特許第6989400号(P6989400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989400
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】車両用衝撃吸収装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/40 20060101AFI20211220BHJP
   B60R 19/20 20060101ALI20211220BHJP
   B60R 19/24 20060101ALI20211220BHJP
   B60R 19/32 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   B60R19/40
   B60R19/20 B
   B60R19/24 N
   B60R19/32
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-12928(P2018-12928)
(22)【出願日】2018年1月29日
(65)【公開番号】特開2019-130948(P2019-130948A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2020年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】平尾 優介
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 尚裕
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼柳 旬一
(72)【発明者】
【氏名】北口 和章
(72)【発明者】
【氏名】宇野 巧
(72)【発明者】
【氏名】鈴森 理生
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】袋野 健一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 滋幸
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 崇至
【審査官】 金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3063859(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0200772(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102008060716(DE,A1)
【文献】 実開昭62−29982(JP,U)
【文献】 特開2004−314733(JP,A)
【文献】 米国特許第03751092(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/40
B60R 19/20
B60R 19/24
B60R 19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前部及び車両後部の少なくとも一方に設けられ、衝突荷重が入力される衝突荷重入力部材と、
前記衝突荷重入力部材の車両前後方向内側に設けられ、車両前後方向内側が開放された筒状に形成されると共に、車両前後方向外側の端部が前記衝突荷重入力部材側に接続された筒状部材と、
前記筒状部材の外周側に設けられて車両骨格部材に取り付けられると共に、前記筒状部材を車両前後方向内側の収納位置と車両前後方向外側の作動位置との間で車両前後方向に摺動可能に支持する支持部材と、
車両の衝突を検知又は予知した際に、前記筒状部材と前記支持部材とで囲まれた空間内でガスを発生させて前記筒状部材を前記作動位置へ摺動させるガス発生部と、
前記支持部材に設けられ、前記筒状部材が前記作動位置へ移動した状態で、かつ、前記空間内のガス圧が所定の圧力よりも高くなった際に外部へガスを排気するバルブと、
を有し、
前記バルブは、前記収納位置において前記筒状部材と前記支持部材とで囲まれた前記空間の外部に設けられている車両用衝撃吸収装置。
【請求項2】
前記支持部材の周壁における車両幅方向内側に外気と連通された連通部が形成されており、
前記バルブは、前記連通部の開口を開閉可能に閉塞している請求項1に記載の車両用衝撃吸収装置。
【請求項3】
前記筒状部材によって前記衝突荷重入力部材と前記車両骨格部材とが車両前後方向に連結されている請求項1又は2に記載の車両用衝撃吸収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用衝撃吸収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、サイドメンバの前端からステーを突出させることによってフロントバンパを車両前方へ移動させる車両用可動バンパ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−67341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された技術では、サイドメンバの内部に摺動可能にステーを収容し、サイドメンバ内に設けたモータを作動させてアームを開くことでステーの固定状態を解除する構成となっている。このように複雑な機構を用いてバンパを移動させる構造であるため、簡易な構造で衝突を吸収する観点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、簡易な構造で衝突を吸収することができる車両用衝撃吸収装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明に係る車両用衝撃吸収装置は、車両前部及び車両後部の少なくとも一方に設けられ、衝突荷重が入力される衝突荷重入力部材と、前記衝突荷重入力部材の車両前後方向内側に設けられ、車両前後方向内側が開放された筒状に形成されると共に、車両前後方向外側の端部が前記衝突荷重入力部材側に接続された筒状部材と、前記筒状部材の外周側に設けられて車両骨格部材に取り付けられると共に、前記筒状部材を車両前後方向内側の収納位置と車両前後方向外側の作動位置との間で車両前後方向に摺動可能に支持する支持部材と、車両の衝突を検知又は予知した際に、前記筒状部材と前記支持部材とで囲まれた空間内でガスを発生させて前記筒状部材を前記作動位置へ摺動させるガス発生部と、前記支持部材に設けられ、前記筒状部材が前記作動位置へ移動した状態で、かつ、前記空間内のガス圧が所定の圧力よりも高くなった際に外部へガスを排気するバルブと、を有し、前記バルブは、前記収納位置において前記筒状部材と前記支持部材とで囲まれた前記空間の外部に設けられている
【0007】
請求項1に記載の本発明に係る車両用衝撃吸収装置では、車両前部及び車両後部の少なくとも一方には、衝突荷重が入力される衝突荷重入力部材が設けられている。また、衝突荷重入力部材の車両前後方向内側には、筒状部材が設けられており、この筒状部材の車両前後方向外側の端部が衝突荷重入力部材側に接続されている。さらに、筒状部材の外周側には、支持部材が設けられており、この支持部材は車両骨格部材に取り付けられている。ここで、支持部材は、筒状部材を車両前後方向内側の収納位置と車両前後方向外側の作動位置との間で車両前後方向に摺動可能に支持している。さらにまた、車両の衝突を検知又は予知した際にガスを発生させるガス発生部が設けられており、このガス発生部によって筒状部材と支持部材とで囲まれた空間内でガスが発生されて筒状部材を前記作動位置へ摺動させる。これにより、衝突荷重入力部材が作動位置へ摺動され、衝突時の衝撃を吸収することができる。
【0008】
また、支持部材にはバルブが設けられており、このバルブは、筒状部材が作動位置へ移動した状態で、筒状部材と支持部材とで囲まれた空間内のガス圧が所定の圧力よりも高くなった際に外部へガスを排気するように構成されている。これにより、ガス圧が上昇して衝突荷重入力部材や筒状部材などが破断するのを抑制することができる。なお、上記の「車両前後方向内側」とは、車両前後方向の中央に向かう方向を指しており、例えば、車両前部に衝突荷重入力部材が設けられている場合における「衝突荷重入力部材の車両前後方向内側」とは、衝突荷重入力部材の車両後方側を指す。また、車両後部に衝突荷重入力部材が設けられている場合における「衝突荷重入力部材の車両前後方向内側」とは、衝突荷重入力部材の車両前方側を指す。一方、上記の「車両前後方向外側」とは、車両前後方向の中央に向かう方向とは逆方向を指す。
請求項2に記載の本発明に係る車両用衝撃吸収装置は、請求項1において、前記支持部材の周壁における車両幅方向内側に外気と連通された連通部が形成されており、前記バルブは、前記連通部の開口を開閉可能に閉塞している。
請求項3に記載の本発明に係る車両用衝撃吸収装置は、請求項1又は2において、前記筒状部材によって前記衝突荷重入力部材と前記車両骨格部材とが車両前後方向に連結されている。
【発明の効果】
【0009】
以上、説明したように、本発明に係る発明によれば、簡易な構造で衝突を吸収することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る車両用衝撃吸収装置が適用された車両前部の要部を示す平面図である。
図2】実施形態に係る車両用衝撃吸収装置が適用された車両のフロントサイドメンバの前端部を一部破断して示す拡大平面図であり、作動する前の通常状態が示された図である。
図3】実施形態に係る車両用衝撃吸収装置が適用された車両のフロントサイドメンバの前端部を一部破断して示す拡大平面図であり、作動した作動状態が示された図である。
図4図3の状態からガスが排気されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1〜4を参照して、実施形態に係る車両用衝撃吸収装置10について説明する。なお、各図に適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印RHは車両右側を示している。また、以下の説明で特記なく前後、上下、左右の方向を用いる場合は、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下、進行方向を向いた場合の左右を示すものとする。
【0012】
図1に示されるように、本実施形態に係る車両用衝撃吸収装置10は、車両12の前部に適用されており、この車両12の前部には、衝突荷重入力部材としてのフロントバンパリインフォースメント14が設けられている。フロントバンパリインフォースメント14は、車両前後方向を厚み方向として車両幅方向に延在されており、このフロントバンパリインフォースメント14の車両幅方向の両端部は、車両後方側へ緩やかに湾曲されている。そして、車両12の前面衝突時には、このフロントバンパリインフォースメント14で衝突体を受けるため、フロントバンパリインフォースメント14に衝突荷重が入力される。
【0013】
フロントバンパリインフォースメント14の車両後方側には、フロントサイドメンバ16が設けられている。フロントサイドメンバ16は、車両前後方向に延在されており、閉断面構造とされた骨格部材である。そして、フロントサイドメンバ16は、フロントバンパリインフォースメント14の車両幅方向両端部の後方側に左右一対設けられている。そして、フロントバンパリインフォースメント14とフロントサイドメンバ16との間には、車両用衝撃吸収装置10が設けられており、本実施形態では、車両用衝撃吸収装置10が左右一対設けられている。なお、車両右側の車両用衝撃吸収装置10と車両左側の車両用衝撃吸収装置10とは左右対称の構造であるため、以下の説明では、車両左側の車両用衝撃吸収装置10について説明し、車両右側の車両用衝撃吸収装置10の説明を省略する。
【0014】
図2に示されるように、車両用衝撃吸収装置10は、主として、支持部材18と、筒状部材20と、連結部材22と、ガス発生部としてのインフレータ24と、バルブ28とを含んで構成されている。
【0015】
支持部材18は、車両前後方向を軸方向とする略筒状の部材であり、支持部材18の後端部は、フロントサイドメンバ16の前端部に接合されている。具体的には、支持部材18の後端部から外周側へフランジ部18Aが延出されている。一方、フロントサイドメンバ16の前端部から外周側にフランジ部16Aが延出されている。そして、支持部材18側のフランジ部18Aとフロントサイドメンバ16側のフランジ部16Aとは対応する形状に形成されて車両前後方向に重ね合わされている。そして、フランジ部18Aとフランジ部16Aとが周方向に複数カ所で締結されることで、支持部材18の後端部がフロントサイドメンバ16に取り付けられている。
【0016】
また、支持部材18における車両前方側の周壁には、外部と連通された連通部18Bが形成されている。連通部18Bは、支持部材18の周壁における車両幅方向内側に形成されており、この周壁から略筒状に突設して形成されている。そして、この連通部18Bの開口18Cが後述するバルブ28によって開閉可能に閉塞されている。ここで、図2の状態(車両用衝撃吸収装置10が作動する前の通常状態)では、バルブ28によって開口18Cが閉塞されているため、支持部材18の内部空間19と外部空間とが遮断された状態となっている。
【0017】
支持部材18の前端部には、挿通孔18Dが形成されている。挿通孔18Dは、車両正面から見て略円形に形成されており、この挿通孔18Dには筒状部材20が挿通可能とされている。筒状部材20は、車両前後方向を軸方向として軸方向両端側が開口された略筒状に形成されており、図2に示される通常状態では、筒状部材20が支持部材18の内部に収容されている。また、筒状部材20の後端部にはフランジ部20Aが設けられている。フランジ部20Aは、筒状部材20の後端部から外周側へ延出されており、このフランジ部20Aの外縁が支持部材18の内周面に摺動可能に当接されている。さらに、筒状部材20の前端部は、支持部材18の挿通孔18Dに挿通された状態で連結部材22に突き当てられており、連結部材22に接合されている。なお、これに限らず、筒状部材20を前端側が閉じた有底筒状に形成し、この底部を連結部材22に接合してもよい。
【0018】
以上のようにして、筒状部材20の内側の空間19は、筒状部材20と支持部材18とで閉塞された空間となっている。また、筒状部材20の外周側に設けられた支持部材18によって筒状部材20が車両前後方向に摺動可能に支持されている。ここで、図2に示されるように、車両用衝撃吸収装置10が作動する前の通常状態では、筒状部材20が最も車両後方側(車両前後方向内側)の収納位置に配置されている。そして、図示しないストッパ機構によって収納位置から筒状部材20が移動しないように係止されている。一方、図3に示されるように、後述する車両用衝撃吸収装置10のインフレータ24が作動した作動状態では、筒状部材20が最も車両前方側(車両前後方向外側)の作動位置まで移動する。すなわち、支持部材18は、筒状部材20を収納位置と作動位置との間で摺動可能に支持している。
【0019】
連結部材22は、筒状部材20とフロントバンパリインフォースメント14とを連結する部材であり、平面視で略矩形状に形成されている。そして、この連結部材22の前端部がフロントバンパリインフォースメント14の後面に接合されており、連結部材22の後端部が筒状部材20の前端部に接合されている。
【0020】
図2に示されるように、支持部材18の内部には、インフレータ24が設けられている。本実施形態のインフレータ24は、支持部材18の後端側の内壁に取り付けられており、筒状部材20と支持部材18とで閉塞された空間19内に配置されている。また、インフレータ24は、図示しない着火部とガス発生部とを備えており、作動することで着火されてガス発生部からガスが発生し、空間19内にガスが供給される。
【0021】
インフレータ24は、制御部であるECU(Electronic Control Unit)26と電気的に接続されている。また、ECU26は、図示しない衝突センサや衝突予知センサなどのセンサ29と電気的に接続されている。そして、ECU26は、センサ29からの信号に基づいて車両の衝突を検知又は予知した際に、インフレータ24を作動させてガスを発生させ、筒状部材20と支持部材18とで囲まれた空間19内にガスを供給する。これにより、空間19内のガス圧が上昇して筒状部材20が作動位置まで車両前方側へ摺動され、図3の状態となる。なお、このとき、ECU26は、インフレータ24を作動させる前に図示しないストッパ機構による筒状部材20の係止状態を解除するようにしてもよい。
【0022】
図3の状態では、筒状部材20のフランジ部20Aが支持部材18の前端側の内壁に当接した状態となっている。そして、この状態では、筒状部材20と支持部材18とで閉塞された空間19にバルブ28が位置することとなる。ここで、バルブ28は、空間19内のガス圧が所定の圧力よりも高くなった際に開弁して支持部材18の外部へガスを排気するように構成されている。このため、図3のように筒状部材20が作動位置へ移動した状態で、インフレータ24から発生したガスによって空間19のガス圧が高くなり、所定の圧力を超えると、図4に示されるように、バルブ28が開弁する。そして、空間19内のガスが連通部18Bの開口18Cを通じて外部へ排気される。また、排気によってガス圧が下がり、所定の圧力よりも低くなると、バルブ28が閉弁される。なお、バルブ28としては、圧力の上昇によって開弁される機械式のバルブを用いてもよく、空間19内の圧力を検知するセンサからの信号に基づいて電気的に開弁される電磁弁などを用いてもよい。
【0023】
(作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0024】
本実施形態に係る車両用衝撃吸収装置10では、車両の衝突を検知又は予知した際にECU26からの信号に基づいてインフレータ24からガスが発生される。そして、空間19内のガス圧が上昇することで、筒状部材20が支持部材18に支持された状態で図2の収納位置から図3の作動位置へ摺動される。これにより、連結部材22を介して筒状部材20に連結されたフロントバンパリインフォースメント14が車両前方側へ移動され、車両用衝撃吸収装置10を備えていない場合よりも車両前方側で衝突体をフロントバンパリインフォースメント14に衝突させることができる。
【0025】
また、衝突体の衝突によってフロントバンパリインフォースメント14が筒状部材20の内部のガス圧に抗して車両後方側へ移動される。このため、フロントバンパリインフォースメント14が移動する過程で衝突エネルギを吸収することができる。このようにして、衝突時の衝撃を吸収することができる。
【0026】
また、支持部材18にバルブ28が設けられており、このバルブ28は、筒状部材20が作動位置へ移動した状態で、筒状部材20と支持部材18とで囲まれた空間19内のガス圧が所定の圧力よりも高くなった際に外部へガスを排気する(図4参照)。これにより、空間19内のガス圧が上昇してフロントバンパリインフォースメント14や筒状部材20などが破断するのを抑制することができる。
【0027】
以上、本発明の実施形態及び変形例に係る車両用衝撃吸収装置10について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、本実施形態では、車両前部に車両用衝撃吸収装置10を設けたが、これに限定されず、車両後部に車両用衝撃吸収装置を設けてもよい。この場合、リアサイドメンバの後端部とリアバンパリインフォースメントとの間に車両用衝撃吸収装置を取り付けることで、車両の後面衝突が検知又は予知された際に車両用衝撃吸収装置を作動させてリアバンパリインフォースメントを車両後方側へ移動させることができる。また、車両前部及び車両後部の両側に車両用衝撃吸収装置を設けてもよい。
【0028】
また、本実施形態では、図1に示されるように、左右一対のフロントサイドメンバ16とフロントサイドメンバ16との間にそれぞれ車両用衝撃吸収装置10を設けたが、これに限定されない。例えば、一方のフロントサイドメンバ16とフロントバンパリインフォースメント14との間に車両用衝撃吸収装置10を設け、他方のフロントサイドメンバ16とフロントバンパリインフォースメント14との間には、インフレータ24を備えない構造としてもよい。この場合であっても、フロントバンパリインフォースメント14を車両前方へ移動可能に支持することにより、車両用衝撃吸収装置10の作動時にフロントバンパリインフォースメント14を車両前方側へ移動させることができる。
【符号の説明】
【0029】
10 車両用衝撃吸収装置
14 フロントバンパリインフォースメント(衝突荷重入力部材)
16 フロントサイドメンバ(車両骨格部材)
18 支持部材
20 筒状部材
24 インフレータ(ガス発生部)
28 バルブ
図1
図2
図3
図4