(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記登録部は、前記通知部が通知した前記特定のユーザでの確認で、登録を許可する応答がある場合に、前記禁止用語格納部または前記ルール格納部に登録された新たな禁止用語またはルールが適用されるようにする
請求項1に記載の案内ロボットシステム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態例について、
図1〜
図10を参照して詳細に説明する。
【0014】
[1.システム全体の構成]
図1は、本実施の形態例の案内ロボットシステム全体の構成例を示す。
案内ロボットシステム1は、ロボット管理サーバ2、ロボット制御装置3、および案内ロボット4で構成される。
案内ロボット4とロボット制御装置3とは、無線通信で接続され、案内サービスを提供する施設である建物5内に配置される。案内ロボット4は、建物5内を移動(自走)することができる。
【0015】
案内ロボット4は、ロボット制御装置3から制御命令を受け取り、建物5を利用するユーザに建物内の設備やテナントの場所、テナントの提供する商品、サービス等を、案内ロボット4の周囲にいる人(対面者)に音声で紹介する案内サービスを実施する。本明細書では、案内ロボット4が出力する音声で会話(対話)する人(被案内者)を利用者と称する。
【0016】
なお、
図1では、1台のロボット制御装置3と、それに接続された1台の案内ロボット4を用意した例としたが、建物5の規模や種類により、複数の案内ロボット4を配置してサービスを提供してもよい。複数の案内ロボット4を配置する場合には、1つのロボット制御装置3が複数の案内ロボット4を統括して制御するようにしてもよいが、それぞれの案内ロボット4ごとに個別にロボット制御装置3を用意する構成にしてもよい。
複数の案内ロボット4を設置する場合には、案内ロボット4毎にサービス内容を変更することが可能になる。
【0017】
建物5内に設置されたロボット制御装置3は、ネットワーク6を介してロボット管理サーバ2に接続される。本実施の形態例では、1つのロボット管理サーバ2が1つの建物5を管理する構成としたが、1つロボット管理サーバ2が複数の建物5を管理するようにすることも可能である。
ロボット管理サーバ2は、どの建物5にどの案内ロボット4が配置されているかを管理する。また、ロボット管理サーバ2は、各案内ロボット4が、正常に動作しているか、メンテナンスが必要かどうかを管理し、必要に応じて代替のロボット機体や部品を、担当の技術者とともに建物5へ送る管理処理を行う。
【0018】
なお、案内ロボットシステム1の規模に応じて、ロボット管理サーバ2とロボット制御装置3は、1つの装置として一体化してもよい。さらに、案内ロボット4そのものが、ロボット制御装置3やロボット管理サーバ2としての機能を備えるようにしてもよい。
【0019】
図2は、建物5内で案内ロボット4を運用する例を示す。
ここで、建物5は、複数のテナント(商店)7a,7b,7c,・・・が配置された、ショッピングモールのような施設である。例えば、建物5には、出入口5aに近い側から、第1テナント7a、第2テナント7b、第3テナント7cが配置されている。各テナント7a,7b,7c,・・・は、それぞれ別の種類の商品を販売する店舗や、飲食店などである。
【0020】
案内ロボット4は、例えば建物5の出入口5aの近傍で待機し、走行ルートMとして示すように各テナント7a,7b,7c,・・・の前を通るように移動(自走)して、ショッピングモールの利用者を案内する。但し、走行ルートMは一例を示したもののであり、実際に移動する際には、人や障害物を避けた最適なルートで移動する。
また、案内ロボット4は、出入口5aの近傍の待機位置m1、第1テナント7aの前の待機位置m2、第2テナント7bの前の待機位置m3などの様々な位置に停止して、各位置で、利用者と会話をしながらショッピングモール内を案内することができる。
【0021】
[2.案内ロボットの構成]
図3は、案内ロボット4の構成例を示す。
案内ロボット4は、CPU(Central Processing Unit)10、記憶ユニット11、入出力ユニット12、および通信インターフェース13を備える。
CPU10は、記憶ユニット11に記憶されたソフトウェアモジュールを読み出して実行することで、案内ロボット4の各機能である、案内ロボット4の各部(顔、腕、脚部など)の動きや、利用者との会話を実現する。
【0022】
記憶ユニット11は、駆動制御部20と、会話制御部21と、入出力部22としての処理を実行するソフトウェアモジュールやデータを格納する。
駆動制御部20は、CPU10に接続され、後述する駆動機構35を制御する。
会話制御部21は、案内ロボット4による利用者との会話を制御する。
入出力部22は、入出力ユニット12とのデータの入出力を行う。
【0023】
入出力ユニット12は、カメラ30、マイク31、ジャイロセンサ32、測域センサ33、スピーカ34、および駆動機構35を備える。
カメラ30が撮影した画像や、測域センサ33の出力信号は、案内ロボット4の周囲の利用者や障害物を認識するために使用される。
マイク31とスピーカ34は、利用者との会話を行うために使用される。すなわち、マイク31が利用者の話し声を取得し、スピーカ34が会話文を発話する。
【0024】
ジャイロセンサ32は、案内ロボット4の機体を検知する。
駆動機構35は、案内ロボット4の機体を移動させる処理を行う。
図2で説明した案内ロボット4の移動は、駆動制御部20の制御の下で駆動機構35により行われる。
通信インターフェース13は、ロボット制御装置3と無線通信を行う。
【0025】
案内ロボット4は、カメラ30で画像を取得し、マイク31で利用者からの音声を取得する。そして、ロボット制御装置3に取得した画像と音声を送信する。そして、案内ロボット4は、ロボット制御装置3からの指示に基づいて、建物5内を駆動機構35により移動する。また、案内ロボット4は、移動中にカメラ30の画像および測域センサ33の出力値に基づいて障害物を検知し、駆動制御部20により自立的に移動を停止したり、障害物を回避したりする。
【0026】
[3.ロボット制御装置の構成]
図4は、ロボット制御装置3の構成例を示す。
ロボット制御装置3は、各種の処理を行うCPU40と、各種のソフトウェアモジュール、テーブル等のデータを格納する記憶ユニット41と、案内ロボット4およびロボット管理サーバ2と相互通信可能な通信インターフェース42を備える。通信インターフェース42は、後述する編集者が操作する端末装置との通信にも利用される。また、ロボット制御装置3が現在の天候などの情報を取得する場合には、通信インターフェース42がインターネットなどを介して必要な情報を取得する。
【0027】
CPU40が記憶ユニット41に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、ロボット制御装置3の各機能が実現される。すなわち、記憶ユニット41は、入出力データ処理部50、移動指示部51、対面検知部52、音声認識部53、発話内容確認部54、シナリオ格納部55、およびシナリオ処理部56を備え、各処理部50〜56の機能は、CPU40の制御下で実行されるソフトウェアで実現される。
【0028】
発話内容確認部54は、禁止用語・ルール登録部60、禁止用語格納部61、ルール格納部62、品詞分解処理部63、禁止用語確認部64、ルール確認部65、発話内容確認処理部66、発話内容登録部67、確認内容通知部68、およびログ格納部69を備える。
【0029】
入出力データ処理部50は、案内ロボット4から受信したデータを処理する。移動指示部51は、案内ロボット4が利用者を案内する際に、案内先へ案内ロボット4の移動先を指示する等の移動指示を行う。
対面検知部52は、案内ロボット4のカメラ30で得られた画像情報や測域センサ33からの障害物情報に基づき、利用者と対面状態にあるかどうかを検知する。対面状態を検知している間は案内サービスを継続し、利用者がロボットから離れて対面検知しなくなった場合には、案内を中止する。
音声認識部53は、案内ロボット4のマイク31で取得した利用者の音声データを処理して音声認識を行う。
【0030】
シナリオ格納部55には、ロボットが対面検知をしたときにどのような発話や動作を行うか、案内ロボット4が音声認識をしたときにどのような発話を返すか、案内ロボット4をどこに移動させるかなどのシナリオが格納される。このシナリオ格納部55へのシナリオの格納は、発話内容確認部54によるシナリオ格納処理で行われる。
このシナリオ格納部55が格納するシナリオには、後述する発話内容が含まれる。シナリオ処理部56は、シナリオ格納部55に格納されたシナリオに基づき、案内ロボット4の発話や動作を制御する。
【0031】
禁止用語・ルール登録部60を使って禁止用語やルールを登録する編集作業を行う作業者は、複数存在する。すなわち、ロボット提供者側の作業者と、ショッピングモールの運営者側の作業者と、それぞれのテナントごとの作業者とが存在する。以下、これらの作業者を「編集者」ということとする。ロボット提供者とは、案内ロボット4を製作したメーカー、あるいは案内ロボット4を貸し出す事業者である。
各編集者は、それぞれの案内ロボット4の利用形態に基づいて、禁止用語や商品の発話時期などのルールをそれぞれ個別に登録する。この各編集者による禁止用語やルールの登録は、各編集者が所持する端末装置(不図示)により、LANやインターネットを経由してロボット制御装置3にアクセスすることで実行される。
【0032】
禁止用語・ルール登録部60は、編集者の指示に基づき、禁止用語格納部61に禁止用語を登録する禁止用語格納処理を行い、ルール格納部62にルールを登録するルール格納処理を行う。
禁止用語確認部64は、禁止用語格納部61に格納された禁止用語に基づき、案内ロボット4の発話内容のチェックを行い、発話内容に含まれた禁止用語とその位置などを検出する。
【0033】
ルール確認部65は、ルール格納部62に格納されたルールに基づきロボットの発話内容のチェックを行い、発話内容が実行される状況と、ルールに記載された発話状況とを比較し、現在の状況がルールで制限される状況であるとき、エラーを出力する。発話内容が実行される状況の詳細については後述するが、例えば時期、天候、案内ロボット4の位置などがある。
【0034】
発話内容登録部67は、編集者の指示に基づき、案内ロボット4の発話内容を登録する。
発話内容確認処理部66は、シナリオ格納部55に格納するシナリオ(または格納されたシナリオ)の発話内容に関して、禁止用語とルールのチェックを行う。
確認内容通知部68は、発話内容確認処理部66のチェック結果を、編集者に通知する。
【0035】
ここで、本実施の形態例の場合には、編集者として複数の編集者が存在し、禁止用語・ルール登録部60や発話内容登録部67で登録を行ったとき、その登録を行った編集者ごとに決められた特定の編集者に、確認内容通知部68によりチェック結果が通知される。
この編集者を選ぶ処理の詳細については後述する。
【0036】
[4.ロボット管理サーバの構成]
図5は、ロボット管理サーバ2の構成の例を示す。
ロボット管理サーバ2は、各種の処理を行うCPU70と、ロボット配置管理部73等のソフトウェアモジュール、テーブル等のデータを記憶する記憶ユニット71と、ロボット制御装置3と相互通信可能な通信インターフェース72とを備える。
【0037】
ロボット管理サーバ2として必要な機能は、CPU70が記憶ユニット71に記憶されたソフトウェアモジュール(ロボット配置管理部73等)を読み出して実行することで実現される。
ロボット配置管理部73は、どの案内ロボット4がどの建物に配置され正常にサービスを提供できているかどうかをモニタし、サービスが提供できていない場合、必要な案内ロボット4の保守サービスをできるように、案内ロボット4の機体、部品、技術者を派遣できるよう指示を出す。
【0038】
[5.編集者の適用範囲]
図6は、本実施の形態例の案内ロボットシステム1を利用する業者ごとの編集者が、禁止用語やルールを登録した場合に、その登録した禁止用語やルールを通知する編集者の範囲を示す。
ここでは、ショッピングモール内の複数のテナントの内で、第1テナント7aと第2テナント7bが案内ロボット4を利用する。したがって、編集者としては、
図6に示すように、ロボット提供者側の編集者81、ショッピングモール側の編集者82、第1テナント側の編集者83、および第2テナント側の編集者84が存在する。
【0039】
これらの編集者81〜84が端末装置で編集作業を行う場合、各編集者81〜84に割り当てられた識別コードやパスワードでログインすることで、その端末装置とデータ通信可能に接続されたロボット制御装置3が各編集者81〜84を認識し、編集を許可する。
ロボット制御装置3が各編集者81〜84を認識したとき、新たな禁止用語やルールの登録があった場合に、その登録内容は、ロボット制御装置3が
図6に示す範囲80a,80b,80c内で他の編集者に通知する。
【0040】
すなわち、ロボット提供者側の編集者81が禁止用語やルールを新たに登録した場合、ロボット制御装置3は、範囲80aとして示すように、ショッピングモール側の編集者82に変更を通知する。また、ショッピングモール側の編集者82が禁止用語やルール新たに登録した場合にも、ロボット制御装置3は、範囲80aとして示すように、ロボット提供者側の編集者81に変更を通知する。
【0041】
第1テナント7aの編集者83が禁止用語やルールを新たに登録した場合、ロボット制御装置3は、範囲80bとして示すように、ショッピングモール側の編集者82と、ロボット提供者側の編集者81に変更を通知する。
第2テナント7bの編集者84が禁止用語やルールを新たに登録した場合、ロボット制御装置3は、範囲80cとして示すように、ショッピングモール側の編集者82と、ロボット提供者側の編集者81に変更を通知する。
【0042】
したがって、第1テナント7aの編集者83による禁止用語やルールの新たな登録時に、第2テナント7bの編集者84には通知されず、逆に、第2テナント7bの編集者84による禁止用語やルールの新たな登録時に、第1テナント7aの編集者83には通知されない。
【0043】
[6.禁止用語とルールの例]
図7は、禁止用語格納部61に格納される禁止用語のテーブルの例を示す。
禁止用語のテーブル100には、登録番号の領域101、登録者の領域102、禁止用語の領域103、禁止用語となる理由の領域104、禁止用語の更新時刻の領域105が含まれる。
【0044】
シナリオの禁止用語は、各編集者が登録することができ、どの編集者が登録したかが、
図7の登録者の領域102に記録される。
【0045】
ロボット提供者側の編集者81によって登録される禁止用語は、理由の領域104に示すように、侮辱語などの公序良俗に反する言葉などの、案内ロボット4がどの事業者で運営する場合にも共通となる、好ましくない用語である。
ショッピングモール側の編集者82によって登録される禁止用語は、例えばショッピングモールのイメージに合わない言葉などの、ショッピングモールに特有の禁止用語である。
各テナント側の編集者83,84によって登録される禁止用語には、例えばそれぞれのテナントで販売する商品とライバル関係にある商品名などがある。
【0046】
なお、禁止用語となる理由の領域104は、案内ロボット4を制御する上では不要な情報であり、省略してもよい。但し、
図7に示す禁止用語となる理由の領域104を設けて、禁止用語となる理由を入力することにより、この理由の領域104が、他の編集者が新たに登録された禁止用語が適正か否かを確認する際の判断材料の一つになると考えられる。
【0047】
図8は、ルール格納部62に格納されるルールのテーブルの例を示す。
ルールのテーブル200には、登録番号の領域201、登録者の領域202、商品の領域203、時期の領域204、場所の領域205、禁止場所の領域206、天候の領域207、イベントの領域208、理由の領域209、ルールの更新時刻の領域210が含まれる。
【0048】
シナリオの禁止用語は、各編集者が登録することができ、どの編集者が登録したかが、
図8の登録者の領域202に記録される。
商品の領域203には、シナリオの進行で会話相手に勧める商品名が登録される。この商品の領域203に登録された内容が、案内ロボット4が発話する言葉になる。なお、商品の領域203は、案内ロボット4が発話する言葉であるため、商品名以外が登録される場合もある。例えば、
図8に示す例では、「外は雨」や、「モールイベント」などの言葉を登録した場合を示す。
【0049】
時期の領域204には、該当するルールを適用する時期についての情報が登録される。
例えば、登録番号1のルールを適用する時期として「6月から8月」と登録され、案内ロボット4による登録語句「夏物ワンピースA」を宣伝する案内が、6月から8月だけに行われるようになる。時期の領域204に入力がない場合、該当する項目のルールは、全ての時期に適用される。
【0050】
場所の領域205には、該当するルールを適用する案内ロボット4の場所についての情報が登録される。
例えば、登録番号1,2,6のルールについては、場所として「第1テナント前」が登録され、案内ロボット4が、第1テナント前(
図2に示す位置m2)に来たときに、案内ロボット4の言葉(登録語)で宣伝する案内が行われる。この登録番号1,2,6のルールに従った案内は、第1テナント前以外の場所では実行されない。場所の領域205に入力がない場合、該当する項目のルールは、全ての場所に適用される。
【0051】
禁止場所の領域206には、該当するルールの適用を禁止する案内ロボット4の場所についての情報が登録される。
例えば、登録番号4のルールについては、禁止場所として「第1テナント前」が登録され、第1テナント前では、案内ロボット4による言葉(登録語)の宣伝する案内は行われない。すなわち、案内ロボット4による案内は、第1テナント前以外の場所のときに行われる。禁止場所の領域206に入力がない場合、該当する項目のルールは、全ての場所に適用される。
【0052】
天候の領域207には、該当するルールを適用する現在の天候についての情報が登録される。
例えば、登録番号5,6のルールについては、天候として「雨」が登録され、現在の天候が雨のときに、登録された言葉の発話がシナリオの進行で可能になる。なお、この天候についての処理を行う場合、ロボット制御装置3は、現在の天候の情報を随時取得する必要がある。
【0053】
イベントの領域208には、該当するルールを適用するイベント期間についての情報が登録される。
例えば、登録番号8のルールについては、バレンタインデー宣伝期間が設定され、ショッピングモール全体で別途設定されたバレンタインデー宣伝期間内に、該当するルールの言葉による宣伝(案内)が行われる。
【0054】
理由の領域209には、ルールを設定した理由が入力される。この理由の領域209については、禁止用語の理由の領域104と同様に、案内ロボット4を制御する上では不要な情報であり省略してもよいが、理由の領域209があることで、他の編集者がルールの判断材料の一つになる。
【0055】
なお、
図7に示す禁止用語のテーブル100や、
図8に示すルールのテーブル200の各登録番号の項目には、他の編集者による確認が済んだことを示す情報の領域を加えるようにして、確認済みか確認前かが判るようにしてもよい。
あるいは、
図7に示す禁止用語のテーブル100や、
図8に示すルールのテーブル200に登録された禁止用語やルールは、
図6に示す範囲内での他の編集者による確認が済んで、承諾された情報のみを掲載するようにしてもよい。この場合、他の編集者による確認が済む前の禁止用語やルールについては、未承認情報用の専用のテーブルを用意し、承認が済んだ後、
図7に示す禁止用語のテーブル100や、
図8に示すルールのテーブル200に登録させる。
【0056】
[7.発話内容の登録時の処理例]
図9は、ロボット制御装置3の発話内容確認処理部66で、発話内容の登録があった場合の処理例を説明するフローチャートである。
まず、発話内容確認処理部66は、いずれかの編集者の端末装置で入力された発話内容登録の受け付けをする(ステップS11)。ここでは、発話内容に1〜N(Nは任意の整数)の番号が割り振られる。処理は1からNについてそれぞれ行われる。
【0057】
そして、発話内容確認処理部66は、現在処理中の発話内容番号(n)が最大値N以下か否かを判断する(ステップS12)。ステップS12で最大値N以下と判断した場合(ステップS12のYES)、品詞分解処理部63が発話内容の品詞を分解する(ステップS13)。そして、禁止用語確認部64が発話内容に禁止用語が含まれるかを確認し(ステップS14)、発話内容確認処理部66が確認結果ログを格納する(ステップS15)。ここでは、禁止用語が含まれていた場合、発話内容確認処理部66は、含まれていた禁止用語とその発話内容および発話内容内の禁止用語の位置、禁止用語の登録者・禁止用語となる理由・禁止用語の更新時刻などをログ格納部69へ格納する。また、禁止用語が含まれていない場合には、発話内容確認処理部66は、正常であるという結果をログ格納部69に格納する。
【0058】
その後、禁止用語確認部64が発話内容のルールを確認し(ステップS16)、発話内容確認処理部66が確認結果ログを格納する(ステップS17)。ここでは、商品、発話内容、ルールの登録者、ルールの理由、ルールの更新時刻などをログ格納部69へ格納する。商品に関するルールが存在しない場合や、ルール通りの発話時期であった場合は、正常であるという結果をログ格納部69に格納する。
ここまでの処理が行われた後、発話内容確認処理部66はステップS11の受け付け処理に戻る。
【0059】
また、ステップS12で最大値N以下でないと判断した場合(ステップS12のNO)、確認内容通知部68が、発話登録作業を行った編集者の端末装置に対して、登録内容を通知する(ステップS21)。この通知後に、発話内容確認処理部66は、発話登録作業を行った編集者が確認内容を承諾するか否かを判断する(ステップS22)。ここで、確認内容を承諾しない場合(ステップS22のNO)、編集者はステップS11の受け付け処理からやり直し、発話内容の修正などを行う。
【0060】
また、ステップS22で、確認内容を承諾する場合、発話内容確認処理部66は、確認した内容の編集者による登録操作があるか否かを判断する(ステップS23)。ここで、確認内容を登録しない場合(ステップS23のNO)、処理を終了する。また、ステップS23で登録操作がある場合(ステップS23のYES)、発話内容確認処理部66は、登録されたシナリオまたはシナリオ内のルールを、シナリオ格納部55またはルール格納部62に格納する(ステップS24)。そして、発話内容確認処理部66は、登録結果ログを格納する(ステップS25)。
なお、ステップS24では、登録内容がシナリオ全体に関するものであるとき、シナリオ格納部55に新規なシナリオとして格納し、シナリオ内のルール(すなわち
図8に示すようなルール)であるとき、ルール格納部62に新規なルールとして格納する。
【0061】
その後、発話内容確認処理部66は、登録内容の通知が必要か否かを判断する(ステップS26)。ここで、通知が必要でない場合には(ステップS26のNO)、登録処理を終了する。この登録内容の通知が必要ない場合は、例えばロボット提供者やショッピングモール運営者が行う軽微なシナリオの修正などが相当する。なお、このステップS26の判断として、通常時の更新は原則として全て通知が必要するようにして、ロボットのメンテナンス時の更新などの特別な更新時のみ、通知が必要でない場合と判断するようにしてもよい。
【0062】
また、ステップS26での判断で、通知が必要であると判断した場合(ステップS26のYES)、発話内容確認処理部66は、予め決められた範囲内の他の編集者の端末装置に対して登録されたログをメールなどで送信し(ステップS27)、発話内容の登録処理を終了する。ステップS27でログを送信する際には、ルールとして設定された言葉だけでなく、
図8に示す各項目の詳細(時期、天候、場所など)についても送信する。
【0063】
なお、発話内容のチェックは登録が行われたとき以外であっても、定期的にシナリオ格納部55などに登録された発話内容をチェックし、現在時刻が発話時期と異なる商品および発話内容をチェックするようにしてもよい。
【0064】
以上説明したように、シナリオやルールに新たな登録があったときには、そのシナリオやルールを確認する必要のある他の編集者に対してメールなどで通知され、その通知を受信した編集者が、登録内容を確認することができる。したがって、案内ロボットシステムの全ての運用者で、シナリオやルールが適正か否か確認できるようになる。例えば、ロボット提供者が登録したルールであっても、ショッピングモール運営者がそのルールの適用が適切でないと判断したとき、該当するルールの削除または修正ができるようになる。また、個々のテナントの運営者が登録したルールが、他のテナントに不利になることがないか等、ショッピングモール運営者やロボット提供者が判断することができる。
したがって、
図2に示すように多数のテナントが入居したショッピングモールのような大規模な施設で、案内ロボット4を適切に運営できるようになる。
【0065】
また、ルールを他の編集者に通知する際には、ルールとして設定された詳細な条件、例えばルールを適用する時期、天候、場所の条件の情報を通知するようにしたので、他の編集者での確認時に、それらの詳細な条件についても判断できる。さらに、ルールや禁止用語を設定した理由についても、テーブル100,200への入力情報に基づいて通知するようにしたことで、より的確に登録されたルールや禁止用語が適正かの判断ができるようになる。
【0066】
なお、シナリオやルールの登録があった場合、ステップS27でのログ送信後に、その送信先から、登録内容を承諾する操作が行われるまで、その登録内容が有効にならないようにしてもよい。
また、
図9のフローチャートでは、シナリオやルールを登録する処理について説明したが、
図7のテーブル100に示す禁止用語の登録についても、同様の手順で実行することができる。この場合にも、新たな禁止用語の登録があった場合に、その禁止用語を確認する必要のある他の編集者に対してメールなどで通知され、その通知を受信した編集者が、禁止用語の登録内容を確認できるようになる。
【0067】
[8.シナリオ選択時の処理例]
図10は、ロボット制御装置3が、案内ロボット4での発話で、案内ロボット4に接近した利用者と会話を行う際のシナリオ選択処理の例を示すフローチャートである。
まず、ロボット制御装置3の対面検知部52は、案内ロボット4に対面した利用者(案内対象者)がいるか否かを判断する(ステップS31)。このステップS31で、案内ロボット4に対面した利用者がいない場合(ステップS31のNO)、利用者の対面を検知するまで待機する。
【0068】
また、ステップS31で、利用者の対面を検知した場合(ステップS31のYES)、ロボット制御装置3は、案内ロボット4の現在位置を確認し(ステップS32)、現在の時期(日時)と天候を確認する(ステップS33)。そして、シナリオ処理部56が、現在位置と時期と天候に応じて、最も適切と思われる1つのシナリオを選択する(ステップS34)。このシナリオを選択する際には、ステップS33で確認した事項以外を判断してもよい。例えば、シナリオ処理部56は、対面した利用者の性別や年齢をカメラ画像などから推定して、シナリオ選択の要件に加えてもよい。
【0069】
そして、ステップS34で選んだシナリオに基づいて発話処理を行う(ステップS35)。この発話処理が行われた後、ステップS31の判断に戻る。
なお、シナリオでロボットの走行(移動)による案内が含まれる場合、ロボット制御装置3は、ステップS35での発話の後(または並行して)、案内ロボット4を走行させる。
【0070】
[9.変形例]
本発明は、上述した実施の形態例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
例えば上述した各実施の形態では、自走型の案内ロボットに適用したが、自走しない設置型の案内ロボットに適用してもよい。
【0071】
また、上述した実施の形態例では、案内ロボット4をショッピングモールに設置した場合について説明したが、本発明は、その他の様々な施設に案内ロボット4を設置した場合にも適用が可能である。
【0072】
また、上述した実施の形態例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、
図1、
図3、
図4、
図5などの構成図や機能ブロック図では、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものだけを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。また、
図9、
図10に示すフローチャートにおいて、実施の形態例の処理結果に影響がない範囲で、一部の処理ステップの実行順序を入れ替えたり、一部の処理ステップを同時に実行したりするようにしてもよい。