(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、スクラッチ(scratch)またはピンホール(pin hole)が形成されたスピンドルまたはシリンダを有するガススピンドルまたはガススプリングは、経時的に内部ガス圧力が低下する問題が発生する。
【0006】
しかし、そのような課題は、例示的なものであり、それにより、本発明の範囲が限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によるガスシリンダの製造方法は、中空のスピンドル内面の少なくとも一部にシーリング剤を塗布する段階と、前記シーリング剤を摩擦塗布し、前記スピンドル内面にシーリング剤被膜を形成する段階と、前記シーリング剤被膜を硬化させ、前記スピンドル内面と接する硬化膜シリンダを形成する段階と、を含む。
【0008】
一実施形態によれば、前記スピンドルの入口に、前記スピンドル内面と接触するシリンダアセンブリを挿入する段階をさらに含み、前記シーリング剤被膜を形成する段階後、前記挿入されたシリンダアセンブリの下部に、シーリング剤を塗布する段階がさらに遂行されてもよい。
【0009】
一実施形態によれば、前記シーリング剤被膜を形成する段階後、前記スピンドル内部にオープンホルダを挿入し、前記シリンダアセンブリと前記スピンドルとを結合させる段階と、前記オープンホルダの一端と、前記スピンドル内面との境界にシーリング剤を塗布する段階と、がさらに遂行されてもよい。
【0010】
一実施形態によれば、前記オープンホルダの一端と、前記スピンドル内面との境界にシーリング剤を塗布する段階後、前記スピンドル内部にガスシーリング部材を挿入する段階と、前記ガスシーリング部材の一端にシーリング剤を塗布する段階と、がさらに遂行されてもよい。
【0011】
本発明の他の実施形態によるガスシリンダの製造方法は、中空のスピンドル内面の第1領域に、シーリング剤を塗布する段階と、前記スピンドルの内部に、前記スピンドル内面と接触するシリンダアセンブリを挿入する段階と、前記スピンドル内面の第2領域に、シーリング剤を塗布する段階と、前記第1領域及び前記第2領域に塗布された前記シーリング剤を硬化させ、前記スピンドル内面と接する第1硬化膜リング及び第2硬化膜リングを形成する段階と、を含む。
【0012】
本発明の一実施形態によるガスシリンダは、中空のスピンドルと、前記スピンドル内面に接し、シーリング剤を硬化させて形成した硬化膜シリンダと、前記硬化膜シリンダの内面と少なくとも一部領域から離隔されたシリンダを含むシリンダアセンブリと、を含む。
【0013】
本発明の一実施形態によるガスシリンダは、中空のスピンドルと、前記スピンドル内面の第1領域及び第2領域にそれぞれ配置され、シーリング剤を硬化させて形成した第1硬化膜リング及び第2硬化膜リングと、前記スピンドルの内部で、前記第1硬化膜リングと前記第2硬化膜リングとの間に配置されたシリンダアセンブリと、を含む。
【0014】
一実施形態によれば、ガスシリンダは、前記スピンドルのテーパ状になる内部に配置されたテーパホルダ(taper holder)をさらに含み、前記第1硬化膜リングは、前記テーパホルダと前記シリンダアセンブリとの境界に位置することができる。
【0015】
一実施形態によれば、ガスシリンダは、前記スピンドルの入口に、前記シリンダアセンブリと結合するオープンホルダをさらに含み、前記第2硬化膜リングは、前記オープンホルダと前記スピンドルとの境界に位置する。
【0016】
本発明の一実施形態によるガススプリングの製造方法は、中空のシリンダの内部に、前記シリンダ内面と接触するピストンロッドアセンブリを挿入する段階と、前記シリンダ内面の入口部にシーリング剤を塗布する段階と、前記シリンダ内面にガスシーリング部材を挿入する段階と、前記シーリング剤を硬化させ、前記スピンドル内面及び前記ガスシーリング部材と接する硬化膜リングを形成する段階と、を含む。
【0017】
本発明の一実施形態によるガススプリングは、中空のシリンダと、前記シリンダ内部において往復動することができるピストンロッドアセンブリと、前記シリンダ内部に配置され、前記ピストンロッドアセンブリの動きを制限するスペーサと、前記シリンダ内部に配置され、前記スペーサと接するガスシーリング部材と、前記ガスシーリング部材と接し、前記シリンダの入口部を塞ぐフランジと、前記スペーサと前記ガスシーリング部材との間、または前記ガスシーリング部材と前記フランジとの間に配置され、シーリング剤を硬化させて形成し、ガス流出通路を塞ぐ硬化膜リングと、を含む。
【0018】
前述のところ以外の他の側面、特徴、利点は、以下の図面、特許請求の範囲、及び発明の詳細な説明から明確になるであろう。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施形態によるガスシリンダ及びガスシリンダの製造方法によれば、硬化膜シリンダ及び/または硬化膜リングを介し、シリンダアセンブリの上下の間隙を塞ぎ、シリンダとスピンドルとの間のチャンバを介してガスが漏れることを防止し、シリンダ内部の圧力が、経時的に低下する現象を最小化させることができる。ここで、そのような効果により、本発明の範囲が限定されるものではないということは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態によるガスシリンダに含まれるシリンダアセンブリの断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるガスシリンダに含まれるスピンドルの断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるガスシリンダの製造方法を順次に示した断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるガスシリンダの製造方法を順次に示した断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるガスシリンダの製造方法を順次に示した断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるガスシリンダの製造方法を順次に示した断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるガスシリンダの製造方法を順次に示した断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態によるガスシリンダの製造方法を順次に示した断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態によるガスシリンダの製造方法を順次に示した断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態によるガスシリンダの製造方法を順次に示した断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態によるガスシリンダの製造方法を順次に示した断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態によるガスシリンダの製造方法を順次に示した断面図である。
【
図13】本発明の他の実施形態によるガスシリンダの製造方法を順次に示した断面図である。
【
図14】本発明の他の実施形態によるガスシリンダの製造方法を順次に示した断面図である。
【
図15】本発明の他の実施形態によるガスシリンダの製造方法を順次に示した断面図である。
【
図16】本発明の他の実施形態によるガスシリンダの製造方法を順次に示した断面図である。
【
図17】従来のガスシリンダの経時的なガス圧の変化を示したグラフである。
【
図18】本発明の一実施形態による製造方法によって製造されたガスシリンダの経時的なガス圧の変化を示したグラフである。
【
図19】本発明の一実施形態によるロックタイプ(lock type)のガススプリングを示した断面図である。
【
図20】本発明の一実施形態によるロックタイプのガススプリングを示した断面図である。
【
図21】本発明の一実施形態によるロックタイプのガススプリングを示した断面図である。
【
図22】本発明の一実施形態によるフリータイプ(free type)のガススプリングを示した断面図である。
【
図23】本発明の一実施形態によるフリータイプのガススプリングを示した断面図である。
【
図24】本発明の一実施形態によるフリータイプのガススプリングを示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施形態を有することができるが、特定実施形態を図面に例示し、詳細な説明によって説明する。本発明の効果、特徴、及びそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すれば、明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、多様な形態にも具現される。
【0022】
以下の実施形態において、第1、第2のような用語は、限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的に使用される。
【0023】
以下の実施形態において、単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0024】
以下の実施形態において、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴または構成要素が存在するということを意味するものであり、1以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性をあらかじめ排除するものではない。
【0025】
以下の実施形態において、膜、領域、構成要素のような部分が、他部分の「上」または「上部」にあるとするとき、他の部分の真上にある場合だけではなく、その中間に、他の膜、領域、構成要素などが介在されている場合も含む。
【0026】
ある実施形態が他に具現可能な場合、特定段階は、説明される順序と異なるようにも遂行される。例えば、連続して説明される2つの段階は、実質的に同時にも遂行され、説明される順序と反対順序にも遂行される。
【0027】
図面においては、説明の便宜のために、構成要素がその大きさが誇張されていたり縮小されていたりする。例えば、図面に示された各構成の大きさ及び厚みは、説明の便宜のために任意に示されているので、本発明は、必ずしも図示されたところに限定されるものではない。
【0028】
図1及び
図2は、それぞれ本発明の一実施形態によるガスシリンダに含まれるシリンダアセンブリ100及びスピンドル200の断面図である。
【0029】
図1を参照すれば、シリンダアセンブリ100は、シリンダ110、ピストンロッド120、パイプホルダアセンブリ130を含んでもよい。シリンダ110は、中空(hollow)の管であり、内部に窒素などの圧縮ガスを充填することができる空間を提供する。ピストンロッド120は、シリンダ110内部において、油圧によって往復動することができる。ピストンロッド120は、シリンダ110の中心軸(axis)に沿っても配置される。ピストンロッド120一端の外面は、ピストンワッシャ(piston washer)、スプリングリング、ホルダなどで取り囲まれうるが、それに係わる詳細な説明は、省略する。
【0030】
図1を基準に、シリンダ110の上部には、パイプホルダアセンブリ130が結合される。パイプホルダアセンブリ130は、シリンダ110の一端を塞ぎ、シリンダ110内部のガスを密閉することができる。パイプホルダアセンブリ130は、パイプホルダ131、Oリング132を含んでもよい。パイプホルダ131とOリング132は、シリンダ110より直径方向にさらに突出する。パイプホルダアセンブリ130を構成するその他構成要素の説明は、省略する。
【0031】
図2を参照すれば、中空の管状を有するスピンドル200は、
図1のシリンダアセンブリ100を内部に固定させる。スピンドル200は、
図2の断面図において、上下方向に真っ直ぐに続く円柱部200C、及び円柱部200Cに対して一定角度を有し、中心軸方向に折れるテーパ部200Tを含んでもよい。テーパ部200Tの一終端は、スピンドル200内部に配置された構成要素が抜け出さないように、カーリング(curling)されてもよい。そのようなテーパ部200Tの内部には、テーパホルダ210が配置されうる。テーパホルダ210は、スピンドル200の入口200Iを介して挿入され、テーパ部200T内部にも載置される。
【0032】
原資材自体の問題、または造管/引抜工程において、異物がパイプ中の金型に接触するような原因により、スピンドル200製造工程中、スピンドル内面(inner surface)200ISにスクラッチ(scratch)200Sまたは掘り込み部分(ピンホール(pin hole))が形成される場合が折々発生する。
図2においては、例示的にスピンドル200上下に、それぞれ微細なスクラッチ200Sが形成されたように例示されている。
図2においては、説明の便宜のために、スクラッチ200Sの大きさを誇張して表現した。そのようなスクラッチ200Sまたはピンホールは、肉眼では特に識別されないが、完成されたガスシリンダ内部のガスが漏れる通路を提供する原因になる。本発明の一実施形態は、そのような問題を解決するためのガスシリンダの製造方法及びガスシリンダを提供する。
【0033】
図3ないし
図12は、本発明の一実施形態によるガスシリンダの製造方法を順次に示した断面図である。
【0034】
本発明の一実施形態によるガスシリンダの製造方法は、シーリング剤S(sealant)塗布段階、シリンダアセンブリ100挿入段階、並びにシーリング剤被膜301’形成段階、及びその硬化段階を含む。
【0035】
図3を参照すれば、既製造のスピンドル内面(inner surface)200ISの少なくとも一部に、液状のシーリング剤Sを塗布する段階が遂行される。シーリング剤Sは、液状であったものが、空気が遮断されれば、硬化されて固体化される嫌気性(anaerobic)樹脂でもある。シーリング剤Sは、例えば、メタクリレートエステル(methacrylate ester)のようなポリエステル系樹脂、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE:(polytetrafluoroethylene)のようなフッ素樹脂のような物質を含んでもよいが、本発明は、それらに制限されるものではない。
【0036】
シーリング剤Sは、スピンドル200入口200Iから一定間隔離れたところに、スピンドル内面200ISに沿ってリング状にも塗布されるが、本発明は、それに制限されるものではない。一実施形態において、シーリング剤Sは、スピンドル200入口200Iから5〜10mm離れたところにも塗布される。シーリング剤Sは、約1cc〜3cc塗布されうるが、本発明は、それに制限されるものではないということは、言うまでもない。
【0037】
テーパホルダ210は、シーリング剤Sを塗布する前、またはその直後、スピンドル200内部にも挿入される。
図3においては、テーパホルダ210がすでに挿入されたスピンドル200内部にシーリング剤Sを塗布するところが例示されている。
【0038】
図4を参照すれば、シーリング剤S塗布後、スピンドル200の入口にシリンダアセンブリ100を挿入する段階が遂行される。このとき、シリンダアセンブリ100に含まれるパイプホルダアセンブリ130の幅は、スピンドル内面200ISの幅(直径)と同じでもある。従って、パイプホルダアセンブリ130は、スピンドル内面200ISと接触することができる。一方、シリンダ110は、スピンドル内面200ISと間隔を置いた状態でも挿入される。そのようなシリンダ110とスピンドル内面200ISとの間隔は、追って、ガスシリンダの動作時、ガスが行き来することができる通路を提供することになる。
【0039】
パイプホルダアセンブリ130がスピンドル内面200ISと接触するので、シリンダアセンブリ100がスピンドル200内側に挿入されていくとき、スピンドル内面200ISに塗布されていたシーリング剤Sを摩擦し、「押して入る」ことができる。すなわち、シーリング剤Sは、シリンダアセンブリ100により、スピンドル内面200ISに「摩擦塗布」されるのである。
【0040】
図5は、シリンダアセンブリ100がスピンドル200内部に最後まで挿入された状態を示す。液状のシーリング剤Sは、
図5を基準に、シリンダアセンブリ100の上部、すなわち、パイプホルダ131とテーパホルダ210との境界領域まで塗布されうる。シリンダアセンブリ100によって摩擦塗布されたシーリング剤Sは、円柱形態のシーリング剤被膜301’を形成することができる。すなわち、円柱状のシーリング剤被膜301’は、シリンダ110の外側を取り囲む形態に形成される。
【0041】
一方、シーリング剤被膜301’は、シリンダ110とは、接触しないのである。すなわち、シーリング剤被膜301’とシリンダ110との間には、間隔G(gap)が形成されうる。前述のように、そのような間隔Gは、追って、シリンダアセンブリ100が往復動するために必要な油圧を提供するガスが行き来することができる流路を提供することになる。
【0042】
その後、挿入されたシリンダアセンブリ100の下部に、液状のシーリング剤Sを塗布する段階が遂行される。このとき、シーリング剤S塗布前後には、他の構成要素をスピンドル内部に挿入する段階が遂行されてもよい。
【0043】
図6を参照すれば、シリンダアセンブリ100がスピンドル200内部に完全に挿入された後には、オープンホルダ401を挿入する段階が遂行されてもよい。オープンホルダ401は、中孔が形成されたリング状の構成要素であり、シリンダ110をスピンドル200内部に固定させ、ピストンロッド120が往復することができる通路を提供する。オープンホルダ401は、シリンダ110の下側に配置され、スピンドル内面200ISと当接し、シリンダアセンブリ100、スピンドル200と結合する。一方、シーリング剤被膜301’は、オープンホルダ401とシリンダ110と接する境界までも形成される。
【0044】
一実施形態によれば、シーリング剤被膜301’形成後には、スピンドル200入口200Iに、液状のシーリング剤Sを塗布する段階が遂行されてもよい。
【0045】
図7を参照すれば、スピンドル200入口200I、例えば、オープンホルダ401の下側境界線には、液状のシーリング剤Sが塗布されてもよい。それにより、オープンホルダ401の下側面とシリンダ110との境界線の小間隙がシーリング剤Sで充填されうる。
【0046】
図8を参照すれば、オープンホルダ401の下には、ガスシーリング部材402が挿入されてもよい。ガスシーリング部材402は、スピンドル200内部と外部とのガス出入りを遮断する役割を行う。ガスシーリング部材402も、中が空いたリング形状を有し、ピストンロッド120は、ガスシーリング部材402に形成された孔を介して往復動することができる。
【0047】
図9を参照すれば、ガスシーリング部材402の下側境界線には、液状のシーリング剤Sが塗布されてもよい。それにより、ガスシーリング部材402の下側面と、シリンダ110との境界線の小間隙がシーリング剤Sで充填されうる。
【0048】
図10及び
図11を参照すれば、ガスシーリング部材402の下に、フランジ(flange)403が挿入された後、スピンドル入口200I周囲の領域は、フランジ403の外面形状に適するようにもカーリング(curling)される。一方、スピンドル200の反対側端には、パイプホルダアセンブリ130に形成されたオリフィス(orifice)を開閉させるガスオープンピン500が挿入されうる。
【0049】
その後、シーリング剤被膜301’及びシーリング剤Sの硬化段階が遂行される。シーリング剤被膜301’及びシーリング剤Sは、フランジ403やテーパホルダ210などによって密封されているので、嫌気((anaerobic)条件で硬化段階を遂行することができる。該硬化段階は、室温で約24時間遂行されうるが、本発明は、それに制限されるものではない。
【0050】
硬化段階が完了すれば、
図12のように、スピンドル200の内面には、固体状の硬化膜シリンダ301Cが形成される。このとき、
図12の上側拡大図を参照すれば、スピンドル内面200ISに形成されたスクラッチ200Sによる、パイプホルダアセンブリ130外面とスピンドル内面200ISとの間隙、及びテーパホルダ210の外面と、スピンドル200との間隙を硬化膜シリンダ301Cが埋め込むことになる。それにより、ガスが漏れ出すガス流出通路GLP(gas leakage path)が硬化膜シリンダ301Cによって塞がれることになる。それにより、スピンドル200とシリンダ110との間のチャンバ(chamber)Cのガスがガス流出通路GLPを介して外部に漏れることを防止することができる。
【0051】
一方、
図12の下側拡大図を参照すれば、シリンダ110と、オープンホルダ401周辺のスピンドル内面200ISとにスクラッチ200Sが形成された場合にも、硬化膜シリンダ301Cが、スクラッチ200Sによって形成された間隙を埋め込むことになる。また、硬化工程時、硬化膜シリンダ301Cと同時に硬化された硬化膜リング302R,303Rは、二重に、ガスシーリング部材402とスピンドル200との間に形成された間隙を埋め込むことになる。それにより、上側ガス流出通路GLPは、硬化膜シリンダ301Cにより、下側上側ガス流出通路は、硬化膜シリンダ301C及び硬化膜リング302R,303Rによって塞がれることになる。それにより、スピンドル200とシリンダ110との間のチャンバ(chamber)Cのガスが、ガス流出通路GLPを介して外部に漏れることを防止することができる。
【0052】
一方、
図12の拡大図においては、説明の便宜のために、スピンドル200と、テーパホルダ210、シリンダアセンブリ100、オープンホルダ401、ガスシーリング部材402との間隙を実際より誇張して表現した。
【0053】
硬化工程が完了した後には、シリンダ110内部にガスを注入し、ガスシリンダ製造工程を完了する。
【0054】
図13ないし
図16は、本発明の他の実施形態によるガスシリンダの製造方法を順次に示した断面図である。
【0055】
本発明の一実施形態によるガスシリンダの製造方法は、中空のスピンドル内面200IS第1領域R1に、液状のシーリング剤Sを塗布する段階、シリンダアセンブリ100を挿入する段階、スピンドル内面200IS第2領域R2に、液状のシーリング剤Sを塗布する段階、及びシーリング剤Sを硬化させ、硬化膜リングを形成する段階を含む。
【0056】
図13を参照すれば、まず、中空のスピンドル内面200IS第1領域R1に、液状のシーリング剤Sを塗布する段階が遂行される。第1領域R1は、テーパホルダ210の下面と、スピンドル200とが接する地点の周辺領域を含んでもよい。シーリング剤Sは、テーパホルダ210がスピンドル200にすでに挿入された状態で、第1領域R1にも塗布される。または、シーリング剤Sが、第1領域R1にまず塗布された後、テーパホルダ210が挿入されてもよい。一方、
図13においては、第1領域R1が、テーパホルダ210の下面と、スピンドル200とが接する地点の周辺にだけ限定されているように表現されているが、本発明は、それに制限されるものではない。
【0057】
図14を参照すれば、スピンドル200の内部に、スピンドル内面200ISと接触するシリンダアセンブリ100を挿入する段階が遂行される。このとき、
図14を基準に、シリンダアセンブリ100上面と、スピンドル200、テーパホルダ210下面との境界には、液状のシーリング剤Sが塗布された状態にある。
【0058】
その後、シリンダアセンブリ100の下に位置したスピンドル内面200IS第2領域R2に、液状のシーリング剤Sを塗布する段階が遂行される。
図15を参照すれば、
図6ないし
図12に係わる内容で敍述したところと類似し、オープンホルダ401、ガスシーリング部材402、フランジ403が順に挿入される。このとき、シーリング剤Sは、
図15を基準に、シリンダ110の下側にも塗布される。すなわち、シーリング剤S塗布段階は、i)シリンダアセンブリ100挿入段階とオープンホルダ401挿入段階との間、ii)オープンホルダ401挿入段階とガスシーリング部材402挿入段階との間、iii)ガスシーリング部材402挿入段階とフランジ403挿入段階との間において、少なくとも1回遂行されうる。
図15においては、前述のii)、iii)段階において、それぞれシーリング剤Sを塗布する段階が遂行されたように例示されているが、本発明は、それに制限されるものではない。
【0059】
図16を参照すれば、シーリング剤Sを硬化させ、第1硬化膜リング301R及び第2硬化膜リング302Rを形成する段階が遂行される。シーリング剤Sは、フランジ403やテーパホルダ210などによって密封されているので、嫌気(anaerobic)条件において、硬化段階を遂行することができる。該硬化段階は、室温で約24時間遂行されうる、本発明は、それに制限されるものではない。
【0060】
硬化段階が完了すれば、
図16のように、スピンドル200の内面には、固体状の硬化膜リング301R,302Rが形成される。このとき、
図16の上側拡大図を参照すれば、スピンドル内面200ISに形成されたスクラッチ200Sによる、パイプホルダアセンブリ130とシリンダ110との間隙、及びテーパホルダ210とシリンダ110との間隙を、第1硬化膜リング301Rが埋め込むことになる。それにより、ガスが漏れ出すガス流出通路GLPが、第1硬化膜リング301Rによって塞がれることになる。
【0061】
一方、
図16の下側拡大図を参照すれば、シリンダ110とオープンホルダ401周囲とにスクラッチ200Sが形成された場合にも、シリンダ110の下側に配置された第2硬化膜リング302Rが、スクラッチ200Sによって形成された間隙の少なくとも一部を埋め込むことになる。なお、ガスシーリング部材402下側には、第3硬化膜リング303Rが配置されてもよい。第2硬化膜リング302R及び第3硬化膜リング303Rは、二重に、スクラッチ200Sによって形成された間隙を埋め込むことになる。それにより、ガスが漏れ出す上側ガス流出通路GLPは、第1硬化膜リング301Rにより、下側ガス流出通路GLPは、第2硬化膜リング303R(及び、第3硬化膜リング303R)によって塞がれることになる。
【0062】
一方、
図16の拡大図においては、説明の便宜のために、スピンドル200と、テーパホルダ210、シリンダアセンブリ100、オープンホルダ401、ガスシーリング部材402との間隙を実際より誇張して表現した。
【0063】
硬化工程が完了した後には、シリンダ110内部にガスを注入し、ガスシリンダ製造工程を完了する。
【0064】
本発明の一実施形態によるガスシリンダ製造方法によれば、硬化膜シリンダ301C及び硬化膜リング301R,302R,303Rを介し、シリンダアセンブリ100の上下間隙を塞ぎ、シリンダ110とスピンドル200との間のチャンバCを介してガスが漏れる現象を防止し、シリンダ110内部の圧力が経時的に低下する現象を最小化させることができる。
【0065】
そのような本発明の効果を確認するために、本発明者らは、2017.11.09.から2018.01.06.まで、約1週間単位で、従来のガスシリンダ、及び本発明の一実施形態による製造方法によって製造されたガスシリンダの経時的なガス圧変化を測定した。実験に使用された従来のガスシリンダ、及び本発明のガスシリンダは、それぞれ15個であった。全てのガスシリンダのスピンドル内面200ISには、一字形のスクラッチ200Sが長く形成された状態であった。
【0066】
図17及び
図18は、それぞれ、従来のガスシリンダ、及び本発明の一実施形態による製造方法によって製造されたガスシリンダの経時的なガス圧変化を示したグラフである。
【0067】
図17を参照すれば、15個の従来のガスシリンダのうち13個は、ガス圧が一定に維持されたが、2個は、ガス圧が経時的に低下した。すなわち、従来のガスシリンダの場合、約13%の製品において、ガス流出現象が発見された。一方、
図18を参照すれば、15個の本発明ガスシリンダは、いずれもガス圧が2ヵ月間一定に維持された。すなわち、本発明の製造方法を利用し、ガスシリンダの不良率を約13%低減させることができるということを確認することができた。
【0068】
図19ないし
図21は、それぞれ本発明の一実施形態によるロックタイプ(lock type)のガススプリングを示した断面図である。ガススプリングは、弁(valve)のような構成要素を利用し、ガス流出口を調節し、ユーザが所望する位置にピストンを位置させることができるロックタイプと、ガスの流出口を調節することができず、常時引っ張られる方向に力を加えるフリータイプ(free type)とにも分類される。該ガススプリングは、ガスの流出口を調節する構成要素がピストンに位置するか、あるいは全くないという点において、ガスシリンダと区分されるのである。
【0069】
一実施形態によるガススプリング1900は、中空のシリンダ1910、ピストンロッドアセンブリ1920、スペーサ1941、ガスシーリング部材1942、フランジ1943を含む。
【0070】
図19を参照すれば、シリンダ1910は、中空の管状を有することができる。シリンダ1910の一端キャップCによって塞がれており、キャップCは、ヒンジHを介し、外部の他の構成要素と連結される。
【0071】
シリンダ1910の内部には、往復動することができるピストンロッドアセンブリ1920が挿入されうる。ピストンロッドアセンブリ1920は、長目の管状のピストンロッド1922、及びガスの流出口を制御することができる弁1924などを含む。ピストンロッドアセンブリ1920の一終端は、シリンダ1910の内面と接することができる。
図19を基準に、ピストンロッドの上側には、圧縮ガスG及びオイルOが充填されうる。なお、選択的に、ピストンロッドアセンブリ1920の上側には、圧縮ガスGが充填される領域と、オイルOが充填される領域とを区分するフリーピストンFP(free piston)が配置されうる。
【0072】
ピストンロッドアセンブリ1920が挿入された後、上死点を定めるために、シリンダ1910の一地点は、内側にも引き入れられる。すなわち、シリンダ1910内面の一地点は、内側へ突出する。この状態で、中が空いたスペーサ1941を、シリンダ1910内部に挿入すれば、スペーサ1941が、シリンダ1910の突出した地点に掛かることになり、位置を維持することができる。
【0073】
一方、スペーサ1941の下には、スペーサ1941と接するガスシーリング部材1942が挿入されうる。ガスシーリング部材1942は、シリンダ1910のの内部と外部とのガス出入りを遮断する役割を行う。ガスシーリング部材1942も、中が空いたリング形状を有し、ピストンロッドアセンブリ1920は、ガスシーリング部材1942に形成された孔を介して往復動することができる。
【0074】
その後、ガスシーリング部材1942の下には、ガスシーリング部材1942と接するフランジ1943が挿入されうる。フランジ1943は、シリンダ1910の入口部を塞ぐことができる。フランジ1943が挿入された後、シリンダ1910の入口部周囲領域は、フランジ1943の外面形状に適するようにもカーリングされる。
【0075】
図19を参照すれば、硬化膜リング1930は、スペーサ1941とガスシーリング部材1942との間にも配置される。例えば、硬化膜リング1930は、スペーサ1941挿入後、スペーサ1941下面とシリンダ1910内面との境界にシーリング剤を塗布した後、硬化させて形成することができる。
【0076】
図20を参照すれば、硬化膜リング1930は、ガスシーリング部材1942とフランジ1943との間にも配置される。例えば、硬化膜リング1930は、ガスシーリング部材1942の挿入後、ガスシーリング部材1942下面とシリンダ1910内面との境界にシーリング剤を塗布した後、硬化させて形成することができる。
【0077】
図21を参照すれば、硬化膜リング1930は、スペーサ1941とガスシーリング部材1942との間、及びガスシーリング部材1942とフランジ1943との間に、いずれも配置されうる。すなわち、一実施形態によるガススプリングは、スペーサ1941とガスシーリング部材1942との間に配置された第1硬化膜リング1931、及びガスシーリング部材1942とフランジ1943との間に配置された第2硬化膜リング1932を含んでもよい。
【0078】
図19ないし
図21においては、スペーサ1941とガスシーリング部材1942とが一つずつ配置されたところを例示したが、スペーサ1941とガスシーリング部材1942は、複数個配置されてもよい。このとき、硬化膜リングは、複数個のガスシーリング部材1942の境界面の少なくとも一部にも配置される。
【0079】
すなわち、シリンダ1910内部に、スペーサ1941、ガスシーリング部材1942、フランジ1943が順に挿入されるとき、シーリング剤S塗布段階は、i)スペーサ1941挿入段階とガスシーリング部材1942挿入段階との間、ii)ガスシーリング部材1942挿入段階とフランジ1943挿入段階との間において、少なくとも1回遂行されうる。
【0080】
硬化段階が完了すれば、シリンダ1910の内面には、固体状の硬化膜リング1930が形成される。従って、シリンダ1910に形成されたスクラッチ(図示せず)によるガス流出通路(図示せず)が硬化膜リング1930によって塞がれることになる。
【0081】
図22ないし
図24は、それぞれ本発明の一実施形態によるフリータイプ(free type)のガススプリング2200を示した断面図である。フリータイプガススプリング2200の構造は、弁(valve)を有さないという点を除いては、前述したロックタイプガススプリング1900と類似しているので、詳細な説明を省略する。
【0082】
本発明の一実施形態によるガススプリング製造方法によれば、硬化膜リング1930,2230を介し、ピストンロッドアセンブリ1920下の間隙を塞ぎ、ガスが漏れる現象を防止し、シリンダ1910内部の圧力が経時的に低下する現象を最小化させることができる。
【0083】
本発明は、図面に図示された実施形態を参照して説明されたが、それらは、例示的なものに過ぎず、当該技術分野で当業者であるならば、それらから、多様な変形、及び均等な他の実施例が可能であるという点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって定められるものである。