(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
顔料(P0)がポリウレタン樹脂(U)で被覆されてなる顔料(P)の水分散体であって、ポリウレタン樹脂(U)がポリエステルジオール(A1)、ポリカーボネートジオール(A2)、及びポリエーテルジオール(A3)からなる群より選ばれる1種以上のポリオール(A)、脂肪族ジイソシアネート(B1)及び/又は脂環式ジイソシアネート(B2)、並びにカルボキシル基及び/又はカルボキシレートアニオン基を有するジオール(D)を必須構成単量体とし、ポリウレタン樹脂(U)の重量に基づくカルボキシル基とカルボキシレートアニオン基の合計の含有量が4〜80mg/gであり、ポリウレタン樹脂(U)と顔料(P0)との合計重量に基づいて顔料(P0)の含有量が10〜40重量%であるポリウレタン樹脂被覆顔料水分散体(R)。
脂肪族ジイソシアネート(B1)及び脂環式ジイソシアネート(B2)に含まれるイソシアネート基と、ポリエステルジオール(A1)、ポリカーボネートジオール(A2)及びジオール(D)に含まれる水酸基との当量比(NCO/OH)が1.2〜1.8である請求項1に記載の顔料水分散体。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明におけるポリウレタン樹脂被覆顔料水分散体(R)は、顔料(P0)がポリウレタン樹脂(U)で被覆されてなる顔料(P)の水分散体であって、ポリウレタン樹脂(U)がポリエステルジオール(A1)、ポリカーボネートジオール(A2)、及びポリエーテルジオール(A3)からなる群より選ばれるポリオール(A)、脂肪族ジイソシアネート(B1)及び/又は脂環式ジイソシアネート(B2)、並びにカルボキシル基及び/又はカルボキシレートアニオン基を有するジオール(D)を必須構成単量体とし、ポリウレタン樹脂(U)の重量に基づくカルボキシレート アニオン基の含有量が4〜80mg/gである。
【0008】
本発明のポリウレタン樹脂(U)に用いる本発明のポリオール(A)は、ポリエステルジオール(A1)、ポリカーボネートジオール(A2)、ポリエーテルジオール(A3)、及びこれらの併用が挙げられる。
【0009】
本発明のポリエステルジオール(A1)としては、縮合型ポリエステルジオール、ポリラクトンジオール及びヒマシ油系ジオール等が挙げられる。
【0010】
縮合型ポリエステルジオールは、数平均分子量(Mn)が300未満である2価アルコールと炭素数2〜10のジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とのポリエステルジオールである。
【0011】
低分子量2価アルコールとしては、Mn300未満の2価の脂肪族2価アルコール及びMn300未満の2価のフェノールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記することがある)の低モル付加物が使用できる。
AOとしてはエチレンオキサイド(以下、EOと略称することがある)、プロピレンオキサイド(以下、POと略称することがある)1,2−、1,3−、2,3−又は1,4−ブチレンオキサイド等が挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールに使用できる低分子量2価アルコールの内好ましいのは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサングリコール、ビスフェノールAのEO又はPO低モル付加物及びこれらの併用である。
縮合型ポリエステルジオールの構成成分として、3価以上のアルコール及び3価以上のカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体を含んでいてもよい。
【0012】
縮合型ポリエステルジオールに使用できる炭素数2〜10のジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フマル酸及びマレイン酸等)、脂環式ジカルボン酸(ダイマー酸等)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸等)、これらの無水物(無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等)、これらの酸ハロゲン化物(アジピン酸ジクロライド等)、これらの低分子量アルキルエステル(コハク酸ジメチル及びフタル酸ジメチル等)並びこれらの併用が挙げられる。3価又はそれ以上のポリカルボン酸としてはトリメリット酸及びピロメリット酸等が挙げられる。
【0013】
縮合型ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリヘキサメチレンテレフタレートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリジエチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール及びポリネオペンチルテレフタレートジオール等が挙げられる。
【0014】
縮合型ポリエステルポリオールの市販品としては、サンエスター2610[Mn=1,000のポリエチレンアジペートジオール、三洋化成工業(株)製]、サンエスター4620[Mn=2,000のポリテトラメチレンアジペートジオール]、サンエスター26
20[Mn=2,000のポリエチレンアジペートジオール、三洋化成工業(株)製]、クラレポリオールP−2010[Mn=2,000のポリ−3−メチル−1,5−ペンタ
ンアジペートジオール]、クラレポリオールP−3010[Mn=3,000のポリ−3
−メチル−1,5−ペンタンアジペートジオール]、クラレポリオールP−6010[Mn=6,000のポリ−3−メチル−1,5−ペンタンアジペートジオール]、クラレポ
リオールP−2020[Mn=2,000のポリ−3−メチル−1,5−ペンタンテレフ
タレートジオール]、P−2030[Mn=2,000のポリ−3−メチル−1,5−ペ
ンタンイソフタレートジオール]等が挙げられる。
【0015】
ポリラクトンジオールは、上記低分子量2価アルコールへのラクトンの重付加物であり、ラクトンとしては、炭素数4〜12のラクトン(例えばγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン)等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールの具体例としては、例えばポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール及びポリカプロラクトントリオール等が挙げられる。
【0016】
ヒマシ油系ポリオールには、ヒマシ油、及びポリオール又はAOで変性された変性ヒマシ油が含まれる。変性ヒマシ油はヒマシ油とポリオールとのエステル交換及び/又はAO付加により製造できる。ヒマシ油系ポリオールとしては、ヒマシ油、トリメチロールプロパン変性ヒマシ油、ペンタエリスリトール変性ヒマシ油、ヒマシ油のEO(4〜30モル)付加物等が挙げられる。
【0017】
本発明のポリカーボネートジオール(A2)としては、上記低分子量2価アルコールと、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1〜6のジアルキルカーボネート、炭素数2〜6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6〜9のアリール基を有するジアリールカーボネート)とを、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートジオール等が挙げられる。低分子量2価アルコール及びアルキレンカーボネートはそれぞれ2種以上併用してもよい。上記低分子量2価アルコールは3価以上のアルコールを含有していてもよい。
【0018】
ポリカーボネートジオールの具体例としては、脂肪族ポリカーボネートとしてポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、3−メチル−5−ペンタン−カーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール及びポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール(例えば1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールをジアルキルカーボネートと脱アルコール反応させながら縮合させて得られるジオール)等が挙げられる。芳香族ポリカーボネートとして、ポリ1,4−キシリレンカーボネートジオール、ビスフェノールA型ポリカーボネートジオール及びビスフェノールF型ポリカーボネートジオール等が挙げられる。
【0019】
ポリカーボネートジオールの市販品としては、ニッポラン980R[Mn=2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール、日本ポリウレタン工業(株)製]、クラレポリオールC−3090[Mn=3,000のポリ(3−メチル−5−ペンタンジオール/ヘキサメチレン)カーボネートジオール]、及びT4672[Mn=2,000のポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール、旭化成ケミカルズ(株)製]等が挙げられる。
【0020】
本発明のポリエーテルジオール(A3)しては、脂肪族ポリエーテルジオール及び芳香族環含有ポリエーテルジオールが挙げられる。
【0021】
脂肪族ポリエーテルジオールとしては、例えばポリオキシエチレンポリオール[ポリエチレングリコール(以下、PEGと略記)等]、ポリオキシプロピレンポリオール[ポリプロピレングリコール等]、ポリオキシエチレン/プロピレンポリオール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
【0022】
脂肪族ポリエーテルジオールの市販品としては、PTMG1000[Mn=1,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール、三菱化学(株)製]、PTMG2000[Mn=2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール、三菱化学(株)製]、PTMG3000[Mn=3,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール、三菱化学(株)製]、PTGL3000[Mn=3,000の変性PTMG、保土谷化学工業(株)製]、及びサンニックスジオールGP−3000[Mn=3,000のポリプロピレンエーテルトリオール、三洋化成工業(株)製]等が挙げられる。
【0023】
芳香族ポリエーテルジオールとしては、例えばビスフェノールAのEO付加物[ビスフェノールAのEO2モル付加物、ビスフェノールAのEO4モル付加物、ビスフェノールAのEO6モル付加物、ビスフェノールAのEO8モル付加物、ビスフェノールAのEO10モル付加物及びビスフェノールAのEO20モル付加物等]及びビスフェノールAのPO付加物[ビスフェノールAのPO2モル付加物、ビスフェノールAのPO3モル付加物、ビスフェノールAのPO5モル付加物等]等のビスフェノール骨格を有するポリオール並びにレゾルシンのEO又はPO付加物等が挙げられる。
【0024】
ポリウレタン樹脂被覆顔料水分散体の安定性の観点から、ポリエステルジオール(A1)、ポリカーボネートジオール(A2)、ポリエーテルジオール(A3)のポリオール(A)のうちの少なくとも1つが分子内に芳香環を有するポリオールであることが好ましい。
【0025】
本発明のポリウレタン樹脂被覆顔料水分散体をインクとして使用する際には、インクジェット方式による画像形成する相手の基材の種類によりその密着性は異なるが、ポリオール(A)の種類を選択することにより、高い密着性が得られる。
例えば、ポリエステルジオール(A1)では、コート紙、PETフィルムに対して親和性が高く、ポリウレタン樹脂にしたときの凝集力が高いため、前記基材に対しての密着性が高い。製膜後の柔軟性が劣るため、布帛に対しての密着性は低い。
ポリカーボネートジオール(A2)も同様の理由でコート紙、PETフィルムに対して密着性が高い反面、布帛に対する密着性は低い。なお、ポリエステルジオールよりもPETフィルムへの密着性が優れ、コート紙への密着性は劣る。
ポリエーテルジオール(A3)では、製膜後の柔軟性が高いため、布帛に対しての密着性に優れる。一方、凝集力が低いため、コート紙、PETフィルムに対しての密着性はポリエステルジオール(A1)、ポリカーボネートジオール(A2)に比べると密着性は劣る。
【0026】
本発明のポリウレタン樹脂(U)に用いる脂肪族ジイソシアネート(B1)としては、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート(B2)としては、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。
【0027】
炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート(B1)としては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
【0028】
炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート(B2)としては、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
【0029】
脂肪族ジイソシアネート(B1)及び脂環式ジイソシアネート(B2)の内、得られる皮膜の機械的強度及び耐候性の観点から好ましいのはIPDI及び水添MDIである。
【0030】
カルボキシル基及び/又はカルボキシレートアニオン基を有するジオール(D)としてはカルボキシル基を含有し、炭素数が2〜10の化合物[ジアルキロールアルカン酸(例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸及び2,2−ジメチロールオクタン酸)]等並びにこれらの化合物を中和剤で中和した塩が挙げられる。
【0031】
ジオール(D)の内、得られる皮膜の樹脂物性及びポリウレタン樹脂水性分散体の分散安定性の観点から好ましいのは、2,2−ジメチロールプロピオン酸及び2,2−ジメチロールブタン酸及びこれらの塩類であり、更に好ましいのは2,2−ジメチロールプロピオン酸及び2,2−ジメチロールブタン酸のアンモニア又は炭素数1〜20のアミン化合物による中和塩である。
【0032】
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)は、必要により鎖伸長剤(H)を使用することができる。鎖伸長剤(H)としては、Mn又は化学式量300未満の低分子ポリオール(a2)、水、炭素数2〜10のジアミン類(例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、トルエンジアミン及びピペラジン)、炭素数2〜10のポリアルキレンポリアミン類(例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン及びテトラエチレンペンタミン)、ヒドラジン又はその誘導体(二塩基酸ジヒドラジド例えばアジピン酸ジヒドラジド等)、炭素数2〜30のポリエポキシ化合物(例えば、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等)及び炭素数2〜10のアミノアルコール類(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール及びトリエタノールアミン)等が挙げられる。
【0033】
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)は、必要により反応停止剤(J)を使用することができる。反応停止剤(J)としては、炭素数1〜8のモノアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、セロソルブ類及びカルビトール類等)、炭素数1〜10のモノアミン類(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン及びモノオクチルアミン等のモノ又はジアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン等のモノ又はジアルカノールアミン等)が挙げられる。
【0034】
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)は、必要により酸化防止剤、着色防止剤、耐候安定剤、可塑剤及び離型剤等の添加剤を含有することができる。これらの添加剤の使用量は(U)の重量に基づいて好ましくは10重量%以下、更に好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
【0035】
前記脂肪族ジイソシアネート(B1)及び脂環式ジイソシアネート(B2)に含まれるイソシアネート基と、ポリエステルジオール(A1)、ポリカーボネートジオール(A2)およびジオール(D)に含まれる水酸基との当量比(NCO/OH)は分散安定性および粒径制御の観点から1.2〜1.8が好ましく、1.3〜1.6がさらに好ましい。
【0036】
ポリウレタン樹脂(U)中の(U)の重量に基づくカルボキシレートアニオン基の含有量は4〜80mg/gであり、より好ましくは24〜50、さらに好ましくは25〜40である。含有量が4mg/g未満であると粒子が粗大化し分散安定性が低下し、含有量が80mg/gを超えると水溶性成分が増加し粘度が上昇する。
ここで、カルボキシレートアニオン基の重量はその対カチオンの重量は含まない。
ポリウレタン樹脂(U)中の(U)の重量に基づくカルボキシレートアニオン基の含有量の測定方法はJIS K 0070:1992記載の方法(電位差滴定法)で測定される酸価から算出できる。
【0037】
本発明に用いられる顔料(P0)としては無機顔料、有機顔料等を含む顔料粒子が挙げられる。更に詳しくは、黒色用顔料、イエローインク用顔料、マゼンタインク用顔料及びシアンインク用顔料等が挙げられる。また、顔料(P)の形状としては、特に制限はないが、例えば粒状が挙げられる。
【0038】
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、トリポン、酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、クロムバーミリオン、モリブデートオレンジ、黄鉛、クロムイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ピリジアン、コバルトグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、群青、ウルトラマリンブルー、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、及びマイカ等が挙げられる。
【0039】
有機顔料としては、例えば、アゾ系、アゾメチン系、ポリアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリン系、及びイソインドリノン系顔料等が挙げられる。
【0040】
黒色用顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)などの金属類、酸化チタン等の金属化合物類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料などが挙げられる。
【0041】
前記カーボンブラックの市販品としては、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(いずれも、三菱化学社製);Raven700、同5750、同5250、同5000、同3500、同1255(いずれも、コロンビア社製);Regal400R、同330R、同660R、MogulL、Monarch700、同800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、Monarch1400(いずれも、キャボット社製);カラーブラックFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、プリンテックス35、同U、同V、同140U、同140V、スペシャルブラック6、同5、同4A、同4(いずれも、デグッサ社製)などが挙げられる。
【0042】
イエローインク用顔料としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その例としては、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー2、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー75、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185などが挙げられる。
【0043】
マゼンタインク用顔料としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その例としては、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド48(Ca)、C.I.ピグメントレッド48(Mn)、C.I.ピグメントレッド57(Ca)、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット19、などが挙げられる。
【0044】
シアンインク用顔料としては特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。その例としては、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:34、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー63、C.I.ピグメントブルー66;C.I.バットブルー4、C.I.バットブルー60、などが挙げられる。
【0045】
また、本発明のために新たに製造された顔料を使用してもよい。また効果を損なわない範囲で上述した顔料を併用してもよい。
【0046】
ポリウレタン樹脂(U)と顔料(P0)との合計重量に基づいて顔料(P0)の含有量は分散安定性の観点から10〜40重量%が好ましく、20〜30重量%がさらに好ましい。
(R)の固形分濃度は、(R)の重量に基づいて好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは20〜40重量%である。
【0047】
本発明における顔料(P)の体積平均粒子径は、分散安定性および粘度の観点から10〜300nmが好ましく、30〜150nmがさらに好ましい。
なお、この体積平均粒子径の測定方法は光散乱粒度分布測定装置で測定される。
【0048】
顔料分散は、乾燥・凝集した状態の顔料粒子を微細化し、分散媒体中に均一にかつ安定に分散させることである。顔料粒子が分散していく過程はぬれ、機械的解砕、安定化の3つ単位過程からなり、そのうちぬれと安定化に対し寄与が大きいのが顔料の表面修飾である。
【0049】
顔料の表面修飾方法は物理的手法と化学的手法がある。物理的手法の例としては、顔料表面への分散剤の物理吸着があり、化学的手法の例としては、プラズマ処理、UV処理、グラフト重合、カップリング反応によって水酸基、カルボキシル基といった親水性の官能基を修飾する方法があげられる。
分散剤の物理吸着は、吸着していない分散剤が存在するため、粘度が高くなる傾向にある。また、吸着、脱離の平衡状態であるため、安定性が悪いといった課題がある。
顔料表面の親水基の化学修飾は、分子量の大きいカーボンブラックでは自己分散化が達成できるが、有機顔料は分子量が小さいため、親水基付与によって水に可溶となり、染料化することがある。
このような物理的、化学的な顔料の表面修飾の課題解決のため、顔料を水に対し不溶で、かつ水に対し自己分散性を持つ樹脂で被覆する樹脂被覆顔料分散体があげられる。
【0050】
樹脂被覆顔料の特徴として、非可逆のため分散状態の変化がなく、インクビヒクル中の溶剤に対し安定であるため、吐出、貯蔵安定性に優れている。また、樹脂自体にバインダー成分としての機能を持たすことができているため、画像の発色性、光沢性、密着性に優れるという利点がある。
【0051】
樹脂被覆顔料の製造方法としては、従来公知のすべての方法を用いることが可能である。従来公知の方法として、顔料分散体表面にモノマーを吸着、重合させる表面重合法、樹脂溶液中で顔料を分散させ、樹脂に対しての貧溶媒を添加させ、顔料表面に樹脂を堆積させる表面堆積法、顔料と樹脂を溶融混練しマスターバッチ化、湿式で微細化する混練微細化法、高圧流体を用いた樹脂溶液の顔料凝集体への浸透と、大気圧下に放出したときの膨張エネルギーで微細化と被覆を同時に達成する方法、水に対して自己分散性を持つ樹脂と顔料を湿式で微細化し、前記有機相に水を投入することで樹脂被覆顔料を得る転相乳化法があげられる。
このうち、本発明のポリウレタン樹脂被覆顔料水分散体(R)を製造するのに最も適しているのは、体積平均粒子径、インクビヒクルへの安定性の観点から転相乳化法である。
【0052】
<ポリウレタン樹脂被覆顔料水分散体(R)の製造方法>
本発明のポリウレタン樹脂被覆顔料水分散体(R)は、例えば以下の工程にて製造される。
(i)ポリウレタンプレポリマー(T)を得る工程。
(ii)ポリウレタンプレポリマー(T)を有機溶剤(L)に溶解した液と顔料(P0)を混合、機械的解砕によって微細化し、有機溶媒系顔料スラリー(S)を得る工程。
(iii)中和剤(K)にて中和する工程。
(iv)得られた中和物を水に分散させて、鎖伸長剤(H)、反応停止剤(J)及び/若しくは水で反応させた後必要により有機溶剤(L)を除去する工程。
【0053】
<製造工程(i)>
ポリウレタンプレポリマー(T)は、ポリエステルジオール(A1)及び/若しくはポリカーボネートジオール(A2)、脂肪族ジイソシアネート(B1)及び/若しくは脂環式ジイソシアネート(B2)、並びにカルボキシル基及び/若しくはカルボキシレートアニオン基を有するジオール(D)を、加熱可能な設備で加熱して反応することで得られる。例えば、容器中に(A1)及び/若しくは(A2)、(B1)及び/若しくは(B2)、(D)を仕込んで均一撹拌後、加熱乾燥機や加熱炉で無撹拌下に加熱する方法や、簡易加圧反応装置(オートクレーブ)、コルベン、一軸若しくは二軸の混練機、プラストミル又は万能混練機等で、攪拌又は混練しながら加熱して反応する方法等が挙げられる。なかでも、攪拌又は混練しながら加熱して反応する方法は、得られる(T)の均質性が高くなり、得られる皮膜の機械的物性、耐久性、耐薬品性及び耐磨耗性等がより優れる傾向があるため好ましい。
【0054】
ポリウレタンプレポリマー(T)を製造する際の反応温度は、(T)のアロハネート基及びビューレット基の含有量の観点から、60〜120℃が好ましく、更に好ましくは60〜110℃であり、最も好ましくは60〜100℃である。また、(T)を製造する際の時間は、使用する設備により適宜選択することができるが、一般的に1分〜100時間が好ましく、更に好ましくは3分〜30時間であり、特に好ましくは5分〜20時間である。この範囲であれば、本発明の効果を十分に発揮できる(T)が得られる。
【0055】
ポリウレタンプレポリマー(T)は有機溶剤(L)を用いて希釈することができる。有機溶剤(L)としては、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル及びγ−ブチロラクトン等)、エーテル系溶剤(THF等)、アミド系溶剤[N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン及びN−メチルカプロラクタム等]、アルコール系溶剤(メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等)及び芳香族炭化水素系溶剤(トルエン及びキシレン等)等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの内、ポリウレタンプレポリマー(T)の溶解性の観点から好ましいのはアミド系溶剤である。
【0056】
有機溶剤(L)はウレタン化反応前、ウレタン化反応中、ウレタン化反応後、乳化前のいずれの時期に添加しても良いが、反応系の均一性の観点からウレタン化反応前に使用するのが好ましい。
【0057】
ウレタン化反応速度をコントロールするために、公知の反応触媒(オクチル酸錫及びビスマスオクチル酸塩等)及び反応遅延剤(リン酸等)等を使用することができる。これらの触媒又は反応遅延剤の添加量は、(T)の重量に基づき、好ましくは0.001〜3重量%、更に好ましくは0.005〜2重量%、特に好ましくは0.01〜1重量%である。
【0058】
<製造工程(ii)>
ポリウレタンプレポリマー(T)と顔料(P0)を混合する装置としては、(T)の合成に用いられた装置をそのまま使用することができる。
顔料(P0)を機械的解砕によって微細化する際に用いる分散機としては、例えば、ペイントシェーカーや、ボールミル、サンドミル、ナノミルを列挙することができる。具体的には、SCミル(日本コークス工業製)、TSU−6U(アイメックス製)などである。
【0059】
<製造工程(iii)>
必要により該ポリウレタンプレポリマー(T)に導入されたカルボキシル基部分を中和剤(K)にて中和する。中和剤(K)は、ウレタン化反応前、ウレタン化反応中、ウレタン化反応後、乳化前、乳化中又は乳化水性媒体分散後のいずれの時期に添加しても良いが、ウレタン樹脂の安定性及びインク用複合粒子分散体の安定性の観点から、乳化前又は乳化中に添加することが好ましい。
【0060】
(K)に用いられる中和剤は、ウレタン化反応前、ウレタン化反応中、ウレタン化反応後、水分散工程前、水分散工程中又は水分散後のいずれの時期に添加しても良いが、ウレタン樹脂の安定性及び水性分散体の安定性の観点から、水分散工程前又は水分散工程中に添加することが好ましい。また、脱溶剤時に揮発した中和剤を脱溶剤後に追添加しても良く、追添加する中和剤種は上記記載のものから自由に選択することができる。
【0061】
(K)の使用量は、ポリウレタン樹脂被覆顔料水分散体の安定性の観点から、ポリウレタン樹脂(U)の重量に基づくカルボキシレートアニオン基の含有量が23〜80mg/gとなるよう調節する。中和工程におけるカルボキシル基の中和率は、分散安定性の観点から好ましくは20〜100%、さらに好ましくは60〜100%である。
【0062】
<製造工程(iv)>
工程(iii)で得られた中和物を乳化する方法としては、例えば必要により有機溶剤(L)、分散剤(e)、鎖伸長剤(H)及び反応停止剤(J)の存在下で水性媒体に分散して、イソシアネート基が実質的に無くなるまで反応[水、(H)による鎖伸長、及び必要により(J)による反応停止]させ、必要により用いた有機溶剤(L)を留去する方法が挙げられる。
【0063】
本発明における水性媒体とは、水及び水と前記有機溶剤(L)との混合物を意味する。水性媒体に使用される有機溶剤は、分散性の観点から水溶性の有機溶剤であることが好ましい。有機溶剤(L)を使用した場合には、ポリウレタン樹脂被覆顔料水性分散体の製造中及び/又は製造後に必要によりこれを留去してもよい。
【0064】
分散剤(e)としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びその他の乳化分散剤が挙げられる。(e)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0065】
スラリー(S)を攪拌しながら、水を添加し、ポリウレタン樹脂被覆顔料(P)を分散する装置の方式は特に限定されず、例えば、(1)錨型撹拌方式、(2)回転子−固定子式方式[例えばホモミキサー(アズワン製)]、(3)ラインミル方式[例えばラインフローミキサー]、(4)静止管混合式[例えばスタティックミキサー]、(5)振動式[例えば「VIBRO MIXER」(冷化工業社製)]、(6)超音波衝撃式[例えば超音波ホモジナイザー]、(7)高圧衝撃式[例えばガウリンホモジナイザー(ガウリン社製)]、(8)膜乳化式[例えば膜乳化モジュール]、及び(9)遠心薄膜接触式[例えば「フィルミックス」(プライミックス社製)]等の乳化機が挙げられる。これらの内、好ましいのは、(2)である。
【0066】
以下において本発明のポリウレタン樹脂被覆顔料水分散体(R)を用いた水性インク(X)の調製について説明する。
【0067】
水性インク(X)は、必要に応じて適宜選択したその他の成分を加えることができる。例えば架橋剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、劣化防止剤、安定化剤、凍結防止剤及び水等を1種又は2種以上含有することができる。
【0068】
架橋剤としては水溶性又は水性媒体分散性のアミノ樹脂、水溶性又は水性媒体分散性のポリエポキシド、水溶性又は水性媒体分散性のブロックドポリイソシアネート化合物、ポリエチレン尿素、水溶性又は水性媒体分散性のポリカルボジイミド樹脂、水溶性又は水性媒体分散性のポリオキサゾリン樹脂等が挙げられる。架橋剤の使用量は、ポリウレタン樹脂(A)が有する反応性基のモル数に対する架橋剤が有する反応性基のモル数が、0.05〜2.0倍となる量が好ましく、更に好ましくは0.1〜1.0倍となる量である。
【0069】
粘度調整剤としては増粘剤、例えば無機系粘度調整剤(ケイ酸ソーダやベントナイト等)、セルロース系粘度調整剤(Mnが20,000以上のメチルセルロール、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシメチルセルロース等)、タンパク質系粘度調整剤(カゼイン、カゼインソーダ及びカゼインアンモニウム等)、アクリル系(Mnが20,000以上のポリアクリル酸ナトリウム及びポリアクリル酸アンモニウム等)及びビニル系粘度調整剤(Mnが20,000以上のポリビニルアルコール等)が挙げられる。
消泡剤としては、長鎖アルコール(オクチルアルコール等)、ソルビタン誘導体(ソルビタンモノオレート等)、シリコーンオイル(ポリメチルシロキサン及びポリエーテル変性シリコーン等)等が挙げられる。
【0070】
防腐剤としては、有機窒素硫黄化合物系防腐剤及び有機硫黄ハロゲン化物系防腐剤等が挙げられる。
劣化防止剤及び安定化剤(紫外線吸収剤及び酸化防止剤等)としてはヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ヒドラジン系、リン系、ベンゾフェノン系及びベンゾトリアゾール系劣化防止剤及び安定化剤等が挙げられる。
凍結防止剤としては、エチレングリコール及びプロピレングリコール等が挙げられる。
粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、劣化防止剤、安定化剤及び凍結防止剤の含有量は、水性塗料の重量に基づいてそれぞれ通常好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。
【0071】
水性インク(X)には、乾燥後の塗膜外観を向上させる目的、塗装又は印刷ラインでの目詰まり防止のため乾燥を遅延させる目的等で更に溶剤を添加してもよい。添加する溶剤としては例えば炭素数1〜20の1価アルコール(メタノール、エタノール及びプロパノール等)、炭素数1〜20のグリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコール等)、炭素数1〜20の3価以上のアルコール(グリセリン等)及び炭素数1〜20のセロソルブ類(メチル及びエチルセロソルブ等)等が使用できる。添加する溶剤の含有量は、水性塗料又はインクの重量基づいて、好ましくは80重量%以下、更に好ましくは70重量%以下である。
【0072】
本発明のポリウレタン樹脂被覆顔料水分散体(R)を用いた水性インク(X)は、本発明の(R)と上記記載の各成分を混合、撹拌することで製造される。混合の際は全ての成分を同時に混合しても、各成分を段階的に投入して混合してもよい。
水性インク(X)の固形分濃度は、好ましくは3〜70重量%、更に好ましくは7〜60重量%である。
【0073】
本発明のポリウレタン樹脂被覆顔料水分散体(R)は、オフセット印刷用インク、凸版印刷用インク、グラビア印刷用インク、シルク印刷用インク、インクジェット記録用インク、カラーフィルターなどの用途に使用することが出来る。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を以て本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下、部は重量部を意味する。
【0075】
実施例1 <顔料水分散体(R−1)の製造>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置にポリエステルジオール(A−1)としてサンエスター 4620(三洋化成工業製)57.8部、ヘキサメチレンジイソシアネート(B1−1)10.5部、2,2−ジメチロールプロピオン酸(D−1)1.7部及びメチルエチルケトン30部を仕込んで85℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、ポリウレタンプレポリマー(T−1)のメチルエチルケトン溶液(V−1)を製造した。
次いで、顔料(P)としてカーボンブラックMA230(P−1)を17.5部加え、ガラスビーズ(ASGB−320、アズワン製)を117.5部加えた後、顔料分散機(TSU−6U、アイメックス製)にて4時間解砕させ、有機溶媒系顔料スラリー(S−1)を得た。
有機溶媒系顔料スラリー(S−1)235部に中和剤(K)としてトリエチルアミン1.0部を加え均一化した後、200rpmで撹拌しながら水を38部加え、混合物を分散させた。得られた分散体に鎖伸長剤(H)である10重量%のジエチレントリアミン水溶液を5.2部加え、減圧下に65℃で8時間かけてメチルエチルケトンを留去、ガラスビーズをフィルター除去し、ポリウレタン樹脂(U)に被覆された顔料水分散体(R−1)を得た。
【0076】
実施例2 <顔料水分散体(R−2)の製造>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置にポリエステルジオール(A−1)ヘキサメチレンジイソシアネート(B1−1)15.3部、2,2−ジメチロールプロピオン酸(D−1)4.8部及びメチルエチルケトン30部を仕込んで85℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、ポリウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液(V−2)を製造した。次いで、カーボンブラックMA230(P−1)を17.5部加え、ガラスビーズを117.5部加えた後、顔料分散機にて4時間解砕させ、有機溶媒系顔料スラリー(S−2)を得た。
有機溶媒系顔料スラリー(S−2)235部にトリエチルアミン3.6部を加え均一化した後、200rpmで撹拌しながら水を388部加え混合物を分散させた。得られた分散体にジエチレントリアミン水溶液を8.5部加え、減圧下に65℃で8時間かけてメチルエチルケトンを留去、ガラスビーズをフィルター除去し、ポリウレタン樹脂(U)に被覆された顔料水分散体(R−2)を得た。
【0077】
実施例3 <顔料水分散体(R−3)の製造>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置にクラレポリオール P−2020(クラレ製)(A1−2)16.2部、ヘキサメチレンジイソシアネート(B1−1)22.6部、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(B2−1)14.5部、2,2−ジメチロールプロピオン酸(D−1)16.7部及びメチルエチルケトン30部を仕込んで85℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、ポリウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液(V−3)を製造した。次いで、カーボンブラックMA230(P−1)を17.5部加え、ガラスビーズを117.5部加えた後、顔料分散機にて4時間解砕させ、有機溶媒系顔料スラリー(S−3)を得た。
有機溶媒系顔料スラリー(S−3)235部にトリエチルアミン12.6部を加え均一化した後、200rpmで撹拌しながら水を388部加え混合物を分散させた。得られた分散体にジエチレントリアミン水溶液を11.5部加え、減圧下に65℃で8時間かけてメチルエチルケトンを留去、ガラスビーズをフィルター除去し、ポリウレタン樹脂(U)に被覆された顔料水分散体(R−3)を得た。
【0078】
実施例4 <顔料水分散体(R−4)の製造>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置にエタナコール UH−200(宇部興産製)(A2−1)20.4部、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(B2−1)39.2部、2,2−ジメチロールプロピオン酸(D−1)10.4部及びメチルエチルケトン30部を仕込んで85℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、ポリウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液(V−4)を製造した。次いで、ピグメントブルー15:3(P−2)を35.0部加え、ガラスビーズを117.5部加えた後、顔料分散機にて4時間解砕させ、有機溶媒系顔料スラリー(S−4)を得た。
有機溶媒系顔料スラリー(S−4)270部にトリエチルアミン7.9部を加え均一化した後、200rpmで撹拌しながら水を388部加え混合物を分散させた。得られた分散体にジエチレントリアミン水溶液を19.3部加え、減圧下に65℃で8時間かけてメチルエチルケトンを留去、ガラスビーズをフィルター除去し、ポリウレタン樹脂(U)に被覆された顔料水分散体(R−4)を得た。
【0079】
実施例5 <顔料水分散体(R−5)の製造>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置にクラレポリオール P−2020(A1−2)21.6部、エタナコール UH−200(A2−1)21.6部、ヘキサメチレンジイソシアネート(B1−1)20.5部、2,2−ジメチロールプロピオン酸(D−1)6.3部及びメチルエチルケトン30部を仕込んで85℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、ポリウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液(V−5)を製造した。次いでピグメントブルー15:3(P−2)を17.5部加え、ガラスビーズ(ASGB−320 アズワン製)を117.5部加えた後、顔料分散機にて4時間解砕させ、有機溶媒系顔料スラリー(S−5)を得た。
有機溶媒系顔料スラリー(S−5)235部にトリエチルアミン4.7部を加え均一化した後、200rpmで撹拌しながら水を388部加え混合物を分散させた。得られた分散体にジエチレントリアミン水溶液を16.8部加え、減圧下に65℃で8時間かけてメチルエチルケトンを留去、ガラスビーズをフィルター除去し、ポリウレタン樹脂(U)に被覆された顔料水分散体(R−5)を得た。
【0080】
実施例6 <顔料水分散体(R−6)の製造>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置にPTMG2000[Mn=2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製](A3−1)46.1部、ヘキサメチレンジイソシアネート(B1−1)17.6部、2,2−ジメチロールプロピオン酸(D−1)6.3部及びメチルエチルケトン30部を仕込んで85℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、ポリウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液(V−6)を製造した。次いで、カーボンブラックMA230(P−1)を35.0部加え、ガラスビーズを135部加えた後、顔料分散機にて4時間解砕させ、有機溶媒系顔料スラリー(S−6)を得た。
有機溶媒系顔料スラリー(S−6)270部にトリエチルアミン4.7部を加え均一化した後、200rpmで撹拌しながら水を388部加え混合物を分散させた。得られた分散体にジエチレントリアミン水溶液を10.1部加え、減圧下に65℃で8時間かけてメチルエチルケトンを留去、ガラスビーズをフィルター除去し、ポリウレタン樹脂(U)に被覆された顔料水分散体(R−6)を得た。
【0081】
比較例1 <顔料水分散体(R’−1)の製造>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置にサンエスター 4620(A1−1)61.6部、ヘキサメチレンジイソシアネート(B1−1)8.2部、2,2−ジメチロールプロピオン酸(D−1)0.2部及びメチルエチルケトン30部を仕込んで85℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、ポリウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液(V’−1)を製造した。次いで、カーボンブラックMA230(P−1)を17.5部加え、ガラスビーズを117.5部加えた後、顔料分散機にて4時間解砕させ、有機溶媒系顔料スラリー(S’−1)を得た。
有機溶媒系顔料スラリー(S’−1)235部にトリエチルアミン0.1部を加え均一化した後、200rpmで撹拌しながら水を388部加え混合物を分散させた。得られた分散体にジエチレントリアミン水溶液を3.6部加え、減圧下に65℃で8時間かけてメチルエチルケトンを留去、ガラスビーズをフィルター除去し、ポリウレタン樹脂(U)に被覆された顔料水分散体(R’−1)を得た。
【0082】
比較例2 <顔料水分散体(R’−2)の製造>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置にクラレポリオール P−2020(A1−2)24.3部、ヘキサメチレンジイソシアネート(B1−1)28.4部、2,2−ジメチロールプロピオン酸(D−1)17.3部及びメチルエチルケトン30部を仕込んで85℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、ポリウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液(V’−2)を製造した。次いで、ピグメントブルー15:3(P−2)を17.5部加え、ガラスビーズを117.5部加えた後、顔料分散機にて4時間解砕させ、有機溶媒系顔料スラリー(S’−2)を得た。
有機溶媒系顔料スラリー(S’−2)235部にトリエチルアミン13.1部を加え均一化した後、200rpmで撹拌しながら水を382部加え混合物を分散させた。得られた分散体にジエチレントリアミン水溶液を6.9部加え、減圧下に65℃で8時間かけてメチルエチルケトンを留去、ガラスビーズをフィルター除去し、ポリウレタン樹脂(U)に被覆された顔料水分散体(R’−2)を得た。
【0083】
比較例3 <顔料水分散体(R’−3)の製造>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置にサンエスター 4620(A1−1)33.8部、芳香族ジイソシアネートのジフェニルメタンジイソシアネート(B’−1)27.8部、2,2−ジメチロールプロピオン酸(D−1)8.4部及びメチルエチルケトン30部を仕込んで85℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、ポリウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液(V’−3)を製造した。次いでカーボンブラックMA230(P−1)を17.5部加え、ガラスビーズを117.5部加えた後、顔料分散機にて4時間解砕させ、有機溶媒系顔料スラリー(S’−3)を得た。
有機溶媒系顔料スラリー(S’−3)235部にトリエチルアミン6.3部を加え均一化した後、200rpmで撹拌しながら水を385部加え混合物を分散させた。得られた分散体にジエチレントリアミン水溶液を9.0部加え、減圧下に65℃で8時間かけてメチルエチルケトンを留去、ガラスビーズをフィルター除去し、ポリウレタン樹脂(U)に被覆された顔料水分散体(R’−3)を得た。
【0084】
比較例4 <顔料水分散体(W−1)の製造>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置にサンエスター 4620(A1−1)46.1部、ヘキサメチレンジイソシアネート(B1−1)17.6部、2,2−ジメチロールプロピオン酸(D−1)6.3部及びメチルエチルケトン30部を仕込んで85℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、ポリウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液(V’−4)を得た。
得られた(V’−4)82.5部にトリエチルアミンを3.6部加え均一化した後、200rpmで撹拌しながら水を318部加えポリウレタン樹脂を分散させた。得られたポリウレタン樹脂水分散体にジエチレントリアミン水溶液を8.5部加え、減圧下に65℃で8時間かけてメチルエチルケトンを留去し、ポリウレタン樹脂水分散体を得た。
さらに顔料水分散体[「Aqua−Black162」、東海カーボン(株)製、固形分20wt%]を87.5部加えポリウレタン樹脂水分散体と顔料水分散体との配合物(W−1)を得た。
【0085】
表1に(R−1)〜(R−6)、(R’−1)〜(R’−3)、(W−1)の内容を記載した。
【0086】
【表1】
【0087】
<実施例7〜12、比較例6〜8>
表2に記載したように、実施例1〜6、比較例1〜3で得られたポリウレタン樹脂被覆水分散体(R−1)〜(R−6)、(R’−1)〜(R’−3)100部、プロピレングリコール25部、グリセリン25部、及びイオン交換水20部を配合し、10分間混合して、インク(X−1)〜(X−6)、(X’−1)〜(X’−3)を得た。
【0088】
<比較例9>
比較例5で得られたポリウレタン樹脂水分散体と顔料水分散体との配合物(W−1)100部、プロピレングリコール25部、グリセリン25部、及びイオン交換水20を配合し、10分間混合して、インク(X’−4)を得た。
【0089】
【表2】
【0090】
得られた水性インクを用いた評価結果を表2に示す。尚、本発明における評価方法は以下の通りである。
<体積平均粒子径>
水性インクを、イオン交換水で顔料の固形分が0.01重量%となるよう希釈した後、光散乱粒度分布測定装置(堀場製作所製ナノ粒子解析装置SZ−100)を用いて測定した。
【0091】
<水性インクの粘度>
水性インクの粘度は東機産業(株)製TVE−25型粘度計粘度計を用いて、回転数20rpmで測定した。
【0092】
<水性インクの保存安定性>
水性インクをスクリュー管に入れて70℃で1週間保存し、増粘および凝集の状態に関する保存安定性を保存前後の粘度変化率で評価した。
粘度変化率(%)=[1週間後の粘度−初期の粘度]×100/初期の粘度
【0093】
<コート紙への密着性評価方法>
水性インクを5cm×20cmのコート紙(「オーロラコート」、日本製紙製)に乾燥後の膜厚が2μmとなるよう塗布し、140℃で10分乾燥し、塗膜を作製した。この塗膜面をセロテープ(登録商標)にて剥離テストを行い、残留する1mm角塗膜の数を調べた。
◎:残留量90%以上
○:残留量80%以上90%未満
△:残留量60%以上80%未満
×:残留量60%未満
【0094】
<PETフィルムへの密着性評価方法>
表面処理ポリエステルフィルム(「エスペットE−5102」、東洋紡績製)に水性インクを固形分で2μmの厚みになるようにバーコーター塗布し、60℃で1分間乾燥後、この塗膜面をセロテープ(登録商標)にて剥離テストを行い、残留する1mm角塗膜の数を調べた。
◎:残留量90%以上
○:残留量80%以上90%未満
△:残留量60%以上80%未満
×:残留量60%未満
【0095】
<布帛への密着性評価方法>
綿ブロード布に水性インクを塗布量が1mg/cm
2となるように塗布し、160℃の循風乾燥機で5分間乾燥後、得られた布帛を用いてJIS L0849(II型)に規定された方法に準拠して湿潤試験を実施し、汚染グレースケールを基準として摩擦用白綿布への汚染を評価した。
○:摩擦堅牢性 湿摩擦4級
△:摩擦堅牢性 湿摩擦3級
×:摩擦堅牢性 湿摩擦2級
【0096】
表2に示したように、実施例7〜12の本発明のポリウレタン樹脂被覆顔料水性分散体を含有する水性インクは保存安定性が優れることが明らかである。
また、実施例7〜12のポリウレタン樹脂被覆顔料水性分散体を含有する水性インクは、コート紙、PETフィルム、布帛のいずれかの基材に対して80%以上の優れた密着性を発揮する。一方、比較例6〜9はいずれの基材に対しても密着性が80%未満であった。