特許第6989250号(P6989250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6989250実質的に対称な3アーム星型ブロックコポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989250
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】実質的に対称な3アーム星型ブロックコポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 293/00 20060101AFI20211220BHJP
   C08L 53/00 20060101ALI20211220BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20211220BHJP
【FI】
   C08F293/00
   C08L53/00
   B82Y30/00
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2016-213026(P2016-213026)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2017-82220(P2017-82220A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2019年10月29日
(31)【優先権主張番号】62/248,633
(32)【優先日】2015年10月30日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ブラウン ファーナム
(72)【発明者】
【氏名】マイケル トーマス シーハン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン ヴィ トラン
(72)【発明者】
【氏名】ターチン チャン
【審査官】 佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−537279(JP,A)
【文献】 特表2015−507065(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/009325(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 293/00−297/08
C08L 53/00−53/02
C08F 2/00−2/60
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心核並びに内側ブロック及び外側ブロックを有するジブロックコポリマーアームを有する3アーム星型ブロックコポリマーを含む組成物であって、
(a)前記中心核は、式R1C[(AO)(C(O)(CH22C(CH3)(CN))SC(S)Z]3を有する構造を含み、式中、R1はH、CH3、及びC25からなる群から選択され;AはCH2及び4−置換C64からなる群から選択され;ZはSRであり、式中、RはC1〜C4アルキル、C1225及びC65からなる群から選択され;
(b)前記内側ブロックは、モノマー1の重合に由来し、
【化1】
式中、XはH又はメチルであり、Rは任意選択でヒドロキシル基又は保護されたヒドロキシル基で置換された、C1〜C8アルキル及び部分的にフッ素化されたアルキル基;並びにC3〜C8シクロアルキル基からなる群から選択され;
(c)前記外側ブロックは、内側ブロックに共有結合しており、前記外側ブロックは、モノマー2の重合に由来し、
【化2】
式中、Arは、ピリジル基、フェニル基、又はアルキル、ヒドロキシル、アセトキシ、C1〜C4アルコキシ基及び−OC(O)OR’(式中R’はC1〜C8アルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択される置換基を有するフェニル基からなる群から選択される、組成物。
【請求項2】
モノマー1及び2が、モノマー1のホモポリマーの総表面エネルギー値と、モノマー2のホモポリマーの総表面エネルギー値との間の差が10ダイン/cm超であるように選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記内側ブロックが、前記ジブロックコポリマーアームの5〜95重量%を構成している、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記3アーム星型ブロックコポリマーの重量平均分子量が、5,000〜250,000である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
モノマー1中のRがメチル、シクロヘキシル、及び部分的にフッ素化されたアルキル基からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記部分的にフッ素化されたアルキル基が、−CH2C(CF32OH、
−CH2CH2CH2CF249、−CH2CH2613、及びオクタフルオロペンチルからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
Arが、ピリジル、フェニル、アセトキシフェニル、メトキシフェニル、及びOC(O)OR’(式中、R’はt−ブチルである)で置換されたフェニルからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記内側ブロックが、イソボルニルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、トリフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、CH2=C(CH3)CO2CH2C(CF32OH及びその保護された類似体、CH2=C(CH3)CO2CH2CH2CH2CF249、CH2=C(CH3)CO2CH2CH2613、CH2=C(CH3)CO2CH2CH249、CH2=C(CH3)CO2CH2CH237、CH2=C(CH3)CO2CH225、並びにCH2=C(CH3)CO2CH237からなる群から選択されるモノマーの重合に由来する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
基材、前記基材上のブロックコポリマー組成物、及び前記基材と前記ブロックコポリマー組成物との間の中性層を含む物品であって、前記ブロックコポリマー組成物が、中心核、内側ブロック及び外側ブロックを有する3アーム星型ブロックコポリマーを含み:
(a)前記中心核は、式R1C[(AO)(C(O)(CH22C(CH3)(CN))SC(S)Z]3を有する構造を含み、式中、R1はH、CH3、及びC25からなる群から選択され;AはCH2及び4−置換C64からなる群から選択され;ZはSRであり、式中、RはC1〜C4アルキル、C1225、及びC65からなる群から選択され;
(b)前記内側ブロックは、モノマー1の重合に由来し、
【化3】
式中、XはH又はメチルであり、Rは任意選択でヒドロキシル基又は保護されたヒドロキシル基で置換された、C1〜C8アルキル及び部分的にフッ素化されたアルキル基;並びにC3〜C8シクロアルキル基からなる群から選択され;
(c)前記外側ブロックは、前記内側ブロックに共有結合しており、前記外側ブロックは、モノマー2の重合に由来し、
【化4】
式中、Arは、ピリジル基、フェニル基、又はアルキル、ヒドロキシル、アセトキシ、C1〜C4アルコキシ基、及び−OC(O)OR’(式中R’はC1〜C8アルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択される置換基を有するフェニル基からなる群から選択される、物品。
【請求項10】
前記基材が、線セグメント及び点からなる群から選択される形体(features)でプレパターン化されている、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
以下の式を有する化合物を含む組成物であって:
【化5】
式中、
(a)R1は、H、CH3、及びC25からなる群から選択され;
(b)AはCH2及び4−置換C64からなる群から選択され;
(c)モノマー1は内側ブロックであり、モノマー1の重合に由来し、
【化6】
式中、XはH又はメチルであり、Rは任意選択でヒドロキシル基又は保護されたヒドロキシル基で置換された、C1〜C8アルキル及び部分的にフッ素化されたアルキル基;並びにC3〜C8シクロアルキル基からなる群から選択され;
(d)モノマー2は、内側ブロックに共有結合している外側ブロックであり、モノマー2の重合に由来し、
【化7】
式中、Arは、ピリジル基、フェニル基、又はヒドロキシル、アセトキシ、C1〜C4アルコキシ基及び
−OC(O)OR’(式中R’はC1〜C8アルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択される置換基を有するフェニル基からなる群から選択され;
(e)nは、10〜1,000の範囲であり;
(f)mは、10〜1,000の範囲である、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジブロックアームを有する実質的に対称な3アーム星型コポリマーに関する。このようなコポリマーは、著しく異なる相互作用パラメータを有するポリマーのセグメント(ブロック)を含有し、誘導自己組織化の用途に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
誘導自己組織化(DSA)は、異種の混ざり合わないブロックを含有するジブロックコポリマー(BCP、本明細書ではブロックコポリマー又はブロックポリマーとも表す)などのコポリマーが、均質なブロックのドメインに自己分離するという技術である。これらのドメインは、ランダムなパターンをもたらすか、又は誘導された場合は、各ブロックの分子量により決定づけられる、明確に規定され、かつ高度に規則的な構造を与え得る。非常に小さい(20nm未満)形体を提供するDSAの能力により、この技術は、集積回路作製及び半導体製造のプロセスのための実用的な選択肢として、急速に考慮すべきものとなってきた。
【0003】
DSAはまた、固有の物理的表面特性を有するナノ構造表面を調製する方法としても、研究されてきた。可能な用途として、ナノ構造を組み入れることにより表面の疎水性を変化させることや、固有の化学的触媒のための部位を提供することが挙げられる。DSAは、生物医学的な分野で、薬物送達;タンパク質の精製、検出、及び送達;遺伝子導入;抗菌性又は汚染防止性の物質;並びにサイトミメティック化学を含む有望な用途を持つ。
【0004】
ブロックコポリマーは、ブロックの体積分率(F)、重合度(N)、Flory−Huggins相互作用パラメータ(X、又はchi)、及びブロックコポリマーの分子構造様式に応じて変わる、球状、シリンダー状、らせん状、及びラメラ状などの多種多様な自己組織化構造のために広く研究されてきた。これらのナノ構造は、テンプレート、膜、光学材料、及びデータ記憶媒体などの様々な用途に広く使用されてきた。
【0005】
直鎖ジブロックコポリマーと比較して、ミクトアーム星型コポリマー又は「星形の」コポリマーなどのコポリマーの多様な構造様式は、異なる分子構造様式により誘起される異なる形態又は物理的特性が期待されるために探求されてきた。近年、例えば、星形のコポリマーで構成される単分子ミセルが、星形のコポリマーのアームが核と共有結合しているために、ジブロックコポリマーから作製されるミセルより高い安定性への傾向を有することが示されてきた。
【0006】
上述のように、自己組織化する能力は、Flory−Huggins相互作用パラメータ(X)によって決まる。ラメラ形成ジブロックコポリマーの自然の形体ピッチ(Lo)は重合度に比例するため、高値のX(すなわち、高−chi)により低分子量ポリマーが組織化することが可能になり、より小さいブロックドメインへ、したがって形体サイズへとつながる。それはまた、物理的又は化学的のいずれかで区別される表面上への誘導組織化へと向かうより大きい熱力学的推進力を可能にする。磁気記憶及び半導体デバイスなどの用途というニーズに答えるために、近年、長範囲の順序付け、良好な形体の位置決め、及び欠陥のほとんどない正確なパターン配置の達成を目指して、多くの努力がなされている。例えば、ポリスチレン/ポリ(メチルメタクリレート)ジブロックコポリマー(PS−b−PMMA)の薄膜は、希釈トルエン溶液からスピン流延し、次にアニーリングして、ポリスチレンのマトリックス中にポリ(メチルメタクリレート)シリンダーの6角形配列を形成することができる(K.W.Guarini et al,.Adv.Mater.2002,14,No.18,1290〜4)。平行線のパターンもまた、化学的にナノパターン化された基材上に、PS−b−PMMAを使用して生成されている(S.O.Kim et al.,Nature,2003,424,411〜4)。
【0007】
誘導自己組織化を介してパターンを形成する際に、ジブロックコポリマーと対応するホモポリマーのブレンドを使用することが報告されている(米国特許出願公開第2008/0299353 A1号)が、このようなブレンドの組成物をより正確に制御できるように、実質的にホモポリマー混入物を含まないブロックコポリマーを使用することが有利であると考えられている。しかしながら、手間のかかる時間と資源集約的な手順を用いることなく、及び/又は収率を犠牲にすることなく、ジブロックコポリマーの所望の純度レベルを達成することは、極めて困難であり得る。この所望の最終結果を達成する試みの例が、米国特許第7,521,094号、米国特許出願公開第2008/0093743 A1号;同2008/0299353 A1号;同2010/0294740 A1号;及びPCT公開第WO 2011/151109号に開示されている。しかしながら、これらの手順のどれも、DSA用途に好適な生成物を作りだしていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ジブロックセグメントを含有する代替の構造様式、例えば、直鎖トリブロック構造が、DSAにおける使用を検討されており(米国特許出願公開第2013/0230705 A1号)、これは組織化における利点を示している。複雑な、非対称の星型構造の組織化特性も検討されており、相図及び形態的特性が急速に変わることが見出されている。鎖末端を1つの炭素原子につなぎ留められることにより束縛された、同一のジブロックアームを含む星型の構造様式により、組織化におけるエントロピー的利点が付与され、対応する単純ジブロック系により提供される規則性に対して、より小さい限界寸法でのより規則的な組織化が可能となる。星型の構造様式はまた、直鎖トリブロック、又は単純ジブロック系と比較して、より規則的に順序付けられた組織化も付与する。直鎖トリブロック構造様式は、対応するジブロック系と比較して、組織化における利点を提供し得ることが、当技術分野で周知である(米国特許出願公開第2013/0230705 A1号)。しかしながら、DSAの実用にとって、予想を超えた規則性は性能を表すものであり、「制御困難な」複雑さではない。したがって、DSAの必要条件を満足する星形のコポリマーに対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1態様では、組成物は、中心核並びに内側ブロック及び外側ブロックを有するジブロックコポリマーアームを有する実質的に対称な3アーム星型ブロックコポリマーを含む。中心核は、式R1C[(AO)(C(O)(CH22C(CH3)(CN))SC(S)Z]3を有する構造を含み、式中、R1はH、CH3、及びC25からなる群から選択され;AはCH2及び4−置換C64からなる群から選択され;ZはSRであり、式中、RはC1〜C4アルキル、C1225、及びC65からなる群から選択される。内側ブロックは、モノマー1の重合に由来し、
【0010】
【化1】
【0011】
式中、XはH又はメチルであり、Rは、任意選択でヒドロキシル基又は保護されたヒドロキシル基で置換された、C1〜C8アルキル及び部分的にフッ素化されたアルキル基;並びにC3〜C8シクロアルキル基からなる群から選択される。外側ブロックは、内側ブロックに共有結合しており、外側ブロックは、モノマー2の重合に由来し、
【0012】
【化2】
【0013】
式中、Arは、ピリジル基、フェニル基、又はアルキル、ヒドロキシル、アセトキシ、C1〜C4アルコキシ基、及び−OC(O)OR’(式中R’はC1〜C8アルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択される置換基を有するフェニル基からなる群から選択される。
【0014】
第2態様では、物品は、基材、基材上のブロックコポリマー組成物、及び基材とブロックコポリマー組成物との間の中性層を含む。ブロックコポリマー組成物は、中心核、内側ブロック及び外側ブロックを有する実質的に対称な3アーム星型ブロックコポリマーを含む。中心核は、式R1C[(AO)(C(O)(CH22C(CH3)(CN))SC(S)Z]3を有する構造を含み、式中、R1はH、CH3、及びC25からなる群から選択され;AはCH2及び4−置換C64からなる群から選択され;ZはSRであり、式中、RはC1〜C4アルキル、C1225、及びC65からなる群から選択される。内側ブロックは、モノマー1の重合に由来し、
【0015】
【化3】
【0016】
式中、XはH又はメチルであり、Rは任意選択でヒドロキシル基又は保護されたヒドロキシル基で置換された、C1〜C8アルキル及び部分的にフッ素化されたアルキル基;並びにC3〜C8シクロアルキル基からなる群から選択される。外側ブロックは、内側ブロックに共有結合しており、外側ブロックは、モノマー2の重合に由来し、
【0017】
【化4】
【0018】
式中、Arは、ピリジル基、フェニル基、又はアルキル、ヒドロキシル、アセトキシ、C1〜C4アルコキシ基、及び−OC(O)OR’(式中R’はC1〜C8アルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択される置換基を有するフェニル基からなる群から選択される。
【0019】
第3態様では、組成物は、以下の式:
を有し、
【0020】
【化5】
【0021】
式中、
(a)R1は、H、CH3、及びC25からなる群から選択され;
(b)AはCH2及び4−置換C64からなる群から選択され;
(c)モノマー1は内側ブロックであり、モノマー1の重合に由来し、
【0022】
【化6】
【0023】
式中、XはH又はメチルであり、Rは任意選択でヒドロキシル基又は保護されたヒドロキシル基で置換された、C1〜C8アルキル及び部分的にフッ素化されたアルキル基;並びにC3〜C8シクロアルキル基からなる群から選択され;
(d)モノマー2は、内側ブロックに共有結合している外側ブロックであり、モノマー2の重合に由来し、
【0024】
【化7】
【0025】
式中、Arは、ピリジル基、フェニル基、又はヒドロキシル、アセトキシ、C1〜C4アルコキシ、基及び
−OC(O)OR’(式中R’はC1〜C8アルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択される置換基を有するフェニル基からなる群から選択され;
(e)nは、約10〜約1,000の範囲であり;
(f)mは、約10〜約1,000の範囲である。
【0026】
前述の全般的な記述及び以下の詳細な記述は例示的で単に説明的なものであり、添付の特許請求の範囲で定義されるように本発明を制限するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0027】
第1態様では、組成物は、中心核並びに内側ブロック及び外側ブロックを有するジブロックコポリマーアームを有する実質的に対称な3アーム星型ブロックコポリマーを含む。中心核は、式R1C[(AO)(C(O)(CH22C(CH3)(CN))SC(S)Z]3を有する構造を含み、式中、R1はH、CH3、及びC25からなる群から選択され;AはCH2及び4−置換C64からなる群から選択され;ZはSRであり、式中、RはC1〜C4アルキル、C1225、及びC65からなる群から選択される。内側ブロックは、モノマー1の重合に由来し、
【0028】
【化8】
【0029】
式中、XはH又はメチルであり、Rは任意選択でヒドロキシル基又は保護されたヒドロキシル基で置換された、C1〜C8アルキル及び部分的にフッ素化されたアルキル基;並びにC3〜C8シクロアルキル基からなる群から選択される。外側ブロックは、内側ブロックに共有結合しており、外側ブロックは、モノマー2の重合に由来し、
【0030】
【化9】
【0031】
式中、Arは、ピリジル基、フェニル基、又はアルキル、ヒドロキシル、アセトキシ、C1〜C4アルコキシ基、及び−OC(O)OR’(式中R’はC1〜C8アルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択される置換基を有するフェニル基からなる群から選択される。
【0032】
第1態様の一実施形態では、モノマー1及び2は、モノマー1のホモポリマーの総表面エネルギー値と、モノマー2のホモポリマーの総表面エネルギー値との間の差異が10ダイン/cm超であるように選択される。
【0033】
第1態様の別の実施形態では、内側ブロックは、ジブロックコポリマーアームの5〜95重量%を構成している。
【0034】
更に第1態様の別の実施形態では、実質的に対称な3アーム星型ブロックコポリマーの重量平均分子量は、5,000〜250,000である。
【0035】
また更に第1態様の別の実施形態では、Rはメチル、シクロヘキシル、及び部分的にフッ素化されたアルキル基からなる群から選択される。より特定の実施形態では、部分的にフッ素化されたアルキル基は、−CH2C(CF32OH、
−CH2CH2CH2CF249、−CH2CH2613、及びオクタフルオロペンチルからなる群から選択される。
【0036】
第1態様の更なる実施形態では、Arは、ピリジル、フェニル、アセトキシフェニル、メトキシフェニル、及びOC(O)OR’(式中R’はt−ブチルである)で置換されたフェニルからなる群から選択される。
【0037】
第1態様のまた更なる実施形態では、内側ブロックは、イソボルニルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、トリフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、CH2=C(CH3)CO2CH2C(CF32OH及びその保護された類似体、CH2=C(CH3)CO2CH2CH2CH2CF249、CH2=C(CH3)CO2CH2CH2613、CH2=C(CH3)CO2CH2CH249、CH2=C(CH3)CO2CH2CH237、CH2=C(CH3)CO2CH225、並びにCH2=C(CH3)CO2CH237からなる群から選択されるモノマーの重合に由来する。
【0038】
第2態様では、物品は、基材、基材上のブロックコポリマー組成物、及び基材とブロックコポリマー組成物との間の中性層を含む。ブロックコポリマー組成物は、中心核、内側ブロック及び外側ブロックを有する実質的に対称な3アーム星型ブロックコポリマーを含む。中心核は、式R1C[(AO)(C(O)(CH22C(CH3)(CN))SC(S)Z]3を有する構造を含み、式中、R1はH、CH3、及びC25からなる群から選択され;AはCH2及び4−置換C64からなる群から選択され;ZはSRであり、式中、RはC1〜C4アルキル、C1225、及びC65からなる群から選択される。内側ブロックは、モノマー1の重合に由来し、
【0039】
【化10】
【0040】
式中、XはH又はメチルであり、Rは任意選択でヒドロキシル基又は保護されたヒドロキシル基で置換された、C1〜C8アルキル及び部分的にフッ素化されたアルキル基;並びにC3〜C8シクロアルキル基からなる群から選択される。外側ブロックは、内側ブロックに共有結合しており、外側ブロックは、モノマー2の重合に由来し、
【0041】
【化11】
【0042】
式中、Arは、ピリジル基、フェニル基、又はアルキル、ヒドロキシル、アセトキシ、C1〜C4アルコキシ基、及び−OC(O)OR’(式中R’はC1〜C8アルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択される置換基を有するフェニル基からなる群から選択される。
【0043】
第2態様の一実施形態では、基材は、曲線、直線、線セグメント、及び点からなる群から選択される形体でプレパターン化されている。
【0044】
第3態様では、組成物は、以下の式:
を有し、
【0045】
【化12】
【0046】
式中、
(a)R1は、H、CH3、及びC25からなる群から選択され;
(b)AはCH2及び4−置換C64からなる群から選択され;
(c)モノマー1は内側ブロックであり、モノマー1の重合に由来し、
【0047】
【化13】
【0048】
式中、XはH又はメチルであり、Rは任意選択でヒドロキシル基又は保護されたヒドロキシル基で置換された、C1〜C8アルキル及び部分的にフッ素化されたアルキル基;並びにC3〜C8シクロアルキル基からなる群から選択され;
(d)モノマー2は、内側ブロックに共有結合している外側ブロックであり、モノマー2の重合に由来し、
【0049】
【化14】
【0050】
式中、Arは、ピリジル基、フェニル基、又はヒドロキシル、アセトキシ、C1〜C4アルコキシ基、及び−OC(O)OR’(式中R’はC1〜C8アルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択される置換基を有するフェニル基からなる群から選択され、
(e)nは、約10〜約1,000の範囲であり;
(f)mは、約10〜約1,000の範囲である。
【0051】
星型の構造様式により、ブロックコポリマーの組織化におけるエントロピー的利点が付与され、単純ジブロック系により提供される規則性と対比して、より小さい限界寸法での組織化におけるより良好な規則性が可能となる。薄膜では、星型の構造様式により、直鎖トリブロック、又は単純ジブロック系と比較して、より規則的に順序付けられた組織化も付与され、改善されたエッチング選択性、同様に誘導自己組織化用途のための調節可能な組成物が可能となる。
【0052】
本明細書で、用語「ブロックコポリマー」とは、異なる重合モノマーのブロック(すなわち、セグメント)を含むコポリマーを表す。星型の構造様式では、第1と称されるモノマーは、核構造に直接結合しているので、「内側モノマーセグメント」(又は「内側ブロック」)となる。第2と称されるモノマーは、アーム端に結合しており、「外側モノマーセグメント」(又は「外側ブロック」)となる。核の構造は重要であると考えられており、多数の活性鎖成長部位の分布を有する架橋核は考慮から除外される。核内の中心炭素原子にアームとして接続している多数の鎖原子は、重合中のモノマー接近の邪魔を取り除き、重合後の構造的可撓性を可能にしなければならない。例えば、PMMA−b−PSは、ポリ(メチルメタクリレート)とポリスチレンのブロックを含む「ジブロック」コポリマーであり、最初にメチルメタクリレートを重合し、次にポリ(メチルメタクリレート)鎖の反応末端からスチレンを重合することによる、可逆的付加脱離連鎖移動(RAFT)プロセスを使用して調製することができる。あるいは、PS−b−PMMAジブロックコポリマーをアニオン重合プロセスにより作製することができるが、実質的に異なる核構造が必要とされる。原子移動フリーラジカル重合(ATRP)を利用することができる(Matyjaszewski,et al,Macromolecules 2010,43,1227、しかしながら、公表されたシステムは即時の実用としては機能しない)。他の方法、又は技術を連携した組み合わせとして、原子移動フリーラジカル重合(ATRP)、開環メタセシス重合(ROMP)、及びリビングカチオン重合又はリビングアニオン重合が挙げられる。
【0053】
「ジブロックコポリマー」は、モノマー構成要素のみで記述することもでき、例えば、MMA−b−SはPMMA−b−PSと等しい。多くの目的上、モノマーの順序は、ジブロックコポリマーの機能又は使用に対してあまり重要ではなく、そのため、ジブロックコポリマーが異なる経路により作製されたとしても、PMMA−b−PSはPS−b−PMMAとかなり同様に挙動する。
【0054】
一実施形態では、中心核は、式R1C[(AO)(C(O)(CH22C(CH3)(CN))SC(S)Z]3を有する構造を含み、式中、R1はH、CH3、及びC25からなる群から選択され;AはCH2及び4−置換C64からなる群から選択され;ZはSRであり、式中、RはC1〜C4アルキル、C1225、及びC65からなる群から選択される。
【0055】
一実施形態では、内側ブロックは、モノマー1の重合に由来し、
【0056】
【化15】
【0057】
式中、XはH又はメチルであり、Rは任意選択でヒドロキシル基又は保護されたヒドロキシル基で置換された、C1〜C8アルキル及び部分的にフッ素化されたアルキル基;並びにC3〜C8シクロアルキル基からなる群から選択される。
【0058】
一実施形態では、Rはメチル、シクロヘキシル、及び部分的にフッ素化されたアルキル基からなる群から選択される。より特定の実施形態では、部分的にフッ素化されたアルキル基は、−CH2C(CF32OH、−CH2CH2CH2CF249
−CH2CH269、及びオクタフルオロペンチルからなる群から選択される。
【0059】
一実施形態では、内側ブロックは、イソボルニルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、トリフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、CH2=C(CH3)CO2CH2C(CF32OH(FOHMAC)及びその保護された類似体、CH2=C(CH3)CO2CH2CH2CH2CF249(C4VDF−MA)、CH2=C(CH3)CO2CH2CH2613(C6−ZFM)、CH2=C(CH3)CO2CH2CH249(C4−ZFM)、CH2=C(CH3)CO2CH2CH237(C3−ZFM)、CH2=C(CH3)CO2CH225、並びにCH2=C(CH3)CO2CH237からなる群から選択されるモノマーの重合に由来する。
【0060】
一実施形態では、外側ブロックは、内側ブロックに共有結合しており、外側ブロックは、モノマー2の重合に由来し、
【0061】
【化16】
【0062】
式中、Arは、ピリジル基、フェニル基、又はアルキル、ヒドロキシル、アセトキシ、C1〜C4アルコキシ基、及び−OC(O)OR’(式中R’はC1〜C8アルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択される置換基を有するフェニル基からなる群から選択される。
【0063】
モノマー2に相当する好適なモノマーとして、スチレン、アルキル化スチレン、アセトキシスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、プロポキシスチレン、ブトキシスチレン、ビニルピリジン、及び芳香環上で−OC(O)OR’基(式中、R’はC1〜C8アルキル基からなる群から選択される)で置換されているスチレンが挙げられる。いくつかの実施形態では、モノマー2は、t−ブトキシスチレン又はt−ブトキシカルボニルオキシスチレンである。
【0064】
その最も単純な形状では、Flory−Huggins相互作用パラメータ、X(chi)は、ポリマーと小分子又は2成分混合物中の別のポリマーの混和性の尺度であると捉えることができる。2つのブロックが極めて非混和性である場合、ジブロックコポリマーは高Xであると言われる。2つのブロックの総表面エネルギーは、極性表面エネルギーと分散性表面エネルギーの合計であり、コポリマーのXに関連し、X自体より決定するのが容易である。総表面エネルギーは、ポリマー表面上の水及びデカリンの接触角を測定し、Fowkes法によりその表面の極性表面エネルギーと分散性表面エネルギーを算出することにより決定することができる。表面エネルギーに大きな差を有する複数対のポリマーを選択するために、対象とするホモポリマーの、公表されているか又は実験的に決定された総表面エネルギー値を使用することができるこのようなポリマー対のブロックを含むジブロックコポリマーは、高−Xのジブロックコポリマーである。一実施形態では、モノマー1及び2は、モノマー1のホモポリマーの総表面エネルギー値と、モノマー2のホモポリマーの総表面エネルギー値との間の差が10ダイン/cm超であるように選択される。
【0065】
選択されたホモポリマーの総表面エネルギーを表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
ジブロックコポリマーの内側ブロックは、例えば、RAFT重合法により調製することができ、狭い多分散性を有するポリマーを提供する。典型的には、メタクリレートブロックは、最初にRAFT法を使用してモノマー1を重合し、次にメタクリレートブロックの活性末端上にモノマー2を重合することにより他のブロックを構築することによって調製される。
【0068】
RAFT重合(いわゆる「核−優先」)では、モノマー1、溶媒、及びトリチオカルボネート(ttc)RAFT剤(例えば、R1C[(CH2O)(C(O)(CH22C(CH3)(CN))SC(S)Z]3)の加熱溶液に、トリチオカルボネート/開始剤の比が高値で、しかし本質的に一定値で維持されるように、好ましくは低ラジカルフラックスで、不活性雰囲気下で開始剤を添加する。反応が完了するとき、生成物(ジブロックコポリマーの内側ブロックを形成する)は、非溶媒で沈殿させることにより単離される。
【0069】
ジブロックコポリマーの外側ブロックは、典型的には、スチレン又はビニルピリジンから形成される。このブロックは、好ましくは低濃度のラジカル開始剤の存在下で、RAFT重合の沈殿生成物の溶液にモノマー2の溶液を添加し、加熱することにより調製することができる。反応の進行は、標準的な分析技術、例えば、1H NMR、ラマン分光分析法により監視することができる。粗ジブロック生成物の最初の単離は、非溶媒で沈殿させることにより達成することができる。一実施形態では、内側ブロックは、ジブロックコポリマーアームの5〜95重量%を構成している。一実施形態では、実質的に対称な3アーム星型ブロックコポリマーの重量平均分子量は、5,000〜250,000である。
【0070】
内側ブロック及び外側ブロックの長さは、各セグメントの重合度により決定され、個々に制御することができる。典型的には、2つのブロックに対する重合度の比は、1:4〜4:1である。
【0071】
いくつかの実施形態では、モノマー1は保護された官能基を含み、この官能基は、内側ブロックの形成後か、又はジブロックコポリマーの形成後のいずれかで除去される。いくつかの実施形態では、モノマー2は保護された官能基を含み、この官能基は、ジブロックコポリマーの形成後に脱保護される。
【0072】
本発明の別の態様は、基材及び基材上に配置された実質的に対称な3アーム星型ブロックコポリマー組成物を含む物品である。この態様では、好適なアニーリングプロセスという重大な必要性が生じ、このプロセスにより、高分子の固有の形態的特性を利用し、所望の様式に方向付けする。熱アニーリング及び溶媒アニーリング法が、近年見直されており(「Directed Self−assembly of Block Copolymers for Nano−manufacturing」,Roel Gronheid and Paul Nealey,eds.,Elsevier,2015;chapter 3,X.Yu,Y.Hanを参照されたい)、これには欠陥密度、及び様々な溶媒蒸気を低減する振動性熱方式、並びにソルボ−サーマルの組み合わせ技術が含まれる。動力学的にトラップされた鎖配置は、高−chi系で起きることがあるが、他の方法では解除できない場合、溶媒アニーリングが使用されることが多い。振動の方策は、薄膜からの溶媒放出に適用されるが、あまり注目を受けていない。例えば、本明細書の実施例に記載されている高−chiコポリマーの例では、溶媒への繰り返し暴露、引き続く膜からの溶媒放出(周囲温度及び周囲圧力における)により、原子間力顕微鏡(AFM)イメージングによって判断されるように、良好な組織化が提供される。単回の暴露は、使用される時間間隔に関わらず、相対的に効果がない。大部分の溶媒が短時間で(厚さに応じて、1〜5秒)膜から放出されるので、複数回の反復が迅速に適用され得る。オクタフルオロペンチルメタクリレート−b−ポリスチレン(OPMA−b−PS)系用の好ましい溶媒はプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)であり、その蒸気圧、活性パラメータ、及びOPMAセグメント内の極性−CF2Hペンダント基との水素結合の可能性から選択されている。
【0073】
一実施形態では、好適な基材として、Si、石英、GaAs、Si34、Al23、及びポリイミドが挙げられる。いくつかの実施形態では、Si表面はオキシドであり、任意選択でヘキサメチルジシラザン(HMDS)でコーティングされる。通例、ジブロック系は、垂直配向ラメラ又は他の有用な形体を達成するために、基材表面上に非選択性の又は中性の層を最初に積層することが必要である。いくつかの実施形態では、中性層は、例えば、モノマー1とモノマー2のランダムコポリマーである。一実施形態では、基材がSiである場合、R1SiCl3(又はそのような種類の混合物)、(式中、R1はアルキル基又は部分的に若しくは全体的にフッ素化されたアルキル基である)でSi表面をコーティングする。一実施形態では、中性層を塗布する前に、表面に、曲線、直線、線セグメント、及び点などの形体をリソグラフでプレパターン化することができる。いくつかの実施形態では、ブロックコポリマー組成物を中性層上に積層し、次にジブロックコポリマーが5〜200nmのミクロドメインに自己組織化するように、溶媒アニーリング又は熱アニーリングを行う。
【0074】
本明細書に記載される実質的に対称な3アーム星型ブロックコポリマーは、誘導自己組織化用途(DSA)に使用され得ることが見出されており、その構造はナノスケールレベルで形成され得る。より詳細には、実質的に対称な3アーム星型ブロックコポリマーは、所定の位置にホール、通路、チャネル、又は他の構造を有するデバイスを形成するために使用することができる。
【0075】
より詳細には、誘導自己組織化を介して形成される構造は、半導体デバイスを構成する点で有用であり得て、その限界寸法は、標準的なリソグラフ及びエッチング技術を介して現在到達できる限界寸法より小さい。DSAパターニング法では、BCPドメインの小さい限界寸法を活用することができ、また同時に、随意のパターンレイアウトのためのBCPドメイン配置の正確な制御を提供し、それにより、より高解像度のパターニングを可能にする。加えて、これらの方法は従来の光学リソグラフィツール及び画像材料と互換性がある。
【0076】
特定の条件下で、本明細書に記載されるジブロックコポリマーのブロックは、ミクロドメインに相分離し(「ミクロ相分離ドメイン」又は「ドメイン」としても知られる)、プロセス中に、異なる化学組成のナノスケール形体が形成される。実質的に対称な3アーム星型ブロックコポリマーのこのような形体を形成する能力により、ナノパターニングにおいて該コポリマーは潜在的に有用となり、より小さい限界寸法を有する形体が形成され得る範囲において、他の方法では従来のリソグラフィを使用してプリントすることが困難である形体の構成が可能となる。しかしながら、基材からのガイドがなければ、自己組織化ブロックコポリマー薄膜内のミクロドメインは、典型的には、空間的に位置決め又は配向されることはない。空間的な位置決め及び配向の問題に取り組むために、グラフォエピタクシーを使用して、誘導自己組織化を可能にすることができ、そこで自己組織化は、リソグラフでプレパターン化された基材のトポグラフィカル形体によりガイドされる。BCPグラフォエピタクシーにより、サブリソグラフィの、プレパターン自体の寸法より小さい特有の寸法を有する自己組織化形体が提供される。
【0077】
BCPグラフォエピタクシーに基づく初期のDSA応用がいくつか報告されている。米国特許出願公開第2008/0093743 A1号に示されるように、従来のリソグラフィ法を用いて作られたホールの直径を小さくするために、ブロックコポリマーの誘導自己組織化が使用されている。この技術を用いて、ブロックコポリマーを含有する溶液を、開口部を有するトポグラフィカル基材上に塗布し、それにより開口部を満たす。次に、アニーリングプロセスの結果として、ミクロ相分離ドメインを開口部内に形成する。開口部の中心に形成された別々の分離されたポリマードメインを、引き続いてエッチングプロセスを介して除去し、対応する開口部より小さいホールを作り出す。しかしながら、この手法を用いて実現されたパターンのピッチは、最初のリソグラフィのプレパターンのピッチから変化していない(すなわち、パターン密度に増加はない)ことに留意されたい。
【0078】
全般のパターン密度(ここではより小さい限界寸法(CD)及びより小さいピッチに関連する)は、リソグラフィで明確化されたトレンチ内の自己組織化ポリマードメインの配列を作り出すことにより増加する(Cheng et al.,Applied Physics Letters,2002,81,3657を参照されたい)。しかしながら、この手法において、各自己組織化ドメインの配置が効果的に制御されることがなく、したがって、エッチングプロセスの結果として得られる対応するホールの最終的な位置に対する制御はない。したがって、これらのホールは、その中でドメインが所定の位置を持つ配列を形成することはなく、これらの位置の標準偏差は、正確な配列とは、平均の中心間ドメイン間隔の10%程度異なり得る(Cheng et al.,Advenced Materials 2006,18,2505を参照されたい)。
【0079】
本発明の一態様は、1つ又は複数の誘導構造を含む表面を有する基材を提供し、次にその表面上に、実質的に対称な3アーム星型ブロックコポリマーを含む層を塗布することを含む方法であり、そこでコポリマーの成分は互いに混和しない。ポリマーは複数の別々の分離されたドメインを形成することが可能で(例えば、この自己組織化を誘起するために、アニーリングプロセスを使用してもよい)、ここでそれぞれ別々の分離されたドメインの位置は、誘導構造により前もって決定されている。
【0080】
一実施形態では、少なくとも1つの実質的に対称な3アーム星型ブロックコポリマーを含有するポリマー溶液を調製する。付加的なBCP、ホモポリマー、コポリマー、界面活性剤及び光酸発生剤も利用してもよい。次に、セグメント化されたプレパターンを有する基材上に、溶液を流延し、良好に位置決めされたポリマードメインを所望の範囲内に形成する。ジブロックコポリマーの可動性を増加させること(例えば、熱処理又は溶媒蒸気処理を通じて)が、特定のポリマーに対して必要とされることがある。ガラス転移温度が室温より低いジブロックコポリマーに関して、自発的な自己組織化が起こり得る。付加的なアニーリング(熱アニーリング、熱勾配アニーリング、溶媒蒸気アニーリング又はいくつかの他の勾配磁場を含む)を任意選択で利用して、任意の欠陥を取り去ってもよい。最終的に、少なくとも1つの自己組織化ポリマードメインを選択的に除去してホールを発生させ、次にその下にある基材へと移動させることができる。例えば、二重層(レジスト層及び移動層)と、三重層(レジスト層、ハードマスク層、移動層)の両方の方式が可能である(例えば、「Introduction to Microlithography」,second edition,edited by Larry F.Thompson,C.Grant Willson and Murrae J.Bowden,American Chemical Society,Washington,D.C.,1994を参照されたい)。パターン作製及びパターン移動の前に、自己組織化ポリマーを任意選択で化学修飾して、エッチング耐性又は特定の機械的特性などのパターン移動に必要な特性を改善してもよい。
【0081】
実質的に対称な3アーム星型ブロックコポリマー配合物を、スピンコーティングにより、例えば、約1rpm〜約10,000rpmのスピン速度で、乾燥後プロセスを伴うか、又は伴わないで、基材上に塗布してもよい。ジブロックコポリマー配合物を基材に塗布するために、ディップコーティング及びスプレーコーティングなどの他のプロセスを使用してもよい。
【0082】
本明細書で使用するとき、「相分離」とは、ブロックコポリマーのブロックが、別々のミクロ相分離ドメイン、また「ミクロドメイン」及び単に「ドメイン」としても表されるものを形成する傾向を表す。同一のモノマーのブロックは、凝集してドメインを形成し、ドメインの間隔及び形態は、相互作用、体積分率、及びブロックコポリマー中の異なるブロックの数に応じて変わる。ブロックコポリマーのドメインは、スピン流延工程中など、基材に塗布している間に自発的に形成するか、又はアニーリング工程の結果として形成することができる。「加熱」又は「焼き付け」は、一般的なプロセスであり、そこで基材及びその上のコーティング層の温度は、周囲温度より高くなる。「アニーリング」としては、熱アニーリング、熱勾配アニーリング、溶媒蒸気アニーリング、又はソルボサーマル法を含む他のアニーリング法を挙げることができる。熱アニーリングは、「熱硬化」と表されることもあるが、相分離を誘起するために使用され、加えて、外側のミクロ相分離ドメインの層内の欠陥を低減するか又は除去するためのプロセスとして使用され得る。熱アニーリングは、一般に、ブロックコポリマーのガラス転移温度を超えた昇温時に、一定期間(例えば、数分から数日)の加熱を伴う。大規模製造にとって、時間は重要な要素である。
【0083】
使用することができる溶媒は、ジブロックコポリマー成分及び、もしあるならば、様々な添加剤の溶解度要求によって異なる。これらの成分及び添加剤の例示的な流延溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、エトキシエチルプロピオネート、アニソール、エチルラクテート、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、アミルアセテート、γ−ブチロラクトン(GBL)、トルエン、トリフルオロトルエンなどが挙げられる。
【0084】
添加剤は、付加的ポリマー(ホモポリマー及びコポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、架橋ポリマー、並びに無機含有ポリマーを含む)、小分子、ナノ粒子、金属化合物、無機含有分子、界面活性剤、光酸発生剤、熱酸発生剤、塩基失活剤、硬化剤、架橋剤、鎖延長剤、及び前述のものを少なくとも1つ含む組み合わせからなる群から選択することができ、1つ又は複数の添加剤は、ブロックコポリマーと相互組織化して、1つ又は複数の自己組織化ドメインの一部を形成する。
【0085】
本明細書で使用するとき、基材とは、本明細書に記載される任意の方法で使用されるのに好適な物理的構造物であり、半導体産業で使用される基材を含むが、必ずしもこれに限定されない。基材には、その上に、材料(ポリマー、ポリマー材料、金属、オキシド、誘電体など)を積層するか又は接着することができる物体(例えば、層又は積層、材料など)が含まれる。本明細書では基材として、半導体材料、絶縁材料、導電材料、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられ、多層構造体を含んでもよい。したがって、例えば、基材は、Si、SiGe、SiGeC、Sic、GaAs、InAs、InP、及び他のIII/V又はII/VI化合物半導体などの半導体材料を含んでもよい。基材は、例えば、半導体製造プロセスの様々な工程で生成されるようなシリコンウエハ又は加工ウエハ、例えば集積半導体ウェハなどを含んでもよい。基材は、例えば、Si/SiGe、Si/Sic、シリコンオンインシュレータ(SOI)又はシリコンゲルマニウムオンインシュレータ(SGOI)などの層基材を含んでもよい。基材は、誘電体層、SiCなどの銅に対するバリヤ層、銅などの金属層、ハルフニウム(halfnium)ジオキシド層、シリコン層、シリコンオキシド層など、又はこれらの組み合わせなどの1つ又は複数の層を含んでもよい。基材は、有機絶縁体、無機絶縁体、又は多層を含むこれらの組み合わせなどの絶縁材料を含んでもよい。基材は、例えば、多結晶シリコン(polySi)、元素金属、元素金属の合金、金属シリサイド、金属窒化物、又は多層を含むこれらの組み合わせなどの導電材料を含んでもよい。基材は、基材表面に活性があるp型又はn型拡散を有するイオン注入ソース/ドレイン領域などのイオン注入領域を含んでもよい。
【0086】
実質的に対称な3アーム星型ブロックコポリマー合成及び組織化により、ジブロック及び直鎖トリブロックコポリマーを超える利点が提供され、その利点としてC3核合成及び単離のスケーラビリティ、主に分子量及びジブロックコポリマーアームの組成により決定される薄膜中の改善された形体ピッチ及び形態、並びにより小さい限界寸法での組織化の改善された規則性などのより良好な組織化特性が挙げられる。
【0087】
上述の内容を考慮すると、いくつかの本発明の形体が本明細書の実施形態及び実施例内で限定されることなく開示されていることがわかるであろう。
【実施例】
【0088】
(実施例1)
1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタン(THME)及びRAFTv2.0からの3アーム星型核RAFT(C3−RAFT)剤の調製
ドライボックス中で、撹拌棒及びTeflon(登録商標)PTFEストッパーを備えた三つ口丸底フラスコに、RAFTv2.0(28.0g、69.5mmol、Boron Molecular、Raleigh、NC)、THME(2.40g、20.0mmol)、テトラヒドロフラン(THF、100mL)及びジメチルアミノピリジン(0.73g、6mmol)を入れた。ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、14.8g、71.8mmol)を、室温で40分間にわたり、固体で少量ずつ添加した。
【0089】
16時間撹拌した後、反応混合物を濾過し、固体を少量の追加のTHFで洗浄した。THFを減圧下で留去し、生成物をイソプロパノール(100mLで3回)で洗浄し、各洗浄サイクル中(20分)に35℃で撹拌(磁気撹拌子)し、次に生成物相を20〜22℃で沈殿させた。わずかに濁った上部層をデカンテーションした。生成物をポンピングし、26.5gの粘質の(heavy)オレンジ色油状物を得た。少量の残留イソプロパノールにより、1H NMRのおよそ4.04の低磁場シグナルの積分が不明瞭となった。不明瞭でなければ、このスペクトルは純度99%超を有する所望の生成物と一致した。重合における使用の前に、試料を20mLのメチルエチルケトン(MEK)で処理し、次に蒸発させ、ポンピングし、26,0gの粘質のオレンジ色油状物を得た。NMRにより、MEK含有量=5.5重量%、算出収量=24.6g(96%)と推定した。LC−MSは、所望の生成物と一致した:C62105369、[M+H]測定で1276.556245Da。
【0090】
(実施例2)
トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)及びRAFTv2.0からの3アーム星型核RAFT剤の調製
ドライボックス中で、撹拌棒及びTeflon(登録商標)PTFEストッパーを備えた三つ口丸底フラスコに、RAFTv2.0(12.7g、31.5mmol)、THPE(3.06g、10mmol)、THF(60mL)及びジメチルアミノピリジン(DMAP、0.366g、3.0mmol)を入れた。ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、7.40g、36mmol)を、室温でゆっくり分割して添加した。副生成物の尿素がすぐに形成され、混合物を22時間撹拌した。追加のRAFTv2.0(0.6g)を添加し、混合物を更に5時間撹拌した。1H NMR(CDCl3):主要アリールABパターン7.09、7.01;小AB 6.91、6.75(比=99/1)、残留DMAPシグナル8.2と6.52、CH2シグナル3.33(SCH2)、2.9(C(O)CH2)、2.63と2.48、1.7と1.4、1.3エンベロープ、CH3 0.88。積分は、RAFTv2.0の対応するエステル生成物への高変換率(およそ99%)と一致した。
【0091】
反応混合物を濾過し、固体をTHFで洗浄した。合わせた液相を減圧下で蒸発させた。液相を蒸発させたバルク生成物を少量のMEK(1mL)で希釈し、撹拌した溶液をイソプロパノールで処理し、生成物の実質的な相分離を起こした。上部相をデカンテーションし、生成物を追加のイソプロパノールで洗浄した。最終の単離生成物中のイソプロパノール含有量を減少させるために、MEKを添加し、溶媒を真空下で除去した。1H NMR(CDCl3):汚染物質シグナルは検出レベル未満であった。
【0092】
(実施例3)
低Mw3−MMA−ttcの調製
冷却器、窒素ガス注入口、熱電対及び開始剤供給ライン、ラマンプローブ、並びにオーバーヘッド撹拌装置を備えた四つ口フラスコに、C3−RAFT剤CH3C[CH2OC(O)CH2CH2C(CH3)(CN)SC(S)SC12253(FW=1275.5、当量2.38g=5.61m当量、トリチオカルボネート末端)、MEK(135mL)、及びMMA(100g、1.00mol)を入れた。シリンジポンプ供給用に、Luperox(登録商標)26開始剤溶液を以下の通りに調製した:106mg/20.0mL、(0.0245mmol/mL)、MEKを溶媒として使用。反応容器を窒素で20分間パージした。温度を75℃まで上昇させ、5.0mLの開始剤溶液を供給した。開始剤を0.30mL/時間で35.25時間供給した。MMA変換率は91%と推定された。SEC(直鎖PMMA校正):Mw=52350;Mn=48,750;Mz=55,480;PD=1.07。より高い開始剤濃度を使用した反応と比較して、SECオーバーレイトレースにより、より良好な線形及び分子量分布、同様にアーム結合した生成物の実質的により小さいフラクションが示される。UV:A309=0.806。
【0093】
(実施例4)
3−MMA−ttcの調製
冷却器、窒素ガス注入口、熱電対及び開始剤供給ライン、並びにオーバーヘッド撹拌装置を備えた四つ口フラスコに、C3−RAFT剤CH3C[CH2OC(O)CH2CH2C(CH3)(CN)SC(S)SC12253(2.38g、5.61m当量、トリチオカルボネート末端)、MEK(110mL)、及びMMA(80.0g、0.80mol)を入れた。シリンジポンプ供給用に、Luperox(登録商標)26開始剤溶液を以下の通りに調製した:106mg/20.0mL、(0.0245mmol/mL)、MEKを溶媒として使用。反応容器を窒素で20分間パージした。温度を75℃まで上昇させ、5.0mLの開始剤溶液を添加した。緩徐供給条件(0.30mL/時間)を確立し、18時間継続した。1H NMR(CDCl3)により、最終のMMA変換率は推定82%と示された。積分はアームMn=11,420、又は合計Mn=34,250と一致した。
【0094】
MEK−希釈溶液をメタノールにゆっくり添加して沈殿させた。濾過及び乾燥して、61.8gの黄色固体を得た。SEC(直鎖PMMA校正):Mw=36,650;Mn=33,400;Mz=39,100;PD=1.10。UV(1.0g/L、THF、1cm):A310=1.250。
【0095】
(実施例5)
低Mw3−MMA−b−S−ttcの調製
冷却器、窒素ガス注入口、熱電対、ラマンプローブ、及びオーバーヘッド撹拌装置を備えた三つ口500mLフラスコに、45.0gのC3−PMMA−ttc(Mw=36,650;算定4.08m当量、トリチオカルボネート末端)、2−ヘプタノン(75g)、及びスチレン(93.6g、0.90mol)を入れた。窒素パージシーケンスを20分間続けた。反応混合物を95℃まで2時間、105℃まで1時間、114℃まで20.5時間加熱した。スチレン変換率は56%と測定された。
【0096】
反応混合物をMEK(100mL)で希釈し、50℃まで加熱し、均一な溶液の形成を加速し、冷却し、3L容器に移した。ヘキサン(2L)を強く撹拌しながらゆっくり添加し、良好に形成された粒子を生成した。0.5時間撹拌した後、フリット浸漬管を使用して、大量の溶媒を除去した。ヘキサン(1L)を添加し、混合物を0.5時間撹拌した。液相を除去し、メタノール(1L)を添加した。0.5時間撹拌した後、混合物を濾過し、固体をメタノールで洗浄した。93.2gの淡黄色固体を得た。生成物をシクロヘキサン(750mL)で処理し、45℃のバス(内部は36℃)中で0.5時間加熱した。フリット浸漬管を使用して温度で液相を除去し、シクロヘキサン抽出工程を繰り返した。室温まで冷却後、固体を濾取し、次にメタノールで処理し、乾燥した。89.4gの固体を得た。1H NMR分析:S及びMMAポリマーシグナルの積分を使用し、ポリマー中のモノマー比を、MMA/S=49.4/50.6と算出した。核CH2Oシグナル強度を使用して、全体のMn=66,540と推定した。推定アームMn=22,180(C3−MMA−b−Sの全体)。SEC(vs.PMMA標準):Mw=74,900;Mn=66,900;Mz=82,900;PD=1.12。アーム結合した生成物の非常に小さいフラクションが存在した。UV(1.0g/L、THF、1cm):A312=0.598。
【0097】
(実施例6)
中Mw3−MMA−ttcの調製
冷却器、窒素ガス注入口、熱電対及び開始剤供給ライン、ラマンプローブ、並びにオーバーヘッド撹拌装置を備えた四つ口フラスコに、C3−RAFT剤CH3C[CH2OC(O)CH2CH2C(CH3)(CN)SC(S)SC12253(FW=1275.5、2.38g=5.61m当量、トリチオカルボネート末端)、MEK(110mL)、及びMMA(100g、1.00mol)を入れた。シリンジポンプ供給用に、Luperox(登録商標)26開始剤溶液を以下の通りに調製した:106mg/20.0mL、(0.0245mmol/mL)、MEKを溶媒として使用。反応容器を窒素で20分間パージした。温度を75℃まで上昇させ、5.0mLの開始剤溶液を供給した。緩徐供給条件(0.30mL/時間)に調整した後、ポンピングを開始し、緩徐供給を18時間継続した。MMA変換率がおよそ82%であったとき、高粘度混合制限が起きた。
【0098】
反応混合物をMEK(70mL)で希釈し、溶液をメタノールに添加し、生成物を沈殿させた。SEC(直鎖PMMA校正):Mw=47,620;Mn=45,380;Mz=49,450;PD=1.05。検出可能なアーム結合はなかった。UV(1.00g/L、THF):A310=0.863。
【0099】
(実施例7)
中Mw3−MMA−b−S−ttcの調製
冷却器、窒素ガス注入口、熱電対及びラマンプローブを備えた三つ口500mLフラスコに、45.0gのC3−PMMA−ttc(Mw=47620)、2−ヘプタノン(75g)、及び93.6g(0.90mol)のスチレンを入れた。窒素パージシーケンスを20分間続けた。反応混合物を91℃まで2時間、100℃まで2時間、114℃まで19時間加熱した。スチレン変換率は52%と決定された。
【0100】
ポリマー溶液をヘキサンで処理し、淡黄色固体を産出し、該固体を濾過し、風乾し、82.4gを得た。生成物をシクロヘキサン(750mL)で処理し、45℃のバス(内部は36℃)中で0.5時間加熱した。フリット浸漬管を用いて、温度で液相を除去し、この工程を繰り返した。固体をメタノールで処理し、濾過及び乾燥し、80gのポリマーを得た。1H NMR分析(CDCl3):S及びMMAポリマーシグナルの積分を使用し、ポリマー中のモノマー比を、MMA/S=52.6/47.9と算出した。核CH2O強度=1.435;CH2S強度=1.548;合計MMA=100/H、合計S=90.2/H。推定アームMn=13,900+13,080=26,980。SEC(vs.直鎖PMMA標準):Mw=94,960;Mn=78,520;Mz=109,550;PD=1.20。少量のアーム結合生成物が存在した。UV(1.0g/L、THF、1cm、−134B):A312=0.381。
【0101】
架橋S/MMA/GMA中性層上に調製された薄膜のAFM分析により、L0=21.8nmが示された。
【0102】
(実施例8)
高Mw3−MMA−ttcの調製
冷却器、窒素ガス注入口、熱電対及び開始剤供給ライン、並びにオーバーヘッド撹拌装置を備えた四つ口フラスコに、C3−RAFT剤CH3C[CH2OC(O)CH2CH2C(CH3)(CN)SC(S)SC12253(FW=1275.5、2.38g=5.61m当量、トリチオカルボネート末端)、MEK(135mL)、及びMMA(100g、1.00mol)を入れた。シリンジポンプ供給用に、Luperox(登録商標)26開始剤溶液を以下の通りに調製した:106mg/20.0mL、(0.0245mmol/mL)、MEKを溶媒として使用。反応容器を窒素で20分間パージした。温度を75℃まで上昇させ、5.0mLの開始剤溶液を供給した。緩徐開始剤供給を35時間継続した。1H NMR(CDCl3)により、最終のMMA変換率=91%と示された。ポリマー溶液をヘキサン中に沈殿させ、濾過及び乾燥の後、86gの黄色固体を得た。SEC(直鎖PMMA校正):Mw=52,350;Mn=48,750;Mz=55,480;PD=1.07。UV:A309=0.806。
【0103】
(実施例9)
高Mw3−MMA−b−S−ttcの調製
冷却器、窒素ガス注入口、熱電対、ラマンプローブ、及びオーバーヘッド撹拌装置を備えた三つ口500mLフラスコに、45.0gのC3−PMMA−ttc(Mw=52,350)、2−ヘプタノン(75g)、及び93.6g(0.90mol)のスチレンを入れた。窒素パージシーケンスを20分間続けた。反応混合物を95℃まで2時間、105℃まで1時間、114℃まで18時間加熱した。スチレン変換率は65%と推定された。
【0104】
反応混合物をMEK(200mL)で希釈し、65℃まで加熱し、均一性を達成し、3L容器に移した。ヘキサン(2L)を撹拌しながらゆっくり添加した。0.5時間後、フリット浸漬管を使用して、大量の溶媒を除去した。ヘキサン(1L)を添加し、混合物を0.5時間撹拌した。液体を除去し、メタノール(1L)を添加した。0.5時間撹拌した後、混合物を濾過し、固体をメタノールで洗浄し、濾過及び風乾の後、96.3gの淡黄色固体を得た。IPC分析により判断されるように、少量のポリスチレンホモポリマーが存在した。ポリスチレンホモポリマーを、およそ40℃で、シクロヘキサン抽出で処理することにより除去し、室温まで冷却し、メタノールで処理し、次に濾過及び乾燥を行った。1H NMR分析(CDCl3):S及びMMAポリマーシグナルの積分を使用し、モノマー比を、MMA/S=47.6/52.4と算出した。核CH2O強度の積分を使用して、算定アームMnを32,160と推定し;又は全体Mn=96,500。この値は以下のSECデータと合理的に一致している。SEC(vs.PMMA標準):Mw=138,400;Mn=114,200;Mz=172,600;PD=1.21。アーム結合した生成物の小さいフラクションが存在した。UV(1.0g/L、THF、1cm):A312=0.320。
【0105】
比較例1
テレキーレックttc−OPMA−ttcの調製
シリンジポンプ装置、冷却器、窒素ガス注入口、熱電対、及びオーバーヘッド撹拌装置を備えた4−ポートフラスコに、トリチオカルボネートRAFT剤[C1225SC(S)SC(CH3)(CN)CH2CH2C(O)OCH22(C64)、(FW=908、7.56g=8.33mmol)、MEK(60mL)、及びオクタフルオロペンチルメタクリレート(100.0g、0.33mol)を入れた。シリンジポンプ供給用に、Luperox(登録商標)26開始剤溶液を以下の通りに調製した:152mg/20.0mL、(0.035mmol/mL)、MEKを溶媒として使用。反応容器を窒素で20分間パージした。温度を76℃まで上昇させ、5.0mLの開始剤溶液を添加した。これ以後、0.4mL/時間で連続的な緩徐添加を使用した。加熱を19時間継続した。OPMA変換率は94.7%と決定された。
【0106】
ポリマー溶液を25mLのMEKで希釈し、撹拌中のヘキサン1000mLにゆっくり添加した。沈殿したポリマーを600mLのヘキサンで2回洗浄し、濾過し、風乾し、ポンピングして95.9gの固体を得た。中心核シグナルの積分vs.OPMA CF2Hはdp=44.5(理論=40)と一致した。THF中のSECにより、溶出液ピーク−プラス及びマイナスの成分にわたり、不均一RI応答があったが、更なる分析はできないことが示された。UV(1.00g/L、THF):A308=1.862。
【0107】
比較例2
ttc−S−b−OPMA−b−S−ttcの調製
冷却器、窒素ガス注入口、ラマンプローブ、及び熱電対を備えた三つ口フラスコに、50gのttc−OPMA−ttc(算定7.9mmol、RAFT末端)、2−ヘプタノン(40g)、及び71.0gのスチレンを入れた。窒素パージシーケンスを20分間続けた。反応混合物を95℃まで2時間、105℃まで1時間、114℃まで18時間加熱した。スチレン変換率は54.0%と推定された。
【0108】
冷却した混合物をMEKで希釈し、ヘキサン中にゆっくり添加し、濾過及び風乾した後、85.0gの黄色固体を得た。上述のバルク固体の1H NMR分析(CDCl3):OPMA/S 29.7/70.3(モル%)、芳香族領域積分=1,268;6.05トリプレットa=106.9、OCH2 a=200.0;芳香族内−CH2Oシグナル=8.67、−SCH2 a=7.93に基づく。
【0109】
アリコートをシクロヘキサンで処理し、遠心分離を使用して不溶性ポリマーと液相を分離した。得られたポリマーの1H NMR分析(CDCl3)により、スチレン含有量のわずかな減少が示された:OPMA/S 29.9/70.1(モル%)。SECデータ vs.PMMA:Mw=24,800;Mn=21,700;Mz=27,800;PD=1.14。UV(1.0g/L、THF 1cm):A312=1.138。
【0110】
比較例3
ttc−S−b−OPMA−b−S−ttcの末端基の還元
ttc−S−b−OPMA−b−S−ttcの試料(75.0g、推定6.7mmol、トリチオカルボネート末端)を、ジメチルアセトアミド(DMAC、100.0g)と共に、オーバーヘッド撹拌装置、内部熱電対、還流冷却器、窒素ガス注入口、及びシリンジポンプ菅用アダプタを備えた500mL三つ口丸底フラスコに添加した。混合物を徐々に80℃まで加熱した。溶液をわずかに冷却し、8gのDMACに溶解した次亜リン酸トリエチルアンモニウムで処理し、撹拌し(80℃)、均質の溶液を得た。反応混合物を窒素で20分間パージし、次に103℃まで加熱した。Luperox(登録商標)P開始剤(850mg、11.24gのDMAC(体積=12.00mL)に溶解した)を使用して調製した開始剤溶液を、以下の計画にしたがって、シリンジポンプを使用して添加した:最初の6時間は1時間毎に0.4mL、次にt=20時間からt=32時間まで追加の0.4mLのアリコート。合計8.1mLの開始剤溶液を添加した。
【0111】
ポリマー溶液を冷却し、3Lフラスコに移し、撹拌しながら、1500mLのイソプロパノール/水(2/1)でゆっくり処理した。浸漬管を用いて液相を除去し、固体を150mLのMEKに再び溶解した。追加の1200mLのイソプロパノール/水(2/1)を添加し、浸漬管を用いて液相を除去した。固体を1200mLのイソプロパノール/水(2/1)で洗浄した。固体を濾過し、乾燥して、70.0gの白色固体を得た。出発物質に関する1H NMRオーバーレイトレースにより、重ねることが可能なS、OPMA、及び中心核OCH2シグナル、並びに完全に存在しないSCH2基が示された。OPMA(106.9/H)/S(253.5/H)のモル比は、29.7/70.3であり、54.9/45.1重量%又は43.6/56.4体積%と等しく、モノマー密度はOPMAに対して1.432g/cm3、Sに対して0.909g/cm3を基準とした。SEC分析により、出発物質試料から持ち越されたスチレンホモポリマーの存在が示された。次に、粗生成物を以下のようにシクロヘキサンで処理した:
バルク試料をシクロヘキサン(300mL)で処理し、およそ45℃まで加熱した。混合物を、ゆっくり撹拌しながら室温まで冷却し、次に更におよそ10〜13℃まで冷却し、より大きい粒径を得た。バスを取り外し、混合物を室温のおよそ20〜22℃で平衡状態にした。内容物に遠心分離を施し、上澄み液をデカンテーションした。固体をシクロヘキサンですすぎ、再び遠心分離にかけた。ポリマーを再収集し、MEKに溶解し、イソプロパノールを添加することにより、再び沈殿させた。濾過及び乾燥し、50.5gの白色固体を得た。
【0112】
1H NMR(CDCl3):OPMA/S=31.0/69.0モル%、これは56.4/43.6重量%、又はモノマー密度を使用して、45.1/54.9体積%に相当する。SEC(PMMA標準)により、低分子量成分が除去されたことが示された。Mw=25,000;Mn=21,700、Mz=28,400;PD=1.15。
【0113】
OPMA−b−Sジブロック例で使用した手順にしたがって、SAXS用にポリマー粉末の試料を調製した。散乱強度は、13.2nmのd−間隔と一致した。
【0114】
PGME蒸気を用いたアニーリング(室温、2時間)後、S−b−OPMA−b−SのAFM画像(架橋S/OPMA/GMA中性層上)により、垂直ラメラパターンの部分的な形成が示された。
【0115】
比較例4
OPMA−ttcの調製
シリンジポンプ装置、冷却器、窒素ガス注入口、熱電対、及びオーバーヘッド撹拌装置を備えた4−ポートフラスコに、トリチオカルボネートRAFT剤(RAFTv2.0)C1225SC(S)SC(CH3)(CN)CH2CH2CO2CH3(4.96g=11.9mmol)、MEK(60mL)、及びオクタフルオロペンチルメタクリレート(90.0g、0.30mol)を入れた。シリンジポンプ供給用に、Luperox(登録商標)26開始剤溶液を以下の通りに調製した:152mg/20.0mL、(0.035mmol/mL)、MEKを溶媒として使用。反応容器を窒素で20分間パージした。温度を75℃まで上昇させ、5.0mLの開始剤溶液を供給した。これ以後、連続的な緩徐供給(0.3mL/時間)を33時間使用した。変換率は97%であった。
【0116】
ポリマー溶液を50mLのMEKで希釈し、撹拌中のヘキサン600mLにゆっくり添加した。沈殿したポリマーを600mLのヘキサンで2回洗浄し、濾過し、風乾し、ポンピングして86gの固体を得た。NMR(THF−d8):6.55(t、a=33.7)、4.60(bd m、a=67)、3.25(bd m、a=1.64);予測dpおよそ40。沈殿後、明白なdp=44と算出された。UV(1.00g/L、THF):A309=1.213。SEC(THF、vs.PMMA):Mw=12,650;Mn=11,550;Mz=13,850;PD=1.10。
【0117】
比較例5
OPMA−b−S−ttcの調製
冷却器、窒素ガス注入口、熱電対、及びラマンプローブを備えた四つ口フラスコに、50gのOPMA−ttc(算定6.82mmol、トリチオカルボネート末端)、2−ヘプタノン(40g)、及び71.0g(0.683mol)のスチレンを入れた。窒素パージシーケンスを20分間続けた。反応混合物を95℃まで2時間、105℃まで1時間、及び115℃まで20時間加熱した。スチレン変換率は53.9%と決定された。
【0118】
反応塊をTHF(55mL)で希釈し、ヘキサン(1500mL)を添加することにより、生成物を沈殿させた。浸漬管を用いて溶媒を除去した。固体を120mLのTHFに溶解し、1500mLのヘキサンを添加することにより沈殿させた。液相を除去し、追加のヘキサンを添加してポリマーを洗浄し、小粒子とした。濾過及び乾燥して、80.6gの淡黄色固体を得た。IPCにより、検出可能なホモポリマーがないことが示された。上述のバルク固体の1H NMR分析(CDCl3):OPMA/S 32.6/67.4(モル%)、芳香族領域積分=1,084;6.05トリプレットa=105.7、OCH2 a=200.0;OCH3末端積分=7.42(2.47/H)に基づく。算定したOPMA dp=42.5、S dp=87.8。UV(THF、1.00g/L、1cm):A311=0.731。SEC(THF vs.PMMA):Mw=19040、Mn=17841、Mz=20780、PD=1.08。
【0119】
比較例6
OPMA−b−S−ttcの末端基還元
OPMA−b−Sの試料(75.0g、推定5.48mmol、トリチオカルボネート)を、オーバーヘッド撹拌装置、内部熱電対、還流冷却器、窒素ガス注入口、及びシリンジポンプ菅用アダプタを備えた500mL三つ口丸底フラスコ内のジメチルアセトアミド(DMAC、100.0g)に添加した。混合物を徐々に80℃まで加熱した。溶液を50℃まで冷却し、6gのDMACに溶解した次亜リン酸トリエチルアンモニウム(6.36g、38mmol)で処理し、80℃で撹拌し、透明な溶液を得た。反応混合物を窒素で20分間パージし、次に103℃まで加熱した。Luperox(登録商標)P開始剤の溶液を以下のように調製した:0.340gを5.662gのDMAC(体積=6.00mL)に溶解し;PE菅を通して添加するためにシリンジポンプを使用した。
【0120】
開始剤供給計画:t=0で0.40mL、次に1時間毎に4時間、0.20mLの添加を4回行った。18時間後、追加の0.4mLを2回添加し;21時間後、溶液は完全に無色になった。
【0121】
ポリマー溶液を冷却し、漏斗に移し、1500mLのイソプロパノール/水(2/1)に、撹拌しながらゆっくり添加した。浸漬管を用いて液相を除去し、固体を容器内で1200mLのイソプロパノール/水(2/1)で洗浄した。生成物を濾過し、風乾して、白色固体を得た。
【0122】
小さい汚染物質を除去するために、以下のようにプロセスを継続した:
ポリマーを150mLのMEKに溶解し、1500mLのイソプロパノール/水(2/1)に、強く撹拌しながらゆっくり添加した。浸漬管を用いて液相を除去し、固体を容器内で1200mLのイソプロパノール/水(2/1)で洗浄した。乾燥(終夜の風乾)により、70.6gの白色固体を得た。沈殿プロセスを繰り返し、0.45マイクロメートル膜を使用してMEKポリマー溶液を濾過した。真空乾燥後(60℃、N2導入)、68.4gを得た。
【0123】
1H NMR(CDCl3):OPMA/Sは31.7/68.3と測定された。他の汚染物質は検出限界未満であった。測定OPMA/S含有量は、31.7/68.3モル%であり、57.3/42.7重量%と等しかった。OPMAモノマー密度=1.432g/cm3及びスチレンモノマー密度=0.909g/cm3を使用して、対応する推定体積分率は、46.0/54.0と算出された。
【0124】
UV(THF、1.00g/L、1cm):A311=0.00。SEC(vs.PMMA標準):Mw=19,040;Mn=17,400;Mz=20,800:PD=1.04。SEC(三重検出):Mw=20,700;Mn=20,580;Mz=20,950。結合は検出限界未満であった。DSC:Tgは34.5℃及び92℃。最初の加熱での融解吸熱はおよそ58℃で1.4J/g。
【0125】
(実施例10)
3−OPMA−ttcの調製
冷却器、窒素ガス注入口、熱電対及び開始剤供給ライン、ラマンプローブ、並びにオーバーヘッド撹拌装置を備えた四つ口フラスコに、C3−RAFT剤CH3C[CH2OC(O)CH2CH2C(CH3)(CN)SC(S)SC12253(FW=1275.5、当量重量=425/トリチオカルボネート末端;6.69g=15.75m当量);及びトリフルオロトルエン(97.5mL)、34gのOPMAを入れた。別に101gのOPMAをシリンジポンプセットに充填し、4時間にわたり供給した。シリンジポンプ供給用に、Luperox(登録商標)26開始剤溶液をトリフルオロトルエン中で以下の通りに調製した:159mg/20.0mL、(0.03675mmol/mL)。反応容器を窒素で20分間パージした。次に温度を75℃まで上昇させた。開始剤溶液を12mL/時間(体積=5.0mL)で供給し、次に止めた。緩徐供給条件(0.40mL/時間)に調整した後、ポンピングを開始し、緩徐供給を継続した。OPMAモノマーの供給を同時に開始し、4時間で完了した。追加の2.0mLの開始剤を24時間で供給した。合計のバッチ時間は35時間であり、この時間でOPMA変換率は93%であった。
【0126】
冷却した溶液を、2Lのヘキサンに撹拌しながら滴下添加した。浸漬管を用いて液相を除去した。別に2Lのヘキサンを添加し、混合物を1時間撹拌した。ポリマーを濾過により単離した。風乾により、125.5gの黄色固体を得た。SEC(直鎖PMMA校正)により、Mw=29,360;Mn=27,760;Mz=31,080;PD=1.06が示された。
【0127】
NMR(CDCl3):6.03(t、a=100.8)、4.40(bd m、a=193)、4.00(CH2O、核、a=7.03)、3.35(明確なt、a=1.79)、3.25(m、a=4.45);THF−d8中:6.55(t)、4.6(よりシャープなm、a=342.6)、4.02(m、a=11.2)、3.38(明確なt、a=2.69)、3.27(m、a=7.82)。OPMA、OCH2、及び核CH2Oシグナルを使用して、全体dpは、170.4/1.87=91と推定される。したがって、アームdpは30.4と推定される。
【0128】
追加のC3−OPMA−ttcの分子量試料(Mw=26.4K、38.9K)を、多様な比のOPMAモノマー及びC3−RAFT剤を使用して同様のプロセスにより調製した。
【0129】
(実施例11)
3−OPMA−b−S−ttcの調製
冷却器、窒素ガス注入口、熱電対、ラマンプローブ、及びオーバーヘッド撹拌装置を備えた三つ口フラスコに、50gのC3−OPMA−ttc(Mw=29,360)、2−ヘプタノン(50g)、及び71.0gのスチレンを入れた。窒素パージシーケンスを20分間続けた。加熱を90℃で2時間、105℃で1時間、次に114℃で24時間維持した。スチレン変換率は55%と推定された。
【0130】
反応混合物を50mLのMEKで希釈し、N2下で撹拌しながら2Lのヘキサンにゆっくり添加した。浸漬管を用いて液相を除去した。追加のヘキサン(500mL)を添加した。0.5時間撹拌した後、液相を除去した。イソプロパノール(1L)を添加し、混合物を0.5時間撹拌した。黄色固体を濾過し、風乾した。87.8gの黄色固体を得た。上述のバルク固体の1H NMR分析(CDCl3):OPMA/S 28.7/7.3(モル%)。SEC(vs.PMMA):Mw=41,200;Mn=30,600);少量の低分子量(およそ10,000)のポリスチレンが存在した。
【0131】
ポリスチレンホモポリマーを除去するプロセス:
上述の単離された固体をシクロヘキサン(500mL)で処理し、45℃で0.5時間撹拌し、遠心分離(4000rpm/5分、加温)にかけ、液相をデカンテーションした。別にシクロヘキサン(500mL)を添加し、この操作を2回繰り返した。イソプロパノール(500mL)をポリマー相に添加し、混合物を0.5時間撹拌し、濾過し、風乾し、真空乾燥して、56.3gの精製されたC3−OPMA−b−S−ttcを淡黄色固体として得た。後の操作のシクロヘキサン上澄み液を再処理し、21gのわずかに純度の低いC3−OPMA−b−S−ttcを得た。
【0132】
1H NMR(CDCl3):OPMA/S 30.5/69.5(モル%)、55.9/44.1重量%又は45/55体積%と等しく、モノマー密度はOPMAに対して1.432g/cm3、Sに対して0.909g/cm3に基づく。NMR:核及びモノマー積分シグナルを使用して、全体dpは、OPMA=101、スチレン=235と算出された。したがって、推定Mnは30,300+24,453=54,753(アームMn=18,250)であった。SEC(RIのみ、vs.PMMA標準):Mw=43470、Mn=36650、MP=41180;PD=1.186。SEC(三重検出):Mw=56.73kDa;Mn=54.5kDa;PD=1.04。
【0133】
(実施例12)
高Mw3−OPMA−ttcの調製
冷却器、窒素ガス注入口、熱電対及び開始剤供給ライン、ラマンプローブ、並びにオーバーヘッド撹拌装置を備えた四つ口フラスコに、C3−RAFT剤CH3C[CH2OC(O)CH2CH2C(CH3)(CN)SC(S)SC12253(FW=1275.5、3.16g=7.44m当量、RAFT末端)、DMAC(75mL)、及びOPMA(90.0g、0.30mol)を入れた。シリンジポンプ供給用に、Luperox(登録商標)26開始剤溶液を以下の通りに調製した:106mg/20.0mL、0.0245mmol/mL、MEKを溶媒として使用。反応容器を窒素で20分間パージした。温度を75℃まで上昇させ、5.0mLの開始剤溶液を供給した。緩徐供給条件(0.40mL/時間)を確立し、24時間継続した。1H NMR(CDCl3)により、最終のOPMA変換率は94.3%と示された。
【0134】
反応混合物にMEK(50mL)を添加して、この溶液を2Lヘキサンに撹拌しながら滴下添加した。浸漬管を用いて液相を除去した。別に2Lのヘキサンを添加し、混合物を0.5時間撹拌した。ポリマーに富む相をイソプロパノールで洗浄した。イソプロパノール相を除去して、ポリマーを恒量でポンピングした。SEC(vs.PMMA校正):Mw=38,900、Mn=34,100、Mz=43,500、PD=1.14。OPMA及び核シグナルのNMR積分から、平均dpは133と推定された。
【0135】
(実施例13)
高Mw3−OPMA−b−S−ttcの調製
冷却器、窒素ガス注入口、熱電対、ラマンプローブ、及びオーバーヘッド撹拌装置を備えた三つ口フラスコに、50gのC3−OPMA−ttc(Mw=38,900、推定4.4mmol、トリチオカルボネート末端)、2−ヘプタノン(50g)、及び71.0gのスチレンを入れた。窒素パージシーケンスを20分間続けた。加熱を90℃で2時間、105℃で2時間、次に114℃で23時間維持した。スチレン変換率は54%と推定された。
【0136】
反応混合物を50mLのMEKで希釈し、N2下で撹拌しながら2Lのヘキサンにゆっくり添加した。浸漬管を用いて液相を除去した。追加のヘキサン(500mL)を添加した。0.5時間撹拌した後、液相を除去した。イソプロパノール(1L)を添加し、混合物を0.5時間撹拌した。黄色固体を濾過し、風乾した。82.4gの黄色固体を得た。上述のバルク固体の1H NMR分析(CDCl3):OPMA/S 29.3/70.7(モル%)。SEC(vs.PMMA):Mw=63,860;Mn=43800);少量の低分子量(およそ10,000)のポリスチレンが存在した。
【0137】
ポリスチレンホモポリマーを除去するプロセス:
上述の単離された固体をシクロヘキサン(500mL)で処理し、45℃で0.5時間撹拌し、遠心分離(4000rpm/5分、加温)にかけ、液相をデカンテーションした。別にシクロヘキサン(500mL)を添加し、この操作を2回繰り返した。イソプロパノール(500mL)をポリマー相に添加し、混合物を0.5時間撹拌し、濾過し、風乾し、真空乾燥して、80.0gの精製されたC3−OPMA−b−S−ttcを淡黄色固体として得た。
【0138】
1H NMR(CDCl3):OPMA/S 30.9/69.1(モル%)、56.3/43.7重量%又は45/55体積%と等しく、モノマー密度はOPMAに対して1.432g/cm3、Sに対して0.909g/cm3に基づく。NMR:核及びモノマー積分シグナルを使用して、全体dpは、OPMA=160、スチレン=357と算出された。したがって、推定Mnは85,100(アームMn=28,400)であった。SEC(vs.PMMA標準):Mw=66,200;Mn=55,360;Mz=78,500;PD=1.20。SEC(三重検出):Mw=88.1kDa;Mn=85.1kDa;Mz=91.0kDa;PD=1.04。
【0139】
SAXS分析:イソプロパノール/水混合物を使用して、MEKから逆沈殿により粉末試料を得た。散乱強度分析により、HCPシリンダーはおよそ18.3nmの間隔を有することが示された。
【0140】
(実施例14)
3−OPMA−b−S−ttc(シリンダー状)の調製
冷却器、及び窒素ガス注入口を備えた三つ口フラスコに、37.5gのC3−OPMA(算定4.397mmol、トリチオカルボネート末端)、2−ヘプタノン(37.5g)、及び137.1gのスチレンを入れた。窒素パージシーケンスを20分間続けた。反応混合物を95℃まで2時間、105℃まで1時間、及び115℃まで21時間加熱した。スチレン変換率は61.6%と推定された。
【0141】
反応混合物を80mLのMEKで希釈し、N2下で撹拌しながら2Lのヘキサンにゆっくり添加した。浸漬管を用いて液相を除去した。追加のヘキサン(1000mL)を添加した。0.5時間撹拌した後、液相を除去した。イソプロパノール(500mL)を添加し、混合物を0.5時間撹拌した。得られた黄色固体を濾過し、風乾して121gの黄色固体を得た。SECデータvs.PMMA:低分子量ポリスチレンホモポリマーの小さいフラクションが存在することが示された。
【0142】
粗固体をシクロヘキサン(500mL)で処理し、45℃で0.5時間撹拌し、遠心分離(4000rpm/5分、加温)にかけ、次に放冷し、液相をデカンテーションした。シクロヘキサン(500mL)を添加し、この操作を2回繰り返した。イソプロパノール(500mL)を添加し、混合物を0.5時間撹拌し、濾過し、風乾し、真空乾燥して、98gの精製されたポリマーを得た。1H NMR分析(CDCl3):OPMA/S 14.7/85.3(モル%)、芳香族領域積分=2893.6;6.05(a=105)にCF2Hトリプレット、OCH2 bd 4.4、a=200;核OCH2シグナルa=6.18、末端SCH2=4.55に基づく。OPMA/Sのモル比=14.7/85.3であり、33.2/66.8重量%又は24/76体積%と等しく、モノマー密度はOPMAに対して1.432g/cm3、Sに対して0.909g/cm3に基づく。
【0143】
粒子成長に関する一般的手順(SAXS分析)
0.75gのポリマー試料を2gのMEKに溶解した。(光散乱なし)。溶液を、MEK/i−PrOH+H2O(3/1)(3g)の30/70混合物で滴下処理した。レーザーペンライトにより、有意な光散乱が示された。光散乱は更なる溶媒混合物の添加に伴い増加した。添加を継続し、粒子成長及びポリマーに富む相の形成という結果が得られた。固体を沈殿させ、上部液相を除去した。次にイソプロパノール/水(3/1)溶液を3mLずつ添加した。各添加の後、粒子をしばらくの間撹拌し、次に沈殿させた。各添加(4回)の後、液体部分を除去した。固体を濾過により単離し、風乾した(質量回収率90%)SAXS分析により、15.5nmのラメラのd間隔が示された。
【0144】
中性層の調製−中性層及びブラシポリマーのためのMMA/S/GMA(DSA用途)
冷却器、窒素ガス注入口、開始剤溶液供給用(シリンジポンプ)のセプタム収容アダプタ、熱電対、及びオーバーヘッド撹拌装置を備えた四つ口フラスコ(250mL)に、トルエン(45mL)、MMA(10.8g、108.0mmol)、スチレン(30.2g、290.7mmol)、及びグリシジルメタクリレート2.35g、16.5mmolを入れた。トルエン15mL中のアゾ−ビス(イソブチロニトリル)(AIBN)開始剤(FW=164,585mg、3.57mmol)をシリンジポンプに入れた。反応容器を窒素で20分間パージした。内部温度が上昇し、温度が70℃に達した時に開始剤溶液を1mL/分で開始した。加熱を8時間継続した。
【0145】
1H NMR分析により、S変換率はおよそ70%であることが示された。残留モノマー比は、S/MMA/GMA=82.2/15.3/2.5と決定された。したがって、投入したモノマーの量から、算出されたポリマー組成は、S/MMA/GMA=65.9/29.7/4.5であった。単離し乾燥したポリマーの1H NMR分析は、このモノマー比と一致した。SEC(THF、vs.PMMA):Mw=28,745;Mn=17260、Mz=43600、MP=25500、PD=1.70。IPCにより、17.35分に単一ピークが示された。
【0146】
S/OPMA/GMA中性層の調製
添加漏斗、還流冷却器、窒素ガス注入口、及び磁気撹拌子を備えた250mL四つ口反応容器に、MEK(40mL)、スチレン(18.3g、176mmol)、グリシジルメタクリレート(GMA、1.28g、9.0mmol)、及びオクタフルオロペンチルメタクリレート(OPMA、22.5g、75mmol)を入れた。反応容器を窒素で15分間パージし、次に72℃まで加熱した。MEK 5.0mL中のAIBN(0.35g、2.1mmol)溶液を、10分間隔で添加した。加熱を10時間継続した。スチレン変換率は71%、OPMA変換率は93%、及びGMA変換率は85%と推定された。
【0147】
大部分のMEKを真空下で除去し、残留モノマーをヘキサン中に分配した。真空乾燥後、27gの白色固体を得た。SEC(THF、RI):Mw=46,400;Mn=31,500;Mz=64,700;PD=1.48。ポリマー組成は、S/OPMA/GMA=61.6/34.2/4.1(モル%)と決定された。
【0148】
S/MMA/GMAを使用した中性層架橋の手順
中性層を、配合溶液から以下の通りに調製した:
PGMEA(9.467g)、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタン(FW=120.15;10mg=0.235m当量、ヒドロキシル基)、トリフェニルスルホニウムノナフレート(0.0145g)中の5重量%の溶液10g(0.500g、0.235m当量、エポキシド)を調製した。この溶液1.00gを、スピンコーティングのためにPGMEA 4.00gで希釈した。この溶液を濾過し、シリコンウエハ上にスピンコーティング(800/2500rpm)し、UV暴露(254nm/2分)し、次に180℃で30分間加熱した。
【0149】
S/OPMA/GMAを使用した中性層架橋の手順
中性層を、配合溶液から以下の通りに調製した:
PGMEA(9.467g)、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタン(FW=120.15;12mg=0.12m当量、ヒドロキシル基)、トリフェニルスルホニウムノナフレート(0.0090g)中の5重量%の溶液10g(0.500g、0.120m当量、エポキシド)を調製した。この溶液1.00gを、スピンコーティングのためにPGMEA 4.00gで希釈した。この溶液を濾過し、シリコンウエハ上にスピンコーティング(800/2500rpm)し、UV暴露(254nm/2分)し、次に180℃で30分間加熱した。表面エネルギーはおよそ28ダイン/cmと決定された。
【0150】
比較例2及び3(CE2及びCE3、直鎖トリブロックコポリマー)、比較例5及び6(CE5及びCE6、ジブロックコポリマー)並びに実施例11及び13(E11及びE13、実質的に対称な3アーム星型ブロックコポリマー)からの組成物を、架橋S/OPMA/GMA中性層を有するSi基材上に流延した。原子間力顕微鏡(AFM)を使用して、6試料の画像は、直鎖トリブロック(CE2及びCE3)並びにジブロック(CE5及びCE6)組成物と比較した場合、実質的に対称な3アーム星型組成物(E11及びE13)並びにこれらのより長いコヒーレンス長のよりシャープに明確化されたコントラストを明瞭に示し、実質的に対称な3アーム星型組成物のより長い範囲にわたる、より良好な相分離の証拠を提供する。
【0151】
特定の反応条件、反応物、及び機器を上述しており、当業者が本発明を実行することが可能であると共に、当業者は本発明の明白な延長である修正及び調整をすることができるであろう。本発明のそのような明白な延長又は均等物は、以下の特許請求の範囲で論証するように、本発明の範囲内であることを意図する。