(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記撮像装置は、前記車両後方の映像を撮影し、前記第1映像情報を生成する第1撮像装置と、前記車両後側方の映像を撮影し、前記第2映像情報を生成する第2撮像装置と、を備え、
前記映像表示装置は、前記映像制御部から出力される前記合成映像情報又は前記分割映像情報を取得し、前記合成映像情報に基づく合成映像又は前記分割映像情報に基づく分割映像を表示する
請求項1に記載の車両周辺監視装置。
前記映像制御部は、前記速度情報が低速域の際に前記分割映像情報を生成し、前記速度情報が高速域の際に前記合成映像情報を生成する請求項1又は請求項2に記載の車両周辺監視装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事実を考慮し、車両の走行状況に応じた最適な表示方式により車両後方及び車両後側方の映像を表示することができる車両周辺監視装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1実施態様に係る車両周辺監視装置は、車両の前進及び後進を検知し、この車両の走行情報を出力する第1検知部と、車両の車速を検知し、この車両の速度情報を出力する第2検知部と、走行情報及び速度情報を取得し、かつ、撮像装置を用いて撮影された車両後方の第1映像情報及び車両後側方の第2映像情報を取得し、走行情報が前進、かつ、速度情報が高速域の際に、仮想合成面に第1映像情報と第2映像情報とを合成して映像表示装置の表示領域へ出力される合成映像情報を生成し、走行情報が前進、かつ、速度情報が低速域の際に、又は走行情報が後進の際に、第1映像情報、第2映像情報のそれぞれが表示領域を分割した分割表示領域へ各々出力される分割映像情報を生成する映像制御部と、を備えている。
【0009】
第1実施態様に係る車両周辺監視装置は、第1検知部と、第2検知部と、映像制御部とを備える。第1検知部は、車両の前進及び後退を検知し、この走行情報を出力する。第2検知部は、車両の車速を検知し、この車両の速度情報を出力する。映像制御部は、撮像装置を用いて撮影された車両後方の第1映像情報及び車両後側方の第2映像情報を取得し、映像表示装置へ出力される映像情報を生成する。
【0010】
ここで、映像制御部は、第1映像情報及び第2映像情報を取得し、かつ、第1検知部から出力される走行情報及び第2検知部から出力される速度情報を取得する。映像制御部では、走行情報が前進、かつ、速度情報が高速域の際に、仮想合成面に第1映像情報と第2映像情報とを合成して映像表示装置の表示領域へ出力される合成映像情報が生成される。車両が前進、かつ、高速域の際には、車両後方に存在する物体、例えば後続車両との車間距離は長いが、運転者の後続車両を認識する認識余裕時間が短くなる。このため、あたかも1つの撮像装置を用いて撮影された合成映像を映像表示装置の表示領域に表示させることにより、運転者の後続車両の認識負荷を軽減させることができる。
一方、映像制御部では、走行情報が前進、かつ、速度情報が低速域の際に、又は走行情報が後進の際に、第1映像情報、第2映像情報のそれぞれが表示領域を分割した分割表示領域へ各々出力される分割映像情報が生成される。走行情報が前進、かつ、速度情報が低速域の際、又は走行情報が後進の際には、後続車両との車間距離、車両の周囲に存在する障害物との間の距離等が短いが、運転者の認識余裕時間は長くなる。このため、複数の撮像装置を用いて異なる角度から撮影された複数の分割映像を映像表示装置の分割表示領域に各々表示させることができるので、車両近傍部をしっかりと視認することができる。
【0011】
本発明の第2実施態様に係る車両周辺監視装置では、第1実施態様に係る車両周辺監視装置において、撮像装置は、車両後方の映像を撮影し、第1映像情報を生成する第1撮像装置と、車両後側方の映像を撮影し、第2映像情報を生成する第2撮像装置と、を備え、映像表示装置は、映像制御部から出力される合成映像情報又は分割映像情報を取得し、合成映像情報に基づく合成映像又は分割映像情報に基づく分割映像を表示する。
【0012】
第2実施態様に係る車両周辺監視装置は、第1撮像装置と、第2撮像装置と、映像表示装置とを更に備える。第1撮像装置は、車両後方の映像を撮影し、第1映像情報を生成する。第2撮像装置は、車両後側方の映像を撮影し、第2映像情報を生成する。映像表示装置は、映像制御部から出力される合成映像情報又は分割映像情報を取得し、合成映像情報に基づく合成映像又は分割映像情報に基づく分割映像を表示する。これにより、第1検知部、第2検知部、映像制御部、第1撮像装置、第2撮像装置及び映像表示装置を含んで、車両に搭載される車両周辺監視装置を構築することができる。
【0013】
本発明の第3実施態様に係る車両周辺監視装置は、第1実施態様又は第2実施態様に係る車両周辺監視装置において、映像制御部は、速度情報が低速域の際に分割映像情報を生成し、速度情報が高速域の際に合成映像情報を生成する。
【0014】
第3実施態様に係る車両周辺監視装置では、映像制御部は、速度情報が低速域の際に分割映像情報を生成する構成とされる。一方、映像制御部は、速度情報が高速域の際に合成映像情報を生成する。これにより、運転者の後続車両の認識負荷を軽減させることができ、かつ、車両近傍部をしっかりと視認するこができる車両周辺監視装置を実現させることができる。
加えて、速度情報の低速域の設定に幅を持たせたので、低速域に幅を持たせない場合に比し、分割映像と合成映像との煩雑な切り替わりを効果的に抑制させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両の走行状況に応じた最適な表示方式により車両後方及び車両後側方の映像を表示することができる車両周辺監視装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施の形態]
以下、
図1〜
図3を用いて、本発明の第1実施の形態に係る車両周辺監視装置及びその映像表示方法について説明する。ここで、車両周辺監視装置は自動車等の車両に適用されている。
【0018】
(車両周辺監視装置のシステム構成)
図1に示されるように、本実施の形態に係る車両周辺監視装置10は、図示省略の車両に配設され、第1検知部12と、第2検知部14と、映像制御部16とを主要な構成として備えている。また、車両周辺監視装置10は、第1撮像装置20と、第2撮像装置22及び第2撮像装置24と、映像表示装置30とを含んで構成されている。そして、本実施の形態に係る車両周辺監視装置10では、更にナビゲーションシステム26が連動する構成とされている。
【0019】
車両周辺監視装置10の第1検知部12は、車両の前進及び後進を検知し、この車両の走行情報を伝送路40へ出力する。図示は省略するが、ここでは、第1検知部12は車両のトランスミッションを操作するシフト装置に装着されているシフトセンサを利用して構成されている。例えば、第1検知部12では、シフト装置のリバース(R)レンジにシフトレバーが位置しているとき、「後進」の走行情報が出力される。また、リバースレンジ以外、例えばドライブ(D)レンジ、ブレーキ(B)レンジ等にシフトレバーが位置しているとき、第1検知部12から「前進」の走行情報が出力される。
【0020】
第2検知部14は、車両の車速を検知し、車両の速度情報を伝送路40へ出力する。ここでは、第2検知部14は車両に装着された速度センサを利用して構成されている。
【0021】
第1撮像装置20は、車両後部、例えばリアスポイラー、リアスポイラーの近傍、リアガラス内側の車室内部、荷室内部、ナンバープレート上、エンブレム等に設置された車載カメラ(リアカメラ)である。第1撮像装置20では、車両後方の映像が撮影され、この撮影された車両後方の映像から第1映像情報が生成される。第1映像情報は伝送路40に出力される。
第2撮像装置22は、車両左側部、例えば左サイドドアミラー、左サイドドアミラーの近傍、又は左サイドドアミラーが本来装着される位置等に設置された車載カメラ(左サイドカメラ)である。第2撮像装置22では、車両後左側方の映像が撮影され、この撮影された車両後左側方の映像から第2映像情報が生成される。この第2映像情報は伝送路40に出力される。
第2撮像装置24は、車両右側部、例えば右サイドドアミラー、右サイドドアミラーの近傍、又は右サイドドアミラーが本来装着される位置等に設置された車載カメラ(右サイドカメラ)である。第2撮像装置22と同様に、第2撮像装置24では、車両後右側方の映像が撮影され、この撮影された車両後右側方の映像から第2映像情報が生成される。この第2映像情報は伝送路40に出力される。
【0022】
図2(A)に示されるように、映像表示装置30は、装置筐体30Aと、表示領域30Bとを備えている。装置筐体30Aは、車両幅方向を長手方向とし、車両上下方向を短手方向とする矩形状に形成されている。表示領域30Bは、装置筐体30Aの車両後方側の表面に設けられ、装置筐体30Aよりも一回り小さい矩形状に形成されている。映像表示装置30は、従来のインナミラーに代えて、フロントガラス内側の車室内部であって、車両幅方向中間部、かつ、車両上方側に設置されている。表示領域30Bは、ここでは液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)を用いて構成されている。図示は省略するが、装置筐体30Aの内部には液晶ディスプレイを駆動して映像を表示する電子部品が内蔵されている。
また、表示領域30Bは、液晶ディスプレイに代えて、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(OELD:Organic Electro-Luminescence Display)等の他のディスプレイを使用してもよい。
【0023】
映像表示装置30は、
図1に示されるように伝送路40に接続され、伝送路40を介して映像制御部16から出力された映像情報を取得する。映像制御部16から合成映像情報が出力されるとき、
図2(A)に示されるように、映像表示装置30の表示領域30Bに合成映像が表示される。
また、映像制御部16から分割映像情報が出力されるとき、
図2(B)に示されるように、映像表示装置30の表示領域30Bが分割表示領域32、34、36に分割され、分割表示領域32、34、36のそれぞれに分割映像が表示される。分割表示領域32は、表示領域30Bの車両幅方向中央部の表示領域であり、第1撮像装置20を用いて撮影された車両後方の映像が表示される。分割表示領域34は、表示領域30Bの車両幅方向左側部の表示領域であり、第2撮像装置22を用いて撮影された車両後左側方の映像が表示される。そして、分割表示領域36は、表示領域30Bの車両幅方向右側部の表示領域であり、第2撮像装置24を用いて撮影された車両後右側方の映像が表示される。
【0024】
図1に示されるように、映像制御部16は、伝送路40に接続され、伝送路40を介して第1検知部12、第2検知部14、第1撮像装置20、第2撮像装置22、第2撮像装置24のそれぞれに接続されている。映像制御部16は、第1検知部12から出力される走行情報及び第2検知部14から出力される速度情報を取得し、第1撮像装置20から出力される第1映像情報、第2撮像装置22及び第2撮像装置24から出力される第2映像情報を取得する。
映像制御部16は、取得した走行情報が「前進」、かつ、速度情報が「高速域」の際に、仮想合成面に第1映像情報と第2映像情報とを合成して、映像表示装置30の表示領域30B(
図2(A)参照)へ出力される合成映像情報を生成する。また、映像制御部16は、取得した走行情報が「前進」、かつ、速度情報が「低速域」の際に、第1映像情報、第2映像情報のそれぞれが分割表示領域32、34、36(
図2(B)参照)へ各々出力される分割映像情報を生成する。さらに、映像制御部16は、取得した走行情報が「後進」の際に、第1映像情報、第2映像情報のそれぞれが分割表示領域32、34、36へ各々出力される分割映像情報を生成する。
【0025】
図1に示されるように、本実施の形態に係る車両周辺監視装置10では、ナビゲーションシステム26が伝送路40を介して映像制御部16に接続されている。ナビゲーションシステム26は、地図情報と、全地球測位システム(GPS: Global Positioning System)により得られる車両の位置情報とに基づいて、地図上の車両の位置をリアルタイムに演算し、演算結果を図示省略の専用モニタに表示可能としている。地図情報には、車両の走行路情報として車線情報が含まれ、この車線情報は車両周辺監視装置10において適宜取得可能とされている。
ここで、「車線情報」には、走行路が単車線であるか、2車線以上の複数車線であるかの情報が少なくとも含まれている。
【0026】
なお、
図1に示される伝送路40は、簡略的に図示されているが、実際には有線或いは無線、又は有線と無線とを組み合わせて構築されている。
【0027】
(車両周辺監視装置の映像表示方法)
車両周辺監視装置10の映像表示方法は以下の通りである。
図3に示されるように、最初に、車両周辺監視装置10のメインスイッチが投入されたか否かが判断される(S1)。メインスイッチは車両のエンジンスタートに連動して作動する構成とされている。
【0028】
メインスイッチが投入されていないと判断された場合、ステップS1の前段に戻る。メインスイッチが投入されていると判断された場合、車両周辺監視装置10は、映像制御部16から映像表示装置30へ分割映像情報を出力する(S2)。メインスイッチの投入直後では、車両は停止状態か、或いは前進、後進を問わず時速30km未満の極低速域の走行状態にある。
【0029】
このため、
図2(B)に示されるように、第1撮像装置20を用いて撮影された車両後方の映像が第1映像情報として映像制御部16に出力され、映像制御部16から分割映像情報が映像表示装置30の分割表示領域32へ出力される。分割表示領域32では、分割映像として、車両後方の映像が表示される。
例示として、車両後方の映像には、第1走行車線L1、第2走行車線L2及び第3走行車線(追越車線)L3を含む3車線道路が表示されており、第2走行車線L2に車両の後方を走行する後続車両BVが表示されている。
一方、第2撮像装置22を用いて撮影された車両後左側方の映像が第2映像情報として映像制御部16に出力され、映像制御部16から分割映像情報が映像表示装置30の分割表示領域34へ出力される。分割表示領域34では、分割映像として、車両後左側方の映像が表示される。同様に、第2撮像装置24を用いて撮影された車両後右側方の映像が第2映像情報として映像制御部16に出力され、映像制御部16から分割映像情報が映像表示装置30の分割表示領域36に出力される。分割表示領域36では、分割映像として、車両後右側方の映像が表示される。
【0030】
映像表示装置30に分割映像が表示された後、車両周辺監視装置10のメインスイッチが遮断されたか否かが判定される(S3)。メインスイッチが遮断されたと判断された場合、映像表示装置30での分割映像の表示が終了し(S4)、車両周辺監視装置10の映像表示動作は終了する。
【0031】
メインスイッチが遮断されていないと判断された場合、
図1に示される第1検知部12から出力される走行情報に基づいて、車両の走行状態が「前進」であるか否かが判断される(S5)。
車両の走行状態が「前進」ではないと判断された場合、車両の走行状態が「後進」であることを意味し、ステップS3の前段に戻る。すなわち、走行情報が「後進」の際には、映像表示装置30において、
図2(B)に示される分割映像が表示される。
一方、車両の走行状態が「前進」であると判断された場合、
図1に示される第2検知部14から出力される速度情報に基づいて、車両の走行速度が「低速域(Akm)」を超えているか否かが判断される(S6)。本実施の形態では、「低速域」は、一般道路における法定速度に相当し、高速道路の法定速度よりも低速の時速30km〜時速60kmの範囲に設定されている。従って、時速60kmを超えると、「高速域」とされる。車両の走行速度が「低速域」を超えていないと判断された場合、ステップS3の前段に戻る。すなわち、走行情報が「前進」、かつ、速度情報が「低速域」の際には、映像表示装置30において、
図2(B)に示される分割映像が表示される。
【0032】
車両の走行速度が「低速域」を超えている(「高速域」である)と判断された場合、ここでは、
図1に示される映像制御部16において、ナビゲーションシステム26から車線情報が取得される。映像制御部16では、取得した車線情報に基づいて、車両の走行車線が「複数車線」であるか否かが判断される(S7)。車両の走行車線が「複数車線」でなく「単車線」であると判断された場合、ステップS3の前段に戻って、映像表示装置30において、
図2(B)に示される分割映像の表示が継続される。
【0033】
一方、車両の走行速度が「複数車線」であると判断された場合、映像制御部16において、仮想合成面に第1映像情報と第2映像情報とが合成され、この合成映像情報が映像表示装置30へ出力される。合成映像情報が映像表示装置30に出力されると、映像表示装置30では、
図2(A)に示されるように、車両後方の映像と、車両後左側方の映像と、車両後右側方の映像とが合成された合成映像が表示領域30Bに表示される(S8)。
【0034】
そして、所定時間の経過毎に第2検知部14から出力される速度情報に基づいて、車両の走行速度が「低速域」を超えているか否かが判断される(S9)。
車両の走行速度が「低速域」を超えていると判断された場合、ステップS9の前段に戻って、映像表示装置30において、
図2(A)に示される合成映像の表示が継続される。
ステップS9において、車両の走行速度が「低速域」を超えていない(「低速域」である)と判断された場合、ステップS3の前段に戻って、映像表示装置30において、
図2(B)に示される分割映像の表示が継続される。
【0035】
なお、上記ステップS6において車両の走行速度が「低速域」を超えていると判断された場合、ステップS7において車両の走行車線が「複数車線」であるか否かが判断されたが、ステップS7を無くしてステップS8に進んでもよい。このとき、ステップS6において車両の走行速度が「低速域」を超えていると判断された場合、映像表示装置30は
図2(A)に示される合成映像を表示する。
【0036】
(本実施の形態の作用及び効果)
本実施の形態に係る車両周辺監視装置10は、
図1に示されるように、第1検知部12と、第2検知部14と、映像制御部16とを備える。第1検知部12は、車両の前進及び後退を検知し、この走行情報を出力する。第2検知部14は、車両の車速を検知し、この車両の速度情報を出力する。映像制御部16は、車両後方の第1映像情報及び車両後側方の第2映像情報を取得し、映像表示装置30へ出力される映像情報を生成する。
【0037】
ここで、映像制御部16は、第1映像情報及び第2映像情報を取得し、かつ、第1検知部12から出力される走行情報及び第2検知部14から出力される速度情報を取得する。映像制御部16では、走行情報が「前進」、かつ、速度情報が「高速域」の際に、仮想合成面に第1映像情報と第2映像情報とを合成して、
図2(A)に示される映像表示装置30の表示領域30Bへ出力される合成映像情報が生成される。
図2(A)に示されるように、車両が「前進」、かつ、「高速域」の際には、車両後方に存在する物体、例えば後続車両BVとの車間距離は長いが、運転者の後続車両BVを認識する認識余裕時間が短くなる。このため、車両周辺監視装置10では、あたかも1つの撮像装置を用いて撮影された合成映像を映像表示装置30の表示領域30Bに表示させることができるので、運転者の後続車両BVの認識負荷を軽減させることができる。
【0038】
一方、映像制御部16では、走行情報が「前進」、かつ、速度情報が「低速域」の際に、又は走行情報が「後進」の際に、
図2(B)に示されるように、第1映像情報、第2映像情報のそれぞれが表示領域30Bを分割した分割表示領域32、34、36へ各々出力される分割映像情報が生成される。走行情報が「前進」、かつ、速度情報が「低速域」の際、又は走行情報が「後進」の際には、後続車両BVとの車間距離、車両の周囲に存在する障害物との間の距離等が短くなるが、運転者の認識余裕時間が長くなる。このため、複数の第1撮像装置20、第2撮像装置22及び第2撮像装置24を用いて異なる角度から撮影された複数の分割映像を映像表示装置30の分割表示領域32、34、36に各々表示させることができるので、車両近傍部をしっかりと視認することができる。
【0039】
従って、本実施の形態に係る車両周辺監視装置10によれば、車両の走行状況に応じた最適な表示方式により車両後方及び車両後側方の映像を表示することができる。
【0040】
また、本実施の形態に係る車両周辺監視装置10は、
図1に示されるように、第1撮像装置20と、第2撮像装置22及び第2撮像装置24と、映像表示装置30とを更に備える。第1撮像装置20は、車両後方の映像を撮影し、第1映像情報を生成する。第2撮像装置22は、車両後左側方の映像を撮影し、第2映像情報を生成する。第2撮像装置24は、車両後右側方の影像を撮影し、第2映像情報を生成する。映像表示装置30は、映像制御部16から出力される合成映像情報又は分割映像情報を取得し、合成映像情報に基づく合成映像(
図2(A)参照)又は分割映像情報に基づく分割映像(
図2(B)参照)を表示する。これにより、第1検知部12、第2検知部14、映像制御部16、第1撮像装置20、第2撮像装置22、第2撮像装置24及び映像表示装置30を含んで、車両に搭載される車両周辺監視装置10を構築することができる。
【0041】
さらに、本実施の形態に係る車両周辺監視装置10では、映像制御部16は、速度情報の「低速域」を時速30km〜時速60kmとし、この「低速域」の際に分割映像情報を生成する構成とされる。一方、映像制御部16は、速度情報の「高速域」を時速60km超えとし、この「高速域」の際に合成映像情報を生成する。これにより、運転者の後続車両BVの認識負荷を軽減させることができ、かつ、車両近傍部をしっかりと視認することができる車両周辺監視装置10を実現させることができる。
加えて、速度情報の「低速域」の設定に幅を持たせたので、「低速域」に幅を持たせない場合に比し、分割映像と合成映像との煩雑な切り替わりを効果的に抑制させることができる。
【0042】
また、本実施の形態に係る車両周辺監視装置10は、
図1に示されるナビゲーションシステム26に接続され、
図3に示されるように、ナビゲーションシステム26から車線情報を取得する(S7)。この車線情報に基づいて、車両周辺監視装置10では、車両の走行状態が高速道路を走行中の「高速域」、かつ、「複数車線」の際に、映像表示装置30に合成映像が表示される。
このような車両の走行状態では、後続車両BVとの車間距離は長くなるが、運転者の後続車両BVを認識する認識余裕時間がかなり短くなる。そこで、映像表示装置30にあたかも1つの撮像装置を用いて撮影された合成映像を表示させることにより、運転者の後続車両BVの認識負荷を著しく軽減させることができる。
例えば、映像表示装置30に分割映像を表示した場合には、
図2(B)に示されるように、1台の後続車両BVが分割表示領域32、34、36のそれぞれに表示される可能性があり、運転者が「1台の後続車両BVである」と認識するには負担が生じる。
【0043】
(変形例)
上記実施の形態に係る車両周辺監視装置10では、
図1に示される第1検知部12から車両の走行情報、第2検知部14から車両の速度情報が取得されているが、走行情報及び速度情報はナビゲーションシステム26から取得してもよい。すなわち、ナビゲーションシステム26は地図情報とリアルタイムな位置情報とを備えているので、この地図情報と位置情報とに基づいて、リアルタイムに車両の走行情報及び速度情報を演算することができる。演算はナビゲーションシステム26において実行し、演算結果が映像制御部16へ出力されてもよいし、演算は映像制御部16において実行してもよい。
【0044】
[第2実施の形態]
図4を用いて、本発明の第2実施の形態に係る車両周辺監視装置10を説明する。本実施の形態に係る車両周辺監視装置10は、前述の
図2(A)及び
図2(B)に示される映像表示装置30に代えて、
図4に示される映像表示装置50を備えている。映像表示装置50以外の構成は、第1実施の形態に係る車両周辺監視装置10の構成と同一である。
【0045】
映像表示装置50は、2つの第1映像表示装置52及び第2映像表示装置54を含んで構成されている。第1映像表示装置52は、第1実施の形態における映像表示装置30と同様に従来のインナミラーの位置に設置されている。
第1映像表示装置52は、車両幅方向を長手方向とし、車両上下方向を短手方向とする矩形状の装置筐体52Aと、装置筐体52Aの車両後方側の表面に設けられ、装置筐体52Aよりも一回り小さい矩形状の表示領域52Bとを備えている。
一方、第2映像表示装置54は、第1映像表示装置52の車両幅方向右側、例えば右ハンドル車においてはステアリング右側のインストルメントパネルに設置されている。第2映像表示装置54は、車両幅方向と車両上下方向との寸法が同一又は略同一の矩形状の装置筐体54Aと、装置筐体54Aの車両後方側の表面に設けられ、装置筐体54Aよりも一回り小さい矩形状の表示領域54Bとを備えている。
【0046】
第1映像表示装置52では、
図1に示される第1撮像装置20を用いて撮影された車両後方の映像と第2撮像装置22を用いて撮影された車両後左側方の映像とを合成した合成映像が表示領域52Bに表示される。また、第1映像表示装置52では、表示領域52Bを分割した一方の分割表示領域32に車両後方の映像が分割映像として表示され、他方の分割表示領域34に車両後左側方の映像が分割映像として表示される。
一方、第2映像表示装置54では、
図1に示される第2撮像装置24を用いて撮影された車両後右側方の映像が表示される。
【0047】
本実施の形態に係る車両周辺監視装置10では、第1映像表示装置52に表示される映像が合成映像か分割映像かに切り替わる構成とされ、基本的な表示方法は第1実施の形態に係る車両周辺監視装置10の映像表示方法と同様である。
従って、本実施の形態に係る車両周辺監視装置10では、第1実施の形態に係る車両周辺監視装置10により得られる作用効果と同様の作用効果を得るこができる。
【0048】
[上記実施の形態の補足説明]
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において変形可能である。
例えば、本発明は、映像表示装置において表示領域の車両後方側に重ねてハーフミラーを備えてもよい。ハーフミラーは車両前後方向へ回動する構成とされる。ハーフミラーの角度を調整すれば、運転者は、ハーフミラーを透過して映像表示装置に表示される映像を見られ、又ハーフミラーに映る車両後方や車両後側方を見られる。