(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989210
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】ロボット清掃デバイスの移動の制御
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20211220BHJP
G05D 1/00 20060101ALI20211220BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
G05D1/02 H
G05D1/00 B
A47L9/28 E
【請求項の数】25
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-505825(P2020-505825)
(86)(22)【出願日】2017年9月26日
(65)【公表番号】特表2020-535496(P2020-535496A)
(43)【公表日】2020年12月3日
(86)【国際出願番号】EP2017074406
(87)【国際公開番号】WO2019063066
(87)【国際公開日】20190404
【審査請求日】2020年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】516124465
【氏名又は名称】アクチエボラゲット エレクトロルックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リンデ、マグヌス
(72)【発明者】
【氏名】フォルスベルグ、ペッテル
(72)【発明者】
【氏名】ノルディン、ニクラス
【審査官】
中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】
特表2016−513981(JP,A)
【文献】
特開2006−277121(JP,A)
【文献】
特開2015−009109(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0265703(US,A1)
【文献】
特開2002−085305(JP,A)
【文献】
特開2006−004334(JP,A)
【文献】
特開2001−129787(JP,A)
【文献】
特開2008−262261(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第104161487(CN,A)
【文献】
特表2013−537487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D1/00−1/12
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃対象区域上におけるロボット清掃デバイスの移動を制御する方法であって、
前記ロボット清掃デバイスが移動するべき前記清掃対象区域の少なくとも1つの表現を記憶することと、
清掃プログラムを実行するための命令及び前記清掃プログラムをどのように実行するかに関するユーザアドバイスを受信することと、
前記ユーザアドバイスを、前記ロボット清掃デバイスが移動するべき前記清掃対象区域の前記記憶された少なくとも1つの表現に関連付けることと、
前記命令に応じて、前記記憶された表現に対する前記ロボット清掃デバイスの位置を特定することと、
前記記憶された表現及び前記関連付けられたユーザアドバイスを考慮することによって、前記清掃プログラムによって規定されたとおりに前記清掃対象区域上で移動することと、
を含む方法であって、
前記ユーザアドバイスは、前記記憶された表現内の指示された物体にぶつかり、前記物体を移動させるための第1命令を含み、
前記第1命令の少なくとも1回の試みの後に、前記ロボット清掃デバイスが、前記第1命令によって規定されたとおりに移動することができない場合には、受信された前記第1命令を無効化することをさらに含む、方法。
【請求項2】
前記第1命令の前記無効化は、前記記憶された表現上で、ユーザによって除去可能な記号を用いて指示される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザアドバイスが、
前記記憶された表現内の1つ以上の部分区域を回避するための前記ロボット清掃デバイスへの命令を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザアドバイスが、
前記記憶された表現内の指示された境界を通過するための命令を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ユーザアドバイスが、
前記記憶された表現内の指示された物体と接触するように移動するための命令を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ユーザアドバイスが、
前記記憶された表現内の1つ以上の部分区域上で複数回移動するための命令を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーザアドバイスが、
前記記憶された表現内の部分区域上で、優先度付けされた順序で移動するための命令を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ロボット清掃デバイスが移動するべき前記清掃対象区域の表現を、前記ユーザアドバイスが前記表現に関連付けられた場合にのみ、清掃セッションごとに記憶することをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記清掃対象区域上でどのように移動するのかに関する命令のためのユーザアドバイスをユーザに対し要求することをさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記清掃対象区域上でどのように移動するのかに関する命令のためのユーザアドバイスをユーザに対し前記要求することは、前記ロボット清掃デバイスが、前記記憶された表現上の特定の区域を標識し、前記特定の区域に、前記ユーザアドバイスをラベル付けするかを尋ねることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記清掃対象区域上でどのように移動するのかに関する命令のためのユーザアドバイスをユーザに対し前記要求することは、前記記憶された表現上の前記清掃対象区域の形状を変更するかを尋ねることをさらに含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記ロボット清掃デバイスが新たな区域を清掃するよう命令されると、前記記憶された表現を取り消すことをさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
清掃対象とすべき前記表現内の部分区域をユーザに提案することと、
前記提案に応じて、どのように進行するのかに関するユーザからの命令を受信することと、
をさらに含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ユーザからの前記命令が、前記提案された部分区域を変更するための命令を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ロボット清掃デバイスであって、
前記ロボット清掃デバイスを清掃対象区域上で移動させるように構成された推進システムと、
前記ロボット清掃デバイスが移動するべき前記清掃対象区域の少なくとも1つの表現を記憶するように構成されたメモリと、
コントローラであって、
清掃プログラムを実行するための命令及び前記清掃プログラムをどのように実行するのかに関するユーザアドバイスを受信すること、
前記ユーザアドバイスを、前記ロボット清掃デバイスが移動するべき前記清掃対象区域の前記記憶された少なくとも1つの表現に関連付けることと、
前記命令に応じて、前記記憶された表現に対する前記ロボット清掃デバイスの位置を特定すること、及び
前記推進システムを、前記記憶された表現及び前記関連付けられたユーザアドバイスを考慮することによって、前記清掃プログラムによって規定されたとおりに前記ロボット清掃デバイスを前記清掃対象区域上で移動させるように制御すること、
を行うように構成された、コントローラと、
を備えるロボット清掃デバイスであって、
前記ユーザアドバイスは、前記記憶された表現内の指示された物体にぶつかり、前記物体を移動させるための第1命令を含み、
前記コントローラが、
前記第1命令の少なくとも1回の試みの後に、前記ロボット清掃デバイスが、前記第1命令によって規定されたとおりに移動することができない場合には、受信された前記第1命令を無効化するようにさらに構成されている、ロボット清掃デバイス。
【請求項16】
前記ユーザアドバイスが、
前記記憶された表現内の1つ以上の部分区域を回避するための前記ロボット清掃デバイスへの命令を含む、請求項15に記載のロボット清掃デバイス。
【請求項17】
前記ユーザアドバイスが、
前記記憶された表現内の指示された境界を通過するための命令を含む、請求項15又は16に記載のロボット清掃デバイス。
【請求項18】
前記ユーザアドバイスが、
前記記憶された表現内の指示された物体と接触するように移動するための命令を含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載のロボット清掃デバイス。
【請求項19】
前記ユーザアドバイスが、
前記記憶された表現内の1つ以上の部分区域上で複数回移動するための命令を含む、請求項15〜18のいずれか一項に記載のロボット清掃デバイス。
【請求項20】
前記ユーザアドバイスが、
前記記憶された表現内の部分区域上で、優先度付けされた順序で移動するための命令を含む、請求項15〜19のいずれか一項に記載のロボット清掃デバイス。
【請求項21】
前記メモリが、
前記ロボット清掃デバイスが移動するべき前記清掃対象区域の表現を、ユーザアドバイスが前記表現に関連付けられた場合にのみ、清掃セッションごとに記憶するようにさらに構成されている、請求項15〜20のいずれか一項に記載のロボット清掃デバイス。
【請求項22】
前記コントローラが、
前記清掃対象区域上でどのように移動するのかに関する命令のためのユーザアドバイスをユーザに対し要求するようにさらに構成されている、請求項15〜21のいずれか一項に記載のロボット清掃デバイス。
【請求項23】
前記コントローラが、
前記ロボット清掃デバイスが新たな区域を清掃するよう命令されると、前記記憶された表現を取り消すようにさらに構成されている、請求項15〜22のいずれか一項に記載のロボット清掃デバイス。
【請求項24】
前記コントローラが、
清掃対象とすべき前記表現内の部分区域をユーザに提案すること、
前記提案に応じて、どのように進行するのかに関する前記ユーザからの命令を受信すること、
を行うようにさらに構成されている、請求項15〜23のいずれか一項に記載のロボット清掃デバイス。
【請求項25】
前記ユーザからの前記命令が、前記提案された部分区域を変更するための命令を含む、請求項24に記載のロボット清掃デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃対象区域上におけるロボット清掃デバイスの移動を制御する方法、及び本方法を遂行するロボット清掃デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの技術分野において、あり得る障害物と衝突することなく空間を自由に動き回ることができるよう、自律的挙動を有するロボットを用いることが望まれる。
【0003】
当技術分野においては、掃除機を、清掃対象表面を横切って移動させるためのモータの形態の駆動手段を装備した、ロボット真空掃除機が知られている。ロボット真空掃除機は、ロボット真空掃除機が、例えば、床の形態の表面を自由に動き回り、清掃することができるよう、自律的挙動を可能にするための、マイクロプロセッサの形態の知能、及び進路誘導手段をさらに装備する。それゆえ、これらの従来技術のロボット真空掃除機は、テーブル及び椅子などの物体、並びに壁及び階段などの他の障害物が配置された部屋を自律的に真空掃除する能力を有する。
【0004】
ロボット真空掃除機は様々なセンサを用いてそれらがどこにいるのかを常に把握し、それらの近傍における物体、すなわち、障害物を検出する。障害物検出は、特定のロボット真空掃除機の複雑さに応じて程度の差はあれ、インテリジェントであるが、不可避的に時折誤りを犯すことになる。例えば、ロボット掃除機は、それが進むべき区域を回避するか、又はそれが避けるべき物体にぶつかることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、当技術分野におけるこの問題を解決するか、又は少なくとも緩和し、それゆえ、清掃対象区域上におけるロボット清掃デバイスの移動を制御する改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様では、清掃対象区域上におけるロボット清掃デバイスの移動を制御する方法が提供される。本方法は、ロボット清掃デバイスが移動するべき区域の少なくとも1つの表現を記憶することと、清掃プログラムを実行するための命令を受信することと、命令に応じて、記憶された表現に対するロボット清掃デバイスの位置を特定することと、記憶された表現を考慮することによって、清掃プログラムによって規定されたとおりに清掃対象区域上で移動することと、を含む。
【0007】
本発明の第2の態様では、ロボット清掃デバイスが提供される。ロボット清掃デバイスは、ロボット清掃デバイスを清掃対象区域上で移動させるように構成された推進システムと、ロボット清掃デバイスが移動するべき区域の少なくとも1つの表現を記憶するように構成されたメモリと、コントローラであって、清掃プログラムを実行するための命令を受信すること、命令に応じて、記憶された表現に対するロボット清掃デバイスの位置を特定すること、及び推進システムを、記憶された表現を考慮することによって、清掃プログラムによって規定されたとおりにロボット清掃デバイスを清掃対象区域上で移動させるように制御すること、を行うように構成された、コントローラと、を備える。
【0008】
それゆえ、ロボット清掃デバイスは、有利に、清掃対象区域の表現、又は地図を記憶する。例えば、ユーザが単に「プログラム開始」を押し、例えば、無線信号を介して、命令をロボット清掃デバイスへ送信するよう、ユーザに自分のスマートフォン上のアプリを操作させることによって、清掃プログラムを実行するための命令を受信すると、ロボット清掃デバイスは、命令に応じて、記憶された表現に対するそれ自身の位置を特定することになる。例えば、ロボット清掃デバイスは、その充電ステーションが最後の清掃セッション以降、移動していないと仮定し、それゆえ、それを、表現10に対するロボット清掃デバイス自身の位置を特定するための基準として用いてもよい。それは、また、清掃セッションを開始する際に、カメラ、ライダー、レーダー、3Dカメラ、ソナー、又は同様のものなどのセンサを用いてすぐ近くの周辺をスキャンし、次に、スキャンを、表現に関連付けられた同様のスキャンと比較してもよい。スキャンが十分に同様である場合には、それを、表現に対するロボット清掃デバイスの位置を特定するために用いることができる。その後、ロボット清掃デバイスは、記憶された表現を考慮することによって、清掃プログラムによって規定されたとおりに清掃対象区域上で移動する。
【0009】
例えば、清掃区域の範囲及び形状を知ることによって、ロボット清掃デバイスは、有利に、事前情報を有せずに清掃するときよりも効率的な仕方で、区域をどのようにセルに分割するのかを計画することができる。デバイスはまた、中央から外側に向けて清掃し、一方の側が完了すると区域を横切って移動しなければならないのではなく、区域の一方の端部において出発することによって、移動において費やされる時間を最小限に抑えることもできる。さらに、それは、部屋の中に小さな区域を未清掃のまま残すことを回避し、これにより、その部屋への敷居を数回登って越える必要を回避するために、いつ充電ステーションに戻り、再充電するのかを計画し得る。
【0010】
一実施形態では、受信される命令は、さらに有利に、清掃プログラムをどのように実行するのかに関するユーザアドバイスを含み、ロボット清掃デバイスはこのユーザアドバイスを、記憶された表現に関連付け、ロボット清掃デバイスは、その後、記憶された表現及び関連付けられたユーザアドバイスを考慮することによって清掃対象区域にわたって移動することになる。
【0011】
例示的な一実施形態では、ユーザアドバイスは、記憶された表現内の1つ以上の部分区域を回避するためのロボット清掃デバイスへの命令を含む。
【0012】
別の例示的な実施形態では、ユーザアドバイスは、記憶された表現内で指示される境界を通過するための命令を含む。
【0013】
さらに別の例示的な実施形態では、ユーザアドバイスは、移動し、記憶された表現内で指示された物体と接触するための命令を含む。
【0014】
なお別の例示的な実施形態では、ユーザアドバイスは、記憶された表現内の1つ以上の部分区域上で複数回移動するための命令を含む。
【0015】
なおさらなる例示的な実施形態では、ユーザアドバイスは、記憶された表現内の部分区域上で、優先度付けされた順序で移動するための命令を含む。
【0016】
別の実施形態では、ロボット清掃デバイスは、少なくとも1回の試みの後に、ロボット清掃デバイスが、ユーザアドバイスによって規定されたとおりに移動することができない場合には、受信されたユーザアドバイスを無効にする。
【0017】
さらなる実施形態では、ロボット清掃デバイスは、ロボット清掃デバイスが移動するべき区域の表現を、ユーザアドバイスがこの表現に関連付けられた場合にのみ、清掃セッションごとに記憶する。
【0018】
さらに別の実施形態では、ロボット清掃デバイスは、新たな区域を清掃するように命令されると、記憶された表現を取り消す。
【0019】
さらなる実施形態では、ロボット清掃デバイスは、清掃対象区域上でどのように移動するのかに関する命令のためのユーザからのアドバイスを要求する。
【0020】
なお別の実施形態では、ロボット清掃デバイスは、清掃対象とすべき表現内の部分区域をユーザに提案し、提案に応じて、どのように進行するのかに関するユーザからの命令を受信する。
【0021】
別の実施形態では、ユーザからの命令は、提案された部分区域を変更するための命令を含む。
【0022】
概して、請求項において使用される全ての用語は、本明細書において別途明示的に定義されない限り、当技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「a/an/the element,apparatus,component,means,step,etc.(要素、装置、構成要素、手段、ステップなど)」への言及は全て、別途明示的に断りのない限り、要素、装置、構成要素、手段、ステップなどの少なくとも1つの例に言及するものとしてオープンに解釈される。本明細書において開示される任意の方法のステップは、明示的に断りのない限り、開示されている正確な順序で遂行される必要はない。
【0023】
次に、添付の図面を参照して本発明を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の例示的な一実施形態に係るロボット清掃デバイスを示す。
【
図2】
図2は、一実施形態における清掃対象区域の表現を示す。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る方法のフローチャートを示す。
【
図4】
図4は、別の実施形態における清掃対象区域の表現を示す。
【
図5】
図5は、本発明のさらなる実施形態に係る方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、以下において、本発明の特定の諸実施形態が示された添付の図面を参照して、本発明をより完全に説明する。しかし、本発明は多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書において説明されている諸実施形態に限定されるように解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的で完全になり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えることになるよう、例として提供されている。本記載全体を通じて同様の番号は同様の要素を指す。
【0026】
本発明は、ロボット清掃デバイス、又は換言すれば、表面を清掃するための自動自己推進式機械、例えば、ロボット真空掃除機、ロボットスイーパ又はロボット床洗浄機に関する。本発明に係るロボット清掃デバイスは、商用電源駆動式でコードを有するか、電池駆動式であるか、又は任意の他の種類の好適なエネルギー源、例えば、太陽エネルギーを用いることができる。
【0027】
本発明は、十分な処理知能を具備する様々な適切なロボット清掃デバイスによって遂行され得ることが想定されているものの、
図1は、本発明の一実施形態に係るロボット清掃デバイス100を下面図で示す。すなわち、ロボット清掃デバイスの底部側が示される。矢印は、ロボット真空掃除機の形態で示されるロボット清掃デバイス100の前方方向を指示する。
【0028】
ロボット清掃デバイス100は、清掃デバイスが清掃対象表面上を移動させられ得るよう駆動車輪112、113の運動を可能にするための2つの電気車輪モータ115a、115bの形態の駆動手段を備える推進システムなどの構成要素を収容する本体111を備える。各車輪モータ115a、115bは、ロボット清掃デバイス100を、清掃対象表面を横切って移動させるために、それぞれの駆動車輪112、113を互いに独立して回転するように制御する能力を有する。多数の異なる駆動車輪配置、及び様々な車輪モータ配置が想定され得る。ロボット清掃デバイスは、より伝統的な円形状本体、又は三角形状本体を有するデバイスなどの、任意の適当な形状を有し得ることに留意されたい。代替例として、軌道推進システム、又はさらに、ホバークラフト推進システムが用いられてもよい。推進システムは、ロボット清掃デバイス100に、ヨー、ピッチ、並進又はロール運動のうちの任意の1つ以上のものを遂行させるようにさらに構成されていてもよい。
【0029】
マイクロプロセッサなどのコントローラ116が、車輪モータ115a、115bを、ロボット清掃デバイスが避けて走行しなければならない、壁、フロアランプ、テーブル脚の形態の障害物を検出するための障害物検出デバイス(
図1には示されていない)から受信された情報を考慮して必要とされるとおりに駆動車輪112、113を回転させるように制御する。障害物検出デバイスは、例えば、障害物を検出し、任意の検出された障害物についての情報をマイクロプロセッサ116へ通信するための3Dカメラ、レーザと組み合わせたカメラ、レーザスキャナなどを用いて実装される、障害物検出デバイスの周囲状況を登録する3Dセンサシステムの形態で具体化され得る。マイクロプロセッサ116は車輪モータ115a、115bと通信し、障害物検出デバイスによって提供された情報に従って、ロボット清掃デバイス100が所望に応じて清掃対象表面を横切って移動することができるように車輪112、113の運動を制御する。
【0030】
さらに、ロボット清掃デバイス100は、清掃デバイス100内に含まれる異なる構成要素に電力を供給するための1つ以上の電池117を備える。1つ以上の電池117は、ロボット清掃デバイス100がドッキングする充電ステーションを介して充電される。
【0031】
さらに、ロボット掃除機100の本体111は、本体111の底部側内の開口部118を介して、ごみを、本体内に収容された集塵袋又はサイクロン機構(図示されていない)へ輸送するための空気流を生み出す吸引ファン120を備える。吸引ファン120は、コントローラ116に通信可能に接続されたファンモータ121によって駆動される。ファンモータ121はコントローラ116から、吸引ファン120を制御するための命令を受信する。本体111には、開口部118に隣接した1つ以上の回転サイドブラシ114がさらに配置されていてもよい。
【0032】
図1をさらに参照すると、1つ以上のマイクロプロセッサの形態で具体化されたコントローラ/処理ユニット116は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ又はハードディスクドライブなどの、マイクロプロセッサに関連付けられた好適な記憶媒体126にダウンロードされたコンピュータプログラム125を実行するように構成されている。コントローラ116は、コンピュータ実行可能命令を含む適切なコンピュータプログラム125が記憶媒体126にダウンロードされ、コントローラ116によって実行されると、本発明の諸実施形態に係る方法を実施するように構成されている。記憶媒体126はまた、コンピュータプログラム125を含むコンピュータプログラム製品であってもよい。代替的に、コンピュータプログラム125は、デジタル多用途ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)又はメモリスティックなどの、好適なコンピュータプログラム製品を用いて記憶媒体126へ転送されてもよい。さらなる代替例として、コンピュータプログラム125は有線又は無線ネットワークを通じて記憶媒体126にダウンロードされてもよい。コントローラ116は、代替的に、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)などの形態で具体化されてもよい。
【0033】
図2は、ロボット清掃デバイス100によって清掃対象区域の表現10、又は地図を示す。例えば、表現10は家の床を表現してもよく、表現10の異なる部分区域は、台所11、居間12、寝室13などの様々な部屋を表現する。
【0034】
図3のフローチャートを参照してさらに示される一実施形態では、ロボット清掃デバイスが、ロボット清掃デバイスが移動するべき区域の少なくとも1つの表現10を記憶する(S101)。
【0035】
次に、ステップS102において、ロボット清掃デバイスは、清掃プログラムを実行するための命令を受信する。例えば、ユーザが自分のスマートフォン上にアプリを有し、アプリにおいて、ユーザが単に「プログラム開始」を押し、すると、無線信号が、例えば、WiFiを介して、スマートフォンからロボット清掃デバイスへ送信されることが想定される。
【0036】
ステップS102において清掃プログラムを開始するための命令を受信すると、ロボット清掃デバイス100は、命令に応じて、ステップS103において、記憶された表現10に対するそれ自身の位置を特定することになる。
【0037】
例えば、ロボット清掃デバイス100は、充電ステーション14が、最後の清掃セッション以降、移動していないと仮定し、それゆえ、それを、表現10に対するロボット清掃デバイス自身の位置を特定するための基準として用いてもよい。それは、また、清掃セッションを開始する際に、カメラ、ライダー、レーダー、3Dカメラ、ソナー、又は同様のものなどのセンサを用いてすぐ近くの周辺をスキャンし、次に、スキャンを、表現10に関連付けられた同様のスキャンと比較してもよい。スキャンが十分に同様である場合には、それを、表現10に対するロボット清掃デバイス100の位置を特定するために用いることができる。
【0038】
その後、ロボット清掃デバイス100は、ステップS104において、記憶された表現10を考慮することによって、清掃プログラムによって規定されたとおりに清掃対象区域上で移動する。
【0039】
一例として、清掃区域の範囲及び形状を知ることによって、ロボット清掃デバイス100は、事前情報を有せずに清掃するときよりも効率的な仕方で、区域をどのようにセルに分割するのかを計画することができるであろう。それはまた、中央から外側に向けて清掃し、一方の側が完了すると区域を横切って移送しなければならないのではなく、区域の一方の端部において出発することによって、移送において費やされる時間を最小限に抑えることもできるであろう。さらに、それは、部屋の中に小さな区域を未清掃のまま残すことを回避し、これにより、その部屋への敷居を数回登って越える必要を回避するために、いつ充電ステーション14に戻り、再充電するのかを計画することができるであろう。
【0040】
記憶された表現10は、ロボット清掃デバイス自身によって作成された、例えば、以前の清掃プログラムの実行の間に作成された表現であってもよい。しかし、ロボット清掃デバイスがユーザによって表現又は地図を提供されることも可能である。
【0041】
図4は
図2の表現10を示す。しかし、この特定の実施形態では、ユーザは、清掃プログラムをどのように実施するのかに関してロボット清掃デバイス100にアドバイスする能力を有する。
【0042】
図5のフローチャートにおいて、ロボット清掃デバイス100は、ロボット清掃デバイス100が移動するべき区域の表現10を記憶する(S101)。
【0043】
次に、ステップS102において、ロボット清掃デバイス100は、清掃プログラムを実行するための命令を受信する。例えば、ユーザが自分のスマートフォン上にアプリを有し、アプリにおいて、表現10が示され、ユーザが単にスクリーンを押し、清掃プログラムが開始するべきであることを指示してもよく、すると、無線信号が、例えば、WiFiを介して、スマートフォンからロボット清掃デバイスへ送信されることが想定される。
【0044】
この特定の例示的な実施形態では、ユーザは、自分のスマートフォンスクリーンを押すことによって表現10上の部分区域15(
図2の台所11に対応する)を指示し、かくして、ロボット清掃デバイス100に部分区域15の清掃を開始するよう命令することによって、ロボット清掃デバイス100にアドバイスする。
【0045】
ステップS102において清掃プログラムを開始するための命令を受信すると、ロボット清掃デバイス100は、命令に応じて、ステップS102aにおいて、部分区域15の清掃を開始するための受信されたユーザアドバイスを、記憶された表現10に関連付けることになる。部分区域15の清掃を開始するための特定のアドバイスは手順デバイス(procedural device)と呼ばれる。
【0046】
別の例では、ユーザは、ロボット清掃デバイス100に、部分区域16を完全に回避するようアドバイスする。これらのユーザアドバイスはほぼ永久的に(又は少なくとも逆のアドバイスが与えられるまで)表現10に関連付けられてもよく、つまり、記憶された表現10へのユーザアドバイスの関連付けは経時的に維持されることに留意されたい。特定の区域へ行かないためのユーザアドバイスは否定的なアドバイスと呼ばれる。
【0047】
さらなる例では、肯定的なアドバイスと呼ばれる第3の種類のアドバイスが与えられる。例えば、部分区域17において、ロボット清掃デバイス100は、何らかの境界 − 例えば、敷居 − を通過し、及び/又はクロークルーム内の靴の山などの、物体にぶつかり、それらを移動させるためのアドバイスを与えられる。それは、代替的に、ソファの下の布裏地、又は子ども部屋の中のおもちゃでいっぱいの区域に適用され得るであろう。それは、また、他方の側の床が非常につやつやしているため、ロボット清掃デバイス100がそれを穴と知覚してしまい、それをロボット清掃デバイス100が横断するのを拒否する、敷居であり得るであろう。さらに、それは、たまたま半開きになっているだけであれば、ロボットが押して開けることができる扉であり得るであろう。
【0048】
この場合も先と同様に、ロボット清掃デバイス100は、上述されたように、表現10に対するそれ自身の位置を特定する。
【0049】
その後、ロボット清掃デバイスは、ステップS104において、記憶された表現10、及び受信されたユーザアドバイスを考慮することによって、清掃プログラムによって規定されたとおりに清掃対象区域上で移動する。
図4を再び参照すると、一実施形態では、少なくとも1回の試みの後に、ロボット清掃デバイス100が、ユーザアドバイスによって規定されたとおりに移動することができない場合には、受信されたユーザアドバイスが無効にされることが想定される。
【0050】
例えば、半開きと疑われる扉を開こうと試みるためのユーザアドバイスを受信した場合において、(例えば、扉が閉まっているために)扉を開くことができないと結論した後は、アドバイスの実施を続けても無駄である。それゆえ、ロボット清掃デバイス100はユーザアドバイスを無効にする。
【0051】
これは、ユーザが誤りを犯したか、又は後にユーザの家の中の何かを変更し、アドバイス(又は表現)を更新するのを忘れたという状況においても生じ得るであろう。ユーザデバイスの任意の無効化は、例えば、ユーザによって表現から除去可能な特別な記号を用いることによって、表現上に指示され得る。
【0052】
さらなる実施形態では、ロボット清掃デバイス100は、清掃対象表面上でどのように移動するのかに関する命令のためのユーザからのアドバイスを要求する。
【0053】
ロボット清掃デバイス100にアドバイスを求めさせることが望ましいであろう様々な状況を想定することができる:
a) ロボット清掃デバイスが、滑りやすいが、はっきりした縁部によって囲まれている区域を識別した場合には、区域をカーペットとして標識し、ユーザに、その区域に否定的なアドバイス(例えば、「回避」)をラベル付けしたいかどうか尋ねる、
b) ロボット清掃デバイスが、多くの小さな障害物を有する区域を識別した場合には、区域を、椅子及びテーブルを収容している可能性ありとして標識し、ユーザに、それに手順アドバイス(例えば、「2回清掃」又は「最初に清掃」)をラベル付けしたいかどうか尋ねる、
c) ロボット清掃デバイスが特定の区域において繰り返し立往生する場合には、区域を問題ありとして標識し、ユーザに、それに、否定的なアドバイスをラベル付けし、場合によっては、記憶された表現上の区域の形状を、困難な区域を正しく反映するよう変更したいかどうか尋ねる。
【0054】
結論することができるように、ユーザにアドバイスを求めることが望まれるであろう多数の状況が想定され得る。
【0055】
さらなる実施形態では、ロボット清掃デバイスは、ユーザアドバイスが表現に追加された場合にのみ、清掃セッションごとに表現を記憶する。
【0056】
ロボットが新たな区域へ移動させられた場合には、それは、記憶された表現をどのように処置するべきか決定する必要がある。それゆえ、ロボット清掃デバイスは、現在の環境に対応する1つの表現を記憶し、より古い表現を、それらが、それらに関連付けられたアドバイスを有する場合にのみ保存するべきであることが想定され得る。
【0057】
このように、ユーザがロボットを、異なる階、又はさらに、異なる家の間で移動させた場合に、複数の以前の表現が記憶されることが、ユーザがアドバイスをそれらに関連付けない限りは、回避される。
【0058】
さらに、コントローラ116が、記憶された表現に対するロボットの位置を特定することに処理能力を費やすことを課せられるプロセスを回避するために、1つ、2つ、又はことによると3つなどの、数個の表現のみを記憶することが賢明であり得る。
【0059】
なおさらなる実施形態では、ロボット清掃デバイスは、清掃対象とすべき表現内の部分区域をユーザに提案し、これにより、ユーザは、提案に応じて、提案された部分区域を清掃するか否かの命令を送信する。
【0060】
例えば、ロボット清掃デバイスは、ユーザのスマートフォンのアプリ上で見られるよう、表現上に標識を付けることができるであろう。それに応じて、ユーザは、標識された部分区域が清掃されるべきであること(又はそれが清掃されるべきでないこと)をすぐ確認することができるであろう。ロボット清掃デバイス100は、たとえ、記憶された表現内に部屋が存在しないであろう場合であっても、例えば、敷居、出入り口、及び壁から部屋を識別し得る。
【0061】
さらに、ユーザからの命令は、任意の好適なユーザアドバイス、又はさらに、ユーザが、提案された部分区域に関してロボット清掃デバイス100に同意しないであろう場合には、ロボット清掃デバイス100によって提案された部分区域の変更されたバージョンを含むことができるであろう。
【0062】
本発明は以上において数個の実施形態を参照して主に説明された。しかし、当業者によって容易に理解されるように、添付の特許請求項によって定義されるように、以上に開示されているもの以外の実施形態も本発明の範囲内で同等にあり得る。