【実施例】
【0028】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何らの制限を受けるものではない。
【0029】
[実施例1]
<導電性布帛の作製>
布帛(ポリエステル織物、経糸:ポリエステル加工糸(33dtex)、緯糸:ポリエステル加工糸(69dtex)、平織り(織り密度:経189本/2.54cm、緯120本/2.54cm))の片面に日栄化工株式会社製保護フィルムPET75−RC611を貼りあわせて布帛の片面を保護した。上記布帛を塩化パラジウム0.3g/L、塩化第一錫30g/L、36%塩酸300mL/Lを含む水溶液に常温で30秒間浸漬後、充分に水洗しすることで布帛の表面に塩化パラジウムを付与した。次に、酸濃度0.1Nのホウ弗化水素酸水溶液に40℃で1分間浸漬後、充分に水洗することで塩化パラジウムを還元した。次に、PET75−RC611を剥がし、塩化第二銅9g/L、37%ホルマリン9mL/L、32%水酸化ナトリウム40mL/L、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン20g/L及び安定化剤を含む水溶液に40℃で15分間浸漬後、充分に水洗することで布帛上に銅被膜を形成した。最後に、得られた銅被覆布帛を大和化成株式会社製電解銀めっき浴ダインシルバーGPE-ST15に浸漬し、電流密度2A/dm
2、常温で1.5分間通電し、充分に水洗する事で銅被覆上に銀被覆が形成された導電性布帛を得た。得られた導電性布帛の原子吸光分析による金属被覆量は銅:30g/m
2、銀:5g/m
2であった。三菱ケミカルアナリテック製抵抗率計ロレスタMCP−T360によるシート抵抗値は0.017Ω/□(スクエア)であった。
【0030】
<回路布帛の作製>
上記導電性布帛の非金属被覆面にシーダム株式会社製ウレタン系ホットメルトシート(商品名:エセランSHM−101PUR)を重ね、株式会社ハシマ製エアー駆動式全自動転写用プレスHP−4536A−12で130℃、0.5MPa、30秒間熱プレスして貼り合わせた。次に、Gravotech社製レーザ裁断機LS900で回路パターンを切り出すことで接着層付き回路布帛を得た。回路パターンは、電源用として幅2mm、長さ300mmの直線パターンと、信号用として幅1mm、長さ300mmの直線パターンと、GND用として幅2mm、長さ300mmの直線パターンを電源用/信号用/GND用の順に間隔1mmで平行になるように並べた。
【0031】
<第一防水性樹脂層の形成>
基布として宇仁繊維株式会社製ポリエステルオーガンジーKK2040の上に、回路布帛の非金属被覆面を被覆するための第一防水性樹脂層としてJIS K7161による10%伸長時の引張応力が0.76MPaであり、厚みが170μmであるシーダム株式会社製ポリウレタンシート(商品名:ハイグレスDUS202、厚み100μm)とシーダム株式会社製ウレタン系ホットメルトシート(商品名:エセランSHM101PUR、厚み70μm)の積層品を重ね、さらにその上に回路布帛を重ね、さらにその上に部品実装用の開口部を設けた金属被覆面を被覆するための第一防水性樹脂層ハイグレスDUS202(厚み100μm)/エセランSHM101PUR(厚み70μm)の積層品を重ね、株式会社ハシマ製エアー駆動式全自動転写用プレスHP−4536A−12で130℃、0.5MPa、30秒間熱プレスして貼り合わせることで、第一防水性樹脂層を形成した回路基布を得た。部品実装用の開口部は回路の延伸方向30mm毎に5050サイズのシリアルフルカラーLEDチップと3216サイズのチップコンデンサを実装できるように形成した。
【0032】
<部品の実装>
回路基布の部品実装用開口部に露出している金属被覆面に、接合部材としてデュポンエレクトロニクスマテリアル社製銀ペーストPE873を、ディスペンサーを用いて塗布し、さらにその上に5050サイズのWorldSemi社製シリアルフルカラーLEDチップWS2812Bと3216サイズの0.1μFチップコンデンサを設置し、熱風循環乾燥炉で80℃、30分加温することで銀ペーストに含まれる溶剤を除去し、部品と回路基布を電気的に接合した。
【0033】
<第二防水性樹脂層の形成>
95質量部のSARTOMER社製ウレタンアクリレートオリゴマーCN981と、5質量部のBASF社製光重合開始剤IRGACURE184とを混合してUV硬化性アクリル樹脂組成物を得た。次に上記UV硬化性樹脂組成物を、ディスペンサーを用いて回路基布と部品(LEDチップとチップコンデンサ)の導電部が完全に覆われるように塗布した。次に波長365nmのUVLEDライトで積算光量10,000mJ/cm
2照射して硬化させることにより第二防水性樹脂層を形成した。
【0034】
<発光部材の柔軟性の評価>
発光部材を幅10mm(余白幅1.5mm/電源回路幅2mm/スペース幅1mm/信号回路幅1mm/スペース幅1mm/GND回路幅2mm/余白幅1.5mm)、長さ300mmで切り出した。次に切り出した発光部材を株式会社島津製作所製引張試験機EZtestCEに装着し、回路伸延方向に50mm圧縮する際の応力を測定し、柔軟性の指標とした。評価基準は○:0.1N未満、×:0.1N以上とした。結果を表1に示す。
【0035】
<発光部材の防水性の評価>
第一の防水性樹脂層および第二の防水性樹脂層の防水性の評価方法に従い、発光部材の防水性を評価した。評価基準は○:電流量が1mA未満、×:電流量が1mA以上とした。結果を表1に示す。
【0036】
[実施例2]
第二防水性樹脂層の形成方法を以下に示すエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いる方法に変えた以外は実施例1と同じ方法で発光部材を作製し柔軟性と防水性を評価した。
【0037】
<第二防水性樹脂層の形成>
太洋電気産業株式会社製エチレン−酢酸ビニル共重合体の棒状成型品(商品名:ホットスティックHB−40S)をグルーガンで加熱溶融しながら回路布帛と部品の導電部が完全に覆われるように塗布した。次に室温まで放冷することで固化させ第二防水性樹脂層を形成した。
【0038】
[実施例3]
<回路布帛の作製>
第一防水性樹脂層となるJIS K7161による10%伸長時の引張応力が0.76MPaであり、厚みが170μmであるシーダム株式会社製ポリウレタンシート(商品名:ハイグレスDUS202、厚み100μm)とシーダム株式会社製ウレタン系ホットメルトシート(商品名:エセランSHM101PUR、厚み70μm)の積層品に太陽インキ製造株式会社製銀ペースト(品番TR70901)を乳剤厚み15μm、ステンレス150メッシュ、線径60μmの版でスクリーン印刷した。その後、熱風循環乾燥炉で130℃、30分間乾燥することで、回路パターンを形成した。得られた回路パターンを、基布である宇仁繊維株式会社製ポリエステルオーガンジーKK2040の上に重ね、株式会社ハシマ製エアー駆動式全自動転写用プレスHP−4536A−12で130℃、0.5MPa、30秒間熱プレスして貼り合わせることで回路基布を得た。
【0039】
<第一防水性樹脂層の形成>
得られた回路基布に部品実装用の開口部を設けた金属被覆面を被覆するための第一防水性樹脂層ハイグレスDUS202(厚み100μm)/エセランSHM101PUR(厚み70μm)の積層品を重ね、株式会社ハシマ製エアー駆動式全自動転写用プレスHP−4536A−12で130℃、0.5MPa、30秒間熱プレスして貼り合わせることで、第一防水性樹脂層を形成した回路基布を得た。部品実装用の開口部は回路の延伸方向30mm毎に5050サイズのシリアルフルカラーLEDチップと3216サイズのチップコンデンサを実装できるように形成した。
【0040】
<部品の実装>
回路基布の部品実装用電極に、接合部材としてデュポンエレクトロニクスマテリアル社製銀ペーストPE873を、ディスペンサーを用いて塗布し、さらにその上に5050サイズのWorldSemi社製シリアルフルカラーLEDチップWS2812Bと3216サイズの0.1μFチップコンデンサを設置し、熱風循環乾燥炉で80℃、30分加温することで銀ペーストに含まれる溶剤を除去し、部品と回路基布を電気的に接合した。
【0041】
<第二防水性樹脂層の形成>
95質量部のSARTOMER社製ウレタンアクリレートオリゴマーCN981と、5質量部のBASF社製光重合開始剤IRGACURE184とを混合してUV硬化性アクリル樹脂組成物を得た。次に上記UV硬化性樹脂組成物を、ディスペンサーを用いて回路基布と部品の導電部が完全に覆われるように塗布した。次に波長365nmのUVLEDライトで積算光量10,000mJ/cm2照射することで硬化させることで第二防水性樹脂層を形成した。
【0042】
[実施例4]
部品の実装方法を以下に示すはんだによる接合に変えた以外は実施例1と同じ方法で発光部材を作製し柔軟性と防水性を評価した。
【0043】
<部品の実装>
回路基布の部品実装用電極に、接合部材として株式会社ニホンゲンマ製はんだペーストSB6−HLGQ−20を厚み100μmのステンシルで印刷し、さらにその上に5050サイズのWorldSemi社製シリアルフルカラーLEDチップWS2812Bと3216サイズの0.1μFチップコンデンサを設置し、160℃に加熱したホットプレート上に置いて加熱、はんだペーストをリフローさせることで部品と回路基布を電気的に接合した。
【0044】
[比較例1]
幅10mm、長さ300mm、二層フレキシブル基板上にシリアルフルカラーLEDが実装された市販の帯状フレキシブル発光部材(ピースコーポレーション製NeoPixel RGB TAPE 1907−04)の柔軟性と防水性を評価した。
【0045】
[比較例2]
幅10mm、長さ300mm、二層フレキシブル基板上にシリアルフルカラーLEDが実装された市販の帯状フレキシブル発光体がシリコーンゴム製チューブに挿入された発光部材(ピースコーポレーション製シリコン防水 NeoPixel RGB TAPE 9769−02)の柔軟性と防水性を評価した。
【0046】
【表1】