は当技術分野で周知であり、マンニドオレエート(アラセル(商標)A)、レシチン、ツイーン(商標)80、スパン(商標)20、80、83及び85を含むが、これらに限定されない。一実施形態において、ワクチン組成物で使用するための乳化剤は、マンニドオレエートである。
【0228】
[00229]乳化剤は、一般的に疎水性担体と予め混合される。幾つかの実施形態において、すでに乳化剤を含有する疎水性担体が使用されることもある。例えば、モンタニド(商標)ISA51などの疎水性担体は、乳化剤マンニドオレエートをすでに含有している。他の実施形態では、疎水性担体は、乳化剤と混合されてから、両親媒性化合物、両親媒性の化合物と抗原の混合物、又は両親媒性の化合物、抗原及び他のワクチン成分(例えば、ポリI:C及び/又は脂質系アジュバント、Tヘルパーエピトープなど)の混合物と組み合わされてもよい。
【0229】
[00230]乳化剤は、疎水性担体中における両親媒性の化合物の均一な分布を助長するために、及び/又は本明細書に記載されている構造、集成体若しくはアレイの形成を助けるために有効な量で使用される。典型的には、疎水性担体の乳化剤に対する体積比(v/v)は、約5:1〜約15:1、より特に10:1の範囲にある。
【0230】
[00231]水を含まない天然の組成物
【0231】
[00232]本明細書で開示されたアジュバント系は、水を含まないか又は水を実質的に含まないワクチン組成物を調製するために設計されており、即ちワクチン組成物はエマルションではない。
【0232】
[00233]「水を含まない」により、組成物は水を全く含有しないことが意味される。別の実施形態において、組成物は、水を実質的に含まなくてもよい。用語「水を実質的に含まない」は、疎水性担体が少量の水を未だ含有することもあるが、但し水は担体の非連続相中に存在する実施形態を包含することが意図される。例えば、組成物の個々の成分は、凍結乾燥又は蒸発などのプロセスにより完全には除去されない可能性のある少量の結合した水を有していてもよく、ある疎水性担体は、溶解された少量の水を含有することもある。一般的に、「水を実質的に含まない」本明細書で開示された組成物は、例えば、組成物の担体成分の合計重量に基づき重量/重量で、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%又は0.01%未満の水を含有する。少量の水を未だ含有する組成物は、エマルションが形成されるような十分な量の水を含有することはない。
【0233】
[00234]本明細書で示したように、驚くべきことに及び予想外なことに、本明細書で開示されたアジュバント系を含む、水を含まないワクチン組成物は、有意により高い抗体力価及びより強い細胞媒介免疫応答を、より低い用量のポリI:C及び脂質系アジュバントで発生させることができることが見出された。
【0234】
[00235]したがって、一実施形態において、本明細書で開示された水を含まないワクチン組成物は、本明細書で上に記載されたポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント及び脂質系アジュバントの単位用量当たりの低い量を含む。
【0235】
[00236]本明細書で開示された水を含まない組成物の幾つかの実施形態において、単位用量当たりの低い量は、単位用量当たりのより高い量のポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント及び脂質系アジュバントを含む同一の対照組成物と比較して、増強された免疫原性を提供することができる。幾つかの実施形態において、本明細書で開示された水を含まない組成物は、規定された同一の対照組成物より少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍又は10倍高い抗体免疫応答を誘発する。特定の実施形態において、本明細書で開示された水を含まない組成物は、規定された同一の対照組成物より約6.5倍高い抗体免疫応答を誘発する。
【0236】
[00237]本明細書で開示された水を含まない組成物の幾つかの実施形態において、単位用量当たりの低い量は、単位用量当たりの等価な量又は単位用量当たりのより高い量のポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント及び脂質系アジュバントを含み、両親媒性化合物を含まず、油エマルション組成物として製剤化された同一の対照組成物と比較して、増強された免疫原性を提供することができる。幾つかの実施形態において、本明細書で開示された水を含まない組成物は、規定された同一の対照組成物より少なくとも等価又は少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍又は10倍高い抗体免疫応答、及び/又は同一の対照組成物より少なくとも1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍又は5倍高い細胞性免疫応答を誘発する。特定の実施形態において、本明細書で開示された水を含まない組成物は、規定された同一の対照組成物より約2倍高い抗体免疫応答を誘発する。特定の実施形態において、本明細書で開示された水を含まない組成物は、規定された同一の対照組成物より約2〜3倍高い細胞性免疫応答を誘発する。
【0237】
[00238]幾つかの実施形態において、単位用量当たりのより高い量は、単位用量当たりの低い量より少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍又は50倍多くてもよい。
【0238】
[00239]幾つかの実施形態において、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント及び脂質系アジュバントの単位用量当たりのより高い量は、マウスで計算して、又はヒトのために換算された単位用量当たりの等価な量の少なくとも約10マイクログラム、約15マイクログラム、又は約20マイクログラム以上である。ヒトにおける換算された単位用量当たりの高い量は、例えば、単位用量当たり約200マイクログラム以上であってもよい。
【0239】
[00240]幾つかの実施形態において、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント及び脂質系アジュバントの単位用量当たりの低い量は、マウスで計算して、又はヒトのために換算された単位用量当たりの等価な量の約0.2マイクログラム、約0.5マイクログラム、約1マイクログラム、約5マイクログラム以下である。本明細書で前に記載されたように、幾つかの実施形態において、ヒトにおける換算された低い用量は、単位用量当たり2〜50マイクログラムの間、例えば約2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、40又は50マイクログラムであってもよい。
【0240】
[00241]幾つかの実施形態において、単位用量当たりの低い量は、対象のワクチン接種後約12週間までに、少なくとも約1500万、2000万、2500万、3000万又は3500万の対数化されていない抗体力価で抗原特異的抗体免疫応答を誘発することができる。特定の実施形態において、単位用量当たりの低い量は、対象のワクチン接種後約12週間までに、約2900万〜3000万の間の対数化されていない抗体力価で、抗原特異的抗体免疫応答を誘発することができる。
【0241】
[00242]如何なる特定の作用理論にもとらわれず、本開示の水を含まない組成物が使用される場合、製剤は、数週間にわたって持続して長期にわたる抗原のクレアランス及びワクチンの免疫系との相互作用を可能にする強いデポー製剤を創り出すと考えられる。このことに関して、油中脂質系製剤は、免疫の3週間以内にクレアランスのピークに達して、クレアランスはより低い速度で6ヵ月にわたって持続することが報告された(Brewerら、2014年)。これは、2〜3時間〜1週間で速やかに抗原を放出する水性ワクチン製剤;又は短寿命のデポー製剤を形成するエマルションと対照的である。
【0242】
[00243]前に記載されたように、1種のTLRアゴニストへの以前の曝露は、他のアゴニストに対する寛容を生じ得るので、タイミングがTLRアゴニストの有効性にとって非常に重要であると考えられる。本明細書で開示された水を含まないワクチン組成物は、ワクチン成分を(例えばアジュバント及び抗原)を注射箇所に長期間潜在で保持する強いデポー製剤効果を助長することにより、同時曝露を実現することに特に申し分なく適することができる。
【0243】
[00244]その上、前に記載されたように、広範囲の細胞におけるポリI:Cの受容体の発現は、アジュバントとしてポリI:Cを使用することを制限してきた。しかしながら、驚くべきことに、水を含まないワクチン組成物は、ポリI:Cアジュバントの有意に低下された用量で(例えば20倍の低下)、強い抗体及び細胞媒介免疫応答を発生させることができることが示される。これは、単位用量当たりのより低い量のポリI:Cの使用は、全身的曝露を低下させ得るので、大きな利点になり得る。同様に、水を含まない組成物により創られる強いデポー製剤の効果は、全身的曝露も限定することができる。
【0245】
[00246]本明細書で開示されたアジュバント系又はワクチン組成物は、任意選択でキットとして、使用者に提供される。例えば、本開示のキットは、本明細書で開示されたアジュバント系の1種若しくは複数の成分又は組成物を含有する。キットは、1つ又は複数の追加の試薬、包装材料、キットの成分を保持するための容器、及びキット成分を使用する好ましい方法を詳述している使用説明セット又は使用者マニュアルをさらに含むことができる。一実施形態において、容器はバイアルである。
【0246】
[00247]一態様において、1個又は複数の別々の容器に、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント;脂質系アジュバント;両親媒性化合物;及び疎水性担体を含むキットが本明細書で開示されている。キットは、任意の数の適当な形態を取ることもできる。
【0247】
[00248]キットの第1の実施形態では、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント;脂質系アジュバント;両親媒性化合物;及び疎水性担体が、各々別の容器に提供される。
【0248】
[00249]キットの第2の実施形態では、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント;脂質系アジュバント;及び両親媒性化合物が、一緒に第1の容器に提供され、疎水性担体は第2の容器に提供される。この実施形態では、第1の容器の成分は、凍結乾燥された乾燥ケークの形態であってもよく、水を含まないワクチン組成物は、例えば注射の直前に、第1の容器の内容物を第2の容器からの抗原及び疎水性担体で再懸濁させることにより調製することができる。
【0249】
[00250]キットの第3の実施形態では、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント及び脂質系アジュバントが、一緒に第1の容器に提供され;両親媒性化合物は第2の容器に提供され;疎水性担体は第3の容器に提供される。
【0250】
[00251]キットの第4の実施形態では、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント及び脂質系アジュバントが、一緒に第1の容器に提供され、両親媒性化合物及び疎水性担体は一緒に第2の容器に提供される。
【0251】
[00252]キットの第5の実施形態では、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントが第1の容器に提供され、脂質系アジュバントは第2の容器に提供され、両親媒性化合物及び疎水性担体は、一緒に第3の容器に提供される。
【0252】
[00253]キットの第6の実施形態では、ポリI:Cポリヌクレオチド、脂質系アジュバント、両親媒性化合物及び疎水性担体が、全て一緒に単一の容器に提供される。
【0253】
[00254]別の態様で、本明細書に記載されたキットは、それに加えて本明細書に記載された抗原を含むことができる。一実施形態において、抗原は、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント、脂質系アジュバント、両親媒性の化合物、疎水性担体、及び/又はそれらの任意の混合物のうちの任意の1つ又は複数と一緒に容器に提供されてもよい。別の実施形態では、抗原は、別の容器に提供されてもよい。
【0254】
[00255]特定の実施形態において、ポリI:Cポリヌクレオチド、脂質系アジュバント、両親媒性化合物及び抗原が一緒に第1の容器に、凍結乾燥された乾燥ケークとして提供され、疎水性担体は一緒に第2の容器に提供される。この実施形態では、水を含まないワクチン組成物は、例えば、第1の容器の内容物を第2の容器からの疎水性担体中に再懸濁させることにより、注射の直前に調製することができる。
【0255】
[00256]別の態様では、本明細書に記載されたキットは、それに加えて本明細書に記載されたTヘルパーエピトープを含むこともできる。一実施形態において、Tヘルパーエピトープは、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント、脂質系アジュバント、両親媒性の化合物、疎水性担体、抗原、及び/又はそれらの任意の混合物のうちの任意の1つ又は複数と一緒に容器に提供されてもよい。別の実施形態において、Tヘルパーは、別の容器に提供することもできる。
【0256】
[00257]本明細書に記載されたキットは、ワクチン組成物、及び特に水を含まないか又は水を実質的に含まないワクチン組成物の調製で使用するための説明書をさらに含むこともできる。幾つかの実施形態において、キットは、対象において抗体応答及び/又は細胞媒介免疫応答の誘発で使用するための説明書をさらに含むこともできる。
【0257】
[00258]本明細書に記載されたキットの特定の実施形態において、脂質系アジュバントは、PAM
3Cys−Ser−(Lys)4(配列番号1)であり、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントは、ポリI及びポリCのストランド種々の長さの混合物であり、前記混合物は989,486ダルトンのおよその分子量を含み;両親媒性化合物は、S100脂質とコレステロールの混合物又はジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)とコレステロールの混合物であり、疎水性担体はモンタニド(登録商標)ISA51VGである。
【0258】
[00259]上の実施形態のいずれにおいても、アジュバント、抗原、及び/又はTヘルパーは、溶液中にあって、疎水性担体に再構成される前に、混合されて凍結乾燥されるように用意されていてもよく;又はすでに凍結乾燥されていて、疎水性担体中の再構成されるために用意されていてもよい。いずれの実施形態においても、疎水性担体中における再構成は、水を含まないか又は水を実質的に含まないワクチン組成物を提供する。
【0260】
[00261]本明細書で開示されたアジュバント系及び組成物は、抗原を対象に投与することが望まれる任意の場合に、適用を見出すことができる。対象は、脊椎動物、例えば魚類、鳥類又は哺乳動物、好ましくはヒトであってもよい。
【0261】
[00262]本明細書で称する「免疫応答」は、細胞媒介免疫応答又は抗体(液性)免疫応答のいずれかであることができる。
【0262】
[00263]幾つかの実施形態において、本明細書で開示されたワクチン組成物は、細胞媒介免疫応答を誘発するために使用することができる。
【0263】
[00264]本明細書において使用する、免疫応答を「誘発する」は、免疫応答を導き出すこと及び/又は強化することである。免疫応答を誘発することは、免疫応答が、増強され、高められ、改善され又は強められて、免疫応答状態の前、例えば、本明細書で開示された組成物の投与前と比較して、ホストの利益になる場合を包含する。
【0264】
[00265]本明細書において使用する、用語「細胞媒介免疫応答」、「細胞性免疫」、「細胞性免疫応答」又は「細胞傷害性T−リンパ球(CTL)免疫応答」(本明細書では互換的に使用される)は、抗原に対する応答による、マクロファージ及びナチュラルキラー細胞の活性化、抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球の産生及び/又は種々のサイトカインの放出により特徴づけられる免疫応答を指す。細胞傷害性Tリンパ球は、感染した体細胞又は腫瘍細胞の死を誘発することができるTリンパ球の亜群(白血球のタイプ)であり、それらはウイルス(又は他の病原体)に感染した細胞、又は他の理由で損傷したか又は機能不全である細胞を殺滅する。
【0265】
[00266]大部分の細胞傷害性T細胞は、クラスIのMHC分子に結合している特異的ペプチド抗原を認識することができるT細胞受容体を発現する。典型的には、細胞傷害性T細胞は、CD8(即ちCD8+T細胞)も発現し、それはクラスIのMHC分子の一部分に引きつけられる。この親和性は、抗原特異的活性化の間、細胞傷害性T細胞と標的細胞を密接に結合させて一緒に保つ。
【0266】
[00267]細胞性免疫は、例えば、それらの表面に外来性抗原のエピトープを表示している身体の細胞、例えば、ウイルスに感染した細胞、細胞内に細菌がいる細胞、及び腫瘍抗原を表示している癌細胞などを溶解することができる抗原特異的細胞傷害性T−リンパ球(例えば、抗原特異的CD8+T細胞)を活性化することにより;マクロファージ及びナチュラルキラー細胞を活性化して、それらが細胞内病原体を破壊できるようにすることにより;及び適応性の免疫応答及び生来の免疫応答に関与する他の細胞の機能に影響する種々のサイトカインを分泌する細胞を刺激することにより、身体を保護する。
【0267】
[00268]細胞性免疫は、適応性の免疫応答の重要な成分であり、抗原提示細胞、例えば、樹状細胞、Bリンパ球及び程度は低いがマクロファージなどとそれらの相互作用を通した細胞による抗原の認識に従って、種々の機構、例えば:
1.外来性抗原のエピトープをそれらの表面に表示している身体の細胞、例えば、ウイルスに感染した細胞、細胞内に細菌がいる細胞、及び腫瘍抗原を表示している癌細胞などにおいて、アポトーシスを誘発することができる抗原特異的細胞傷害性T−リンパ球を活性化すること;
2.マクロファージ及びナチュラルキラー細胞を活性化して、それらが細胞内病原体を破壊できるようにすること;及び
3.適応性の免疫応答及び生来の免疫応答に関与する他の細胞の機能に影響する種々のサイトカインを分泌するように細胞を刺激すること
により、身体を保護する。
【0268】
[00269]細胞媒介免疫は、ウイルスに感染した細胞を除去することに最も効果的であるが、カビ、原生動物、癌、及び細胞内細菌に対する防御にも加わる。それは移植拒絶においても主要な役割を担う。
【0269】
[00270]細胞媒介免疫は、種々の細胞のタイプの参加を包含し、様々な機構により媒介されるので、数通りの方法をワクチン接種による免疫の誘発を示すために使用することができる。これらは、i)特異的抗原提示細胞;ii)特異的エフェクター細胞及びそれらの機能及びiii)サイトカインなどの可溶性メディエーターの放出の検出に広く分類することができる。
【0270】
[00271]i)抗原提示細胞:樹状細胞及びB細胞(及び程度がより低いマクロファージ)は、T細胞の増強された活性化を可能にする特別の免疫刺激性受容体を備えており、専門的抗原提示細胞(APC)と称される。これらの免疫刺激物質分子(共刺激分子とも呼ばれる)は、感染又はワクチン接種の後、CD4及びCD8細胞傷害性T細胞などのエフェクター細胞に抗原を提供する過程の間、これらの細胞(APC)で上方制御されている。そのような共刺激分子(CD40、CD80、CD86、MHCクラスI又はMHCクラスIIなど)は、例えば、これらの分子に向けられた蛍光色素−コンジュゲート抗体を、特にAPC(樹状細胞に対するCD11cなど)を同定する抗体と共に用いるフローサイトメトリーを使用することにより検出され得る。
【0271】
[00272]ii)細胞傷害性T細胞:(Tc、キラーT細胞、又は細胞傷害性Tリンパ球(CTL)としても公知である)は、ウイルス(及び他の病原体)に感染しているか、又は腫瘍抗原を発現する細胞の死を誘発するT細胞の亜群である。これらのCTLは、ある外来性又は異常な分子をそれらの表面に有する他の細胞を直接攻撃する。そのような細胞の細胞傷害性の能力は、インビトロで細胞溶解アッセイ(クロム放出アッセイ)を使用して検出することができる。したがって、適応性の細胞性免疫の誘発は、そのような細胞傷害性T細胞の存在により示すことができ、その場合、抗原を搭載する標的細胞がインビボにおいてワクチン接種又は感染の後で生じた特異的CTLにより溶解される。
【0272】
[00273]ナイーブな細胞傷害性T細胞は、それらのT細胞受容体(TCR)が、ペプチドの結合したMHCクラスI分子と強く相互作用する場合に活性化される。この親和性は、抗原/MHC複合体のタイプ及び配向に依存して、CTLと感染した細胞とを結合させて一緒に保つ性質である。ひとたび活性化されると、CTLは、それが機能性を獲得して急速に分裂するクローン増殖と呼ばれる過程を経て、「武装された」エフェクター細胞の大群を生ずる。活性化されたCTLは、次にその固有のMHCクラスI+ペプチドを担持する細胞を探して身体中をくまなく移動すると予想される。これは、フローサイトメーターによるアッセイでペプチドMHCクラスIテトラマーを使用することによりインビトロで、そのようなCTLを同定するために使用することができた。
【0273】
[00274]これらの感染した又は機能不全の体細胞に曝されたときに、エフェクターCTLは、パーフォリン及びグラニュリシン:標的細胞のプラズマ膜に孔を開けて、イオン及び水を感染した細胞中に流入させて、それを破裂又は溶解させる細胞毒を放出する。CTLは、グランザイム、細胞に孔を通って進入し、アポトーシス(細胞死)を誘発するセリンプロテアーゼを放出する。CTLからのこれらの分子の放出は、ワクチン接種後の細胞媒介免疫応答の誘発の成功の測定として使用することができる。これは、CTLを定量的に測定することができる酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)又は酵素免疫スポットアッセイ(ELISPOT)により行うことができる。CTLは、IFN−γなどの重要なサイトカインを測定することもできるので、IFN−γ産生CD8細胞の定量的測定は、これらの細胞における細胞内IFN−γのELISPOT及びフローサイトメーターによる測定により達成することができる。
【0274】
[00275]CD4+「ヘルパー」T細胞:CD4+リンパ球、又はヘルパーT細胞は、免疫応答メディエーターであり、適応性のある免疫応答の性能の確立及び最大化に重要な役割を担う。これらの細胞は、細胞傷害性又は食作用の活性はなく;感染した細胞を殺滅すこと又は病原体を除去することはできないが、他の細胞にこれらの役割を実施するように指示することにより、免疫応答を本質的に「運営する」。2つのタイプのエフェクターCD4+ヘルパーT細胞応答が専門的APCにより誘発され得、Th1及びTh2と名付けられ、各々異なるタイプの病原体を排除するように設計されている。
【0275】
[00276]ヘルパーT細胞は、クラスIIのMHC分子に結合した抗原を認識するT細胞受容体(TCR)を発現する。ナイーブなヘルパーT細胞の活性化は、それにサイトカイン放出を起こさせて、そのことが、それを活性化させたAPCを含む多くの細胞タイプの活性に影響する。ヘルパーT細胞は、細胞傷害性T細胞よりもはるかに穏やかな活性化の刺激を必要とする。ヘルパーT細胞は、細胞傷害性細胞の活性化を「助長する」特別のシグナルを提供することができる。2つのタイプのエフェクターCD4+ヘルパーT細胞応答が、専門的APCにより誘発され得て、Th1及びTh2と名付けられ、各々異なるタイプの病原体を排除するように設計されている。これら2種のTh細胞集団は、エフェクタータンパク質(サイトカイン)産生のパターンが異なる。一般的に、Th1細胞は、マクロファージ及び細胞傷害性T細胞の活性化により細胞媒介免疫応答を助け;それに対してTh2細胞は、プラズマ細胞に変換するようにB細胞を刺激して抗体の形成による液性免疫応答を助長する。例えば、Th1細胞により調節される応答は、マウスでlgG2a及びlgG2b(ヒトにおけるIgGI及びlgG3)を誘発して、抗原に対する細胞媒介免疫応答に助力することができる。抗原に対するIgG応答がTh2タイプの細胞により調節される場合には、それは、マウスでIgGIの産生(ヒトにおけるlgG2)を主に強化することができる。Th1又はTh2応答に関連するサイトカインの測定は、ワクチン接種の成功の尺度になると予想される。これは、Th1−サイトカイン、例えば、IFNγ、IL−2、IL−12、TNF−αその他など、又はTh2−サイトカイン、例えば、とりわけIL−4、IL−5、IL10のために設計された特異的ELISAによって達成することができる。
【0276】
[00277]iii)サイトカインの測定:局所のリンパ節から放出されて免疫の成功の良い示度を与える。抗原提示細胞及びAPC及び免疫エフェクター細胞、例えば、CD4及びCD8T細胞の成熟の結果として、数通りのサイトカインがリンパ節細胞により放出される。これらのLNCをインビトロで、抗原の存在下に培養することにより、抗原特異的免疫応答は、ある重要なサイトカイン、例えば、IFN−γ、IL−2、IL−12、TNF−α及びGM−CSFの放出を測定することにより検出することができる。これは、培養上清及び標準として組換えサイトカインを使用してELISAにより行うことができる。
【0277】
[00278]成功した免疫は、当業者公知の機能性抗体を検出するための多くの方法で決定することができ、そのような方法としては、血球凝集阻害(ΗAIJ)及び血清中和阻害アッセイ;ワクチン接種の効力を決定するために、ワクチン接種された対象が関連する病原体で攻撃される攻撃研究;及び特異的細胞表面マーカーを発現する細胞の集団を決定するための、例えば、活性化された又は記憶リンパ球を同定するための蛍光性の活性化された細胞選別(FACS)の使用を含むが、これらに限定されない。当業者は、本明細書で開示された組成物を用いる免疫が抗体及び/又は細胞媒介免疫応答を導き出したかどうかを、他の公知の方法を使用して決定することもできる。例えば、Current Protocols in Immunology Coliganら編(Wiley Interscience、2007年)を参照されたい。
【0278】
[00279]幾つかの実施形態において、本明細書で開示されたワクチン組成物は、抗体免疫応答を誘発するために使用することもできる。
【0279】
[00280]細胞媒介免疫に対する「抗体免疫応答」又は「液性の免疫応答」(本明細書では互換的に使用される)は、Bリンパ球系統の細胞(B細胞)で産生されて分泌された抗体により媒介される。そのような分泌された抗体は、例えば、外来性物質、病原体(例えばウイルス、細菌など)及び/又は癌細胞の表面にある抗原などに結合して、破壊するために目印を付ける。
【0280】
[00281]本明細書において使用する、「液性免疫応答」とは、抗体産生を指し、それに加えて、又はその代わりにそれに伴う付属の過程、例えば、Tヘルパー2(Th2)又はTヘルパー17(Th17)細胞の発生及び/又は活性化、サイトカインの産生、アイソタイプスイッチ、親和性成熟及び記憶細胞の活性化なども含むことができる。「液性の免疫応答」は、抗体のエフェクター機能、例えば、毒素中和、古典的補体活性化、及び食作用の助長及び病原体排除なども含むことができる。液性の免疫応答は、しばしばCD4+Th2細胞により助けられ、それ故この細胞タイプの活性化又は発生は、液性の免疫応答を示すこともできる。用語「液性の免疫応答」は、本明細書では「抗体応答」又は「抗体免疫応答」と互換的に使用される。
【0281】
[00282]「抗体」は、実質的に又は部分的に免疫グロブリン遺伝子又は免疫グロブリン遺伝子のフラグメントによりコードされた1つ又は複数のポリペプチドを含むタンパク質である。認識される免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、ε及びμ定常領域遺伝子、並びに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、κ又はλのいずれかとして分類される。重鎖は、γ、μ、α、δ又はεとして分類されて、それは順送りで免疫グロブリンのクラス、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgEを、それぞれ規定する。典型的な免疫グロブリン(抗体)の構造単位は、4種のポリペプチドを含有するタンパク質を含む。各抗体の構造単位は、ポリペプチド鎖の、各々1つの「軽」鎖及び1つの「重」鎖を有する2つの同一の対で構成される。各鎖のN末端が抗原認識を主に担当する可変領域を定義する。抗体の構造単位(例えば、IgA及びIgMクラスの)は、互いに及び追加のポリペプチド鎖と共に集合して、例えばJ鎖ポリペプチドと会合してIgMペンタマーとして、オリゴマー形態になることもできる。
【0282】
[00283]抗体は、Bリンパ球(B細胞)と呼ばれる白血球のサブセットの抗原特異的糖タンパク質の生成物である。抗原のB細胞の表面に発現された抗体との係り合いが、活性化されて、有糸分裂を経て最後にプラズマ細胞に分化するB細胞の刺激を含む抗体応答を誘発することができて、プラズマ細胞は抗原特異的抗体の合成及び分泌のために特殊化されている。
【0283】
[00284]B細胞は、免疫応答中に抗体を産生する唯一の細胞であり、したがって効果的な液性免疫にとって非常に重要な要素である。それは大量の抗体を産生することに加えて、B細胞は、抗原提示細胞としても作用して、TヘルパーCD4又は細胞傷害性CD8+T細胞などのT細胞に抗原を呈示することができ、その結果、免疫応答を伝播させる。B細胞並びにT細胞は、適応性の免疫応答の一部である。例えば、ワクチン接種又は天然感染のいずれかにより誘発された活性な免疫応答中に、抗原特異的なB細胞が活性化されて、クローン増殖する。増殖中に、B細胞は、エピトープに対するより高い親和性を有するように進化する。B細胞の増殖は、活性化されたヘルパーT細胞により間接的に、及びTLRなどの受容体の刺激により直接にも誘発され得る。
【0284】
[00285]抗原提示細胞、例えば、樹状細胞及びB細胞などは、ワクチン接種部位に引き寄せられ、ワクチン組成物に含有される抗原及びアジュバントと相互作用することができる。典型的には、アジュバントは、細胞を刺激して活性化させ、抗原が標的のための青写真を提供する。異なるタイプのアジュバントが、異なる刺激のシグナルを細胞に提供することもできる。例えば、ポリI:C(TLR3アゴニスト)は、樹状細胞を活性化することができるが、B細胞を活性化することはできない。アジュバント、例えば、PAM
3Cys、PAM
2Cys及びFSL−1などは、B細胞の増殖を活性化して開始させることに特に熟達しており、それは抗体応答が生ずることを容易にすると期待される(Moyleら、Curr Med Chem、2008年;So.、J Immunol、2012年)。
【0285】
[00286]液性の免疫応答は、効果的な感染性疾患のワクチンのための一般的な機構の1つである(例えば、ウイルス又は細菌の侵入に対する保護のために)。しかしながら、液性の免疫応答は、癌と闘うために役立つこともできる。癌ワクチンは、典型的には、癌細胞を認識して破壊することができる細胞媒介免疫応答を生ずるように設計されているが、B細胞媒介応答は、幾つかの場合に最大の利益のために細胞傷害性T細胞と協同することができる他の機構を通じて、癌細胞を標的とすることもできる。B細胞に媒介(例えば液性の免疫応答媒介)される抗腫瘍応答の例には、1)腫瘍細胞又は腫瘍形成に影響する他の細胞に見出される表面抗原に結合するB細胞により産生された抗体。そのような抗体は、例えば、抗体依存性の細胞に媒介される細胞傷害性(ADCC)又は補体固定により標的細胞の殺滅を誘発することができ、免疫系により認識され得る追加の抗原の放出を生ずる可能性がある;2)腫瘍細胞上の受容体に結合し、それらの刺激を遮断して、結果においてそれらの効果を中和する抗体;3)腫瘍又は腫瘍に関連する細胞により又は関連して放出された因子に結合し、癌を支持するシグナル伝達又は細胞の経路を変調させる抗体;及び4)細胞内標的に結合し、現在未知の機構により抗腫瘍活性を媒介する抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0286】
[00287]抗体応答を評価する1つの方法は、特定の抗原と反応性の抗体の力価を測定することである。これは、当技術分野で公知の種々の方法、例えば、動物から得られた抗体を含有する物質の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して実施することができる。例えば、特定の抗原に結合する血清抗体の力価は、抗原に対する曝露の前及び後の両方の対象において決定することができる。抗原に曝露後の抗原特異的抗体の力価における統計的に有意の増大は対象が抗原に対する抗体の応答を上げたことを示すと予想される。
【0287】
[00288]抗原特異的抗体の存在を検出するために使用することができる他のアッセイは、免疫学的アッセイ(例えば放射免疫測定(RIA))、免疫沈降アッセイ、及びタンパク質ブロット(例えばウェスタンブロット)アッセイ;及び中和アッセイ(例えば、インビトロ又はインビボアッセイにおけるウイルスの感染力の中和)を含むが、これらに限定されない。
【0288】
[00289]本明細書で開示されたワクチン組成物は、細胞媒介免疫応答又は液性の免疫応答により緩和される疾患及び/又は障害を治療又は予防するために有用であり得る。ワクチンは、抗原を対象に投与して、細胞媒介免疫応答又は液性免疫応答を誘発することが望ましい任意の場合に適用を見出すことができる。
【0289】
[00290]一実施形態において、本開示は、本発明に記載された組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法に関する。幾つかの実施形態において、該方法は、前記対象における前記抗原に対して抗体応答及び/又は細胞媒介免疫応答を誘発するためのものである。幾つかの実施形態において、該方法は、細菌、ウイルス、真菌、寄生生物、アレルゲン、又は抗原を発現する腫瘍細胞により惹起された疾患の治療及び/又は予防のためである。
【0290】
[00291]本明細書において使用する「治療すること」又は「の治療」、又は「予防すること」又は「の予防」は、有益な又は所望の結果を得るための手法を指す。有益な又は所望の結果は、1つ又は複数の症状又は状態の軽減又は軽快、疾患の程度の縮小、疾患の状態の安定化、疾患の発生の予防、疾患の広がりの予防、疾患進行の減速又は低下(例えば抑制)、疾患発症の遅延又は低下、疾患の原因となる作用物質に対する防御免疫の授与及び疾患状態の軽快又は一時的軽減を含むことができるが、これらに限定されない。「治療すること」又は「予防すること」は、患者の生存を、治療の不在で予想される生存を超えて延長させることを意味することもでき、及び疾患の進行を一時的に阻止すること又は対象における感染を予防することなどにより疾患の発生を予防することも意味することができる。「治療すること」又は「予防すること」は、腫瘍質量のサイズにおける低下、腫瘍の進行の速さの低下なども指すことができる。
【0291】
[00292]「治療すること」は、典型的には、疾患又は障害をすでに有するか、又は感染性作用物質にすでに曝露されたことがわかっている対象において行われるが、それに対して「予防する」は、典型的には、疾患又は障害を有しないか、又は感染性作用物質の曝露されたことがわかっていない対象において行われることにおいて、「予防する」と区別することができる。認識されるように、治療と予防には重なりもあり得る。例えば、対象における疾患を「治療している」が、その一方で同時に疾患の症状又は進行を「予防する」ことは可能である。その上、少なくともワクチン接種の関係では、「治療すること」と「予防すること」とは、対象の治療は、病原体による感染を予防するか又は病原体による感染により惹起される潜在する疾患若しくは症状を予防するその後の効果を有し得る免疫応答を誘発することであることにおいて重なり合うこともある。これらの予防的態様は、本明細書では「感染性疾患の治療」又は「癌の治療」などの表現によって包含される。
【0292】
[00293]一実施形態において、本明細書で開示された方法及び組成物は、癌を、それらを必要とする対象において治療及び/又は予防するために使用するためのものであることもできる。対象は、癌を有することもあり、又は癌を発生するリスクがあることもある。
【0293】
[00294]本明細書において使用する用語「癌」、「癌細胞」、「腫瘍」及び「腫瘍細胞」(互換的に使用される)は、細胞増殖の制御の有意の喪失又は不死化された細胞により特徴づけられる異常な成長を示す細胞を指す。用語「癌」又は「腫瘍」は、転移並びに非転移の癌又は腫瘍を含む。癌は、悪性腫瘍の存在を含む、当分野で一般的に受け入れられている基準を使用して診断され得る。
【0294】
[00295]本明細書で開示された組成物の使用又は投与により治療及び/又は予防され得る癌は、癌腫、腺癌、リンパ腫、白血病、肉腫、芽細胞腫、骨髄腫、及び胚芽細胞腫瘍を含むが、これらに限定されない。特に適当な実施形態は、膠芽細胞腫、多発性骨髄腫、卵巣癌、乳癌、輪卵管癌、前立腺癌又は腹腔内癌を含むことができるが、これらに限定されない。一実施形態において、癌は、ウイルスなどの病原体により惹起されることもある。癌の発生と関連するウイルスは、当業者に知られており、ヒトパピローマウイルス(HPV)、John Cunninghamウイルス(JCV)、ヒトヘルペスウイルス8、エプスタイン・バールウイルス(EBV)、メルケル細胞ポリオーマウイルス、C型肝炎ウイルス及びヒトT細胞白血病ウイルス−1を含むが、これらに限定されない。別の実施形態において、癌は、1つ又は複数の癌特異抗原(例えばサバイビン)を発現するものであってもよい。
【0295】
[00296]特定の実施形態において、癌は、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、輪卵管癌、腹腔内癌、膠芽細胞腫又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
【0296】
[00297]本明細書で開示された方法及び組成物は、癌の治療又は予防のいずれのためにも有用であり得る;例えば、癌の重症度(例えば、腫瘍のサイズ、進行の速さ及び/又は侵襲性、悪性など)の低下又は癌再発の予防など。
【0297】
[00298]別の実施形態において、本明細書で開示された方法及び組成物は、例えば、ウイルス感染などにより惹起された感染性疾患を、それらを必要とする対象において治療及び/又は予防するために使用することができる。対象は、ウイルスに感染していてもよいし、又はウイルス感染を発生するリスクを有していてもよい。本明細書で開示された組成物の使用又は投与により治療及び/又は予防され得るウイルス感染は、限定されないが、牛痘ウイルス、ワクシニアウイルス、偽牛痘ウイルス、ヒトヘルペスウイルス1、ヒトヘルペスウイルス2、サイトメガロウイルス、ヒトアデノウイルスA−F、ポリオーマウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、パルボウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、オルトレオウイルス、ロタウイルス、エボラ出血熱ウイルス、パラインフルエンザウイルス、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、はしかウイルス、おたふく風邪ウイルス、風疹ウイルス、ニューモウイルス、ヒトRSウイルス、狂犬病ウイルス、カリフォルニア脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、ハンターンウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、コロナウイルス、エンテロウイルス、ライノウイルス、ポリオウイルス、ノロウイルス、フラビウイルス、デング熱ウイルス、西ナイルウイルス、黄熱病ウイルス及び水疱瘡である。特定の実施形態において、ウイルス感染は、ヒトパピローマウイルス、エボラ出血熱ウイルス、ヒトRSウイルス又はインフルエンザウイルス。
【0298】
[00299]別の実施形態において、本明細書で開示された方法又は組成物は、例えば、非ウイルス病原体(細菌又は原生動物など)により惹起される感染性疾患を、それらを必要とする対象において治療及び/又は予防するために使用することもできる。対象は、病原体に感染していることもあり、又は病原体による感染を発生するリスクがあることもある。典型的な細菌の病原体は、炭疽(炭疽菌)、ブルセラ、百日咳菌、カンジダ、肺炎クラミジア、オウム病クラミジア、コレラ、ボツリヌス菌、コクシジオイデス・イミチス、クリプトコッカス、ジフテリア、大腸菌O157:H7、腸管出血性大腸菌、腸内毒素原性大腸菌、インフルエンザ菌、ピロリ菌、レジオネラ、レストスピラ、リステリア、髄膜炎菌、肺炎マイコプラズマ、マイコバクテリア、百日咳、肺炎、サルモネラ、赤痢菌、ブドウ球菌、肺炎球菌及びエンテロコリチカ菌を含むことができるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、細菌感染は炭疽である。典型的原生動物病原体は、マラリアを惹起するプラスモディウム属(熱帯熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫又は二日熱マラリア原虫)を含むこともあるが、これらに限定されない。
【0299】
[00300]別の実施形態において、本明細書で開示された方法又は組成物は、抗原の発現と関連する神経変性疾患を、それらを必要とする対象において、治療及び/又は予防するために使用することができる。対象は、神経変性疾患を有していることもあり、又は神経変性疾患を発生するリスクがあることもある。本明細書で開示された方法又は組成物により治療及び/又は予防され得る神経変性疾患には、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)が含まれるが、これらに限定されない。
【0300】
[00301]別の実施形態において、本明細書で開示された方法又は組成物は、習慣性疾患(例えば、コカイン習慣性など)を治療及び/又は予防するために使用することもできる。
【0301】
[00302]別の実施形態において、本明細書で開示された方法又は組成物は、毒素、ウイルス、細菌又はアレルゲンを抗体で中和するために使用することができて、前記方法は、本発明に記載された組成物を対象に投与することを含む。例えば、ワクチン中の抗原に応答する抗体産生は、毒素、ウイルス、細菌又はアレルゲンを中和又は隔離することができる。一実施形態において、毒素は、例えば、コカインなどの薬物である。
【0302】
[00303]ワクチン組成物を調製する方法
【0303】
[00304]アジュバント系及びワクチン組成物は、実施例に記載された方法を含むが、これらに限定されない本開示と関係のある当技術分野で公知の方法により調製することができる。本明細書で開示されたアジュバント系及びワクチン組成物を調製するための典型的実施形態は、下に記載されるが、これらに限定されない。
【0304】
[00305]この節で使用される用語「抗原」は、抗原が本開示のワクチン組成物でどのように製剤化され得るかを一般的に説明するために使用される。用語「抗原」は、単数形の「抗原」及び複数形の「抗原」の両方を包含する。全ての抗原が、ワクチン組成物中に同様に導入されることは必要ではない。
【0305】
[00306]ワクチン組成物を調製するための一実施形態において、抗原、アジュバント及び任意選択で他のワクチン成分(例えばTヘルパーエピトープ)が、適当な溶媒中で両親媒性化合物と一緒に再構成される。次に、ワクチン成分は、乾燥されてケークを形成し、該乾燥ケークは疎水性担体中に再懸濁される。乾燥ステップは、当技術分野で公知の種々の手段、例えば、フリーズドライ、凍結乾燥、回転蒸発、減圧蒸発などにより実施することができる。成分の完全性を損なわない低温乾燥も使用することができる。加熱も抗原/両親媒性化合物の混合物の再懸濁を助けるために使用することができる。
【0306】
[00307]「適当な溶媒」は、抗原、アジュバント及び/又は両親媒性化合物を可溶性化するために適当な溶媒であり、当業者により決定され得る。一実施形態において、リン酸ナトリウム緩衝液(0.2M、pH6.0)又はリン酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH7.0)を使用することができる。別の実施形態において、極性プロトン性溶媒、例えば、アルコール(例えば、tertブタノール、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール又はメタノール)、水、酢酸塩緩衝液、ギ酸又はクロロホルムが使用され得る。幾つかの場合、同じ溶媒を、両親媒性化合物、抗原及びアジュバントの各々を可溶化するために使用することができて、可溶化された成分が次に混合される。或いは、抗原、アジュバント及び両親媒性化合物が、可溶性化に先立って混合されて、次に可溶化されて一緒になってもよい。さらなる代替で、両親媒性化合物、抗原又はアジュバントのうちの1種又は複数のみが可溶化されて、非可溶化成分(1つ又は複数)が添加される。
【0307】
[00308]特定の実施形態において、ワクチン組成物を調製するために、抗原及びアジュバントが、一緒に又は別々にリン酸ナトリウム緩衝液中でS100脂質及びコレステロール(Lipoid、ドイツ)と共に再構成される。次に、これらのワクチン成分を凍結乾燥して乾燥ケークを形成させる。注射の直前に、乾燥ケークをISA51 VG油(SEPPIC、フランス)中に再懸濁させて水を含まない油系ワクチン組成物を調製する。
【0308】
[00309]別の実施形態では、ワクチン組成物を調製するために、コンジュゲート化された抗原/Tヘルパーエピトープを、0.2%PEG−H
2O中で脂質DOPC及びコレステロール(Lipoid、ドイツ)と共に再構成する。ポリI:C及び脂質系アジュバントが、水中で再構成されて、次に抗原−脂質混合物に加えられる。次に、これらのワクチン成分を凍結乾燥して乾燥ケークを形成させる。注射の直前に、乾燥ケークをISA51 VG油(SEPPIC、フランス)中で再懸濁させて水を含まないワクチン組成物を調製する。
【0309】
[00310]上の実施形態では、特定の作用理論にとらわれず、溶媒を除去(乾燥)すると、それらの親水性の頭部の基をワクチン成分に向けて配向した両親媒性化合物分子のアレイ中の抗原を含むワクチン成分が残ると考えられる。次に、ワクチン成分及び両親媒性化合物は、それらは十分に疎水性になっているので、水の不在下で疎水性担体(油など)中に再懸濁され得る。
【0310】
[00311]本明細書に記載されている追加の成分、例えば、Tヘルパーエピトープは、製剤化工程中の任意の段階で添加されてもよい。例えば、1つ又は複数のそのような追加の成分は、抗原、アジュバント及び/又は両親媒性化合物と、可溶性化の前若しくは後のいずれかで配合されてもよく、又は可溶化された混合物に添加されてもよい。別の実施形態において、追加の成分が、代わりに、抗原、アジュバント及び両親媒性化合物の乾燥された混合物に添加されるか若しくは配合されてもよく、又は疎水性担体と抗原、アジュバント及び両親媒性化合物の乾燥混合物の再懸濁の前若しくは後のいずれかで疎水性担体中で配合されてもよい。一実施形態において、Tヘルパーエピトープは、抗原と同様にしてワクチン組成物に添加される。一実施形態において、抗原及びTヘルパーエピトープは融合ペプチドである。
【0311】
[00312]幾つかの実施形態において、それらが疎水性担体に再懸濁されるときに、乾燥ケークのワクチン成分の安定化を助けるために、疎水性担体中に乳化剤を含むことが適当なこともある。乳化剤は、抗原、アジュバント及び両親媒性化合物の乾燥混合物を、疎水性担体中に再懸濁して、抗原、アジュバント及び両親媒性化合物を、疎水性担体中で懸濁状態に維持するために十分な量で提供される。例えば、乳化剤は、疎水性担体の約5%〜約15%重量/重量又は重量/体積で存在することができる。
【0312】
[00313]生物学的活性を維持又は化学的安定性を改善して任意のワクチン成分の貯蔵寿命を延長させる糖類、抗酸化剤、又は防腐剤などの安定剤を、上記の組成物に添加することもできる。
【0313】
[00314]本明細書で開示されたアジュバント系は、抗原が除外されたことを除いて、ワクチン組成物のために上で記載されたのと同様な方式で調製することができる。次に、水を含まないワクチン組成物を調製するために、抗原は、両親媒性化合物と別に調製され、乾燥され、疎水性担体で再懸濁され、次に、アジュバント系と混合されてもよい。或いは、抗原は、直接アジュバント系に、単独で又は両親媒性化合物と混合後に添加されてもよい。
【0315】
[00316]本開示の特定の実施形態は、以下の
【0316】
[00317](1)
(a)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント;
(b)脂質系アジュバント;
(c)両親媒性化合物;及び
(d)疎水性担体
を含むアジュバント系;
【0317】
[00318](2)脂質系アジュバントが1つ又は複数のリポペプチド(1つ又は複数)を含む、段落(1)のアジュバント系;
【0318】
[00319](3)少なくとも1種のリポペプチドが、脂質成分としてパルミチン酸を含む、段落(2)のアジュバント系;
【0319】
[00320](4)脂質系アジュバントが、ジパルミトイル−S−グリセリル−システイン(PAM
2Cys)又はトリパルミトイル−S−グリセリル−システイン(PAM
3Cys)を含む、段落(1)〜(3)のいずれか1つのアジュバント系;
【0320】
[00321](5)脂質系アジュバントがPAM
2Cys−Ser−(Lys)4(配列番号1)又はPAM
3Cys−Ser−(Lys)4(配列番号1)である、段落(4)のアジュバント系;
【0321】
[00322](6)脂質系アジュバントがPAM
3Cys−Ser−(Lys)4(配列番号1)である、段落(5)のアジュバント系;
【0322】
[00323](7)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントが、RNA、DNA又はそれらの組合せを含む、段落(1)〜(6)のいずれか1つのアジュバント系;
【0323】
[00324](8)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントが二重らせんであり、各ストランドがイノシン又はシチジル残基のホモポリマーである、段落(1)〜(7)のいずれか1つのアジュバント系;
【0324】
[00325](9)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントが二重らせんであり、各ストランドが、イノシン及びシチジル残基の両方を含むヘテロポリマーである、段落(1)〜(7)のいずれか1つのアジュバント系;
【0325】
[00326](10)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントが、ホモポリマー状のポリI:Cポリヌクレオチド及びヘテロポリマー状のポリI:Cポリヌクレオチドの両方を含む混合物である、段落(1)〜(7)のいずれか1つのアジュバント系;
【0326】
[00327](11)ポリI:Cポリヌクレオチドのアジュバントが、変化するストランド長さのポリI及びポリCの混合物であり、前記混合物は約989,486ダルトンの分子量を有する、段落(1)〜(7)のいずれか1つのアジュバント系;
【0327】
[00328](12)両親媒性化合物が脂質である、段落(1)〜(11)のいずれか1つのアジュバント系;
【0328】
[00329](13)脂質が抗原の周りに閉じた小胞構造を形成する、段落(12)のアジュバント系;
【0329】
[00330](14)閉じた小胞構造が、単一層の小胞構造又は二重層の小胞構造である、段落(13)のアジュバント系;
【0330】
[00331](15)単一層の小胞構造がミセルである、段落(14)のアジュバント系;
【0331】
[00332](16)二重層の小胞構造が単ラメラの又は多ラメラ状のリポソームである、段落(14)のアジュバント系;
【0332】
[00333](17)脂質がリン脂質又はリン脂質の混合物である、段落(12)〜(16)のいずれか1つのアジュバント系;
【0333】
[00334](18)リン脂質が、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)又はDOPCを含むリン脂質の混合物である、段落(17)のアジュバント系;
【0334】
[00335](19)リン脂質が、レシチン又はレシチンを含むリン脂質の混合物である、段落(17)のアジュバント系;
【0335】
[00336](20)レシチンがLipoid S100である、段落(19)のアジュバント系;
【0336】
[00337](21)担体が油又は油の混合物である、段落(1)〜(20)のいずれか1つのアジュバント系;
【0337】
[00338](22)担体が、植物油、ナッツ油、又は鉱油を含む、段落(21)のアジュバント系;
【0338】
[00339](23)担体が、鉱油であるか又は鉱油溶液中のマンニドオレエートである、段落(22)のアジュバント系;
【0339】
[00340](24)担体がモンタニド(登録商標)ISA 51 VGである、段落(23)のアジュバント系;
【0340】
[00341](25)
(a)抗原、
(b)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント、
(c)脂質系アジュバント、
(d)両親媒性化合物、及び
(e)疎水性担体
を含み、水を含まないか又は水を実質的に含まない組成物;
【0341】
[00342](26)水を含まない段落(25)の組成物;
【0342】
[00343](27)担体の合計重量に基づき重量/重量で、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%又は0.01%未満の水を含む、段落(25)の組成物;
【0343】
[00344](28)脂質系アジュバントが、1つ又は複数のリポペプチド(1つ又は複数)を含む、段落(25)〜(27)のいずれか1つの組成物;
【0344】
[00345](29)少なくとも1種のリポペプチドが、脂質成分としてパルミチン酸を含む、段落(28)の組成物;
【0345】
[00346](30)脂質系アジュバントが、ジパルミトイル−S−グリセリル−システイン(PAM
2Cys)又はトリパルミトイル−S−グリセリル−システイン(PAM
3Cys)を含む、段落(25)〜(29)のいずれか1つの組成物;
【0346】
[00347](31)脂質系アジュバントが、PAM
2Cys−Ser−(Lys)4(配列番号1)又はPAM
3Cys−Ser−(Lys)4(配列番号1)である、段落(30)の組成物;
【0347】
[00348](32)脂質系アジュバントが、PAM
3Cys−Ser−(Lys)4(配列番号1)である、段落(31)の組成物;
【0348】
[00349](33)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントが、RNA、DNA又はそれらの組合せを含む、段落(25)〜(32)のいずれか1つの組成物;
【0349】
[00350](34)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントが二重らせんであり、各ストランドがイノシン又はシチジル残基のホモポリマーである、段落(25)〜(33)のいずれか1つの組成物;
【0350】
[00351](35)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントが二重らせんであり、各ストランドがイノシン及びシチジル残基の両方を含むヘテロポリマーである、段落(25)〜(33)のいずれか1つの組成物;
【0351】
[00352](36)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントが、ホモポリマー状のポリI:Cポリヌクレオチド及びヘテロポリマー状のポリI:Cポリヌクレオチドの両方を含む混合物である、段落(25)〜(33)のいずれか1つの組成物;
【0352】
[00353](37)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントが、変化するストランド長さのポリIとポリCとの混合物であり、前記混合物は約989,486ダルトンの分子量を有する、段落(25)〜(33)のいずれか1つの組成物;
【0353】
[00354](38)両親媒性化合物が脂質である、段落(25)〜(37)のいずれか1つの組成物;
【0354】
[00355](39)脂質が抗原の周りに閉じた小胞構造を形成している、段落(38)の組成物;
【0355】
[00356](40)閉じた小胞構造が、単一層の小胞構造又は二重層の小胞構造である、段落(39)の組成物;
【0356】
[00357](41)単一層の小胞構造がミセルである、段落(40)の組成物;
【0357】
[00358](42)二重層の小胞構造が単ラメラの又は多ラメラ状のリポソームである、段落(40)の組成物;
【0358】
[00359](43)脂質が、リン脂質又はリン脂質の混合物である、段落(38)〜(42)のいずれか1つの組成物;
【0359】
[00360](44)リン脂質が、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)又はDOPCを含むリン脂質の混合物である、段落(43)の組成物;
【0360】
[00361](45)リン脂質が、レシチン又はレシチンを含むリン脂質の混合物である、段落(43)の組成物;
【0361】
[00362](46)レシチンがLipoid S100である、段落(45)の組成物;
【0362】
[00363](47)担体が油又は油の混合物である、段落(25)〜(46)のいずれか1つの組成物;
【0363】
[00364](48)担体が、植物油、ナッツ油、又は鉱油を含む、段落(47)の組成物;
【0364】
[00365](49)担体が、鉱油であるか又は鉱油溶液中のマンニドオレエートである、段落(48)の組成物;
【0365】
[00366](50)担体がモンタニド(登録商標)ISA 51 VGである、段落(49)の組成物;
【0366】
[00367](51)抗原が、ポリペプチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、炭水化物、微生物若しくはそれらの一部、又は毒素である、段落(25)〜(50)のいずれか1つの組成物;
【0367】
[00368](52)抗原が、(i)ウイルス、細菌又は原生動物から誘導され、(ii)膜表面に結合している癌抗原、又は(iii)毒素である、段落(51)の組成物;
【0368】
[00369](53)抗原が、エボラ出血熱ウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、インフルエンザウイルス、RSウイルス、百日咳菌、炭疽菌又は四日熱マラリア原虫から誘導された、段落(52)の組成物;
【0369】
[00370](54)炭疽菌から誘導された抗原が、炭疽毒素から誘導された組換え保護抗原(PA)である、段落(53)の組成物;
【0370】
[00371](55)HPVから誘導された抗原が、アミノ酸配列RAHYNIVTF(配列番号2)を含む、段落(53)の組成物;
【0371】
[00372](56)インフルエンザウイルスから誘導された抗原が組換えHA抗原である、段落(53)の組成物;
【0372】
[00373](57)膜表面に結合している癌抗原がサバイビン抗原である、段落(52)の組成物;
【0373】
[00374](58)サバイビン抗原が、サバイビンタンパク質(配列番号69)若しくは改変されたそれらの変形体からのアミノ酸配列を含むペプチド抗原、又は前記ペプチド抗原をコードする核酸分子である、段落(57)の組成物;
【0374】
[00375](59)サバイビン抗原が、FEELTLGEF(配列番号70);FTELTLGEF(配列番号71);LTLGEFLKL(配列番号72);LMLGEFLKL(配列番号73);RISTFKNWPF(配列番号74);RISTFKNWPK(配列番号75);STFKNWPFL(配列番号76);又はLPPAWQPFL(配列番号77)、又は任意のそれらの組合せから選択されるアミノ酸配列を含むペプチド抗原、又は前記ペプチド抗原をコードする核酸分子である、段落(57)の組成物;
【0375】
[00376](60)アミノ酸配列:FTELTLGEF(配列番号71);LMLGEFLKL(配列番号73);RISTFKNWPK(配列番号75);STFKNWPFL(配列番号76);及びLPPAWQPFL(配列番号77)を含む5種のペプチド抗原の混合物を含む、段落(57)の組成物;
【0376】
[00377](61)毒素が薬物、例えばコカインである、段落(52)の組成物;
【0377】
[00378](62)抗原が、少なくとも1つのB細胞エピトープ、少なくとも1つのCTLエピトープ又はそれらの組合せを含む、段落(25)〜(61)のいずれか1つの組成物;
【0378】
[00379](63)Tヘルパーエピトープをさらに含む、段落(25)〜(62)のいずれか1つの組成物;
【0379】
[00380](64)Tヘルパーエピトープが、抗原とのコンジュゲート又は融合体である、段落(63)の組成物;
【0380】
[00381](65)Tヘルパーが、アミノ酸配列AKXVAAWTLKAAA(配列番号79)を含むPADRE、アミノ酸配列FNNFTVSFWLRVPKVSASHLE(配列番号80)を含む破傷風トキソイドペプチドF21E;又はアミノ酸配列AQYIKANSKFIGITEL(配列番号78)を含む改変された破傷風毒素ペプチドA16Lである、段落(62)又は(63)の組成物;
【0381】
[00382](66)ポリI:CポリヌクレオチドアジュバントがToll様受容体3(TLR3)アゴニストであり、脂質系アジュバントがTLR1/2ヘテロダイマーのアゴニストである、段落(25)〜(65)のいずれか1種の組成物;
【0382】
[00383](67)抗体免疫応答及び/又は細胞媒介免疫応答を、単回用量で誘発することができる、段落(25)〜(66)のいずれか1つの組成物;
【0383】
[00384](68)単位用量当たりの低い量のポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント及び脂質系アジュバントを含む、段落(67)の組成物;
【0384】
[00385](69)単位用量当たりの低い量が、単位用量当たりのより高い量のポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント及び脂質系アジュバントを含む同一の対照組成物と比較して、増強された免疫原性を提供することができる、段落(68)の組成物;
【0385】
[00386](70)組成物が、規定された同一の対照組成物より少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍又は10倍高い抗体免疫応答を誘発する、段落(69)の組成物;
【0386】
[00387](71)単位用量当たりの低い量が、単位用量当たりの等価な量又は単位用量当たりのより高い量のポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント及び脂質系アジュバントを含み、両親媒性化合物を含まず、油性エマルション組成物として製剤化されている同一の対照組成物と比較して、増強された免疫原性を提供することができる、段落(68)の組成物;
【0387】
[00388](72)組成物が、規定された同一の対照組成物と少なくとも等価又はそれより少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍若しくは10倍高い抗体免疫応答を誘発し、及び/又は同一の対照組成物より少なくとも1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍若しくは5倍高い細胞性免疫応答を誘発する、段落(71)の組成物;
【0388】
[00389](73)単位用量当たりのより高い量は、単位用量当たりの低い量より少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍又は50倍多い、段落(69)〜(72)のいずれか1つの組成物;
【0389】
[00390](74)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント及び脂質系アジュバントの単位用量当たりのより高い量が、各用量当たり少なくとも約10マイクログラム、約15マイクログラム、又は約20マイクログラム以上である、段落(69)〜(73)のいずれか1つの組成物;
【0390】
[00391](75)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント及び脂質系アジュバントの単位用量当たりの低い量が、各用量当たり、約0.2マイクログラム、約0.5マイクログラム、約1マイクログラム、又は約5マイクログラム以下である、段落(68)〜(74)のいずれか1つの組成物;
【0391】
[00392](76)単位用量当たりの低い量が、対象のワクチン接種後約12週間までに、少なくとも約1500万、2000万、2500万、3000万又は3500万の対数化されていない抗体力価で、抗原特異的抗体免疫応答を誘発することができる、段落(68)〜(75)のいずれか1つの組成物;
【0392】
[00393](77)抗体免疫応答及び/又は細胞媒介免疫応答により緩和される疾患又は障害の治療又は予防における使用のための、段落(25)〜(76)のいずれか1つの組成物;
【0393】
[00394](78)細菌、ウイルス、真菌、寄生生物、アレルゲン、又は抗原を発現する腫瘍細胞により惹起される疾患の治療又は予防における使用のための、段落(25)〜(77)のいずれか1つの組成物;
【0394】
[00395](79)毒素、ウイルス、細菌又はアレルゲンを、抗原に対して産生された抗体で中和するための、段落(25)〜(77)のいずれか1つの組成物;
【0395】
[00396](80)段落(25)〜(77)のいずれか1つの組成物を、それらを必要とする対象に投与することを含む方法;
【0396】
[00397](81)前記対象における前記抗原に対する抗体応答及び/又は細胞媒介免疫応答を誘発する方法である、段落(80)に記載の方法;
【0397】
[00398](82)細菌、ウイルス、真菌、寄生生物、アレルゲン、又は抗原を発現する腫瘍細胞により惹起される疾患の治療及び/又は予防のための方法である、段落(81)に記載の方法;
【0398】
[00399](83)疾患が、インフルエンザ、ヒトRSウイルス、百日咳、炭疽又はマラリアにより惹起された気道感染である、段落(82)に記載の方法;
【0399】
[00400](84)疾患が癌である、段落(82)に記載の方法;
【0400】
[00401](85)抗原の発現と関連する神経変性疾患の治療及び/又は予防のための方法である、段落(81)に記載の方法;
【0401】
[00402](86)神経変性疾患がアルツハイマー病である、段落(85)に記載の方法;
【0402】
[00403](87)毒素、ウイルス、細菌又はアレルゲンを、抗体で中和するための方法であって、段落(25)〜(77)のいずれか1つの組成物を対象に投与することを含む方法;
【0403】
[00404](88)毒素が、薬物、例えばコカインである、段落(87)の方法;
【0404】
[00405](89)1個又は複数の別の容器に、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントであり、任意選択で段落(7)〜(11)のいずれか1つで規定されたアジュバント;脂質系アジュバントであり、任意選択で段落(2)〜(6)のいずれか1つで規定されたアジュバント;両親媒性化合物であり、任意選択で段落(12)〜(20)のいずれか1つで規定された化合物;及び疎水性担体であり、任意選択で段落(21)〜(24)のいずれか1つで規定された担体を含むキット;
【0405】
[00406](90)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント;脂質系アジュバント;両親媒性化合物;及び疎水性担体が各々別の容器中にある、段落(89)のキット;
【0406】
[00407](91)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント、脂質系アジュバント、及び両親媒性化合物が、一緒に第1の容器中にあり、疎水性担体が第2の容器中にある、段落(89)のキット;
【0407】
[00408](92)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント及び脂質系アジュバントが一緒に第1の容器中にあり、両親媒性化合物が第2の容器中にあり、及び疎水性担体が第3の容器中にある、段落(89)のキット;
【0408】
[00409](93)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント及び脂質系アジュバントが一緒に第1の容器中にあり、両親媒性化合物及び疎水性担体が一緒に第2の容器中にある、段落(89)のキット;
【0409】
[00410](94)ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントが第1の容器中にあり、脂質系アジュバントが第2の容器中にあり、両親媒性化合物及び疎水性担体が一緒に第3の容器中にある、段落(89)のキット;
【0410】
[00411](95)抗原をさらに含み、抗原が、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント、脂質系アジュバント、両親媒性化合物、疎水性担体、及び/又はそれらの任意の混合物のうちの任意の1つ又は複数と一緒に容器中にあるか;又は抗原が別の容器中にある、段落(89)〜(94)のいずれか1つのキット;
【0411】
[00412](96)抗原が、段落(51)〜(62)のいずれか1つで規定された、段落(95)のキット;
【0412】
[00413](97)Tヘルパーエピトープをさらに含み、Tヘルパーエピトープが、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバント、脂質系アジュバント、両親媒性化合物、疎水性担体、抗原のうちの任意の1つ若しくは複数及び/又はそれらの任意の混合物と一緒に容器中にあるか;又はTヘルパーが別の容器中にある、段落(95)又は(96)のキット;
【0413】
[00414](98)Tヘルパーエピトープが抗原と同じ容器中にあり、抗原と分離されたものであるか又は抗原とのコンジュゲート若しくは融合物である、段落(97)のキット;
【0414】
[00415](99)Tヘルパーが、アミノ酸配列AKXVAAWTLKAAA(配列番号79)を含むPADRE、アミノ酸配列FNNFTVSFWLRVPKVSASHLE(配列番号80)を含む破傷風トキソイドペプチドF21E;又はアミノ酸配列AQYIKANSKFIGITEL(配列番号78)を含む改変された破傷風毒素ペプチドA16Lである、段落(97)又は(98)のキット;
【0415】
[00416](100)医薬組成物の調製で使用するための説明書及び/又は対象において抗体応答及び/又は細胞媒介免疫応答の誘発で使用するための説明書をさらに含む、段落(89)〜(99)のいずれか1つのキット;
【0416】
[00417](101)水を含まないか又は水を実質的に含まない組成物を調製することにおいて使用するためのものであり、水を実質的に含まない組成物が、担体の合計重量に基づき重量/重量で、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%又は0.01%未満の水を含む、段落(89)〜(100)のいずれか1つのキット;
【0417】
[00418](102)脂質系アジュバントが、段落(2)〜(6)のいずれか1つで規定された通りであり、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントが段落(7)〜(11)のいずれか1つで規定された通りであり、両親媒性化合物が段落(12)〜(20)のいずれか1つ規定された通りであり、及び/又は疎水性担体が段落(21)〜(24)のいずれか1つで規定された通りである、段落(89)〜(101)のいずれか1つのキット;
【0418】
[00419](103)脂質系アジュバントが、PAM
3Cys−Ser−(Lys)4(配列番号1)であり、ポリI:Cポリヌクレオチドアジュバントが、変化するストランド長さのポリIとポリCとの混合物であり、前記混合物が約989,486ダルトンの分子量を含み;両親媒性化合物が、S100脂質とコレステロールとの混合物であるか又はジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)とコレステロールとの混合物であり、疎水性担体がモンタニド(登録商標)ISA 51 VGである、段落(89)〜(102)のいずれか1つのキット;
を含むが、これらに限定されない。
【0419】
[00420]本発明は、以下の実施例によりさらに例示されるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0420】
[00421]
実施例1
【0421】
[00422]病原体を含まない、週齢6〜8週間のCD−1マウスを、Charles River Laboratories(St.Constant、ケベック州)から購入して、研究所の指針に従って収容し、フィルターで制御された空気循環下で水及び食品を随意に摂取させた。
【0422】
[00423]全てのワクチンは、炭疽毒素(List Biologicals)から誘導された組換えPA抗原と共にアジュバントのポリI:C(Thermo−Fisher、米国)及び/又はPam3CSK4(配列番号1、EMC Microcollections、ドイツ)を用いて調製した。油系の水を含まない製剤を調製するために、抗原及び/又はポリI:C及び/又はPam3CSK4(配列番号1)アジュバントを、リン酸ナトリウム緩衝液(0.2M、pH6.0)中で、S100脂質(Lipoid、ドイツ;1ミリリットル当たり120ミリグラム)及びコレステロール(Lipoid、ドイツ;1ミリリットル当たり12ミリグラム)と共に調製した。次に、この調製物を凍結乾燥して乾燥ケークを形成させた。注射の直前に、乾燥ケークをISA51VG油(SEPPIC、フランス)中に再懸濁させた。最終のワクチン調製物の用量体積は、50マイクロリットルであり、1マイクログラムのPA抗原(1ミリリットル当たり20マイクログラム)を、指示された(1ミリリットル当たり20マイクログラムの濃度)1マイクログラムのポリI:C及び/又はPam3CSK4(配列番号1)アジュバントと共に含有した。
【0423】
[00424]マウスは、左及び右わき腹に各々25マイクロリットルとして送達されて筋肉内ワクチン接種を受けた。群1(n=10)には、アジュバントを含有しない油系の水を含まない製剤をワクチン接種した。群2(n=10)には、ポリI:Cアジュバントを含有する油系の水を含まない製剤をワクチン接種した。群3(n=10)には、Pam3CSK4(配列番号1)アジュバントを含有する油系の水を含まない製剤をワクチン接種した。群4(n=10)には、ポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)の両方を含有する油系の水を含まない製剤をワクチン接種した。
【0424】
[00425]ワクチンの免疫原性は、ワクチン接種の4、6、8、12、16、20及び24週間後に採取した血清の終点滴定により決定した。簡単に説明すると、96ウェルのEIAプレートを、炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.5)中の1ミリリットル当たり1マイクログラムの組換えPA抗原を用いて、4℃で終夜コーティングした。翌日、プレートを、100ミリモル濃度のトリス緩衝生理食塩水/ツイーン(TBST)で洗浄し、1時間37℃で3%ゼラチン(Biorad、米国)を用いて封鎖した。プレートをTBSTで徹底的に洗浄し、次に血清を各プレートの最上列に加えて、上から下に各カラムでTBSTを用いて1:1希釈物を調製した。各プレートで、陰性対照カラムを血清無添加でインキュベートした。プレートを終夜4℃でインキュベートした。発色させるために、プレートをTBSTで洗浄し、タンパク質Gとアルカリホスファターゼとのコンジュゲート(Calbiochem、米国)の1:1000希釈液を加え、1時間37℃でインキュベートし、次に100ミリモル濃度のトリス緩衝液(ツイーン無添加)で洗浄し、次にトリス緩衝液中37℃で、1ミリリットル当たり1マイクログラムの4−ニトロフェニルホスフェートとインキュベートした。OD
405をELISAプレートリーダーを用いて測定した。抗体の終点力価を、陰性対照の平均OD
405を超える1標準偏差OD
405を得るのに要する希釈倍率の逆数として決定した。値はLog(10)で表す。
【0425】
[00426]幾つかの時点で、毒素中和アッセイも実施し、血清中における抗体の機能性を評価した。簡単に説明すると、血清の希釈物を炭疽毒素(List Biologicals、米国、からの組換えPA及びLFタンパク質)と、30分間37℃でインキュベートした。次に、血清−毒素調製物を1ウェル当たり5×10E4のJ774標的細胞を含有する96ウェルプレートに加えた。プレートを37℃/5%CO
2で4時間インキュベートした。インキュベーション後に細胞の生存能力を決定するために、MTTを各ウェルに加え、プレートを2時間37℃/5%CO
2でインキュベートした。次に、ホルマザンの量をOD
570でプレートリーダーを使用して測定した。次に、OD
570を希釈に対してプロットして、ED50を曲線の変曲点から決定した。ED50は、Log(10)として表す。
【0426】
[00427]血清力価の結果を
図1aに示す。統計値はボンフェローニの事後検定を用いて2元分散分析により測定し、群1を各群と各時点で比較した。群4として表した本発明のワクチンは、7時点のうち4時点で、群1に投与されたワクチンにより生じた力価より有意に高い力価を生じた。群2及び3に投与されたワクチンにより生じた力価は、群1の力価より有意に高くはなかった。
【0427】
[00428]毒素中和アッセイは、8週目に採取した血清を使用して実施し、結果を
図1bに示す。統計値をチューキー事後検定を用いて1元分散分析により測定した。群4として表した本発明のワクチンは、群1より有意に高いED50を生じた。群2及び3のED50は群1と有意に異なることはなかった。
【0428】
[00429]このデータは、ポリI:CとPam3CSK4(配列番号1)アジュバントの組合せで製剤化された油系の水を含まないワクチンは、アジュバントを含有しない同様な製剤と比較して、長い期間有意に高い抗体力価を生ずることができ、これはこれらのアジュバントのうちの1種のみの使用では達成できないことを示す。このワクチンに対して生じた抗体も増大した機能能力を有する。
【0429】
[00430]
実施例2
【0430】
[00431]病原体を含まない、週齢6〜8週間のCD−1マウスを、Charles River Laboratories(St.Constant、ケベック州)から購入し、研究所の指針に従って収容し、フィルターで制御された空気循環下で水及び食品随意に摂取させた。
【0431】
[00432]全てのワクチンは、組換えHA抗原(H5N1、A/Vietnam/1203/2004;Protein Sciences、米国)を、アジュバント:Alhydrogel(Brentagg、カナダ)、又はポリI:C(Thermo−Fisher、米国)及びPam3CSK4(配列番号1;EMC Microcollections、ドイツ)と共に用いて調製した。Alhydrogel−アジュバントを含む製剤(アラム)を調製するために、抗原をリン酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH7.0)中で調製し、alhydrogelと混合した。最終のワクチン調製物は、50マイクロリットルの用量体積中に1マイクログラムの抗原を含有した。エマルション製剤を調製するために、抗原及びポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)アジュバントをリン酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH7.0)中で最初に調製し、次にISA51 VG油(SEPPIC、フランス)と1:1(v/v)で混合した。最終のワクチン調製物は、1マイクログラムの抗原を、50マイクロリットル用量体積中にポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)アジュバントの各々1又は20マイクログラム(1ミリリットル当たり20マイクログラム又は1ミリリットル当たり400マイクログラムの濃度)と共に含有した。油系の水を含まない製剤を調製するために、抗原及びポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)アジュバントをリン酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH7.0)中でS100脂質(Lipoid、ドイツ;1ミリリットル当たり120マイクログラム)及びコレステロール(Lipoid、ドイツ;1ミリリットル当たり12マイクログラム)と共に調製した。次にこの調製物を凍結乾燥して乾燥ケークを形成させた。注射の直前に、乾燥ケークをISA51 VG油(SEPPIC、フランス)中に再懸濁させた。最終のワクチン調製物の用量体積は、50マイクロリットルであり、1マイクログラムのHA抗原(1ミリリットル当たり20マイクログラム)を、ポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)アジュバントの各々1又は20マイクログラム(1ミリリットル当たり20マイクログラム又は1ミリリットル当たり400マイクログラムの濃度)と共に含有した。
【0432】
[00433]マウスの左及び右わき腹に各々25マイクロリットルを送達して筋肉内ワクチン接種した。群1(n=8)には、アラム−アジュバントを含むワクチンを接種した。群2(n=8)を、各々1マイクログラム用量のポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)を含有する油系の水を含まない製剤でワクチン接種した。群3(n=8)は、各々20マイクログラム用量のポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)を含有する油系の水を含まない製剤でワクチン接種した。群4(n=4)は、各々1マイクログラム用量のポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)を含有するエマルション製剤でワクチン接種した。群5(n=4)は、各々20マイクログラムのポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)を含有するエマルション製剤でワクチン接種した。
【0433】
[00434]ワクチンの免疫原性は、ワクチン接種の12週間後に採取した血清の終点滴定により決定した。簡単に説明すると、96ウェルのEIAプレートを、炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.5)中の1ミリリットル当たり1マイクログラムの組換えHA抗原を用いて4℃で終夜コーティングした。翌日、プレートを、100ミリモル濃度のトリス緩衝生理食塩水/ツイーン(TBST)で洗浄し、1時間37℃で3%ゼラチン(Biorad、米国)を用いて封鎖した。プレートをTBSTで徹底的に洗浄し、次に血清を各プレートの最上列に加えて、上から下に各カラムでTBSTを用いて1:1希釈物を調製した。各プレートで、陰性対照カラムを血清無添加でインキュベートした。プレートを終夜4℃でインキュベートした。発色させるために、プレートをTBSTで洗浄し、タンパク質Gとアルカリホスファターゼ(Calbiochem、米国)とコンジュゲートの1:1000希釈液を加えて1時間37℃でインキュベートして、次に100ミリモル濃度トリス緩衝液(ツイーン無添加)で洗浄し、次にトリス緩衝液中37℃で、1ミリリットル当たり1マイクログラムの4−ニトロフェニルホスフェートとインキュベートした。OD
405をELISAプレートリーダーを用いて測定した。抗体の終点力価を、陰性対照の平均OD
405を超える1標準偏差OD
405を得るのに要する希釈倍率の逆数として決定した。値はLog(10)で表す。結果を
図2に示す。
【0434】
[00435]結果を表5及び
図2に示す。群2として表した本発明のワクチンは、群1、群3及び群4よりも有意に高い応答を生じた(p<0.05)。群2と群5の間の応答が有意に異なることはない(p>0.05)。統計的有意性は、スチューデントのt検定を使用して群の間で計算した。
【0435】
[00436]このデータは、油系製剤は、アジュバントポリI:CとPam3CSK4(配列番号1)(1ミリリットル当たり20マイクログラム)の低い用量の組合せを使用して、抗原に対して高い抗体力価を生じさせるために使用することができることを示す。応答は、20×高い用量のアジュバント(1ミリリットル当たり400マイクログラム)を用いて調製されたエマルション製剤に匹敵し、同じ低い用量のアジュバントを用いたエマルション製剤により生じた応答よりも有意に高い。
【0436】
[00437]
【表6】
【0437】
[00438]
実施例3
【0438】
[00439]病原体を含まない、週齢6〜8週のC57BL6マウスを、Charles River Laboratories(St.Constant、ケベック州)から購入し、研究所の指針に従って収容し、フィルターで制御された空気循環下で水及び食品を随意に摂取させた。
【0439】
[00440]全てのワクチンは、抗原HPV16E7
49−57(R9F:RAHYNIVTF;配列番号2)の普遍的なTヘルパーエピトープPADRE(R9F−PADRE;NeoMPS、米国)とのコンジュゲート及びアジュバントのポリI:C(Thermo−Fisher、米国)及びPam3CSK4(配列番号1;EMC Microcollections、ドイツ)を用いて調製した。油系の水を含まない製剤を調製するために、R9F−PADRE抗原を、最初に0.2%PEG−H
2O中に脂質DOPC(Lipoid、ドイツ;1ミリリットル当たり120ミリグラム)及びコレステロール(Lipoid、ドイツ;1ミリリットル当たり12ミリグラム)と共に希釈した。アジュバント(ポリI:C及びPam3CSK4;配列番号1)の混合物を水中で調製し、次に抗原−脂質混合物に加えた。次に、ワクチン成分を凍結乾燥して乾燥ケークを形成させた。注射の直前に、乾燥ケークをISA51 VG油(SEPPIC、フランス)中に再懸濁させた。最終のワクチン製剤の用量体積は50マイクロリットルであり、1マイクログラムのR9F−PADRE抗原(1ミリリットル当たり20マイクログラム)を、0.2マイクログラム(1ミリリットル当たり4マイクログラム)、1.0マイクログラム(1ミリリットル当たり20マイクログラム)、5.0マイクログラム(1ミリリットル当たり100マイクログラム)又は10.0マイクログラム(1ミリリットル当たり200マイクログラム)のアジュバントと共に含有した。
【0440】
[00441]マウスは、右わき腹に50マイクロリットルとして送達された皮下ワクチンの接種を受けた。群1(n=4)は、各々0.2マイクログラム用量のポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)を含有する油系の水を含まないワクチン製剤中のR9F−PADREでワクチン接種した。群2(n=4)は、各々1.0マイクログラム用量のポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)を含有する油系の水を含まないワクチン製剤中のR9F−PADREでワクチン接種した。群3(n=4)は、各々5.0マイクログラム用量のポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)を含有する油系の水を含まないワクチン製剤中のR9F−PADREでワクチン接種した。群4(n=4)は、各々10.0マイクログラム用量のポリI:C及びPam3CSK4(配列番号1)を含有する油系の水を含まないワクチン製剤中のR9F−PADREでワクチン接種した。
【0441】
[00442]ワクチン製剤の免疫原性は、免疫の8日後に実施されたIFN−γのELISPOTアッセイにより評価した。簡単に説明すると、全てのマウスを麻酔して脾臓を取り出した。1匹の未だ抗原に曝されていないマウスも殺滅して、未だ抗原に曝されておらず、ワクチン接種もされていない対照として利用した。単一の細胞懸濁液を調製し、脾臓細胞を抗IFN−γをコーティングしたELISPOTプレート(BDBioscience、米国)のウェルに入れた(1ウェル当たり500,000細胞)。細胞を、1ミリリットル当たり10マイクログラムのHPV15E7
49−57ペプチド(R9F:RAHYNIVTF;配列番号2)又はペプチドを含有しない媒体(バックグラウンド)で、ELISPOTプレート中で18時間刺激した。翌日、プレートを、AECキット(Sigma、米国)を使用して発色させ、個々のIFN−γを分泌する細胞をImmunospotプレートリーダー(Cellular Technologies Ltd、米国)を使用して数えた。結果を
図3に示す。統計処理はチューキーの事後検定を用いて1元分散分析により実施した。
【0442】
[00443]群1中のマウスは、R9Fペプチドによる刺激に対して平均418±13スポット形成単位(SFU)の応答を生じた。バックグラウンドに対する応答は無視し得るものであった、<10SFU。群2中のマウスは、R9Fペプチドによる刺激に対して平均260±70SFUの応答を生じた。バックグラウンドに対する応答は無視し得るものであった、<10SFU。群3中のマウスは、R9Fペプチドによる刺激に対して平均247±76SFUの応答を生じた。バックグラウンドに対する応答は無視し得るものであった、<10SFU。群4中のマウスは、R9Fペプチドによる刺激に対して平均149±25SFUの応答を生じた。バックグラウンドに対する応答は無視し得るものであった、<10SFU。この応答は、群1により生じた応答より有意に低い、
*p<0.05。
【0443】
[00444]これらの結果は、ポリI:CとPam3CSK4(配列番号1)アジュバントとの組合せは、ワクチン抗原に対して強いIFN−γの免疫応答を刺激することができ、それは1ミリリットル当たり200マイクログラム未満の用量で使用されたときに最も効果的であることを示す。
【0444】
[00445]本明細書で挙げた全ての公開物及び特許出願は、参照により、恰も個々の各公開物又は特許出願が、具体的に及び個々に参照により組み込まれていることが示されるかのように、本明細書に組み込まれる。任意の公開物の援用は、出願日に先立つその開示のためであり、本発明が先行発明のために、そのような公開物に先立つ権利を与えられないことを容認すると解釈されるべきでない。
【0445】
[00446]前述の発明は、例示のために、及び理解を明確にする目的のための例として幾らか詳細に記載されているが、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の精神又は範囲から逸脱することなく、それに対してある一定の変化及び改変が為され得ることは、当業者には容易に明白である。
【0446】
[00447]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、そうでないことが文脈から明らかでない限り、複数の言及を含むことを特に留意しなければならない。他に定義のない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
【0447】
[00448]本明細書及び特許請求の範囲において使用する「及び/又は」という句は、そのように連接する構成要素、即ち、ある場合には接続して存在し、他の場合には分離して存在する構成要素の「いずれか又は両方」を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」でリストを挙げられた複数の構成要素は、同様に、即ち、そのように連接した構成要素の「1つ又は複数」と解釈されるべきである。他の構成要素は、「及び/又は」の節により特に同定された構成要素以外にも、特に同定されたこれらの構成要素と関係しても又は関係しなくても任意選択で存在し得る。したがって、限定にならない例として、「A及び/又はB」に対する言及は、「を含む(comprising)」などのオープンエンドの言語と接続して使用される場合、一実施形態においては、Aのみに(B以外の構成要素を任意選択で含む);別の実施形態では、Bのみに(A以外の構成要素を任意選択で含む);さらに別の実施形態では、A及びBの両方その他に(他の構成要素を任意選択で含む)言及することができる。
【0448】
[00449]本明細書及び特許請求の範囲において使用する、「又は」は、上で定義された「及び/又は」と同じ意味を包含すると理解されるべきである。例えば、リストで項目を分離する場合、「又は」又は「及び/又は」は、包括的であると、即ち、少なくとも1つの項目を含むだけでなく、構成要素の数又はリストの2つ以上の項目も含む、及び任意選択で、追加のリストにない項目も含むと解釈されるべきである。
【0449】
[00450]明細書中であっても添付の特許請求の範囲中であっても、本明細書で使用される移行用語「を含む(comprising)」、「を含む(including)」、「を担持する(carrying)」、「を有する(having)」、「を含有する(containing)」、「包含する(involving)」等は、包括的又はオープンエンドである(即ち、含むが限定しないことを意味する)と理解することができ、それらは、挙げられていない構成要素、材料又は方法のステップを排除しない。移行句「からなる」及び「から本質的になる」だけは、それぞれ、本明細書における特許請求の範囲及び典型的実施形態の段落に関して、閉じた又は半分閉じた移行句である。移行句「からなる」は、特に挙げられていない如何なる要素、ステップ、又は成分も排除する。移行句「から本質的になる」は、範囲を、特定された構成要素、材料又はステップ並びに、開示された及び/又は本出願で請求された本発明の基本的特徴(1つ又は複数)に実質的に影響しない構成要素、材料又はステップに限定する。
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