(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989259
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】回転電気機械の巻線およびそのような巻線を設計する方法
(51)【国際特許分類】
H02K 3/26 20060101AFI20211220BHJP
【FI】
H02K3/26 E
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-522524(P2016-522524)
(86)(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公表番号】特表2016-525860(P2016-525860A)
(43)【公表日】2016年8月25日
(86)【国際出願番号】EP2014063640
(87)【国際公開番号】WO2014207174
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2017年5月24日
【審判番号】不服2019-9075(P2019-9075/J1)
【審判請求日】2019年7月5日
(31)【優先権主張番号】13173946.8
(32)【優先日】2013年6月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515351138
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ カトリック ド ルヴァン
【氏名又は名称原語表記】Universite Catholique de Louvain
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】デーヘ,ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】ボダール,フランソワ
【合議体】
【審判長】
窪田 治彦
【審判官】
柿崎 拓
【審判官】
岡澤 洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開平8−322221(JP,A)
【文献】
特開平4−49831(JP,A)
【文献】
特開昭54−149806(JP,A)
【文献】
特開平11−299214(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0072651(US,A1)
【文献】
Bruno Dehez,Miroslav Markovic,Yves Perriard,「Analysis and Comparison of Classical and Flex−PCB Slotless Windings in BLDC Motors」,2012 15th International Conference on Electrical Machines and Systems(ICEMS),IEEE,2012年10月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電気機械(1)の巻線(40)であって、前記機械が、インダクタ(20)であって、永久磁石またはDC電流が供給されるコイルであり、回転軸に垂直な方向に磁界を生成するインダクタ、鉄芯(50)、およびこれらの間の空隙(30)を含み、前記巻線(40)が、基板の第1の表面に複数の導体(60)および第2の表面に複数の導体(61)を有する可撓性PCB(45)を含み、前記導体(60、61)が前記PCB(45)に印刷されたトラックであり、前記第1の表面の導体(60)が、ターン(70、80)を形成すべくビア孔(43)を介して前記第2の表面の導体(61)に接続され、前記PCB(45)が、平らな構成のときに高さおよび長さを有し、前記PCBが長方形であり、前記導体(60、61)が前記長方形に含まれ、1層以上となるように前記PCB(45)が前記長さ方向に1回以上丸く巻かれていて、軸方向に前記空隙(30)内へ挿入されるよう構成されている、巻線(40)において、
前記PCB(45)が平らな構成のときに、導体(60、61)が、前記可撓性PCB(45)の高さの底縁部から前記PCB(45)の高さの上縁部まで延在して、連続的な曲線または3より大きいn個の直線区間を有する形状であり、前記nには、(i)電流入力端子、(ii)電流出力端子、および(iii)前記PCBの頂部または底部で、前記第1の表面の導体(60)と前記第2の表面の導体(61)とが交差する位置よりも上または下において、前記ターンを形成する導体接続部、が含まれず、
対称軸が前記長方形の長さに沿った前記長方形の中央の高さの線であり、各導体がそれぞれ前記対称軸に対して線対称な形状を有し、
コイルを形成すべく複数のターンが電気的に直列に接続されており、
前記PCB(45)が平らな構成のときに、前記複数のターンがt個のターンであり、前記第1の表面の導体(60)が前記PCB(45)の長さ方向に1からtまで付番され、前記第2の表面の導体(61)も前記PCB(45)の長さ方向に1からtまで付番され、前記第1の表面の導体iが前記ビア孔(43)と前記PCB(45)の長さ方向に延在するトラック(65)を介して前記第2の表面の導体t−iに接続される場合に、前記ビア孔(43)と前記トラック(65)の位置がi=1からi=t−1の順序に、前記PCBの上端から下端の方に高さが低くなっていき、第1の表面の導体tは電流出力端子に接続されており、前記第1の表面の導体iが前記ビア孔(43)と前記PCB(45)の前記長さ方向に延在するトラック(65)を介して前記第2の表面の導体t−i+1に接続される場合に、前記ビア孔(43)と前記トラック(65)の位置がi=1からi=tの順序に、前記PCBの下端から上端の方に高さが高くなっていき、第2の表面の導体tは電流入力端子に接続されていることを特徴とする巻線。
【請求項2】
請求項1に記載の巻線(40)において、前記導体(60、61)が、1の導体(60、61)と隣接する導体(60、61)との間の間隙が前記導体(60、61)の長さにわたって所定の一定の距離を有するように可変的な幅を有することを特徴とする巻線(40)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の巻線(40)において、前記導体(60、61)が、n個の直線区間にわたって延在し、nが6より大きく且つ100以下であることを特徴とする巻線(40)。
【請求項4】
回転電気機械(1)の巻線(40)であって、前記機械が、インダクタ(20)であって、永久磁石またはDC電流が供給されるコイルであり、回転軸に垂直な方向に磁界を生成するインダクタ、鉄芯(50)、およびこれらの間の空隙(30)を含み、前記巻線(40)が、基板の第1の表面に複数の導体(60)および第2の表面に複数の導体(61)を有する可撓性PCB(45)を含み、前記導体(60、61)が前記PCB(45)に印刷されたトラックであり、前記第1の表面の導体(60)が、ターン(70、80)を形成すべくビア孔(43)を介して前記第2の表面の導体(61)に接続され、前記PCB(45)が、平らな構成のときに高さおよび長さを有し、前記PCBが長方形であり、前記導体(60、61)が前記長方形に含まれ、1層以上となるように前記PCB(45)が前記長さ方向に1回以上丸く巻かれていて、軸方向に前記空隙(30)内へ挿入されるよう構成されている、巻線(40)において、
前記PCB(45)が平らな構成のときに、導体(60、61)が、前記可撓性PCB(45)の高さの底縁部から前記PCB(45)の高さの上縁部まで延在して、連続的な曲線または3より大きいn個の直線区間を有する形状であり、前記nには、(i)電流入力端子、(ii)電流出力端子、および(iii)前記PCBの頂部または底部で、前記第1の表面の導体(60)と前記第2の表面の導体(61)とが交差する位置よりも上または下において、前記ターンを形成する導体接続部、が含まれず、
各導体がそれぞれ点対称な形状を有し、点対象の中心が前記PCB(45)の中央の高さにあり、
連続する第1の表面の導体(60)と第2の表面の導体(61)の複数のターンが直列に接続されて、ターンの列を形成し、
前記PCB(45)が平らな構成のときに、複数のターンが前記PCB(45)の長さの方向に間隔を空けて連続して配置され、前記複数のターンがt個のターンであり、隣接する導体が前記第1および第2の表面の両方で前記PCB(45)の長さの方向に1からtまで付番され、前記第1の表面の導体1〜tが、前記ビア孔(43)と前記PCB(45)の長さ方向に延在するt個のトラック(65)を介して前記第2の表面の導体t〜1に、1からtの順序で、前記PCBの上端から下端の方に高さが低くなっていって各々接続され、および前記第2の表面の導体1〜tが、前記ビア孔(43)と前記PCB(45)の長さ方向に延在するトラック(65)を介して前記第1の表面の導体t〜1に、1からtの順序で、前記PCBの下端から上端の方に高さが高くなっていって、各々接続され、
例外として前記ターンの列の一部において、
前記第1の表面の導体1〜t−1が、前記ビア孔(43)と前記PCB(45)の長さの方向に延在するt−1個のトラック(65)を介して前記第2の表面の導体t−1〜1に、1からt−1の順序で、前記PCBの上端から下端に高さが低くなっていって各々接続され、第1の表面の導体tは電流出力端子に接続されており、第2の表面の導体tは電流入力端子に接続されていることを特徴とする巻線。
【請求項5】
請求項1または4に記載の巻線において、前記PCB(45)の長さ方向に延在する前記トラックが、前記PCB(45)の前記第1および前記第2の表面の両方に位置することを特徴とする巻線。
【請求項6】
請求項5に記載の巻線において、複数のビア孔(43)が前記PCB(45)の前記第1および第2の表面で前記対応するトラックを接続することを特徴とする巻線。
【請求項7】
回転電気機械(1)の巻線(40)を設計する方法において、前記機械がインダクタ(20)であって、永久磁石またはDC電流が供給されるコイルであり、回転軸に垂直な方向に磁界を生成するインダクタ、鉄芯(50)、およびこれらの間の空隙(30)を含み、前記巻線(40)が、第1の表面に複数の導体(60)および第2の表面に複数の導体(61)を有する可撓性PCB(45)を含み、前記導体(60、61)が前記PCB(45)に印刷されたトラックであり、前記第1の表面の導体(60)が、ターンを形成すべくビア孔(43)を介して前記第2の表面の導体(61)に接続され、前記PCB(45)が、平らな構成のときに高さおよび長さを有し、1層以上となるように前記PCB(45)が前記長さ方向に1回以上丸く巻かれていて、軸方向に前記空隙内へ挿入されるよう構成されており、
前記PCB(45)が平らな構成のときに、導体(60、61)が、前記可撓性PCB(45)の高さの底縁部から前記PCB(45)の高さの上縁部まで延在して、連続的な曲線または3より大きいn個の直線区間を有し、前記nには、(i)電流入力端子、(ii)電流出力端子、および(iii)前記PCBの頂部または底部で、前記第1の表面の導体(60)と前記第2の表面の導体(61)とが交差する位置よりも上または下において、前記ターンを形成する導体接続部、が含まれず、1の導体とこれに隣接する導体の間隙が、前記導体の長さにわたって所定の一定の距離を有し、
前記方法が、
前記連続的な曲線または3より大きいn個の直線区間を有する導体の形状を決定するために、
a)前記導体の形状に依存して前記回転電気機械のトルク定数k
Tを決定するステップと、
b)前記導体の前記形状に依存して前記巻線の相抵抗R
phを決定するステップと、
c)前記導体の最適形状を得るために、以下の比
、である目的関数を最適化するために前記導体の形状を変化させるステップと、を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電気機械の巻線に関し、機械はインダクタ、鉄芯、およびこれらの間の空隙を含み、巻線は、基板の第1の表面に複数の導体および第2の表面に複数の導体を有する可撓性PCBを含み、前記導体は前記PCBに印刷されたトラックであり、第1の表面の導体は、ターンを形成すべくビア孔を介して第2の表面の導体に接続され、それにより、長さに沿って1回以上巻上げられた場合に軸方向に前記空隙内へ挿入されるよう適合されている。本発明はまた、そのような巻線を設計する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
銅線で作られた従来の巻線は、無ブラシDC電気モーター(BLDCモーター)等の電気モーターの製造用に知られ、且つ利用されている。可撓性回路基板(可撓性PCB)に印刷された巻線もまた、このようなモーターの製造に用いられ、銅線から作られた巻線と比較して、製造が容易且つ廉価であって、形状および設計がより柔軟になるため、これらのBLDCモーターの性能を向上させる機会を提供してきた。
【0003】
フランス特許第76288号明細書に平面DCモーターが開示されており、このモーターでは磁石の有効磁場は軸方向であり、モーターの巻線は、第1の表面に導体を有すると共にビア孔を介して接続された第2の表面に回路を有する剛性平面PCBに印刷されている。この文献は、湾曲形状の導体を有する巻線の利用を開示している。平面モーターにおける湾曲形状を有する巻線の利用は機械の性能を向上させるものとして良く知られている。しかし、湾曲形状の巻線が平面モーターでは良く知られているという事実にもかかわらず、これらの巻線は、磁石の有効磁場が径方向である無ブラシDC電気モーター(BLDCモーター)の性能を向上させるものとしては知られていない。
【0004】
米国特許出願公開第20090072651号明細書およびフランス特許出願公開第2262880号明細書は共に、回転電気機械のスロットレス巻線およびその製造方法を開示している。これらの文献は、ビア孔により接続された、第1の表面に導体を有すると共に第2の表面にも導体を有する可撓性PCBの利用を開示している。しかし、これらの文献は、性能を最適化するという課題には対処しておらず、各々のPCB面上の導体が2または3個の直線区間からなる巻線に限られ、しかも第1および第2の表面の導体間の接続をどのように行うかについて記述していない。
【発明の概要】
【0005】
BLDC機械の可撓性PCBスロットレス巻線は、“B.Dehez,M.Markovic,Y.Perriard,“Analysis and comparison of classical and flex−PCB slotless windings in BLDC motors”,Electrical Machines and Systems(ICEMS),2012 15th International Conference,pp.1−6,21−24 Oct.2012”により知られている。以下で参考文献1として参照するこの文献は、BLDCモーターの一般的な構造について記述している。巻線を特徴付ける2個のパラメータ、すなわちトルク定数および電気抵抗の解析式が与えられる。古典的な銅導線の巻線と、単純な形状(PCBの一方の側の導体が、PCBの最下部からPCBの最上部までの間に3個の区間を有し、各々
図2および3に示すように傾斜した、または菱形の巻線の何れかを形成する)を有する可撓性PCB巻線との比較がなされ、可撓性PCB巻線が、古典的な銅巻線よりも電力密度が潜在的に30%向上していることが示される。しかし、最適な性能が得られる設計を見出す試みはなされていない。コイルまたはターン列を形成すべく第1の表面の導体をどのように第2の表面の導体と共に配置するかについて詳述していない。
【0006】
本発明の目的は、回転電気機械の性能を向上させる巻線、およびそのような巻線を設計する方法を提供することである。
【0007】
本発明は、独立請求項により定義される。従属請求項は、有利な実施形態を定義する。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、回転電気機械の巻線を提供し、前記機械はインダクタ、鉄芯、およびこれらの間の空隙を含み、前記巻線は、基板の第1の表面に複数の導体および第2の表面に複数の導体を有する可撓性PCBを含み、前記導体は前記PCBに印刷されたトラックであり、第1の表面の導体は、ターンを形成すべくビア孔を介して第2の表面の導体に接続され、前記PCBは、高さおよび長さを有し、それにより、1個以上の層内で長さに沿って1回以上巻上げられた場合に軸方向に前記空隙内へ挿入されるよう適合されている。本発明によれば、導体は、連続的な曲線または3よりも大きいn個の直線区間に沿って、前記可撓性PCBの底面高から前記PCBの上面高まで軸方向に伸張する形状を有する。本出願人は、導体により複雑な形状、すなわち連続的な曲線または3個よりも多くの直線区間を与えることにより、電気機械の性能を向上させる予想外に良好な結果が得られることを見出した。
【0009】
好適には、形状は、導体と隣接する導体との間の間隙が前記導体の長さに沿って所定の定数に等しくなるように可変的な幅を有している。所定の定数距離は、PCBの同じ側にある2個の隣接するコンダクタの間で良好な電気絶縁を実現すべく選択される。換言すれば、導体は可変的な幅を有する。
【0010】
導体の形状がn個の直線区間に沿って伸張している場合、nは6より大きく且つ100以下であることが有利である。本出願人は、6個以上の区間でも依然として性能が向上するが、100個より多くの区間を用いても顕著な向上が得られないことを見出した。
【0011】
第1の好適な実施形態によれば、導体が線対称な形状を有し、対称軸はPCBの中央高においてPCBの長さに沿った線である。この種の巻線は、当技術分野で重ね巻きとして知られる。
【0012】
好適には、コイルを形成すべく複数のターンが直列に接続されている。
【0013】
第1の接続形態において、1個のターンの第1の表面の導体がその長さに沿って伸張し、且つ前記コイルの2個の連続的なターン間の接続を形成すべくビア孔を介して第2の表面の導体に接続され、2個の連続的なターンは長さ方向に間隔が空けられている。
【0014】
第2の接続形態において、前記複数のターンはt個のターンであり、第1の表面の導体は長さ方向に1からtまで付番され、第2の表面の導体も長さ方向に1からtまで付番され、i=1からi=t−1まで高さの降順に、第1の表面の導体iはPCBの長さ方向に沿って伸張するトラックを介してPCBの上端で第2の表面の導体t−iに接続され、およびi=1からi=tまで高さの昇順に、第1の表面の導体iはPCBの長さ方向に沿って伸張するトラックを介してPCBの下端で第2の表面の導体t−i+1に接続されている。第1および第2の表面の導体tは端子に接続されている。この第2の接続形態を用いることにより、第1の接続形態と同じトルクが得られる。しかし、導体の全長が短くなるに従い、抵抗が小さくなって性能が向上する。
【0015】
第2の好適な実施形態によれば、前記導体は点対称な形状を有し、反射点はPCBの中央高にある。この種の巻線は、当技術分野で波巻きとして知られる。
【0016】
好適には、複数のターンが直列に接続されてターン列を形成している。
【0017】
第1の接続形態において、複数の隣接するターン列が長さ方向に間隔を空けて配置され、1列のうち1個のターンの第1の表面の導体がその長さに沿って伸張し、且つ第2の表面の連続的な列の、対応して伸長している導体にビア孔を介して接続されることで2個の連続的な列間の接続が形成され、2個の連続的な列が長さ方向に間隔が空けられている。
【0018】
第2の接続形態において、複数の隣接するターン列が長さ方向に順次間隔を空けて配置され、前記複数の列はt個の列であり、隣接する導体は第1および第2の表面の両方で1からtまで付番され、第1の表面の導体1〜tは、高さの降順にPCBの長さ方向に沿って伸張するt個のトラックを介してPCBの上端で第2の表面の導体1〜tに各々接続され、および第2の表面の導体1〜tは、高さの昇順にPCBの長さ方向に沿って伸張するt個のトラックを介してPCBの下端で第1の表面の導体t〜1に接続されている。前記複数の列の隣接するターンの1個の列に対して、第1の表面の導体1〜t−1は、高さの降順にPCBの長さ方向に沿って伸張するt−1個のトラックを介してPCBの上端で第2の表面の導体t−1〜1に各々接続されている。第1および第2の表面の導体tは端子に接続されている。この第2の接続形態を用いることにより、第1の接続形態と同じトルクが得られる。しかし、導体の全長が短くなるに従い、抵抗が小さくなって性能が向上する。
【0019】
第1および第2の実施形態において、第2の接続形態のトラックは、PCBの第1および第2の表面の両方に位置することが有利である。これは更に、巻線の抵抗を減らして機械の性能を向上させる。
【0020】
この場合、PCBの両側のトラックは、複数のビア孔を介して接続されていてよい。
【0021】
巻線/導体の形状は、前記巻線の相抵抗R
phの2乗根に対するトルク定数k
Tの比k
p
を最適化すべく設計されていることが有利である。
【0022】
効率、すなわち入力パワーに対する出力パワーの比、またはパワー密度、あるいは電気機械のサイズ等、最適化すべき他の目的関数が選択されてもよい。
【0023】
本発明の第2態様によれば、回転電気機械の巻線を設計する方法を提供し、前記機械はインダクタ、鉄芯、およびこれらの間の空隙を含み、前記巻線は、第1の表面に複数の導体および第2の表面に複数の導体を有する可撓性PCBを含み、前記導体は前記PCBに印刷されたトラックであり、第1の表面の導体は、ターンを形成すべくビア孔を介して第2の表面の導体に接続され、前記PCBは、高さおよび長さを有し、それにより、1個以上の層内で長さに沿って1回以上巻上げられた場合に軸方向に前記空隙内へ挿入されるよう適合されている。導体が、連続的な曲線または3よりも大きいn個の直線区間に沿って、可撓性PCBの底面高からPCBの上面高まで軸方向に伸張し、且つ導体と隣接する導体との間の間隙が前記導体の長さに沿って所定の定数に等しくなるように可変的な幅を有する。本発明によれば、本方法は、
a)前記導体の形状の幾何学的パラメータに依存して前記回転電気機械のトルク定数k
Tを決定するステップと、
b)前記導体の形状の幾何学的パラメータに依存して前記巻線の相抵抗R
phを決定するステップと、
c)前記導体の最適形状を得るために目的関数
を最適化すべく形状パラメータを変化させるステップと
を含んでいる。上述以外の他の目的関数も選択されることができる。
【0024】
最適化は、遺伝的アルゴリズムを利用して実行できることが有利である。
【0025】
本発明の上記および更なる態様について、例を挙げて添付の図面を参照しながらより詳細に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明による回転電気機械の軸と直交する平面に沿った概略断面図である。
【
図2a】
図2aは、本発明による巻線を有する、ターンが重ね巻きされたPCBの巻上げ状態での概略図である。
【
図2b】
図2bは、本発明による巻線を有する、ターンが重ね巻きされたPCBの伸張状態での概略図である。
【
図3a】
図3aは、
図2aと同様であるが、導体がより多くの直線区間を有し、従ってより改良された形状を有する、本発明による巻線を有するPCBの概略図である。
【
図3b】
図3bは、
図2bと同様であるが、導体がより多くの直線区間を有し、従ってより改良された形状を有する、本発明による巻線を有するPCBの概略図である。
【
図4a】
図4aは、本発明による巻線を有するPCBの巻上げられた状態においてターンが波巻きをなす概略図である。
【
図4b】
図4bは、本発明による巻線を有するPCBの伸張した状態においてターンが波巻きをなす概略図である。
【
図5a】
図5aは、
図4aと同様であるが、導体がより多くの直線区間を有し、従ってより改良された形状を有する、本発明による巻線を有するPCBの概略図である。
【
図5b】
図5bは、
図4bと同様であるが、導体がより多くの直線区間を有し、従ってより改良された形状を有する、本発明による巻線を有するPCBの概略図である。
【
図6a】
図6aは、多数の直線区間を有する、本発明による巻線を有する導体の形状を示す。
【
図6b】
図6bは、導体の直線区間の個数nに依存する性能比k
pに対する相対利得を示す。
【
図7a】
図7aは、本発明の第1の実施形態による、第1のターン間接続形態における機械の巻線を示す。
【
図7b】
図7bは、本発明の第2の実施形態による、第1のターン間接続形態における機械の巻線を示す。
【
図8a】
図8aは、本発明の第1の実施形態による、第2のターン間接続形態における機械の巻線を示す。
【
図8b】
図8bは、本発明の第2の実施形態による、第2のターン間接続形態における機械の巻線を示す。
【
図9a】
図9aは、本発明の第1の実施形態における、第1のターン間接続形態によるターン間接続の説明図である。
【
図9b】
図9bは、本発明の第1の実施形態における、第1のターン間接続形態によるターン間接続の詳細拡大図である。
【
図10a】
図10aは、本発明の第1の実施形態における、第2のターン間接続形態によるターン間接続の説明図である。
【
図10b】
図10bは、本発明の第1の実施形態における、第2のターン間接続形態によるターン間接続の詳細拡大図である。
【0027】
各図面は、原寸大および一定の縮尺の何れでも描かれていない。一般に、図面内で同一の構成要素を同じ参照番号で示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明による回転電気機械1の回転軸と直交する平面に沿った概略断面図である。中心を始点として、半径R
rを有する鉄またはその他の強磁性材料製の軸10がある。この軸には、永久磁石20且つ2極磁石であって半径R
rから半径R
mまで伸張するインダクタが配置されていて、回転軸と直交する方向に磁場を生成し、その磁化方向は矢印に沿った方位角θを向いている。インダクタはまた、DC電流が供給されるコイルであってよい。半径R
rから半径R
mまで伸張されて電気機械の回転子と固定子を分離する空隙30がある。本発明による巻線40は、半径R
wおよびR
sの間に配置されている。半径R
sから半径R
eまで伸張する鉄その他の強磁性材料製の鉄製筐体50が磁気回路を閉じる。
【0029】
図2aは、本発明の第1の実施形態による巻線40のPCB45を巻上げ状態で示す概略図である。
図2bは、同じPCB45を伸張した状態で示す。長さφは、PCBが巻上げられた場合の方位角に対応する。PCBの高さL
wは、PCBが巻上げられて空隙内へ挿入された場合に電気機械の軸に沿って伸張されている。PCB45の一方の側(可視側)に印刷された導体61を連続的な線として示す。PCB45の他方の側に印刷された別の導体60を破線で示す。導体60、61は、PCB45の中央高における線に関して線対称(または鏡面対称)である。導体60、61は、垂直線に関して互いに鏡像関係にある。導体60、61は、底部のビア孔43により接続されて重ねターン41を形成していてよい。導体60、61は、図面では高さL
w全体にわたり伸張するように示されているが、PCBの基板はマージンを持たせるべく若干伸張されていてよい。ターン41に電流が流れた場合、図面の平面と直交する磁場が生じる。導体60、61は各々n=4個の直線区間を含んでいる。
図2bの巻線は1回のターンで巻上げることができ、ターンの右側がターンの左側に重なっている。
図2bのPCBもまた、長さ方向に多数回伸張されていてよく、複数の層を有する巻線を形成すべく前記回数だけ巻上げられても、またはより多くの極およびより大きい直径を有する巻線を形成すべく1回のターンで巻上げられてもよい。多層、多極巻線の組合せもまた設計することができる。
【0030】
図3aおよび3bは、
図2aおよび2bと同様であるが、直線区間の個数nは10に等しい。直線区間の個数を増やすことにより、事実上連続的な曲線を得ることができる。
【0031】
図4a、4b、5a、および5bは、
図2a、2b、3a、3bと同様であるが、導体60、61は長さ方向の中点に関して点対称である。導体60、61はまた、垂直線に関して互いに鏡像関係にある。導体60、61は、ビア孔43を介して接続されて波状ターン42を形成していてよい。
【0032】
図6aは、多数の直線区間を有する、本発明による巻線を有する導体の形状を示す。導体60は、
図6aに連続的に示すように接合された辺を有する多数の直線区間を含んでいる。区間の個数nを増やすことにより、所望の程度に連続的な曲線に近づけることができる。区間s
iは、両端の座標(φ
i−1、z
i−1)および(φ
i、z
i)により定義される。区間の幅W
iは、その傾斜および、導体と隣接する導体との間の距離に依存する。PCB技術を用いることにより、任意の形状の巻線を設計することができる。本発明の出願人は、導体の形状を慎重に設計することにより、電気機械の性能を電力密度および電気効率の両面で顕著に向上できることを示した。
【0033】
図7aは、本発明の第1の実施形態および第1のターン接続形態による回転電気機械の巻線を示す。複数の連続的なターンがコイルを形成すべく直列に接続されている。PCBの前面側の第1の導体61(番号1)が、最上部において下向き矢印で示す電流入力端子に接続されていると共に、底部においてPCBの後面側の第1の導体60(同じく番号1)にビア孔を介して接続されている。第1の導体60は次いで、L
1で示す高さにおいて第1の導体の61と交差し、L
2で示す高さまで伸張することにより前面側の導体番号2と交差してビア孔43を介して接続されている。このように伸張することにより、第2のターンの導体が第1のターンの導体から間隔を空けて配置されることが保証される。これらの伸張の長さは、ターン間の距離が所定の定数に等しくなるように取られている。前面および後面側の導体は、上向き矢印で示す電流出口端子に到達する後面側の最後(10番目)の導体60まで直列に同様に接続されている。3相を示している。巻線の左端を覆うように巻線の右端が1回巻上げられると、3相の2極巻線が形成される。巻線はまた、破線で示すように伸張されて、1回以上巻上げられて任意の個数の相、極および層を形成することができる。
【0034】
図7bは、本発明の第2の実施形態および第1のターン接続形態による回転電気機械の巻線を示す。ターンは、ターン列を形成すべく直列に接続されている。下向き矢印で示す電流入力端子を始点として、第1の導体61が、底部ビア孔43を介して後面側の第1の導体60に接続されていると共に、高さL
1で最上部ビア孔43’を介して前面側の第1の導体61’にも接続されている。巻線が巻上げられた場合に、この導体の最下端は第1の導体60の最下端に接続されて、第1のターン列を形成している。連続的なターン列は、高さL
2までの伸張度合に応じて、ビア孔44を介して接続されているため、連続的なターン列が長さ方向の所定の距離で分離される。最後(10番目)の導体60の最上端は、上向き矢印で示す電流出口端子に接続されている。ビア孔44は、2個の電流端子間の高さL
2に位置し、ビア孔43’は他の箇所で高さL
1に位置している。巻線の左端を覆うように巻線の右端が1回巻上げられると、3相の2極巻線が形成される。巻線はまた、破線で示すように伸張されて、1回以上巻上げられて任意の個数の相、極および層を形成することができる。
【0035】
図8aは、第2のターン間接続形態における本発明の第1の実施形態による機械の巻線を示す。下向き矢印で示す電流入力端子を始点として、前面側の最後(10番目)の導体61は、PCBの底部で水平方向トラック65に接続され、後面側の第1の導体60まで伸張している。導体、ビア孔および水平方向トラックは、上向き矢印で示す電流出口端子に接続されている後面側の最後(10番目)の導体60まで
図8aに示すように螺旋状に続いている。連続的な水平方向トラック65は益々短くなり、PCBの中央水平線により近くなる。最後のトラック、すなわち前面側の第1の導体61と、底部における後面側の最後の導体(導体番号10)および最上部の導体番号9の間の接続部は極めて短いかまたは存在しなくてよい。
図7aを参照しながら述べたように、巻線の左端を覆うように巻線の右端が1回巻上げられると、3相の2極巻線が形成される。巻線はまた、破線で示すように伸張されて、1回以上巻上げられて任意の個数の相、極および層を形成することができる。
【0036】
図8bは、第2のターン間接続形態における本発明の第2の実施形態による機械の巻線を示す。本図は
図7bと同様であって、
図8aのターン間接続を用いている。
【0037】
図9aは、
図7aのように巻かれた単一コイルの説明図である。
図9bは、
図9aの上部の拡大図である。2個の矢印は、後面側の導体60および前面側の導体61の対応部分における電流を示す。当業者には公知のように、電流の軸成分だけがモーターにトルクを発生させる。従って、後面側の導体60と前面側の導体61が重なる略三角形の領域において、結果的に生じるトルクはゼロである(軸成分が無く、2個の矢印から生じるベクトルが水平方向を向いている)。このことが、電気機械がモーターである場合に
図10a、10bに示す第2のターン間接続形態がトルクに損失が生じない理由を説明している。幾何形状および電流が同じであれば、
図10aの巻線は
図9aを巻線と同じトルクを生じる。
図9aの巻線と比較して、
図10aの巻線はトラックが短いため、相抵抗R
phが減少する。同じ理由により、電気機械が発電機である場合、
図10aの巻線により生じるemfは均等である。
【0038】
2個のパラメータ、トルク定数k
Tすなわち電流に対するトルクの比、および相抵抗R
phすなわち導体の全抵抗が電気機械の性能を基本的に決定する。これらのパラメータと、巻線の幾何形状パラメータの関係を参考文献1に示しており、トルク定数についてより具体的に、波巻き(斜め巻き)の場合は式16、重ね巻き(菱形巻き)の場合は式17で与える。これらのパラメータはまた、電圧、電流、永久磁石に生じる磁場の形状等、他のパラメータにも依存する。これらのパラメータは、最適化プロセスでは変更されていない。相抵抗は式29で与えられ、波巻きの場合は式17および18を、重ね巻きの場合は式21および22を参照している。式1のパラメータk
pは、所与のサイズのモーターのトルク密度を表す。実際、比の分子と分母に電流振幅を乗算すれば、パラメータk
pは、まさにモータートルクとジュール損失の平方根との比であると考えられる。寸法が同じ、従って熱損失を逃がす能力がほぼ同じ場合、k
pが最大であるモーターが従って最大名目トルクを発生することができよう。
図6aに関して述べたように、より大きい値のk
pを与える導体の幾何学的パラメータを発見すべく探索が実行された。導体の直線区間の個数nの異なる値について、以下のk
pの相対値が発見された。
これらの結果は、本発明の改良された形状の性能が、既知の形状に比べて顕著に向上していることを示す。
図6bに、nに対する性能比の依存性を示す。n=10の場合に顕著に向上している。nがより大きい値である場合は顕著な向上は見られない。
【0039】
本発明を特定の実施形態に関して説明してきたが、実施形態は本発明を例示するものであって限定的に解釈してはならない。より一般的には、本発明が上で個別に図示および/または記述した内容に限定されないことは当業者には理解されよう。より具体的には、本発明の巻線は電気機械の固定子または回転子に施されてよい。電気機械はモーターまたは発電機であってよい。上述のPCBの第1および第2の表面の導体は均等に、多層PCBの2個以上の層にあってよい。上の例では、コイルまたはターン列の連続的なターンが同じ形状および幅を有するように示しているが、コイルまたはターン列の各導体の形状および幅は、機械の性能を更に最適化するためのパラメータであると考えられる。
【0040】
請求項内の参照番号はそれらの保護範囲を限定しない。動詞「〜を含む」、「〜を包含する」、「〜からなる」、または他の任意の変型は、各々の活用形と共に、明示されていない要素の存在を排除しない。要素に先行する冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、または「その(the)」は、そのような要素が複数存在することを排除しない。
【0041】
本発明はまた、以下のように記載することができる。本発明は、第1の表面に複数の導体および第2の表面に複数の導体を有する可撓性PCBを含む回転電気機械の巻線であって、前記導体が機械の性能を最適化する形状を有する、巻線と、そのよう巻線を設計する方法とを提供する。