特許第6989274号(P6989274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6989274銀ナノ粒子−スルホン酸化ポリエステルコンポジット粉末およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989274
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】銀ナノ粒子−スルホン酸化ポリエステルコンポジット粉末およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/16 20060101AFI20211220BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20211220BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20211220BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20211220BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20211220BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20211220BHJP
   C08L 67/00 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   C08J3/16CFD
   B29C64/153
   B29C64/314
   B33Y70/00
   B33Y80/00
   C08K3/08
   C08L67/00
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-56945(P2017-56945)
(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公開番号】特開2017-197720(P2017-197720A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2020年3月23日
(31)【優先権主張番号】15/098,270
(32)【優先日】2016年4月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・エム・ファルジア
(72)【発明者】
【氏名】バーケフ・コシュケリアン
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・エヌ・クレティエン
【審査官】 石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−060219(JP,A)
【文献】 特開2012−103535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00−3/28、99/00
C08L 1/01−101/14
C08K 3/00−13/08
B22F 1/00−8/00、9/00−9/30
B29C 64/00−64/40、67/00−67/08、
67/24−69/02、73/00−73/34
B29D 1/00−29/10、33/00、99/00
B33Y 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンポジット粉末を製造する方法であって、
有機物を含まない溶媒中、スルホン酸化ポリエステル樹脂を加熱することと;
水中で、この加熱した樹脂に銀(I)イオン溶液を加えて混合物を作成することと;
前記混合物に還元剤溶液を加えることによって、スルホン酸化ポリエステルマトリック
スと前記スルホン酸化ポリエステルマトリックス中に分散した複数の銀ナノ粒子とを含む
粒子のエマルションを作成することと;
前記粒子のエマルションを凝集させ、凝集した粒子を作成することと;
前記凝集した粒子を融着させ、融着した粒子を作成することと;
前記融着した粒子を洗浄することによって、前記コンポジット粉末を作成することとを
含む、方法。
【請求項2】
前記凝集させる工程の前に、前記粒子のエマルションに水を加える、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記スルホン酸化ポリエステル樹脂を加熱することは、65℃〜90℃の温度で行
われる、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記凝集させることは、30℃〜80℃の温度で行われる、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記コンポジット粉末は、選択的レーザー焼結に使用するためのコンポジット粉末であって、
スルホン酸化ポリエステルマトリックスと;
前記スルホン酸化ポリエステルマトリックス中に分散した複数の銀ナノ粒子とを含み、
前記銀ナノ粒子は、前記コンポジット粉末中に、0.5ppm〜50,000ppmの範囲で存在し;
さらに、前記コンポジット粉末は、粒径が10ミクロン〜300ミクロンの範囲で
ある、コンポジット粉末である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の方法
【請求項6】
前記スルホン酸化ポリエステルは、ガラス転移(Tg)温度が45℃〜65℃であ
る、請求項に記載の方法
【請求項7】
前記スルホン酸化ポリエステルマトリックスは、スルホン酸化ポリエステルの分岐したポリマーを含む、請求項に記載の方法
【請求項8】
前記スルホン酸化ポリエステルマトリックスは、スルホン酸化ポリエステルの直鎖ポリマーを含む、請求項に記載の方法
【請求項9】
スルホン酸化ポリエステルマトリックス;
および前記スルホン酸化ポリエステルマトリックスの中に分散した複数の銀ナノ粒子を含むコンポジット粉末を含み、
前記スルホン酸化ポリエステルマトリックスは、スルホン酸化ポリエステルの分岐したポリマーを含み、
前記銀ナノ粒子が、コンポジット粉末中に0.5ppm〜50,000ppmの範
囲で存在し;
さらに、前記コンポジット粉末は、粒径が10ミクロン〜300ミクロンである、
物品。
【請求項10】
前記物品が、生化学センサ、光学検出器、抗菌剤、繊維製品、化粧品、電子部品、繊維
および低温超伝導材料からなる群から選択される、請求項9に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、選択的レーザー焼結(SLS)用途に使用するためのコンポジットマトリックス全体に分散した金属ナノ粒子を含むコンポジットに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の用途のための三次元3D印刷に対する医学界の信頼は、迅速に高まりつつあり、組織および臓器の製造、特別注文が可能なデバイス(例えば、人工装具、マウスガード、矯正装具、補聴器およびインプラント)、制御された薬物送達および個人に合わせた薬物製造に関連する医薬の探求のような領域を包含する。これら医学用途の多くは、細菌、微生物、ウイルスまたは真菌の成長を阻害することができるコンポジット材料を必要とする。台所用品、おもちゃ、教育用材料および数え切れない家庭用品のような3D印刷のための他の製品も、細菌の成長に望ましい環境を与えるため、これらの製品と組み合わせて使用するための抗菌性コンポジット材料も望ましい。3D印刷した材料の層状構造に起因して、特に、特定の細菌株が、これらの材料の細かい構造構成品の中で実際に繁殖し得るため、細菌成長の可能性が非常に高くなる場合がある。洗浄だけでは、これらの製品の表面および裂け目が完全に滅菌されない。
【0003】
従って、3D印刷のための抗菌特性を有する新規材料の必要性が存在する。3D印刷方法の1つは選択的レーザー焼結(SLS)であり、SLSは、一般的な積層造形(3D印刷)技術である。SLS技術の詳細な記載は、米国特許第4,247,508号、第4,863,538号、第5,017,753号および第6,110,411号の中に見出すことができる。SLS印刷は、典型的には、物品を印刷するための構築材料として、粉末状のプラスチック/ポリマーを使用する。ほとんどのSLS材料は、ポリアミド(ナイロン)のコンポジットであり、粉末状ガラス、炭素繊維、アルミニウム粉末などの添加剤を含むか、または含まない。この粉末は、レーザーによって層ごとの様式で形状に焼結され、「スクラッチ」から物体を構築する。レーザー焼結は、通常、約50〜約300ミクロンの範囲の粒子を使用し、細かさの程度は、レーザーの正確さと、粉末の微細さによってのみ制限を受ける。SLSプロセスによって誘導される物体の細かさと複雑さが顕著であるだけではなく、特に、ヘルスケアおよび食品産業に関連する用途において、細菌または微生物の蓄積のための潜在的な足場も作り出す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ある態様において、本発明の実施形態は、選択的レーザー焼結(SLS)に使用するための、スルホン酸化ポリエステルマトリックスと;前記マトリックス中に分散した複数の銀ナノ粒子とを含む、コンポジットに関する。
【0005】
ある態様において、本発明の実施形態は、有機物を含まない溶媒中、スルホン酸化ポリエステル樹脂を加熱することと;水中で、この加熱した樹脂に銀(I)イオン溶液を加えて混合物を作成することと;前記混合物に還元剤溶液を加えることによって、スルホン酸化ポリエステルマトリックスと前記スルホン酸化ポリエステルマトリックス中に分散した複数の銀ナノ粒子とを含む粒子のエマルションを作成することと;前記粒子のエマルションを凝集させ、凝集した粒子を作成することと;前記凝集した粒子を融着させ、融着した粒子を作成することと;前記融着した粒子を洗浄することによって、コンポジット粉末を作成することとを含む、方法に関する。
【0006】
ある態様において、本発明の実施形態は、スルホン酸化ポリエステルマトリックスと、前記マトリックスの中に分散した複数の銀ナノ粒子を含む、コンポジット粉末を含み、前記銀ナノ粒子が、コンポジット粉末中に約0.5ppm〜約50,000ppmの範囲で存在し;さらに、前記コンポジット粉末は、粒径が約10ミクロン〜約300ミクロンである、物品に関する。
【0007】
図面を参照しつつ、本開示の種々の実施形態を本明細書で以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、Ag存在下、ソジオスルホン酸化ポリエステルの自己集合の可能な機構の模式図を示す。
図2図2は、選択的レーザー焼結(SLS)プロセスのための乾燥粒子の調製の可能な機構の模式図を示す。
図3図3は、ガラスマイクロファイバー膜に融合した本開示の一実施形態(実施例3)にかかるBSPE−AgNP抗菌性粒子を示すグレースケール画像である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つ」および「1つ以上」は、相互に置き換え可能に使用される。従って、例えば、「1つの(an)」添加剤を含むコーティング組成物は、コーティング組成物が「1つ以上」の添加剤を含むことを意味すると解釈することができる。
【0010】
また、本明細書では、数値範囲の引用は、広い範囲の中に含まれる全ての部分範囲の開示を含む(例えば、1〜5は、1〜4、1〜3、1〜2、2〜4、2〜3などを開示する)。
【0011】
本開示は、選択的レーザー焼結(SLS)用途に使用するための、コンポジット粉末、さらに特定的には、銀ナノ粒子(AgNP)を含有する粉末状スルホン酸化ポリエステルポリマーコンポジットを提供する。
【0012】
この種類のAgNPポリマーコンポジットは、銀塩は銀の放出が速すぎて制御することができない場合があり、一方、塊状の銀は、活性な銀種を放出するのに非常に効率が悪いため、イオン性の銀および塊状の銀と比較して、抗菌剤用途に適している。AgNPは、その抗菌特性について知られているが、AgNPを用いた抗菌活性の実際の機構はあまり理解されていない。AgNPは、細菌の細胞壁と相互作用し、その結果、血漿膜電位を不安定化し、細胞内アデノシン三リン酸(ATP)のレベルを下げ、細菌の細胞死を引き起こす場合がある。または、AgNPは、AgNP存在下で細菌細胞の細胞毒性の原因となる反応性酸素種(ROS)の生成に、ある役割を果たし得る。「Potential Theranostics Application of Bio−Synthesized Silver Nanoparticles(4−in−1 System)」Theranostics 2014;4(3):316−335。さらに、AgNPは、電子供与体と電子受容体の間の電子移動を容易にすることによって、化学的酸化還元反応に触媒として関与することが報告されている。「Micelle bound redox dye marker for nanogram level arsenic detection promoted by nanoparticles」、New J.Chem.、2002、26、1081−1084。
【0013】
本発明のSLSコンポジット粉末は、スルホン酸化ポリエステル−銀ナノ粒子(SPE−AgNP)から合成されてもよい。SLS粉末は、水中でスルホン酸化ポリエステル樹脂粒子が自己集合する間に還元剤を使用して、または還元剤を使用せずに硝酸銀から同時に生成する銀ナノ粒子(AgNP)が埋め込まれた自己分散性スルホン酸化ポリエステル(SPE)の凝集から作成されてもよい。
【0014】
SPE−AgNP
本発明の特定の実施形態は、ソジオスルホン酸化ポリエステル樹脂粒子を水中で自己集合させる間に、同時に銀(I)イオンを還元することによる、銀ナノ粒子(AgNP)を合成する方法を提供する。バルク溶媒として水を使用するこの方法は、環境に優しく、有機溶媒を含まない。この方法は、ポリマー金属ナノコンポジットを調製するのに最低限しか時間を必要とせず、効率的である。理論に束縛されないが、同時にAgNPに還元しつつ、ソジオスルホン酸化ポリエステルの自己集合中に、ポリマーマトリックス内に銀イオンが捕捉されると考えられる。スルホン酸化ポリエステル−銀ナノ粒子(SPE−AgNP)は、自己集合中または図1に示されるようにポリマーを水に分散させている間に、同時に合成される。従って、ソジオスルホン酸化ポリエステルは、銀イオンの担体としても、銀ナノコンポジットの系中での合成のための有機マトリックスとしても働く。硝酸銀から銀ナノ粒子(AgNP)へと還元するために、ソジオスルホン酸化ポリエステルの自己集合中に任意要素の還元剤を加え、十分に分散した粒子を得る。ポリエステルマトリックスは、AgNPの凝集を抑制すると考えられるため、重要な役割を果たす。一方、スルホン酸化ポリエステルの多孔性によって、銀イオンがポリマーマトリックス全体に拡散し、および/または吸収され、ポリエステルのスルホネート官能基との遮られていない相互作用が可能になる。銀イオンの還元に使用される還元剤も、ポリエステルマトリックス全体に自由に拡散し、ポリエステル粒子の表面および内部に十分に分散したAgNPの生成を促進する。有利なことに、このプロセスは、あらかじめ作成しておいたナノ粒子を用いる従来の方法では起こってしまうナノ粒子の凝集を最低限にする。スルホン酸化ポリマーマトリックスは、AgNPの分散を維持し、コンポジットの全体的な化学安定性および機械安定性を維持するのに重要な役割を有する。
【0015】
銀は、抗菌特性、抗微生物特性、抗真菌特性、抗ウイルス特性を含め、多くの有用な特性を有する。本明細書に開示される銀ナノコンポジット材料のこれらの新規な特性によって、銀ナノコンポジットは、電子部品、光学検出器、化学センサおよび生化学センサおよび類似のデバイスのような種々の用途に有用である。これら任意の材料を小型化する能力は、本明細書に記載する銀ナノコンポジット材料の実質的な利点である。
【0016】
本明細書に開示されるスルホン酸化ポリエステル樹脂は、鎖に沿って接続した親水性スルホネート基が存在しつつ、疎水性骨格を有するように選択されている。理論に束縛されないが、水に入れられ、加熱されると、この疎水性部分が互いに相互作用して疎水性コアを生成する場合があり、この親水性スルホネート基は、周囲の水に面しており、スルホン酸化ポリエステルがさらに高次元に自己集合し、さらなる試薬を必要とすることなく、球状のナノ粒子になる。従って、両親媒性ポリエステルが関与する高次元が存在し、その中では、水に不溶性の疎水性骨格と、水溶性の親水性スルホネート基は、マクロ界面活性剤として作用する。これにより、水性媒体中で自己会合性、自己集合性、自己分散性のナノ粒子が得られ、ミセル状の凝集物が得られる。このミセルの内部および周囲での銀ナノ粒子の生成は、硝酸銀と還元剤を添加すると二次的に起こる。
【0017】
いくつかの実施形態において、スルホン酸化ポリエステルマトリックスと、前記マトリックスの中に分散した複数の銀ナノ粒子とを含むコンポジットが提供される。
【0018】
いくつかの実施形態において、スルホン酸化ポリエステルマトリックスは、分岐したポリマーである。いくつかの実施形態において、スルホン酸化ポリエステルマトリックスは、直鎖ポリマーである。分岐したポリマーまたは直鎖ポリマーの選択は、特に、下流でのコンポジット製品の適用に依存して変わってもよい。直鎖ポリマーを使用し、繊維の束を作成することができ、または強いメッシュ状構造を作成することができる。分岐したポリマーは、得られるコンポジット材料に熱可塑性を付与するのに有用な場合がある。
【0019】
いくつかの実施形態において、本開示のスルホン酸化ポリエステルは、1種類のエステルモノマーのホモポリマー、または2種類以上のエステルモノマーのコポリマーであってもよい。適切なスルホン酸化ポリエステルの例としては、米国特許第5,348,832号、第5,593,807号、第5,604,076号、第5,648,193号、第5,658,704号、第5,660,965号、第5,840,462号、第5,853,944号、第5,916,725号、第5,919,595号、第5,945,245号、第6,054,240号、第6,017,671号、第6,020,101号、第6,140,003号、第6,210,853号および第6,143,457号に開示されるものが挙げられる。
【0020】
いくつかの実施形態において、本開示のスルホン酸化ポリエステルは、ランダムスルホン酸化ポリエステルの水素または塩であってもよく、ポリ(1,2−プロピレン−5−スルホイソフタレート)、ポリ(ネオペンチレン−5−スルホイソフタレート)、ポリ(ジエチレン−5−スルホイソフタレート)、コポリ(1,2−プロピレン−5−スルホイソフタレート)−コポリ−(1,2−プロピレン−テレフタレートフタレート)、コポリ(1,2−プロピレン−ジエチレン−5−スルホイソフタレート)−コポリ−(1,2−プロピレン−ジエチレン−テレフタレートフタレート)、コポリ(エチレン−ネオペンチレン−5−スルホイソフタレート)−コポリ−(エチレン−ネオペンチレン−テレフタレート−フタレート)、コポリ(プロポキシル化ビスフェノールA)−コポリ−(プロポキシル化ビスフェノールA−5−スルホイソフタレート)、コポリ(エチレン−テレフタレート)−コポリ−(エチレン−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(プロピレン−テレフタレート)−コポリ−(プロピレン−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(ジエチレン−テレフタレート)−コポリ−(ジエチレン−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(プロピレン−ジエチレン−テレフタレート)−コポリ−(プロピレン−ジエチレン−5−スルホイソフタレート)、コポリ(プロピレン−ブチレン−テレフタレート)−コポリ(プロピレン−ブチレン−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(プロポキシル化ビスフェノールA−フマレート)−コポリ(プロポキシル化ビスフェノールA−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(エトキシル化ビスフェノールA−フマレート)−コポリ(エトキシル化ビスフェノールA−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(エトキシル化ビスフェノールA−マレエート)−コポリ(エトキシル化ビスフェノールA−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(プロピレン−ジエチレンテレフタレート)−コポリ(プロピレン−5−スルホイソフタレート)、コポリ(ネオペンチル−テレフタレート)−コポリ−(ネオペンチル−5−スルホイソフタレート)の塩(例えば、アルミニウム塩を含む金属塩、ナトリウム、リチウムおよびカリウムのようなアルカリ金属の塩、ベリリウム、マグネシウム、カルシウムおよびバリウムのようなアルカリ土類金属の塩、バナジウム、鉄、コバルト、銅のような遷移金属の金属塩など、およびこれらの混合物)、およびこれらの混合物を含む。
【0021】
一般的に、スルホン酸化ポリエステルは、以下の一般的な構造を有していてもよく、つまり、nおよびpのセグメントが分離したランダムコポリマーであってもよく、
【0022】
【化1】
【0023】
Rは、例えば、2〜約25個の炭素原子のアルキレン、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、オキシアルキレンジエチレンオキシドなどであり;R’は、例えば、約6〜約36個の炭素原子のアリーレン、例えば、ベンジレン、ビスフェニレン、ビス(アルキルオキシ)ビスフェノレンなどであり;pおよびnは、ランダムに繰り返すセグメントの数、例えば、約10〜約100,000を表す。
【0024】
スルホン酸化ポリエステルの例としては、さらに、米国特許第7,312,011号に開示されるものが挙げられる。アモルファスアルカリスルホン酸化ポリエステル系樹脂の具体例としては、限定されないが、コポリ(エチレン−テレフタレート)−コポリ−(エチレン−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(プロピレン−テレフタレート)−コポリ(プロピレン−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(ジエチレン−テレフタレート)−コポリ(ジエチレン−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(プロピレン−ジエチレン−テレフタレート)−コポリ(プロピレン−ジエチレン−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(プロピレン−ブチレン−テレフタレート)−コポリ(プロピレン−ブチレン−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(プロポキシル化ビスフェノール−A−フマレート)−コポリ(プロポキシル化ビスフェノールA−5−スルホ−イソフタレート)、コポリ(エトキシル化ビスフェノール−A−フマレート)−コポリ(エトキシル化ビスフェノール−A−5−スルホ−イソフタレート)、およびコポリ(エトキシル化ビスフェノール−A−マレエート)−コポリ(エトキシル化ビスフェノール−A−5−スルホ−イソフタレート)が挙げられ、アルカリ金属は、例えば、ナトリウムイオン、リチウムイオンまたはカリウムイオンである。結晶性アルカリスルホン酸化ポリエステル系樹脂の例としては、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル)−コ−ポリ(エチレン−アジペート)、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(プロピレン−アジペート)、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(ブチレン−アジペート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ペンチレン−アジペート)、およびアルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(オクチレン−アジペート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(エチレン−アジペート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(プロピレン−アジペート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コ−ポリ(ブチレン−アジペート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ペンチレン−アジペート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ヘキシレン−アジペート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(オクチレン−アジペート)、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(エチレン−サクシネート)、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル−コポリ(ブチレン−サクシネート)、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(ヘキシレン−サクシネート)、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(オクチレン−サクシネート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(エチレン−セバケート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(プロピレン−セバケート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ブチレン−セバケート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ペンチレン−セバケート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ヘキシレン−セバケート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(オクチレン−セバケート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(エチレン−アジペート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(プロピレン−アジペート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ブチレン−アジペート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ペンチレン−アジペート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)コポリ(ヘキシレン−アジペート)、ポリ(オクチレン−アジペート)が挙げられ、アルカリは、ナトリウム、リチウムまたはカリウムのような金属である。いくつかの実施形態において、アルカリ金属は、リチウムである。
【0025】
本開示で使用するのに適したスルホン酸化ポリエステルは、示差走査熱量測定によって測定される場合、ガラス転移(Tg)温度が約45℃〜約70℃、または約52℃〜約65℃であってもよい。スルホン酸化ポリエステルは、数平均分子量が、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される場合、約2,000g/mole〜約150,000g/mole、約3,000g/mole〜約50,000g/mole、または約6,000g/mole〜約15,000g/moleであってもよい。スルホン酸化ポリエステルは、重量平均分子量が、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される場合、約3,000g/mole〜約300,000g/mole、約8,000g/mole〜約90,000g/mole、または約10,000g/mole〜約60,000g/moleであってもよい。スルホン酸化ポリエステルは、多分散性が、数平均分子量に対する重量平均分子量の比率によって計算される場合、約1.6〜約100、約2.0〜約50、または約5.0〜約30であってもよい。
【0026】
直鎖アモルファスポリエステル樹脂は、一般的に、有機ジオールと二酸またはジエステル(少なくとも1つがスルホン酸化されているか、またはスルホン酸化二官能モノマーが反応に含まれる)、重縮合触媒の重縮合によって調製される。分岐したアモルファススルホン酸化ポリエステル樹脂の場合、同じ材料を使用してもよく、多価ポリ酸またはポリオールのような分岐剤をさらに含む。
【0027】
アモルファスポリエステルを調製するために選択される二酸またはジエステルの例としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、ドデシルコハク酸、無水ドデシルコハク酸、グルタル酸、無水グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、無水フタル酸、フタル酸ジエチル、コハク酸ジメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、ドデシルコハク酸ジメチル、およびこれらの混合物からなる群から選択されるジカルボン酸またはジエステルが挙げられる。有機二酸またはジエステルは、例えば、樹脂の約45〜約52モル%選択される。アモルファスポリエステルを作成するために利用されるジオールの例としては、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、2,2,3−トリメチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ドデカンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)−ビスフェノールA、ビス(2−ヒドロキシプロピル)−ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、キシレンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)オキシド、ジプロピレングリコール、ジブチレン、およびこれらの混合物が挙げられる。選択される有機ジオールの量はさまざまであってもよく、さらに特定的には、例えば、樹脂の約45〜約52モル%である。
【0028】
アルカリが、リチウム、ナトリウムまたはカリウムであるアルカリスルホン酸化二官能モノマーの例としては、ジメチル−5−スルホ−イソフタレート、ジアルキル−5−スルホ−イソフタレート−4−スルホ−1,8−ナフタル酸無水物、4−スルホ−フタル酸、4−スルホフェニル−3,5−ジカルボメトキシベンゼン、6−スルホ−2−ナフチル−3,5−ジカルボメトキシベンゼン、スルホ−テレフタル酸、ジメチル−スルホ−テレフタレート、ジアルキル−スルホ−テレフタレート、スルホ−エタンジオール、2−スルホ−プロパンジオール、2−スルホ−ブタンジオール、3−スルホ−ペンタンジオール、2−スルホ−ヘキサンジオール、3−スルホ−2−メチルペンタンジオール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホネート、2−スルホ−3,3−ジメチルペンタンジオール、スルホ−p−ヒドロキシ安息香酸、これらの混合物などが挙げられる。有効な二官能モノマーの量、例えば、樹脂の約0.1〜約2重量%を選択することができる。
【0029】
分岐したアモルファススルホン酸化ポリエステルを作成するときに使用するための分岐剤としては、例えば、多価ポリ酸、例えば、1,2,4−ベンゼン−トリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレン−カルボキシルプロパン、テトラ(メチレン−カルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、これらの酸無水物、1〜約6個の炭素原子のこれらの低級アルキルエステル;多価ポリオール、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、スクロース、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、これらの混合物などが挙げられる。選択される分岐剤の量は、例えば、樹脂の約0.1〜約5モル%である。
【0030】
アモルファスポリエステルのための重縮合触媒の例としては、チタン酸テトラアルキル、ジアルキルスズオキシド、例えば、ジブチルスズオキシド、テトラアルキルスズ、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジアルキルスズオキシド水酸化物、例えば、ブチルスズオキシド水酸化物、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一スズ、またはこれらの混合物が挙げられ、触媒は、ポリエステル樹脂を作成するために使用される出発物質の二酸またはジエステルを基準として、例えば、約0.01モル%〜約5モル%の量で選択される。
【0031】
特定の実施形態において、スルホン酸化ポリエステルマトリックスは、トリメチロールプロパン、1,2−プロパンジオール、ジエチレングリコール、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリオールモノマー単位を含む。
【0032】
特定の実施形態において、スルホン酸化ポリエステルマトリックスは、テレフタル酸、スルホン酸化イソフタル酸、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される二酸モノマー単位を含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、スルホン酸化ポリエステル−銀コアナノ粒子は、粒径が約5nm〜約500nm、または約10〜約200nm、または約20〜約100nmの範囲であってもよい。コアの粒径が100nm未満であれば、透明性および他のコーティングの特性を妨害することなく、ポリマーマトリックスの強化に有用であろう。Tsavalas、J.G.ら、J.Appl.Polym.Sci.、87:1825−1836(2003)。本明細書で使用される場合、「粒径」との言及は、一般的に、D50質量メジアン径(MMD)またはlog正規分布質量メジアン径を指す。MMDは、質量による平均粒子直径であると考える。
【0034】
いくつかの実施形態において、銀ナノ粒子は、単に銀元素を含んでいてもよく、または他の金属とのコンポジットを含む銀コンポジットであってもよい。このような金属−銀コンポジットは、(i)1つ以上の他の金属および(ii)1つ以上の非金属のいずれかまたは両方を含んでいてもよい。適切な他の金属としては、例えば、Al、Au、Pt、Pd、Cu、Co、Cr、InおよびNi、特に、遷移金属、例えば、Au、Pt、Pd、Cu、Cr、Ni、およびこれらの混合物が挙げられる。例示的な金属コンポジットは、Au−Ag、Ag−Cu、Au−Ag−CuおよびAu−Ag−Pdである。金属コンポジットに適切な非金属としては、例えば、Si、CおよびGeが挙げられる。銀コンポジットの種々の要素は、例えば、約0.01重量%〜約99.9重量%、特に、約10重量%〜約90重量%の範囲の量で存在していてもよい。いくつかの実施形態において、銀コンポジットは、銀と、1種類、2種類以上の他の金属とで構成される金属アロイであり、銀は、例えば、ナノ粒子の少なくとも約20重量%、特に、ナノ粒子の約50重量%より多く含まれる。特に示されない限り、銀を含有するナノ粒子の要素について本明細書で引用される重量パーセントは、安定化剤を含まない。
【0035】
銀コンポジットで構成される銀ナノ粒子は、例えば、還元工程中、(i)銀化合物(または複数の化合物、特に、銀(I)イオンを含有する化合物)および(ii)別の金属塩(または複数の塩)または別の非金属(または複数の非金属)の混合物を用いることによって作ることができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、銀ナノ粒子は、粒径が約2〜約50nm、または約10〜約50nm、または約20〜約50nmの範囲である。銀ナノ粒子の直径が100nm未満であると、主に、500nm未満の光を吸収する。この特性は、ほとんどのフルオロフォアが、500nmを超える波長で光を発するので、シグナルの消光が最低限になるため、AgNPを蛍光発光検出と組み合わせて使用することができるため、有用である。
【0037】
いくつかの実施形態において、スルホン酸化ポリエステル−銀コアナノ粒子は、さらに、ナノ構造材料、例えば、限定されないが、カーボンナノチューブ(CNT、単層、二重層および多層を含む)、グラフェンシート、ナノリボン、ナノオニオン、中空ナノシェル金属、ナノワイヤなどを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、CNTを、導電性および熱伝導性を高める量で加えてもよい。
【0038】
シェルポリマーは、スルホン酸化ポリエステル−銀コアナノ粒子の上に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、スルホン酸化ポリエステル−銀コアナノ粒子の周囲に配置されるシェルポリマーは、スチレンモノマーを含み、置換または非置換のスチレンを含む。いくつかの実施形態において、シェルポリマーは、さらに、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸β−カルボキシエチル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、ブタジエン、イソプレン、メタアクリロニトリル、アクリロニトリル、メチルビニルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルエチルエーテル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、ブタン酸ビニル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンおよびメチルイソプロペニルケトン、塩化ビニリデン、ビニリデンクロロフロリド、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニル N−メチルピリジニウムクロリド、ビニルナフタレン、p−クロロスチレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、エチレン、プロピレン、ブチレンおよびイソブチレンからなる群から選択される少なくとも1つのビニルモノマーを含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、シェルポリマーは、厚みが約0.5nm〜約100nm、または約1.0nm〜約50nm、または約1.5nm〜約20nmである。
【0040】
いくつかの実施形態において、シェルポリマーは、(a)耐メタノール性、(b)耐熱分解性および(c)耐酸/塩基性からなる群から選択される1つ以上の特性をスルホン酸化ポリエステル−銀コアナノ粒子に与える。耐メタノール性に関し、ポリマーシェルが、コアスルホン酸化ポリエステル/AgNPコンポジットがゲル化するのを保護すると考えられる。いくつかの実施形態において、例えば、スチレンシェルを使用するときに、約10%以下の材料が溶解する。
【0041】
耐熱分解性に関し、ポリマーシェルで保護されたコンポジットは、400℃で約50%しか分解を示さず、一方、コーティングされていないSPE−AgNPコンポジットは、400℃で約80%の分解を示す。特に、スチレンコーティングされたコンポジットの熱安定性は、ポリスチレン単独の熱安定性よりももっと複雑なようである。スチレンコーティングされたコンポジットの第1の大きな質量損失は、ほぼ300℃で始まる(30.65%)が、コーティングされていないサンプルおよびポリスチレンコントロールよりも安定であり、かなり遅く分解する。
【0042】
耐酸/塩基性に関し、スルホン酸化ポリエステル−銀コアナノ粒子に対してポリマーシェル(例えば、スチレン)を付加すると、塩基性条件で20〜30%向上するだろう。最後に、SPE/AgNpコアの周囲のポリマーシェル(例えば、ポリスチレン)は、実質的に、有機/無機ハイブリッドコンポジットコア材料の剛性および強度を高める。
【0043】
いくつかの実施形態において、水中でスルホン酸化ポリエステル樹脂を加熱することと;水中で、この加熱した樹脂に銀(I)イオン溶液を加えて混合物を作成することと;前記混合物に還元剤溶液を加えることによって、スルホン酸化ポリエステルマトリックスと前記スルホン酸化ポリエステルマトリックス中に分散した複数の銀ナノ粒子とを含むコンポジット粒子のエマルションを作成することとを含む、方法が提供される。
【0044】
いくつかの実施形態において、加熱することは、約65℃〜約90℃の温度で行われる。
【0045】
いくつかの実施形態において、銀(I)イオン源は、硝酸銀、スルホン酸銀、フッ化銀、過塩素酸銀、乳酸銀、テトラフルオロホウ酸銀、酸化銀、酢酸銀から選択される。硝酸銀は、AgNPを合成するための一般的な銀イオン前駆体である。
【0046】
いくつかの実施形態において、還元剤は、アスコルビン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコース、ガラクトース、マルトース、ラクトース、没食子酸、ロスマリン酸、カフェイン酸、タンニン酸、ジヒドロカフェイン酸、ケルセチン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ヒドラジン水和物、次亜リン酸ナトリウム、塩酸ヒドロキシルアミンから選択される。いくつかの実施形態において、AgNPを合成するための還元剤は、水素化ホウ素ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムを含んでいてもよい。適切な還元剤の選択によって、望ましいナノ粒子形状に近づくだろう。例えば、アスコルビン酸は、ビタミンC錠剤の定量化に関する試験中、銀ナノ平板形態を与えることが観察された。Rashid et al.J.Pharm.Sci.12(1):29−33(2013)。
【0047】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、固体含有量が比較的低い状態でコンポジットを製造するのに特に良く適しているだろう。このような条件下、銀イオンと還元剤は、ポリマーマトリックス全体に容易に拡散するだろう。銀イオンの場合、このような容易な拡散によって、マトリックス全体の銀の分布の均一性が高まるだろう。
【0048】
スルホン酸化ポリエステル−銀ナノ粒子SPE−AgNPから合成されるコンポジット粉末
本明細書に開示されるコンポジット粉末は、SLS印刷に特に適しており、スルホン酸化ポリエステル−銀ナノ粒子(SPE−AgNP)から調製することができる。
【0049】
本開示のコンポジット粉末は、従来の手段(粉砕および分級)または化学的手段(乳化凝集)によって調製されてもよい。米国特許第5,111,998号、第5,147,753号、第5,272,034号および第5,393,630号は、従来のトナー製造プロセスを開示する。
【0050】
コンポジット粉末は、乳化凝集手段によって調製されてもよい。制限なく、乳化凝集コンポジット粒子を作成する際に、任意の適切な乳化凝集手順を使用してもよい。図3は、本開示の特定の実施形態による選択的レーザー焼結(SLS)のための乾燥粒子を調製するための乳化凝集プロセスを示す。これらの手順は、典型的には、スルホン酸化ポリエステルマトリックスと前記スルホン酸化ポリエステルマトリックスの中に分散した複数の銀ナノ粒子とを含む粒子、1つ以上のさらなる任意要素の添加剤のエマルションを凝集させ、凝集した粒子を作成し、その後、凝集した粒子を融着させ、次いで、得られた乳化凝集粒子を回収し、場合により、洗浄し、場合により乾燥させる処理工程を含む。しかし、いくつかの実施形態において、このプロセスは、融着の前の融着剤(または融着助剤)の添加によって改変される。この融着剤の添加によって、改良された晶粒が生成するトナー粒子を与え、または低い処理温度で短い時間で融着を行うことができ、またはこの両方が可能になる。いくつかの実施形態において、凝集工程の前に、SPE−AgNPに水を加えてスラリーを作成する。いくつかの実施形態において、水の添加によって、スラリーの合計重量を基準とした合計固形含有量を、約1%〜約40%、約5%〜約20%または約10%〜約50%にすることができる。凝集工程は、スラリーを約30℃〜約80℃、約40℃〜約70℃または約50℃〜約65℃の温度まで加熱することを含む。凝集工程の持続時間は、約1分〜約8時間、約30分〜約6時間または約60分〜約4時間であってもよい。融着工程は、凝集した粒子を約30℃〜約90℃、約40℃〜約80℃または約50℃〜約70℃の温度まで加熱することを含む。融着工程の持続時間は、約1分〜約6時間、約30分〜約4時間または約60分〜約3時間であってもよい。
【0051】
適切な融着剤の例としては、限定されないが、安息香酸アルキルエステル、エステルアルコール、グリコール/エーテル型溶媒、長鎖脂肪族アルコール、芳香族アルコール、これらの混合物などが挙げられる。安息香酸アルキルエステルの例としては、アルキル基(直鎖または分枝鎖、置換または非置換であってもよい)が約2〜約30個の炭素原子を含む安息香酸アルキルエステル、例えば、安息香酸デシルまたは安息香酸イソデシル、安息香酸ノニルまたは安息香酸イソノニル、安息香酸オクチルまたは安息香酸イソオクチル、安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸トリデシルまたは安息香酸イソトリデシル、安息香酸3,7−ジメチルオクチル、安息香酸3,5,5−トリメチルヘキシル、これらの混合物などが挙げられる。このような安息香酸アルキルエステルの具体的な市販例としては、Vlesicol Chemical Corporationから入手可能なVELTA(登録商標)262(安息香酸イソデシル)およびVELTA(登録商標)368(安息香酸2−エチルヘキシル)が挙げられる。エステルアルコールの例としては、アルキル基(直鎖または分枝鎖、置換または非置換であってもよい)が独立して約2〜約30個の炭素原子を含むアルカン酸のヒドロキシアルキルエステル、例えば、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールモノイソブチレートが挙げられる。このようなエステルアルコールの具体的な市販例としては、Eastman Chemical Companyから入手可能なTEXANOL(登録商標)(2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールモノイソブチレート)が挙げられる。グリコール−エーテル型の溶媒の例としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などが挙げられる。長鎖脂肪族アルコールの例としては、アルキル基が約5〜約20個の炭素原子を含むもの、例えば、エチルヘキサノール、オクタノール、ドデカノールなどが挙げられる。芳香族アルコールの例としては、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
【0052】
いくつかの実施形態において、融着剤(または融着助剤)は、乳化凝集プロセスの後の段階または融着中(例えば、一般的に、スルホン酸化ポリエステル樹脂のガラス転移温度付近よりも上である加熱工程中)に蒸発する。従って、最終的なコンポジット粉末は、残留する融着剤を含まないか、または本質的に含まないか、または実質的に含まない。残留する融着剤が、最終的な粉末コンポジットに存在してもよい程度まで、残留する融着剤の量は、コンポジット粉末の任意の特性または性能に影響を与えない量である。
【0053】
融着前に、融着剤を任意の望ましい量または適切な量で添加してもよい。例えば、融着剤を、反応媒体中の固体含有量を基準として、約0.01〜約10重量%の量で添加してもよい。例えば、融着剤を、反応媒体中の固体含有量を基準として、約0.05重量%または約0.1重量%、約0.5重量%から約3.0重量%の量で添加してもよい。いくつかの実施形態において、融着剤を、凝集と融着の間の任意の時間に添加してもよい。
【0054】
任意要素の添加剤、例えば、ワックス、顔料、セラミック、炭素繊維またはナノチューブおよびフィラーが、コンポジット粉末に含まれていてもよい。凝集工程前または凝集工程中に、これらの添加剤を加えてもよい。コンポジット粉末中に存在する添加剤の量は、コンポジット粉末の合計重量の約0重量%〜約30重量%、約0重量%〜約20重量%、または約0重量%〜約10重量%であってもよい。
【0055】
最終的なコンポジット粉末は、任意の望ましい形状を有していてもよく、いくつかの実施形態において、コンポジット粉末は、粒径が約10ミクロン〜約300ミクロン、約10ミクロン〜約100ミクロン、または約5ミクロン〜約20ミクロンであってもよい。小さい粒径範囲(例えば、5〜20ミクロン)のコンポジット粉末の使用は、このようにして入手可能な形状の微粒子性に起因して、典型的な粒径範囲(例えば、100〜300ミクロン)と比較して、SLSで有利であろう。いくつかの実施形態において、コンポジット粉末は、数比率による下側幾何標準偏差(GSD)が約1.0〜約4.0、約1.1〜約3.0、または約1.2〜約2.0の粒径分布を有する。本開示のトナー粒子は、体積による上側幾何標準偏差(GSD)が約1.0〜約4.5、約1.1〜約3.5、または約1.2〜約2.5になるような粒径を有していてもよい。
【0056】
最終的なコンポジット粉末は、粗粒子または球状を含め、任意の望ましい形状を有していてもよい。球状の粒子は、一般的に、最適充填および融合/接合に望ましい。
【0057】
いくつかの実施形態において、銀ナノ粒子の保持量は、最終的なコンポジット粉末中に、約0.5ppm〜約50,000ppm、約5ppm〜約5,000ppm、約10ppm〜約2,500ppmまたは約50ppm〜約1,000ppmの範囲で存在する。抗菌用途のために、この範囲内の保持濃度の銀を使用してもよい。これより低い銀濃度は、触媒用途には十分な場合があり、1ppm程度の低いAgNP濃度が使用されている。Ghosh、S.K.et al.Langmuir.18(23):8756−8760(2002)。
【0058】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される複数のコンポジット粉末を含む物品が提供され、このコンポジット粉末は、スルホン酸化ポリエステルマトリックスおよび前記マトリックス全体に分散した複数の銀ナノ粒子を含むコア粒子と、前記コア粒子の周囲に配置されたシェルポリマーとを含んでいてもよい。
【0059】
本発明のコンポジット粉末の特性によって、本発明のコンポジット粉末は、限定されないが、電子部品、光学検出器、化学センサおよび生化学センサおよびデバイスを含む種々の用途に有用である。これら任意の材料を小型化する能力は、本発明のナノスケールのコンポジット構造を使用する主要な利点である。本発明のコンポジット粉末を使用する他の関心の高い分野としては、限定されないが、抗菌用途、光学的な二安定性、繊維製品の光応答性、環境、生体、医薬(膜および分離デバイス)、機能的に優れたコーティング、燃料および太陽電池、触媒としての使用が挙げられる。
【0060】
以下の実施例は、本開示の実施形態を示すために提出される。これらの実施例は、単なる実例であることを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図していない。また、部および百分率は、特に指示のない限り、重量基準である。本明細書で使用する場合、「室温」は、約20℃〜約25℃の温度を指す。
【0061】
一般的なプロセス:コンポジット調製は、分岐したソジオスルホン酸化ポリエステル(BSPE)を約90℃で水に分散させ、その後、硝酸銀溶液を添加し、最後に、クエン酸三ナトリウムまたはアスコルビン酸のような穏やかな還元剤を添加することを含む。Ag(I)からAg(0)への還元は、BSPEにAg(I)塩を添加した後に起こり、還元剤によって促進される。クエン酸三ナトリウム還元剤経路によって合成されるAgNP−BSPE系は、バイオセンサのようなさらなる用途のためにクエン酸キャップを利用することもでき、ここで、クエン酸リガンドは、サンプル中の分析物の濃度の定量分析または定性分析のための分析物の結合に使用される。
【実施例】
【0062】
実施例1
この実施例は、本開示の実施形態の分岐したソジオスルホン酸化アモルファスポリエステル(BSPE)の調製を記載する。
【0063】
0.425モル当量のテレフタレート、0.080モル当量のナトリウム5−スルホイソフタル酸、0.4501モル当量の1,2−プロパンジオール、0.050モル当量のジエチレングリコールで構成される、分岐したアモルファススルホン酸化ポリエステル樹脂を以下のように調製した。加熱した底部ドレイン弁、高粘度ダブルタービンアジテーターおよび冷水凝縮器を有する蒸留受け器を取り付けた1リットルParr反応器に、388gのテレフタル酸ジメチル、104.6gのナトリウム5−スルホイソフタル酸、322.6gの1,2−プロパンジオール(1モル過剰のグリコール)、48.98gのジエチレングリコール(1モル過剰のグリコール)、トリメチロールプロパン(5g)および触媒として0.8gの酸化ブチルスズ水酸化物を投入した。反応器を攪拌しつつ、3時間かけて165℃まで加熱し、次いで再び、1時間かけて190℃まで加熱し、その後、圧力を1時間かけて大気圧から約260Torrまでゆっくりと下げ、次いで、2時間かけて5Torrまで下げた。次いで、圧力を30分かけて約1Torrまでさらに下げ、ポリマーを、底部ドレインから、ドライアイスで冷却した容器に取り出し、460gのスルホン酸化ポリエステル樹脂を得た。分岐したスルホン酸化ポリエステル樹脂は、測定したガラス転移温度が54.5℃(開始)、軟化点が154℃であった。
【0064】
実施例2
この実施例は、クエン酸三ナトリウムを還元剤として使用する、分岐したソジオスルホン酸化アモルファスポリエステル−銀ナノ粒子(BSPE−AgNP)の調製を示す。
【0065】
オーバーヘッドスターラー、環流凝縮器、熱電対、ホットプレートおよび窒素投入口を取り付けた3ッ口の500mL丸底フラスコで反応を行った(凝縮器は、窒素出口として作用した)。約320mLのDIWを、このフラスコに室温(約22℃)で投入した。90℃に設定して加熱を開始し、窒素をこの系に流した(RPM=250)。温度が安定化したら、この系に、100.0gの細かく粉砕した状態の固体BSPEを加えた(RPM=300)。溶液は濁り始め、わずかに青色であった。1.5時間後、1.00gのAgNOを6.0mLのDIWに溶解したものをこの溶液に約1滴/秒の速度で滴下した(RPM=387)。溶液は、色がわずかに暗くなった(褐色がかった色)。10分後、この系に52.5mLの1%(w/w%)クエン酸三ナトリウム溶液(還元剤)を約1滴/秒の速度で滴下した。加え終わったら、溶液を90℃で2時間攪拌した(RPM=300)。溶液を室温まで冷却した(RPM=386)。エマルションの最終的な外観は、淡褐色不透明溶液であった。エマルションの固形含有量は27.70%であり、D50は69.6nmであり、pHは4.77であり、ゼータ電位は−58.6mVであり、ゼータ偏差は7.87mVであった(分布の幅)。BSPE−AgNPコンポジット中の銀の割合は、0.28%(w/w%)、すなわち0.0235Mであった。粒子中に存在する銀の量は、誘導結合プラズマ(ICP)によって、2413ppm、すなわち、0.2413%であると分析された。
【0066】
実施例3
この実施例は、分岐したソジオスルホン酸化アモルファスポリエステル−銀ナノ粒子(BSPE−AgNP)粉末の調製を示す。
【0067】
500mLガラス反応器に、108.30gの蒸留水と、108.30gの実施例2から得られたBSPE−AgNPコンポジットを加え、全固形分13.85%を得た。この反応器に機械撹拌機を設置し、シングルピッチブレードインペラーを取り付けた。最初に、混合物を250rpmで攪拌し、電子加熱マントルによって60℃まで加熱した。20分後、溶液の温度が60℃に達したら、rpmを400まで上げ、酢酸亜鉛溶液(100gのDIW水中、6gの酢酸亜鉛二水和物)の添加を行った。100分後、全ての酢酸亜鉛溶液を加え、温度を2℃ずつ62℃まで上げた。Beckman Coulter Counterによって測定した粒径は、15.0ミクロンであることがわかり、体積による幾何標準偏差(GSD)は1.30であり、数によるGSDは1.25であることがわかった。温度を別の度合いで63℃まで上げ、Coulter Counterによって粒子の成長を監視した。3時間後、加熱を止め、反応器の内容物を周囲温度まで冷却した。最終的な粒径は20.0ミクロンであり、GSDvは1.30、GSDnは1.30であった。反応器から粒子を取り出し、母液から粒子を濾過し、蒸留水(DIW)で2回洗浄した。最終的な粒子を200mLの脱イオン水に再分散させ、シェルフリーザーによって凍結させ、乾燥器に3日間置き、SLS積層造形に使用される乾燥粒子を得た。
【0068】
実施例4
この実施例は、ガラスマイクロファイバー膜の融合を模倣するためのBSPE−AgNPの抗菌性粒子の湿式堆積を示す。
【0069】
実施例3で調製した粒子の懸濁物を、少量のTriton−X100界面活性剤を含有する水中で調製した。9.62gの粒子に対応する量の懸濁物を、露出した表面積が9.62cmのカップによって、ガラスマイクロファイバー膜に通した。保持された粒子と濾紙を室温で乾燥させ、次いで、Mylar膜に包み、120℃に設定したGBCラミネーターに通した。
【0070】
37℃で3日間インキュベーションした後の結果は、融合したBSPE−AgNP粒子が、粒子スウォッチの周囲または粒子スウォッチ自体の細菌の成長がないことを示すことを確認した。この阻害領域、すなわち「ハロ効果」は非常に大きく、短期間で粒子から銀イオンが容易に放出することを意味する。
【0071】
実施例5
この実施例は、BSPE−AgNP粉末のSLS焼結プロセスを示す。
【0072】
実施例3から得られた粒子約10gを4インチのペトリ皿に広げ、レーザーアニーリングを10秒間行った(Epilog Zing Laser Cutter、40Wレーザー)。次いで、粒子を接合し、固体膜を作成する。
図1
図2
図3