特許第6989260号(P6989260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6989260炎症性疾患および/または免疫疾患の治療のためのコルチスタチンアナログ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989260
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】炎症性疾患および/または免疫疾患の治療のためのコルチスタチンアナログ
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/575 20060101AFI20211220BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20211220BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20211220BHJP
   C07K 1/04 20060101ALI20211220BHJP
   C07K 1/06 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   C07K14/575ZNA
   A61K38/22
   A61K45/06
   A61P1/04
   A61P19/02
   A61P27/02
   A61P29/00
   A61P35/00
   A61P37/02
   C07K1/04
   C07K1/06
【請求項の数】8
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2016-543392(P2016-543392)
(86)(22)【出願日】2014年9月17日
(65)【公表番号】特表2016-535760(P2016-535760A)
(43)【公表日】2016年11月17日
(86)【国際出願番号】EP2014069842
(87)【国際公開番号】WO2015040089
(87)【国際公開日】20150326
【審査請求日】2017年8月9日
【審判番号】不服2019-17510(P2019-17510/J1)
【審判請求日】2019年12月25日
(31)【優先権主張番号】13382361.7
(32)【優先日】2013年9月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516068826
【氏名又は名称】ビーシーエヌ ペプタイズ エセ.ア.
【氏名又は名称原語表記】BCN PEPTIDES S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100117422
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 かおり
(72)【発明者】
【氏名】ベルタ ポンサティ オビオルス
(72)【発明者】
【氏名】ヒメナ フェルナンデス カルネアド
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼップ ファレラ‐シンフレウ
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ パレンテ ドゥエニャ
【合議体】
【審判長】 中島 庸子
【審判官】 森井 隆信
【審判官】 松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−526081(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/082980(WO,A1)
【文献】 J.Endocrinol.Invest.,2005,Vol.28(Suppl.to no.11),pp.10−14
【文献】 Molecules,2013.11.25,Vol.18,No.12,pp.14564−14584
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K14/00
A61K38/00
JSTPlus/JST7580/JMEDPlus(JDreamIII)
BIOSIS/MEDLINE/EMBASE/WPIDS(STN)
CAPLUS/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記からなる群から選択されるコルチスタチンアナログ化合物、それらの混合物および/または薬学的に許容されるその塩。
H-L-Ala-Gly-c[L-Cys-L-Lys-L-Asn-L-Phe-L-Dfp-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Phe-L-Thr-L-Ser-L-Cys]-OH
Octanoyl-L-Pro-c[L-Cys-L-Lys-L-Asn-L-Msa-L-Phe-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Phe-L-Thr-L-Ser-L-Cys]-L-Lys-OH
Octanoyl-L-Pro-c[L-Cys-L-Lys-L-Asn-L-Msa-L-Phe-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Phe-L-Thr-L-Ser-L-Cys]-OH
【請求項2】
請求項1の化物の製造方法であって、
1.固相合成
2.ペプチドのポリマー担体からの切出し
3.溶液中でのペプチドの環化及び
4.保護基の脱離、
または、
1.固相合成
2.固相環化
3.ペプチドのポリマー担体からの切出し及び保護基の同時脱離を含む製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物、それらの混合物および/または薬学的に許容される塩を、薬学的に有効な量含む医薬組成物。
【請求項4】
前記化合物は、リポソーム、混合リポソーム、オレオソーム、ニオソーム、エトソーム、ミリ粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子および固体脂質ナノ粒子、ナノ構造脂質担体、スポンジ、シクロデキストリン、ベシクル、ミセル、界面活性剤の混合ミセル、界面活性剤−リン脂質混合ミセル、ミリ球状粒子、マイクロ球状粒子およびナノ球状粒子、リポ球状粒子、ミリカプセル、マイクロカプセルおよびナノカプセル、マイクロエマルションならびにナノエマルションからなる群から選択される送達システムおよび/または医薬徐放性送達システムに組み込まれる請求項に医薬組成物。
【請求項5】
他の抗炎症剤、免疫抑制剤、代謝および酵素阻害剤、非ステロイド性抗炎症剤、イブプロフェン、テニダップ、ナプロキセン、メロキシカム、メサラジン、ピロキシカム、ジクロフェナック、インドメタシン、スルファサラジン、コルチコステロイド、プレドニソロン、ヒドロコルチゾン、ベクロメタゾン、ブデソニド、サイトカイン抑制抗炎症薬、ヌクレオチド合成阻害剤、メトトレキサート、レフルノミド、免疫抑制剤、シクロスポリン、タクロリムス、mTOR阻害剤、シロリムスまたはラパマイシン、およびその誘導体、腫瘍壊死因子TNFα阻害剤、インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、セルトリズマブ、ゴリムマブ、COX−2阻害剤、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、およびそれらの変異体、ホスホジエステラーゼ阻害剤、ホスホリパーゼ阻害剤、トリフルオロメチルケトンアナログ、血管内皮成長因子阻害剤、成長因子受容体阻害剤、血管形成阻害剤、ナタリズマブ、リツキシマブ、アバタセプト、フォスタマチニブ、トシリズマブ、アナキンラ、トファシチニブ、6−メルカプトプリン、アザチオプリン、バルサラジド、スルファサラジン、メサラジン、オルサラジン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、ペニシラミン、オーラノフィン、金チオリンゴ酸塩、アザチオプリン、コルヒチン、ベータ−2アドレナリン受容体作動薬、サルブタモール、テルブタリンおよびサルメチロール、キサンチン、テオフィリン、アミノフィリン、クロモグリケート、ネドクロミル、ケトチフェン、イプラトピウム、オキシトロピウム、ミコフェノール酸モフェチル、アデノシン作動薬、抗血栓症薬、ペニシリン、補体阻害剤、ならびにアドレナリン剤からなる群から選択される他の治療薬をさらに含む請求項3または4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
局所経路、腸内経路または非経口経路で投与される請求項3〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
マトスタチン受容体(sstr1、sstr2、sstr3、sstr4、および/またはsstr5)、および/またはグレリン受容体、および/または特定のコルチスタチン受容体、あるいはこれらの組み合わせを発現する病態、疾患および/または病変の治療、予防および/または診断用の医薬組成物の製造に用いられる請求項3〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項8】
前記病態、疾患および/または病変は、免疫系疾患、炎症性病変、腫瘍、癌、神経変性疾患、眼疾患、呼吸器疾患、感染症、痛み、回復期創傷、組織再生、敗血症、移植/臓器もしくは組織の移植片に関連する疾患、内毒素血症、敗血性ショック、毒素ショック症候群、敗血症、炎症性腸疾患、クローン病、慢性大腸炎、潰瘍性結腸炎、自己免疫性胃炎、リウマチ性関節炎、変形性関節症、多発性硬化症、下痢、グレード3−4の下痢、放射線治療および/または化学療治療に関連する下痢、カルチノイド症候群またはビポーマの対症療法、内分泌癌、膵臓癌、慢性膵炎、末端肥大症、膵・消化管神経内分泌腫瘍の対症療法、食道静脈瘤、肥大性肺性骨関節症および甲状腺種(thyrotropic adenoma)、結腸直腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、肝細胞癌、アルツハイマー病、関節炎、狼瘡、紅斑性狼瘡、リンパ増殖性疾患、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、グレーブス眼症、クッシング症候群、神経障害性疼痛、再狭窄、血管新生、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、高インスリン血症、低カルシウム血症、ページェット病、カヘキシーおよびゾリンジャー・エリソン症候群、壊疽性膿皮症、甲状腺障害、一型インスリン依存性糖尿病、橋本甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫性肝炎、アレルギー性脳脊髄炎、網膜ブドウ膜炎、ブドウ膜炎、移植片拒絶(transplant rejection)、移植片拒絶(graft rejection)、移植片対宿主病、リブマン・サックス心内膜炎、混合性結合組織病、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、ウェゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、肉芽腫、硬化性苔癬、原発性胆汁性肝硬変、角膜炎、糸球体腎炎、反応性関節炎、滑膜炎(synovialitis)、ライター症候群、ライム病、乾癬性関節炎、誘発関節炎、強直性脊椎炎、重症筋無力症、血管炎、アレルギー、皮膚炎または湿疹、乾癬、繊維症、慢性閉塞性疾患(COPD)、脳脊髄炎、自己免疫性甲状腺炎、老人性潰瘍(aged ulcer)、虹彩炎、結膜炎、角結膜炎、脊椎関節症、膣炎、直腸炎、薬疹、ハンセン病逆転反応(leprosy reversal reaction)、癩性結節性紅斑、急性壊死性出血性脳症、特発性進行性両側性感音難聴、再生不良性貧血、純赤血球貧血、特発性血小板減少症、多発性軟骨炎、慢性活動性肝炎、スティーブンス・ジョンソン症候群、特発性スプルー、扁平苔癬およびサルコイドーシスからなる群から選択される請求項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルチスタチンアナログおよびその使用に関する。本発明の化合物は、コルチスタチンに結合し得る受容体が発現する病変の診断、予防または治療に利用可能性を有するペプチドリガンドである。
【背景技術】
【0002】
コルチスタチン(CST)は、1996年にラットで発見された14個のアミノ酸からなる天然の内因性ペプチドであり(CST−14)[de Lecea et al.,Nature,1996,381,242−245]、その後、1997年に、17個のアミノ酸からなる拡張型がヒトで見出されている(CST−17)[Fukusimi et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun,1997,232,157−163]。実際、コルチスタチンは、その前駆体(プレプロ−CST)から齧歯類ではCST−14およびCST−29が生成され、ヒトではCST−17およびCST−29が生成されるため、2つの生物学的活性形態で存在する。
【0003】
コルチスタチンは、保存性が高く、ヒトでソマトスタチン−14(SST−14)およびソマトスタチン−28(SST−28)の形態で見出されている他の内因性ペプチドのソマトスタチン(SST)に高い相同性を有する。
コルチスタチンおよびソマトスタチンの配列
N−Pc[CKNFFWKTFSSC]K−OH コルチスタチン−14(ラット/マウス)
N−DRMPc[CRNFFWKTFSSC]K−OH コルチスタチン−17(ヒト)
N−AGc[CKNFFWKTFTSC]−OH ソマトスタチン−14(ヒト/ラット/マウス)
【0004】
実際、コルチスタチンは、ソマトスタチン、sstr1〜sstr5で記載の5Gタンパク質共役型膜受容体と相互作用する[a)Spier et al.,Brain Research Reviews 2000,33,228−241;b)Patel et al.,Endocrinology 1994,135,2814−2817]。しかし、コルチスタチンはソマトスタチンではなく[Gonzalez−Rey et al.,Mol.Cell.Endocrinol.2008,286(1−2),135−140]、したがって、コルチスタチンは、ソマトスタチン受容体に対するナノモルアフィニティに加え、グレリン受容体(GHSR)とも相互作用する。コルチスタチンに特異的な受容体に対する研究では、オーファン受容体MrgX2が、コルチスタチンの最初のヒト特異的受容体として報告された[Robas et al.,J.Biol.Chem.2003,278,44400−44404]。その後、免疫系の細胞にこの受容体がないことや、プロアドレノメデュリンなどの神経ペプチドに対し高い親和性を示すことから、今日では、コルチスタチンに特異的な受容体であると認めらないとされ[van Hagen et al.,Mol.Cell.Endocrinol.2008,286(1−2),141−147]、コルチスタチンに特異的な受容体の解析が、未だ解決されていない課題となっている。
【0005】
コルチスタチンの免疫調節活性が、炎症反応や自己免疫反応によって進行する、リーサルエンドトキシンショック、クローン病およびリウマチ性関節炎などの疾患の実験モデルで広く示されてきている[a)Gonzalez−Rey et al.,J.Exp.Med.2006,203(3),563−571;b)Gonzalez−Rey et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2006,103,4228−4233;c)Gonzalez−Rey et al.,Ann.Rheum.Dis.2007,66(5),582−588;d)国際公開第2007/082980A1号パンフレット]。前記免疫調節作用はリンパ球、単球、マクロファージおよび樹状細胞、ならびに免疫系細胞におけるその発現と互いに関連があり得る[a)Dalm V.A.et al.,Am.J.Physiol.Endocrinol.Metab.2003,285,E344−353;b)Dalm V.A.et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.2003,88,270−276]。ヒトの免疫系におけるコルチスタチンとその受容体の発現、および免疫系の病変が、最近、再検討されてきている[van Hagen et al.,Mol.Cell.Endocrinol.2008,286(1−2),141−147]。
【0006】
上述の、炎症や免疫成分を持った疾患におけるコルチスタチンの有効性を示した調査研究においては、CST−29が使用された。CST−29は、合成が非常に困難で、したがって、医薬品分野の工業的利用に対する工業的価値の低い、長い分子鎖の内因性ペプチドである。その薬学的使用にもまたさらなる問題、すなわち血清安定性が低いという問題がある。
【0007】
研究中の他の提案は、炎症性疾患および自己免疫疾患の治療における、内因性ペプチドCST−17の神経ペプチドEIとの併用効果を示しており[国際公開第2009/043523A2号パンフレット]、それは、その工業的使用に、合成の困難さを低下させる利点をもたらすものである。しかしながら、L−アミノ酸を含むその天然構造のために、血清中の安定性が低いという欠点は依然としてある。
【0008】
一般に、ペプチドをベースとする薬物は、ペプチドに本来毒性がなく、低用量で効果があるため重篤な副作用を引き起こさないことが保証され、このため、小さな分子や抗体をベースとした他の薬物に比べて有利であるが、その生体利用効率や半減期を改善するために変性させる必要がある。天然の配列に非天然のアミノ酸を組み込むことが、内因性ペプチドの安定性を高めるための従来知られた対策の一つである。例えば、ソマトスタチンの6、7および11の位置の、ハロゲン化アミノ酸、p−クロロ−Pheおよびペンタフルオロ−Pheによる変性が報告されている[国際公開第2007/081792A2号パンフレット;Meyers C.A.et al.,Digestion 1981,21(1),21−4]。原ソマトスタチンの同じ6、7および11の位置がまた、メシチルアラニンおよびメシチルグリシンで変性され、より安定なソマトスタチンアナログが得られている[国際公開第10/128098A1号パンフレット]。しかしながら、これらの安定化のための変性は、原分子の機能を損なうおそれがある。これは、原分子より安定性がはるかに高い臨床用途のソマトスタチンアナログのオクレオチドの場合であり、オクレオチドはsstr2に結合するが、sstr1およびsstr4に対する親和性は完全に失われている。[Patel et al.,Endocrinology 1994,135,2814−2817]。
【0009】
ソマトスタチンやコルチスタチンなどの内因性ペプチドの血中半減期は非常に短く、数分あるか否かである[Skamene et al.,Clin.Endocrinol.1984,20,555−564]。したがって、コルチスタチンに特異的な受容体、ソマトスタチン(sstr1、sstr2、sstr3、sstr4および/またはsstr5)および/またはグレリン(GHSR)などの、他の分子と共有する受容体を発現する病変の治療のための新規で、さらに、コルチスタチンより血中で安定な、合成コルチスタチンアナログを見出すことが要求されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、天然ペプチドに類似した抗炎症作用および/または免疫調節作用を有する新規のペプチド、コルチスタチンアナログを開示する。メシチルアラニンおよび/またはジハロゲノフェニルアラニンなどの非天然アミノ酸による変性、さらに脂肪酸の導入、またはペグ化による変性のあるものは、インビトロおよびインビボで、天然分子の抗炎症作用および抗自己免疫作用を保持し、かつ高めさえする。さらに、新規のコルチスタチンアナログの主な利点は、1または複数箇所の変性を行って得られたペプチドは、血清中の半減期が、内因性ペプチドより実質的に長いことである。新規のコルチスタチンアナログは経済的に合成可能であり(好ましくは、13〜17個のアミノ酸からなる配列を有する)、その一態様は、製薬工業におけるその有用性を保証するものである。本発明の化合物は、新規の化合物であり、かつ、いずれもインビトロおよび/またはインビボでコルチスタチンに類似の抗炎症効果および/または抗免疫調節効果を特徴としており、機能的にコルチスタチンと同等である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
ここでは、本発明の文脈の中で使用されている、いくつかの用語および表現の意味を、その理解を助ける目的で記載する。
【0012】
「コルチスタチンアナログ」という用語は、既に知られ、かつ5つのソマトスタチン受容体(sstr1、sstr2、sstr3、sstr4および/またはsstr5)、またはグレリン受容体などの他の分子と共有しているコルチスタチン受容体、および/あるいは、まだ特定されていないコルチスタチンに特異的な受容体の少なくとも1つと相互作用する化合物を指す。したがって、それは前記コルチスタチン受容体のリガンドであり、コルチスタチンと類似の活性を有する、コルチスタチンの機能的等価物(またはアゴニスト)であり得る。
【0013】
「機能的等価物(またはアゴニスト)」という用語は、原分子の受容体のいくつかに親和性を示し、かつ定性的観点からは、受容体の内因性リガンドと同じ効果を発揮する化合物を指す。
【0014】
「ソマトスタチンアナログ」という用語は、1つ以上のソマトスタチン受容体(sstr)と相互作用し、前記受容体のリガンドとしても知られる化合物を指す。この定義は、Bevanら[J.Clin.Endocrinol.Metabolism.2005,90,1856−1863において]によって紹介されている。また、欧州特許出願公開第1040837A2号明細書では、ソマトスタチンアナログは、ソマトスタチン受容体(sstr1、sstr2、sstr3、sstr4またはsstr5)の少なくとも1つと相互作用するなどの、ソマトスタチン関連の活性を示す、天然ソマトスタチンの全変性誘導体に関して定義されている。
【0015】
本明細書中で、アミノ酸に対し使用されている略語は、Eur.J.Biochem,1984,138,9−37(図2)の中に記載されているIUPAC−IUM生化学命名法委員会(IUPAC IUM Biochemical Nomenclature Committee)の規則に準拠している。
【0016】
図2:アミノ酸(立体化学的に特定されておらず、いずれの場合も、L−、DまたはDL−であり得る)
Ala(A):アラニン
Asn(N):アスパラギン
Asp(D):アスパラギン酸
Arg(R):アルギニン
Cys(C):システイン
Gly(g):グリシン
Lys(K):リシン
Met(M):メチオニン
Phe(F):フェニルアラニン
Pro(P):プロリン
Ser(S):セリン
Thr(T):スレオニン
Trp(W):トリプトファン
Phg:フェニルグリシン
【化1】
Msa:2,4,6−トリメチルフェニルアラニンまたは3−メシチルアラニン
【化2】
Tmp:3,4,5−トリメチルフェニルアラニン
【化3】
Msg:2,4,6−トリメチルフェニルグリシンまたは2−メシチルグリシン
【化4】
3,4,5−トリメチルフェニルグリシン
【化5】
DiW−Phe(但し、WはF、Cl、BrまたはIである):ジハロゲノフェニルアラニン(フェニル基が2つのハロゲン原子で置換されているフェニルアラニンである)。
【化6】
Dfp:3,5−ジフルオロフェニルアラニン
【化7】
【0017】
本明細書において、略語「Ac−」はアセチル基(CH−CO−)を示すために使用され、略語「Palm−」はパルミトイル基(CH−(CH14−CO−)を示すために使用され、そして略語「Myr−」はミリストイル基(CH−(CH12−CO−)を示すために使用されている。
【0018】
「非環状脂肪族基」という用語は、本発明においては、直鎖状または分岐状のアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基を含めるために使用される。
【0019】
「アルキル基」という用語は、1〜24個の、好ましくは1〜16個の、より好ましくは1〜14個の、より一層好ましくは1〜12個の、さらにより好ましくは1、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を有し、かつ単結合によって分子の残りの部分に結合している、飽和した直鎖状または分岐状の基を指し、例えば、限定はされないが、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ラウリル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アミル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、2−メチルブチル基、5−メチルヘキシル基などが挙げられる。
【0020】
「アルケニル基」という用語は、2〜24個の、好ましくは2〜16個の、より好ましくは2〜14個の、より一層好ましくは2〜12個の、さらにより好ましくは2、3、4、5または6個の炭素原子を有し、1つ以上の炭素−炭素二重結合、好ましくは1、2または3個の炭素−炭素二重結合を有し、共役または非共役で、単結合によって分子の残りの部分に結合している、直鎖状または分岐状の基を指し、例えば、限定はされないが、ビニル基(−CH=CH)、アリル基(−CH−CH=CH)、オレイル基、リノレイル基などが挙げられる。
【0021】
「アルキニル基」という用語は、2〜24個の、好ましくは2〜16個の、より好ましくは2〜14個の、より一層好ましくは2〜12個の、さらにより好ましくは2、3、4、5または6個の炭素原子を有し、1つ以上の炭素−炭素三重結合、好ましくは1、2または3個の炭素−炭素三重結合を有し、共役または非共役で、単結合によって分子の残りの部分に結合している、直鎖状または分岐状の基を指し、例えば、限定はされないが、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基などのペンチニル基などが挙げられる。アルキニル基はまた1つ以上の炭素−炭素二重結合を有することができ、例えば、限定はされないが、ブタ−1−エン−3−イニル基、ペンタ−4−エン−1−イニル基などが挙げられる。
【0022】
「脂環式基」という用語は、本発明においては、例えば、限定はされないが、シクロアルキル基、シクロアルケニル基またはシクロアルキニル基を含めるために使用される。
【0023】
「シクロアルキル基」という用語は、3〜24個の、好ましくは3〜16個の、より好ましくは3〜14個の、より一層好ましくは3〜12個の、さらにより好ましくは3、4、5または6個の炭素原子を有し、かつ単結合によって分子の残りの部分に結合している、飽和した単環または多環の脂肪族基を指し、例えば、限定はされないが、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、オクタヒドロインデン基、デカヒドロナフタレン基、ドデカヒドロフェナレン基などが挙げられる。
【0024】
「シクロアルケニル基」という用語は、5〜24個の、好ましくは5〜16個の、より好ましくは5〜14個の、より一層好ましくは5〜12個の、さらにより好ましくは5または6個の炭素原子を有し、1つ以上の炭素−炭素二重結合、好ましくは1、2または3個の炭素−炭素二重結合を有し、共役または非共役で、単結合によって分子の残りの部分に結合している、非芳香族の単環または多環の脂肪族基を指し、例えば、限定はされないが、シクロペンタ−1−エン−イル基などが挙げられる。
【0025】
「シクロアルキニル基」という用語は、8〜24個の、好ましくは8〜16個の、より好ましくは8〜14個の、より一層好ましくは8〜12個の、さらにより好ましくは8または9個の炭素原子を有し、1つ以上の炭素−炭素三重結合、好ましくは1、2または3個の炭素−炭素三重結合を有し、共役または非共役で、単結合によって分子の残りの部分に結合している、非芳香族の単環または多環の脂肪族基を指し、例えば、限定はされないが、シクロオクタ−4−エン−2−イニル基などが挙げられる。
【0026】
「アリール基」という用語は、6〜30個の、好ましくは6〜18個の、より好ましくは6〜10個の、さらにより好ましくは6または10個の炭素原子を有し、1、2、3または4個の芳香環を含み、炭素−炭素結合によって結合しているか、または縮合している、芳香族基(例えば、限定はされないが、フェニル基、ナフチル基、ジフェニル基、インデニル基、フェナントリル基またはアントラニル基(antranyl)などが挙げられる)、あるいはアラルキル基を指す。
【0027】
「アラルキル基」という用語は、7〜24個の炭素原子を有する、芳香族基によって置換されたアルキル基を指し、例えば、限定はされないが、−(CH1〜6−フェニル、−(CH1〜6−(1−ナフチル)、−(CH1〜6−CH(フェニル)などが挙げられる。
【0028】
「複素環基」という用語は、環中の1個以上の原子、好ましくは1、2または3個の原子が、窒素原子、酸素原子または硫黄原子などの炭素原子と異なる原子であって、飽和または不飽和であり得る、員数が3〜10の炭化水素環を指す。本発明の目的のためには、複素環は、縮合環の系も含まれ得る、環系、単環系、二環系または三環系であり得、そして複素環基における窒素原子、炭素原子または硫黄原子は酸化されていてもよく、窒素原子は四級化されていてもよく、かつ複素環基の一部もしくは全部が飽和であっても、または芳香族であってもよい。「複素環の」という用語に対し最も好ましいのは、5または6員環を指すことである。飽和複素環基の例には、ジオキサン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリンおよびチオモルホリンがある。複素環式芳香族基としても知られる芳香族複素環基の例には、ピリジン、ピロール、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、イミダゾリン、キノレイン(quinolein)、キノリン、ピリダジンおよびナフチリジンがある。
【0029】
「ヘテロアリールアルキル基」という用語は、2〜24個の炭素原子と1〜3個の炭素原子と異なる原子を有する、置換または非置換の芳香族複素環基で置換された、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を指し、例えば、限定はされないが、−(CH1〜6−イミダゾリル、−(CH1〜6−トリアゾリル、−(CH1〜6−チエニル、−(CH1〜6−フリル、−(CH1〜6−ピロリジニルなどが挙げられる。
【0030】
本技術分野で理解されているように、上に定義された基にはある程度の置換基があってもよい。したがって、そのことが明確に示されている本発明の基には置換基があり得る。本明細書における本発明の基の置換基への言及は、1つ以上の置換基によって利用可能な1つ以上の位置で、好ましくは1つ、2つまたは3つの位置で、より好ましくは1つまたは2つの位置で、さらにより好ましくは1つの位置で、特定の基が置換され得ることを示している。これらの置換基としては、例えば、限定はされないが、C〜Cアルキル基、水酸基、C〜Cアルコキシル基、アミノ基、C〜Cアミノアルキル基、C〜Cカルボニルオキシ基、C〜Cオキシカルボニル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アジド基、C〜Cアルキルスルホニル基、チオール基、C〜Cアルキルチオ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基、−NR(C=NR)NR(式中、RおよびRは独立にH、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜C10シクロアルキル基、C〜C18アリール基、C〜C17アラルキル基、3〜10員複素環基、またはアミノ基の保護基からなる群から選択される)などが挙げられる。
【0031】
本発明の化合物
本発明の第1の態様は、式(I)で定義される化合物、
【化8】
その立体異性体、それらの混合物、および/または薬学的に許容されるその塩
(式中、
AAは、Aspまたは結合であり、
AAは、Argまたは結合であり、
AAは、Met、Alaまたは結合であり、
AAは、ProまたはGlyであり、
AAは、LysまたはArgであり、
AAは、SerまたはThrであり、
AAは、Lysまたは結合であり、
X、Y、Zは、アミノ酸Phe、Phg、Msa、3,4,5−トリメチルフェニルアラニン、Msg、3,4,5−トリメチルフェニルグリシン、および/またはジハロゲノフェニルアラニン(diW−Phe)であり、
Wは、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択され、
は、H、置換または非置換の非環状脂肪族基、置換または非置換の脂環式基、置換または非置換の複素環基、置換または非置換のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアラルキル基、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、キレート剤およびR−CO−からなる群から選択され、
は、−NR、−ORおよび−SRからなる群から選択され、
およびRは、独立に、H、置換または非置換の非環状脂肪族基、置換または非置換の脂環式基、置換または非置換の複素環基、置換または非置換のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアラルキル基、およびポリマーからなる群から選択され、
は、H、置換または非置換の非環状脂肪族基、置換または非置換の脂環式基、置換または非置換のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアラルキル基、置換または非置換の複素環基、および置換または非置換のヘテロアリールアルキル基からなる群から選択され、
但し、
−アミノ酸X、YまたはZの少なくとも1つは、Msa、3,4,5−トリメチルフェニルアラニン、Msg、3,4,5−トリメチルフェニルグリシン、および/またはジハロゲノフェニルアラニン(diW−Phe)であり、
−AAおよびAAが結合で、AAがAlaで、AAがGlyで、AAがLysで、AAがThrで、かつAAが結合であるとき、アミノ酸X、YまたはZの少なくとも1つは、ジハロゲノフェニルアラニン(diW−Phe)である
という条件を有する)
である。
【0032】
好ましい一実施形態において、アミノ酸X、YまたはZの少なくとも1つは、ジハロゲノフェニルアラニン(diW−Phe)である。好ましくは、Wはフッ素原子である。より好ましくは、ジハロゲノフェニルアラニンは、3,5−ジフルオロフェニルアラニン(Dfp)である。
【0033】
好ましい一実施形態においては、AAはProである。より好ましい一実施形態においては、AAはMetまたは結合であり、かつAAはProである。好ましくは、アミノ酸X、YまたはZの少なくとも1つは、Msaまたは3,5−ジフルオロフェニルアラニン(Dfp)である。
【0034】
基およびR基は、それぞれペプチド配列のアミノ末端(N末端)およびカルボキシ末端(C末端)に結合し、それらはアミノ酸であり得る。
【0035】
本発明の好ましい実施形態においては、Rは、H、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマー、およびR−CO−からなる群から選択され、但し、Rは、置換または非置換のC〜C24アルキル基、置換または非置換のC〜C24アルケニル基、置換または非置換のC〜C24アルキニル基、置換または非置換のC〜C24シクロアルキル基、置換または非置換のC〜C24シクロアルケニル基、置換または非置換のC〜C24シクロアルキニル基、置換または非置換のC〜C30アリール基、置換または非置換のC〜C24アラルキル基、置換または非置換の3〜10員複素環、および置換または非置換の、2〜24個の炭素原子と炭素以外の原子1〜3個からなるヘテロアリールアルキル基(ここで、アルキル鎖は1〜6個の炭素原子からなる)からなる群から選択される。より好ましくは、Rは、H、アセチル基、tert−ブタノイル基、プレニル基、ヘキサノイル基、2−メチルヘキサノイル基、シクヘキサンカルボキシル基、オクタノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘニル基、オレオイル基およびリノレオイル基からなる群から選択される。より一層好ましくは、Rは、H、アセチル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基またはパルミトイル基である。
【0036】
他の好ましい実施形態においては、Rは、分子量が200〜35000ダルトンのポリエチレングリコールから誘導されるポリマーから選択される。
【0037】
他の好ましい実施形態においては、Rは、−NR、−ORまたは−SR[但し、RおよびRは、独立に、H、置換または非置換のC〜C24アルキル基、置換または非置換のC〜C24アルケニル基、置換または非置換のC〜C24アルキニル基、置換または非置換のC〜C24シクロアルキル基、置換または非置換のC〜C24シクロアルケニル基、置換または非置換のC〜C24シクロアルキニル基、置換または非置換のC〜C30アリール基、置換または非置換のC〜C24アラルキル基、置換または非置換の3〜10員複素環、置換または非置換の、2〜24個の炭素原子と炭素以外の原子1〜3個からなるヘテロアリールアルキル基(ここで、アルキル鎖は1〜6個の炭素原子からなる)、およびポリエチレングリコールから誘導されるポリマーからなる群から選択される]である。任意選択により、RおよびRは、置換または非置換の炭素−炭素結合によって結合し、窒素原子を有する環を形成し得る。より好ましくは、Rは、−NRまたは−OR(但し、RおよびRは、独立に、H、置換または非置換のC〜C24アルキル基、置換または非置換のC〜C24アルケニル基、置換または非置換のC〜C24アルキニル基、置換または非置換のC〜C10シクロアルキル基、置換または非置換のC〜C15アリール基、置換または非置換の3〜10員のヘテロアリールアルキル環、および1〜6個の炭素原子からなるアルキル鎖、ならびに、ポリエチレングリコールから誘導されるポリマーからなる群から選択される)である。より好ましくは、RおよびRは、H、メチル基、エチル基、ヘキシル基、ドデシル基またはヘキサデシル基からなる群から選択される。より一層好ましくは、RはHであり、Rは、H、メチル基、エチル基、ヘキシル基、ドデシル基またはヘキサデシル基からなる群から選択される。より一層好ましい実施形態においては、Rは、−OHおよび−NHから選択される。
【0038】
本発明の好ましい実施形態においては、RまたはRは、検出可能な元素、または放射線治療用元素と複合化していてもよいキレート剤である。キレート剤は、検出可能な元素、または放射線療法用元素と配位錯体を形成することができる基を指す。キレート剤は、金属イオンと錯体を形成することができる基であることが好ましく、より好ましくは、DOTA、DTPA、TETA、またはそれらの誘導体からなる群から選択される基である。キレート剤は、直接、またはリンカーを介して結合され得る。
【0039】
検出可能な元素は、インビボでの診断技術で検出可能な特性を示す、放射性元素、蛍光元素または陽性造影磁気共鳴画像用元素、好ましくは金属イオンを指す。放射線療法用元素は、α線、β線またはγ線を出す元素と理解される。
【0040】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、下記の配列群から選択される。
【化9】
【0041】
本発明において言及するアミノ酸が、例えば、リン酸化、アセチル化、アミド化、ペグ化、n−オクタノイル化またはパルミトイル化などの、生理学的に適切な化学修飾によって、化学的に変性し得ることは、当業者であれば理解するであろう。
【0042】
本発明の化合物は、立体異性体、または立体異性体の混合物として存在することができ、例えば、それらを形成するアミノ酸は、L配置、D配置を取り得、また互いに独立したラセミ体であり得る。したがって、不斉炭素の数、および存在する異性体または異性体混合物に応じて、異性体混合物も、ラセミ混合物またはジアステレオマー混合物も、あるいは純粋なジアステレオマーまたはエナンチオマーも得ることができる。本発明のペプチドの好ましい構造は、純粋な異性体、すなわち、単一のエナンチオマーまたはジアステレオマーである。
【0043】
例えば、他に示されていなければ、アミノ酸は、L体もしくはD体、またはその混合物、ラセミ体もしくは非ラセミ体であると理解される。本明細書に記載の調製方法によれば、当業者は、適切な配置のアミノ酸を選択することによって、本発明の化合物の各立体異性体を得ることができる。例えば、アミノ酸TrpはL−TrpまたはD−Trpであり得る。
【0044】
より好ましくは、式(I)に含まれる化合物は、
【化10】
【化11】
からなる群から選択される。
【0045】
本発明によって提供される化合物の薬学的に許容される塩もまた、本発明の領域に含まれる。「薬学的に許容される塩」という用語は、動物、より具体的にはヒトでの使用に認められる塩を意味し、塩基付加塩(無機塩、例えば、限定はされないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛またはアルミニウムなどの塩であれ、有機塩、例えば、限定はされないが、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アルギニン、リシン、ヒスチジンまたはピペラジンなどの塩であれ)、あるいは酸付加塩(有機塩、例えば、限定はされないが、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、アスパラギン酸塩、ジアスパラギン酸塩、トリアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、コハク酸塩、オレイン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、グルコン酸塩などであれ、無機塩、例えば、限定はされないが、塩化物、硫酸塩、ホウ酸塩またはカルボン酸塩などであれ)の形成に使用される塩が挙げられる。薬学的に許容可能であれば、塩の性質は重要ではない。本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、従来技術でよく知られている従来の方法により得ることができる[Berge S.M.et al.,J.Pharm.Sci.1977,66,1−19]。
【0046】
調製方法
本発明の化合物、その立体異性体、または薬学的に許容されるその塩の合成は、この分野の技術水準で知られる従来方法により実施することができる。
【0047】
本発明の実施形態において、化合物は、固相ペプチド合成法または溶液合成法により合成される。
【0048】
固相合成法は、例えば、[Stewart J.M. and Young J.D.,1984,“Solid Phase Peptide Synthesis,2nd edition”Pierce Chemical Company,Rockford,Illinois;Bodanzsky M., and Bodanzsky A.,1984“The practice of Peptide Synthesis”Springer Verlag,Berlin;Lloyd−Williams P.,Albericio F. and Giralt E.(1997)“Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins”CRC,Boca Raton,FL,USA]に記載されている。溶液合成法、および固相合成と溶液法または酵素合成の組み合わせは、[(Kullmann W.et al.,J.Biol.Chem.1980,255,8234−8238]に記載されている。
【0049】
本発明の実施形態において、式(I)の化合物、それらの立体異性体、その混合物、または化粧料もしくは薬学的に許容されるその塩は、次の手順を含む方法により調製される。
1.固相合成
2.ペプチドのポリマー担体からの切出し
3.溶液中でのペプチドの環化
4.保護基の脱離
または
1.固相合成
2.固相環化
3.ペプチドのポリマー担体からの切出し、および好ましくはトリフルオロ酢酸での処理による、保護基の同時脱離
【0050】
C末端が固相担体に結合し、手順は固相で行われ、したがって、保護されたN末端とフリーのC末端を有するアミノ酸を、フリーのN末端とポリマー担体に結合したC末端を有するアミノ酸に結合する工程、N末端の保護基を脱離させる工程、およびこの一連の工程を所要回数繰り返して、好ましくは13〜17のアミノ酸からなるペプチドを得た後、合成されたペプチドを最初のポリマー担体から切出す工程を含むことが好ましい。
【0051】
アミノ酸の側鎖の官能基は、都合よくは、合成中、一時的または継続的に保護基で保護しておき、ペプチドのポリマー担体からの切出し工程で同時にまたは独立して脱保護するようにしてもよい。
【0052】
あるいは、固相合成は、ペプチドフラグメントをポリマー担体に、またはポリマー担体に予め結合させたペプチドフラグメントに結合させる収束型方法によって行うことができる。収束型合成方法は当業者に広く知られており、Lloyd−Williams P.et al.,Tetrahedron 1993,49,11065−11133に記載されている。
【0053】
本方法は、この技術分野で知られた標準的な手順および条件を使用する、順序は不定の、N末端およびC末端の脱保護および/またはポリマー担体からのペプチドの切出しの追加工程を含み得る。前記末端の官能基をその後修飾することができる。N末端およびC末端の任意選択の修飾は、ポリマー担体に固定された式(I)のペプチドとともに、または、ペプチドがポリマー担体から切出された時点で、行うことができる。
【0054】
任意選択により、Rは、本発明のペプチドのN末端をR−Z化合物(ここで、Rは前述した意味を有し、Zは脱離基、例えば、限定はされないが、トシル基、メシル基およびハロゲン原子などである)とを、求核置換反応により、適当な塩基および溶媒の存在下に反応させることにより導入することができる。ここで、フラグメントはN−C結合の形成に含まれず、都合よくは、一時的または継続的に保護基により保護される官能基を有する。Rはまた、本発明の化合物のN末端とRCOOH基、またはそのエステル、塩化物もしくは無水物とを反応させることにより導入してもよい。
【0055】
任意選択により、および/または追加的に、R基は、HR化合物(ここで、Rは−OR、−NRまたは−SRである)と式(I)のペプチド(ここで、Rは−OHである)と対応する相補フラグメントとを、適当な溶媒、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)もしくはトリエチルアミンなどの塩基、または1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)もしくは1−ヒドロキシアザベンゾトリアゾール(HOAt)などの添加剤、およびカルボジイミド、ウロニウム塩、ホスホニウム塩もしくはアミジニウム塩などの脱水剤の存在下に反応させることにより反応させることにより導入することができ、それにより、一般式(I)で示される本発明のペプチドを得ることができる。ここで、前記フラグメントはN−C、O−CまたはS−C結合の形成に含まれず、適切には、一時的または継続的に保護基により保護される官能基を有する。あるいは、他のR基は、ポリマー担体からのペプチドの切出し過程で同時に導入することもできる。
【0056】
当業者であれば、C末端およびN末端の脱保護/切出しの工程、およびそれに続く誘導体化が、従来技術で知られた方法で、任意の順序で行い得ることは容易に理解するであろう。[Smith M.B. and March J.,1999“March’s Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure”,5th Edition,John Wiley & Sons,2001]。
【0057】
「保護基」という用語は、有機官能基をブロックし、制御された条件下で脱離することができる基に関係している。保護基、その相対的な反応性、それらが不活性である条件は、当業者には知られている。
【0058】
アミノ基に対する代表的な保護基の例には、酢酸アミド、安息香酸アミド、ピバル酸アミドなどのアミド;ベンジルオキシカルボニル基(CbzまたはZ)、2−クロロベンジル基(CIZ)、パラ−ニトロベンジルオキシカルボニル基(pNZ)、tert−ブチルオキシカルボニル基(Boc)、2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル基(Troc)、2−(トリメチルシリル)エチルオキシカルボニル基(Teoc)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)またはアリルオキシカルボニル基(Alloc)などのカルバメート、トリチル基(Trt)、メトキシトリチル基(Mtt)、2,4−ジニトロフェニル基(Dnp)、N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキサ−1−イリデン)エチル](Dde)、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3−メチルブチル基(ivDde)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエトキシカルボニル基(Adpoc)などがあり、好ましくは、BocまたはFmocである。
【0059】
カルボキシ基に対する代表的な保護基の例には、tert−ブチルエステル(tBu)、アリルエステル(All)、トリフェニルメチルエステル(トリチルエステル、Trt)、シクロヘキシルエステル(cHx)、ベンジルエステル(Bzl)、オルト−ニトロベンジルエステル、パラ−ニトロベンジルエステル、パラ−メトキシベンジルエステル、トリメチルシリルエチルエステル、2−フェニルイソプロピルエステル、フルオレニルメチルエステル(Fm)、4−(N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3−メチルブチル]アミノ)ベンジルエステル(Dmab)などのエステルがあり、本発明の好ましい保護基は、All、tBu、cHex、BzlおよびTrtエステルである。
【0060】
三官能性アミノ酸は、合成過程で、N末端およびC末端の保護基に直交する一時的または継続的保護基で保護することができる。リシン側鎖のアミノ基の保護には、上記アミノ基の保護基が使用される。トリプトファン側鎖は、上記アミノ基の保護基のいずれかで保護するか、または保護せずに使用することができる。スレオニンおよびセリンの側鎖は、tert−ブチルエステル(tBu)で保護することができる。システイン側鎖は、トリチル基またはアセトアミドメチル基からなる群から選択される保護基で保護することができる。アスパラギン側鎖は、メトキシトリチル基、トリチル基またはキサンチル基からなる群から選択される保護基で保護するか、または保護せずに使用することができる。アルギニン側鎖は、トシル基(Tos)、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル基(Mtr)、Alloc、ニトロ基、2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル基(Pbf)および2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル基(Pmc)からなる群から選択される保護基で保護することができる。メチオニン側鎖は、スルホキシド基で保護するか、または保護せずに使用される。アスパラ酸側鎖は、Trt、Bzl、cHx、tBuおよびAllからなる群から選択される保護基で保護される。本発明の三官能性アミノ酸の好ましい保護基は、セリンおよびスレオニンの側鎖ではtBuエステルであり、リシン側鎖ではBocであり、システイン側鎖ではTrtであり、アルギニン側鎖ではPbfであり、N末端の一時的または継続的保護基としてはFmocまたはBocである。
【0061】
これらの保護基および追加の保護基の例、その導入および脱離については、文献[Greene T.W. and Wuts P.G.M.,(1999)“Protective groups in organic synthesis”John Wiley & Sons,New York;Atherton B. and Sheppard R.C.(1989)“Solid Phase Peptide Synthesis: A practical approach”IRL Oxford University Press]に見出すことができる。「保護基」という用語には、固相合成で使用されるポリマー担体も含まれる。
【0062】
合成の全体またはその一部が固相で行われる場合、本発明の手順で使用可能なポリマー担体としては、ポリスチレン担体、ポリスチレンにグラフトされたポリエチレングリコールなど、例えば、限定はされないが、p−メチルベンズヒドリルアミン樹脂(MBHA)[Matsueda G.R.et al,Peptides 1981,2,45−50]、2−クロロトリチル樹脂[Barlos K.et al.1989 Tetrahedron Lett.30:3943−3946;Barlos K.et al,1989 Tetrahedron Lett.30,3947−3951]、TentaGel(登録商標)樹脂(Rapp Polymere GmbH)、ChemMatrix(登録商標)樹脂(Matrix Innovation,Inc)などを挙げることができる。それらは、液相での脱保護工程とともに、半保護されたペプチドの切出しおよび液相での環の形成、または固相での環化、およびその後の同時の脱保護および切出しを可能にする、5−(4−アミノメチル−3,5−ジメトキシフェノキシ)吉草酸(PAL)[Albericio F.et al,1990,J.Org.Chem.55,3730−3743]、2−[4−アミノメチル−(2,4−ジメトキシフェニル)]フェノキシ酢酸(AM)[Rink H.,1987,Tetrahedron Lett.28,3787−3790],Wang[Wang S.S.,J.Am.Chem.Soc.,1973,95,1328−1333]などの不安定リンカーを含んでいても含んでいなくてもよい。
【0063】
医薬組成物
本発明の化合物は、その化合物と、哺乳動物の体、好ましくはヒトの体の作用部位とを接触させることができる任意の方法で、またそれらの化合物を含む組成物の形態で、投与することができる。
【0064】
これに関し、本発明の他の態様は、薬学的に有効な量の、一般式(I)で示される少なくとも1種の化合物、その立体異性体、それらの混合物、および/または薬学的に許容される塩を含む医薬組成物である。本発明の医薬組成物は、凍結乾燥または噴霧乾燥によって得られた、一般式(I)の化合物、その立体異性体、それらの混合物、および/または薬学的に許容される塩を含むことができ、また、その投与に適した溶媒で戻すことができる。
【0065】
本発明の医薬組成物は、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。薬学的に許容される賦形剤の添加数や性質は、所望する投与方法に依る。薬学的に許容される賦形剤は、この分野の専門家にはよく知られている[Rowe R.C.,Sheskey P.J.,Quinn,M.E.(2009)“Handbook of Pharmaceutical Excipients,6th Edition”,Pharmaceutical Press and American Pharmacists Association]。前記組成物は、この分野の技術水準で知られる従来の方法により製造し得る。
【0066】
本発明の化合物は、そのアミノ酸配列の性質、またはそのN末端および/もしくはC末端に対する可能な任意の修飾により、水への溶解度が変わり得る。したがって、本発明の化合物は、水溶液として組成物に混入することができ、また、水に不溶な化合物は、限定はされないが、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、ブチレングリコールもしくはプロピレングリコール、またはそれらの任意の組み合わせなどの、薬学的に許与される従来の溶媒に溶解することができる。
【0067】
投与しなければならない本発明の化合物の薬学的に有効な量、およびその用量は、年令、患者の状態、治療もしくは予防する疾患もしくは疾病の性質もしくは重症度、投与経路および投与頻度、ならびに使用する化合物の特性などの数多くの因子に依るであろう。
【0068】
「薬学的に有効な量」とは、毒性はないが、本発明の化合物が所望の効果を提供するのに十分な量を意味すると理解される。本発明の化合物は、本発明の医薬組成物において、所望の効果が得られる薬学的に有効な濃度で使用され、その好ましい形態で、ヒトにおける有効な1日投与量は、0.1mg〜1000mg/日、好ましくは0.5〜100mg/日、より一層好ましくは1〜10mg/日である。
【0069】
医薬組成物の好ましい投与頻度は、例えば、限定はされないが、月に1回、2週間に1回、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回または1日に1回とすることができる。
【0070】
本発明の化合物、その立体異性体、それらの混合物、および/または薬学的に許容される塩は、また、送達システム、および/または医薬徐放性送達システムに組み込むこともできる。
【0071】
「送達システム」という用語は、本発明のペプチドを投与する、希釈剤、アジュバント、賦形剤または担体に関係する。これらの医薬担体は、水、油または界面活性剤などの液体(石油、動物、植物または合成物を起源とするものを含む)、例えば、限定はされないが、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油、ヒマシ油、ポリソルベート、ソルビタンエステル、エーテル硫酸塩、硫酸塩、ベタイン、グリコシド、マルトシド、脂肪アルコール、ノノキシノール、ポロキサマー、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、デキシトロース、グリセロール、ジギトニンなどであり得る。当業者は、本発明の化合物を投与し得る各種の送達システムに使用可能な希釈剤、アジュバントまたは賦形剤を知っている。
【0072】
「徐放性」という用語は、化合物の送達システムであって、前記化合物をある期間徐々に放出し、好ましくは、必須ではないが、ある期間に亘ってほぼ一定の濃度で化合物を放出する送達システムを指す、従来の意味で使用される。
【0073】
送達または徐放性システムの例としては、限定はされないが、リポソーム、混合リポソーム、オレオソーム、ニオソーム、エトソーム、ミリ粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子および固体脂質ナノ粒子、ナノ構造脂質担体、スポンジ、シクロデキストリン、ベシクル、ミセル、界面活性剤の混合ミセル、界面活性剤−リン脂質混合ミセル、ミリ球状粒子、マイクロ球状粒子およびナノ球状粒子、リポ球状粒子、ミリカプセル、マイクロカプセルおよびナノカプセル、ならびに、マイクロエマルション中、およびナノエマルション中、が挙げられ、これらは、有効成分の生体利用効率の増大、および/または、薬物動態学的特性および薬理学的特性の改善のために添加することができる。
【0074】
本発明の化合物、その立体異性体、それらの混合物、および/または薬学的に許容される塩の医薬組成物は、適当な任意の経路、局所投与または全身投与、例えば、限定はされないが、局所経路、腸内経路、非経口経路などで投与することができ、それには所望の投与形態の製剤化に必要な薬学的に許容される賦形剤が含まれるであろう。本発明との関連では、「局所」経路という用語には、皮膚経路および眼の経路が含まれ、「腸内」経路という用語には、口、口腔、胃、舌下、直腸経路などの消化器系への投与が含まれ、「非経口」という用語は、鼻腔、耳、眼、膣、皮下注射、皮内、血管内(例えば、静脈内)、筋肉内、眼球内、髄腔内、頭蓋内、関節内、クモ膜下腔内および腹腔内の経路、ならびに他の任意の類似した注射または注入の手法を指す。インビトロでの治療、例えば、損傷した細胞の培養、および/または幹細胞での治療や、エキソビボ治療もまた考えられる。
【0075】
より特には、本発明の化合物および組成物による治療、予防および/または診断は、好ましい投与経路が皮下であるため、インビボで行われる。
【0076】
より特定の態様では、本発明の医薬組成物は、他の治療薬、例えば、限定はされないが、他の抗炎症剤、免疫抑制剤、または代謝もしくは酵素阻害剤、イブプロフェン、テニダップ、ナプロキセン、メロキシカム、メサラジン、ピロキシカム、ジクロフェナック、インドメタシンおよびスルファサラジンなどの非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、プレドニソロン、ヒドロコルチゾン、ベクロメタゾン、ブデソニドなどのコルチコステロイド、サイトカイン抑制抗炎症薬(CSAID)、メトトレキサートおよびレフルノミドなどのヌクレオチド合成阻害剤、シクロスポリン、タクロリムス(FK−506)などの免疫抑制剤、シロリムス(ラパマイシン)またはラパマイシン誘導体などのmTOR阻害剤、インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、セルトリズマブ、ゴリムマブなどの腫瘍壊死因子(TNFα)阻害剤、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブおよびその変異体などのCOX−2阻害剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、トリフルオロメチルケトンアナログなどのホスホリパーゼ阻害剤、血管内皮成長因子阻害剤または成長因子受容体阻害剤、血管形成阻害剤、ナタリズマブ(抗アルファ4インテグリン)、リツキシマブ(抗−CD20)、アバタセプト(抗−CD80およびCD86)、フォスタマチニブ(脾臓チロシンキナーゼSyk阻害剤)、トシリズマブ(抗IL−6)、アナキンラ(抗IL−1)、トファシチニブ(ヤヌスキナーゼ阻害剤)、6−メルカプトプリン(6−MP)、アザチオプリン、バルサラジド、スルファサラジン、メサラジン、オルサラジン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、ペニシラミン、オーラノフィン、金チオリンゴ酸塩、アザチオプリン、コルヒチン、サルブタモール、テルブタリンおよびサルメチロールなどのベータ−2アドレナリン受容体作動薬、テオフィリンおよびアミノフィリンなどのキサンチン、クロモグリケート、ネドクロミル、ケトチフェン、イプラトピウム、オキシトロピウム、ミコフェノール酸モフェチル、アデノシン作動薬、抗血栓症薬、ペニシリン、補体阻害剤、ならびにアドレナリン剤、を含む。
【0077】
使用
他の態様に関し、本発明は、薬剤に使用するための、一般式(I)の化合物、その立体異性体、それらの混合物、および/または薬学的に許容される塩である。
【0078】
本発明の他の態様は、ソマトスタチン受容体(sstr1、sstr2、sstr3、sstr4、および/またはsstr5)、および/またはグレリン受容体、および/または特定のコルチスタチン受容体、あるいはこれらの組み合わせを発現する病態、疾患および/または病変の治療、予防および/または診断に使用するための、一般式(I)の化合物、その立体異性体、それらの混合物、および/または薬学的に許容される塩である。
【0079】
より特定の態様では、本発明は、免疫系疾患、炎症性病変、腫瘍、癌、神経変性疾患、眼疾患、呼吸器疾患、感染症、痛み、回復期創傷、組織再生、敗血症、移植/臓器もしくは組織の移植に関連する疾患からなる群から選択される病態、疾患および/または病変の治療、予防および/または診断のための、一般式(I)の化合物、その立体異性体、それらの混合物、および/または薬学的に許容される塩である。
【0080】
さらなる特定の態様では、本発明は、内毒素血症、敗血性ショック、毒素ショック症候群、敗血症、炎症性腸疾患、クローン病、慢性大腸炎、潰瘍性結腸炎、自己免疫性胃炎、関節炎、リウマチ性関節炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、多発性硬化症、末端肥大症、膵・消化管神経内分泌腫瘍の対症療法、下痢、グレード3−4の下痢、放射線治療および/または化学療治療に関連する下痢、カルチノイド症候群またはビポーマの対症療法、内分泌癌、膵臓癌、慢性膵炎、末端肥大症、膵・消化管神経内分泌腫瘍の対症療法、食道静脈瘤、肥大性肺性骨関節症、甲状腺種(thyrotropic adenoma)、結腸直腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、肝細胞癌、アルツハイマー病、関節炎、アレルギー、狼瘡、紅斑性狼瘡、リンパ増殖性疾患、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、グレーブス眼症、クッシング症候群、神経障害性疼痛、再狭窄、血管新生、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、高インスリン血症、乾癬、低カルシウム血症、ページェット病、カヘキシーおよびゾリンジャー・エリソン症候群、壊疽性膿皮症、甲状腺障害、一型インスリン依存性糖尿病、橋本甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫性肝炎、アレルギー性脳脊髄炎、網膜ブドウ膜炎、ブドウ膜炎、移植片拒絶(transplant rejection)、移植片拒絶(graft rejection)、移植片対宿主病、リブマン・サックス心内膜炎、混合性結合組織病、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、ウェゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、肉芽腫、硬化性苔癬、原発性胆汁性肝硬変、角膜炎、糸球体腎炎、反応性関節炎、sinovialitis、ライター症候群、ライム病、乾癬性関節炎、誘発関節炎、強直性脊椎炎、重症筋無力症、血管炎、自己免疫性甲状腺炎、アレルギー、皮膚炎または湿疹、乾癬、乾癬、皮膚炎、繊維症、慢性閉塞性疾患(COPD)、脳脊髄炎、自己免疫性甲状腺炎、老人性潰瘍(aged ulcer)、虹彩炎、結膜炎、角結膜炎、脊椎関節症、膣炎、直腸炎、薬疹、ハンセン病逆転反応(leprosy reversal reaction)、癩性結節性紅斑、急性壊死性出血性脳症、特発性進行性両側性感音難聴、再生不良性貧血、純赤血球貧血、特発性血小板減少症、多発性軟骨炎、慢性活動性肝炎、スティーブンス・ジョンソン症候群、特発性スプルー、扁平苔癬およびサルコイドーシスからなる群から選択される病態、疾患および/または病変の治療、予防および/または診断のための、一般式(I)の化合物、その立体異性体、それらの混合物、および/または薬学的に許容される塩である。
【0081】
本発明の他の実施形態は、ソマトスタチン受容体(sstr1、sstr2、sstr3、sstr4、および/またはsstr5)、および/またはグレリン受容体、および/または特定のコルチスタチン受容体、あるいはこれらの組み合わせを発現する病態、疾患および/または病変の治療、予防および/または診断のための医薬組成物の調製における、一般式(I)の化合物、その立体異性体、それらの混合物、および/または薬学的に許容される塩の使用である。
【0082】
より特定の態様においては、本発明は、免疫系疾患、炎症性病変、腫瘍、癌、神経変性疾患、眼疾患、呼吸器疾患、感染症、痛み、回復期創傷、組織再生、敗血症、および移植/臓器もしくは組織の移植に関係する疾患からなる群から選択される病態、疾患および/または病変の治療、予防および/または診断のための医薬組成物の調製における、一般式(I)の化合物、その立体異性体、それらの混合物、および/または薬学的に許容される塩の使用である。
【0083】
より特定の態様においては、本発明は、内毒素血症、敗血性ショック、毒素ショック症候群、敗血症、炎症性腸疾患、クローン病、慢性大腸炎、潰瘍性結腸炎、自己免疫性胃炎、関節炎、リウマチ性関節炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、多発性硬化症、末端肥大症、膵・消化管神経内分泌腫瘍の対症療法、下痢、グレード3−4の下痢、放射線治療および/または化学療治療に関連する下痢、カルチノイド症候群またはビポーマの対症療法、内分泌癌、膵臓癌、慢性膵炎、末端肥大症、膵・消化管神経内分泌腫瘍の対症療法、食道静脈瘤、肥大性肺性骨関節症、甲状腺種(thyrotropic adenoma)、結腸直腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、肝細胞癌、アルツハイマー病、関節炎、アレルギー、狼瘡、紅斑性狼瘡、リンパ増殖性疾患、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、グレーブス眼症、クッシング症候群、神経障害性疼痛、再狭窄、血管新生、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、高インスリン血症、乾癬、低カルシウム血症、ページェット病、カヘキシーおよびゾリンジャー・エリソン症候群、壊疽性膿皮症、甲状腺障害、一型インスリン依存性糖尿病、橋本甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫性肝炎、アレルギー性脳脊髄炎、網膜ブドウ膜炎、ブドウ膜炎、移植片拒絶(transplant rejection)、移植片拒絶(graft rejection)、移植片対宿主病、リブマン・サックス心内膜炎、混合性結合組織病、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、ウェゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、肉芽腫、硬化性苔癬、原発性胆汁性肝硬変、角膜炎、糸球体腎炎、反応性関節炎、sinovialitis、ライター症候群、ライム病、乾癬性関節炎、誘発関節炎、強直性脊椎炎、重症筋無力症、血管炎、自己免疫性甲状腺炎、アレルギー、皮膚炎または湿疹、乾癬、乾癬、皮膚炎、繊維症、慢性閉塞性疾患(COPD)、脳脊髄炎、自己免疫性甲状腺炎、老人性潰瘍(aged ulcer)、虹彩炎、結膜炎、角結膜炎、脊椎関節症、膣炎、直腸炎、薬疹、ハンセン病逆転反応(leprosy reversal reaction)、癩性結節性紅斑、急性壊死性出血性脳症、特発性進行性両側性感音難聴、再生不良性貧血、純赤血球貧血、特発性血小板減少症、多発性軟骨炎、慢性活動性肝炎、スティーブンス・ジョンソン症候群、特発性スプルー、扁平苔癬およびサルコイドーシスからなる群から選択される病態、疾患および/または病変の治療、予防および/または診断のための医薬組成物の調製における、一般式(I)の化合物、その立体異性体、それらの混合物、および/または薬学的に許容される塩の使用である。
【0084】
本発明のさらなる態様は、ソマトスタチン受容体(sstr1、sstr2、sstr3、sstr4、および/またはsstr5)、および/またはグレリン受容体、および/または特定のコルチスタチン受容体、あるいはこれらの組み合わせを発現する病態、疾患および/または病変を、治療、予防および/または診断する方法であって、薬学的に有効な量の、一般式(I)で示される少なくとも1種の化合物、その立体異性体、それらの混合物、および/または薬学的に許容される塩を投与することを含む方法である。
【0085】
他の特定の態様においては、本発明は、免疫系疾患、炎症性病変、腫瘍、癌、神経変性疾患、眼疾患、呼吸器疾患、感染症、痛み、回復期創傷、組織再生、敗血症、および移植/臓器もしくは組織の移植に関係する疾患からなる群から選択される病態、疾患および/または病変を、治療、予防および/または診断する方法であって、薬学的に有効な量の、一般式(I)で示される少なくとも1種の化合物、その立体異性体、それらの混合物、および/または薬学的に許容される塩を投与することを含む方法である。
【0086】
他の特定の態様においては、本発明は、内毒素血症、敗血性ショック、毒素ショック症候群、敗血症、炎症性腸疾患、クローン病、慢性大腸炎、潰瘍性結腸炎、自己免疫性胃炎、関節炎、リウマチ性関節炎、変形性関節症、乾癬性関節炎、多発性硬化症、末端肥大症、膵・消化管神経内分泌腫瘍の対症療法、下痢、グレード3−4の下痢、放射線治療および/または化学療治療に関連する下痢、カルチノイド症候群またはビポーマの対症療法、内分泌癌、膵臓癌、慢性膵炎、末端肥大症、膵・消化管神経内分泌腫瘍の対症療法、食道静脈瘤、肥大性肺性骨関節症、甲状腺種(thyrotropic adenoma)、結腸直腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、胃癌、肝細胞癌、アルツハイマー病、関節炎、アレルギー、狼瘡、紅斑性狼瘡、リンパ増殖性疾患、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、グレーブス眼症、クッシング症候群、神経障害性疼痛、再狭窄、血管新生、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、高インスリン血症、乾癬、低カルシウム血症、ページェット病、カヘキシーおよびゾリンジャー・エリソン症候群、壊疽性膿皮症、甲状腺障害、一型インスリン依存性糖尿病、橋本甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫性肝炎、アレルギー性脳脊髄炎、網膜ブドウ膜炎、ブドウ膜炎、移植片拒絶(transplant rejection)、移植片拒絶(graft rejection)、移植片対宿主病、リブマン・サックス心内膜炎、混合性結合組織病、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、ウェゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、肉芽腫、硬化性苔癬、原発性胆汁性肝硬変、角膜炎、糸球体腎炎、反応性関節炎、sinovialitis、ライター症候群、ライム病、乾癬性関節炎、誘発関節炎、強直性脊椎炎、重症筋無力症、血管炎、自己免疫性甲状腺炎、アレルギー、皮膚炎または湿疹、乾癬、乾癬、皮膚炎、繊維症、慢性閉塞性疾患(COPD)、脳脊髄炎、自己免疫性甲状腺炎、老人性潰瘍(aged ulcer)、虹彩炎、結膜炎、角結膜炎、脊椎関節症、膣炎、直腸炎、薬疹、ハンセン病逆転反応(leprosy reversal reaction)、癩性結節性紅斑、急性壊死性出血性脳症、特発性進行性両側性感音難聴、再生不良性貧血、純赤血球貧血、特発性血小板減少症、多発性軟骨炎、慢性活動性肝炎、スティーブンス・ジョンソン症候群、特発性スプルー、扁平苔癬およびサルコイドーシスからなる群から選択される病態、疾患および/または病変を、治療、予防および/または診断する方法であって、薬学的に有効な量の、一般式(I)で示される少なくとも1種の化合物、その立体異性体、それらの混合物、および/または薬学的に許容される塩を投与することを含む方法である。
【実施例】
【0087】
本特許明細書において提供される以下の具体的な実施例は、本発明の本質を示すためものである。これらの実施例は説明の目的でのみ含まれるものであって、本明細書の特許請求の範囲に記載された発明に限定されるものであると解釈されるべきではない。
【0088】
略語
本明細書において使用される略語は以下の意味を有する。
AcO、無水酢酸;AcOH、酢酸;Adpoc、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエトキシ−カルボニル基;All、アリル基;Alloc、アリルオキシカルボニル基;Boc、tert−ブチルオキシカルボニル基;Bzl、ベンジル基;Cbz、ベンジルオキシカルボニル基;cHx、シクロヘキシル基;ClZ、2−クロロベンジル基;CST、コルチスタチン;DCM、ジクロロメタン;Dde、N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキサ−1−イリデン)エチル];DMEM、ダルベッコ変法イーグル培地;Dfp、3,5−ジフルオロフェニルアラニン;DIEA、N,N−ジイソプロピルエチルアミン;DIPCDI、ジイソプロピルカルボジイミド;Dmab、4−(N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3−メチルブチル]アミノ)ベンジル;DMF、N,N−ジメチルホルムアミド;Dnp、2,4−ジニトロフェニル基;DOTA、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラ酢酸;DTPA、ジエチレントリアミンペンタ酢酸;ESI−MS、エレクトロスプレーイオン化質量分析;Fm、フルオレニルメチル;Fmoc、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基;HF、フッ化水素酸;HOBT、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール;HPLC、高速液体クロマトグラフィ;IC50、半数阻害濃度;ivDde、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3−メチル−ブチル基;Ki、薬物の阻害定数;LPS、リポ多糖体;M、分子量;Mtt、メトキシトリチル基;μL、マイクロリットル;μmol、マイクロモル;pNZ、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基;RP−HPLC、逆相HPLC;SST、ソマトスタチン;sstr、ソマトスタチン受容体;tBu、tert−ブチル基;Teoc、2−(トリメチルシリル)エチルオキシカルボニル基;TFA、トリフルオロ酢酸;TFE、2,2,2−トリフルオロエタノール;TIS、トリイソプロピルシラン;tr、保持時間;Trt、トリチル基;Troc、2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル基;Z、ベンジルオキシカルボニル基。
【0089】
実施例1:化合物1の合成
H−L−Pro−c[L−Cys−L−Lys−L−Asn−L−Phe−L−Msa−D−Trp−L−Lys−L−Thr−L−Phe−L−Thr−L−Ser−L−Cys−]−L−Lys−OH
樹脂をフィルタープレートおよびキーを備えた合成反応容器に入れた。2−クロロトリチル樹脂0.25g(1.6mmol/g)上にC末端残基を導入した。最初のアミノ酸、Fmoc−Lys(Boc)−OH(1当量)を1.25mLのDCMおよび75μLのDMFに溶解した。DIEA(3当量)を加えた。アミノ酸および塩基を含む溶液を反応容器に移し、45分間撹拌した。この後、MeOH0.2mLを加え、10分間反応させた。濾過し、濾液を廃棄した。樹脂をDCMおよびDMFで洗浄した。1回の洗浄毎に濾過処理を行い、濾液を廃棄した。次のアミノ酸を導入するために、2.5当量のFmoc−アミノ酸、2.5当量のHOBTおよび2.5当量のDIPCDIを使用した。カップリング反応のために、40〜60分間反応させ、アミノ酸導入をニンヒドリンテストで調節した。ニンヒドリンテストが陽性であれば、再活性化ステージを15〜30分間、0.83当量のHOBTおよび0.83当量のDIPCDIを用いて実施した。ニンヒドリンテストがまだ陽性であれば、リカップリングを1.25当量のFmoc−アミノ酸、HOBTおよびDIPCDIを用いて行った。ニンヒドリンテストが陰性であれば、20%ピペリジン・DMF溶液を用いた2回の処理によるFmoc基の脱保護工程に合成を進めた。ペプチジル樹脂をDMFで5回洗浄し、濾過し、フィルタは毎回廃棄し、その後、次のアミノ酸を導入した。N末端アミノ酸をBoc−Pro−OHの形態で導入した。1.03gのペプチド樹脂が得られた。
【0090】
1.03g(0.3mmol)のペプチジル樹脂を反応容器に置いた。マゲネチックスターラで撹拌しながら、9.6mLのAcOH:TFE:DCM溶液を添加し、2時間反応させた。フィルタープレートを用いて反応容器内で濾過し、濾液を回収した。樹脂を2.55mLのAcOH:TFE:DCM溶液で3回洗浄し、濾液を回収した。
【0091】
3.57mLのAcOH:TFE:DCM溶液中に0.73g(10当量)のヨードを溶解した溶液を調製した。酸分解で回収した濾液を、ヨード液を含む反応容器に移し、撹拌しながら反応させた。6.12mLの水に1.52g(22当量)のチオ硫酸ナトリウムを溶解した溶液を調製し、酸化が終了した時点で反応容器に加えたところ、5分で色が完全に消失したのが観察された。撹拌を中止し、混合物をデカントし、相分離させた。水相をDCMで3回、有機相を5%クエン酸:Nacl(v:w)で処理することにより抽出を行った。有機フラクションを蒸発させ、残渣を真空乾燥させた。固形残渣をフィルタープレート内で水により洗浄した。0.73gの保護された酸化生成物が得られた。
【0092】
6.8mLの反応TFA:HO:DCM:アニソール(55:5:30:10)混合物を反応容器に加えた。0.73gの酸化され保護されたペプチドを前述の溶液に加え、4時間反応させた。ヘプタン(13mL)を加え、5分間撹拌した。撹拌を中止し、デカントした。水相を冷エーテルに注ぎ、15〜30分間静置した。得られた懸濁液をフィルタープレートで濾過し、濾液を廃棄した。残渣をエーテルで洗浄し、濾液を洗浄毎に廃棄した。固形物を凍結乾燥させたところ、0.56gの粗生成物が得られた。
【0093】
粗生成物を、10マイクロメートルのKromasilシリカを充填したNW50カラムを備えたセミ分取システムで精製した。ペプチドを0.1N AcOHに懸濁し、0.1N AcOH中で調製したDOWEX樹脂を加えた。最終的に得られた酢酸塩化合物を濾過によって回収し、ESI−MS装置による質量分析により、その特性を調べた。
特色:ESI−MS:理論値M=1777.1g/mol、実験値M:(m/z):[M+2H]/2=889.3,[M+3H]/3=593.1
【0094】
実施例2:化合物2の合成
オクタノイル−L−Pro−c[L−Cys−L−Lys−L−Asn−L−Phe−L−Msa−D−Trp−L−Lys−L−Thr−L−Phe−L−Thr−L−Ser−L−Cys−]−L−Lys−OH
実施例1に記載の方法により化合物を調製した。最初に0.25gの樹脂を使用し、同じ当量比を使用した。N末端アミノ酸をFmoc−Pro−OHの形態で加えた。オクタノイル酸を5当量の酸、5当量のHOBTおよび5当量のDIPCDIを用いて配列に導入した。0.5gの粗生成物が得られた。
特色:ESI−MS:理論値M=1903.35g/mol、実験値M:(m/z):[M+2H]/2=952.4,[M+3H]/2=635.2
【0095】
実施例3:化合物3の合成
H−L−Pro−c[L−Cys−L−Lys−L−Asn−L−Msa−L−Phe−D−Trp−L−Lys−L−Thr−L−Phe−L−Thr−L−Ser−L−Cys]−L−Lys−OH
実施例1に記載の方法により化合物を調製した。0.25gの樹脂および同じ当量比を使用した。N末端アミノ酸をBoc−Pro−OHの形態で加えた。0.53gの粗生成物が得られた。
特色:ESI−MS:理論値M=1777.15g/mol、実験値M:(m/z):[M+2H]/2=889.3,[M+3H]/2=593.1
【0096】
実施例4:化合物4の合成
オクタノイル−L−Pro−c[L−Cys−L−Lys−L−Asn−L−Msa−L−Phe−D−Trp−L−Lys−L−Thr−L−Phe−L−Thr−L−Ser−L−Cys−]−L−Lys−OH
実施例1に記載の方法により化合物を調製した。0.25gの樹脂および同じ当量比を使用した。N末端アミノ酸をFmoc−Pro−OHの形態で加えた。オクタノイル酸を5当量の酸、5当量のHOBTおよび5当量のDIPCDIを用いて配列に導入した。0.55gの粗生成物が得られた。
特色:ESI−MS:理論値M=1903.35g/mol、実験値M:(m/z):[M+2H]/2=952.4,[M+3H]/2=635.2
【0097】
実施例5:化合物5の合成
オクタノイル−L−Pro−c[L−Cys−L−Lys−L−Asn−L−Msa−L−Phe−D−Trp−L−Lys−L−Thr−L−Phe−L−Thr−L−Ser−L−Cys]−OH
実施例1に記載の方法により化合物を調製した。0.4gの樹脂および同じ当量比を使用した。N末端アミノ酸をFmoc−Pro−OHの形態で加えた。オクタノイル酸を5当量の酸、5当量のHOBTおよび5当量のDIPCDIを用いて配列に導入した。0.53gの粗生成物が得られた。
特色:ESI−MS:理論値M=1775.18g/mol、実験値M:(m/z):[M+2H]/2=888.6,[M+3H]/2=592.7
【0098】
実施例6:化合物6の合成
H−L−Ala−Gly−c[L−Cys−L−Lys−L−Asn−L−Phe−L−Dfp−D−Trp−L−Lys−L−Thr−L−Phe−L−Thr−L−Ser−L−Cys]−OH
実施例1に記載の方法および同じ当量比を用いて化合物を調製した。N末端アミノ酸をBoc−Ala−OHの形態で加えた。0.53gの粗生成物が得られた。
特色:ESI−MS:理論値M=1673.9g/mol、実験値M:(m/z):[M+H]=1674.8;[M+2H]/2=837.9
【0099】
実施例7:Ac−L−Pro−c[L−Cys−L−Lys−L−Asn−L−Phe−L−Dfp−L−Trp−L−Lys−L−Thr−L−Phe−L−Thr−L−Ser−L−Cys]−L−Lys−NH(化合物7)の合成
実施例1に記載の方法により、MBHA樹脂および同じ当量比を用いて、化合物を調製した。N末端アミノ酸をFmoc−Pro−OHの形態で加えた。アセチル化を固相で5当量の無水酢酸、10当量のDIEAを用いて行った。0.48gの粗生成物が得られた。
特色:ESI−MS:理論値M=1812.15g/mol、実験値M:(m/z):[M+2H]/2=907.07,[M+3H]/3=605.05
【0100】
実施例8:H−L−Pro−c[L−Cys−L−Lys−L−Asn−L−Dfp−L−Phe−L−Trp−L−Lys−L−Thr−L−Msa−L−Ser−L−Ser−L−Cys]−L−Lys−NH(化合物8)の合成
実施例1に記載の方法により、MBHA樹脂および同じ当量比を用いて、化合物を調製した。N末端アミノ酸をBoc−Pro−OHの形態で加えた。0.5gの粗生成物が得られた。
特色:ESI−MS:理論値M=1798.15g/mol、実験値M:(m/z):[M+2H]/2=900.1,[M+3H]/3=600.3
【0101】
実施例9:H−L−Asp−L−Arg−L−Met−L−Pro−c[L−Cys−L−Arg−L−Asn−L−Msa−L−Phe−L−Trp−L−Lys−L−Thr−L−Phe−L−Thr−L−Ser−L−Cys]−L−Lys−OH(化合物9)の合成
実施例1に記載の方法および同じ当量比を用いて、化合物を調製した。N末端アミノ酸をFmoc−Asp(OtBu)−OHの形態で加えた。Fmocの脱保護および最後の酸分解の後、0.54gの粗生成物が得られた。
特色:ESI−MS:理論値M=2207.54g/mol、実験値M:(m/z):[M+2H]/2=1104.7,[M+3H]/3=736.8
【0102】
実施例10:ミリストイル基−L−Asp−L−Arg−L−Met−L−Pro−c[L−Cys−L−Arg−L−Asn−L−Msa−L−Phe−L−Trp−L−Lys−L−Thr−L−Phe−L−Thr−L−Ser−L−Cys]−L−Lys−OH(化合物10)の合成
実施例1に記載の方法および同じ当量比を用いて、化合物を調製した。N末端アミノ酸をFmoc−Asp(OtBu)−OHの形態で加えた。ミリスチン酸を5当量の酸、5当量のHOBTおよび5当量のDIPCDIを用いて導入した。0.52gの粗生成物が得られた。
特色:ESI−MS:理論値M=2411.5g/mol、実験値M:(m/z):[M+2H]/2=1206.8;[M+3H]/3=804.8
【0103】
実施例11:新規コルチスタチンアナログのソマトスタチン受容体(sstr1〜sstr5)に対する結合値
5種のソマトスタチン受容体(sstr1〜sstr5)のそれぞれが独立して発現するCHO−K1細胞を使用した。細胞を、0.1nM〜10μmの濃度範囲の新規コルチスタチンアナログ(化合物1〜10)とともに、pH7.4のHEPES緩衝液中で2〜4時間インキュベートし、125I−Tyr11−ソマトスタチン14を放射性リガンドとして使用し、ソマトスタチン−14を冷リガンドとして使用した。ソマトスタチン−14の非存在下で得られた放射能は全結合と見なし、1μMのソマトスタチン−14存在下で得られた放射能は非特異的結合として見なした。特異的結合は、完全な結合と非特異的結合との差と見なした。0.1nM〜10μMの試験濃度範囲で、評価した新規コルチスタチンアナログは、特異的結合に対し、50%を超える阻害率を示した。前記値は、新規コルチスタチンアナログのIC50値と、すべてナノモル範囲の次の範囲、(IC50(sstr1)=1nM〜50nM;IC50(sstr2)=1nM〜50nM;IC50(sstr3,sstr4およびsstr5)=0.5nM〜5nM)、コルチスタチンについて公表されている範囲[Spier et al.,Brain Research Reviews 2000,33,228−241]IC50(sstr1)=1〜5nM;IC50(sstr2,sstr3,sstr5)=0.1nM〜5nM;IC50(sstr4)=0.1nM〜20nM)で相関していた。この結果は、評価した新規コルチスタチンアナログがソマトスタチン受容体sstr1〜sstr5とナノモルアフィニティで相互作用することを示している。
【0104】
実施例12.インビトロでの新規コルチスタチンアナログの炎症反応に対する効果
Raw264細胞を完全DMEM培地で、コンフルエンス80%に達するまで培養した。細胞を、リポ多糖体(LPS、1μg/mL、大腸菌(E.coli)血清型055:B5より)の非存在下または存在下でインキュベートした。リポ多糖体の非存在下でインキュベートした細胞をリファレンス(基準)として使用した。新規コルチスタチンアナログを、培養開始時に100nMで加えた。24時間後、上清を集め、サイトカインおよび酸化窒素濃度を測定した。サイトカイン濃度(TNFアルファおよびIL−6)は、ELISA試験で測定した。酸化窒素(NO)はGriess試験により測定した。培養液の上清(90μl)とGriess試薬を同容量混合し、吸光度を550nmで測定した。亜硝酸塩の量をNaNo標準曲線から算出した。
【0105】
比較のために、コルチスタチン−14(CST−14)、ソマトスタチン−14(SOM−14)および国際公開第2010/128098A1号パンフレットに記載の3種のソマトスタチンアナログの値を求めた。
H−L−Ala−Gly−c[L−Cys−L−Lys−L−Asn−L−Msa−L−Phe−L−Trp−L−Lys−L−Thr−L−Phe−L−Thr−L−Ser−L−Cys]−OH(化合物11)
H−L−Ala−Gly−c[L−Cys−L−Lys−L−Asn−L−Phe−L−Msa−L−Trp−L−Lys−L−Thr−L−Phe−L−Thr−L−Ser−L−Cys]−OH(化合物12)
H−L−Ala−Gly−c[L−Cys−L−Lys−L−Asn−L−Phe−L−Phe−L−Trp−L−Lys−L−Thr−L−Msa−LThr−L−Ser−L−Cys]−OH(化合物13)
【0106】
炎症の最大値として、TNFアルファ、IL−6およびNOの活性値は、それぞれ5.78ng/mL、4.48ng/mLおよび5.23ng/mLであった。炎症のない対応する基準値は、0.48ng/mL、0ng/mLおよび0.44ng/mLであった。天然ペプチドCST−14による処理後に得られたTNFアルファ、IL−6およびNOの値は、それぞれ3.17ng/mL、3.78ng/mLおよび3.08ng/mLであり、いずれも炎症の最大測定値未満で、したがってCST−14は抗炎症効果を示した。SST−14で得られた値は、5.21ng/mL、4.2ng/mLおよび4.32ng/mLであり、試験したソマトスタチンアナログ(化合物11〜13)の値は、それぞれ5.18〜5.24ng/mL、4.19〜4.45ng/mLおよび3.4〜5.05ng/mLの範囲にあった。
【0107】
新規コルチスタチンアナログによる処理後に得られたTNFアルファ、IL−6およびNOの値は、それぞれ2.51〜4.9ng/mL、2.77〜4.23ng/mLおよび3.04〜4.49ng/mLの範囲にあり、インビトロでの炎症を低減する前記処理による効果は、試験したソマトスタチンアナログ(化合物11〜13)の値より高いことを示した。
【0108】
CST−14およびSST−14で得られたデータは、両分子もそれらのアナログもインビトロでの炎症の低減に効果があることを示している。
【0109】
実施例13.インビトロでの新規コルチスタチンアナログの免疫反応に対する効果。
8週齢のオスのC57BI/6マウスからの脾細胞を、細胞の機械的分離、ナイロンメッシュによる濾過、および赤血球の溶解の後、得た。脾細胞を完全DMEM培地で、10細胞/mLの密度になるまでインキュベートした。非接着性細胞(T細胞により80%で生成)をサイトカインの測定および増殖分析のために使用した。T細胞を完全DMEM培地で培養し、100nM濃度の種々のコルチスタチンアナログの存在下に抗CD3抗体(2μg/mL)で刺激した。48時間後、培養物の上清を分離し、サイトカイン(IFNγおよびIL−2)の濃度をELISA試験で測定した。種々のコルチスタチンアナログの増殖に対する効果を調べるために、細胞を72時間培養し、培養の最後の8時間の間に[H]−チミジンを0.5μCi(0.0185MBq)/well加え、膜を集め、そして加えた[H]−チミジンをシンチレーションカウンターで測定した。
【0110】
比較のために、コルチスタチン−14(CST−14)、ソマトスタチン−14(SOM−14)および国際公開第2010/128098A1号パンフレットに記載の3種のソマトスタチンアナログの値を測定した。
H−L−Ala−Gly−c[L−Cys−L−Lys−L−Asn−L−Msa−L−Phe−L−Trp−L−Lys−L−Thr−L−Phe−L−Thr−L−Ser−L−Cys]−OH(化合物11)
H−L−Ala−Gly−c[L−Cys−L−Lys−L−Asn−L−Phe−L−Msa−L−Trp−L−Lys−L−Thr−L−Phe−L−Thr−L−Ser−L−Cys]−OH(化合物12)
H−L−Ala−Gly−c[L−Cys−L−Lys−L−Asn−L−Phe−L−Phe−L−Trp−L−Lys−L−Thr−L−Msa−LThr−L−Ser−L−Cys]−OH(化合物13)
【0111】
免疫反応の最大値として、得られた増殖活性値、INFγおよびIL−2は、それぞれ9843;2.52ng/mLおよび3.22ng/mLであった。免疫反応活性がない対応する基準値は、640;0ng/mLおよび0.23ng/mLであった。天然ペプチドCST−14による処理後に得られた増殖値、INFγおよびIL−2は、それぞれ5500;1.13ng/mLおよび1.52ng/mLであり、いずれも免疫反応の最大値未満で、CST−14が免疫反応の調節に有効であることを示した。SST−14で得られた値は、9936;2.31ng/mLおよび3.14ng/mLであり、試験したソマトスタチンアナログ(化合物11〜13)の値は、それぞれ10216〜10466;2.51〜2.3ng/mLおよび3.23〜3.37ng/mLの範囲にあった。
【0112】
新規コルチスタチンアナログによる処理後に得られた値は、増殖、INFγおよびIL−2に対しそれぞれ5863〜9316;1.33〜2.56ng/mLおよび1.8〜3.23ng/mLの範囲にあり、インビトロでの免疫反応の低減に前記処理が有効であることを示した。
【0113】
活性脾細胞の新規コルチスタチンアナログによる処理により、増殖、INFγおよび/またはIL−2のレベルが低下し、その処理が免疫反応の過度の活性化の調節に有効であることを示した。
【0114】
CST−14およびその新規アナログ、ならびにSST−14およびそのアナログで得られた比較データは、CST−14およびアナログがインビトロでの免疫反応の低減により大きな効果があることを示している。
【0115】
実施例14:新規コルチスタチンアナログの血清安定性
新規化合物を37℃で90%ヒト血清とともにインキュベートした。インキュベーション時間を変えて一定分量を抽出した。メタノールを添加し、血清からタンパク質を沈澱させ、遠心分離し、上清をRP−HPLC(勾配:20〜80%B、30分、B=アセトニトリル中、0.07%TFA)によるクロマトグラフィー分析に供した。初期生成物の消失を、初期生成物に対応する面積により解析し、半減期を算出した。
【0116】
新規化合物は、コルチスタチンより長い半減期を有する。これらの実験条件では、血清中のコルチスタチンの半減期は2分間であった。化合物4、6および5の半減期は、それぞれ21分、3.8時間および35時間である。CST−14の主な代謝物は化合物14である。化合物4の主な代謝物は化合物5である。両者とも、初期ペプチドからC末端のLysが失われ、何時間も安定な代謝物が生成される。
H−Pro−c[Cys−Lys−Asn−Phe−Phe−Trp−Lys−Thr−Phe−Ser−Ser−Cys]−OH(化合物14)
【0117】
実施例15:マウスのコラーゲン誘発性関節炎(CIA)モデルにおける化合物4、5および6の有効性
DBA/1マウスに、完全フロイントアジュバント中のニワトリII型コラーゲンおよびマイコバクテリウム・ツベルクローシス(M.tuberculosis)を0日目および21日目に注射した。25日目から29日目の間、マウスの皮下に生理食塩水(対照)または0.4mg/kgの化合物4、5もしくは6を、1日1回投与した。リファレンス処理として、抗−TNFアルファ抗体を使用し、25日目および32日目に静脈注射した。関節炎の臨床的重篤度を毎日、損傷の程度にしたがい0〜10の数で解析した。肢の腫脹を、研究期間を通して5日毎にキャリパーにより厚みを測定することによって評価した(20、25、30、35、40、45、50日目)。
【0118】
CIAマウスの化合物4、5および6による処理により、関節炎の臨床的重篤度の低減および肢の腫脹の軽減に実質的な改善が認められ、これは炎症および免疫反応を伴った疾患の実験モデルにおける有効性を示している。生理食塩水(対照)で処理した病気のマウスの関節炎の臨床的重篤度(0〜10)は、21日目、2回目のコラーゲン注射後に最大値8.5に達した。同期間、本発明の化合物(化合物4〜6)で処理したCIAマウスは、関節炎の臨床的重篤度の値が3〜5.6の範囲に下がった。これらの値が、リウマチ性関節炎で臨床的に使用されている治療と同等の、抗−TNFアルファ陽性対照で処理したCIAマウスで得られた関節炎の重篤度の値(4.9)を含む範囲にあることは、指摘に値することである。
【0119】
この研究の50日目に、疾患を持つCIAマウスの肢の厚みは2.83mmの値に達した。抗−TNFアルファ対照では、肢の炎症は2.5mmに減少した。化合物4〜6もまた、炎症値が2.3〜2.5mmに減少した。
【0120】
実施例16:クローン病の実験モデルにおける化合物4、5および6の有効性
6〜8週齢のオスのBALB/cマウスを使用した。大腸炎を誘発するために、それらに、50%エタノールに溶解したトリニトロベンゼンスルホン酸(TBNS)を直腸内投与した。疾患がすでに確立した3、4および5日目に、マウスの皮下に緩衝液(PBS)または種々のコルチスタチンアナログ(0.4mg/kg)を投与した。
【0121】
動物を毎日観察し、0〜4の尺度による下痢の状態(大腸炎の重篤度)、体重の減少、および生存を監視した。さらに、10日目に、剖検により、結腸を評価し、2人の独立した研究者が、盲検法で、炎症、充血、結腸の腫脹、および潰瘍の拡大を反映した基準に基づく0〜10の尺度で、マクロ的損傷にしたがい、分類した。便の硬さおよび直腸の出血による大腸炎の重篤度の分類もまた、2人の観察者が独立して行った:0=通常の便の外観、1=便の硬さが僅かに低下、2=便の硬さが中程度に低下、3=便の硬さが中程度に低下し、かつ便に血液が含まれる、4=激しい水溶性下痢、および便中に中程度の量/多量の血液。50%エタノール中のTBNS処理によって誘発された大腸炎に罹患したマウスの体重は1日目(22g)から10日目(17g)に落ちた。50%エタノールのみで処理した健康な対照のマウスの体重は、1日目(22g)から10日目(25g)に増えた。病気のマウスの抗TNFアルファ陽性対照による処理では、体重の減少は1日目(21g)から10日目(19g)と穏やかであり、コルチスタチンアナログ化合物4〜6による処理でも同様で、10日目の体重は19〜20gで、その値は、病気のマウスで得られた体重(17g)よりはるかに大きかった。
【0122】
研究の6日目にインビボで評価した大腸炎の重篤度(0〜4)は、50%エタノールで処理した健康な対照のマウスでは、基準値の0.25を示し、50%エタノール中のTBNSで処理した病気のマウスでは、最大値3.6を示した。異なるコルチスタチンアナログによる処理では、抗TNFアルファで処理した陽性対照群の値(2.1)に類似した1.4〜2.1の大腸炎の重篤度で、これは前記処理による有効性を示している。
【0123】
直腸のマクロ的損傷の程度(0〜10)を剖検により分析した。50%エタノールで処理した健康な対照のマウスでは、基準値0.2が得られ、50%エタノール中のTBNSで処理した病気のマウスでは、最大値7.5が得られた。異なるコルチスタチンアナログによる処理では、損傷の程度は1.9〜2.8を示した。抗TNFアルファ化合物の処理では、本発明の化合物と同じ範囲の2.5という値が得られた。
【0124】
実施例17:潰瘍性結腸炎の実験モデルにおける化合物4、5および6の有効性
7〜8週齢のオスのC57BI/6マウスを使用した。急性結腸炎を誘発するために、研究の0日目および7日目に、それらに、5%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を含む自発的飲料水を与えた。対照群の動物には、標準の水を与えた。研究の1、2および3日目に、マウスの皮下に(PBS)緩衝液、または種々のコルチスタチンアナログ(0.4mg/kg)を投与した。CSTをリファレンスとして使用した。結腸炎の重症度を毎日、便の硬さ、血便の有無および体重の減少を考慮した臨床疾患活性係数を示す0〜4の尺度で評価した。研究の8日目にマウスを処分し、剖検後、結腸のマクロ的損傷の程度を0〜8の尺度で確立した。5%DSSに経口投与により、疾患活性係数(0〜4)は大きく増大し、疾患群で基準値の0から3.7に上昇した。CSTおよびコルチスタチンアナログで処理した病気のマウスは、はるかに低く、それらの中では類似した、1〜1.5の範囲の臨床疾患活性係数を得た。さらに、研究の1〜3日目の新規コルチスタチンアナログによる処理では、病気の動物の生存率が50%から100%に大きく上昇した。マクロ的レベルでは、病気のマウスの結腸炎の重篤度は6.6であり、CSTで処理した病気のマウスでは0.87、新規コルチスタチンアナログで処理した病気のマウスでは0.74〜1.5であった。病気のマウスの結腸の平均重量は763mg、CSTで処理した病気のマウスの結腸の平均重量は621mg、そして新規コルチスタチンアナログで処理した病気のマウスの結腸のそれは614〜621mgであり、これは結腸の炎症の減少を示している。これらのすべての結果は、この結腸炎の実験モデルにおける、新規コルチスタチンアナログの有効性を示している。