(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ステップf)、g)、またはh)において、更新されたエフェメリス・データの受信の各試行が、前記ターミナルが、聴取中にエフェメリス・データの受信に成功するまで、最大試行継続時間期間tにわたって聴取することを含む、請求項1記載の方法。
ステップf)、g)、またはh)において、更新されたエフェメリス・データの受信の各試行が、前記ターミナルが聴取中にエフェメリス・データの受信に成功するまで、所定の最大回数nまでの一連の繰り返された試行を含み、前記ターミナルが各試行間に一時停止する、請求項2記載の方法。
ステップb)において、複数のウェイク・アップ時間がスケジュールされ、該ウェイク・アップ時間のうちの少なくとも1つが、将来のウェイク・アップ時間を改良するためのウェイク・アップ時間であり、前記ターミナルが、ステップd)において取得された前記ターミナルの位置および前記地球時間の現在の推定値に基づいて、将来のスケジュールされるウェイク・アップ時間を再計算することを含む、請求項1記載の方法。
前記ターミナルが、衛星テレメトリ、トラッキング、およびコマンド/コントロール(TT&C)チャネル、または衛星ビーコン、またはゲートウェイ・ビーコンのうちの1つまたは複数を監視し、TT&Cチャネル、または衛星ビーコン、またはゲートウェイ・ビーコンが検出された場合、前記ターミナルが、スリープに戻る前にステップd)からi)を実行するためにウェイク・アップされる、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
ステップi)において、更新されたエフェメリス・データが受信された後、前記ターミナルがゲートウェイ・ビーコンを聴取し、ゲートウェイ・ビーコンが検出された場合、前記ターミナルが、ゲートウェイ位置を聴取および受信し、該ゲートウェイ位置をゲートウェイのデータベースに記憶する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
ステップf)、g)、またはh)において、前記ターミナルが、衛星からの更新されたエフェメリス・データの受信を試行する前にゲートウェイ・ビーコンの存在を監視し、ゲートウェイ・ビーコンが検出された場合、前記ターミナルが、ゲートウェイ位置を聴取および受信し、該ゲートウェイ位置をゲートウェイのデータベースに記憶し、該更新されたエフェメリス・データを該ゲートウェイ・ビーコンから受信する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
ステップf)またはi)において、前記ターミナルが、衛星ビーコンまたはゲートウェイ・ビーコンのどちらかのタイム・インタリーブ監視を実行し、前記衛星およびゲートウェイ・ビーコンのどちらか最初に検出された方から更新されたエフェメリス・データを受信する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
前記ターミナルが、エフェメリス・データに加えて性能データおよび/または能力データを衛星ビーコンまたはゲートウェイ・ビーコンから受信するように構成され、このデータは、データを送信するためのウェイク・アップ時間をいつスケジュールすべきかを決定するために使用される、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
前記エフェメリス・データが、第1のあらかじめ定義された時間期間にわたって有効であり、該第1のあらかじめ定義された時間期間の後、第2のあらかじめ定義された時間期間にわたって最近有効であり、該第2のあらかじめ定義された時間期間の後、無効であり、前記記憶されたエフェメリス・データが有効であるか、最近有効であるか、または無効であるかを判断することが、ステップd)において取得された前記地球時間の前記推定値に基づく、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
前記記憶されたエフェメリス・データが有効であるか、最近有効であるか、または無効であるかを判断することが、精度プロファイル、最近有効に関する精度閾値、および無効に関する精度閾値に基づく、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
前記記憶されたエフェメリス・データよりも最近であるエフェメリス・データが受信され、前記少なくとも1つのウェイク・アップ時間が少なくとも1つの将来のウェイク・アップ時間を含むとき、前記ターミナルが、該受信されたエフェメリス・データならびにステップd)において取得された前記ターミナルの位置および前記地球時間の前記推定値に基づいて、該少なくとも1つの将来のウェイク・アップ時間を再計算する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
請求項15記載の複数のターミナル装置と、複数の衛星とを備え、該衛星のうちの1つまたは複数が、該複数の衛星に関するエフェメリス・データを該複数のターミナルに送信するように構成される、衛星通信システム。
【背景技術】
【0003】
遠く離れたエリア内に配置された小型で低コストのセンサおよびデバイスのためのマシン・ツー・マシン接続に対する需要は高まっている。例示的な適用例としては、土壌水分プローブ、灌漑用水ポンプ、および水槽水位メータなどの、農業センサ用の遠隔測定が含まれる。家畜追跡および他の資産追跡は、対象となる他の適用例である。海洋の適用例としては、海流および海水温度を測定する海洋漂流物が含まれる。
【0004】
これらの適用例の多くは、セルラー式などの地上通信ネットワークをもたないエリアに配置され、専用ローカル無線ソリューションを展開するコストは極めて高い。そのような適用例の場合、衛星ベースのソリューションは魅力的である。低地球軌道における低コストのマイクロ衛星またはナノ衛星は、そのような適用例に、費用対効果の高い地球規模のカバレッジを提供することができる。そのようなシステムでは、低地球軌道衛星は、頭上を通り過ぎるとき、地上に置かれたユーザ・ターミナルに断続的な通信機会を提供することができる。場合によっては、ゲートウェイの範囲内に配置されたターミナルが、衛星が頭上に来るのを待つ必要なく直接的に通信することができるように、地上に配備されたゲートウェイを用いた衛星サービスを向上させることが有利なことがある。これは、衛星通信リンクにかかる負荷の減少、および待ち時間の短縮などの他の利益の提供の両方を達成することができる。
【0005】
これらのデバイスは、バッテリ交換に費用がかかるまたは不可能な遠く離れたエリアに配備されるので、そのようなシステムにおけるターミナルのバッテリ寿命は、重要なパラメータである。バッテリ寿命は可能な限り長いことが望ましい。その結果、ターミナルをほとんどの時間スイッチ・オフした状態、またはディープ・スリープ・モードに保ち、通信が望まれるときのみウェイク・アップすることが望ましい。ターミナルが通信のためにウェイク・アップし、視野内に衛星が存在しない、または範囲内にゲートウェイが存在しない場合、これは、電力の浪費およびバッテリ寿命の短縮につながる。
【0006】
ターミナルが、いつ衛星のフットプリント内にあるかわからない場合、ターミナルは、いつオンになり、通信すべきかもわからない。衛星が頭上にきた場合でも、ターミナルからのデータの受信成功を肯定応答することができない(開ループ動作)ことがある。この問題に対する1つのアプローチは、衛星通過(通過持続時間は10分であってよい)中に通信することがある点で保証されるように、短期間(たとえば5分)で周期的にウェイク・アップすることである。これは功を奏するが、非常にエネルギーを浪費し、バッテリ寿命を大幅に減少させる。
【0007】
代替的に、衛星が、ターミナルからの送信の受信成功を肯定応答することができる(閉ループ動作)場合、ターミナルは、そのような肯定応答を待つことができ、何も受信されない場合は、スリープ・モードに入り、しばらくしてから再試行することができる。しかしながら、このアプローチは、衛星オーバヘッドのない、多くの送信試行不成功を依然として必要とすることがある。ターミナルは、送信を試行するために頻繁にウェイクすることを依然として必要とし、ただ1つの実際の利益は、ターミナルがメッセージの受信が成功したことを知ると停止することができることである。
【0008】
ターミナルにとってのさらなる問題は、その送信をどのようにして最適化するかである。たとえば、それが存在する地理的エリアが混み合っている(多くのターミナル)場合、これらのターミナルは、疎に設置された(populated)領域内とは異なる送信戦略を選ぶ(ロード・バランシング)ことを望むことがある。しかしながら、フットプリントは非常に大きいことが多いので、ターミナルは、この情報を決定することができず、そのため、システム負荷に関する知識をもたない。別の例は、地上干渉物、すなわち、ターミナルの範囲外が、衛星によって見られるような干渉を引き起こす場合である。たとえば、干渉物はターミナルから1000km離れていることがあるが、干渉物とターミナルの両方が衛星によって同時に見られる。ターミナルは、干渉物によって使用されるチャネルを回避することから利益を得るであろうが、問題を認識していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、そのような通信システムにおいてターミナル動作をスケジュールするための改善された方法を提供すること、または少なくとも既存の方法の有用な代替形態を提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によれば、衛星通信システムにおけるターミナルの動作の方法であって、
a)有効性データを含むエフェメリス・データをターミナルによって受信および記憶するステップと、
b)データを送信するためまたは更新されたエフェメリス・データを受信するために、記憶されたエフェメリス・データに基づいて少なくとも1つのウェイク・アップ時間をスケジュールするステップであって、ターミナルが、スケジュールされたウェイク・アップ時間同士の間はスリープ状態に入り、スケジュールされたウェイク・アップ時間にウェイク・アップされる、スケジュールするステップと、
c)ターミナルをスケジュールされたウェイク・アップ時間にウェイク・アップし、スリープに戻る前に以下のステップを実行するステップと、
d)ターミナルの位置および地球時間の推定値を取得するステップと、
e)ターミナルの位置および地球時間の推定値に基づいて、記憶されたエフェメリス・データが有効であるか、最近有効であるか、または無効であるかを判断するステップと、
f)記憶されたエフェメリス・データが有効である場合、データを衛星に送信するステップ、または、衛星からの更新されたエフェメリス・データの受信を試行するステップと、
g)記憶されたエフェメリス・データが最近有効である場合、記憶されたエフェメリス・データに基づいて可能な衛星通過ウィンドウのセットを推定し、更新されたエフェメリス・データの受信を試行するためにターミナルがウェイク・アップされるウォーム・ウェイク・アップ時間のセットをスケジュールするステップと、
h)エフェメリス・データが無効である場合、ターミナルが、スリープに入り、予想衛星通過継続時間よりも短いウェイク・アップ間の期間を用いて、周期的にウェイク・アップし、更新されたエフェメリス・データの受信を試行するようにスケジュールされ、更新されたエフェメリス・データ受信の試行が不成功だった場合、ターミナルがスリープに戻り、ターミナルが、エフェメリス・データの受信に成功するまで、このステップを繰り返す、ステップと
を含み、
i)ステップf)、g)、またはh)において、更新されたエフェメリス・データを受信すると、エフェメリス・データが記憶され、スケジューリング・ステップb)が繰り返される、方法が提供される。
【0011】
一形態では、ステップf)、g)、またはh)において、更新されたエフェメリス・データの受信の各試行は、ターミナルが、聴取中にエフェメリス・データの受信に成功するまで、最大試行継続時間期間tにわたって聴取することを含む。さらなる一形態では、ステップf)、g)、またはh)において、更新されたエフェメリス・データの受信の各試行は、ターミナルが聴取中にエフェメリス・データの受信に成功するまで、所定の最大回数nまでの一連の繰り返された試行を含み、ターミナルは各試行間に一時停止する。
【0012】
一形態では、ステップb)において、複数のウェイク・アップ時間がスケジュールされ、ウェイク・アップ時間のうちの少なくとも1つは、将来のウェイク・アップ時間を改良するためのウェイク・アップ時間であり、ターミナルが、ステップd)において取得されたターミナルの位置および地球時間の現在の推定値に基づいて、将来のスケジュールされるウェイク・アップ時間を再計算することを含む。
【0013】
一形態では、ターミナルは、衛星テレメトリ、トラッキング、およびコマンド/コントロール(TT&C)チャネル、または衛星ビーコン、またはゲートウェイ・ビーコンのうちの1つまたは複数を監視し、TT&Cチャネル、または衛星ビーコン、またはゲートウェイ・ビーコンが検出された場合、ターミナルは、スリープに戻る前にステップd)からi)を実行するためにウェイク・アップされる。さらなる一形態では、ターミナルは、TT&Cチャネル、衛星ビーコン、またはゲートウェイ・ビーコンのうちの1つまたは複数を受動的に監視する。
【0014】
一形態では、ステップi)において、更新されたエフェメリス・データが受信された後、ターミナルはゲートウェイ・ビーコンを聴取し、ゲートウェイ・ビーコンが検出された場合、ターミナルは、ゲートウェイ位置を聴取および受信し、ゲートウェイ位置をゲートウェイのデータベースに記憶する。一形態では、ステップf)、g)、またはh)において、ターミナルは、衛星からの更新されたエフェメリス・データの受信を試行する前にゲートウェイ・ビーコンの存在を監視し、ゲートウェイ・ビーコンが検出された場合、ターミナルは、ゲートウェイ位置を聴取および受信し、ゲートウェイ位置をゲートウェイのデータベースに記憶し、更新されたエフェメリス・データをゲートウェイ・ビーコンから受信する。一形態では、ステップf)またはi)において、ターミナルは、衛星ビーコンまたはゲートウェイ・ビーコンのどちらかに対するタイム・インタリーブ監視を実行し、衛星およびゲートウェイのどちらか最初に検出された方から更新されたエフェメリス・データを受信する。
【0015】
一形態では、ターミナルは、エフェメリス・データに加えて性能データおよび/または能力データを衛星ビーコンまたはゲートウェイ・ビーコンから受信するように構成され、このデータは、データを送信するためのウェイク・アップ時間をいつスケジュールすべきかを決定するために使用される。
【0016】
一形態では、ステップh)において、ターミナルは、覚醒(awake)時にデータを送信する。
【0017】
一形態では、エフェメリス・データは、第1のあらかじめ定義された時間期間にわたって有効であり、第1のあらかじめ定義された時間期間の後、第2のあらかじめ定義された時間期間にわたって最近有効であり、第2のあらかじめ定義された時間期間の後、無効であり、記憶されたエフェメリス・データが有効であるか、最近有効であるか、または無効であるかを判断することは、ステップd)において取得された地球時間の推定値に基づく。
【0018】
一形態では、記憶されたエフェメリス・データが有効であるか、最近有効であるか、または無効であるかを判断することは、精度プロファイル、最近有効に関する精度閾値、および無効に関する精度閾値に基づく。
【0019】
一形態では、記憶されたエフェメリス・データよりも最近であるエフェメリス・データが受信され、少なくとも1つのウェイク・アップ時間が少なくとも1つの将来のウェイク・アップ時間を含むとき、ターミナルは、受信されたエフェメリス・データならびにステップd)において取得されたターミナルの位置および地球時間の現在の推定値に基づいて、少なくとも1つの将来のウェイク・アップ時間を再計算する。
【0020】
第2の態様によれば、衛星通信におけるターミナル装置であって、
受信機装置と、
送信装置と、
位置およびタイミング・モジュールと、
プロセッサと、
メモリであって、第1の態様の方法を実行するための命令を備えるメモリと
を備えるターミナル装置が提供される。
【0021】
第3の態様によれば、第2の態様の複数のターミナル装置と、複数の衛星とを備え、これらの衛星のうちの1つまたは複数は、複数の衛星に関するエフェメリス・データを複数のターミナルに送信するように構成される、衛星通信が提供される。
【0022】
第4の態様によれば、衛星通信におけるターミナル装置であって、
衛星通信システム内の1つまたは複数の衛星またはゲートウェイによって送信されたエフェメリス・データを受信するように構成され、ビーコン送信をゲートウェイから受信するように構成された受信機装置と、
衛星通信システム内の1つまたは複数の衛星またはゲートウェイにデータを送信するように構成された送信装置と、
ターミナルの位置および地球時間を推定するように構成された位置およびタイミング・モジュールと、
受信されたエフェメリス・データを記憶するためのメモリと、
1つまたは複数のスケジュールされたウェイク・アップ時間にスリープ状態からウェイク状態にターミナル装置をウェイク・アップするように構成されたアラーム・モジュールと、
データを送信するためまたは更新されたエフェメリス・データを受信するための記憶されたエフェメリス・データに基づいて少なくとも1つのウェイク・アップ時間をスケジュールし、ウェイク状態中の1つまたは複数のターミナル動作の完了時にターミナルをスリープ状態にするように構成されたスケジューリング・モジュールと
を備え、
ウェイク・アップ時に、スケジューリング・モジュールは、ターミナルの位置および地球時間を位置およびタイミング・モジュールに要求し、ターミナル位置および地球時間推定値に基づいて、記憶されたエフェメリス・データが有効であるか、最近有効であるか、または無効であるかを判断するように構成され、
エフェメリス・データが有効である場合、ターミナルは、データを衛星に送信する、または衛星からの更新されたエフェメリス・データの受信を試行する、のどちらかを行うように構成され、
記憶されたエフェメリス・データが最近有効である場合、スケジューラは、記憶されたエフェメリス・データに基づいて可能な衛星通過ウィンドウのセットを推定し、更新されたエフェメリス・データの受信を試行するためにターミナルがウェイク・アップされるウォーム・ウェイク・アップ時間のセットをスケジュールするように構成され、
エフェメリス・データが無効である場合、ターミナルはスリープに入り、周期的にウェイク・アップし、予想衛星通過継続時間よりも短いウェイク・アップ間の期間を用いて、更新されたエフェメリス・データの受信を試行するようにスケジュールされ、更新されたエフェメリス・データ受信の試行が不成功だった場合、ターミナルはスリープに戻るように構成され、ターミナルは、エフェメリス・データの受信に成功するまで動作を繰り返し、
更新されたエフェメリス・データを受信すると、エフェメリス・データがメモリに記憶され、スケジューラは、データを送信するためまたは更新されたエフェメリス・データを受信するための記憶されたエフェメリス・データに基づいて少なくとも1つのウェイク・アップ時間をスケジュールし、ウェイク状態中の1つまたは複数のターミナル動作の完了時にターミナルをスリープ状態にする、ターミナル装置が提供される。
【0023】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照しながら説明される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の説明では、同じ参照文字は、図全体を通して同じまたは対応する部分を示す。
【0033】
図1A、
図1B、および
図1Cは、一実施形態による衛星通信システム1の概略図である。システム1の主な構成要素は、ターミナル10、衛星20、地上局30、およびゲートウェイ40である。
【0034】
ターミナル10は、衛星20(衛星が視野内にあるとき)およびゲートウェイ40(範囲内にあるとき)と通信する能力を有する、地上に配備された通信デバイスである。
図1Aから
図1Cに示される実施形態では、4つのターミナル11、12、13、14、4つの衛星21、22、23、24、1つの地上局30、および1つのゲートウェイ40が示されている。
【0035】
ターミナルは、位置および粗いグローバル・タイミングを決定するための位置およびタイミング・モジュールを装備する。たとえば、位置モジュールは、全地球航法衛星システム(GNSS)受信機モジュールもしくは全地球測位システム(GPS)受信機モジュール、補助GPS受信機モジュール、または高高度送信機および/もしくは地上送信機を使用する受信機モジュールなどの類似の測位システム用の受信機モジュールであってよい。グローバル・タイミングによって、本発明者らは、合意されたグローバル・クロックたとえばGPS時間に一致する時間を意味する。これは、衛星システムによって維持されるシステム・クロックであってもよい。この時間基準は、以下で説明されるスケジューリング・ソリューションの目的のために非常に正確であることを必要とせず、たとえば、数秒以内の正確さであれば十分であろう。同様に、位置は、非常に正確であることを必要とせず、たとえば、数百メートル以内の正確さであれば十分であろう。
【0036】
1つまたは複数の衛星20のコンステレーションが存在する。これらの衛星は、軌道内にあり、任意の場合において、地表の一定の領域(フットプリント)のみを見る。衛星は、自分のフットプリント内にある、地上に置かれたターミナルとのみ通信することができる。たとえば、
図1Aでは、衛星21は、ターミナル11を含むフットプリント25を有し、
図1Bでは、衛星22は、ターミナル12と13とを含むフットプリント26を有する。したがって、衛星21は、ターミナル11と通信することができるが、同時にターミナル12および13と通信することはできない(衛星22について、その逆も同様である)。
【0037】
たとえば、700kmの高度における低地球軌道にある衛星は、約5000kmの直径をもつフットプリントを有し、90分周期で地球の周りを回る。この衛星は、地上の特定の地点において、一度に約10分間視野内にある。緯度および軌道の傾きに応じて、そのような通過が1日に数回しかないことがある。極低地球軌道における衛星は、一般的に、地表上の各地点を、1日に4回、通過のペアでは90分離れて、通過の次のペアからは多くとも12時間離れて、見る。
【0038】
いくつかの実施形態では、各衛星、または衛星のグループは、異なる能力および性能特性を有することができる。能力データとは、周波数、送受信能力、サポート可能な複数のユーザの数、アンテナ、ハードウェア、ビーム・パターン、ゲインなどの衛星の能力について説明するデータである。性能データとは、衛星の性能について説明するデータである。このデータは、衛星依存とロケーション依存の両方であってよい。たとえば、一定の受信周波数チャネルへのアクセスを有する衛星は、その周波数における強い干渉物が配置された1つの国全体で、より不良な性能を有することがある。
【0039】
衛星エフェメリス・データとは、衛星の軌道パラメータについて説明するデータ、すなわち、ロケーションに依存した通過スケジュール・データ、すなわち、単にスケジューリング・データである。簡潔にするため、および理解を助けるために、エフェメリス・データという用語は、本明細書全体を通して使用される。しかしながら、本明細書の文脈では、エフェメリス・データ(またはより明確には、衛星エフェメリス・データ)は、ロケーションに依存した通過スケジュール・データに等しいと見なされるべきであることを理解されたい。
【0040】
軌道の予測および測定に関連した不確実な点が存在するので、エフェメリス・データ(またはスケジューリング・データ)は、しばらく後に期限が切れ、定期的に更新される(すなわち、再推定/再計算される)ことが必要である。エフェメリス・データは、固定された失効期日および/または精度プロファイルが経時的に割り当てられてよい。精度プロファイルは、時間の関数としての、エフェメリス・データの有効性または精度の確率論的推定値または信頼区間の形であってよい。この精度情報は、エフェメリス・データの完全なセット(すなわち、全衛星)に対して提供されてもよいし、軌道パラメータまたは衛星のサブセットに対して提供されてもよいし、精度または信頼区間が個々のパラメータに割り当てられてもよい。精度情報は、固定された日付および時間(たとえば、3時間ごと)における精度推定値/値として提供されてもよいし、推定された精度が設定された閾値を下回る日付/時間が使用されてもよい。たとえば、99%、95%、90%、75%、67%、50%、33%、25%、10%、5%、または1%などの一般的な値から選択された閾値などの、精度閾値または確率閾値のうちの1つまたは複数のセットが提供されてよい。しかしながら、他の閾値または計算の方法が提供されてもよいことを理解されたい。たとえば、パラメータは、ロバストな推定量の使用を含む、平均推定値および分散推定値として提供されてよい。
【0041】
すべての衛星は、地上局のネットワークと通信することが可能であるが、異なるターミナル送受信能力を有してよい。すなわち、ターミナルの観点から、衛星は、受信専用と構成されてもよいし、送信専用と構成されてもよいし、受信および送信の両方に構成されてもよい(必ずしも応答してでないが)。送信および/または受信周波数帯域は異なってよく、衛星によって異なってよい。通信リンクは、蓄積交換であってもよいし、デジタル・ベント・パイプ(digital bent pipe)(信号は、衛星によってサンプリングされ、後のある時点で地上局にデジタル的にダウンロードされる)であってもよいし、リニア・ベントパイプ(linear bent−pipe)(ターミナルと地上局の両方が同時にフットプリント内にあるとき、衛星は無給電中継として機能する)であってもよい。衛星は、異なる機器、たとえば、異なる性能特性をもたらす異なるアンテナまたは増幅器を有してよい。
【0042】
受信専用衛星は、ターミナルからの送信に肯定応答する能力をもたないことがある。
図1Bの衛星22は、そのフットプリント26内のターミナル12、13によって送信されたターミナル・データ15、16を受信することができるので、受信専用衛星の一例である。前述のように、受信専用衛星は、地上局に送信することを含めて、地上局30と通信することができる。
図1Cの衛星24は、前の軌道中にターミナルから受信された記憶されたターミナル・データならびに性能データを衛星地上局30を用いて送る(すなわち、送信する)ことが示されている受信専用衛星の一例である。
【0043】
送信専用衛星は、データをターミナルに送信する能力をもつが、データをターミナルから受信する能力はもたない。
図1Aの衛星21は、送信専用衛星21の一例であり、この実施形態では、エフェメリス・データ、能力データ、および性能データ2をそのフットプリント25内のターミナル11に送信する。しかしながら、送信データは、エフェメリス・データ、能力データ、または性能データのうちの1つまたは複数であってよいことに留意されたい。他のデータも送信されてよい。前述のように、送信専用衛星は、地上局からの送信を受信することを含めて、地上局30と通信することができる。
図1Cの衛星23は、エフェメリス・データ、能力データ、および性能データ2を衛星地上局30から受信することが示されている送信専用衛星の一例である。次いで、これは衛星によって記憶され、その軌道中に任意の聴取している送信機に送信可能である。
【0044】
送受信衛星は、データをターミナルに送信し、データをターミナルから受信することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、これらの能力は、応答性でもインタラクティブでもない。すなわち、衛星は、肯定応答を送信するまたは送信ターミナルに応答する能力をもたないことがある。たとえば、衛星は、あらかじめ記憶されたメッセージまたはデータ(たとえば、エフェメリス・データ)をターミナルに送信することが可能なことがあるが、ターミナルから受信されたメッセージにインタラクティブに応答することが可能でないことがある。
【0045】
地上局30は、衛星を制御する目的で衛星と通信し、ターミナルから送信されたデータを受信し(蓄積交換モードまたはベント・パイプのどちらかで)、データをターミナルに送信する(同じく、蓄積交換モードまたはベント・パイプのどちらかで)ために衛星運用者によって使用される地上設備である。衛星との地上局通信に使用される無線チャネルは、衛星−ターミナル通信に使用される無線チャネルと異なってよい。システムは1つまたは複数の地上局を使用してよく、各地上局30は、ネットワーク運用センター50に接続される。ネットワーク運用センターは、衛星地上局と一致してよい。ネットワーク運用センター50は、システムのための指揮管制センターとして機能し、エフェメリス・データ52、能力データ54、およびロケーションに依存した性能データ56を記憶し、コンステレーション内の衛星への送信のために衛星地上局に提供する。このデータは、ネットワーク運用センター50に配置されたモジュールによって生成されてもよいし、サード・パーティによって提供されてもよい。ネットワーク運用センター50はまた、衛星ネットワークを介して収集され、地上局に中継されるターミナル・データの記憶を管理する。ターミナル・データは、ネットワーク運用センターにおいて記憶されてもよいし、データ・ウェアハウスに転送されてもよいし、ユーザに転送されてもよい。ネットワーク運用センターはまた、データの共有を可能にするためにインターネット58に接続されてもよい。
【0046】
エフェメリス・データ・モジュール52は、コンステレーション内の衛星の各々に対するエフェメリス・データまたはより一般的にはロケーションに依存した通過スケジュール・データを計算および更新する。一実施形態では、エフェメリス・データおよび不確実な点(すなわち精度)が、既知の位置、軌道力学方程式、相対論的効果、推定誤差などを考慮に入れたコンピュータ・モデルおよびトラッキング・データを使用して計算または推定される。更新は、継続的に、たとえば、新しいトラッキング・データなどの新しい情報が取得されたとき、または1時間ごと、6時間ごと、12時間ごと、毎日などの、スケジュールされた時間に、すなわち周期的に、提供されてよい。推定値は、必要に応じて提供されてもよい。たとえば、衛星が陸上局30に近づいているとき、陸上局は、衛星にアップロードするために、更新されたエフェメリスをネットワーク運用センターに要求することがある。いくつかの実施形態では、エフェメリス・データが個々の衛星にいつアップロードされたかに基づいて、異なる衛星が異なるエフェメリス・データを有することも理解されるであろう。一般的には、このことはターミナルに影響を与えない。というのは、一般的には、ターミナルにおけるエフェメリス・データの更新間の時間は、コンステレーション内の衛星に対するエフェメリス・データのアップロード間の時間の差よりも非常に大きく、したがって、衛星によって記憶された最も古いエフェメリス・データですらターミナルのエフェメリス・データよりも新しいからである。そうでなかった場合、ターミナルは、より最新のエフェメリスをもつ衛星が視野に入るまでエフェメリスの更新を遅延させることを選ぶであろう。加えて、エフェメリス・データは、(可能な衛星のセットから)どの衛星が最も最新のエフェメリス・データを有する可能性が高いかに基づいてターミナルがウェイク・アップする時間を選択することができるように、エフェメリス・データがいつ衛星にアップロードされるようにスケジュールされているかなどの更新情報を含んでよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、送信可能な衛星は、コンステレーション全体に対するエフェメリス・データ(または、同等にロケーションに依存した通過スケジュール・データ)を周期的に送信する。周期は、衛星が地表のある点の上を1回通過する間に、ターミナルがこのデータを受信する複数の機会が存在するように選ばれてよく、すなわち、周期は、フットプリントが送信機の上を通過するためにかかる時間よりも短い。いくつかの実施形態では、衛星がエフェメリス・データを送信するときの時間およびロケーションは、エフェメリス・データの一部として、ターミナルにも提供されてよい。いくつかの実施形態では、送信可能な衛星は、エフェメリス・データをターミナルに連続的に送信する。衛星は、能力データおよび性能データもターミナルに送信してよい。いくつかの実施形態では、これは、エフェメリス・データと同じ周期(または頻度)を使用して、たとえば、エフェメリス・データの送信の直後に、または固定された時間オフセットにおいて(たとえば、5分後に)、実行されてよい。いくつかの実施形態では、異なる周期(または頻度)が使用されてよい。たとえば、エフェメリス・データは、性能データおよび能力データの2倍の頻度で送信されてよい(すなわち、エフェメリス・データは、この2つのデータの間にインタリーブされてよい)。同様に、衛星は、エフェメリス・データ、能力データ、および性能データを連続的に送信してよい。周期性の選択は、基礎をなすデータの変化率に基づいてよい。すなわち、時間の関数としての精度が、いつ送信するべきかを決定する際に使用されてよい。
【0048】
能力データは、システム能力と関連があり、一般的には急速に変化せず、いくつかの実施形態では、必要に応じて更新される。たとえば、衛星が問題を経験した場合、特定の衛星を使用することを回避するようにターミナルに警告するために、または衛星と通信するために必要とされる変更をターミナルに知らせるために、更新が発行されることがある。ロケーションに依存した性能データは、地域的負荷、予想される停止、ターミナルの地理的分布または密度、干渉マップ(特定の時間における回避頻度)、およびロケーションに依存した干渉源を含むシステム負荷に関する情報、ならびに送信機が送信を最適化するのを助ける他の性能データおよび能力データを、ターミナルに提供するために使用される。性能データは、時間的要素も有してよい。たとえば、干渉源が一定の時間の間のみに存在し得る場合、または宇宙天気イベント(たとえば、太陽フレア)がシステム能力に影響を与える、もしくは一定の時間期間(たとえば1〜2日)にわたって干渉を生成すると予想され得る場合。この情報は、システム内のターミナルおよび衛星、ならびに宇宙天気予報士などのシステムの内部または外部にあってよい他のソースの範囲によって収集されてよい。上記で説明したように、能力データおよび性能データは、定期的な間隔(たとえば、3時間ごと、6時間ごと、12時間ごと、または24時間ごと)に発行されてもよいし、衛星が地上局に近づくのを予期してなどの所定の時間に発行されてもよいし、求めに応じて/継続的に(すなわち、要求に応じて)発行されてもよい。上記でエフェメリス・データに関して説明したように、精度推定値または有効期限も、能力データおよび性能データのために計算および提供されてよい。
【0049】
ゲートウェイ40は、同じくターミナルが通信することができる地上装置である。ゲートウェイは、ターミナルへの送信およびターミナルからの受信の両方を行うことができる。ゲートウェイは、ネットワーク運用センターへのそれら自体のバックホール接続を有する。これは、衛星地上局30を介してもよいし、インターネット58を介してもよいし、3G/他の衛星チャネル、WiFiなどのサード・パーティ手段を介してもよい。ゲートウェイは、地上ホットスポットを提供するために使用されるが、ブランケット・カバレッジは提供しない。いくつかの実施形態では、ターミナルは、衛星のフットプリント内およびゲートウェイのフットプリント内にあってよい。そのような環境では、ターミナルは、たとえば、電力、品質(たとえば、信号対干渉雑音比すなわちSINR)、または負荷推定値もしくは負荷測定値に基づいて、どの装置に送信するべきかを決めることができる。たとえば、選択は、どのターゲットが、信頼性の高い受信を保証するために最も少ない量の送信電力を必要とするかに基づいてよい。
図1Cに示すように、ゲートウェイ40は、ターミナル14を含むフットプリント42を有する。いくつかの実施形態では、ゲートウェイ40は、ビーコン44、ならびに/またはエフェメリス・データ、能力データ、および性能データ2をゲートウェイのフットプリント(すなわち通信範囲)内のターミナルに送信し、ターミナル・データ17を(この実施形態では、ターミナル14から)受信する。各ゲートウェイは、そのロケーションを近くのターミナルに送信してよい。ゲートウェイは、衛星エフェメリス(および他のデータ)を同じ期間において衛星に周期的にブロードキャストしてもよいし、異なる期間においてブロードキャストしてもよい。ゲートウェイは、インターネット58を介してネットワーク運用センター50に接続され、任意の収集されたターミナル・データ18をネットワーク運用センター50に(インターネット58を介して)送りまたは送信し、同様に、エフェメリス・データ、能力データ、および性能データ2をネットワーク運用センター50から(インターネット58を介して)受信する。いくつかの実施形態では、衛星は、ゲートウェイ・ロケーションのデータベースをターミナルに送信する。いくつかの実施形態では、ターミナルは、エフェメリス・データまたは衛星スケジュール・データをゲートウェイに要求することができる。加えて、ゲートウェイも、(ネットワーク運用センターから取得された)ゲートウェイ・ロケーションのデータベースをターミナルに送信してよい。
【0050】
ターミナル10は、いくつかの状態すなわちモード、すなわち、コールド・スタート、ウォーム・スタート、または同期、をとることができる。さらに、ターミナル10は、これらの状態のいずれにおいても、覚醒または休止(asleep)などの異なるアクティビティ・モードまたはレベルであってよい。次に、ターミナル装置10の動作200の方法の一実施形態について、
図2Aから
図2Dを参照しながら説明する。これらの図は各々、方法のフローチャートのパートと、ターミナルがどのように状態間およびアクティビティ・モード(またはレベル)間を移動するかを示す。
【0051】
ターミナルは、ターミナルがエフェメリス・データ214の有効なセットを有する、および/またはターミナルがデータを送信するもしくはエフェメリス・データを受信することができるゲートウェイ40の範囲内にある(したがって、衛星をバイパスする)場合、同期状態202にある。ターミナルは、ターミナルが有効なエフェメリス・データをもたない場合、および範囲内にゲートウェイがない場合、またはウェイク・アップ時に、予想される範囲内ゲートウェイが範囲内にない(すなわち、ビーコンが検出されない)場合、コールド・スタート状態270に入る。ターミナルは、そのエフェメリス・データがもはや厳密には有効でないが、依然として最近である(すなわち、最近有効状態)場合、ウォーム・スタート状態260に入る。エフェメリス・データが最近であると見なされ、したがって、コールド・スタート・モードではなくウォーム・スタート・モードに入ってよい時間期間は、あらかじめ定義された時間期間(たとえば、12時間もしくは1日などの固定された時間期間に基づいて、または、精度がこの閾値に到達するとあらかじめ定義された時間期間が終了するようなあらかじめ定義された精度閾値に基づいて)であってもよいし、ネットワーク運用センターによって決定されエフェメリス・データとともに含まれる定義された期間であってもよい。すなわち、データは、第1のあらかじめ定義された時間期間にわたって有効であり、第1のあらかじめ定義された時間期間の後の第2のあらかじめ定義された時間期間にわたって最近有効であり、第2のあらかじめ定義された時間期間の後は無効である。したがって、記憶されたエフェメリス・データが有効であるか、最近有効であるか、または無効であるかを判断することは、地球時間の推定値に基づくことができる。たとえば、エフェメリス・データは、(発行後)7日間は有効であり、さらに2日間は最近有効(すなわち、ウォーム・スタート)であり、その後の時間は無効(すなわち、コールド・スタート)であると見なされてよい。いくつかの実施形態では、エフェメリス・データは、時間の関数としてのエフェメリス・データの有効性または精度の精度または確率論的推定値を含む精度プロファイルに供給される。次いで、有効/最近有効(ウォーム)および最近有効/無効(すなわち、ウォーム/コールド・スタート)に関する精度閾値が、確率閾値または信頼区間などの精度基準に基づいて定義可能である。たとえば、有効/最近有効(ウォーム)閾値は90%(最近有効精度閾値)であってよく、ウォーム/コールド・スタート閾値は50%(無効精度閾値)であってよい。もちろん、(99%、66%)、(90%、10%)、(50%、5%)などの値の他のセット(有効/ウォーム閾値、ウォーム/コールド閾値)が使用されてよい。したがって、あらかじめ定義された時間期間は、精度が閾値を下回る時間、またはあらかじめ定義された精度閾値に関する信頼区間に基づいて定義された時間期間である。ターミナルは、他のデータまたは基準を使用して、ウォーム・スタート・モードまたはコールド・スタート・モードに入るべきかを評価してもよい。
【0052】
有効な衛星エフェメリス・データおよび任意選択でゲートウェイ・ロケーション・データから、ターミナルは、送信機会および受信機会のスケジュールを決定することができる。ターミナルは、それ自体のデータを送信するためまたはエフェメリス・データ更新を受信するために次にいつウェイク・アップするべきか、たとえば、ターミナルが有効なエフェメリス・データを維持し、したがって同期状態を保つことができることを保証するのにエフェメリス・データがもはや有効でなくなる前の衛星通過中にウェイク・アップするべきと、自分で決める。場合によっては、ターミナルは、たとえば、スケジュールされたデータ収集アクティビティまたはセンサ構成に基づいて、送信するデータをいつ有する見込みであるかを知ることがある。たとえば、センサは、1分ごとまたは1時間ごとにデータをログ記録し、一定量のデータ(たとえば、64バイト、128バイト、256バイトなど)が収集されると、または24時間ごとなどの定期的な時間間隔で、収集されたデータを中継して基地局に戻してよい。別の実施形態では、ターミナルは、ウェイク・アップ信号をセンサ(または他の構成要素)から受信したことに基づいてウェイク・アップするように構成されてよい。たとえば、ターミナルに搭載されているセンサまたはターミナルと通信するセンサは、送信するデータをセンサが有するとき、ウェイク・アップ信号を生成するように構成されてよい。ターミナルはまた、エフェメリス・データおよび/または任意選択のロケーションに依存したデータ(送信電力、繰り返し率、符号化など)に基づいて、その送信パラメータを決めてよい。それ自体の通信成功の可能性の推定値に基づいて、ターミナルは、(次の通過ではなく)より良い通過を待つことを選んでもよいし、必要とされるターミナル電力を減少させる通過を待つことを選んでもよい。一般に、ターミナルは、エフェメリス・データが有効である送信時刻をスケジュールする。しかしながら、場合によっては、次にターミナルが送信するデータを有すると予想する(または有するであろう)ときは、エフェメリス・データが無効である時間の間であり、したがって、正確な送信時間を予測することは困難であろう。この場合、おおよその送信時刻がスケジュールされてよく、ウェイク・アップ時間は、更新されたエフェメリス・データを受信するようにスケジュール可能である(すなわち、これは、エフェメリス・データが無効になると予想される時間に近いことがある)。この更新されたエフェメリス・データが受信されると、スケジュールされたウェイク・アップ送信時刻(実際には、任意のスケジュールされたウェイク・アップ時間)は、より最近のエフェメリス・データに基づいて改良可能である。このプロセスは、必要とされる回数繰り返し可能である(たとえば、予想送信時刻は、エフェメリス・データの有効性時間長の数倍である)。さらに、現在のエフェメリス・データが無効となる送信時刻のため、または新しい(有効)エフェメリス・データをゲートウェイから取得するため、のどちらかのために、ウェイク・アップ時間をスケジュールするとき、ゲートウェイ・ロケーション・データも使用されてよい。たとえば、ターミナルの範囲内に(すなわち、近くに)ゲートウェイが存在し、次にターミナルが送信するデータを有すると予想する前にターミナルが範囲外に移動しないと予想される場合、ターミナルは、その時間(すなわち、ターミナルが、送るべきさらなるデータを有すると予想するとき)にウェイク・アップ時間をスケジュールすることができる。同様に、ターミナルが別のゲートウェイの範囲内で移動すると予想される場合、ウェイク・アップ時間は、ターミナルがそのゲートウェイの範囲内にあると予想される時間にスケジュールされてよい。これは、データを送信するため、または更新されたエフェメリス・データを受信するためであってよく、その場合、更新されたエフェメリス・データが受信されると、将来のウェイク・アップ時間が改良され得る。
【0053】
スケジュールを更新するためのウェイク・アップ(たとえば、エフェメリス・データ)は、ターミナル・データの送信のためのウェイク・アップ時間と比較して、独立した頻度で生じることができる。ターミナルは、現在のスケジュールが有効期限に近づいている場合、エフェメリス・データ更新のためにウェイク・アップすることのみを必要とする。すなわち、ターミナルは、エフェメリス・データおよび有効期限などの有効性情報、または精度プロファイル(時間の関数としての)を点検し、更新されたエフェメリス・データを取得するためにウェイク・アップするのに適切な時間を決定することができる。任意選択で、更新されたエフェメリス・データが受信されたときはいつでも(ターミナルが更新されたエフェメリス・データを受信するためにちょうどウェイク・アップされた場合であろうと、他の時間であろうと)、ターミナルは、最近受信された(すなわち、更新された)エフェメリス・データに基づいて、将来のウェイク・アップ時間を再スケジュール(または改良)してよい。
【0054】
ターミナル10が覚醒しているとき、ターミナル10はまた、ゲートウェイ・ビーコン44を聴取することができる。ビーコンが聞こえると、ターミナルは、さらにゲートウェイ位置データを聴取および受信することができる。次いで、ターミナルは、ゲートウェイ位置をそれ自体のゲートウェイ(およびゲートウェイの位置/ロケーション)のデータベースに追加する。ターミナルが、自分が入る範囲内にゲートウェイを有すると、またはこのゲートウェイの範囲内にある間は同期モードで保つと決定した場合。他の実施形態では、ターミナルは、衛星20の存在を監視する前にゲートウェイ40の存在を監視してもよいし、衛星またはゲートウェイの存在のタイム・インタリーブ監視を実行してもよい。
【0055】
ターミナルが覚醒しているとき、ターミナルは、センサ・データを受信および処理するなどのさまざまなタスク、ならびに送信動作または受信動作を実行する(複数のバック・ツー・バック・データ送信が実行可能である)。これらのタスクが完了すると、ターミナルは、次のアクティビティの期間までバッテリ電力を節約するために、ディープ・スリープ状態に入ることができる。
図2Aに示すように、ディープ・スリープ・モード204にある同期状態202であるターミナルで説明を始める。ディープ・スリープ・モード204に入る前に、アラーム206が設定される(実際は、異なるスケジュールされたタスクに対して、複数のアラームが設定されてよい)。アラーム・モジュール206は、ターミナルのクロックを監視し、ウェイクする時間であるとき、ターミナルをウェイク・アップするアラーム・トリガ208を生成するように構成される(そうでない場合、ターミナルはディープ・スリープ・モードのままである)。ターミナルがウェイクすると、ターミナルは、位置および時間モジュール(たとえば、GNSSモジュール)210からの位置および地球時間測位(position and global time fix)の取得を試行する。いくつかの実施形態では、システム時間および/または粗いロケーションがゲートウェイ信号(ビーコン44を含む)から取得または推定され得ることに留意されたい。次いで、エフェメリス監視モジュールは、時間および位置情報を使用して、メモリに記憶された(および、衛星またはゲートウェイから以前に取得された)エフェメリス・データ214に基づいて、エフェメリスが有効であるかどうかを判定する212。代替的に、エフェメリス・データは有効でないが、取得された位置に基づいて、ゲートウェイ・データベース216が、ゲートウェイがターミナルの範囲内にあることを示す場合、有効なエフェメリス・データが近くのゲートウェイから取得可能である。同様に、エフェメリス・データが有効であり、ゲートウェイ・データベース216が、ゲートウェイはターミナルの範囲内にあることを示す(取得された位置に基づいて)場合、ターミナルは、より新しい(有効な)エフェメリス・データ214を近くのゲートウェイから受信し、これを使用して、記憶されたエフェメリス・データを更新することを選定することができる。さらに、ターミナルは、より新しい(すなわち、より最近受信された)エフェメリス・データ214に基づいて任意のスケジュール・ウェイク・アップ時間218を改良することを選定することができる。たとえば、失効期日付/時間または精度閾値に基づいて(上記で説明したように)、ターミナルによって記憶されたエフェメリス・データ214が有効でない場合、エフェメリス・モジュールは、エフェメリスの期限が切れてからの時間ならびに/またはエフェメリス精度情報および精度閾値(上記で説明したように)などに基づいて、エフェメリスが最近有効であるか250どうかを判定する。エフェメリス・データが、最近有効であると推定(または判定)される場合、ターミナルはウォーム・スタート状態260へと切り替えられ、エフェメリスの期限が切れた、および/または最近有効でない場合、ターミナルはコールド・スタート状態270に入る(
図2Dを参照されたい)。別の実施形態(図示せず)では、ターミナルは、衛星テレメトリ、トラッキング、およびコマンド/コントロール(TT&C)チャネル、または何らかの他のビーコン・チャネルを受動的または能動的に監視し、これを使用して、ウェイク・アップするようにターミナルをトリガし、スケジュールされたウェイク・アップを効果的にバイパスする(すなわち、
図2Aの初めてウェイクするステップ208においてフローチャートに入る)ことができる。
【0056】
前述のように、ターミナルは、エフェメリスおよび他のデータを使用して、送信機会および受信機会のスケジュール(すなわち、ウェイク・アップ時間または受信時間のスケジュール)を決定することができる。そのような時間に、ターミナルはアラーム・モジュール206によってウェイクされる。任意選択で、ターミナルは、休止している間に移動したかもしれないので、その位置を決定するために、早期ウェイク・アップ時間、すなわちスケジュールされた送信機会または受信機会の外にあるウェイク・アップを(エフェメリス・データに基づいて)スケジュールしてよい。この場合、ターミナルは、たとえばそれ自体のより最新の位置および時間測位210に基づいて、送信/受信機会218を再計算または改良してよい。ウェイク・アップ時間は、次のウェイク時間をアラーム・モジュール206に送る(または、アラーム・モジュールによって使用されるスケジュールまたはテーブルを更新する)ことによって調整され218、その後、ターミナルは、送信機会または受信機会225のために(アラーム・モジュールによって知らされる)ウェイクする時間まで、スリープに入る220。ウェイク・アップ時間(208)が、送信機会または受信機会230のためのウェイク・アップ時間であり、かつ、エフェメリス・データが有効である、またはゲートウェイが範囲内にある212場合、ターミナルは、212から点225に進むことができるだけで、ウェイク・アップ時間を改良してスリープに戻る(220)必要はない。
【0057】
図2Bを参照すると、点225では、ターミナルが、データを送信すべきか更新されたエフェメリス・データを衛星から受信すべきかどうかを決める230。ターミナルが送信することを決めた場合、ターミナルは、記憶されたターミナル・データ233を収集するか、または送信のためのデータをセンサもしくは他のソースから取得し、任意選択で処理する。ターミナル・データ233は、送信のために準備され(たとえば、符号化、変調など)、次いで、衛星に送信される232。ターミナルは、任意選択で、送信を実行する232(または送信のためのデータを準備する)とき、能力データ234および性能データ236を利用(または送信さえ)してもよい。送信するさらなるデータがなく(ターミナルが覚醒している間、複数の送信が行われてよい)、ターミナルが、更新されたエフェメリス・データを受信する(パス240)ことを望まない場合、ターミナルは、更新されたエフェメリス・データを取得するために、アラーム・モジュール206内でアラーム238を次の送信機会または受信機会のための次のウェイク・アップ時間に設定し、ディープ・スリープに入る(したがって、同期状態でのフローチャートの開始202に戻る)。
図2Cを参照すると、ターミナルが、エフェメリス・データ240を受信することを決めた場合、ターミナルは、記憶された能力データ234をチェックして、現在の衛星の受信構成要件を決定し、エフェメリス・データ214、性能データ236、および能力データ234を受信および更新し、これは、次いで、ターミナルによって記憶される242(以前に記憶されたデータを置き換えるまたは増やす)。次いで、ターミナルはゲートウェイ・ビーコンを聴取244してよく、ゲートウェイ・ビーコンが検出された場合、ターミナルはゲートウェイ位置データ(および他のゲートウェイ・データ)を受信してよく、記憶されたゲートウェイ・データ216は、この情報を用いて更新される。このゲートウェイ・データが記憶されると、またはビーコンが検出されなかった場合、ターミナルは、次いで、更新されたエフェメリスを取得するために、アラーム・モジュール206内のアラーム248を次の送信機会または受信機会のための次のウェイク・アップ時間に設定し、同期状態でのフローチャートの開始202に戻る。別の実施形態では、ターミナルは、エフェメリス・データを受信および更新する前に衛星の獲得を試行してよく、獲得試行が成功しなかった場合、ターミナルは、ゲートウェイ・ビーコンの探索に切り替えるか、コールド・スタートなどの別の状態に切り替えるかのどちらかを行ってよい。
【0058】
図2Dを参照すると、コールド・スタート・モード20では、ターミナルは休止しており272、周期的コールド・スタート・アラーム276が、聴取する、すなわち、更新されたエフェメリス・データを取得するために衛星の獲得を試行する280ように、ターミナル278を周期的にウェイク・アップするために使用される。周期的コールド・スタート・アラームは、予想衛星通過継続時間Tよりも短い期間τを有する(周期的コールド・スタート・アラーム)。何らかの最長試行継続時間282時間期間以内に信号が取得されない284場合、ターミナルはスリープに戻り272、その状態で、ターミナルは周期的コールド・スタート・アラーム276によって再びウェイクされる。ターミナルは、任意選択で、信号の獲得に成功する284まで、聴取・プロセス280を所定の回数n回繰り返してよい(見やすくするため、フローチャートから省略されている)。すなわち、試行は、ターミナルが、覚醒している間にエフェメリス・データを取得するために、一連の繰り返される試行を行うことを含んでよい。ターミナルは、聴取を一時停止(たとえば、通信モジュールの電源を切るまたはモジュールをスリープにする)してよく、すなわち、聴取せずに、他のタスクを実行してもよいし、これらの試行の各々の間に、ある時間期間にわたってスリープすることすら行ってよい。試行間のこの一時停止時間は、固定されてもよいし、可変であってもよい。たとえば、ターミナルは時間tにわたって衛星の獲得を試行してよく、不成功の場合、ターミナルは、さらなる試行を行う前に他のタスクを実行する。ターミナルは、ウェイク・アップ期間中に何回試すかを制限するために、試行の最大数nを記憶してよい。信号が獲得されない場合(たとえば、n回の試行の後)、ターミナルは、予想通過継続時間Tよりも長くない時間の量τにわたって再度スリープする。ターミナルは、エフェメリス・データの取得に成功するまで、このプロセス全体を繰り返す。
【0059】
これは、
図5に示されている。衛星通過510は継続時間Tを有する。ターミナルは、時間520にウェイクし、時間期間t(最長試行継続時間期間t)にわたって聴取する。衛星は視野内にないので、衛星エフェメリス・データは受信されず、ターミナルは、再度試す前にスリープに入る。この実施形態では、ターミナルは最大4回(n=4)試すことが可能であり、各試行は、最長試行継続時間期間tの間続き、試行間に一定の長さの一時停止pを有し、時間524における第4の試行の後、ターミナルは、衛星エフェメリス・データを受信するのに失敗した(衛星は、依然として視野内にないので)。この実施形態では、ターミナルは、短期間すなわちこれらの試行の各々間の一時停止長pにわたって一時停止する(スリープする、または聴取しない)。他の実施形態では、一時停止長pは試行間で変わってよいことに留意されたい。試行の各不成功バッチの後、ターミナルは時間τの間スリープし、時間τは、予想通過継続時間Tよりも短い(すなわち、τ<T)。この実施形態では、ターミナルは、時間530において再度ウェイク・アップし、時間τの間スリープに戻る前に再び4回試す。時間540において、ターミナルはウェイクし、衛星エフェメリス・データを再度聴取する。この手順は、衛星エフェメリス・データが受信されるまで繰り返される。たとえば、ターミナルが時間530において衛星エフェメリス・データを受信した場合、探索手順は終わり、ターミナルは、衛星エフェメリス・データを更新して、有効なエフェメリス・データを用いて同期モードに入るであろう(新しいウェイク・アップ時間を決定することを可能にする)。
【0060】
いくつかの実施形態では、ターミナルは、まず特定の周波数帯域内で受信エネルギーを受動的に探し、検出された場合はメイン受信機をウェイク・アップするであろう2段受信機(受動的ゲートウェイ・ビーコン検出器274)を有する。たとえば、ターミナルは、衛星のテレメトリ、トラッキング、およびコマンド/コントロール(TT&C)チャネル内のエネルギーを収集してもよいし、ゲートウェイ・ビーコンを受動的に検出してもよい。ターミナルは、電力の浪費を回避するために、ウェイクおよびスリープ期間を慎重に選択し、エフェメリス・データの取得に成功するか、最大試行数に到達するか、衛星を検出しようと試みて費やした合計時間が閾値を超えるか、第1の試行からの時間が閾値を超えるかのいずれかを満たすまで、信号の獲得を試行するこのプロセスを繰り返すであろう。これらの場合、ターミナルは、コールド状態手順270を再開する前に、予想通過継続時間よりも長くない時間の量にわたってスリープ・モードに入ってよい。別の実施形態では、ターミナルは、テレメトリ、トラッキング、およびコマンド/コントロール(TT&C)チャネル、または何らかの他のビーコン・チャネルを受動的または能動的に監視し、これを使用して、
図2Dの第1のウェイク・ステップにおいてウェイク・アップするようにターミナルをトリガすることができる。別の実施形態では、ターミナルは、衛星の存在を監視する前にゲートウェイの存在を監視してもよいし、衛星またはゲートウェイの存在のタイム・インタリーブ監視を実行してもよい。
【0061】
信号(衛星ビーコンまたはゲートウェイ・ビーコン)が獲得された284場合、ターミナルは、エフェメリス・データ、性能データ、および能力データ286を受信および更新し、これは、次いで、ターミナルによって記憶される(更新されたエフェメリス・データ214、性能データ236、および能力データ234)。ターミナルは、次いで、ゲートウェイ・ビーコンを聴取288してよく、ゲートウェイ・ビーコンが検出された場合、ターミナルは、ゲートウェイ位置データ(および他の任意のゲートウェイ・データ)290を受信および更新し、次いで、これが記憶される(更新されたゲートウェイ・データ216)。これが記憶されると、またはビーコンが検出されなかった場合、ターミナルは、次いで、アラーム・モジュール206内のアラームを、次の送信機会または受信機会のための次のウェイク・アップ時間に、すなわち更新されたエフェメリスを取得するように設定し、同期状態でのフローチャート202の開始に戻る。
【0062】
いくつかの実施形態では、コールド・スタート・モードにおけるターミナルは、受信可能衛星のフットプリント内にある場合、任意選択で、データを送信することができる。ウォーム・スタート・モード250(図示せず)では、ターミナルは、拡張された可能な通過ウィンドウを計算し、これらの通過ウィンドウ同士の間にウェイク・アップし、これに失敗した場合、ターミナルはコールド・スタート・モードに入る。
【0063】
上記のフローチャートは変えることができ、または、さまざまな方法で実施することができる。たとえば、受信パス222では、受信および更新ステップは、衛星が取得可能であると仮定しており(ウェイク・アップは、これを可能にするようにスケジュールされるので)、ゲートウェイ・ビーコンを聴取する前に行われると示されている。しかしながら、ゲートウェイは、エフェメリス・データ、性能データ、および能力データのソースとしても使用可能であるので、衛星の獲得の試行とゲートウェイ・ビーコンの獲得の試行は並行して実行されてよく、一方が獲得されるとすぐに、他方の探索を終えてよく、エフェメリス・データ、性能データおよび能力データは、獲得されたソースから取得されてよい。代替的に、衛星の獲得の試行とゲートウェイの獲得の試行はインタリーブされてよい。衛星もゲートウェイも獲得できない場合、ターミナルは、エフェメリスの獲得の別の試行が行われ得るとき、次のスケジュールされたウェイク・アップ時間までスリープに入るだけでよい。別のスケジュールされたウェイク・アップ時間がない場合、ターミナルは、現在のエフェメリス・データに基づいてウェイク・アップ時間を推定してよい。さらに、ステップ230において、ターミナルは、まずデータを衛星に送信し、データを送信した後(ステップ232)、次いで、スリープに入る前に、更新されたエフェメリス・データ240の衛星(衛星がエフェメリス・データも送信することが可能である場合)またはゲートウェイ・ビーコンからの受信を試行する。
【0064】
図3は、一実施形態による通信システムにおける衛星通過機会の関数としてのターミナルの推定バッテリ寿命のプロット300である。縦軸は予測バッテリ寿命(年)であり、水平軸は1日あたりの受信衛星通過の数を表す。破線310は、ある時点で衛星通過中に通信することが保証されるようにターミナルが短期間で周期的にウェイク・アップする(たとえば、10分の通過継続時間の場合、5分ごとにウェイク・アップする)開ループ・モードで動作するターミナルに関する予測バッテリ寿命を示す。実線320は、本明細書において説明するスケジュールされた方法の一実施形態を使用した結果を示し、これは、バッテリ寿命の大幅な増加をもたらし、たとえば、1日あたり4回の衛星通過機会の場合のほぼ5倍の増加は、1日あたり20回の衛星通過機会の場合には約3倍に低下する。
【0065】
図4は、一実施形態による通信システムの構成要素の概略図である。衛星20は、ターミナルおよび地上局との通信のための1つまたは複数のアンテナを有するRFフロント・エンド428と、その各々が符号化/復号および変調/復調構成要素を備えてよい送信機モジュール424および受信機モジュール426と、プロセッサ422と、データ(たとえば、エフェメリス・データ、構成データ、および性能データ)を記憶するための関連メモリ423などであり、ならびに、信号の復号、肯定応答の生成、システム最適化の実行、および他の任意の支援動作を含む衛星の動作および信号の送信/受信を制御する、通信モジュール420を備える。
【0066】
ターミナル10は、ターミナルの動作状態およびモード、ならびに肯定応答メッセージの処理、使用するスロットの選択、システム最適化および他の任意の支援動作の実行などの他の要件を制御するために、RFフロント・エンド28と、1つまたは複数のアンテナと、送信機414と、受信機416(トランシーバ内で組み合わされてよい)と、プロセッサ412と、関連メモリ413とを備える通信モジュール410を備える。位置およびタイミング・モジュール411は、位置および地球タイミング情報をプロセッサ412に提供する。ターミナルは、センサまたはデバイスに接続するために外部センサまたはデバイス、モジュール、または基板からデータを送信および受信するための通信手段を有するスタンドアロン・デバイスであってもよいし、センサまたはデバイスがシステムを介して通信することを可能にするためにプロトコル、データ、コード、命令などを記憶する通信チップセットなどの形をとる、既存のセンサまたはデバイス10へと統合されてもよい。センサまたはデバイス10は、他のセンサ432または他のデバイス434に接続されてよい。
【0067】
ターミナルは、1つまたは複数のスケジュールされたウェイク・アップ時間にスリープ状態からウェイク状態にターミナルをウェイク・アップするように構成されたアラーム・モジュールをさらに備える。ターミナルは、ウェイク・アップ時間をスケジュールしてアラーム・モジュールに提供し、ウェイク状態におけるターミナル動作の完了時にターミナルをスリープ状態にするように構成されたスケジューリング・モジュールをさらに備える。この文脈では、ターミナル動作は、送信動作もしくは受信動作、構成、またはデータの収集または処理、ターミナル・ステータスの報告、もしくはシステム維持タスクおよび構成タスクに関する他の動作であってよい。
【0068】
スケジューリング・モジュールは、位置および地球時間情報を使用して、ウェイク・アップ時に、エフェメリス・データの有効性をチェックするようにさらに構成される。データが最近有効である場合、スケジューラは、記憶されたエフェメリス・データに基づいて可能な衛星通過ウィンドウのセットを推定し、更新されたエフェメリス・データの受信を試行するためにターミナルがウェイク・アップされるウォーム・ウェイク・アップ時間のセットをスケジュールするように構成される。エフェメリス・データが無効である場合、ターミナルは、(上記で説明したように)スリープに入り、予想衛星通過継続時間よりも短いウェイク・アップ間の期間を用いて、周期的にウェイク・アップし、更新されたエフェメリス・データの受信を試行するようにスケジュールされる。更新されたエフェメリス・データの受信の試行が不成功だった場合、ターミナルはスリープに戻るように構成され、ターミナルは、エフェメリス・データの受信に成功するまで、動作を繰り返す。更新されたエフェメリス・データを受信すると、エフェメリス・データがメモリに記憶され、スケジューラは、データを送信するためまたは更新されたエフェメリス・データを受信するための記憶されたエフェメリス・データに基づいて少なくとも1つのウェイク・アップ時間をスケジュールし、ウェイク状態中の1つまたは複数のターミナル動作の完了時にターミナルをスリープ状態にする。
【0069】
アラーム・モジュールおよびスケジューリング・モジュールはソフトウェア・モジュールであってよく、このソフトウェア・モジュールは、命令がメモリに記憶され、プロセッサ、ハードウェア・モジュール、またはこの2つの組み合わせによって実行される。アラーム信号は、セントラル・コントローラまたはスケジューラに送られた信号を中断またはウェイク・アップしてもよく、次いで、ターミナルのウェイク・アップおよびその後のウェイク・アップ動作(たとえば、位置および時間の推定)をトリガする。アラーム・モジュールは、地球時間に周期的に同期されるクロックを含んでもよいし、位置およびタイミング・モジュール内のクロック(またはターミナル内の別のクロック)を監視してもよい。アラーム・モジュールは、単一のウェイク・アップ時間(すなわち、次のウェイク・アップ時間)を記憶してもよいし、または、ウェイク・アップ時間のセットを記憶することができる。スケジューリング・モジュールは、スケジュールの記憶のためのローカル・メモリを備えてもよいし、ターミナル・メモリ413を使用してもよい。スケジュール時間は、メモリ内で配列またはテーブルまたは他のデータ構造として記憶されてよい。スケジューリング・モジュールは、他のモジュールまたは構成要素に応じて電力または覚醒(wakefulness)状態を直接的に制御するように構成されてもよいし、任意の保留中のタスクが完了するとまたは特定の時間にターミナルがスリープ状態に入るためにコントローラに要求を送ることによってセントラル・コントローラと通信してもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、衛星は、大気圏外で地球の周りを回る軌道衛星(たとえば、低地球軌道すなわちLEO衛星)である。いくつかの実施形態では、コンステレーション内の衛星のうちのいくつかは、長時間(たとえば、複数日)にわたって空中にあるままであることが可能である太陽電池式および/またはバッテリ式のドローンまたは飛行船などの、高高度無人航空機(UAV)などの大気圏衛星または擬似衛星である。そのような大気圏衛星は、スケジューリング・データまたはエフェメリス・データの生成を可能にする、地球上空の定期的な飛行経路を飛行することができる。本明細書の文脈では、衛星という用語は、LEO衛星を含む軌道衛星、ならびに移動する視野を有する大気圏衛星または疑似衛星(たとえば、UAV)を指す。
【0071】
説明された方法およびシステムは、ターミナル動作をスケジュールするための改善された方法を提供する。ターミナルは、不必要なウェイク・アップを回避し、他のシステムと比較してかなりの電力節約をもたらすことができる。これは、バッテリ交換に費用がかかるまたは不可能な遠く離れたエリア内にこれらのターミナルが配備される場合に特に重要である。
【0072】
当業者であれば、情報および信号がさまざまな技術および技法のいずれかを使用して表され得ることを理解するであろう。たとえば、上記の説明全体を通じて言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは磁性粒子、光場もしくは光粒子、またはそれらの任意の組み合わせによって表され得る。
【0073】
当業者であれば、本明細書で開示される実施形態に関連して説明されたさまざまな例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズム・ステップは、電子ハードウェア、コンピュータ・ソフトウェア、または命令、または両方の組み合わせとして実施されてよいことをさらに諒解されよう。ハードウェアおよびソフトウェアのこの互換性を明確に示すために、さまざまな例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、上記で能力に関して全般的に説明されてきた。そのような能力がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、特定の適用例および全体的なシステムに課せられた設計制約に依存する。当業者は、各特定の適用例に対するさまざまな方法で説明された能力を実装し得るが、そのような実装の決断は、本発明の範囲からの逸脱を引き起こすと解釈されるべきではない。
【0074】
本明細書で開示される実施形態に関連して説明された方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェア内で直接的に実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェア・モジュール内で実施されてもよいし、この2つの組み合わせで実施されてもよい。ハードウェア実装の場合、処理は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、本明細書において説明された機能を実行するように設計された他の電子ユニット、またはそれらの組み合わせの内部で実施されてよい。コンピュータ・プログラム、コンピュータ・コード、または命令としても知られるソフトウェア・モジュールは、いくつかのソース・コードまたは目的コード・セグメントまたは命令を含んでよく、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、レジスタ、ハード・ディスク、リムーバブル・ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ブルーレイ・ディスク、または他の任意の形式のコンピュータ可読媒体などの任意のコンピュータ可読媒体内にあってよい。いくつかの態様では、コンピュータ可読媒体は、非一時的なコンピュータ可読媒体(たとえば、有形媒体)を含んでよい。さらに、他の態様の場合、コンピュータ可読媒体は、一時的なコンピュータ可読媒体(たとえば、信号)を含んでよい。上記の組み合わせも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。別の態様では、コンピュータ可読媒体は、プロセッサと一体化されてよい。プロセッサおよびコンピュータ可読媒体は、ASICまたは関連デバイス内にあってよい。ソフトウェア・コードはメモリ・ユニット内に記憶されてよく、プロセッサはソフトウェア・コードを実行するように構成されてよい。メモリ・ユニットは、プロセッサ内に実装されてもよいし、プロセッサの外部で実装されてもよく、その場合、それは、当技術分野で知られているように、さまざまな手段を介してプロセッサに通信可能に結合可能である。
【0075】
さらに、モジュールならびに/または本明細書において説明される方法および技法を実行するための他の適切な手段は、ダウンロード可能および/または別の方法でコンピューティング・デバイスによって取得可能であることを理解されたい。たとえば、そのようなデバイスは、本明細書において説明される方法を実行するための手段の転送を容易にするためにサーバに結合可能である。代替的に、本明細書において説明されるさまざまな方法は、記憶手段(たとえば、RAM、ROM、コンパクト・ディスク(CD)またはフロッピー・ディスクなどの物理的記憶媒体)を介して提供可能であり、したがって、コンピューティング・デバイスは、記憶手段をデバイスに結合または提供するとき、さまざまな方法を取得することができる。さらに、本明細書において説明される方法および技法をデバイスに提供するための他の任意の適切な技法が利用可能である。
【0076】
一形態では、本発明は、本明細書において提示される方法または動作を実行するためのコンピュータ・プログラム製品を含んでよい。たとえば、そのようなコンピュータ・プログラム製品は、その上に記憶された(および/または符号化された)命令を有するコンピュータ(またはプロセッサ)可読媒体を含んでよく、この命令は、本明細書において説明される動作を実行するために1つまたは複数のプロセッサによって実行可能である。
【0077】
本明細書で開示される方法は、説明された方法を達成するための1つまたは複数のステップまたはアクションを含む。方法ステップおよび/またはアクションは、請求の範囲から逸脱することなく、互いと置き換えられ得る。言い換えれば、ステップまたはアクションの具体的な順序が指定されない限り、具体的なステップおよび/またはアクションの順序および/または使用は、請求の範囲から逸脱することなく、修正され得る。
【0078】
本明細書で使用されるとき、「決定すること」という用語は、多種多様のアクションを包含する。たとえば、「決定すること」は、計算すること、演算すること、処理すること、導出すること、調査すること、検索すること(たとえば、テーブル、データベース、または別のデータ構造内で検索すること)、確認することなどを含んでよい。また、「決定すること」は、受信すること(たとえば、情報を受信すること)、アクセスすること(たとえば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含んでよい。また、「決定すること」は、解決すること、選択すること、選ぶこと、確立することなどを含んでよい。
【0079】
システムの態様は、1つまたは複数のプロセッサと、メモリと、任意選択で入力デバイス(たとえば、キーボード、マウスなど)と、出力デバイス(たとえば、ディプレイ)とを備えるコンピューティング・デバイスまたは装置を使用してコンピュータにより実装されてもよいし、接続が、必要とされたときに入力および出力を可能にするために提供されてもよい。いくつかの実施形態では、入力コネクタまたは出力コネクタが通常使用中に提供または密封されず、デバイスとのすべての相互作用は、無線通信を介する。これらは、たとえば、受信機装置および送信機装置に代わって特殊な計算を実行するために、受信機装置および送信機装置内で統合されてもよいし、受信機装置および送信機装置と通信してもよい。メモリは、本明細書において説明される方法の態様またはステップをプロセッサに実行させる命令を含んでよい。プロセッサおよびメモリは、サーバ、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータもしくはタブレットなどのポータブル・コンピューティング・デバイスなどの標準的なコンピューティング・デバイス内に含まれてもよいし、カスタマイズされたデバイスまたはシステム内に含まれてもよい。コンピューティング・デバイスは、単体のコンピューティング・デバイスまたはプログラム可能なデバイスであってもよいし、有線接続または無線接続を介して動作可能に(または機能的に)接続された、いくつかの構成要素を備える分散デバイスであってもよい。1つまたは複数のプロセッサは、入出力インタフェースを備えた中央処理ユニット(CPU)、演算論理ユニット(ALU)、ならびに入出力インタフェースを介して入力デバイスおよび出力デバイスと通信する制御ユニットおよびプログラム・カウンタ要素とを含んでよい。入出力インタフェースは、あらかじめ定義された通信プロトコル(たとえば、ブルートゥース(登録商標)、Zigbee、IEEE802.15、IEEE802.11、TCP/IP、UDPなど)を使用して別のデバイス内の等価な通信モジュールと通信するためのネットワーク・インタフェースおよび/または通信モジュールを含んでよい。グラフィカル処理ユニット(GPU)も含まれてよい。ディスプレイ装置は、フラット・スクリーン・ディスプレイ(たとえば、LCD、LED、プラズマ、タッチ・スクリーンなど)、プロジェクタ、CRTなどを含んでよい。コンピューティング・デバイスは、単一のCPU(コア)または複数のCPU(複数のコア)を備えてもよいし、複数のプロセッサを備えてもよい。コンピューティング・デバイスは、並列プロセッサ、ベクトル・プロセッサを使用してもよいし、分散コンピューティング・デバイスであってもよい。メモリは、プロセッサに動作可能に結合され、RAM構成要素およびROM構成要素を含んでよく、デバイス内に設けられてもよいし、デバイスの外部にあってもよい。メモリは、オペレーティング・システムおよび追加ソフトウェア・モジュールまたは命令を記憶するために使用されてよい。プロセッサは、メモリ内に記憶されたソフトウェア・モジュールまたは命令をロードおよび実行するように構成されてよい。
【0080】
明細書および以下の請求の範囲の全体を通じて、文脈がそうでないように要求しない限り、「備える(comprise)」および「含む(include)」という用語ならびに、「備える(comprising)」および「含む(including)」などの変形は、述べられた整数または整数のグループの包含を暗示するが、他の任意の整数または整数のグループの除外を暗示しないことが理解されよう。
【0081】
本明細書におけるいかなる従来技術への参照も、そのような従来技術が周知の一般知識の一部を形成するという任意の形式の提案の承認ではなく、そのように見なされるべきではない。
【0082】
本開示は、その使用に関して、説明された1つまたは複数の特定の適用例に制限されないことは、当業者によって諒解されよう。本開示は、その好ましい実施形態では、本明細書において説明または図示された特定の要素および/または特徴に関して制限されない。本開示は、開示される1つまたは複数の実施形態に限定されず、以下の請求の範囲によって記載および定義された範囲から逸脱することなく、多数の再配列、修正、および置き換えが可能であることが諒解されるであろう。