(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記屈曲部において、その頂点から前記脚部の端部にかけての部分と、その頂点から前記爪部の先端部にかけての部分とが、それぞれ直線状であることを特徴とする請求項2に記載のスナップフィット係合コネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
(コネクタの構成)
本実施形態におけるコネクタ(スナップフィット係合コネクタ)は、例えば、カーエアコンの冷媒配管の接続に用いられる継手である。用途がカーエアコンの場合、コネクタの破裂強度は10MPa以上である。
【0011】
コネクタ100の斜視図である
図1、および、コネクタ100の断面図である
図2に示すように、コネクタ100は、直線状のコネクタである。コネクタ100の材質は、例えば、樹脂である。コネクタ100は、パイプ50が挿入される雌継手部としてのコネクタ本体部1と、雄継手部2と、を備える。
【0012】
コネクタ本体部1は、パイプ50が挿入される開口11と、開口11に連通する内部空間12とを有している。本実施形態において、コネクタ本体部1は、円筒状であるが、これに限定されない。
【0013】
雄継手部2は、コネクタ本体部1と同軸に設けられ、コネクタ本体部1の内部空間12と連通する流路21を有している。雄継手部2には、例えば、ホース(不図示)が接続される。雄継手部2におけるホースが接続される部分は、円筒状である。
【0014】
コネクタ本体部1は、一体成形品であり、例えば、射出成形により一体成形される。また、コネクタ本体部1および雄継手部2についても同様であり、コネクタ本体部1と雄継手部2とは、例えば、射出成形により一体成形される。なお、本実施形態では、コネクタ本体部1と雄継手部2とが一体成形されているが、コネクタ本体部1と雄継手部2とが一体成形されている必要はなく、例えば、コネクタ本体部1と雄継手部2とが別々に成形されたものを接合してもよい。
【0015】
また、本実施形態では、コネクタ本体部1と雄継手部2とが同軸に並んでいるが、コネクタ本体部1と雄継手部2とが直交していてもよい。また、コネクタ本体部1と雄継手部2とが交差していてもよい。つまり、コネクタ100は、L字形状のコネクタであってもよい。ここでの「L字形状」には、コネクタ本体部1と雄継手部2とがなす角度が90度のものだけでなく、30度や45度や60度など、様々な角度をなすものが含まれる。
【0016】
パイプ50の斜視図である
図3に示すように、パイプ50は、内部に冷媒が流されるパイプ(管)である。パイプ50の材質は、例えば、アルミニウム合金等の金属である。パイプ50の端部の外周には、環状の凸部であるスプール部51が設けられている。パイプ50の先端部の外周の一部には、凹部52が設けられている。
【0017】
図1および
図2に示すように、コネクタ100は、リテーナ3を有している。リテーナ3は、コネクタ本体部1の内部に挿入されたパイプ50を固定するものである。パイプ50に設けられたスプール部51と、リテーナ3とが係合されることで、パイプ50は、コネクタ本体部1に固定(ロック)される。リテーナ3の材質は、例えば、樹脂である。
【0018】
ここで、スプール部51とリテーナ3とは、スナップフィットにより係合される。スナップフィットとは、材料の弾性を利用して一方を他方に嵌め込むことである。具体的には、コネクタ本体部1の内部にパイプ50が挿入されていくと、リテーナ3の後述する爪部33がスプール部51に押されて、コネクタ本体部1の外周面(外面)側に向かって弾性変形する。コネクタ本体部1の奥にパイプ50が完全に挿入されて、スプール部51が爪部33を通過すると、爪部33が元の位置に戻る。これにより、スプール部51とリテーナ3とが係合される。
【0019】
コネクタ本体部1および雄継手部2の斜視図である
図4に示すように、コネクタ本体部1の側部には、第1貫通穴(貫通穴)13が形成されている。本実施形態では、第1貫通穴13は、コネクタ本体部1の周方向に等間隔で4つ形成されている。この第1貫通穴13に、リテーナ3の後述する爪部33が嵌る。
【0020】
また、コネクタ本体部1の外周面には、凸部14が設けられている。本実施形態では、凸部14は、コネクタ本体部1の周方向に等間隔で4つ設けられている。凸部14は、第1貫通穴13の近傍に配置されている。パイプ50の径方向(コネクタ本体部1の径方向)において、凸部14の高さは、スプール部51の高さよりも高い。
【0021】
また、コネクタ本体部1の側部には、第2貫通穴15が形成されている。本実施形態では、第2貫通穴15もまた、コネクタ本体部1の周方向に等間隔で4つ形成されている。第2貫通穴15は、第1貫通穴13に対して、コネクタ本体部1の開口11側とは反対側(奥側)に形成されている。また、第2貫通穴15は、コネクタ本体部1の内部にパイプ50が完全に挿入された際に、スプール部51が対向する位置に形成されている。
【0022】
本実施形態では、第2貫通穴15は第1貫通穴13に連通しているが、連通していなくてもよい。
【0023】
リテーナ3の斜視図である
図5に示すように、リテーナ3は、リング部31と、脚部32と、爪部33と、を有している。
図1に示すように、リング部31は、コネクタ本体部1の開口11側に配置されている。
図5に示すように、リング部31は、開口11に連通する孔部31aを有している。
【0024】
脚部32は、リング部31から、コネクタ本体部1の開口11側とは反対側(奥側)に延びている。本実施形態では、脚部32は、リング部31の周方向に等間隔で4つ設けられている。
【0025】
本実施形態において、脚部32は、平坦な板状である。即ち、脚部32は、パイプ50の周方向(リング部31の周方向)に湾曲していない。そのため、リング部31と脚部32との接続箇所を支点として、コネクタ本体部1から離れる方向に脚部32を好適に反らせることができる。
【0026】
また、脚部32の中央部が、脚部32の両端部よりも細くされている。本実施形態では、パイプ50の周方向における脚部32の幅が、脚部32の端部から中央部に向かって漸減されている。そのため、コネクタ本体部1から離れる方向に脚部32の全体を容易に撓らせることができる。
【0027】
爪部33は、脚部32のリング部31とは反対側の端部から、コネクタ本体部1の内部に向かって延びている。つまり、爪部33は、リング部31の周方向に等間隔で4つ設けられている。なお、脚部32および爪部33の数には、4つだけでなく、1つや2つや3つなども含まれる。
図2に示すように、爪部33は、コネクタ本体部1の側部に形成された第1貫通穴13を貫通している。
【0028】
図2に示すように、爪部33の先端部は、コネクタ本体部1の内部にパイプ50が完全に挿入された際に、コネクタ本体部1の開口11側からスプール部51に当接する。
【0029】
図5に示すように、爪部33には、屈曲部33aが設けられている。この屈曲部33aは、コネクタ本体部1の開口11側に凸となっている。屈曲部33aは、コネクタ本体部1の開口11側に折り曲げられた後に、コネクタ本体部1の開口11側とは反対側(奥側)に折り返されたような形に形成されている。
【0030】
本実施形態では、屈曲部33aは、爪部33の全長にわたって設けられている。つまり、屈曲部33aは、脚部32のリング部31とは反対側の端部から、コネクタ本体部1の開口11側に折り曲げられた後に、爪部33の先端部を含む部分が、コネクタ本体部1の奥側に折り返されたような形に形成されている。よって、脚部32と爪部33との接続箇所から爪部33の先端部にかけてのすべてが、屈曲部33aとなっている。
【0031】
また、屈曲部33aにおいて、その頂点から脚部32の端部にかけての部分と、その頂点から爪部33の先端部にかけての部分とが、それぞれ直線状であり、これら2つの部分のなす角度は、100度以下、好ましくは90度以下である。本実施形態では、これら2つの部分のなす角度は、90度である。これにより、爪部33の変形を抑制し、パイプ50を保持する力を高めることができる。
【0032】
図2に示すように、屈曲部33aの頂点は、内部空間12の側面よりもコネクタ本体部1の内部側に位置している。
【0033】
図1に示すように、パイプ50の周方向において、第1貫通穴13の幅は、爪部33の幅よりも広くされている。これにより、爪部33は、第1貫通穴13の内部において、パイプ50の周方向に移動(回転)可能になっている。
【0034】
ここで、上述したように、コネクタ本体部1の外周面には、凸部14が設けられている。パイプ50の周方向に爪部33が移動(回転)した際に、この凸部14に脚部32が乗り上げる。
【0035】
図2に示すように、コネクタ本体部1の内部の側面であって、パイプ50の挿入方向における内部空間12よりも奥側の側面(雄継手部2付近の側面)の一部には、凸部16が設けられている。この凸部16は、パイプ50の凹部52に対応している。よって、凹部52が凸部16に対向するようにして、パイプ50をコネクタ本体部1の内部に挿入しなければ、コネクタ本体部1の奥までパイプ50を完全に挿入することができず、その結果、リテーナ3でパイプ50を固定することもできない。
【0036】
また、
図1に示すように、コネクタ100は、チェッカー4を有している。チェッカー4は、コネクタ本体部1の内部にパイプ50が完全に挿入されたか否かをチェックするものである。チェッカー4の斜視図である
図6に示すように、チェッカー4は、嵌合部41と、引張部42と、接続部43と、を有している。チェッカー4の材質は、例えば、樹脂である。
【0037】
嵌合部41は、コネクタ本体部1の外形に沿った半環状であり、コネクタ本体部1の外周に嵌められる。嵌合部41は、その内側に突出した第1突起部44を両端部に有している。この第1突起部44は、それぞれ第2貫通穴15(
図4参照)に嵌め込まれる。コネクタ本体部1の開口11側において、第1突起部44には、テーパがそれぞれ形成されている。このテーパにより、コネクタ本体部1の開口11側から奥側に向かってスプール部51が移動しやすくなる。
【0038】
第1突起部44の先端同士の距離は、スプール部51の外径よりも短い。そのため、コネクタ本体部1の内部にパイプ50が完全に挿入されると、スプール部51によって、第1突起部44の先端同士の距離が広げられることで、嵌合部41が弾性変形する。
【0039】
嵌合部41の中央部には、コネクタ本体部1の奥側に突出した第2突起部45が設けられている。第2突起部45を奥側にして、コネクタ本体部1の外周に嵌合部41が嵌められた際に、第2突起部45は、コネクタ本体部1の外周に当接する。一方、第2突起部45を開口11側にして、コネクタ本体部1の外周に嵌合部41が嵌められようとした際に、第2突起部45は、リテーナ3の爪部33と干渉し、コネクタ本体部1の外周に嵌合部41が嵌るのを阻害する。よって、第2突起部45を奥側にした正しい向きでしか、コネクタ本体部1の外周に嵌合部41を嵌めることができない。
【0040】
引張部42は、リング状であり、作業者の指を掛けることが可能である。引張部42と嵌合部41とは、接続部43で接続されている。コネクタ本体部1の奥までパイプ50が完全に挿入されると、嵌合部41が弾性変形するので、引張部42を指で引っ張ることで、コネクタ本体部1からチェッカー4を容易に取り外すことができる。
【0041】
(コネクタの組立方法)
次に、コネクタ100の組立方法について説明する。
【0042】
まず、
図2に示すように、2個のOリング5および2個のバックアップリング6を、開口11からコネクタ本体部1の内部へ挿入する。なお、Oリング5およびバックアップリング6の個数は、2個に限定されない。
【0043】
次に、コネクタ本体部1の開口11側から、コネクタ本体部1の外周にリテーナ3を取り付ける。具体的には、コネクタ本体部1の外周面に当接させた爪部33を第1貫通穴13まで移動させて第1貫通穴13に嵌める。
【0044】
ここで、パイプ50の周方向に脚部32が湾曲している場合、リング部31と脚部32との接続箇所を支点として、コネクタ本体部1から離れる方向に脚部32を反らせるのは容易ではない。これに対して、脚部32が平坦な板状の場合、リング部31と脚部32との接続箇所を支点として、コネクタ本体部1から離れる方向に脚部32を好適に反らせることができる。よって、コネクタ本体部1にリテーナ3を取り付ける際に、コネクタ本体部1の外周面に当接させた爪部33を第1貫通穴13まで移動させて第1貫通穴13に嵌める作業を、コネクタ本体部1から離れる方向に脚部32を反らせながら行うことができる。これにより、コネクタ100の組み立てを容易に行うことができる。
【0045】
また、脚部32の中央部が、脚部32の両端部よりも細くされている。これにより、コネクタ本体部1から離れる方向に、脚部32の全体を容易に撓らせることができる。よって、コネクタ本体部1にリテーナ3を取り付ける際に、コネクタ本体部1の外周面に当接させた爪部33を第1貫通穴13まで移動させて第1貫通穴13に嵌める作業を、リング部31と脚部32との接続箇所を支点に脚部32を反らせながら、且つ、脚部32の全体を撓らせながら行うことができる。これにより、コネクタ100の組み立てをさらに容易に行うことができる。
【0046】
次に、コネクタ本体部1にチェッカー4を取り付ける。具体的には、第2突起部45を奥側にして、2つの第1突起部44を、それぞれ第2貫通穴15に嵌め込む。
【0047】
(コネクタの各部品の動き)
次に、コネクタ100の各部品の動きについて説明する。
【0048】
(パイプ挿入時)
図1に示すように、コネクタ本体部1の内部にパイプ50が挿入される。このとき、
図2に示すように、凹部52が凸部16に対向するようにして、パイプ50がコネクタ本体部1の内部に挿入される。そのため、パイプ50に対するコネクタ本体部1の周方向の向きが決まる。
【0049】
コネクタ本体部1の内部にパイプ50が挿入されていくと、爪部33がスプール部51に押されて、コネクタ本体部1の外周面側に向かって弾性変形する。コネクタ本体部1の奥にパイプ50が完全に挿入されて、スプール部51が爪部33を通過すると、爪部33が元の位置に戻る。これにより、コネクタ本体部1にパイプ50が固定される。
【0050】
凹部52を凸部16に対向させると、パイプ50に対してコネクタ本体部1を回転させることができなくなる。これにより、パイプ50に対してコネクタ本体部1が回転するのを防止することができる。その結果、雄継手部2に接続されたホースの位置が、コネクタ本体部1の回転に伴って変化するのを防止することができるので、ホースがエンジンなどに接触するのを防止することができる。
【0051】
コネクタ本体部1の奥までパイプ50が完全に挿入されると、チェッカー4の嵌合部41が弾性変形する。この状態で、チェッカー4の引張部42を作業者の指で引っ張ることで、コネクタ本体部1からチェッカー4を容易に取り外すことができる。一方、コネクタ本体部1の奥までパイプ50が完全に挿入されていなければ、嵌合部41が十分に弾性変形せず、コネクタ本体部1からチェッカー4を容易に取り外すことができない。
【0052】
(パイプ挿入後)
コネクタ本体部1にパイプ50が固定された後に、カーエアコンの冷媒などが、パイプ50の内部を流通する。これにより、パイプ50の内部に圧力がかかり、コネクタ本体部1の内部から抜け出る方向にパイプ50が動く。すると、
図2に示すように、パイプ50のスプール部51によって、リテーナ3の爪部33が、コネクタ本体部1の開口11側に押され、内部空間12の側面とパイプ50の外周面との間に屈曲部33aが食い込む。その結果、コネクタ本体部1の外周面側に爪部33が浮き上がるのが抑制される。また、矢印で示すように、リテーナ3の脚部32が、コネクタ本体部1の開口11側とは反対側に引っ張られ、リテーナ3のリング部31が、コネクタ本体部1に当接する。リング部31が、コネクタ本体部1に当接した後は、屈曲部33aの食い込み量が増すにつれて、脚部32にかかる引張荷重が大きくなる。脚部32の引張強度によって、コネクタ本体部1の内部から抜け出る方向へのパイプ50の動きが抑えられる。
【0053】
特許文献1に開示されているような従来の係止爪では、係止爪の曲げ強度で、パイプ50の動きを抑えていた。しかし、カーエアコンなど、パイプ50の内部にかかる圧力が高い用途では、パイプ50の動きを十分に抑えることができず、係止爪が折れ曲がり、コネクタ本体部1の外周面側に係止爪が浮き上がることで、コネクタ本体部1の内部からパイプ50が抜け出る虞があった。
【0054】
ここで、一般的に、樹脂や金属の引張強度は、曲げ強度よりも高い。そこで、脚部32の引張強度で、パイプ50の動きを抑えることで、カーエアコンなど、パイプ50の内部にかかる圧力が高い用途においても、パイプ50の動きを好適に抑えることができる。これにより、コネクタ本体部1の内部からパイプ50が抜け出るのを抑制することができる。
【0055】
ここで、屈曲部33aは、爪部33の全長にわたって設けられている。そのため、例えば、爪部33の中央部のみに屈曲部33aを設けるのに比べて、折れ曲がり箇所の数を少なくすることができる。よって、折れ曲がり箇所にストレスがかかって、爪部33が折れてしまうのを抑制することができる。
【0056】
(パイプ抜き取り時)
コネクタ本体部1の内部からパイプ50を抜き取る際には、
図1に矢印で示すように、パイプ50の周方向に爪部33が移動(回転)される。すると、コネクタ本体部1の外周面に設けられた凸部14に脚部32が乗り上げる。これにより、コネクタ本体部1の外周面側に爪部33が浮き上がる。このとき、パイプ50の径方向において、凸部14の高さは、スプール部51の高さよりも高いので、爪部33の先端部がスプール部51から離れる。よって、パイプ50の周方向に爪部33を移動(回転)させて、凸部14に脚部32を乗り上げさせることで、コネクタ本体部1の内部からパイプ50を抜き出すことができる。
【0057】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係るコネクタ100によると、リテーナ3の爪部33に設けられた屈曲部33aの頂点は、コネクタ本体部1の内部空間12の側面よりもコネクタ本体部1の内部側に位置している。よって、パイプ50の内部に圧力がかかり、コネクタ本体部1の内部から抜け出る方向にパイプ50が動くと、パイプ50のスプール部51によって爪部33がコネクタ本体部1の開口11側に押され、内部空間12の側面とパイプ50の外周面との間に屈曲部33aが食い込む。その結果、コネクタ本体部1の外周面側に爪部33が浮き上がるのが抑制される。また、リテーナ3の脚部32が、コネクタ本体部1の開口11側とは反対側に引っ張られ、リテーナ3のリング部31が、コネクタ本体部1に当接する。リング部31が、コネクタ本体部1に当接した後は、屈曲部33aの食い込み量が増すにつれて、脚部32にかかる引張荷重が大きくなる。脚部32の引張強度によって、コネクタ本体部1の内部から抜け出る方向へのパイプ50の動きが抑えられる。従来の係止爪では、係止爪の曲げ強度で、パイプ50の動きを抑えていた。しかし、カーエアコンなど、パイプ50の内部にかかる圧力が高い用途では、パイプ50の動きを十分に抑えることができず、係止爪が折れ曲がり、コネクタ本体部1の外周面側に係止爪が浮き上がることで、コネクタ本体部1の内部からパイプ50が抜け出る虞があった。ここで、一般的に、樹脂や金属の引張強度は、曲げ強度よりも高い。そこで、脚部32の引張強度で、パイプ50の動きを抑えることで、カーエアコンなど、パイプ50の内部にかかる圧力が高い用途においても、パイプ50の動きを好適に抑えることができる。これにより、コネクタ本体部1の内部からパイプ50が抜け出るのを抑制することができる。
【0058】
また、屈曲部33aは、爪部33の全長にわたって設けられている。そのため、例えば、爪部33の中央部のみに屈曲部33aを設けるのに比べて、折れ曲がり箇所の数を少なくすることができる。よって、折れ曲がり箇所にストレスがかかって、爪部33が折れてしまうのを抑制することができる。
【0059】
また、屈曲部33aにおいて、その頂点から脚部32の端部にかけての部分と、その頂点から爪部33の先端部にかけての部分とが、それぞれ直線状である。これにより、爪部33の変形を抑制し、パイプ50を保持する力を高めることができる。
【0060】
また、パイプ50の周方向に爪部33が移動(回転)した際に、コネクタ本体部1の外周面に設けられた凸部14に脚部32が乗り上げる。これにより、コネクタ本体部1の外周面側に爪部33が浮き上がる。このとき、パイプ50の径方向において、凸部14の高さは、スプール部51の高さよりも高いので、爪部33の先端部がスプール部51から離れる。よって、パイプ50の周方向に爪部33を移動(回転)させて、凸部14に脚部32を乗り上げさせることで、コネクタ本体部1の内部からパイプ50を抜き出すことができる。
【0061】
また、脚部32が、平坦な板状である。パイプ50の周方向に脚部32が湾曲している場合、リング部31と脚部32との接続箇所を支点として、コネクタ本体部1から離れる方向に脚部32を反らせるのは容易ではない。これに対して、脚部32が平坦な板状の場合、リング部31と脚部32との接続箇所を支点として、コネクタ本体部1から離れる方向に脚部32を好適に反らせることができる。よって、コネクタ本体部1にリテーナ3を取り付ける際に、コネクタ本体部1の外周面に当接させた爪部33を第1貫通穴13まで移動させて第1貫通穴13に嵌める作業を、コネクタ本体部1から離れる方向に脚部32を反らせながら行うことができる。これにより、コネクタ100の組み立てを容易に行うことができる。
【0062】
また、脚部32の中央部が、脚部32の両端部よりも細くされている。これにより、コネクタ本体部1から離れる方向に、脚部32の全体を容易に撓らせることができる。よって、コネクタ本体部1にリテーナ3を取り付ける際に、コネクタ本体部1の外周面に当接させた爪部33を第1貫通穴13まで移動させて第1貫通穴13に嵌める作業を、リング部31と脚部32との接続箇所を支点に脚部32を反らせながら、且つ、脚部32の全体を撓らせながら行うことができる。これにより、コネクタ100の組み立てをさらに容易に行うことができる。
【0063】
また、コネクタ本体部1の内部の側面であって、パイプ50の挿入方向における内部空間12よりも奥側の側面(雄継手部2付近の側面)の一部には、パイプ50の凹部52に対応する凸部16が設けられている。よって、凹部52が凸部16に対向するようにして、パイプ50をコネクタ本体部1の内部に挿入しなければ、コネクタ本体部1の奥までパイプ50を完全に挿入することができない。これにより、パイプ50に対するコネクタ本体部1の周方向の向きが決まる。そして、凹部52を凸部16に対向させると、パイプ50に対してコネクタ本体部1を回転させることができなくなる。これにより、パイプ50に対してコネクタ本体部1が回転するのを防止することができる。その結果、雄継手部2に接続されたホースの位置が、コネクタ本体部1の回転に伴って変化するのを防止することができるので、ホースがエンジンなどに接触するのを防止することができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に、本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0065】
例えば、コネクタ100の雄継手部2の部分については、この部分が、フランジ継手などにされていてもよい。
【0066】
また、コネクタ100の用途は、カーエアコン用配管などの接続に限られず、燃料用配管の接続や、圧縮空気が流れる配管の接続に用いられてもよい。
【解決手段】リテーナ3の爪部33の先端部は、コネクタ本体部1の内部にパイプ50が挿入された際に、コネクタ本体部1の開口11側からスプール部51に当接する。爪部33には、コネクタ本体部1の開口11側に凸となった屈曲部33aが設けられている。屈曲部33aは、コネクタ本体部1の開口11側に折り曲げられた後に、コネクタ本体部1の開口11側とは反対側に折り返されたような形に形成されている。屈曲部33aの頂点は、コネクタ本体部1の内部空間12の側面よりもコネクタ本体部1の内部側に位置している。