(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、上昇管清掃装置の第1実施形態を示す切断概略側面図である。
図2は、
図1のA−A方向矢視図である。
図3は、
図1のB−B方向矢視図である。
図4は、
図1のC−C方向矢視図である。
図5は、
図1の上昇管清掃装置における駆動手段を示すもので、
図2のD−D方向矢視図である。
図6は、
図1の上昇管清掃装置におけるシャフトの一部を拡大して示す断面図である。
【0022】
図7は、上昇管清掃装置の使用状態として、上昇管に設置した状態を示す一部切断概略側面図である。
図8は、上昇管清掃装置の別の使用状態として、シャフトを伸長させた状態を示す一部切断概略側面図である。
図9は、上昇管清掃装置の別の搬送手法を示す概略側面図である。
【0023】
ここで、先ず、上昇管清掃装置による清掃対象となるコークス炉の上昇管の構成について、
図8を参照して説明する。
【0024】
上昇管は、
図8に符号100で示すものである。上昇管100の上端側の開口101には、蓋102が開閉可能に設けられている。なお、
図8では、蓋102は、開放された状態を示してある。
【0025】
更に、上昇管100の上端側には、周方向の全周に亘る溝状の水封枠103が設けられている。水封枠103は、上昇管100の開口101を蓋102により閉じるときに、蓋102の外周部を水封枠103に溜めた水(図示せず)に浸すことで、上昇管100の上端側と蓋102との間をシールするためのものである。
【0026】
上昇管100の内周面には、耐火材104が全面に取り付けられている。したがって、コークス炉の操業の際、上昇管100では、耐火材104の内面にカーボンが析出し付着して付着物105が形成される。
【0027】
図8における符号106は、上昇管100の上部を囲む配置でコークス炉における上昇管100の配列方向に沿って備えられた歩廊である。
【0028】
以上の構成を備えた上昇管100の清掃に使用する本実施形態の上昇管清掃装置は、
図1乃至
図5に符号1で示すもので、フレーム2と、フレーム2に取り付けられた軸ケーシング3と、上下に延びる配置で軸ケーシング3に回転自在に保持された回転軸4と、回転軸4を回転駆動する駆動手段5と、回転軸4と同軸心配置で上端側が回転軸4の下端側に取り付けられた伸縮式のシャフト6と、シャフト6を伸縮させるための伸縮手段7と、シャフト6の下端側に取り付けられた清掃部材8とを備えた構成とされている。
【0029】
上昇管100の水封枠103は、上昇管100の軸心方向に垂直な平面に投影すると、上昇管100の軸心位置を中心とする円環形状の投影図が得られる。
【0030】
そこで、フレーム2は、前記水封枠103の投影図に対応する円環形状の領域に配置された脚9を備えている。更に、フレーム2は、脚9と、フレーム2における軸ケーシング3の取付位置との相対的な配置について、次の設置条件が設定されている。
【0031】
この設置条件は、軸ケーシング3に保持する回転軸4の軸心方向と軸心位置が、脚9が配置された前記円環形状の領域の軸心方向と軸心位置に合わせて配置される、という条件である。
【0032】
これにより、フレーム2は、
図1、
図4に二点鎖線で示す如き上昇管100の水封枠103に、脚9を介して載置することができ、このように水封枠103に載置された状態のフレーム2では、軸ケーシング3を介して保持した回転軸4の軸心位置と軸心方向を、その水封枠103を備えた上昇管100の軸心方向と軸心位置に合わせて配置することができる。
【0033】
本実施形態では、フレーム2は、たとえば、水封枠103の溝の内底面に沿う円と同径の仮想の円の円周上に、周方向に約120度間隔で配置された3本の上下に延びる柱部材10を備えている。
【0034】
図1、
図2に示すように、3本の柱部材10のうちの2本の柱部材10は、上端側同士が、横方向に延びる第1の上部梁部材11aで連結されている。残る1本の柱部材10は、上端側が、第1の上部梁部材11aの長手方向中間部に、横方向に延びる第2の上部梁部材11bを介して連結されている。したがって、3本の柱部材10は、上端側同士が、T字状の配置となる第1と第2の各上部梁部材11a,11bを介して連結されている。
【0035】
また、
図1、
図4に示すように、前記仮想円の周方向に隣接する柱部材10は、上下方向の中間部よりも下端寄りとなる個所同士が、横方向に延びる下部梁部材12を介して連結されている。
【0036】
これにより、フレーム2は、各柱部材10と各上部梁部材11a,11bと各下部梁部材12とにより、外形が上下に延びる略三角柱形状とされ、内部に上下に延びる空間を備えた骨組構造体とされている。
【0037】
各柱部材10は、下部梁部材12よりも下方に突出する寸法が、水封枠103の溝の深さよりも大となるように設定されていて、この各柱部材10における下部梁部材12よりも下方に突出する下端側が、フレーム2を水封枠103の溝の内底面に載置するための3本の脚9となっている。
【0038】
フレーム2は、更に、脚9を介して水封枠103に載置した状態で、水封枠103または上昇管100に取り外し可能に固定するための固定手段13を備えた構成とされている。
【0039】
本実施形態では、固定手段13は、たとえば、各脚9に、水封枠103の外周側の縁を挟む個別のトグルクランプ13aを備えた構成とされている。これにより、各トグルクランプ13aを開放した状態では、フレーム2を各脚9を介して水封枠103の溝の内底面に載置する作業と、フレーム2を水封枠103上から撤去する作業とを行うことができる。一方、フレーム2は、各脚9を水封枠103の溝の内底面に載置した状態で、各トグルクランプ13aを操作して水封枠103の外周側の縁を挟むことにより、上昇管100に対する相対的な位置および姿勢を固定することができる。
【0040】
なお、固定手段13は、各脚9に、ねじ式のクランプやレバー操作式のクランプなど、トグルクランプ13a以外の形式で水封枠103の外周側の縁を挟むクランプを備えた構成としてもよいことは勿論である。また、固定手段13は、フレーム2に、脚9とは別の取付部材を介してトグルクランプ13aやその他の形式のクランプを取り付けた構成としてもよい。更に、固定手段13は、水封枠103上に載置したフレーム2の上昇管100に対する位置と姿勢とを取り外し可能に固定することができれば、クランプ以外の形式の固定手段を採用してもよく、また、水封枠103における外周側の縁以外の個所や、上昇管100に対してフレーム2を固定する構成を備えていてもよい。
【0041】
フレーム2の内側には、上下に延びる円筒状の軸ケーシング3が、前記所定の設置条件を満たすように配置されている。軸ケーシング3は、下端側の外周部が、ブラケット14と支持部材15とを介して各下部梁部材12に取り付けられている。
【0042】
回転軸4は、
図1、
図4に示すように、軸ケーシング3から上下両側に突出する寸法で上下に延びる円筒とされていて、軸ケーシング3の内側に、ラジアル軸受16とスラスト軸受17とを介して取り付けられている。これにより、回転軸4は、軸ケーシング3に回転自在に保持されると共に、回転軸4の自重、および、シャフト6と清掃部材8と後述するように回転軸4に取り付けられる各部材の重量は、軸ケーシング3に支持されている。なお、軸ケーシング3の内側に回転軸4を回転自在に保持すると共に、回転軸4と回転軸4に取り付けられるものの重量を支持することができれば、軸受の形式や数や配置は任意に設定してもよいことは勿論である。
【0043】
回転軸4における軸ケーシング3より上方に突出している上端側には、
図1、
図3、
図5に示すように、外周部に、駆動手段5の構成部材の1つであるリング状の従動ギヤ18が取り付けられている。なお、
図5では、図示する便宜上、伸縮手段7の後述する各構成部材のうち、回転軸4の内側に配置される部材の記載は省略してある。一方、回転軸4における軸ケーシング3より下方に突出している下端側には、
図1に示すように、外周部に、リング状のシャフトサポート19が取り付けられている。
【0044】
駆動手段5は、
図3、
図5に示すように、回転軸4に取り付けられた従動ギヤ18に加えて、従動ギヤ18に噛合する駆動ギヤ20と、駆動ギヤ20が出力軸21aに取り付けられた駆動モータ21とを備えた構成とされている。
【0045】
フレーム2は、回転軸4の上端部の側方となる位置に、前記した略三角柱形状の外側に張り出すように配置されたモータ取付座22を備えている。モータ取付座22は、たとえば、下部梁部材12に、上下方向に延びる支柱部材23を介して取り付けられている。
【0046】
モータ取付座22は、上下に貫通する図示しない開口を備えた構成としてあり、この開口の上側に、減速機付きの駆動モータ21が下向きに取り付けられている。したがって、駆動モータ21は、出力軸21aが開口を通してモータ取付座22の下方へ突出する状態に配置されていて、出力軸21aの下端側に、駆動ギヤ20が取り付けられている。
【0047】
シャフト6は、たとえば、
図1、
図8に示すように、テレスコピック方式の伸縮機構を備えている。本実施形態では、シャフト6は、
図8に示すように、大きさの異なる6角形の筒24a,24b,24c,24d,24e,24fが、6段でスライド可能に接続された構成とされている。各段の筒24a〜24fを6角形としたのは、どのような伸縮状態であっても、最も外周に配置された最上段の筒24aから、中心部に配置されている最下段の筒24fまで、中間段の各筒24b,24c,24d,24eを順次介して回転方向の力を伝達して、シャフト6全体を一体に回転させることができるようにするためである。
【0048】
シャフト6は、
図1に示すように、回転軸4の下方に、シャフト6の中心軸を回転軸4の軸心に合わせた状態で配置され、最上段の筒24aの上端側が、シャフトサポート19の下側に接続されている。
【0049】
なお、シャフト6は、スライド可能に接続される筒の段数が5段以下や7段以上であってもよいことは勿論である。また、シャフト6は、伸縮状態にかかわらず、最上段の筒24aから最下段の筒24fまで回転方向の力を伝達することができるようにしてあれば、各筒の形状は、3角形や4角形、その他任意の6角形以外の多角形であってもよい。また、隣接する段の筒同士の間に、たとえばキーのような相対的な回転を阻止する手段を備えていれば、各段の筒は、円形であってもよい。
【0050】
清掃部材8は、
図1に示すように、たとえば、ホイール26の外周に線材27の束が突設された円盤形状のブラシ25とされている。このブラシ25の円盤形状の外径は、上昇管100の耐火材104の内側の径よりも設定された寸法小さい径とされている。
【0051】
ブラシ25は、円盤形状の軸心位置をシャフト6の中心軸に合わせて配置した状態で、ホイール26が、シャフト6の最下段の筒24fの下端側に取り付けられている。
【0052】
なお、ブラシ25は、線材27の束を、ホイール26の外周に周方向の全周に亘り備えていてもよいし、周方向に断続して備えた構成であってもよい。
【0053】
これにより、本実施形態の上昇管清掃装置1では、駆動モータ21を運転すると、出力軸21aから駆動ギヤ20と従動ギヤ18を介して回転軸4に伝達される回転駆動力により、回転軸4とシャフト6と清掃部材8であるブラシ25とを一緒に回転駆動することができる。
【0054】
伸縮手段7は、
図1、
図8に示すように、たとえば、回転軸4の上方に配置されたホイスト28を備えた構成とされている。更に、ホイスト28から引き出されたワイヤロープ29は、回転軸4の内側を通して、シャフト6の内側へ導かれ、ワイヤロープ29の先端側に設けられているフック30が、シャフト6の最下段の筒24fの上端側に設けられた吊部31に、スイベル33とシャックル34を含む接続具32を介して接続されている。
【0055】
ホイスト28は、回転軸4の軸心位置の真上を横切るように配置されている第2の上部梁部材11bに吊られて支持されている。
【0056】
これにより、伸縮手段7は、ホイスト28によるワイヤロープ29の巻き上げを行うことで、最下段の筒24fの吊り上げに伴ってシャフト6を収縮させることができる。また、伸縮手段7は、ホイスト28からワイヤロープ29の繰り出しを行うことにより、最下段の筒24fの吊り降ろしに伴ってシャフト6を伸長させることができる。
【0057】
なお、伸縮手段7では、ワイヤロープ29の先端側のフック30と、最下段の筒24fの吊部31との間に介装する接続具32が、スイベル33を備えた構成であるため、シャフト6が回転しても、その回転はスイベル33で遮断されてワイヤロープ29には伝わらない。
【0058】
更に、本実施形態の上昇管清掃装置1は、シャフト6と清掃部材8が、後述するように上昇管100に差し込まれる状態のときに、シャフト6が上昇管100の内部の熱を受け難くするための遮熱手段35と、シャフト6と清掃部材8とを冷却するための冷却手段36とを備えた構成とされている。
【0059】
遮熱手段35は、シャフト6の周囲を取り囲む位置に配置された耐熱カバー37を備えた構成とされている。耐熱カバー37は、シリカ繊維などの耐熱性繊維によって織られた耐熱クロスにより形成された蛇腹の筒構造を備えて、シャフト6の伸縮に追従して上下方向に伸縮可能とされている。
【0060】
耐熱カバー37の上端側は、シャフトサポート19の外周縁部の下側に取り付けられている。
【0061】
シャフト6の最下段の筒24fには、
図1に示すように、下端側の外周に、耐熱カバー37の径に応じたリング形状のサポート部材38が、径方向に沿う配置の棒状あるいは板状の複数の取付部材39を介して取り付けられている。耐熱カバー37の下端側は、このサポート部材38に取り付けられている。
【0062】
これにより、シャフト6がどのような伸縮状態であっても、シャフト6は、その外周が常に耐熱カバー37によって覆われる。
【0063】
冷却手段36は、
図1、
図3、
図5に示すように、回転軸4の上端開口の上方を覆うように配置されたカバー部材40と、回転軸4の上端開口の内側に向けた姿勢でカバー部材40に設置された空気ノズル41とを備えた構成とされている。
【0064】
カバー部材40は、本実施形態では、
図3に示すように、回転軸4の上端開口を覆う面積を備えた中央部分と、中央部分から周方向120度間隔で径方向に沿って外周側へ延びる部分とを備えた三つ又形状(略Y字状)とされ、3つの外周部がそれぞれ対応する配置の柱部材10に取り付けられている。
【0065】
カバー部材40の中央部分には、ホイスト28のフック30およびワイヤロープ29を上下方向に通すための開口42が設けられ、開口42の周囲に、空気ノズル41が、空気出口となる下端側を回転軸4の上端開口の内側に下向きに配置した姿勢で取り付けられている。
図3では、4本の空気ノズル41がカバー部材40に取り付けられた構成が示してある。
【0066】
各空気ノズル41は、上端側が共通のヘッダ43に接続され、ヘッダ43には、図示しない空気供給部から冷却用の空気44を供給するための空気供給ラインが接続されている。
【0067】
更に、冷却手段36は、シャフト6の各段の筒24a〜24f同士の継ぎ目の部分には、
図6に最上段の筒24aと次の段の筒24bとの継ぎ目の部分を例として示すように、上段側の筒24aの内周部と、下段側の筒24bの外周部との間に、シャフト6の内側から外側へ空気を通すための隙間45を備えた構成としてある。
【0068】
以上の構成としてある冷却手段36では、空気供給部から空気供給ライン、ヘッダ43を介して各空気ノズル41に冷却用の空気44を供給すると、各空気ノズル41から、回転軸4の上端開口の内側へ冷却用の空気44が下向きに吹き込まれる。このようにして回転軸4の内側に上端側から吹き込まれた冷却用の空気44は、回転軸4の内側を下端側まで流通した後、シャフト6の内側へ上端側から流入して、各段の筒24a〜24fの内側を下向きに流通する。これにより、シャフト6は、内側から冷却用の空気44により冷却することができる。
【0069】
更に、シャフト6の内側を流通する冷却用の空気44は、その一部が、各段の筒24a〜24f同士の継ぎ目の部分に備えられた隙間45を通してシャフト6の内側から外側へ漏れる。このようにしてシャフト6の外側に漏れた冷却用の空気44は、シャフト6と耐熱カバー37との間の空間に充満された後、下方へ順次送られるようになる。よって、シャフト6と耐熱カバー37との間の空間には、冷却用の空気44の層が形成され、この空間にはシャフト6の内側から順次新たな冷却用の空気44が供給されるため、シャフト6は、耐熱カバー37の外側からの熱に対して遮熱が図られるようになる。また、シャフト6と耐熱カバー37との間の空間を上方から下方へ流れる冷却用の空気44は、シャフト6を外側から冷却することができると共に、耐熱カバー37を内側から冷却することができる。
【0070】
シャフト6と耐熱カバー37との間の空間を耐熱カバー37の下端側まで流通した冷却用の空気44は、サポート部材38の内側を通して下向きに吹き出される。したがって冷却手段36では、この耐熱カバー37の下端側から、耐熱カバー37の下方へ吹き出される冷却用の空気44により、清掃部材8の冷却を行うことができる。
【0071】
本実施形態の上昇管清掃装置1は、装置全体の重心の真上となる位置に合わせて、たとえば、第2の上部梁部材11bの上側に吊部46が設けられている。これにより、本実施形態の上昇管清掃装置1は、吊部46を吊って搬送し、清掃対象となる上昇管100の水封枠103に載置することができる。
【0072】
このように、本実施形態の上昇管清掃装置1を、コークス炉に備えられている各上昇管100の位置まで搬送するための搬送手段47は、たとえば、
図7に示すように、コークス炉における各上昇管100の配列方向に沿って延びるレール48を設け、レール48に沿い移動可能な走行台車49に、アーム51の旋回動作と昇降動作、および、アーム51の長手方向への移動が可能な形式のバランサ50を取り付けた構成とされている。アーム51の先端側にはフック52が設けられている。
【0073】
なお、搬送手段47については、レール48に沿う走行台車49の走行に伴って移動するバランサ50の移動軌跡、および、バランサ50のアーム51の先端側に吊られた状態の本実施形態の上昇管清掃装置1を上昇管100の配列されている方向に移動させるときと、清掃対象となる上昇管100の上方位置まで移動させるときの移動軌跡が、コークス炉の各装備機器や装備品と干渉しない領域に確保できるように、搬送手段47の各構成部材の設置位置やサイズが設定されている。レール48は、図示しない支持手段を介してコークス炉の固定部に固定した構成とすればよい。
【0074】
また、搬送手段47は、コークス炉における上昇管100の上部に対応して設けられている歩廊106に乗った図示しない作業者が、バランサ50のアーム51の先端側を手動で操作可能となる配置で設けられていることが好ましい。
【0075】
以上の構成としてある本実施形態の上昇管清掃装置1は、保管や搬送を行うときには、ホイスト28によりワイヤロープ29を巻き取って、シャフト6を最も収縮させた状態としておく。この状態を、便宜上、本実施形態の上昇管清掃装置1の初期状態という。
【0076】
本実施形態の上昇管清掃装置1を使用して上昇管100の清掃を行う場合は、
図7に示すように、初期状態としてある本実施形態の上昇管清掃装置1の吊部46に、搬送手段47のフック52を掛けて吊り上げて、清掃対象の上昇管100の上方位置まで搬送する。
【0077】
上昇管100は蓋102を開けた状態とし、この状態で、搬送手段47を操作して、本実施形態の上昇管清掃装置1を、脚9を介して上昇管100の水封枠103の上に載置する。この際、本実施形態の上昇管清掃装置1は、モータ取付座22が蓋102と干渉しないように、モータ取付座22の周方向の配置を適宜調整するようにすればよい。この際、シャフト6の下部および清掃部材8は、上昇管100上部の内側に挿入して配置される。
【0078】
次に、本実施形態の上昇管清掃装置1は、固定手段13によりフレーム2を水封枠103に固定する。これにより、本実施形態の上昇管清掃装置1では、回転軸4と一緒に、シャフト6の軸心方向および軸心位置を、上昇管100の軸心方向および軸心位置に合わせた配置とすることができる。
【0079】
次いで、本実施形態の上昇管清掃装置1では、駆動モータ21の運転を開始して、回転軸4と一緒にシャフト6および清掃部材8の回転駆動を開始する。これにより、上昇管100の内側では、清掃部材8として備えたブラシ25の線材27の束の外周側端部が、耐火材104の内面に接近した位置を周回するようになる。
【0080】
また、本実施形態の上昇管清掃装置1では、図示しない空気供給部から空気供給ライン、ヘッダ43を介した空気ノズル41への冷却用の空気44の供給を開始して、シャフト6および清掃部材8の冷却用の空気44による冷却を開始する。
【0081】
なお、シャフト6および清掃部材8の回転駆動と冷却は、シャフト6を伸長させるときに共に開始されていればよいので、回転駆動開始と冷却開始の順序は、いずれが先であってもよいし、両者が同時であってもよい。
【0082】
この状態で、本実施形態の上昇管清掃装置1は、ホイスト28からのワイヤロープ29の繰り出しによるシャフト6の伸長操作を開始する。これにより、上昇管100の内側では、シャフト6の下端側の下降に伴って、清掃部材8のブラシ25の線材27の束の外周側端部が、耐火材104の内面に接近した位置を周回しながら下方へ移動するようになる。このように周回する線材27の束の外周側端部が、耐火材104の内面に付着している付着物105(
図8参照)に触れると、その付着物105は、線材27により耐火材104の内面から掻き落とされる。
【0083】
本実施形態の上昇管清掃装置1では、シャフト6の伸長操作を継続して行って、清掃部材8を、
図8に示したように上昇管100の下部位置まで下降させる。これにより、上昇管100の上下方向における清掃部材8が上方から下方へ移動した範囲では、耐火材104の内面に付着した付着物105の掻き落としが行われる。
【0084】
本実施形態の上昇管清掃装置1は、前記のようにシャフト6の伸長操作により清掃部材8を上昇管100の下部位置まで下降させた後は、ホイスト28によるワイヤロープ29の巻き上げを開始して、シャフト6の収縮操作を行う。このシャフト6の収縮操作の際にも、清掃部材8のブラシ25の周回する線材27の束の外周側端部が、耐火材104の内面に付着している付着物105に触れれば、その付着物105は耐火材104の内面から掻き落とされて除去される。
【0085】
したがって、本実施形態の上昇管清掃装置1は、耐火材104の内面に付着した付着物105の除去による上昇管100の清掃を行うことができる。なお、本実施形態の上昇管清掃装置1では、前記のようなシャフト6の伸長操作と収縮操作は、1つの上昇管100に対し、複数回繰り返し行うようにしてもよいことは勿論である。
【0086】
上昇管100の清掃が終了すると、本実施形態の上昇管清掃装置1では、ホイスト28によりワイヤロープ29を巻き上げてシャフト6を初期状態と同様になるまで収縮操作を行い、その後、駆動モータ21の運転停止と、空気ノズル41への冷却用の空気44の供給停止を行う。次いで、本実施形態の上昇管清掃装置1は、前記した上昇管100への設置手順とは逆の手順で、上昇管100からの撤去を行う。
【0087】
このように、本実施形態の上昇管清掃装置1は、フレーム2を上昇管100の水封枠103に載置することで、フレーム2に支持した回転軸4の軸心方向と軸心位置、および、回転軸4に接続したシャフト6の中心軸の方向と位置を、水封枠103を備えた上昇管100の軸心方向と軸心位置に合わせて配置することができる。
【0088】
したがって、本実施形態の上昇管清掃装置1は、コークス炉にて清掃対象となる上昇管100に傾きが生じている場合であっても、回転軸4の軸心方向と軸心位置、および、シャフト6の中心軸の方向と位置を、上昇管100の軸心方向と軸心位置に合わせて配置することができる。
【0089】
よって、本実施形態の上昇管清掃装置1では、上昇管100に傾きが生じていても、シャフト6の先端側に備えた清掃部材8が、上昇管100の耐火材104の内面に偏って押し付けられることは防止することができる。このため、本実施形態の上昇管清掃装置1によれば、上昇管100に傾きが生じている場合であっても、上昇管100の耐火材104の内面に付着している付着物105の除去処理を、従来に比して上昇管100の周方向に均等化して実施することができる。
【0090】
更に、本実施形態の上昇管清掃装置1は、シャフト6を伸縮式としてあるため、特許文献1に示されたような、上昇管の上下方向寸法よりも大となる固定寸法で上下方向に延びるシャフト状の部材は必要としない。
【0091】
したがって、特許文献1に示された掃除装置は、前記所定の固定寸法で上下方向に延びるシャフト状の部材を保持するために、上昇管の上下方向寸法よりも縦に長い縦長枠体を必要とし、この縦長枠体を支持するために上昇管の上を跨ぐような大きなサイズの走行体を必要としているが、本実施形態の上昇管清掃装置1は、上昇管100よりも縦長の枠体は必要としない。よって、本実施形態の上昇管清掃装置1は、フレーム2を、上昇管100の水封枠103により支持することが可能な寸法で実現することができる。
【0092】
なお、上記においては、本実施形態の上昇管清掃装置1を搬送する手段としては、上昇管100の配列方向に延びるレール48と走行台車49とバランサ50を備えた形式の搬送手段47を例示したが、
図9に示すように、本実施形態の上昇管清掃装置1は、歩廊106上にて台車53を用いて清掃対象となる上昇管100の位置まで搬送するようにしてもよい。
【0093】
[第1実施形態の応用例]
図10は、第1実施形態の応用例として、シャフトの別の例を示すもので、
図10(a)は、シャフトにおける隣接する段の筒同士の継ぎ目の部分の切断側面図、
図10(b)は、
図10(a)のE−E方向矢視図である。
【0094】
なお、
図10(a)(b)において、第1実施形態と同一のものには同一符号を付して、その説明を省略する。また、図示する便宜上、
図10(a)では、シャフトを、
図1、
図4に示した状態から、30度角度変更した状態で示してある。
【0095】
本応用例におけるシャフト6は、第1実施形態と同様の構成において、シャフト6の各段の筒24a〜24f同士の継ぎ目の部分に、
図10(a)(b)に最上段の筒24aと次の段の筒24bとの継ぎ目の部分を例として示すように、上段側の筒24aにおける下端寄り部分の内周部と、下段側の筒24bにおける上端寄り部分の外周部に、シャフト6を伸長させたときに互いの傾斜面54a,55a同士で接触する突部54,55を備えた構成としたものである。
【0096】
上段側の筒24aに備える突部54は、
図10(a)に示すように、シャフト6の軸心方向に沿う面での断面形状が、上端側から下端側に向けて筒24aの内周面からの突出量が次第に大きくなる略くさび形とされている。
【0097】
下段側の筒24bに備える突部55は、
図10(a)に示すように、シャフト6の軸心方向に沿う面での断面形状が、上端側から下端側に向けて筒24bの外周面からの突出量が次第に小さくなる略くさび形とされている。
【0098】
更に、突部54の内周側の傾斜面54a、および、突部55の外周側の傾斜面55aは、シャフト6の軸心方向に対する傾斜角度が揃えられている。
【0099】
また、本実施形態では、
図10(b)に示すように、突部54と、突部55は、それぞれ筒24aと筒24bの周方向の全周に亘り、すなわち、シャフト6の周方向の全周に亘り設けられている。したがって、本実施形態では、突部55は、上方から下方に向けて細くなる略六角錐台状の外形を備えている。一方、突部54は、上方から下方に向けて縮径する六角断面の開口を備えた構成の筒状体となっている。
【0100】
更に、突部54と突部55は、いずれか一方、または、双方の傾斜面54a,55aに、上下方向の全長に亘り延びる溝56を備えた構成とされている。
図10(a)(b)では、下段側の筒24bに備えた突部55に溝56を備えた構成を例示してある。
【0101】
これにより、シャフト6では、突部54の傾斜面54aと突部55の傾斜面55aが接する状態になるときに、溝56の内側に、シャフト6の内側から外側へ空気44を通す流通路が形成される。
【0102】
したがって、本応用例のシャフト6によっても、シャフト6の内側を流通する冷却用の空気44は、その一部を、各段の筒24a〜24f同士の継ぎ目の部分に備えられた突部54と突部55の溝56によって形成される流通路を通してシャフト6の内側から外側へ漏れさせることができる。
【0103】
よって、本応用例のシャフト6を採用した上昇管清掃装置1は、第1実施形態と同様に使用して同様の効果を得ることができる。
【0104】
更に、本応用例のシャフト6は、伸長させると、各段の筒24a〜24f同士の継ぎ目の部分で、
図10(a)(b)に示したと同様に、突部54の傾斜面54aと、突部55の傾斜面55aとを合わせることができるため、各段の筒24a〜24f同士の心出しを自動的に行うことができる。このため、シャフト6を回転させるときに、各段の筒24a〜24fの回転の動作の安定化を図ることができる。
【0105】
更に、各段の筒24a〜24f同士の継ぎ目の部分では、回転方向の力の伝達が、突部54の傾斜面54aと突部55の傾斜面55aとの面接触した個所同士の間で行われるようになる。このため、シャフト6では、各段の筒24a〜24fを介して下端側に取り付けられている清掃部材8のブラシ25まで、安定したトルクの伝達を行うことができる。
【0106】
なお、突部54と突部55は、
図10(b)では、シャフト6の周方向の全周に亘って延びる構成を例示した。これに対し、突部54と突部55は、図示しないが、互いの傾斜面54aと傾斜面55a同士が接する配置としてあれば、突部54と突部55のいずれか一方または双方が、周方向に断続した構成を備えていてもよい。この場合は、突部54が周方向に断続した構成を備えているときには、周方向に隣接する突部54同士の隙間が、シャフト6の内側から外側へ空気44を通す流通路となる。また、突部55が周方向に断続した構成を備えているときには、周方向に隣接する突部55同士の隙間が、シャフト6の内側から外側へ空気44を通す流通路となる。よって、この場合は、溝56は省略した構成としてよい。
【0107】
また、本発明は、前記実施形態および応用例にのみ限定されるものではなく、各図に示した上昇管清掃装置1の各構成機器のサイズや配置は図示するための便宜上のものであり、実際の各機器のサイズや配置を反映したものではない。
【0108】
フレーム2は、略三角柱形状の外形を有する骨組み構造体として示したが、上昇管100の水封枠103に載せるための脚9を備え、且つ水封枠103に載せた状態のときに、軸ケーシング3を介して保持した回転軸4の軸心方向と軸心位置を、上昇管100の軸心方向と軸心位置に合わせて配置できるようにしてあれば、全体の形状や、各部の構造は、図示した以外のいかなる形状や構造を採用してもよい。
【0109】
たとえば、フレーム2は、外形が三角柱以外の多角柱形状や円柱形状であってもよい。また、フレーム2は、脚9の上側に開口部を有するベースプレートを備え、ベースプレートの開口部の上側に、軸ケーシング3を取り付けた構成など、骨組み構造体以外の構成を備えていてもよい。
【0110】
また、フレーム2は、水封枠103の投影図に対応する円環形状の領域に配置される脚9の数や形状は、自在に設定してもよい。たとえば、脚9は、周方向に4以上配置されていてもよい。また、脚9が円環形状の領域の周方向に沿って延びる円筒壁で構成されていれば、周方向に配置される脚9の数は2や1としてもよい。
【0111】
更に、脚9は、下端部を二股形状として、水封枠103の外周側の縁や内周側の縁に掛ける形式のものとしてもよい。
【0112】
固定手段13は、水封枠103に載置したフレーム2を水封枠103または上昇管100に対して取り外し可能に固定することができれば、前記したようなフレーム2の形状や構成、脚9の形状や構成や配置に応じて、図示した以外の任意の構成としてもよいことは勿論である。
【0113】
駆動手段5は、回転軸4を回転駆動することができればよい。よって、前記第1実施形態では、駆動手段5は、回転軸4の上端側に取り付けられた従動ギヤ18と、従動ギヤ18に噛合する駆動ギヤ20と、駆動ギヤ20を出力軸21aに取り付けた駆動モータ21とを備えた構成を例示したが、たとえば、回転軸4における従動ギヤ18の取付位置を変更するなど、図示した以外の構成を採用してもよい。また、駆動モータ21の回転駆動力を回転軸4に伝えるための動力伝達機構は、たとえば、チェーンとスプロケットとを用いる形式、ベルトとプーリとを用いる形式、駆動ローラと従動ローラとによる形式など、ギヤ式以外の任意の動力伝達機構を採用してもよい。
【0114】
伸縮手段7は、シャフト6を伸縮させることができれば、図示した以外のいかなる構成の伸縮手段7を採用してもよい。たとえば、伸縮手段7は、シャフト6の最下段の筒24fの上側にスイベルを介して接続された上下に延びるロッド状の部材を、上下方向に送る形式のものであってもよい。
【0115】
清掃部材8は、円盤形状のブラシ25を例示したが、シャフト6の回転に伴って回転し、上昇管100の付着物105に接触するときに当該付着物105を掻き落とす機能を備えていれば、回転式のカッターや、旋回するチェーンなど、図示した以外の形式の清掃部材8を採用してもよい。
【0116】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。