特許第6989179号(P6989179)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6989179検出信号の自己増幅原理を利用した正確、迅速、便利なシングルステップの疾病の診断方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989179
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】検出信号の自己増幅原理を利用した正確、迅速、便利なシングルステップの疾病の診断方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/536 20060101AFI20211220BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20211220BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20211220BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20211220BHJP
   C12N 15/51 20060101ALN20211220BHJP
【FI】
   G01N33/536 E
   G01N33/53 D
   G01N33/569 L
   !C12N15/09 ZZNA
   !C12N15/51
【請求項の数】18
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2020-506696(P2020-506696)
(86)(22)【出願日】2018年4月13日
(65)【公表番号】特表2020-516918(P2020-516918A)
(43)【公表日】2020年6月11日
(86)【国際出願番号】KR2018004313
(87)【国際公開番号】WO2018190664
(87)【国際公開日】20181018
【審査請求日】2019年11月8日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0047841
(32)【優先日】2017年4月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519367980
【氏名又は名称】セレメディー カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジウォン
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ジョン−ヒョク
【審査官】 西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0292545(US,A1)
【文献】 特表2012−529644(JP,A)
【文献】 特表2011−510909(JP,A)
【文献】 特表2010−529422(JP,A)
【文献】 特表2005−519620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出信号の自己増幅を利用した疾病の特異的マーカーの検出方法であって、
表面に金イオンを吸着することができるタグ及び疾病の特異的マーカー検出用抗原または抗体が表出されたタンパク質粒子、前記タグに吸着された金イオン及び自由金イオンが存在する事前診断溶液(pre−assay solution)に、前記抗体または抗原に特異的に結合する疾病の特異的抗原または抗体を含有するサンプル及び還元剤を投入して組成された診断溶液(assay solution)内で、抗原−抗体免疫反応及び金イオンの還元による金粒子形成反応を誘導するステップ(a)と、及び
前記抗原−抗体免疫反応で形成されたタンパク質複合体に金粒子が凝集されることによる発色反応で疾病の特異的マーカーの有無を確認するステップ(b)とを含む、前記検出信号の自己増幅を利用した疾病の特異的マーカーの検出方法。
【請求項2】
検出信号の自己増幅を利用した抗ウイルス抗体の検出方法であって、
表面に金イオンを吸着することができるタグ及び抗ウイルス抗体検出用抗原が表出されたタンパク質粒子、前記タグに吸着された金イオン及び自由金イオンが存在する事前診断溶液内で、前記抗原に特異的に結合する抗ウイルス抗体を含有するサンプル及び還元剤と投入して組成された診断溶液(assay solution)内で、抗原−抗体免疫反応及び金イオンの還元による金粒子形成反応を誘導するステップ(a)と、及び
前記抗原−抗体免疫反応で形成されたタンパク質複合体に金粒子が凝集されることによる発色反応でウイルスの有無を確認するステップ(b)とを含む、前記検出信号の自己増幅を利用した抗ウイルス抗体の検出方法。
【請求項3】
検出信号の自己増幅を利用した疾病診断のための情報の提供方法であって、
表面に金イオンを吸着することができるタグ及び疾病の特異的マーカー検出用抗原または抗体が表出されたタンパク質粒子、前記タグに吸着された金イオン及び自由金イオンが存在する事前診断溶液に、前記抗体または抗原に特異的に結合する疾病の特異的抗原または抗体を含有するサンプル及び還元剤を投入して組成された診断溶液内で、抗原−抗体免疫反応及び金イオンの還元による金粒子形成反応を誘導するステップ(a)と、及び
前記抗原−抗体免疫反応で形成されたタンパク質複合体に金粒子が凝集されることによる発色反応で疾病の特異的マーカーの有無を確認するステップ(b)とを含む、前記検出信号の自己増幅を利用した疾病診断のための情報の提供方法。
【請求項4】
前記タグは、ヒスチジン、リジン及びアルギニンからなる群から選択されるアミノ酸を含むものであることを特徴とする
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記還元剤は、アスコルビン酸、イミダゾール、ピラゾール、ヒスタミン、ヒドロキシルアミン、クエン酸及びナトリウムボロハイドライドからなる群から選択されることを特徴とする
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記サンプルは、血液、血漿、血清、尿、唾液、口腔粘膜及びよだれからなる群から選択されることを特徴とする
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
事前診断溶液内に存在する前記金イオンの濃度は、1mM〜10mMであることを特徴とする
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
診断溶液内に存在する前記還元剤の濃度は、0.005M〜0.1M であることを特徴とする
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記サンプルの量は、10μl〜30μlであることを特徴とする
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記疾病は、急性心臓病、ヒト免疫不全症、C型肝炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症、A型肝炎、脳卒中及び脳出血からなる群から選択されることを特徴とする
請求項1または3に記載の方法。
【請求項11】
前記発色反応は、少なくとも5分〜10分以内に現れることを特徴とする
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記発色反応は、500−600nmの吸光度を測定して確認することを特徴とする
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記疾病の特異的マーカー検出用抗原または抗体の免疫反応は、前記タンパク質粒子の表面で発生することを特徴とする
請求項1または3に記載の方法。
【請求項14】
前記タグは、金イオンを吸着して還元剤の存在下で、金粒子の凝集反応を誘導することを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記抗原−抗体免疫反応は、前記タンパク質粒子の表面で発生することを特徴とする
請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記タグは、金イオンを吸着して還元剤の存在下で、金粒子の凝集反応を誘導することを特徴とする
請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記タンパク質粒子は、フェリチン(ferritin)、フェリチン類似タンパク質(ferritin−like protein)、マグネトソーム(magnetosome)構成タンパク質、ウイルス構成タンパク質(e.g. hepatitis B virus core protein, tobacco mosaic virus)、DPS(DNA binding protein)、及びプロテアソーム(proteasome)からなる群から選択されるタンパク質を含むことを特徴とする
請求項1または3に記載の方法。
【請求項18】
前記タンパク質粒子は、フェリチン(ferritin)、フェリチン類似タンパク質(ferritin−like protein)、マグネトソーム(magnetosome)構成タンパク質、ウイルス構成タンパク質(e.g. hepatitis B virus core protein, tobacco mosaic virus)、DPS(DNA binding protein)、及びプロテアソーム(proteasome)からなる群から選択されるタンパク質含むことを特徴とする
請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫診断と金粒子の形成を同時に連携させ、検出信号の自己増幅を実装することにより、正確、迅速、便利な疾病マーカーの検出方法及びキットに関し、より具体的には、疾病の特異的マーカー検出用抗体または抗原、自由金イオン及び吸着金イオンが同時に存在する事前診断溶液(pre−assay solution)に、前記抗体または抗原に特異的に結合する疾病の特異的抗原または抗体を含有するサンプル及び還元剤を投入して組成された診断溶液(assay solution)内で、抗原−抗体免疫反応及び金イオンの還元による金粒子形成反応を同時に誘導するステップ(a)と、及び金粒子形成による発色反応で疾病の特異的マーカーの有無を確認するステップ(b)とを含む検出信号の自己増幅を利用した疾病の特異的マーカーの検出方法及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の疾患の診断方法であって、最も理想的な方法は、迅速で、正確かつ簡単な手順の診断方法である。そして、このような迅速な診断は、急性心筋梗塞のような緊急時の患者の場合にはより重要である。救急患者の場合、これらの迅速で正確な診断に応じた適切な治療は、生存率と直接関連付けられるので、緊急患者でない場合よりも更に重要な要因となる。
【0003】
臨床検査の分野では、生体試料(血液、尿など)を利用して、様々な疾患の診断を実行しているが、これらの診断方法としては、各種の測定法が開発され利用されている。これらの測定方法の代表的な方法としては、酵素反応を利用した生化学的測定法または抗原−抗体反応を利用した免疫測定法を挙げることができる。最近では、生体試料中の成分を精密に測定することが要求され、特異性の高い抗原−抗体反応を利用した免疫測定方法が幅広く利用されている。
【0004】
免疫測定方法は、抗原−抗体の結合能力を活用する方法である。主に、免疫分析法は、サンプル内の特定の抗原(または抗体)−特異的抗体(または抗原)の存在を分析するために使用される。これは、固体支持体に固定化された特定の抗原(または抗体)の上にサンプルを流し(wash)、続いて様々な技法を用いて、結合された抗体(または抗原)を視覚化して実行される。
【0005】
一般的に、免疫測定方法は、未知のサンプルの濃度を決める(assign)ための校正器(calibrator)の利用を必要とする。古典的な免疫分析法では、校正器のセットが実行され、信号対濃度の校正曲線(calibration curve)がプロットされ(plotted)、未知のサンプルの濃度が補間法(interpolation)によって決定される(Ibrahim A. Darwish, International Journal of Biomedical Science, Vol. 2 pp. 217−235, 2006)。
【0006】
免疫測定法としては、その検出原理と方法に基づいて、放射性同位元素を使用して信号を検出する放射免疫分析法(RIA:radioimmunoassay)、酵素による信号増幅を使用する酵素免疫測定法(ELISA:enzyme−linked immunosorbent assay、またはEIA:enzyme immunoassay)、蛍光を利用して検出する蛍光抗体法(FA:fluorescence antibody technique)、化学発光を使用する化学発光免疫測定法(CLIA:chemiluminescence immunoassay)などに分けることができ、他にも標識物質の使用方法や基質の種類に応じて、様々な分類が可能である。
【0007】
酵素免疫測定方法は、大きく、直接酵素免疫測定法(Direct ELISA)、間接免疫測定法(indirec ELISA)、サンドイッチ免疫酵素測定法(Sandwich ELISA)及び競争的酵素免疫測定法(Competitive ELISA)に区分することができる。
【0008】
直接酵素免疫測定法は、抗原を96ウェルプレート等に固定させた後、酵素と結合した抗体を注入して、抗原−抗体反応を起こした後、洗浄(washing)過程を経た後、抗体についた酵素によって基質が生産物に変化された量を測定する方法として、他のELISAに比べて速いという長所があるが、感度が低く、それぞれのELISAのために、特定の抗体が必要であり、時間がかかり、高価という短所がある。
【0009】
間接酵素免疫測定法は、抗原を96ウェルプレートに固定させた後、1次抗体を処理して、抗原−抗体反応を誘導して、1次抗体のFcドメインと結合することができ、酵素が結合された2次抗体を処理した後、酵素によって基質が生産物に変化した量を測定する方法として、感度が高く、比較的安価であり、様々な種類の1次抗体を使用することができるという長所があるが、2次抗体との間の交差反応による偽陽性が高く、複雑なステップと時間がかかるという短所がある。
【0010】
サンドイッチ酵素免疫測定法は、抗原と結合することができる捕獲抗体(capture−antibody)を96ウェルプレートに固定させた後、抗原が含有されたサンプルを注入し、抗原の他のエピトープと結合することができる検出抗体(detection−antibody)を注入して捕獲抗体−抗原−検出抗体のサンドイッチ構造を検出抗体のFcドメインと結合することができ、酵素が結合された2次抗体で検出する方法として、サンプルの準備ステップが最も最小化され、より高い感度と精度を有するという長所があるが、1次抗体と二次抗体が抗原の異なるエピトープに結合するように製造しなければならず、時間がかかり、高価という短所がある。
【0011】
競争的酵素免疫測定法は、サンプルに抗体を投入して、抗原−抗体反応を誘導した後、抗原がコーティングされた96ウェルプレートに、前記抗原−抗体複合体が存在する状態で投入した後、酵素が結合された2次抗体を投入して基質から生成物の変化量を測定する方法として、サンプル内の抗原が多く存在するほど、二次抗体によって変化する生産物の量が減少するように、サンプルの準備ステップが最小限に抑えられ、広い範囲の抗原量を測定することができ、small moleculeのようなエピトープが少ない抗原も検出することができる長所があるが、希釈されたサンプルでは使用できないという短所がある(Karichma Sha et al., British Journal of Hospital Medicine, Vol. 77, No. 7, 2016)。
【0012】
電気−化学発光(ECL)反応は、電極(electrode)の表面で電気化学(electrochemistry)によって誘引される特異的化学発光反応である。抗原−抗体(antigen−antibody)複合体及びルテニウムピリジンの接合体(conjugate)は、トリプロピルアミンの存在下で、電気化学によって励起(excited)されて、酸化還元反応(redox reaction)が光子(photons)を放出するために発生し、これは光電子増倍管(photomultiplier tube)によって収集されることができる。このプロセスは、多くの光子を生成するために繰り返し実行され、これは光信号(optical signal)を増幅する。一般的に、電気化学発光分析に使用される複数の標識(labels)は、標識された抗体または抗原を生産するための、他の化学構造を持つ抗体または抗原分子に結合することができる標識である(Michael Vogesser et al., her.ug Monit.Vol.36,No.5, p..640−650,014)。
【0013】
これらのELIA方法は高感度、迅速な分析速度、自動化が容易であるという長所があるが、いくつかの手順を経なければならず、標識された抗体または抗原の製作費が高価で、主に使用されるルテニウムピリジン(ruthenium pyridine)の場合には、電極材料にによって大きく影響を受けて、発光効率が限られており、高価という短所がある。
【0014】
これらの短所を克服するために韓国特許第10−1495665号では、磁気を利用した蛍光多重免疫検査法を開発したが、まだいくつかのステップを経なければならないため、時間がかかるという短所があり、韓国特許第10−2014−0151305号では、タンパク質粒子を利用して、抗原をタンパク質粒子の表面に適切な配向性を持って表出されるようにして、感度が向上された方法を開発したが、まだいくつかの手順が必要であり、時間がかかるという短所があり、簡単かつ迅速な検出方法が必要な実情である。
【0015】
そこで、本発明者らは、免疫分析方法の短所を改善するために努力した結果、金イオンの還元反応を利用した金粒子の形成と抗原−抗体免疫反応を同時に誘導する場合には、金粒子の凝集体形成に基づいて検出信号が自己増幅されて、すぐに疾病の特異的マーカーの存在の有無を検出することができることを確認して、本発明を完成した。
本背景技術の部分に記載された前記の情報は、本発明の背景の理解を向上させるためであり、これに本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者にとってはすでに知られている先行技術を形成する情報が含まないことができる。
【発明の概要】
【0016】
本発明の目的は、検出信号の自己増幅原理を利用した正確、迅速、便利なシングルステップの疾病の特異的マーカーの検出方法を提供するものである。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明は、疾病の特異的マーカー検出用抗体または抗原、自由金イオン及び吸着金イオンが同時に存在する事前診断溶液(pre−assay solution)に、前記抗体または抗原に特異的に結合する疾病の特異的抗原または抗体を含有するサンプル及び還元剤を投入して組成された診断溶液(assay solution)内で、抗原−抗体免疫反応及び金イオンの還元による金粒子形成反応を同時に誘導するステップ(a)と、及び金粒子形成による発色反応で疾病の特異的マーカーの有無を確認するステップ(b)とを含む検出信号の自己増幅を利用した疾病の特異的マーカーの検出方法を提供する。
【0018】
本発明は、さらに、抗ウイルス抗体検出用抗原、自由金イオン及び吸着金イオンが同時に存在する事前診断溶液内で、前記抗原に特異的に結合する抗ウイルス抗体を含有するサンプル及び還元剤と投入して組成された診断溶液(assay solution)内で、抗原−抗体免疫反応及び金イオンの還元による金粒子形成反応を同時に誘導するステップ(a)と、及び金粒子形成による発色反応でウイルスの有無を確認するステップ(b)とを含む検出信号の自己増幅を利用した抗ウイルス抗体の検出方法を提供する。
【0019】
本発明は、さらに、疾病の特異的マーカー検出用抗体または抗原、自由金イオン及び吸着金イオンが同時に存在する事前診断溶液に、前記抗体または抗原に特異的に結合する疾病の特異的抗原または抗体を含有するサンプル及び還元剤を投入して組成された診断溶液内で、抗原−抗体免疫反応及び金イオンの還元による金粒子形成反応を同時に誘導するステップ(a)と、及び金粒子形成による発色反応で疾病の特異的マーカーの有無を確認するステップ(b)とを含む検出信号の自己増幅を利用した疾病診断のための情報の提供方法を提供する。
【0020】
本発明は、さらに、疾病の特異的マーカー検出用抗体または抗原、自由金イオン及び吸着金イオンが同時に存在する事前診断溶液に、前記抗体または抗原に特異的に結合する疾病の特異的抗原または抗体を含有するサンプル及び還元剤を投入して組成された診断溶液内で、抗原−抗体免疫反応及び金イオンの還元による金粒子形成反応を同時に誘導するステップ(a)と、及び金粒子形成による発色反応で疾病の特異的マーカーの有無を確認するステップ(b)とを含む検出信号の自己増幅を利用した疾病診断方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(A)本発明の方法による急性心筋梗塞の診断のためのタンパク質粒子の模式図、及び生成されたタンパク質粒子を電子顕微鏡で確認した結果である。(B)本発明の原理の模式図として、金粒子の形成と抗原−抗体反応が同時に起きて、クラスタが形成されて、急激な自己信号の増幅が発生する過程を示したものである。
図2】(A)急性心筋梗塞の患者と健常者の血清のone−step診断結果を示したものである。(B)心筋梗塞患者の診断では、これらの色の変化が光を吸収する特定の波長で吸光度の差が生ずることで現れることと、各時間帯での患者と健常者との間の吸光度の大きさの違いを示す実験結果である。
図3】(A)急性心筋梗塞マーカーtroponin Iを検知するELISAキットを用いて、同じ患者の血清を診断したことを示す実験結果である。(B)定量化の可能性を確認するためにさらに患者の血清を緑十字診断センターでtroponin Iの量をECLIAに定量化した結果(上のパネル)、及び当該患者の血清を用いて、one−step診断を実行した結果(下のパネル)である。
図4】時間帯ごとの患者の診断溶液(assay solution)内の金粒子凝集体をTEMで画像を撮って確認した結果である。
図5】(A)金粒子凝集体が形成される原理をシミュレーションで確認した結果である。(B)凝集体の大きさに比例して吸光度が大きくなることを確認したことで、凝集体の大きさに比例して吸光度が大きくなる様相が同じ波長帯で起こることを確認した結果である。
図6】one−step診断の原理を確認するための対照群実験を示した結果であって、自由金イオンが存在し、タンパク質粒子による抗原−抗体複合体の両方が形成されてこそ複合体が生成され、患者だけに発色反応が現れること(5)を確認した結果である。
図7】金イオンと還元性ペプチドとの間の相互作用と患者検体内のtroponin Iとタンパク質粒子の相互作用、そしてこれによる信号の自己増幅作用がどのようにこの診断で起こるかについての模式図である。
図8】本願発明の方法で、C型肝炎ウイルス(HCV)を診断するために製造したタンパク質粒子の模式図、及び製造したタンパク質粒子を電子顕微鏡で観察した結果である。
図9】本願発明の方法で、C型肝炎患者の血液サンプル内に存在するHCV抗体を検出する原理を示した模式図である。
図10】(A)本願発明の方法で、C型肝炎の患者と健常者の血液サンプルをテストした結果を示したものである。(B)C型肝炎患者の抗原−抗体複合体のサイズによる吸光度と時間による吸光度の変化を測定した結果として、時間の経過に応じて588nmという特定の波長で吸光度が増加する様相を測定した結果であり、TEM像と同じ形状のクラスタが形成されることを示すことであり、またbox plotグラフは、健常者群と患者群の各時間ごとの吸光度の差を測定した結果である。
図11】(A)本願発明の方法で、HIVを保有している患者及び健常者の血液サンプルをテストした結果を示したものである。(B)HIV保有患者の抗原−抗体複合体のサイズによる吸光度と時間による吸光度変化を測定した結果として、時間の経過に応じて555nmという特定の波長で吸光度が増加する様相を測定した結果であり、TEM像と同じ形状のクラスタが形成されることを示し、また、box plotグラフは健常者群と患者群の各時間ごとの吸光度の差を測定した結果である。
図12】左側のパネルは、本願発明の方法で、HAVを保有している患者と健常者の血液サンプルをテストした結果を示したものであり、右側のパネルは、HAV保有患者の抗原−抗体複合体のサイズによる吸光度と時間による吸光度の変化を測定した結果として、時間の経過に応じて574nmという特定の波長で吸光度が増加する様相を測定した結果である。
図13】患者の血清内のTnIの信頼性の高い定量分析するかどうかを評価するためのテストの結果として、(A)は、診断開始後15分の時点での各標準血清別吸光度を測定した結果であり、(B)は、診断開始後20分の時点、(C)は、25分の時点、(D)は、30分の時点での検出信号の測定結果である。
図14】緑十字医療財団のECLIA診断機器(Roche E−170モデル)での定量分析するかどうかを確認した結果として、図14は、健常者の試料(A)、図15は、健常者の試料(B)、及び図16は、健常者試料(C)を用いて分析した結果である。
図15】緑十字医療財団のECLIA診断機器(Roche E−170モデル)での定量分析するかどうかを確認した結果として、図14は、健常者の試料(A)、図15は、健常者の試料(B)、及び図16は、健常者試料(C)を用いて分析した結果である。
図16】緑十字医療財団のECLIA診断機器(Roche E−170モデル)での定量分析するかどうかを確認した結果として、図14は、健常者の試料(A)、図15は、健常者の試料(B)、及び図16は、健常者試料(C)を用いて分析した結果である。
図17】Elascience社のELISA診断キット(E−EL−H0144)での定量分析するかどうかを確認した結果として、図17は、健常者の試料(A)、図18は、健常者の試料(B)、及び図19は、健常者の試料(C)を用いて分析した結果である。
図18】Elascience社のELISA診断キット(E−EL−H0144)での定量分析するかどうかを確認した結果として、図17は、健常者の試料(A)、図18は、健常者の試料(B)、及び図19は、健常者の試料(C)を用いて分析した結果である。
図19】Elascience社のELISA診断キット(E−EL−H0144)での定量分析するかどうかを確認した結果として、図17は、健常者の試料(A)、図18は、健常者の試料(B)、及び図19は、健常者の試料(C)を用いて分析した結果である。
図20】Abbexa Ltd.社のELISA診断キット(abx050255)での定量分析するかどうかを確認した結果として、図20は、健常者の試料(A)、図21は、健常者の試料(B)、及び図22は、健常者の試料(C)を用いて分析した結果である。
図21】Abbexa Ltd.社のELISA診断キット(abx050255)での定量分析するかどうかを確認した結果として、図20は、健常者の試料(A)、図21は、健常者の試料(B)、及び図22は、健常者の試料(C)を用いて分析した結果である。
図22】Abbexa Ltd.社のELISA診断キット(abx050255)での定量分析するかどうかを確認した結果として、図20は、健常者の試料(A)、図21は、健常者の試料(B)、及び図22は、健常者の試料(C)を用いて分析した結果である。
図23】ALPCO社のELISA診断キット(25−TR1HU−E01)での定量分析するかどうかを確認した結果として、図23は、健常者の試料(A)、図24は、健常者の試料(B)、及び図25は、健常者の試料(C)を用いて分析した結果である。
図24】ALPCO社のELISA診断キット(25−TR1HU−E01)での定量分析するかどうかを確認した結果として、図23は、健常者の試料(A)、図24は、健常者の試料(B)、及び図25は、健常者の試料(C)を用いて分析した結果である。
図25】ALPCO社のELISA診断キット(25−TR1HU−E01)での定量分析するかどうかを確認した結果として、図23は、健常者の試料(A)、図24は、健常者の試料(B)、及び図25は、健常者の試料(C)を用いて分析した結果である。
図26】本願発明の方法を利用して、急性心筋梗塞を診断する場合の検出限界(LOD)評価のための定量化実験の結果である。
図27】本願発明の方法を利用して、C型肝炎を診断する場合の検出限界(LOD)評価のための定量化実験の結果である。
図28】本願発明の方法を利用して、エイズ(AIDS)を診断する場合の検出限界(LOD)評価のための定量化実験の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
他の形で定義されない限り、本明細書で使用されたすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野で熟練した専門家によって、通常理解されるのと同じ意味を持つ。一般的に、本明細書で使用される命名法は、本技術分野でよく知られている通常に使用されるものである。
【0023】
本発明では、疾病の特異的マーカー検出用抗体または抗原、自由金イオン及び吸着金イオンが同時に存在する事前診断溶液(pre−assay solution)に前記抗体または抗原に特異的に結合する疾病の特異的抗原または抗体を含有するサンプル及び還元剤を投入して組成された診断溶液(assay solution)内で、抗原−抗体免疫反応と金イオンの還元による金粒子の形成に伴う検出信号の自己増幅が起こり、疾病の特異的マーカーの検出が可能かどうかを確認しようとした。
【0024】
本発明では、組換えB型間葉ウイルスカプシド(HBV−capsid)由来のコア(core)タンパク質の表面に金イオン吸着用タグと抗体Fcドメイン結合用タグが表出されたタンパク質粒子を製造した後、急性心筋梗塞のマーカーを検知することができる抗体を前記タンパク質粒子の表面に付着した後、金イオンを吸着させたタンパク質粒子水溶液を製造した。前記水溶液に急性心筋梗塞マーカーと還元剤を投入して、5分後に肉眼で確認可能な発色反応が現れることを確認した。
【0025】
即ち、本発明の一実施例では、HBVコアタンパク質のN−末端に金イオンを吸着することができる6つのヒスチジン(hexa−histidine)を発現させ、loop部分にリンカーアミノ酸と抗体のFcドメインと結合することができるStaphylococuccal Protein AのBドメインが結合されて、表面が改質された組換えHBVカプシドタンパク質粒子を製造した(図1)。
【0026】
前記タンパク質粒子の急性心筋梗塞の際、過発現されるtroponin I(TnI)に対する抗体を結合させて、抗体が正確に配向されたタンパク質粒子を製造した後、L−アスコルビン酸(L−ascorbic acid、LAA)とTnI含有患者の血液サンプルを注入して、凝集反応を誘導(図1のB)した結果、5分後に患者から肉眼で確認可能な発色反応が現れることが確認できた(図2)。
【0027】
従って、本発明は、一観点において、疾病の特異的マーカー検出用抗体または抗原、自由金イオン及び吸着金イオンが同時に存在する事前診断溶液(pre−assay solution)に、前記抗体または抗原に特異的に結合する疾病の特異的抗原または抗体を含有するサンプル及び還元剤を投入して組成された診断溶液(assay solution)内で、抗原−抗体免疫反応及び金イオンの還元による金粒子形成反応を同時に誘導するステップ(a)と、及び金粒子形成による発色反応で疾病の特異的マーカーの有無を確認するステップ(b)とを含む検出信号の自己増幅を利用した疾病の特異的マーカーの検出方法に関する。
【0028】
本発明で使用される用語「事前診断溶液(pre−assay solution)」は、吸着金イオン、自由の金イオンと検出しようとする抗原(または抗体)に特異的に結合する抗体(または抗原)を含んでいる溶液を意味し、反応条件のための他のバッファおよび抗体または抗原と金イオンを吸着するアミノ酸が表出された粒子などをさらに含むことができる。
【0029】
本発明に使用される用語「診断溶液(assay solution)」は、前記事前診断溶液にサンプルと還元剤を投入した溶液を意味し、前記サンプルは、検出しようとする抗原または抗体を含むことができる。
【0030】
本発明で使用される用語「抗体」は、IgA、IgE、IgM、IgD、IgY及びIgGからなる群から選択される免疫グロブリンであり、目標抗原に特異的に結合することができる。軽鎖(light chain)と重鎖(heavy chain)それぞれ2個ずつ集まって形成され、それぞれの鎖は、アミノ酸配列が可変である可変領域(variable domain)と一定の配列を有する固定領域(constant domain)で構成されている。可変領域の3次元構造の末端に抗原が結合する部位が位置され、この部位は、軽鎖と重鎖のそれぞれ3つずつ存在する相補性決定部位(complementarity determining region)が集まって形成される。相補性決定部位は、可変領域の中でもアミノ酸配列の可変性が特に高い部分であり、このような高い可変性によって、様々な抗原に対して特異的抗体が見つけられることができる。本発明の範囲には、完全な抗体の形態だけではなく、前記の抗体分子の抗原結合フラグメントも含まれる。
【0031】
本発明で使用される用語「ScFv(single−chain Fv、一本鎖フラグメント抗体または抗体フラグメント)」は、軽鎖と重鎖の可変領域を連結した抗体である。場合に応じて、15個内外のアミノ酸が連結されたペプチド鎖からなるリンカー(linker、連結部位)を含むことができ、このとき、ScFvは軽鎖可変領域−連結部位−重鎖可変領域、または重鎖可変領域−連結部位−軽鎖可変領域の構造を有することができ、元の抗体と同一もしくは類似の抗原特異性を有する。
【0032】
完全な抗体は、2つの全体の長さの軽鎖及び2つの全長の重鎖を有する構造であり、それぞれの軽鎖は、重鎖とジスルフィド結合で連結されている。重鎖不変領域は、ガンマ(γ)、ミュー(μ)、アルファ(α)、デルタ(δ)及びイプシロン(ε)タイプを有し、サブクラスとして、ガンマ1(γ1)、ガンマ2(γ2)、ガンマ3(γ3)、ガンマ4(γ4)、アルファ1(α1)及びアルファ2(α2)を有する。軽鎖の不変領域はカッパ(κ)及びラムダ(λ)タイプを有する。
【0033】
抗体の抗原結合フラグメントまたは抗体フラグメントとは、抗原結合機能を保有しているフラグメントを意味し、Fab、F、(ab’)、F(ab’)2およびFvなどを含む。抗体フラグメントのFabは、軽鎖と重鎖の可変領域と軽鎖の不変領域と重鎖の最初の不変領域(CH1)を有する構造で、1つの抗原結合部位を有する。Fab’は、重鎖CH1ドメインのC−末端に1つ以上のシステイン残基を含むヒンジ領域(hinge region)を有するという点でFabとの違いがある。F(ab’)2抗体は、Fab’のヒンジ領域のシステイン残基がジスルフィド結合をなしながら生成される。Fvは重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のみを有している最小の抗体フラグメントで、Fvフラグメントを生成する組換え技術は、PCT国際公開特許出願WO88/10649、WO88/106630、WO88/07085、WO88/07086及びWO88/09344に開示されている。二重鎖Fv(two−chain Fv)は、非共有結合で、重鎖可変領域と軽鎖可変領域が連結され、単鎖Fv(single−chain Fv、scFv)は、一般的にペプチドリンカーを介して重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域が共有結合で連結され、またはC−末端で直接連結されていて、二重鎖Fvのようにダイマーのような構造を実現することができる。これらの抗体フラグメントは、タンパク質加水分解酵素を利用して得ることができ(例えば、全体の抗体をパパインで制限切断するとFabを得ることができ、ペプシンで切断するとF(ab’)2フラグメントを得ることができる)、遺伝子組換え技術を介して製造することもできる。
【0034】
本発明の抗体は、モノクローナル抗体、多特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、単鎖Fvs(scFV)、単鎖抗体、Fabフラグメント、F、(ab’)フラグメント、ダイスルフィド−結合Fvs(sdFV)及び抗イディオタイプ(抗−Id)抗体、または前記抗体のエピトープ−結合フラグメントなどを含むが、これに限定されるものではない。
【0035】
本発明において、前記吸着金イオンは、金イオンを吸着することができる物質に吸着されるものであればすべて利用可能であり、好ましくは、アミノ酸に吸着することができ、より好ましくは、ヒスチジン、リジン、及びアルギニンからなる群から選択されるアミノ酸に吸着されることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0036】
本発明において、前記還元剤は、本発明の反応条件で、金イオンを金粒子に還元させることができる物質であれば、すべて利用可能であり、好ましくは、アスコルビン酸、イミダゾール、ピラゾール、ヒスタミン、ヒドロキシルアミン、クエン酸、及びナトリウムボロハイドライドからなる群から選択されることを特徴とすることができる。
【0037】
本発明において、前記サンプルは、血液、血漿、血清、尿、唾液、口腔粘膜及びよだれからなる群から選択されることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0038】
本発明において、事前診断溶液内に存在する前記の金イオン(自由の金イオン+吸着金イオン)の濃度は、1mM〜10mMであることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0039】
本発明において、診断溶液内に存在する前記還元剤の濃度は、0.005M〜0.1Mであることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0040】
本発明において、前記サンプルの量は10μl〜30μlであることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0041】
本発明において、前記金イオンの濃度、還元剤の濃度及びサンプルの量が基準値よりも少ない場合には、効果的な疾病マーカーの検出が実行されず、基準濃度以上の場合には、偽陽性などの否定的な効果が現れることができる。
【0042】
本発明において、前記疾病の特異的マーカー検出用抗原または抗体は、タンパク質粒子の表面に表出されていることを特徴とすることができ、前記タンパク質粒子は、金イオンを吸着することができるヒスチジン、リジン、及びアルギニンからなる群から選択されるタグが追加でその表面に表出されていることを特徴とすることができる。
【0043】
本発明において、前記疾病の特異的マーカー検出用抗原または抗体の免疫反応は、タンパク質粒子の表面で発生することを特徴とすることができ、前記タグは、金イオンを吸着して還元剤の存在下で、金粒子の凝集反応を誘導することを特徴とすることができる。
【0044】
本発明において、前記タンパク質粒子は、タンパク質の自己組立機能によって形成される粒子は、すべて利用可能であり、好ましくは、フェリチン(ferritin)、フェリチン類似タンパク質(ferritin−like protein)、マグネトソーム(magnetosome)構成タンパク質、ウイルス構成タンパク質(eg hepatitis B virus core protein、tobacco mosaic virus)、DPS(DNA binding protein)、及びプロテオソームproteosome)からなる群から選択されることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではなく、本発明において、前記ウイルス構成タンパク質は、ヒトB型肝炎ウイルスのカプシド蛋白質からなる群から選択されることを特徴とすることができる。
【0045】
本発明において、前記タンパク質粒子の大きさは、10nm−50nmであることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0046】
本発明において、前記タンパク質粒子の表面に表出されている疾病の特異的マーカーの検出用抗体は、前記抗体のFcドメインに結合することができるドメインが、前記タンパク質粒子の表面に表出され、前記ドメインと前記の疾病の特異的マーカー検出用抗体が結合することを特徴とすることができる。
【0047】
本発明において、前記抗体のFcドメインと結合することができるドメインはStaphylococcal protein AのB domain及びprotein Gからなる群から選択されることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0048】
本発明において、前記抗体のFcドメインと結合することができるドメインは、上記のタンパク質粒子の表面に表出されるが、このような表出は、リンカーのタンパク質によって、より効果的に表出されているのが特徴である。
【0049】
本発明において、前記リンカー蛋白質は、前記の抗体のFcドメインと結合することができるドメインをタンパク質粒子の表面に効果的に表出させることができるアミノ酸であれば、すべて利用可能であるが、好ましくは、G4SG4TまたはG4SG4であることを特徴とすることができる。
【0050】
本発明において、前記発色反応は、患者のサンプルが注入された群で健常者サンプルが注入された群よりも早く現れることができ、患者の場合には、少なくとも5分、最大10分以内に現れることを特徴とすることができるが、反応時間は条件によって異なることができる。
【0051】
本発明において、前記発色反応は可視光の変化を検出することができる方法であればどのような方法を利用して検出することができ、好ましくは、肉眼または分光光度計(spectrophotometer)で検出することを特徴とすることができ、500−600nmの吸光度を測定することを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0052】
本発明において、検出信号の自己増幅は、少量の疾患マーカーを検知して、その結果を肉眼で確認することができる色の変化で現れることになる。これらの信号の自己増幅は、診断のための溶液の中に溶けている金イオンが還元剤によって、金粒子に還元される現象によって起こり、発生する金粒子の大きさが大きくなることにつれ、その色の変化が肉眼で確認可能なレベルの信号に現れる。
【0053】
本発明で使用されるタンパク質粒子は、その単量体にヘキサ−ヒスチジンが融合発現されているが、金イオンとヒスチジンアミノ酸が結合する性質があるため、抗原−抗体反応によって作られた凝集体に結合している金イオンが還元剤と反応して金粒子に還元がされ、ここで続けて他の金イオンが還元され、サイズが大きくなることにつれ、大きな金粒子を形成し、当該凝集体によって色を持つようになる。
【0054】
健常者の血清の場合、抗原−抗体反応が起こらないので、金粒子による凝集体が作られる速度が遅く、同じ色が現れる時間が大幅に遅く、このような色の変化の有無を介して患者と健常者の区別が可能となる。
【0055】
本発明では、さらに、検出信号の自己増幅を利用してウイルスを検出できることを確認しようとした。
【0056】
即ち、本発明の他の実施例では、C型肝炎の患者から、C型肝炎ウイルス(HCV)の特異的抗体を検出するために、本発明の方法を用いた。
まず、大腸菌で1)H6−SPAB−HBVC capsid構造の発現ベクター、2)H6−c33c(HCVエピトープ)−HBVC capsid構造の発現ベクター及び3)hFTN(ヒトフェリチン)−511p−c100p−c22p(HCVエピトープ)−H6構造の発現ベクターをそれぞれ発現し、3種類のタンパク質粒子を製造した(図8)。1)番のベクターで製造されるタンパク質粒子は、表面にヘキサ−ヒスチジンとSPABが表出されて、金イオンと抗体のFcドメインと結合する機能をして、2)番及び3)番のベクターは、表面にC型肝炎の特異的エピトープが表出されて、患者のサンプル内HCV特異的抗体と結合すると予想した(図9)。
【0057】
タンパク質粒子が混ざった水溶液に、金イオンを吸着させた後、患者の血液サンプルと健常者の血液サンプルを注入した結果、患者の血液サンプルのみでタンパク質粒子と金粒子のクラスターが形成されて、青色の発色反応が現れることを確認することができた(図10図11)。
【0058】
従って、本発明は、別の観点において、抗ウイルス抗体検出用抗原、自由金イオン及び吸着金イオンが同時に存在する事前診断溶液(pre−assay solution)に、前記抗原に特異的に結合する抗ウイルス抗体を含有するサンプル及び還元剤と投入して組成された診断溶液(assay solution)内で、抗原−抗体免疫反応及び金イオンの還元による金粒子形成反応を同時に誘導するステップ(a)と、及び金粒子形成による発色反応でウイルスの有無を確認するステップ(b)とを含む検出信号の自己増幅を利用した抗ウイルス抗体の検出方法に関する。
【0059】
本発明において、用語「ウイルス検出用抗原」は、ウイルスを検出することができる抗体に特異的に結合するウイルスタンパク質であれば、すべて利用可能であり、ウイルスタンパク質だけではなく、ウイルスペプチド、エピトープなどのウイルスの遺伝子によって翻訳されるすべての種類のアミノ酸を含むことができる。
【0060】
本発明において、用語「エピトープ」は、抗原分子上の抗体またはT細胞受容体(TCR)と主組織複合適し体(MHC)結合体に結合する特定の部位を意味し、抗原決定因子(antigenic determinant)と同じ意味で使用される。
【0061】
例えば、C型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus、HCV)は、非A型及び非B型肝炎を引き起こすFlaviviridae科に属するウイルスであり、HCVゲノムは、一本鎖RNAとして、約3,010個のアミノ酸からなる単一の複合タンパク質(polyprotein)を発現する(Choo et al.,Science,244:359−362,1989)。HCVによって発現される単一の複合タンパク質は、宿主細胞とウイルスのプロテアーゼによって10個の異なる機能を有するタンパク質に再び切断される。
【0062】
HCVの遺伝子構成は、NH2−C−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4A−NS4B−NS5A−NS5B−COOHである(Steven Rosenberg, J. Mol. Biol., 313:451−464, 2001)。前記タンパク質は、大きくC(Core)、E1、E2、及びp7を含む構造をなす構造タンパク質とNS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、及びNS5Bからなる非構造タンパク質に分けることができる。
HCVのC(core)タンパク質は、HCVゲノムRNAを囲む(encapsidation)構造的役割をするだけでなく、宿主細胞の遺伝子転写、成長及び増殖を調節して、肝臓に発展する役割をするもので信じられ、E1及び2タンパク質はタイプ1膜(transmembrane)タンパク質であり、ウイルス外皮タンパク質として細胞の感染時に重要な役割をするものとして知られている。E1タンパク質の場合、中和抗体を誘導していないという点のため、大きな関心を受けなかったが、最近、ベルギーのイノジェネティクス(Innogenetics)社では、治療用ワクチンとして開発し、チンパンジーの実験と1相臨床試験が正常に完了した後、2相臨床試験を進めており、特にアルファインターフェロン利用で効果を見えなかった1b型のHCV感染にも良い効果を示して、かなり刺激的なものと評価されている。
【0063】
E2タンパク質は、ウイルスの主要な外皮(envelope)タンパク質として、構造的役割に加えて推定される細胞受容体であるCD81と結合し、宿主の免疫システムとインターフェロン媒介抗−ウイルス反応からの逃避と腫瘍発生(oncogenesis)または自己免疫性肝疾患(autoimmnune liver disease)を引き起こすなど、多機能タンパク質として知られており、効果的なHCVワクチンの開発のための主な抗原であるだけでなく、抗−HCV薬剤開発のための主な目標と認知されている。P7タンパク質の機能は、知られていなかったし、NS2は、金属−タンパク質分解酵素(metallo−protease)の一部であり、NS3は、ウイルスのセリンプロテアーゼドメインをN−末端に、RNAヘリかぜ(helicase)ドメインをC−末端に持っている。
【0064】
NS4Aは、ウイルスタンパク質分解酵素の補助因子(cofactor)であり、NS4Bは、潜在的な腫瘍発生能力を持つことが報告された。NS5AはHCVがインターフェロンに抵抗性を持つようにする機能を表し、抗アポトーシス(antiapoptotic)機能を持っていることが報告され、NS5Bは、ウイルスのRNA依存的RNAポリメラーゼとして機能することが知られ、これらのHCV構成タンパク質のエピトープが本発明のウイルスの特異的エピトープとして使用することができていることは、当業者に自明である。
【0065】
本発明において、前記事前診断溶液(pre−assay solution)に存在する抗ウイルス(HCV)抗体検出用の抗原は、c22p、c33c、5−1−1p、c100p、及びこれら2以上の融合されたエピトープからなる群から選択されたことを特徴とすることができ、前記2以上の融合されたエピトープは、c22p−c33c、c22p−5−1−1p、c22p−c100p、c33c−5−5−1p、c33c−c100p、5−1−1p−c100p、及びc22p−5−1−1p−c100pからなる群から選択されることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0066】
本発明で使用される用語「ウイルス」は、編成細胞内寄生体(obligatory intracellular parasite)として核酸であるDNAまたはRNAを持ち、増殖は核酸で開始され、2分裂法で増殖されず、ATPの生産に必要な酵素系を持っていないことを意味する。
【0067】
本発明のウイルスは、露出ウイルス(naked virus)と外膜ウイルス(enveloped virus)を含み、具体的に、本発明の一例に係るウイルスは、外膜ウイルス(enveloped virus)であることができる。
【0068】
本発明において、前記外膜ウイルスは、具体的に、ヘルペスウイルス(herpesvirus)、ポックスウイルス(poxvirus)とヘパドナウイルス(hepadnavirus)を含むDNAウイルスとフラビウイルス(flavivirus)、トガウイルス(togavirus)、コロナウイルス(coronavirus)、ヘパタイティスC(hepatitis C)、オルトミクソウイルス(orthomyxovirus)、パラミクソウイルス(paramyxovirus)、ラブドウイルス(rhabdovirus)、ブンヤウイルス(bunyavirus)、フィロウイルス(filovirus)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)とレトロウイルス(retrovirus)を含むRNAウイルスに属するものであればすべて含むことができる。
【0069】
前記オルトミクソウイルスはインフルエンザウイルスA、インフルエンザウイルスB、インフルエンザウイルスC、イサウイルス(isavirus)、トゴトウイルス(thogotovirus)とクアランジャウイルス(quaranjavirus)中に含まれるすべてのウイルスを含む。
【0070】
前記コロナウイルスは、アルファコロナウイルス(alphacoronavirus)、ベータコロナウイルス(betacoronavirus)、ガンマコロナウイルス(gammacoronavirus)とデルタコロナウイルス(deltacoronavirus)中に含まれるすべてのウイルスを含む。
【0071】
前記パラミクソウイルスはパラミクソウイルス、ルブラウイルス、モビリウイルスとニューモウイルスの中に含まれるすべてのウイルスを含む。
【0072】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)誘電体は、9つのウイルス遺傳因子を暗号化している2本の陽性一本鎖RNAで構成されている。RNAは、ウイルスタンパク質p242,000個ほどで構成された円錐形のカプシドに囲まれている。ウイルスの内部は一本鎖RNAと核カプシドタンパク質p7とビリオンタンパク質の形成に不可欠な酵素(逆転写酵素、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、インテグラーゼ)が含まれている。
【0073】
ウイルスタンパク質p17で構成された基質がビリオンの保全のために再びカプシドを囲んでいる。基質は再びリン脂質2重層からなるウイルス膜に囲まれている。ウイルス膜は、宿主細胞から新たにウイルスが発芽されるときに、最初に形成される。生成中のウイルス膜は、宿主細胞の細胞膜に埋もれている形で宿主細胞のタンパク質とウイルス粒子の表面にはみ出る70以上の複合HIVタンパク質で構成される。
【0074】
Envと知られている複合HIVタンパク質はglycoprotein1203分子で構成された 帽子とgp413分子で構成された茎(タンパク質構造物をウイルス膜に固定する役割をする)で構成されている。糖タンパク質結合体は、感染サイクルを開始するのに重要であり、ウイルスが標的細胞に付着して融合することを可能にする。ウイルスの2つの表面糖タンパク質、特にgp120は、今後の治療やワクチンの開発対象として知られている。
【0075】
2つのTATタンパク質(p14、p16)は、TAR RNAに結合して動作するLTRプロモーター因子の活性剤である。TARはアポトーシス遺伝子(ERCC1とIER3)を調節するマイクロRNAによって処理されることもできる。Revタンパク質(p19)は、RNAをPRE RNA分子に結合して核から細胞質への移動に関連している。Vifタンパク質(p23)は、APOBEC3G(DNA:RNAハイブリッドのアミンを除去したり、Polタンパク質を干渉する細胞タンパク質)の機能を阻害し、Vprタンパク質(p14)は、宿主細胞をG2/Mステップで縛って、細胞分裂を防ぐ。Nefタンパク質(p27)は、T細胞のCD4(主要なウイルス受容体)だけでなく、MHC class I、MHC class II分子を阻害する。
【0076】
Nefはまた、SH3ドメインと相互作用する。Vpuタンパク質(p16)は、感染した細胞から新しいウイルス粒子を放出するために影響を与える。GAG遺伝子は、ウイルス粒子を作る中心となるマトリックスタンパク質(MA、GAG p17)とカプシドタンパク質(CA、GAG p24)、核酸カプシド(NC、GAG p7)などを発現する遺伝子であり、Pol遺伝子は、ウイルスの増殖に関連する酵素遺伝子を含むが、ウイルスRNAの逆転写酵素発現に関与するRT部分とタンパク質分解酵素を担当するPR、インテグラーゼ関連部分であるINなどで構成されている。
【0077】
このほか、TAT遺伝子は、感染の過程でウイルスの増殖を活性化させる調節因子を発現することが知られており、Nef遺伝子は逆にLTR部分と一緒にウイルスの増殖を抑制させる役割をすることが知られている。全体HIV RNAの両端には、同じ塩基配列が繰り返し存在するLTR(Long Term Repeat)が付いている。LTR部位は、新しいウイルスの生産を調節するスイッチの役割をしたり、HIVや宿主細胞のタンパク質によって誘発されることができる。レトロウイルスPsiの要素は、ウイルス誘電体を包装してGAGとRevタンパク質によって認知されるために関連している。SLIP要素(TTTTTT)は、機能的なPolを作るために必要なGAG−Pol解読構造で構造の移動と関連があると知られており、これらのHIVのエピトープが、本発明のウイルスの検出に使用することができることは当業者に自明である。
【0078】
本発明において、前記事前診断溶液(pre−assay solution)に存在する抗ウイルス(HIV)の抗体検出用の抗原は、gp41、p24及びgp100からなる群から選択されることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0079】
ヒトパピローマウイルス(HPV)のDNAは8000個の塩基対を含んでおり、脂質膜ではなく、5量体のカプシドタンパク質に囲まれて存在する。カプシドタンパク質は、2つの構造タンパク質であるL1とL2からなり、このタンパク質は、ウイルス複製サイクルの後期で発現される。すべてのヒトパピローマウイルス(HPV)のゲノムでは、8つのORFが存在し、各ORFは、3つの機能的部位に区分される。ウイルスの複製に必要な遺伝子であるE1−E7、ビリオン(virion)を構成する構造タンパク質を発現する遺伝子L1−L2、最後にウイルスの複製と転写を調節するLCRからなる。
【0080】
E6は、p53に結合してp53のユビキチン化を促進させることにより、がんの腫瘍抑制遺伝子としてのp53の機能を阻害する。また、アポトーシス促進タンパク質(pro−apoptotic protein)であるBAKの分解を誘導する。テロメラーゼ(telomerase)の活性化を介して宿主細胞の細胞周期を活性化させ、E7はRB(retinoblastoma)と相互作用して、RBを分解する。これにより、RBによって阻害されていた転写促進因子であるE2Fを放出させる。さらに、細胞周期S期に作用するサイクリンE(cycilin E)とサイクリンA(cycilin A)を活性化させ、宿主細胞の細胞周期を活性化させ、この二つの遺伝子の活性を介してヒトパピローマウイルスが感染した場合、子宮頸がんに発生する恐れがある。しかし、HPVで、それ以外のE1、E2、E4のような遺伝子は、癌を発生される過程でどのような役割をするのかは、まだ明らかにされなかった。
【0081】
L1は、自分たち自身で組み立てられて、5量体のキャップソモを形成する。このキャップソモは、隣接するL1分子とのジスルフィド結合を介してカプシドを形成してヒトパピローマウイルスDNAをパッケージし、L2はL1よりその量が少なく存在し、ウイルスゲノムがパッケージングされることを促進させる。だけではなく、ヒトパピローマウイルスが新しい宿主細胞に侵入するとき、重要な機能をすると知られている。
【0082】
従って、本発明において、前記事前診断溶液(pre−assay solution)に存在する抗ウイルス(HPV)の抗体検出用の抗原は、L1またはL2であることができるが、これに限定されるものではない。
【0083】
コロナウイルスの一種である中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS−CoV)は、サウジアラジッダの急性肺炎と急性腎不全の症状を示す60歳の男性の肺から採取された標本から発現され、プラス−センス、一本鎖新型RNAベータコロナウイルスとして、中東呼吸器症候群を発生させることが知られている。
【0084】
従って、本発明において、前記事前診断溶液(pre−assay solution)に存在する抗ウイルス(MERS−CoV)抗体検出用の抗原は、MERS−CoVの表面タンパク質であることができるが、これに限定されるものではない。
【0085】
A型肝炎ウイルス(Hepatitis A Virus、HAV)はPicornaviridaeとHepatovirus属に分類され、皮膜がなく、正20面体であり、粒子の大きさは27−32nmであり、ビリオンは、3つの主要な構造ポリペプチド(VP1、VP2、及びVP3)からなる。
【0086】
従って、本発明において、事前診断溶液(pre−assay solution)に存在する抗ウイルス(HAV)の抗体検出用の抗原は、VP1、VP2、VP3、またはこれらの一部を抽出または連結して製造したエピトープであることができるが、これに限定されるものではない。
【0087】
本発明において、前記吸着金イオンは、金イオンを吸着することができる物質に吸着されているものであればすべて可能であり、好ましくは、アミノ酸に吸着することができ、より好ましくは、ヒスチジン、リジン、及びアルギニンからなる群から選択されるアミノ酸に吸着されることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0088】
本発明において、前記還元剤は、本発明の反応条件で、金イオンを金粒子に還元させることができる物質であれば、すべて利用可能であり、好ましくは、アスコルビン酸、イミダゾール、ピラゾール、ヒスタミン、ヒドロキシルアミン、クエン酸、及びナトリウムボロハイドライドからなる群から選択されることを特徴とすることができる。
【0089】
本発明において、前記サンプルは、血液、血漿、血清、尿、唾液、口腔粘膜及びよだれからなる群から選択されることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0090】
本発明において、事前診断溶液内に存在する前記金イオン(自由金イオン+吸着金イオン)の濃度は、1mM〜10mMであることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0091】
本発明において、診断溶液内に存在する前記還元剤の濃度は、0.005M〜0.1Mであることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0092】
本発明において、前記サンプルの量は10μl〜30μlであることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0093】
本発明において、前記金イオンの濃度、還元剤の濃度及びサンプルの量が基準値より少ない場合には、効果的な疾病のマーカーの検出が実行されず、基準濃度以上の場合には、偽陽性などの否定的な効果が表示されることができる。
【0094】
本発明において、前記ウイルス検出用抗原は、タンパク質粒子の表面に表出されていることを特徴とすることができ、前記タンパク質粒子は、金イオンを吸着することができるヒスチジン、リジン、及びアルギニンからなる群から選択されるタグが追加でその表面に表出されていることを特徴とすることができる。
【0095】
本発明において、前記ウイルス検出用抗原の免疫反応は、タンパク質粒子の表面で発生することを特徴とすることができ、前記タグは、金イオンを吸着して還元剤の存在下で、金粒子の凝集反応を誘導することを特徴とすることができる。
【0096】
本発明において、前記タンパク質粒子は、タンパク質の自己組立機能によって形成される粒子は、すべて利用可能であり、好ましくは、フェリチン(ferritin)、フェリチン類似タンパク質(ferritin−like protein)、マグネトソーム(magnetosome)構成タンパク質、ウイルス構成タンパク質(e.g. hepatitis B virus core protein, tobacco mosaic virus)、DPS(DNA binding protein)、及びプロテオソーム(Proteosome)からなる群から選択されることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではなく、本発明において、前記ウイルス構成タンパク質は、ヒトB型肝炎ウイルスのカプシド蛋白質からなる群から選択されることを特徴とすることができる。
【0097】
本発明において、前記タンパク質粒子の大きさは、10nm−50nmであることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0098】
本発明において、検出信号の自己増幅は、少量の抗ウイルス抗体を検知して、その結果を肉眼で確認することができる色の変化で現れる。これらの信号の自己増幅は、診断のための溶液の中に溶けている金イオンが還元剤によって、金粒子に還元される現象によって起こり、発生する金粒子の大きさが大きくなることにつれ、その色の変化が肉眼で確認可能なレベルの信号に現れる。
【0099】
本発明で使用されるタンパク質粒子は、その単量体にヘキサ−ヒスチジンが融合発現れているが、金イオンとヒスチジンアミノ酸が結合する性質があるため、抗原−抗体反応によって作られた凝集体に結合している金イオンが還元剤と反応して金粒子に還元がされ、ここで続けて他の金イオンが還元され、サイズが大きくなることにつれ、大きな金粒子を形成し、当該凝集体によって色を持つようになる。
【0100】
健常者の血清の場合、抗原−抗体反応が起こらないので、金粒子による凝集体が作られる速度が遅く、同じ色が現れる時間が大幅に遅く、このような色の変化の有無を介して患者と健常者の区別が可能となる。
【0101】
本発明において、サンプル内に含まれている抗ウイルス抗体は、タンパク質粒子の表面に表出され、前記抗体のFcドメインに結合することができるドメインと結合することを特徴とすることができる。
【0102】
本発明において、前記抗体のFcドメインに結合することができるドメインはStaphylococcal protein AのB domainとprotein Gからなる群から選択されることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0103】
本発明において、前記抗体のFcドメインに結合することができるドメインは、前記タンパク質粒子の表面に表出されているリンカー蛋白質と結合されていることを特徴とすることができる。
【0104】
本発明において、前記リンカー蛋白質は、前記抗体のFcドメインと結合することができるドメインをタンパク質粒子の表面に効果的に表出させることができるアミノ酸であれば、すべて利用可能であるが、好ましくは、G4SG4TまたはG4SG4のアミノ酸配列を有することを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0105】
本発明において、前記発色反応は、患者のサンプルが注入された群で健常者サンプルが注入された群よりも早く現れることができ、患者の場合には、少なくとも5分、最大10分以内に現れることを特徴とすることができますが、反応時間は、条件によって異なる場合がある。
【0106】
本発明において、前記発色反応は、可視光の変化を検出することができる方法であればどのような方法を利用して検出することができ、好ましくは、肉眼または分光光度計(spectrophotometer)で検出することを特徴とすることができ、500−600nmの吸光度を測定することを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0107】
本発明は、別の観点において、疾病の特異的マーカー検出用抗体または抗原、自由金イオン及び吸着金イオンが同時に存在する事前診断溶液(pre−assay solution)に、前記抗体または抗原に特異的に結合する疾病の特異的抗原または抗体を含有するサンプル及び還元剤を投入して組成された診断溶液(assay solution)内で、抗原−抗体免疫反応及び金イオンの還元による金粒子形成反応を同時に誘導するステップ(a)と、及び金粒子形成による発色反応で疾病の特異的マーカーの有無を確認するステップ(b)とを含む検出信号の自己増幅を利用した疾病診断のための情報の提供方法に関する。
【0108】
本発明は、さらに、疾病の特異的マーカー検出用抗体または抗原、自由金イオン及び吸着金イオンが同時に存在する事前診断溶液(pre−assay solution)に、前記抗体または抗原に特異的に結合する疾病の特異的抗原または抗体を含有するサンプル及び還元剤を投入して組成された診断溶液(assay solution)内で、抗原−抗体免疫反応及び金イオンの還元による金粒子形成反応を同時に誘導するステップ(a)と、及び金粒子形成による発色反応で疾病の特異的マーカーの有無を確認するステップ(b)とを含む検出信号の自己増幅を利用した疾患診断方法に関する。
【0109】
本発明の一実施例では、急性心筋梗塞が発生した患者の血液サンプルと健常者患者の血液サンプルからトロポニンI(Troponin I, TnI)に特異的に結合する抗体を本発明のタンパク質粒子の表出させて、患者の血液サンプルから発色反応が急速に現れることを確認した(図2)。即ち、本発明の方法で疾病の特異的マーカーを検出すると、前記疾病を診断することができることは、当業者に自明である。
【0110】
従って、本発明において、前記疾病は、急性心筋梗塞であることができるが、これに限定されるものではない。
【0111】
本発明において、前記疾病が急性心筋梗塞である場合、前記疾病の特異的抗体は、トロポニンI(troponin I)に特異的に結合する抗体であることができるが、これに限定されるものではない。
【0112】
本発明において、前記疾病は、C型肝炎、後天性免疫不全症候群(AIDS)またはA型肝炎であることができるが、これに限定されるものではない。
【0113】
本発明において、前記疾病がC型肝炎である場合、前記疾病の特異的抗体は、HCVに特異的に結合する抗体であることができ、タンパク質粒子の表面に抗原を表出する場合には、HCVのc22p、c33c、5−1−1p、c100p、及びこれらが2以上の融合されたエピトープからなる群から選択されることを特徴とすることができ、前記2以上の融合されたエピトープは、c22p−c33c、c22p−5−1−1p、c22p−c100p、c33c−5−5−1p、c33c−c100p、5−1−1p−c100pとc22p−5−1−1p−c100pからなる群から選択されることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0114】
本発明において、前記疾病が後天性免疫不全症候群である場合、前記疾病の特異的抗体は、HIVに特異的に結合する抗体であることができ、タンパク質粒子の表面に抗原を表出する場合には、HIVのgp41、p24とgp100からなる群から選択されることを特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0115】
本発明において、前記疾病がA型肝炎である場合、前記疾病の特異的抗体は、HAVに特異的に結合する抗体であることができ、タンパク質粒子の表面に抗原を表出する場合には、VP1、VP2、VP3、またはこれらの一部を抽出または連結して製造したエピトープからなる群から選択される1つ以上のエピトープである特徴とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0116】
本発明において、前記疾病は、癌であることができ、前記癌は、肺癌、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳腫瘍、甲状腺癌、食道癌、子宮癌、肝臓癌、腎臓癌、胆道癌、橋細胞腫及び睾丸癌からなる群から選択されることができるが、これに限定されるものではない。
【0117】
本発明において、前記疾病が癌である場合、前記疾病の特異的抗体は、腫瘍マーカーに特異的に結合する抗体であることができるが、これに限定されるものではない。
【0118】
本発明において、前記腫瘍マーカーは、癌の種別に下記の表1のようであるが、これに限定されるものではない。
【0119】
【表1】
【0120】
本発明において、前記疾病がリンパ腫または白血病である場合、前記疾患の特異的抗体は、CD20、CD30、CD33またはCD52に特異的に結合する抗体であることができるが、これに限定されるものではない。
【0121】
本発明において、前記疾病が乳癌、大腸癌、肺癌、または卵巣癌である場合、前記疾病の特異的抗体は、EGFR、ERBB2、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、FAP、Tenascin、EpCAM、CEA、gpA33、Mucin、TAG−72、CAIX、PSMAまたはFolate−結合タンパク質に特異的に結合する抗体であることができるが、これに限定されるものではない。
【0122】
本発明において、前記疾病は、感染性疾患であることができ、前記感染性疾患は、インフルエンザ、天然痘、ポリオ、口蹄疫、エボラ、麻疹、黄熱病、デング熱、SARS、肺炎、結核、コレラ、腸チフス、赤痢、ジフテリア及びライム病からなる群から選択されることができるが、これに限定されるものではない。
【0123】
本発明において、前記疾病が、インフルエンザである場合、前記疾病の特異的抗体は、インフルエンザウイルスに特異的に結合する抗体であることができるが、これに限定されるものではない。
【0124】
インフルエンザウイルスは、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)に属するsingle stranded RNAウイルスとして二種類の糖蛋白質の表面抗原であるhemagglutininとneuraminidaseを持っており、抗原性により、インフルエンザA、B、C型に分類される。A型とB型が主に流行を起こすが、A型は、HA(H1−H15)とNA(N1−N9)の特性に応じて亜型に分類され、B型は亜型がない。従って、本発明の方法でインフルエンザを診断する場合、本発明に使用される抗体は、それぞれのインフルエンザウイルス亜型の特異的抗体であることができるが、これに限定されるものではない。
【0125】
本発明において、前記疾病が、ポリオである場合、前記疾病の特異的抗体は、ポリオウイルスに特異的に結合する抗体であることができるが、これに限定されるものではない。
【0126】
本発明において、前記疾病がエボラである場合、前記疾病の特異的抗体は、エボラウイルスに特異的に結合する抗体であることができるが、これに限定されるものではなく、前記疾病が麻疹の場合、前記疾病の特異的抗体は、パラミクソウイルスの一種である麻疹ウイルスに特異的に結合する抗体であることができるが、これに限定されるものではなく、前記疾病が黄熱病である場合、前記疾病の特異的抗体は、プラビビル科に属する黄熱病ウイルス(yellow fever virus)に特異的に結合する抗体であることができるが、これに限定されるものではなく、前記疾病がデング熱である場合、疾病の特異的抗体は、デング熱ウイルス(dengue virus)に特異的に結合する抗体であることができるが、これに限定されるではない。
【0127】
本発明において、前記疾病は、自己免疫疾患であることができ、前記自己免疫疾患は、関節リウマチ、1型糖尿病、クローン病、潰瘍性大腸炎、ベーチェット病、ループス、硬皮症、乾癬、及び白斑症からなる群から選択されることができるが、これに限定されるものではない。
【0128】
本発明において、前記疾病がシェーグレン症候群である場合、前記疾病の特異的抗体は、抗−Ro(Sjogren’s syndrome A,SSA)抗体または抗−La(Sjogren’s syndrome B,SSB)抗体であることができるが、これに限定されるものではない。
【0129】
本発明において、前記疾病が多発性硬化症の場合、前記疾病の特異的抗体は、抗−MOG抗体、抗−ミエリン(anti−myelin)抗体または抗−KIR4.1抗体であることができるが、これに限定されるものではない。
【0130】
本発明において、前記疾病が脳卒中である場合、前記疾病の特異的抗体は、抗−NR2A/2B and metalloproteinases(MMPs)抗体、抗核抗体(ANA)、抗リン脂質抗体(APL)、抗D−dimer抗体、抗S100β抗体、抗B−type natriuretic peptide(BNP)抗体または抗カルジオリピン抗体(ACL)であることができるが、これに限定されるものではない。
【0131】
本発明において、前記疾病が脳出血である場合、前記疾病の特異的抗体は、抗Glial fibrillary acidic protein(GFAP)抗体、抗Asymmetric dimethylarginine(ADMA)抗体、抗D−dimer抗体であることができるが、これに限定されるものではない。
【0132】
本発明は、また、検出信号の自己増幅を利用した疾病の診断キットに関する。
【0133】
本発明において、前記キットは、疾病の特異的マーカー検出用抗原または抗体、自由金イオン及び吸着金イオンを含有する事前診断溶液(pre−assay solution)及び還元剤を含むことができ、前記事前診断溶液(pre−assay solution)と還元剤は、異なる容器に含有されることが好ましい。
【0134】
本発明において、前記キットは、外部パッケージを含むことができ、外部パッケージは、構成要素の使用に関する使用説明書を含むことができる。
【実施例】
【0135】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、ひたすら本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されるものと解釈されないことは、当業界で通常の知識を有する者にとって自明である。
【0136】
実施例1.hFTN、HBV capsidタンパク質粒子の合成のための発現ベクターの製造
【0137】
下記の表1に記載されたベクターの模式図に基づいてPCRを介してタンパク質粒子H6−SPAB−capsid、H6−c33c−capsid、H6−gp41−capsid、H6−p24−capsid、hFTN−511p−c100p−c22p−H6、hFTN−ep1−H6、hFTN−ep2−H6、そしてhFTN−ep3−H6製作するための発現ベクターを製造した。
【0138】
製造されたすべてのプラスミドの発現ベクターは、アガロースゲル−精製した後、全体DNA配列を確認した。
【0139】
具体的に、表2のプライマーセットを用いて、それぞれの発現ベクターの製造に必要なPCR産物を製造した後、PCR産物を順次pT7−ベクトルに挿入して、それぞれのタンパク質粒子を発現することができる発現ベクターを構成した。
【0140】
それぞれのタンパク質粒子の発現のためのベクターは、pT7−H6−SPAB−capsid、pT7−H6−c33c−capsid、pT7−H6−gp41−capsid、pT7−H6−p24−capsid、pT7−hFTN−511p−c100p−c22p−H6、pT7−hFTN−ep1−H6、pT7−hFTN−ep2−H6及びpT7−hFTN−ep3−H6である。
【0141】
【表2】
【0142】
【表3】
【0143】
実施例2.hFTN、HBV capsid蛋白質粒子の生合成と分離精製
2−1.タンパク質粒子の生合成
大腸菌菌株BL21(DE3)[F−ompThsdSB(rB−mB−)]を実施例1で製造した発現ベクターを使用して、それぞれ形質転換し、アンピシリン−抵抗性形質転換体を選択した。形質転換された大腸菌を50mLのLuria−Bertani(LB)培地(100mg L−1アンピシリン含有)を含有するフラスコ(250mL Erlenmeyer flasks、37℃、150rpm)で培養した。
【0144】
培地の濁度(O.D600)が約0.4〜0.6に達したとき、IPTG(Isopropyl−β−D−thiogalactopyranosid)(1.0mM)を注入して、組換え遺伝子の発現を誘導した。20℃で12〜16時間培養した後、培養した大腸菌を4,500rpmで10分間遠心分離して菌体沈殿物を得た後、5mlの破砕溶液(10mM Tris−HCl緩衝液、pH7.5、10mM EDTA)に懸濁して、超音波破砕機(Branson Ultrasonics Corp.、Danbury、CT、USA)を用いて破砕した後、13,000rpmで10分間遠心分離した後、上澄み液と不溶性凝集体を分離した。分離された上澄み液を利用して、錠剤を行った。
【0145】
2−2.タンパク質粒子の精製
実施例2−1で発現された自己組み立てに組換えされた融合タンパク質の粒子を精製するために、下記3つのステップの精製過程を行った。まず、1)組換えタンパク質の融合発現されたヒスチジンとニッケルの結合を利用したNi2+−NTA affinityクロマトグラフィーを行った後、2)組換えタンパク質を濃縮し、濃縮されたタンパク質のバッファを交換する過程を通じてモノマーの自己組み立てを進行し、3)自己組み立てされたタンパク質粒子のみを分離するために、スクロス勾配ultracentifugationを行った。各ステップの詳細な記載は以下の通りである。
【0146】
1)Ni2+−NTA affinityクロマトグラフィー
組換えタンパク質を精製するために、前記明示された方法で培養された大腸菌を回収し、その細胞ペレットを5mL破砕溶液(pH8.0、50mMのsodium phosphate、300mMのNaCl、20mMのimidazole)に再浮遊し、超音波破砕機を用いて細胞を破砕した。破砕された細胞液を13,000rpmで10分間遠心分離し、その上澄み液のみを分離した後、各組換えタンパク質をNi2+−NTAカラム(Qiagen、Hilden、Germany)を使用して、それぞれ分離した(洗浄バッファー:pH8.0、50mMのsodium phosphate、300mMのNaCl、50 mMのimidazole/溶出バッファー:pH8.0、50mMのsodium phosphate、300mMのNaCl、100mMのimidazole)。
【0147】
2)濃縮とバッファー交換
Ni2+−NTA affinityクロマトグラフィーを経て溶出した3mlの組換えタンパク質をUltracentrifugal filter(Amicon Ultra10K、Millipore、Billerica、MA)に入れて、5,000rpmでカラム上に1mlの溶液が残るまで遠心分離を行った。タンパク質粒子をTris−HCl(50mMのTris−HCl、500mMのNaCl、pH7.0)バッファー(hFTN粒子の場合には、PBSバッファー(2.7mMのKCl、137mMのNaCl、2mMのKH2PO4、10mMのNa2HPO4、pH7.4))にバッファ交換させることにより、モノマーの自己組み立てを行った。
【0148】
3)スクロース勾配高速遠心分離
Tris−HCl(50mM Tris−HCl、500mMのNaCl、pH7.0)バッファーに(hFTN粒子の場合には、PBSバッファー(2.7mMのKCl、137mMのNaCl、2mMのKH2PO4、10mMのNa2HPO4、pH7.4)スクロースを濃度別にそれぞれ添加して60%、50%、40%、30%、20%のスクロースを含む溶液をそれぞれ準備した後、高速遠心分離用チューブ(ultraclear13.2ml tube、Beckman)に各濃度別(60〜20%)スクロース溶液を濃度が高い溶液から2mlずつ盛る。溶液を入れた後、最後に組換えタンパク質溶液を1ml満たした後、24,000rpmで、4℃で16時間高速遠心分離を実施した(Ultracentrifuge L−90k、Beckman)。遠心分離した後、慎重にピペットを用いて、40〜50%スクロース溶液の部分を取って、2)に明示されたようにultracentrifugal filterとTris−HClバッファーを用いて、組換えタンパク質のバッファを交換した。
【0149】
実施例3:タンパク質粒子の組み立て検証
実施例2で精製した組換えタンパク質の粒子の構造解析のために、透過電子顕微鏡(TEM)で組換えタンパク質粒子を撮影した。まず、染色していない精製したタンパク質サンプルを、炭素コーティングされた銅の電子顕微鏡グリッド(grids)に載せた後、自然乾燥した。タンパク質粒子の染色された画像を得るために、自然乾燥されたサンプルを含む電子顕微鏡グリッドを2%(w/v)水性ウラニル酢酸溶液と一緒に10分間、室温でインキュベーションし、蒸留水で3〜4回洗浄した。
【0150】
金粒子が集まっている凝集体の画像を取得する場合には、別途の染色過程を経ずに、診断に使用された色が変わった診断溶液(assay solution)のサンプルをグリッドに載せた後、自然乾燥した。
【0151】
タンパク質粒子と金粒子凝集体の画像は、Philips Technai120kV電子顕微鏡を用いて観察した結果、それぞれののタンパク質粒子は、球状、金粒子の凝集体は、放射状形の粒子を形成することを確認した(図1図4図8及び図11)。
【0152】
実施例4:信号の自己増幅を利用したone−step診断の実施
4−1.抗原検知を通じた疾病の特異的マーカーの検出
急性心筋梗塞(AMI)の場合には、実施例2で製造して、1.25mg/mlと濃度を合わせたH6−SPAB−capsid蛋白質粒子800μLに1mg/mlの濃度を有するGoat anti−TnI polyclonal IgG(cat。no。70−XG82、Fitzgerald、Acton、MA、USA)の抗体を200μL入れ、4℃で12〜16時間混ぜて結合させた。
【0153】
抗体が固定されたタンパク質粒子に0.5%(w/v)Au3+イオン溶液(HAuCl4(cat.no.254169、Sigma Aldrich、St. Louis、MO、USA)500μLを入れ、4℃で12〜16時間混ぜて結合させた。
【0154】
このように抗体と金イオンが固定されたタンパク質粒子溶液(事前診断溶液(pre−assay solution))を96−well plate(cat.no.3599、Costar、NY、USA)の各wellあたり60μLを入れてから、ここでAMI患者や健常者の血清サンプル20μLを入れて、まもなく0.05M L−ascorbic acid(cat.no.A7506、Sigma Aldrich、St. Louis、MO、USA)を還元剤を20μL入れて自己信号を増幅した結果、5分後に、患者の血清サンプルが入ったウェルで発色反応が現れることを確認した(図2A)。
【0155】
また、これらの色の変化が576nm波長帯での吸光度が高くて表示されることを確認し、この波長帯での患者と健常者の血清との間の吸光度差をmicroplate reader(Infinite M200 Pro、TECAN、Zurich、Switzerland)で確認した(図2B)。
【0156】
4−2.抗体検知を通じた疾病の特異的マーカーの検出
1)人間C型肝炎ウイルス(HCV)の診断
HCVの場合には、実施例2で製造した1.0mg/mlのH6−SPAB−capsid蛋白質粒子500μLに2.0mg/mlのH6−c33c−capsid蛋白質粒子250μL及び1.0mg/mlのH6hFTN−511p−c100p−c22pタンパク質粒子250μLを入れて、タンパク質粒子の混合溶液を製造した後、ここに0.5%Au3+イオン溶液を500μL入れ、4℃で12〜16時間混ぜて結合させた。
【0157】
このように準備した溶液(事前診断溶液(pre−assay solution))を96 well plateの各wellに60μLずつ入れた。ここでC型肝炎患者や健常者の血清サンプルを20μLを入れて、まもなく0.05M L−ascorbic acidを20μL入れ、自己信号を増幅した結果、5分後に、患者の血清サンプルが入ったウェルで発色反応が現れることを確認した(図10A
【0158】
また、このような色の変化が588nm波長帯での吸光度が高く表示されることを確認し、この波長帯での患者と健常者の血清との間の吸光度差をmicroplate readerで確認した。(図10B
【0159】
2)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の診断
HIVの場合には、前記HCVの場合と実験手順は同じであるが、タンパク質粒子の混合溶液の組成を違うようにした。即ち、1.0mg/mlのH6−SPAB−capsid蛋白質粒子500μLに3.0mg/mlのH6−gp41−capsid蛋白質粒子250μL及び1.0mg/mlのH6−p24−capsid蛋白質粒子250μLを入れて、タンパク質粒子の混合溶液を製造した後、ここに0.5%のAu3+イオン溶液を500μL入れ、4℃で12〜16時間混ぜて結合させた。
【0160】
このように準備した溶液(事前診断溶液(pre−assay solution))を96 well plateの各wellに60μLずつ入れた。ここでHIV保有患者や健常者の血清サンプルを20μLを入れて、まもなく0.05M L−ascorbic acidを20μL入れ、自己信号を増幅した結果、5分後に、患者の血清サンプルが入ったウェルで発色反応が現れることを確認した(図11)。
【0161】
3)ヒトA型肝炎ウイルス(HAV)の診断
HAVの場合には、実施例2で製造した1.0mg/mlのH6−SPAB−capsid蛋白質粒子600μLに2.0mg/mlのhFTN−ep1−H6タンパク質ナノ粒子200μL、2.0mg/mlのhFTN−ep2−H6タンパク質ナノ粒子200μL及び1.0mg/mlのhFTN−ep3−H6タンパク質ナノ粒子200μLを入れて、タンパク質粒子の混合溶液を製造した後、ここに0.5%のAu3+イオン溶液を600μL入れ、4℃で12〜16時間混ぜて結合させた。
【0162】
このように準備した溶液(事前診断溶液(pre−assay solution))を96 well plateの各wellに60μLずつ入れた。ここでA型肝炎患者や健常者の血清サンプルを20μLを入れて、まもなく0.05M L−ascorbic acidを20μL入れ、自己信号を増幅した結果、5分後に、患者の血清サンプルが入ったウェルで発色反応が現れることを確認した(図12
【0163】
実施例5:ELISAとECLIA対照群実験
AMI患者の血清でELISAとECLIAを通じて対照群実験を行った。ELISAの場合、12.5pg/mlの検出限界を有するキット(Abbexa、U.K.、abx252868)を利用し、ECLIAの場合は、0.16ng/mlの検出限界を有することが確認された(Modular Analytics E170、Roche、Germany)
【0164】
同じ20人の患者の血清サンプルを用いており、実験結果から、自己信号の増幅を利用したone−step診断方法が、より敏感で迅速かつ正確であることを確認した(図3
【0165】
実施例6:金ナノ凝集体モデルのシミュレーション実験。
実施例4で行ったone−step診断実験では、患者の場合、すぐに青に変わることを確認したが、このように変化する原因について確認してみようと、有限差分時間領域法のシミュレーション(FDTD simulation)実験を行った(Lumerical Solutions、ver.8.15.736)。
【0166】
シミュレーション結果、図5Aに開示されたようなラズベリーの形のタンパク質−金属複合構造体が形成される。これらの形式で凝集体が構成されることを前提に、その大きさを変化させたとき、吸収断面積の変化を波長に応じて示したのが図5Bグラフである。吸収断面積は、粒子を含む周辺領域に保存された吸収力を光源の強さに分け、その値を求めたものである。
【0167】
また、図5Aに開示されたようなラズベリーの形のシミュレーションモデルの場合、凝集体の大きさが大きくなるほど吸光度が、他の波長帯に分離されるものではなく、同じ波長帯で大きくなることを確認した(図5B)。これは、実際one−step診断の結果と一致することを確認できた。
【0168】
実施例7:one−step診断実験の原理の分析のための対照群実験。
One−step診断の原理を分析するための対照群実験を行った。金イオンと結合するアミノ酸であるヒスチジンによく結合する既知のNi2+でタンパク質粒子のヒスチジンに付けて進行した対照群の実験を進めて、金イオンとタンパク質粒子のヒスチジンとの結合が、この実験に与える影響を確認し、タンパク質粒子に付いている金イオンだけでなく、溶液内に自由に存在する金イオンの量がある程度以上存在することによりone−step診断実験が円滑に起きたことを実験結果から確認できた(図6図7)。
【0169】
図6の各番号の実験条件は、下記の通りである。
1:何の物質の処理なしに、単純にNi2+溶液と患者と健常者の血清及び還元剤LAAを処理して、Ni2+がLAAに会って還元され、色を現わしていることを確認するための実験群
2:他の物質の処理なしに、単純にAu3+(金イオン)溶液と患者と健常者の血清及び還元剤LAAを処理して、色の変化を測定し、患者と健常者の区別なく、金イオンが還元されて、粒子を達成しながら、青に変わることを確認した。
3:タンパク質粒子に金イオンのみ付けたものと患者と健常者の血清および還元剤を処理した結果、自由に動き回る自由金イオンがないので、いずれの場合も色が変化がないことを確認することができた。
4:タンパク質粒子に抗体を付けて、金イオンまで付けた後、患者と健常者の血清及び還元剤を処理した結果、先の3番の場合に抗体がないため、この場合と比較するために抗体に結合させて実験し、その結果、自由金イオンがないので、色の変化が起こらないことを確認した。
5:既存の診断方法そのまま再現した結果として、患者だけで色が変化することを確認することができた。
6:抗体を付けたタンパク質粒子に金イオンがくっつかないように、あらかじめNi2+イオンを処理したタンパク質粒子に自由金イオンが存在するようにして、そこに患者と健常者の血清及び還元剤を処理した結果として、自由金イオンによって還元が起きて色が変化することを確認することができるが、抗体が付いたタンパク質粒子に金イオンがないため、クラスタを形成するのに役立たず、健常者と患者との間の区別がないことを確認することができた。
【0170】
実施例8:one−step診断実験と公知の診断キットの信頼性のある定量分析するかどうかを確認
8−1.本発明のOne−step診断方法の定量分析するかどうかを確認
ヒト血清由来のTnI標準試料(30−AT43、Fitzgerald、Acton、MA、U.S.A.)を3種類の健常者血清にそれぞれspikingし、各健常者血清ごとに異なる濃度(0、2、5、10、20、30ng/ml)の標準血清試料を作製し、この血清を、実施例4の方法を通じて診断開始後、15分(図13のA)、20分(B)、25分(C)と30分(D)の時点で検出信号を576nmでの吸光度で測定した。
【0171】
その結果、図13に開示されているように、検出信号の測定値の線形比例性の診断開始後、15分、20分の時点が最も良いことが確認し、診断開始後15〜20分の時点では疾患の発症の有無はもちろん、定量的分析も可能であることを確認した。
【0172】
8−2.公知の診断キットの定量分析するかどうかを確認
1)緑十字医療財団のECLIA診断機器
緑十字医療財団のECLIA診断機器(Roche E−170モデル)を用いて、実施例8−1で作製した標準血清試料(健常者試料A:図14、健常者試料B:図15、健常者試料C:図16)を利用して定量分析するかどうかを確認した。
【0173】
その結果、図14図16に開示されているように、実際のTnIの濃度が大きくなるほど誇張された分析結果を示す傾向が表示され、20ng/mlの以上の濃度でこのような傾向がひどくなり、測定値の偏差も血清ごとに多くの違いがあることを確認した。
【0174】
2)Elabscience社のELISA診断機器
Elabscience社のELISA診断機器(E−EL−H0144、Elabscience、14780 Memorial Drive、Suite216、Houston、Texas77079、 U.S.A.)を用いて、実施例8−1で作製した標準血清試料(健常者試料A:図17、健常者試料B:18、健常者試料C:図19)を用いて定量分析するかどうかを確認した。
その結果、図17図19に開示されているように、ECLIA診断機器分析の結果とは対照的に、すべての血清試料について、実際の濃度よりも低い検出信号が測定され、偏差は少ないが信頼性のある濃度区間がないことを確認した。
【0175】
3)Abbexa社のELISA診断機器
Abbexa社の診断機器(abx050255、Abbexa Ltd. Cambridge Science Park、Cambridge、CB40EY、U.K.)を用いて、実施例8−1で作製した標準血清試料(健常者試料A:図20、健常者試料B:図21、健常者試料C:図22)を用いて定量分析するかどうかを確認した。
【0176】
その結果、図20図22に開示されているように、Elabscience社診断結果と同様に、実際の濃度よりも低い検出信号を測定し、濃度に応じた検出信号の測定値の比例性が全くないことを確認して、信頼性のある定量分析結果が得られないことを知ることができた。
【0177】
4)ALPCO社のELISA診断機器
ALPCO社の診断機器(25−TR1HU−E01、ALPCO26−G Keewaydin Drive、Salem、NH03079、U.S.A.)を用いて、実施例8−1で作製した標準血清試料(健常者試料A:図23、健常者試料B:図24、健常者試料C:図25)を用いて定量分析するかどうかを確認した。
【0178】
その結果、図23図25に開示されているように、前記2種類のELISA診断キットに比べては、実際の濃度に最も近接する検出信号が測定されることを確認したが、全体の濃度範囲では、少なくない偏差が発生しており、濃度による線形比例性が高くなかったので、信頼性のある定量分析の結果は、得られないことを確認した。
【0179】
実施例9:one−step診断方法の検出限界(Limit of Detection,LOD)を確認
9−1.急性心筋梗塞の診断時に検出限界を確認
健常者血清に0.002〜2ng/mlの濃度範囲の疾患マーカーであるTroponin Iをspikingして、標準血清試料を作製し、これを実施例4の方法で検出限界の測定実験を行った。96 well plate内の試料の色の変化を確認するとともに、576nmでの吸光度を測定した。
【0180】
その結果、図26に開示されているように、急性心筋梗塞の診断でのTnI検出限界は、最小0.02ng/mlの(0.83pM)で最大0.2ng/mlの(8.3pM)の濃度範囲内に存在することを確認した。これはECLIAベースの診断機器の検出限界(0.16ng/ml)よりも大幅に低い水準である。
【0181】
9−2.C型肝炎の診断時に検出限界を確認
健常者血清に0.001〜10ng/mlの濃度範囲の疾患マーカーであるanti−HCV(c33c)IgG standard(LS−C103178、LifeSpan BioSciences、Inc.、Seattle、WA、U.S.A.)をspikingして、標準血清試料を作製し、これを実施例4の方法で検出限界の測定実験を行った。96 well plate内の試料の色の変化を確認するとともに、588nmでの吸光度を測定した。
【0182】
その結果、図27に開示されているように、C型肝炎の診断での抗−HCV抗体の検出限界は、最小0.1ng/mlの(0.67pM)で最大1.0ng/mlの(6.7pM)の濃度範囲内に存在することを確認した。これはELISAベースの診断機器の検出限界(nMレベル)よりも大幅に低い水準である。
【0183】
9−3.エイズ(AIDS)の診断時に検出限界を確認
健常者血清に0.001〜10ng/mlの濃度範囲の疾患マーカーであるanti−HIV(gp41)IgG standard(2509、ImmunoDX、LLC、Woburn、MA、U.S.A.)をspikingして、標準血清試料を作製し、これを実施例4の方法で検出限界の測定実験を行った。96 well plate内の試料の色の変化を確認するとともに、555nmでの吸光度を測定した。
【0184】
その結果、図28に開示されているように、AIDSでの抗−HIV抗体の検出限界は、最小0.1ng/mlの(0.67pM)で最大1.0ng/mlの(6.7pM)の濃度範囲内に存在することを確認した。これはELISAベースの診断機器の検出限界(nMレベル)よりも大幅に低い水準である。
【0185】
以上で、本発明の内容の特定の部分を詳細に記述し、当業界の通常の知識を有する者にとって、このような具体的な技術は、単に好ましい実施形態だけであり、これにより本発明の範囲が制限されるものではない点は明白である。従って、本発明の実質的な範囲は、添付された請求項とそれらの等価物によって定義される。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本発明に係る疾病の特異的マーカーの検出方法は、既存のELISAのような診断で通常伴う固定化と洗浄(washing)作業などの過程なしに、シングルステップで疾患の診断が可能であり、数時間、長くは数日もかかる診断検査の時間も10分前後に短くすることにより、特に緊急事態の患者のような疾患の診断に効果的に利用することができるだけでなく、別の分析機器なしに目視で検査結果を確認することができ、検出コストを最小限に抑えることができるので有用である。

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【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]