(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989406
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】金属製ボトル
(51)【国際特許分類】
B21D 51/38 20060101AFI20211220BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20211220BHJP
B65D 1/16 20060101ALI20211220BHJP
B65D 8/02 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
B21D51/38 E
B65D1/02 212
B65D1/16
B65D8/02 C
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-23901(P2018-23901)
(22)【出願日】2018年2月14日
(62)【分割の表示】特願2016-249240(P2016-249240)の分割
【原出願日】2016年12月22日
(65)【公開番号】特開2018-103265(P2018-103265A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年11月15日
【審判番号】不服2021-5544(P2021-5544/J1)
【審判請求日】2021年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藍原 武志
(72)【発明者】
【氏名】田村 政臣
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 健
(72)【発明者】
【氏名】中村 友彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 尚也
(72)【発明者】
【氏名】篠島 信宏
【合議体】
【審判長】
刈間 宏信
【審判官】
松原 陽介
【審判官】
田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−148403(JP,A)
【文献】
特開2004−35036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 51/38, B65D 1/02, B65D 1/16, B65D 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状のボトル本体の上部に口金部を有し、該口金部にねじ部を有すると共に、前記口金部の先端にカール部を有する金属製ボトルであって、
完全ねじ部における、前記ねじ部の底部を連ねた直線と先端側から一段目のねじ山の頂部との距離であるねじ山の高さが、前記直線と先端側から二段目のねじ山の頂部との距離であるねじ山の高さより高く、前記一段目のねじ山の頂部とボトル軸との距離と、前記二段目のねじ山の頂部と前記ボトル軸との距離が略等しいことを特徴とする金属製ボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ部を有する金属製ボトルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属製ボトルは、有底筒状のボトル本体の上部に口金部を有し、その口金部にねじ式の金属製キャップを被着するものが、飲料製品などのキャップ付き容器として普及している。このような金属製ボトルは、ボトル本体を絞り加工、絞り−しごき加工等を施して有底筒状に形成し、上部を一端縮径して口金部を形成し、この口金部にねじ成形装置によってねじ部を形成している。
【0003】
この際に用いられるねじ成形装置は、口金部の内周面に当接する中子と、口金部の外周面に当接する外子によって、口金部の外周に山部と谷部を有するねじ部を形成する。また、このような金属製ボトルにおける口金部の先端部には、カール成形装置によって、先端を外側に折り返したカール部が形成されている。
【0004】
このような従来の金属製ボトルは、口金部にねじ部を形成した後にカール部などを形成する後加工を行うため、後加工による軸方向圧縮荷重により、後加工後にカール部に近い一段目のねじ山の頂部が他のねじ山の頂部より外側に突出する変形を起こし、キャップの開閉を円滑に行うことができなくなる問題があり、これに対する回避案が提案されている。例えば、下記特許文献1の従来技術では、ねじ部の一段目のねじ山(カール部に近いねじ山)の高さを、所定の角度範囲で他段目のねじ山の高さより低く形成し、口金部の先端にカール部を形成した後に、ねじ部の一段目のねじ山の高さと他段目のねじ山の高さが略同等になるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−87071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来技術によると、金属製ボトルのねじ部の形成時には、一段目のねじ山の高さを低く形成しておき、後加工でカール部を成形する際の変形によって、ねじ部の一段目のねじ山の高さと他段目のねじ山の高さを略同等の高さとしている。
そして、このような金属製ボトルに内容物を充填後、金属製キャップ(ねじ加工前のカップ状キャップ)を金属製ボトルの口金部に被せ、ねじ加工ロールでキャップを口金部のねじ部の形状に応じた形状にキャッピング加工して被着、密封される。
【0007】
このように、キャップが金属製ボトルの口金部のねじ部の形状に応じた形状に被着されるが、キャップ付き容器として、ねじ式のキャップの円滑な開閉を保ちつつ、内容物のレトルト殺菌時や炭酸飲料充填時などの内圧が高くなる場合のねじ部によるキャップの密封性(保持力)、キャッピング加工のしやすさ、キャップ再栓の操作性の向上、落下衝撃耐性の向上などがより一層望まれている。
【0008】
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものである。すなわち、口金部にねじ部を有する金属製ボトルにおいて、ねじ式のキャップの円滑な開閉を保ちつつ、ボトルの内圧が高くなる場合にねじ部によるキャップの密封が確実に行われ、キャッピング加工のしやすさ、キャップ再栓の操作性の向上、落下衝撃耐性の向上などが可能な金属製ボトルを得ること、などが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
【0010】
有底筒状のボトル本体の上部に口金部を有し、該口金部にねじ部を有すると共に、前記口金部の先端にカール部を有する金属製ボトルであって、完全ねじ部における
、前記ねじ部の底部を連ねた直線と先端側から一段目の
ねじ山の頂部との距離であるねじ山の高さが、
前記直線と先端側から二段目の
ねじ山の頂部との距離であるねじ山の高さより高く、前記一段目のねじ山の頂部とボトル軸との距離と、前記二段目のねじ山の頂部と前記ボトル軸との距離が略等しいことを特徴とする金属製ボトル。
【発明の効果】
【0011】
本発明の金属製ボトルによれば、ねじ式のキャップの円滑な開閉を保ちつつ、ボトルの内圧が高くなる場合にねじ部によるキャップの密封が確実に行われ、キャッピング加工のしやすさ、キャップ再栓の操作性の向上、落下衝撃耐性の向上などが可能な金属製ボトルを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る金属製ボトルの全体構成を示した説明図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る金属製ボトルの口金部にねじ部を形成した状態を示した説明図(部分断面図)である。
【
図3】本発明の実施形態に係る金属製ボトルの口金部にねじ部を形成した後にカール部を形成した状態を示した説明図(部分断面図)である。
【
図4】本発明の他の実施形態を示した説明図である((a)が口金部にねじ部を形成してカール部を形成する前の状態、(b)が口金部にねじ部を形成した後にカール部を形成した状態を示している。)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0014】
図1に示すように、金属製ボトル1は、ボトル本体1Aの上部にボトル軸Oと同軸の口金部2を有している。そして、口金部2には、ねじ部3が形成され、また、口金部2の先端にはカール部4が形成されている。口金部2におけるねじ部3とカール部4の形成は、前述したように、ねじ成形装置とカール成形装置が用いられる。
【0015】
ねじ成形装置は、口金部2の内周面に中子を当接し、口金部2の外周面に外子を当接することで、口金部2の外周にねじ部3を形成する。カール成形装置は、口金部2にねじ部3を形成した後に、口金部2の先端にカール形状の型を押し当てて、口金部2の先端を外側に折り返してカール部4を形成する。
【0016】
金属製ボトル1の口金部2には、キャップ5が被着される。キャップ5は、例えば、キャップ本体5Aの下部に、スコア部5Bとブリッジ部5Cとリング部5Dを有している。キャップ5は、金属製ボトル1内に内容物を充填した後に被着され、図示省略のキャッピング装置によって、口金部2に設けたねじ部3に沿ってキャップ本体5Aにねじ加工が施され、リング部5Dがねじ部3の下側にかしめ加工されるアルミニウム等の金属板から成る金属製キャップである。
【0017】
図2は、金属製ボトル1の口金部2におけるねじ部3の形成状態を示している。ねじ部3は、図示の断面において、先端側から一段目のねじ山3Aと二段目のねじ山3Bが少なくとも形成されている。一段目のねじ山3Aと二段目のねじ山3Bは、それぞれ、外側に突出した頂部30と内側に突出した底部31を備えている。
【0018】
そして、金属製ボトル1の口金部2においては、後述するねじ部3の完全ねじ部における一段目のねじ山3Aの高さT1と、二段目のねじ山3Bの高さT2が略等しく、一段目のねじ山3Aの頂部30とボトル軸Oとの距離R1が、二段目のねじ山3Bの頂部30とボトル軸Oとの距離R2より小さく(R1<R2)形成されている。
【0019】
ここで、「ねじ山の高さ」を、ねじ部3(ねじ山3A,3B)において、底部31を連ねた線Lと頂部30との距離の最大値と定義する。また、ねじ部3は、ねじ始点から徐々にねじ山が高くなって略一定のねじ山の高さになるが、ねじ始点から徐々にねじ山が高くなっている範囲を不完全ねじ部、略一定のねじ山の高さの範囲を完全ねじ部と定義する。
図2においては、ねじ部3の一段目のねじ山3Aの高さが、頂部30と直線Lとの距離T1であり、二段目のねじ山3Bの高さが、頂部30と直線Lとの距離T2になる。本発明の実施形態においては、略等しく(等しくも含む)、(T1≒T2、T1=T2)なるように形成されている。
【0020】
図3は、金属製ボトル1の口金部2におけるカール部4の形成状態を示している。前述したように、カール部4はねじ部3の形成後に形成される。このため、カール部4のカール加工後は、ねじ部3、特に一段目のねじ山3Aは外側に突出するように変形することになる。そして、カール部4の形成後には、ねじ部3の一段目のねじ山3Aの頂部30とボトル軸Oとの距離R1’と、二段目のねじ山3Bの頂部30とボトル軸Oとの距離R2’ が略等しく(等しくも含む)、(R1’≒R2’、R1’=R2’)形成される。
【0021】
このような構成を有する本発明の実施形態によると、ねじ部3の形成後でカール部4の形成前の状態では、ねじ部3の一段目のねじ山3Aの頂部30とボトル軸Oとの距離R1が、二段目のねじ山3Bの頂部30とボトル軸Oとの距離R2より小さく(R1<R2)形成されている。このため、カール部4の形成時にねじ部3の一段目のねじ山3Aが拡径変形した場合にも、ねじ山3Aの頂部30がねじ山3Bの頂部30より外側に突出するのを防ぐことができる。これによって、キャップ5の開閉操作を円滑に行うことが可能になる。
【0022】
そして、ねじ部3の形成後でカール部4の形成前の状態で、ねじ部3の一段目のねじ山3Aの高さ(距離T1)と、二段目のねじ山3Bの高さ(距離T2)が略等しく(等しくも含む)(T1≒T2、T1=T2)形成されているので、カール部4の形成後には、一段目のねじ山3Aが拡径変形することで、一段目のねじ山3Aの高さ(距離T1’)が、二段目のねじ山3Bの高さ(距離T2’)より高く形成されることになる(T1’>T2’)。これによって、キャップ5を被着した状態で、一段目のねじ山3Aの高さ(距離T1’)を十分に高く設定でき、ボトル内圧が高い場合にも、ねじ部3によるキャップ5の密封性を十分に確保することができる。
【0023】
また、ねじ部3の一段目のねじ山3Aの高さを比較的高くすることで、ねじ谷を深くすることができるので、キャッピング加工時に、キャッピング装置の加工ローラがねじ谷に入り易くなり、キャッピング加工がし易くなる。
【0024】
更には、ねじ部3の一段目のねじ山3Aの高さを比較的高くすることで、キャップ5を再栓する際に、キャップ5がねじ山を探しやすくなるので、再栓の操作を円滑に行うことが可能になる。
【0025】
また、
図3に示すように、本発明の実施形態に係る金属製ボトル1は、ボトル軸Oに対してねじ部3の底部31を連ねた線Lが上に行く程中心寄りに傾斜している。これによって、金属製ボトル1全体の軸荷重強度が増すことになり、変形し難く、口金部2に形成されたねじ部3の落下時の衝撃耐性を高めることができる。
【0026】
なお、前述した実施形態では、ねじ部3は一段目のねじ山3Aと二段目のねじ山3Bを有する例を示しているが、本発明におけるねじ部3は、
図4に示すように、三段目以上にねじ部(ねじ山)を備えるものであってもよい。
【0027】
図4は、ねじ部3が一段目のねじ山3Xと二段目のねじ山3Yと三段目のねじ山3Zを備える例を示してる。この例では、
図4(a)に示すカール加工前は、三段のねじ山3X,3Y,3Zのねじ山の高さT01,T02,T03の関係は、(T01≒T02≒T03、T01=T02=T03)になっている。また、ねじ山3X,3Y,3Zの頂部30とボトル軸Oとの距離R01,R02,R03の関係は、(R01<R02≒R03、R01<R02=R03)になっている。
【0028】
そして、
図4(b)に示すカール部4を形成するカール加工後には、三段のねじ山3X,3Y,3Zのねじ山の高さT01’,T02’,T03’の関係は、(T01’>T02’≒T03’、T01’>T02’ =T03’)になり、ねじ山3X,3Y,3Zの頂部30とボトル軸Oとの距離R01’,R02’,R03’の関係は、(R01’≒R02’≒R03’、R01’=R02’ =R03’)になっている。
【0029】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る金属製ボトルの製造方法は、ねじ式のキャップの円滑な開閉を保ちつつ、ボトルの内圧が高くなる場合にねじ部によるキャップの密封が確実に行われ、キャッピング加工のしやすさ、キャップ再栓の操作性の向上、落下衝撃耐性の向上などが可能な金属製ボトルを容易に製造することができる。また、前述した実用的に有利な効果を呈する金属製ボトルとすることができる。
【符号の説明】
【0030】
1:金属製ボトル,1A:ボトル本体,2:口金部,
3:ねじ部,4:カール部,5:キャップ,5A:キャップ本体,
5B:スコア部,5C:ブリッジ部,5D:リング部,
30:頂部,31:底部