特許第6989462号(P6989462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989462
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】電流検出回路
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/00 20060101AFI20211220BHJP
【FI】
   G01R19/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-157626(P2018-157626)
(22)【出願日】2018年8月24日
(65)【公開番号】特開2020-30179(P2020-30179A)
(43)【公開日】2020年2月27日
【審査請求日】2020年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 輝充
【審査官】 永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−543208(JP,A)
【文献】 特開2005−304210(JP,A)
【文献】 特開昭63−241469(JP,A)
【文献】 米国特許第5079456(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0169377(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/00
H03K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主電極と、第2の主電極と、第1の制御電極を備え、前記第1の制御電極に印加される制御信号によってオン/オフが制御される縦型構造の出力トランジスタと、
前記第1の主電極に接続される第3の主電極と、前記第1の制御電極に接続される第2の制御電極と、第4の主電極を有する縦型構造の検出トランジスタと、
前記第1の主電極と前記第2の主電極との間に接続され、前記第1の主電極と前記第2の主電極との間の電圧を所定の比で分圧した分圧電圧を出力する分圧回路と、
前記分圧電圧を前記第4の主電極に供給する電圧供給回路と
前記分圧電圧と所定の参照電圧との比較結果に応じて前記電圧供給回路の動作をオン/オフさせる比較回路と、
を具備することを特徴とする電流検出回路。
【請求項2】
前記出力トランジスタは、負荷に接続される前記第1の主電極であるドレイン電極と、電源端子に接続される前記第2の主電極であるソース電極と、前記制御信号が供給される前記第1の制御電極であるゲート電極を有するPチャネル型の縦型構造のMOSトランジスタであることを特徴とする請求項1に記載の電流検出回路。
【請求項3】
前記出力トランジスタは、接地端子に接続される前記第2の主電極であるソース電極と、負荷に接続される前記第1の主電極であるドレイン電極と、前記制御信号が供給される前記第1の制御電極であるゲート電極を有するNチャネル型の縦型構造のMOSトランジスタであることを特徴とする請求項1に記載の電流検出回路。
【請求項4】
前記第4の主電極に接続される負荷抵抗の両端間の電圧がその両端間に印加され、前記比較回路の出力に応答して抵抗値が切換えられる可変抵抗回路と、
前記可変抵抗回路に流れる電流を出力する出力回路と
を具備することを特徴とする請求項1に記載の電流検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、電流検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Nチャンネル型のMOSトランジスタを用いて出力トランジスタの出力電流をセンスする電流検出回路が開示されている。しかし、ハイサイドにNチャネル型の出力トランジスタを用いる場合には、出力トランジスタのオン/オフを制御するスイッチング信号を供給する為のチャージポンプを必要とする。チャージポンプは高電圧のスイッチング信号を発生する為、高い電磁妨害(EMI)対策が要求される。また、ハイサイドに縦型構造を有するマルチソースのPチャネル型のMOSトランジスタを用いる試みがされている。この場合、出力トランジスタのソースは電源端子にそのまま接続される為、出力トランジスタのソースと電源端子の間に生じる電圧降下は微小である。この為、出力電流に応答する増幅器を、出力電流を検出する検出トランジスタのソース側に設けた場合には、そのオフセット電圧が出力電流を検出する電流センス比に大きく影響し、電流センス比の精度を低下させる原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5666694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、電流センス比の精度を高めることができる電流検出回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、電流検出回路は、第1の主電極と、第2の主電極と、第1の制御電極を備え、前記第1の制御電極に印加される制御信号によってオン/オフが制御される縦型構造の出力トランジスタを有する。前記第1の主電極に接続される第3の主電極と、前記第1の制御電極に接続される第2の制御電極と、第4の主電極を有する縦型構造の検出トランジスタを有する。前記第1の主電極と前記第2の主電極との間に接続され、前記第1の主電極と前記第2の主電極との間の電圧を所定の比で分圧した分圧電圧を出力する分圧回路を有する。前記分圧電圧を前記第4の主電極に供給する電圧供給回路を有する。前記分圧電圧と所定の参照電圧との比較結果に応じて前記電圧供給回路の動作をオン/オフさせる比較回路を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態の電流検出回路を示す図である。
図2】縦型構造のMOSトランジスタの例を示す図である。
図3】第2の実施形態の電流検出回路を示す図である。
図4】第3の実施形態の電流検出回路を示す図である。
図5】第4の実施形態の電流検出回路を示す図である。
図6】縦型構造のIGBTの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる電流検出回路を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の電流検出回路を示す図である。本実施形態の電流検出回路は、スイッチング素子20を有する。スイッチング素子20は、縦型構造のPチャネル型の出力トランジスタ22と検出トランジスタ21を有し、マルチソースの縦型構造のMOSトランジスタ(以下、単にトランジスタと呼ぶ場合がある)を構成する。出力トランジスタ22と検出トランジスタ21は、共通のドレイン230を介して、出力端子12に接続される。出力端子12には、負荷100が接続される。
【0009】
尚、ここで言う縦型構造とは、主電極であるソースとドレインが半導体基板(図示せず)の表面側と裏面側に夫々形成され、ソースとドレインとの間で、縦方向に電流が流れる構造を意味する。縦型構造とすることで、ソースとドレインとの間の距離が長くなり、高耐圧の構造とすることができる。
【0010】
出力トランジスタ22のソース220は、抵抗41を介して電源端子11に接続される。抵抗41は、ソース220を電源端子11に接続する配線(図示せず)等の寄生抵抗を等価的に示す。
【0011】
検出トランジスタ21のソース210はトランジスタ51のドレインに接続され、トランジスタ51のソースは電源端子11に接続される。
【0012】
本実施形態の電流検出回路は、分圧回路30を有する。分圧回路30は、出力トランジスタ22と並列に、直列接続された抵抗31と32を有する。抵抗31と32の接続点33は、分圧回路30の出力端となり、分圧比に応じた出力電圧V1を出力する。抵抗31と32の値は、出力トランジスタ22のオン抵抗に対して、十分高い値に設定する。これにより、抵抗41から分圧回路30に流れ込む電流は無視できる。
【0013】
電源端子11に印加される電圧をVB、抵抗41の値をRp、出力トランジスタ22に流れるドレイン電流をIout、出力トランジスタ22のオン抵抗をRm、分圧回路30の分圧比をDとすると、分圧回路30の接続点33の電圧V1は、次の式(1)で示される。尚、分圧比Dは、抵抗31と抵抗32の抵抗値の比により設定することができる。
V1=VB−{Rp×Iout+Rm×Iout/D×(D−1)}
=VB−{Rp+Rm/D×(D−1)}×Iout・・・(1)
また、電源端子11の電圧VBは、次の式(2)で示すことができる。
VB=Vout+Iout×(Rp+Rm) ・・・ (2)
【0014】
接続点33は、増幅器50の反転入力端に接続される。すなわち、接続点33の電圧V1が、増幅器50の反転入力端に供給される。増幅器50の非反転入力端には、検出トランジスタ21のソース210が接続される。増幅器50の出力は、トランジスタ51のゲートに供給される。
【0015】
増幅器50と、トランジスタ51は電圧供給回路を構成する。増幅器50の入力端間はイマジナリショートとなり、増幅器50とトランジスタ51は、検出トランジスタ21のソース電圧V2と接続点33の電圧V1が等しくなる様に動作する。
【0016】
出力トランジスタ22のソース・ドレイン間電圧を分圧回路30によって分圧して検出トランジスタ21のソースに供給する。出力トランジスタ22と検出トランジスタ21のソース・ドレイン間電圧が等しい場合には、出力トランジスタ22と検出トランジスタ21は、そのオン抵抗の比でドレイン電流を出力する。一方、出力トランジスタ22と検出トランジスタ21のソース・ドレイン間の電圧が異なる場合には、出力トランジスタ22と検出トランジスタ21は、その異なるソース・ドレイン間電圧の比と、オン抵抗の比に応じてドレイン電流を出力する。従って、出力トランジスタ22と検出トランジスタ21のオン抵抗の比、及びソース・ドレイン間に印加する電圧よって電流比を設定することができ、結果として電流センス比を設定することができる。
【0017】
分圧した電圧V1を検出トランジスタ21のソースに印加する為、分圧回路30の分圧比Dによって出力トランジスタ22に対する検出トランジスタ21のドレイン電流の比、すなわち、電流センス比を設定することができる。例えば、出力トランジスタ22と検出トランジスタ21のオン抵抗の比が1対10000の場合に、分圧比Dを2(すなわち、出力トランジスタ22の1/2のソース電圧を、検出トランジスタ21のソースに印加)とすると、出力トランジスタ22に対する検出トランジスタ21のドレイン電流の比を20000対1に設定することができる。
【0018】
増幅器50のオフセット電圧をVof1とすると、検出トランジスタ21のソース電圧V2は、次の式(3)で示される。
V2=V1+Vof1 (3)
また、検出トランジスタ21のドレイン電流Isは、次の式(4)で示すことができる。
Is=(V2−Vout)/Rs ・・・ (4)
Rsは、検出トランジスタ21のオン抵抗を示す。
【0019】
式(1)〜式(4)から次の式(5)が求まる。
Is=(Rm/D×Iout−Vof1)/Rs・・・(5)
式(5)から、Iout/Isは、Rs×D/Rmに比例した値となることがわかる。すなわち、分圧比Dによって、出力トランジスタ22と検出トランジスタ21のドレイン電流比を設定することができる。
【0020】
出力トランジスタ22と抵抗41の直列回路、及び検出トランジスタ21とトランジスタ51の直列回路の両端には、夫々電圧VBと出力電圧Voutの差電圧が印加される為、次の式(6)の関係が成立する。
(R1+Rs)×Is=(Rp+Rm)×Iout ・・・ (6)
R1は、トランジスタ51の抵抗値を示す。抵抗R1は、式(6)から次の式(7)で示すことができる。
R1=(Rp+Rm)×Iout/Is−Rs ・・・ (7)
【0021】
増幅器50の出力は、トランジスタ52のゲートにも供給される為、トランジスタ51と52のゲート・ソース間の電圧は等しい。トランジスタ52のソースは電源端子11に接続され、ドレインはトランジスタ61のソースに接続される。トランジスタ61のゲートには、増幅器60の出力が供給される。
【0022】
増幅器60の非反転入力端には検出トランジスタ21のソース210が接続され、反転入力端はトランジスタ61のソースに接続される。増幅器60とトランジスタ61は、電圧供給回路を構成する。増幅器60の入力端間はイマジナリショートになり、増幅器60とトランジスタ61は、電圧V2をトランジスタ52のドレインに供給する。
【0023】
トランジスタ51と52のゲートには増幅器50の出力が供給され、夫々のソースは電源端子11に接続される従って、電圧V2とトランジスタ52のドレイン電圧V3が等しい場合には、トランジスタ51と52のソース・ドレイン間電圧も等しくなる為、トランジスタ51と52には、夫々のオン抵抗の比に応じたドレイン電流が流れる。すなわち、トランジスタ51と52のオン抵抗の値が1対Nの場合には、トランジスタ51と52には、N対1のドレイン電流が流れる。本実施形態においては、トランジスタ51と52は、同じ値のドレイン電流が流れる様に同じオン抵抗を有する寸法比に設定される。
【0024】
トランジスタ52のドレイン電流Id52は、次の式(8)で示すことができる。
Id52=(VB−V3)/R2 ・・・ (8)
R2は、トランジスタ52のオン抵抗を示す。ドレイン電流Id52は、トランジスタ61を介して、検出電流Isoutとして検出抵抗70に供給される。
【0025】
ドレイン電流Id52とトランジスタ61を流れる検出電流Isoutが等しいとすると、検出電流Isoutは、次の式(9)で示すことができる。
Id52=Isout=(VB−V3)/R2 ・・・ (9)
【0026】
増幅器60のオフセット電圧をVof2とすると、検出電流Isoutは、次の式(10)で示される。
Isout={VB−(V2+Vof2)}/R2 ・・・ (10)
【0027】
式(1)、式(3)及び式(10)から次の式(11)を示すことができる。
Isout={VB−(V1+Vof1+Vof2)}/R2
={VB−(VB−{ Rp+Rm/D×(D−1)}×Iout)+Vof1+Vof2}/R2
=(Rp+Rm/D×(D−1))×Iout−Vof1−Vof2)/R2 ・・・ (11)
検出電流IsoutにRm/D×(D−1)}×Ioutの項を含めることができる為、増幅器50、60のオフセットの影響を抑制することができ、電流センス比(Iout/Isout)の精度を高めることができる。
【0028】
更に、R1とR2の抵抗の値が等しいとすると、次の式(12)が得られる。
Isout=(Rp+Rm/D×(D−1))×Iout−Vof1−Vof2)/{(Rp+Rm)×Iout/Is−Rs} ・・・・ (12)
検出出力電流Isoutは、分圧比Dによって調整することができる。すなわち、分圧比Dにより、電流センス比(Iout/Isout)を容易に調整することができる。
【0029】
検出抵抗70に生じた電圧降下の情報が、信号線102を介して制御回路10に供給される。制御回路10は、出力トランジスタ22と検出トランジスタ21のオン/オフを制御する駆動信号を、信号線101を介して出力トランジスタ22と検出トランジスタ21のゲート211に供給する。
【0030】
Rp=1mΩ、Rm=9mΩ、Rs=90Ω、Iout=1A、Vof1=−1mV、Vof2=−1mVでD=2とすると、式(4)からIs=0.039mAが得られる。また、式(12)からIsout=0.045mAが得られる。従って、電流センス比は、Iout/Isout=22222となる。従って、分圧比Dを2に設定した電流センス比20000に対して、11%の誤差に抑制することができる。
【0031】
本実施形態によれば、ハイサイドの出力トランジスタ22と検出トランジスタ21はPMOSトランジスタで構成される為、そのオン/オフを制御する高電圧のスイッチング信号を供給する為のチャージポンプを設ける必要が無い。従って、高い電磁妨害(EMI)対策が要求される場合にも本実施形態の電流検出回路を用いることができる。
【0032】
また、分圧比Dの設定により、電流センス比(Iout/Isout)を容易に設定することができる。これにより、回路設計の自由度を広げることができる。更に、増幅器50、60のオフセット電圧の影響を抑制することができる為、電流センス比の精度を高めることができる。
【0033】
図2は、スイッチング素子20として用いられる縦型構造のMOSトランジスタの一例を示す図である。既述した実施形態に対応する構成には同じ符号を付し、重複した記載は必要な場合にのみ行う。以下同様である。図2は、検出トランジスタ21と出力トランジスタ22を備えるスイッチング素子20の断面構造を模式的に示す。
【0034】
スイッチング素子20は、P型の半導体基板200を有する。半導体基板200上に、P型のエピタキシャル層201、202を有する。エピタキシャル層201には、N型の拡散領域213、215が形成される。拡散領域213、215には、P型の拡散領域214、216が形成される。
【0035】
拡散領域213〜216を貫通して形成される領域217を有する。領域217と夫々の拡散領域213〜216の間は、酸化膜218によって分離される。領域217は、例えば、不純物がドープされた多結晶シリコン層によって構成される。尚、N型の拡散領域213、215とP型の拡散領域214、216は、領域217を連続して取り囲む一体の領域として形成される。
【0036】
拡散領域214、216をソース領域、エピタキシャル層201と半導体基板200をドレイン領域、領域217をゲートとするPチャネル型の検出トランジスタ21が構成される。
【0037】
拡散領域213は配線2102を介してソース210に接続される。拡散領域214は、配線2101、2103を介してソース210に接続される。領域217は、配線2112を介してゲート211に接続される。
【0038】
分離領域250によって分離されたエピタキシャル層202には、N型の拡散領域223、225が形成される。拡散領域223、225には、P型の拡散領域224、226が形成される。
【0039】
拡散領域223〜226を貫通する領域227を有する。領域227と夫々の拡散領域223〜226の間は、酸化膜228によって分離される。領域227は、例えば、不純物がドープされた多結晶シリコン層によって構成される。尚、N型の拡散領域223、225とP型の拡散領域224、226は、領域227を連続して取り囲む一体の領域として形成される。
【0040】
拡散領域224、226をソース領域、エピタキシャル層202と半導体基板200をドレイン領域、領域227をゲートとするPチャネル型のトランジスタが構成される。
【0041】
拡散領域225は配線2201を介してソース220に接続される。拡散領域226は、配線2201を介してソース220に接続される。領域227は、配線2111を介してゲート211に接続される。
【0042】
エピタキシャル層202には、更に、N型の拡散領域233、235が形成される。拡散領域233、235には、P型の拡散領域234、236が形成される。
【0043】
拡散領域233〜236を貫通する領域237を有する。領域237と夫々の拡散領域233〜236の間は、酸化膜238によって分離される。領域237は、例えば、不純物がドープされた多結晶シリコン層によって構成される。尚、N型の拡散領域233、235とP型の拡散領域234、236は、領域237を連続して取り囲む一体の領域として形成される。
【0044】
拡散領域234、236をソース領域、エピタキシャル層202と半導体基板200をドレイン領域、領域237をゲートとするPチャネル型のトランジスタが構成される。エピタキシャル層202に形成された2個のトランジスタにより、出力トランジスタ22が構成されている。
【0045】
拡散領域235は配線2201を介してソース220に接続される。拡散領域236は、配線2201を介してソース220に接続される。領域237は、配線2111を介してゲート211に接続される。
【0046】
便宜的に、図2では、エピタキシャル層201に1個のMOSトランジスタが形成され、エピタキシャル層202に並列に接続された2個のMOSトランジスタが形成された構成を示す。並列接続されるMOSトランジスタの個数を調整することにより、オン抵抗の値を調整することができる。これにより、出力トランジスタ22と検出トランジスタ21に流れるドレイン電流の比を調整して、電流センス比を調整することができる。
【0047】
図2の構成においては、ゲート211に印加される電圧によって夫々のトランジスタのソース・ドレイン間にチャンネルが形成された場合に、上部表面側(ソース側)から下部側(ドレイン側)に、縦方向のドレイン電流が流れる。また、ソースが半導体基板の表面側に2個設けられている。この為、縦型構造を有するマルチソースのMOSトランジスタと呼ばれる場合がある。
【0048】
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態の電流検出回路を示す図である。本実施形態の電流検出回路は、出力端子12と接地端子13との間に、出力トランジスタ24を有する。すなわち、ローサイドの出力トランジスタ24を備える。出力トランジスタ24とドレインを共通にする検出トランジスタ23を有する。出力トランジスタ24と検出トランジスタ23は、縦型構造のNチャンネル型のMOSトランジスタで構成される。図2に示す構成例において、P型領域とN型領域の導電型を入れ替えることにより、Nチャネル型のMOSトランジスタを構成することができる。
【0049】
出力トランジスタ24と並列に接続される分圧回路30を有する。分圧回路30は、抵抗31と抵抗32の値によって設定された分圧比Dに応じた電圧V1を接続点33から出力し、増幅器50の反転入力端に供給する。増幅器50の非反転入力端は検出トランジスタ23のソース231に接続される。制御回路10は、オン/オフを制御する駆動信号を、信号線101を介して出力トランジスタ24と検出トランジスタ23のゲート212に供給する。
【0050】
増幅器50とNMOSトランジスタ53は、検出トランジスタ23のソース電圧を電圧V1に等しくなるように動作する。従って、出力トランジスタ24と検出トランジスタ23のドレイン電流の比を、出力トランジスタ24と検出トランジスタ23のオン抵抗の比と夫々のソース・ドレイン間の電圧の比によって設定する構成とすることができる。
【0051】
増幅器60とNMOSトランジスタ62が構成する電圧フォロワ回路は、増幅器60の入力端間はイマジナリショートになり、検出トランジスタ23のソース電圧V2をNMOSトランジスタ54のドレインの接続点14に供給し、NMOSトランジスタ54に流れる電流を出力する。他の構成及び制御は、図1と同様であるので説明を省略する。ローサイドの出力トランジスタ24を備えた構成においても、電流センス比の精度を高めることができる。また、分圧回路30の分圧比Dにより、電流センス比を容易に調整することができる。
【0052】
(第3の実施形態)
図4は、第3の実施形態の電流検出回路を示す図である。本実施形態の電流検出回路は、電圧V1と電圧源121で設定される参照電圧Vrefとを比較する比較回路120を有する。電圧V1は、出力トランジスタ22のソース・ドレイン間電圧を分圧した電圧である。比較回路120は、電圧V1が参照電圧Vrefより高くなるとHレベルの出力信号を出力し、電圧V1が参照電圧Vrefより低い場合にはLレベルの出力信号を出力する。
【0053】
参照電圧Vrefは、出力トランジスタ22の線形領域と飽和領域の動作領域の境界の電圧に設定する。出力トランジスタ22のソース・ドレイン電圧VDS、ソース・ゲート間電圧VGS、しきい値VTHとすると、VGS−VTH=VDSの関係となる。出力トランジスタ22が完全にオン状態となる時の電圧VDSを分圧比Dで分圧した電圧を参照電圧Vrefとして設定する。
【0054】
本実施形態の電流検出回路は、分圧回路30の接続点33に非反転入力端が接続される増幅器90を有する。増幅器90の反転入力端は検出トランジスタ21のソースに接続される。
【0055】
増幅器90の出力は、NMOSトランジスタ91、92のゲートに接続される。トランジスタ91、92のソースは接地端子13に接続される。トランジスタ92のドレインは、検出トランジスタ21のソースに接続される。トランジスタ92のドレインを検出トランジスタ21のソースに帰還させる電圧フォロワの構成は、ソース電圧V2を電圧V1に等しくするように動作する。
【0056】
トランジスタ91、92のゲートには、NMOSトランジスタ93のドレインが接続される。トランジスタ93のソースは接地端子13に接続され、ゲートには比較回路120の出力が供給される。比較回路120の出力によってトランジスタ93のオン/オフは制御される。すなわち、比較回路120からHレベルの出力が供給される時にトランジスタ93はオンとなり、トランジスタ91、92のゲートを接地させる。
【0057】
トランジスタ92のゲートが接地されるとトランジスタ92はオフとなる為、増幅器90とトランジスタ92による電圧フォロワ回路はオフとなる。すなわち、電圧V2を電圧V1に等しくする動作が停止する。すなわち、出力トランジスタ22のソース・ドレイン電圧を分圧した電圧V1が所定のしきい値電圧より高くなった場合には、検出トランジスタ21のソース電圧V2を電圧V1に等しくする動作を停止させる。
【0058】
トランジスタ91のドレインは、接続点14に接続される。接続点14と電源端子11との間には可変抵抗回路81が接続される。可変抵抗回路81は、抵抗82と83を有する。Pチャネル型のMOSトランジスタ85は、ドレインが抵抗82と83の接続点84に接続され、ソースが電源端子11に接続される。
【0059】
トランジスタ85のゲートには、比較回路120の出力が供給される。トランジスタ85のオン/オフが比較回路120の出力によって制御される。すなわち、比較回路120がLレベルの信号を出力する時には、トランジスタ85がオンとなり、可変抵抗回路81の抵抗82を短絡させる。従って、可変抵抗回路81の抵抗値は、抵抗83の値となる。
【0060】
比較回路120は、電圧V1が参照電圧Vrefより低い場合にLレベルの出力信号を出力する。従って、電圧V1が参照電圧Vrefより低い場合に、可変抵抗回路81の抵抗値が、直列接続された抵抗82と抵抗83の値から抵抗83の値に切換えられる。
【0061】
接続点14には、トランジスタ61のソースが接続される。トランジスタ61のゲートには、増幅器60の出力が供給される。増幅器60の反転入力端は接続点14に接続され、非反転入力端は検出トランジスタ21のソースに接続される。増幅器60とトランジスタ61は電圧フォロワ回路を構成し、接続点14の電圧V3を電圧V2に等しくする様に動作する。増幅器60とトランジスタ61が構成する電圧フォロワ回路は、可変抵抗回路81に流れる電流を出力する。
【0062】
トランジスタ61のドレインは検出抵抗70の一端に接続され、検出抵抗70の他端は接地端子13に接続される。検出抵抗70に生じた電圧降下の情報が、信号線102を介して制御回路10に供給される。
【0063】
(出力トランジスタ22のソース・ドレイン間の電圧が小さい時の動作)
本実施形態の電流検出回路において、出力トランジスタ22のソース・ドレイン電圧が小さい時の動作は以下となる。ここで言う、出力トランジスタ22のソース・ドレイン電圧が小さい時とは、電圧V1が参照電圧Vrefより低い場合である。すなわち、出力トランジスタ22の電圧VGSが大きく、出力トランジスタ22が線形領域で動作している場合である。
【0064】
電圧V1は、次の式(13)で示される。
V1=VB−(Rp×Iout+Rm×Iout/D×(1−D))
=VB−(Rp+Rm/D×(1−D))×Iout ・・・ (13)
【0065】
電圧V1が参照電圧Vrefより低い為、比較回路120はLレベルの信号を出力する。この為、トランジスタ93のゲートにはLレベルの信号が供給され、増幅器90とトランジスタ92の電圧フォロワ回路の動作により、検出トランジスタ21のソース電圧V2は電圧V1に等しくなる。
【0066】
電源端子11の電圧VBは、次の式(14)で示される。
VB=Vout+Iout×(Rp+Rm) ・・・ (14)
検出トランジスタ21のドレイン電流Isは、次の式(15)で示される。
Is=(V2−Vout)/Rs ・・・ (15)
【0067】
電圧V1が電圧V2に等しい関係から、式(15)に式(13)、式(14)を代入すると、次の式(16)が得られる。
Is=(V2−Vout)/Rs
=(V1−Vout)/Rs
={VB−(Rp+Rm/D×(1−D))×Iout−Vout}/Rs
={Vout+Iout×(Rp+Rm)−(Rp+Rm/D×(D−1))×Iout−Vout}/Rs
=(Rm/D×Iout)/Rs
=Rm/Rs/D×Iout ・・・ (16)
【0068】
増幅器60とトランジスタ61が構成する電圧フォロワ回路の動作によって、接続点14の電圧V3は、検出トランジスタ21のソース電圧V2に等しくなる。従って、負荷抵抗80の両端間に印加される電圧と、可変抵抗回路81の両端間に印加される電圧は等しくなる。
【0069】
供給されるLベルの信号によってトランジスタ85はオンとなる。これにより、トランジスタ85のオン抵抗を無視すると可変抵抗回路81の抵抗値は抵抗83の値となる。
【0070】
負荷抵抗80と抵抗83を同じ抵抗値とすると、負荷抵抗80の両端間に印加される電圧はドレイン電流Isによって生じた電圧降下である為、抵抗83に流れる検出出力電流Isoutはドレイン電流Isと等しくなる。
【0071】
従って、式(16)より、次の関係式(17)が得られる。
Isout=Rm/Rs/D×Iout
=RATIO×Iout (17)
すなわち、所望の抵抗比RATIO(=Rm/Rs/D)で検出出力電流Isoutを得ることができる。
【0072】
(ソース・ドレイン間電圧VDSが大きい時の動作)
出力トランジスタ22の電圧VDSが大きい時の動作は以下となる。尚、ここで言う出力トランジスタ22のソース・ドレイン間電圧が大きい時とは、電圧V1が参照電圧Vrefより高い場合である。すなわち、出力トランジスタ22の電圧VGSが小さく出力トランジスタ22のしきい値Vthに近い値で、飽和領域から線形領域へ遷移する動作領域である。
【0073】
電圧V1は、次の式(18)で示される。
V1=VB−(Rp×Iout+Rm×Iout/D×(1−D))
=VB−(Rp+Rm/D×(1−D))×Iout ・・・ (18)
【0074】
電圧V1が参照電圧Vrefより高い為、比較回路120はHレベルの信号を出力し、トランジスタ93をオンさせる。これにより、トランジスタ92のゲートは接地され、増幅器90とトランジスタ92で構成される電圧フォロワ回路がオフとなる。従って、ソース電圧V2と電圧VBは夫々、式(19)、式(20)で示される。
V2=VB−R1×Is ・・・ (19)
VB=V2+R1×Is
=Vout+Iout×(Rp+Rm) ・・・ (20)
【0075】
検出トランジスタ21のドレイン電流Isは、次の式(21)で示される。
Is=(VB−Vout)/(R1+Rs)
={Vout+Iout×(Rp+Rm)−Vout}/(R1+Rs)
=(Rp+Rm)/(R1+Rs)×Iout ・・・ (21)
【0076】
増幅器60とトランジスタ61で構成される電圧フォロワ回路の動作により、ソース電圧V2と電圧V3は等しくなる。
【0077】
比較回路120がHレベルの信号を出力する為、トランジスタ85はオフとなる。従って、可変抵抗回路81の抵抗値は、抵抗82と83の合計値となる。従って、トランジスタ61を流れる検出出力電流Isoutは、次の式(22)で示される。
Isout=(VB−V3)/(R2+R3) ・・・ (22)
【0078】
式(19)、式(20)を式(22)に代入することで、次の式(23)を得る。
Isout={V2+R1×Is−V2}/(R2+R3)
=(R1×Is)/(R2+R3) ・・・ (23)
R2は抵抗82の抵抗値、R3は抵抗83の抵抗値を示す。
【0079】
抵抗値R1、R2、R3が等しいとすると、式(22)、式(23)から次の式(24)を得る。
Isout=Is/2
=(Rp+Rm)/(R1+Rs)×Iout/2 ・・・ (24)
また、Rp<<Rm、R1<<Rsとすると、次の式(25)が得られる。
Isout≒Rm/Rs×Iout/2 ・・・ (25)
【0080】
すなわち、出力トランジスタ22と検出トランジスタ21のオン抵抗比で設定したセンス比に応じた検出出力電流Isoutを得ることができる。従って、Rm/Rsを1/10000とした場合には、Ioutに対し所望のセンス比の1/20000で検出出力電流Isoutを出力させることができる。
【0081】
Rp=1mΩ、Rm=1Ω、Rs=10kΩ、R1=50Ω、Iout=1A、D=2とすると、Is=0.0498mAとなる。従って、電流センス比(Iout/Is9は20079となり、設定した電流センス比20000に対して3.9%の誤差に抑えることができる。従って、出力トランジスタ22の電圧VDSが大きく(VGSがしきい値Vth付近)、電圧V1を検出トランジスタ21のソースに供給出来ない場合でも、電流センス比の精度を高めることができる。
【0082】
出力トランジスタ22のソース・ドレイン電圧が大きい時に、電圧V1を検出トランジスタ21のソースに供給した場合には、出力トランジスタ22と検出トランジスタ21とのソース電圧の差が大きくなる。一方、出力トランジスタ22と検出トランジスタ21のゲートは共通接続されている為、出力トランジスタ22と検出トランジスタ21のゲート・ソース間電圧が大きく相違する状態となる。従って、出力トランジスタ22と検出トランジスタ21のオン抵抗が大きく変動し、出力トランジスタ22と検出トランジスタ21のオン抵抗の比で設定した電流センス比が大きく変動する。
【0083】
本実施形態においては、出力トランジスタ22のソース・ドレイン間電圧が所定の参照電圧Vrefより高い場合には、ソース電圧V2を電圧V1に等しくする動作を行う増幅器90とトランジスタ92で構成される電圧フォロワ回路の動作を停止させる。これにより、出力トランジスタ22と検出トランジスタ21のオン抵抗比のバラツキを抑制し、電流センス比の精度を高めることができる。
【0084】
(第3の実施形態)
図5は、第4の実施形態の電流検出回路を示す図である。本実施形態の電流検出回路は、出力端子12と接地端子13との間に、出力トランジスタ24を有する。すなわち、ローサイドの出力トランジスタ24を備える。また、出力トランジスタ24とドレインを共通にする検出トランジスタ23を有する。検出トランジスタ23のソースには負荷抵抗42が接続される。出力トランジスタ24と検出トランジスタ23は、縦型構造のNチャネル型のMOSトランジスタで構成される。図2に示す構成例において、P型領域とN型領域を入れ替えることによりNMOSトランジスタを構成することができる。
【0085】
出力トランジスタ24のソース・ドレイン間に接続される分圧回路30を有する。分圧回路30は、抵抗31と抵抗32の抵抗値の設定によって設定された分圧比Dに応じた電圧V1を出力し、増幅器90の非反転入力端に供給する。
【0086】
増幅器90とトランジスタ95は、検出トランジスタ23のソース電圧V2を電圧V1に等しくなるように動作する。従って、出力トランジスタ24と検出トランジスタ23とのドレイン電流の比を、検出トランジスタ23と出力トランジスタ24のオン抵抗の比とソース・ドレイン間の電圧の比によって設定する構成となる。
【0087】
電圧V1と電源124によって設定された参照電圧Vrefとを比較する比較回路123を有する。電圧V1が参照電圧Vrefより高くなると比較回路123はLレベルの信号を出力し、トランジスタ96のゲートに供給する。これによりトランジスタ96はオンとなり、トランジスタ94と95のゲートに電源端子11の電圧VBが印加される。この為、トランジスタ94、95はオフとなり、増幅器90とトランジスタ95で構成される電圧フォロワ回路はオフになる。
【0088】
すなわち、電圧V1が参照電圧Vrefより高くなった場合には、ソース電圧V2を電圧V1に等しくする動作を停止させる。これにより、出力トランジスタ24と検出トランジスタ23のゲート・ソース間の電圧が大きく相違する事態を回避して、電流センス比(Iout/Isout)の精度を高めることができる。
【0089】
可変抵抗回路81のNMOSトランジスタ89は、比較回路123の出力によりオン/オフが制御される。すなわち、比較回路123がHレベルの信号を出力する時には、トランジスタ89がオンとなり、可変抵抗回路81の抵抗82を短絡させる。この時、可変抵抗回路81の抵抗値は抵抗83の値となる。増幅器60とNMOSトランジスタ62が構成する電圧フォロワ回路は、可変抵抗回路81に流れる電流を出力する。
【0090】
他の構成及び制御は、図4と同様であるので説明を省略する。ローサイドの出力トランジスタ24を備えた構成においても、電流センス比の精度を高めることができる。また、分圧回路30の分圧比Dにより、電流センス比を容易に調整することができる。
【0091】
図6は、既述した実施形態においてスイッチング素子20として用いることができる縦型構造のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)の断面構造を模式的に示す。尚、IGBTのエミッタ、ゲート、及びコレクタは夫々、MOSトランジスタのソース、ゲート、及びドレインに対応する為、既述した実施形態のソース210、220は、IGBTのエミッタに、ゲート211はIGBTのゲートに、ドレイン230はIGBTのコレクタに対応させて同一の符号を用いている。IGBTで構成されるスイッチング素子20は、N型の半導体基板300を有する。半導体基板300は、コレクタ領域を構成する。半導体基板300には、MOSトランジスタのドレインに対応するコレクタ230が形成される。
【0092】
半導体基板300上に、P型のエピタキシャル層301、302を有する。エピタキシャル層301には、N型の拡散領域313、315が形成される。拡散領域313、315には、P型の拡散領域314、316が形成される。拡散領域313、315上には、絶縁膜(図示せず)を介してゲート317が設けられる。尚、拡散領域313、315と拡散領域314、316は、それぞれ連続する一体の領域として形成される。
【0093】
拡散領域314、316、拡散領域313、315、エピタキシャル層301と半導体基板300を有する領域21Aにより検出トランジスタ21が構成される。拡散領域314、316がエミッタ領域、半導体基板300がコレクタ領域、ゲート317を有するPチャネル型のIGBTが構成される。
【0094】
拡散領域313、314は、配線2301を夫々介してエミッタ210に接続される。エミッタ210はMOSトランジスタのソースに対応する為、便宜的に同じ符号210で示す。ゲート317は、配線2311を介してゲート211に接続される。
【0095】
分離領域251によって分離されたエピタキシャル層302には、N型の拡散領域323、325が形成される。拡散領域323、325には、P型の拡散領域324、326が形成される。拡散領域323、325上には、絶縁膜(図示せず)を介してゲート327が設けられる。尚、拡散領域323、325と拡散領域324、326は、それぞれ連続する一体の領域として形成される。
【0096】
更に、エピタキシャル層302には、N型の拡散領域333、335が形成される。拡散領域333、335には、P型の拡散領域334、336が形成される。拡散領域333、335上には、絶縁膜(図示せず)を介してゲート337が設けられる。尚、拡散領域333、335と拡散領域334、336は、それぞれ連続する一体の領域として形成される。
【0097】
P型の拡散領域324、326、334、336、N型の拡散領域323、325、333、335、P型のエピタキシャル層302とN型の半導体基板300を有する領域22Aにより出力トランジスタ22が構成される。拡散領域324、326、334、336がエミッタ領域、半導体基板300がコレクタ領域、ゲート327、337を有するPチャネル型のIGBTが構成される。
【0098】
拡散領域325、326、335、336は、配線2314を夫々介してエミッタ220に接続される。ゲート327、337は、配線2311を介してゲート211に接続される。
【0099】
便宜的に、エピタキシャル層301には、一つのIGBTが形成され、エピタキシャル層302には、並列に接続された2個のIGBTの構成を示す。並列接続されるIGBTの個数を調整することによりオン抵抗の値を調整することができる。すなわち、電流センス比を調整することができる。
【0100】
図6のIGBTの構成においては、ゲート211に印加される電圧によって夫々ソース・ドレイン間にチャンネルが形成された場合に、上部表面側から下部側(半導体基板300側)に、縦方向の電流が流れる。この為、コレクタ230が半導体基板300の下部側に設けられ、エミッタ210が上面側に設けられる構造は、縦型構造のスイッチング素子を構成する。図2のマルチソースのMOSトランジスタに対応して、マルチエミッタを有する構造となる。IGBTのゲート・エミッタ間電圧がMOSトランジスタのゲート・ソース間電圧に相当し、エミッタ・ドレイン間電圧がソース・ドレイン間電圧に相当する。
【0101】
尚、スイッチング素子としては、シリコンに代えてSiC(シリコンカーバイド)を材料とするSiCMOSトランジスタを用いることができる。SiCMOSトランジスタは、動作時の損失が小さく、絶縁破壊電圧が高い特徴を備える。また、半導体の材料としてGaNを用いるGaNのMOSトランジスタを用いて構成しても良い。
【0102】
また、ハイサイド側、及びローサイド側の両方に出力トランジスタ22、24と検出トランジスタ21、23を設け、既述した実施形態の構成で検出出力電流Isoutを検出する構成としてもよい。ハイサイド側の出力トランジスタ22及び、ローサイド側の出力トランジスタ24のドレイン電流Ioutを検出することで、例えば、出力端子12が電源端子11に接触した状態となる天絡、あるいは、出力端子12が接地された状態になる地絡により過電流状態となった場合に、制御回路10から出力トランジスタ22、24へのスイッチング信号の供給を停止して出力トランジスタ22、24を破壊から回避することができる。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
10 制御回路、11 電源端子、12 出力端子、13 接地端子、20 スイッチング素子、30 分圧回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6