特許第6989277号(P6989277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6989277接着剤、該接着剤を含む物品、及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989277
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】接着剤、該接着剤を含む物品、及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/06 20060101AFI20211220BHJP
   C09J 133/02 20060101ALI20211220BHJP
   C09J 133/14 20060101ALI20211220BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20211220BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20211220BHJP
【FI】
   C09J133/06
   C09J133/02
   C09J133/14
   C09J5/06
   C09J7/35
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-75594(P2017-75594)
(22)【出願日】2017年4月5日
(65)【公開番号】特開2018-177880(P2018-177880A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】木下 康宏
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 敏宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊介
(72)【発明者】
【氏名】高松 頼信
【審査官】 藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−202809(JP,A)
【文献】 特開2015−017159(JP,A)
【文献】 特開2003−238910(JP,A)
【文献】 特開2013−166910(JP,A)
【文献】 特開2000−351951(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/068723(WO,A1)
【文献】 特開平9−251923(JP,A)
【文献】 特開平10−46118(JP,A)
【文献】 特開2011−16358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00− 5/10
7/00− 7/50
9/00−201/10
B32B 1/00− 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性ポリマーを含む接着剤であって、
該結晶性ポリマーが、モノマーの合計質量を基準に、
(A)アルキル基の炭素原子数が16以上であるアルキル(メタ)アクリレートを50〜95質量%、
(B)(メタ)アクリル酸を1〜15質量%、及び
(C)グリシジル(メタ)アクリレートを1〜30質量%、含むモノマー混合物の重合物であ
前記接着剤を被着体に適用した場合に、前記接着剤が、前記被着体に対して層間剥離可能であり、層間剥離時の23℃での初期接着力が、1N/cm以下である、
接着剤。
【請求項2】
前記接着剤を被着体に適用した場合に、適用した温度以下で被着体に対して層間剥離可能な、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
前記接着剤を被着体に適用し、150℃以上の温度で加熱した後、適用した温度以下に冷却した場合に、被着体に対して層間剥離可能な、請求項1又は2の何れか一項に記載の接着剤。
【請求項4】
層間剥離時の温度下における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、かつ180℃における貯蔵弾性率が5.0×10Pa以上である、請求項1〜の何れか一項に記載の接着剤。
【請求項5】
請求項1〜の何れか一項に記載の前記接着剤からなる、接着シート。
【請求項6】
請求項1〜の何れか一項に記載の前記接着剤を、基材の片面又は両面に備える、接着テープ。
【請求項7】
請求項又は記載の接着シート又は接着テープの使用方法であって、
(1)前記接着シート又は接着テープを被着体に適用し、積層体を形成する工程と、
(2)前記積層体を150℃以上の温度で加熱処理する工程と、
(3)加熱処理後の積層体を150℃未満の温度に冷却後、該積層体から接着シート又は接着テープを剥離する工程と、
を備える、接着シート又は接着テープの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は接着剤、該接着剤を含む物品、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、チップスケールパッケージなどの製造において使用されるリードフレームのマスキングテープなどの用途では、被着体に対する十分な初期接着性と貼り直しが可能な凝集力を有するともに、高温で長時間の熱処理又はプラズマ処理時にも接着力が安定しており、その後に、糊残りすることなく容易に剥離することができるマスキングテープとしての粘着シートが要求されている。
【0003】
特許文献1(特許第4610168号公報)には、(1)耐熱性バッキングフィルム層と、(2)該耐熱バッキングフィルム層の上に配置された粘着剤層、を含み、該粘着剤層は、(a)アルキル基の炭素原子数が4〜15であるアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸のモノマー混合物であり、グリシジル(メタ)アクリレートがモノマーの合計質量を基準に1.94〜13質量%であり、(メタ)アクリル酸がモノマーの合計質量を基準に1〜7質量%であり、アルキル(メタ)アクリレートがモノマーの合計質量の残部であり、界面活性剤を含まないモノマー混合物及び重合開始剤を有機溶媒中に含む重合性溶液を重合して、有機溶媒中に溶解したポリマーを生じさせること、(b)有機溶媒を除去すること、及び(c)ポリマーを少なくとも部分的に架橋させることにより得られる、少なくとも部分的に架橋したポリマーを含む、耐熱マスキングテープが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4610168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、例えば、接着剤を適用する被着体として、セラミックコンデンサー、グリーンシート等の脆弱な被着体が採用される場合がある。このような被着体に対し、タック性(初期接着力)の高い接着剤は、ハンドリング性、及び接着剤を被着体に適用した際のリワーク性に劣るため、係る脆弱な被着体を破壊するおそれがあった。
【0006】
本開示は、接着剤を被着体に適用した場合に、例えば、適用した温度以下で被着体に対して層間剥離可能であるとともに、約150℃以上の温度で加熱した後、適用した温度以下に冷却した場合においても、被着体に対して層間剥離可能な接着剤、該接着剤を含む物品、及びその使用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施態様によれば、結晶性ポリマーを含む接着剤であって、該結晶性ポリマーが、モノマーの合計質量を基準に、(A)アルキル基の炭素原子数が16以上であるアルキル(メタ)アクリレートを約50〜約95質量%、(B)(メタ)アクリル酸を約1〜約15質量%、及び(C)グリシジル(メタ)アクリレートを約1〜約30質量%、含むモノマー混合物の重合物である、接着剤が提供される。
【0008】
本開示の別の実施態様によれば、この接着剤からなる、接着シートが提供される。
【0009】
本開示の別の実施態様によれば、この接着剤を、基材の片面又は両面に備える、接着テープが提供される。
【0010】
本開示の別の実施態様によれば、これらの接着シート又は接着テープの使用方法であって、(1)接着シート又は接着テープを被着体に適用し、積層体を形成する工程と、(2)積層体を約150℃以上の温度で加熱処理する工程と、(3)加熱処理後の積層体を約150℃未満の温度に冷却後、該積層体から接着シート又は接着テープを剥離する工程と、を備える、接着シート又は接着テープの使用方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、接着剤を被着体に適用した場合に、例えば、適用した温度以下で被着体に対して層間剥離可能であるとともに、約150℃以上の温度で加熱した後、適用した温度以下に冷却した場合においても、被着体に対して層間剥離可能な接着剤が提供される。
【0012】
本開示によれば、被着体適用時及び約150℃以上の加熱処理後における層間剥離性に優れる、接着シート又は接着テープ、並びにそれらの使用方法が提供される。
【0013】
上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の実施形態における接着剤は、結晶性ポリマーを含み、該結晶性ポリマーが、モノマーの合計質量を基準に、(A)アルキル基の炭素原子数が16以上であるアルキル(メタ)アクリレートを約50〜約95質量%、(B)(メタ)アクリル酸を約1〜約15質量%、及び(C)グリシジル(メタ)アクリレートを約1〜約30質量%、含むモノマー混合物の重合物である。この接着剤は、被着体適用時の温度以下において被着体に対して層間剥離可能であるとともに、温度上昇に伴い接着剤の接着力も上昇させ得る一方で、例えば150℃以上の加熱処理により、結晶性ポリマーを構成する(メタ)アクリル酸のカルボキシル基と、グリシジル(メタ)アクリレートのグリシジル基とが反応して架橋点を形成するため、温度上昇に伴う接着剤の接着力の大幅な上昇を抑えることができ、粘着性を有する接着剤(このような接着剤を「粘着剤」という場合がある。)自体の凝集力も向上できる。この接着剤は、上記のような加熱処理後においても、接着剤を適用した温度以下に冷却した場合に、接着剤層と被着体との層間で糊残り等の不具合なく剥離することができる。
【0015】
第1の実施形態における接着剤は、層間剥離時の被着体との接着力を約1N/cm以下にすることができる。本開示の接着剤は被着体に対してこのような接着力を呈するため、被着体の損傷を防止することができる。
【0016】
第1の実施形態における接着剤の貯蔵弾性率は、層間剥離時の温度下において約1.0×10Pa以上にすることができ、かつ180℃において約5.0×10Pa以上にすることができる。層間剥離時の温度下における貯蔵弾性率が約1.0×10Pa以上の場合、該接着剤は結晶化状態にあるため被着体と層間剥離し易い。本開示の接着剤は、180℃における貯蔵弾性率が約5.0×10Pa以上であると、接着剤の温度上昇に伴う接着力の上昇を抑え、糊残り等なく被着体から剥離することができる。
【0017】
第1の実施形態における接着剤は、接着シートとして使用することができ、又は該接着剤を基材の片面若しくは両面に配置して接着テープとして使用することもできる。これらの接着シート又は接着テープは、被着体適用時及び約150℃以上の加熱処理後、適用した温度以下に冷却した場合の層間剥離性に優れるため、例えば、該接着シート又は接着テープを被着体に適用して積層体を形成し、該積層体を約150℃以上の温度で加熱処理し、加熱処理後の積層体を約150℃未満の温度に冷却後、積層体から接着シート又は接着テープを剥離するなどして使用することができる。
【0018】
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的でより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。
【0019】
本開示において「(メタ)アクリル」とはアクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0020】
本開示において「結晶性ポリマー」とは、例えば、結晶化点以下、約40℃以下、約30℃以下、約20℃以下、又は約10℃以下(以下、結晶ポリマーが結晶化し得る、これらの温度及びその範囲を「一定温度」及び「一定温度以下」という場合がある。)においては結晶化しているが、温度上昇、例えば、約20℃以上、約30℃以上、約40℃以上又は約50℃以上の温度においてタック性を示すポリマーであり、温度変化に対応して結晶状態と粘弾性状態とを可逆的に起こす性能を有するポリマーを意味する。
【0021】
本開示において「適用」とは、接着剤の一定温度より高い温度下、タックのある状態で粘着性を有する接着剤として、該接着剤を被着体に貼り付けることを意味し、接着剤を被着体に対して常温下で貼り付けることに加え、加温、加圧又はこれらの両方により貼り付けることも意味してもよい。ここで、「常温」とは、約20℃以上又は約23℃以上、約27℃以下又は約25℃以下を意味してもよい。
【0022】
本開示において「層間剥離」とは、接着剤層と該接着剤層を適用した被着体との層間において、糊残り等の不具合なく剥離することを意味する。
【0023】
本開示の一実施態様の接着剤は、結晶性ポリマーを含み、該結晶性ポリマーが、モノマーの合計質量を基準に、(A)アルキル基の炭素原子数が16以上であるアルキル(メタ)アクリレートを約50〜約95質量%、(B)(メタ)アクリル酸を約1〜約15質量%、及び(C)グリシジル(メタ)アクリレートを約1〜約30質量%、含むモノマー混合物の重合物である。
【0024】
アルキル基の炭素原子数が16以上であるアルキル(メタ)アクリレート(A)は、結晶性ポリマーに上述の性能を発現させる機能を有している。該アルキル(メタ)アクリレート(A)としては、次のものに限定されないが、炭素原子数が16以上の直鎖状又は分岐状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、例えばセチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等を使用することができる。これらは単独で使用してもよく、又は2種以上を混合して使用してもよい。接着剤適用時のハンドリング性及びリワーク性等を考慮した場合、アルキル基の炭素原子数は、17以上又は18以上、30以下、25以下又は20以下が好ましい。本開示の接着剤は、アルキル基の炭素原子数が16以上であるアルキル(メタ)アクリレート(A)を約50〜約95質量%含有するモノマー混合物の重合物である結晶性ポリマーを含み、一定温度以下においては結晶化状態にあるため、タック性を低減させる又はノンタック性にすることができる。その結果、例えば、該接着剤から構成される接着シート又は接着テープ使用時に位置合せ等が容易であり、初期接着力を低く抑えることができるため、接着シート又は接着テープのリワーク性も向上させることができる。一方、係るアルキル(メタ)アクリレート(A)の使用は、接着剤に対して、約20℃以上、約30℃以上、約40℃以上又は約50℃以上の温度で粘弾性を発現させ得ることで、優れた濡れ性および密着性も付与することができる。
【0025】
アルキル基の炭素原子数が16以上であるアルキル(メタ)アクリレートは、接着剤剥離時の温度下における軽剥離化、層間剥離性等を考慮し、モノマー混合物中に、約50質量%以上、約55質量%以上又は約60質量%以上、約95質量%以下、約90質量%以下又は約85質量%以下の範囲で含むことができる。
【0026】
接着剤に含まれる結晶性ポリマー(重合物)を構成するモノマー混合物は、アルキル基の炭素原子数が16以上であるアルキル(メタ)アクリレート(A)以外に、(メタ)アクリル酸(B)を約1〜約15質量%、及びグリシジル(メタ)アクリレート(C)を約1〜約30質量%含んでいる。モノマー混合物の重合は、(メタ)アクリレート系モノマーの炭素−炭素二重結合のラジカル重合によって行われるため、得られる重合物は、重合物の主骨格中に遊離した、(B)成分に基づくグリシジル基及び(C)成分に基づくカルボキシル基を有している。これらの基は被着体に対する濡れ性を向上させ得るため、接着剤を被着体に適用した場合に、層間剥離に不具合を生じさせることのない適度な接着力を接着剤に対して付与することができる。一方、グリシジル基及びカルボキシル基は、約150℃以上、約155℃以上又は約160℃以上の温度で架橋反応して重合物中に架橋点を形成する。該架橋点の形成に伴い、耐熱性が向上することに加え、接着剤の貯蔵弾性率が高くなり、温度上昇に伴う接着力の上昇を抑えることができ、接着剤自体の凝集力を向上し得るため、高温処理後の層間剥離性を向上させることができる。
【0027】
被着体に対する濡れ性又は高温処理(例えば150℃以上の加熱処理)後の貯蔵弾性率等を考慮し、(メタ)アクリル酸は、モノマー混合物中に、約1質量%以上、約2質量%以上又は約3質量%以上、約15質量%以下、約12質量%以下又は約10質量%以下の範囲で含むことができ、グリシジル(メタ)アクリレートは、約1質量%以上、約3質量%以上又は約5質量%以上、約30質量%以下、約25質量%以下又は約20質量%以下の範囲で含むことができる。
【0028】
結晶性ポリマーは、本発明の目的や効果を損なわない範囲で、他のモノマーを含んでもよい。他のモノマーとしては、次のものに限定されないが、例えば、炭素原子数1〜14の直鎖状又は分岐状のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを使用することができ、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、又は2種以上を混合して用いてもよい。他のモノマーは、モノマー混合物中に、約1質量%以上、約2質量%以上又は約3質量%以上、約40質量%以下、約35質量%以下又は約30質量%以下の範囲で含むことができる。
【0029】
結晶性ポリマーを構成するモノマー混合物の重合は、特に限定されるものではなく、例えば溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法又は乳化重合法等が挙げられる。中でも、溶液重合法は、重合後に、結晶性ポリマーを含む溶液を基材又は被着体に塗布し、そして乾燥することで接着剤層を容易に設けることができる点で好ましい。溶液重合法は、一般的に、アゾ系化合物又は過酸化物をベースとする重合開始剤の存在下及び窒素雰囲気下において、約30℃以上、約80℃以下の重合温度及び約1時間以上、約24時間以下の重合時間で行なうことができる。
【0030】
本開示の接着剤は、本発明の目的や効果を損なわない限り、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤(例えば無機フィラー、導電性粒子又は顔料等)、ワックス等の滑剤、レベリング剤、粘着付与剤、可塑剤、硬化促進剤、蛍光色素等の添加剤を含むことができる。
【0031】
本開示の接着剤は、被着体に適用した場合、適用した温度以下で被着体から接着剤層を容易に層間剥離させることができるため、ハンドリング性及びリワーク性に優れている。特に、一定温度以下では、接着剤に含まれる結晶性ポリマーが結晶化し、被着体から接着剤層をより容易に層間剥離させることができるため、例えば、セラミックコンデンサー、グリーンシート等の脆弱な被着体に対しても破壊することなくリワーク等の作業を行うことができる。本開示の接着剤を含む接着シート又は接着テープの使用環境等を考慮した場合、層間剥離は、約30℃以下、約25℃以下又は約20℃以下、約5℃以上、約10℃以上又は約15℃以上の雰囲気下で行われることが好ましい。ここで、接着剤の被着体への適用は、加温又は加圧することなく例えば常温下で行ってもよく、ローラー等を使用して加温、加圧又はこれらの両方を付加して行ってもよい。後者の場合、加温条件としては、約25℃以上、約40℃以上又は約50℃以上、約100℃以下、約90℃以下又は約80℃以下とすることができ、加圧条件としては、約0.1kg/cm以上、約0.3kg/cm以上又は約0.5kg/cm以上、約5kg/cm以下、約2.5kg/cm以下又は約2kg/cm以下とすることができる。
【0032】
本開示の接着剤は上述したように、約150℃以上の温度で、結晶性ポリマーに含まれるグリシジル基及びカルボキシル基が架橋反応して該ポリマー中に架橋点を形成する。該架橋点の形成に伴い接着剤の貯蔵弾性率は高くなり、温度上昇に伴う接着力の上昇を抑えることができ、接着剤自体の凝集力も向上するため、高温処理後であっても、冷却した後に糊残り等の不具合なく被着体から接着剤層を容易に層間剥離させることができる。冷却は自然冷却又は強制冷却のいずれであってもよく、適用した温度以下に冷却することができる。
【0033】
本開示の接着剤は、層間剥離時の被着体との接着力を約1N/cm以下、約0.5N/cm以下又は約0.2N/cm以下にすることができる。層間剥離は、接着剤を被着体に適用した直後の層間剥離であってもよく、又は高温処理後に、例えば適用した温度以下に冷却した場合の層間剥離であってもよい。
【0034】
層間剥離時の温度下における接着剤の貯蔵弾性率は、約1.0×10Pa以上、約5.0×10Pa以上、又は約1.0×10Pa以上にすることができ、約1.0×1010Pa以下、約5.0×10Pa以下、又は約1.0×10Pa以下にすることができる。この範囲の貯蔵弾性率を有する接着剤は結晶化しているため、糊残り等の不具合なく被着体から接着剤層をより容易に層間剥離させることができる。180℃での接着剤の貯蔵弾性率は、約5.0×10Pa以上、又は約1.0×10Pa以上にすることができ、約1.0×10Pa以下、約5.0×10Pa以下、又は約1.0×10Pa以下にすることができる。本開示の結晶性ポリマーは、約150℃以上の温度で、該ポリマー中に含まれるグリシジル基及びカルボキシル基が架橋反応して架橋点を形成するため、該ポリマーを含む接着剤の貯蔵弾性率を、該架橋点を形成しない接着剤に比べて高くすることができる。その結果、温度上昇に伴う接着剤の接着力の上昇を抑えることができ、接着剤自体の凝集力も向上できるため、高温処理後の層間剥離性を向上させることができる。
【0035】
本開示の接着剤の使用形態としては、特に限定されるものではなく、例えば基材を有さないシート状の形態で使用することもでき、或いは接着剤に適当な溶媒を加えて、被着体に直接塗布、乾燥して使用してもよい。本開示の接着剤は、上述したアルキル(メタ)アクリレート(A)を所定量含むモノマー混合物を重合して得られる結晶性ポリマーを含み、一定温度下では結晶化していて低タック又はノンタック性を呈するため、このような形態であってもハンドリング性よく取り扱うことができる。
【0036】
接着剤をシート状の形態にした接着シートの厚さとしては、被着体の固定化等を考慮し、約1μm以上、約3μm以上又は約5μm以上、約100μm以下、約70μm以下又は約50μm以下にすることができる。
【0037】
接着シートは、例えば、接着剤に有機溶媒を加えた塗布液を、剥離フィルム上に塗布し、乾燥させて得ることができる。任意に、剥離フィルムをさらに接着シート上に配置してもよい。有機溶媒としては、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、へプタン又はそれらの混合物などを使用することができる。剥離フィルムとしては、次のものに限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート等からなるフィルムの表面に、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル系剥離剤、長鎖アルキル基を有するビニルエーテル系剥離剤等の剥離剤を塗布したものが挙げられる。接着シートは、押し出し成形又はカレンダー加工によっても形成することができる。
【0038】
塗布手段としては、次のものに限定されないが、例えば、ナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、キャストコーター、ノッチバーコーター(コンマコーター)、グラビアコーター、ロッドコーター等を挙げることができる。
【0039】
本開示の接着剤は、接着テープの形態で使用することもできる。このような形態を採用する場合には、本開示の接着剤からなる接着剤層を、基材の片面又は両面に配置すればよい。
【0040】
基材としては、次のものに限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンポリプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル等の樹脂製基材、鉄、アルミ、銅等の金属又は金属合金製基材、ガラス基材、セラミック基材、紙基材などが挙げられ、これらの単一構成、又は積層構成であってもよい。中でも、高温雰囲気(例えば約100℃以上、約150℃以上又は約200℃以上)に曝されても熱変形し難い耐熱性を有するものが好ましい。基材は、顔料、染料、紫外線吸収剤、光安定剤、導電性粒子、熱伝導性粒子、充填剤など任意の添加剤を含むことができる。
【0041】
基材の厚さとしては、ハンドリング性又はコスト等を考慮し、約10μm以上、約15μm以上又は約20μm以上、約100μm以下、約70μm以下又は約50μm以下にすることができる。基材と接着剤層との接着性が悪い場合には、接着テープを被着体から剥離する際に、基材と接着剤層との間で剥離してしまうことがある。そのような場合には、基材の接着剤適用面に、周知、慣用の技法で易接着のための表面処理(易接着処理)を施してもよい。このような表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理若しくは紫外線照射処理等の物理的処理法、又はウエットケミカル処理法若しくはプライマー処理等の化学的処理法などが挙げられる。
【0042】
基材の片面又は両面に接着剤層を設けるには、接着剤に有機溶媒を加えた塗布液を、基材の片面又は両面に塗布して乾燥させればよい。任意に、接着剤層上に、剥離フィルムを適用してもよい。有機溶媒、剥離フィルム及び塗布手段としては、上述した接着シートで説明したのと同一のものを採用することができる。
【0043】
接着テープに備わる接着剤層の厚さとしては、被着体の固定化等を考慮し、約1μm以上、約3μm以上又は約5μm以上、約100μm以下、約70μm以下又は約50μm以下にすることができる。基材の片面に接着剤層を設けた場合には、その反対側の基材面には剥離処理が施されてもよい。反対面が剥離処理されていると、接着テープをロールの形態で保管することができる。剥離処理を行なうためには、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル系剥離剤、長鎖アルキル基を有するビニルエーテル系剥離剤を用いることができる。あるいは、反対側の基材面に導電層、ハードコート層、着色層、装飾層などを配置してもよい。基材の両面に接着剤層を設ける場合には、片面の接着剤層の厚さと、他面の接着剤層の厚さは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0044】
両面に接着剤層を備える接着テープの場合には、片面の接着剤層が本開示の接着剤からなる限り、他面の接着剤層の組成は、特に限定されない。他面の接着剤層は、本開示の接着剤から形成されてもよく、他の一般的な接着剤又は粘着剤、例えば天然ゴム接着剤、合成ゴム接着剤、スチレン/ブタジエンラテックスベース接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤等から形成されてもよい。
【0045】
本開示の接着シート又は接着テープは、次のものに限定されないが、例えば、加工(例えば、約100℃以上、約150℃以上又は約200℃以上の高温加工)に供される被着体を一時的に仮接着(固定)するための仮接着シート又は仮接着テープとして使用することができ、携帯電話、スマートフォン、タブレット、液晶テレビなどのディスプレー表面の保護;高温環境にさらされる車などの車両表面の保護;ハンダリフロー時の電子基板等の保護(マスキング);後付けで半導体チップなどの部品を実装するエリアの保護などに使用される、保護用の接着シート又は接着テープなどとして使用することができる。
【0046】
接着剤、接着シート又は接着テープを適用する被着体としては、次のものに限定されないが、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルサルフォンなどの樹脂製の被着体、ガラス製の被着体、銅、アルミ、鉄などの金属又は金属合金製の被着体等が挙げられる。本開示の接着剤は、層間剥離性、特に、適用した温度以下又は一定温度以下の温度における層間剥離性に優れるため、フレキシブルプリント基板などの電子基板、リードフレーム、セラミックコンデンサー、グリーンシート、薄膜ガラスなどの、破損し易い脆弱な被着体(例えば、約1N/cm超の接着力で破損し得る被着体)に対して適している。
【0047】
本開示の接着シート又は接着テープの使用方法の一例を以下に示す。該方法は、(1)接着シート又は接着テープを被着体に適用し、積層体を形成する工程と、(2)積層体を150℃以上の温度で加熱処理する工程と、(3)加熱処理後の積層体を150℃未満の温度に冷却後、該積層体から接着シート又は接着テープを剥離する工程と、を備えることができる。これらの工程は断続的又は連続的のいずれであってもよい。この方法は、接着シート又は接着テープを巻き取る工程などの追加の工程を備えることもできる。
【0048】
工程(1)における接着シート又は接着テープの被着体への適用は、加温又は加圧することなく例えば常温下で行ってもよく、ローラー等を使用して加温、加圧又はこれらの両方を付加して行ってもよい。加温又は加圧を使用しない場合には、必要に応じて、積層体を適用した温度以上に別途加熱し、接着シート又は接着テープと被着体との接着性を高めてもよい。加温、加圧又はこれらの両方を使用する場合には、使用しない場合に比べて接着性は高められているので積層体を別途加熱しなくてもよい。
【0049】
工程(2)における加熱処理は、被着体の加工時に用いられる熱に基づく処理であってもよく、該処理とは別に、結晶性ポリマー中のグリシジル基とカルボキシル基とを架橋させるために別途設けられた加熱処理であってもよい。
【0050】
工程(3)における冷却は、自然冷却又は強制冷却のいずれであってもよく、加熱処理後の積層体が、150℃未満、適用した温度以下、又は一定温度以下に冷却されればよい。積層体が一定温度以下まで冷却されると、接着剤層が結晶化してより層間剥離し易くなるため好ましい。生産性、得られる製品の使用環境等を考慮した場合、積層体を過度に冷却する必要はなく、該積層体は、約10℃まで、約15℃まで又は約20℃まで冷却されていればよい。積層体からの接着シート又は接着テープの剥離は、一連の装置内又は製造ライン内で行われてもよく、装置又は製造ラインとは別に行ってもよく、例えば、積層体を製品として出荷した後に行ってもよい。
【実施例】
【0051】
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。部及びパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。
【0052】
本実施例で使用した原料などを以下の表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
<接着剤溶液(AD1)の調製>
BAを7質量部、STAを70質量部、AAを7.4質量部及びGMAを15.6質量部含むモノマー混合物、並びにEtAcを100質量部、HEPを30質量部及びMEKを20質量含む混合溶媒を反応容器に添加し、固形分40質量%のモノマー混合溶液を調製した。全モノマー成分100質量部に対して0.15質量部の割合でV−65を反応容器にさらに添加した。反応容器内を2分間、窒素置換した後、50℃の湯浴中で20時間かけて重合を行い、透明な接着剤溶液(AD1)を得た。
【0055】
<接着剤溶液(AD2)の調製>
モノマー混合物を以下の表2に示す組成にしたこと以外は、接着剤溶液(AD1)と同一の方法で透明な接着剤溶液(AD2)を調製した。
【0056】
<接着剤溶液(CAD1)の調製>
モノマー混合物、重合開始剤及び混合溶媒の組成、並びにモノマー混合溶液の固形分を表2に示すとおりにした以外は、接着剤溶液(AD1)と同一の方法で接着剤溶液を調製した。得られた接着剤溶液にアジリジン系架橋剤を10質量部(全モノマー成分の重量に対して固形分換算にて0.3質量%)さらに添加して透明な接着剤溶液(CAD1)を調製した。
【0057】
<接着剤溶液(CAD2〜6)の調製>
モノマー混合物、重合開始剤及び混合溶媒の組成、並びにモノマー混合溶液の固形分を表2に示すとおりにした以外は、接着剤溶液(AD1)と同一の方法で透明な接着剤溶液(CAD2〜6)を調製した。
【0058】
【表2】
【0059】
<接着テープ試験片の作製>
<例1及び例2、並びに比較例1〜6>
接着剤溶液のAD1及びAD2、並びにCAD1〜CAD6を各々、25μm厚のポリイミドフィルム(カプトン(登録商標)100V、東レデュポン株式会社製)上にナイフコーターで塗布し、65℃で2分間及び110℃で2分間、オーブン中で乾燥して、乾燥膜厚10μmの接着剤層を調製した。次いで、該接着剤層上に38μm厚の剥離フィルム(セラピール(登録商標)BKE、東レフィルム加工株式会社製)を貼り合わせて、接着テープの試験片を作製した。
【0060】
<評価方法>
作製した接着テープ試験片の特性を以下の方法に従って評価し、その結果を表3に示す。
【0061】
<初期接着力>
接着テープ試験片の剥離フィルムを除去し、該試験片の接着剤層を、80℃の雰囲気中でSUS304のBAプレート(長さ100mm×幅50mm×厚さ1mm)上に貼り合わせた。2kgのゴム製ローラーで試験片を2回圧着し、80℃の雰囲気中に10分間放置して初期接着力測定用のサンプルを調製した。80℃の雰囲気中、又は23℃に冷却した後において、剥離速度300mm/分での180度ピール接着力を測定した。表3中の値は、三回測定したものの平均値を示している。なお、初期接着力の測定において、接着剤層が被着体(BAプレート)から糊残りなく層間剥離できたものを「PO」、接着剤層が被着体からではなく基材(ポリイミドフィルム)から剥がれたものを「AF」、接着剤層自身が破壊されて剥離し(凝集破壊し)、糊残りを生じたものを「CF」と表記し、剥離モードも同時に評価した。
【0062】
<加熱処理後の接着力>
接着テープ試験片の剥離フィルムを除去し、該試験片の接着剤層を、80℃の雰囲気中でSUS304のBAプレート(長さ100mm×幅50mm×厚さ1mm)上に貼り合わせた。2kgのゴム製ローラーで試験片を2回圧着し、270℃の雰囲気中に10分間放置して加熱処理後の接着力測定用のサンプルを調製した。80℃に冷却した後、又は23℃に冷却した後、剥離速度300mm/分での180度ピール接着力を測定した。表3中の値は、三回測定したものの平均値を示している。なお、この測定においても、上述した手法で剥離モードも同時に評価した。
【0063】
<常温(23℃)下のタック性及び加熱処理後の剛性>
180℃の加熱処理前の常温(23℃)下における接着テープの相対的なタック性と、180℃加熱処理後の接着テープの剛性とを評価するために、接着テープ試験片の動的粘弾性測定(DMA)により貯蔵弾性率を測定した。該測定には、TAインスツルメント社製の動的粘弾性測定装置(ARES)を用いた。なお、貯蔵弾性率が高くなるほど、タック性は低下し、剛性は高くなるといえる。
【0064】
【表3】
【0065】
表3の結果から明らかなように、例1及び例2の接着テープは、23℃における貯蔵弾性率が高いことから、低タック性又はノンタック性を示し、ハンドリング性に優れることに加え、該接着テープを適用した直後の接着力(初期接着力)も低いため、リワーク性に優れることが確認できた。例1及び例2の接着テープは、被着体への適用直後の層間剥離性に加え、加熱処理後の層間剥離性にも優れることが確認できた。例1及び例2の接着テープは、層間剥離時の接着力が何れも1N/cm以下と低いため、脆弱な被着体に対して特に有効であるといえる。一方、比較例1の接着テープは、23℃における貯蔵弾性率が高く、低タック性又はノンタック性を示すが、加熱処理後の層間剥離性は不十分であることが分かった。比較例2の接着テープは、23℃における貯蔵弾性率が低く、タック性を示すため、ハンドリング性に劣るとともに、層間剥離時の接着力が1.21N/cmもあるため、脆弱な被着体を破壊する恐れがある。比較例3〜6の接着テープについては何れも層間剥離性が劣っていることが確認された。比較例3及び6の接着テープについては層間剥離できる場合もあるが、その際の接着力は1N/cmを大きく超えるため、脆弱な被着体を破壊する恐れが高い。
本開示の実施態様の一部を以下の[項目1]−[項目8]に記載する。
[項目1]
結晶性ポリマーを含む接着剤であって、
該結晶性ポリマーが、モノマーの合計質量を基準に、
(A)アルキル基の炭素原子数が16以上であるアルキル(メタ)アクリレートを50〜95質量%、
(B)(メタ)アクリル酸を1〜15質量%、及び
(C)グリシジル(メタ)アクリレートを1〜30質量%、含むモノマー混合物の重合物である、接着剤。
[項目2]
前記接着剤を被着体に適用した場合に、適用した温度以下で被着体に対して層間剥離可能な、項目1に記載の接着剤。
[項目3]
前記接着剤を被着体に適用し、150℃以上の温度で加熱した後、適用した温度以下に冷却した場合に、被着体に対して層間剥離可能な、項目1又は2の何れか一項に記載の接着剤。
[項目4]
層間剥離時の被着体との接着力が、1N/cm以下である、項目2又は3に記載の接着剤。
[項目5]
層間剥離時の温度下における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、かつ180℃における貯蔵弾性率が5.0×10Pa以上である、項目1〜4の何れか一項に記載の接着剤。
[項目6]
項目1〜5の何れか一項に記載の前記接着剤からなる、接着シート。
[項目7]
項目1〜5の何れか一項に記載の前記接着剤を、基材の片面又は両面に備える、接着テープ。
[項目8]
項目6又は7記載の接着シート又は接着テープの使用方法であって、
(1)前記接着シート又は接着テープを被着体に適用し、積層体を形成する工程と、
(2)前記積層体を150℃以上の温度で加熱処理する工程と、
(3)加熱処理後の積層体を150℃未満の温度に冷却後、該積層体から接着シート又は接着テープを剥離する工程と、
を備える、接着シート又は接着テープの使用方法。