特許第6989151号(P6989151)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989151
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】喫煙品
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/16 20200101AFI20211220BHJP
   A24B 15/34 20060101ALI20211220BHJP
   A24B 15/32 20060101ALI20211220BHJP
   A24D 3/17 20200101ALI20211220BHJP
   A24F 15/01 20200101ALI20211220BHJP
   A24F 40/70 20200101ALI20211220BHJP
   A24F 47/00 20200101ALI20211220BHJP
   C07C 233/58 20060101ALN20211220BHJP
【FI】
   A24B15/16
   A24B15/34
   A24B15/32
   A24D3/17
   A24F15/01
   A24F40/70
   A24F47/00
   !C07C233/58
【請求項の数】13
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2019-525856(P2019-525856)
(86)(22)【出願日】2017年11月29日
(65)【公表番号】特表2020-513233(P2020-513233A)
(43)【公表日】2020年5月14日
(86)【国際出願番号】GB2017053593
(87)【国際公開番号】WO2018100366
(87)【国際公開日】20180607
【審査請求日】2019年6月18日
(31)【優先権主張番号】1620352.3
(32)【優先日】2016年11月30日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100135242
【弁理士】
【氏名又は名称】江守 英太
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】バレステロス ゴメス, パブロ ハビアー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス, ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】フォースター, マーク
(72)【発明者】
【氏名】チャジム, ハンス‐ヨーゼフ
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−513393(JP,A)
【文献】 特表2015−516816(JP,A)
【文献】 特表平09−510627(JP,A)
【文献】 特開2006−333713(JP,A)
【文献】 特表2014−500037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 1/00−15/42
A24D 1/00− 3/18
A24F 1/00−17/00
A24F 40/00−47/00
C07C 1/00−409/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙材清涼剤及びメンソールを含む喫煙品であって、前記清涼剤が前記喫煙材中に含浸されており、前記喫煙材がタバコ成分を含む、喫煙品;並びに
前記喫煙材を使用時に加熱するが燃焼させないように配置された熱源;
を含み、
前記清涼剤が、式(I)による化合物又は化合物の組み合わせ、それらのラセミ体、鏡像異性体、及び塩:
【化1】

(式中、
Xは、C(=O)R及びORから選択され;
Yは、H、及びORから選択され;
は、CH及びOHから選択され;
は、H及びCHから選択され;
又は、R及びRは一緒に=CH若しくは=Oを形成し;
は、H;任意選択で置換されているC1〜4アルキル;COR;CO;及びNRから選択され;
は、任意選択で置換されているC1〜4アルキル;COR;COから選択され;又は、YがORである場合、RはRであってもよく、R及びRは一緒に、任意選択で置換されているC2〜4アルキレン基を形成し;又はRがCHでない場合、RはHであってもよく;
は、H;(CHO(CHOH(式中、t及びuは独立に1〜4である);=O、アルコキシ、OH、COH、CH、CON(Rで任意選択で置換されているC1〜4アルキル;及び任意選択で置換されている3〜7員脂肪族ヘテロシクリルから選択され;
及びRは独立に、H;OH、CO、5〜7員ヘテロアリール、又はC1〜4アルキルで任意選択で置換されているC1〜4アルキル;C3〜6シクロアルキル;5〜7員ヘテロアリール;及びCH、CN、CHCN、CHCONH、OCH、又はOHで任意選択で置換されているフェニルから選択され;
は、H及びC1〜4アルキルから選択される)
並びに/又は、式(II)による化合物又は化合物の組み合わせ、それらのラセミ体、鏡像異性体、及び塩:
【化2】

(式中、
’は、CH(R’)及びR’から選択され;
’は、CH(R’)及びR’から選択され、R’及びR’は、それらが結合している炭素原子と一緒に、任意選択で置換されている脂肪族3〜6員環を形成し;
’は、H、CH(R’)、及びC1〜4アルキルから選択され;
’は、OH、CO’、5〜7員ヘテロアリール、又はC1〜4アルキルで任意選択で置換されているC1〜4アルキル;CO’;C3〜6シクロアルキル;5〜7員ヘテロアリール;及びCH、CN、CHCN、CHCONH、OCH、又はOHで任意選択で置換されているフェニルから選択され;
’は、H、及びOHで任意選択で置換されているC1〜4アルキルから選択され;
’は、H及びC1〜4アルキルから選択される)
を含む、
エアロゾル発生デバイス。
【請求項2】
前記清涼剤が、式(Ia)による化合物又は化合物の組み合わせ、それらのラセミ体、鏡像異性体、及び塩:
【化3】

(式中、
Xは、C(=O)R及びORから選択され、
は、H;任意選択で置換されているC1〜4アルキル;COR;CO;及びNRから選択され;
は、任意選択で置換されているC1〜4アルキル;COR;及びCOから選択され;
は、H;(CHO(CHOH(式中、t及びuは独立に1〜4である);=O、アルコキシ、OH、COH、CH、CON(Rで任意選択で置換されているC1〜4アルキル;及び任意選択で置換されている3〜7員脂肪族ヘテロシクリルから選択され;
及びRは独立に、H;OH、CO、5〜7員ヘテロアリール、又はC1〜4アルキルで任意選択で置換されているC1〜4アルキル;CO;C3〜6シクロアルキル;5〜7員ヘテロアリール;及びCH、CN、CHCN、CHCONH、OCH、又はOHで任意選択で置換されているフェニルから選択され;
は、H及びC〜Cアルキルから選択される)
並びに/又は、式(II)による化合物又は化合物の組み合わせ、それらのラセミ体、鏡像異性体、及び塩:
【化4】

(式中、
’は、CH(R’)及びR’から選択され;
’は、CH(R’)及びR’から選択され、R’及びR’は、それらが結合している炭素原子と一緒に2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシレンを形成し;
’は、H及びCH(R’)から選択され;
’は、OH、CO’、5〜7員ヘテロアリール、又はC1〜4アルキルで任意選択で置換されているC1〜4アルキル;CO’;C3〜6シクロアルキル;5〜7員ヘテロアリール;及びCH、CN、CHCN、CHCONH、OCH、又はOHで任意選択で置換されているフェニルから選択され;
’は、H及びCHから選択され;
’は、H及びC〜Cアルキルから選択される)
を含む、請求項1に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項3】
前記清涼剤が20℃で106Pa未満の蒸気圧を有する、請求項1に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項4】
前記メンソールが前記喫煙材中に配置されている、請求項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項5】
フィルターをさらに含む、請求項1に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項6】
メンソールが前記フィルター中に配置されている、請求項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項7】
メンソールが前記喫煙材中及び前記フィルター中に配置されている、請求項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項8】
前記喫煙品中の清涼剤対メンソールの重量比率が1:150〜1:1である、請求項に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項9】
前記清涼剤が、
【化5】




又はそれらの組み合わせから選択される、
請求項1に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項10】
前記清涼剤が、
1 N−エチル−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド;
2 2−イソプロピル−N−[(エトキシカルボニル)メチル]−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド;
3 2−イソプロピル−N−(4−メトキシルフェニル)−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド;
8 2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミド;
又はそれらの組み合わせ
から選択される、請求項1に記載のエアロゾル発生デバイス。
【請求項11】
エアロゾル発生デバイス内で使用するための喫煙品であって、前記喫煙品が喫煙材清涼剤及びメンソールを含み、前記清涼剤が前記喫煙材中に含浸されており、前記喫煙材がタバコ成分を含み、前記清涼剤が請求項1〜10のいずれか一項に定義される通りである、喫煙品。
【請求項12】
前記喫煙材が、前記喫煙材の60〜90重量%の量のタバコ成分、前記喫煙材の0〜20重量%の量の充填剤、及びタバコ組成物の10〜20重量%の量のエアロゾル発生剤を含み、
前記タバコ組成物が、前記タバコ組成物の0.5〜2.5重量%のニコチン含有量を有し;
前記タバコ成分が、前記タバコ成分の70〜100重量%の量の紙状再構成タバコを含む、
請求項11に記載の喫煙品。
【請求項13】
清涼剤をタバコ成分に施して喫煙材を形成するステップであって、前記清涼剤が請求項1〜10のいずれか一項に定義される通りであるステップ
ンソールを前記タバコ成分に施すステップ;及び
前記喫煙材をフィルターと組み合わせて喫煙品を得るステップ
を含む、エアロゾル発生デバイスで使用するための喫煙品を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生デバイスで使用するための喫煙品、及びかかる喫煙品を製造する方法に関する。
【背景】
【0002】
紙巻きタバコ、葉巻などの物品は、使用中にタバコを燃焼させてタバコの煙を作り出す。タバコを燃焼させるこれらのタイプの物品の代替物を、燃焼させずに化合物を放出する製品を作り出すことによって提供しようとする試みがなされてきた。喫煙材を、燃焼させる又は燃やすことなく加熱して、喫煙材の少なくとも1種の成分を揮発させる、典型的には吸入できるエアロゾルを形成する用具が知られている。かかる用具は、「非燃焼加熱式」用具、又は「加熱式タバコ製品」(THP)、又は「加熱式タバコデバイス」などと記載されることがある。喫煙材のうちの少なくとも1種の成分を揮発させるための様々な異なる仕組みが知られている。
【0003】
喫煙材は、例えば、タバコ若しくは他の非タバコ製品、又はブレンドされた混合物などの組み合わせであってもよく、これらはニコチンを含有してもしなくてもよい。
【0004】
本明細書で言及されるとき、「エアロゾル発生デバイス」とは、喫煙材を加熱するが燃焼させないことによって吸入可能なエアロゾルを発生させる用具である。
【概要】
【0005】
本発明は、最も一般的には、加熱式タバコ製品中に使用するための消耗品に清涼剤を含めることに関する。
【0006】
本発明の特定の実施形態によれば、喫煙品を含むエアロゾル発生デバイスであって、該喫煙品が、喫煙材及び請求項1に定義される清涼剤を含み、該エアロゾル発生デバイスが、喫煙材を使用時に加熱するが燃焼させないように配置された熱源をさらに含む、エアロゾル発生デバイスが提供される。
【0007】
本発明はまた、タバコ成分及び請求項1に定義される清涼剤を含む、エアロゾル発生デバイス内で使用するための喫煙品を提供する。
【0008】
本発明はまた、
式(I)又は(II)による化合物を含む清涼剤をタバコ成分に施して喫煙材を形成するステップ;
任意選択で、メンソールをタバコ成分に施すステップ;及び
喫煙材をフィルターと組み合わせて喫煙品を得るステップ
を含む、エアロゾル発生デバイスで使用するための喫煙品を製造する方法を提供する。
【0009】
さらなる態様では、本発明は、
喫煙品を格納するためのチャンバー、及び該チャンバーから喫煙品を取り外しできる開口部を画定する容器;
該容器内に配置された1つ又は複数の喫煙品であって、(i)タバコ成分とメンソールとを含む喫煙材、及び/又は(ii)メンソールを含むフィルターを含む、喫煙品;
を含み、該チャンバーの少なくとも一部がホイル紙(paper foil)で裏打ちされ、該ホイル紙がメンソールを含む、
喫煙品用パックが提供される。
【0010】
好ましい実施形態では、本発明のこの態様における喫煙品は、加熱式タバコ製品中に使用するためのものである。
【0011】
好ましい実施形態では、本発明は、
喫煙品を格納するためのチャンバー、及び該チャンバーから喫煙品を取り外しできる開口部を画定する容器;
該容器内に配置された1つ又は複数の喫煙品であって、(i)タバコ成分とメンソールとを含む喫煙材、及び(ii)メンソールを含むフィルターを含む、喫煙品;
を含み、該チャンバーの少なくとも一部がホイル紙で裏打ちされ、該ホイル紙がメンソールを含む、
喫煙品用パックを提供する。
【0012】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明から明らかとなろう。これらの説明は、単なる例として示され、添付の図面を参照しながら行われる。
【定義】
【0013】
「C1〜4アルキル」という用語は、1、2、3、若しくは4個、又はこれらの整数のうちのいずれか2つを含む範囲の炭素原子を有する、任意選択で置換されている直鎖又は分枝鎖の炭化水素基を包含する。例として、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(Pr)、イソプロピル(i−Pr)、ブチル(Bu)、イソブチル(i−Bu)、sec−ブチル(s−Bu)、tert−ブチル(t−Bu)などが挙げられる。文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「C1〜4アルキル」という用語は、基が2箇所で結合されている、すなわち二価であるように、1個少ない水素原子を含有するアルキル基も包含する。かかる基は、「C1〜4アルキレン」基とも呼ばれる。かかるアルキレンの例は、メチレン(=CH)である。
【0014】
「C3〜6シクロアルキル」という用語は、3、4、5、若しくは6個、又はこれらの整数のうちのいずれか2つを含む範囲の炭素原子を有する非芳香族環式炭化水素基を指し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。シクロアルキル基は、シクロヘキシルのように飽和であっても、シクロヘキセニルのように不飽和であってもよいことが理解されよう。
【0015】
「ヒドロキシ」及び「ヒドロキシル」という用語は、−OH基を指す。「オキソ」という用語は、=O基を指す。「C1〜4アルコキシル」という用語は、O(C1〜4アルキル)基を指す。例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロキシ、ブトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。酸素原子は、炭化水素鎖に沿って位置してもよく、基を化合物の残部に連結する原子である必要はない(かかる置換基は、代わりにアルキレン−アルコキシ基と呼ばれてもよく、例えば、これは、(CHO(CHCH又は(CHO(CHOHと表されてもよく、式中、t及びuは独立に1〜4である)。
【0016】
「カルボキシレート」又は「カルボキシル」という用語は、−COO又は−COOH基を指す。
【0017】
「エステル」という用語は、カルボキシル基の水素が、例えば、C1〜4アルキル基(「アルキルエステル」)、アリール、又はアラルキル基(「アリールエステル」又は「アラルキルエステル」)などで置き換えられたカルボキシル基を指す。エステルは一般に、CORと示すことができる。CO1〜4アルキル基、例えば、メチルエステル(COMe)、エチルエステル(COEt)、及びプロピルエステル(COPr)などが好ましい。
【0018】
「シアノ」という用語は、−CN基を指す。「アミノ」という用語は、−NH基を指す。
【0019】
「置換アミノ」又は「第二級アミノ」という用語は、アミノ基の水素が、例えば、C1〜4アルキル基(「C1〜4アルキルアミノ」)、アリール、又はアラルキル基(「アリールアミノ」、「アラルキルアミノ」)などで置き換えられたアミノ基を指す。置換アミノは一般に、NHRと示すことができる。C1〜4アルキルアミノ基の例として、メチルアミノ(NHMe)、エチルアミノ(NHEt)、及びプロピルアミノ(NHPr)が挙げられる。
【0020】
「二置換アミノ」又は「第三級アミノ」という用語は、アミノ基の2個の水素が、例えば、同一であっても異なっていてもよいC1〜4アルキル基(「ジアルキルアミノ」)、アリール及びアルキル基(「アリール(アルキル)アミノ」)などで置き換えられたアミノ基を指す。二置換アミノは一般に、NRと示すことができる。ジ(C1〜4アルキル)アミノの例として、ジメチルアミノ(NMe)、ジエチルアミノ(NEt)、ジプロピルアミノ(NPr)、及びそれらの変形(例えば、N(Me)(Et)など)が挙げられる。
【0021】
「アシル」又は「アルデヒド」という用語は、−C(=O)H基を指す。
【0022】
「置換アシル」又は「ケトン」という用語は、アシル基の水素が、例えば、C1〜4アルキル基(「C1〜4アルキルアシル」又は「アルキルケトン」又は「ケトアルキル」)、アリール基(「アリールケトン」)、アラルキル基(「アラルキルケトン」)などで置き換えられたアシル基を指す。ケトンは一般に、C(O)R、又はCORと示すことができる。
【0023】
「アミド」、「カルボキサミド」、又は「アミド」という用語は、−C(O)NH基(CONHとも示される)を指す。
【0024】
「アミノアシル」という用語は、−NHC(O)H基を指す。
【0025】
「置換アミド(amido)」、「置換カルボキサミド」、又は「置換アミド(amide)」という用語は、アミド基の水素が、例えば、C1〜4アルキル基(「C1〜4アルキルアミド(amido)」又は「C1〜4アルキルアミド(amide)」)、アリール(「アリールアミド」)、アラルキル基(「アラルキルアミド」)などで置き換えられたアミド基を指す。置換アミドは一般に、−C(O)NHR又はCONHRと示すことができる。置換アミドの例として、メチルアミド(−C(O)NHMe)、エチルアミド(−C(O)NHEt)、及びプロピルアミド(−C(O)NHPr)が挙げられる。
【0026】
「二置換アミド(amido)」、「二置換カルボキサミド」、又は「二置換アミド(amide)」という用語は、アミド基の2つの水素が、例えば、C1〜4アルキル基(「ジ(C1〜6アルキル)アミド(amido)」)又は「ジ(C1〜6アルキル)アミド(amide)」)、アラルキル及びアルキル基(「アルキル(アラルキル)アミド」)などで置き換えられたアミド基を指す。二置換アミドは一般に、−C(O)NR又はCONRと示すことができる。二置換アミドの例として、ジメチルアミド(−C(O)NMe)、ジエチルアミド(−C(O)NEt)、及びジプロピルアミド(−C(O)NPr)、並びにそれらの変形(例えば、−C(O)N(Me)Etなど)が挙げられる。二置換アミドは、NRと一般に示される部分も含み、式中、R及びRは一緒に結合して、環式基、例えば3〜7員ヘテロシクリルを形成する。
【0027】
「アリール」という用語は、炭素環式(非複素環式)芳香族環を含有する任意の基を指す。該芳香族環又は環系は一般に、6個の炭素原子から構成され、フェニル(Ph)であり得る。
【0028】
「アラルキル」という用語は、C1〜6アルキル基で置換されているアリール基を指す。例として、ベンジル(−CH)及びフェネチル(−CHCH)が挙げられる。
【0029】
「ヘテロシクリル」という用語は、複素環化合物の環原子から水素原子を取り去ることによって得られる部分であって、その部分が3〜6個の環原子を有し(特に指定しない限り)、そのうち1又は2個が環ヘテロ原子であり、各ヘテロ原子が独立にO及びNから選択される部分を指す。
【0030】
この文脈において、3、4、5、6、及び7員という接頭語は、炭素原子であるかヘテロ原子であるかにかかわらず、環原子の数、又は環原子の範囲を表す。例えば、「3〜7員ヘテロシクリル」という用語は、本明細書で使用される場合、3、4、5、6、若しくは7個、又はこれらの整数のうちのいずれか2つを含む範囲の環原子を有するヘテロシクリル基に関する。ヘテロシクリル基の例として、5〜7員の単環式ヘテロシクリルが挙げられる。具体例として、オキソラン、ジオキソラン、ピロリジン、及びピロリドンが挙げられる。
【0031】
ヘテロシクリルは、芳香族ヘテロシクリル及び脂肪族ヘテロシクリルも包含する。かかる基は置換されていても置換されていなくてもよい。
【0032】
「芳香族ヘテロシクリル」という用語は、「ヘテロ芳香族」という用語又は「ヘテロアリール」若しくは「ヘタリール」という用語と互換的に使用されてもよい。芳香族ヘテロシクリル基中のヘテロ原子は独立に、N、S、及びOから選択されてもよい。
【0033】
「ヘテロアリール」は、芳香族性を有する複素環基を表すために本明細書で使用され、芳香族単環式環系を包含する。芳香族ヘテロシクリルという用語は、疑似芳香族ヘテロシクリルも包含する。芳香族ヘテロシクリル基の例はピリジニルである。
【0034】
本明細書で使用される場合、「フレーバー」及び「香料」という用語は、現地の規制が許す場合に、成人消費者用の製品に所望の味又は香りを作り出すために使用することができる材料を指す。それらとして、抽出物(例えば、甘草、アジサイ、朴の木の葉、カモミール、コロハ、チョウジ、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウインターグリーン、チェリー、ベリー、モモ、リンゴ、ドランビュイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエッセンス、バラ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、風味相乗剤、苦味受容体部位遮断剤(bitterness receptor site blocker)、感覚受容体部位活性化剤若しくは刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、シクラメート、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加剤、例えば、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息リフレッシュ剤(breath freshening agent)を挙げることができる。それらは、模造品、合成若しくは天然原材料、又はそれらのブレンドであってもよい。それらは、任意の適切な形態、例えば、油、液体、又は粉末であってもよい。
【0035】
特に定義のない限り、「任意選択で置換されている」又は「任意選択の置換基」という用語は、本明細書で使用される場合、C1〜4アルキル(直鎖及び分枝C1〜4アルキルが含まれ、C3〜6シクロアルキル部分を鎖中に又はスピロ置換基として組み込んだC1〜4アルキルがさらに含まれる)、ヒドロキシル、オキソ、C1〜4アルコキシ、カルボキシル、エステル、シアノ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アシル、ケトン、アミド、アミノアシル、置換アミド、二置換アミド、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロアリール(ここでは、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリル、並びにそれらを含有する基は、任意選択でさらに置換されていてもよい)からなる群から選択される、1、2、3、4個又はそれ以上の基、好ましくは1、2、又は3個、より好ましくは1又は2個の基でさらに置換されていても置換されていなくてもよい基を指す。
【詳細な説明】
【0036】
喫煙材
本明細書で使用される場合、「喫煙材」という用語には、加熱すると揮発成分を少なくとも部分的にエアロゾルの形態でもたらす材料が含まれる。「喫煙材」には、任意のタバコ含有材料が含まれ、例えば、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、刻みタバコ、再構成タバコ、又はタバコ代替物のうちの1つ又は複数が含まれてもよく、本明細書に記載されるタバコ組成物に限定されない。「喫煙材」には、製品に応じて、ニコチンを含有してもしなくてもよい、他の非タバコ製品も含まれてもよい。
【0037】
喫煙材を、燃焼させる又は燃やすことなく加熱して、喫煙材の少なくとも1種の成分を揮発させて、吸入可能なエアロゾルを形成する用具が知られている。かかる用具は、「非燃焼加熱式」用具、又は「加熱式タバコ製品」、又は「加熱式タバコデバイス」などと記載されることがある。この用具は典型的には一般に細長く、吸い口と呼ばれることもある開口端を有する。喫煙材は、該用具に挿入できるカートリッジ若しくはカセット若しくはロッドの形態であってもよく、又はその一部として与えられてもよい。フィルターの仕組みを吸い口に与えて、揮発された材料が使用者によって吸引されるときに、この材料をろ過及び/又は冷却してもよい。喫煙材を加熱し、揮発させるための加熱器を、用具の「恒久的」部品として与えてもよく、又は使用後に廃棄され、置き換えられる喫煙品若しくは消耗品の一部として与えてもよい。この文脈における「喫煙品」は、喫煙材を含むデバイス又は物品又は他の構成要素であり、これらは使用時に加熱されて喫煙材、及び任意選択で他の成分を揮発させる。使用時に、喫煙材は燃焼されない又は燃やされない。本明細書に記載されるタバコ組成物は、かかる喫煙品に特に有用であり、喫煙材は、該タバコ組成物を含有することができる。エアロゾル発生デバイスで使用するための代表的な喫煙材組成物は、英国特許出願第1521626.0号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0038】
本開示のエアロゾル発生デバイスは、タバコ成分と任意選択で清涼剤とを含む、喫煙材を含有する。
【0039】
清涼剤
喫煙材を燃焼させる喫煙品、例えば可燃性紙巻きタバコは、一回の喫煙の間に徐々に基材を燃焼させる。すなわち、火の付いた紙巻きタバコは、その中の基材を火の付いた端部から吸い口に向かって徐々に燃焼させる。
【0040】
喫煙材を燃焼させるような物品は、喫煙材、フィルター、又はチップペーパーのいずれかにメンソールを組み込むことが多い。メンソールは、その冷感効果及び/又はそのミントの味などの、幾つもの理由で組み込むことができる。メンソールが、例えば、可燃性紙巻きタバコの喫煙材に均一に組み込まれていれば、可燃性紙巻きタバコ全体に配置されたメンソールの一部分が徐々に揮発するので、使用者は、1回の喫煙の間を通して比較的一定の冷感効果を知覚することとなろう。
【0041】
本明細書で使用される場合、「冷感効果」は、吸入しようとするエアロゾルの熱的な冷却(すなわち、揮発の正のエンタルピー)を指すのではなく、使用者に口内の冷感をもたらすことを指す。理論に拘束されるものではないが、前記冷感は、口内のTRPM8受容体を誘発することに由来し得る。メンソールは、TRMP8アゴニストであることが知られている。
【0042】
本発明者らは、可燃性製品に使用されるメンソール含有喫煙材は、不満足な感覚プロファイルをもたらすことがあるために、エアロゾル発生デバイスでの使用に最適でないことを見出した。例えば、幾つかのエアロゾル発生デバイスは、喫煙品の外周の周りにその長手方向に配置された加熱器で喫煙材を加熱することによって、吸入可能なエアロゾルを作り出す。この配置は、喫煙材の大部分が同時に加熱されることを意味する。これは、喫煙材を燃焼させる喫煙品によってもたらされる、徐々に進行する燃焼とは異なる。よって、エアロゾル発生デバイス内のメンソール含有喫煙品から発生するエアロゾルを吸入する使用者は、揮発性メンソールが一回の使用の開始時に揮発するために短時間の冷感を知覚し得るが、その後冷感の低下を知覚する。かかる感覚プロファイルは、使用者に不適切と思われることがある。
【0043】
本発明者らは、エアロゾル発生デバイスで使用するための喫煙品に、好ましくは前記喫煙品の喫煙材に清涼剤を含めると、一回の使用の間にわたる冷感のプロファイルが変化することを見出した。一回の喫煙の間に、冷感をより長い時間にわたって検出することができ、それによってメンソールを含有する可燃性製品により類似した感覚プロファイルが得られる。特に、これらの非メンソール清涼剤は、TRPM8アゴニストであり得る。適切な清涼剤は、式(I)による化合物、それらのラセミ体、鏡像異性体、及び塩:
【化1】

(式中、
Xは、C(=O)R及びORから選択され;
Yは、H、及びORから選択され;
は、CH及びOHから選択され;
は、H及びCHから選択され;
又は、R及びRは一緒に=CH若しくは=Oを形成し;
は、任意選択で置換されており、H;C1〜4アルキル;COR;CO;及びNRから選択され;
は、任意選択で置換されており、C1〜4アルキル;COR;COから選択され;又は、YがORである場合、RはRであってもよく、R及びRは一緒に、任意選択で置換されているC2〜4アルキレン基を形成し;又はRがCHでない場合、RはHであってもよく;
は、H;(CHO(CHOH(式中、t及びuは独立に1〜4である);=O、アルコキシ、OH、COH、CH、CON(Rで任意選択で置換されているC1〜4アルキル;及び任意選択で置換されている3〜7員脂肪族ヘテロシクリルから選択され;
及びRは独立に、H;OH、CO、5〜7員ヘテロアリール、又はC1〜4アルキルで任意選択で置換されているC1〜4アルキル;C3〜6シクロアルキル;5〜7員ヘテロアリール;及びCH、CN、CHCN、CHCONH、OCH、又はOHで任意選択で置換されているフェニルから選択され;
は、H及びC1〜4アルキルから選択される)
を含んでもよく、
並びに/又は、式(II)による化合物、それらのラセミ体、鏡像異性体、及び塩:
【化2】

(式中、
’は、CH(R’)及びR’から選択され;
’は、CH(R’)及びR’から選択され、R’及びR’は、それらが結合している炭素原子と一緒に、任意選択で置換されている脂肪族3〜6員環を形成し;
’は、H、CH(R’)、及びC1〜4アルキルから選択され;
’は、OH、CO’、5〜7員ヘテロアリール、又はC1〜4アルキルで任意選択で置換されているC1〜4アルキル;CO’;C3〜6シクロアルキル;5〜7員ヘテロアリール;及びCH、CN、CHCN、CHCONH、OCH、又はOHで任意選択で置換されているフェニルから選択され;
’は、H、及びOHで任意選択で置換されているC1〜4アルキルから選択され;
’は、H及びC1〜4アルキルから選択される)
を含む。
【0044】
幾つかの実施形態では、R’及びR’は、それらが結合されている炭素原子と一緒に、任意選択で置換されているCシクロアルキレンを形成する。ある場合には、Cシクロアルキレンは、C1〜4アルキル基(複数可)で一又は二置換されていてもよい。ある場合には、R’及びR’は、それらが結合されている炭素原子と一緒に、下に図示するような2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシレン基を形成する(図中、*は結合点を示す):
【化3】
【0045】
特に好ましい場合では、この基は、以下であってもよい:
【化4】
【0046】
幾つかの実施形態では、清涼剤は、式(Ia)による化合物又は化合物の組み合わせ、それらのラセミ体、鏡像異性体、及び塩:
【化5】

(式中、
Xは、C(=O)R及びORから選択され、
は、任意選択で置換されており、H;C1〜4アルキル;COR;CO;及びNRから選択され;
は、任意選択で置換されており、C1〜4アルキル;COR;及びCOから選択され;
は、H;(CHO(CHOH(式中、t及びuは独立に1〜4である);=O、アルコキシ、OH、COH、CH、CON(Rで任意選択で置換されているC1〜4アルキル;及び任意選択で置換されている3〜7員脂肪族ヘテロシクリルから選択され;
及びRは独立に、H;OH、CO、5〜7員ヘテロアリール、又はC1〜4アルキルで任意選択で置換されているC1〜4アルキル;CO;C3〜6シクロアルキル;5〜7員ヘテロアリール;及びCH、CN、CHCN、CHCONH、OCH、又はOHで任意選択で置換されているフェニルから選択され;
は、H及びC〜Cアルキルから選択される)
並びに/又は、式(II)による化合物又は化合物の組み合わせ、それらのラセミ体、鏡像異性体、及び塩:
【化6】

(式中、
’は、CH(R’)及びR’から選択され;
’は、CH(R’)及びR’から選択され、R’及びR’は、それらが結合している炭素原子と一緒に2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシレンを形成し;
’は、H及びCH(R’)から選択され;
’は、OH、CO’、5〜7員ヘテロアリール、又はC1〜4アルキルで任意選択で置換されているC1〜4アルキル;CO’;C3〜6シクロアルキル;5〜7員ヘテロアリール;及びCH、CN、CHCN、CHCONH、OCH、又はOHで任意選択で置換されているフェニルから選択され;
’は、H及びCHから選択され;
’は、H及びC〜Cアルキルから選択される)
を含む。
【0047】
幾つかの実施形態では、清涼剤は、式(Ib)による化合物、それらのラセミ体、鏡像異性体、及び塩:
【化7】

(式中、R及びRは独立に、H;OH、CO、5〜7員ヘテロアリール、又はC1〜4アルキルで任意選択で置換されているC1〜4アルキル;C3〜6シクロアルキル;5〜7員ヘテロアリール;及びCH、CN、CHCN、CHCONH、OCH、又はOHで任意選択で置換されているフェニルから選択され;
は、H及びC1〜4アルキルから選択される)
を含んでもよい。
【0048】
幾つかの実施形態では、清涼剤は、式(IIa)による化合物、それらのラセミ体、鏡像異性体、及び塩:
【化8】

(式中、R’は、OH、CO’、5〜7員ヘテロアリール、又はC1〜4アルキルで任意選択で置換されているC1〜4アルキル;CO’;C3〜6シクロアルキル;5〜7員ヘテロアリール;及びCH、CN、CHCN、CHCONH、OCH、又はOHで任意選択で置換されているフェニルから選択され;
’は、H及びC1〜4アルキルから選択される)
を含んでもよい。
【0049】
誤解を避けるために述べると、式(I)又は(II)による清涼剤はメンソールではない。
【0050】
好ましい実施形態では、清涼剤は、本明細書に記載される任意の化合物又は化合物の組み合わせを含んでもよく、ここでは、該化合物(複数可)はGRASである(アメリカ食品医薬品局によって一般に安全と認められる)。
【0051】
特に、清涼剤は以下の化合物から選択されてもよい:
【0052】
【表1】





【0053】
特に適した清涼剤は、
1 N−エチル−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド(別名WS−3、CAS:39711−79−0、FEMA:3455);
2 2−イソプロピル−N−[(エトキシカルボニル)メチル]−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド(別名WS−5、CAS:68489−14−5、FEMA:4309);
3 2−イソプロピル−N−(4−メトキシルフェニル)−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミド(別名WS−12、FEMA:4681);
8 2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブタンアミド(別名WS−23、FEMA:3804);
又はそれらの組み合わせ
からなる群から選択される化合物を含んでもよい。
【0054】
特定の実施形態では、清涼剤は、N−エチル−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミドを含む。さらなる実施形態では、清涼剤は、N−エチル−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボキサミドから本質的になる。
【0055】
清涼剤は、喫煙材中若しくは喫煙材上、又はフィルター内など、喫煙品のどこに位置してもよい。好ましい場合では、清涼剤は、喫煙材中に位置してもよい。清涼剤は、喫煙材中に含浸されてもよい。
【0056】
本発明者らは、清涼剤をエアロゾル発生デバイス内でメンソールと組み合わせる、特に好ましい実施形態を見出した。使用者によって知覚される清涼剤及びメンソールを含む前記実施形態からの冷感は、メンソール及び清涼剤の清涼効果を単に加算することによって予想されるものより強度が大きく、時間が長い。
【0057】
喫煙材は、清涼剤及びメンソールを任意の適切な量で含んでもよく、例えば、清涼剤:メンソール(w/w)の比率は、約1:1〜約1:150;又は約1:2〜約1:50、又は約1:10〜約1:40、又は約1:30であってもよい。幾つかの実施形態では、清涼剤:メンソール(w/w)の比率は、1:150未満、又は1:50未満、又は1:40未満、又は1:35未満であってもよい。幾つかの実施形態では、清涼剤:メンソール(w/w)の比率は、1:1超、又は1:2超、又は1:5超、又は1:10超、又は1:25超であってもよい。
【0058】
ある場合には、清涼剤がメンソールより低い蒸気圧を有する化合物を含むと有益であり得る。すなわち、清涼剤がメンソールより揮発性の低い化合物を含むと有益であり得る。例えば、該化合物は、20℃で約106Pa未満、約100Pa未満、又は約90Pa未満の蒸気圧を有してもよい。
【0059】
代替的に又は追加的に、該化合物は、メンソールより高い沸点を有してもよい。例えば、該化合物は、約220℃、又は250℃、又は300℃、又は350℃、又は400℃より高い沸点を有してもよい。
【0060】
よって、本発明の一実施形態は、タバコ成分を含む喫煙材及び清涼剤、並びに該喫煙材を使用時に加熱するが燃焼させないように配置された熱源を含み、該清涼剤が上に記載されるものから選択される、エアロゾル発生デバイスである。本発明の好ましい実施形態は、清涼剤を喫煙材の成分として設ける。
【0061】
タバコ成分
本明細書に記載されるタバコ組成物において、タバコ成分は、紙状再構成タバコ(paper reconstituted tobacco)を含有する。タバコ成分は、葉タバコ、押出タバコ(extruded tobacco)、及び/又はバンドキャストタバコ(bandcast tobacco)を含有してもよい。
【0062】
本明細書に記載されるタバコ組成物において、タバコ組成物は、充填剤成分を含有してもよい。充填剤成分は一般に、非タバコ成分、すなわち、タバコに由来する原材料を含まない成分である。充填剤成分は、木材繊維若しくはパルプ又は小麦繊維などの非タバコ繊維であってもよい。充填剤成分はまた、チョーク、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイダルシリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウムなどの無機材料であってもよい。充填剤成分はまた、非タバコキャスト材料であっても非タバコ押出材料であってもよい。充填剤成分は、タバコ組成物の0〜20重量%の量、又は該組成物の1〜10重量%で存在してもよい。幾つかの実施形態では、充填剤成分は存在しない。
【0063】
本明細書に記載されるタバコ組成物において、タバコ組成物は、エアロゾル発生剤を含有する。この文脈において、「エアロゾル発生剤」とは、エアロゾルの発生を促進する作用物質である。エアロゾル発生剤は、初期の揮発を促進することにより、並びに/又は気体から吸入可能な固体及び/若しくは液体エアロゾルへの凝縮を促進することにより、エアロゾルの発生を促進することができる。幾つかの実施形態では、エアロゾル発生剤は、エアロゾル発生材料からのフレーバーの送達を向上させることができる。
【0064】
一般に、任意の適切なエアロゾル発生剤(1種又は複数)が、本発明のエアロゾル発生材料に含まれてもよい。適切なエアロゾル発生剤として、ポリオール、例えば、ソルビトール、グリセロール、及びグリコール、例えば、プロピレングリコール又はトリエチレングリコール;非ポリオール、例えば、一価アルコール、高沸点炭化水素、酸、例えば乳酸、グリセロール誘導体、エステル、例えば、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチル、又はミリスチン酸エステル(ミリスチン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルが含まれる)、並びに脂肪族カルボン酸エステル、例えば、ステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル、及びテトラデカン二酸ジメチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
幾つかの実施形態では、エアロゾル発生剤は、グリセロール、プロピレングリコール、又はグリセロールとプロピレングリコールとの混合物であってもよい。グリセロールは、タバコ組成物の10〜20重量%、例えば、該組成物の13〜16重量%、又は該組成物の14〜15重量%の量で存在してもよい。プロピレングリコールは、存在する場合、該組成物の約2%、1.8%、又は1.6重量%までの量で存在してもよい。プロピレングリコールは、存在する場合、該組成物の0.1〜1.6又は0.1〜0.3重量%の量で存在してもよい。
【0066】
エアロゾル発生剤は、タバコ組成物の任意の成分に含まれてもよく、例えば、任意のタバコ成分、及び/又は、存在する場合充填剤成分に含まれてもよい。代替的に又は追加的に、エアロゾル発生剤は、タバコ組成物とは別に添加されてもよい。いずれの場合も、タバコ組成物中のエアロゾル発生剤の総量は、本明細書に定義される通りであるべきである。
【0067】
本明細書に記載されるタバコ組成物は、ニコチンを含有する。ニコチン含有量は、タバコ組成物の0.5〜2.5重量%であり、例えば、タバコ組成物の0.8〜1.2重量%であってもよい。実施形態では、ニコチン含有量は、タバコ組成物の0.8〜1.0重量%であってもよい。驚いたことに、加熱式タバコ製品に使用されるとき、ニコチン含有量が多過ぎれば、使用時にエアロゾルを吸入したときに不快な感覚が生じることがあることが見出された。
【0068】
本明細書に記載される組成物において量が重量%で示される場合、誤解を避けるために述べると、特にそうでないことが示されない限り、重量%は乾燥重量基準を指す。よって、タバコ組成物中又はその任意の成分中に存在し得るいかなる水も、重量%を決定するために完全に無視される。本明細書に記載されるタバコ組成物の含水量は変動することがあり、例えば、5〜15重量%であり得る。本明細書に記載されるタバコ組成物の含水量は、例えば、組成物が維持される温度、圧力、及び湿度条件によって変動し得る。含水量は、本明細書に記載されるような、カールフィッシャー分析又はガスクロマトグラフィーによって決定することができる。
【0069】
一方、誤解を避けるために述べると、エアロゾル発生剤が、グリセロール又はプロピレングリコールなどの液相の成分であっても、水以外のいかなる成分もタバコ組成物の重量に含まれる。しかし、エアロゾル発生剤が、タバコ組成物とは別に添加される代わりに又はそれに加えて、タバコ組成物のタバコ成分中又はタバコ組成物の充填剤成分(存在する場合)中に与えられているとき、エアロゾル発生剤は、タバコ成分又は充填剤成分の重量に含まれるのではなく、「エアロゾル発生剤」の重量に本明細書に定義される通りの重量%で含まれる。タバコ成分中に存在する他のすべての原材料は、非タバコ由来(例えば、紙状再構成タバコの場合の非タバコ繊維)であってもタバコ成分の重量に含まれる。
【0070】
ある実施形態では、タバコ組成物は、本明細書に定義される通りのタバコ成分及び本明細書に定義される通りのエアロゾル発生剤を含む。ある実施形態では、タバコ組成物は、本明細書に定義される通りのタバコ成分及び本明細書に定義される通りのエアロゾル発生剤から本質的になる。ある実施形態では、タバコ組成物は、本明細書に定義される通りのタバコ成分及び本明細書に定義される通りのエアロゾル発生剤からなる。
【0071】
紙状再構成タバコ
紙状再構成タバコは、本明細書に記載されるタバコ組成物のタバコ成分中に、タバコ成分の70〜100重量%の量で存在する。実施形態では、紙状再構成タバコは、タバコ成分の80〜100重量%、又は90〜100重量%の量で存在する。さらなる実施形態では、タバコ成分は、紙状再構成タバコから本質的になるか、又は紙状再構成タバコからなる。
【0072】
紙状再構成タバコとは、タバコ供給原料を溶媒で抽出して可溶化物の抽出物及び繊維性材料を含む残留物を得、次いで抽出物(通常、濃縮後、及び任意選択でさらなる加工後)を残留物からの繊維製材料(通常、繊維性材料の精製後、及び任意選択で非タバコ繊維部分を添加後)と、抽出物を繊維性材料上に堆積させることによって再結合させるプロセスによって形成されるタバコ材料を指す。再結合プロセスは、製紙プロセスと類似している。
【0073】
紙状再構成タバコは、当技術分野で公知のいずれのタイプの紙状再構成タバコであってもよい。特定の実施形態では、紙状再構成タバコは、タバコストリップ(tobacco strips)、タバコ茎(tobacco stems)、及び全葉タバコのうちの1つ又は複数を含む供給原料から作製される。さらなる実施形態では、紙状再構成タバコは、タバコストリップ及び/又は全葉タバコ、並びにタバコ茎からなる供給原料から作製される。しかし、他の実施形態では、屑(scraps)、微粉(fines)、及び風選物(winnowings)を供給原料に代替的に又は追加的に用いることができる。
【0074】
本明細書に記載されるタバコ組成物に使用するための紙状再構成タバコは、紙状再構成タバコを調製する当業者に公知の方法によって調製されてもよい。
【0075】
葉タバコ
葉タバコは、本明細書に記載されるタバコ組成物に任意選択で含まれてもよい。葉タバコが含まれる場合、葉タバコは、例えば、タバコ成分の10〜30重量%、又は10〜20重量%の量で存在してもよい。
【0076】
本明細書に記載されるタバコ組成物に使用されてもよい葉タバコは、バージニア種(熱気送管乾燥種)及び/又はバーレイ種及び/又はオリエンタル種を含めた、単一の等級又はブレンド、刻んだ断片又は全葉などの任意の適切なタバコであってもよい。
【0077】
葉タバコは、エアロゾル発生剤(本明細書に定義される通り)、ケーシング(本明細書に定義される通り)、及びフレーバー(本明細書に定義される通り)などの原材料を含んでもよい。
【0078】
押出タバコ
押出タバコは、本明細書に記載されるタバコ組成物に任意選択で含まれてもよい。押出タバコが含まれる場合、押出タバコは、例えば、タバコ成分の10〜30重量%、又は10〜20重量%の量で存在してもよい。
【0079】
本明細書に記載されるタバコ組成物に使用されてもよい押出タバコは、押出タバコを調製する当業者に公知の方法によって調製されてもよい。
【0080】
幾つかの実施形態では、押出タバコは以下のように調製することができる。
【0081】
タバコ構成物(tobacco furnish)は、バージニア種(熱気送管乾燥種)タバコ、バーレイ種タバコ、及び/又はオリエンタル種タバコを含んでもよい。タバコ構成物は、茎、屑、ストリップ、微粉、又は風選物であってもよい。
【0082】
追加成分として、非タバコ繊維、例えば、ワラ繊維又はコムギ繊維;結合剤、例えば、セルロース又は変性セルロース、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース及びカルボキシメチルセルロース;並びにケーシング、例えば、リンゴ酸などの酸が挙げられてもよい。
【0083】
バンドキャストタバコ
バンドキャストタバコは、本明細書に記載されるタバコ組成物に任意選択で含まれてもよい。バンドキャストタバコが含まれる場合、バンドキャストタバコは、例えば、タバコ成分の10〜30重量%、又は10〜20重量%の量で存在してもよい。
【0084】
本明細書に記載されるタバコ組成物に使用されてもよいバンドキャストタバコは、バンドキャストタバコを調製する当業者に公知の方法によって調製されてもよい。
【0085】
バンドキャストタバコは、タバコ又はタバコ抽出物(又は両方)、充填剤、エアロゾル発生剤(本明細書に定義される通り)、及び結合剤を含んでもよい。
【0086】
このセクションでバンドキャストタバコ中の原材料として考察されるような充填剤は、本明細書に定義される通りのタバコ組成物に存在してもよい充填剤成分とは異なるが、類似の材料が充填剤成分に使用されてもよい。
【0087】
充填剤は、バンドキャストタバコ材料を硬練りにするために必要となることがあり、これは、材料が下流で加工される(細断、ブレンド、圧延、圧着、成形など)場合があるということを意味する。充填剤は、1種又は複数の無機充填剤材料を含んでもよく、これらとして、チョーク、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイダルシリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、及び適切な無機吸着剤、例えば分子ふるいが挙げられるが、これらに限定されない。チョークは、特に適切である。ある場合には、充填剤は、1種又は複数の有機充填剤材料を含んでもよく、これらとして、木材パルプ、セルロース、及びセルロース誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
幾つかの実施形態では、充填剤は、バンドキャストタバコ中の他の物質の吸着剤及び/又は担体として働いてもよい。幾つかの実施形態では、充填剤は、加熱時に他の物質が放出される前にそれらを吸着する構造体として働いてもよい。幾つかの実施形態では、充填剤は、エアロゾル発生剤(本明細書に定義される通り)の吸着剤及び/又は担体として働いてもよい。
【0089】
結合剤は、アルギネート、セルロース又は変性セルロース、デンプン又は化工デンプン、ゼラチン、及び天然又は合成ゴムのうちの1種又は複数を含んでもよい。
【0090】
適切な結合剤として、任意の適切な陽イオンを含むアルギン酸塩;セルロース又は変性セルロース、例えばヒドロキシプロピルセルロース及びカルボキシメチルセルロース;デンプン又は化工デンプン;多糖、例えば、任意の適切な陽イオンを含むペクチン塩、例えば、ペクチン酸ナトリウム、カリウム、カルシウム又はマグネシウム;キサンタンガム、グアーガム、及び任意の他の適切な天然ガム;並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、結合剤は、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、又はアルギン酸アンモニウムから選択される1種又は複数のアルギン酸塩を含む、それらから実質的になる、又はそれらからなる。
【0091】
バンドキャストタバコは、香料(本明細書に定義される通り)及びケーシング(本明細書に定義される通り)などの追加的な原材料をさらに含んでもよい。
【0092】
バンドキャストタバコは、熱伝導性粒子をさらに含んでもよい。これらの熱伝導性粒子は、使用時にバンドキャストタバコを通る熱伝達の速度を向上させることができる。
【0093】
幾つかの実施形態では、バンドキャストタバコは、タバコ抽出物に加えて、挽いたタバコ、タバコ繊維、刻んだタバコ、押出タバコ、タバコ茎及び/又は再構成タバコなどのさらなるタバコ材料を追加的に含んでもよい。
【0094】
特定の実施形態では、喫煙材は、喫煙材の60〜90重量%の量のタバコ成分、喫煙材の0〜20重量%の量の充填剤、及びタバコ組成物の10〜20重量%の量のエアロゾル発生剤を含み、該タバコ組成物は、タバコ組成物の0.5〜1.5重量%のニコチン含有量を有し;該タバコ成分は、タバコ成分の70〜100重量%の量の紙状再構成タバコを含む。喫煙材は、本明細書に定義される通りの清涼剤及び/又はメンソールを追加的に含んでもよい。例えば、清涼剤は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(II)、若しくは(IIa)による化合物(1種又は複数)、及び/又はメンソールを含んでもよい。
【0095】
吸入可能なエアロゾルを発生させるデバイス
本明細書に記載されるタバコ組成物は、吸入可能なエアロゾルを発生させるデバイス内に使用することができる。該デバイスは、本明細書に記載される通りのタバコ組成物、及び使用時に成分を揮発させてエアロゾルを形成する加熱手段を含む。種々のかかるデバイスは当技術分野で公知であり、実施例が国際出願PCT/EP2014/072828に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0096】
幾つかの実施形態では、加熱手段は電気的加熱手段である。幾つかの実施形態では、電気的加熱手段は電気抵抗発熱体である。幾つかの実施形態では、エアロゾル発生材料の加熱は、材料の相当な燃焼を何ももたらさない。幾つかの実施形態では、加熱は、エアロゾル発生材料の燃焼をもたらさない、又は本質的にもたらさない。幾つかの実施形態では、デバイスは、非燃焼加熱式デバイスであり、加熱式タバコデバイス又は加熱式タバコ製品としても公知である。かかるデバイスは、従来の可燃性紙巻きタバコの代替物として開発された、非燃焼型の喫煙品である。これらのデバイスは、タバコ材料を加熱することによってタバコの成分を揮発させ、タバコ又は揮発性物質の熱分解又は燃焼を回避する。揮発した成分は凝縮して吸入可能なエアロゾルを形成する。エアロゾルは、水、エアロゾル発生剤(本明細書に定義される通り)、ニコチン、及び任意選択でフレーバー及び香りなどの他のタバコ成分を含むことが多い。よって、幾つかの実施形態では、該デバイスは、タバコを熱分解又は燃焼させることなくタバコを加熱して成分を揮発させるものである。
【0097】
電気を使用して喫煙品中のタバコ組成物を加熱することには多くの利点がある。特に、加熱することには、燃焼を使用することに優る多くの利点がある。燃焼は、酸化的分解反応、熱分解、熱合成、及び蒸留を含み得る相互作用的な物理化学過程の組み合わせによってエアロゾルを発生させる複雑な過程である。これによって、一般に複雑なエアロゾルが発生する。例えば、タバコを含む可燃性喫煙品から生じる煙は、特定された5000超の構成要素の複雑で動的な混合物である。燃焼の発熱過程は自動継続可能であり、可燃性マトリックスを分解するのに十分な発熱速度及び熱出力量をもたらすことができる。ある場合には、該マトリックスは、無機、不燃性材料を含み得る灰残渣に完全に分解されることもある。燃焼している紙巻きタバコでは、燃焼の発熱反応のために極めて高い温度に達し得る。紙巻きタバコを吸う合間(吸う間のくすぶっている時間)に、紙巻きタバコのタバコロッド中の燃焼帯の中心は800℃の高さの温度に達し得る。紙巻きタバコを吸っている間、紙巻きタバコのタバコロッド中の燃焼帯の周囲は910℃の高さの温度に達し得る。
【0098】
電気的加熱システム(加熱式タバコ製品又は加熱式タバコデバイスとしても公知の、幾つかの非燃焼加熱式デバイスなど)を使用することは、発熱に燃焼を使用するのと比較して、発熱の速度を制御しやすく、より低いレベルの熱を発生させやすいために有利である。幾つかの実施形態では、該デバイスは、使用者が電気的加熱を開始できるようにするアクチュエータを含む。
【0099】
したがって、電気的加熱システムを使用すると、タバコ組成物からのエアロゾルの発生をより多く制御できるようになる。さらに、電気的加熱システムを使用すると、燃焼による分解によってではなく、燃焼を起こさずにエアロゾルを発生させることができるようになる。適切な電気的加熱システムは、抵抗加熱器及び/又は誘導加熱器を使用してもよい。
【0100】
幾つかの実施形態では、本発明のデバイスは、エアロゾルの複数回の送達又は用量をもたらすことが可能である。すなわち、タバコ組成物を加熱して、複数回吸うことを可能にするのに十分なエアロゾルを生成することができる。これは、複数回の送達に適した量のエアロゾルを生成するのに十分な時間タバコ組成物を加熱することによって達成し得る。幾つかの実施形態では、これは、タバコ組成物を常時加熱することを含んでもよい。代替的に、これは、タバコ組成物を連続的に、より短い時間加熱することを含んでもよく、任意選択で各時間にエアロゾルの単回の送達又は用量を生じてもよい。
【0101】
幾つかの実施形態では、該デバイスは、タバコ組成物を約50〜350℃、100〜350℃、150〜350℃、150〜330℃、又は180〜300℃の間の温度に加熱するように構築されてもよい。
【0102】
幾つかの実施形態では、タバコ組成物、又はタバコ組成物を含む喫煙材はカートリッジ内に与えられてもよく、該カートリッジはデバイス内に差し込み可能であってもよい。これらの実施形態の幾つかでは、このカートリッジは交換可能であってもよい。幾つかの実施形態では、該カートリッジは、エアロゾル発生デバイスの他の部品と任意の適切な方式で組み合わされてもよい。幾つかの実施形態では、該カートリッジは、該デバイスの他の部品に摩擦嵌め及び/又はねじ嵌め及び/又はプレス嵌めによって取り付けられてもよい。よって、タバコ組成物は、喫煙材を加熱する用具と共に使用されるように、消耗品である喫煙品中に供給されてもよい。
【0103】
喫煙品の物理的実施形態
喫煙品は、例えば、マウスピース、冷却チャンバー/要素、及びフィルターのうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0104】
マウスピースは、例えば、紙、例えば、らせん状にねじれた紙管の形態の紙、酢酸セルロース、厚紙、ひだ付き紙、例えば、ひだ付き耐熱紙若しくはひだ付き硫酸紙、及びポリマー材料、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、又は他の適切な材料から形成されてもよい。マウスピースは、管を含んでもよい。管は、中空管であってもよい。かかる中空管によって、揮発した喫煙材をろ過するろ過機能及び/又は冷却機能がもたらされてもよい。管は、喫煙材を加熱する用具本体の極めて熱い部分(複数可)から離間させるために細長くてもよい。
【0105】
フィルターはフィルタープラグであってもよく、例えば、酢酸セルロースから作製されてもよい。フィルターは、存在する場合、マウスピースの下流端に位置してもよい。
【0106】
冷却チャンバー/要素は、熱いガス流の成分を凝縮させてエアロゾルが形成できるようにするために設けられる。冷却チャンバー/要素は、マウスピースの一部として設けられてもよい。冷却チャンバー/要素は、存在する場合、マウスピースの上流端に位置してもよい。冷却要素は、第1及び第2の端部を有し、第1の端部と第2の端部との間に延びる複数の貫通孔を含む、一体構造のロッドであってもよい。
【0107】
マウスピース、フィルター、及び/又は冷却要素は、チップペーパーによって喫煙材に接合されてもよく、チップペーパーは、マウスピース/フィルター/冷却要素及び喫煙材の少なくとも隣接端部の周りに巻き付けられる。
【0108】
喫煙品を調製する方法
本発明の喫煙品は、任意の適正な方法によって調製されてもよい。特に、喫煙品は、清涼剤をタバコ成分に施して喫煙材を形成することを含む方法であって、該清涼剤が本明細書に定義される通りである(すなわち、式(I)又は(II)による化合物(1種又は複数)を含む)方法によって製造されてもよい。喫煙材をフィルターと組み合わせて喫煙品を得てもよい。一実施形態では、メンソールもタバコ成分に施される。一実施形態では、フィルターはメンソールで処理されている。特に、フィルターは、メンソールで処理されているアセテートトウを含んでもよい。
【0109】
喫煙品用容器
本明細書に記載される通りの喫煙品は、エアロゾル発生デバイスで使用される前に容器内に格納されてもよい。かかるパックは、喫煙品を格納するためのチャンバー、及び該チャンバーから喫煙品を取り外しできる開口部を画定する容器を含んでもよい。該パックは、容器内に配置された1つ又は複数の喫煙品を含有してもよく、該喫煙品は、タバコ成分とメンソールとを含む喫煙材料、及びメンソールを含むフィルターを含む。一実施形態では、チャンバーの少なくとも一部がホイル紙で裏打ちされ、該ホイル紙がメンソールを含む。すなわち、メンソールは、喫煙材料中、フィルター中、及びチャンバーのホイル紙中に位置している。本発明者らは、メンソールをこれらの3つの位置(喫煙材、フィルター、及びパック中のホイル紙)に含めると、高レベルのメンソールを消費中の使用者に送達する消耗品が得られ、よって使用者の喫煙感覚が向上することを見出した。
【0110】
さらなる実施形態では、喫煙材料、フィルター、及びホイル紙のうちの少なくとも1つが、本明細書に定義される通りの清涼剤をさらに含む。別の実施形態では、喫煙材料、フィルター、及びホイル紙のうちの少なくとも2つが、本明細書に定義される通りの清涼剤(すなわち、式(I)又は(II)による化合物(1種又は複数)を含む清涼剤)を含む。すなわち、喫煙材料及びフィルターが本発明による清涼剤を含んでもよく、喫煙材料及びホイル紙が本発明による清涼剤を含んでもよく、又はフィルター及びホイル紙が本発明による清涼剤を含んでもよい。さらなる実施形態では、喫煙材料、フィルター、及びホイル紙がすべて、本発明による清涼剤を含む。
【0111】
その他
本明細書に記載される様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解及び教示を助けるために提示されるに過ぎない。これらの実施形態は、実施形態の代表的な実例として提供されるに過ぎず、網羅的及び/又は排他的なものではない。本明細書に記載される利点、実施形態、実施例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義される通りの本発明の範囲を限定するもの又は特許請求の範囲の等価物を限定するものとして考えるべきではなく、特許請求される発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、修正を行うことができることが理解されるべきである。本発明の様々な実施形態は、本明細書に具体的に記載されるもの以外の、本開示の要素、成分、特徴、部品、ステップ、手段などの適正な組み合わせを適切に含む、それらから適切になる、又はそれらから本質的に適切になることができる。加えて、本開示は、現在のところ特許請求されていないが将来的に特許請求される可能性のある他の発明を含むことができる。