(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989366
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】冠婚葬祭用映像表示装置及び冠婚葬祭用建物
(51)【国際特許分類】
A47G 33/00 20060101AFI20211220BHJP
【FI】
A47G33/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-233597(P2017-233597)
(22)【出願日】2017年12月5日
(65)【公開番号】特開2019-97975(P2019-97975A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年6月19日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ステラ・デル・アンジェロのオープン前内覧会における、来場者への説明及び資料配付(平成29年10月28日)
(73)【特許権者】
【識別番号】505124443
【氏名又は名称】志賀 司
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【弁理士】
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】志賀 司
【審査官】
粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3199779(JP,U)
【文献】
特許第3796956(JP,B2)
【文献】
特開2015−192728(JP,A)
【文献】
特開2005−006229(JP,A)
【文献】
特開平05−257991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冠婚葬祭に用いられ、冠婚葬祭用の建物内において参列者の控室又はロビーに設置され、前記参列者に対し映像を表示するための映像表示装置であって、
新郎新婦又は故人の思い出の写真を組み合わせたものを含む映像を表面に写し出すための表示領域を有する表示部材と、
前記表示領域に向かって前記映像を投影する投影機と、
所定の音楽又は効果音を流すスピーカーと、
前記表示部材、前記投影機及び前記スピーカーを内部空間に収容した本体と、を備え、
前記表示部材は、本を見開いた状態を模した形状を有し、湾曲して形成される立体物であって、見開きページ面が前記表示領域を構成し、前記本体が有する床板上において前記表示領域が外部から視認し易くなるように外部に向けて傾斜させた状態で設置され、
前記投影機は、前記本体内において外部から視認できない位置に設けられ、前記表示部材よりも上方位置に配置され、傾斜させた状態の前記表示部材の前記表示領域に対応する向きで傾斜させた状態で設置され、
前記スピーカーは、前記本体内において外部から視認できない位置に設けられ、前記投影機から前記表示領域に向かって投影される映像が通過する領域とは異なる位置に配置されており、
前記投影機は、前記映像を一の動画像から他の動画像に切り替えるときに、直前に投影された前記一の動画像と所定の関係を有する動画像であって次に表示される前記他の動画像を予告する内容を示すつなぎ映像を投影し、
前記投影機は、前記音楽又は前記効果音と連動して前記つなぎ映像を投影することを特徴とする冠婚葬祭用映像表示装置。
【請求項2】
前記本体は、前記表示部材が設置された空間と、前記投影機及び前記スピーカーが設置された空間とを区切るための天井板を有し、
前記天井板のうち、前記投影機から前記表示領域に向かって投影される映像が通過する領域となる部分には、前記映像の通り道となる開口部が形成され、
前記スピーカーと、前記開口部と、前記表示部材とが、上下方向で重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の冠婚葬祭用映像表示装置。
【請求項3】
前記つなぎ映像は、前記一の動画像の一端から前記一の動画像をめくり上げそのめくり上げた後の前記表示領域に前記他の動画像を表示する演出を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の冠婚葬祭用映像表示装置。
【請求項4】
前記つなぎ映像は、前記表示領域上に投影されたキャラクターが前記一の動画像の一端から前記一の動画像をめくり上げるような動作を行い、前記一の動画像をめくり終わると前記キャラクターが一旦隠れるように前記演出を行うことを特徴とする請求項3に記載の冠婚葬祭用映像表示装置。
【請求項5】
冠婚葬祭に用いられる部屋を有し、前記部屋内において参列者に対し映像を表示するための建物であって、
新郎新婦又は故人の思い出の写真を組み合わせたものを含む映像を表面に写し出すための表示領域を有する表示部材と、
前記表示領域に向かって前記映像を投影する投影機と、
所定の音楽又は効果音を流すスピーカーと、
前記表示部材、前記投影機及び前記スピーカーを内部空間に収容したケースと、を備え、
前記表示部材は、本を見開いた状態を模した形状を有し、湾曲して形成される立体物であって、見開きページ面が前記表示領域を構成し、前記ケースが有する床板上において前記表示領域が外部から視認し易くなるように外部に向けて傾斜させた状態で設置され、
前記投影機は、前記ケース内において外部から視認できない位置に設けられ、前記表示部材よりも上方位置に配置され、傾斜させた状態の前記表示部材の前記表示領域に対応する向きで傾斜させた状態で設置され、
前記スピーカーは、前記ケース内において外部から視認できない位置に設けられ、前記投影機から前記表示領域に向かって投影される映像が通過する領域とは異なる位置に配置されており、
前記投影機は、前記映像を一の動画像から他の動画像に切り替えるときに、直前に投影された前記一の動画像と所定の関係を有する動画像であって次に表示される前記他の動画像を予告する内容を示すつなぎ映像を投影し、
前記投影機は、前記音楽又は前記効果音と連動して前記つなぎ映像を投影することを特徴とする冠婚葬祭用建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冠婚葬祭用映像表示装置及び冠婚葬祭用建物に係り、特に、冠婚葬祭用のセレモニーの際に利用可能な冠婚葬祭用映像表示装置及び冠婚葬祭用建物に関する。
【背景技術】
【0002】
冠婚葬祭は、人生にとって重要な節目を迎えるための儀式となるため、人々にとって印象深く、思い出深いものとなることが望まれている。
従来から、例えば結婚披露宴においては、結婚式場に常設されたスクリーンと投影機とを利用して、新郎新婦のプロフィール映像や、余興映像、そしてエンドロールを写すことにより、結婚披露宴の演出を盛り上げる趣向が凝らされている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された冠婚葬祭用式場では、式場建屋本体と、スクリーンと、投影機と、ステージと、を備えている。そして、スクリーンは、式場の正面部に配置された正面側スクリーンと、正面側スクリーンの左右に並設された側面側スクリーンと、天井に設けられた上部スクリーン部と、から構成されている。上記構成により、式場内の複数のスクリーンに向かって動画画像を投影することができ、式場内の広範囲にわたって臨場感ある動画画像を繰り広げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−36097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような冠婚葬祭において、スクリーンと投影機とを利用した演出は既に広く知られているものである。そのため、特許文献1のように、式場の広範囲に動画画像を投影したとしても、式場全体が大きな背景に包まれることにより臨場感は増すものの、新郎新婦及び参列者にとっては、予想や期待を上回るような斬新で感動的な演出とは言い難い。
また、冠婚葬祭においては空き時間も多く、式や披露宴の前後には、参列者が控室やロビー等で時間を持て余すということも多々ある。そのような時間に、新郎新婦の情報等に関する映像を流すこともよく行われているが、もはや陳腐化しており、参列者にとっては、単なる暇潰し以上のものとはなり得なかった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、冠婚葬祭用のセレモニーにおいて、より一層趣向を凝らした斬新で感動的な演出が可能な冠婚葬祭用映像表示装置及び冠婚葬祭用建物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の冠婚葬祭用映像表示装置によれば、冠婚葬祭に用いられ
、冠婚葬祭用の建物内において参列者の控室又はロビーに設置され、前記参列者に対し映像を表示するための映像表示装置であって、
新郎新婦又は故人の思い出の写真を組み合わせたものを含む映像を
表面に写し出すための表示領域を有する表示部材と、前記表示領域に向かって前記映像を投影する
投影機と、
所定の音楽又は効果音を流すスピーカーと、前記表示部材、前記投影機及び前記スピーカーを内部空間に収容した本体と、を備え、前記表示部材は、本を見開いた状態を模した形状
を有し、湾曲して形成される立体物であって、見開きページ面が前記表示領域を構成し、
前記本体が有する床板上において前記表示領域が外部から視認し易くなるように外部に向けて傾斜させた状態で設置され、前記投影機は、前記本体内において外部から視認できない位置に設けられ、前記表示部材よりも上方位置に配置され、傾斜させた状態の前記表示部材の前記表示領域に対応する向きで傾斜させた状態で設置され、前記スピーカーは、前記本体内において外部から視認できない位置に設けられ、前記投影機から前記表示領域に向かって投影される映像が通過する領域とは異なる位置に配置されており、前記投影機は、前記映像を一の動画像から他の動画像に切り替えるときに、直前に投影された前記一の動画像と所定の関係を有する動画像であって次に表示される前記他の動画像を予告する内容を示すつなぎ映像を投影し、
前記投影機は、前記音楽又は前記効果音と連動して前記つなぎ映像を投影すること、により解決される。
また、本発明の冠婚葬祭用建物によれば、冠婚葬祭に用いられる部屋を有
し、前記部屋内において参列者に対し映像を表示するための建物であって、
新郎新婦又は故人の思い出の写真を組み合わせたものを含む映像を
表面に写し出すための表示領域を有する表示部材と、前記表示領域に向かって前記映像を投影する
投影機と、
所定の音楽又は効果音を流すスピーカーと、前記表示部材、前記投影機及び前記スピーカーを内部空間に収容したケースと、を備え、前記表示部材は、本を見開いた状態を模した形状
を有し、湾曲して形成される立体物であって、見開きページ面が前記表示領域を構成し、
前記ケースが有する床板上において前記表示領域が外部から視認し易くなるように外部に向けて傾斜させた状態で設置され、前記投影機は、前記ケース内において外部から視認できない位置に設けられ、前記表示部材よりも上方位置に配置され、傾斜させた状態の前記表示部材の前記表示領域に対応する向きで傾斜させた状態で設置され、前記スピーカーは、前記ケース内において外部から視認できない位置に設けられ、前記投影機から前記表示領域に向かって投影される映像が通過する領域とは異なる位置に配置されており、前記
投影機は、前記映像を一の動画像から他の動画像に切り替えるときに、直前に投影された前記一の動画像と所定の関係を有する動画像であって次に表示される前記他の動画像を予告する内容を示すつなぎ映像を投影
し、前記投影機は、前記音楽又は前記効果音と連動して前記つなぎ映像を投影すること、により解決される。
【0008】
上記のように、見開き本の形状を模した表示部材の表示領域上に映像を投影し、その際、映像を一の動画像から他の動画像に切り替えるときに、直前に投影された一の動画像と所定の関係を有する動画像であって次に表示される他の動画像を予告する内容を示すつなぎ映像を投影することによって、見る者を楽しませるエンターテインメント性に富んだ演出が可能となる。
そのため、冠婚葬祭用、例えば結婚式用のセレモニーにおいて、プロジェクションマッピングを利用したより一層趣向を凝らした斬新で感動的な映像演出が可能となる。特に、参列者の控室やロビーに設置することにより、参列者が時間を持て余すこともなく、空き時間でさえも充実して過ごすことができる。
また上記のように、映像と音楽や効果音とが連動すること、例えば、つなぎ映像を投影するタイミングでページがめくれるような効果音を流すことにより、より一層本がめくられているような演出が可能となる。
そのため、冠婚葬祭用、例えば結婚式用のセレモニーにおいて、プロジェクションマッピングを利用したより一層趣向を凝らした斬新で感動的な映像演出が可能となる。
また上記のように、投影する映像を新郎新婦や故人の思い出の写真を組み合わせたものを含むことにより、あたかも新郎新婦や故人のアルバムをめくって見ているかのような演出が可能となる。
そのため、冠婚葬祭用、例えば結婚式用のセレモニーにおいて、プロジェクションマッピングを利用したより一層趣向を凝らした斬新で感動的な映像演出が可能となる。
【0009】
ここで、プロジェクションマッピングとは、平面状のスクリーン表面の代わりとして立体物の表面に映像を張り合わせるように映写する技法である。映像を写すスクリーンとなる立体物は、建築物だけでなく、靴、テーブルや椅子、額縁、描かれた絵、人体、部屋、鞄、楽器、樹木等ありとあらゆる物を対象とすることができる。
特に、平面状のスクリーン表面だけでは演出することができない、空間そのものをデザイン、演出してしまうプロジェクションマッピングでは、その仮想と現実が入り交じったような迫力のある映像を演出することができ、参列者が思わず見入ってしまう程のものである。
また、つなぎ映像とは、一の動画像から他の動画像に切り替わる際に差し込まれる動画像である。具体的には、一の動画像又は他の動画像と何らかの関連性や連続性を有するものであって、一の動画像の次に表示される他の動画像をイメージさせるような予告内容を含む動画像である。
【0010】
このとき、前記本体は、前記表示部材が設置された空間と、前記投影機及び前記スピーカーが設置された空間とを区切るための天井板を有し、前記天井板のうち、前記投影機から前記表示領域に向かって投影される映像が通過する領域となる部分には、前記映像の通り道となる開口部が形成され、前記スピーカーと、前記開口部と、前記表示部材とが、上下方向で重なる位置に配置されている、と良い。
また、前記つなぎ映像は、前記一の動画像の一端から前記一の動画像をめくり上げそのめくり上げた後の前記表示領域に前記他の動画像を表示する演出を行う、と良い。
【0011】
上記のように、見開き本の形状を模した表示部材の表示領域上に映像を投影し、その際、映像を一の動画像から他の動画像に切り替えるときに、一の動画像の一端からその一の動画像をめくり上げそのめくり上げた後の表示領域に他の動画像を表示する演出を行うつなぎ映像を投影することにより、表示部材の形状と相俟って、表示部材の表示領域上であたかも本がめくられているような演出が可能となる。
そのため、冠婚葬祭用、例えば結婚式用のセレモニーにおいて、プロジェクションマッピングを利用したより一層趣向を凝らした斬新で感動的な映像演出が可能となる。
【0012】
このとき、前記つなぎ映像は、前記表示領域上に投影されたキャラクターが前記一の動画像の一端から前記一の動画像をめくり上げるような動作を行い、前記一の動画像をめくり終わると前記キャラクターが一旦隠れるように前記演出を行う、と良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明の冠婚葬祭用映像表示装置及び冠婚葬祭用建物によれば、冠婚葬祭用のセレモニーにおいて、例えばプロジェクションマッピングを利用してより一層趣向を凝らした斬新で感動的な演出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る冠婚葬祭用映像表示装置の正面図である。
【
図2】同冠婚葬祭用映像表示装置の概要説明図である。
【
図3】同冠婚葬祭用映像表示装置の表示部材にプロジェクションマッピングの映像演出が実行された状態の一例を示す説明図である。
【
図4】同冠婚葬祭用映像表示装置の表示部材に上記映像演出が実行された状態の一例を示す説明図である。
【
図5】同冠婚葬祭用映像表示装置の表示部材に上記映像演出が実行された状態の一例を示す説明図である。
【
図6】同冠婚葬祭用映像表示装置の表示部材に上記映像演出が実行された状態の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図を参照して説明する。
本実施形態は、表面に映像を写し出すための表示領域を有する見開き本の形状を模した表示部材と、その表示部材の表示領域に向かって映像を投影する投影機と、を備え、表示部材に映像を投影する際、映像を一の動画像から他の動画像に切り替えるときに、直前に投影された一の動画像と所定の関係を有する動画像であって次に表示される他の動画像を予告する内容を示す映像、すなわち、一の動画像の一端からその一の動画像をめくり上げそのめくり上げた後の表示領域に他の動画像を表示する演出を行うつなぎ映像を投影することにより、表示部材の表示領域上であたかも本がめくられているような演出を行うことを特徴とする冠婚葬祭用映像表示装置、及び、その冠婚葬祭用映像表示装置を備えた冠婚葬祭用建物の発明に関するものである。
なお、プロジェクションマッピングとは、建物や物体、あるいは空間などの立体物の表面に映像を張り合わせるように映し出す表現手法であって、3Dマッピング、ビデオマッピング、アーキテクチャルマッピングなどとも呼ばれるものである。
【0019】
図1は、冠婚葬祭用映像表示装置10の正面図である。
図2は、冠婚葬祭用映像表示装置10を側面から見た概要説明図である。
【0020】
本実施形態の冠婚葬祭用映像表示装置10は、特に結婚式等に利用されるホテルやウェディングハウス等の建物の中、例えば、控室やロビー等に設置されるものである。
なお、冠婚葬祭用映像表示装置10が設置されたホテルやウェディングハウス等の建物が、特許請求の範囲でいう冠婚葬祭用建物に該当する。
【0021】
図1及び
図2に示すように、冠婚葬祭用映像表示装置10は、見開き本の形状を模した表示部材11と、その表示部材11に向かって映像を投影する投影機12と、所定の音楽又は効果音を流すスピーカー13と、それらの表示部材11、投影機12、スピーカー13を内部空間に収容した本体14と、本体14内部の表示部材11を本体14外部から視認可能に囲った透明なガラス板15と、を主に備えている。
【0022】
表示部材11は、見開き本の形状を模した立体物であって、上面となる部分、すなわち見開きページ部分は、映像を写し出すためのスクリーンとして機能する表示領域11aを構成している。表示領域11aは、映像を投影できるものであればよく、細かい形状、大きさ、材質は限定されないが、本実施形態では、見開き本の質感を出すために、やや湾曲して形成されている。
表示部材11は、後述する本体14が有する床板16の上に設置されている。このとき、表示領域11aが冠婚葬祭用映像表示装置10の前方向から視認し易いように、表示部材11は、前方にやや傾斜を付けて設置されている。
上記構成の表示部材11の表示領域11aに、後述する投影機12によって映像を投影することにより、あたかも見開き状態の本を見ているかのような雰囲気を醸し出すことができる。
【0023】
投影機12は、表示部材11の表示領域11aに向かって、後述する
図3〜
図6のように、表示領域11aに対応した映像を投影するプロジェクターである。投影される映像は、動画であっても良いし、静止画であっても良い。
投影機12は、本体14の上方の空間に、外部から視認できない位置に設置されている。本体14内部は、表示部材11が設置された空間と、投影機12が設置された空間とは天井板17により仕切られているが、投影機12より投影された映像が当たる箇所には、映像が通過可能なように開口部18が天井板17に形成されている。なお、この開口部18には透明なガラス板等を設置してもよい。
ここで、「表示領域11aに対応した映像を投影する」とは、立体物の表面領域に映像という素材(オブジェクト)を貼り合わせるように投影する、すなわち、プロジェクションマッピングを演出する意味合いを含むものである。
なお、投影機12の種類としては、プロジェクションマッピングを演出可能な投影機であれば、特に限定されることなく採用することが可能である。投影機12の光源はLED光源等の他、どのようなものであっても良い。また、本実施形態においては、投影機12は一台であるが、複数台設置することもできる。
【0024】
スピーカー13は、表示領域11aに投影された映像に対応して、所定の音楽又は効果音を流す音響機器である。
本実施形態では、スピーカー13も、投影機12と同様、本体14の上方の空間に、外部から視認できない位置に設置されているが、これに限定されるものではない。例えば、本体14の正面や側面等に設置することもできる。また、複数台設置することもできる。
【0025】
本体14は、内部空間に表示部材11等の物品を展示することができる一般的なショーケースであって、少なくとも、表示部材11を載せるための床板16と、表示部材11が設置された空間と投影機12が設置された空間とを区切る天井板17とを有している。天井板17には、投影機12から投影された映像の通り道となる開口部18が形成されている。本体14の外表面には、重厚感が出るような不図示の装飾が施されている。
また、本実施形態においては、参列者等が表示部材11に手を触れないように、表示部材11の周囲を透明なガラス板15で囲っている。このため、参列者は、このガラス板15越しに本体14内部に収容された表示部材11を視認することができる。ただし、このガラス板15は設けなくても構わない。
【0026】
次に、表示領域11aにプロジェクションマッピングを利用した映像を投影したときの演出内容を
図3〜
図6に基づいて説明する。
図3〜
図6は、表示部材11の表示領域11aに投影機12によってプロジェクションマッピングの映像演出が実行された状態の一例を示す説明図であり、映像は、
図3から
図4、
図5、
図6の順に推移する。
【0027】
図3には、投影機12によって、見開き本を模した表示部材11の表示領域11aに新郎新婦の思い出の写真が投影されている。具体的には、見開きの左側のページには、新郎の赤ちゃんの頃の寝顔を写した写真が映し出されている(以下、第1ページ21という。)。また、見開きの右側のページには、新郎の子供の頃の写真が映し出されている(以下、第2ページ22という。)。
なお、ここで投影される写真のデータは、事前に新郎新婦やその関係者から提供されたデータを不図示の記憶手段に記憶して利用する。
【0028】
図4に示すように、
図3に示す映像を投影後、所定時間経過すると、表示領域11a上にキャラクター25が投影されて登場する。表示領域11a上に投影されたキャラクター25は、しばらく左右のページ上を自由に動き回った後(不図示)、第2ページ22の右端を持って、その第2ページ22をめくり上げるような動作を開始する。
第2ページ22がめくり上げられた後の表示領域11aには、あたかもキャラクター25が本のページをめくっているように、次のページとなる他の写真が投影される。具体的には、第2ページ22の裏面となる位置の表示領域11aには第3ページ23の一部が投影され、第2ページ22をめくった後の領域には第4ページ24の一部が投影される。
【0029】
図5に示すように、キャラクター25が第2ページ22をめくる動作を開始すると、時間の経過と共に第1ページ21及び第2ページ22の占める領域が徐々に狭くなっていき、それに比例して、今度は第3ページ23及び第4ページ24の占める領域が徐々に広くなっていく。このとき、あたかも本のページがめくられていくように表示領域11aに投影される映像が変化していき、最終的には、第2ページ22をめくる動作をしていたキャラクター25が、第1ページ21及び第2ページ22を閉じる動作を行う。
なお、この
図4〜
図5に示すような映像が、特許請求の範囲でいうつなぎ映像に該当する。
【0030】
図6に示すように、ページを完全にめくり終わると、キャラクター25は一旦隠れ、見開きの左側のページには、第3ページ23である新郎が母親に抱かれている写真が映し出される。また、見開きの右側のページには、第4ページ24である新郎が幼少時に過ごした思い出の部屋の写真が映し出される。
以降、時間経過と共に、次々にページがめくられて異なる写真が映し出された新しいページに切り替わる。
【0031】
また、冠婚葬祭用映像表示装置10に備え付けられたスピーカー13からは、プロジェクションマッピングの映像演出は、BGMとして雰囲気に合った音楽が流れている。また、
図4〜5に示すような映像演出、すなわち、ページがめくられる映像の際には、これに連動してページがめくれるような効果音が流れる。
【0032】
これにより、この冠婚葬祭用映像表示装置10に接した参列者は、冠婚葬祭用映像表示装置10に展示された表示部材11(表示領域11a)に投影された写真を見ると、見開き本を模した表示部材11の形状も相俟って、あたかも新郎新婦の思い出のアルバムを開いて見ているような感覚となる。
また、
図4〜
図5に示すようなつなぎ映像をはさむ演出によって、参列者にとっては、ページをめくって新郎新婦の思い出のアルバムを見ているような様子を忠実に再現することが可能となる。
【0033】
本実施形態では、上記映像演出によって、結婚式においてより一層趣向を凝らしたプロジェクションマッピングによる斬新で感動的な演出が可能となる。特に、冠婚葬祭用映像表示装置10は、結婚式場内の控室やロビー等に設置されているので、式や披露宴の前後の空き時間でさえも、参列者が時間を持て余すこともなく充実して過ごすことができる。
【0034】
本実施形態では、主として本発明に係る冠婚葬祭用映像表示装置及び冠婚葬祭用建物に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。例えば、上記実施形態では、結婚式での利用について説明したが、新郎新婦の思い出の写真に代えて故人の思い出の写真を用いてプロジェクションマッピングの映像演出を実行すれば、葬式等においても同様に適用することができる。
また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0035】
10 冠婚葬祭用映像表示装置
11 表示部材
11a 表示領域
12 投影機
13 スピーカー
14 本体
15 ガラス板
16 床板
17 天井板
18 開口部
21 第1ページ
22 第2ページ
23 第3ページ
24 第4ページ
25 キャラクター