(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記予め定められた制御は、前記累積回転量算出部で算出した累積回転量が基準回転量以上になった回転方向と逆方向に、前記切削工具を駆動する制御である、請求項1に記載の歯科用治療装置。
前記予め定められた制御は、前記累積回転量算出部で算出した累積回転量がゼロまたはゼロの近傍となるように前記正転駆動または前記逆転駆動を行う、請求項1に記載の歯科用治療装置。
前記予め定められた制御は、前記累積回転量算出部で算出した累積回転量が前記基準回転量より小さくなるように前記正転駆動または前記逆転駆動を行う、請求項1に記載の歯科用治療装置。
前記制御部は、前記基準負荷、前記基準回転量、前記第1回転量、および前記第2回転量のうち少なくとも一つの値を変更することができる、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の歯科用治療装置。
前記制御部は、前記基準負荷、前記基準回転量、前記第1回転量、前記第2回転量、前記第3回転量、および前記第4回転量のうち少なくとも一つの値を変更することができる、請求項5に記載の歯科用治療装置。
前記第1回転量は、少なくとも、90度、120度、150度、および、180度の何れか一つの近傍であり、第2回転量は、少なくとも、20度、30度、50度、90度、120度、および、150度の何れか一つの近傍である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の歯科用治療装置。
前記制御部は、前記位置検出部で検出した位置が基準位置に達した場合、前記逆転駆動または停止動作となる駆動に制御する、請求項14または請求項15に記載の歯科用治療装置。
前記累積回転量算出部は、前記正転駆動および前記逆転駆動の駆動回数に基づいて累積回転量を算出する、請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の歯科用治療装置。
前記累積回転量算出部は、前記位置検出部が、前記切削工具が根管内から引き抜かれた、または前記切削工具の先端の根管内での位置が予め定められた位置まで引き上げられたと検出した場合、算出した累積回転量をゼロにリセットする、請求項14または請求項15に記載の歯科用治療装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(概要)
歯牙の根管を切削拡大する治療は、人により根管が湾曲している程度や根管が石灰化して閉塞している状況などが異なっており、非常に難しい治療である。歯科用治療装置である根管治療器を用いて根管を切削拡大する場合において、切削工具が破折するメカニズムとして主にサイクル疲労(Cycle Fatigue)による破折、ねじれ疲労(Torsional Fatigue)による破折、および、それらの組み合わせによる破折が考えられる。特に、ねじれ疲労による破折(以下、単にねじれ破折ともいう)は、根管壁に切削工具の刃が食い込み、この食い込み部分で切削工具が拘束された状態で、さらに切削工具を無理に回転させることで切削工具がねじられて破折する現象である。
【0014】
この切削工具が拘束された状態から切削工具がねじられて破折する可能性がある角度(以下、単に破折角度ともいう)は、切削工具の材質や形状などにより異なる。しかし、同じ切削工具であれば、破折角度よりも小さい角度の範囲内で駆動する限り、ねじれ破折が生じる可能性は低い。また、根管治療器で使用する切削工具の内、最も小さい破折角度よりも小さい基準回転角度の範囲内で駆動する限り、ねじれ破折の可能性は低い。基準回転角度は、破折角度を超えないように設定することで、ねじれ破折による切削工具の破折を防止することができる。具体的に、基準回転角度には、根管治療器で使用する切削工具の種類に応じた破折角度、または根管治療器で使用する切削工具の内、最も小さい破折角度に基づいて設定される。例えば、ある切削工具の破折角度が470度であれば、マージンを考慮して360度を基準回転角度として設定される。基準回転角度は、切削工具の破折角度を基に各メーカーが検討・設定する量であり、切削工具の破折角度よりも小さい、または半分程度の角度を設定してもよい。
【0015】
根管壁に切削工具の刃が食い込み、切削工具が拘束された状態で切削工具を正転駆動すると切削工具に加わる負荷が大きくなる。根管治療器では、切削工具に加わる負荷が基準値(基準負荷)以上になると、切削工具の刃の食い込みを解消するために切削工具を逆転駆動する駆動が行われる。基準値は、切削工具に破断が生じる可能性がある負荷(破断トルク)を大きく超えないように設定することで、ねじれ破折による切削工具の破折を防止することができる。具体的に、基準値には、根管治療器で使用する切削工具の種類に応じた破断トルク、または根管治療器で使用する切削工具の内、最も小さい破断トルクに基づいて設定される。例えば、ある切削工具の破断トルクが54g・cmであれば、マージンを考慮して50g・cmを基準値として設定される。
【0016】
しかし、根管治療器は、設定した基準値が小さいと、小さな負荷が切削工具に加わっても切削工具の回転が直ぐに正転から逆転へと切換わることになり、根管壁に切削工具の刃が食い込んだ状態を解消することができても、根管壁を切削することができない逆転駆動を頻繁に繰り返すことになる。そのため、根管治療器は、切削工具の破折を防止することはできるが、切削工具の駆動において逆転駆動の割合が高くなり切削効率が低下することになる。
【0017】
逆に、根管治療器は、設定した基準値が大きいと、大きな負荷が切削工具に加わっても切削工具の回転を正転から逆転へと切換えることができず、根管壁に切削工具の刃が食い込んだ状態で切削工具を正転駆動し続けることになる。そのため、根管治療器は、切削工具に破断トルク以上の負荷が加わり、切削工具の破断角度を超えて切削工具を正転駆動することになるので、切削工具の破折を防止することができない。
【0018】
そこで、本発明に係る根管治療器では、切削工具の破断トルクに応じた基準値を設定した上で、切削工具の累積回転角度(累積回転量)が破折角度を超えない基準回転角度内となるように駆動を制御することで、破断トルクを超えた駆動の累積回転角度が基準回転角度を超えないようにして切削効率の低下を抑えつつ、切削工具の破折を防止している。なお、累積回転角度は、正転駆動の回転角度を正の値、逆転駆動の回転角度を負の値とし、それらの和を計数した値である。
【0019】
(実施の形態1)
[歯科用治療装置の駆動]
次に、本実施の形態1に係る歯科用治療装置である根管治療器の駆動について説明する。
図1は、本実施の形態1に係る根管治療器100の駆動を説明するためのフローチャートである。
図2は、本実施の形態1に係る根管治療器100に用いる駆動パターンを説明するための図である。なお、本実施の形態1に係る根管治療器100は、後述する
図5〜
図7に示す根管治療器100の構成を有しているものとして以下説明する。
【0020】
まず、根管治療器100の駆動を開始した場合、制御部11は、正転方向に180度、切削工具5を回転する駆動パターンの正転駆動を行う(ステップS11)。制御部11は、正転方向に180度、切削工具5を駆動した後、負荷検出部で切削工具5に加わる負荷が基準値より大きいか否かを判断する(ステップS12)。つまり、制御部11は、切削工具5に加わる負荷が基準値を超えた状態であっても正転方向に180度、切削工具5を回す。このことで、切削工具5は、正転方向に180度回転する間、根管壁(切削対象物)を確実に切削することができる。切削工具5に加わる負荷が基準値以下の場合(ステップS12でNO)、制御部11は、ステップS19で停止操作を受付けない限り、正転方向に180度、切削工具5を回転する駆動パターンの正転駆動を繰返す(
図1に示す駆動パターンa)。つまり、制御部11は、
図2(a)に示すように正転方向に切削工具5を連続して回転する駆動パターンaで駆動を制御する。なお、
図2では、正転方向の回転を実線の矢印で、逆転方向の回転を破線の矢印でそれぞれ示している。
【0021】
切削工具5に加わる負荷が基準値より大きい場合(ステップS12でYES)、制御部11は、正転駆動と逆転駆動とを繰り返す駆動(ステップS11〜S14)を行う中で、累積回転角度が360度(基準回転角度)以上か否かを判断する(ステップS13)。累積回転角度が360度より小さい場合(ステップS13でNO)、制御部11は、逆転方向に90度、切削工具5を回転する逆転駆動を行う(ステップS14)。制御部11は、ステップS19で停止操作を受付けない限り、切削工具5に加わる負荷が基準値より大きい場合、正転方向に180度、逆転方向に90度、切削工具5を回転する駆動パターンによる駆動を繰返す(
図1に示す駆動パターンb)。つまり、制御部11は、
図2(b)に示すように正転方向に180度、逆転方向に90度、切削工具5を回転する駆動パターンbで駆動を制御する。
【0022】
累積回転角度は、駆動パターンbを1回行う毎に、正転方向(180度)+逆転方向(−90度)=90度分だけ増加することになる。そのため、累積回転角度は、4回目の駆動パターンbを実行した時点で360度以上となる。累積回転角度が360度以上の場合(ステップS13でYES)、制御部11は、逆転方向に180度、切削工具5を回転する逆転駆動を行う(ステップS15)。つまり、制御部11は、駆動パターンb(ステップS11〜ステップS14)で切削工具5を駆動し、累積回転量が基準回転量以上になったので、駆動パターンを駆動パターンc(ステップS15〜ステップS18)に変更する。なお、駆動パターンcに変更するとき、制御部11は、駆動パターンbで設定されている回転角度などのパラメータを、駆動パターンcで設定される回転角度などのパラメータに書き換える処理が行われている。また、この変更のタイミングで根管治療機器100を使用する術者へ、駆動パターンの変更を知らせる制御を行う。例えば、報知部17によってブザー音を出力させても良く、表示部16によってその旨の表示をさせても良い。
【0023】
次に、制御部11は、正転駆動と逆転駆動とを繰り返す駆動(ステップS15〜S18)を行う中で、累積回転角度が(−360度)以下か否かを判断する(ステップS16)。累積回転角度が(−360度)より大きい場合(ステップS16でNO)、制御部11は、正転方向に90度、切削工具5を回転する駆動パターンの正転駆動を行う(ステップS17)。制御部11は、正転方向に90度、切削工具5を駆動した後、負荷検出部で切削工具5に加わる負荷が基準値より大きいか否かを判断する(ステップS18)。切削工具5に加わる負荷が基準値より大きい場合(ステップS18でYES)、制御部11は、処理をステップS15に戻す。制御部11は、切削工具5に加わる負荷が基準値より大きい場合、逆転方向に180度、正転方向に90度、切削工具5を回転する駆動パターンによる駆動を繰返す(
図1に示す駆動パターンc)。つまり、制御部11は、
図2(c)に示すように逆転方向に180度、正転方向に90度、切削工具5を回転する駆動パターンcで駆動を制御する。
【0024】
累積回転角度が(−360度)以下の場合(ステップS16でYES)、制御部11は、ステップS19で停止操作を受付けない限り、処理をステップS11に戻す。制御部11は、駆動パターンc(ステップS15〜ステップS18)で切削工具5を駆動し、累積回転量が基準回転量以上になったので、駆動パターンを駆動パターンb(ステップS11〜ステップS14)を戻す。なお、駆動パターンbに戻すとき、制御部11は、駆動パターンcで設定されている回転角度などのパラメータを、駆動パターンbで設定される回転角度などのパラメータに書き換える処理を行う。累積回転角度は、駆動パターンcを1回行う毎に、正転方向(90度)+逆転方向(−180度)=(−90度)分だけ増加することになる。そのため、累積回転角度は、4回目の駆動パターンcを実行した時点で(−360度)以下(累積回転角度の絶対値が基準回転角度以上)となる。つまり、制御部11は、切削工具5に加わる負荷が基準値より大きい場合、累積回転角度の絶対値が360度を超える毎に、駆動パターンbと駆動パターンcとを切換えて駆動を制御している。
【0025】
そのため、根管治療器100では、切削工具5に基準値より大きい負荷が加わった状態であっても、破折角度を超えない範囲で駆動を継続するため、切削工具5に基準値より大きい負荷が加わるたびに逆転駆動する制御に比べて、切削効率の低下を抑えつつ、切削工具の破折を防止することが可能となる。
【0026】
切削工具5に加わる負荷が基準値より大きい場合(ステップS18でNO)、制御部11は、停止操作を受付けたか否かを判断する(ステップS19)。停止操作を受付けた場合(ステップS19でYES)、制御部11は、切削工具5を回転する駆動を終了する。一方、停止操作を受付けていない場合(ステップS19でNO)、制御部11は、処理をステップS11に戻す。
【0027】
ここで、切削工具の種類と破折角度との関係を説明する。
図3は、切削工具のメーカおよび直径と破折角度との関係を説明するための図である。
図3では、A社〜F社、#15(直径0.15mm)〜#40(直径0.40mm)のそれぞれの破折角度が示されている。切削工具の材質や形状は各社により異なり、同じ大きさの切削工具であっても破折角度は異なっている、例えば、細い#15の切削工具では、B社が640度で、C社は1210度となっており大きく異なっている。
【0028】
図3において、A社#30の切削工具、およびE社#20の切削工具の破折角度が、510度となっている。つまり、当該切削工具の先端を拘束して無理やり510度、回転させようとするとねじ切れる可能性がある。
図2(a)や
図2(b)で示したように累積回転角度が正の値の駆動パターンa,bで切削工具を連続駆動した場合、切削工具の先端が食い込んだまま累積回転角度が510度を超えることになり、切削工具がねじれ破折する。
【0029】
また、切削工具の種類と破断トルクとの関係を説明する。
図4は、切削工具のメーカおよび直径と破断トルクとの関係を説明するための図である。
図4では、A社〜F社、#15(直径0.15mm)〜#40(直径0.40mm)のそれぞれの破断トルクが示されている。切削工具の材質や形状は各社により異なり、同じ大きさの切削工具であっても破断トルクは異なっている、例えば、細い#15の切削工具では、A社が11g・cmで、E社は21g・cmと2倍程度異なっている。
【0030】
図4において、A社#30の切削工具、およびE社#30の切削工具の破断トルクが、54g・cmとなっている。つまり、当該切削工具の先端を拘束して無理やり54g・cmの負荷を加えると切削工具が破断する可能性がある。そのため、基準値は、マージンを考慮して50g・cmと設定する。
【0031】
切削工具のねじれ破折を防止するための駆動として、切削工具に加わる負荷がある基準値より大きくなった場合に反転させる駆動が知られているが、本実施の形態1に係る根管治療器100では、切削工具5に加わる負荷が基準値より大きくなった場合でも、累積回転角度が所定の範囲内であれば切削工具5を駆動することが可能である。つまり、本実施の形態1での制御は、切削工具5に加わる負荷が基準値より大きくなった場合、逆転駆動を含む駆動パターンbと駆動パターンcとを切換えて、累積回転角度が所定の範囲内となるような制御している。ここで、所定の範囲とは、累積回転角度が少なくとも破折角度を超えない範囲とする。
【0032】
[歯科用治療装置の構成]
次に、本実施の形態1に係る歯科用治療装置の構成について説明する。本実施の形態1に係る歯科用根管治療のハンドピースを組み込んだ根管拡大及び根管長測定システムを含む根管治療器である。しかし、本発明に係る歯科用治療装置は、根管治療器に限定されるものではなく、同様の構成を有する歯科用治療装置について適用することができる。また、根管長測定システムを含む根管治療器として説明するが、根管拡大のみの根管治療器であってもよい。
【0033】
図5は、本実施の形態1に係る根管治療器の外観の構成を示す概略図である。
図6は、本実施の形態1に係る根管治療器の機能の構成を示すブロック図である。
図5に示す根管治療器100は、歯科用根管治療のためのハンドピース1、モータユニット6、制御ボックス9を含んでいる。
【0034】
歯科用根管治療のハンドピース1は、ヘッド部2と、ヘッド部2に連接される細径のネック部3と、該ネック部3に連接され手指によって把持される把持部4とを備えている。そして、把持部4の基部には、ヘッド部2に保持される切削工具5(ファイル或いはリーマなど)を回転駆動させるためのモータユニット6が着脱自在に接続される。ハンドピース1にモータユニット6が連結された状態で歯科用のインスツルメント10を構成する。
【0035】
モータユニット6は、
図6に示すようにマイクロモータ7を内蔵し、該マイクロモータ7へ電源を供給する電源供給用リード線71および、後述する根管長測定回路12へ信号を伝送する信号用リード線8などを内装するホース61を介して、制御ボックス9に連結してある。ここで、信号用リード線8は、モータユニット6及びハンドピース1内を経て切削工具5と電気的に導通し、電気信号を伝達する導電体の一部である。なお、切削工具5は、根管長測定回路12の一方の電極となる。
【0036】
制御ボックス9は、制御部11、比較回路110、根管長測定回路12、モータドライバ13、設定部14、操作部15、表示部16、報知部17および累積回転角度算出部80などを備えている。なお、制御ボックス9には、
図5に示すように、本体側部にインスツルメント10を不使用時に保持するためのホルダ10aを取付けてある。また、制御ボックス9には、フートコントローラ18を制御部11に連結し、リード線19を根管長測定回路12に連結してある。リード線19は、制御ボックス9から引き出されているが、ホース61の途中から分岐するように引き出してもよい。リード線19の先端には、患者の唇に掛けられる口腔電極19aを電気的に導通する状態で取付けてある。なお、口腔電極19aは、根管長測定回路12の他方の電極となる。
【0037】
制御部11は、根管拡大及び根管長測定システム全体の制御を行うもので、主要部はマイクロコンピュータで構成されている。制御部11には、比較回路110、根管長測定回路12、モータドライバ13、設定部14、操作部15、表示部16、報知部17およびフートコントローラ18を接続してある。制御部11は、切削対象物を切削する切削工具5の回転方向を制御している。具体的に、制御部11は、駆動シーケンスに従い、切削工具5を正転方向(時計回り(右回りともいう)方向)に回転させる正転駆動、および切削工具5を逆転方向(反時計回り(左回りともいう)方向)に回転させる逆転駆動のいずれかの制御を行う。ここで、切削工具の回す方向(時計回り方向や反時計回り方向)は、ヘッド部2に取付ける切削工具5の側から切削工具5の先端方向を向いた場合を基準に考えるものとする。さらに、制御部11は、時計回りの回転角度、回転速度、あるいは回転角速度(回転数)、反時計回りの回転角度、回転速度、あるいは回転角速度(回転数)、繰り返し数のそれぞれのパラメータを変更して、切削工具5を回転させる駆動の制御を行うことができる。
【0038】
ここで、回転角度は、切削工具5を時計回り方向または反時計回り方向に回す大きさを表す回転量であり、回転回数や回転角速度(回転数)を一定にした場合の回転時間(駆動期間ともいう)などで規定してもよい。また、回転角度は、駆動電流量やトルク量などの切削工具5の駆動に関連する量で規定してもよい。なお、本明細書の説明では回転角度を用いて説明するが、回転回数と置き換えてもよい。たとえば、切削工具5の回転回数を2分の1回転とすることと、切削工具5が180度回転することとは同じことである。また、切削工具5の回転速度が120回毎分と一定の場合に切削工具5を0.25秒駆動することと、切削工具5が180度回転することとは同じことである。厳密には切削工具やモータのかかる負荷によって、例えば制御上の回転時間と実際の回転角度とは対応関係を補正しなければならない場合があるが、補正量は極めて小さく本発明の実施においては無視することができる。
【0039】
比較回路110は、切削工具5に加わる負荷を検出するために必要な構成であり、当該負荷の検出が必要な場合に選択して設けることが可能な構成である。比較回路110は、モータドライバ13により切削工具5を時計回り方向または反時計回り方向に回転させているいずれかの時点で、負荷の比較を行うことが可能である。具体的に、比較回路110は、切削工具5を時計回り方向または反時計回り方向に所定の回転角度(例えば180度)回転させた後に、切削工具5に加わる負荷と基準負荷とを比較することができる。さらに、比較回路110は、所定の回転角度(例えば180度)回転している間に検出した負荷の最大値、平均値、または検出した複数の負荷の値のうちの少なくとも一つの値を切削工具5に加わる負荷として、基準負荷と比較してもよい。
【0040】
根管長測定回路12は、切削工具5の先端の根管内での位置を検出するために必要な構成であり、当該位置の検出が必要な場合に選択して設けることが可能な構成である。根管長測定回路12は、歯牙の根管内に挿入した切削工具5を一方の電極、患者の唇に掛けた口腔電極19aを他方の電極として閉回路を構成する。そして、根管長測定回路12は、切削工具5と口腔電極19aとの間に測定電圧を印加し、切削工具5と口腔電極19aとの間のインピーダンスを計測することによって、歯牙の根尖位置から切削工具5の先端までの距離を測定することができる。切削工具5の先端が根尖位置に到達したことを根管長測定回路12が検出したとき、切削工具の挿入量、すなわち根管口から切削工具の先端までの距離を根管長とすることができる。なお、切削工具5と口腔電極19aとの間のインピーダンスを計測して、根管長を測定する電気的根管長測定方法は公知のものであり、実施の形態1に係る根管治療器100には、公知になっているすべての電気的根管長測定方法を適用することができる。
【0041】
モータドライバ13は、電源供給用リード線71を介してマイクロモータ7に接続し、制御部11からの制御信号に基づいて、マイクロモータ7に供給する電源を制御している。モータドライバ13は、マイクロモータ7に供給する電源を制御することで、マイクロモータ7の回転方向、回転数および回転角度など、つまり切削工具5の回転方向、回転数および回転角度などを制御することができる。なお、主にマイクロモータ7およびモータドライバ13により駆動部を構成している。
【0042】
設定部14は、切削工具5の回転方向、回転数および回転角度などを制御する基準を設定する。また、設定部14は、切削工具5に加わる負荷と比較回路110おいて比較する切換基準(駆動シーケンス、または駆動パターンのパラメータを切換えるための基準)、基準負荷、タイミングなどを設定する。さらに、設定部14は、根管長測定回路12を用いて予め根尖位置を基準位置、根尖位置から所定距離にある位置を切換位置(駆動シーケンス、または駆動パターンのパラメータを切換えるための基準)としてそれぞれ設定したりすることができる。なお、根管治療器100は、設定部14に予め基準位置を設定しておくことで、切削工具5の先端がこの基準位置に達したとき、切削工具5の回転方向、回転数および回転角度のパラメータを変更することができる。
【0043】
操作部15は、切削工具5の回転数および回転角度のパラメータを設定する他、根管長測定を行うか否かの選択なども設定することができる。また、操作部15は、駆動シーケンス、または駆動パターンの切換え、正転駆動と逆転駆動との切換えや、正転駆動とツイスト駆動との切換えを手動で行うことができる。
【0044】
表示部16は、後述するように根管内での切削工具5の先端の位置や切削工具5の回転方向、回転数および回転角度などを表示する。さらに、報知部17が術者(使用者)に対して報知するための情報を、表示部16に表示することもできる。
【0045】
報知部17は、現在、制御部11で行っている切削工具5の駆動状態を、光、音や振動などにより報知する。具体的に、報知部17は、切削工具5の駆動状態を報知するために、必要に応じてLED(Light Emitting Diode),スピーカーや振動子などを設け、正転方向の駆動と逆転方向の駆動とで発光するLEDの色を変えたり、スピーカーから出力する音を変えたりする。なお、報知部17は、表示部16で、術者に対して切削工具5の駆動状態を表示することができる場合、LED,スピーカーや振動子など別途設けなくてもよい。
【0046】
フートコントローラ18は、マイクロモータ7による切削工具5の駆動制御を足踏操作によって行う操作部である。なお、マイクロモータ7による切削工具5の駆動制御は、フートコントローラ18に限定されるものではなく、ハンドピース1の把持部4に操作スイッチ(図示せず)を設け、この操作スイッチとフートコントローラ18とを併用して切削工具5の駆動制御を行うようにしてもよい。また、たとえば、フートコントローラ18の足踏操作がなされている状態で、さらに切削工具5が根管内に挿入されたことを根管長測定回路12が検出したことで、切削工具5の回転を開始するようにしてもよい。
【0047】
累積回転角度算出部80は、駆動パターンにおいて回転方向毎に累積回転角度を算出する算出部である。累積回転角度算出部80では、正転駆動の回転角度を正の値、逆転駆動の回転角度を負の値とし、それらの和を計数した値を累積回転角度として算出している。また、累積回転角度算出部80では、駆動パターンが切換わるごとに算出した値をリセットする。例えば、累積回転角度算出部80は、駆動パターンbでの累積回転角度が360度であると算出した後に駆動パターンcに切換わった場合、算出した累積回転角度が0度にリセットされる。なお、後述する根管長測定回路12が、切削工具5が根管内から引き抜かれた、または切削工具5の先端の根管内での位置が予め定められた位置まで引き上げられたと検出した場合、累積回転角度算出部80は、累積回転角度を0度にリセットしてもよい。
【0048】
なお、根管治療器100の制御ボックス9は、歯科用診療台の側部に設置するトレーテーブルやサイドテーブル上に載置して使用する構成について説明したが、本発明はこれに限定されず、トレーテーブルやサイドテーブル内に制御ボックス9を組込んだ構成であってもよい。
【0049】
次に、切削工具5の駆動制御を行う根管治療器100の回路構成について、さらに詳しく説明する。
図7は、本実施の形態1に係る根管治療器100の回路構成を示す回路図である。
図7に示す根管治療器100には、切削工具5の駆動制御に関わるマイクロモータ7、制御部11、比較回路110、根管長測定回路12、モータドライバ13、および設定部14の部分について図示してある。
【0050】
さらに、モータドライバ13は、トランジスタスイッチ13a、トランジスタドライバ回路13b、回転方向切換スイッチ13c、および負荷検出用抵抗13dを含んでいる。なお、回転方向切換スイッチ13cは、リレー素子として説明するが、FETなどの半導体のスイッチ素子でモータ駆動回路を構成してもよい。設定部14は、基準負荷設定用の可変抵抗14a、デューティ設定用の可変抵抗14b、および基準位置設定用の可変抵抗14cを含んでいる。なお、設定部14には、比較回路110において検出した負荷と基準負荷とを比較するタイミングを示す回転角度(または回転時間)を設定する構成なども含まれるが、当該構成については
図7に図示していない。また、
図7に示す根管治療器100には、主電源20およびメインスイッチ21に接続してある。切削工具5は、図示していないが適宜の歯車機構等を介してマイクロモータ7に保持してある。
【0051】
トランジスタドライバ回路13bは、制御部11のポート11aから出力する制御信号で作動し、トランジスタスイッチ13aのオン・オフを制御してマイクロモータ7を駆動する。マイクロモータ7は、回転方向切換スイッチ13cの状態に応じて時計回り方向または反時計回り方向に回転する。制御部11のポート11aから出力する制御信号が、たとえば一定の周期で繰返されるパルス波形である場合、そのパルス波形の幅、すなわちデューティ比は、設定部14のデューティ設定用の可変抵抗14bによって調整される。マイクロモータ7は、このデューティ比に対応した回転数で切削工具5を駆動する。
【0052】
回転方向切換スイッチ13cは、制御部11のポート11bから出力する制御信号で、切削工具5を時計回り方向に駆動するか、反時計回り方向に駆動するかを切換える。制御部11は、ポート11cに入力される負荷検出用抵抗13dの電流量(または電圧値)に基づき、切削工具5に加わる負荷を検出する。そのため、負荷検出用抵抗13dは、切削工具5に加わる負荷を検出する負荷検出部として機能している。なお、負荷検出部は、負荷検出用抵抗13dの電流量(または電圧値)に基づいて切削工具5に加わる負荷を検出する構成に限定されるものではなく、たとえば切削工具5の駆動部分にトルクセンサを設けて切削工具5に加わる負荷を検出する構成など別の構成であってもよい。検出される負荷は、たとえば切削工具5に加わるトルク値に制御部11で換算され、表示部16に表示される。また、比較回路110では、制御部11で換算されたトルク値と、基準負荷設定用の可変抵抗14aを用いて設定したトルク値とを比較している。もちろん、比較回路110は、トルク値に換算せずに負荷検出用抵抗13dの電流量(または電圧値)と可変抵抗14aの電流量(または電圧値)とを直接比較する構成でもよい。
【0053】
さらに、制御部11は、根管長測定回路12で測定した根管長をポート11dに入力する。そのため、根管長測定回路12は、切削工具5の先端の根管内での位置を検出する位置検出部として機能している。また、制御部11は、負荷検出部で検出した切削工具5に加わる負荷をポート11eから比較回路110へ出力し、比較回路110が基準負荷と比較した比較結果をポート11eから入力する。そのため、比較回路110は、負荷検出部で検出した負荷と基準負荷とを比較する負荷比較部として機能している。なお、制御部11は、上記アナログ回路で説明した構成を、ひとつのマイクロコンピュータにソフトウェアとしてまとめてもよい。
【0054】
図8は、切削工具5の回転方向を示した模式図である。
図8に示す切削工具5の回転方向では、ヘッド部2に取付ける切削工具5の側から切削工具5の先端方向を向いて切削工具5を右回りに回転させる時計回り方向5aの方向の駆動と、左回りに回転させる反時計回り方向5bの方向の駆動とが図示されている。なお、予め定められた回転角度で時計回り方向5aに切削工具5を回転させる駆動と、予め定められた回転角度で反時計回り方向5bに切削工具5を回転させる駆動とを交互に行う駆動が、ツイスト駆動である。
【0055】
次に、
図5に示す表示部16に設ける液晶表示パネルの表示について説明する。
図9は、
図5に示す表示部16に設ける液晶表示パネルの表示例を示す図である。
【0056】
図9に示す表示部16は、液晶表示パネルであり、測定した根管長を詳細に表示するための多数の要素を含むドット表示部52と、根管長を複数のゾーンに分けて段階的に表示するためのゾーン表示部54と、各ゾーンの境界を示す境界表示部56と、根尖までの到達率を表示する到達率表示部58とが設けてある。
【0057】
ドット表示部52は、切削工具5の先端が根尖に近づくにつれ、上から下に向かって要素が順に表示されるようになっている。目盛「APEX」の位置が根尖の位置を表わし、当該目盛まで要素が到達したとき、切削工具5の先端が根尖の位置にほぼ到達したことを示す。
【0058】
また、表示部16には、負荷検出部(負荷検出用抵抗13d、
図7参照)で検出した負荷を表示するための多数の要素を含むドット表示部60と、負荷を複数のゾーンに分けて段階的に表示するためのゾーン表示部62とが設けてある。ドット表示部60は、負荷検出部で検出した負荷が大きくなるに従って、上から下に向かって要素が順に表示される。
【0059】
たとえば、ドット表示部60には、歯牙を切削しているときに加わる切削工具5の負荷を、斜線で示した要素60aで表示する。なお、ドット表示部60は、表示が頻繁に切換わるのを防ぐため、ピークホールド機能を有し、所定時間内に検出した負荷の最大値を一定時間表示するようにしてもよい。
【0060】
また、ドット表示部60には、設定部14(
図7参照)で設定した基準負荷に対応する要素60bを表示してもよい。要素60bをドット表示部60に表示することで、基準負荷に対して、負荷検出部で検出した負荷にどの程度マージンが存在しているのかを視覚化することができる。
【0061】
さらに、表示部16には、切削工具5の回転数や切削工具5に加わる負荷を数値で表示する数値表示部64と、切削工具5の回転の向き(時計回り方向、反時計回り方向)および切削工具5の回転数の大小を表示する回転表示部68とが設けてある。
【0062】
[歯科用治療装置の駆動の具体例]
次に、本実施の形態1に係る歯科用治療装置である根管治療器100の駆動の具体例について説明する。
図10は、根管治療器100において切削工具5に加わるトルクと歯牙50の位置との関係を説明するための図である。
図11は、本実施の形態1に係る根管治療器100において切削工具5に加わるトルクと歯牙50の位置との関係を説明するための図である。
図12は、比較対象の根管治療器において切削工具5に加わるトルクと歯牙50の位置との関係を説明するための図である。
【0063】
まず、
図10には、根尖位置から6mmまでの根管を含む歯牙50の断面図が図示されている。図中左側から切削工具5を挿入して根尖に至るまで根管を拡大する場合、根管の湾曲具合により各位置での切削工具5に加わるトルク(負荷)が異なる。具体的に、切削工具5に加わるトルクは、0mmから2mmまで上昇し2mmで約70g・cmとなる。その後、切削工具5に加わるトルクは、2mmから4mmまで下降し4mmで約30g・cmとなる。さらに、切削工具5に加わるトルクは、4mmから根尖位置の6mmまで上昇する。
【0064】
本実施の形態1に係る根管治療器100では、基準値として50g・cmを設定し、
図1に示す駆動を行った場合の切削工具5に加わるトルクの変化を
図11に示している。
図11では、基準値の50g・cmを超えた場合、正転方向に180度、切削工具5を駆動した後に、逆転方向に90度、切削工具5の駆動(
図1に示すステップS14)に切換えることで切削工具5に加わるトルクを低減している。その後、根管治療器100は、正転方向に180度、切削工具5を回す駆動(
図1に示すステップS11)に戻す。このとき、切削工具5に加わるトルクが基準値の50g・cmを超えていても、正転方向に180度回転するまで正転駆動を継続するので、切削工具5に加わるトルクが
図10に示す曲線に沿って変化する。つまり、本実施の形態1に係る根管治療器100では、正転方向に180度、切削工具5を駆動している間、
図10に示すトルク制御を行っていない駆動と同じように根管壁を切削することができる。
【0065】
一方、比較対象の根管治療器では、基準値として50g・cmを設定し、切削工具5に加わるトルクが基準値を超えた時点で、逆転駆動に切換わる場合の切削工具5に加わるトルクの変化を
図12に示している。
図12では、基準値の50g・cmを超えて時点で、逆転方向に切削工具5を駆動することで切削工具5に加わるトルクを低減している。その後、比較対象の根管治療器は、切削工具5に加わるトルクが基準値以下となった場合に正転駆動に戻す。このとき、切削工具5に加わるトルクが基準値の50g・cmを超えると、また逆転方向に切削工具5を駆動することになる。そのため、比較対象の根管治療器では、基準値の50g・cmを超える部分について、切削工具5に加わるトルクが
図10に示す曲線に沿って駆動することができない。つまり、比較対象の根管治療器では、基準値の50g・cmを超える部分で切削工具5を駆動できず、
図10に示すトルク制御を行っていない駆動のように根管壁を切削することができない。
【0066】
図11に示す切削工具5に加わるトルクの変化と、
図12に示す切削工具5に加わるトルクの変化とを比較することで分かるように、本実施の形態1に係る根管治療器100では、
図1に示す駆動を行うことで切削効率の低下を抑えることができる。
【0067】
以上のように、本実施の形態1に係る根管治療器100は、ハンドピース1のヘッド部2に保持した切削工具5を切削方向に回転させる正転駆動と、非切削方向に回転させる逆転駆動とを行うことができる駆動部と、切削工具5を駆動する駆動部を制御する制御部11と、切削工具5に加わる負荷を検出する負荷検出部と、駆動部が駆動した切削工具5の回転角度(回転量)を、正転駆動と逆転駆動とを繰り返す駆動を行う中で、回転方向毎に累積した累積回転角度を算出する累積回転角度算出部80とを備えている。制御部11は、180度(予め定められた第1回転量)に至るまで、負荷検出部での結果に関わらず切削工具5の駆動を正転駆動で継続し、180度まで切削工具5を正転駆動したときに負荷検出部で検出した切削工具5に加わる負荷が基準負荷以上になった場合に、切削工具5の駆動を90度(予め定められた第2回転量)に至るまで逆転駆動に切換える。制御部11は、正転駆動と逆転駆動とを繰り返す駆動を行う中で、累積回転角度算出部80で算出した累積回転角度が基準回転角度以上になった場合に、切削工具の捻じれを解消するための予め定められた制御を行う。そのため、本実施の形態1に係る根管治療器100では、制御部11は、累積回転角度算出部80で算出した累積回転角度が基準回転角度以上になった場合に、切削工具の捻じれを解消するための予め定められた制御を行うので、切削効率の低下を抑えつつ、ねじれ破折による切削工具5の破折を防止することができる。
【0068】
以上のように、本実施の形態1に係る根管治療器100の駆動方法では、180度に至るまで、切削工具5に加わる負荷を検出する負荷検出部での結果に関わらず切削工具5の駆動を正転駆動で継続し、180度まで切削工具5を正転駆動したときに負荷検出部で検出した切削工具5に加わる負荷が基準負荷以上になった場合に、切削工具5の駆動を90度に至るまで逆転駆動に切換え、正転駆動と逆転駆動とを繰り返す駆動を行う中で、切削工具5の回転量を累積した累積回転量が基準回転量以上になった場合に、駆動パターンに変更し、変更した駆動パターンでは、90度に至るまで、負荷検出部での結果に関わらず切削工具5の駆動を正転駆動で継続し、90度まで切削工具5を正転駆動したときに負荷検出部で検出した切削工具5に加わる負荷が基準負荷以上になった場合に、切削工具5の駆動を180度に至るまで逆転駆動に切換える。
【0069】
予め定められた制御は、90度(予め定められた第3回転量)に至るまで、負荷検出部での結果に関わらず切削工具5の駆動を正転駆動で継続し、90度まで切削工具5を正転駆動したときに負荷検出部で検出した切削工具5に加わる負荷が基準負荷以上になった場合に、切削工具5の駆動を180度(予め定められた第4回転量)に至るまで逆転駆動に切換える駆動パターンに変更する制御であってもよい。これにより、根管治療器100は、累積回転角度が基準回転角度の範囲内となるように駆動パターンに変更することができ、ねじれ破折による切削工具5の破折を防止することができる。なお、第4回転量は、第3回転量より大きい回転角度である。さらに、正転駆動の第3回転量は、逆転駆動の第2回転量の90度同じ回転量である場合に限定されず、異なる回転量でもよく、0(ゼロ)度も含まれる。また、逆転駆動の第3回転量は、正転駆動の第2回転量の180度同じ回転量である場合に限定されず、異なる回転量でもよく、0(ゼロ)度も含まれる。
【0070】
制御部11は、変更した駆動パターンで切削工具5を駆動し、累積回転角度算出部80で算出した累積回転角度の絶対値が基準回転角度以上になった場合、駆動パターンを戻す。これにより、根管治療器100は、累積回転角度が基準回転角度の範囲内となるように駆動パターンを繰返し変更することができ、ねじれ破折による切削工具5の破折を防止することができる。
【0071】
予め定められた制御は、累積回転角度算出部80で算出した累積回転角度がゼロまたはゼロの近傍となるように正転駆動または逆転駆動を行っても、累積回転角度算出部80で算出した累積回転角度が基準回転角度より小さくなるように正転駆動または逆転駆動を行ってもよい。これにより、根管治療器100は、累積回転角度が基準回転角度の範囲内となるように駆動パターンに変更することができ、ねじれ破折による切削工具5の破折を防止することができる。なお、累積回転角度がゼロとなるように正転駆動または逆転駆動を行うと記載したが、必ずしも累積回転角度がゼロである必要はなく、ゼロを目標に正転駆動または逆転駆動を行う制御も含まれる。たとえば、予め定められた制御は、累積回転角度がゼロの近傍の範囲となるように正転駆動または逆転駆動を行う。ここで、ゼロの近傍とは、たとえば、正転方向または逆転方向に約10度までの角度である。切削工具5の駆動において、正転方向または逆転方向に約10度程度の偏差が累積されても、切削工具5が破折するまでの時間内に切削工具5の捻じれが解除される可能性が高い。また、切削工具5が破折するまでの時間内に切削工具5を引き上げる操作を術者が行う可能性があり、累積回転角度が厳密にゼロになる必要はない。
【0072】
(実施の形態2)
実施の形態1に係る根管治療器100では、累積回転角度を算出し、この累積回転角度に基づいて駆動パターンを切換えていた。しかし、駆動パターンに含まれる正転駆動および逆転駆動の回転角度が一定であれば、駆動パターンの動作回数に基づいて駆動パターンを切換えても、実施の形態1に係る制御と同様の制御を行うことができる。つまり、駆動パターンの動作回数に基づいて累積回転角度を算出して、駆動パターンを切換える制御であると考えることもできる。そこで、本実施の形態2に係る根管治療器では、駆動パターンの動作回数に基づいて駆動パターンを切換える制御について説明する。
図13は、本実施の形態2に係る根管治療器100の駆動を説明するためのフローチャートである。なお、本実施の形態2に係る根管治療器100でも、
図5〜
図7に示した実施の形態1に係る根管治療器100と同じ構成を用いるため、同じ符号を用いて詳しい説明を繰返さない。
【0073】
まず、根管治療器100の駆動を開始した場合、制御部11は、正転方向に180度、切削工具5を回転する駆動パターンの正転駆動を行う(ステップS11)。制御部11は、正転方向に180度、切削工具5を駆動した後、負荷検出部で切削工具5に加わる負荷が基準値より大きいか否かを判断する(ステップS12)。切削工具5に加わる負荷が基準値以下の場合(ステップS12でNO)、制御部11は、ステップS19で停止操作を受付けない限り、正転方向に180度、切削工具5を回転する駆動パターンの正転駆動を繰返す(
図13に示す駆動パターンa)。つまり、制御部11は、
図2(a)に示すように正転方向に切削工具5を連続して回転する駆動パターンaで駆動を制御する。
【0074】
切削工具5に加わる負荷が基準値より大きい場合(ステップS12でYES)、制御部11は、駆動パターンbの動作を連続4回行った否かを判断する(ステップS13a)。駆動パターンbの動作を連続4回行っていない場合(ステップS13aでNO)、制御部11は、逆転方向に90度、切削工具5を回転する逆転駆動を行う(ステップS14)。制御部11は、ステップS19で停止操作を受付けない限り、切削工具5に加わる負荷が基準値より大きい場合、正転方向に180度、逆転方向に90度、切削工具5を回転する駆動パターンによる駆動を繰返す(
図13に示す駆動パターンb)。つまり、制御部11は、
図2(b)に示すように正転方向に180度、逆転方向に90度、切削工具5を回転する駆動パターンbで駆動を制御する。
【0075】
駆動パターンbの動作を連続4回行った場合、正転方向(180度)の駆動×4回、逆転方向(−90度)の駆動×4回行うことになる。そのため、累積回転角度は、正転方向(180度)×4回+逆転方向(−90度)×4回=360度となる。つまり、ステップS13aでは、正転駆動および逆転駆動の駆動回数に基づいて累積回転角度を算出することで、累積回転角度が360度以上か否かを判断する(ステップS13)と同等の処理を行っている。駆動パターンbの動作を連続4回行った場合(ステップS13aでYES)、制御部11は、逆転方向に180度、切削工具5を回転する逆転駆動を行う(ステップS15)。つまり、制御部11は、駆動パターンb(ステップS11〜ステップS14)で切削工具5を駆動し、累積回転量が基準回転量以上になったので、駆動パターンを駆動パターンc(ステップS15〜ステップS18)に変更する。なお、駆動パターンcに変更するとき、制御部11は、駆動パターンbで設定されている回転角度などのパラメータを、駆動パターンcで設定される回転角度などのパラメータに書き換える処理を行う。
【0076】
次に、制御部11は、駆動パターンcの動作を連続4回行った否かを判断する(ステップS16a)。駆動パターンcの動作を連続4回行っていない場合(ステップS16aでNO)、制御部11は、逆転方向に90度、切削工具5を回転する正転駆動を行う(ステップS17)。制御部11は、正転方向に90度、切削工具5を駆動した後、負荷検出部で切削工具5に加わる負荷が基準値より大きいか否かを判断する(ステップS18)。切削工具5に加わる負荷が基準値より大きい場合(ステップS18でYES)、制御部11は、処理をステップS15に戻す。制御部11は、切削工具5に加わる負荷が基準値より大きい場合、逆転方向に180度、正転方向に90度、切削工具5を回転する駆動パターンによる駆動を繰返す(
図1に示す駆動パターンc)。つまり、制御部11は、
図2(c)に示すように逆転方向に180度、正転方向に90度、切削工具5を回転する駆動パターンcで駆動を制御する。
【0077】
駆動パターンcの動作を連続4回行っている場合(ステップS16aでYES)、制御部11は、ステップS19で停止操作を受付けない限り、処理をステップS11に戻す。制御部11は、駆動パターンc(ステップS15〜ステップS18)で切削工具5を駆動し、累積回転量が基準回転量以上になったので、駆動パターンを駆動パターンb(ステップS11〜ステップS14)を戻す。なお、駆動パターンbに戻すとき、制御部11は、駆動パターンcで設定されている回転角度などのパラメータを、駆動パターンbで設定される回転角度などのパラメータに書き換える処理を行う。駆動パターンcの動作を連続4回行った場合、逆転方向(−180度)の駆動×4回、正転方向(90度)の駆動×4回行うことになる。そのため、累積回転角度は、逆転方向(−180度)×4回+正転方向(90度)×4回=(−360度)となる。つまり、ステップS16aでは、正転駆動および逆転駆動の駆動回数に基づいて累積回転角度を算出することで、累積回転角度が(−360度)以下(累積回転角度の絶対値が基準回転角度以上)か否かを判断する(ステップS16)と同等の処理を行っている。制御部11では、切削工具5に加わる負荷が基準値より大きい場合、駆動パターンb,cの動作の回数が連続4回を超えないように、駆動パターンbと駆動パターンcとを切換えて駆動を制御している。
【0078】
そのため、根管治療器100では、切削工具5に基準値より大きい負荷が加わった状態であっても、破折角度を超えない範囲となる駆動パターンb,cの動作回数で駆動を継続するため、切削工具5に基準値より大きい負荷が加わるたびに逆転駆動する制御に比べて、切削効率の低下を抑えつつ、切削工具の破折を防止することが可能となる。
【0079】
切削工具5に加わる負荷が基準値より大きい場合(ステップS18でNO)、制御部11は、停止操作を受付けたか否かを判断する(ステップS19)。停止操作を受付けた場合(ステップS19でYES)、制御部11は、切削工具5を回転する駆動を終了する。一方、停止操作を受付けていない場合(ステップS19でNO)、制御部11は、処理をステップS11に戻す。
【0080】
(変形例)
本実施の形態2に係る根管治療器100では、駆動パターンbの動作を連続4回行っている場合(ステップS13aでYES)、駆動パターンcに切換える構成について説明した。しかし、駆動パターンbの動作を連続4回行っている場合に行われる動作は、駆動パターンの切換えのみに限定されない。本変形例では、駆動パターンの切換え以外の動作について説明する。
図14は、本実施の形態2の変形例に係る根管治療器100の駆動を説明するためのフローチャートである。なお、本実施の形態2の変形例に係る根管治療器100でも、
図5〜
図7に示した実施の形態1に係る根管治療器100と同じ構成を用いるため、同じ符号を用いて詳しい説明を繰返さない。また、
図14に示す本変形例のフローチャートにおいて、
図13に示した本実施の形態2のフローチャートと同じステップには同じ符号を用いて詳しい説明を繰返さない。
【0081】
図14(a)に示すフローチャートでは、ステップS11〜ステップS14を含む駆動パターンbの処理が記載されており、駆動パターンbの動作を連続4回行っている場合(ステップS13aでYES)の処理が
図14(b)〜
図14(d)に記載されている。
【0082】
具体的に、
図14(b)では、駆動パターンbの動作を連続4回行っている場合(ステップS13aでYES)、制御部11は、駆動を停止する(ステップS15b)。これにより、切削工具5が破折角度に至る前に駆動を停止することができるため、ねじれ破折による切削工具5の破折を防止することができる。
【0083】
図14(c)では、駆動パターンbの動作を連続4回行っている場合(ステップS13aでYES)、制御部11は、警告を報知する(ステップS15c)。例えば、制御部11は、報知部17のLEDやスピーカーから警告を示す光や音を発するように制御したり、表示部16に破折を注意する警告を表示するように制御したりする。なお、術者は、当該警告のタイミングでハンドピース1を引き上げる(ペッキングモーション)ことで、切削工具5の刃が根管壁に食い込んでいるのを解消するタイミングとして利用してもよい。
図14(c)では、ステップS15cの処理後にステップS19に戻しているが、ステップS15cの処理後に駆動を停止させてもよい。
【0084】
図14(d)では、駆動パターンbの動作を連続4回行っている場合(ステップS13aでYES)、制御部11は、切削工具5を逆転方向に駆動する(ステップS15d)。例えば、制御部11は、逆転方向に360度、切削工具5を回転する逆転駆動を行う。駆動パターンbの動作を連続4回行った場合、切削工具5の刃が根管壁に食い込んだ状態で正転方向に360度回転しているため、逆転方向に360度回転させることで切削工具5の刃の根管壁への食い込みを解消することができる。
図14(d)では、ステップS15cの処理後にステップS19に戻しているが、ステップS15cの処理後に駆動を停止させてもよい。
【0085】
以上のように、本実施の形態2に係る根管治療器100では、累積回転角度算出部80が、正転駆動および逆転駆動の駆動回数に基づいて累積回転角度を算出する。そのため、本実施の形態2に係る根管治療器100では、累積回転角度自体をカウントすることなく、累積回転角度が基準回転角度の範囲内となるように駆動を制御することができる。
【0086】
予め定められた制御は、切削工具5の駆動を停止する制御であってもよい。これにより、根管治療器100は、ねじれ破折による切削工具5の破折をより確実に防止することができる。
【0087】
根管治療器100は、使用者に対して報知する報知部17をさらに備えており、予め定められた制御が、累積回転角度算出部80が算出した累積回転量が基準回転量以上になった旨を報知する制御であってもよい。これにより、根管治療器100は、術者に切削工具5の破折の注意を促すことができる。
【0088】
予め定められた制御は、累積回転角度算出部80で算出した累積回転量が基準回転量以上になった回転方向と逆方向に、切削工具5を駆動する制御であってもよい。これにより、根管治療器100は、切削工具5の刃の根管壁への食い込みを解消することができる。
【0089】
(実施の形態3)
実施の形態1,2に係る根管治療器100では、切削工具5の根管での位置に関わらず同じ駆動を行う制御について説明した。しかし、これに限られず、根管治療器は、歯牙の根管を複数の領域に分け、その領域に応じて基準値、基準回転角度、正転駆動の回転角度、および逆転駆動の回転角度などのパラメータを変更する制御を行ってもよい。
図15は、本実施の形態3に係る根管治療器の駆動を説明するための概略図である。なお、本実施の形態3に係る根管治療器100でも、
図5〜
図7に示した実施の形態1に係る根管治療器100と同じ構成を用いるため、同じ符号を用いて詳しい説明を繰返さない。
【0090】
図15に示す歯牙50では、根管口から根尖に至る根管をA領域、B領域、C領域の順に3つの領域に分けている。以下の例では、領域に応じて正転駆動の回転角度、および逆転駆動の回転角度を変更する場合について説明する。まず、制御部11は、切削工具5の先端がA領域内にある場合、
図1や
図13の駆動パターンbを、正転方向に270度、逆転方向に90度で切削工具5を回転する駆動として制御し、
図1や
図13の駆動パターンcを、正転方向に90度、逆転方向に270度で切削工具5を回転する駆動として制御する。つまり、根管口に近いA領域では、根管も太く、湾曲も少ないため、制御部11は、切削効率を高くするため正転方向の回転角度を大きくして切削工具5を駆動する。
【0091】
次に、制御部11は、切削工具5の先端がB領域内にある場合、
図1や
図13の駆動パターンbを、正転方向に180度、逆転方向に90度で切削工具5を回転する駆動として制御し、
図1や
図13の駆動パターンcを、正転方向に90度、逆転方向に180度で切削工具5を回転する駆動として制御する。B領域では、根管も次第に細くなり、湾曲が生じ始めるが、根尖位置まで距離があるため、制御部11は、切削効率を考慮しつつ正転方向の回転角度を小さくして切削工具5を駆動する。
【0092】
次に、制御部11は、切削工具5の先端がC領域内にある場合、
図1や
図13の駆動パターンbを、正転方向に90度、逆転方向に90度で切削工具5を回転する駆動として制御し、
図1や
図13の駆動パターンcを、正転方向に90度、逆転方向に180度で切削工具5を回転する駆動として制御する。根尖に近いC領域では、根管も細く、湾曲も大きいため、制御部11は、切削効率よりも切削工具5への負担を軽減し正転方向の回転角度を逆転方向の回転角度よりも小さくして切削工具5を駆動する。
【0093】
なお、制御部11は、切削工具5の先端が位置する領域に応じて、正転駆動の回転角度、および逆転駆動の回転角度を変更する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、制御部11は、切削工具5の先端が位置する領域に応じて、基準値、基準回転角度、および駆動パターンを変更してもよい。
【0094】
以上のように、本実施の形態3に係る根管治療器100は、電気的根管長測定で得られる切削工具5の先端の根管内での位置を検出する根管長測定回路12をさらに備え、制御部11が、根管長測定回路12で検出した位置に応じて、基準負荷、基準回転角度、第1回転量、第2回転量、第3回転量、および第4回転量のうち少なくとも一つの値を変更してもよい。これにより、根管治療器100は、切削工具5の先端の根管内での位置に応じた適切な制御を行うことが可能となり、ねじれ破折による切削工具5の破折を防止することができる。
【0095】
なお、制御部11は、根管長測定回路12で検出した位置が基準位置(例えば、根尖位置)に達した場合、逆転駆動または停止動作となる駆動に制御してもよい。これにより、誤って根尖位置より先に切削工具5が進むことを防止することができる。
【0096】
(変形例)
実施の形態1〜3に係る根管治療器100では、ハンドピース1が、ホース61を介して、制御ボックス9に連結されている構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、コードレスタイプの根管治療器として構成してもよい。
図16は、コードレスタイプの根管治療器の構成を示す概略図である。
図16に示すコードレスタイプの根管治療器は、ハンドピース1の把持部4にバッテリーパック、マイクロモータ及び制御ボックスに相当する制御系を組み込み、各種操作部を把持部4の表面に設けてある。さらに、コードレスタイプの根管治療器には、把持部4に表示部16が設けてある。そのため、術者は、視線を大きく変えることなく、切削工具5を切削方向に駆動しているのか、非切削方向に駆動しているのか、現在の切削工具5の位置はどの程度か、切削工具5にかかっている負荷はどの程度か、回転数はいくらか、といった情報を確認することができる。図示していないが、口腔電極19a用のリード線19を把持部4より導出するよう構成してもよい。
【0097】
また、実施の形態1〜3に係る根管治療器100では、切削工具5を駆動する動力源にマイクロモータ7を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、エアモータなどの別の駆動源であってもよい。
【0098】
さらに、実施の形態1〜3に係る根管治療器100では、ヘッド部2に保持した切削工具5の種類に関わらず同じ駆動を行う制御について説明した。しかし、これに限られず、根管治療器100は、ヘッド部2に保持した切削工具5の種類に応じて基準値、基準回転角度、正転駆動の回転角度、および逆転駆動の回転角度などのパラメータを変更する制御を行ってもよい。ヘッド部2に保持した切削工具5の種類の選択方法として、例えば、表示部16に表示された切削工具5の種類のうちから切削工具5の種類を選択する。また、術者が、切削工具5の種類を選択しなくても、切削工具5に設けた識別情報(電子タグなど)により、根管治療器100が、ヘッド部2に保持した切削工具5の種類を認識して、自動で切削工具5の種類を選択するようにしてもよい。
【0099】
また、実施の形態1〜3に係る根管治療器100では、基準値、基準回転角度、正転駆動の回転角度、および逆転駆動の回転角度などのパラメータなどの値を記憶したレシピから選んでパラメータを設定する構成でもよい。例えば、設定部14は、患者の性別や身長などを選択することで予め定められたレシピからパラメータなどの値を自動的に設定する構成でもよい。また、設定部14は、術者の好みのパラメータなどの値を予めレシピとして記憶させたり、患者毎に最適なパラメータなどの値を予めレシピとして記憶させたりする構成でもよい。
【0100】
さらに、実施の形態1〜3に係る根管治療器100では、破折角度や破断トルクの値を入力することで、当該値に応じて基準値、基準回転角度、正転駆動の回転角度、および逆転駆動の回転角度などのパラメータの値を設定する構成でもよい。
【0101】
また、実施の形態1〜3に係る根管治療器100では、制御部11において基準値、基準回転角度、正転駆動の回転角度、および逆転駆動の回転角度などのパラメータの値のうち少なくとも一つの値を変更することができるようにしてもよい。例えば、術者が、操作部15を操作して基準値、基準回転角度、正転駆動の回転角度、および逆転駆動の回転角度などのパラメータの値を自由に入力できるような仕様であってもよい。なお、このような仕様の場合、制御部11は、ねじれ破折による切削工具5の破折を防止する観点から、入力したパラメータを所定の範囲を超えないように制限する機能を設けてもよい。
【0102】
なお、正転駆動の回転角度は、少なくとも、90度、120度、150度、及び、180度の何れか一つの近傍であり、逆転駆動の回転角度は、少なくとも、20度、30度、50度、90度、120度、及び、150度の何れか一つの近傍であってもよい。
【0103】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。