(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受信部は、所定の登録がなされている第2ユーザが利用者であることの認証に成功したときに前記第1データを受信する、請求項1から3のいずれか1項に記載の医療装置。
前記医療データは、第1ユーザに関連する周産期医療に関する周産期医療データ及び/又は第1ユーザの子である乳児に関連する乳児医療データを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の医療装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、以下に示す課題がある。
【0006】
第1に、オペレータは、ユーザ(患者)から提供される提供情報を入力する。しかしながら、例えば、提供情報の内容があいまいである場合、オペレータは、提供情報の内容を分かり易くするため、オペレータの主観的な評価を提供情報に加えて医療システムに入力する可能性がある。
【0007】
第2に、ユーザ(患者)自身が自己の既往症に関する履歴を覚えておらず、ユーザ(患者)がオペレータに情報を提供する際、提供される提供情報の中に、自己の既往症に関する履歴の少なくとも一部が欠落している可能性がある。
【0008】
特許文献1の技術では、これら2つの課題があるため、システムが可能性のある疾病として提示する疾病のうち少なくとも1つは、不正確であるか、不十分であるか、あるいはこれらの両方であることがあり得る。可能性のある疾病と、その疾病を治療するために必要な緊急度とをシステムが迅速かつ正確に決定し、システムが適切な医療措置を関係者(医師、看護師、オペレータ、患者等)に提供可能とするためには、上述した2つの課題を改善する必要がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、オペレータの主観ができるだけ含まれていない情報を医療装置が受信可能にし、当該情報と、患者がこれまでにかかった既往症がより確実に網羅された情報とを合わせることで、予測される疾病、それに伴い選定される診療に関する専門分野区分である診療科等によって例示される患者の健康状態及び緊急度をより正確に把握し、把握された患者の健康状態及び緊急度に基づいて、患者に必要な検査、治療方針、受診の緊急度、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等によって例示される必要な対応の選別をより正確に行うことの可能な医療装置、システム、及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ユーザに関連付けられる医療データを受信し、受信した医療データ等に基づいてユーザの健康状態及びその緊急度を決定することで、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0011】
この文書を通じて、文脈上別段の要求がない限り、「含む(comprising)」、「から成る(consisting of)」、「有する(having)」等の用語は、非網羅的、つまり「含むがこれらに限定されない」という意味として解釈されるものとする。
【0012】
さらに、文書全体を通じて、文脈上別段の要求がない限り、‘include’(一般動詞の一人称又は二人称単数形あるいは複数形)、‘includes’(一般動詞の三人称単数形)又は‘including’(一般動詞の現在分詞)等のバリエーションは、一般動詞から導かれる単数又は複数のグループを含むだけでなく、他のいかなる単数又は複数のグループを含むことを除外しないものとする。
【0013】
第1の特徴に係る発明は、第1ユーザに関連付けられる少なくとも1つの状態に関する第1データを受信する受信部と、少なくとも前記第1データ及び医療データに基づいて第2データを決定する制御部と、前記第2データを出力する出力モジュールと、を備え、前記第2データは、第1情報及び第2情報を含み、前記第1情報は、前記第1ユーザの少なくとも1つの健康状態を含み、前記第2情報は、前記少なくとも1つの健康状態のそれぞれについての緊急度を含む、医療装置を提供する。
【0014】
第1の特徴に係る発明によれば、受信部は、第1ユーザ(患者)の状態を、オペレータを介さずに受信可能であるため、医療装置は、オペレータの主観が入ることなく、より客観的な患者の状態を受信できる。
【0015】
また、制御部は、少なくとも1つの状態に関する第1データ及び医療データに基づいて第2データを決定し、その決定した第2データを出力モジュールが出力する。その際、第2データには、第1ユーザの少なくとも1つの健康状態に関する第1情報と、当該健康状態のそれぞれについての緊急度に関する第2情報とを含む。そのため、患者の健康状態及び治療の緊急度に関する情報を出力モジュールが出力する際、医療データを用いて既往症がより確実に網羅された状態で出力可能である。
【0016】
したがって、第1の特徴に係る発明によれば、オペレータの主観ができるだけ含まれていない情報を医療装置が受信可能にし、当該情報と、患者がこれまでにかかった既往症がより確実に網羅された情報とを合わせることで、予測される疾病、それに伴い選定される診療に関する専門分野区分である診療科等によって例示される患者の健康状態及び緊急度をより正確に把握し、把握された患者の健康状態及び緊急度に基づいて、患者に必要な検査、治療方針、受診の緊急度、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等によって例示される必要な対応の選別をより正確に行うことの可能な医療装置を提供できる。
【0017】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記少なくとも1つの健康状態は、怪我の可能性、障害の可能性、及び/又は病気の可能性を含む、医療装置を提供する。
【0018】
第2の特徴に係る発明によれば、医療装置は、第1ユーザ(患者)について、確実に診断できる健康状態だけでなく、可能性のある健康状態をも出力できる。これにより、患者の健康状態及び緊急度に基づく必要な対応の選別等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことの可能な医療装置を提供できる。
【0019】
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明であって、前記医療データは、前記受信部が前記医療装置の外部から受信したデータである、医療装置を提供する。
【0020】
第3の特徴に係る発明によれば、医療データを格納する大型の記憶装置等を省いて医療装置を構成し、医療装置を小型かつ携帯可能な構造にできる。携帯可能である医療装置は、大型の医療装置を設置可能な医療機関等から離れた場所、例えば、救急医療の現場や介護施設等であっても、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を、受信できる。また、医療装置の携帯性を考慮することなく医療データを格納する記憶装置等を構成できるため、より多くの医療データを格納する記憶装置等を構築できる。そして、医療装置は、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を、受信できる。
【0021】
第4の特徴に係る発明は、第1から第3の特徴のいずれかに係る発明であって、前記受信部は、所定の登録がなされている第2ユーザが利用者であることの認証に成功したときに前記第1データを受信する、医療装置を提供する。
【0022】
第4の特徴に係る発明によれば、所定の登録がなされている第2ユーザが医療装置の利用者であるため、何ら登録がなされていない第三者に、第1ユーザ(患者)の状態という重大な個人情報が行き渡ることがない。したがって、患者は、オペレータによる主観のない客観的な情報を、個人情報の漏洩を心配することなく提供できる。
【0023】
第5の特徴に係る発明は、第4の特徴に係る発明であって、前記認証は、顔認証、指紋認証、虹彩認証、声紋認証、静脈認証、カード認証、又はそれらの組み合わせを含む、医療装置を提供する。
【0024】
第5の特徴に係る発明によれば、第2ユーザが利用者であることの認証に際し、各種の生体情報又は所定のカードを用いた信頼できる認証が行われるため、第1ユーザ(患者)は、個人情報の漏洩をより一層心配することなく、より客観的な情報を提供できる。
【0025】
第6の特徴に係る発明は、第4又は第5の特徴に係る発明であって、前記第1ユーザが前記第2ユーザと同じである、医療装置を提供する。
【0026】
第6の特徴に係る発明によれば、第1ユーザ(患者)自らが認証を行うため、医療装置は、認証を通じた患者の識別に基づいて、患者と医療データとを正確に紐付けられる。これにより、患者の医療データが他の患者の医療データと取り違えられることがなくなる。したがって、医療装置は、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を、受信できる。
【0027】
第7の特徴に係る発明は、第1から第6の特徴のいずれかに係る発明であって、前記医療データは、第1ユーザに関連する周産期医療に関する周産期医療データ及び/又は第1ユーザの子である乳児に関連する乳児医療データを含む、医療装置を提供する。
【0028】
出産前後の期間である周産期では、母親の健康状態が子の健康状態に影響を与え、子の健康状態が母親の健康状態に影響を与える。したがって、母子双方の健康状態を正確に決定し、決定された健康状態に基づいて、患者に必要な検査、治療方針、受診の緊急度、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等を行うことが重要である。
【0029】
第7の特徴に係る発明によれば、医療装置は、第1ユーザ(患者)に関連する周産期医療に関する医療データを含む、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を、受信できる。さらに、医療装置は、患者の子である乳児に関連する医療データを用いることにより、子に関する健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことができるだけでなく、子の健康状態の影響を受ける母親である患者に関する健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことができる。したがって、医療装置は、患者の状態及び医療データだけを用いる場合よりも適切に、患者の健康状態及び緊急度に基づく必要な対応の選別等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことができる。
【0030】
第8の特徴に係る発明は、第1から第7の特徴のいずれかに係る発明であって、前記第1データに基づいて第3データの入力を指令する入力指令部をさらに備え、前記第3データは、前記第1ユーザに関連付けられた追加の状態及び/又は追加の前記医療データを含み、前記受信部は、前記指令に応じて入力された前記第3データを受信可能であり、前記制御部は、前記第1データ及び前記医療データに加え、前記第3データに基づいて前記第2データを決定可能である、医療装置を提供する。
【0031】
第8の特徴に係る発明によれば、医療装置は、第1ユーザ(患者)に対し、第1データに基づいて必要な問診に対する回答及び/又は必要な医療データの入力を指令することで、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を受信できる。したがって、患者の健康状態及び緊急度に基づく必要な対応の選別等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことの可能な医療装置を提供できる。
【0032】
第9の特徴に係る発明は、第8の特徴に係る発明であって、
前記第1データ及び前記医療データに基づいて、前記第1ユーザの健康状態としてあり得る1以上の健康状態の候補を含む健康状態候補群を生成する生成部と、
前記第1データ、前記医療データ及び前記第3データに基づいて、前記健康状態候補群に含まれる1以上の前記健康状態の候補から、前記第1ユーザの健康状態との関連性が相対的に低い0以上の前記健康状態の候補を取り去る除去部と、
前記第1データ、前記医療データ及び前記第3データに基づいて、前記第1ユーザの健康状態として確定可能である1以上の確定可能健康状態の有無を判定する判定部と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記判定部によって前記確定可能健康状態があると判定される場合、前記除去部により取り去られた前記健康状態候補群、前記医療データ、及び前記1以上の確定可能健康状態に基づいて前記第2データを決定し、
前記判定部によって前記確定可能健康状態がないと判定される場合、前記除去部により取り去られた前記健康状態候補群及び前記医療データに基づいて前記第2データを決定する、医療装置を提供する。
【0033】
緊急度の把握においては、可能性が低くても重大な疾病を想定することが重要であり、想定される疾病に漏れがあることは許容されない。
【0034】
第9の特徴に係る発明によれば、生成部は、第1ユーザ(患者)の状態及び医療データに基づき、想定される疾病を漏れなく含む健康状態候補群を生成できる。そして、除去部は、患者の状態に基づいて指令された必要な問診に対する回答の入力、患者の状態から得られる第3データと、患者の既往症がより確実に網羅されたい医療データとを用いて、第1ユーザの疾病等との関連性が相対的に低いと予測される疾病等を取り除く。また、判定部は、上述した第3データと医療データとを用いて、第1ユーザの疾病等として確定可能な確定可能健康状態の有無を判定する。
【0035】
そして、判定部により、患者の疾病として確定可能である疾病が見つかったとき、制御部は、この確定可能である疾病を用いて第2データを決定することができる。そのため、患者の疾病を迅速に把握できる。加えて、制御部は、確定可能である疾病だけでなく、除去部により取り去られた健康状態候補群、及び医療データによっても第2データを決定する。そのため、可能性が低くても想定される重大な疾病に漏れが生じるのを防ぐことができ、緊急度を正確に把握できる。
【0036】
他方、判定部により、患者の疾病として確定可能である疾病が見つからなかったとき、制御部は、除去部により取り去られた健康状態候補群、及び医療データによって第2データを決定する。そのため、現在ある情報を最大限活用し、可能性が低くても想定される重大な疾病に漏れが生じるリスクを最小限に抑えられ、できる限り正確に緊急度を予測できる。
【0037】
したがって、第9の特徴に係る発明によれば、患者の疾病として確定可能である疾病が見つかるか否かに関わらず、患者の健康状態及び緊急度に基づく必要な対応の選別等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことの可能な医療装置を提供できる。
【0038】
第10の特徴に係る発明は、第8又は第9の特徴に係る発明であって、前記第1データ及び前記第3データを用いてニューラルネットワークに前記健康状態及び前記健康状態の緊急度に関する機械学習を行わせる機械学習部をさらに備え、前記制御部は、前記第1データ、前記医療データ、及び前記第3データに加え、前記ニューラルネットワークに基づいて前記第2データを決定可能である、医療装置を提供する。
【0039】
第10の特徴に係る発明によれば、医療装置は、蓄積された患者の状態、医療データ及び/又は問診に基づくニューラルネットワークの機械学習を行い、患者の状態、医療データ及び/又は問診から推測される患者の健康状態を決定できる。また、医療装置は、機械学習に基づいて、患者の状態、医療データ及び/又は問診と疾病との新たな関連性を見出し、疾病及び緊急度の決定の精度を高められる。機械学習を用いることにより、医療装置の開発者等が膨大な第1データ及び第3データを参照してこれらのデータと疾病との関連性を探す労力及び時間を費やすことなく、医療装置は、どのような疾病と緊急性があるかをより正確に決定できる。すなわち、患者の健康状態及び緊急度に基づく必要な対応の選別等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことの可能な医療装置を提供できる。
【0040】
第11の特徴に係る発明は、第1から第10の特徴のいずれかに係る発明であって、前記第2データは、前記第1ユーザに対して行う医療措置及び/又は前記第1ユーザに対する医療アドバイスに関する情報をさらに含む、医療装置を提供する。
【0041】
第11の特徴に係る発明によれば、医療装置は、第1ユーザ(患者)に対して必要な医療措置及び/又は医療アドバイスを提供できる。したがって、患者の健康状態及び緊急度に基づく必要な対応の選別等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことの可能な医療装置を提供できる。
【0042】
第12の特徴に係る発明は、第1から第11の特徴のいずれかに係る発明であって、前記医療データは、前記第1ユーザの遺伝子データ、前記第1ユーザの精神に関するデータ、及び/又は、前記第1ユーザの生活環境に関するデータを含む、医療装置を提供する。
【0043】
第12の特徴に係る発明によれば、医療装置は、第1ユーザ(患者)の状態だけでなく、患者の遺伝子データ、精神状態、及び/又は生活環境をも考慮し、どのような疾病と緊急性があるかをより正確に決定できる。また、患者の状態、患者の医療データ、患者の遺伝子データ、精神状態、及び/又は生活環境から選ばれた2以上の情報の組合せに基づいて、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定を、1つ1つの要素に基づく決定よりも正確に行うことができる。したがって、患者の健康状態及び緊急度に基づく必要な対応の選別等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことの可能な医療装置を提供できる。
【0044】
第13の特徴に係る発明は、第1から第12の特徴のいずれかに係る医療装置と、前記医療装置とは別体に設けられ、所定の登録がなされている第2ユーザが利用者であることを認証可能な認証モジュールと、を含んで構成され、前記受信部は、前記認証モジュールによって前記利用者が前記第2ユーザであると認証されたときに前記第1データを受信する、システムを提供する。
【0045】
第13の特徴に係る発明によれば、所定の登録がなされている第2ユーザが医療装置の利用者であるため、何ら登録がなされていない第三者に、第1ユーザ(患者)の状態という重大な個人情報が行き渡ることがない。したがって、患者は、オペレータによる主観のない客観的な情報を、個人情報の漏洩を心配することなく提供できる。
【0046】
また、第13の特徴に係る発明によれば、所定の登録がなされている第2ユーザが利用者であることを認証可能な認証モジュールが医療装置とは別体に構成される。そのため、認証モジュールを省いて医療装置を構成し、医療装置を小型かつ携帯可能な構造にできる。携帯可能である医療装置は、大型の医療装置を設置可能な医療機関等から離れた場所、例えば、救急医療の現場や介護施設等であっても、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を、受信できる。したがって、患者の健康状態及び緊急度に基づく必要な対応の選別等をより正確に行うことの可能な医療用途のためのシステムを提供できる。
【0047】
第14の特徴に係る発明は、第1から第12の特徴のいずれかに係る医療装置と、前記医療装置とは別体に設けられているサーバと、を含んで構成され、前記サーバは、前記医療データが格納されたデータベースを有し、前記受信部は、前記データベースから前記医療データを受信可能である、システムを提供する。
【0048】
第14の特徴に係る発明によれば、サーバを医療装置と別体に構成できるため、サーバを省いて医療装置を構成し、医療装置を小型かつ携帯可能な構造にできる。携帯可能である医療装置は、大型の医療装置を設置可能な医療機関等から離れた場所、例えば、救急医療の現場や介護施設等であっても、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を、受信できる。また、医療装置の携帯性を考慮することなくサーバを構成できるため、より多くのデータを蓄積するデータベースを構築できる。そして、医療装置は、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を、受信できる。
【0049】
第15の特徴に係る発明は、第14の特徴に係る発明であって、前記サーバは、所定の登録がなされている第2ユーザが利用者であることを認証可能な認証モジュールをさらに有する、システムを提供する。
【0050】
第15の特徴に係る発明によれば、サーバと一体に認証モジュールを構成できるため、認証モジュールは、サーバが設置された医療機関等にいる第2ユーザ(例えば、医療従事者)のみを認証できる。すなわち、第2ユーザの認証がより信頼できるものとなる。信頼できる認証が行われるため、第1ユーザ(患者)は、個人情報の漏洩をより一層心配することなく、患者の状態及び/又は医療データを正確に提供できる。したがって、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を、医療装置が受信できる。
【0051】
第16の特徴に係る発明は、第1から第12の特徴のいずれかに係る医療装置と、前記医療装置とは別体に設けられているセンサと、を含んで構成され、前記センサは、前記第1ユーザの少なくとも1つの画像データを取得可能であり、取得した前記少なくとも1つの画像データを前記第1データの一部又は全部として前記受信部に出力可能である、システムを提供する。
【0052】
第16の特徴に係る発明によれば、センサを医療装置と別体に構成できるため、センサを省いて医療装置を構成し、医療装置を小型かつ携帯可能な構造にできる。これにより、医療装置が携帯可能となり、大型の医療装置を設置可能な医療機関等から離れた場所、例えば、救急医療の現場や介護施設等であっても、より客観的な情報を、医療装置が受信できる。また、医療装置の携帯性を考慮することなくセンサを構成できるため、より多くの情報を取得可能な大型のセンサを含むようにシステムを構築できる。したがって、より客観的であり、既往症がより確実に網羅されたより多くの情報を、医療装置が受信できる。
【0053】
また、第16の特徴に係る発明によれば、医療装置は、オペレータの主観が入らない客観的なデータである、患者の画像データを受信できる。したがって、患者の健康状態及び緊急度に基づく必要な対応の選別等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことの可能なシステムを提供できる。
【0054】
第17の特徴に係る発明は、第16の特徴に係る発明であって、前記画像データが複数あり、前記センサは、これら複数の前記画像データを異なるタイミングで取得可能である、システムを提供する。
【0055】
第17の特徴に係る発明によれば、制御部は、複数の画像データを含む第1データと医療データとに基づいて、健康状態及び緊急度に関する情報を含む第2データを決定するに際し、異なるタイミングで取得された複数の第1ユーザ(患者)の画像データをそれぞれ比較して、病状の進行速度を把握することや、1日のうちの時間帯によって症状が変化する疾病を診断すること等を行える。したがって、患者に必要な検査、治療方針、受診の緊急度、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことの可能なシステムを提供できる。
【0056】
第18の特徴に係る発明は、第17の特徴に係る発明であって、前記医療装置の前記制御部は、前記複数の画像データに基づいて前記第1ユーザの精神状態を判定する精神状態判定部をさらに備え、前記制御部は、前記第1データ及び前記精神状態に基づいて前記第2データを決定可能である、システムを提供する。
【0057】
第18の特徴に係る発明によれば、健康状態及び緊急度に関する情報を含む第2データを決定するに際し、医療装置の制御部は、異なるタイミングに取得された第1ユーザ(患者)の画像データを用いて精神状態の判定を行い、患者の肉体的な疾病だけでなく、精神的な疾病をも含む健康状態を決定できる。また、当該制御部は、第2データを決定するに際し、肉体的な疾病と精神状態との相乗効果を考慮して、健康状態の緊急度を決定できる。したがって、患者に必要な検査、治療方針、受診の緊急度、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことの可能なシステムを提供できる。
【0058】
第19の特徴に係る発明は、第16から第18の特徴のいずれかに係る発明であって、前記少なくとも1つの画像データのうち、1つ以上の画像データが熱画像データを含む、システムを提供する。
【0059】
第19の特徴に係る発明によれば、医療装置の制御部は、健康状態及び緊急度に関する情報を含む第2データを決定するに際し、熱画像データを含む第1データを用いて、第1ユーザ(患者)の皮膚の表面温度を測定し、患者の末梢循環不全、麻痺による体温の左右差の有無、皮膚疾患及び/又は血管腫等の周辺部との温度差等の各種の患者の客観的な情報に基づいて第2データを決定できる。したがって、第19の特徴に係る発明によれば、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を提供可能なシステムを提供できる。
【0060】
第20の特徴に係る発明及び第21の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明のカテゴリ違いである。
【発明の効果】
【0061】
本発明によれば、オペレータの主観ができるだけ含まれていない情報を医療装置が受信可能にし、当該情報と、患者がこれまでにかかった既往症がより確実に網羅された情報とを合わせることで、予測される疾病、それに伴い選定される診療に関する専門分野区分である診療科等によって例示される患者の健康状態及び緊急度をより正確に把握し、把握された患者の健康状態及び緊急度に基づいて、患者に必要な検査、治療方針、受診の緊急度、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等によって例示される必要な対応の選別をより正確に行うことの可能な医療装置、システム、及び方法を提供できる。
【0062】
種々の実施形態は、例のみによって、付随する図面を参照して、以下の例で説明される。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、本発明を実施するための好適な形態の一例について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0065】
別段に定義されない限り、本明細書に使用される他の全ての技術的及び科学的用語は、本明細書の主題に属する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0066】
<<第1の実施形態>>
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0067】
<システム1>
システム1の非限定的な例は、
図1(
図1A及び
図1B)及び
図2を参照して説明する。
図1Aに示すように、システム1は、医療装置2と認証装置4とを備えてもよい。また、システム1は、医療診断や健康診断等の医療用途に用いてもよい。
【0068】
システム1は、サーバ3、第1の装置5、第2の装置6、第3の装置7、及び第4の装置8をさらに備えてもよい。医療装置2、サーバ3、認証装置4、第1の装置5、第2の装置6、第3の装置7、及び第4の装置8から選択される少なくとも1つは、データを受信するように構成された受信部、受信部からのデータを処理するように構成された制御部、及び制御部の制御下で処理されたデータを送信するように設定された送信部を含んでもよい。第1の装置5、第2の装置6、第3の装装置7、及び第4の装置8は、システム1とは別個に提供されてもよい。
【0069】
〔医療装置2〕
まず、医療装置2について説明する。
図1Aに示すように、医療装置2は、受信部21、制御部22、出力モジュール23、及び送信部24を含む。いくつかの実施形態では、医療装置2は、第1の情報及び第2の情報を出力するために使用されてもよい。医療装置2は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、又はタブレットであるが、これらに限定されるものではない。医療装置2は、他の装置(すなわち、サーバ3、認証装置4、第1の装置5、及び/又は第2の装置6)と通信するように構成された装置であってもよい。
【0070】
受信機21は、他の装置からデータを受信するように構成され、医療装置2のディスプレイ(図示せず)に表示される物理キーボード若しくはソフトウェアキーボード、音声を認識するマイク(図示せず)、又はその組み合わせが構成されてもよい。受信したデータは、制御部22に提供されてもよい。制御部22は、受信機21から提供されるデータを処理するように構成されてもよい。
【0071】
出力モジュール23は、制御部22から出力されたデータ及び/又は認証モジュール41から出力されたデータに基づいてデータを出力してもよいし、例えばディスプレイ又はスピーカを介して出力してもよい。送信部24は、制御部22から出力されたデータ又は認証モジュール41から出力されたデータに基づいてデータを他の装置(すなわち、サーバ3、認証装置4、第1の装置5、及び/又は第2の装置6)に送信してもよい。
【0072】
受信機21は、第2ユーザの認証が成功した場合に、他の装置からデータ(例えば第1のデータ)を受信してもよいことを理解されるべきである。第1のデータは、医療装置2の外部に格納されてもよい。この点に関して、受信部21は、認証装置4から、第2ユーザに対する認証が正常に完了したことを示すために、他の装置から医療データを受信する前にデータを受信してもよい。
【0073】
出力モジュール23から出力され、送信部24から送信されるデータは、少なくとも1つの健康状態又は少なくとも1つの生物学的パラメータを含む。出力モジュール23から出力され、送信部24から送信されるデータは、少なくとも1つの健康状態又は少なくとも1つの生物学的パラメータのそれぞれに対する緊急度を含む。以下、少なくとも1つの健康状態及び/又は少なくとも1つの生物学的パラメータを第1の情報として参照してもよく、少なくとも1つの健康状態及び/又は少なくとも1つの生物学的パラメータのそれぞれに対する緊急度を第2情報として参照してもよい。
【0074】
状態及び/又は生物学的パラメータは、例えば、健康、怪我、糖尿病、心臓病のような病気、自己免疫、ガン、潰瘍、精神分裂症、肺炎、口臭、アルコール摂取、器官精神的外傷、白血病、皮膚リンパ腫、肝がん、神経障害のような障害、他の健康状態及び/又は生物学的パラメータを含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0075】
送信機24は、第1ユーザに関する情報を更新するために、医療装置2に格納された第1ユーザに関する種々のデータを所定期間ごとにサーバ3に送信してもよい。
【0076】
〔サーバ3〕
次に、サーバ3について説明する。
図1Aに示すように、サーバ3は、医療装置2、認証装置4、第1の装置5、第2の装置6、第3の装置7、及び第4の装置8と通信可能に構成されてもよい。通信は、例えば、無線通信や有線通信等の手段で行われる。無線通信プロトコル又は規格は、例えば、IEEE 802.11 a/b/g/n/ax/ba/EHT等のWireless Fidelity(WiFi)(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、近距離無線通信(NFC)、radio frequency identifier(RFID)、及び携帯通信(例えば、Long Term Evolution(LTE)、LTE−Advanced(LTE−A)、第5世代(5G)のうちの少なくとも1つを含んでもよい。有線通信モジュールは、ユニバーサルシリアルバス(USB)、高精細度マルチメディアインターフェイス(HDMI(登録商標))、Recommended Standard 232(RS−232)の少なくとも1つを含んでもよい。
【0077】
サーバ3は、データベース31と通信モジュール32を含んでもよい。データベース31は、ユーザの医療データを含み、サーバ3が医療装置2、認証装置4、及び/又は第1の装置5の少なくとも1つと通信するたびに更新され、第2の装置6と、第3の装置7と、第4の装置8とを更新することができる。したがって、データベース31が最新の情報を保持することを可能にする。通信モジュール32は、データベース31に格納されたデータを他の装置(device)/装置(apparatus)に送信してもよく、他の装置(例えば、医療装置2、認証装置4、第1の装置5、及び/又は第2の装置6)から送信されたデータをデータベース31に格納してもよい。例えば、サーバ3は、医療装置2の要求に応じてデータベース31に格納されたデータを送信してもよい。
【0078】
「ユーザ」という用語は、(i)患者、(ii)特定の企業又は病院等の医療機関のスタッフ、(iii)システムへのアクセスを許可された他の人員を含むが、これらに限定されない。システム1を用いて検査されるユーザを第1ユーザと称し、第1ユーザに対してシステム1を使用するユーザを第2ユーザと称してもよい。第1ユーザは、患者であってもよく、第2ユーザは、スタッフ又は他の人員であってもよい。
【0079】
サーバ3は、第2ユーザの要求に応じて、第1ユーザの個人データ(第1データ)に関するデータベース31内のデータを医療装置2に送信するように構成されてもよい。個人データの例については後述する。
【0080】
〔第1の装置5〕
次に、認証装置4の説明に先立ち、第1の装置5について説明する。
図1Aに示すように、第1の装置5は、センサを含んでいてもよい(図示せず)。第1の装置5は、例えば、病院等の医療機関に設置されるカメラを含んで構成されていてもよいし、他の装置を含んで構成されていてもよい。センサは、第1ユーザの身体の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの画像を取得してもよいし、画像取得センサであってもよい。少なくとも1つの得られた画像は、ビデオの静止画又はフレームであってもよい。センサは、少なくとも1つの画像を得ると、サーバ3及び/又は医療装置2にデータを送信してもよい。センサは、得られた少なくとも1つの画像データの特性をさらに分析してもよい。
【0081】
センサが複数の画像を取得する場合、センサは、複数の画像に基づいて第1ユーザの振動の程度(すなわち複数の画像に含まれる検出された部分の位置の変化)を分析する。振動の程度は、予め決められた期間、人、個人、又は被験者の身体部分の動きの程度(例えば、眼のけいれん、眉の上げ、眼の瞳孔の膨張、顔の筋肉の緊張等)に関連づけられてもよい。振動の程度は、異なるタイミングで得られた複数の画像との比較に基づいて決定され得る。振動の程度が確立又は決定された後、センサは振動の程度に基づいて第1ユーザの状態を決定するために作動可能である。単一の身体部分又は複数の身体部分に関連する振動の大きな程度は、感情的な状態、身体的状態又は精神状態を示す可能性があることを理解されるべきである。各種の状態は、第1ユーザの表情に関して、攻撃性、緊張、正常、休息/休息、又は疲労の指標を導き出すために使用され得る。
【0082】
画像データが異なるタイミングで取得され得ることを理解されるべきである。第1の装置5は、少なくとも1つの画像を得るために医療装置2に取り付けられてもよいことが理解されるべきである。センサは、センサから得られた画像に基づいて状態をさらに決定し得ることを理解されるべきである。
【0083】
少なくとも1つの画像データは、スチルカメラ、ビデオカメラ、又は、写真を撮影する及び/又はビデオを録画する機能を備えるデバイスによって取得され得ることを理解されるべきである。スチルカメラ又はビデオカメラは、最初に決定されたエリア(例えば、通り、駅のプラットフォーム)に設置された監視カメラ、又は第2の決定されたエリア(例えば、空港の入国管理区域)に設置された検出カメラであってもよい。
【0084】
第1の装置5は、少なくとも1つの画像を得るのではなく、得られた熱画像に基づいて第1ユーザの熱画像を得て、第1ユーザの状態を決定し得ることが理解されるべきである。第1の装置5が第1ユーザの熱画像を得る場合には、センサは、熱画像を得るための赤外線センサであってもよい。
【0085】
〔認証装置4〕
続いて、認証装置4について説明する。
図1Aに示すように、認証装置4は、認証モジュール41とデータベース42を備えてもよいし、第2の装置6に格納されたデータが安全に使用される目的のために使用されてもよい。
【0086】
認証モジュール41は、パーソナルコンピュータ、モバイルデバイス、タブレット等の第2の装置6等のデバイスと通信するように構成することができる。認証モジュール41は、RFIDリーダー、指紋リーダー、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0087】
データベース42は、第2の装置6に格納されたデータを参照することを許可された承認された人物(第2ユーザ)のリストをそこに含むことができる。認可された者は、第2の装置6を所持している者だけでなく、認可された機関(例えば医療機関)に属する少なくとも1人の人物を含み得る。認証データは、認可された人物(例えば患者)及び/又は機関(例えば、医療機関)のリストであってもよい。個人データ及び認証データは、第2の装置6に含まれる個人データ及び認証データが認証モジュール41によって読み取られるようにRFIDタグに含まれてもよい。医療装置2は、第2の装置6上の情報を示すクイックレスポンス(QR)コードをスキャンして情報を受け取ってもよいことを理解されるべきである。
【0088】
認証モジュール41が第2の装置6に格納されたデータを取得すると、認証モジュール41は、第2ユーザが承認された者であるかどうかを認証するように構成されてもよい。特に、認証モジュール41は、ユーザアカウント又はパスワード等の第2のデータを識別するデータを入力するように第2ユーザに要求してもよい。認証モジュール41は、データベース42に格納された入力された情報とデータを比較することによって認証を行ってもよい。
【0089】
認証モジュール41は、医療装置2及び/又はサーバ3にデータを送信してもよい。第2ユーザが認可された場合、認証モジュール41は、サーバ3がデータベース31にデータを格納するように、データベース42に含まれるデータをサーバ3に送信してもよい。第2ユーザが認可された場合、認証モジュール41は、制御部22が認証モジュール41から受信したデータを処理するように、データベース42に含まれるデータを医療装置2に送信してもよい。
【0090】
第2ユーザは、認証装置4を用いて最初に認証を要求される。認証時に、第2ユーザは、主訴(chief complaint,患者が医者に申し立てる症状のうちの主要なもの)等の個人データを、受信部21を介して医療装置2に入力してもよい。第2ユーザが医学的問題を入力すると、出力モジュール23は、制御部22の制御下で第1の情報及び第2の情報を出力してもよい。
【0091】
認証装置4を使用する代わりに、医療装置2が第2の装置6で情報を取得する認証モジュール41とデータベース42の機能を持ち得る。したがって第2ユーザの認証のための装置4を認証のために使用しなくても良いことが理解されるべきである。
【0092】
第2ユーザの認証が行われる場合には、他の認証方法が用いられてもよいことが理解されるべきである。他の認証は、例えば、(i)カメラによる顔認証(図示せず)、(ii)パスワード入力によるパスワード認証、(iii)指紋リーダーを用いて指紋認証(図示せず)、(iv)IRISカメラ(図示せず)を用いた虹彩認証、(v)声紋認証、(vi)静脈認証、及び(vii)その組み合わせを用いた認証等が挙げられる。
【0093】
医療装置2及び/又は認証装置4が、使用する認証方法の少なくとも1つに従って一部の装置及び/又はアプリケーションを含めてもよいことを理解されるべきである。例えば、医療装置2及び/又は認証装置4は、顔認証を行うカメラを含んでもよい。
【0094】
データベース31が認証装置4と同じデータを格納してもよいことを理解されるべきである。そのため、サーバ3は第2ユーザを認証してもよい。
【0095】
〔第2の装置6〕
第2の装置6は、パーソナルコンピュータ、モバイルデバイス、タブレット、ICカード等として構成されてもよいし、第1ユーザに個人データを含んでもよい。第2の装置6は、健康診断を受けるために病院で発行された身分証明書として構成される。あるいは、第2の装置6は、クレジットカード、デビットカード、ロイヤルティカード、交通系ICカード、学生証のカード又はこれらの組み合わせとなることを構成してもよい。第2の装置6は、第1ユーザに個人データを有してもよい。
【0096】
個人データには、第1ユーザの病状、身体的特徴、医療データを含むが、これに限定されず、医師等の医療従事者による診断、診察、健康診断、生理検査、処方箋、病理検査、放射線検査、バイタルサイン、ラボ検査、家族歴、身長、体重、血圧、血糖値、基礎体温、過去の薬物の歴史、薬物同一性を含む、薬物反応データ、アレルギー、年齢、性別、人種、保険会社、居住地、連絡先情報、識別番号、購入商品の場所の履歴、ウェブインタラクション、電子メールのやりとり、請求履歴、支払い履歴、典型的な請求金額、一日の時間、オンラインインタラクションの期間、オンラインインタラクションの数、家族のステータス、職業、取引、電話番号、年齢、性別、人種、血液型、保険会社、アレルギー、過去の病歴、家族歴、社会歴、宗教、雇用主、保証人、住所、連絡先情報、及び/又は患者の状態コード等に関連するものであってもよい。
【0097】
第2の装置6に記憶された情報は、ユーザが医療機関等の特定の場所で第2の装置6を使用するたびに更新されてもよいことを理解されるべきである。このように、システム1は、最新の情報に基づいて、ユーザの健康診断及び/又は疾患の優先度を示す情報を提供することができる。
【0098】
第2の装置6がウェアラブルデバイス(腕時計型、メガネタイプ、リング型、靴型、フラッシュタイプ、ペンダントタイプ、衣類タイプ、ペースメーカー、ICチップ(ペーストタイプ、埋め込み型)等)として構成され得ることを理解されたい。ウェアラブルデバイスを使用して、認証装置4は、ウェアラブルデバイスに保存されたデータを受け取ってもよい。保存されたデータは、体温、血圧、脈拍、心電図、胎児心拍、血糖値、呼吸、酸素飽和度、黄疸、皮膚色、歩数、体重、睡眠時間、カロリー、バランス感覚、姿勢、落下、咀嚼、味、聴覚、知覚、温度、気圧、紫外線等を含みうるが、これらに限定されない。
【0099】
〔第3の装置7〕
第3の装置7は、パーソナルコンピュータ、モバイルデバイス、タブレット、ICカード等として構成されてもよいし、第2ユーザに個人データを含んでもよいし、第2ユーザの認証に用いてもよい。
【0100】
〔第4の装置8〕
第4の装置8は、第2の装置6等の新しい医療カードが病院等の特定の場所で発行される場合に使用することができる。特に、第4の装置8は、新しい医療カードの中に患者データを埋め込んでもよい。
【0101】
<フローチャートの例>
本開示の詳細なフローチャートは、
図2を参考にして説明する。
図2に示すように、S11からS17を含むプロセスがあり、システム1によって実行される。以下、認証モジュール41及びデータベース42は、医療装置2に設けられてもよい。この場合、医療装置2は、S11及びS12の処理を行ってもよい。
【0102】
S11では、医療装置2は、第2ユーザが認可された者であるかどうかを判定する第2ユーザの認証を開始してもよい。S12において、医療装置2が第2ユーザが認証された人物であるかどうかを判定する場合(すなわちS12での判定結果はyesである)、その後の処理は、次のステップ(すなわちS13)に進み得る。受信したデータは、第2の装置6に格納されたデータを含む。S11やS12等の認証プロセスが省略される可能性があることを理解する必要がある。
【0103】
S13では、第2ユーザが医療装置2を操作し、医学的問題(medical issue)を入力してもよい。医学的問題は、頭痛、腹痛、腰痛、貧血、及び便秘、第1ユーザの現在の状態を含み得るが、これらに限定されない。医学的問題に基づいて、医療装置2は、第1の情報及び第2の情報を決定してもよい。本医療装置2は、(i)さらなる状態(現行状態の延長によって他の疾患が可能)及び/又は(ii)該当なし状態(現在の状態のために不可能な他の疾患)として分類されうる条件をさらに決定する。S14では、医療装置2は、S15で第2の装置6に格納されたデータを受け取ってもよいし、医療装置2は、認証装置4からのデータ及び、人工知能(AI)に基づいて第1の情報と第2の情報を決定してもよい。
【0104】
S16では、出力モジュール23は、第1の情報(すなわち、第1ユーザの少なくとも1つの可能性のある疾患)及び、第2の情報(すなわち、少なくとも1つの可能性のある疾患のそれぞれに対する緊急度)を出力してもよい。S16では、出力モジュール23は、ユーザが行うべきことを示す情報を出力してもよい。行うべきことを示す情報には、(i)必要な検査、治療、(ii)ユーザが行かなければならない病院、(iii)病気を避ける方法論、及び/又は、(iv)ユーザが食べるべき食事、食事のレシピ、宅配される食事、炭水化物制限食品、カリウム制限、アレルギー、その他の禁忌食品等が含まれるが、これらに限定されない。行うべきことは、第1ユーザの状態の進行又は悪化を防ぐことができる。そのため、第1ユーザにとって好ましい動作が特定されてもよい。S17では、医療装置2は、任意のデータが他の装置から提供されるかどうかを決定してもよい。S17で他の装置からデータが提供されている場合、プロセスはS15に進んでもよい。S17で他の装置から提供されるデータが他の装置から提供されていない場合、プロセスは終了する可能性がある。
【0105】
<システム1の他の例示>
図1Bは、本開示のいくつかの実施形態にしたがってシステム1のブロック図を示す。
図1Bに示すように、第2の装置6及び第4の装置8は、第1の医療機関で使用することができ、医療装置2は、第2の医療機関で提供されてもよいし、医療装置2、第2の装置6、及び第3の装置7は、救急車に設置されている。医療機関や医療機関の従業員に関する情報を保管することができるカード情報及びデータベース31Bを格納することができるデータベース31Aがデータセンターに提供され、医療装置2及び第3の装置7は、消防署に提供されている。
【0106】
上述したように、第4の装置8は、第1の医療機関で第2の装置6等の新しい医療カードが発行される場合に使用されてもよい。医療カードが発行されると、医療カードに保存されたデータがデータセンターに送信されてもよい。特に、データセンター内のデータベース31Aは、医療カードに格納されたデータを記憶してもよい。第1ユーザに対して特定の事故が起こった場合、救急車の従業員は、医療装置2及び第3の装置7を使用して、第2の装置6に格納されたデータにアクセスすることによって、その従業員を認証することができる。救急車内の従業員の認証が成功すると、
図2に示すS15からS17のプロセスを実行して、第1ユーザの少なくとも1つの可能性のある疾患及び少なくとも1つの可能性のある疾患のそれぞれに対する緊急度を決定することができる。第1ユーザの少なくとも1つの可能性のある疾患及び少なくとも1つの可能性のある疾患のそれぞれに対する緊急度を決定すると、第1ユーザの詳細は、救急車から第2の医療機関に通知され得る。第2の医療機関の従業員は、医療装置2を使用し、データベース31Bにアクセスして第2の装置6に格納されたデータにアクセスすることによって、その従業員を認証することができる。第2の医療機関の従業員の認証に成功すると、
図2に示すS15からS17のプロセスは、第1ユーザの少なくとも1つの可能性のある疾患及び少なくとも1つの可能性のある疾患に対する緊急度を決定してもよい。第2の装置6に格納されたデータ等のデータは、第1ユーザの少なくとも1つの可能性のある疾患、及び/又は少なくとも1つの可能性のある疾患のそれぞれに対する緊急度が、医療装置2からデータベース31Aに送信されてもよい。
【0107】
第2ユーザが認証装置4によって正常に認証されると、S12において、第2の装置6に含まれる情報もサーバ3に送信されてもよいことを理解されるべきである。
【0108】
少なくとも1つの可能性のある疾患の数が2つ以上である場合、医療装置2は、他の装置からより多くのデータを受け取ることによって可能性のある疾患を絞り込むことが理解されるべきである。
【0109】
第2の装置6に格納された情報を受け取る例示的なプロセスS12が上記のように説明されているが、追加的又は代替的に、医療装置2は、第1ユーザの少なくとも1つの可能性のある疾患を決定してもよいことを理解されるべきである。その後、医療装置2は、少なくとも1つの可能性のある疾患のそれぞれに対する緊急度を、少なくとも1つのサーバ3及び第1の装置5から送信されるデータに基づいて出力してもよい。
【0110】
第2の装置6に格納された情報を受け取る例示的なプロセスS12は、上記のように説明されているが、追加的又は代替的に、サーバ3は、少なくとも1つの可能性のある疾患及び程度を決定してもよいことが理解されるべきである。少なくとも1つの可能性のある疾患のそれぞれに対する緊急度は、以下の少なくとも1つからのデータに基づいている:サーバ3、第1の装置5、第2の装置6。その後、医療装置2は、サーバ3、第1の装置5、及び/又は第2の装置6からのデータに基づいて、少なくとも1つの可能性のある疾患及び少なくとも1つの可能性のある疾患のそれぞれに対して少なくとも1つの可能性のある緊急度を出力してもよい。
【0111】
<有利な効果>
本開示によれば、出力モジュール23は、第1の情報と第2の情報を示すデータを出力するように構成され、ここで、第1の情報は、少なくとも1つの可能性のある疾患を含み、第2の情報は疾患のそれぞれに対する緊急度を含む。したがって、第2ユーザは、疾患の状態の進行又は悪化を防ぐためにどのような処置をとる必要があるかを検討することができる。さらに、ユーザは、処置を受ける前にどの処置を優先させる必要があるかを決定できる。
【0112】
本開示によれば、出力モジュール23は、第1の情報及び第2の情報を示すデータを出力するように構成され、ここで第1の情報は、入力データから派生した可能性のある疾患のすべてを含む。したがって、可能性のある疾患の1つが起こりにくい重篤な疾患であるにもかかわらず、第1ユーザ及び/又は第2ユーザは、重篤な疾患の可能性を考慮して必要な措置を講じることができる。
【0113】
本開示によれば、医療装置2は、サーバ3、第1の装置5、及び/又は第2の装置6等の他の装置からデータを受信するように構成されている。したがって、システム1は、種々の側面の観点から第1の情報及び第2の情報を決定することができ、従って正確な結果を得ることができる。
【0114】
本開示によれば、(i)医師等の医療従事者による診断から導き出されたデータに関連する個人データ、及び/又は(ii)第1の装置5から得られた少なくとも1つの画像が最初の情報とし、2番目の情報は、したがって、正確に条件を決定することを可能にする。
【0115】
<第1の実施形態に関して可能な派生>
第1ユーザが第2ユーザと同じ(自己トリアージ)であってもよいことが理解されるべきである。すなわち、第1ユーザと第2ユーザの両方が共通する1人の患者であってもよい。
【0116】
第1の装置5によって得られた画像データがサーバ3にアップロードされ得ることを理解されるべきである。第2の装置6としてのカードから取得されたデータが予めサーバ3にアップロードされてもよいことが理解されるべきである。
【0117】
データベース31及び/又は第2の装置6内の情報が重み付け係数を置くことができると理解されるべきであり、通信モジュール32は、情報及び重み付け係数に基づいて少なくとも1つの可能な疾患を決定してもよい。重み付け係数は、情報係数の重要性に応じて決定されてもよい。
【0118】
本開示(例えば、医療装置2、サーバ3、認証装置4、第1の装置5、第2の装置6、第3の装置7、及び第4の装置8)は、例示のハードウェアによって構成されているが、ハードウェアと連携するソフトウェアによって提供されても良い。
【0119】
また、ハードウェアに使用される機能ブロック(図示せず)は、通常、集積回路であるLSIデバイスとして実装される。機能ブロックは、個々のチップとして形成されてもよいし、一部又は全部の機能ブロックを単一のチップに統合してもよい。
【0120】
<<第2の実施形態>>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0121】
<システム1001>
図3は、本実施形態の医療システム1001(以下、単に「システム1001」とも称する。)の構成の一例を示すブロック図である。
【0122】
システム1001は、少なくとも、医療装置1002を含んで構成される。システム1001は、さらに、1又は複数の後述する第1ユーザ端末1003及びネットワーク1004を含むことが好ましい。
【0123】
以下、医療装置1002を用いて健康状態及び緊急度を決定される患者を第1ユーザとも称し、医療装置1002及び/又は第1ユーザ端末1003を操作するオペレータを第2ユーザとも称する。第2ユーザは、例えば、第1ユーザ(患者)、患者の家族等を含む患者の関係者、特定の企業又は病院等の医療機関のスタッフ、システム1001へのアクセスを許可された他の人員等が挙げられる。
【0124】
医療装置1002のオペレータは、所定の登録がなされている第2ユーザが利用者であることの認証に成功したユーザであることが好ましい。これにより、所定の登録がなされている第2ユーザが医療装置1002の利用者であるため、何ら登録がなされていない第三者に、第1ユーザ(患者)の状態という重大な個人情報が行き渡ることがない。したがって、患者は、オペレータによる主観のない客観的な情報を、個人情報の漏洩を心配することなく提供できる。
【0125】
所定の登録がなされている第2ユーザが利用者であることの認証は、第2ユーザの知識を用いる知識認証、第2ユーザの所有物を用いる所有物認証、第2ユーザの生体情報を用いる生体認証、又はそれらの組み合わせを含むことが好ましい。知識認証として、例えば、第2ユーザに紐付けられた所定のパスワードを第2ユーザに入力させることで第2ユーザを認証するパスワード認証等が挙げられる。所有物認証として、例えば、第2ユーザが所有する所定のカードを用いて第2ユーザを認証するカード認証、第2ユーザが所有する携帯端末に格納された所定の認証情報を用いて第2ユーザを認証する認証等が挙げられる。生体認証として、例えば、顔認証、指紋認証、虹彩認証、声紋認証、静脈認証、又はそれらの組み合わせによる認証が挙げられる。第2ユーザが利用者であることの認証に際し、各種の生体情報又は所定のカード等を用いた信頼できる認証が行われるため、第1ユーザ(患者)は、個人情報の漏洩をより一層心配することなく、より客観的な情報を提供できる。
【0126】
第2ユーザは、第1ユーザと同じであってもよい。これにより、第1ユーザ(患者)自らが認証を行うため、医療装置1002は、認証を通じた患者の識別に基づいて、患者と医療データとを正確に紐付けられる。これにより、患者の医療データが他の患者の医療データと取り違えられることがなくなる。したがって、医療装置1002は、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を、受信できる。
【0127】
所定の登録がなされている第2ユーザが利用者であることの認証を行う認証モジュール(図示せず)は、医療装置1002と一体に構成されていてもよく、別体に構成されていてもよい。所定の登録がなされている第2ユーザが利用者であることの認証を行う認証モジュールは、医療装置1002と別体に構成可能であることが好ましい。これにより、認証モジュールを省いて医療装置1002を構成し、医療装置1002を小型かつ携帯可能な構造にできる。携帯可能である医療装置1002は、大型の医療装置1002を設置可能な医療機関等から離れた場所、例えば、救急医療の現場や介護施設等であっても、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を、受信できる。したがって、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことの可能な医療用途のためのシステム1001を提供できる。
【0128】
〔医療装置1002〕
医療装置1002は、少なくとも、処理部1021、記憶部1022、表示部1023、入力部1024及び通信部1025を含んで構成される。
【0129】
[処理部1021]
処理部1021は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を備える。
【0130】
処理部1021は、所定のプログラムを読み込み、必要に応じて記憶部1022、表示部1023、入力部1024、及び/又は通信部1025と協働することで、医療装置1002におけるソフトウェア構成の要素である、受信部1211、決定部1212、出力部1213、入力指令部1214、生成部1215、除去部1216、判定部1217等を実現する。
【0131】
〔記憶部1022〕
記憶部1022は、データやファイルが記憶される装置であって、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等による、データのストレージ部を有する。記憶部1022は、ネットワークを介してNAS(Network Attached Storage)、SAN(Storage Area Network)、クラウドストレージ、ファイルサーバ及び/又は分散ファイルシステム等の記憶装置又は記憶システムとの接続を可能にする仕組みを有してもよい。
【0132】
記憶部1022には、少なくとも、マイクロコンピューターで実行される制御プログラム、医療データテーブル1221、健康状態テーブル1222、入力指令テーブル1223、及び候補テーブル1224等が記憶されている。
【0133】
[医療データテーブル1221]
図4は、医療データテーブル1221の一例を示す図である。
図4に示す医療データテーブル1221には、医療データを識別する「ID」と、医療データに関する第1ユーザ(患者)の認証情報を記憶する「第1ユーザ認証情報」と、少なくとも患者がこれまでにかかった既往症に関する情報を有する医療データを含む「医療データ」とを紐付けた情報が記憶されている。
【0134】
例えば、
図4に示す例では、ID「1」と第1ユーザ認証情報「患者0001」と医療データ「高血圧症、高脂血症、血便」とを紐付けたデータが格納されている。これにより、認証情報「患者0001」で認証される第1ユーザ(患者)が高血圧症及び高脂血症の既往症をもっており、さらに、便に血が混じる血便が見つかったことを用いて、患者の健康状態及び緊急度を決定できる。
【0135】
IDを含むことにより、医療データの取得及び格納が容易になる。第1ユーザ認証情報を含むことにより、患者の医療データを他の患者の医療データと取り違えることがなくなる。患者がこれまでにかかった既往症に関する情報を含む医療データを含むことにより、患者がこれまでにかかった既往症がより確実に網羅された情報を用いて、患者の健康状態の把握と、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等とをより正確に行うことの可能な医療装置1002を提供できる。
【0136】
医療データは、患者のカルテに含まれる情報、患者の状態、患者の生物学的パラメータ及び/又は患者に関する臨床検査の結果等の患者に関する医療用のデータを含んでも良い。これにより、医療装置1002は、患者の既往症等だけでなく、患者のカルテに含まれる情報、患者の状態、患者の生物学的パラメータ及び/又は患者に関する臨床検査の結果をも考慮し、どのような疾病と緊急性があるかをより正確に決定できる。
【0137】
医療データは、第1ユーザ(患者)の遺伝子データ、精神状態、及び/又は生活環境を含むことが好ましい。これにより、医療装置1002は、患者の状態だけでなく、患者の遺伝子データ、精神状態、及び/又は生活環境をも考慮し、どのような疾病と緊急性があるかをより正確に決定できる。また、患者の状態、患者の医療データ、患者の遺伝子データ、精神状態、及び/又は生活環境から選ばれた2以上の情報の組合せに基づいて、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定を、1つ1つの要素に基づく決定よりも正確に行うことができる。したがって、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことの可能な医療装置1002を提供できる。
【0138】
医療データは、第1ユーザ(患者)の周産期医療に関する周産期医療データ及び/又は患者の子である乳児に関連する乳児医療データを含むことが好ましい。
【0139】
出産前後の期間である周産期では、母親の健康状態が子の健康状態に影響を与え、子の健康状態が母親の健康状態に影響を与える。したがって、母子双方の健康状態を正確に決定し、決定された健康状態に基づいて、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等を行うことが重要である。
【0140】
医療データが患者の周産期医療に関する周産期医療データ及び/又は患者の子である乳児に関連する乳児医療データを含むことにより、医療装置1002は、患者に関連する周産期医療に関する医療データを含む、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を、受信できる。さらに、医療装置1002は、患者の子である乳児に関連する医療データを用いることにより、子に関する健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことができるだけでなく、子の健康状態の影響を受ける母親である患者に関する健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことができる。したがって、医療装置1002は、患者の状態及び医療データだけを用いる場合よりも適切に、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことができる。
【0141】
例えば、
図4に示す例では、ID「3」と第1ユーザ認証情報「患者0003」と医療データ「出産時出血量大、患者0004を正常分娩」とを紐付けたデータが格納されている。これにより、認証情報「患者0003」で認証される第1ユーザ(患者)が出産時に出血量が多かったこと及び患者0004を正常分娩したことを含む周産期医療データを用いて、患者の健康状態及び緊急度を決定できる。また、
図4に示す例では、認証情報「患者0003」で認証される患者の子である患者0004について、医療データ「乳児、男児、生後2週間」が格納されている。これにより、子である患者0004に関する健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことができるだけでなく、子である患者0004の健康状態の影響を受ける母親である患者0003に関する健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことができる。
【0142】
医療データは、さらに、医師等の医療従事者による診断、職場での健康診断、学校での健康診断、生理検査、処方箋、病理検査、放射線検査、バイタルサイン、ラボ検査、家族歴、身長、体重、血圧、血糖値、基礎体温、過去の薬物の歴史、薬物同一性を含む、薬物反応データ、アレルギー、年齢、性別、人種、保険会社、居住地、連絡先情報、識別番号、購入商品の場所の履歴、ウェブインタラクション、電子メールのやりとり、請求履歴、支払い履歴、典型的な請求金額、一日の時間、オンラインインタラクションの期間、オンラインインタラクションの数、家族のステータス、職業、取引、電話番号、年齢、性別、人種、血液型、保険会社、アレルギー、過去の病歴、家族歴、社会歴、宗教、雇用主、保証人、住所、連絡先情報、及び/又は患者の状態コードに関するデータを含んでもよい。これらのデータを含むことにより、医療装置1002は、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を用いて健康状態及び治療の緊急度を決定できる。
【0143】
医療データを格納する医療データテーブル1221が記憶されていることにより、第1ユーザ(患者)の健康状態及び治療の緊急度に関する情報を出力する際、医療データを用いて既往症がより確実に網羅された状態で出力可能である。
【0144】
図3の例では医療データテーブル1221を記憶部1022に格納しているが、医療データテーブル1221は、医療装置1002とは別体に設けられているサーバ(図示せず)が有するデータベースに格納されてもよい。これにより、サーバを医療装置1002と別体に構成できるため、サーバを省いて医療装置1002を構成し、医療装置1002を小型かつ携帯可能な構造にできる。携帯可能である医療装置1002は、大型の医療装置1002を設置可能な医療機関等から離れた場所、例えば、救急医療の現場や介護施設等であっても、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を、受信できる。また、医療装置1002の携帯性を考慮することなくサーバを構成できるため、より多くのデータを蓄積するデータベースを構築できる。そして、医療装置1002は、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を、受信できる。
【0145】
医療装置1002とは別体に設けられているサーバは、所定の登録がなされている第2ユーザが利用者であることを認証可能な認証モジュール(図示せず)をさらに有してもよい。これにより、サーバと一体に認証モジュールを構成できるため、認証モジュールは、サーバが設置された医療機関等にいる第2ユーザ(例えば、医療従事者)のみを認証できる。すなわち、第2ユーザの認証がより信頼できるものとなる。信頼できる認証が行われるため、第1ユーザ(患者)は、個人情報の漏洩をより一層心配することなく、患者の状態及び/又は医療データを正確に提供できる。したがって、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を、医療装置1002が受信できる。
【0146】
[健康状態テーブル1222]
図5は、健康状態テーブル1222の一例を示す図である。
図5に示す健康状態テーブル1222には、健康状態を識別する「ID」と、第1ユーザ(患者)の状態に関する「第1データ」と、患者の「医療データ」と、第1データ及び/又は医療データに関する「健康状態」及び「緊急度」とを紐付けた情報が記憶されている。
図5に示す例では、健康状態の緊急度が高い、すなわち、より迅速に治療等を行わなければならない健康状態である順に緊急度「1」「2」「3」が格納されている。
【0147】
状態に関する第1データのフォーマットは、患者の状態を示すものであれば、特に限定されない。医療データのフォーマットは、患者の医療データに関するデータであれば、特に限定されない。健康状態のフォーマットは、患者の健康状態を示すものであれば、特に限定されない。緊急度のフォーマットは、健康状態に関する緊急度を示すものであれば、特に限定されない。
【0148】
IDを含むことにより、医療データの取得及び格納が容易になる。患者の状態に関する第1データ及び患者の医療データを含むことにより、患者の状態及び医療データに基づいて、患者の健康状態の把握と、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等とをより正確に行える。健康状態及び緊急度を含むことにより、第1データ及び医療データから患者の健康状態の把握と、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等とを行うことが可能になる。
【0149】
例えば、
図5に示す例では、ID「1」と第1データ「頭痛」「痺れ」と医療データ「高血圧症」「高脂血症」と健康状態「脳卒中」と緊急度「1」とを紐付けたデータが格納されている。これにより、後述するトリアージ処理において、「頭痛」及び/又は「痺れ」の状態を有する第1ユーザ(患者)は、脳卒中の可能性があり、脳卒中の緊急度は「1」という最も高い緊急度であることを用いて、患者に関する健康状態及び緊急度の決定を行うことができる。
【0150】
健康状態は、怪我の可能性、障害の可能性、及び/又は病気の可能性を含むことが好ましい。例えば、
図5に示す例では、ID「2」と障害の可能性である健康状態「心不全の可能性」とが紐付けられ、ID「3」と怪我の可能性である健康状態「内臓破裂の可能性」とが紐付けられ、ID「5」と病気の可能性である健康状態「緊張型頭痛」とが紐付けられている。これにより、医療装置1002は、確実に診断できる健康状態だけでなく、可能性のある健康状態をも出力できる。
【0151】
健康状態テーブル1222が記憶されていることにより、医療装置1002は、医療装置1002が受信した第1ユーザ(患者)の状態及び/又は医療データに紐付けられた患者に関する健康状態及び緊急度を健康状態テーブル1222から取得し、出力できる。
【0152】
必須の構成要素ではないが、健康状態テーブル1222は、健康状態と第1ユーザ(患者)に対して行う医療措置及び/又は患者に対する医療アドバイスに関する医療情報とを紐付けて格納可能であることが好ましい。これにより、医療装置1002は、患者に対して必要な医療措置及び/又は医療アドバイスを提供できる。したがって、搬送先施設の決定に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことの可能な医療装置1002を提供できる。医療措置に関する医療情報は、例えば、職場及び/又は学校での健康診断を担当する医療従事者への伝達事項に関する情報、患者の治療に関する専門分野区分である診療科(例えば、外科、整形外科、循環器内科、等)の選定に関する情報、患者に対する治療方針に関する情報等を含む。医療アドバイスに関する医療情報は、例えば、患者がレストラン等で行う食事についてのアドバイスに関する情報、患者の旅行についてのアドバイスに関する情報等を含む。
【0153】
[入力指令テーブル1223]
記憶部1022には、入力指令テーブル1223が記憶されていることが好ましい。
図6は、入力指令テーブル1223の一例を示す図である。
図6に示す入力指令テーブル1223には、入力指令を識別する「ID」と、第1ユーザ(患者)の状態に関する「第1データ」と、第1ユーザ(患者)に対し、第1ユーザに関連付けられた追加の状態及び/又は追加の医療データの入力を指令する「入力指令」とを紐付けた情報が記憶されている。
【0154】
IDを含むことにより、医療データの取得及び格納が容易になる。入力指令を含むことにより、医療装置1002は、第1ユーザ(患者)に対し、第1データに基づいて必要な問診に対する回答及び/又は必要な医療データの入力を指令できる。これにより、医療装置1002は、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を受信できる。したがって、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことの可能な医療装置1002を提供できる。
【0155】
例えば、
図6に示す例では、ID「1」と第1データ「頭痛」と入力指令「問診:痺れはありますか?」「問診:肩こりはありますか?」「医療データ:デスクワーカーか否かチェック」「医療データ:高血圧症チェック」「医療データ:高脂血症チェック」とを紐付けたデータが格納されている。これにより、後述するトリアージ処理において、「頭痛」の状態を有する第1ユーザ(患者)に対して、必要な問診に対する回答及び必要な医療データの入力を指令できる。
【0156】
入力指令テーブル1223が記憶されていることにより、入力指令部1214は、第1ユーザ(患者)に対し、第1データに基づいて必要な問診に対する回答及び/又は必要な医療データの入力を指令できる。これにより、医療装置1002は、より客観的であり、既往症がより確実に網羅された情報を受信できる。したがって、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことの可能な医療装置1002を提供できる。
【0157】
[候補テーブル1224]
記憶部1022には、入力指令テーブル1223に加えて、さらに、候補テーブル1224が記憶されていることが好ましい。
図7は、候補テーブル1224の一例を示す図である。
図7に示す候補テーブル1224には、健康状態の候補を識別する「ID」と、第1ユーザ(患者)の状態に関する「第1データ」と、患者の医療データに関する「医療データ」と、入力指令に対して送信される「第3データ」と、第1データ、医療データ及び/又は第3データに関する「健康状態」及び「緊急度」と、患者の健康状態として確定可能であるか否かを示す「確定可能フラグ」と、患者の健康状態との関連性が相対的に低いことを示す「低関連性フラグ」とを紐付けた情報が記憶されている。
【0158】
IDを含むことにより、健康状態の候補の取得及び格納が容易になる。第1データ、医療データ、第3データ、健康状態、緊急度、及び確定可能フラグを含むことにより、医療装置1002は、患者の疾病等として確定可能な確定可能健康状態の有無を判定できる。そのため、患者の疾病を迅速に把握できる。低関連性フラグを含むことにより、患者の疾病等との関連性が相対的に低いと予測される疾病等を取り除くことができる。そのため、可能性が低くても想定される重大な疾病に漏れが生じるのを防ぐことができ、緊急度を正確に把握できる。
【0159】
候補テーブル1224が記憶されていることにより、除去部1216は、候補テーブル1224に記憶されている低関連性フラグがONである健康状態の候補を用いて、第1ユーザの疾病等との関連性が相対的に低いと予測される疾病等を取り除ける。また、判定部1217は、候補テーブル1224に記憶されている確定可能フラグがONである健康状態の候補を用いて、第1ユーザの疾病等として確定可能な確定可能健康状態の有無を判定できる。
【0160】
〔表示部1023〕
表示部1023の種類は、特に限定されない。表示部1023として、例えば、モニタ、タッチパネル、プロジェクタ、健康状態及び緊急度に関する音声を再生可能なスピーカ、外部の装置に健康状態及び緊急度を表示させるビデオカード等が挙げられる。
【0161】
〔入力部1024〕
入力部1024の種類は、特に限定されない。入力部1024として、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、ソフトウェアキーボード、音声を認識するマイク、外部の装置から入力を受信する通信デバイス等が挙げられる。
【0162】
〔通信部1025〕
通信部1025は、医療装置1002を第1ユーザ端末1003その他の機器と通信可能にするためのデバイスを有する。デバイスの種類は特に限定されるものでなく、例えばイーサネット規格に対応したネットワークカード、IEEE802.11に準拠したWi−Fi(Wireless Fidelity)対応デバイス、等を有する。通信手段は、特に限定されず、例えば、無線通信や有線通信等の手段で行われる。無線通信プロトコル又は規格は、特に限定されず、例えば、IEEE 802.11 a/b/g/n/ax/ba/EHT等のWireless Fidelity(WiFi)(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、近距離無線通信(NFC)、radio frequency identifier(RFID)、及び携帯通信(例えば、Long Term Evolution(LTE)、LTE−Advanced(LTE−A)、第5世代(5G))の少なくとも1つが含まれる場合がある。有線通信のためのモジュールとして、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、高精細度マルチメディアインターフェイス(HDMI)、Recommended Standard 232(RS−232)が挙げられる。
【0163】
〔第1ユーザ端末1003〕
第1ユーザ(患者)、患者の家族等を含む患者の関係者、特定の企業若しくは病院等の医療機関のスタッフ、及び/又はシステム1001へのアクセスを許可された他の人員が使用する第1ユーザ端末1003の種類は、特に限定されず、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の各種の端末が挙げられる。第1ユーザ端末1003は、ネットワーク1004を介して医療装置1002と通信可能に構成されている。また、第1ユーザ端末1003は、医療装置1002に第1データ及び第3データを送信し、入力指令及び第2データを受信するプログラムを記憶し、当該プログラムを実行可能に構成されている。
【0164】
必須の構成要素ではないが、第1ユーザ端末1003は、第1ユーザ(患者)の画像データを取得して医療装置1002に送信可能に構成されたセンサ(図示せず)を含んでいてもよい。センサは、患者の身体の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの画像を取得する画像取得センサであってもよい。少なくとも1つの得られた画像は、ビデオの静止画又はフレームであってもよい。センサが少なくとも1つの画像を取得したとき、センサは、医療装置1002に取得された画像データを送信してもよい。センサは、取得された少なくとも1つの画像データの特性をさらに分析してもよい。
【0165】
センサが複数の画像を取得する場合、センサは、複数の画像に基づいて第1ユーザの振動の程度(すなわち複数の画像に含まれる検出された部分の位置の変化)を分析してもよい。振動の程度は、予め決められた期間、人、個人、又は被験者の身体部分の動きの程度(例えば、眼のけいれん、眉の上げ、眼の瞳孔の膨張、顔の筋肉の緊張等)に関連づけられてもよい。振動の程度は、異なるタイミングで得られた複数の画像との比較に基づいて決定され得る。振動の程度が確立又は決定された後、センサは振動の程度に基づいて第1ユーザの状態を決定してもよい。単一の身体部分又は複数の身体部分に関連する振動の大きな程度は、感情的な状態、身体的状態又は精神状態を示す可能性がある。第1ユーザの表情に関する各種の条件を用いて、攻撃性、緊張、正常、休息/休息、又は疲労の指標を導き出し得る。
【0166】
センサは、異なるタイミングで画像データを取得可能であることが好ましい。センサが異なるタイミングで画像データを取得可能であることにより、健康状態及び緊急度に関する出力を決定する制御部に相当する決定部1212は、複数の画像データを含む第1データと医療データとに基づいて健康状態及び緊急度に関する情報を含む第2データを決定するに際し、異なるタイミングで取得された複数の第1ユーザ(患者)の画像データをそれぞれ比較して、病状の進行速度を把握することや、1日のうちの時間帯によって症状が変化する疾病を診断すること等を行える。したがって、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことの可能なシステム1001を提供できる。
【0167】
少なくとも1つの画像データは、静止画カメラ又はビデオカメラによって取得されてもよい。静止画カメラ又はビデオカメラは、最初に決定されたエリア(例えば、通り、駅のプラットフォーム)に設置された監視カメラ、又は第2の決定されたエリア(例えば、空港の入国管理区域)に設置された検出カメラであってもよい。また、少なくとも1つの画像データは、写真撮影機能及び/又はビデオ録画機能を備えるデバイスによって取得されてもよい。
【0168】
センサは、赤外線センサ等の第1ユーザ(患者)の熱画像データを取得可能なセンサであってもよい。熱画像データを取得可能なセンサであることにより、健康状態及び緊急度に関する出力を決定する制御部に相当する決定部1212は、熱画像データを含む第1データを用いて、患者の皮膚の表面温度を測定し、患者の末梢循環不全、麻痺による体温の左右差の有無、皮膚疾患及び/又は血管腫等の周辺部との温度差等の各種の患者の客観的な情報に基づいて第2データを決定できる。
【0169】
〔ネットワーク1004〕
ネットワーク1004の種類は特に限定されず、パーソナルエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、イントラネット、エクストラネット、インターネット、Wi−Fiネットワーク、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)に準拠したバスネットワーク、あるいはこれらを含むネットワークを複数組み合わせたネットワーク等が挙げられる。
【0170】
〔画像配信のメインフローチャート〕
図8及び
図9は、本実施形態における第1ユーザに関する健康状態及びその緊急度を決定する処理(以下、トリアージ処理とも称する。)の手順を示すメインフローチャートの一例である。以下では、
図8及び
図9を参照しながら、医療装置1002が行うトリアージ処理の好ましい手順について説明する。
【0171】
[ステップS21:第1データを受信したか否かを判定]
処理部1021は、記憶部1022及び通信部1025と協働して受信部1211を実行し、第1ユーザ端末1003から第1ユーザ(患者)の状態を含む第1データを受信したか否かを判定する(ステップS21)。
【0172】
ステップS21において、第1データを受信したか否かを判定することにより、患者の状態を含む第1データを確実に受信してから、トリアージ処理を行える。
【0173】
第1データは、医療装置1002とは別体に設けられているセンサ(図示せず)が取得した第1ユーザ(患者)の画像データを含むことが好ましい。センサは、第1ユーザ端末1003が有するセンサでもよい。第1データが患者の画像データを含むことにより、オペレータの主観が入らない客観的なデータである、患者の画像データを受信できる。したがって、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことの可能なシステム1001を提供できる。
【0174】
第1ユーザ(患者)の画像データは、異なるタイミングで取得された画像データを含むことが好ましい。これにより、健康状態及び緊急度に関する出力を決定する制御部に相当する決定部1212は、複数の画像データを含む第1データと医療データとに基づいて、健康状態及び緊急度に関する情報を含む第2データを決定するに際し、異なるタイミングで取得された複数の第1ユーザ(患者)の画像データをそれぞれ比較して、病状の進行速度を把握することや、1日のうちの時間帯によって症状が変化する疾病を診断すること等を行える。
【0175】
第1ユーザ(患者)の画像データは、赤外線センサ等により取得された第1ユーザ(患者)の熱画像データを含むことが好ましい。熱画像データを含むことにより、健康状態及び緊急度に関する出力を決定する制御部に相当する決定部1212は、熱画像データを含む第1データを用いて患者の皮膚の表面温度を測定し、患者の末梢循環不全、麻痺による体温の左右差の有無、皮膚疾患及び/又は血管腫等の周辺部との温度差等の各種の患者の客観的な情報に基づいて第2データを決定できる。
【0176】
第1データを受信していれば、処理部1021は、処理をステップS22に移す。第1データを受信していなければ、処理部1021は、処理をステップS21に移す。
【0177】
医療装置1002は、後述するステップS22からステップS24において実行される、入力指令に関する処理を行うことが好ましいが、入力指令に関する処理を行わなくてもよい。例えば、処理部1021は、第1データを受信している場合に、処理をステップS25に移してもよい。
【0178】
[ステップS22:入力指令を取得]
処理部1021は、記憶部1022と協働して入力指令部1214を実行し、入力指令テーブル1223からステップS21で受信した第1データに含まれる第1ユーザ(患者)の状態の1以上と紐付けられた入力指令を取得する(ステップS22)。処理部1021は、処理をステップS23に移す。
【0179】
ステップS22において、入力指令を取得することにより、第1ユーザ端末1003に必要な問診に対する回答及び/又は必要な医療データの入力を指令する入力指令を送信できる。これにより、第2ユーザの主観による問診内容の漏れを防ぎ、患者に対して客観的な問診を行える。
【0180】
[ステップS23:入力指令を送信]
処理部1021は、記憶部1022及び通信部1025と協働して入力指令部1214を実行し、ステップS22で取得した入力指令を、第1ユーザ端末1003に送信する(ステップS23)。処理部1021は、処理をステップS24に移す。
【0181】
ステップS23において、第1ユーザ端末1003に入力指令を送信することにより、第1ユーザ端末1003を操作する第1ユーザ(患者)、患者の家族等を含む患者の関係者、特定の企業又は病院等の医療機関のスタッフ、及び/又はシステム1001へのアクセスを許可された他の人員等に、必要な問診に対する回答及び/又は必要な医療データの入力を指令できる。
【0182】
[ステップS24:第3データを受信したか否かを判定]
処理部1021は、記憶部1022及び通信部1025と協働して受信部1211を実行し、第1ユーザ端末1003から第1ユーザ(患者)に関する必要な問診に対する回答及び/又は必要な医療データを含む第3データを受信したか否かを判定する(ステップS24)。第3データを受信していれば、処理部1021は、処理をステップS25に移す。第3データを受信していなければ、処理部1021は、処理をステップS24に移す。
【0183】
ステップS24において、第3データを受信したか否かを判定することにより、必要な問診に対する回答及び/又は必要な医療データを含む第3データを確実に受信してから、トリアージ処理を行える。
【0184】
[ステップS25:医療データを取得]
処理部1021は、記憶部1022と協働して決定部1212を実行し、医療データテーブル1221から第1ユーザ(患者)に関する医療データを取得する(ステップS25)。
【0185】
ステップS25において、医療データを取得することにより、患者の健康状態及び治療の緊急度に関する情報を出力部1213が出力する際、医療データを用いて既往症がより確実に網羅された状態で出力できる。
【0186】
処理部1021は、処理をステップS26に移す。医療装置1002は、後述するステップS26及びステップS27において判定部1217を実行して行われる、確定可能である健康状態に関する処理を行うことが好ましいが、確定可能である健康状態に関する処理を行わなくてもよい。例えば、処理部1021は、処理をステップS28に移してもよい。
【0187】
[ステップS26:確定可能フラグがONである健康状態候補があるか否かを判定]
処理部1021は、記憶部1022と協働して判定部1217を実行し、ステップS21で受信した第1データに含まれる全ての状態と、ステップS24で受信した第3データに含まれる全ての状態及び/又は医療データと、ステップS25で取得した医療データと、確定可能フラグ「ON」と紐付けられている健康状態及び当該健康状態に関する緊急度(以下、「確定可能フラグがONである健康状態候補」とも称する。)が、候補テーブル1224に格納されているか否かを判定する(ステップS26)。確定可能フラグがONである健康状態候補が候補テーブル1224に格納されていれば、処理部1021は、処理をステップS27に移す。確定可能フラグがONである健康状態候補が候補テーブル1224に格納されていなければ、処理部1021は、処理をステップS28に移す。
【0188】
ステップS26で実行される処理により、判定部1217は、第1データと第3データと医療データとを用いて、第1ユーザの疾病等として確定可能な確定可能健康状態の有無を判定できる。そして、確定可能フラグがONである健康状態候補、すなわち、患者の疾病として確定可能である疾病が見つかったとき、確定可能である疾病とその緊急度とを出力できる。また、患者の疾病として確定可能である疾病が見つからなかったとき、後述する除去部1216及びにより取り去られた健康状態候補群、及び医療データによって第2データを決定する。そのため、現在ある情報を最大限活用し、可能性が低くても想定される重大な疾病に漏れが生じるリスクを最小限に抑えられ、できる限り正確に緊急度を予測できる。
【0189】
[ステップS27:確定可能フラグがONである健康状態候補を出力]
処理部1021は、記憶部1022、及び通信部1025と協働して決定部1212を実行し、1又は複数の確定可能フラグがONである健康状態候補を候補テーブル1224から取得し、取得された1又は複数の確定可能フラグがONである健康状態候補とを表示させる指令を第1ユーザ端末1003に送信する(ステップS27)。処理部1021は、処理をステップS28に移す。
【0190】
1又は複数の確定可能フラグがONである健康状態候補を候補テーブル1224から取得し、取得された1又は複数の確定可能フラグがONである健康状態候補とを表示させる指令を第1ユーザ端末1003に送信することにより、患者の疾病として確定可能である疾病が見つかったとき、健康状態等を決定する制御部に相当する決定部1212は、この確定可能である疾病を用いて第2データを決定することができる。そのため、患者の疾病を迅速に把握できる。
【0191】
[ステップS28:第1データから健康状態候補群を生成]
処理部1021は、記憶部1022と協働して生成部1215を実行し、ステップS21で受信した第1データに含まれるいずれかの状態と紐付けられた、1又は複数の健康状態と当該健康状態についての緊急度とを健康状態テーブル1222から取得し、取得された1又は複数の健康状態と緊急度とを紐付けた健康状態候補を含む健康状態候補群を生成する(ステップS28)。
【0192】
ステップS28において、第1データに含まれるいずれかの状態を含む、1又は複数の健康状態を健康状態テーブル1222から取得し、取得された1又は複数の健康状態と緊急度とを紐付けた健康状態候補を含む健康状態候補群を生成することにより、生成部1215は、第1ユーザ(患者)の状態及び医療データに基づき、想定される疾病を漏れなく含む健康状態候補群を生成できる。
【0193】
必須の処理ではないが、ステップS28において、処理部1021は、記憶部1022と協働して、複数の画像データに基づいて第1ユーザの精神状態を判定する精神状態判定部(図示せず)を実行し、少なくともステップS21で受信した第1データに含まれる異なるタイミングで取得された複数の画像データに基づいて第1ユーザ(患者)の精神状態を判定してもよい。
【0194】
これにより、健康状態及び緊急度に関する情報を含む第2データを決定するに際し、医療装置1002の制御部に相当する決定部1212は、異なるタイミングに取得された第1ユーザ(患者)の画像データを用いて精神状態の判定を行い、患者の肉体的な疾病だけでなく、精神的な疾病をも含む健康状態を決定できる。また、当該制御部は、第2データを決定するに際し、肉体的な疾病と精神状態との相乗効果を考慮して、健康状態の緊急度を決定できる。したがって、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等に関する患者の健康状態及び緊急度の決定をより正確に行うことの可能なシステム1001を提供できる。
【0195】
処理部1021は、処理をステップS29に移す。医療装置1002は、後述するステップS29及びステップS30において除去部1216を実行して行われる、第1ユーザの疾病等との関連性が相対的に低いと予測される疾病等に関する処理を行うことが好ましいが、第1ユーザの疾病等との関連性が相対的に低いと予測される疾病等に関する処理を行わなくてもよい。例えば、処理部1021は、処理をステップS31に移してもよい。
【0196】
[ステップS29:低関連性フラグがONである健康状態候補があるか否かを判定]
処理部1021は、記憶部1022と協働して除去部1216を実行し、ステップS21で受信した第1データに含まれる全ての状態と、ステップS24で受信した第3データに含まれる全ての状態及び/又は医療データと、ステップS25で取得した医療データと、低関連性フラグ「ON」と紐付けられている健康状態(以下、「低関連性フラグがONである健康状態候補」とも称する。)が、候補テーブル1224に格納されているか否かを判定する(ステップS29)。低関連性フラグがONである健康状態候補が候補テーブル1224に格納されていれば、処理部1021は、処理をステップS30に移す。低関連性フラグがONである健康状態候補が候補テーブル1224に格納されていなければ、処理部1021は、処理をステップS31に移す。
【0197】
ステップS29で実行される処理により、第1ユーザの疾病等との関連性が相対的に低いと予測される疾病等がある場合に、それらを取り除く処理を実行できる。
【0198】
[ステップS30:低関連性フラグがONである健康状態候補を除去]
処理部1021は、記憶部1022と協働して除去部1216を実行し、候補テーブル1224に格納されている、低関連性フラグがONである健康状態候補と同じ健康状態を有する健康状態候補を、ステップS28で生成された健康状態候補群から除去する(ステップS30)。処理部1021は、処理をステップS31に移す。
【0199】
低関連性フラグがONである健康状態候補と同じ健康状態を有する健康状態候補を、ステップS28で生成された健康状態候補群から除去することにより、除去部1216は、患者の状態に基づいて指令された必要な問診に対する回答の入力、患者の状態から得られる第3データと、患者の既往症がより確実に網羅されたい医療データとを用いて、第1ユーザの疾病等との関連性が相対的に低いと予測される疾病等を取り除ける。
【0200】
緊急度の把握においては、可能性が低くても重大な疾病を想定することが重要であり、想定される疾病に漏れがあることは許容されない。
【0201】
ステップS28において生成部1215を実行して行われる健康状態候補群を生成する処理に加えて、ステップS26及びステップS27において判定部1217を実行して行われる、確定可能である健康状態に関する処理と、後述するステップS29及びステップS30において除去部1216を実行して行われる、第1ユーザの疾病等との関連性が相対的に低いと予測される疾病等を取り除く処理とを行うことにより、生成部1215は、第1ユーザ(患者)の状態及び医療データに基づき、想定される疾病を漏れなく含む健康状態候補群を生成できる。そして、除去部1216は、患者の状態に基づいて指令された必要な問診に対する回答の入力、患者の状態から得られる第3データと、患者の既往症がより確実に網羅されたい医療データとを用いて、第1ユーザの疾病等との関連性が相対的に低いと予測される疾病等を取り除く。また、判定部1217は、上述した第3データと医療データとを用いて、第1ユーザの疾病等として確定可能な確定可能健康状態の有無を判定する。
【0202】
そして、判定部1217により、患者の疾病として確定可能である疾病が見つかったとき、健康状態等を決定する制御部に相当する決定部1212は、この確定可能である疾病を用いて第2データを決定することができる。そのため、患者の疾病を迅速に把握できる。加えて、決定部1212は、確定可能である疾病だけでなく、除去部1216により取り去られた健康状態候補群、及び医療データによっても第2データを決定できる。そのため、可能性が低くても想定される重大な疾病に漏れが生じるのを防ぐことができ、緊急度を正確に把握できる。
【0203】
他方、判定部1217により、患者の疾病として確定可能である疾病が見つからなかったとき、決定部1212は、除去部1216により取り去られた健康状態候補群、及び医療データによって第2データを決定できる。そのため、現在ある情報を最大限活用し、可能性が低くても想定される重大な疾病に漏れが生じるリスクを最小限に抑えられ、できる限り正確に緊急度を予測できる。
【0204】
[ステップS31:健康状態候補群が1以上の健康状態を含むか否かを判定]
処理部1021は、記憶部1022と協働して出力部1213を実行し、健康状態候補群が、1以上の健康状態候補を含むか否かを判定する(ステップS31)。1以上の健康状態候補を含むならば、処理部1021は、処理をステップS32に移す。1以上の健康状態候補を含まないならば、処理部1021は、処理をステップS21に移し、ステップS21からステップS33を繰り返す。
【0205】
健康状態候補群が、1以上の健康状態候補を含むか否かを判定することにより、健康状態候補群が、1以上の健康状態候補を含む場合にのみ、健康状態候補群に含まれる健康状態候補を出力する処理を実行できる。
【0206】
[ステップS32:緊急度が最も高い健康状態候補から1つ選択して出力]
処理部1021は、記憶部1022及び通信部1025と協働して出力部1213を実行し、健康状態候補群に含まれている健康状態候補のうち、緊急度が最も高い健康状態候補から1つ選択して出力する指令を第1ユーザ端末1003に送信する(ステップS32)。処理部1021は、処理をステップS33に移す。
【0207】
健康状態候補群に含まれている健康状態候補のうち、緊急度が最も高い健康状態候補から1つ選択して出力する指令を第1ユーザ端末1003に送信することにより、患者の健康状態及び治療の緊急度に関する情報を出力できる。
【0208】
[ステップS33:ステップS32で出力された健康状態候補を取り除く]
処理部1021は、記憶部1022及び通信部1025と協働して出力部1213を実行し、ステップS32で出力された健康状態候補を健康状態候補群から取り除く(ステップS33)。処理部1021は、処理をステップS31に移す。
【0209】
ステップS32で出力された健康状態候補を健康状態候補群から取り除くことにより、同じ健康状態候補を複数回出力することを避けられる。
【0210】
ステップS21からステップS33に係る上述の手順により、オペレータの主観ができるだけ含まれていない情報を医療装置1002が受信可能にし、当該情報と、患者がこれまでにかかった既往症がより確実に網羅された情報とを合わせることで、患者の健康状態の把握と、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等とをより正確に行うことの可能な医療装置1002を提供できる。
【0211】
図8及び
図9を用いて例示した処理の流れにおいて、ステップS21及びステップS24では、第2ユーザが操作する第1データ端末1003から第1ユーザに関する情報を受信したが、本実施形態の医療装置1002は、入力部1024を用いて第2ユーザが入力した第1ユーザに関する情報を受信してもよい。また、ステップS23、ステップ7及びステップS32では、第2ユーザが操作する第1データ端末1003に各種の情報を表示する指令を送信したが、本実施形態の医療装置1002は、表示部1023にこれらの情報を表示してもよい。これにより、医療装置1002は、ネットワーク1004に接続できない場合であっても、トリアージ処理を実行できる。
【0212】
<システムの使用例>
続いて、本実施形態におけるシステム1001の使用例を説明する。
【0213】
本実施形態によると、医療装置1002は、ネットワーク1004を介し、第1ユーザ端末1003と接続可能に構成されている。
【0214】
〔患者の状態の送信〕
まず、医療装置1002を使用する第2ユーザは、第1ユーザ端末1003を介して患者である第1ユーザの状態を含む第1データを医療装置1002に送信する。医療装置1002は、受信部1211を実行し、第1データを受信する。
【0215】
〔問診に対する回答等の入力〕
医療装置1002は、入力指令部1214を実行し、入力指令テーブル1223に格納された第1データと紐付けられた1又は複数の必要な問診に対する回答及び/又は必要な医療データの入力を指令する入力指令を取得する。そして、第1データを送信した第1ユーザ端末1003に取得された1又は複数の入力指令を送信する。第1ユーザ端末1003は、この入力指令を受信し、第2ユーザに対して表示する。第2ユーザは、第1ユーザ端末1003を介して1又は複数の必要な問診に対する回答及び/又は必要な医療データを含む第3データを入力し、入力された第3データを医療装置1002に送信する。医療装置1002は、第3データを受信する。
【0216】
〔確定可能である健康状態候補の出力〕
医療装置1002は、判定部1217を実行し、第1データ、医療データ及び第3データを用いて確定可能である1又は複数の健康状態が候補テーブル1224に格納されている場合は、第1ユーザ端末1003に確定可能である1又は複数の健康状態及び当該健康状態に関する緊急度の表示を指令し、健康状態及び緊急度を表示する処理に進む。確定可能である1又は複数の健康状態が候補テーブル1224に格納されていない場合は、健康状態及び緊急度を表示する処理に進む。
【0217】
〔健康状態及び緊急度の表示〕
医療装置1002は、生成部1215を実行し、健康状態テーブル1222に格納された第1データと紐付けられた健康状態及びその緊急度を取得し、第1データを用いて想定される疾病を漏れなく含む健康状態候補群を生成する。医療装置1002は、除去部1216を実行し、候補テーブル1224に第1データ、医療データ及び第3データと紐付けられた第1ユーザの疾病等との関連性が相対的に低いと予測される1又は複数の健康状態候補がある場合は、健康状態候補群からそれらの健康状態候補を取り除く。医療装置1002は、出力部1213を実行し、健康状態候補群に含まれる1又は複数の健康状態及び当該健康状態に関する緊急度を、緊急度が最も高いものから順に表示するよう第1ユーザ端末1003に指令する。
【0218】
したがって、オペレータの主観ができるだけ含まれていない情報を医療装置1002が受信可能となる。そして、当該情報と、患者がこれまでにかかった既往症がより確実に網羅された情報とを合わせることで、予測される疾病、それに伴い選定される診療に関する専門分野区分である診療科等によって例示される患者の健康状態及び緊急度の把握をより正確に行い、患者の健康状態及び緊急度に基づいて、患者に必要な検査、治療方針、受診の緊急度、患者の治療順位、救急搬送の順位、搬送先施設の決定等によって例示される必要な対応の選別をより正確に行うことの可能な医療装置1002を提供できる。
【0219】
<変形例> 機械学習を行う医療装置1002
第2実施形態のシステム1001において、健康状態候補群を生成する処理は、第1データ等と紐付けられた健康状態及びその緊急度を健康状態テーブル1222から取得することによって実行されたが、これに限るものではない。本発明の健康状態候補群を生成する処理は、第1データ及び第3データを用いて健康状態及び当該健康状態の緊急度に関する機械学習を行ったニューラルネットワークに基づいて実行されてもよい。
【0220】
本変形例の医療装置1002は、第1データ及び第3データを用いてニューラルネットワークに健康状態及び当該健康状態の緊急度に関する機械学習を行わせる機械学習部(図示せず)をさらに備える。また、本変形例の記憶部1022は、上述のニューラルネットワーク(図示せず)を記憶可能に構成されている。
【0221】
本変形例の医療装置1002は、
図9に示すステップS28において、第1データ及び第3データを用いて健康状態及び当該健康状態の緊急度に関する機械学習を行ったニューラルネットワークに基づいて健康状態候補群を生成する。これにより、機械学習を行ったニューラルネットワークに基づき、患者の状態、医療データ及び/又は問診から推測される患者の健康状態を決定できる。
【0222】
本変形例の医療装置1002は、ニューラルネットワークに健康状態及び当該健康状態の緊急度に関する機械学習を行わせる。機械学習を行わせるタイミングは、特に限定されず、例えば、
図9に示すステップS31を実行する前に、処理部1021及び記憶部1022と協働して第1データ及び第3データを用いてニューラルネットワークに健康状態及び当該健康状態の緊急度に関する機械学習を行わせる機械学習部を実行し、ニューラルネットワークに健康状態及び当該健康状態の緊急度に関する機械学習を行わせてもよい。
【0223】
ニューラルネットワークに健康状態及び当該健康状態の緊急度に関する機械学習を行わせることにより、医療装置1002は、蓄積された患者の状態、医療データ及び/又は問診に基づくニューラルネットワークの機械学習を行える。また、医療装置1002は、機械学習に基づいて、患者の状態、医療データ及び/又は問診と疾病との新たな関連性を見出し、疾病及び緊急度の決定の精度を高められる。機械学習を用いることにより、医療装置1002の開発者等が膨大な第1データ及び第3データを参照してこれらのデータと疾病との関連性を探す労力及び時間を費やすことなく、医療装置1002は、どのような疾病と緊急性があるかをより正確に決定できる。
【0224】
上記の特徴のバリエーション及び組み合わせが、代替又は代用物ではなく、更なる実施形態を形成するために開示の意図された範囲内に組み合わせることができることを当業者(the person skilled in the art)が理解すべきである。
【0225】
当業者によって理解されるであるように、各実施形態は、他の実施形態又はいくつかの実施形態と組み合わせて使用されてもよい。本開示は、医療診断(例えば周産期に行われる医学的診断)及び/又は病院での手術に適用することができる。