(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989158
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】脳虚血由来の慢性病態を検出するための試薬の診断セット
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20211220BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
G01N33/53 N
G01N33/543 521
G01N33/543 541Z
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-572794(P2019-572794)
(86)(22)【出願日】2017年12月20日
(65)【公表番号】特表2020-527699(P2020-527699A)
(43)【公表日】2020年9月10日
(86)【国際出願番号】RU2017000956
(87)【国際公開番号】WO2019017811
(87)【国際公開日】20190124
【審査請求日】2020年12月4日
(31)【優先権主張番号】2017122628
(32)【優先日】2017年7月18日
(33)【優先権主張国】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】519463905
【氏名又は名称】オプシチェストボ エス オグラニチェンノイ オトヴェストヴェンノストユ “デー・エル・デー”
【氏名又は名称原語表記】OBSCHESTVO S OGRANICHENNOI OTVETSTVENNOSTYU DRD
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダムビノヴァ,スヴェトラーナ アレクサンドロヴナ
(72)【発明者】
【氏名】イジーケノヴァ,ガリーナ アレクサンドロヴナ
(72)【発明者】
【氏名】スコロメツ,アレクサンドル アニシモヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】グーセフ,エヴゲニー イヴァノヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】マルチノフ,ミハイル ユリエヴィチ
【審査官】
三好 貴大
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2002/012892(WO,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0096331(US,A1)
【文献】
特表2008−528974(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0274975(US,A1)
【文献】
DAMBINOVA, Svetlana et al.,Blood Test Detecting Autoantibodies to N-Methyl-D-aspartate Neuroreceptors for Evaluation of Patients with Transient Ischemic Attack and Stroke,Clinical Chemistry,2003年,49(10),1752-1762
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における慢性の虚血関連脳病態の診断を支援する試薬キットであって、
(a)配列番号1の配列とその全長にわたって少なくとも90%の同一性を有するハイブリッドペプチドであって、固体キャリアに固定されているハイブリッドペプチド、および
(b)前記哺乳動物の生体流体における前記ハイブリッドペプチドに対する自己抗体の存在を決定するための試薬であって、前記試薬が哺乳動物の免疫グロブリンに対して特異的な結合親和性を有する試薬を含む、前記試薬キット。
【請求項2】
前記生体流体が血液、血漿、血清、脳脊髄液、唾液、呼気または汗である、請求項1に記載の試薬キット。
【請求項3】
自己抗体の存在を決定するための前記試薬が視覚化剤に結合された結合剤であり、前記結合剤が哺乳動物の抗体分子の定常領域に特異的に結合する、請求項2に記載の試薬キット。
【請求項4】
前記視覚化剤が、金ナノ粒子、有機染料、磁気ナノ粒子、カーボンナノチューブ、または蛍光ナノ結晶である、請求項3に記載の試薬キット。
【請求項5】
前記慢性の虚血関連脳病態が、慢性虚血、慢性一過性虚血発作、反復性脳卒中または微小脳卒中、及び大脳浮腫からなる群より選択される病状である、請求項1に記載の試薬キット。
【請求項6】
前記固体キャリアが硝酸セルロース膜である、請求項5に記載の試薬キット。
【請求項7】
哺乳動物における慢性の虚血関連脳病態の迅速検出のための診断試験ストリップであって、
互いに流体連通するように構成され、その結果配置される少なくとも3つの領域、すなわち、試料適用領域、反応領域および検出領域を備えるものであり、
前記試料適用領域は、哺乳動物の生体流体を吸収し、毛細管力の作用によりそれを前記反応領域及び前記検出領域に指向させることができ;
前記検出領域は、配列番号1の配列と全長にわたって少なくとも90%の同一性を有するハイブリッドペプチドが固定されている試験ラインを含み;
前記試料適用領域と前記検出領域との間に位置づけられる前記反応領域は、前記哺乳動物の生体流体における前記ハイブリッドペプチドに対する自己抗体の存在を決定するための試薬を含み、ここで、前記試薬は哺乳動物の免疫グロブリンに対する特異的な結合親和性を有する、診断試験ストリップ。
【請求項8】
前記生体流体が血液、血漿、血清、脳脊髄液、唾液、呼気または汗である、請求項7に記載の診断試験ストリップ。
【請求項9】
自己抗体の前記存在を決定するための前記試薬が視覚化剤に結合された結合剤であり、前記結合剤が哺乳動物の抗体分子の定常領域に特異的に結合する、請求項8に記載の診断試験ストリップ。
【請求項10】
前記視覚化剤が、金ナノ粒子、有機染料、磁気ナノ粒子、カーボンナノチューブ、または蛍光ナノ結晶である、請求項9に記載の診断試験ストリップ。
【請求項11】
慢性の虚血関連脳病態を判別するための方法であって、
請求項7に記載の診断試験ストリップの試料適用領域に、哺乳動物から採取された生体流体試料を適用することを含み、
前記診断試験ストリップの検出領域における試験ラインでの視覚化剤の検出が、前記哺乳動物における慢性の虚血関連脳病態の存在を示す、方法。
【請求項12】
前記試験ラインでの視覚化剤の検出が前記診断試験ストリップに生体流体試料を適用した後15分以下以内に生じる、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断の支援、すなわち、哺乳動物の慢性的な脳の症状、特に血管性及び外傷性の脳病変で発生する慢性虚血、内毒素浮腫及び細胞毒性浮腫(脳浮腫)、並びに再発性の虚血事象のリスクを迅速に検出するための方法、装置及び試薬キットに関する。本発明は、既往歴に頭蓋大脳外傷、脳卒中または微小脳卒中がある患者の予防的な健康診断または初期検査に使用することができ、神経学、外傷学及びスポーツ医学にて最適な治療措置を実行するのを可能にするであろう。
【背景技術】
【0002】
脳卒中は、虚血由来の脳の他の急性及び慢性の病態、並びに人々の健康及び生命に対する深刻な脅威を表す。これらの状態の早期で且つ高度に特異的な診断の重要性は過大評価することはできず;患者の回復の速度、厳しさ及び他のパラメーターは正確な診断に依存する。虚血性脳卒中は特に、血栓溶解療法の可能性のために疾患の発症から最初の3〜6時間で診断することが重要である。達成された成功にもかかわらず、慢性病態の背景に対する急性期の虚血の再発のリスク、並びにそれら及びその後の小血管疾患に関連する内毒素浮腫及び細胞毒性浮腫(脳浮腫)の出現を診断するための新しい客観的な手段の必要性が未だにある。そのような状態の診断は一般に、脳の冒された領域及びその損傷の程度を特定するのに必要とされる、たとえば、コンピューター断層撮影及び磁気共鳴画像診断(MRI)のような神経画像診断の方法に基づく。一部の推定によれば、英国における脳卒中患者の40%までは、禁忌、状態不安定または機器の利用不能性のせいで時間内に放射線法によって診断することができない(非特許文献1)。他の多数の国では、機器利用可能性の問題がはるかに深刻であり、その結果、そのような患者の比率はさらに高い。別個の問題は、症状が1時間から24時間続く一過性虚血発作(TIA)または微小脳卒中についての成り行きの診断及び予測である。多くの症例では、既往症に脳卒中またはTIAがある患者は短期間内に記録された少なくとも1回の再発性脳卒中を有する。患者がTIAの症状を無視することは慢性の脳病態の発症を生じ得る。再発性または慢性の脳卒中の発生を決定する特定の因子、たとえば、アテローム性硬化症、高血圧症または糖尿病の役割の理解にもかかわらず、再発性脳卒中の迅速で効果的なリスク評価のための安価な生化学的検査を用いて、そのような先行因子がある、特に潜在する慢性脳卒中がある患者の状態をモニターすることは現在可能ではない。
【0003】
脳卒中またはTIAの診断について熟考される幾つかの免疫活性がある生体マーカーが、神経画像診断の利用できる手段に加えて従来技術から知られているが(非特許文献2〜5)、主として特異性の欠如のせいでどれもまだ臨床実践に適用されていない。同様に、現在、慢性脳卒中または微小脳卒中の発症を予測するための有効なツールは市場にはない。従って、慢性虚血の検出のための特異的で安価で迅速な検査を作り出す課題は、特に大脳浮腫(内毒素浮腫または細胞毒性浮腫)と関連する場合、極度に緊急のままである。本発明は、課題を解決するのに必要な多数の特性を有しているので、慢性的な脳損傷及び再発性虚血事象のリスクを検出するのに使用されるツールの宝庫を拡大するのを可能にする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Hand,PJ.et al.(2005),J.Neurol.Neurosurg.Psychiatry,76:1525−1527
【非特許文献2】Bazarian,JJ,et al.PLoS One 2014,9,e94734
【非特許文献3】Wang,KK,et al.J.Neurotrauma,2016,33,1270−1277
【非特許文献4】E.G.Sorokina,et al.,Journal of Neurology and Psychiatry,2010,110,30−35
【非特許文献5】Guaraldi,F,et al.J.Clin.Med.2015,4,1025−1035
【発明の概要】
【0005】
NMDA神経受容体の循環血断片のレベルは既往症に脳卒中またはTIAがある患者の臨床評価のための診断ツールとして使用できることが知られている。NMDA受容体はN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)を選択的に結合するイオンチャネル型グルタミン酸受容体のサブクラスを表す。本発明の目的は哺乳動物における虚血由来の慢性的な脳の症状、特に血管性または外傷性の脳病変が神経組織細胞の死につながる、再発性の脳卒中または微小脳卒中、脳浮腫に関連する遅延型慢性虚血のリスクを迅速に且つ簡便に検出するための方法及びデバイスを提供することである。この目的を解決するために、NMDA神経受容体サブユニットの2つの断片のうちの単一の断片の形態において病態にて形成されるハイブリッドペプチドを入手し、実験的に調べた(そのようなハイブリッドの形成の可能性は出願WO/2002/012892に記載されている)。
【0006】
本発明の具体的な特徴は、NMDA神経受容体のハイブリッド断片に対して作製した病的抗体を診断マーカーとして使用することである。抗体の有効な形成は血流における抗原の反復出現に応答して発生するので、内在性のタンパク質断片に対する抗体(自己抗体)のレベルの決定は慢性病態について好ましい。NMDA神経受容体に対する特異的な自己抗体のレベルは脳の構造に対する損傷の重症度及び程度に相関するであろう。本発明では、ハイブリッドペプチドは2つの異なる抗原性断片から生成されるので、NMDA受容体の2つの異なるサブユニットに対する抗体を検出するのを可能にする。
【0007】
本発明の実施形態の1つには、その全長にわたって配列番号1の配列(配列表の項目に示されている)と少なくとも90%の同一性を有するハイブリッドペプチド、および哺乳動物の生体流体にて前記ハイブリッドペプチドに対する自己抗体の存在を決定するための試薬を含む、哺乳動物にて慢性の虚血関連脳病態の診断を支援する試薬キット(試薬のセット)が含まれ、ここで、ハイブリッドペプチドは固体キャリアに固定されており、試薬は哺乳動物の免疫グロブリンに対して特定の結合親和性を有する。
【0008】
従って、本発明のハイブリッドペプチドは、配列番号1の配列及び配列番号1に十分に近い配列の双方を含み、ハイブリッドポリペプチドの機能的な特性、たとえば、NMDA受容体のサブセットを認識する自己抗体に対する親和性を妨害しない、又は殆ど妨害しないアミノ酸の挿入、置換または欠失を含む。抗体を含有する血液、血漿、血清、脳脊髄液、唾液、汗、呼気、または他の体液を哺乳動物の生体流体として使用することができる。虚血由来の脳の慢性的な病態の例は、慢性虚血、再発性及び遅延性の脳卒中または微小脳卒中である。
【0009】
好ましい実施形態では、自己抗体の存在を決定する試薬は、視覚化剤に結合させた哺乳動物の抗体分子の定常領域に特異的に結合することができる作用物質である。そのような作用物質の例は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の細胞壁の表面から単離され、IgG重鎖の定常領域(Fcドメイン)に対して高い親和性を有するプロテインAである。さらに、そのような作用物質は、IgGの重鎖の定常領域を認識する抗体の断片であってもよい。本発明の好ましい実施形態にて試験ストリップでのその後の検出を円滑にするために、そのような作用物質は、視覚化剤に結合される。結合は、好ましくは、2つの作用物質の間での共有結合の形成を介して発生するが、安定な機能的複合体が形成されるという条件で他の方法でも実行することができる。視覚化剤は、金ナノ粒子、有機染料、磁気ナノ粒子、カーボンナノチューブ、または蛍光ナノ結晶であることができる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、ハイブリッドペプチドが固定される固体キャリアは、硝酸セルロース膜である。
【0011】
本発明の一部の実施形態は、互いに流体連通するように構成され、その結果配置される少なくとも3つの領域、すなわち、試料適用領域、反応領域および検出領域を備えるものであり、哺乳動物にて慢性の虚血が関連する脳の病態を検出するための診断試験ストリップも含み、ここで、試料適用領域は哺乳動物の生体流体を吸収し、毛細管力の作用下でそれを反応領域及び検出領域に指向させることができ;検出領域は全長にわたって配列番号1の配列と少なくとも90%の同一性を有するハイブリッドペプチドが固定されている試験ラインを含み;試料適用領域と検出領域の間に位置する反応領域は前記哺乳動物生体流体にて前記ハイブリッドペプチドに対する自己抗体の存在を決定するための試薬を含み、試薬は哺乳動物の免疫グロブリンに対する特定の結合親和性を有する。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、自己抗体の存在を決定するための試薬は、視覚化剤に結合された、哺乳動物の抗体分子の定常領域に特異的に結合することができる作用物質であり、視覚化剤は、金ナノ粒子、有機染料、磁気ナノ粒子、カーボンナノチューブ、または蛍光ナノ結晶であってもよい。
【0013】
本発明の一部の実施形態は、哺乳動物から生体流体を採取すること;前記生体流体試料を本発明に係る診断試験ストリップに試料適用領域で適用すること;診断試験ストリップの検出領域における試験ラインで視覚化剤が検出されると前記哺乳動物にて慢性の虚血関連脳病態の存在を決定することを含む、慢性の虚血関連脳病態の哺乳動物被験体を特定する方法も含む。本発明の好ましい実施形態では、試験ライン上での視覚化剤の存在は診断試験ストリップに生体流体試料を適用した後15分以下以内に決定される。
【0014】
本発明の技術的な結果は、虚血由来の慢性脳病変の患者及び再発脳卒中が疑われる患者の状態の迅速且つ客観的な評価の課題を解決するのに本発明が役立つことである。抗原能があるNMDA神経受容体のサブユニットの2つの断片を融合することによって形成される新しいハイブリッドペプチドを単離し、分析し、調べた。患者の血液における自己抗体の迅速且つ簡便な試験及びハイブリッドペプチドを認識することを可能にするデバイスが記載されている。そのような抗体の存在は、脳の特定の構造病変の存在を示し、神経組織の細胞の大量死の指標として役立つ。前記アプローチは、既往症で頭蓋大脳外傷、脳卒中または微小脳卒中がある患者の予防的な健康診断または初期検査に利用できるツールキットを拡大し、そして最適な治療措置を実行するのを可能にするであろう。
【0015】
(用語及び定義)
本発明のさらに良好な理解のために、本明細書で使用される一部の用語を以下で説明する。
【0016】
本発明の説明では、用語「含む」及び「含むこと」は「とりわけ含む」を意味すると見なされる。これらの用語は「のみからなる」と解釈されるようには意図されない。
【0017】
用語「抗体」は用語「免疫グロブリン」と同等であり、細菌、ウイルスまたは他の抗原の哺乳動物生物への投与に応答して形成される糖タンパク質を意味し、前記糖タンパク質はジスルフィド結合によって連結される2本の重鎖(H)と2本の軽鎖(L)とから成る。各重鎖は重鎖の可変領域(VH)と重鎖の定常領域とから成る。重鎖の定常領域は3つのドメイン―CH1とCH2とCH3とから成る。各軽鎖は軽鎖の可変領域(VL)と軽鎖の定常領域とから成る。軽鎖の定常領域は1つのCLドメインから成る。VH及びVLの領域は、さらに保存的な領域によって分離される相補性を決定する領域(H−CDR及びL−CDR)とも呼ばれる超可変領域にさらに細かく分割される。重鎖及び軽鎖の可変領域は抗原と相互作用する結合ドメイン(すなわち、抗体の抗原結合部)を含有する。重鎖の定常領域は同じクラスの抗体分子すべてについて高い程度の相同性を持つ十分に保存的なアミノ酸配列を有する。免疫グロブリン分子の定常領域は重鎖及び/または軽鎖の定常領域に由来するドメインの様々な組み合わせを含んでもよく;一部の実施形態では、定常領域は免疫グロブリン分子のFc領域として理解されるべきであり、それは2本の重鎖のCH2ドメイン及びCH3ドメインによって形成される二量体から成る。Fc領域は抗体のエフェクター機能、すなわち、免疫系の種々の細胞(エフェクター細胞)を含む組織または宿主の因子との免疫グロブリン分子の相互作用に介在する。本明細書における用語「自己抗体」は、内在性の生物タンパク質から形成される抗原(自己抗原)に応答して哺乳動物生物にて生成される抗体分子を意味する。自己抗体は、血流に通常存在しない自己抗原に、たとえば、神経受容体のハイブリッド断片に応答して、または2以上のタンパク質断片の融合によって形成される融合タンパク質または融合ペプチドに応答して産生され得る。
【0018】
免疫グロブリンに対して親和性を有する試薬は、免疫グロブリンに特異的に結合し、且つ新しい複合体実体を形成することができる任意の化学物質であることができる。ここで、この試薬は免疫グロブリンのその特異的な抗原への結合(抗体・抗原反応)を阻害すべきではない。
【0019】
本明細書で使用される用語「2つの配列の同一性パーセント」は、配列比較による2つの配列の最適な一致のために入れなければならないギャップの数及び各ギャップの長さを考慮に入れて、これら2つの配列における同一アミノ酸の位置の数によって決定される。同一性パーセントは、配列比較を考慮に入れて、これらの位置における同一アミノ酸の数を位置の総数で割り、100を乗じたものに等しい。2つのアミノ酸配列の同一性パーセントは無料のプログラムであるNCBIタンパク質BLAST(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/)を用いて決定することができる。
【0020】
特定されない限り、本出願における専門用語及び科学用語は科学文献及び技術文献で一般に受け入れられている標準的な意味を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、プラスチックのケースにおける診断試験ストリップの簡略化構造を示す図である。1:生体流体を受容するように構成されたパッチフィルター、2:反応領域を形成する検出試薬を伴ったパッチ、3:検出領域を形成するニトロセルロース膜、4:吸着パッチ、5:試料適用のためのウェル、6:固定されているハイブリッドペプチドによって形成される試験ライン、7:抗体分子の定常領域を認識する固相抗体によって形成される対照ライン、8:診断試験ストリップを覆うプラスチックカセットの筐体。
【
図2】
図2は、軽度の頭蓋大脳損傷の症例後の慢性の脳の病態の迅速な診断の結果を示す図である。患者1:図(A)の左部分、患者2:図(B)の右部分。慢性脳虚血における自己抗体のレベルを本発明に係る診断試験ストリップを用いて決定した(図の上部)。細胞毒性浮腫の形成は双方の患者にてMRIによって確認した(図の下部)。設計 11:対照ライン、12:試験ライン
【発明を実施するための形態】
【0022】
虚血性脳卒中の病態形成の重要な態様は神経毒性及び免疫興奮毒性であり、それは、アポトーシスのメカニズムによって神経組織の不可逆的な損傷を生じ得る病理生化学的な変化のカスケードである。たとえば、虚血の特徴である酸素とグルコースの取り込みの欠如は細胞性イオンポンプ(イオンチャネル型グルタミン酸受容体に相当する)の障害及びNa
+イオンの細胞への過剰な取り込みを引き起こすことができ、それは、細胞内浸透圧の上昇、従って細胞内への過剰な水の侵入を引き起こす。これは脳の細胞毒性浮腫の形成の原因である。同時に、脳細胞の死は、中枢神経系(CNS)に特異的な分子、たとえば、神経受容体のペプチド断片の患者の生体流体への放出を生じる。これらの断片は血管脳関門を貫通して患者の血液に入り、そこでそれらは受容され得る。出願人らは、内在性のまたは細胞毒性の浮腫がある病変の領域に特異的である有意な量のNMDA神経受容体断片が虚血発作で現れることを見いだしている。神経毒性は、NMDA受容体を短いペプチドに切断するセリンプロテアーゼを活性化し、その短いペプチドの一部が免疫活性を有する。神経組織の重度または慢性の病変では、そのような免疫活性があるペプチドの濃度は、血流に入った後、自己免疫応答−これらのペプチドに対する自己抗体の産生−を開始するのに十分に高くなる。従って、NMDA神経受容体の断片及びそれに対する自己抗体の双方が神経組織細胞の死(アポトーシス)のマーカーとして役立つことができる。自己抗体の効果的な産生は、NMDA受容体の免疫活性があるハイブリット断片の血流への一定の流入を必要とし、先行する因子(アテローム性硬化症、高血圧症、糖尿病)がある個体にて非症候性に発生することができる(Gonzalez−Garcia,et al.J.Neurol.Sci.2017;375:324−330)。ペプチド断片が血中に入った3〜7日後、検出される濃度のNMDA自己抗体が血中に現れることが明らかにされた(Dambinova,S.et al.,Clin.Chem,2003,Oct;49(10):1752−62)。これと併せて、自己抗体は長い間(数週間から数ヵ月間)血流で持続するので、それらは病態の存在のさらに信頼できる且つ簡便な指標である可能性がある。
【0023】
NMDA神経受容体に対する自己抗体の血中での存在の決定は、脳卒中またはTIAが疑われる被験体の有効な検査、及び症候性TIAの評価に使用することができる。自己抗体の最も有効な産生は、アポトーシスによって神経組織細胞の不可逆的な死が発生するとき、細胞毒性浮腫の形成の症例で発生する。この症例では、再発性虚血発作、および慢性虚血の発症の確率が高い。現在、細胞毒性浮腫は拡散強調画像を介してのみ診断されるが、それは時間、相当な計測資源及び財務上の労力を要する。本発明は、側方流動免疫クロマトグラフィーを用いて被験体の血中にてNMDA神経受容体に対する自己抗体を検出することによって神経組織の有意な病変を予測するためのデバイス(診断試験ストリップ)の開発を記載している。
【0024】
そのようなデバイスを作り出す重要な態様は、自己抗体の効果的で且つ特異的な検出のための抗原の選択である。本発明の著者らは、神経組織の有意な病変がある被験体の血中を循環しているNMDA神経受容体の種々の断片を分析し、自己免疫応答を引き出すこれら断片の能力も分析した。この能力は、哺乳動物生物の免疫系によって認識され、異物として認知されない他のタンパク質のエピトープとのNMDA断片のエピトープの類似性の程度によって決定される。加えて、ペプチドの免疫原性は主要組織適合性複合体の受容体に対する親和性によって決定され、そのような親和性はペプチドに対するT細胞免疫応答及びIgG抗体の形成を誘導するのを可能にする。被験体の血中での神経受容体のペプチド断片の検索及び分析のための手順は、Dambinova,S.et al.,Biomarkers for Traumatic Brain Injury,2012,Royal Society of Chemistry(SN−978−1−84973−389−2),p.66−86にて記載されている。手短には、大脳皮質のシナプス膜から単離したタンパク質断片を用いてポリクローナル抗体を作製した。さらに、これらの抗体を用いて慢性の脳病変がある患者の血漿または血清を検査した。患者の血漿から親和性精製したペプチドを質量分光法を用いて特定した。次いで、グルタミン酸受容体の断片に関連する特定したペプチドを合成し、患者の血液から単離したIgG抗体への有効な結合について検証した。こうして、最も免疫原性の大きいペプチドが選択された。
【0025】
種々の濃度でのNMDA神経受容体の2つのサブユニット、すなわち、サブユニットNR2A(GRIN2A遺伝子の産物)及びNR2B(GRIN2B遺伝子の産物)のペプチド断片は、神経組織の有意な病変がある患者の血中で見いだすことができることが明らかにされた。さらに、NR2A及びNR2Bから形成されたさらに小さなペプチドの融合から生じる特定のハイブリッドペプチドの患者の血中における存在が予想外に見いだされた。異なるサブユニットに由来する2つのペプチドの融合は新抗原の形成を生じることができるので、そのようなハイブリッドペプチドはサブユニットの一方のみに由来するペプチドよりも免疫原性が大きいことが多い。自己抗体の検出のための簡単で、効果的な且つ特異的な試験系を作り出すために、本出願者らは慢性の脳病変がある患者の血中に存在する種々のハイブリッドペプチドを単離し、精製し、分析した。特に、NR2A及びNR2Bのサブユニットの2つの領域を組み合わせることによって構築し、有意な抗原潜在性を有するハイブリッドペプチドを選択した。得られたペプチドは配列番号1(配列表にて提供された)のアミノ酸配列を有する。従って、このペプチドはNR2A断片及びNR2B断片の双方にて自己抗体の存在の決定を支援することができる。
【0026】
以下の実施例は、本発明の特徴を開示する目的で提供されるのであって、本発明の範囲を限定するとは決して見なされるべきではない。
【0027】
NMDA自己抗体についての試験系の重要なパラメーターは特異性、自己抗体の検出の最少レベル、使用の容易さ及び結果の解釈、コスト及び信頼性であろう。これらパラメーターの最適なレベルは側方流動免疫クロマトグラフィーに基づいた試験系を実行することによって得ることができる。この場合、順に配置した少なくとも3つの領域、すなわち、試料適用領域、反応領域および検出領域を備える診断試験ストリップを用いて自己抗体を決定し;ここで、当初乾燥している試料適用領域は哺乳動物の生体流体を吸収し、毛細管力の作用によりそれを反応領域及び検出領域に指向させることができる。そのような設計の種々の実施形態は当業者に既知であり、本発明で使用することができる。たとえば、数滴の新しく採取した患者の血液(20〜80μl)を試料として使用することができる。試料を試料適用領域に置き、ここで、流体は特定のパッチフィルターを介して反応領域に移動する。特定のパッチの素材を選択して血液を濾過し、当業者に既知の方法で、たとえば、グラスファイバー材を用いて背景シグナルを最適化することができる。反応領域は免疫グロブリン抗体分子の定常領域を特異的に結合することができる作用物質を含有し、ここで、この作用物質は視覚化剤に結合され、免疫グロブリン分子に結合した後、毛細管力の作用により検出領域に移動することができる。慢性脳病変の場合、NMDA神経受容体の断片の一定の産出があり、それに続く血流へのその流入がある。このことは、患者の血中でのクラスG免疫グロブリン(IgG)の形成を伴う免疫原性ペプチドに対する成熟免疫応答の発生を生じる。従って、本発明の好ましい実施形態では、IgG抗体分子の定常領域を特異的に結合することができる作用物質が反応領域で使用される。そのような作用物質は、たとえば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の細胞壁の表面から単離され、IgGの重鎖の定常部分に対して高い親和性を有するプロテインAであってもよい。検出の都合上、本発明の好ましい実施形態では、プロテインAは当業者に既知の方法によって視覚化剤に結合された。検出できる放射線を発することができる物質、または検出できる放射線の放出を(たとえば、放射性崩壊、化学反応、蛍光励起、スピン共鳴励起、等によって)引き起こすことができる物質を視覚化剤として使用することができる。種々の実施形態では、そのような作用物質は、金ナノ粒子、酵素(たとえば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)、有機染料または蛍光ナノ結晶(量子ドット)、及び当業者に既知の他の類似の作用物質であってもよい。検出領域におけるシグナルの視覚化は、広いスペクトルの昼光照明のもとで、または狭いスペクトル源の使用を介して発生することができる。本発明の好ましい実施形態では、プロテインAはマレイミド官能基を持つストレプトアビジン分子に結合され;加えて市販のビオチン化した金ナノ粒子が使用された。その結果、ビオチン及びストレプトアビジンの高い親和性相互作用を使用して最終結合「プロテインA・金ナノ粒子」が実行された。
【0028】
反応領域で形成された「自己抗体IgG・プロテインA・金ナノ粒子」の複合体は毛細管力の作用によりさらに検出領域に移動する。本発明の好ましい実施形態では、検出領域はこの複合体を通すのに十分な孔を持つ硝酸セルロース膜である。そのような膜の例は当業者に既知である。一部の実施形態では、以下の製造元に由来する膜:Sartorius(CN95,CN140)、Millipore(HF90,HF120,HF180)またはMDI(mdi70,mdi10μ)が使用された。本発明の好ましい実施形態では、膜は少なくとも2つのライン―好ましくは液体の流れと垂直に配置される試験ライン及び対照ラインを含む。試験ラインは、配列番号1の配列を持つまたはそれと少なくとも90%同一の配列を持つ選択されたハイブリッドペプチドの膜上への固定によって形成される。当業者に既知の種々の方法を使用して膜上にペプチドを固定することができる。一実施形態では、膜上への固定は、ウシ血清アルブミン(BSA)とのペプチドの結合によって実行される。ハイブリッドペプチドは、市販のマレイミド・BSA結合体を用いたマレイミド官能基を用いてBSAに結合することができる。次いで、ペプチド・BSA複合体を試験ラインの近くで直接膜に適用し、乾燥過程の間に膜に付着させた。
【0029】
対照ラインは液体の流れに沿って試験ラインから離れて位置付けられ、当業者に既知の方法によるポリクローナル抗IgG抗体の膜上への固定によって形成される。反応領域から移動する「自己抗体IgG・プロテインA・金ナノ粒子」複合体は、自己抗体がハイブリッドペプチドに対する親和性を有するという条件で、先ず、固定されたこのペプチドと相互作用することができる。未結合の複合体はさらに対照ラインに移動し、そこで固相抗IgG抗体がこれらの複合体と結合する。従って、対照ラインのみが現れると、試験結果は陰性と見なされる。結合の視覚化は視覚化剤を使用して実行され、ここで、視覚化剤の性質が検出方法を決定するであろう。本発明の好ましい実施形態では、使用される金ナノ粒子は良好な光学特性を有し;ライン上で結合され、昼光で照らされると、それらはラインを暗い金色に染色し、追加の機器を使用することなく視覚的に検出するのを可能にする。シグナルの強度は試料におけるペプチドに対する特異抗体の濃度に比例するであろう。最終的に、検出領域の端には、試料適用領域から検出領域までの膜に沿って流体流動を維持し、逆流を防ぐ吸着パッチがある。本発明の実施形態の1つにおける診断試験ストリップの簡略化構造を
図1に提示する。
【0030】
本発明の記載されている実施形態は、固定されたペプチドに特異的な自己抗体の含量の半定量的分析を行うのを可能にする。試験ラインの出現の強度及び速度は試料における抗体の濃度によって決定されるであろうが、試薬の特定のセットについて具体的に考案される参照表上でラインの色を比較することができる。参照表はハイブリッドペプチドに対して特異的に調製したポリクローナル抗体の試料の滴定によって構築することができる。
【実施例】
【0031】
(本発明の使用の実施例)
実施例1:慢性脳虚血(確認された細胞毒性浮腫を伴う)での即時診断によるハイブリッドペプチドに対する抗体を決定する成績
【0032】
77歳の女性が軽い頭蓋大脳損傷の後の症状でPavlov First Saint Petersburg State Medical University(PFSPSMU)の第1神経内科に入院した。高血圧症、2型糖尿病及び進行したアテローム性硬化症の形態でのリスク因子が特定された。神経学的な状態:(1)中程度の認知障害、(2)両側性錐体機能不全、(3)右側L4〜L5の神経根症候群、(4)振動感覚の不足とアキレス腱反射の喪失を伴う多発性神経障害症候群。
【0033】
本発明の試験ストリップ、及びT2FLAIRモードでの脳MRI走査を用いて診断迅速試験を実施した(
図2A)。MRI画像では、細胞毒性浮腫を検出した(明るい領域として現れた)。診断迅速試験は2本のラインの存在を示した(
図2A)。
【0034】
実施例2:慢性脳虚血(確認された細胞毒性浮腫を伴う)での即時診断によるハイブリッドペプチドに対する抗体を決定する成績
【0035】
83歳の女性が不安定歩行、四肢の動きのこわばり、失神の周期的な感覚、眩暈、全身の震え、足浮腫を訴えてPFSPSMUの第1神経内科に入院した。以前、彼女はIII度の循環不全脳症、血管性パーキンソン病の症候群の診断でPFSPSMUに入院した。高血圧症及び進行したアテローム性硬化症の形態でのリスク因子が特定された。神経学的な状態:(1)中程度の認知障害、(2)仮性球症候群、(3)パーキンソン症候群、(4)両側性錐体機能不全、(5)腰椎における静力学と動力学の障害。
【0036】
本発明の試験ストリップ、及びT2FLAIRモードでの脳MRI走査を用いて診断迅速試験を実施した(
図2B)。MRI画像では、細胞毒性浮腫を検出した(明るい領域及びスポットとして現れた)。診断迅速試験は2本のラインの存在を示した(
図2B)。
【0037】
実施例3:本発明の診断試験ストリップを用いたSaint Petersburg State Medical Universityの患者のパイロット試験
【0038】
試験は、コード167(167.2 大脳アテローム性硬化症、167.4 高血圧性脳症、167.8 大脳血管の他の特定された病変)に相当する疾患の国際分類に従って、循環不全脳症/大脳循環の慢性障害(CDCC)の確立された作業診断がある10人の対象を登録した。診断は、臨床の方法(神経学的な検査)、神経心理学的方法(MMSE及びFABのスケール)及び計器による研究法(神経画像、二重走査)によって裏付けた;男性3人及び女性7人が試験に参加し、平均年齢は68.3歳だった。大脳循環の障害についての潜在的なリスク因子を探すことを目的とするT1、T2、T2FLAIR、DWI、GREのモードでの磁気共鳴画像診断(MRI)、及び大脳循環の障害についての潜在的なリスク因子を探すことを目的とする他の検査方法を試験の参加者全員に対して実行した。こうして腕頭動脈及び大脳動脈のアテローム性硬化症は7人の患者で検出され、高血圧症は5人の患者で明らかにされ、糖尿病は2人の患者で明らかにされ、不整脈は2人の患者で明らかにされた。3つのリスク因子の組み合わせは2人の患者で診断された。対照群は、患者の試験群の平均年齢と同一である平均年齢を考慮して選択された相対的に健康な12人のボランティアからなるものであった。
【0039】
病院に入院の際、患者から毛細血管血を採取し、80μlの試料を特殊な迅速試験ウインドウに入れ、10μlのリン酸緩衝液を加えた。30分(平均15分)以内に、免疫クロマトグラフィー反応の発生が対照のCライン及び試験のTラインの迅速試験スクリーニングの外観の形態で観察された。大脳循環の慢性障害/循環不全脳症と診断された10人の患者のうち8人にて迅速試験は陽性の結果を示した。12人の患者の対照群では、試験ラインは1症例でのみ出現した。従って、本発明の診断試験ストリップの予備試験は約80%の感度及び約93%の特異度を実証した。
【0040】
本発明が本発明の実施形態の開示されている変形を参照して記載されているという事実にもかかわらず、記載されている具体的で詳細な実験は、本発明を説明するだけの目的で示されており、本発明の範囲を如何なる様式にも限定するものと解釈されるべきではないことが当業者に明白なはずである。本発明の本質から逸脱することなく、種々の修正の実施形態が可能であることが理解されるべきである。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]