特許第6989251号(P6989251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6989251飲料用又は液状食品用部材用のゴム組成物、飲料用又は液状食品用部材、飲料水ディスペンサ、及び飲料又は液状食品の製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989251
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】飲料用又は液状食品用部材用のゴム組成物、飲料用又は液状食品用部材、飲料水ディスペンサ、及び飲料又は液状食品の製造装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/04 20060101AFI20211220BHJP
   C08C 19/20 20060101ALI20211220BHJP
   B67D 3/00 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   F16L11/04
   C08C19/20
   B67D3/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-215149(P2016-215149)
(22)【出願日】2016年11月2日
(65)【公開番号】特開2017-89889(P2017-89889A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2019年9月9日
(31)【優先権主張番号】特願2015-220679(P2015-220679)
(32)【優先日】2015年11月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000126115
【氏名又は名称】エア・ウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130580
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 靖
(72)【発明者】
【氏名】長尾 瑞恵
(72)【発明者】
【氏名】阿保 洋一
(72)【発明者】
【氏名】安達 陽平
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−226853(JP,A)
【文献】 特開2015−160855(JP,A)
【文献】 特開2004−331821(JP,A)
【文献】 特開2002−265682(JP,A)
【文献】 特開2002−265717(JP,A)
【文献】 特開平07−133378(JP,A)
【文献】 特開2011−190412(JP,A)
【文献】 特開2007−098900(JP,A)
【文献】 特開平10−168855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 11/04
B67D 3/00
C08C 19/00−19/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム組成物からなる単層構造、又はゴム組成物からなる最内層を備えた多層構造の飲料用又は液状食品用チューブ、を備えた飲料水ディスペンサであって、
前記ゴム組成物は、ゴム成分と、抗菌作用を付与するための硫黄とを含む未加硫ゴム組成物(但し、銅粉、銀粉、亜鉛粉、及び鉄粉の中から選択された少なくとも一種類の金属粉を除く。)であり、
前記硫黄は、前記ゴム組成物の全質量のうち、0質量%を超えて5質量%以下の範囲内で含まれる飲料水ディスペンサ
【請求項2】
前記ゴム成分が、ニトリルゴム又はエチレンプロピレンジエンゴムである請求項1に記載の飲料水ディスペンサ
【請求項3】
ゴム組成物からなる単層構造、又はゴム組成物からなる最内層を備えた多層構造の飲料用又は液状食品用チューブ、を備えた飲料又は液状食品の製造装置であって、
前記ゴム組成物は、ゴム成分と、抗菌作用を付与するための硫黄とを含む未加硫ゴム組成物(但し、銅粉、銀粉、亜鉛粉、及び鉄粉の中から選択された少なくとも一種類の金属粉を除く。)であり、
前記硫黄は、前記ゴム組成物の全質量のうち、0質量%を超えて5質量%以下の範囲内で含まれる飲料又は液状食品の製造装置
【請求項4】
前記ゴム成分が、ニトリルゴム又はエチレンプロピレンジエンゴムである請求項3に記載の飲料又は液状食品の製造装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲料用又は液状食品用部材用のゴム組成物、飲料用又は液状食品用部材、飲料水ディスペンサ、及び飲料又は液状食品の製造装置に関するものであり、より詳細には、細菌等の増殖を防止又は抑制することが可能な飲料用又は液状食品用部材用のゴム組成物、飲料用又は液状食品用部材、飲料水ディスペンサ、及び飲料又は液状食品の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料水ディスペンサ(又は飲料水サーバ)は、ミネラルウォーター等の飲料水を充填した大容量ボトル(7〜12L程度)を設置しておき、必要量を適時的にコップ等に採水して飲用されるものである。近年、このボトルを家庭や飲食店、病院、各種オフィスなどに配送して消費する形態が増えている。
【0003】
このような従来の飲料水ディスペンサとしては、例えば、下記特許文献1の図8や下記特許文献2の図1に図示されたものが挙げられる。これらの図に示される飲料水ディスペンサによれば、ボトルから供給される飲料水は、飲料水ディスペンサ内に設けられた冷却機構により冷却されて冷水タンクに貯留されると共に、加熱機構により加熱されて温水タンクにも貯留される構造となっている。これにより、使用者は冷水と温水のいずれも採水可能となっている。
【0004】
また、前記従来の飲料水ディスペンサの飲料水の流路には、一般的には、SUS304等のステンレス材や、ポリプロピレン等の高分子樹脂材料など、剛性を有する配管が使用されている。しかし、装置の製造工程上、剛性を有する配管だけでは、その接続が困難な場合がある。そのため、比較的フレキシブルに配管接続を行うことが可能な可撓性及び柔軟性を有するシリコーンゴムチューブなどを用いるのが一般的である。また、配管等を接続する際に機密性を確保するため、シリコーン製のパッキンが用いられることもある。
【0005】
ところで、前記のような従来の飲料水ディスペンサにおいては、飲料水ボトルをユーザー自身が交換する場合が多い。しかし、飲料水ボトルと本体部を接続する容器接続部に細菌が付着すると、装置内に侵入する可能性がある。そして、飲料水ディスペンサ内で配管としてシリコーンゴムチューブが使用されている場合には、当該シリコーンゴムチューブ中を常温水が満たすような装置構造にしていると、シリコーンゴムチューブ内部で細菌が増殖するという問題がある。シリコーンゴムチューブで細菌が増殖する原因としては、SUS304又はポリプロピレン等からなるチューブと比較して、ガス透過性が高いことなどが考えられる。これにより、飲料水ディスペンサ全体に細菌類等が蔓延し、清浄な飲料水を供給することができなくなるという問題がある。また、このことはシリコーン製のパッキンを用いた場合にも同様の問題を生じさせ得る。
【0006】
前記問題を解決する方法としては、例えば、下記特許文献3に開示のディスペンサの加熱殺菌装置がある。この加熱殺菌装置によれば、熱水をディスペンサ内の配管等を循環させることにより、殺菌することができるとされている。しかし、配管にシリコーンゴムチューブを使用する場合には、たとえ加熱殺菌をした後であっても、通常の運転状態に戻ると、再び配管内等に細菌が増殖するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−255960号公報
【特許文献2】特開2014−084155号公報
【特許文献3】特開2006−76662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、細菌等の増殖を防止又は抑制することが可能な飲料用又は液状食品用部材用のゴム組成物、飲料用又は液状食品用部材、飲料水ディスペンサ、及び飲料又は液状食品の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題は、以下に述べる発明により解決される。
即ち、本発明に係る飲料用又は液状食品用部材用のゴム組成物は、前記の課題を解決する為に、ゴム成分と、ゴム組成物の全質量のうち、0質量%を超えて5質量%以下の範囲内の硫黄とを含むことを特徴とする。
【0010】
前記の構成によれば、本発明のゴム組成物は抗菌作用を有する硫黄を含んでおり、当該ゴム組成物を飲料用又は液状食品用部材(以下、「飲料用等部材」という場合がある。)の材料に用いることにより、当該飲料用等部材における細菌の増殖を防止又は抑制することができる。例えば、飲料用等部材であるチューブの材料に本発明のゴム組成物を用いた場合には、従来のシリコーンゴムからなるものと比較して、当該チューブに常温水を流しても細菌等の増殖を防止又は抑制することができる。
【0011】
ここで、ゴム組成物中における硫黄の存在形態については特に限定されず、加硫又は未加硫の場合を含む。また、硫黄の配合量は、ゴム組成物の全質量に対し5質量%以下であるので、例えば、ゴム組成物が加硫ゴム組成物である場合には、可撓性が過度に低下するのを防止し、配管等への適用を可能にする。
【0012】
また、本発明のゴム組成物を飲料用等部材としてのチューブの材料に用いた場合、当該チューブに可撓性及び柔軟性を付与することができるので、SUS304等のステンレス材や、ポリプロピレン等の高分子樹脂材料からなる従来のチューブと比較して、比較的フレキシブルに、飲料水ディスペンサ等の種々の装置内に配管接続を行うことができる。
【0013】
尚、「飲料」とは、水、ビール等の発泡性飲料、紅茶、コーヒー等を含む。また、「液状食品」とは、液体、溶液、スラリー、分散液、油系、水系、乳化物等の形態を問わず、流動性のある液状の可食物を全て含む意味である。さらに、「液状食品」は、常温では固体であっても、加熱により液体状となる可食物も含む意味である。また、「飲料用又は液状食品用部材」とは、飲料や液状食品の製造・供給等に用いられる装置や設備等に設けられるチューブ、パッキン等の各種部材を意味する。
【0014】
前記の構成に於いて、前記ゴム組成物は、スルフィド結合による架橋構造を備えた加硫ゴム組成物であってもよい。
【0015】
さらに、前記の構成に於いては、前記ゴム成分が、ニトリルゴム又はエチレンプロピレンジエンゴムであることが好ましい。
【0016】
また、前記の構成に於いて、前記ゴム組成物は、未加硫ゴム組成物であってもよい。
【0017】
また、本発明に係る飲料用又は液状食品用部材は、前記の課題を解決する為に、前記に記載の飲料用又は液状食品用部材用のゴム組成物からなることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る飲料水ディスペンサは、前記の課題を解決する為に、前記に記載の飲料用又は液状食品用部材を備えたことを特徴とする。
【0019】
前記の構成によれば、本発明の飲料水ディスペンサは、前述の飲料用等部材を備えた構成であるので、従来の飲料水ディスペンサと比較して、内部での細菌等の増殖を防止又は抑制することができる。例えば、本発明の飲料用等部材を、飲料水を流すチューブに適用した場合には、従来のシリコーンゴムからなるチューブを用いた飲料水ディスペンサと比較して、常温水を流しても、細菌等の増殖を防止又は抑制することができる。
【0020】
また、飲料水ディスペンサに用いられているチューブやパッキン等を本発明の飲料用等部材に置き換えるだけで、細菌等の増殖を防止又は抑制することができるので、飲料水ディスペンサの大幅な設計変更を必要としない。そのため、容易に実施することができる。さらに、細菌等の増殖を防止又は抑制するために、従来と同様に運用することができる。
【0021】
また、本発明に係る飲料又は液状食品の製造装置は、前記の課題を解決する為に、前記に記載の飲料用又は液状食品用部材を備えたことを特徴とする。
【0022】
前記の構成によれば、本発明の飲料又は液状食品の製造装置は、前述の飲料用等部材を備えた構成であるので、従来の製造装置と比較して、内部での細菌等の増殖を防止又は抑制することができる。例えば、本発明の飲料用等部材を、常温の飲料や液状食品を流すチューブに適用した場合には、従来のシリコーンゴムからなるチューブを用いた製造装置と比較して、常温の飲料又は液状食品を流しても、細菌等の増殖を防止又は抑制することができる。
【0023】
また、飲料又は液状食品の製造装置に用いられているチューブやパッキン等を本発明の飲料用等部材に置き換えるだけで、細菌等の増殖を防止又は抑制することができるので、飲料又は液状食品の製造装置の大幅な設計変更を必要としない。そのため、容易に実施することができる。さらに、細菌等の増殖を防止又は抑制するために、従来と同様に運用することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、前記に説明した手段により、以下に述べるような効果を奏する。
即ち、本発明に係る飲料用又は液状食品用部材用のゴム組成物は、抗菌作用を有する硫黄を含んでいるので、当該ゴム組成物を飲料用又は液状食品用部材の材料に用いることで、細菌等の増殖を防止又は抑制することができる。そのため、例えば、本発明のゴム組成物を含む、当該飲料用又は液状食品用部材を飲料水ディスペンサや、飲料又は液状食品の製造装置に適用した場合には、内部で細菌等の増殖を抑制したものを提供することができる。また、従来から用いられているチューブやパッキン等の部材を、本発明の飲料用又は液状食品用部材に置き換えるだけで、細菌等の増殖を防止又は抑制することができるので、飲料水ディスペンサや、飲料又は液状食品の製造装置の大幅な設計変更を必要としない。そのため、容易に実施することができる。さらに、細菌等の増殖を防止又は抑制するために、従来と同様に運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態に係る飲料水ディスペンサの全体構成を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(飲料用又は液状食品用部材用のゴム組成物)
本実施の形態に係る飲料用又は液状食品用部材用のゴム組成物(以下、「ゴム組成物」という。)について、以下に説明する。
【0027】
本実施の形態のゴム組成物は、ゴム成分及び硫黄を少なくとも含む。ゴム組成物に硫黄が含まれることにより、当該硫黄が有する抗菌作用が、飲料用等部材での細菌等の増殖の抑制を可能にしている。また、飲料用等部材が前記ゴム組成物により構成されていることから、可撓性及び柔軟性を付与することができ、当該飲料用等部材をチューブに適用した場合には、フレキシブルな配管接続を可能にする。
【0028】
ここで、前記ゴム組成物は、細菌等の増殖抑制の観点からは、少なくとも硫黄が含まれていればよい。そのため、本実施の形態のゴム組成物は未加硫ゴム組成物である場合を排除しない。
【0029】
前記ゴム成分としては特に限定されず、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム等が挙げられる。これらは適宜必要に応じて、単独で又は二種以上を混合して用いることができる。また、これらのゴム成分のうち、本実施の形態に於いてはニトリルゴム及びエチレンプロピレンジエンゴムが好ましい。
【0030】
前記ゴム組成物に含まれる硫黄の含有量は、ゴム組成物の全質量に対し、0質量%を超えて5質量%以下の範囲内である。ゴム組成物に0質量%を超えて硫黄を含有させることにより、細菌等の増殖を抑制することができる。その一方、硫黄の含有量を5質量%以下にすることにより、ゴム組成物が加硫ゴム組成物である場合には、可撓性が過度に低下するのを防止し、配管等への適用を可能にする。
【0031】
前記ゴム組成物が加硫ゴム組成物である場合、ゴム成分は、硫黄を介してスルフィド結合により架橋された構造となっている。ここで、前記スルフィド結合は、モノスルフィド結合、ジスルフィド結合及びポリスルフィド結合を含む意味である。
【0032】
(飲料用又は液状食品用部材)
本実施の形態に係る飲料用等部材は前記ゴム組成物により構成される。飲料用等部材の具体例としては、飲料や液状食品の製造・供給等に用いられる装置や設備等に用いられる部材であれば特に限定されない。具体的には、例えば、飲料用又は液状食品用チューブ(以下、「飲料用等チューブ」という。)や飲料用又は液状食品用パッキン(以下、「飲料用等パッキン」という。)等が挙げられる。
【0033】
飲料用等チューブは飲料水や液状食品を流動させる管状の部材である。また、飲料用等パッキンは、回転や往復運動する機械的部分に用いられるシール部材であって、飲料水や液状食品等の流体の漏れや外部からの異物の侵入を防ぐ部材である。以下においては、飲料用等部材が飲料用等チューブである場合を例にして説明する。
【0034】
飲料用等チューブの厚み、外径及び内径は特に限定されず、強度、柔軟性及び可撓性を考慮し、目的に応じて適宜設定することができる。
【0035】
本実施の形態の飲料用等チューブは、その厚み方向において、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。多層構造の場合、最内層が前記ゴム組成物からなる。この場合、外層については、例えば、オレフィン系の熱可塑性エラストマー樹脂等からなるものを用いることができる。これにより、飲料用等チューブに対し、耐傷性及び耐摩耗性等を付与することができ、物理的な破損を防止し、機械的強度の向上が図れる。また、外層に熱可塑性エラストマー樹脂からなるものを用いることにより、飲料用等チューブの柔軟性、耐屈曲性を良好なものにし、内部を流動する飲料水等や液状食品の流動性が阻害されるのを防止することができる。
【0036】
本実施の形態の飲料用等チューブは、継ぎ手を介して直列に又は並列に結合したものであってもよい。
【0037】
本実施の形態の飲料用等チューブの製造方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。具体的には、例えば、押し出し成型法や射出成型法等が挙げられる。また、成型条件についても採用する材料等に応じて適宜設定することができる。
【0038】
(飲料水ディスペンサ)
本実施の形態の飲料用等チューブの具体的な使用態様としては、例えば、飲料水ディスペンサにおける飲料水を流すための種々の配管等が挙げられる。図1は、飲料水ディスペンサの全体構成を示す断面模式図である。
【0039】
同図に示すように、飲料水ディスペンサ10は、飲料水15を供給するためのボトル11と、当該ボトル11を着脱自在に設置することが可能な本体部12とを少なくとも備える構成である。
【0040】
ボトル11は、注水口16が下向きとなる状態で、本体部12の上部における注水口受け17に取り付けられる。注水口受け17の中央部には、ボトル11の注水口16に差し込み、飲料水15を取り入れるための取水管18が立設されている。取水管18によって取り込まれた飲料水15は、貯留槽21に貯留される。
【0041】
本体部12は、筐体19と、注水口受け17と、ボトル11から供給される飲料水15を冷却し冷却水として貯留する貯留槽21と、当該飲料水15を加熱し、温水として貯留する温水槽22と、当該冷却水及び温水を給水するための給水部23とを少なくとも備える。
【0042】
貯留槽21の内部にはセパレータ24が設けられており、当該貯留槽21で貯留されている飲料水15を、常温で貯留する常温水層24aと、冷却して貯留する冷却水層24bに区分している。常温水層24aの飲料水15は、供給管31を介して温水槽22に供給され、設定された温度に加熱されて温水として貯留される。さらに、貯留されている温水は、温水給水管32を介して、給水部23より給水可能となっている。また、冷却水層24bの飲料水15は、貯留槽21において、冷却管25により、設定された温度に冷却されて冷却水として貯留される。さらに、貯留されている冷却水は、冷却水給水管33を介して、給水部23より給水可能となっている。
【0043】
本実施の形態の飲料用等チューブは、前述の供給管31及び冷却水給水管33に適用可能である。特に、供給管31では常温水が流れるが、本実施の形態の飲料用等チューブであると、そのような場合にも細菌等の増殖を防止又は抑制することができる。
【0044】
尚、本実施の形態の飲料用等チューブの使用態様としては、飲料水ディスペンサを例にして説明したが、本発明はこの態様に限定されるものではない。例えば、ビールサーバーや液状食品の製造装置等にも使用可能である。
【実施例】
【0045】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、下記の実施例に記載されている材料等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
【0046】
(実施例1)
本実施例においては、飲料用又は液状食品用チューブの材料に用いることが可能な硫黄含有ニトリルゴム(エア・ウォーター・マッハ(株)製、型番:1A、硫黄含有量がニトリルゴムの全質量に対し5質量%以下)を用いて、飲料水ディスペンサ内で増殖可能な細菌を培養し、当該細菌の増殖の程度を調べた。
【0047】
先ず、前記硫黄含有ニトリルゴムからなり、かつ、厚み2mm、大きさ1cm×3cmのゴム板を、70%エタノール(和光純薬工業(株)純度99.5%エタノールを超純水にて70wt%に調整)に10分間浸漬し、殺菌した。
【0048】
次に、一般細菌を数十cfu(colony forming unit)/ml、従属栄養細菌を数百cfu/ml含む飲料水(菌液)を準備し、培養前の菌液中の一般細菌の菌数を、ペトリフィルムACプレート(住友スリーエム(株)製、一般細菌検出用)を用いて計測した。すなわち、菌液1mlを前記ペトリフィルムACプレート上に載せ、当該培養液を広げた。さらに、温度37℃で48時間培養した後の菌数を計測した。このときの一般細菌の状態を下記表1に示す。また、培養前の一般細菌の菌数を下記表2に示す。
【0049】
尚、一般細菌とは、標準寒天培地を用いて36±1℃で24±2時間で培養したときに、当該培地に集落を形成する細菌を意味する。また、従属栄養細菌とは、有機栄養物を比較的低濃度に含む培地を用いて低温(25℃)で長時間培養したときに、当該培地に集落を形成するすべての細菌を意味する。
【0050】
また、前記培養前の菌液中の従属栄養細菌の菌数については、ペトリフィルムAQHCプレート(住友スリーエム(株)製)を用い、25℃で1週間を培養した後に計測した。このときの従属栄養細菌の状態を下記表3に示す。また、培養前の従属栄養細菌の菌数を下記表4に示す。
【0051】
一方、前記菌液40mlを、クリーンベンチ内にて、50mlコニカルチューブ容器(日本ベクトン・ディッキンソン(株))に入れた。さらに、クリーンベンチ内にて、殺菌済みの前記ゴム板を前記菌液で洗浄し、その後、コニカルチューブ容器に入れて蓋をした。続いて、コニカルチューブ容器において、従属栄養細菌が最も増殖し易い温度である25℃で1週間培養を行った。
【0052】
1週間の培養後、クリーンベンチ内にて、コニカルチューブをよく攪拌し、培養液中の一般細菌の増殖の程度を、ペトリフィルムACプレートを用いて確認した。すなわち、よく撹拌した培養液1mlをペトリフィルムACプレート上に載せ、当該培養液を広げた。次いで、25℃で48時間培養した後、培養後の一般細菌の菌数を計測した。培養後の菌液中における一般細菌の状態を下記表1に示す。また、培養後の一般細菌の菌数を下記表2に示す。
【0053】
また、1週間培養後の従属栄養細菌の増殖の程度については、ペトリフィルムAQHCプレートを用い、25℃で1週間を培養した後に計測した。このときの従属栄養細菌の状態を下記表3に示す。また、培養後の従属栄養細菌の菌数を下記表4に示す。
【0054】
(実施例2)
本実施例においては、コニカルチューブ容器内で菌液40mlを1週間培養する際の培養温度を、一般細菌が最も増殖し易い温度である37℃に変更した。それ以外は、前記実施例1と同様にした。結果を下記表1及び表2に示す。
【0055】
(比較例1)
本比較例においては、ゴム板として、シリコーンゴム(エア・ウォーター・マッハ(株)製、型番:4C(硫黄を含まないもの))を用いた。それ以外は、前記実施例1と同様にした。結果を下記表1及び表2に示す。
【0056】
(比較例2)
本比較例においては、コニカルチューブ容器内で菌液40mlを1週間培養する際の培養温度を、一般細菌が最も増殖し易い温度である37℃に変更した。それ以外は、前記比較例1と同様にした。結果を下記表1及び表2に示す。
【0057】
(実施例3)
本実施例においては、ゴム板として、硫黄含有エチレンプロピレンジエンゴム(エア・ウォーター・マッハ(株)製、型番:E7−465、硫黄含有量がエチレンプロピレンジエンゴムの全質量に対し5質量%以下)を用いた。それ以外は、前記実施例1と同様にした。結果を下記表1及び表2に示す。
【0058】
(実施例4)
本実施例においては、コニカルチューブ容器内で菌液40mlを1週間培養する際の培養温度を、一般細菌が最も増殖し易い温度である37℃に変更した。それ以外は、前記実施例3と同様にした。結果を下記表1及び表2に示す。
【0059】
(比較例3)
本比較例においては、ゴム板として、エチレンプロピレンジエンゴム(エア・ウォーター・マッハ(株)製、型番:E7−512)(硫黄を含まないもの))を用いた。それ以外は、前記実施例1と同様にした。結果を下記表1及び表2に示す。
【0060】
(比較例4)
本比較例においては、コニカルチューブ容器内で菌液40mlを1週間培養する際の培養温度を、一般細菌が最も増殖し易い温度である37℃に変更した。それ以外は、前記比較例3と同様にした。結果を下記表1及び表2に示す。
【0061】
(参考例1)
本参考例においては、コニカルチューブ容器内にて菌液を培養する際に、ゴム板を投入しなかった。それ以外は、前記実施例1と同様にした。結果を下記表1及び表2に示す。
【0062】
(参考例2)
本参考例においては、コニカルチューブ容器内で菌液40mlを1週間培養する際の培養温度を、一般細菌が最も増殖し易い温度である37℃に変更した。それ以外は、前記参考例1と同様にした。結果を下記表1及び表2に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
(実施例5)
本実施例においては、飲料用又は液状食品用部材に適用可能な硫黄含有ニトリルゴム(エア・ウォーター・マッハ(株)製、硫黄含有量がニトリルゴムの全質量に対し1質量%)を用いて、飲料水ディスペンサ内で増殖可能な細菌を培養し、当該細菌の増殖の程度を調べた。
【0068】
先ず、前記硫黄含有ニトリルゴムからなり、かつ、厚み2mm、大きさ1cm×3cmのゴム板を、70%エタノール(和光純薬工業(株)純度99.5%エタノールを超純水にて70wt%に調整)に10分間浸漬し、殺菌した。
【0069】
次に、一般細菌が812cfu/ml、従属栄養細菌が864cfu/ml含む飲料水(菌液)を準備した。当該飲料水は、飲料水ディスペンサ(天然水、AW・ウォーター株式会社製)から採取した冷水であって、25℃で1週間培養後の水である。尚、菌液中の一般細菌の菌数はペトリフィルムACプレート(住友スリーエム(株)製、一般細菌検出用)を用いて計測した。また、前記培養前の菌液中の従属栄養細菌の菌数については、ペトリフィルムAQHCプレート(住友スリーエム(株)製)を用いて計測した。
【0070】
次に、前記菌液40mlを、クリーンベンチ内にて、50mlコニカルチューブ容器(日本ベクトン・ディッキンソン(株))に入れた。さらに、クリーンベンチ内にて、殺菌済みの前記ゴム板を前記菌液で洗浄し、その後、コニカルチューブ容器に入れて蓋をした。続いて、コニカルチューブ容器において、温度25℃で1週間培養を行った。
【0071】
1週間の培養後、クリーンベンチ内にて、コニカルチューブをよく攪拌し、培養液中の一般細菌の増殖の程度を、ペトリフィルムACプレートを用いて確認した。すなわち、よく撹拌した培養液1mlをペトリフィルムACプレート上に載せ、当該培養液を広げた。次いで、37℃で48時間培養した後、培養後の一般細菌の菌数を計測した。培養後の菌液中における一般細菌の菌数を下記表5に示す。
【0072】
また、1週間培養後の従属栄養細菌の増殖の程度については、ペトリフィルムAQHCプレートを用い、25℃で1週間培養した後に計測した。このときの従属栄養細菌の菌数を下記表5に示す。
【0073】
(実施例6)
本実施例においては、ゴム板として、硫黄の含有量がゴム組成物の全質量に対し2.5質量%の硫黄含有ニトリルゴム(エア・ウォーター・マッハ(株)製)を用いた。それ以外は、前記実施例5と同様にした。結果を下記表5に示す。
【0074】
(実施例7)
本実施例においては、ゴム板として、硫黄の含有量がゴム組成物の全質量に対し5質量%の硫黄含有ニトリルゴム(エア・ウォーター・マッハ(株)製)を用いた。それ以外は、前記実施例5と同様にした。結果を下記表5に示す。
【0075】
(比較例5)
本比較例においては、ゴム板として、シリコーンゴム(エア・ウォーター・マッハ(株)製、型番:4C(硫黄を含まないもの))を用いた。それ以外は、前記実施例5と同様にした。結果を下記表5に示す。
【0076】
(実施例8)
本実施例においては、ゴム板として、硫黄の含有量がゴム組成物の全質量に対し1質量%の硫黄含有エチレンプロピレンジエンゴム(エア・ウォーター・マッハ(株)製)を用いた。それ以外は、前記実施例5と同様にした。結果を下記表5に示す。
【0077】
(実施例9)
本実施例においては、ゴム板として、硫黄の含有量がゴム組成物の全質量に対し2.5質量%の硫黄含有エチレンプロピレンジエンゴム(エア・ウォーター・マッハ(株)製)を用いた。それ以外は、前記実施例11と同様にした。結果を下記表5に示す。
【0078】
(実施例10)
本実施例においては、ゴム板として、硫黄の含有量がゴム組成物の全質量に対し5質量%の硫黄含有エチレンプロピレンジエンゴム(エア・ウォーター・マッハ(株)製)を用いた。それ以外は、前記実施例11と同様にした。結果を下記表5に示す。
【0079】
(比較例6)
本比較例においては、ゴム板として、エチレンプロピレンジエンゴム(エア・ウォーター・マッハ(株)製、型番:E7−512)(硫黄を含まないもの))を用いた。それ以外は、前記実施例11と同様にした。結果を下記表5に示す。
【0080】
(参考例3)
本参考例においては、コニカルチューブ容器内にて菌液を培養する際に、ゴム板を投入しなかった。それ以外は、前記実施例5と同様にした。結果を下記表5に示す。
【0081】
(参考例4)
本参考例においては、コニカルチューブ容器内で菌液40mlを1週間培養する際の培養温度を、一般細菌が最も増殖し易い温度である37℃に変更した。それ以外は、前記参考例3と同様にした。結果を下記表5に示す。
【0082】
【表5】
【0083】
(結果)
表1、表2及び表5から分かる通り、硫黄含有ニトリルゴム及び硫黄含有エチレンプロピレンジエンゴムを用いた実施例1〜10においては、一般細菌の数が減少しており、殺菌されている可能性が示された。また、実施例1〜7においては、比較例1〜6と比較して、従属栄養細菌の増殖を抑制できていることが確認された。
【0084】
一方、シリコーンゴム(硫黄を含まないもの)又はエチレンプロピレンジエンゴム(硫黄を含まないもの)を用いた比較例1〜6においては、一般細菌が増殖していることが確認された。また、従属栄養細菌についても、表3〜表5から分かる通り、比較例1〜5においては、増殖していることが確認された。
【0085】
以上の結果から、ゴムの材質によって細菌の増殖傾向に差は出るものの、硫黄を含むゴム組成物を用いた場合には、硫黄を含まないシリコーンゴムや硫黄を含まないエチレンプロピレンジエンゴムと比較して、細菌の増殖を抑制できることが示された。
【符号の説明】
【0086】
10 飲料水ディスペンサ
11 ボトル
12 本体部
15 飲料水
16 注水口
17 注水口受け
18 取水管
19 筐体
21 貯留槽
22 温水槽
23 給水部
24 セパレータ
24a 常温水層
24b 冷却水層
25 冷却管
31 供給管
32 温水給水管
33 冷却水給水管
図1