特許第6989219号(P6989219)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989219
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】品質が改善された豆腐及びこの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 11/45 20210101AFI20211220BHJP
【FI】
   A23L11/45 Z
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-527918(P2019-527918)
(86)(22)【出願日】2017年11月23日
(65)【公表番号】特表2019-535289(P2019-535289A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】KR2017013431
(87)【国際公開番号】WO2018097623
(87)【国際公開日】20180531
【審査請求日】2019年5月23日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0157292
(32)【優先日】2016年11月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512088051
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CJ CheilJedang Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヨジン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ホンウク
(72)【発明者】
【氏名】リ, ヨンミ
(72)【発明者】
【氏名】ムン, ビョンソク
(72)【発明者】
【氏名】キム, ソンボ
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ソンジュン
【審査官】 村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−190159(JP,A)
【文献】 特表2014−526258(JP,A)
【文献】 特開2013−247872(JP,A)
【文献】 特開2016−068554(JP,A)
【文献】 特開2013−031422(JP,A)
【文献】 特開2013−123425(JP,A)
【文献】 特開2012−231780(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0063635(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0098249(KR,A)
【文献】 特開2004−049193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
豆、アルロース及び凝固剤を含み、
前記アルロースは、豆腐の全体重量に対して3重量%から20重量%で含まれ、硬度が80gから150gである、豆腐。
【請求項2】
前記豆腐は、弾力性が0.8から1.5である、請求項1に記載の豆腐。
【請求項3】
前記豆腐は、ガム性が50gから100gである、請求項1又は2に記載の豆腐。
【請求項4】
前記豆腐は、凝集性が0.6から0.75である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の豆腐。
【請求項5】
前記豆腐は、咀嚼性が50gから200gである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の豆腐。
【請求項6】
前記豆は豆腐の全体重量に対して50重量%から99.8重量%で含まれる、請求項1〜のいずれか一項に記載の豆腐。
【請求項7】
前記凝固剤は、豆腐の全体重量に対して0.1重量%から1.0重量%で含まれる、請求項1〜のいずれか一項に記載の豆腐。
【請求項8】
前記アルロースは、豆100重量部に対して乾燥固形粉0.1重量部から40重量部で含まれる、請求項1〜のいずれか一項に記載の豆腐。
【請求項9】
前記凝固剤は、塩化マグネシウムである、請求項1〜のいずれか一項に記載の豆腐。
【請求項10】
前記豆腐は、乾燥固形粉の含量が5重量%から50重量%である、請求項1〜のいずれか一項に記載の豆腐。
【請求項11】
豆汁に凝固剤を添加する段階;及び
前記凝固剤の添加以前又は前記凝固剤の添加と同時に前記豆汁にアルロースを添加して豆腐の気泡を減少させる段階を含み、硬度が80gから150gである、豆腐の製造方法。
【請求項12】
前記凝固剤を添加する段階以後成形する段階をさらに含む、請求項11に記載の豆腐の製造方法。
【請求項13】
前記成形は、70℃から90℃で行われる、請求項12に記載の豆腐の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、品質が改善された豆腐及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、豆腐は水にふやかした豆を磨砕した後加熱し、これを豆汁とおからに分離した後、分離された豆汁に凝固剤を添加して凝固させて製造する。
【0003】
豆腐の食感を決定する物性は硬度及び弾力性などがあり、従来豆腐の堅く弾力性ある食感のための豆腐凝固剤に対する研究が多く進められてきた(韓国 公開特許 第10−2011−0074065号 公報)。
【0004】
また、柔らかい食感のおぼろ豆腐又は絹豆腐は、凝固剤としてグルコノデルタラクトン(glucono−δ−lactone,GDL)を用いているが、酸味のする短所がある。
【0005】
アルロースは干しぶどうや無花果、小麦など自然界に存在する単糖体であって、体内吸収時にほとんど代謝されず熱量がゼロに近いため、砂糖を代替する食品原料として多くの関心を受けている。但し、砂糖が用いられない豆腐は適用が考慮されたことがない。
【0006】
このような背景の下に、本発明者らは、豆腐の柔らかい食感が改善された豆腐を開発するために鋭意研究の努力を行った。その結果、アルロースを添加して豆腐を製造する場合、豆腐の硬度が低くなり柔らかい食感が向上されるのと同時に、気泡の発生が減少され外観の嗜好度の高い豆腐が製造されることを確認することにより本出願を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願の一目的は、豆、アルロース及び凝固剤を含む豆腐を提供する。
【0008】
本出願の他の目的は、豆汁に凝固剤を添加する段階;及び前記凝固剤の添加以前又は前記凝固剤の添加と同時に前記豆汁にアルロースを添加する段階を含む豆腐の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本出願内容に対して具体的に説明すれば次の通りである。一方、本出願で開示した一態様の説明及び具現例は、共通の事項に対して他の態様の説明及び具現例として適用されてよい。また、本出願で開示された多様な要素の全ての組合せが本出願の範疇に属する。併せて、下記記述された具体的な態様及び具現例により本出願の範囲が制限されると見ることができない。
【0010】
前記本出願の目的を達成するための一態様として、本出願は豆、アルロース及び凝固剤を含む豆腐を提供する。
【0011】
一具現例として、本出願の豆腐は、硬度が80gから150gであってよく、具体的に80gから140g、80gから135g、80gから127g、80gから123g、80gから115g、80gから110g、90gから150g、90gから140g、90gから135g、90gから127g、90gから123g、90gから115g、90gから110g、100gから150g、100gから140g、100gから135g、100gから127g、100gから123g、100gから115g、100gから110g、110gから150g、110gから140g、110gから135g、110gから127g、110gから123g、115gから150g、115gから140g、115gから135g、115gから127g、115gから123g、123gから150g、123gから140g、123gから135g、123gから127g、127gから150g、127gから140g又は127gから135gであってよい。
【0012】
他の具現例として、本出願の豆腐は、弾力性が0.8から1.5であってよく、具体的に0.8から1.4、0.8から1.3、0.8から1.2、0.8から1.1、0.8から1.05、0.9から1.5、0.9から1.4、0.9から1.3、0.9から1.2、0.9から1.1、0.9から1.05、1.0から1.5、1.0から1.4、1.0から1.3、1.0から1.2、1.0から1.1、1.0から1.05、1.05から1.5、1.05から1.4、1.05から1.3、1.05から1.2、1.05から1.1、1.1から1.5、1.1から1.4、1.1から1.3、1.1から1.2、1.2から1.5、1.2から1.4又は1.2から1.3であってよい。
【0013】
また他の具現例として、本出願の豆腐はガム性が50gから100gであってよく、具体的に50gから95g、50gから90g、50gから80g、60gから100g、60gから95g、60gから90g、60gから80g、70gから100g、70gから95g、70gから90g、70gから80g、80gから100g、80gから95g、80gから90g、85gから100g、85gから95g、85gから90gであってよい。
【0014】
また他の具現例として、本出願の豆腐は、凝集性が0.6から0.75であってよく、具体的に0.6から0.72、0.6から0.70、0.65から0.75、0.65から0.72、0.65から0.70、0.70から0.75、0.70から0.72、又は0.72から0.75であってよい。
【0015】
また他の具現例として、本出願の豆腐は、咀嚼性が50gから200gであってよく、具体的に50gから150g、50gから120g、50gから100g、50gから90g、60gから200g、60gから150g、60gから120g、60gから100g、60gから90g、70gから200g、70gから150g、70gから120g、70gから100g、70gから90g、80gから200g、80gから150g、80gから120g、80gから100g、80gから90g、90gから200g、90gから150g、90gから120g、90gから100g、100gから200g、100gから150g、100gから120g又は100gから110gであってよい。
【0016】
他の追加具現例として、本出願のアルロースは、豆腐の全体重量に対して乾燥固形粉の基準0.1重量%から50重量%で含まれてよい。具体的に、アルロースは、豆腐の全体重量に対して乾燥固形粉の基準0.1重量%から40重量%、0.1重量%から30重量%、0.1重量%から20重量%、0.1重量%から12重量%、0.1重量%から9重量%、0.1重量%から5重量%、1重量%から50重量%、1重量%から40重量%、1重量%から30重量%、1重量%から20重量%、1重量%から12重量%、1重量%から9重量%、1重量%から5重量%、2重量%から50重量%、2重量%から40重量%、2重量%から30重量%、2重量%から20重量%、2重量%から12重量%、2重量%から9重量%、2重量%から5重量%、3重量%から50重量%、3重量%から40重量%、3重量%から30重量%、3重量%から20重量%、3重量%から12重量%、3重量%から9重量%、3重量%から5重量%、5重量%から50重量%、5重量%から40重量%、5重量%から30重量%、5重量%から20重量%、5重量%から12重量%、5重量%から9重量%、9重量%から50重量%、9重量%から40重量%、9重量%から30重量%、9重量%から20重量%、9重量%から12重量%、12重量%から50重量%、12重量%から40重量%、12重量%から30重量%又は12重量%から20重量%で含まれてよい。
【0017】
また他の具現例として、本出願の豆は、豆腐の全体重量に対して50重量%から99.8重量%で含まれてよく、具体的に50重量%から99重量%、50重量%から97重量%、50重量%から95重量%、50重量%から92重量%、50重量%から87重量、50重量%から82重量%、60重量%から99.8重量%、60重量%から99重量%、60重量%から97重量%、60重量%から95重量%、60重量%から92重量%、60重量%から87重量、60重量%から82重量%、70重量%から99.8重量%、70重量%から99重量%、70重量%から97重量%、70重量%から95重量%、70重量%から92重量%、70重量%から87重量、70重量%から82重量%、75重量%から99.8重量%、75重量%から99重量%、75重量%から97重量%、75重量%から95重量%、75重量%から87重量%、75重量%から82重量%、82重量%から99.8重量%、82重量%から97重量%、82重量%から95重量%、82重量%から92重量%、82重量%から87重量%、87重量%から99.8重量%、87重量%から99重量%、87重量%から97重量%、87重量%から95重量%、87重量%から92重量%、92重量%から99.8重量%、92重量%から99重量%、92重量%から97重量%又は92重量%から95重量%で含まれてよい。
【0018】
また他の具現例として、本出願の凝固剤は、豆腐の全体重量に対して0.1重量%から1.0重量%で含まれてよく、具体的に0.1重量%から0.7重量%、0.1重量%から0.5重量%、0.1重量%から0.4重量%、0.1重量%から0.3重量%、0.2重量%から1.0重量%、0.2重量%から0.7重量%、0.2重量%から0.5重量%、0.2重量%から0.4重量%又は0.2重量%から0.3重量%で含まれてよい。
【0019】
また他の具現例として、本出願のアルロースは、豆100重量部に対して乾燥固形粉の基準0.1重量部から40重量部で含まれてよく、具体的に0.1重量部から30重量部、0.1重量部から20重量部、0.1重量部から15重量部、0.1重量部から10重量部、0.1重量部から5重量部、1重量部から40重量部、1重量部から30重量部、1重量部から20重量部、1重量部から15重量部、1重量部から10重量部、1重量部から5重量部、5重量部から40重量部、5重量部から30重量部、5重量部から20重量部、5重量部から15重量部、5重量部から10重量部、10重量部から40重量部、10重量部から30重量部、10重量部から20重量部、10重量部から15重量部、15重量部から40重量部、15重量部から30重量部又は15重量部から20重量部で含まれてよい。
【0020】
また他の具現例として、本出願の豆腐は、乾燥固形粉の含量が5重量%から50重量%であってよく、具体的に5重量%から25重量%、5重量%から19重量%、5重量%から16.5重量%、5重量%から14重量%、5重量%から11.5重量%、11.5重量%から50重量%、11.5重量%から25重量%、11.5重量%から19重量%、11.5重量%から16.5重量%、11.5重量%から14重量%、14重量%から50重量%、14重量%から25重量%、14重量%から19重量%、14重量%から16.5重量%、16.5重量%から50重量%、16.5重量%から25重量%、16.5重量%から19重量%、19重量%から50重量%、又は19重量%から25重量%であってよい。
【0021】
一具現例として、本出願の豆は、大豆、エンドウ豆、インゲン豆、タンキリ豆、青豆、赤大豆、黄大豆(味噌玉麹)、糅として加える豆、ナタ豆、黒豆及び枝豆よりなる群から選択される一つ以上であってよく、具体的に本出願の豆は黄大豆であってよい。また、本出願の用語「豆」は、豆自体、粉砕した豆、加熱した豆、粉砕して加熱した豆及び豆からおからを分離した豆汁を含む意味であってよい。
【0022】
また、本出願のアルロースは、単糖類(C6)のうちケトヘキソースの一種であって、果糖のC3−異性体(エピマー)をいう。本出願のアルロースは自然物から直接抽出されたものであってよく、化学的合成又は酵素を用いた生物学的方法で製造されたものであってよいが、これらに限定されない。また、アルロースは、結晶質状又は液状(すなわち、シロップ)の形態であってよい。液状アルロースは、乾燥固形粉(ds又はDS)基準の10から99重量%のアルロースを含んでよい。また、結晶アルロースは、乾燥固形粉の基準90から100重量%でアルロースを含有してよい。
【0023】
また、本出願の凝固剤は、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、グルコノラクトン、天日塩、海水及び苦汁よりなる群から選択される一つ以上であってよい。具体的に、本出願の凝固剤は塩化マグネシウムであってよい。
【0024】
本出願の豆腐は、前記記載の成分の他に食品成分(例えば、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクト酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン及び炭酸化剤など)をさらに含んでよい。
【0025】
本出願の他の一態様として、本出願は豆汁に凝固剤を添加する段階;及び前記凝固剤の添加以前又は前記凝固剤の添加と同時に前記豆汁にアルロースを添加する段階を含む、豆腐の製造方法を提供する。
【0026】
他の具現例として、本出願の豆汁は、豆を粉砕する段階、前記粉砕した豆を加熱する段階、及び前記加熱した豆からおからを分離する段階により製造されてよい。具体的に前記粉砕した豆を加熱する段階において、前記加熱は90℃から110℃、95℃から110℃又は95℃から105℃で行われてよい。
【0027】
また他の具現例として、本出願の豆腐の製造方法は、本出願の凝固剤を添加する段階以後成形する段階をさらに含んでよい。具体的に、本出願の成形は70℃から90℃、75℃から90℃又は80℃から90℃で行われてよい。また、本出願の成形は40分から80分、40分から70分、50分から80分又は50分から70分間行われてよい。
【0028】
また他の具現例として、本出願の豆腐の製造方法は、本出願の凝固剤を添加する段階以後殺菌する段階をさらに含んでよい。
【0029】
また他の具現例として、本出願の豆腐の製造方法は、本出願の凝固剤を添加する段階、本出願の成形する段階又は本出願の殺菌する段階以後冷却する段階をさらに含んでよい。具体的に、前記冷却は15℃以下又は0℃から15℃、3℃から15℃又は3℃から10℃で行われてよい。
【0030】
本出願のまた他の態様として、本出願は豆汁に凝固剤を添加する段階;及び前記凝固剤の添加以前又は前記凝固剤の添加と同時に前記豆汁にアルロースを添加する段階を含む、豆腐の硬度を減少させる方法を提供する。
【0031】
本出願のまた他の態様として、本出願は、(a)豆汁に凝固剤を添加する段階;及び(b)前記凝固剤の添加以前又は前記凝固剤の添加と同時に前記豆汁にアルロースを添加する段階を含む、豆腐の気泡を減少させる方法を提供する。
【0032】
本出願の豆腐の硬度を減少させる方法又は豆腐の気泡を減少させる方法は、本出願の豆腐又は豆腐の製造方法に関して記載された内容をそのまま用いることができるので、この2つの間に共通の内容は本明細書の過度な複雑性を避けるため、その記載を省略する。
【発明の効果】
【0033】
本出願は、豆腐の製造時に、アルロースを添加することにより、豆腐の製造過程中に生成される気泡の形成を最小化し、豆腐の硬度、弾力性、凝集性、ガム性及び咀嚼性を減少させ、柔らかい食感と共に滑らかな表面を有する豆腐製品を提供することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本出願の豆腐の外観(気泡の生成可否)を確認するための実際の豆腐の写真であって、左側は比較例1による写真であり、右側は実験例1による写真である。
図2】本出願の豆腐の物性測定用語を説明する物性プロファイル曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本出願を具体的な実施例によりさらに詳しく説明する。しかし、本出願は下記実施例に限定されるものではなく、本明細書に記載されていない内容は、本出願の技術分野又は類似分野で熟練された者であれば充分に認識して類推することができるものなので説明を省略する。
【0036】
実施例1:おぼろ豆腐の製造
おぼろ豆腐の製造のための原材料の配合比を表1に重量%で示した。
アルロース(72 Brix、アルロース98重量%以上、CJ第一製糖(株))を含むおぼろ豆腐(実験例1)の製造は、下記の通り実施した。黄大豆をよく洗って水に漬けてふやかした後、水を少しずつ加えながら粉砕機に入れてきれいにすり潰した後、100℃で加熱して豆の生臭さを除去し、タンパク質を溶出させた。加熱が終わった後、木綿布でろ過して豆汁とおからに分離した。前記豆汁を冷やした後、アルロースを添加してよく交ぜた後、凝固剤として塩化マグネシウムを添加した。以後、容器に包装して85℃から60分加熱し、おぼろ豆腐を成形及び殺菌して15℃以下で冷却した後、4℃で冷蔵保管した。
【0037】
比較例1は、実験例1の製造方法でアルロース添加の段階のみを省略して同一の方法で製造した。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例2.官能評価
前記実施例1で製造されたおぼろ豆腐の外観を観察し、官能評価を実施した。官能評価は、訓練された9名のパネルに各豆腐製品を冷たい状態で生で試食するようにし、一つの試料の評価を終える毎に水で口の中を洗浄して1分が経過した後、次の試料を評価するようにした。全般味、外観及び甘口の嗜好度を評価し、結果は5点の尺度で示した(表2)。
【0040】
[評価基準]
5点の嗜好尺度(5点:非常に良い、4点:多少良い、3点:どちらでもない、2点:あまり良くない、1点:全く良くない)
その結果、外観上でアルロースを添加することにより気泡の生成が少なく表面が滑らかになったところ(図1の右側写真)外観の嗜好度が高いことを確認し(表2)、甘口の嗜好度及び全般的な味の嗜好度には影響がないものと評価された(表2)
【0041】
【表2】
【0042】
実施例3:おぼろ豆腐の物理的分析
おぼろ豆腐製造の際、アルロース添加の可否及びアルロース混合濃度による豆腐の物性を確認した。おぼろ豆腐は、実験例1の製造方法で製造するが、下記表3の通りアルロースを0重量%、5重量%(乾燥固形粉の基準3.5重量%)、10重量%(乾燥固形粉の基準7.1重量%)、15重量%(乾燥固形粉の基準10.6重量%)及び20重量%(乾燥固形粉の基準14.1重量%)で調節して添加し、全体重量を同一に調節するために添加したアルロース量ほど豆汁の含有量を少なく調節した。
【0043】
物性分析機であるTA−XT Plus(Texture Technologes社、UK)を用いて、硬度、弾力性、凝集性、ガム性及び咀嚼性を測定して物性を確認し、同一の条件で総5回測定してその平均値を結果とした。
前記物性分析機は、人が口で2回噛む行動を真似る。物性分析機のプローブ(cylinder metal probe)は、調節された距離から調節された速度で垂直で食品サンプルへ下がってくる。その次に、プローブは再び予め調節された距離ほど上に上がっていき、2回目の咀嚼のために再び下に下がってくる。力を知覚する装置と変換器は、測定サンプルに適用された力を認知してそのデータ(力の値、作動時間、プローブの移動距離)をコンピューターに送る。物性測定用語の定義及び物性測定条件は下記の通りである:
【0044】
<物性測定用語の定義>
(1)硬度(Hardness,g):定まった変形に到逹するために必要な力であって、1回目の咀嚼の最大力(図2の1回目の圧縮の最も大きいピーク)
(2)弾力性(Springiness):変形させる力の除去後に変形された材料が変形される前の状態に戻る速度(図2の長さ2(Length2)/長さ1(Length1)=L2/L1)
(3)凝集性(Cohesiveness):食品体をなすのに必要な内部の結合程度(図2の面積2(Area2)/面積1(Area1)=A2/A1)
(4)ガム性(Gumminess,g):半固体食品を分解するために必要な力(半固体状態のサンプルを飲み込むことができる状態で作る性質)(=凝集性*硬度)
(5)咀嚼性(Chewiness,g):食品が飲み込まれるために必要な咀嚼の段階数(=ガム性*弾力性)
【0045】
<物性測定条件>
プローブ(probe):直径が2cmの円筒形の形態;
前記プローブがサンプルまで下がってくる速度(pre−testspeed):5.00mm/sec;
前記プローブが前記サンプル表面についた後、前記サンプルに浸透していく速度(testspeed):5.00mm/sec;
前記プローブが前記サンプルを浸透した後、元の位置に戻る速度(post−testspeed):5.00mm/sec;
前記プローブのターゲットモード(targetmode):距離(distance);
前記プローブが前記サンプルの表面を認識して、前記サンプルを突き抜けていく距離(distance):5.000mm;
前記プローブが前記サンプルを認識するための条件(triggertype):力(force);及び
前記プローブが前記サンプルの存在を認識するための最小限の力(triggerforce):10.0gで設定する条件。
【0046】
アルロースの添加可否による豆腐の物性を確認した結果、アルロースを添加して製造された豆腐は、アルロース無添加の豆腐に比べ、硬度(ForceHardness)、弾力性(Springiness)、凝集性(Cohesiveness)、ガム性(Gumminess)及び咀嚼性(Energy chewiness)が減少し、柔らかい食感が向上されたことを確認できた。アルロースの添加濃度別の豆腐の物性を分析した結果、添加濃度の増加時の弾力性と凝集性は維持され同一に成形されるが、硬度は減少してより柔らかい食感を有することを確認できた(表3)。
【0047】
【表3】
【0048】
以上の説明から、本出願が属する技術分野の当業者は本出願がその技術的思想や必須特徴を変更しなくとも、他の具体的な形態で実施されてよいとのことを理解することができるはずである。これに関し、以上で記述した実施例はすべての面で例示的なものであり限定的なものではないものとして理解すべきである。本出願の範囲は、前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその均等の概念から導出される全ての変更又は変形された形態が本出願の範囲に含まれるものとして解釈されるべきである。
図1
図2