【文献】
ACS Biomaterials Science & Engineering,2016, Vol.2, No.9,pp.1432-1435
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
亜硝酸塩又は硝酸塩が、一価カチオン、二価カチオン、又は三価カチオンからなるカチオンを有し、該カチオンはアルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛のカチオン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の医療用被覆材。
硫酸塩、チオ硫酸塩又は亜硫酸塩が、一価カチオン、二価カチオン、又は三価カチオンからなるカチオンを有し、該カチオンはアルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛のカチオン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項15に記載の医療用被覆材。
有機電気化学メディエーターが、アルコール、アミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸及びリン酸アルキレンオキシドオリゴマー、アルキレンオキシドポリマー、アルキレンオキシドコポリマー、エチレングリコール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース、キトサン、デキストラン、2−エチル−2−オキサゾリン、ヒドロキシエチルメタクリラート、ビニルピリジン−N−オキシド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、マレイン酸、リジン、イソプロピルアクリルアミド、スチレンスルホン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルホスホン酸、エチレンイミンならびにそれらの混合物からなる群から選択される水可溶化部分を含む、請求項18に記載の医療用被覆材。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の上記及び他の態様は、本明細書に提供される説明及び方法に関して、ここでさらに詳細に記載される。本発明は、様々な形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。
【0030】
本明細書中の本発明の説明に使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本発明を限定することを目的とするものではない。ガス状伝達物質塩という用語は、本発明で使用されるとガス状伝達物質を生成する塩を指す。本発明の実施形態の説明及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上他に明白に示されていない限り、複数形も含むことが意図されている。また、本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうち1つ以上の任意及びすべての可能な組合せを指し、包含する。さらに、化合物の量、用量、時間、温度などの測定可能な値を指す際に本明細書で使用される用語「約」は、特定量の20%、10%、5%、1%、0.5%、さらには0.1%の変動を包含することを意味する。さらに、本明細書で使用される場合、用語「含む(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」は、記載された特徴、整数、工程、操作、要素及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、操作、要素、構成要素及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないことを理解されたい。他に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語を含むすべての用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0031】
本発明は、電気化学メディエーター及び亜硝酸塩、硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、チオ亜硫酸塩又は硫酸塩を損なう電気化学的媒介組成物に関する。さらに、本発明はまた、標的部位をガス状伝達物質生成組成物に曝露することにより、対象に1つ以上の健康上の利益を提供する方法に関する。いくつかの実施形態では、配合及び/又は印加電流を調整することにより、ガス状伝達物質の放出の量及び速度が調節されてもよい。
【0032】
電気化学メディエーター
電気化学メディエーターは、(1)有機酸化還元部分と、(2)可溶化部分とを含む。一実施形態では、酸化還元部分は、約−0.1V〜約−2.0V、好ましくは約−0.5V〜約−1.7V、好ましくは約−0.75V〜約−1.5Vの電位の電極で還元される有機部分である。酸化還元メディエーターは、還元すると、水溶液中に拡散し電子移動を介してガス状伝達物質生成塩を還元する単一の電子還元種を形成する。ガス状伝達物質生成塩を還元するために、メディエーターは、その還元状態では、塩のガス状伝達物質への還元(例えば、硝酸塩の一酸化窒素への還元など)に必要なものよりも大きい還元電位を有しなければならない。
【0033】
本発明の電気化学メディエーターの酸化還元部分は、ケトン、ベンゾフェノン、キノン、フルオレセイン、キサントン及びチオキサントンならびにそれらの誘導体からなる群から選択されるものなど、記載された酸化還元媒介機能を行うように機能的に適合された任意の部分であってよい。
【0034】
一実施形態では、本発明の電気化学メディエーターは水溶性であってよい。
【0035】
水溶性が望ましい場合、本発明の電気化学メディエーターに、イオン化するか、比較的強い分子間力で水と引き合うことができ(水素結合)、通常は水溶性の高い類似体となるアルコール、アミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸及びリン酸基などの極性官能基を組み込んでもよい。酸性基及び塩基性基は特に有用である。本発明の目的では、用語「水可溶化部分」は、水に引き付けられ、水に溶解して均質な溶液を形成する部分を指す。一実施形態では、水可溶化部分は、アルコール、アミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸及びリン酸基からなる群から選択される。別の実施形態では、親水性部分が、水溶性オリゴマー、水溶性ポリマー及び水溶性コポリマーからなる群から選択される。好ましい一実施形態では、親水性部分は、カルボン酸及びスルホン酸から選択されてもよい。別の好ましい実施形態では、親水性基が、アルキレンオキシドオリゴマー、アルキレンオキシドポリマー、アルキレンオキシドコポリマー、エチレングリコール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース、キトサン、デキストラン、2−エチル−2−オキサゾリン、ヒドロキシエチルメタクリラート、ビニルピリジン−N−オキシド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、マレイン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、イソプロピルアクリルアミド、スチレンスルホン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルホスホン酸、エチレンイミン及びそれらの混合物からなる群から選択される。特に好ましい一実施形態では、親水性部分は、アルキレンオキシドオリゴマーポリマー、アルキレンオキシドオリゴマーコポリマー、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、アクリルアミド、セルロース及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0036】
本発明の目的では、用語「酸化還元部分」は、電極で還元されてラジカルアニオンを形成することができ、それによりガス状伝達物質塩が還元される有機部分を指す。
【0037】
電気化学組成物
本発明は、上記でさらに詳細に説明したような電気化学メディエーターと、ガス状伝達物質塩とを含む電気化学組成物に関する。
【0038】
電気化学組成物は、水溶液、エマルジョン、固体、ゲル、ヒドロゲル、オルガノゲルであってもよいか、フィルムなどの材料に組み込まれてもよい。別の実施形態では、電気化学組成物の個々の成分が、組成物、及びフィルムなどの材料の両方に組み込まれてもよい。一実施形態では、電気化学メディエーターがフィルムに含まれてもよく、電子供与体及び/又は亜硝酸塩が組成物に含まれてもよい。この特定の実施形態では、電気化学メディエーターを含むフィルムが表面に適用されてもよく、ガス状伝達物質塩を含む組成物が別個に適用されてもよいことが理解されるであろう。
【0039】
ただし、電気化学メディエーターが水性組成物である場合、組成物は、組成物の0.1重量%〜99重量%の水を含んでもよい。したがって、電気化学メディエーターは濃縮又は希釈された形態であり得ることが理解されるであろう。さらに、水の全部又は一部が、エタノール、グリコール、グリコールエーテル、グリセリン、水溶性酢酸エーテル及びアルコールなどの別の溶媒に置き換えられてもよいと考えられる。
【0040】
上記のように、本発明は、電気化学メディエーターと、ガス状伝達物質塩とを含む電気化学組成物に関する。そのような実施形態では、電気化学メディエーターが電極で還元され、還元された形態のガス状伝達物質塩と反応してガス状伝達物質を生成することが理解されるであろう。また、電極での電子移動後、電気化学メディエーターによってトリガーされると、ガス状伝達物質塩がガス状伝達物質に変換され得ることが理解されるであろう。電気化学メディエーターは、電極による活性化がなければ、亜硝酸塩と実質的に反応しないことが理解されるであろう。
【0041】
本実施形態では、電極での電気化学メディエーターへの電子移動により、反応が進行してガス状伝達物質が生成される。いくつかの実施形態では、ガス状伝達物質は、血圧、マクロファージによる外来病原体の破壊、及び神経伝達を制御し、幅広いスペクトルの抗菌活性をもたらし、炎症を緩和し、創傷治癒を促進するように作用し得る。
【0042】
ガス状伝達物質塩
本発明の電気化学組成物は、ガス状伝達物質塩を含む。本発明の電気化学組成物に使用される場合、ガス状伝達物質塩は還元によりガス状伝達物質に変換される。
【0043】
本発明の一態様では、ガス状伝達物質塩は、以下の式を有する亜硝酸塩又は硝酸塩であり、
A[NO
x]
m
【0044】
式中、xは2又は3であり、Aは一価カチオン、二価カチオン及び三価カチオンからなる群から選択され、好ましくは、Aは、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アリールアンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択され、さらに好ましくは、Aは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0045】
別の態様では、ガス状伝達物質塩は、以下の式を有する硫酸塩、亜硫酸塩又はチオ硫酸塩であり、
A[SaOb]y
【0046】
式中、Aは、一価カチオン、二価カチオン及び三価カチオンからなる群から選択され、好ましくは、Aは、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アリールアンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択され、さらに好ましくは、Aは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される。係数aは1又は2であってよく、係数bは3又は4であってよい。
【0047】
装置及びシステム
本明細書に記載の組成物からガス状伝達物質を生成するには、組成物に電圧を印加しなければならない。印加される電圧は、ガス状伝達物質生成組成物中の電気化学メディエーターの還元電位よりも大きくなければならない。装置の形態は目的の用途に合わせて調整してもよいが、装置は以下の要素を含まなければならない。
【0048】
1.組成物と接触し、上記組成物との間で電子を移動させる電極。電極は、限定するものではないが、銅、アルミニウム、導電性カーボンなど、当業者に知られている任意の簡便な電極材料から選択されてもよい。好ましくは、電極は柔軟である。好ましくは、電極は柔軟な炭素電極である。
【0049】
2.電気化学メディエーターの還元又は酸化に必要な電位を生成することができる電源。電圧は、限定するものではないが、ポテンショスタット、電池及びスーパーキャパシタなど、当業者に知られている任意の簡便な電源によって供給されてもよい。好ましくは、電源は柔軟である。好ましくは、電源は柔軟な電池又はスーパーキャパシタである。
【0050】
3.限定するものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエステルフィルムならびに不織布、セルロース基板、例えば綿、キトサン及びコラーゲンなどの担体材料の非導電性基板。
【0052】
本発明の装置及びシステムは、治療用被覆材又はそれを含む包帯の形態であってよく、本明細書に記載のように、(a)ガス状伝達物質生成組成物と、(b)ガス状伝達物質生成組成物を含有するように適合された担体と、(c)被覆材と電気的に接触してそれに電流を印加して、それによりガス状伝達物質塩をガス状伝達物質に変換するアノード及びカソードと、(d)電流源からの電流を制御する任意の好ましい電圧制御装置を有する、ガス状伝達物質生成組成物と電気的に接触している電流源とを含む。
【0053】
装置及びシステムは、電解セルへの電流印加の量、タイミング及び持続時間を制御するためのマイクロプロセッサを含んでもよい。
【0054】
任意の添加剤
本発明の電気化学組成物はまた、追加の補助添加剤を含有してもよい。これらの追加成分の正確な性質及びその組み込み量は、組成物の物理的形態と、それを使用した洗浄、消毒又は健康上の利益の正確な性質とに応じて決まる。下記の補助添加剤のうちの一部が電気化学的特性を有することが理解されるであろうが、そのような添加剤は上記の成分を置き換えないことがさらに理解されるであろう。
【0055】
局所組成物
本発明のいくつかの実施形態によれば、局所組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、本発明の局所組成物はヒドロゲルの形態である。本明細書で使用される「ヒドロゲル」は、ゲルマトリックスと水とを含む親水性ゲルを指す。いくつかの実施形態では、本発明の局所組成物は、少なくとも1つの多価アルコール、少なくとも1つの増粘剤及び水を含む。
【0056】
本発明の組成物中に存在し得る例示的な多価アルコールには、限定するものではないが、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンタル(neopental)グリコール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、n−メチルジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ソルビトール、アラビトール、エリスリトール、HSH、イソマルト、ラクチトールマルチトール、マンニトール、キシリトール、トレイトール、リビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、イノシトール、ボレミトール及びそれらの任意の組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物はグリセロールを含む。
【0057】
多価アルコールは、本発明の組成物中に、組成物の約1重量%〜約30重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値、例えば、限定するものではないが、組成物の約1重量%〜約20重量%又は約5重量%〜約15重量%の量で存在してもよい。特定の実施形態では、多価アルコールは、本発明の組成物中に、組成物の約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%もしくは20重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値の量で存在する。
【0058】
本発明の組成物中に存在し得る例示的な増粘剤には、限定するものではないが、カルボキシポリメチレン;ポリアクリルポリマー(polyacrylic polymer)、例えばポリアクリル酸、ポリアクリラートポリマー、架橋ポリアクリラートポリマー、架橋ポリアクリル酸及びそれらの混合物;セルロースエーテル、例えばヒドロキシアルキルセルロースポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそれらの混合物:メタクリラート;ポリビニルピロリドン;架橋ポリビニルピロリドン;ポリビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー;ポリビニルアルコール;ポリエチレンオキシド;ポリエチレングリコール;ポリビニルアルキルエーテル−マレイン酸コポリマー;カルボキシビニルポリマー;多糖;ガム、例えばアルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、アカシアガム、アラビアガム、グアーガム、プルラン、寒天、キチン、キトサン、ペクチン、カラヤガム、ゼイン、ホルデイン、グリアジン、ローカストビーンガム、トラガカント及びそれらの混合物;タンパク質、例えばコラーゲン、乳清タンパク質分離物、カゼイン、乳タンパク質、大豆タンパク質、ゼラチン及びそれらの混合物;澱粉、例えばマルトデキストリン、アミロース、高アミロース澱粉、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉、エンドウ澱粉、サツマイモ澱粉、大麦澱粉、小麦澱粉、ワキシーコーンスターチ、加工澱粉(例えば、ヒドロキシプロピル化高アミロース澱粉)、デキストリン、レバン、エルシナン、グルテン及びそれらの混合物;ベントナイト;ステアリン酸カルシウム;セラトニア;コロイド状二酸化ケイ素;デキストリン;ヒプロメロース;ポリカルボフィル;カオリン;サポナイト;ソルビタンエステル;スクロース;ゴマ油;トラガント;アルギン酸カリウム;ポビドン;澱粉グリコール酸ナトリウム;リン脂質;ならびにそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0059】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、限定するものではないが、商品名Carbopol(登録商標)の下にオハイオ州ウィックリフのLubrizol Corporationから市販されているものなどのカルボキシポリメチレンを含む。本発明の組成物中に存在し得る例示的なCarbopol(登録商標)ポリマーには、限定するものではないが、Carbopol(登録商標)974P NFポリマー、例えばタイプA、タイプB及び/又はタイプCホモポリマー、Carbopol(登録商標)Ultrez 10、20、21 NFポリマー、Carbopol(登録商標)971P NFポリマー、Carpobol(登録商標)980Pポリマー、Carbopol(登録商標)ETD 2020 NFポリマー、Carbopol(登録商標)71 G NFポリマー、Carbopol(登録商標)981P NFポリマー、Carbopol(登録商標)970P NFポリマー、Carbopol(登録商標)981 P NFポリマー、Carbopol(登録商標)5984P NFポリマー、Carbopol(登録商標)934P NFポリマー、Carbopol(登録商標)940P NFポリマー、Carbopol(登録商標)941P NFポリマー、Carbopol(登録商標)13242 NFポリマー、Carbopol(登録商標)AA−1 USP NFポリマー、Carbopol(登録商標)TR1 NFポリマー、Carbopol(登録商標)TR2 NFポリマー、Lubrizol Aqua CCポリマー及びSF−2ポリマーならびにそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0060】
本発明の組成物中に増粘剤が存在してもよい。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、同じであっても異なっていてもよい少なくとも2つの増粘剤を含む。いくつかの実施形態では、第1の増粘剤は、本発明の組成物中に、組成物の約0.01重量%〜約5重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値、例えば、限定するものではないが、組成物の約0.05重量%〜約3重量%又は約0.1重量%〜約1.5重量%の量で存在してもよい。特定の実施形態では、第1の増粘剤は、本発明の組成物中に、組成物の約0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1重量%、1.5重量%、2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、4重量%、4.5重量%もしくは5重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値の量で存在する。
【0061】
水は、本発明の組成物中に、組成物の約0.1重量%〜約99重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値、例えば、限定するものではないが、組成物の約75重量%〜約95重量%又は約80重量%〜約90重量%の量で存在してもよい。特定の実施形態では、水は、本発明の組成物中に、組成物の約70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%もしくは99重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値の量で存在する。
【0062】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、組成物の約1重量%〜約30重量%の量で存在する少なくとも1つの多価アルコールと、組成物の約0.1重量%〜約5重量%の量で存在する少なくとも1つの増粘剤と、組成物の約70重量%〜約99重量%の量で存在する水とを含む。組成物はヒドロゲルの形態であってよい。特定の実施形態では、増粘剤はカルボキシポリメチレンであってよい。
【0063】
本発明の組成物は防腐剤を含んでもよい。防腐剤は、本発明の組成物中に、組成物の約0.01重量%〜約1重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値、例えば、限定するものではないが、組成物の約0.05重量%〜約1重量%又は約0.1重量%〜約1重量%の量で存在してもよい。特定の実施形態では、防腐剤は、本発明の組成物中に、組成物の約0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%もしくは1重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値の量で存在する。本発明の組成物中に存在し得る例示的な防腐剤には、限定するものではないが、ソルビン酸、安息香酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、メチルクロロイソチアゾリノン、メトールイソチアゾリノン(metholisothiazolinone)、ジアゾリジニル尿素、クロロブタノール、トリクロサン、塩化ベンゼトニウム、p−ヒドロキシベンゾアート、クロルヘキシジン、ジグルコナート、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、アルコール、塩化ベンザルコニウム、ホウ酸、ブロノポール、ブチルパラベン、ブチレンカルシウムアセタート(butylene calcium acetate)、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、二酸化炭素、カチオン性防腐剤、及びベントナイト、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クエン酸一水和物、クレゾール、ジメチルエーテル、エチルパラベン、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、イソプロピルアルコール、乳酸、モノチオグリセロール、ペンテト酸、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、安息香酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、プロピレングリコール、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、キシリトール、二酸化硫黄、二酸化炭素及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0064】
本発明の組成物は中和剤を含んでもよい。中和剤は、本発明の組成物中に、組成物に約3〜約8、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値、例えば、限定するものではないが、約4〜約7又は約6〜約7のpHをもたらすのに十分な量で存在してもよい。いくつかの実施形態では、中和剤は組成物のpHを調整する。本発明の特定の実施形態では、中和剤は、本発明の組成物中に、組成物が約3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5もしくは8、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値のpHを有するのに十分な量で存在する。本発明の組成物中に存在し得る例示的な中和剤には、限定するものではないが、塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びそれらの混合物;酸、例えば塩酸、クエン酸、酢酸及びそれらの混合物;炭酸ナトリウム;トロラミン;トロメタミン;アミノメチルプロパノール;トリイソプロパノールアミン;アミノメチルプロパノール;テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン;EDTA四ナトリウム;スットシドA(suttocide A);及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0065】
本発明の組成物は、緩衝化されていなくても緩衝化されていてもよい。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は緩衝化されていなくてもよい。他の実施形態では、本発明の組成物は緩衝化されていてもよい。本発明の組成物中に存在し得る例示的な緩衝液には、限定するものではないが、酢酸/アセタート緩衝液;塩酸/シトラート緩衝液;シトロホスファート(citro−phosphate)緩衝液;ホスファート緩衝液;クエン酸/シトラート緩衝液;乳酸緩衝液;酒石酸緩衝液;リンゴ酸緩衝液;グリシン/HCl緩衝液;生理食塩水緩衝液、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、Tris緩衝生理食塩水(TBS)、Tris−HCl、NaCl、Tween緩衝生理食塩水(TNT)、リン酸緩衝生理食塩水、Triton X−100(PBT)及びそれらの混合物;カコジラート緩衝液;バルビタール緩衝液;トリス緩衝液;ならびにそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0066】
特定の実施形態では、本発明の組成物は緩衝剤を含んでもよい。例示的な緩衝剤には、限定するものではないが、クエン酸、酢酸、乳酸、ホウ酸、コハク酸、リンゴ酸及びそれらの任意の組合せが挙げられる。緩衝剤は、本発明の組成物中に、組成物の約0.01重量%〜約2重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値、例えば、限定するものではないが、組成物の約0.05重量%〜約1重量%、約0.1重量%〜約0.5重量%又は約0.1重量%〜約2重量%の量で存在してもよい。特定の実施形態では、緩衝剤は、本発明の組成物中に、組成物の約0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%もしくは2重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値の量で存在する。
【0067】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、本発明の組成物中に、組成物が約3〜約8、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値、例えば、限定するものではないが、約4〜約7又は約6〜約7のpHを有するのに十分な量で存在する。本発明の特定の実施形態では、緩衝液は、本発明の組成物中に、組成物が約3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5もしくは8、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値のpHを有するのに十分な量で存在する。
【0068】
本発明の組成物は抗菌性であってよい。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、組成物に抗菌活性をもたらすのに十分な量で存在する防腐剤を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物は、組成物の約1重量%〜約30重量%の量で存在する少なくとも1つの多価アルコールと、組成物の約0.1重量%〜約5重量%の量で存在する少なくとも1つの増粘剤と、組成物の約70重量%〜約99重量%の量で存在する水と、組成物の約0.01重量%〜約1重量%の量の少なくとも1つの防腐剤とを含む。組成物は、約3〜約8又は約6〜約8の範囲のpHを有するように緩衝化されていてもよい。
【0069】
本発明の組成物は、約5,000cP〜約25,000cP、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値、例えば、限定するものではないが、約5,000cP〜約20,000cP又は約7,000cP〜約15,000cPの範囲の粘度を有してもよい。特定の実施形態では、本発明の組成物は、約5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,500、10,000、10,500、11,000、11,500、12,000、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500、15,000、15,500、16,000、16,500、17,000、17,500、18,000、18,500、19,000、19,500、20,000、20,500、21,000、21,500、22,000、22,500、23,000、23,500、24,000、24,500もしくは25,000cP又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値の粘度を有してもよい。
【0070】
本発明の組成物は、活性医薬成分(API)を含んでもよい。本発明の組成物に、任意の好適なAPI又はAPIの組合せを含めてもよい。APIの例には、限定するものではないが、抗菌剤、抗アクネ剤、抗炎症剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、防腐剤、免疫抑制剤、抗出血剤、血管拡張剤、創傷治癒剤、抗バイオフィルム剤及びそれらの任意の組合せが挙げられる。例示的なAPIには、限定するものではないが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際出願公開第2013/006608号パンフレットに記載されているものが挙げられる。あるいは、本発明の組成物はAPIを含まなくてもよい。
【0071】
医薬組成物
本発明は、局所投与され得る医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、疎水性基材及び両親媒性化合物を含み得るか、それらから本質的になり得るか、それらからなり得る。本発明の特定の実施形態では、医薬組成物は、水分活性化活性医薬成分をさらに含む。本発明の医薬組成物は、軟膏、膏薬、クリームなどを含んでもよい。
【0072】
本明細書で使用される「疎水性基材」は、天然及び/又は合成脂肪、ワックス、油などを指す。本発明の医薬組成物には、任意の好適な疎水性基材が使用されてもよい。本発明の特定の実施形態では、医薬組成物は、2つ以上の疎水性基材、例えば、限定するものではないが、2、3、4、5又はそれ以上の疎水性基材を含む。例示的な疎水性基材には、限定するものではないが、分岐及び非分岐炭化水素、分岐及び非分岐炭化水素ワックス、ワセリン、炭化水素ゲル、流動パラフィン、白色ワセリン、ペトロラタム、マイクロクリスタリンワックス、アンデリラ(andelilla)ワックス、カルナウバワックス、ラノリン(ウールワックス)、ウールワックスアルコール、エスパルトワックス、コルクワックス、グアルマ(guaruma)ワックス、米ぬかワックス、サトウキビワックス、ベリーワックス、オウリキュリーワックス、大豆ワックス、ホホバ油、尾脂、セレシン、パラフィンワックス、マイクロワックス、植物油、動物油、カルナウバワックス、蜜蝋、カカオバター、ハードファット、鉱油、植物油、アボカド油、ボラージ油、キャノーラ油、ヒマシ油、カモミール油、ヤシ油、コーン油、綿実油、菜種油、月見草油、ベニバナ油、ヒマワリ油、大豆油、スイートアーモンド、パーム油、パーム核油、ゴボウ種子油、ゴマ油、ルリジサ種子油、セイヨウアブラナ油、メンハーデン油、牛脚油、ラブダナム油、アブラヤシ油、アーモンド油、マツ油、オリーブ油、ラッカセイ油、小麦胚芽油、グレープシード油、アザミ油、ラード、獣脂、パームオレイン、イリッペバター、シアバター、ココアバター、コクムバター、サルバター、レシチン、木蝋ラノリン、部分水素添加植物油、疎水性ポリマーならびにそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態では、疎水性基材は疎水性ポリマーを含んでもよい。本発明の医薬組成物には、任意の好適な疎水性ポリマーが使用されてもよい。例示的な疎水性ポリマーには、限定するものではないが、炭化水素ポリマー及び/又はコポリマー、芳香族ポリウレタン、シリコーンゴム、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリカーボナート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリ−L−ラクチド、ポリ−DL−グリコリド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド、ポリイミドならびにポリ酢酸ビニルが挙げられる。本発明の特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、1つ以上の炭化水素ポリマー及び/又はコポリマーを含む。特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、1つ以上の炭化水素ポリマー及び/又はコポリマー、例えば、限定するものではないが、インディアナ州インディアナポリスのCalumet Specialty Products PartnersからVersagel(登録商標)の商標の下に市販されているもの及び/又は英国イーストヨークシャーのCroda International Plcから商品名Crodabase SQの下に市販されているものを含む。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態では、疎水性ポリマーは、医薬組成物中で増ちょう剤及び/又はゲル化剤として作用してもよい。具体的には、疎水性ポリマーは粘弾性物質として作用してもよく、その中に分散された任意の化合物(例えば、活性医薬成分など)とともに、適用部位に組成物を保持してもよい。疎水性ポリマーは、本発明の医薬組成物中に、約30重量%〜約60重量%、又はその中の任意の範囲、例えば、限定するものではないが、約35重量%〜約55重量%又は約40重量%〜約50重量%の濃度で存在してもよい。
【0075】
本発明の特定の実施形態では、疎水性基材は、1つ以上の植物油及び/又は鉱油を含む。本発明の医薬組成物には、任意の好適な油が使用されてもよい。例示的な鉱油には、限定するものではないが、軽質鉱油、白色鉱油、パラフィン油、ナフテン油、芳香族油及びそれらの任意の組合せが挙げられる。油(例えば、植物油及び/又は鉱油)は、本発明の医薬組成物中に、約1重量%〜約30重量%、又はその中の任意の範囲、例えば、限定するものではないが、約5重量%〜約20重量%又は約5重量%〜約15重量%の濃度で存在してもよい。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態では、限定するものではないが、油(例えば、植物油及び/又は鉱油)などの疎水性基材を使用して、医薬組成物の粘度及び/又は展延性を調整してもよい。例えば、軽質鉱物などの低粘度疎水性基材を使用して、高粘度疎水性基材を含む医薬組成物などの医薬組成物を薄める(すなわち、粘度を下げる)ことができる。これは、本発明の医薬組成物を広い面積にわたって適用することを可能にし得、そこに分散した任意の化合物(例えば、活性医薬成分など)を適用部位に維持するのに役立ち得る。本発明の特定の実施形態では、疎水性基材は、鉱油と疎水性ポリマーとを含む。
【0077】
疎水性基材は、本発明の医薬組成物中に、約35重量%〜約90重量%、又はその中の任意の範囲、例えば、限定するものではないが、約40重量%〜約80重量%又は約50重量%〜約70重量%の濃度で存在してもよい。本発明の特定の実施形態では、疎水性基材は、本発明の医薬組成物中に約45重量%〜約55重量%の濃度で存在する。
【0078】
本明細書で使用される「両親媒性化合物」は、親水性特性及び疎水性特性を有する化合物を指す。両親媒性化合物は、それぞれが親水性特性及び/又は疎水性特性を提供し得る2つ以上の化合物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、両親媒性化合物は、親水性特性及び疎水性特性を有する1つの化合物を含む。本発明の特定の実施形態では、両親媒性化合物は、蒸気状水分を実質的に吸収することなく水分を吸収し得る。水分を吸収することにより、蒸気状水分との接触ではなく、水分と接触した際に本発明の医薬組成物中の水分活性化活性医薬成分を活性化することが可能になり得る。本明細書で使用される「実質的に吸収する」(及びその文法的変形例)は、吸収される蒸気状水分の量が両親媒性化合物の2重量%を超えることを意味する。したがって、本発明の両親媒性化合物は、両親媒性化合物の約2重量%、1.5重量%、1重量%、0.5重量%、0.25重量%又はその中の任意の範囲を下回る蒸気状水分を吸収する。本発明のいくつかの実施形態では、両親媒性化合物は、本発明の医薬組成物が蒸気状水分を実質的に吸収するのを防止及び/又は最小限に抑えることができ、それにより、本発明の医薬組成物中には水分が約2%未満しか存在しない可能性がある。
【0079】
本明細書で使用される「水分」は、液体、例えば、限定するものではないが、血液、汗、粘液、唾液、皮脂、涙、滲出液及び/又は膣分泌物などであるがこれらに限定されない体液;水;脱酸素水;生理食塩水;酸性もしくはアルカリ性緩衝液;及び/又はそれらの任意の組合せを指す。本明細書で使用される「蒸気状水分」は、気相中の水分を指す。例えば、蒸気状水分には、限定するものではないが、水蒸気が挙げられる。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、両親媒性化合物は、水蒸気の吸収を防止及び/又は最小限に抑えることができ、それにより、活性医薬成分(API)が水分活性化医薬成分を含む場合に、本発明の医薬組成物中のAPIは、蒸気状水分(例えば、水蒸気)によって活性化されない。対照的に、両親媒性化合物は、本発明の医薬組成物が水分と接触すると水分(例えば、水、体液など)を吸収する及び/又は吸収させ、それにより、APIが水分活性化活性医薬成分を含む場合にAPIを活性化することができる。
【0080】
本発明の特定の実施形態では、両親媒性化合物は、水蒸気を約2重量%未満又は約1重量%未満吸収する。これにより、本発明の医薬組成物が水蒸気を吸収するのが最小限に抑えられ得る及び/又は防止され得、したがって、本発明の医薬組成物中には水が約2重量%未満又は約1重量%未満しか存在しない可能性がある。本発明の特定の実施形態では、両親媒性化合物は、約0.5重量%未満の水蒸気を吸収し、したがって、本発明の医薬組成物は、約0.5重量%未満の水を含み得る。
【0081】
両親媒性化合物は、12〜20、又はその中の任意の値、例えば、限定するものではないが、15〜20又は18〜20の親水性−親油性バランス(HLB)値を有し得る。本発明の特定の実施形態では、両親媒性化合物は19のHLB値を有する。
【0082】
例示的な両親媒性化合物には、限定するものではないが、脂肪酸エステルが挙げられる。2つ、3つ、4つ又はそれ以上の脂肪酸エステルなどの1つ以上の脂肪酸エステルが本発明の医薬組成物中に存在してもよい。例示的な脂肪酸エステルには、限定するものではないが、C6−C22アルキル及び/又はアルケニル脂肪酸エステル、例えばラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ミリスチン酸エチル、パルミチン酸エチル、リノール酸エチル、プロピルイソブチラート、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル及びオレイン酸オレイル;エーテルエステル、例えばエトキシル化脂肪アルコールの脂肪酸エステル;多価アルコールエステル、例えばエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール(6〜2000)脂肪酸モノ及び/又はジエステル、例えばPEG−6ラウラート、PEG−6ステアラート、PEG−8ジラウラート、PEG−8ジステアラートなど;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、例えばPEG−20ラウリン酸グリセリル、PEG−20ステアリン酸グリセリル及びPEG−20オレイン酸グリセリル;プロピレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル;モノオレイン酸ポリプロピレングリコール2000;モノステアリン酸ポリプロピレングリコール2000;エトキシル化モノステアリン酸プロピレングリコール;グリセリルモノ及びジ脂肪酸エステル;ポリグリセロール脂肪酸エステル、例えばラウリン酸ポリグリセリル−10など;エトキシル化モノステアリン酸グリセリル;モノステアリン酸1,3−ブチレングリコール;ジステアリン酸1,3−ブチレングリコール;ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル;トリオレイン酸ソルビタン及びモノラウリン酸ソルビタンを含むソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、例えばモノオレイン酸PEG−6ソルビタン;ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラートを含むポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;スクロース脂肪酸エステル、例えばサッカロースモノパルミタート及びサッカロースモノステアラート;ワックスエステル、例えば蜜蝋、鯨蝋、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル及びベヘン酸アラキジル;ポリエチレングリコールアルキルエーテル、例えばPEG−10オレイルエーテル又はPEG−9セチルエーテル;ポリエチレングリコールアルキルフェノール、例えばPEG−10−100ノニルフェノール;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、例えばポロキサマー188;ステロールエステル、例えばコレステロール脂肪酸エステル、ならびにそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0083】
脂肪酸エステルは、ポリエチレングリコール(PEG)グリセリドを含んでもよい。PEGグリセリドのポリエチレングリコール部分は、両親媒性化合物の親水性特性をもたらし得、限定するものではないが、PEG5〜1000又はその中の任意の範囲、及びそれらの任意の組合せを含み得る。PEGグリセリドのグリセリド部分は、両親媒性化合物の疎水性特性をもたらし得、限定するものではないが、天然油及び/又は水素添加油、例えば、限定するものではないが、ヒマシ油、水素添加ヒマシ油、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、植物油(例えば、コーン油、オリーブ油、ラッカセイ油、パーム核油、杏仁油、アーモンド油など)及びそれらの任意の組合せを含み得る。例示的なポリエチレングリコール(PEG)グリセリドには、限定するものではないが、PEG−20ヒマシ油、PEG−20水素添加ヒマシ油、PEG−20トウモロコシグリセリド、PEG−20アーモンドグリセリド;PEG−23トリオレアート、PEG−40パーム核油、PEG−8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEG−6カプリル酸/カプリン酸グリセリド、ラウロイルマクロゴール−32グリセリド、ステアロイルマクロゴールグリセリド、トコフェリルPEG−1000スクシナート及びそれらの任意の組合せが挙げられる。本発明のいくつかの実施形態では、脂肪酸エステルは、PEG5〜30(すなわち、PEG5、6、7、8、9、10など)及びカプリル酸/カプリン酸グリセリドを含む。本発明の特定の実施形態では、医薬組成物は、PEG−5−カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEG−6−カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEG−7−カプリル酸/カプリン酸グリセリド及び/又はPEG−8−カプリル酸/カプリン酸グリセリドを含む。本発明の特定の実施形態では、医薬組成物は、1つ以上の脂肪酸エステル、例えば、限定するものではないが、商標SOFTIGEN(登録商標)の下にドイツ、ハンブルグのSasolから市販されているものを含む。
【0084】
両親媒性化合物は、本発明の医薬組成物中に、約1重量%〜約30重量%、又はその中の任意の範囲、例えば、限定するものではないが、約2重量%〜約20重量%又は約5重量%〜約15重量%の濃度で存在してもよい。本発明の特定の実施形態では、両親媒性化合物は、本発明の医薬組成物中に約10重量%の濃度で存在する。
【0085】
本発明の医薬組成物は、1つ以上の賦形剤をさらに含んでもよい。医薬組成物に使用するための賦形剤は、当技術分野で周知であり、Handbook of Pharmaceutical Excipients(Rowe, R.C.ら、APhA Publications、第5版、2005年)に例を見出すことができる。賦形剤のクラスには、限定するものではないが、皮膚軟化剤、保湿剤、共溶媒、pH調整剤、撥水剤、消泡剤、界面活性剤、可溶化剤、湿潤剤、浸透促進剤、酸化防止剤及び/又は溶媒が挙げられ得る。賦形剤は、本発明の医薬組成物中に任意の好適な濃度で存在してもよい。
【0086】
本発明の特定の実施形態では、医薬組成物は共溶媒をさらに含んでもよい。共溶媒は、本発明の医薬組成物中に、約1重量%〜約30重量%、又はその中の任意の範囲、例えば、限定するものではないが、約2重量%〜約20重量%又は約5重量%〜約15重量%の濃度で存在してもよい。本発明の特定の実施形態では、共溶媒は、本発明の医薬組成物中に約10重量%〜約15重量%の濃度で存在する。
【0087】
例示的な共溶媒には、限定するものではないが、脂肪酸エステル、プロピレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコールが挙げられる。本発明のいくつかの実施形態では、共溶媒は中性油を含んでもよい。本発明の特定の実施形態では、共溶媒は、カプリル酸及び/又はカプリン酸トリグリセリド、例えば、限定するものではないが、商標MIGLYOL(登録商標)の下にドイツ、ハンブルグのSasolから市販されているものを含む。
【0088】
本発明の医薬組成物は保湿剤を含んでもよい。任意の好適な保湿剤又は保湿剤の組合せが使用されてもよい。保湿剤は、本発明の医薬組成物中に、約1重量%〜約25重量%、又はその中の任意の範囲、例えば、限定するものではないが、約2重量%〜約20重量%又は約5重量%〜約15重量%の濃度で存在してもよい。本発明の特定の実施形態では、保湿剤は、本発明の医薬組成物中に約10重量%〜約15重量%の濃度で存在する。
【0089】
例示的な保湿剤には、限定するものではないが、グリコール、例えば多価アルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びメトキシポリエチレングリコール;グリセロール、例えばプロピレングリコール、グリセロール、イソプロパノール、エタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、エトキシジグリコール又はそれらの混合物;糖ポリオール、例えばソルビトール、キシリトール及びマルチトール;ポリオール、例えばポリデキストロース;ジメチルイソソルビド;キラヤ;尿素;ならびにそれらの任意の組合せが挙げられる。本発明の特定の実施形態では、保湿剤は、アルキレングリコール、例えばヘキシレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール及びそれらの任意の組合せを含む。
【0090】
口腔ケア組成物
電気化学組成物は、口腔の粘膜組織、口腔の歯肉組織、歯の表面、又はそれらの任意の組合せに局所的に適用される口腔ケア組成物であってよい。口腔ケア活性物質が対処するような口腔状態の例には、限定するものではないが、歯の外観及び構造変化、美白、ステイン漂白、ステイン除去、プラーク除去、歯石除去、虫歯予防及び治療、歯茎の炎症及び/又は出血、粘膜の傷、病変、潰瘍、アフタ性潰瘍、ヘルペス及び歯膿瘍、口臭、酸食症、歯肉炎及び/又は歯周病が挙げられる。口腔状態は、国際公開第02/02096A2号パンフレットにさらに記載されている。
【0091】
電気化学組成物は、1つ以上の口腔ケア添加剤を含んでもよい。口腔ケア活性物質は、口腔全体の健康、特に口腔ケア活性物質が接触する口腔表面の状態に変化をもたらす、口腔内に使用するのに安全であると一般に認識されている任意の材料であり得る。電気化学組成物は、1つ又は複数の口腔ケア添加剤を含むことができる。
【0092】
また、単一の口腔ケア製品が、それぞれが1つ以上の口腔ケア添加剤を含む複数の電気化学組成物を含むことができると考えられる。電気化学組成物に使用するのに適したいくつかの口腔ケア添加剤については、以下でさらに詳しく考察する。
【0093】
電気化学組成物は、電気化学組成物を複数の歯に接着させる接着剤としても作用し得る1つ以上のゲル化剤を含んでもよい。ゲル化剤の濃度は、電気化学組成物の約2重量%、4重量%、6重量%、8重量%、10重量%、15重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%を上回っても、約80重量%、70重量%、60重量%、50重量%、40重量%、30重量%又は20重量%を下回ってもよい。
【0094】
本発明に有用な好適なゲル化剤及び/又は接着剤は、米国特許第6,649,147号明細書、米国特許第6,780,401号明細書、米国特許出願公開第2004/0102554号明細書、米国特許出願公開第2005/0089819号明細書、米国特許出願公開第2003/0152528号明細書、米国特許第6,419,906号明細書及び米国特許出願公開第2005/0100515号明細書に記載されている。一部のゲル化剤又は接着剤は、シリコーン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリアルキルビニルエーテル−マレイン酸コポリマー(PVM/MAコポリマー)、例えばGantrez AN 119、AN 139及びS−97、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、Poloxamer 407(Pluronic)、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー(PVP/VAコポリマー)、例えばLuviskol VA及びPlasdone S PVP/VA、ポリビニルピロリドン(PVP、例えばK−15からK−120)、Polyquaterium−11(Gafquat 755N)、Polyquaterium−39(Merquat plus 3330)、カルボマー又はカルボキシポリメチレン(Carbopol)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン及びアルギン酸塩、例えばアルギン酸ナトリウム、天然ゴム、例えばカラヤガム、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、トラガントガム、ならびにそれらの混合物を含み得る。
【0095】
グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール及び他の食用多価アルコールを含む保湿剤又は可塑剤を電気化学組成物に含めてもよい。保湿剤は、電気化学組成物の約10重量%〜約95重量%又は約50重量%〜約80重量%存在し得る。電気化学組成物は、香味料、甘味料、乳白剤及び着色料も含むことができる。
【0096】
本発明の電気化学組成物は、非電気化学抗歯石剤を含んでもよい。デンタルケア製品に使用することが知られている抗歯石活性物質には、ホスファートが挙げられる。ホスファートには、ピロホスファート、ポリホスファート、ポリホスファート及びそれらの混合物が挙げられる。デンタルケア製品に使用することが最もよく知られているのは、ピロホスファートである。ピロホスファートイオンは歯に送達され、ピロリン酸塩から誘導される。本組成物に有用なピロリン酸塩には、ジアルカリ金属ピロリン酸塩(dialkali metal pyrophosphate salt)、テトラアルカリ金属ピロリン酸塩(tetra−alkali metal pyrophosphate salt)及びそれらの混合物が挙げられる。非水和型ならびに水和型のピロリン酸二水素二ナトリウム(Disodium dihydrogen pyrophosphate)(Na
2H
2P
2O
7)、ピロリン酸四ナトリウム(tetrasodium pyrophosphate)(Na
4P
2O
7)及びピロリン酸四カリウム(tetrapotassium pyrophosphate)(K
4P
2O
7)が好ましい種である。上記のピロリン酸塩のいずれも使用することができるが、ピロリン酸四ナトリウム塩(tetrasodium pyrophosphate salt)が好ましい。一実施形態では、電気化学組成物は、電気化学組成物の約0.5重量%〜約5重量%のピロホスファートを含む。別の実施形態では、電気化学組成物は、電気化学組成物の約0.5重量%〜約3重量%のピロホスファートを含む。
【0097】
ピロリン酸塩については、Kirk&Othmerに組み込まれているあらゆる参考文献を含め、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるKirk&Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第3版第17巻、Wiley−Interscience Publishers(1982年)に詳細に説明されている。追加の抗歯石活性物質には、1986年5月20日にParran&Sakkabに発行された米国特許第4,590,066号明細書に開示されているピロホスファート又はポリホスファート;ポリアクリラート及び他のポリカルボキシラート、例えば、1969年2月25日にShedlovskyに発行された米国特許第3,429,963号明細書及び1981年12月8日にChangに発行された米国特許第4,304,766号明細書;ならびに1987年4月28日にBenedict&Sunbergに発行された米国特許第4,661,341号明細書に開示されているもの;ポリエポキシスクシナート、例えば1989年7月11日にBenedict, Bush&Sunbergに発行された米国特許4,846,650号明細書に開示されているもの;1937年2月15日付の英国特許第490,384号明細書に開示されているエチレンジアミン四酢酸;1972年7月18日にWidder&Brinerに発行された米国特許第3,678,154号明細書に開示されているニトリロ三酢酸及び関連化合物;1973年6月5日にFrancisに発行された米国特許第3,737,533号明細書、1976年10月26日にPloger, Schmidt−Dunker&Gloxhuberに発行された米国特許第3,988,443号明細書及び1989年10月31日にDegenhardt&Kozikowskiに発行された米国特許第4,877,603号明細書に開示されているポリホスホナートが挙げられ、これらの特許はいずれも参照により本明細書に組み込まれる。抗歯石ホスファートには、ピロリン酸カリウム及びピロリン酸ナトリウム;トリポリリン酸ナトリウム;ジホスホナート、例えばエタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホナート、1−アザシクロヘプタン−1,1−ジホスホナート及び直鎖アルキルジホスホナート;直鎖カルボン酸;ならびにクエン酸亜鉛ナトリウム(sodium zinc citrate)が挙げられる。
【0098】
ピロリン酸塩の代わりに、又はピロリン酸塩と組み合わせて使用され得る活性物質には、例えば、その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれるGaffarらの米国特許第4,627,977号明細書に記載されているポリアクリラート、及び無水マレイン酸又は酸とメチルビニルエーテルとのコポリマー(例えばGantrez)を含む合成アニオン性ポリマー;ならびに例えば、ポリアミノプロポアンスルホン酸(polyamino propoane sulfonic acid)(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物(zinc citrate trihydrate)、ポリホスファート(例えば、トリポリホスファート;ヘキサメタホスファート)、ジホスホナート(例えば、EHDP;AHP)、ポリペプチド(ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸など)、及びそれらの混合物などの既知の材料が挙げられる。他の抗歯石活性物質には、ヘキサメタリン酸ナトリウムが挙げられる。
【0099】
本発明の電気化学組成物はまた、非電気化学抗齲蝕剤を含んでもよい。フッ化物イオン源は、抗齲蝕活性物質として口腔ケア組成物に使用することがよく知られている。この目的のために多くの口腔ケア組成物、特に練り歯磨きに、フッ化物イオンが含有される。そのような練り歯磨きを開示している特許には、1970年11月3日、Paderらの米国特許第3,538,230号明細書;1972年9月5日、Paderの米国特許第3,689,637号明細書;1973年1月16日、Colodneyらの米国特許第3,711,604号明細書;1975年10月7日、Harrisonの米国特許第3,911,104号明細書;1976年1月27日、Robertsらの米国特許第3,935,306号明細書;及び1977年8月9日、Wasonの米国特許第4,040,858号明細書が挙げられる。
【0100】
歯エナメル質へのフッ化物イオンの塗布は、虫歯から歯を保護するのに役立つ。本電気化学組成物の可溶性フッ化物源として、多種多様なフッ化物イオン生成材料を使用することができる。好適なフッ化物イオン生成材料の例は、1970年10月20日発行のBrinerらの米国特許第3,535,421号明細書及び1972年7月18日発行のWidderらの米国特許第3,678,154号明細書に見出され、両特許は参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用するのに好ましいフッ化物イオン源には、フッ化第一スズ、モノフルオロホスファート、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム及びフッ化アンモニウムが挙げられる。フッ化ナトリウムが特に好ましい。好ましくは、本電気化学組成物は、口腔内で使用される材料のストリップとともに使用される場合に歯の表面に接触する水溶液中に、約50ppm〜10,000ppm、さらに好ましくは約100〜3000ppmのフッ化物イオンを提供する。他の抗齲蝕活性物質にはキシリトールが挙げられる。
【0101】
本発明の電気化学組成物は、非電気化学抗菌剤を含んでもよい。非電気化学抗菌剤には、限定するものではないが、一般的にトリクロサンと呼ばれ、The Merck Index第11版(1989年)第1529頁(登録番号9573)、米国特許第3,506,720号明細書、及び1988年1月7日に公開されたBeecham Group, PLCの欧州特許出願第0,251,591号明細書に記載されている5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−フェノール;限定するものではないが、1991年2月19日、米国特許第4,994,262号明細書に開示されているものを含むフタル酸及びその塩、いずれもSampathkumarらの1991年2月5日、米国特許第4,990,329号明細書、1992年5月5日、米国特許第5,110,583号明細書及び1987年12月29日、米国特許第4,716,035号明細書に開示されている置換モノペルサリック酸(substituted monoperthalic acid)及びその塩及びエステル;好ましくは、モノペルオキシフタル酸マグネシウム、クロルヘキシジン(Merck Index、no.2090)、アレキシジン(Merck Index、no.222;ヘキセチジン(Merck Index、no.4624);サンギナリン(Merck Index、no.8320);塩化ベンザルコニウム(Merck Index、no.1066);サリチルアニリド(Merck Index、no.8299);臭化ブロミド(Merck Index、no.3411);塩化セチルピリジニウム(CPC)(Merck Index、no.2024;塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);N−テトラデシル−4−塩化エチルピリジニウム(TDEPC)、オクテニジン;デルモピノール、オクタピノール、及び他のピペリジノ誘導体;ナイシン(nicin)製剤;亜鉛/スズイオン活性物質;抗生物質、例えばアウグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン及びメトロニダゾール;及び上記の類似体及び塩;精油、例えばチモール、ゲラニオール、カルバクロール、シトラール、ヒノキチオール、オイカリプトール、カテコール(特に4−アリルカテコール)、金属又は金属イオン(例えば、銀、銅、亜鉛など)及びそれらの混合物;サリチル酸メチル;クロライト及びクロライトの金属塩、ならびに上記すべての混合物が挙げられ得る。
【0102】
本発明の電気化学組成物は、非電気化学抗炎症剤又は非電気化学抗過敏剤(non−electrochemical anti−sensitivity agent)を含んでもよい。抗炎症剤には、限定するものではないが、非ステロイド系抗炎症活性物質又はNSAID、例えばケトロラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、アスピリン、ケトプロフェン、ピロキシカム及びメクロフェナム酸が挙げられ得る。ケトロラクなどのNSAIDの使用は、参照により本明細書に組み込まれる1997年5月6日に発行された米国特許第5,626,838号明細書で特許請求されている。そこには、口腔又は中咽頭に有効量のNSAIDを局所投与することにより、口腔又は中咽頭の原発性及び再発性扁平上皮癌を予防及び、又は治療する方法が開示されている。
【0103】
抗過敏剤は、硝酸カリウム、チョウジ油(オイゲノール)、及びその他のハーブ又は香味活性物質/薬剤を含むことができる。
【0104】
栄養素は、口腔の状態を改善し得、電気化学組成物に含めることができる。本発明の電気化学組成物は、鉱物質、ビタミン、経口栄養補助剤、経腸栄養補助剤及びそれらの混合物を含み得る非電気化学栄養補助剤を含んでもよい。
【0105】
本発明の電気化学組成物に含めることができる鉱物質には、カルシウム、リン、フッ化物、亜鉛、マンガン、カリウム及びそれらの混合物が挙げられる。これらの鉱物質は、参照により本明細書に組み込まれるDrug Facts and Comparisons(loose leaf drug information service)、Wolters Kluer Company、ミズーリ州セントルイス、(著作権)1997年、第10頁〜第17頁に開示されている。
【0106】
ビタミンは、鉱物質とともに含めることも、個別に使用することもできる。ビタミンには、ビタミンC及びD、チアミン、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキシン、シアノコバラミン、パラアミノ安息香酸、ビオフラボノイド及びそれらの混合物が挙げられる。そのようなビタミンは、参照により本明細書に組み込まれるDrug Facts and Comparisons(loose leaf drug information service)、Wolters Kluer Company、ミズーリ州セントルイス、(著作権)1997年、第3頁〜第10頁に開示されている。
【0107】
経口栄養補助剤には、参照により本明細書に組み込まれるDrug Facts and Comparisons(loose leaf drug information service)、Wolters Kluer Company、ミズーリ州セントルイス、(著作権)1997年、第54頁〜第54e頁に開示されているように、アミノ酸、脂向性物質、魚油及びそれらの混合物が挙げられる。アミノ酸には、限定するものではないが、L−トリプトファン、L−リジン、メチオニン、スレオニン、レボカミチン(Levocamitine)又はL−カルニチン及びそれらの混合物が挙げられる。脂向性物質には、限定するものではないが、コリン、イノシトール、ベタイン、リノール酸、リノレン酸及びそれらの混合物が挙げられる。魚油は、多量のω−3(N−3)多価不飽和脂肪酸、エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸を含有する。
【0108】
経腸栄養補助剤には、限定するものではないが、参照により本明細書に組み込まれるDrug Facts and Comparisons(loose leaf drug information service)、Wolters Kluer Company、ミズーリ州セントルイス、(著作権)1997年、第55頁〜第57頁に開示されているように、タンパク質製品、グルコースポリマー、コーン油、ベニバナ油、中鎖トリグリセリドが挙げられる。
【0109】
pH調整剤
アルカリ性物質
本発明による組成物のpHを調整及び/又はpHを維持するために、アルカリ性物質が存在してもよい。アルカリ性物質の量は、組成物の約0.001重量%〜約20重量%、好ましくは約0.01重量%〜約10重量%、さらに好ましくは約0.05重量%〜約3重量%である。
【0110】
アルカリ性物質の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び/又は水酸化リチウム、及び/又はアルカリ金属酸化物、例えば酸化ナトリウム及び/又は酸化カリウム、又はそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、アルカリ源は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0111】
酸
本発明の電気化学組成物は、酸を含んでもよい。本明細書では、当業者に知られている任意の酸が使用され得る。典型的には、本明細書の組成物は、最大約20重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、さらに好ましくは約0.1重量%〜約5重量%、さらに一層好ましくは約0.1重量%〜約3重量%の酸の全組成を有し得る。
【0112】
好適な酸は、モノ及びポリカルボン酸又はその混合物;過カルボン酸又はその混合物;置換カルボン酸又はその混合物;ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。本明細書で有用なカルボン酸には、C
1−6直鎖又は少なくとも約3個の炭素含有環状酸が挙げられる。カルボン酸の直鎖又は環状炭素含有鎖は、ヒドロキシル、エステル、エーテル、約1個〜約6個、さらに好ましくは約1個〜約4個の炭素原子を有する脂肪族基、及びそれらの混合物からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい。
【0113】
好適なモノ及びポリカルボン酸は、クエン酸、乳酸、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、酒石酸、ギ酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、プロピオン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0114】
好適な過カルボン酸は、過酢酸、過炭酸、過ホウ酸及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0115】
好適な置換カルボン酸は、アミノ酸又はその混合物;ハロゲン化カルボン酸又はその混合物;及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0116】
本明細書で使用するのに好ましい酸は、乳酸、クエン酸及びアスコルビン酸ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。本明細書で使用するのにさらに好ましい酸は、乳酸及びクエン酸ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。本明細書で使用するのにさらに一層好ましい酸は乳酸である。
【0117】
好適な酸は、JBL、T&L又はSigmaから市販されている。乳酸はSigma及びPuracから市販されている。
【0118】
使用方法
本発明はさらに、本発明の組成物を使用して、消毒、洗浄及び健康上の利益を提供する方法に関する。
【0119】
本発明はさらに、治療を必要とする創傷と本発明の組成物とを接触させることと、組成物を電流に曝露することとを含む創傷の治療方法に関する。
【0120】
本発明はさらに、表面を消毒する方法を包含し、該方法は、表面と本発明の組成物とを接触させる工程と、組成物を電流に曝露する工程とを含む。
【0121】
本発明はさらに、表面からバイオフィルムを除去する方法を包含し、該方法は、バイオフィルムと本発明の組成物とを接触させる工程と、組成物を電流に曝露する工程とを含む。
【0122】
本発明はさらに、歯又は義歯(口腔の内側又は外側)を含む口腔を治療又は洗浄する方法であって、治療又は洗浄を必要とする口腔(歯又は義歯を含む)と電気化学組成物とを接触させることと、組成物を電流に曝露することとを含む方法に関する。
【0123】
包装
本発明の電気化学組成物は、使用のために電気化学組成物を送達するための任意の好適な包装に梱包されてもよい。好ましい一態様では、パッケージは、ポリエチレンテレフタラート、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン又はそれらの組合せから構成されてもよい。さらに、好ましくは、組成物がキャップの開口部を通ってボトルから出るように、パッケージの上部にあるキャップを通してパッケージが投与されてもよい。一態様では、キャップの開口部は、投与を容易にするのを補助するためのふるいを含んでもよい。
【0124】
別の態様では、パッケージは、複数の区画、好ましくは、第1の区画に第1の組成物を、第2の区画に第2の組成物を含む2つの区画を含んでもよい。電気化学メディエーター及び亜硝酸塩が、第1及び第2の区画のいずれか又は両方に含まれ得ることが理解されるであろう。好ましい一態様では、第1の組成物は電気化学メディエーターを含んでもよく、第2の組成物は亜硝酸塩を含んでもよい。
【0125】
本発明から生成されるガス状伝達物質の生成は、インジゴカルミン漂白法を使用して評価することができる。
【0126】
インジゴカルミン漂白試験方法
電気化学メディエーターの溶液は、漂白の指標として2ppmのインジゴカルミンを含有する1%水性ガス状伝達物質塩水溶液に調製する。UV/Visスペクトルを記録する。
【0127】
この溶液を、炭素電極とポテンショスタットとを含み、メディエーターの酸化還元電位よりも高い電位を有するセルに入れる。10分後にUV/Visスペクトルを記録する。約610nmでのインジゴカルミン可視吸収ピークの強度の減少を用いて、活性剤の効力を決定する。インジゴカルミン吸収ピーク強度が、ガス状伝達物質塩を含有しない対照溶液よりも低下した場合に、本発明の活性剤が好適であると解釈される。
【0128】
ジアミノアントラキノン法を使用して、本発明から生成される一酸化窒素を評価することができる。
【0129】
一酸化窒素試験方法
上記のように、亜硝酸塩又は硝酸塩1%と、75/25v/v水イソプロピルアルコール中の1,2−ジアミノアントラキノン10ppmとを含有する電気化学メディエーターの溶液を調製する。UV/Visスペクトルを記録する。
【0130】
この溶液を、炭素電極とポテンショスタットとを含み、メディエーターの酸化還元電位よりも高い電位を有するセルに入れる。10分後にUV/Visスペクトルを記録する。540nmでの1,2−ジアミノアントラキノン可視吸収ピークの強度の減少を用いて、活性剤の効力を決定する。吸収ピーク強度が、亜硝酸塩を含有しない対照溶液よりも低下する場合に、本発明の活性剤が好適であると解釈される。
【0131】
硫化水素試験方法
上記のように、1%の亜硫酸塩、硫酸塩又はチオ硫酸塩を含有する電気化学メディエーターの溶液を調製する。
【0132】
この溶液を、炭素電極とポテンショスタットとを含み、メディエーターの酸化還元電位よりも高い電位を有するセルに入れる。電気分解の10分後、例えば酢酸鉛紙を使用して、硫化水素について溶液を試験する。硫化水素の試験が陽性である場合に、本発明の活性剤が好適であると解釈される。
以下の実施形態も考えられる:
1.(a)有機電気化学メディエーターと、
(b)還元するとガス状伝達物質に変換されるガス状伝達物質塩とを含む組成物。
2.ガス状伝達物質塩が、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩及び亜硫酸塩から選択される、条項1に記載の組成物。
3.電気化学メディエーターが有機酸化還元部分及び可溶化部分を含む、条項1又は2に記載の組成物。
4.電気化学メディエーターが約−0.1V〜約−2.0Vの還元電位を有する、条項1〜3のいずれに記載の組成物。
5.電気化学メディエーターが約−0.5V〜約−1.7Vの還元電位を有する、条項1〜4のいずれに記載の組成物。
6.電気化学メディエーターが約−0.75V〜約−1.5Vの還元電位を有する、条項1〜5のいずれに記載の組成物。
7.電気化学メディエーターが、ケトン、ベンゾフェノン、キノン、フルオレセイン、キサントン及びチオキサントンならびにそれらの誘導体からなる群から選択される、条項1〜6のいずれに記載の組成物。
8.電気化学メディエーターが、水溶性ケトン、ベンゾフェノン、キノン、フルオレセイン、キサントン及びチオキサントンならびにそれらの誘導体から選択される、条項1〜7のいずれに記載の組成物。
9.電気化学メディエーターが極性官能基を組み込んでいる、条項1〜8のいずれに記載の組成物。
10.極性官能基が、アルコール、アミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸及びリン酸アルキレンオキシドオリゴマー(phosphatealkylene oxide oligomer)、アルキレンオキシドポリマー、アルキレンオキシドコポリマー、エチレングリコール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース、キトサン、デキストラン、2−エチル−2−オキサゾリン、ヒドロキシエチルメタクリラート、ビニルピリジン−N−オキシド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、マレイン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、イソプロピルアクリルアミド、スチレンスルホン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルホスホン酸、エチレンイミンならびにそれらの混合物から選択される、条項1〜9のいずれに記載の組成物。
11.(a)酸化還元部分及び水可溶化部分を含む水溶性電気化学メディエーターと、
(b)電子移動を介して一酸化窒素に変換される亜硝酸塩又は硝酸塩とを含む、条項1に記載の組成物。
12.(a)酸化還元部分及び水可溶化部分を含む水溶性電気化学メディエーターと、
(b)電子移動を介して硫化水素に変換される亜硫酸塩、硫酸塩又はチオ硫酸塩とを含む、条項1に記載の組成物。
13.(a)水溶性電気化学メディエーターと、
(b)以下の式を有する亜硝酸塩とを含み、
A[NO2]
m
式中、
Aが、一価カチオン、二価カチオン及び三価カチオンからなる群から選択され、好ましくは、Aが、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アリールアンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択され、さらに好ましくは、Aが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される、条項11に記載の組成物。
14.(a)水溶性電気化学メディエーターと、
(b)以下の式を有する亜硫酸塩とを含み、
A
n[SO
3]
m
式中、
Aが、一価カチオン、二価カチオン及び三価カチオンからなる群から選択され、好ましくは、Aが、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アリールアンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択され、さらに好ましくは、Aが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される、条項12に記載の組成物。
15.硝酸塩又は亜硝酸塩が、一価カチオン、二価カチオン及び三価カチオンからなるカチオンを有し、好ましくは、Aが、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛又はそれらの混合物からなる群から選択される、条項11に記載の組成物。
16.硫酸塩、チオ硫酸塩又は亜硫酸塩が、一価カチオン、二価カチオン及び三価カチオンからなるカチオンを有し、好ましくは、Aが、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛及びそれらの混合物からなる群から選択される、条項12に記載の組成物。
17.電気化学メディエーターが、酸化還元部分と、アルコール、アミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸及びリン酸アルキレンオキシドオリゴマー、アルキレンオキシドポリマー、アルキレンオキシドコポリマー、エチレングリコール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース、キトサン、デキストラン、2−エチル−2−オキサゾリン、ヒドロキシエチルメタクリラート、ビニルピリジン−N−オキシド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、マレイン酸、リジン、イソプロピルアクリルアミド、スチレンスルホン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルホスホン酸、エチレンイミンならびにそれらの混合物からなる群から選択される親水性部分とを含む、条項1に記載の組成物。
18.上記酸化還元部分が、ケトン、ベンゾフェノン及びキノンからなる群から選択される、条項11に記載の組成物。
19.上記ガス状伝達物質塩が亜硝酸塩であり、上記亜硝酸塩がナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムの亜硝酸塩から選択される、条項1又は2に記載の組成物。
20.上記ガス状伝達物質塩が亜硫酸塩であり、上記亜硫酸塩がナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムの亜硫酸塩から選択される、条項1又は2に記載の組成物。
21.組成物が、水溶液、エマルジョン、固体、ゲル、ヒドロゲル又はオルガノゲルを含む、条項1〜20のいずれに記載の組成物。
22.組成物が水溶液である、条項21に記載の組成物。
23.組成物が、組成物の約0.1重量%〜約99重量%の水を含む、条項22に記載の組成物。
24.補助添加剤をさらに含む、条項1〜23のいずれに記載の組成物。
25.条項1〜24のいずれに記載の組成物を約−0.1V〜約−2.0Vの電位に曝露する工程を含む、ガス状伝達物質の製造方法。
26.創傷標的部位で創傷を治療する方法であって、
(a)上記創傷標的部位を、条項1〜24のいずれに記載の組成物に治療的に近接させる工程と、
(b)組成物を電圧に曝露する工程とを含む方法。
27.尋常性座瘡に罹患した標的部位で尋常性座瘡を治療する方法であって、
(a)上記尋常性座瘡に罹患した標的部位を、条項1〜24のいずれに記載の組成物に治療的に近接させる工程と、
(b)組成物を電圧に曝露する工程とを含む方法。
28.潰瘍化した標的部位で皮膚潰瘍を治療する方法であって、
(a)上記潰瘍化した標的部位を、条項1〜24のいずれに記載の組成物に治療的に近接させる工程と、
(b)組成物を電圧に曝露する工程とを含む方法。
29.ウイルスを治療する方法であって、
(a)上記ウイルスを、条項1〜24のいずれに記載の組成物に治療的に近接させる工程と、
(b)組成物を電圧に曝露する工程とを含む方法。
30.表面からバイオフィルムを除去する方法であって、
(a)上記バイオフィルムを、条項1〜24のいずれに記載の組成物に効果的に近接させる工程と、
(b)組成物を電圧に曝露する工程とを含む方法。
31.創傷を治療する方法であって、
(a)上記創傷を、条項1〜24のいずれに記載の組成物と接触させる工程と、さらに、
(b)組成物を電圧に曝露する工程とを含む方法。
32.(a)
(i)有機電気化学メディエーター及び
(ii)還元するとガス状伝達物質に変換されるガス状伝達物質塩を含む組成物と、
(b)上記組成物を含有するように適合された担体と、
(c)上記組成物と電気的に接触している電流源とを含む治療用被覆材。
33.ガス状伝達物質塩が、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩及び亜硫酸塩から選択される、条項32に記載の治療用被覆材。
34.電気化学メディエーターが有機酸化還元部分及び可溶化部分を含む、条項32又は33に記載の治療用被覆材。
35.電気化学メディエーターが約−0.1V〜約−2.0Vの還元電位を有する、条項32〜34のいずれに記載の治療用被覆材。
36.電気化学メディエーターが約−0.5V〜約−1.7Vの還元電位を有する、条項32〜35のいずれに記載の治療用被覆材。
37.電気化学メディエーターが約−0.75V〜約−1.5Vの還元電位を有する、条項32〜36のいずれに記載の治療用被覆材。
38.電気化学メディエーターが、ケトン、ベンゾフェノン、キノン、フルオレセイン、キサントン及びチオキサントンならびにそれらの誘導体からなる群から選択される、条項32〜37のいずれに記載の治療用被覆材。
39.電気化学メディエーターが、水溶性ケトン、ベンゾフェノン、キノン、フルオレセイン、キサントン及びチオキサントンならびにそれらの誘導体から選択される、条項32〜38のいずれに記載の治療用被覆材。
40.電気化学メディエーターが極性官能基を組み込んでいる、条項32〜39のいずれに記載の治療用被覆材。
41.極性官能基が、アルコール、アミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸及びリン酸アルキレンオキシドオリゴマー、アルキレンオキシドポリマー、アルキレンオキシドコポリマー、エチレングリコール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース、キトサン、デキストラン、2−エチル−2−オキサゾリン、ヒドロキシエチルメタクリラート、ビニルピリジン−N−オキシド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、マレイン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、イソプロピルアクリルアミド、スチレンスルホン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルホスホン酸、エチレンイミンならびにそれらの混合物から選択される、条項32〜40のいずれに記載の治療用被覆材。
42.条項32に記載の治療用被覆材であって、組成物が、
(a)酸化還元部分及び水可溶化部分を含む水溶性電気化学メディエーターと、
(b)電子移動を介して一酸化窒素に変換される亜硝酸塩又は硝酸塩とを含む治療用被覆材。
43.条項32に記載の治療用被覆材であって、組成物が、
(a)酸化還元部分及び水可溶化部分を含む水溶性電気化学メディエーターと、
(b)電子移動を介して硫化水素に変換される亜硫酸塩、硫酸塩又はチオ硫酸塩とを含む治療用被覆材。
44.条項42に記載の治療用被覆材であって、組成物が、
(a)水溶性電気化学メディエーターと、
(b)以下の式を有する亜硝酸塩とを含み、
A[NO2]
m
式中、
Aが、一価カチオン、二価カチオン及び三価カチオンからなる群から選択され、好ましくは、Aが、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アリールアンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択され、さらに好ましくは、Aが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される治療用被覆材。
45.条項43に記載の治療用被覆材であって、組成物が、
(a)水溶性電気化学メディエーターと、
(b)以下の式を有する亜硫酸塩とを含み、
A
n[SO
3]
m
式中、
Aが、一価カチオン、二価カチオン及び三価カチオンからなる群から選択され、好ましくは、Aが、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アリールアンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択され、さらに好ましくは、Aが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される治療用被覆材。
46.硝酸塩又は亜硝酸塩が、一価カチオン、二価カチオン及び三価カチオンからなるカチオンを有し、好ましくは、Aが、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛又はそれらの混合物からなる群から選択される、条項42に記載の治療用被覆材。
47.硫酸塩、チオ硫酸塩又は亜硫酸塩が、一価カチオン、二価カチオン及び三価カチオンからなるカチオンを有し、好ましくは、Aが、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛及びそれらの混合物からなる群から選択される、条項43に記載の治療用被覆材。
48.電気化学メディエーターが、酸化還元部分と、アルコール、アミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸及びリン酸アルキレンオキシドオリゴマー、アルキレンオキシドポリマー、アルキレンオキシドコポリマー、エチレングリコール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース、キトサン、デキストラン、2−エチル−2−オキサゾリン、ヒドロキシエチルメタクリラート、ビニルピリジン−N−オキシド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、マレイン酸、リジン、イソプロピルアクリルアミド、スチレンスルホン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルホスホン酸、エチレンイミンならびにそれらの混合物からなる群から選択される親水性部分とを含む、条項32に記載の治療用被覆材。
49.上記酸化還元部分が、ケトン、ベンゾフェノン及びキノンからなる群から選択される、条項42に記載の治療用被覆材。
50.上記ガス状伝達物質塩が亜硝酸塩であり、上記亜硝酸塩がナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムの亜硝酸塩から選択される、条項33に記載の治療用被覆材。
51.上記ガス状伝達物質塩が亜硫酸塩であり、上記亜硫酸塩がナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムの亜硫酸塩から選択される、条項33に記載の治療用被覆材。
52.条項32に記載の被覆材を含む包帯。
53.上記電流源からの電流を制御する電圧制御装置をさらに含む、条項52に記載の包帯。
54.(a)
(i)有機電気化学メディエーター及び
(ii)ガス状伝達物質に変換されるガス状伝達物質塩を含む被覆材と、
(b)上記被覆材と電気的に接触してそれに電流を印加して、それにより上記ガス状伝達物質塩をガス状伝達物質に変換するアノード及びカソードと、
(c)上記アノード及びカソードと電気的に接触している電源と、
(d)上記電源からの電流を制御する電圧制御装置とを含む包帯。
55.上記電源が電池からなる群から選択される、条項54に記載の包帯。
56.上記電圧制御装置を制御して、上記電源からの電流量及び/又は上記電流の印加持続時間を変更することができるように適合されたプログラミング命令を有するマイクロプロセッサをさらに含む、条項54に記載の包帯。
57.(a)
(i)有機電気化学メディエーター及び
(ii)ガス状伝達物質に変換されるガス状伝達物質塩を含む被覆材を含む包帯と、
(b)上記被覆材と電気的に接触してそれに電流を印加して、それにより上記ガス状伝達物質塩をガス状伝達物質に変換するアノード及びカソードと、
(c)上記アノード及びカソードと電気的に接触し、上記包帯の外部にある電源と、
(d)上記電源からの電流を制御する電圧制御装置とを含む包帯システム。
58.上記電圧制御装置を制御して、上記電源からの電流量及び/又は上記電流の印加持続時間を変更することができるように適合されたプログラミング命令を有するマイクロプロセッサをさらに含む、条項57に記載の包帯。
59.条項1〜24のいずれに記載の組成物を含むフィルム。
60.条項1〜24のいずれに記載の組成物であって、
(a)創傷標的部位を組成物に治療的に近接させることと、
(b)組成物を電圧に曝露することとを含む、創傷標的部位で創傷を治療する際に使用するための組成物。
61.条項1〜24のいずれに記載の組成物であって、
(a)尋常性座瘡に罹患した標的部位を組成物に治療的に近接させることと、
(b)組成物を電圧に曝露することとを含む、尋常性座瘡に罹患した標的部位で尋常性座瘡を治療する際に使用するための組成物。
62.条項1〜24のいずれに記載の組成物であって、
(a)潰瘍化した標的部位を組成物に治療的に近接させることと、
(b)組成物を電圧に曝露することとを含む、潰瘍化した標的部位で皮膚潰瘍を治療する際に使用するための組成物。
63.条項1〜24のいずれに記載の組成物であって、
(a)ウイルスを組成物に治療的に近接させることと、
(b)組成物を電圧に曝露することとを含む、ウイルスの治療に使用するための組成物。
64.条項1〜24のいずれに記載の組成物であって、
(a)創傷を組成物と接触させることと、さらに、
(b)組成物を電圧に曝露することとを含む、創傷の治療に使用するための組成物。
65.条項1〜24のいずれに記載の組成物の使用であって、
(a)創傷標的部位を薬剤に治療的に近接させることと、さらに、
(b)薬剤を電圧に曝露することとを含む、創傷標的部位での創傷の治療に使用するための薬剤を製造するための組成物の使用。
66.条項1〜24のいずれに記載の組成物の使用であって、
(a)尋常性座瘡に罹患した標的部位を薬剤に治療的に近接させることと、
(b)薬剤を電圧に曝露することとを含む、尋常性座瘡に罹患した標的部位での尋常性座瘡の治療に使用するための薬剤を製造するための組成物の使用。
67.条項1〜24のいずれに記載の組成物の使用であって、
(a)潰瘍化した標的部位を薬剤に治療的に近接させることと、
(b)薬剤を電圧に曝露することとを含む、潰瘍化した標的部位での皮膚潰瘍の治療に使用するための薬剤を製造するための組成物の使用。
68.条項1〜24のいずれに記載の組成物の使用であって、
(a)ウイルスを薬剤に治療的に近接させることと、
(b)薬剤を電圧に曝露することとを含む、ウイルスの治療に使用するための薬剤を製造するための組成物の使用。
69.条項1〜24のいずれに記載の組成物の使用であって、
(a)創傷を薬剤と接触させることと、さらに、
(b)薬剤を電圧に曝露することとを含む、創傷の治療に使用するための薬剤を製造するための組成物の使用。
【0133】
例
以下は、本発明の様々な組成物の非限定的な例であり、組成物ならびにそれらの試験方法及び使用方法を例示する。
【0134】
一酸化窒素生成組成物
表1に従って、一酸化窒素の形成の指標としてジアミノアントラキノンを含有する局所製剤を調製する。
【0136】
炭素電極及びポテンショスタットを含むセルに製剤を入れる。製剤に1.3Vの電位を印加する。10分後にUV/Visスペクトルを記録する。540での1,2−ジアミノアントラキノン可視吸収ピークの強度の減少は、一酸化窒素が形成されていることを示す。
硫化水素生成組成物
表2に従って、局所製剤を調製する。
【表2】
【0137】
炭素電極及びポテンショスタットを含むセルに製剤を入れる。製剤に1.3Vの電位を印加する。10分後に酢酸鉛紙と製剤とを接触させて、硫化水素の生成を示す。
【0138】
本発明の包帯又は被覆材に関して、
図1〜
図3は、本発明のサンプル包帯又は被覆材の一般的な構造を示す一般的な概略図である。
【0139】
図1は、本発明のガス状伝達物質組成物を統合するとともに、本発明の一実施形態のガス状伝達物質放出システムを具体化する創傷被覆材の平面概略図を示す。
【0140】
図1は、アノード3及びカソード4を支持する創傷被覆材料2を含む創傷被覆材1の概略図を示し、アノード3及びカソード4はそれぞれのアノード電気接続3a及びカソード電気接続4aによって接続されている。アノード3及びカソード4は、電圧制御装置6によって制御される電池5から電流を印加して、ガス状伝達物質生成組成物の反応を促進して、一酸化窒素(NO)又は硫化水素などの治療用ガス状伝達物質ガスを生成する。多くの例示的な実施形態では、コイン型電池が使用され得る。
【0141】
図2は、アノード3及びカソード4を支持する創傷被覆材料2を含む創傷被覆材1の正面概略図を示し、アノード3及びカソード4はそれぞれのアノード電気接続3a及びカソード電気接続4aによって接続されている。アノード3及びカソード4は、電圧制御装置6によって制御される電池5から電流を印加して、ガス状伝達物質生成組成物の反応を促進して、一酸化窒素(NO)又は硫化水素H
2Sなどの治療用ガスを生成する。また、
図2は、少なくとも1つのガス状伝達物質生成組成物を含有し、ガス状伝達物質生成組成物を、アノード3及びカソード4と電気的に接触することにより印加される電圧の影響下に置いて、それにより、その電解反応を促進するように適合された担体材料を含むガス状伝達物質層7も示す。
【0142】
水溶液、エマルジョン、固体、ゲル、ヒドロゲル、オルガノゲルもしくはフィルム、又は水溶液組成物とフィルムなどの材料との組合せが、担体材料に組み込まれてもよい。
【0143】
担体材料は、創傷又は他の治療部位に配置されて、治療上有効な量及び濃度のガス状伝達物質を有することができる包帯、ガーゼ、発泡体、スポンジ、ヒドロゲル、ハイドロコロイド、ハイドロファイバー、密封被覆材、接着剤組成物又は足場など、ガス状伝達物質生成組成物を含有及び保存するのに有効な任意の材料又は材料の組合せであってよい。
【0144】
包帯又は被覆材の寸法(大きさ、形状、厚さなど)、ならびに電解反応成分及び関連する担体を含有するために使用される材料の種類は、薬物動態及び医学の分野の当業者によって理解されるように、ガス状伝達物質生成組成物に対する標的部位の所望の曝露に応じて選択されてもよい。
【0145】
いくつかの実施形態では、ガス状伝達物質の放出の量及び速度が、ガス状伝達物質生成組成物の量及び/又は配合、及び/又は電解反応を促進する印加電流を調整することによってそれに従って調節されるように、標的部位にある組織内へのガス状伝達物質の拡散を経時的に効果的に可能にするのに十分なガス状伝達物質を提供する必要性に関して、被覆材又は包帯が構築されてもよい。
【0146】
いくつかの実施形態では、局所適用時に被覆材又は包帯に適切な接着剤を組み込むことにより、標的部位で経時的に十分なガス状伝達物質を維持して、標的組織部位と治療的に接触するようにガス状伝達物質を効果的に保持して、組織表面への拡散を可能にするように被覆材又は包帯が構築されてもよい。
【0147】
図3は、本発明のガス状伝達物質組成物を統合するとともに、本発明の別の実施形態のガス状伝達物質放出システムを具体化する創傷被覆材の平面概略図を示す。
【0148】
図3は、アノード13及びカソード14を支持する創傷被覆材料12を含む創傷被覆材11の概略図を示し、アノード13及びカソード14はそれぞれのアノード電気接続13a及びカソード電気接続14aによって接続されている。アノード13及びカソード14は、外部電源(図示せず)に接続されたコネクタ15から電流を印加して、ガス状伝達物質生成組成物の反応を促進して、一酸化窒素(NO)又は硫化水素などの治療用ガスを生成する。外部電源は電圧制御装置を含んでもよい。
【0149】
ガス状伝達物質を適用するのに最適であるように、本発明の被覆材は、標的部位の周囲に接着剤を提供し得、標的部位領域の周囲に蒸気バリアを形成するように適合されているものを含め、接着性包帯など、既知の設計及び製造による包帯に組み込まれ得、本発明の包帯は、標的部位の周囲に接着剤を提供し得、標的部位領域の周囲に蒸気バリアを形成するように適合されているものを含め、接着性包帯など、既知の設計及び製造による包帯の任意の形態であり得ることが理解されるであろう。
【0150】
図4は、一酸化窒素の経時的なグラフであり、人体が、いくつかの異なる細胞の種類では創傷治癒のいくつかの段階を通して一酸化窒素を利用することに精通していることを示している。
【0151】
本発明はまた、電解反応への印加電流及び/又は印加電圧の能動的制御により、適用部位、領域又は体積でガス状伝達物質レベルを制御する手段を含む。
【0152】
図5は、本発明の方法の一実施形態に従って、創傷部位に適用された一酸化窒素レベルの変動の一例を示す一酸化窒素(NO)の経時的なグラフである。このグラフは、一酸化窒素レベルが創傷消毒段階では比較的高く、組織再生の開始時には比較的低く、治癒の完了時には最も低いことを示している。また、これは、様々な細胞の種類によって一時的に異なる。したがって、本発明は、治療期間にわたるガス状伝達物質の分配及び適用の変化を可能にして、その治療期間にわたってガス状伝達物質がさらに効率的に使用されるようにする。これは、マイクロプロセッサが、電解セルへの電流印加の量、タイミング及び持続時間を制御することによって実現され得る。したがって、本発明は、電池又は外部電源を制御し得る任意の制御マイクロプロセッサを含んでもよい。マイクロプロセッサは、クロック機能、ならびに電解セルへの電流の印加を制御するための電圧制御装置を含むようにプログラムされてもよい。
図5は、いくつかの領域(例えばピーク1など)と、ガス状伝達物質(一酸化窒素)生成の低レベルの領域2及び3とを示しており、ガス状伝達物質(一酸化窒素)生成は、調節された送達を提供するためにマイクロプロセッサ制御装置を介して行われ得る。一酸化窒素生成プロファイルは、2サイクル以上及び/又は2つ以上の部位を通して変化するか繰り返されてもよい。
【0153】
制御マイクロプロセッサを使用して、単一の被覆材の領域に関して、又は同時に適用されるいくつかの被覆材のいずれかによって、ガス状伝達物質の適用を空間的に変化させてもよい。
【0154】
図6は、創傷部位での一酸化窒素生成の変動を示す一酸化窒素(NO)の経時的なグラフであり、本発明の方法の一実施形態による一酸化窒素生成/濃度の個別のリアルタイム制御を示す。このグラフは、一酸化窒素生成及び関連する治療効果の個別の空間的及び/又は時間的リアルタイム制御を可能にする一酸化窒素濃度の可変制御を明らかにしている。
【0155】
被覆材又は包帯の電子反応促進部は、搭載電池又は外部電源のいずれを使用し得るかという点、ならびにガス状伝達物質適用の予測される治療期間にわたって必要とされ得る電流の量を考慮して、空間的及びその他の実際的な要件に従って選択されてもよい。一部の被覆材又は包帯では、ガス状伝達物質の放出の量及び速度は、ガス状伝達物質生成組成物の量及び/又は配合を調整することにより、ならびに電解反応に対する印加電流及び/又は印加電圧の経時的な能動的制御により調節され得る。
【0156】
本発明はさらに、治療有効量の少なくとも1つのガス状伝達物質を適用することにより、様々な外傷及び疾患状態を治療する方法を含む。これは、本発明による組成物を、疾患に冒された組織又は外傷を受けた組織に治療的に近接させ(ガス状伝達物質生成組成物が関与する電解反応から生成されるガス状伝達物質を効果的に投与できる十分に近接した範囲内を意味する)、組成物を電圧に曝露することにより行われる。本発明の治療方法は、本発明の被覆材もしくは包帯の使用を通じて、又は本発明による組成物が疾患に冒された組織もしくは外傷を受けた組織に治療的に近接し、電圧に曝露されるようにする他の構成を通じて実施され得る。
【0157】
そのような方法は、一般に、創傷標的部位で創傷を治療する方法を含み、該方法は、(a)創傷標的部位を、前述の請求項のいずれに記載の組成物に治療的に近接させる工程と、さらに、(b)組成物を電圧に曝露する工程とを含む。
【0158】
本発明はまた、多種多様な疾患状態を治療するために適用され得る。これらの中には、尋常性座瘡に罹患した標的部位で尋常性座瘡を治療する方法が含まれ、該方法は、(a)尋常性座瘡に罹患した標的部位を、前述の請求項のいずれに記載の組成物に治療的に近接させる工程と、さらに、(b)組成物を電圧に曝露する工程とを含む。
【0159】
本発明は、潰瘍化した標的部位で皮膚潰瘍を治療する方法も含み、該方法は、(a)潰瘍化した標的部位を、前述の請求項のいずれに記載の組成物に治療的に近接させる工程と、さらに、(b)組成物を電圧に曝露する工程とを含む。
【0160】
本発明はさらに、ウイルスを治療する方法を含み、該方法は、(a)ウイルスを、前述の請求項のいずれに記載の組成物に治療的に近接させる工程と、さらに、(b)組成物を電圧に曝露する工程とを含む。
【0161】
本明細書を通して与えられるあらゆる最大の数値制限は、あらゆる比較的低い数値制限を、あたかもそのような比較的低い数値制限が本明細書に明示的に記載されているかのように含むことを理解されたい。本明細書を通して与えられるあらゆる最小の数値制限は、あらゆる比較的高い数値制限を、あたかもそのような比較的高い数値制限が本明細書に明示的に記載されているかのように含む。本明細書を通して与えられるあらゆる数値範囲は、そのような比較的広い数値範囲内にあるあらゆる比較的狭い数値範囲を、あたかもそのような比較的狭い数値範囲がいずれも本明細書に明示的に記載されているかのように含む。
【0162】
相互参照又は関連する特許もしくは出願を含む、本明細書で引用されるあらゆる文献は、明示的に除外又は制限されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いずれかの文献の引用は、それが本明細書に開示されたか特許請求されたいずれかの発明に関する先行技術であること、もしくはそれ単独であること、又はいずれかの他の単数もしくは複数の参照との組合せにおいて、そのようないずれかの発明を教示、示唆もしくは開示することを自認するものではない。さらに、本書中の用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれた文献中の同じ用語のいずれかの意味又は定義と矛盾する場合には、本書中のその用語に割り当てられた意味又は定義が適用されるものとする。