特許第6989169号(P6989169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6989169二次電池用非水電解液及びそれを備えた二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989169
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】二次電池用非水電解液及びそれを備えた二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20211220BHJP
【FI】
   H01M10/0567
【請求項の数】8
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2020-124222(P2020-124222)
(22)【出願日】2020年7月21日
(62)【分割の表示】特願2016-9377(P2016-9377)の分割
【原出願日】2016年1月21日
(65)【公開番号】特開2020-170734(P2020-170734A)
(43)【公開日】2020年10月15日
【審査請求日】2020年8月19日
(31)【優先権主張番号】特願2015-20733(P2015-20733)
(32)【優先日】2015年2月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000162847
【氏名又は名称】ステラケミファ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130580
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 靖
(72)【発明者】
【氏名】坂口 紀敬
(72)【発明者】
【氏名】近 壮二郎
(72)【発明者】
【氏名】桂 静郁
(72)【発明者】
【氏名】西田 哲郎
【審査官】 松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−022332(JP,A)
【文献】 特開平08−138733(JP,A)
【文献】 特開2014−022333(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/002186(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0567
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水溶媒と電解質とを含む二次電池用非水電解液であって、
前記非水溶媒及び電解質とは別に、下記成分(A)及び成分(B)を含み、
下記成分(A)の添加量は、前記二次電池用非水電解液の全質量に対し、0.05質量%〜5質量%であり、
下記成分(B)の添加量は、前記二次電池用非水電解液の全質量に対し、0.05質量%〜5質量%である二次電池用非水電解液。
成分(A):下記一般式(1)で表される、少なくとも1種の化合物(但し、リン酸リチウム[ビス{4−(1−プロペノキシ)シクロヘキシル}]を除く。);
成分(B):下記一般式(2)で表される1種のホウ素錯体塩(但し、リチウムビスオキサラトボレート及びリチウムジフルオロオキサラトボレートを除く。)、
又はホウ酸エステル、酸無水物、環状スルホン酸エステル(但し、エチレンサルファイトを除く。)及び下記一般式(3)で表されるアセトアセチル基を有するアミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種。
【化1】
(前記Mn+はアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アルミニウムイオン、遷移金属イオン又はオニウムイオンを表す。前記R及びRは、それぞれ独立して、炭素数が1〜20の炭化水素基、又は炭素数が1〜20の範囲であって、ハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合の少なくとも何れか1つを有する炭化水素基を表す。あるいは、前記RとRは、前記炭素数が1〜20の炭化水素基、又は前記炭素数が1〜20の範囲であって、ハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合の少なくとも何れか1つを有する炭化水素基の何れかであって、相互に結合して環状構造を形成する。前記nは価数を表す。)
【化2】
(前記Mn+はアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アルミニウムイオン、遷移金属イオン又はオニウムイオンを表す。前記X〜Xはそれぞれ独立しており、任意に選択される1又は2つの組合せが、−OOC−COO−、−OOC−O−、−OOC−Y−COO−、−O−Y−O−又は−OOC−Y−O−の環状構造を形成しており、その場合の前記Yは、炭素数が〜20の炭化水素基、又は炭素数が〜20の範囲であって、ヘテロ原子、不飽和結合若しくは環状構造を有する炭化水素基を表す。あるいは、前記X〜Xは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数が1〜20の範囲内であって、ハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合の少なくとも何れか1つを有するアルキル基、又は炭素数が1〜20の範囲内であって、ハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合の少なくとも何れか1つを有するアルコキシ基を表す。前記nは価数を表す。)
【化3】
(前記R及びRは、それぞれ独立して、炭素数が1〜20の炭化水素基、又は炭素数が1〜20の範囲であって、ハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合を有する炭化水素基を表す。)
【請求項2】
前記成分(A)が、ジエチルリン酸リチウム又はビス(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸リチウムである請求項に記載の二次電池用非水電解液。
【請求項3】
前記一般式(2)で表されるホウ素錯体塩がトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレート、リチウムビスサリチラートボレート又はリチウムビス[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレートである請求項1又は2に記載の二次電池用非水電解液。
【請求項4】
前記ホウ酸エステルがホウ酸トリメチルである請求項1〜の何れか1項に記載の二次電池用非水電解液。
【請求項5】
前記酸無水物が無水マレイン酸である請求項1〜の何れか1項に記載の二次電池用非水電解液。
【請求項6】
前記環状スルホン酸エステルがプロパンスルトンである請求項1〜の何れか1項に記載の二次電池用非水電解液。
【請求項7】
前記一般式(3)で表されるアセトアセチル基を有するアミン類がN,N−ジメチルアセトアセトアミドである請求項1〜の何れか1項に記載の二次電池用非水電解液。
【請求項8】
請求項1〜の何れか1項に記載の二次電池用非水電解液、正極および負極を少なくとも備えた二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温環境下でも優れたサイクル特性を示す二次電池用非水電解液及びそれを備えた二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウム二次電池を始めとする二次電池の応用分野は、携帯電話やパソコン、デジタルカメラ等の電子機器から車載への用途拡大に伴い、出力密度やエネルギー密度の向上ならびに容量損失の抑制等、さらなる高性能化が進められている。車載用途では使用環境温度が高温側、低温側ともに従来以上の耐久性が求められている。特に高温環境については、セルが大型化されるため、使用環境のみならず自己発熱によって定常的に比較的高い温度にさらされることになり、高温耐久性の向上は非常に重要である。さらに、高温環境下で保存すると、電極や電解液、電解質の劣化に伴いセルの内部抵抗が上昇し、低温環境下での内部抵抗に起因するエネルギーロスが著しくなる。
【0003】
従来の一般的なリチウム二次電池には、正極活物質及び負極活物質にLiイオンを可逆的に挿入できる材料が用いられている。例えば、正極活物質には、LiNiO、LiCoO、LiMn、又はLiFePO等の化合物が使用されている。また、負極活物質には、リチウム金属、その合金、炭素材料、又は黒鉛材料等が使用されている。更に、リチウム二次電池に用いられる電解液には、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート等の混合溶媒にLiPF、LiBF等の電解質を溶解させたものが使用されている。
【0004】
電極活物質と電解液の界面では、リチウムイオン伝導性はあるが電子導電性のない安定な皮膜(Solid Electrolyte Interface)が形成されるという解釈が一般的になされている。電極活物質へのリチウムイオンの挿入脱離過程は可逆性に優れているが、高温環境下で充放電を繰り返すと、その安定界面に亀裂や溶解・分解が生じ、充放電特性が低下したり、インピーダンスが増加したりする傾向がある。
【0005】
こうした問題点に対し、温度負荷環境下における二次電池の充放電を繰り返すことによる容量劣化を改善する試みが数多く報告されている。特許文献1にはビニレンカーボネートを添加することが提案されており、室温下でサイクル特性の改善は見られるが、高温環境下では当該サイクル特性が低下する。
【0006】
また、特許文献2には、モノフルオロリン酸塩またはジフルオロリン酸塩を添加剤として含有する非水電解液を用いることによって、リチウム二次電池の正極及び負極に皮膜を形成することができ、これによって非水電解液と正極活物質及び負極活物質との接触に起因する電解液の分解を抑制し、自己放電の抑制、保存性能の向上、および出力特性の改善が可能になることが開示されているが、高温環境下でのサイクル特性の改善が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−123867号公報
【特許文献2】特開2004−31079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、高温環境下においても優れたサイクル特性を示す二次電池用非水電解液及びそれを備えた二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の二次電池用非水電解液は、前記の課題を解決する為に、二次電池に用いられる二次電池用非水電解液であって、下記成分(A)及び成分(B)を含むことを特徴とする。
成分(A):下記一般式(1)で表される、少なくとも1種の化合物;
成分(B):下記一般式(2)で表される1種のホウ素錯体塩、又はホウ酸エステル、酸無水物、不飽和結合を有する環状カーボネート、ハロゲン原子を有する環状カーボネート、環状スルホン酸エステル及び下記一般式(3)で表されるアセトアセチル基を有するアミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種。
【0010】
【化1】
(前記Mn+はアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アルミニウムイオン、遷移金属イオン又はオニウムイオンを表す。前記R及びRは、それぞれ独立して、炭素数が1〜20の炭化水素基、又は炭素数が1〜20の範囲であって、ハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合の少なくとも何れか1つを有する炭化水素基を表す。あるいは、前記RとRは、前記炭素数が1〜20の炭化水素基、又は前記炭素数が1〜20の範囲であって、ハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合の少なくとも何れか1つを有する炭化水素基の何れかであって、相互に結合して環状構造を形成する。前記nは価数を表す。)
【0011】
【化2】
(前記Mn+はアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アルミニウムイオン、遷移金属イオン又はオニウムイオンを表す。前記X〜Xはそれぞれ独立しており、任意に選択される1又は2つの組合せが、−OOC−Y−COO−、−O−Y−O−又は−OOC−Y−O−の環状構造を形成しており、その場合の前記Yは、炭素数が0〜20の炭化水素基、又は炭素数が0〜20の範囲であって、ヘテロ原子、不飽和結合若しくは環状構造を有する炭化水素基を表す。あるいは、前記X〜Xは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数が1〜20の範囲内であって、ハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合の少なくとも何れか1つを有するアルキル基、又は炭素数が1〜20の範囲内であって、ハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合の少なくとも何れか1つを有するアルコキシ基を表す。前記nは価数を表す。)
【0012】
【化3】
(前記R及びRは、それぞれ独立して、炭素数が1〜20の炭化水素基、又は炭素数が1〜20の範囲であって、ハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合を有する炭化水素基を表す。)
【0013】
前記の構成において、前記成分(A)の添加量は、前記二次電池用非水電解液の全質量に対し、0.05質量%〜5質量%であり、前記成分(B)の添加量は、前記二次電池用非水電解液の全質量に対し、0.05質量%〜5質量%であることが好ましい。
【0014】
前記の構成においては、前記成分(A)が、ジエチルリン酸リチウム又はビス(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸リチウムであることが好ましい。
【0015】
前記の構成においては、前記成分(B)の前記一般式(2)で表されるホウ素錯体塩がトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレート、リチウムビスサリチラートボレート又はリチウムビス[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレートであることが好ましい。
【0016】
前記の構成においては、前記ホウ酸エステルがホウ酸トリメチルであることが好ましい。
【0017】
前記の構成においては、前記酸無水物が無水マレイン酸であることが好ましい。
【0018】
前記の構成においては、前記不飽和結合を有する環状カーボネートがビニレンカーボネートであることが好ましい。
【0019】
前記の構成においては、前記ハロゲン原子を有する環状カーボネートがフルオロエチレンカーボネートであることが好ましい。
【0020】
前記の構成においては、前記環状スルホン酸エステルがプロパンスルトンであることが好ましい。
【0021】
前記の構成においては、前記一般式(3)で表されるアセトアセチル基を有するアミン類がN,N−ジメチルアセトアセトアミドであることが好ましい。
【0022】
また、本発明の二次電池は、前記の課題を解決する為に、前記に記載の二次電池用非水電解液、正極および負極を少なくとも備えたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、高温環境下においても優れたサイクル特性を示すことが可能な二次電池用非水電解液及びそれを備えた二次電池を提供することができる。そのメカニズムについては明らかではないが、少なくとも1種の前記成分(A)と、前記成分(B)とを含有することにより、電極活物質の表面に皮膜が形成され、当該皮膜の性質、すなわち、熱安定性や膜質等の特性により、高温環境下でのサイクル特性が改善されるものと推測される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の一形態に係る二次電池用非水電解液を備えたリチウムイオン二次電池の概略を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(二次電池用非水電解液)
本実施の形態に係る二次電池用非水電解液(以下、「非水電解液」という。)は、電解質を溶解させた有機溶媒(非水溶媒)に、少なくとも1種の下記成分(A)と、下記成分(B)とを含むものである。
【0026】
初期の充電の際に非水電解液の分解という不可逆反応が、電極と非水電解液の界面で生じる。電極活物質、非水電解液中の非水溶媒や電解質および添加剤の種類、充放電条件に応じて形成される皮膜の性質、例えば熱安定性やイオン伝導性、モフォロジー、緻密さなどの性質は大きく変化すると考えられる。本実施の形態に於いても、非水電解液に前記成分(A)及び前記成分(B)を添加することで、電極活物質の表面に皮膜が形成され、この皮膜の性質、すなわち、熱安定性や膜質等の効能に起因して、二次電池の高温環境下(例えば、40℃〜60℃)でのサイクル特性の改善が図られると考えられる。
【0027】
<成分(A)>
前記成分(A)は、非水電解液中に少なくとも1種含まれており、下記一般式(1)で表される。
【0028】
【化4】
【0029】
前記一般式(1)において、前記Mn+はアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アルミニウムイオン、遷移金属イオン又はオニウムイオンを表す。
【0030】
前記アルカリ金属イオンとしては特に限定されず、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
【0031】
前記アルカリ土類金属イオンとしては、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
【0032】
前記遷移金属イオンとしては特に限定されず、例えば、マンガンイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、クロムイオン、銅イオン、モリブデンイオン、タングステンイオン、バナジウムイオン等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
【0033】
前記オニウムイオンとしては、アンモニウムイオン(NH4+)、第1級アンモニウムイオン、第2級アンモニウムイオン、第3級アンモニウムイオン、第4級アンモニウムイオン、第4級ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン等が挙げられる。
【0034】
前記第1級アンモニウムイオンとしては特に限定されず、例えば、メチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、プロピルアンモニウムイオン、イソプロピルアンモニウムイオン等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
【0035】
前記第2級アンモニウムイオンとしては特に限定されず、例えば、ジメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、ジプロピルアンモニウムイオン、ジブチルアンモニウムイオン、エチルメチルアンモニウムイオン、メチルプロピルアンモニウムイオン、メチルブチルアンモニウムイオン、プロピルブチルアンモニウムイオン、ジイソプロピルアンモニウムイオン等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
【0036】
前記第3級アンモニウムイオンをなす第3級アンモニウムとしては特に限定されず、例えば、トリメチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、トリプロピルアンモニウムアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、エチルジメチルアンモニウムイオン、ジエチルメチルアンモニウムイオン、トリイソプロピルアンモニウムイオン、ジメチルイソプロピルアンモニウムイオン、ジエチルイソプロピルアンモニウムイオン、ジメチルプロピルアンモニウムイオン、ブチルジメチルアンモニウムイオン、1−メチルピロリジニウムイオン、1−エチルピロリジニウムイオン、1−プロピルピロリジニウムイオン、1−ブチルプロピルピロリジニウムイオン、1−メチルイミダゾリウムイオン、1−エチルイミダゾリウムイオン、1−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチルイミダゾリウムイオン、ピラゾリウムイオン、1−メチルピラゾリウムイオン、1−エチルピラゾリウムイオン、1−プロピルピラゾリウムイオン、1−ブチルピラゾリウムイオン、ピリジニウムイオン等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
【0037】
前記第4級アンモニウムイオンをなす第4級アンモニウムとしては特に限定されず、例えば、脂肪族4級アンモニウム類、イミダゾリウム類、ピリジニウム類、ピラゾリウム類、ピリダジニウム類等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
【0038】
さらに、前記脂肪族4級アンモニウム類としては特に限定されず、例えば、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトライソプロピルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、トリメチルイソプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、トリメチルペンチルアンモニウム、トリメチルヘキシルアンモニウム、1−エチル−1−メチルピロリジニウム、1−メチル−1−プロピルピロリジニウム、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、1−エチル−1−メチルピペリジニウム、1−ブチル−1−メチルピペリジニウム等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
【0039】
前記イミダゾリウム類としては特に限定されず、例えば、1.3ジメチル−イミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−n−プロピル−3−メチルイミダゾリウム、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−n−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
【0040】
前記ピリジニウム類としては特に限定されず、例えば、1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−n−プロピルピリジニウム等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
【0041】
前記ピラゾリウム類としては特に限定されず、例えば、1,2−ジメチルピラゾリウム、1−メチル−2−エチルピラゾリウム、1−プロピル−2−メチルピラゾリウム、1−メチル−2−ブチルピラゾリウム、1−メチルピラゾリウム、3−メチルピラゾリウム、4−メチルピラゾリウム、4−ヨードピラゾリウム、4−ブロモピラゾリウム、4−ヨードー3−メチルピラゾリウム、4−ブロモー3−メチルピラゾリウム、3−トリフルオロメチルピラゾリウムが挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
【0042】
前記ピリダジニウム類としては特に限定されず、例えば、1−メチルピリダジニウム、1−エチルピリダジニウム、1−プロピルピリダジニウム、1−ブチルピリダジニウム、3−メチルピリダジニウム、4−メチルピリダジニウム、3−メトキシピリダジニウム、3,6−ジクロロピリダジニウム、3,6−ジクロ−4−メチルピリダジニウム、3−クロロ−6−メチルピリダジニウム、3−クロロー6−メトキシピリダジニウムが挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
【0043】
前記第4級ホスホニウムイオンをなす第4級ホスホニウムとしては特に限定されず、例えば、ベンジルトリフェニルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
【0044】
前記スルホニウムイオンとしては特に限定されず、例えば、トリメチルスルホニウム、トリフェニルスルホニウム、トリエチルスルホニウム等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。
【0045】
前記Mn+の例示として列挙したもののうち、入手の容易さの観点からは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオンが好ましい。
【0046】
前記一般式(1)において、前記R及びRは、それぞれ独立して、炭化水素基、又はハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合の少なくとも何れか1つを有する炭化水素基(以下、「ハロゲン原子等を有する炭化水素基」という。)を表す。前記炭化水素基の炭素数は1〜20であり、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜4である。また、ハロゲン原子等を有する炭化水素基の炭素数は1〜20であり、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜4である。また、不飽和結合の数は1〜10の範囲が好ましく、1〜5の範囲がより好ましく1〜3の範囲が特に好ましい。
【0047】
前記炭化水素基又はハロゲン原子等を有する炭化水素基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、2−ヨードエチル基、2−ブロモエチル基、2−クロロエチル基、2−フルオロエチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、2,2−ジヨードエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ヘキサフルオロ−2−プロピル基等の鎖状含ハロゲンアルキル基、2−ヨードシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、2−クロロシクロヘキシル基、2−フルオロシクロヘキシル基等の環状含ハロゲンアルキル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の鎖状アルケニル基、2−シクロペンテニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基等の環状アルケニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等の鎖状アルキニル基、フェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基等のフェニル基、2−ヨードフェニル基、2−ブロモフェニル基、2−クロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−ヨードフェニル基、3−ブロモフェニル基、3−クロロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−ヨードフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、3,5−ジヨードフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基等の含ハロゲンフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、3−アミノ−2−ナフチル基等のナフチル基等が挙げられる。
【0048】
尚、前記ハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素の原子を意味し、前記炭化水素基中の水素の一部または全部がこれらのハロゲン原子の何れかで置換されていてもよい。また、ヘテロ原子とは、酸素、窒素又は硫黄等の原子を意味する。さらに、不飽和結合の数は1〜10の範囲が好ましく、1〜5の範囲がより好ましく1〜3の範囲が特に好ましい。
【0049】
さらに、前記RとRは、前記炭化水素基、又は前記ハロゲン原子等を有する炭化水素基の何れかであって、相互に結合して環状構造を形成していてもよい。この場合、前記炭化水素基又はハロゲン原子等を有する炭化水素基としては、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基等の直鎖アルキレン基、ヨードメチレン基、ジヨードメチレン基、ブロモメチレン基、ジブロモメチレン基、フルオロメチレン基、ジフルオロメチレン基、ヨードエチレン基、1,1−ジヨードエチレン基、1,2−ジヨードエチレン基、トリヨードエチレン基、テトラヨードエチレン基、クロロエチレン基、1,1−ジクロロエチレン基、1,2−ジクロロエチレン基、トリクロロエチレン基、テトラクロロエチレン基、フルオロエチレン基、1,1−ジフルオロエチレン基、1,2−ジフルオロエチレン基、トリフルオロエチレン基、テトラフルオロエチレン基等の含ハロゲン直鎖アルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、ベンジレン基、ナフチレン基、アントラシレン基、ナフタシレン基、ペンタシレン基のような環状炭化水素基及びその一部または全部をハロゲン原子等に置き換えたもの等が挙げられる。
【0050】
前記RとRは、同種でもよく相互に異なっていてもよい。また前記に例示した官能基群は単なる例示に過ぎず、本実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0051】
尚、前記一般式(1)において、前記nは価数を表す。例えば、前記Mが1価のカチオンである場合はn=1であり、2価のカチオンである場合はn=2であり、3価のカチオンである場合はn=3である。
【0052】
前記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、ジメチルリン酸リチウム、ジエチルリン酸リチウム、ジプロピルリン酸リチウム、ジブチルリン酸リチウム、ジペンチルリン酸リチウム、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸リチウム、ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)リン酸リチウム、メチル(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸リチウム、エチル(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸リチウム、メチル(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)リン酸リチウム、エチル(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)リン酸リチウム、エチレンリン酸リチウム、ビナフチルリン酸リチウム、ジメチルリン酸ナトリウム、ジエチルリン酸ナトリウム、ジプロピルリン酸ナトリウム、ジブチルリン酸ナトリウム、ジペンチルリン酸ナトリウム、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸ナトリウム、ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)リン酸ナトリウム、メチル(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸ナトリウム、エチル(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸ナトリウム、メチル(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)リン酸ナトリウム、エチル(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)リン酸ナトリウム、エチレンリン酸マグネシウム、ビナフチルリン酸マグネシウム、ジメチルリン酸マグネシウム、ジエチルリン酸マグネシウム、ジプロピルリン酸マグネシウム、ジブチルリン酸マグネシウム、ジペンチルリン酸マグネシウム、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸マグネシウム、ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)リン酸マグネシウム、メチル(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸マグネシウム、エチル(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸マグネシウム、メチル(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)リン酸マグネシウム、エチル(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)リン酸マグネシウム、エチレンリン酸マグネシウム、ビナフチルリン酸マグネシウム、トリエチルメチルアンモニウムジメチルリン酸、トリエチルメチルアンモニウムジエチルリン酸、トリエチルメチルアンモニウムジプロピルリン酸、トリエチルメチルアンモニウムジブチルリン酸、トリエチルメチルアンモニウムジペンチルリン酸、トリエチルメチルアンモニウムビス(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸、トリエチルメチルアンモニウムビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)リン酸、トリエチルメチルアンモニウムメチル(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸、トリエチルメチルアンモニウムエチル(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸、トリエチルメチルアンモニウムメチル(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)リン酸、トリエチルメチルアンモニウムエチル(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)リン酸、トリエチルメチルアンモニウムエチレンリン酸、トリエチルメチルアンモニウムビナフチルリン酸等が挙げられる。但し、これらの化合物は単なる例示に過ぎず、本実施の形態は、これらに限定されるものではない。
【0053】
尚、前記一般式(1)で表される化合物としては、入手しやすさの観点からは、ジエチルリン酸リチウム、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸リチウムが好ましい。
【0054】
前記成分(A)の添加量は、非水電解液の全質量に対し0.05〜5質量%の範囲内であることが好ましく、0.1〜3質量%の範囲内であることがより好ましく、0.5〜2質量%の範囲内であることがさらに好ましい。前記添加量を0.05質量%以上にすることにより、二次電池の高温環境下でのサイクル特性を一層改善することができる。一方、前記添加量を5質量%以下にすることにより、非水電解液中の電解質の非水電解液溶媒に対する溶解性が低下するのを抑制することができる。
【0055】
また、本実施の形態に於いて、成分(A)は、少なくとも1種類が非水電解液中に含まれていればよいが、含有させる成分(A)の種類の数は、好ましくは1〜5種類であり、より好ましくは1〜3種類であり、特に好ましくは1〜2種類である。成分(A)の種類を低減することにより、非水電解液の製造の際における工程の複雑化を抑制することができる。
【0056】
<成分(B)>
前記成分(B)は、下記成分(b1)又は成分(b2)の何れかを含む。
成分(b1):1種のホウ素錯体塩。
成分(b2):ホウ酸エステル、酸無水物、不飽和結合を有する環状カーボネート、ハロゲン原子を有する環状カーボネート、環状スルホン酸エステル及びアセトアセチル基を有するアミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種。
【0057】
前記成分(b1)のホウ素錯体塩は、具体的には、下記一般式(2)で表されるものである。
【0058】
【化5】
【0059】
前記一般式(2)において、Mn+については、すでに説明した通りであり、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アルミニウムイオン、遷移金属イオン又はオニウムイオンを表す。従って、これらの詳細な説明は省略する。
【0060】
前記一般式(2)において、前記X〜Xはそれぞれ独立しており、任意に選択される1又は2つの組合せが、−OOC−Y−COO−、−O−Y−O−又は−OOC−Y−O−の環状構造を形成したものを表す。その場合の前記Yは、炭素数が0〜20、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜10の炭化水素基、又は炭素数が0〜20、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜5の範囲であって、ヘテロ原子、不飽和結合若しくは環状構造を有する炭化水素基を表す。前記X〜Xが前記−OOC−Y−COO−、−O−Y−O−又は−OOC−Y−O−の環状構造の何れか1つを2組有する場合、それぞれのYは異なっていてもよい。ここで、ヘテロ原子とは、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を意味する。
【0061】
前記Yとしては、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基等の直鎖アルキレン基、ヨードメチレン基、ジヨードメチレン基、ブロモメチレン基、ジブロモメチレン基、フルオロメチレン基、ジフルオロメチレン基、ヨードエチレン基、1,1−ジヨードエチレン基、1,2−ジヨードエチレン基、トリヨードエチレン基、テトラヨードエチレン基、クロロエチレン基、1,1−ジクロロエチレン基、1,2−ジクロロエチレン基、トリクロロエチレン基、テトラクロロエチレン基、フルオロエチレン基、1,1−ジフルオロエチレン基、1,2−ジフルオロエチレン基、トリフルオロエチレン基、テトラフルオロエチレン基等の含ハロゲン直鎖アルキレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、ベンジレン基、ナフチレン基、アントラシレン基、ナフタシレン基、ペンタシレン基のような環状炭化水素基及びその一部または全部をハロゲンに置き換えたもの等が挙げられる。
【0062】
さらに、前記Yの炭素数が0の場合、−OOC−Y−COO−は−OOC−COO−であり、オキサレート基を表す。また、前記Yが1,2−フェニレン基である場合、−O−Y−O−はベンゼンジオラート基を表し、−O−Y−COO−はサリチラート基を表す。
【0063】
尚、前記に挙げたYの官能基は単なる例示にすぎず、本実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0064】
また、前記X〜Xは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5のアルキル基、炭素数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5のアルコキシ基、炭素数が1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の範囲内であって、ハロゲン原子、ヘテロ原子、不飽和結合若しくは環状構造の少なくとも何れか1つを有するアルキル基、又は炭素数が1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の範囲内であって、ハロゲン原子、ヘテロ原子、不飽和結合若しくは環状構造の少なくとも何れか1つを有するアルコキシ基であってもよい。ここで、前記ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。また、ヘテロ原子とは、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を意味する。
【0065】
前記X〜Xは、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、ヨードメチル基、ブロモメチル基、クロロメチル基、フルオロメチル基、ジヨードメチル基、ジブロモメチル基、ジクロロメチル基、ジフルオロメチル基、トリヨードメチル基、トリブロモメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2−ヨードエチル基、2−ブロモエチル基、2−クロロエチル基、2−フルオロエチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、2,2−ジヨードエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ヘキサフルオロ−2−プロピル基等の鎖状含ハロゲンアルキル基、2−ヨードシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、2−クロロシクロヘキシル基、2−フルオロシクロヘキシル基等の環状含ハロゲンアルキル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の鎖状アルケニル基、2−シクロペンテニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基等の環状アルケニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等の鎖状アルキニル基、フェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基等のフェニル基、2−ヨードフェニル基、2−ブロモフェニル基、2−クロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−ヨードフェニル基、3−ブロモフェニル基、3−クロロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−ヨードフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、3,5−ジヨードフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基等の含ハロゲンフェニル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基等の鎖状アルコキシ基、シクロペントキシ基、シクロヘキソキシ基等の環状アルコキシ基、2−ヨードエトキシ基、2−ブロモエトキシ基、2−クロロエトキシ基、2−フルオロエトキシ基、1,2−ジヨードエトキシ基、1,2−ジブロモエトキシ基、1,2−ジクロロトキシ基、1,2−ジフルオロエトキシ基、2,2−ジヨードエトキシ基、2,2−ジブロモエトキシ基、2,2−ジクロロエトキシ基、2,2−ジフルオロエトキシ基、2,2,2−トリブロモエトキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、ヘキサフルオロ−2−プロポキシ基等の鎖状含ハロゲンアルキル基、2−ヨードシクロヘキソキシ基、2−ブロモシクロヘキソキシ基、2−クロロシクロヘキソキシ基、2−フルオロシクロヘキソキシ基等の環状含ハロゲンアルキル基、2−プロペキシ基、イソプロペキシ基、2−ブテキシ基、3−ブテキシ基等の鎖状アルケニルアルコキシ基、2−シクロペンテキシ基、2−シクロヘキセキシ基、3−シクロヘキセキシ基等の環状アルケニルアルコキシ基、2−プロピキシ基、1−ブチキシ基、2−ブチキシ基、3−ブチキシ基、1−ペンチキシ基、2−ペンチキシ基、3−ペンチキシ基、4−ペンチキシ基等の鎖状アルキニルアルコキシ基、フェノキシ基、3−メトキシ基、フェノキシ基、4−メトキシ基、フェノキシ基、3,5−ジメトキシ基、フノキシ基等のフェノキシ基、2−ヨードフェノキシ基、2−ブロモフェノキシ基、2−クロロフェノキシ基、2−フルオロフェノキシ基、3−ヨードフェノキシ基、3−ブロモフェノキシ基、3−クロロフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、4−ヨードフェノキシ基、4−ブロモフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、3,5−ジヨードフェノキシ基、3,5−ジブロフェノキシ基、3,5−ジクロロフェノキシ基、3,5−ジフルオロフェノキシ基等の含ハロゲンフェノキシ基等が挙げられる。
【0066】
前記X〜Xは、同種でもよく相互に異なっていてもよい。また、前記X〜Xとして前記に挙げた官能基は単なる例示に過ぎず、本実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0067】
前記一般式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、リチウムビスオキサラトボレート、リチウムビスマロナトボレート、リチウムビスサリチラートボレート、リチウムビス[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムオキサラトマロナトボレート、リチウムオキサラトサリチラートボレート、リチウムオキサラト[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムジヨードオキサラトボレート、リチウムジブロモオキサラトボレート、リチウムジクロロオキサラトボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムヨードクロロオキサラトボレート、リチウムヨードブロモオキサラトボレート、リチウムヨードフルオロオキサラトボレート、リチウムブロモクロロオキサラトボレート、リチウムブロモフルオロオキサラトボレート、リチウムクロロフルオロオキサラトボレート、リチウムジヨードマロナトボレート、リチウムジブロモマロナトボレート、リチウムジクロロマロナトボレート、リチウムジフルオロマロナトボレート、リチウムヨードクロロマロナトボレート、リチウムヨードブロモマロナトボレート、リチウムヨードフルオロマロナトボレート、リチウムブロモクロロマロナトボレート、リチウムブロモフルオロマロナトボレート、リチウムクロロフルオロマロナトボレート、リチウムジヨードサリチラートボレート、リチウムジブロモサリチラートボレート、リチウムジクロロサリチラートボレート、リチウムジフルオロサリチラートボレート、リチウムヨードクロロサリチラートボレート、リチウムヨードブロモサリチラートボレート、リチウムヨードフルオロサリチラートボレート、リチウムブロモクロロサリチラートボレート、リチウムブロモフルオロサリチラートボレート、リチウムクロロフルオロサリチラートボレート、リチウムジヨード[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムジブロモ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムジクロロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムジフルオロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムヨードクロロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムヨードブロモ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムヨードフルオロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムブロモクロロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムブロモフルオロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムクロロフルオロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムテトラヨードボレート、リチウムテトラブロモボレート、リチウムテトラクロロボレート、リチウムテトラフルオロボレート、リチウムヨードトリブロモボレート、リチウムヨードトリクロロボレート、リチウムヨードトリフルオロボレート、リチウムジヨードジブロモボレート、リチウムジヨードジクロロボレート、リチウムジヨードジフルオロボレート、リチウムトリヨードブロモボレート、リチウムトリヨードクロロボレート、リチウムトリヨードフルオロボレート、リチウムブロモトリクロロボレート、リチウムブロモトリフルオロボレート、リチウムジブロモジクロロボレート、リチウムジブロモジフルオロボレート、リチウムトリブロモクロロボレート、リチウムトリブロモフルオロボレート、リチウムクロロトリフルオロボレート、リチウムジクロロジフルオロボレート、リチウムクロロトリフルオロボレート、リチウムヨードブロモクロロフルオロボレート、リチウムテトラメチルボレート、リチウムテトラエチルボレート、リチウムテトラフェニルボレート、リチウムテトラメトキシボレート、リチウムテトラエトキシボレート、リチウムテトラフェノキシボレート、リチウムエチルジメチルフェニルボレート、リチウムブチルエチルメチルフェニルボレート、リチウムエトキシジメトキシフェノキシボレート、リチウムジメチルオキサラトボレート、リチウムジメチルマロナトボレート、リチウムジメチルサリチラートボレート、リチウムジメチル[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムエチルメチルオキサラトボレート、リチウムフェニルメチルオキサラトボレート、リチウムヨードメチルオキサラトボレート、リチウムブロモメチルオキサラトボレート、リチウムクロロメチルオキサラトボレート、リチウムフルオロメチルオキサラトボレート、リチウムヨードエチルオキサラトボレート、リチウムブロモエチルオキサラトボレート、リチウムクロロエチルオキサラトボレート、リチウムフルオロエチルオキサラトボレート、リチウムエトキシメトキシオキサラトボレート、リチウムヨードメトキシオキサラトボレート、リチウムブロモメトキシオキサラトボレート、リチウムクロロメトキシオキサラトボレート、リチウムフルオロメトキシオキサラトボレート等が挙げられる。
【0068】
また、前記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、ナトリウムビスオキサラトボレート、ナトリウムビスマロナトボレート、ナトリウムビスサリチラートボレート、ナトリウムビス[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムオキサラトマロナトボレート、ナトリウムオキサラトサリチラートボレート、ナトリウムオキサラト[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムジヨードオキサラトボレート、ナトリウムジブロモオキサラトボレート、ナトリウムジクロロオキサラトボレート、ナトリウムジフルオロオキサラトボレート、ナトリウムヨードクロロオキサラトボレート、ナトリウムヨードブロモオキサラトボレート、ナトリウムヨードフルオロオキサラトボレート、ナトリウムブロモクロロオキサラトボレート、ナトリウムブロモフルオロオキサラトボレート、ナトリウムクロロフルオロオキサラトボレート、ナトリウムジヨードマロナトボレート、ナトリウムジブロモマロナトボレート、ナトリウムジクロロマロナトボレート、ナトリウムジフルオロマロナトボレート、ナトリウムヨードクロロマロナトボレート、ナトリウムヨードブロモマロナトボレート、ナトリウムヨードフルオロマロナトボレート、ナトリウムブロモクロロマロナトボレート、ナトリウムブロモフルオロマロナトボレート、ナトリウムクロロフルオロマロナトボレート、ナトリウムジヨードサリチラートボレート、ナトリウムジブロモサリチラートボレート、ナトリウムジクロロサリチラートボレート、ナトリウムジフルオロサリチラートボレート、ナトリウムヨードクロロサリチラートボレート、ナトリウムヨードブロモサリチラートボレート、ナトリウムヨードフルオロサリチラートボレート、ナトリウムブロモクロロサリチラートボレート、ナトリウムブロモフルオロサリチラートボレート、ナトリウムクロロフルオロサリチラートボレート、ナトリウムジヨード[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムジブロモ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムジクロロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムジフルオロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムヨードクロロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムヨードブロモ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、リチウムヨードフルオロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムブロモクロロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムブロモフルオロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムクロロフルオロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムテトラヨードボレート、ナトリウムテトラブロモボレート、ナトリウムテトラクロロボレート、ナトリウムテトラフルオロボレート、ナトリウムヨードトリブロモボレート、ナトリウムヨードトリクロロボレート、ナトリウムヨードトリフルオロボレート、ナトリウムジヨードジブロモボレート、ナトリウムジヨードジクロロボレート、ナトリウムジヨードジフルオロボレート、ナトリウムトリヨードブロモボレート、ナトリウムトリヨードクロロボレート、ナトリウムトリヨードフルオロボレート、ナトリウムブロモトリクロロボレート、ナトリウムブロモトリフルオロボレート、ナトリウムジブロモジクロロボレート、ナトリウムジブロモジフルオロボレート、ナトリウムトリブロモクロロボレート、ナトリウムトリブロモフルオロボレート、ナトリウムクロロトリフルオロボレート、ナトリウムジクロロジフルオロボレート、ナトリウムクロロトリフルオロボレート、ナトリウムヨードブロモクロロフルオロボレート、ナトリウムテトラメチルボレート、ナトリウムテトラエチルボレート、ナトリウムテトラフェニルボレート、ナトリウムテトラメトキシボレート、ナトリウムテトラエトキシボレート、ナトリウムテトラフェノキシボレート、ナトリウムエチルジメチルフェニルボレート、ナトリウムブチルエチルメチルフェニルボレート、ナトリウムエトキシジメトキシフェノキシボレート、ナトリウムジメチルオキサラトボレート、ナトリウムジメチルマロナトボレート、ナトリウムジメチルサリチラートボレート、ナトリウムジメチル[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、ナトリウムエチルメチルオキサラトボレート、ナトリウムフェニルメチルオキサラトボレート、ナトリウムヨードメチルオキサラトボレート、ナトリウムブロモメチルオキサラトボレート、ナトリウムクロロメチルオキサラトボレート、ナトリウムフルオロメチルオキサラトボレート、ナトリウムヨードエチルオキサラトボレート、ナトリウムブロモエチルオキサラトボレート、ナトリウムクロロエチルオキサラトボレート、ナトリウムフルオロエチルオキサラトボレート、ナトリウムエトキシメトキシオキサラトボレート、ナトリウムヨードメトキシオキサラトボレート、ナトリウムブロモメトキシオキサラトボレート、ナトリウムクロロメトキシオキサラトボレート、ナトリウムフルオロメトキシオキサラトボレート等も挙げられる。
【0069】
さらに、前記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、トリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムビスマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムビスサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムビス[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムオキサラトマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムオキサラトサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムオキサラト[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムジヨードオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジブロモオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジクロロオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジフルオロオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードクロロオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードブロモオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードフルオロオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモクロロオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモフルオロオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムクロロフルオロオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジヨードマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジブロモマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジクロロマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジフルオロマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードクロロマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードブロモマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードフルオロマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモクロロマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモフルオロマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムクロロフルオロマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジヨードサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムジブロモサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムジクロロサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムジフルオロサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードクロロサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードブロモサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードフルオロサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモクロロサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモフルオロサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムクロロフルオロサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムジヨード[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムジブロモ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムジクロロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムジフルオロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードクロロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードブロモ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードフルオロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモクロロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモフルオロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムクロロフルオロ[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラヨードボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラブロモボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラクロロボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードトリブロモボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードトリクロロボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードトリフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムジヨードジブロモボレート、トリエチルメチルアンモニウムジヨードジクロロボレート、トリエチルメチルアンモニウムジヨードジフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムトリヨードブロモボレート、トリエチルメチルアンモニウムトリヨードクロロボレート、トリエチルメチルアンモニウムトリヨードフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモトリクロロボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモトリフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムジブロモジクロロボレート、トリエチルメチルアンモニウムジブロモジフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムトリブロモクロロボレート、トリエチルメチルアンモニウムトリブロモフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムクロロトリフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムジクロロジフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムクロロトリフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードブロモクロロフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラメチルボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラエチルボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラメトキシボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラエトキシボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラフェノキシボレート、トリエチルメチルエチルアンモニウムジメチルフェニルボレート、トリエチルメチルアンモニウムブチルエチルメチルフェニルボレート、トリエチルメチルアンモニウムエトキシジメトキシフェノキシボレート、トリエチルメチルアンモニウムジメチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジメチルマロナトボレート、トリエチルメチルアンモニウムジメチルサリチラートボレート、トリエチルメチルアンモニウムジメチル[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレート、トリエチルメチルアンモニウムエチルメチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムフェニルメチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードメチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモメチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムクロロメチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムフルオロメチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードエチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモエチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムクロロエチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムフルオロエチルオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムエトキシメトキシオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムヨードメトキシオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムブロモメトキシオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムクロロメトキシオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムフルオロメトキシオキサラトボレート等も挙げられる。
【0070】
但し、前記に挙げた化合物群は、前記一般式(2)で表される化合物の例示にすぎず、本実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0071】
尚、前記ホウ素錯体塩は、入手しやすさの観点からは、リチウムビスオキサラトボレート、トリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレート、リチウムビスサリチラートボレート又はリチウムビス[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレートが好ましい。
【0072】
尚、前記一般式(2)における前記nは、前記一般式(1)の場合と同様、価数を表す。
【0073】
前記成分(b2)におけるホウ酸エステルとしては、本実施の形態の非水電解液及びそれを用いた二次電池の特性を損なうものでなければ、その種類に特に制限はなく、種々のものを選択することができる。具体的には、例えば、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリペンチル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリへプチル、ホウ酸トリフェニル、2ホウ酸トリス(2,2,2−ヨードエチル)、ホウ酸トリス(2,2,2−トリブロモエチル)、ホウ酸トリス(2,2,2−トリクロロエチル)ホウ酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホウ酸トリス(4−ヨードフェニル)、ホウ酸トリス(4−ブロモフェニル)、ホウ酸トリス(4−クロロフェニル)、ホウ酸トリス(4−フルオロフェニル)、ホウ酸ジエチルメチル、ホウ酸エチルジメチル等が挙げられる。
【0074】
前記成分(b2)における酸無水物としては、本実施の形態の非水電解液及びそれを用いた二次電池の特性を損なうものでなければ、その種類に特に制限はなく、種々のものを選択することができる。具体的には、例えば、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、吉草酸無水物、ヘキサン酸無水物、へプタン酸無水物、オクタン酸無水物、ノナン酸無水物、デカン酸無水物、エイコサン酸無水物、ドコサン酸無水物、安息香酸無水物、4−メトキシ安息香酸無水物、ジフェニル酢酸無水物、クロトン酸無水物、シクロヘキサンカルボン酸無水物、エライジン酸無水物、イソ酪酸無水物、イソ吉草酸無水物、ラウリン酸無水物、リノール酸無水物、ミリスチン酸無水物、アンゲリカ酸無水物、クロロジフルオロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、ジフルオロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、4−トリフルオロメチル安息香酸無水物などの直鎖カルボン酸無水物、フタル酸無水物、3−アセトアミドフタル酸無水物、4,4’−カルボニルジフタル酸無水物、4,4’−ビフタル酸無水物、3−ヨードフタル酸無水物、3−ブロモフタル酸無水物、3−クロロフタル酸無水物、3−フルオロフタル酸無水物、4−ヨードフタル酸無水物、4−ブロモフタル酸無水物、4−クロロフタル酸無水物、4−クロロフタル酸無水物、4,5−ジヨードフタル酸無水物、4,5−ジブロモフタル酸無水物、4,5−ジクロロフタル酸無水物、4,5−ジフルオロフタル酸無水物、4,4’−スルホニルジフタル酸無水物、3−ニトロフタル酸無水物、4−ニトロフタル酸無水物、exo−3,6−エポキシヘキサヒドロフタル酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、テトラヨードフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、テトラフルオロフタル酸無水物、4−tert−ブチルフタル酸無水物、4−エチニルフタル酸無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、コハク酸無水物、(R)−(+)−2−アセトキシコハク酸無水物、(S)−(−)−2−アセトキシコハク酸無水物、2−ブテン−1−イルコハク酸無水物、ブチルコハク酸無水物、デシルコハク酸無水物、2,3−ジメチルコハク酸無水物、2−ドデセン−1−イルコハク酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、オクタデセニコハク酸無水物、(2,7−オクタジエン−1−イル)コハク酸無水物、n−オクチルコハク酸無水物、ヘキサデシルコハク酸無水物、マレイン酸無水物、2,3−ビス(2,4,5−トリメチル−3−チエニル)マレイン酸無水物、2−(−2−カルボキシエチル)−3−メチル−マレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、2,3−ジフェニルマレイン酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、4−ペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、4−ブロモ−1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、(±)−trans−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、2,5−ジブロモ−3,4−チオフェンジカルボン酸無水物、5,6−ジヒドロ−1,4−ジチイン−2,3−ジカルボン酸無水物、2,2’−ビフェニルジカルボン酸無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、3,4−チオフェンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、5−ノルボネン−2,3−ジカルボン酸無水物、1,2−シクロプロパンジカルボン酸無水物、グルタル酸無水物、3,3−ペンタメチレングルタル酸無水物、2,2−ジメチルグルタル酸無水物、3,3−ジメチルグルタル酸無水物、3−メチルグルタル酸無水物、2−フタルイミドグルタル酸無水物、3,3−テトラメチレングルタル酸無水物、N−メチルイサト酸無水物、4−ヨードイサト酸無水物、4−ブロモイサト酸無水物、4−クロロイサト酸無水物、4−フルオロイサト酸無水物、5−ヨードイサト酸無水物、5−ブロモイサト酸無水物、5−クロロイサト酸無水物、5−フルオロイサト酸無水物、イタコン酸無水物、カロン酸無水物、シトラコン酸無水物、ジグリコール酸無水物、1,2−ナフタル酸無水物、ピロメリット酸無水物、ヘット酸無水物、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタン二酸無水物などの環状カルボンサン無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、p−トルエンスルホン酸無水物などの直鎖スルホン酸無水物、2−スルホ安息香酸無水物、テトラヨード−O−スルホ安息香酸無水物、テトラブロモ−O−スルホ安息香酸無水物、テトラクロロ−O−スルホ安息香酸無水物、テトラフルオロ−O−スルホ安息香酸無水物などの環状スルホン酸無水物、ジフェニルホスフィン酸などの鎖状ホスフィン酸無水物、1−プロパンホスホン酸無水物などの環状ホスホン酸無水物、3.4−ジヨードフェニルボロン酸無水物、3,4−ジブロモフェニルボロン酸無水物、3,4−ジクロロフェニルボロン酸無水物、3,4−ジフルオロフェニルボロン酸無水物、4−ヨードフェニルボロン酸無水物、4−ブロモフェニルボロン酸無水物、4−クロロフェニルボロン酸無水物、4−フルオロフェニルボロン酸無水物、(m−ターフェニルボロン酸無水物、3,4,5−トリヨードフェニルボロン酸無水物、3,4,5−トリブロモフェニルボロン酸無水物、3,4,5−トリクロロフェニルボロン酸無水物、3,4,5−トリフルオロフェニルボロン酸無水物等が挙げられる。
【0075】
前記に挙げた酸無水物としては、環状構造を有するものが好ましく、更に不飽和結合を有するものがより好ましい。入手の容易さと、環状構造及び分子内に不飽和結合を備えているとの観点からは、前記酸無水物としては無水マレイン酸が特に好ましい。
【0076】
前記成分(b2)における不飽和結合を有する環状カーボネートとしては、本実施の形態の非水電解液及びそれを用いた二次電池の特性を損なうものでなければ、その種類に特に制限はなく、種々のものを選択することができる。前記不飽和結合の数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。不飽和結合を有する環状カーボネートとしては、具体的には、例えば、ビニレンカーボネート、ヨードビニレンカーボネート、ブロモビニレンカーボネート、クロロビニレンカーボネート、フルオロビニレンカーボネート、1,2−ジヨードビニレンカーボネート、1,2−ジブロモビニレンカーボネート、1,2−ジクロロビニレンカーボネート、1,2−ジフルオロビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ヨードメチルビニレンカーボネート、ブロモメチルビニレンカーボネート、クロロメチルビニレンカーボネート、フルオロメチルビニレンカーボネート、ジクロロメチルビニレンカーボネート、ジブロモメチルビニレンカーボネート、ジクロロメチルビニレンカーボネート、ジフルオロメチルビニレンカーボネート、トリヨードメチルビニレンカーボネート、トリブロモメチルビニレンカーボネート、トリクロロメチルビニレンカーボネート、トリフルオロメチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、プロピルビニレンカーボネート、ブチルビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、ジプロピルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。
【0077】
尚、前記に挙げた不飽和結合を有する環状カーボネートのうち、入手の容易さの観点からは、ビニレンカーボネートが好ましい。
【0078】
前記成分(b2)におけるハロゲン原子を有する環状カーボネートとしては、本実施の形態の非水電解液及びそれを用いた二次電池の特性を損なうものでなければ、その種類に特に制限はなく、種々のものを選択することができる。ここで、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。ハロゲン原子を有する環状カーボネートとしては、具体的には、例えば、ヨードエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、1,2−ジヨードエチレンカーボネート、1,2−ジブロモエチレンカーボネート、1,2−ジクロロエチレンカーボネート、1,2−ジフルオロエチレンカーボネート等が挙げられる。
【0079】
尚、前記に挙げたハロゲン原子を有する環状カーボネートのうち、入手の容易さの観点からは、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートが好ましい。
【0080】
前記成分(b2)における環状スルホン酸エステルとしては、本実施の形態の非水電解液及びそれを用いた二次電池の特性を損なうものでなければ、その種類に特に制限はなく、種々のものを選択することができる。環状スルホン酸エステルとしては、具体的には、例えば、1,3−プロパンスルトン、2,4−ブタンスルトン、1,4−ブタンスルトン、エチレンサルファイト等が挙げられる。
【0081】
尚、前記に挙げた環状スルホン酸エステルのうち、入手の容易さの観点からは、1,3−プロパンスルトン、エチレンサルファイトが好ましい。
【0082】
前記成分(b2)におけるアセトアセチル基を有するアミン類は、具体的には、下記一般式(3)で表されるものである。
【0083】
【化6】
【0084】
前記R及びRは、それぞれ独立して、炭素数が1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の炭化水素基、又は炭素数が1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の範囲であって、ハロゲン原子、ヘテロ原子若しくは不飽和結合を有する炭化水素基を表す。ここで、前記ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。また、ヘテロ原子とは、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を意味する。
【0085】
前記R及びRとしては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、2−ヨードエチル基、2−ブロモエチル基、2−クロロエチル基、2−フルオロエチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、2,2−ジヨードエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ヘキサフルオロ−2−プロピル基等の鎖状含ハロゲンアルキル基、2−ヨードシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、2−クロロシクロヘキシル基、2−フルオロシクロヘキシル基等の環状含ハロゲンアルキル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の鎖状アルケニル基、2−シクロペンテニル基、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基等の環状アルケニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等の鎖状アルキニル基、フェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基等のフェニル基、2−ヨードフェニル基、2−ブロモフェニル基、2−クロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−ヨードフェニル基、3−ブロモフェニル基、3−クロロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−ヨードフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、3,5−ジヨードフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基等の含ハロゲンフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、3−アミノ−2−ナフチル基等のナフチル基等が挙げられる。
【0086】
前記R及びRは、同種でもよく相互に異なっていてもよい。また前記に例示した官能基群は単なる例示に過ぎず、本実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0087】
前記一般式(3)で表される化合物の具体例としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアセトアミド、N,N−ジプロピルアセトアセトアミド、N,N−ジブチルアセトアセトアミド、N,N−エチルメチルアセトアセトアミド、N,N−メチルプルピルアセトアセトアミド、N,N−ブチルメチルアセトアセトアミド等が挙げられる。但し、これらの化合物は単なる例示に過ぎず、本実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0088】
前記成分(B)の添加量は、非水電解液の全質量に対し0.05質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましく、0.1質量%〜3質量%の範囲内であることがより好ましく、0.5質量%〜2質量%の範囲あることが特に好ましい。前記添加量を0.05質量%以上にすることにより、添加剤としての効果、即ち、電極表面に安定した皮膜を形成することができる。一方、前記添加量を5質量%以下にすることにより、非水電解液中の電解質の非水電解液溶媒に対する溶解性が低下するのを抑制することができる。
【0089】
また、本実施の形態に於いて、前記成分(B)は、少なくとも1種類が非水電解液中に含まれていればよいが、含有させる成分(B)の種類の数は、好ましくは1〜5種類であり、より好ましくは1〜3種類であり、特に好ましくは1〜2種類である。成分(B)の種類を低減することにより、非水電解液の製造の際における工程の複雑化を抑制することができる。
【0090】
<電解質>
前記電解質としては、従来公知のものを採用することができる。例えば、リチウムイオン電池用の場合はリチウム塩が用いられ、ナトリウムイオン電池用の場合はナトリウム塩が用いられる。従って、二次電池の種類に応じて電解質の種類は適宜選択すればよい。
【0091】
また、前記電解質としては、フッ素を含有するアニオンを含有するものが好ましい。その様なフッ素含有のアニオンの具体例としては、例えばBF、PF、BFCF、BF、CFSO、CSO、CSO、CSO、N(SOF)、N(CFSO、N(CSO、N(CFSO)(CFCO)、N(CFSO)(CSO、C(CFSO等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を併用することができる。フッ素含有アニオンのうち、非水電解液の安全性・安定性、電気伝導率やサイクル特性の向上の観点からは、BF、PF、N(CFSOが好ましく、BF、PFが特に好ましい。
【0092】
前記電解質の前記有機溶媒に対する濃度は特に限定されず、通常は0.1〜2M、好ましくは0.15〜1.8M、より好ましくは0.2〜1.5M、特に好ましくは0.3〜1.2Mである。濃度を0.1M以上にすることにより、非水電解液の電気伝導率が不十分となるのを防止することができる。その一方、濃度を2M以下にすることにより、非水電解液の粘度上昇により電気伝導率が低下するのを抑制し、二次電池性能が低下するのを防止することができる。
【0093】
<有機溶媒>
前記非水電解液に用いられる前記有機溶媒(非水溶媒)としては特に限定されず、例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、リン酸エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、ラクトン化合物、鎖状エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン化合物等が挙げられる。これらの有機溶媒のうち、リチウム二次電池用有機溶媒として一般的に使用される点からは、炭酸エステルが好ましい。
【0094】
前記環状炭酸エステルとしては特に限定されず、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。これらのうち、リチウム二次電池の充電効率を向上させる点からは、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネートが好ましい。前記鎖状炭酸エステルとしては特に限定されず、例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。これらのうち、リチウム二次電池の充電効率を向上させる点からは、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが好ましい。前記リン酸エステルとしては特に限定されず、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル等が挙げられる。前記環状エーテルとしては特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。前記鎖状エーテルとしては特に限定されず、例えば、ジメトキシエタン等が挙げられる。前記ラクトン化合物としては特に限定されず、例えば、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。前記鎖状エステルとしては特に限定されず、例えば、メチルプロピオネート、メチルアセテート、エチルアセテート、メチルホルメート等が挙げられる。前記ニトリル化合物としては特に限定されず、例えば、アセトニトリル等が挙げられる。前記アミド化合物としては特に限定されず、例えば、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。前記スルホン化合物としては特に限定されず、例えば、スルホラン、メチルスルホラン等が挙げられる。また、前記有機溶媒分子中に含まれる炭化水素基の水素を少なくとも一部フッ素で置換したものも好適に用いることができる。これらの有機溶媒は一種単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。
【0095】
また、前記有機溶媒としては、入手の容易さや性能の観点から、炭酸エステルを用いるのが好ましい。
【0096】
<非水電解液の製造>
本実施の形態の非水電解液は、例えば、前記の有機溶媒(非水溶媒)に前記電解質の塩を加えた後に、少なくとも1種の前記成分(A)を添加する。さらに、成分(B)を添加することにより得られる。この際、前記有機溶媒や電解質の塩、成分(A)及び成分(B)としては、製造効率を低下させない範囲内で予め精製等して、不純物が極力少ないものを用いることが好ましい。尚、前記成分(A)、又は成分(B)の化合物を複数種用いる場合、それらの添加の順序は適宜必要に応じて設定することができる。また、成分(A)及び成分(B)は、従来公知の方法により製造し得る。
【0097】
<その他>
本実施の形態に係る非水電解液には、従来公知のその他の添加剤が添加されていてもよい。
【0098】
(二次電池)
次に、本発明の二次電池として、リチウムイオン二次電池を例にして以下に説明する。図1は、前記非水電解液を備えたリチウムイオン二次電池の概略を示す断面模式図である。
【0099】
本実施の形態に係るリチウムイオン二次電池は、図1に示すように、正極缶4と負極缶5とで形成される内部空間に、正極缶4側から正極1、セパレータ3、負極2、スペーサー7の順に積層された積層体が収納された構造を有している。負極缶5とスペーサー7との間にスプリング8を介在させることによって、正極1と負極2を適度に圧着固定している。本実施の形態の成分(A)及び成分(B)の化合物を含有する非水電解液は、正極1、セパレータ3及び負極2の間に含浸されている。正極缶4及び負極缶5の間にガスケット6を介在させた状態で、正極缶4及び負極缶5を挟持させることによって両者を結合し、前記積層体を密閉状態にしている。
【0100】
前記正極1における正極活物質層の材料としては特に限定されず、例えば、リチウムイオンが拡散可能な構造を持つ遷移金属化合物、又はその遷移金属化合物とリチウムの酸化物が挙げられる。具体的には、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiMnO+LiMeO(Me=Mn、Co、Ni)固溶体、LiFePO、LiCoPO、LiMnPO4、LiFePOLiNiCoMn(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)、LiNiCoyAl(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)LiFeF、TiO、V、MoO等の酸化物、TiS、FeS等の硫化物、又はポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール等の導電性高分子、活性炭、ラジカルを発生するポリマー、カーボン材料等が使用される。
【0101】
正極1は、前記に列挙した正極活物質を、公知の導電助剤や結着剤と共に加圧成型することにより、又は正極活物質を公知の導電助剤や結着剤と共にピロリドン等の有機溶剤に混合し、ペースト状にしたものをアルミニウム箔等の集電体に塗工後、乾燥することにより得ることができる。
【0102】
前記負極2における負極活物質層の材料としては、リチウムを吸蔵、放出することが可能な材料であれば特に限定されず、例えば、金属複合酸化物、リチウム金属、リチウム合金、ケイ素、ケイ素系合金、スズ系合金、金属酸化物、ポリアセチレン等の導電性重合体、Li−Co−Ni系材料、炭素材料等が挙げられる。
【0103】
前記金属複合酸化物としては特に限定されず、例えば、LiFe(0≦x≦1)、LiWO(0≦x≦1)、SnMe1−xMe(Me=Mn、Fe、Pb、Geであり、Me=Al、B、P、Si、周期律表の1〜3族の元素、ハロゲンであり、0<x≦1、1≦y≦3、1≦z≦8)等が挙げられる。
【0104】
前記金属酸化物としては特に限定されず、例えばSnO、SnO、SiO(0<x<2)、PbO、PbO、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、GeO、GeO、Bi、Bi、Bi等が挙げられる。
【0105】
前記炭素材料としては特に限定されず、例えば天然黒鉛、人造黒鉛、ホウ素化黒鉛、フッ化黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、ピッチ系炭素繊維黒鉛化物、カーボンナノチューブ、ハードカーボン、フラーレン等が挙げられる。
【0106】
負極2は、前記電極材料の箔状のものや粉末状のものを使用できる。粉末状の場合は、公知の導電助剤及び結着剤と共に加圧成型することにより、又は公知の導電助剤及び結着剤と共にピロリドン等の有機溶剤に混合し、ペースト状にしたものを銅箔等の集電体に塗工後、乾燥することにより得ることができる。
【0107】
本実施の形態に係るリチウムイオン二次電池には、正極1と負極2の短絡を防止するために、両者の間に通常、セパレータ3が介在される。セパレータ3の材質や形状は特に制限されないが、上述の非水電解液が通過しやすく、絶縁体で、化学的に安定な材質であるものが好ましい。例えば、各種の高分子材料からなる微多孔性のフィルム、シート等が挙げられる。高分子材料の具体例としては、ナイロン(登録商標)、ニトロセルロース、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子が用いられる。電気化学的な安定性・化学的安定性の観点からは、ポリオレフィン系高分子が好ましい。
【0108】
本実施の形態のリチウムイオン二次電池の最適な使用電圧は、正極1と負極2の組み合わせによって異なり、通常は、2.4〜4.6Vの範囲内で使用可能である。
【0109】
本実施の形態のリチウムイオン二次電池の形状については特に制限はないが、図1に示すコイン型セルの他に、例えば、円筒型、角型、ラミネート型等が挙げられる。
【0110】
本実施の形態に係る二次電池であると、高温環境下においても優れたサイクル特性を示すことができ、本実施の形態の非水電解液は、例えばリチウムイオン二次電池に好適に用いることができる。但し、図1に示すリチウムイオン二次電池は、本発明の二次電池の一態様を例示的に示したものであり、本発明の二次電池はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0111】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0112】
(成分(A)の合成)
<ジエチルリン酸リチウム>
ジクロロリン酸リチウム5gをPFA容器に投入し、続いてエタノール16.4gを投入した。その後、攪拌しながら、トリエチルアミン8.6gを室温(20℃)下で滴下した。滴下中、少し発熱し、白色沈殿が系内に析出するのが確認された。
【0113】
その後、PFA容器を室温まで冷却して戻し、3時間攪拌した。さらに、減圧濾過を行い、白色沈殿物とエタノール溶液とを分離した。減圧下でろ液からエタノールを留去することにより、白色の固体5.1gを得た。得られた白色固体について、イオンクロマトグラフィー〈メトローム社製、商品名;IC−850〉を用いてアニオン分析を行ったところ、得られた白色固体はジエチルリン酸リチウムであることが確認された。
【0114】
<ビス(2.2.2−トリフルオロエチル)リン酸リチウム>
ジクロロリン酸リチウム5gをPFA容器に投入し、さらに、ジメトキシエタン30gを投入した。続いて2,2,2−トリフルオロエタノール35.5gを投入した。その後、攪拌しながら、トリエチルアミン9.0gを室温下で滴下した。滴下中、少し発熱し、白色沈殿が系内に析出するのが確認された。
【0115】
その後、PFA容器を室温まで冷却して戻し、3時間攪拌した。さらに、減圧濾過を行い、白色沈殿物とジメトキシエタン/2,2,2−トリフルオロエタノール混合液とを分離した。減圧下でろ液からジメトキシエタン及び2,2,2−トリフルオロエタノールを留去することにより、白色の固体5.1gを得た。得られた白色固体について、イオンクロマトグラフィー〈メトローム社製、商品名;IC−850〉を用いてアニオン分析を行ったところ、得られた白色固体はビス(2.2.2−トリフルオロエチル)リン酸リチウムであることが確認された。
【0116】
(実施例1)
<非水電解液の作製>
露点が−70℃以下のアルゴン雰囲気ドライボックス内で、エチレンカーボネート(EC)及びジメチルカーボネート(DMC)からなる混合溶媒(体積比率でEC:DMC=1:1、キシダ化学株式会社製、リチウムバッテリーグレード)に対し、LiPFの濃度が1.0モル/リットルとなる様に調製した。
【0117】
次に、前記ジエチルリン酸リチウムを添加濃度が0.5質量%、トリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートを添加濃度が1.0質量%となる様に、前記混合溶媒に添加した。これにより、本実施例に係る非水電解液を調製した。
【0118】
(実施例2)
本実施例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、無水マレイン酸を添加濃度が0.5質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0119】
(実施例3)
本実施例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、プロパンスルトンを添加濃度が0.5質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0120】
(実施例4)
本実施例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、ビニレンカーボネートを添加濃度が0.5質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0121】
(実施例5)
本実施例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、リチウムビスサリチラートボレートを添加濃度が0.5質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0122】
(実施例6)
本実施例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、リチウムビス[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレートを添加濃度が0.5質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0123】
(実施例7)
本実施例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、ホウ酸トリメチルを添加濃度が0.5質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0124】
(実施例8)
本実施例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、フルオロエチレンカーボネートを添加濃度が0.5質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0125】
(実施例9)
本実施例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、N,N−ジメチルアセトアセトアミドを添加濃度が0.5質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0126】
(実施例10)
本実施例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、リチウムジフルオロオキサラトボレートを添加濃度が0.5質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0127】
(実施例11)
本実施例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートの添加濃度を0.05質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0128】
(実施例12)
本実施例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートの添加濃度を3質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0129】
(実施例13)
本実施例においては、実施例1のジエチルリン酸リチウムの添加濃度を0.05質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0130】
(実施例14)
本実施例においては、実施例1のジエチルリン酸リチウムの添加濃度を3質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0131】
(実施例15)
本実施例においては、実施例1のジエチルリン酸リチウムの添加濃度を0.05質量%となる様に添加し、トリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートの添加濃度を0.05質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0132】
(実施例16)
本実施例においては、実施例1のジエチルリン酸リチウムの添加濃度を3質量%となる様に添加し、トリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートの添加濃度を3質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0133】
(実施例17)
本実施例においては、実施例1のジエチルリン酸リチウムに代えて、前記ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸リチウムを添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0134】
(実施例18)
本実施例においては、実施例1のジエチルリン酸リチウムに代えて、前記ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸リチウムを添加し、トリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、無水マレイン酸を添加濃度が0.5質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0135】
(実施例19)
本実施例においては、実施例1のジエチルリン酸リチウムに代えて、前記ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸リチウムを添加し、トリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、プロパンスルトンを添加濃度が0.5質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0136】
(実施例20)
本実施例においては、実施例1のジエチルリン酸リチウムに代えて、前記ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸リチウムを添加し、トリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、ホウ酸トリメチルを添加濃度が0.5質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0137】
(実施例21)
本実施例においては、実施例1のジエチルリン酸リチウムに代えて、前記ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸リチウムを添加し、トリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、N,N−ジメチルアセトアセトアミドを添加濃度が0.5質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0138】
(実施例22)
本実施例においては、実施例1のジエチルリン酸リチウムに代えて、前記ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸リチウムを添加し、トリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、ビニレンカーボネートを添加濃度が0.5質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0139】
(実施例23)
本実施例においては、実施例1のジエチルリン酸リチウムに代えて、前記ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸リチウムを添加し、トリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、フルオロエチレンカーボネートを添加濃度が0.5質量%となる様に添加したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例の非水電解液を調製した。
【0140】
(比較例1)
本比較例においては、ジエチルリン酸リチウム及びトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして本比較例の非水電解液を調製した。
【0141】
(比較例2)
本比較例においては、トリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして本比較例の非水電解液を調製した。
【0142】
(比較例3)
本比較例においては、実施例1のジエチルリン酸リチウムに代えて、前記ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)リン酸リチウムを添加し、トリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして本比較例の非水電解液を調製した。
【0143】
(比較例4)
本比較例においては、ジエチルリン酸リチウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして本比較例の非水電解液を調製した。
【0144】
(比較例5)
本比較例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、無水マレイン酸を添加濃度が0.5質量%となる様に添加し、ジエチルリン酸リチウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして本比較例の非水電解液を調製した。
【0145】
(比較例6)
本比較例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、プロパンスルトンを添加濃度が0.5質量%となる様に添加し、ジエチルリン酸リチウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして本比較例の非水電解液を調製した。
【0146】
(比較例7)
本比較例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、ビニレンカーボネートを添加濃度が0.5質量%となる様に添加し、ジエチルリン酸リチウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして本比較例の非水電解液を調製した。
【0147】
(比較例8)
本比較例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、フルオロエチレンカーボネートを添加濃度が0.5質量%となる様に添加し、ジエチルリン酸リチウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして本比較例の非水電解液を調製した。
【0148】
(比較例9)
本比較例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、ホウ酸トリメチルを添加濃度が0.5質量%となる様に添加し、ジエチルリン酸リチウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして本比較例の非水電解液を調製した。
【0149】
(比較例10)
本比較例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、N,N−ジメチルアセトアセトアミドを添加濃度が0.5質量%となる様に添加し、ジエチルリン酸リチウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして本比較例の非水電解液を調製した。
【0150】
(比較例11)
本比較例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、リチウムビスサリチラートボレートを添加濃度が0.5質量%となる様に添加し、ジエチルリン酸リチウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして本比較例の非水電解液を調製した。
【0151】
(比較例12)
本比較例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、リチウムビス[1,2’−ベンゼンジオラート(2)−O,O’]ボレートを添加濃度が0.5質量%となる様に添加し、ジエチルリン酸リチウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして本比較例の非水電解液を調製した。
【0152】
(比較例13)
本比較例においては、実施例1のトリエチルメチルアンモニウムビスオキサラトボレートに代えて、リチウムジフルオロオキサラトボレートを添加濃度が0.5質量%となる様に添加し、ジエチルリン酸リチウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして本比較例の非水電解液を調製した。
【0153】
(サイクル特性の評価)
<コインセルの作製>
図1に示すようなコイン型のリチウム二次電池を作製し、各実施例及び比較例の非水電解液の電気化学特性を評価した。
【0154】
即ち、正極に、直径9mmφに切り出したLiNi1/3Co1/3Mn1/3(パイオトレック株式会社製)を用い、セパレータにポリエチレン製セパレータを用い、負極に、直径10mmφに切り出した天然黒鉛シート(パイオトレック株式会社製)を用いた。さらに、正極、セパレータ及び負極の順に積層して積層体とし、各実施例又は比較例で調製した非水電解液を含浸させた後、当該積層体を密閉して、コインセルをそれぞれ作製した。コインセルの組み立ては、全て露点−70℃以下のアルゴングローブボックス内で行った。
【0155】
<慣らし充放電>
作製したコインセルは、25℃の恒温槽内で充電終止電圧4.2V、放電終止電圧3.0V、0.2C(定格容量を1時間で充電もしくは放電する電流値を1Cとする)の定電流定電圧法にて5サイクルの慣らし充放電をした。
【0156】
<高温サイクル特性の評価>
慣らし充放電の終了したコインセルを、60℃の恒温槽内で充電終止電圧4.2V、放電終止電圧3.0V、0.2Cの定電流定電圧法にて50サイクル充放電した。50サイクル後の放電容量を比較評価した。下記表1〜表3に、比較例1を100としたときの、実施例1〜23および比較例2〜13の放電容量の比率を示す。
【0157】
【表1】
【0158】
【表2】
【0159】
【表3】
【0160】
前記表1〜3から明らかなように、実施例1〜23の非水電解液を用いたコインセルでは、比較例1〜13に比べ、60℃の高温環境下においても容量維持率が高く、サイクル特性に優れていることが確認された。
【符号の説明】
【0161】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 正極缶
5 負極缶
6 ガスケット
7 スペーサー
図1