特許第6989323号(P6989323)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989323
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】吸着タンク
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20211220BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20211220BHJP
   B01D 53/81 20060101ALI20211220BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20211220BHJP
【FI】
   B01D53/04 110
   B01D53/62ZAB
   B01D53/81
   C01B32/50
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-167004(P2017-167004)
(22)【出願日】2017年8月31日
(65)【公開番号】特開2019-42653(P2019-42653A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2019年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】福岡 茂
【審査官】 壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−110827(JP,U)
【文献】 特開昭63−016299(JP,A)
【文献】 特開昭59−173024(JP,A)
【文献】 特開昭49−032866(JP,A)
【文献】 特開昭58−220626(JP,A)
【文献】 特開2001−286720(JP,A)
【文献】 特開2014−028346(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0158770(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0194356(US,A1)
【文献】 特表2016−517921(JP,A)
【文献】 特公昭58−036626(JP,B2)
【文献】 特開平07−241464(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101746508(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/02−53/12
B01D 53/34−53/73,53/74−53/85,53/92,53/96
C01B 32/00−32/991
A01G 9/14−9/26
A01G 2/00−2/38,5/00−7/06,9/28,17/00−17/02,17/18,20/00−22/67,24/00−24/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象ガス中に含まれる二酸化炭素を吸着するように構成された吸着タンクであって、
二酸化炭素を吸着するように構成された吸着材と、
底部及び該底部に対向する蓋部を有し、前記吸着材を内部に収容するように構成された筐体と、
前記筐体内の一方側の端部にて前記対象ガスを前記吸着材に供給するように構成された供給流路と、
前記筐体内の他方側の端部にて前記対象ガスを流入させ、前記筐体内から前記対象ガスを排出するように構成された排出流路と、
を備え、
前記供給流路および前記排出流路は、筒状に構成されるとともに、前記蓋部を貫通するように構成され、
前記供給流路および前記排出流路は、1または複数の孔部を有する筒状部材であって、前記吸着材側にて、該筒状部材の長手方向に沿って前記対象ガスを供給または流入させるように構成された筒状部材、
をさらに備え、
前記筒状部材として、
記底部側の端部にて前記底部と平行に配置された第1の筒状部材と、前記蓋部側の端部にて前記蓋部と平行に配置された第2の筒状部材と、を備え、
前記第1の筒状部材及び前記第2の筒状部材のうちの一方は、前記供給流路の一部を構成し、前記第1の筒状部材及び前記第2の筒状部材のうちの他方は、前記排出流路の一部を構成する
吸着タンク。
【請求項2】
請求項1に記載の吸着タンクであって、
当該吸着タンクは、前記第1の筒状部材及び前記第2の筒状部材のうちの一方として、前記供給流路が有する筒状部材を表す供給筒状部材、および前記第1の筒状部材及び前記第2の筒状部材のうちの他方として、前記排出流路が有する筒状部材を表す排出筒状部材を備え、
前記供給筒状部材は、前記排出筒状部材に対して、前記供給筒状部材から前記排出筒状部材に向かう方向を回転軸として、前記供給筒状部材の長手方向と前記排出筒状部材の長手方向とを揃えて配置した状態から、前記供給筒状部材の長手方向と前記排出筒状部材の長手方向とが揃わないように前記回転軸に沿って回転させた状態で保持される
ように構成された吸着タンク。
【請求項3】
対象ガス中に含まれる二酸化炭素を吸着するように構成された吸着タンクであって、
二酸化炭素を吸着するように構成された吸着材と、
前記吸着材を内部に収容するように構成された筐体と、
前記筐体内の一方側の端部にて前記対象ガスを前記吸着材に供給するように構成された供給流路と、
前記筐体内の他方側の端部にて前記対象ガスを流入させ、前記筐体内から前記対象ガスを排出するように構成された排出流路と、
を備え、
前記供給流路および前記排出流路の少なくとも一方は、前記吸着材側に、筒状に構成された部材を有し、該部材の長手方向に沿って前記対象ガスを供給または流入させるように構成された1または複数の孔部を有する筒状部材、
をさらに備え、
当該吸着タンクは、前記筒状部材として、前記供給流路が有する筒状部材を表す供給筒状部材、および前記排出流路が有する筒状部材を表す排出筒状部材をさらに備え、
前記供給筒状部材は、前記排出筒状部材に対して、前記供給筒状部材から前記排出筒状部材に向かう方向を回転軸として、前記供給筒状部材の長手方向と前記排出筒状部材の長手方向とを揃えて配置した状態から、前記供給筒状部材の長手方向と前記排出筒状部材の長手方向とが揃わないように前記回転軸に沿って回転させた状態で保持される
ように構成された吸着タンク。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の吸着タンクであって、
前記設定角度は、前記供給筒状部材の孔部から前記排出筒状部材の孔部までの距離が最長となる
ように構成された吸着タンク。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の吸着タンクであって、
前記筒状部材のうちの少なくとも前記孔部を覆い、通気性を有するように構成されたシート部材
をさらに備えた吸着タンク。
【請求項6】
請求項5に記載の吸着タンクであって、
当該吸着タンクは、前記筒状部材として、前記供給流路が有する筒状部材を表す供給筒状部材、および前記排出流路が有する筒状部材を表す排出筒状部材をさらに備え、
前記シート部材として、前記供給筒状部材が有する孔部を覆うように構成された供給シート部材、および前記排出筒状部材が有する孔部を覆うように構成された排出シート部材
をさらに備えた吸着タンク。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の吸着タンクであって、
前記筒状部材は、前記長手方向に沿って複数の孔部を備え、
前記複数の孔部は、前記筒状部材内の圧力に応じて異なる穴の面積で
構成された吸着タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象ガス中に含まれる二酸化炭素を吸着するように構成された吸着タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、吸着タンク内において対象ガスの入口および出口付近に多数の孔部を有する整流板を設ける技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−052633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、吸着タンク内に対象ガスを行き渡らせることができる反面、吸着タンク内に対象ガスを整流板の各孔まで送るための空間が必要であり、吸着材の充填率が低下するという問題があった。
【0005】
本開示の一側面は、対象ガス中に含まれる二酸化炭素を吸着するように構成された吸着タンクにおいて、吸着タンク内に対象ガスを行き渡らせつつ、吸着材の充填率を向上させられることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面の吸着タンクは、対象ガス中に含まれる二酸化炭素を吸着するように構成されており、吸着材と、筐体と、供給流路と、排出流路と、を備える。
吸着材は、二酸化炭素を吸着するように構成される。筐体は、吸着材を内部に収容するように構成される。供給流路は、筐体内の一方側の端部にて対象ガスを吸着材に供給するように構成される。
【0007】
排出流路は、筐体内の他方側の端部にて筐体内から対象ガスを排出するように構成される。供給流路および排出流路の少なくとも一方は、該流路の吸着材側に、筒状部材をさらに備える。筒状部材は、筒状に構成された部材を有し、該部材の長手方向に沿って対象ガスを供給または排出するように構成された1または複数の孔部を有する。
【0008】
このような吸着タンクによれば、筐体の端部にて対象ガスを供給および排出し、少なくとも一方は長手方向に沿って形成された孔部を備えるので、吸着タンク内に対象ガスを行き渡らせつつ、吸着材の充填率を向上させることができる。
【0009】
また、本開示の一側面の吸着タンクにおいて、供給流路および排出流路のうちの一方は、筐体の底部側の端部にて底部に沿って対象ガスを流しつつ、対象ガスを供給または排出するように構成され、供給流路および排出流路のうちの他方は、底部に対向する蓋部側の端部にて蓋部に沿って対象ガスを流しつつ、対象ガスを供給または排出するように構成されてもよい。
【0010】
このような吸着タンクによれば、対象ガスが供給流路から排出流路に至るまでに、対象ガスは筐体内で方向転換しつつ流れるので、対象ガスが吸着材内で拡散しやすくすることができる。よって、吸着タンクでの二酸化炭素の吸着量を向上させることができる。
【0011】
また、本開示の一側面の吸着タンクにおいて、供給流路および排出流路は、筒状に構成されるとともに、蓋部を貫通するように構成されてもよい。
このような吸着タンクによれば、供給流路および排出流路が蓋部を貫通するので、筐体においては蓋部のみについて供給流路および排出流路を貫通させるための加工をすればよい。よって、吸着材を充填する作業、並びに、供給流路および排出流路を筐体に組み付ける作業を容易に行うことができる。
【0012】
また、本開示の一側面の吸着タンクは、シート部材をさらに備えてもよい。シート部材は、筒状部材のうちの少なくとも孔部を覆い、通気性を有するように構成される。
このような吸着タンクによれば、通気性を有するシート部材を備えるので、対象ガスの供給または排出を阻害することなく、孔部へ吸着材が侵入することを抑制することができる。
【0013】
また、本開示の一側面の吸着タンクは、筒状部材として、供給流路が有する筒状部材を表す供給筒状部材、および排出流路が有する筒状部材を表す排出筒状部材をさらに備えてもよい。また、シート部材として、供給筒状部材が有する孔部を覆うように構成された供給シート部材、および排出筒状部材が有する孔部を覆うように構成された排出シート部材をさらに備えてもよい。
【0014】
このような吸着タンクによれば、供給筒状部材の孔部および排出筒状部材の孔部に、吸着材が侵入することを抑制することができる。特に、二酸化炭素の吸着時と離脱時とで対象ガスの流れが変化する構成であっても、それぞれの流路に吸着材が侵入することを抑制することができる。
【0015】
また、本開示の一側面の吸着タンクにおいて、供給筒状部材は、排出筒状部材に対して、供給筒状部材から排出筒状部材に向かう方向を回転軸として、供給筒状部材の長手方向と排出筒状部材の長手方向とを揃えて配置した状態から、予め設定された設定角度だけ回転軸に沿って回転させた状態で保持されるように構成されてもよい。なお、この構成は、シート部材として、供給シート部材および排出シート部材を備えた構成にも適用することができる。
【0016】
このような吸着タンクによれば、供給筒状部材の長手方向と排出筒状部材の長手方向と位置関係、つまり供給筒状部材の孔部から排出筒状部材の孔部までの距離が最短にならないようにすることができるので、吸着タンクでの二酸化炭素の吸着量を向上させることができる。
【0017】
また、本開示の一側面の吸着タンクにおいて、設定角度は、供給筒状部材の孔部から排出筒状部材の孔部までの距離が最長となるように構成されてもよい。
このような吸着タンクによれば、設定角度が供給筒状部材の孔部から排出筒状部材の孔部までの距離が最長となるように構成されるので、吸着タンクでの二酸化炭素の吸着量をより向上させることができる。
【0018】
また、本開示の一側面の吸着タンクにおいて、筒状部材は、筒状部材の長手方向に沿って複数の孔部を備え、複数の孔部は、筒状部材内の圧力に応じて異なる穴の面積になるように構成されてもよい。
【0019】
このような吸着タンクによれば、筒状部材のうちの対象ガスの圧力が高い部位では穴径が小さく設定されるので、孔部を介した対象ガスの出入りを抑制することができる。また、筒状部材のうちの対象ガスの圧力が低い部位では穴径が大きく設定されるので、孔部を介した対象ガスの出入りを促進することができる。この結果、各孔部を出入りする対象ガスの量の差を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】二酸化炭素施用装置の構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態の吸着タンクを示す鳥瞰図である。
図3図2における排出筒状部材を示すIII−III断面図である。
図4】第2実施形態の吸着タンクを示す側面図である。
図5図4において供給筒状部材を示すV−V断面図である。
図6図4において排出筒状部材を示すVI−VI断面図である。
図7】第2実施形態の供給筒状部材および排出筒状部材を示す平面図である。
図8】第3実施形態の吸着タンクを示す側面図である。
図9図8において供給筒状部材を示すIX−IX断面図である。
図10】第4実施形態の供給筒状部材および排出筒状部材を示す平面図である。
図11】その他の実施形態の吸着タンクを示す側面図である。
図12】他の実施形態における供給筒状部材および排出筒状部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1に示す二酸化炭素施用装置1Aは、燃焼排ガス等の対象ガス中に含まれる二酸化炭素を回収し、農業用ハウス内に供給するための装置である。
【0022】
二酸化炭素施用装置1Aは、CO発生部2と、浄化ユニット20と、ブロワ5と、吸着タンク6Aと、を備える。
また、二酸化炭素施用装置1Aは、取込流路11と、施用空気流路14と、合流路15と、分岐流路16とを備える。取込流路11、合流路15は、菅状に形成され、対象ガスを、浄化ユニット20を経由して吸着タンク6に供給するための通路として機能する。また、分岐流路16のある一部は、対象ガスを吸着タンク6に供給するための通路として機能し、分岐流路16の他の一部は、対象ガスを吸着タンク6から排出するための通路として機能する。
【0023】
<CO発生部>
CO発生部2は、主に夜間、重油や灯油等の燃料を燃焼させ、農業用ハウス内の空気を温める装置である。対象ガスは、煙突である排ガス流路10を介して農業用ハウス外に排出される。
【0024】
<浄化ユニット>
浄化ユニット20は、CO発生部2から発生した対象ガスを冷却及び浄化するための装置である。浄化ユニット20は、例えば、内部に液体を貯留する液体貯留タンクを備え、この液体中に対象ガスを通過させるように構成される。対象ガスは、液体貯留タンク内の液体との熱交換により冷却されると共に、液体に含まれる化合物によって含有する成分の一部が取り除かれて浄化される。
【0025】
<ブロワ>
ブロワ5は、対象ガスを吸着タンク6に供給するための装置である。ブロワ5は、合流路15に接続されている。
【0026】
二酸化炭素の吸着工程では、ブロワ5の運転により、浄化ユニット20内が負圧となり、CO発生部2で発生した対象ガスが浄化ユニット20を経由して吸着タンク6に圧送される。
【0027】
<流路>
取込流路11は、CO発生部2から浄化ユニット20まで対象ガスを流動させるための管路として構成される。合流路15は、浄化ユニット20からブロワ5まで対象ガスを流動させるための管路として構成される。
【0028】
なお、合流路15には、施用空気流路14を構成する施用配管14Aが接続されている。施用配管14Aは、外気と連通可能に構成され、外気を導入するための管路である。施用空気流路14は、施用配管14Aから外気を導入または遮断するための開閉弁14Bを備える。開閉弁14Bは、例えばソレノイド弁を用いることができる。
【0029】
分岐流路16は、ブロワ5に接続された管路であり、ブロワ5よりも対象ガスの流れの下流側で、第1分岐流路16Aと、第2分岐流路16Bとに分岐されて構成される。第1分岐流路16Aは、対象ガスの流れの上流側から順に、第1上流弁21A、排出側分岐部16C、第1下流弁22Aを備え、下流側の端部は農業用ハウスの外部に至る。第2分岐流路16Bは、対象ガスの流れの上流側から順に、第2上流弁21B、供給側分岐部16D、第2下流弁22Bを備え、下流側の端部は農業用ハウスの内部に至る。
【0030】
第1上流弁21A、第1下流弁22A、第2上流弁21B、第2下流弁22Bは、対象ガスまたは外気を導入または遮断するためのバルブであり、例えばソレノイド弁を用いることができる。
【0031】
供給側分岐部16Dは、第2分岐流路16Bを吸着タンク6A側に分岐する部位であり、吸着タンク6の供給流路76Aと連通するように接続される。また、排出側分岐部16Cは、第1分岐流路16Aを吸着タンク6A側に分岐する部位であり、吸着タンク6Aの排出流路71Aと連通するように接続される。
【0032】
<弁の開閉>
二酸化炭素施用装置1Aにおいては、二酸化炭素の吸着工程と施用工程とで、吸着タンク6での気体の流れ方向が異なる方向になるように構成される。
【0033】
具体的には、二酸化炭素施用装置1Aにおいて、二酸化炭素の吸着工程では、開閉弁14B、第1上流弁21A、および第2下流弁22Bが閉塞され、かつ第1下流弁22Aおよび第2上流弁21Bが開放された状態で、CO発生部2およびブロワ5が作動される。すると、CO発生部2にて発生した対象ガスは、浄化ユニット20、ブロワ5、および供給側分岐部16Dを経由して、吸着タンク6の供給流路76Aに導入される。なお、吸着タンク6を通過した対象ガスは、吸着タンク6の排出流路71Aを経由し、第1分岐流路16Aから農業用ハウスの外部に排出される。
【0034】
また、二酸化炭素の施用工程では、開閉弁14B、第1上流弁21A、および第2下流弁22Bが開放され、かつ第1下流弁22Aおよび第2上流弁21Bが閉塞された状態で、ブロワ5が作動される。すると、施用配管14Aから導入される外気は、ブロワ5、および排出側分岐部16Cを経由して、吸着タンク6の排出流路71Aに導入される。なお、吸着タンク6を通過することでより多くの二酸化炭素を含んだ施用空気は、吸着タンク6の供給流路76Aを経由し、第2分岐流路16Bから農業用ハウスの内部に施用される。
【0035】
<吸着タンク>
吸着タンク6は、対象ガス中の二酸化炭素を吸着する吸着材65が内部に配置されている。二酸化炭素の吸着工程では、ブロワ5によって供給された対象ガス中の二酸化炭素が吸着材65によって吸着される。吸着材65としては、例えば活性炭、ゼオライト等の多孔質材料などが使用できる。
【0036】
一方、二酸化炭素の施用工程では、施用空気流路14から施用空気が吸着タンク6内に供給され、吸着材65から二酸化炭素が脱離する。脱離した二酸化炭素は、第2分岐流路16Bを介して農業用ハウス内に施用される。
【0037】
ここで、吸着タンク6Aは、図2に示すように、筐体60と、吸着材65と、供給流路76Aと、排出流路71Aと、を備える。吸着タンク6Aは、図2および図3に示すように供給筒状部材78Aに配される供給シート部材67B、排出筒状部材73Aに配される排出シート部材67Aをさらに備えてもよい。
【0038】
筐体60は、例えば、ステンレス製の中空円柱型に構成され、円形の蓋部61および底部63と、円筒状の側壁部62とを備える。蓋部61は、筐体60のうちの底部63に対向する壁面を表す。
【0039】
供給流路76Aおよび排出流路71Aは、管路として構成されるとともに、蓋部61を貫通するように構成される。供給流路76Aは、筐体60内の一方側の端部にて対象ガスを吸着材65に供給するように構成される。ここで、筐体60内の一方側の端部とは、筐体60を構成するある壁面に触れる位置、或いは、その近傍を表す。
【0040】
つまり、筐体60内の一方側の端部とは、筐体60の内壁面に接触して配置された吸着材65に、対象ガスや外気を行き渡らせることができる程度の位置を示す。本実施形態では、蓋部61の近くにて対象ガスを吸着材65に供給するように構成される。
【0041】
供給流路76Aは、蓋部61と平行に対象ガスを流しつつ、対象ガスを供給するように構成される。ここで平行とは、厳密な意味での平行に限るものではなく、上記と同様の効果を奏するのであれば厳密に平行でなくてもよい。
【0042】
供給流路76Aは、吸着材65側に供給筒状部材78Aを備える。
供給筒状部材78Aは、供給流路76Aに対して接続部77を介して接続された筒状の部材であり、蓋部61と平行なある方向が菅の長手方向になるように配置され、この長手方向に沿って複数の孔部78Hが形成されている。
【0043】
また、供給筒状部材78Aは、長手方向のほぼ中央に接続部77を備える構成であり、接続部77は対象ガスを2方向に分岐させる分岐部として機能する。この構成により、対象ガスがより拡散するよう考慮されている。
【0044】
なお、孔部78Hは、接続部77よりも先端側に配置され、かつ接続部77からやや隔てて配置される。対象ガスの流路が曲がる場合、流路が曲がる部位に対象ガスが多く当たり、圧力が高くなる。この部位に孔部78Hを設けると、その孔部から多くの対象ガスが供給されるため、流路の形状により対象ガスの圧力が高くなる部位に孔部78Hを設けないように構成される。
【0045】
複数の孔部78Hは、吸着タンク6Aの長手方向に対して直交する方向において、供給流路76Aに近いほうから遠いほうに向かって徐々に穴径が大きくなる。換言すれば、複数の孔部78Hは、供給筒状部材78Aの先端部に近づくにつれて徐々に穴径が大きくなるように構成される。つまり、概ね同量の対象ガスが各孔部78Hを通過するように、供給筒状部材78A内の対象ガスの圧力に応じて、各孔部78Hが異なる穴の面積に設定される。
【0046】
ここで、供給筒状部材78Aの先端部とは、供給筒状部材78Aにおいて対象ガスの流れ方向の下流側を示す。なお、排出筒状部材73Aの先端側とは、排出筒状部材73Aにおいて対象ガスの流れ方向の上流側を示す。
【0047】
この構成では、供給筒状部材78Aのうちの対象ガスの圧力が高い接続部77付近の部位で、孔部78Hの穴径が小さく設定されるので、孔部78Hを介した対象ガスの出入りが抑制される。また、供給筒状部材78Aのうちの対象ガスの圧力が低い先端部付近の部位で、孔部78Hの穴径が大きく設定されるので、孔部78Hを介した対象ガスの出入りが促進される。この結果、各孔部78Hを出入りする対象ガスの量の差を小さくすることができる。そして、吸着材65中の各部を通過する対象ガスの量を概ね均一化することができる。よって、吸着材65全体に二酸化炭素を良好に吸着させることができる。
【0048】
排出流路71Aは、筐体60内の他方側の端部にて筐体60内から対象ガスを排出するように構成される。筐体60内の他方側の端部とは、前述の一方側の端部と対向する壁面に触れる位置、或いはその近傍であって、筐体60の内壁面に接触して配置された吸着材65に、対象ガスまたは外気を行き渡らせることができる程度の位置を示す。本実施形態では、底部63の近くにて筐体60内の対象ガスを排出するように構成される。
【0049】
排出流路71Aは、筐体60の底部63側の端部にて底部63と垂直、つまり鉛直方向に対象ガスを流しつつ、対象ガスを排出するように構成される。
排出流路71Aは、吸着材65側に排出筒状部材73Aを備える。
【0050】
排出筒状部材73Aは、排出流路71Aに対して接続部72を介して接続された筒状の部材であり、底部63に沿って配置される。排出筒状部材73Aは、供給筒状部材78Aと同様に、排出筒状部材73Aの全長における中央に接続部72を備える構成であり、接続部72は流路を2方向に分岐させる分岐部として機能する。
【0051】
排出筒状部材73Aは、接続部72付近で流路が供給筒状部材78Aの長手方向と平行に構成されるが、2か所の屈曲部73Lによって供給筒状部材78Aの長手方向とは直交する方向に管路が曲げられて構成される。
【0052】
排出筒状部材73Aは、屈曲部73Lよりも先端側に、複数の孔部73Hを備える。複数の孔部73Hは、排出筒状部材73Aの屈曲部73Lよりも先端側における菅の長手方向に沿って形成される。この長手方向を排出筒状部材73Aの長手方向とすると、供給筒状部材78Aの長手方向と排出筒状部材73Aの長手方向とは直交するように配置される。
【0053】
供給シート部材67Bは、供給筒状部材78Aが備える孔部78Hの全てを覆い、通気性を有するように構成される。また、排出シート部材67Aは、排出筒状部材73Aが備える孔部73Hの全てを覆い、通気性を有するように構成される。供給シート部材67Bおよび排出シート部材67Aは、例えば、不織布等によって構成される。
【0054】
なお、吸着タンク6を組み立てる際には、まず、筐体60の蓋部61を分離し、筐体60が底部63および側壁部62を有する状態で、排出筒状部材73Aを含む排出流路71Aを底部63付近に設置する。そして、この状態で筐体60の内部を隙間なく吸着材65で満たし、供給筒状部材78Aを含む供給流路76Aを吸着材65の上から吸着材65に埋没するように設置する。最後に、蓋部61を閉じる。このように筐体60の内部が吸着材65で満たされるようにするとよい。
【0055】
[1−3.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1a)上記の二酸化炭素施用装置1Aの吸着タンク6Aは、対象ガス中に含まれる二酸化炭素を吸着するように構成されており、吸着材65と、筐体60と、供給流路76Aと、排出流路71Aと、を備える。
【0056】
吸着材65は、二酸化炭素を吸着するように構成される。筐体60は、吸着材65を内部に収容するように構成される。供給流路76Aは、筐体60内の一方側の端部にて対象ガスを吸着材65に供給するように構成される。
【0057】
排出流路71Aは、筐体60内の他方側の端部にて筐体60内から対象ガスを排出するように構成される。供給流路76Aおよび排出流路71Aのうちの少なくとも一方は、該流路の吸着材65側に、供給筒状部材78A、排出筒状部材73Aをさらに備える。供給筒状部材78A、排出筒状部材73Aは、筒状に構成された部材であり、該部材の長手方向に沿って対象ガスを供給または排出するように構成された1または複数の孔部73H,78Hを有する。
【0058】
このような二酸化炭素施用装置1Aによれば、筐体60の端部にて対象ガスを供給および排出し、少なくとも一方は長手方向に沿った孔部73H,78Hを備えるので、吸着タンク6内に対象ガスを行き渡らせつつ、吸着材65の充填率を向上させることができる。
【0059】
(1b)上記の二酸化炭素施用装置1Aの吸着タンク6Aにおいて、供給流路76Aおよび排出流路71Aは、筐体60の蓋部61付近において蓋部61側、若しくは筐体60の底部63側の端部にて底部63と平行に対象ガスを流しつつ、対象ガスを供給または排出するように構成され、供給流路76Aおよび排出流路71Aのうちの他方は、底部63に対向する蓋部61側の端部にて蓋部61と平行に対象ガスを流しつつ、対象ガスを供給または排出するように構成される。
【0060】
このような二酸化炭素施用装置1Aによれば、対象ガスが供給流路76Aから排出流路71Aに至るまでに、対象ガスは筐体60内で対象ガスの流れが鉛直方向下側に対して方向転換しつつ流れるので、対象ガスが吸着材65内で拡散しやすくすることができる。よって、吸着タンク6Aでの二酸化炭素の吸着量を向上させることができる。
【0061】
(1c)上記の二酸化炭素施用装置1Aの吸着タンク6Aにおいて、供給流路76Aおよび排出流路71Aは、筒状に構成されるとともに、蓋部61を貫通するように構成される。
【0062】
このような二酸化炭素施用装置1Aによれば、供給流路76Aおよび排出流路71Aが蓋部61を貫通するので、筐体60においては蓋部61のみについて供給流路76Aおよび排出流路71Aを貫通させるための加工をすればよい。よって、吸着材65を充填する作業、並びに、供給流路76Aおよび排出流路71Aを筐体60に組み付ける作業を容易に行うことができる。
【0063】
(1d)上記の二酸化炭素施用装置1Aの吸着タンク6Aは、供給シート部材67B、排出シート部材67Aをさらに備える。供給シート部材67B、排出シート部材67Aは、供給筒状部材78A、排出筒状部材73Aが備える孔部73H,78Hを覆い、通気性を有するように構成される。
【0064】
このような二酸化炭素施用装置1Aによれば、通気性を有する供給シート部材67B、排出シート部材67Aを備えるので、対象ガスの供給または排出を阻害することなく、孔部73H,78Hへ吸着材65が侵入することを抑制することができる。
【0065】
(1e)上記の二酸化炭素施用装置1Aの吸着タンク6Aは、供給流路76Aに供給筒状部材78Aを備え、排出流路71Aに排出筒状部材73Aを備える。また、供給シート部材67Bは、供給筒状部材78Aが有する孔部78Hを覆い、排出シート部材67Aは、排出筒状部材73Aが有する孔部73Hを覆うように構成される。
【0066】
このような二酸化炭素施用装置1Aによれば、供給筒状部材78Aの孔部78Hおよび排出筒状部材73Aの孔部73Hに、吸着材65が侵入することを抑制することができる。特に、二酸化炭素の吸着時と離脱時とで対象ガスの流れが変化する構成であっても、それぞれの流路に吸着材65が侵入することを抑制することができる。
【0067】
(1f)上記の二酸化炭素施用装置1Aの吸着タンク6Aは、供給筒状部材78Aの長手方向に沿って複数の孔部78Hを備え、複数の孔部78Hは、供給筒状部材78Aの先端部に近づくにつれて徐々に穴径が大きくなるように構成される。
【0068】
このような二酸化炭素施用装置1Aによれば、供給筒状部材78Aのうちの対象ガスの圧力が高い接続部77付近の部位では、孔部78Hの穴径が小さく設定されるので、孔部78Hを介した対象ガスの出入りを抑制することができる。また、供給筒状部材78Aのうちの対象ガスの圧力が低い先端部付近の部位では、孔部78Hの穴径が大きく設定されるので、孔部78Hを介した対象ガスの出入りを促進することができる。この結果、各孔部78Hを出入りする対象ガスの量の差を小さくすることができる。
【0069】
このような構成によれば、複数の孔部73H,78Hから流出、或いは複数の孔部73H,78Hに流入する対象ガスの量の差を小さくすることができるので、吸着材65中の各部を通過する対象ガスの量を概ね均一化することができる。よって、吸着材65全体に二酸化炭素を良好に吸着させることができる。
【0070】
[2.第2実施形態]
[2−1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0071】
前述した第1実施形態の二酸化炭素施用装置1Aに対し、第2実施形態の二酸化炭素施用装置1Bでは、吸着タンク6Bの構成が相違する。
[2−2.構成]
第2実施形態の二酸化炭素施用装置1Bにおいては、第1実施形態の吸着タンク6Aに換えて、図4に示す吸着タンク6Bを備える。
【0072】
吸着タンク6Bにおいて、供給流路76Bおよび排出流路71Bは、筐体60の中心軸、つまり、蓋部61の中心と底部63の中心とを結ぶ線分上にて、供給筒状部材78Bおよび排出筒状部材73Bと接続する接続部72,77を備える。
【0073】
吸着タンク6Bは、図5および図6に示すように、S字状に形成された供給筒状部材78Bおよび排出筒状部材73Bを備える。なお、図5では、排出筒状部材73Bのみを図示し、図6では、供給筒状部材78Bのみを図示している。
【0074】
具体的には、排出筒状部材73Bは、図5に示すように、接続部72を中心として、底部63の直径方向である2方向に流路が分岐され、それぞれの分岐された流路は、それぞれ90degずつ管路を屈曲させる2か所の屈曲部73LにてS字状になるように曲げられる。ただし、degは度数法での角度を表すdegreeの略である。
【0075】
供給筒状部材78Bは、図6に示すように、接続部77を中心として、2方向に流路が分岐され、2か所の屈曲部78Lにて、排出筒状部材73Bと同様のS字状になるように構成される。また、供給筒状部材78Bおよび排出筒状部材73Bには、多数の孔部73H,78Hが形成される。
【0076】
ここで、供給筒状部材78Bは、排出筒状部材73Bに対して、供給筒状部材78Bと排出筒状部材73Bとを揃えて配置した状態から、予め設定された設定角度だけ回転軸に沿って回転させた状態で保持されるように構成される。ここでは、供給筒状部材78Bは、図7に示すように、排出筒状部材73Bに対して、接続部72,77を通過する鉛直線を回転軸として90degだけ回転した状態で配置される。
【0077】
なお、供給筒状部材78Bと排出筒状部材73Bとを揃えて配置した状態とは、接続部72,77にて管路が延びる方向を各部材の長手方向としたときに、供給筒状部材78Bの長手方向と排出筒状部材73Bの長手方向とが揃う状態を示す。特に本実施形態の構成では、鉛直方向において供給筒状部材78Bおよび排出筒状部材73Bの投影が重なる状態を示す。
【0078】
[2−3.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0079】
(2a)上記の二酸化炭素施用装置1Bの吸着タンク6Bにおいて、供給筒状部材78Bは、排出筒状部材73Bに対して、供給筒状部材78Bから排出筒状部材73Bに向かう方向に沿う特定の軸を回転軸として、供給筒状部材78Bの長手方向と排出筒状部材73Bの長手方向とを揃えて配置した状態から、予め設定された設定角度だけ回転軸に沿って回転させた状態で保持されるように構成される。
【0080】
このような二酸化炭素施用装置1Bによれば、供給筒状部材78Bの長手方向と排出筒状部材73Bの長手方向と位置関係、つまり筐体60内での供給側の孔部78Hから排出側の孔部73Hまでの距離が最短にならないようにすることができるので、供給側の孔部78Hから排出側の孔部73Hまでの距離が最短となる構成と比較して、吸着タンク6Bでの二酸化炭素の吸着量を向上させることができる。
【0081】
[3.第3実施形態]
[3−1.第1実施形態、第2実施形態との相違点]
前述した第1実施形態の二酸化炭素施用装置1A、第2実施形態の二酸化炭素施用装置1Bに対し、第3実施形態の二酸化炭素施用装置1Cでは、吸着タンク6Cの構成が相違する。
【0082】
[3−2.構成]
第3実施形態の二酸化炭素施用装置1Cは、吸着タンク6A,6Bに換えて、図8に示す吸着タンク6Cを備える。吸着タンク6Cは、供給流路76Cは供給筒状部材78Cを備え、排出流路71Cは排出筒状部材73Cを備える。
【0083】
なお、図9では、供給筒状部材78Cのみを図示する。供給筒状部材78Cは、図9に示すように、ジョイント部78Jと、4つの直管部78Sとを備える。ジョイント部78Jは、中心軸となる接続部77を中心にして、同一平面状に等角度間隔で配置される複数の直管部78を接続する接続部材として構成される。ここでは、直管部78Sが4つであるため、ジョイント部78Jは90deg間隔で直管部78と接続されて構成される。
【0084】
直管部78Sには、それぞれ、複数の孔部78Hが形成される。なお、排出筒状部材73Cについても供給筒状部材78Cと同様に構成される。
本実施形態の供給筒状部材78Cは、図10に示すように、第2実施形態の供給筒状部材78Bと同様に、排出筒状部材73Cに対して、供給筒状部材78Bと排出筒状部材73Bとを揃えて配置した状態から、予め設定された設定角度だけ回転軸に沿って回転させた状態で保持されるように構成される。
【0085】
本実施形態では、供給筒状部材78Bの複数の孔部78Hから排出筒状部材73Bの複数の孔部73Hまでの距離の総和が最長となるように、回転時の設定角度は45degに設定される。
【0086】
[3−3.効果]
以上詳述した第3実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
【0087】
(3a)上記の二酸化炭素施用装置1Cの吸着タンク6Cにおいて、設定角度は、供給筒状部材78Cの孔部78Hから排出筒状部材73Cの孔部73Hまでの距離が最長となるように構成される。
【0088】
このような二酸化炭素施用装置1Cによれば、設定角度が供給筒状部材78Cの孔部78Hから排出筒状部材73Cの孔部73Hまでの距離が最長となるように構成されるので、より多くの対象ガスを吸着材65に触れさせることができる。よって、吸着タンク6Cでの二酸化炭素の吸着量をより向上させることができる。
【0089】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0090】
(4a)上記実施形態では、供給流路76A,76B,76Cおよび排出流路71A,71B,71Cにて蓋部61および底部63に平行に対象ガスを流すように構成したが、これに限定されるものではない。例えば、図11に示す二酸化炭素施用装置1Dの吸着タンク6Dのように、供給筒状部材78Dおよび排出筒状部材73Dは、供給流路76Dおよび排出流路71Dから接続部72,77を介して直線的に接続され、側壁部62に平行に対象ガスを流すように構成されてもよい。
【0091】
この構成では、供給流路76Dは、側壁部62近傍の端部に配置され、排出流路71Dは、供給流路76Dが配置された側壁部62に対向する別の端部に配置されてもよい。また、排出流路71Dは、底部63を貫通するように構成されてもよい。
【0092】
(4b)上記実施形態では、供給流路76A,76B,76C,76Dおよび排出流路71A,71B,71C,71Dの両方に供給筒状部材78A,78B,78C,78D、および排出筒状部材73A,73B,73C,73Dを備えたが、供給流路76A,76B,76C,76Dおよび排出流路71A,71B,71C,71Dの一方に、供給筒状部材78A,78B,78C,78D、または排出筒状部材73A,73B,73C,73Dを備えてもよい。
【0093】
(4c)上記実施形態では、二酸化炭素の吸着工程と施用工程とで吸着タンク6A,6B,6C,6D内部でのガスの流れ方向が変化するように構成したが、ガスの流れ方向が変化しない構成では、少なくとも排出流路71A,71B,71C,71D側だけに排出シート部材67Aを備えればよい。
【0094】
(4d)上記実施形態では、供給筒状部材78Aのみに、孔部78Hの大きさが連続的に変化する構成を採用したが、供給筒状部材78B,78C,78D、および排出筒状部材73A,73B,73C,73Dに、孔部73H,78Hの大きさが連続的に変化する構成を採用してもよい。具体的には、例えば、図12に示すように、供給筒状部材78Cおよび排出筒状部材73Cが有する孔部73H,78Hについて、供給流路76Cおよび排出流路71C、すなわち、接続部72,77から遠ざかり、先端部に近づくにつれて、徐々に孔部73H,78Hの大きさが大きくなるように構成してもよい。
【0095】
このような構成によれば、複数の孔部73H,78Hから流出、或いは複数の孔部73H,78Hに流入する対象ガスの量の差を小さくすることができるので、吸着材65中の各部を通過する対象ガスの量を概ね均一化することができる。よって、吸着材65全体に二酸化炭素を良好に吸着させることができる。
【0096】
(4d)上記実施形態では、実施形態では、複数の孔部73H,78Hを備える構成としているが、複数の孔部73H,78Hに換えて、菅の長手方向に沿って細長く形成された1つの孔部を備えてもよい。
【0097】
(4e)上記第2実施形態以降では、供給シート部材67Bおよび排出シート部材67Aの記載を省略しているが、供給シート部材67Bおよび排出シート部材67Aは、第2実施形態以降の構成にも適用できる。
【0098】
これらのようにしても、上記(1a)と同様の効果を奏する。
(4f)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加または置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【0099】
(4g)上述した二酸化炭素施用装置1A,1B,1C,1Dの他、当該二酸化炭素施用装置1A,1B,1C,1Dを構成要素とするシステム、当該二酸化炭素施用装置1A,1B,1C,1Dを構成する吸着タンク6A,6B,6C,6D等の各構成要素など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【0100】
[5.実施形態の構成と本開示の構成との対応関係]
上記の実施形態において、供給シート部材67B、排出シート部材67Aは、本開示のシート部材に相当し、供給筒状部材78A,78B,78C,78D、排出筒状部材73A,73B,73C,73Dは、本開示の筒状部材に相当する。
【符号の説明】
【0101】
1A,1B,1C,1D…二酸化炭素施用装置、2…CO発生部、5…ブロワ、6A,6B,6C,6D…吸着タンク、11…取込流路、14…施用空気流路、15…合流路、16…分岐流路、20…浄化ユニット、21A…第1上流弁、21B…第2上流弁、22A…第1下流弁、22B…第2下流弁、60…筐体、61…蓋部、62…側壁部、63…底部、65…吸着材、67A…排出シート部材、67B…供給シート部材、71A,71B,71C,71D…排出流路、72,77…接続部、73A,73B,73C,73D…排出筒状部材、73H,78H…孔部、73L,78L…屈曲部、76A,76B,76C,76D…供給流路、78A,78B,78C,78D…供給筒状部材、78J…ジョイント部、78S…直管部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12