(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989154
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】生物学的活性成分の結腸標的組成物、およびその利用
(51)【国際特許分類】
A61K 47/38 20060101AFI20211220BHJP
A61K 35/741 20150101ALI20211220BHJP
A61K 35/745 20150101ALI20211220BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20211220BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
A61K47/38
A61K35/741
A61K35/745
A61K9/20
A61P3/02
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-546961(P2019-546961)
(86)(22)【出願日】2017年11月9日
(65)【公表番号】特表2020-500927(P2020-500927A)
(43)【公表日】2020年1月16日
(86)【国際出願番号】CN2017110074
(87)【国際公開番号】WO2018086550
(87)【国際公開日】20180517
【審査請求日】2020年9月11日
(31)【優先権主張番号】201611013848.3
(32)【優先日】2016年11月11日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519167346
【氏名又は名称】南京希尓寿生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】張鈞寿
(72)【発明者】
【氏名】孫超男
(72)【発明者】
【氏名】張昊
【審査官】
山村 祥子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/087259(WO,A1)
【文献】
国際公開第2016/003870(WO,A1)
【文献】
Asian Journal of Pharmaceutical and Clinical Research,2012年,Vol.5, Suppl.4,p.92-96
【文献】
Chem. Pharm. Bull. ,2003年,51(8),p.978-983
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00
A61K 9/00
A61K 45/00
A61K 35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的活性成分の結腸標的組成物であって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、生物学的活性成分と、補助剤と、を含み、
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量百分率は40〜90%であり、前記生物学的活性成分の重量百分率は10〜40%であり、前記補助剤の重量百分率は0〜50%であり、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースの粘度は15,000mPa・s〜200,000mPa・sであり、
前記生物学的活性成分はプロバイオティクスである、組成物。
【請求項2】
前記プロバイオティクスは、ビフィズス菌、乳酸桿菌およびグラム陽性球菌のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ビフィズス菌は、ビフィズス菌ラクティス、ビフィズス菌インファンティス、ビフィズス菌ビフィダム、ビフィズス菌ロンガム、ビフィズス菌ブレーベおよびビフィズス菌アドレセンティスのうちの1つ以上であり、前記乳酸桿菌は、乳酸桿菌アシドフィルス、乳酸桿菌カゼイ、乳酸桿菌クリスパタス、乳酸桿菌デルブリュッキ菌亜種ブルガリス、乳酸桿菌デルブリュッキ菌亜種、乳酸桿菌ファーメンタム、乳酸桿菌ガセリ、乳酸桿菌ヘルベティカス、乳酸桿菌ジョンソニ、乳酸桿菌パラカゼイ、乳酸桿菌プランタルム、乳酸桿菌ロイテリ、乳酸桿菌ラムノサスおよび乳酸桿菌サリバリウスのうちの1つ以上であり、前記グラム陽性球菌は、連鎖球菌フェカリスおよびラクトコッカスのうちの1つ以上である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物中のプロバイオティクスの量は、0.01億〜1200億cfu/gである、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項5】
前記補助剤は、前記生物学的活性成分の生存安定性に有益な栄養物質、前記生物学的活性成分の結腸標的送達に有益な薬用補助剤もしくは食品添加剤、および/または、製剤自体の性質を最適化するその他の補助剤を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物を含む、生物学的活性成分の結腸標的製剤。
【請求項7】
前記製剤の剤形は、錠剤であり、前記錠剤は、一錠につき、≦500mgの重量および≦10mmの直径を有する、請求項6に記載の生物学的活性成分の結腸標的製剤。
【請求項8】
生物学的活性成分の結腸標的製剤の作製における、請求項1〜5の何れか1項に記載の組成物の使用。
【請求項9】
請求項7に記載の生物学的活性成分の結腸標的製剤を作製する方法であって、
(1)操作温度<28℃および湿度<40%の下、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、前記生物学的活性成分と、前記補助剤とを混合する工程と、
(2)混合物を直接的に乾式プレスして錠剤とするか、乾式造粒後にプレスして錠剤とする工程と、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、食品、健康製品および薬品の技術分野に属し、具体的には、生物学的活性成分の結腸標的組成物、並びにその製剤および作製方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
生物学的活性成分は、生理学的活性を有する一大分類の成分である。適切な生物学的活性成分を取り入れることは、栄養改善、疾病の予防および治療、並びに健康管理に対し、重要な役割を果たすことができる。しかしながら、大多数の生物学的活性成分は、経口服用の場合、以下のような問題がよく生じる。1)上部消化管の環境(例えば胃酸、消化酵素など)により、大部分の生物学的活性成分の活性が著しく破壊され、当該活性成分が十分に作用することができなくなる。2)経口服用後に、生物学的活性成分は胃および小腸に大量に存在し、当該成分は効果的に人体に吸収、利用されることができず、容易に生体へのダメージと同等の結果となる。3)苛烈な生産および加工条件(例えば温度、湿度、および何らかの溶剤の導入)は、成分の活性を破壊する。
【0003】
上記の問題に対し、結腸標的デリバリーシステムは、適切な方法を用いることにより、胃、十二指腸、空腸および回腸内での活性物質の放出を回避することができるものの、活性物質を直接的に患者の結腸に運んで、結腸内で放出させることができる。これにより、結腸における活性物質の局所濃度が高くなり、活性物質は、十分に吸収され、治療および健康管理において役割を果たすことができる。また、胃および小腸内での活性物質の放出が回避されることにより、副作用が低減し、胃酸に破壊され易い活性物質、または、ペプシンもしくは膵液酵素により代謝され易い活性物質の生物学的利用能が向上する。これにより、上述した欠点は大いに改善される。
【0004】
剤形は、現代の薬剤作製技術と組み合わせて設計される。結腸標的投薬のためのデリバリーシステムは、主に時間遅延ドラッグデリバリーシステム、pH依存性ドラッグデリバリーシステム、酵素トリガー型ドラッグデリバリーシステム、圧力依存性ドラッグデリバリーシステムおよびプロドラッグ型ドラッグデリバリーシステムに分けられる。時間遅延ドラッグデリバリーシステムは、物質が経口服用後に胃および小腸を順に通過した後に結腸に到達するのに5〜6時間を要するという遅延特性を利用することにより、薬剤が胃および小腸での放出するのを回避するものの、結腸に到達してから薬剤を放出させることができる。pH依存性ドラッグデリバリーシステムは、胃腸管の異なるpHを利用し、コーティング法を選択することによって結腸に放出させる目的を達成している。コーティング作製工程は複雑である。また、当該工程は、一定の温度下で溶剤を完全に揮発させる必要がある溶剤を用いる必要がある。したがって、このような方法では、生物学的活性成分の活性が著しく低下する可能性が非常に高い。また、酵素トリガー型ドラッグデリバリーシステム、圧力依存性ドラッグデリバリーシステム、およびプロドラッグ型ドラッグデリバリーシステムは、現在は非常に注目されているが、それらの非一般的なもの、固有の複雑性、およびひいては専用装置および複雑な処理工程の必要性により制限される。このような制限は、研究および開発の複雑性が増すのみならず、製品を大規模に生産する可能性が非常に低い。
【0005】
生物学的活性成分、特に有益な微生物の活性は、関連する作製の作製工程の間の僅かに高くなった温度または湿度、溶剤またはその他の物質の影響に耐えることが難しい。したがって、その結腸標的デリバリーシステムの研究および開発は非常に制限されている。複雑な作製工法ほど、しばしば活性の破壊が大きくなることになる。その結果、結腸標的性のプロバイオティクスに関連する市販品は未だにない。
【0006】
従来のプロバイオティクス作製技術は、プロバイオティクスの細菌を、胃を通過して小腸内に放出させることができる。しかしながら、たとえそうでも、プロバイオティクスが小腸内に過度に集まる場合、重度な腸内毒素症のような安全性の問題が生じ得る(CN200910229403.2)。従来のプロバイオティクス作製技術は、プロバイオティクスを胃腸管の遠位部分(回腸を含む)に送達することができるが、直接的に結腸まで標的としている送達を達成することができないため、プロバイオティクスの利用率は最適に近づけることができない(US2016022592)。従来のプロバイオティクス作製技術は、用いられる補助剤の安全性の問題も有している(ALBERTINI B, VITALI B, PASSERINI N, et al. Development of microparticulate systems for intestinal delivery of Lactobacillus acidophilus and Bifidobacterium lactis [J]. European Journal of Pharmaceutical Sciences, 2010, 40(4):359-366.)。従来のプロバイオティクス作製技術は、作製工程において用いられる溶剤、作製の間に上昇する温度または湿度等による、プロバイオティクスの活性への影響は避けられない(KLEMMER K J, KORBER D R, NICHOLAS H, et al. Pea proteinbased capsules for probiotic and prebiotic delivery [J]. International Journal of Food Science and Technology, 2011, 46 (11):2248-2256.)。従来のプロバイオティクス作製技術では、効果的な経口服用の剤形の必要条件を満たすために、必要とされる補助剤は体積が大きいため、担持される生菌数が比較的少ない。さらに、従来のプロバイオティクス作製技術は、作製工程が複雑であり、工業生産のために用いることは困難である(CALINESCU C, MATEESCU M A. Carboxymethyl high amylase starch: chitosan self-stabilized matrix for probiotic colon delivery [J]. European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics, 2008, 70(2):582-589.)。
【0007】
〔発明の概要〕
本発明の目的は、生物学的活性成分の大部分が胃および小腸を通過して結腸に到達した後に放出することができることにより、その生体内活性をより好適に発揮させるように、生物学的活性成分の生物学的利用能を向上させる、生物学的活性成分の結腸標的組成物、および当該組成物を含む製剤を提供することである。これにより、従来技術に存在する上述した問題が解決される。
【0008】
本発明は、下記の態様により達成される。
【0009】
第1の態様において、本発明は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)に基づく生物学的活性成分の結腸標的組成物であって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、生物学的活性成分と、補助成分と、を含み、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量百分率が10〜99%、前記生物学的活性成分の重量百分率が1〜60%、前記補助剤の重量百分率が0〜80%であり、より好ましくは、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量百分率が40〜90%、前記生物学的活性成分の重量百分率が10〜40%、前記補助剤の重量百分率が0〜50%であり、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースの粘度が1000mPa・sよりも大きい、組成物を提供する。
【0010】
好ましくは、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースの粘度は、15,000mPa・s〜200,000mPa・sである。
【0011】
好ましくは、前記生物学的活性成分は微生物である。より好ましくは、前記微生物はプロバイオティクスであり、前記プロバイオティクスは、食品、健康製品および薬品への使用が許容されるビフィズス菌(bifidobacteria)、乳酸桿菌(lactobacilli)およびグラム陽性球菌(gram-positive cocci)のうちの1つ以上を含み、好ましくは、前記ビフィズス菌(bifidobacteria)は、ビフィズス菌ラクティス(bifidobacterium lactis)、ビフィズス菌インファンティス(bifidobacterium infantis)、ビフィズス菌ビフィダム(bifidobacterium bifidum)、ビフィズス菌ロンガム(bifidobacterium longum)、ビフィズス菌ブレーベ(bifidobacterium breve)およびビフィズス菌アドレセンティス(bifidobacterium adolescentis)のうちの1つ以上であり、前記乳酸桿菌(lactobacilli)は、乳酸桿菌アシドフィルス(lactobacillus acidophilus)、乳酸桿菌カゼイ(lactobacillus casei)、乳酸桿菌クリスパタス(lactobacillus crispatus)、乳酸桿菌デルブリュッキ菌亜種ブルガリス(lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)(乳酸桿菌ブルガリス(lactobacillus bulgaricus))、乳酸桿菌デルブリュッキ菌亜種(lactobacillus delbrueckii subspecies)、乳酸桿菌ファーメンタム(lactobacillus fermentum)、乳酸桿菌ガセリ(lactobacillus gasseri)、乳酸桿菌ヘルベティカス(lactobacillus helveticus)、乳酸桿菌ジョンソニ(lactobacillus johnsonii)、乳酸桿菌パラカゼイ(lactobacillus paracasei)、乳酸桿菌プランタルム(lactobacillus planterum)、乳酸桿菌ロイテリ(lactobacillus reuteri)、乳酸桿菌ラムノサス(lactobacillus rhamnosus)および乳酸桿菌サリバリウス(lactobacillus salivarius)のうちの1つ以上であり、前記グラム陽性球菌(gram-positive cocci)は、連鎖球菌フェリカス(streptococcus faecalis)およびラクトコッカス(lactococcus)のうちの1つ以上である。
【0012】
さらに好ましくは、前記結腸標的組成物中のプロバイオティクスの量は、0.01億〜1200億cfu/gである。
【0013】
好ましくは、前記補助剤は、前記生物学的活性成分の生存安定性に有益な栄養物質を含み、前記栄養物質は、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、ペクチン、イヌリン、クランベリーパウダーなどのようなプレバイオティクス、ビタミンおよび/または糖アルコールであってもよい。
【0014】
好ましくは、前記補助剤は、ペクチン、アルギン酸ナトリウムおよびキトサンなどのような、生物学的活性成分の結腸標的送達に有益な薬用補助成分または食品添加剤をさらに含む。
【0015】
好ましくは、前記補助剤は、追加のバインダー(アラビアゴム、グアゴム、アルギン酸、ヒドロキシメチルセルロース、デキストリン、カルボマー、マルトース、ゼラチン、グルコース、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレンオキシドまたはポビドン)、フィラー(澱粉、圧縮性澱粉、修飾澱粉、ソルビトール、マンニトール、微晶質セルロース、パウダー状の糖、デキストリン、無機塩、無水乳糖および乳酸カルシウム)、滑剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、鉱油、ポリエチレングリコール、滑石粉およびシリカ)、並びに崩壊剤(カルボキシメチル澱粉ナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドンおよび乾澱粉)のような、製剤自体の特性を最適化可能なその他の補助剤をさらに含んでもよい。
【0016】
第2の態様において、本発明は、本発明の生物学的活性成分の結腸標的組成物を含む、生物学的活性成分の結腸標的製剤を提供する。
【0017】
好ましくは、前記製剤の剤形は錠剤であり、より好ましくは、前記錠剤は、一錠につき、≦500mgの重量および≦10mmの直径を有する。この剤形における生物学的活性成分は、胃、小腸および回腸においてでの放出は一部または少量のみ放出されるものの、このような剤形は、大量な菌叢が存在する結腸における生物学的活性成分の放出にさらに寄与することができる。
【0018】
第3の態様において、生物学的活性成分の結腸標的製剤の作製における、本発明の生物学的活性成分の結腸標的組成物の使用が提供される。
【0019】
第4の態様において、本発明の生物学的活性成分の結腸標的製剤を作製する方法であって、
(1)操作温度<28℃および湿度<40%の下、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、生物学的活性成分と、補助剤とを混合する工程と、
(2)混合物を直接的に乾式プレスして錠剤とするか、乾式造粒後にプレスして錠剤とする工程と、を含む方法が提供される。
【0020】
本発明では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを生物学的活性成分に初めて組み合わせられた。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの除放特性および粘着効果を利用し、粉末を直接的に乾式プレスするか、乾式造粒後にプレスして錠剤とすることにより、本発明の生物学的活性成分の結腸標的錠剤を調剤する。これにより、生物学的活性成分の活性において、湿式造粒法および結腸標的の関連する先行文献でよく見られるコーティング法において使用される溶剤および温度の悪影響を回避する。さらに、作製工程が簡単であり、産業化が容易となる。ヒドロキシプロピルメチルセルロースによる複数の効果により、生物学的活性成分の結腸標的錠剤は、市販で利用可能な生物学的活性成分の錠剤に比べて、生物学的活性成分が、代謝および分解されることなく胃および小腸の環境に耐えることができるため、胃および小腸を通過して結腸に到達した後に放出する。結果として、小腸に与え得る危害の要因を減らすことができ、生物学的活性成分の生物学的利用能を向上させ得る。これにより、その生体内活性をより好適に発揮させ得る。特に、プロバイオティクス製剤の場合、その他の補助剤の使用を大幅に減らすことができるため、各錠剤の菌担持量を大幅に向上させることができる。結果として、1日の服用量は、市販品で利用可能な錠剤によく見られる9錠から1〜2錠にまで減らされる。さらに、錠剤は大きさをより小さくすることができ、飲み込みにより都合がよい。
【0021】
従来技術に比べ、本発明の組成物は、顕著に改良された結腸標的効果を有し、食品グレードの補助剤を採用してもよく、極めて高い安全性に繋がる。さらに、産業上の生産に容易に適用されることができ、本発明の工程は簡単である。したがって、本発明は、食品、健康製品および薬品の産業における開発のための重要な意義を有する。
【0022】
〔図面の説明〕
図1:人工胃液2時間、人工腸液3時間、および人工結腸液18時間の順の条件下における実施例1〜7の錠剤の溶出曲線のグラフ。
【0023】
図2:人工胃液2時間、人工腸液3時間、および人工結腸液18時間の順の条件下における異なる粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて作製した錠剤の溶出曲線のグラフ。
【0024】
〔発明の詳細な説明〕
以下の具体的な実施例を通して、本発明の技術的解決およびその效果をさらに説明する。本発明の実施例は、単に本発明の具体的な実施形態を示すためのみにも用いられ、本発明の保護範囲を限定するために森いられるものではないことを理解されるべきである。本発明の概念に基づく本発明の簡単な改良も、本発明の特許請求の範囲内である。
【0025】
特段に説明しない限り、以下の実施例において用いられる試薬および設備は、いずれも通常の試薬および設備であり、市販で入手可能であり、用いられる操作方法は本分野における通常の方法であり、認識レベルおよび実験能力を組み合わせて、当業者は本明細書に記載の実験工程を実施することができ、対応する結果を得ることができる。
【0026】
本発明において用いられるプロバイオティクス細菌粉末は、中国江蘇紫石微康生物科技有限公司から入手した、ビフィズス菌ラクティスBLa80、ビフィズス菌ロンガムBL21、乳酸桿菌アシドフィルスLA85およびビフィズス菌ビフィダムBBi32、仏LALLEMAND社から入手した、乳酸桿菌ラムノサスR11、ビフィズス菌ロンガムR175およびビフィズス菌ラクティスlaftiB84を含む。本明細書において用いられるヒドロキシプロピルメチルセルロースK4M、K15MおよびK100Mは、中国安徽山河補料有限公司から入手する。本明細書において用いられるヒドロキシプロピルメチルセルロースK100LVおよびK200Mは、米Dow chemistry社から入手する。
【0027】
<実施例1>
処方:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC K15M、粘度15,000mPa・s)85wt%およびビフィズス菌ラクティスBLa80の粉末(生菌数1.0*10
11cfu/g)15wt%。
【0028】
作製方法:
(1)処方に示した量にしたがって原料を均一に混合し、100メッシュ篩に通して、再度均一に混合し、
(2)粉末の混合物を、GL2−25型乾式造粒機(中国張家港開創機械製造公司製)を用いて造粒し、プレスして錠剤とすることを条件とした。各々の錠剤は、150mgの重量および8mmの直径を有していた。錠剤におけるビフィズス菌ラクティスの生菌数は1.5*10
10cfu/gであった。
【0029】
<実施例2>
処方:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC K200M、粘度200,000mPa・s)65wt%、乳酸桿菌ラムノサスR11の粉末(生菌数1.5*10
11cfu/g)30wt%、およびステアリン酸マグネシウム5wt%。
【0030】
作製方法:
(1)処方に示した量にしたがって原料を均一に混合し、
(2)混合物の粉末を直接的に乾式プレスして、錠剤とすることを条件とした。各々の錠剤は、450mgの重量および10mmの直径を有していた。錠剤における乳酸桿菌ラムノサスの生菌数は4.5*10
10cfu/gであった。
【0031】
<実施例3>
処方:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC K100M、粘度100,000mPa・s)65wt%、乳酸桿菌アシドフィルス菌LA85の粉末(生菌数1.0*10
11cfu/g)30wt%、およびステアリン酸マグネシウム5wt%。
【0032】
作製方法:
(1)処方に示した量にしたがって原料を均一に混合し、
(2)混合物の粉末を直接的に乾式プレスして、錠剤とすることを条件とした。各々の錠剤は、300mgの重量および10mmの直径を有していた。錠剤における乳酸桿菌アシドフィルス菌の生菌数は3.0*10
10cfu/gであった。
【0033】
<実施例4>
処方:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC K200M、粘度200,000mPa・s)45wt%、ビフィズス菌ラクティスBLa80の粉末(生存可能な数1.0*10
11cfu/g)25wt%、ビフィズス菌ロンガムBL21の粉末(生存可能な数1.5*10
11cfu/g)25wt%、およびステアリン酸マグネシウム5wt%。
【0034】
作製方法:
(1)処方に示した量にしたがって原料を均一に混合し、
(2)混合物の粉末を直接的に乾式プレスして、錠剤とすることを条件とした。各々の錠剤は、300mgの重量および10mmの直径を有していた。錠剤における、ビフィズス菌ラクティスの生存可能な数は2.5*10
10cfu/gおよびビフィズス菌ロンガムの生存可能な数は3.75*10
10cfu/gの錠剤であった。
【0035】
<実施例5>
処方:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC K4M、粘度4,000mPa・s)70wt%、無水乳糖20wt%、マルチトール5wt%、ビフィズス菌ビフィダムBBi32の粉末(生存可能な数1.5*10
11cfu/g)3wt%、シリカ1wt%、およびステアリン酸マグネシウム1wt%。
【0036】
作製方法:
(1)処方に示した量にしたがって原料を均一に混合し、
(2)混合物の粉末を直接的に乾式プレスして、錠剤とすることを条件とした。各々の錠剤は、300mgの重量および10mmの直径を有していた。錠剤における、ビフィズス菌ビフィダムの生存可能な数は4.5*10
9cfu/gであった。
【0037】
<実施例6>
処方:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC K100M、粘度100,000mPa・s)13wt%、ビフィズス菌ロンガムR175の粉末(生存可能な数5*10
10cfu/g)30wt%、イソマチトール25wt%、イヌリン15wt%、乳酸カルシウム10wt%、ペクチン5wt%、およびステアリン酸マグネシウム2wt%。
【0038】
作製方法:
(1)処方に示した量にしたがって原料を均一に混合し、
(2)混合物の粉末を直接的に乾式プレスして、錠剤とすることを条件とした。各々の錠剤は、300mgの重量および10mmの直径を有していた。錠剤における、ビフィズス菌ロンガムの生存可能な数は1.5*10
10cfu/gであった。
【0039】
<実施例7>
処方:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC K100M、粘度100,000mPa・s)45wt%、フラクトオリゴ糖20wt%、乳酸桿菌アシドフィルス菌R418の粉末(生存可能な数1.5*10
11cfu/g)15wt%、ビフィズス菌ラクティスlaftiB84の粉末(生存可能な数1*10
11cfu/g)10wt%、クランベリー粉末5wt%、およびソルビトール5wt%。
【0040】
作製方法:
(1)処方に示した量にしたがって原料を均一に混合し、
(2)混合物の粉末を乾式造粒機を用いて造粒した後、プレスして錠剤とすることを条件とした。各々の錠剤は、450mgの重量および10mmの直径を有していた。錠剤における、乳酸桿菌アシドフィルス菌の生存可能な数は2.25*10
10cfu/gおよびビフィズス菌ラクティスの生存可能な数は1.0*10
10cfu/gであった。
【0041】
〔実験例1:本発明の実施例の溶出試験〕
プロバイオティクスは温度および水の両方に敏感であり、溶出試験のために異なる時点の溶出液を採取する必要があるため、プロバイオティクスの代わりに、結腸における薬放出特性を評価するためのモデル薬物5−アミノサリチル酸を試験において用いた。
【0042】
中国薬局方(2015年版、第4部分、0931溶出率および放出率測定法、第1方法−回転バスケット法、50r/min、37℃)にしたがって、上述した実施例における方法および処方を用いて作製した錠剤(プロバイオティクスを、対応する量の5−アミノサリチル酸に代えた)を回転バスケットに置き、溶出試験の前に、人工胃液(pH1.2)2時間、人工腸液(pH6.8)3時間、および人工結腸液(pH7.8)18時間の順とすることを条件とした。溶出量を測定した。実施例の錠剤の溶出結果を
図1に示す。結腸における放出率を表1に示す。
【0044】
図1および表1に示した結果から、実施例1〜7の錠剤は全て、結腸放出率が45%以上に達することができ、顕著な結腸標的効果を示すことが分かる。
【0045】
〔実験例2:異なる粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて作製される錠剤の溶出試験〕
本発明において開示される方法にしたがって、錠剤は5つの異なる粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC K100LV(粘度100mPa・s)、K4M、K15M、K100MおよびK200M)90wt%、並びに5−アミノサリチル酸10wt%で作製した。次いで溶出結果のために溶出試験を行った。結果は
図2に示す。
図2における溶出結果に示すように、低い粘度を有するHPMC(K100LV)を用いて作製した錠剤は、人工胃液および人工腸液を条件とした後、約100%の放出率を有し、結腸における放出を達成できなかった。一方、より高い粘度を有するHPMC(K4M、K15M、K100MまたはK200M)を用いて作製した錠剤は、同じ条件下、結腸における放出率は60%以上少なくとも維持され、且つ、人工結腸液中での放出が略線形放出曲線を有し、顕著な結腸標的効果を有していた。
【0046】
〔実験例3:生存可能な数の検出分析〕
市販で入手可能な錠剤Siliankang(4種の生存可能なビフィズス菌の錠剤、500mg/錠、ビフィズス菌インファンティス、乳酸桿菌アシドフィルス菌および腸球菌フェカリス(ecterococcus faecalis)は、それぞれ0.5*10
6cfu/g以上、桿菌セレウス(bacillus cereus)は、0.5*10
5cfu/g以上、補助剤は、澱粉やミルク粉末状物質である)、並びに上述の実施例において作製した錠剤で溶出を行った。次いで、生存可能な数を検出した。
【0047】
I.実験方法
(1)培養培地の作製
MRS寒天粉末39.7gに600mlの蒸留水を加え、加熱溶解した。2.9mmの厚さを有するガラス製培養皿を水道水できれいにし、蒸留水で3回洗浄し、空気乾燥した。
【0048】
(2)滅菌
培養培地および培養皿を滅菌容器に置き、121℃および103.4kPaで、30分間滅菌した。
【0049】
(3)培養培地を使用するまで温度52℃の水浴ポット中に置き、培養皿を使用するまで冷却するために室温に置いた。
【0050】
(4)溶出条件
中国薬局方(2015年版第、第4部分、0931溶出率および放出率測定法、第1方法−回転バスケット法、50r/min、37℃)にしたがって、市販で入手可能なSiliankang錠剤を取り出す前に人工胃液(pH1.2)2時間を条件とし、実施例1〜7において作製した錠剤をそれぞれ回転バスケットに置き、順に人工胃液(pH1.2)2時間、人工腸液(pH6.8)3時間を条件とした後、取り出した。
【0051】
II.培養
溶出工程前後の、Siliankang錠剤および実施例1〜7において作製した錠剤をガラス製すり鉢に置いて粉にし、50mlの生理食塩水で希釈した。混合後、1mlの混合物を量り取り、10倍の倍率の希釈を行った。希釈後、各濃度の10mlの希釈液をMRS培養培地に散布を行った。散布した皿を嫌気性のパックに置き、48時間のインキュベートのために37℃の一定温度のインキュベータ内に置いた。最終的に、コロニーを数えるために、皿を取り出した。
【0052】
III.結果
人工胃液処理(pH1.2、27℃)10
−4倍の希釈で2時間を条件とした市販で入手可能なSiliankang錠剤の場合、コロニーは見られなかった。市販で入手可能なSiliankang錠剤と比較して、実施例1〜7の錠剤は、顕著な違いを示した。人工胃液(pH1.2、37℃)2時間、人工腸液(pH6.8、37℃)3時間の条件とした実施例1〜7の各錠剤は、生存可能な数は多くまだ残っていた。具体的な生存可能な数の測定結果を表2に示す。比較の結果は、本発明のプロバイオティクス錠剤が、プロバイオティクスが胃および小腸の環境に十分に耐えることができるため、一定の生存可能な数が残り、且つ放出のために結腸に送達することができることを示す。さらに、本発明を使用することにより、様々なメーカーによる様々な菌株を全て保護し、且つ放出のために結腸部位に送達させることができた。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】人工胃液2時間、人工腸液3時間、および人工結腸液18時間の順の条件下における実施例1〜7の錠剤の溶出曲線のグラフである。
【
図2】人工胃液2時間、人工腸液3時間、および人工結腸液18時間の順の条件下における異なる粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて作製した錠剤の溶出曲線のグラフである。