【実施例】
【0021】
図1に示すように、作業台10に、直方体状の木製ピース21を並べる。木製ピース21の裏面にマグネットシート22を載せる。次に、マグネットシート22の裏面22aから木製ピース21へ金属製結合片23としてのコ字状の金属針24を打込む。
このコ字状の金属針24はステープルと呼ばれ、ガンタッカーやステープラーと呼ばれる周知の打込み器で打込まれる。
打込むことで、本発明の壁パネル20が得られる。
【0022】
木製ピース21は、檜、杉、ヒバ、桂、桜などの自然木(天然木)を製材したときに発生する端材を、カットして得た直方体が好適である。木製ピース21は、木屑を圧縮して形成する合成材や、薄板を重ねた合板でもよい。ただし、燃焼時に有害なガスが発生しないことを考慮すると、自然木の端材がより好ましい。
【0023】
加えて、自然木は、空気中の有害化学物質を吸着することが期待される。さらに、自然木を燃やすと、二酸化炭素と水になり、これらが樹木の育成に再利用される。よって、自然木が好まれる。
【0024】
木製ピース21の大きさ(カット寸法)は、平面形状、断面形状、表面デザイン共に任意であるが、厚さが6〜24mm、縦が30〜200mm、横が30〜200mmが推奨される。
【0025】
マグネットシート22は、ニトリルゴム(又は軟質プラスチック)にフェライト粉を混ぜて、0.5〜2.0mm厚さの薄板に成形してなる。薄くて柔らかいため鋏などで容易に切断できる。フェライト粉を磁化処理するとマグネットシート22は、磁性ペイントが塗布されている壁や磁性材(単なる鉄板で可)が埋められている壁に磁気吸着する。
【0026】
本発明の壁パネル20の正面図を
図2で説明し、背面図を
図3で説明する。
図2に示すように、壁パネル20が躯体の壁12に磁気吸着されている。壁12は狭義の壁に留まらず、天井、床、家具・調度品の側面、屋外の構造物の側面など、磁気吸着可能な面を有する構造物であれば種類は問わない。
【0027】
この例では、木製ピース21の縦横寸法は各60mmである。木製ピース21の数は3×3の9個である。壁パネル20の縦横寸法は各180mmである。木製ピース21の数が5×5の25個であれば、壁パネル20の縦横寸法は各300mmとなる。
壁パネル20の縦横寸法は任意であるが、各300mmであれば、製造が容易で、運搬も容易である。
【0028】
コンクリート壁の場合、壁パネル20を磁気吸着させることで、無機質なコンクリート壁を人に優しい木質壁に替えすることができる。壁パネル20は着脱が容易であるため、季節毎やイベント毎に、交換することができる。
【0029】
図3に示すように、マグネットシート22に点在している金属針24が見える。この例では裏面から見て正方形を呈する木製ピース21の1個当たり、2本の金属針24が打込まれている。この例では、金属針24は水平線に対して約45°をなすように、斜めに配置される。これにより、マグネットシート22に対し、横方向及び上下方向の移動が阻止される。
【0030】
なお、
図4(a)に示すように、金属針24は水平線に沿って延びるように配置してもよい。また、
図4(b)に示すように、金属針24は中央に1本のみ配置してもよい。
すなわち、マグネットシート22に木製ピース21が結合されればよく、木製ピース21の1個当たりの金属針24(金属製結合片23)の本数や配置は任意である。
【0031】
図3の5−5線断面を
図5に示す。
図5に示すように、金属針24は、一対の脚部25と、これらの脚部25の基部同士を連結するブリッジ部26とからなる。脚部25はマグネットシート22を貫通して木製ピース21の厚さ方向途中まで打込まれているので外からは見えない。対してブリッジ部26は露出している。
【0032】
マグネットシート22はゴム又は軟質プラスチックで構成されているため、ブリッジ部26で圧縮される。結果、ブリッジ部26のほぼ半分程度がマグネットシート22に潜る。ブリッジ部26の突出量が半減する。
マグネットシート22を壁に磁気吸着させるときに、ブリッジ部26の存在が吸着作用に影響するが、ブリッジ部26の突出量が半減されているため、吸着作用への影響は軽微である。
【0033】
経年劣化などにより、壁パネル20を廃棄することがある。
そのときには、
図6に示すように、金属針24を抜く。
金属針24は変形し、このままでは再利用は困難である。しかし、金属屑として再溶解、再利用が可能である。
【0034】
また、マグネットシート22には、金属針24が貫通した貫通穴27が残っているが、貫通穴27はごく小規模である。マグネットシート22の大部分は健全であるため、マグネットシート22の再利用は十分に可能である。
【0035】
また、木製ピース21には、裏面に金属針24を抜いた穴28が残っているが、この穴28はおもて面からは見えないため、木製ピース21の再利用は十分に可能である。すなわち、マグネットシート22から分離した木製ピース21は、汚れを落とすだけで、再利用が可能となる。
【0036】
また、木製ピース21やマグネットシート22に接着剤が付着していないため、仮に木製ピース21やマグネットシート22を焼却しても有毒なガスは発生しない。
【0037】
以上の説明において、金属針24を、金属製結合片23の実施例としたが、金属製結合片23は金属針24に限定されない。その具体例を
図7に基づいて説明する。
図7(a)に示すように、金属製結合片23は、木ねじ31であってもよい。木ねじ31には、皿木ねじと丸木ねじがあるが、頭が平らな皿木ねじが好適である。
【0038】
また、
図7(b)に示すように、金属製結合片23は、頭が平らな釘32であってもよい。
また、
図7(c)に示すように、金属製結合片23は、頭が平らな頭付きピン33であってもよい。
【0039】
木ねじ31、釘32及び頭付きピン33は、何れもこのままでは再利用はできないが、金属屑として再溶解すれば再利用が可能である。
【0040】
次に、木製ピース21の変形に対する本発明の優位性を、
図8に基づいて説明する。
図8(a)に示す比較例では、マグネットシート101に、木製ピース21が接着剤層103で結合されている。接着剤層103の結合力は十分に大きい。自然木の端材をカットして得た場合、木製ピース21は乾燥の進行に伴って不可避的に湾曲化する。すると、平坦であったマグネットシート101が波打つ。
躯体の壁が平坦であれば、木製ピース21の中央の大部分が壁から離れ、磁気吸着されないことになる。
【0041】
図8(b)に示す実施例では、マグネットシート22に木製ピース21が木ねじ31で結合されている。木製ピース21が湾曲化すると、木ねじ31から離れた部位では、マグネットシート22が木製ピース21から離れる。木製ピース21が湾曲化しても、マグネットシート22は、ほぼ平坦のままとなる。躯体の壁にマグネットシート22が良好に磁気吸着される。
【0042】
図9に示すように、意匠性を高めた壁パネル20に、本発明を適用することができる。
すなわち、
図9に示すように、レギュラーサイズの木製ピース21を中央と、左上と、右上と、左下と、右下とに配置し、厚さが半分の木製ピース21Bを、レギュラーサイズの木製ピース21の間に配置する。
【0043】
図9の10−10線断面図である
図10に示すように、レギュラーサイズの木製ピース21は、脚部25が長い金属針24で固定し、厚さが半分の木製ピース21Bは、脚部25が短い金属針24Bで固定する。ただし、脚部25が短い金属針24Bをレギュラーサイズの木製ピース21に打込まないように、注意する必要があり、結合作業が煩雑になる。その対策の一例を
図11に示す。
【0044】
図11に示すように、厚さが半分の木製ピース21Bは縦横寸法を若干大きくする。レギュラーサイズの木製ピース21には、厚さが半分の木製ピース21Bの一部を収納する凹部21a形成する。レギュラーサイズの木製ピース21は、脚部25が長い金属針24で固定する。凹部21aに差し込まれた厚さが半分の木製ピース21Bは、隣のレギュラーサイズの木製ピース21で保持される。
結果、金属針24は1種類のみで済み、結合作業は容易になる。
【0045】
尚、実施例では、木製ピース21は正面視で正方形としたが、正面視で長方形、三角形、正円、楕円、多角形、その他の形状にすることは差し支えない。
【0046】
長方形の場合は、
図2において、縦並びに3個の木製ピース21を、1個の縦長の木製ピースとし、正方形状のマグネットシートに3個の縦長の木製ピースを並べてもよい。
【0047】
また、木製ピース21は、おもて面が平坦であるほか、幾何学模様や格子模様を施したり、縦筋や横筋を刻んでもよい。