特許第6989496号(P6989496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6989496患者の試料を得るための表面を準備するための物品および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989496
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】患者の試料を得るための表面を準備するための物品および方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/18 20060101AFI20211220BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20211220BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20211220BHJP
   A61B 5/15 20060101ALI20211220BHJP
   G01N 1/10 20060101ALN20211220BHJP
   A61L 101/22 20060101ALN20211220BHJP
   A61L 101/32 20060101ALN20211220BHJP
   A61L 101/34 20060101ALN20211220BHJP
   A61L 101/40 20060101ALN20211220BHJP
   A61L 101/44 20060101ALN20211220BHJP
【FI】
   A61L2/18
   G01N33/48 S
   G01N37/00 101
   A61B5/15
   !G01N1/10 V
   A61L101:22
   A61L101:32
   A61L101:34
   A61L101:40
   A61L101:44
【請求項の数】27
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2018-519306(P2018-519306)
(86)(22)【出願日】2016年10月13日
(65)【公表番号】特表2019-504656(P2019-504656A)
(43)【公表日】2019年2月21日
(86)【国際出願番号】US2016056775
(87)【国際公開番号】WO2017066405
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2019年10月9日
(31)【優先権主張番号】62/242,893
(32)【優先日】2015年10月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512265308
【氏名又は名称】オプコ・ダイアグノスティクス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】OPKO DIAGNOSTICS,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・テイラー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・スタインミラー
(72)【発明者】
【氏名】ハルディープ・シン
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ・ワグナー
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・ジェイ・フェイガン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント・リンダー
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0165626(US,A1)
【文献】 特開2000−355506(JP,A)
【文献】 特開平11−056984(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0125502(US,A1)
【文献】 特表2003−527168(JP,A)
【文献】 特表2010−526291(JP,A)
【文献】 特開昭50−008393(JP,A)
【文献】 国際公開第00/028917(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101646342(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/18
G01N 33/48
G01N 37/00
A61B 5/15
G01N 1/10
A61L 101/22
A61L 101/32
A61L 101/34
A61L 101/40
A61L 101/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者におけるPSAタンパク質の量を測定するための、該患者の皮膚の表面を清浄にする方法であって、
該表面を、界面活性剤を含有する溶液を含んでなる第1のワイプで拭くこと、ここで、該界面活性剤は該溶液の0.1〜15重量%の量で該溶液中に存在しており;および該表面の少なくとも一部分を、消毒液を含んでなる第2のワイプで拭くこと、ここで、該第1のワイプと該第2のワイプは異なっており;
を含んでなり、ここで、表面の少なくとも一部分を第2のワイプで拭く工程を、表面が第1のワイプと接触してから60秒以内に行う、方法であって、患者におけるPSAタンパク質の量をtPSAアッセイで測定したときに、第1および第2の拭き取り工程前の皮膚の表面に存在するPSAタンパク質の量と比較して、第1および第2の拭き取り工程後に皮膚の表面からPSAタンパク質の少なくとも95%が除去されていることを含んでなる、方法
【請求項2】
PSAタンパク質が遊離のPSAまたは遊離のPSAとホモローガスなタンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2のワイプで表面の少なくとも一部分を拭き取る工程が、第1のワイプで表面と接触させてから1〜20秒に行う、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
表面に存在する界面活性剤が、第2のワイプで表面を拭き取ることで実質的に除去される、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
界面活性剤が非イオン界面活性剤である、請求項1〜のいずれか記載の方法。
【請求項6】
界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムである、請求項1〜のいずれか記載の方法。
【請求項7】
第1のワイプおよび/または第2のワイプが滅菌されている、請求項1〜のいずれか記載の方法。
【請求項8】
消毒液がアルコールを含んでなる、請求項1〜のいずれか記載の方法。
【請求項9】
アルコールがイソプロパノールである、請求項に記載の方法。
【請求項10】
アルコールが消毒液の30〜80体積%の範囲の量で消毒液中に存在する、請求項8または9記載の方法。
【請求項11】
消毒液が、消毒液全体の重量に対して、少なくとも0.01重量%であり、7重量%以下の量の消毒薬を含有する、請求項1〜10のいずれか記載の方法。
【請求項12】
第1のワイプが第1の吸収材と該吸収材に吸収された界面活性剤を含有する溶液とを含んでなり、第2のワイプが第2の吸収材と該吸収材に吸収された消毒液とを含んでなる、請求項1〜11のいずれか記載の方法。
【請求項13】
第1の吸収材および第2の吸収材が織物を含んでなる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の方法に使用するための、第1の吸収材と該吸収材に吸収された溶液とを含んでなる第1のワイプであって、該溶液が溶液の0.1〜15重量%の量で存在する界面活性剤を含んでなる、第1のワイプ;および
第2の吸収材と該吸収材に吸収された消毒液を含んでなる第2のワイプとを含んでなるキットであって、
該第1および第2の吸収材は同一または異なっており、
該第1のワイプおよび第2のワイプはそれぞれ異なるパッケージに封入されており、
各パッケージは、規格ASTM D−1249により、100°F、相対湿度90%にて測定したときの24時間での水透過性が、0.05gHO/100sq以下である、
キット。
【請求項15】
界面活性剤が非イオン系界面活性剤である、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムである、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
第1のワイプおよび/または第2のワイプが滅菌されている、請求項14〜16のいずれか記載のキット。
【請求項18】
消毒液がアルコールを含んでなる、請求項14〜17のいずれか記載のキット。
【請求項19】
アルコールがイソプロパノールである、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
アルコールが消毒液の30〜80体積%の範囲の量で消毒液中に存在する、請求項18または19に記載のキット。
【請求項21】
消毒液が、消毒液全体の重量に対して、少なくとも0.01重量%であり、7重量%以下の量の消毒薬を含有する、請求項14〜20のいずれか記載のキット。
【請求項22】
吸収材が織物を含んでなる、請求項14〜21のいずれか記載のキット。
【請求項23】
生物学的試料の採取のための流体コンポーネントをさらに含んでなる、請求項14〜22のいずれか記載のキット。
【請求項24】
流体コンポーネントが少なくとも1つのチャネルを含んでなる、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
少なくとも1つのチャネルが2mm以下の平均断面寸法を有する、請求項24に記載のキット。
【請求項26】
少なくとも1つのチャネルが300〜600ミクロンの平均断面寸法を有する、請求項24に記載のキット。
【請求項27】
少なくとも1つのチャネルが1〜10cmの長さを有する、請求項24〜26のいずれかに記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、患者の試料を得るための表面を準備するための物品および方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明は、一般に、血液試料などの患者の試料を得るための表面を準備するための物品および方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
一組の実施形態において、一連の方法が提供される。一実施形態では、患者の皮膚の表面を清浄にする方法が提供される。この方法は、該表面を、界面活性剤を含有する溶液を含んでなる第1のワイプで拭くことを含み、該界面活性剤は該溶液の約0.1〜約15重量%の量で該溶液中に存在する。本方法は、該表面の少なくとも一部分を、消毒液を含んでなる第2のワイプで拭くことを含んでなり、該第1のワイプと該第2のワイプは異なる。表面の少なくとも一部分を第2のワイプで拭く工程は、表面が第1のワイプと接触してから約60秒以内に行う。
【0004】
別の実施形態において、患者の皮膚の表面を清浄にする方法は、界面活性剤を含有する溶液を該皮膚の表面に塗布すること、および第1のワイプで皮膚の表面を拭くことを含んでなり、ここで第1のワイプは界面活性剤を含有する溶液を含んでなり、該界面活性剤は該溶液の約0.1〜約15重量%の量で該溶液中に存在する。この方法は、皮膚の表面に消毒液を塗布し、皮膚の表面の少なくとも一部分を第2のワイプで拭くことを含んでなり、第1のワイプと第2のワイプとは異なる。表面の少なくとも一部分を第2のワイプで拭く工程は、表面が第1のワイプと接触してから約60秒以内に行う。
【0005】
上記および/または本明細書に記載の任意の方法を含むいくつかの実施形態では、界面活性剤を含有する溶液を皮膚の表面に塗布する工程は、界面活性剤を含有する溶液を含む第1のワイプで皮膚の表面を拭く工程を含んでなる。
【0006】
上記および/または本明細書に記載の任意の方法を含むいくつかの実施形態では、皮膚の表面に消毒液を塗布する工程は、消毒液を含む第2のワイプで皮膚の表面の少なくとも一部分を拭く工程を含んでなる。
【0007】
上記のおよび/または本明細書に記載の任意の方法を含むいくつかの実施形態では、第1の拭き取り工程の前に第1のワイプは実質的に乾燥している、および/または第2の拭き取り工程の前に第2のワイプは実質的に乾燥している。
【0008】
上記のおよび/または本明細書に記載の任意の方法を含むいくつかの実施形態では、第1の拭き取り工程の前に第1のワイプは実質的に湿っている、および/または第2の拭き取り工程の前に第2のワイプは実質的に湿っている。
【0009】
上記のおよび/または本明細書に記載の任意の方法を含むいくつかの実施形態では、皮膚の表面に界面活性剤を塗布する工程は第1の拭き取り工程の前に行う。
【0010】
上記のおよび/または本明細書に記載の任意の方法を含むいくつかの実施形態では、皮膚の表面に消毒液を塗布する工程は第2の拭き取り工程の前に行う。
【0011】
さらに別の一連の実施形態では、患者から血液試料を得るための方法が提供される。この方法は、採取部位で血液試料を患者から採取する工程を含んでなり、ここで、血液試料を採取する1分以内に、採取部位の表面に第1の拭き取り工程および第2の拭き取り工程が施される。第1の拭き取り工程は、第1のワイプで採取部位の表面を拭くことを含むんでなる。第1のワイプは界面活性剤を含んでなる。第2の拭き取り工程は、採取部位の表面の少なくとも一部分を第2のワイプで拭く工程を含んでなる。第1のワイプと第2のワイプは異なる。
【0012】
別の実施形態では、患者から血液試料を得る方法は、採取部位で血液試料を患者から採取する工程を含んでなり、ここで、血液試料を採取する1分以内に、採取部位の表面に対し、界面活性剤を含有する溶液に曝露する工程、第1の拭き取り工程、消毒液に曝露する工程、および第2の拭き取り工程が施される。第1の拭き取り工程は、第1のワイプで採取部位の表面を拭くことを含む。第2の拭き取り工程は、採取部位の表面の少なくとも一部分を第2のワイプで拭く工程を含む。第1のワイプと第2のワイプは異なる。
【0013】
上記および/または本明細書に記載の任意の方法を含むいくつかの実施形態では、第1の拭き取り工程の前に、該第1のワイプは界面活性剤を含有する溶液を含んでなる。
【0014】
上記のおよび/または本明細書に記載の任意の方法を含むいくつかの実施形態では、第2の拭き取り工程の前に、第2のワイプは消毒液を含んでなる。
【0015】
上記のおよび/または本明細書に記載の任意の方法を含むいくつかの実施形態では、表面を界面活性剤を含む溶液に暴露する工程と第1の拭き取り工程は実質的に同時に行われる。
【0016】
上記のおよび/または本明細書に記載の任意の方法を含むいくつかの実施形態では、表面を消毒液に曝露する工程と第2の拭き取り工程は実質的に同時に行われる。
【0017】
一組の実施形態では、キットが提供される。一実施形態では、キットは、第1の吸収材とそこに吸収された溶液とを含んでなる第1のワイプを含んでなる。この溶液は、界面活性剤を溶液の約0.1重量%〜約15重量%の量で含む。このキットはまた、第2の吸収材とそこに吸収された消毒液とを含んでなる第2のワイプを含んでなる。第1の吸収材と第2の吸収材は、同じでも異なっていてもよい。第1のワイプと第2のワイプはそれぞれ異なるパッケージに封入され、各パッケージは、100°F、相対湿度90%にて規格ASTM D−1249に従い測定した24時間での透水性が約0.05g/HO/100sq以下である。
【0018】
さらなる実施形態では、キットは、第1に吸収材を含んでなる第1のワイプ、界面活性剤を溶液の約0.1重量%〜約15重量%の量で含む第1の溶液、第2のワイプ、および消毒液を含んでなる。第1の吸収材と第2の吸収材は、同じでも異なっていてもよい。第1のワイプと第2のワイプはそれぞれ異なるパッケージに封入され、該パッケージの少なくとも一方は、100°F、相対湿度90%にて規格ASTM D−1249に従い測定した24時間での透水性が約0.05g/HO/100sq以下である。
【0019】
上記のおよび/または本明細書に記載の任意の方法を含むいくつかの実施形態では、第1のワイプは、界面活性剤を含む溶液を含んでなる。
【0020】
上記のおよび/または本明細書に記載の任意の方法を含むいくつかの実施形態では、第2のワイプは、消毒液を含んでなる。
【0021】
別の一組の実施形態では、包装されたワイプが提供される。包装されたワイプは、吸収材、該吸収材に吸収された溶液を含み、溶液は水およびドデシル硫酸ナトリウムを含む。ドデシル硫酸ナトリウムは、約0.1重量%〜約15重量%の範囲の量で溶液中に存在する。吸収材は、100°F、相対湿度90%にて規格ASTM D−1249に従い測定した24時間での透水性が約0.05g/HO/100sq以下のパッケージに封入されている。
【0022】
本発明の他の利点および新規な特徴は、添付の図面と併せて考慮すると、本発明の様々な非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。本明細書と参照することにより本明細書の一部を構成する文献が矛盾するおよび/または不一致の開示を含む場合、本明細書に従うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の非限定的な実施形態は、概略図であり一定の縮尺で描かれることを意図しない添付の図面を参照して例示によって記載される。図面で示されている同一またはほぼ同一の構成要素は、通常、単一の数字で表す。明確にしておくが、図面にはそれぞれ、すべての構成要素に符号が付されているわけではなく、当業者が本発明を理解することを可能にするために必要でない場合、本発明の各実施形態の構成要素がすべて図示されているわけでもない。
図1A】一組の実施形態による、表面の拭き取り方法のフローチャートである。
図1B】一組の実施形態による、血液試料の採取のための表面を準備する方法のフローチャートである。
図1C】一組の実施形態による、少なくとも1つのワイプを含んでなるキット例の模式図である。
図1D】一組の実施形態による、少なくとも1つのワイプを含んでなるキット例の模式図である。
図2】一組の実施形態による、各種拭き取り手順後に行ったtPSAアッセイにより測定されたPSA(ng/mL)のプロットである。
図3】一組の実施形態による、PSA回収(ng/mL)に対する、指先穿刺血液試料(PSAで汚染された指から採取した)と静脈血試料との間のバイアス(bias)のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な記載
血液などの患者試料を得るための表面を準備するための物品および方法が一般に提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、患者からの試料(例えば、血液試料)を得るための準備として、患者の皮膚の表面を拭くことを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、2つ以上のワイプで皮膚の表面を拭くことを含む。例えば、皮膚の表面は、界面活性剤を含む第1のワイプと消毒溶液を含む第2のワイプで拭き取ることができる。有利には、界面活性剤を含む第1のワイプとそれに続く第2のワイプの使用は、単一のワイプの使用または手洗いのみの場合と比較して、特定の汚染物質(例えば、タンパク質、バクテリア、ウイルス)をより多く皮膚の表面から除去することができる。
【0025】
場合によっては、2以上のワイプがキットとして提供されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、キットは、2以上のワイプ、および場合により、患者からの試料を採取するためのデバイスを含んでなる。開示されたワイプはそれぞれ、使用するまで長時間保管できるよう、それぞれパッケージ(例えば、水不透過性パッケージ)内に封入してもよい。
【0026】
本明細書で使用する「被験体」または「患者」は、任意の哺乳動物(例えば、ヒト)、例えば、疾患または症状にかかりやすい哺乳動物を意味する。被験体または患者としては、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコまたはげっ歯類(マウス、ラット、ハムスターまたはモルモット等)が挙げられる。一般に、本発明はヒトについての使用に向けられる。患者は、特定の疾患または症状を有すると診断された被験者、または疾患または症状を有することが知られている被験者であってよい。いくつかの実施形態では、患者は、疾患または症状を発症するリスクがあると診断されるか、またはそのリスクがあることが分かっている患者であってよい。他の実施形態では、患者は、例えば様々な臨床的因子および/または他のデータに基づいて、疾患または症状を有するかまたは発症している疑いがある患者であってよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、第1のワイプで表面(例えば、皮膚)を拭き取り、ある時間後に第2のワイプで表面を拭き取ることを含む。本明細書で使用されるワイプという用語は、一般に、表面を擦ることができる流体を含む物品(例えば、吸収性の物品)を指す。本明細書で使用される拭き取りという用語は、一般にワイプのような物品で表面を擦ることを指す。例えば、図1Aに例示的に示すように、方法100は、第1のワイプで表面を拭き取る第1の拭き取り工程110と、第2のワイプで表面を拭き取る第2の拭き取り工程120とを含む。一般に、第2の拭き取り工程は、第1のワイプによって拭き取られた表面の少なくとも一部分を第2のワイプで拭く工程を含む。第2のワイプは、典型的には、以下でより詳細に説明するように、第1のワイプと異なる物品である。
【0028】
図1A(および図1B)では2つの拭き取り工程が示されているが、他の実施形態では、さらなる拭き取り工程(たとえば、第3のワイプを使用する第3の拭き取り工程)を行ってもよいと解される。さらに、図1A(および図1B)では第1のワイプを第2のワイプの前に使用することを示しているが、他の実施形態では、第2のワイプを第1のワイプの前に適用してもよい。他の構成および手順もまた可能である。第1および第2のワイプに関する本明細書の記載は、さらなるワイプ(例えば、「第3のワイプ」、「第4のワイプ」など)にも適用可能であることが理解されよう。
【0029】
特定の実施形態において、第1のワイプおよび第2のワイプは、キットとして提供される。例えば、図1Cに例示するように、キット200は、第1のワイプ210および第2のワイプ220を含むことができる。第1および第2のワイプは、場合によっては個別に包装されてもよい。キットは、本明細書に記載の方法、例えば第1のワイプ210で採取部位の表面を拭くことを含む第1の拭き取り工程と第2のワイプ220で表面を拭くことを含む第2拭き取り工程を含む方法、を実施するために使用することができる。いくつかの実施形態では、キットは、2以上、3以上、または4以上のワイプ(例えば、図示されていない第3の拭き取り工程など)を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも第1のワイプおよび第2のワイプで拭き取った後に生物学的試料を得ることを含む。例えば、図1Bに示すように、方法105は、第2の拭き取り工程120の後に生物学的試料を得ることを含む第3の工程130を含む。特定の実施形態では、生物学的試料を採取する前に、第1のワイプおよび第2のワイプの両方によって拭き取られた表面上の場所から生物学的試料を採取する。一例では、患者の指の皮膚の表面を第1のワイプで拭き取ることができ、患者の指の皮膚の表面の少なくとも一部分を第2のワイプで拭き取ることができ、そして患者の指の皮膚表面の両方のワイプで拭き取った部分内の位置から生物学的試料を採取することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、キットは、生物学的試料を採取するための(マイクロ)流体成分を含む。例えば、図1Dに示すように、キット205は、第1のワイプ210、第2のワイプ220、および生物学的試料を採取するための(マイクロ)流体成分230を含む。場合により、キットは、試料成分を分析するためのマイクロ流体デバイス240をさらに含むことができる。生物学的試料を採取するための(マイクロ)流体成分および試料成分を分析するためのマイクロ流体デバイスには、以下にさらに詳細に説明する。
【0032】
第1のワイプ及び第2のワイプで皮膚の表面を拭くことは、単一のワイプおよび/またはワイプなしで皮膚の表面を拭く場合と比較して、皮膚の表面から除去されるタンパク質(例えば、抗原)、バクテリアおよび/またはウイルスなどの汚染物質の量が有意に増加するなど、いくつかの利点をもたらし得る。拭き取り工程で除去され得るタンパク質としては、前立腺特異抗原(PSA)(フリー前立腺特異抗原(fPSA)、インタクト前立腺特異抗原(iPSA)、トータル前立腺特異抗原(tPSA)など)やヒトカリクレイン2(hK2)が挙げられる。いくつかの実施形態では、汚染物質はフリーPSAとホモローガスである。例えば、例示的な実施形態では、PSAアッセイ(例えば、トータル前立腺特異抗原(tPSA)アッセイ)を用いて、皮膚の表面から除去される(例えば、皮膚の表面上のその位置から採取された生物学的試料内に存在および/または混入し得る)PSAタンパク質の量を測定することができる。
【0033】
有利には、第1のワイプ及び第2のワイプで皮膚の表面を拭くことは、単一のワイプおよび/またはワイプなしで皮膚の表面を拭く場合と比較して、皮膚の表面から除去されるおよび/または採取した生物学的試料におけるPSAタンパク質の量が有意に増加する。トータルPSAアッセイは当分野で公知であり、一般に、本明細書で説明されるように、場合によって、拭き取られていない、単一のワイプで拭き取られた、または第1のワイプおよび第2のワイプで拭き取られた場所で患者から採取した生物学的試料中に存在するPSAの濃度を測定することを含む。本明細書において測定されるように、生物学的試料中に存在するPSAの量(例えば、拭き取りの前または後)は、Roche ElecsysTM トータルPSAアッセイを用いて測定される。例えば、血液試料を遠沈して血漿を得、PSAの量をRoche ElecsysTM トータルPSAアッセイを用いて測定することができる。SangiaTM tPSAアッセイ、AutoDELFIA ProSTATUSTM アッセイ、ELISAなどの他のアッセイも使用することができる。
【0034】
本明細書に記載の物品および方法を使用して試料採取表面(例えば、皮膚)から除去され得る汚染物質のさらなる例としては、例えば、体液または排泄物(汗、精子、尿、涙、精液、膣分泌物、粘液および/または糞便等)由来の1以上の成分(例えば、タンパク質、ホルモン、抗体)が挙げられる。いくつかの実施形態では、体液または排泄物中に見いだされるか、または試料採取部位に存在する1つまたは複数の診断血液マーカーを除去することができる。いくつかの実施形態において、成分は、試料採取部位にまたは試料採取部位の近くに適用される物質中に見出される。例えば、(治療用クリーム、ゲル、パッチなどによって)皮膚に局所的に適用されるテストステロンなどのホルモンは、本明細書に記載の物品および方法を使用して除去することができる。テストステロンアッセイを実施するための試料を採取する前に、試料採取部位から局所的なテストステロンを除去することが望ましい場合がある。同様に、PSAアッセイを実施するための試料を採取する前に、PSAを含む精液の除去が望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、試料採取部位がこのような汚染物質を保持しやすい皮膚表面である場合、そのような汚染物質を除去することが特に望ましいことがある。一般に、除去されるまたは除去の対象となる汚染物質は、アッセイの結果に影響を及ぼし得る、および/または標的分子の測定を妨害し得るものであり、試料採取部位に存在し得るものである。
【0035】
本方法は、生物学的試料を汚染し生物学的試料を用いて行われるその後の分析(例えば、アッセイ)の結果を歪めるような成分を除去することを含み得る。他の汚染物質の除去もまた可能である。
【0036】
再度図1Aを参照すると、第1の拭き取り工程110と第2の拭き取り工程120は、任意の適当な時間(例えば、約60秒未満)で分けられる。いくつかの実施形態では、第2の拭き取り工程は、第1の拭き取り工程から約5分以内、約2分以内、約60秒以内、約45秒以内、または約30秒以内、約15秒以内、約10秒以内、または約1秒以内に行う。特定の実施形態では、第2の拭き取り工程は、第1の拭き取り工程から少なくとも約1秒後、少なくとも約5秒後、少なくとも約10秒後、少なくとも約15秒後、少なくとも約30秒後、少なくとも約45秒後、または少なくとも約60秒後に行う。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、1秒〜2分の間、1秒〜60秒の間、30秒〜60秒の間、45秒〜2分の間)。他の範囲も可能である。
【0037】
本明細書に記載するように、いくつかの実施形態では、第1の拭き取り工程は、第1の溶液(例えば、界面活性剤溶液)を含む第1のワイプで採取部位(例えば、皮膚)の表面を拭く工程を含む。他の実施形態では、第1のワイプは、必ずしも溶液を含んでいる必要はなく、溶液が第1のワイプとは別に包装されてもよい。例えば、キットは、別々に包装された第1および第2のワイプと、別に(例えば、ボトル、カプセルまたは他の適当な容器に)包装された第1の溶液とを含んでいてもよい。使用にあたって、第1の拭き取り工程は、(例えば、溶液を採取部位に噴霧、塗布、かけるなどして)採取部位の表面に第1の溶液(例えば、界面活性剤溶液)を適用し、その後、採取部位の表面を第1のワイプで拭き取ることを含む。第1のワイプは、実質的に乾燥していても、または実質的に湿っていてもよい(例えば、第1の溶液または水などの異なる溶液を含む)。
【0038】
いくつかの実施形態では、第2の拭き取り工程は、第2の溶液(例えば、消毒液)を含む第2の拭取り剤で採取部位(例えば、皮膚)の表面を拭く工程を含む。他の実施形態では、第2のワイプは、必ずしも溶液を含んでいる必要はなく、溶液が第2のワイプとは別に包装されてもよい。例えば、キットは、別々に包装された第1および第2のワイプと、別に(例えば、ボトル、カプセルまたは他の適当な容器に)包装された第2の溶液(例えば、消毒液)を含んでいてもよい。使用にあたって、第2の拭き取り工程は、(例えば、溶液を採取部位に噴霧、塗布、かけるなどして)採取部位の表面に第2の溶液(例えば、消毒液)を適用し、その後、採取部位の表面を第2のワイプで拭き取ることを含む。第2のワイプは、実質的に乾燥していても、または実質的に湿っていてもよい(例えば、第2の溶液または水などの異なる溶液を含む)。
【0039】
例示的な実施形態では、表面を界面活性剤を含む溶液に暴露する工程と第1の拭き取り工程は実質的に同時に行い、および/または表面を消毒溶液に暴露する工程と第2の拭き取り工程は実質的に同時に行う。例えば、第1の拭き取り工程は、第1の溶液を含む第1のワイプで皮膚の表面を拭く工程を含むことができ、および/または第2の拭き取り工程は、第2の溶液を含む第2のワイプで皮膚の表面を拭く工程を含むことができる。
【0040】
別の例示的な実施形態では、第1の拭き取り工程は、第1の溶液を皮膚の表面に適用後、第1のワイプで皮膚の表面を拭く工程を含んでなり、第2の拭き取り工程は、第2の溶液を含む第2のワイプで皮膚の表面を拭く工程を含んでなる。
【0041】
ある特定の実施形態では、第1の拭き取り工程と第2の拭き取り工程を一定の時間間隔おいて、第1のワイプで拭き取りした後の採取部位(例えば、皮膚)の表面に残った流体(例えば、界面活性剤溶液)が、第2のワイプで拭き取りする前に実質的に蒸発するようにする。第2のワイプで表面を拭くことで、第1のワイプで拭き取りした後に、採取部位の表面に保持された残留流体またはその流体中の成分を除去することができる。例えば、汚染物質(例えば、PSA、テストステロン)を採取部位の表面から除去することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のtPSAアッセイ(例えば、Roche ElecsysTM トータルPSAアッセイ)等のアッセイを用いて第2のワイプが汚染物質(例えば、PSA、テストステロン)を表面から実質的に除去したかどうかを確認し、患者から採取された生物学的試料中に汚染物質が含まれないようにすることができる。
【0042】
さらにまたは別法として、第2のワイプは、第1のワイプに由来するまたは第1のワイプに含まれる1以上の活性成分または他の成分を除去するためにも使用され得る。例えば、第1のワイプで拭き取りした後に採取部位(例えば、皮膚)の表面に残った界面活性剤溶液(洗剤)は、第2のワイプを用いて除去することができる。いくつかの実施形態では、そのような薬剤の除去は、試料採取部位の表面のそれらの存在が試料採取プロセスを妨害し得るため、望ましい。例えば、第1のワイプ中に存在する洗剤は、第1のワイプを適用後に試料採取部位に留まり、試料採取部位の表面化学を変えることがあり、例えば、試料採取部位をより親水性にし得る。試料採取部位(例えば、指の皮膚)で試料(例えば、血液の小滴)を得る場合、親水性がより高いと試料が試料採取部位から流れ出ることがあり、採取が困難な場合がある。第1の拭き取り後に第2のワイプで試料採取部位を拭くことで、血液の滴を形成する前に洗浄剤を除去し、それにより試料の採取を容易にすることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1および第2の拭き取り工程の前に表面上に存在する汚染物質(例えば、PSAタンパク質などのタンパク質)の(例えば、本明細書に記載のtPSAアッセイなどのアッセイによって決定される)量と比較して、大部分の汚染物質(例えば、PSAタンパク質などのタンパク質)を第1および第2の拭き取り工程後の採取部位の表面から除去する。特定の実施形態では、第1および第2の拭き取り工程の前に表面に存在する汚染物質(例えば、PSAタンパク質)の量と比較して、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の汚染物質(例えば、PSAタンパク質などのタンパク質)が、第1および第2の拭取り工程後に採取部位の表面から除去される。場合によっては、実質的に全ての汚染物質が除去される。特定の実施形態では、汚染物質の100%が除去される。他の実施形態では、汚染物質の100%未満、約99%、約98%、約97%、約96%または約95%以下が除去される。上記範囲の組み合わせもまた可能である。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1のワイプ(および/または第2のワイプ)は界面活性剤を含む。
【0045】
本明細書で使用される「界面活性剤」という用語は、当分野におけるその通常の意味であり、油/水タイプおよび水/油タイプの界面に対する特異的な親和性を付与する両親媒性の構造を有し、これら界面の自由エネルギー/表面エネルギーを減少させる化合物を指す。界面活性剤という用語は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、およびそれらの混合物を包含する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。非イオン性界面活性剤は、一般に電荷を含まない。両性界面活性剤は、一般に、正電荷および負電荷の両方を有するが、界面活性剤の実効電荷は、溶液のpHに依存して、正、負または中性であり得る。アニオン性界面活性剤は、一般に負の実効電荷を有する。カチオン性界面活性剤は、一般に、正の実効電荷を有する。双性イオン性界面活性剤は、一般にpHに依存しない。双性イオンは、正電荷と負電荷とを有する中性分子であるが、複数の正電荷および負電荷が存在し得る。
【0046】
上記のように、界面活性剤を使用して、採取部位での界面(例えば、油/水界面)の表面エネルギーを低下させることができる。本明細書で使用される用語「表面エネルギー」は、当分野におけるその通常の意味であり、表面が生成されるときに生じる分子間結合の崩壊の程度(例えば、バルクと比較して表面の過剰なエネルギー)を意味する。一般に、表面エネルギーは、表面張力(例えば、液体−気体界面の場合)または界面張力(例えば、液体−液体界面の場合)とも呼ばれる。当業者には理解されるように、界面活性剤は、一般に、分子間結合の破壊の程度が最小限になる(すなわち、表面エネルギーを低下させる)ように界面に配向する。典型的には、界面活性剤は、極性相と非極性相との間の界面で極性の差が最小限になるように配向する。
【0047】
いくつかの実施形態では、特定の界面活性剤は、採取部位の表面から除去される所望の汚染物質に応じて選択され得る。例えば、除去すべき汚染物質が負の実効電荷(または正の実効電荷)を有する場合、正に荷電した(または負に荷電した)界面活性剤をワイプに含めることができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、洗浄剤は、採取部位の表面から乾燥したタンパク質または他の成分を除去することができる。表面が一旦乾燥すると、タンパク質は可溶化が遅くなる可能性がある。ワイプで除去するために、洗剤を使用して乾燥したタンパク質の表面への溶解または可溶化を助けることができる。
【0049】
場合によっては、目的の汚染物質を変性させることが知られている特定の界面活性剤(例えば、変性洗剤)を使用することができる。本明細書に記載されるように、汚染物質の変性は、汚染物質(遊離PSAなど)に界面活性剤を適用し、汚染物質(抗PSA抗体など)に対する抗体に汚染物質を曝露することによって汚染物質の免疫反応性を測定することによって決定される。汚染物質が変性した場合、抗体は実質的に汚染物質に結合しない。当業者は、例えば、免疫蛍光アッセイなどの任意の適当な方法によって適当な抗体との結合を測定することにより、タンパク質の変性を決定することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、洗浄剤は、目的の汚染物質の溶解/可溶化および変性の両方の能力について選択される。
【0051】
特定の実施形態では、界面活性剤は石鹸である。例えば、いくつかの実施形態において、石鹸は、キャスティールソープである。特定の実施形態において、石鹸は、脂肪酸の誘導体である。石鹸のもととなる適当な脂肪酸の非限定的な例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸が挙げられる。いくつかの実施形態では、脂肪酸は、例えば、獣脂、ヤシ油、パーム核油、ローレル油、オリーブ油およびキャノーラ油を含む天然脂肪に由来する。当業者は、本明細書の教示に基づいて適当な石鹸を選択することができるであろう。
【0052】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は洗剤である。洗剤なる語は、一般に、希釈溶液中で洗浄特性を有する界面活性剤または界面活性剤の混合物を指す。いくつかの実施形態では、洗剤は、アルキルベンゼンスルホネート等の陰イオン洗浄剤、第4級アンモニウム洗浄剤等の陽イオン洗浄剤、またはTweenやTritonのようなエトキシレート等の非イオン性洗浄剤である。いくつかの実施形態では、洗剤はラウリル硫酸塩である。ラウリル硫酸塩の非限定的な例としては、ラウリル硫酸ナトリウム(すなわち、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))、ラウリル硫酸アンモニウム、およびラウリル硫酸カリウムが挙げられる。他の洗剤も可能であり、当業者は、本明細書の教示に基づいて適当な洗剤を選択することができるであろう。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1のワイプ(および/または第2のワイプ)は、界面活性剤を含む溶液を含む。界面活性剤は、任意の適当な量で溶液中に存在し得る。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、溶液の総重量に対して約0.1重量%〜約20重量%の範囲の量で溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、または少なくとも約18重量%の量で溶液中に存在する。特定の実施形態では、界面活性剤は、約20重量%以下、約18重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約7重量%以下、約5重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、または約0.2重量%以下の量で溶液中に存在する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、約0.1重量%〜約20重量%、約0.2重量%〜約5重量%、約1重量%〜約3重量%、約5重量%〜約15重量%)。他の重量%および界面活性剤も可能である。いくつかの実施形態では、溶液は、溶液中に存在する2以上の界面活性剤の混合物を含み、界面活性剤のそれぞれは、上記の1以上の範囲(例えば、約0.1重量%〜約10重量%)で溶液中に存在する。
【0054】
いくつかの実施形態では、第1および/または第2のワイプに他の化合物または成分が存在してもよい。 例えば、疎水性化合物および/または親水性化合物を含むことができる。さらなる化合物または成分の非限定的な例としては、変性剤(例えば、尿素および/またはグアニジニウムを含む)、有機溶媒および油(またはグリース)が挙げられる。
【0055】
いくつかの実施形態では、第2のワイプ(および/または第1のワイプ)は、消毒剤(例えば、消毒液)を含む。消毒剤としては、例えば、場合により媒体(例えば、水などの流体)中に存在して(例えば、溶解、分散、溶媒和、混合されて)いてもよい活性な消毒剤が挙げられる。消毒剤として適当な活性な消毒剤の非限定的な例としては、第4級アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム)、アルコール(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール)、クロロヘキシジン、抗菌性色素(例えば、トリフェニルメタン)、過酸化物(例えば、過酸化水素、過酸化ベンゾイル)、過マンガン酸塩(例えば、過マンガン酸カリウム)、ハロゲン化フェノール誘導体(例えば、クロロキシレノール、トリクロサン)、キノロン誘導体(例えば、ヒドロキシキノリン硫酸)、ヨウ素(例えば、ポビドンヨード)、漂白剤などが挙げられる。
【0056】
特定の実施形態では、活性な消毒剤は、第1のワイプおよび第2のワイプの両方に存在し得る。いくつかのこのような実施形態では、活性な消毒剤が第1のワイプに存在する場合、第2のワイプに存在する活性な消毒剤と同じでも異なっていてもよく、本明細書に記載した任意の適当な量でワイプ(例えば、第1のおよび/または第2のワイプ)内に存在し得る。
【0057】
活性な消毒剤は、任意の適当な量でワイプの溶液(例えば、消毒液または界面活性剤溶液)中に存在してもよい。いくつかの実施形態では、活性な消毒剤(例えば、ヨウ素)は、溶液の総重量に対して約0.01重量%〜約7重量%の範囲の量で溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、活性な消毒剤は、少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.02重量%、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重%、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、または少なくとも約5重量%の量で溶液中に存在する。ある特定の実施形態では、活性な消毒剤は、約7重量%以下、約5重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.1重量%以下、約0.05重量%以下、または約0.02重量%以下の量で溶液中に存在する。上記の範囲の組み合わせ(例えば、約0.01重量%〜約10重量%、約0.02重量%〜約0.5重量%、約0.1重量%〜約5重量%、約1重量%〜約3重量%、3重量%〜約7重量%)も可能である。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態では、ワイプの溶液は、溶液中に存在する2以上の活性な消毒剤の混合物を含み、各活性な消毒剤は、上記の1以上の範囲で溶液中に存在する。
【0058】
特定の実施形態では、活性な消毒剤(例えば、アルコール)は、溶液の総重量に対して約30重量%〜約80重量%の範囲の量で溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、活性な消毒剤は、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、または少なくとも約70重量%の量で溶液中に存在する。特定の実施形態では、活性な消毒剤は、約80重量%以下、約70重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、または約40重量%以下の量で溶液中に存在する。上記の範囲の組み合わせ(例えば、約30重量%〜約80重量%、約50重量%〜約80重量%、約60重量%〜約70重量%)も可能である。他の範囲も可能である。
【0059】
いくつかの実施形態では、消毒剤(例えば、消毒液)は、1以上の添加剤を含む。適当な添加剤の非限定的な例としては、着色剤(例えば、染料)、オドラント(例えば、香料)、乳化剤、および平滑剤(例えば、クリーム)が挙げられる。特定の実施形態では、1以上の添加剤は、消毒剤の機能に実質的な影響を及ぼさない。
【0060】
特定の実施形態では、消毒液は、場合により(例えば、活性な消毒剤に加えて)界面活性剤を含むことができる。このようないくつかの実施形態では、界面活性剤が消毒液中に存在する場合、他のワイプの界面活性剤溶液中に存在する界面活性剤と同じでも異なっていてもよく、本明細書に記載した任意の適当な量でワイプ(例えば、第1および/または第2のワイプ)内に存在し得る。
【0061】
場合によっては、第1のおよび/または第2のワイプは界面活性剤を含んでいてもよいが、いくつかの実施形態では、第1のワイプ(第1の拭き取り工程に用いられる)は、第2のワイプ(第2の拭き取り工程に用いられる)よりも多い量で界面活性剤を含有し得る。ある特定の実施形態では、第1のワイプは、第2のワイプよりも少なくとも10%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも20%、少なくとも500%、または少なくとも1000%多い界面活性剤を含有する。ある1つの特定の組の実施形態では、第1のワイプは1以上の界面活性剤を含み、第2のワイプは界面活性剤を含まない。例えば、場合によっては、試料採取の直前に採取部位の表面を拭くために使用されるワイプは、いくつかの実施形態では界面活性剤を含まないか、またはその前に使用される任意のワイプよりも少ない(例えば、少なくとも10%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも20%、少なくとも500%、または少なくとも1000%少ない)程度で活性成分を含有する。他の構成も可能である。
【0062】
いくつかの実施形態では、ワイプ(例えば、第1のワイプ、第2のワイプ)は、そのワイプにおける成分の溶媒として用い得る適当な液体(例えば、界面活性剤溶液、消毒液、緩衝液、およびそれらの組み合わせ)を含有し得る。液体は水性であってよく、例えば緩衝剤を含んでいてもよい。適切な緩衝剤の非限定的な例としては、リン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、双性イオン緩衝剤、ホウ酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、クエン酸塩およびマロン酸塩が挙げられる。場合によっては、液体はアルコールを含む。他の実施形態では、ワイプ(例えば、第1のワイプ、第2のワイプ)は実質的に乾燥していてもよい。
【0063】
ワイプには、任意の適当な体積の液体(例えば、界面活性剤溶液、消毒液、緩衝液、およびそれらの組み合わせ)が含まれていてもよい。いくつかの実施形態では、ワイプは、1cmあたり、少なくとも約100μL、少なくとも約150μL、少なくとも約200μL、少なくとも約250μL、少なくとも約300μL、少なくとも約350μL、少なくとも約400μL、または少なくとも約450μL含む。ある実施形態では、ワイプは、1cmあたり、約500μL以下、約450μL以下、約400μL以下、約350μL、約300μL以下、約250μL以下、約200μL以下、または約150μL以下で含む。上記の範囲の組み合わせ(例えば、1cmあたり、約100μL〜1約500μL、約100μL〜約300μL、約200μL〜約450μL、約250μL〜約350μL、約300μL〜約500μL)も可能である。他の範囲も可能である。
【0064】
ワイプまたは容器に含まれる液体(例えば、界面活性剤溶液、消毒液、緩衝液、およびそれらの組み合わせ)の絶対量も変化し得る。いくつかの実施形態では、ワイプまたは容器は、少なくとも約100μL、少なくとも約150μL、少なくとも約200μL、少なくとも約250μL、少なくとも約300μL、少なくとも約350μL、少なくとも約400μL、少なくとも約450μL、少なくとも約500μL、少なくとも約600μL、少なくとも約700μL、少なくとも約800μL、少なくとも約900μLの液体を含む。ある特定の実施形態では、ワイプまたは容器は、約5mL以下、約3mL以下、約2mL以下、約1mL以下、約700μL以下、約500μL以下、約450μL以下、約400μL以下、約350μL以下、約300μL以下、約250μL以下、約200μL以下、または約150μL以下の液体を含む。上記の範囲の組み合わせも可能である。他の範囲も可能である。
【0065】
いくつかの実施形態では、各ワイプ(例えば、第1のワイプ、第2のワイプ)は、拭き取り前に実質的に乾燥していてもよい。他の実施形態では、ワイプは、本明細書に記載した流体を含有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ワイプは、1cmあたり、約20μL以下、約10μL以下、約7μL以下、約5μL以下、約3μL以下、約1μL以下の流体を含有する。いくつかの実施形態では、ワイプは、1cmあたり、少なくとも1μL、少なくとも2μL、または少なくとも5μLの流体を含む。上記の範囲の組み合わせも可能である。
【0066】
ワイプ(例えば、第1のワイプ、第2のワイプ)は、任意の適当な材料を含むか、または任意の適当な材料から形成され得る。ある特定の実施形態では、ワイプは、界面活性剤および/または消毒液を含む溶液のような流体を吸収し保持することができる材料(吸収性材料)を含んでなる。いくつかの実施形態では、ワイプは繊維を含む。繊維は、任意の適当な平均直径を有していてもよい。例えば、繊維の平均直径は、少なくとも1ミクロン、少なくとも約2ミクロン、少なくとも約5ミクロン、少なくとも約10ミクロン、少なくとも約20ミクロン、少なくとも約50ミクロン、少なくとも約100ミクロン、少なくとも約150ミクロン、少なくとも約200ミクロン、少なくとも約300ミクロン、少なくとも約500ミクロン、または少なくとも約700ミクロンである。ある特定の実施形態では、繊維の平均直径は、約1mm以下、約800ミクロン以下、約600ミクロン以下、約400ミクロン以下、約400ミクロン以下、約200ミクロン以下、約150ミクロン以下、約100ミクロン以下、約50ミクロン以下、約20ミクロン以下、約10ミクロン以下、約5ミクロン以下、または約2ミクロン以下である。上述の範囲の組み合わせ(例えば、約1ミクロン〜約200ミクロン、約5ミクロン〜約20ミクロン、約10ミクロン〜約50ミクロン、約20ミクロン〜約100ミクロン、約50ミクロン〜約200ミクロン)も可能である。他の範囲も可能である。ある特定の実施形態では、ワイプは不織布材料を含んでなる。ある特定の実施形態では、ワイプは布地材料(例えば、粗い布または布)を含んでなる。いくつかの実施形態では、ワイプはガーゼを含んでなる。当業者は、例えば、カーディング、エアレーイング、スパンレーシング、スパンレイング、メルトブローイング、ウェットレイニングなどを含む、そのようなワイプを製造するための適当な方法を選択することができる。
【0067】
ワイプとして使用するのに適した材料の非限定的な例としては、非合成/天然ポリマー(例えば、セルロース、再生セルロース、酢酸セルロース、綿、木材パルプ、麻)および合成ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカプロラクトン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ポリオレフィン、ポリアミド(例えばナイロン)、レーヨン、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン(例えば熱可塑性ポリウレタン)、ポリメチルメタクリレート、ポリアニリン、ポリアラミド(例えばパラアラミド、メタアラミド)、ポリイミド(例えば、ポリエーテルイミド)、ポリエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアクリル、ポリエーテルスルホン、ポリ(フェニレンエーテルスルホン)、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(乳酸)、ポリフェニレンオキシド、ポリピロール)およびそれらの組合せが挙げられる。そのような材料の繊維をいくつかの場合に使用することができる。いくつかの実施形態では、第1のワイプおよび第2のワイプは同じ材料を含んでなる。他の実施形態では、第1のワイプおよび第2のワイプは、異なる材料を含んでなる。
【0068】
場合によっては、ワイプの少なくとも1つ(例えば、1、2)の側面は、特定の表面粗さを有する。例えば、ワイプの表面の平均二乗平均平方根(RMS)粗さは、少なくとも1ミクロン、少なくとも約2ミクロン、少なくとも約5ミクロン、少なくとも約10ミクロン、少なくとも約25ミクロン、少なくとも約40ミクロン、少なくとも約60ミクロン、または少なくとも約80ミクロンである。特定の実施形態では、ワイプの表面の平均RMS粗さは、約100ミクロン以下、約80ミクロン以下、約70ミクロン以下、約50ミクロン以下、約40ミクロン以下、約25ミクロン以下、約10ミクロン以下、約5ミクロン以下、または約2ミクロン以下である。上記範囲の組み合わせ(例えば、約1ミクロン〜約50ミクロン、約2ミクロン〜約25ミクロン、約5ミクロン〜約40ミクロン、約25ミクロン〜約50ミクロン)も可能である。他の範囲も可能である。当業者であれば、接触プロフィルメトリー(例えば、原子間力顕微鏡法)などの、ワイプの表面の平均RMS粗さを決定するための適当な方法を選択することができるであろう。
【0069】
いくつかの実施形態では、ワイプは特定の平均厚さを有する。ある特定の実施形態では、ワイプの平均厚さは、少なくとも約100ミクロン、少なくとも約200ミクロン、少なくとも約500ミクロン、少なくとも約1mm、または少なくとも約2mmである。ある特定の実施形態では、ワイプは、約5mm以下、約2mm以下、約1mm以下、約500ミクロン以下、または約200ミクロン以下の平均厚さを有する。上述の範囲の組み合わせ(例えば、約100ミクロン〜約5mm、約200ミクロン〜約1mm、約500ミクロン〜約2mm、約1mm〜約5mm)も可能である。他の範囲も可能である。
【0070】
特定の実施形態では、ワイプを特定のサイズにカットしてもよい。例えば、ワイプのサイズは、少なくとも約0.5インチ×約0.5インチ、少なくとも約1インチ×約1インチ、少なくとも約2インチ×約2インチ、または少なくとも約4インチ×約4インチである。いくつかの場合では、ワイプのサイズは、約0.5インチ×約0.5インチ以下、約1インチ×約1インチ以下、約2インチ以下×約2インチ以下、または約4インチ×約4インチ以下である。上記範囲の組み合わせも可能である。
【0071】
ワイプは必ずしも四角形である必要はなく、任意の適当な形状を有してもよい(または任意の適切な形状に折り畳まれていてもよい)。例えば、いくつかの実施形態では、ワイプは、ワイプの最大横断面で規定される、正方形、長方形、円形、楕円形、三角形、多角形などである。当業者であれば、以下でより詳細に説明するように、形状なる語が厳密な幾何学的定義に限定されないことを理解するであろう。いくつかの実施形態では、ワイプを、最大横断寸法で特徴付けることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ワイプは、少なくとも約0.25インチ、少なくとも約0.5インチ、少なくとも約1インチ、少なくとも約2インチ、少なくとも約4インチ、少なくとも約5インチ、または少なくとも約8インチである。特定の実施形態では、ワイプは、約10インチ以下、約8インチ以下、約6インチ以下、約5インチ以下、約4インチ以下、約2インチ以下、約1インチ以下、または約0.5インチ以下の最大横断寸法を有し得る。上記の範囲の組み合わせ(例えば、約0.25インチ〜約10インチ、約0.25インチ〜約1インチ、約0.5インチ〜約2インチ、約1インチ〜約5インチ、約2インチ〜約8インチ、約5インチ〜約10インチ)も可能である。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態では、ワイプは、上記の1以上の寸法になるように折り畳まれる。
【0072】
いくつかの実施形態では、ワイプを滅菌してもよい。当業者は、本明細書の教示に基づいて、例えば、蒸気、乾熱、オゾンのような化学的滅菌、非電離放射線(例えば、紫外線照射)および電離放射線(例えば、ガンマ線、電子線処理、X線照射)などの、本明細書に記載したワイプを滅菌するための適当な方法を選択することができるであろう。ワイプは、流体(例えば、界面活性剤を含む溶液および消毒液)を吸収させる前に滅菌してもよい。ある特定の実施形態では、ワイプは、流体の吸収後に滅菌してもよい。ある場合では、ワイプを包装した後に滅菌する。
【0073】
ワイプについて本明細書で記載した任意の特性が、第1のワイプ、第2のワイプ、その両方のワイプおよび/またはさらなるワイプに独立して適用可能であると理解される。例えば、いくつかの実施形態では、第1のワイプが第1の吸収性材料を含み、第2のワイプが第2の吸収性材料を含み、他の実施形態では1つのワイプのみが吸収性材料を含む。
【0074】
再度図1Bを参照すると、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、第2の拭取り工程120の後に生物学的試料を採取することを含む第3の工程130を含む。生物学的試料の採取は、第2の拭き取り工程後の任意の適当な時間後に行うことができる。いくつかの実施形態では、生物学的試料の採取は、第2の拭き取り工程から、約5分以内、約2分以内、約60秒以内、約45秒以内、約30秒以内、約15秒以内、または約10秒以内に行う。ある特定の実施形態では、生物学的試料の採取は、第2の拭き取り工程から、少なくとも約5秒後、少なくとも約10秒後、少なくとも約15秒後、少なくとも約30後、少なくとも約45後、少なくとも約60後、少なくとも約2分後、または少なくとも約5分後に行う。上記の範囲の組み合わせ(例えば、10秒〜10分、10秒〜60秒、30秒〜60秒、45秒〜2分)も可能である。他の範囲も可能である。
【0075】
したがって、いくつかの実施形態では、本方法は、採取部位にて患者から生物学的試料(例えば、血液試料)を採取する1分以内に、採取部位の表面に対して第1の拭き取り工程と第2の拭き取り工程を行うことを含む。第1の拭き取り工程は、採取部位の表面を、界面活性剤を含んでなる第1のワイプで拭くことを含み、第2の拭き取り工程は、採取部位の表面の少なくとも一部分を、消毒液を含む第2のワイプで拭くことを含む。このようないくつかの実施形態では、第1および第2のワイプは異なる(例えば、これらには、異なる種類の成分/試薬/溶液、異なる濃度の成分/試薬、ワイプを形成するために使用される異なる材料、異なるサイズが挙げられる)。
【0076】
いくつかの実施形態では、生物学的試料の採取は、患者から血液試料を採取することを含む。ある特定の実施形態では、生物学的試料(例えば、血液試料)の採取は、流体デバイスまたはコンポーネント(ニードル、シリンジ、「フィンガー・スティック」、ランセット、キャピラリー(例えば、テーパ付きキャピラリー)または他の適当な構成要素等)を用いて試料を採取することを含み得る。例えば、生物学的成分はヒトの皮膚であってもよい。穿刺コンポーネント(例えば、ニードル、ピンまたは他の鋭利なもの)を使用して、生物学的試料の採取前または採取中に採取部位の皮膚を穿刺することができる。
【0077】
特定の実施形態では、生物学的試料(例えば、血液試料)の採取は、少なくとも1つのチャネルを含む(マイクロ)流体デバイス/(マイクロ)流体コンポーネントを用いて試料を採取することを含む。いくつかの実施形態では、(マイクロ)流体成分は、生体試料がチャネル内に含まれるように、患者からの少なくとも1つのチャネルへの生物学的試料の移送を容易にする。ある特定の実施形態では、(マイクロ)流体コンポーネントは、生物学的構成要素(皮膚)を穿刺することができるサンプリングエレメントを含むことができるが、すべての実施形態においてこのようなサンプリングエレメントが存在していなくてもよい。サンプリングエレメントは、例えば、針または綿棒の形態であってもよい。サンプリングエレメントは、本明細書に記載の(マイクロ)流体コンポーネントに可逆的または不可逆的に取り付けられてもよい。
【0078】
本明細書に記載するように、いくつかの実施形態では、(マイクロ)流体コンポーネント(本明細書に記載のキットまたはシステムの一部であり得る)は、患者からの生物学的試料の(マイクロ)流体コンポーネント内のチャネルへの移動を可能にし得る。ある特定の実施形態では、(マイクロ)流体コンポーネントは、生物学的試料を分析するための少なくとも1つのマイクロ流体チャネルを含むマイクロ流体デバイスに接続される(例えば、挿入される)ように構成および配置される。この接続によって、(マイクロ)流体コンポーネントのチャネルとマイクロ流体デバイスのチャネルとの間で流体連通がもたらされる。
【0079】
1つの特定のセットの実施形態では、(マイクロ)流体コンポーネントは、マイクロ流体デバイスの少なくとも2つのチャネルを接続する流体コネクタである。例えば、(マイクロ)流体コンポーネントまたは流体コネクタは、チャネル入口およびチャネル出口を含むチャネルを含むことができ、接続時に、該チャネル入口は、マイクロ流体デバイスの第1のマイクロ流体チャネルの出口に接続することにより(マイクロ)流体コンポーネント/流体コネクタのチャネルと第1のマイクロ流体チャネルとの間の流体連通を可能にし、該チャネル出口は、マイクロ流体デバイスの第2のマイクロ流体チャネルに入口に接続することによりチャネルと第2のマイクロ流体チャネルとの間の流体連通を可能にする。いくつかの実施形態では、第1および第2のマイクロ流体チャネルは、(マイクロ)流体コンポーネント/流体コネクタの接続前および/または最初の使用前は、互いに流体連通しておらず、接続/最初の使用時に、第1および第2のマイクロ流体チャネルが相互に流体連通する。他の構成も可能である。(マイクロ)流体コンポーネント、流体コネクタ、およびマイクロ流体デバイスの例は、国際公開第WO2008/137008号(国際特許出願第PCT/US2008/005577号、出願日2008年5月1日、発明の名称「流体コネクタおよびマイクロ流体システム」)に記載されている。
【0080】
いくつかの実施形態では、(マイクロ)流体コンポーネントは、開放端の流体デバイスであるか、または流体コネクタは体積制御エレメントを含む。体積制御エレメントは、流体が(マイクロ)流体コンポーネントのチャネルの全部ではないが一部を満たすことを可能にすることができる。体積制御エレメントは、本明細書に記載のマイクロ流体デバイスまたはシステムへの導入のために、流体の特定の容積を計量するために使用することができる。一実施形態では、体積制御エレメントは、流体が特定の容積に達した後にチャネル内にさらなる流体が導入されるのを阻止するために、(マイクロ)流体コンポーネントのチャネル内に配置することができるフリットである。(マイクロ)流体コンポーネント内の流体(例えば、試料)の体積は、流体導入のための進入点(例えば、入口)とフリットとの間のチャネルの体積によって規定することができ、残りの体積は空気によって占められてもよい。
【0081】
別の実施形態では、体積制御エレメントは、流体がチャネルに導入されるべきポイントまでを示す1以上の計量マークを含む。さらに別の実施形態では、体積制御エレメントは、制御された内部体積のチャネルを含み、それらはすべて試料で満たされてもよい。したがって、これらの構成や他の構成によって、チャネル内の流体の体積は、ユーザによって制御されてもよい。
【0082】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるチャネルは、特定の平均断面寸法を有する。チャネルの「断面寸法」(例えば、直径)は、流体の流動方向に対して垂直に測定される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのチャネルの平均断面寸法は、約2mm以下、約1mm以下、約800ミクロン以下、約600ミクロン以下、約500ミクロン以下、約400ミクロン以下、または約300ミクロン以下である。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのチャネルの平均断面寸法は、約250ミクロン以上、約300ミクロン以上、約400ミクロン以上、約500ミクロン以上、約600ミクロン以上、約800ミクロン以上、または約1mm以上である。上記の範囲の組み合わせ(例えば、約250ミクロン〜約2mm、約400ミクロン〜約1mm、約300ミクロン〜約600ミクロン)も可能である。他の範囲も可能である。チャネルの寸法は、例えば、チャネル内の流体の特定の体積または直線流速を可能にし、および/またはチャネル内で特定の体積の流体が保持されるように選択されてもよい。当然のことながら、チャネルの数およびチャネルの形状は、当業者に知られている任意の方法によって変更し得る。場合によっては、2以上のチャネルまたはキャピラリーが使用されてもよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つのチャネルはある特定の長さを有する。いくつかの実施形態では、チャネルの長さは、少なくとも約1cm、少なくとも約2cm、少なくとも約5cm、または少なくとも約7cmである。特定の実施形態では、チャネルの長さは、約10cm以下、約7cm以下、約5cm以下、または約2cm以下である。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、1cm〜10cm)。他の範囲もまた可能である。
【0084】
チャネルは、任意の断面形状(円形、楕円形、三角形、不規則形、台形、正方形または長方形など)を有することができ、覆われていても覆れていなくてもよい。チャネルが完全に覆われている実施形態では、チャネルの少なくとも一部が完全に封入された断面を有していてもよい、またはチャネル全体が、その入口および出口を除き、その全長に沿って完全に封入されてもよい。チャネルはまた、少なくとも2:1、より典型的には少なくとも3:1、5:1または10:1またはそれ以上のアスペクト比(長さ:平均断面寸法)を有し得る。開放チャネルは、一般に、流体の輸送に対する制御を容易にする特性、例えば構造的特性(細長いくぼみ)および/または物理的または化学的特性(疎水性対親水性)または流体に対し力を発揮し得る他の特性(例えば、含有力(containing force))を含む。チャネル内の流体は、チャネルを部分的または完全に満たすことができる。開放チャネルが使用されるいくつかの場合では、流体は、例えば表面張力(例えば、凹又は凸のメニスカス)を用いてチャネル内に保持されてもよい。
【0085】
チャネルは、任意の適当な容積を有することができる。いくつかの実施形態では、チャネルの容積は、少なくとも0.1μL、少なくとも0.5μL、少なくとも1μL、少なくとも2μL、少なくとも5μL、少なくとも7μL、少なくとも10μL、少なくとも12μL、少なくとも15μL、少なくとも20μL、少なくとも30μL、または少なくとも50μLである。ある特定の実施形態では、チャネルの容積は、100μL以下、70μL以下、50μL以下、25μL以下、10μL以下または5μL以下である。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、1μL〜10μL)。他の範囲もまた可能である。
【0086】
ある特定の実施形態では、チャネルは、その中に試薬を含む(例えば、場合により、化学反応および/または生物反応のために)。試薬は、生物学的試料をチャネルに導入する前に、チャネル中に存在してもよい。試薬は、流体および/または乾燥形態で、1以上のチャネル表面および/またはチャネルの内部に堆積させることができる。堆積させた試薬は、任意の適当な方法でチャネルに付随させることができる。例えば、試薬を、流体コンポーネント内の表面(例えば、デバイスのチャネル内)に架橋、共有結合、イオン結合、吸収、吸着(物理吸着)または他の方法で存在させることができる。いくつかの実施形態では、試薬は、凍結乾燥試薬、実質的に乾燥した試薬、標識された試薬、コンディショニング試薬、pH調整剤、粘度調整剤、および/または界面活性剤である。ある特定の実施形態では、試薬は、化学的および/または生物学的反応(例えば、結合反応)のための試薬、色素または他の光学的に検出可能な物質、または小粒子である。チャネル表面に堆積させることができる試薬の非限定的な例としては、抗凝固剤(例えば、ヘパリン、ジピリダモール、EDTA)、緩衝剤、2−ブロモエストラジオール、タンパク質、小分子、および非標識および標識抗体等の抗体(例えば、金属粒子(例えば、ナノ金粒子)で標識された抗テストステロントレーサーモノクローナル抗体)が挙げられる。
【0087】
本明細書に記載されるように、本明細書に記載の方法および物品は、生物学的試料の採取に有用であり得る。ある特定の実施形態では、生物学的試料は生物学的流体を含む。生物学的流体の非限定的な例としては、血液、羊水、胆汁、母乳、脳脊髄液、胃酸、粘液、膿、唾液、尿、リンパ液などが挙げられる。ある特定の実施形態では、生物学的試料は、骨髄などの生物学的組織を含む。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、血清(すなわち、血液試料)を含む。
【0088】
例示的な実施形態では、皮膚の表面を第1のワイプおよび第2のワイプで拭き、流体コンポーネントを用いて、第1および第2のワイプで拭き取られた皮膚の位置を穿孔し、流体コンポーネントが生物学的試料と接触し、生物学的試料を(例えば、流体コンポーネントに接続されたおよび/または接続するように構成されたデバイス内に)抽出するようにして、生物学的試料を採取することができる。ある特定の実施形態では、本方法は、第1および第2のワイプで拭いた皮膚の位置を穿刺して皮膚のその位置の表面に血液の小滴を形成させ、血液の小滴に流体コンポーネントを接触させる工程を含む。ある特定の実施形態では、皮膚のその位置の表面上に形成された第1の血液の小滴を拭き取り(例えば、第3のワイプによって、または第1または第2のワイプのいずれかで)、皮膚のその位置の表面に形成された第2の血液の小滴を流体コンポーネントと接触させる。場合によっては、2以上の血液の小滴を形成させ、除去し(例えば、拭き取り)、第3、第4、および/または第5の血液の小滴を採取してもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、少なくとも第1のワイプおよび第2のワイプがキットとして提供される。ある特定の実施形態では、キットは、第1のワイプ、第2のワイプ、および生物学的試料を採取するための(マイクロ)流体コンポーネントを含む。(マイクロ)流体コンポーネントに加えて、またはその代わりに、いくつかの実施形態では、キットは、生体試料を分析するためのデバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)を含む。生物学的試料を採取および/または分析するためのコンポーネント/デバイスは、本明細書においてより詳細に記載される。
【0090】
いくつかの実施形態では、第1のワイプおよび/または第2のワイプは包装されている(たとえば、パッケージング材料に格納されている)。例えば、第1のワイプおよび/または第2のワイプは、パッケージ内に配置(disposed)されてもよいし、パッケージ内に収容(contained)されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のワイプは第1のパッケージ内に配置され、第2のワイプは第1のパッケージとは別に第2のパッケージ内に配置される。第1のパッケージおよび/または第2のパッケージは密封されていてもよい。他の実施形態では、第1および第2のワイプを単一のパッケージに一緒に格納してもよい。
【0091】
パッケージは、適切な材料を含んでなる。いくつかの実施形態では、パッケージは、液体に対して不透性の包装材料を含んでなる。例えば、いくつかの実施形態では、第1のワイプは、界面活性剤溶液に対して不透性である第1のパッケージ内に配置される。ある特定の実施形態では、第2のワイプは、消毒液に対して不透性である第2のパッケージ内に配置される。適当な包装材料の非限定的な例としては、箔パウチやポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンなどのポリマーが挙げられる。他の材料も可能である。いくつかの実施形態では、包装材料は、ワイプに吸収された流体がパッケージから実質的に出ないように選択される。
【0092】
いくつかの実施形態では、包装材料は、水蒸気透過性により特徴付けられてもよい。いくつかの実施形態では、包装材料の水蒸気透過性は、約0.5g/HO/100平方インチ/24時間以下、約0.1g/HO/100平方インチ/24時間以下、約0.05g/HO/100平方インチ/24時間以下、約0.01g/HO/100平方インチ/24時間以下、約0.005g/HO/100平方インチ/24時間以下、約0.001g/HO/100平方インチ/24時間以下、約0.0005g/HO/100平方インチ/24時間以下、または約0.0001g/HO/100平方インチ/24時間以下である。いくつかの実施形態では、包装材料は、少なくとも約0.000001g/HO/100平方インチ/24時間、少なくとも約0.00001g/HO/100平方インチ/24時間、少なくとも約0.0001g/HO/100平方インチ/24時間以内、または少なくとも約0.001g/HO/100平方インチ/24時間である。上記範囲の組み合わせも可能である。測定は、100F、相対湿度90%、RH(37.8℃、0%)にて標準ASTM D−1249に従って測定することができる。
【0093】
上記のように、本明細書に記載する方法は、例えば、少なくとも1つの臨床的因子/または他のデータに基づき、病気または症状を有すると診断された、有することが分かっている、その危険性があるまたは発症することが分かっている、あるいは有していることが疑われる患者について行うことができる。本明細書に記載する方法は、病気または症状を示すかまたはそれに関連する患者試料中の成分を定量化した結果に影響を及ぼし得る(例えば、ゆがめる)採取部位(例えば、皮膚の表面)の汚染物質を除去するのに有用である。
【0094】
いくつかの実施形態では、疾患または症状には、例えば、癌(例えば、前立腺癌)、ホルモン欠乏、または細菌またはウイルス感染が含まれる。したがって、本明細書に記載の方法は、前立腺癌と診断された、前立腺癌であるとわかっている、前立腺癌の危険性があるまたは発症することが分かっている、あるいは前立腺癌を有することが疑われる患者について実施することができる。試料中の前立腺特異抗原(例えば、フリーの前立腺特異抗原、インタクトな前立腺特異抗原、全前立腺特異抗原および/またはヒトカリクレイン2など)の量を決定するために、生物学的試料を得ることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの臨床因子は患者の年齢である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの臨床因子は、患者に対して行われた直腸内触診の結果を示すパラメータである。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つの臨床因子は以下から選択される、これまで患者に対し実施された前立腺組織生検の数;これまで患者に対し実施された前立腺組織生検の結果;非侵襲性前立腺癌の最初の診断以降のなんらかのネガティブな生検の発生;血液試料の採取前1年以内のネガティブな生検の発生;非侵襲性前立腺癌の最初の診断以降の生検の総数;以前の生検での前立腺体積;以前の生検での陽性コア数;以前の生検で陽性コアの%;生検コアセクションにおける癌の断面積;生検コアセクションにおける癌の最大断面積;PSA密度;患者の人種;前立腺癌の家族歴;以前の生検からの陽性コアの最大%;および以前の生検からの陽性コアの最大数。他の臨床因子も可能である。
【0095】
いくつかの実施形態では、拭き取りおよび試料採取工程を実施した後、生物学的試料中に存在するPSA(例えば、fPSA、tPSA、iPSAおよび/またはhK2)の量を測定することができる。本明細書に記載するPSA(例えば、fPSA、tPSA、iPSAおよび/またはhK2)の量は、Roche ElecsysTM 全PSAアッセイを使用して定量的に決定される。いくつかの実施形態では、SangiaTM tPSAアッセイ、AuoDELFIA ProSTATUSTM アッセイ、ELISA、または他の任意の適当なアッセイが実施され得る。いくつかの実施形態では、本明細書の一部を構成する、米国公開第2013/0273643号(出願日:2013年3月5日、「前立腺癌および前立腺腺体積のリスクを予測するための方法および装置」)に記載されているアッセイを実施してもよい。
【0096】
本明細書に記載の物品、コンポーネント、システム、および方法は、それぞれ本明細書の一部を構成する、
「アッセイ装置および方法」と題する国際公開第2005/066613号(PCT/US2004/043585、出願日:2004年12月20日);
「流体送達のシステムおよび方法」と題する国際公開第2005/072858号(PCT/US2005/003514、出願日:2005年1月26日);
「蛇行する幅の広いチャネルを備える流体構造」と題する国際公開第2006/113727号(PCT/US06/14583、出願日:2006年4月19日);
「流体コネクタおよびマイクロ流体システム」と題する2012年6月19日に発行された米国特許第8,202,492号明細書(出願日:2008年5月1日)[C1256.70000US01];
「統合検定のための液体格納」と題する米国特許出願公開第2009/0075390号明細書(出願日:2008年8月22日);
「マイクロ流体システムにおけるフロー制御」と題する2012年7月17日に発行された米国特許第8,222,049号明細書(出願日:2008年4月25日);
「マイクロ流体デバイスとの光相互作用を制御するための構造」と題する2012年7月17日に発行された米国特許第8,221,700号明細書(出願日:2010年2月2日);
「マイクロ流体システムにおける試薬保存および関連する物品および方法」と題する米国特許出願公開第2010/0158756号明細書(出願日:2009年12月17日);
「マイクロ流体システムにおける流体混合および輸送」と題する米国特許出願公開第2011/0120562号明細書(出願日:2010年11月24日);
「マイクロ流体システム内でのフィードバック制御」と題する米国特許出願公開第2011/0253224号明細書(出願日:2011年4月15日);
「試料の分析のためのシステムおよびデバイス」と題する米国特許出願公開第2011/0256551号明細書(出願日:2011年4月15日);
「流体システムにおける流体の混合」と題する米国特許出願公開第2014/0272935号明細書(出願日:2014年2月7日);
「前立腺癌のリスク及び前立腺容積を予測する方法及び装置」と題する米国特許出願公開第2013/0273643号明細書(出願日:2013年3月5日)
に記載の方法と組み合わせてもよい。
【実施例】
【0097】
以下の実施例は、本発明の特定の態様を含む、本明細書に記載される特定の実施形態を説明することを意図しているが、本発明の全範囲を例示するものではない。
【0098】
実施例1
本実施例では、患者の静脈試料と比較して指先穿刺試料について予想より高いtPSA値(すなわち外れ値または「フライヤー(fliers)」)が測定されることが示される。
指先穿刺血液試料を患者から得、本明細書の一部を構成する、米国特許出願公開第2011/0256551号(出願日2011年4月15日「試料の分析のためのシステムおよび装置」(例えば、図22および実施例1参照)および国際特許公開第WO2005/066613号(国際特許出願第PCT/US2004/043585号、出願日2004年12月20日「分析装置および方法」)に記載されているものと同様のSangiaTM tPSAカセットで試験した。
SangiaTM tPSAカセットのマイクロ流体システムを使用した結果を静脈血試料と比較した。遠沈して得た血漿を、参照方法Roche Elecsysの全PSAアッセイで測定した。
いくつかの例では、指先穿刺での測定結果と静脈穿刺から測定したtPSA結果との間に差異が認められた。全部で257人の患者について、tPSAの値を表1に示す。各患者について複数の指先穿刺試験(6〜12)を行った。
257人の患者のうちの5人は、参照結果に合致する基準アッセイでの静脈穿刺測定および他の指先穿刺での値と比較して、SangiaTM tPSAキットでの指先穿刺測定値のサブセットからのtPSAがより高い測定値(「フライヤー」)を示した。
【表1】
これらの5人の患者は、Table 2に示すように、「フライヤー」について試験するために複数回戻された。3ヶ月の期間中、5人の患者のいずれもさらなる「フライヤー」は検出されなかった。全来院数をあわせると、合計257人の患者のうち5人の「フライング(flying)」の確率は6%であった。本明細書で使用される「フライング」(または「フライヤー」)とは、(本明細書に記載のSangiaTM tPSAカセットによって測定される)PSAが1ng/mLより大きく、同じ来院時に採取した同患者の指先穿刺でのPSAの濃度が、その患者の静脈全血のRoche ElecsysTM全PSAアッセイで測定された全PSAの濃度の2倍以上である患者を意味する。「フライヤー」とは、一般に、指先穿刺によって得られた試料によって測定された全PSAが、静脈全血試料によって測定された全PSAと有意に異なる外れ値をいう。
【0099】
実施例2
本実施例は、指先穿刺および静脈試料との間のPSA回収における潜在的な変動原因の決定を示す。
指先穿刺および静脈試料はいずれも、実施例1に記載したうように、SangiaTM tPSAにて測定した。SangiaTM tPSA指先穿刺試験と参照法との間に相違がある患者については、同じ患者の静脈穿刺から得たEDTA全血試料を用いてSangiaTM tPSA試験も行った。SangiaTM tPSAアッセイで試験した静脈の結果は、参照法で試験した静脈の結果と一致した。これらの結果は、相違の原因が、全血の循環成分とアッセイ自体との間の干渉ではなく、指での血液採取に関連していることを実証した。
患者のサブセット(37の患者の通院)において、指先穿刺試料を採取し、複数のプラットフォームで試験した。指先穿刺試料を採取し、SangiaTM tPSAアッセイで試験した。追加の指先穿刺試料を採取し、希釈し、遠沈し、所内ELISA、Roche-ElecsysTM tPSA、およびAuoDELFIA ProSTATUSTM全および遊離PSAアッセイで試験した。さらに、静脈EDTA試料を採取し、各システムで試験した。指先穿刺試料については、片方の手を石けんと水とベビーワイプ(Seventh Generation, Free & Clear Baby Wipes)で徹底的に洗浄した。他方の手は、ベビーワイプで洗浄しなかった(これらを「汚れた」指とした)。各指先穿刺(「汚れた」および「清潔な」)の前に、標準的なアルコールワイプで指を拭いた。
【0100】
合計34人の患者が、静脈血と指先穿刺血液との間で一定のPSA回収を示した。患者77-15については以下のTable 3を参照のこと。1人の患者は、静脈血と指先穿刺血液との間で矛盾するPSA回復を示した(患者112-11については以下のTable 4参照)。
Table 3は、以前に(一度)指先穿刺と静脈EDTAの結果との間に変動が示されたが、今回の訪問では変動がみられなかった患者の結果を示す。図からわかるように、どのプラットフォームでも指先穿刺と静脈の結果には差異はなく、「汚れた」指と「清潔な」指の間にも差異はなかった。
【表2】
Table 4は、指先穿刺と静脈EDTAの結果の間に結果の変動があり、今回の通院で再度変動を示した患者(#112)の結果を示す。図からわかるように、各プラットフォームで指先穿刺と静脈試料との間の差を測定した。このデータは、指先穿刺における一貫性のないPSA回収の原因がプラットフォームに依存しないことを実証している。また、清潔な指と汚れた指の間には測定可能な差があり、何らかの洗浄によって汚染が潜在的に除去される可能性が示された。最終的に、指先穿刺からの遊離PSA対全PSAの比は、静脈試料の0.3:1に対し、0.8:1であった。これは、(指先穿刺試料由来の)汚染物質が遊離PSAとホモローガスである可能性があることを示している。理論にとらわれるものではないが、PSAは静脈血(典型的には複合体化したPSAの形態)および精液(典型的には遊離PSAの形態)においてのみ内在的に見出すことができるので、患者の指にはPSAのこれらの形態うちの1つが存在していたと考えられる。しかし、指先穿刺から得られた0.8:1の遊離PSA対全PSAの比(例えば、0.3:1の比を有する静脈血試料由来の遊離PSAと比較して相対的に多量の遊離PSA)は、汚染物質が主に遊離PSA(精液中に見出される)から構成されていることを示唆している。
【表3】
【0101】
汚染物質が指表面にあることを確認するために、以下の工程を用いることにより、ある技術を測定に使用した:
1.患者が診療所に到着した時点で、手洗いをせずに指を試験した。
2.PBSB1緩衝液(1%ウシ血清アルブミンを含むリン酸緩衝生理食塩水)25μLをピペットで指に滴下した。緩衝液の滴を合計20秒間指に残させた。最初の10秒後、それをピペットの中に5回出し入れして混合した。
3.液滴を指から取り、200μLのPBSB1バッファーに希釈し、AutoDELFIA ProStatus PSAフリー/トータルキットで測定した(「汚れた指」)。希釈を考慮して緩衝液滴の濃度を計算した。
4.これを6本の指に対して繰り返した。
5.手を石鹸と温水を用いて洗浄した。
6.6本の指について緩衝液滴の適用、混合、および除去を繰り返し、液滴を希釈し、AutoDELFIA ProStatus PSAフリー/トータルキットで測定した(「清潔な指」)。
Table 5に見られるように、指先穿刺から予想されるよりも高いtPSA測定値を示す患者(#112)(「フライヤー」)について、測定可能な量の汚染物質が指から検出された。この汚染物質は、ほぼすべて遊離PSA(または遊離PSAとホモローガス)であった。汚染物質の濃度は、石鹸と水で洗浄することによって減少したが、排除されなかった。
【表4】
これらの試験から、指先穿刺と静脈試験との間の変動の原因は、特定のアッセイの欠陥に起因するものではなく、遊離PSAのような指上の汚染物質によるものであるようである。アルコールワイプは、この汚染物質を取り除くには不十分であった。市販のベビーワイプもこの汚染物質を除去するのに十分ではなかった。汚染物質の濃度は、石鹸と温水で洗浄することによって減らすことができる。
【0102】
実施例3
本実施例では、指から汚染物質を除去するための様々なワイプを試験する。これらは、さらなるアルコールパッド、接着剤除去剤、キャスティールソープ、ポビドンヨード、クロルヘキシジン、5%(wt:vol)SDS、5%尿素、および塩化ベンザルコニウム(BZK)を含んでいた。これらは、商業的に入手可能なワイプ(医療用)と、市販品が入手できないときは自家処方したワイプを用いた。
各ワイプの試験は、以下の工程から構成される:
1.遊離PSAを含有する溶液を指に適用し、乾燥させた。
2.選択した試験品(例えば、第1のワイプ)で指を拭いた。
3.標準的なアルコールパッド(例えば、第2のワイプ)で指を再び拭いた。
4.PBSB1緩衝液25μLをピペットで指に滴下した。緩衝液の液滴を指に20秒間残したままにした。最初の10秒後、液滴をピペットの中に5回出し入れして混合した。
5.液滴を指から取り、200μLのPBSB1バッファーに希釈し、AutoDELFIA ProStatus PSAフリー/トータルキットで測定した。希釈を考慮して緩衝液滴の濃度を計算した。
結果をTable 6に示す。
【表5】
このモデルシステムは、アルコールパッド使用前のワイプの使用により、検出されたPSAが約100倍減少することを示している。
【0103】
実施例4
本実施例では、採血前に指を拭く手順を示す。
実施例1に記載したように、各ワイプを試験し、SangiaTM tPSAアッセイのための採血に影響を及ぼすかどうかを調べた。
第1のセットの試験では、石鹸と水で手を洗浄した。次いで、選択された試験製品で指を拭いた。次いで、SangiaTM SOP指先穿刺手順に従い、血液の小滴を回収し、これをSangiaTM tPSAアッセイを用いて試験した。指先穿刺を行って血液の小滴を作り出した。最初の2滴を拭き取り、3滴目を作成した。この小滴を、米国特許第8,932,523号(2015年1月13日発行、「試料の分析のためのシステムおよび装置」)に記載されるとおり、SangiaTM tPSAキットに含まれる血液コレクターを用いて回収し、Claros 1分析装置でSangiaTM tPSAアッセイについて試験した。
SDSを吸収させたワイプの場合:SDSのワイプで拭き取り後にできた血液の小滴は、流体デバイス(血液コレクター)を用いて回収することが困難であった。洗浄剤によって、(採取容易な液滴形状を維持する代わりに)指の表面上に親水性の層が残り血液の小滴が広がった。
ポビドンヨードを吸収させたワイプの場合:ポビドンヨードのワイプで拭き取り後にできた血液の小滴は、回収が容易であった。この手順では、指先に茶色の色が残り、アルコール、または石鹸と水で簡単に取り除くことができた。
キャスティールソープを吸収させたワイプの場合:SDSと同様、カスティール石けんのワイプで拭き取り後にできた血液の小滴が指の上に拡がったため回収が困難であった。
クロルヘキシジンを吸収させたワイプの場合:この手順では、空気乾燥させるのに比較的長い時間を要したフィルムが残った。SDSやキャスティールソープと同様、血液の小滴が広がったが程度は低かった。
塩化ベンザルコニウム(BZK)を吸収させたワイプの場合:BZKのワイプで拭き取り後にできた血液の小滴は、回収が容易であった。
5%尿素を吸収させたワイプの場合:5%尿素のワイプで拭き取り後にできた血液の小滴は、多少の拡がりを示したが回収可能であった。
【0104】
第2のセットの試験では、石鹸と水で手を洗浄した。次いで、選択された試験製品(第1のワイプ)で指を拭いた。標準のアルコールパッド(第2のワイプ)で指を再び拭いた。SangiaTM SOP指先穿刺手順に従い、血液の小滴を採取し、これをSangiaTM tPSAアッセイを用いて試験した。
2回目の拭き取りをアルコールパッドを用いて行うことで、SDSで拭いた指から血液の小滴が回収困難であったのが解消された。2回目の拭き取りをアルコールパッドを用いて行うことで、ポビドンヨードワイプの色が除去された。2回目の拭き取りをアルコールパッドを用いて行うことで、キャスティールソープ、BZK、クロルヘキシジン、および5%尿素で予め拭いた指からの血液の小滴が回収困難であったのが解消された。
【0105】
実施例5
本実施例では、様々なワイプによる遊離PSA除去の結果を示す。
実施例1に記載したとおり、SangiaTM tPSAアッセイを用いて各ワイプを試験した。
4本の指それぞれについて、各ワイプの試験は、以下の工程から構成された:
1.精液(遊離PSAを含む)を指に塗布し、5分間乾燥させた後、石鹸と水で洗浄した。
2.30〜90分後、石鹸と水で手を再び洗浄した。
3.標準のアルコールパッドで指を拭いた。
4.SangiaTM SOP指先穿刺手順を行って、血液の小滴を回収し、これをSangiaTM tPSAアッセイを用いて試験した。
5.選択された試験製品で指を拭いた。
6.指を標準的なアルコールパッドで再び拭いた。
7.SangiaTM SOP指先穿刺手順を行って、血液の小滴を回収し、これをSangiaTM tPSAアッセイを用いて試験した。
8.静脈穿刺によりEDTA全血試料を採取し、参照アッセイを用いて試験した。
各種ワイプについて測定されたtPSA値の結果をTable 7および図2に示す。
【表6】
SDSワイプは、測定されたtPSAが静脈穿刺で測定されたtPSA(EDTA全血の値参照)の範囲内に入っており、指で測定されたPSAの最良の減少を示した。
SDSは石鹸であるため、データには比較としてキャスティールソープを含めた。汚染物質はタンパク質(遊離のPSAまたは遊離のPSAとホモローガスである)であると考えられている。理論にとらわれるものではないが、界面活性剤はタンパク質を可溶化および変性することができ、5%SDSは強力な界面活性剤であるため、SDSは指で測定されたPSAを減少させることができる。キャスティールソープは弱い界面活性剤であり、したがって、汚染物質の一部を可溶化するが、それを除去または変性しないので、拭き取り工程後のシグナルが増大する。ポビドンヨードは単に汚染物質を濡らして血液の小滴と混合しやすくするだけである。
【0106】
実施例6
本実施例では、ワイプのための様々な材料の使用を示す。
拭き取りには機械的洗浄と同時に化学的洗浄が関与するため、SDSでの使用に粗いガーゼパッドを選択した。このカスタムワイプは、2インチ×1インチのワイプ(市販のガーゼ)を半分に折り畳んだ1インチ×1インチのワイプを用いて、水中5%SDSの溶液を含ませた。
SDSは、一般的に、ガーゼを施用中に発泡する。泡が多いと、アルコールワイプでは十分に除去されないことがある。ガーゼパッドに加えるSDS溶液の適切な量を選択するために、ガーゼパッドと5種類の体積のSDSを含む複数のホイルパウチを調製した。異なる5人の実験者が、5種類の調製物をそれぞれ患者の2本の指(合計10の指)について試験し、どのパッドが指の穿刺領域をカバーするのに十分な界面活性剤を有し、且つアルコールワイプで容易に拭き取られるかを調べた。合計5人の患者を試験した。
選択した構成は、Fisherbrand非滅菌コットンガーゼスポンジ(カタログNo. 22-362-178)であり、300μLの5%SDS溶液中で1インチ×1インチのサイズに切断した。
【0107】
実施例7
本実施例では、指先穿刺の前に遊離PSAを除去するための界面活性剤含有ワイプ(第1のワイプ)とそれに続く消毒剤含有ワイプ(第2のワイプ)の使用を示す。2人の別個の実験者が試験を行った。遊離PSAを含有する溶液を指に適用し、乾燥させた。石鹸と水で手を洗浄した。4本の指の採取箇所4つを標準アルコールパッドで拭いた。実施例1に記載したとおりに、SangiaTM SOP指先穿刺手順に従って、血液の小滴を回収し、これをSangiaTM tPSAアッセイを用いて試験した。
次いで、同じ4つの回収部位を、界面活性剤ワイプ(第1のワイプ)、続いてアルコールパッド(第2のワイプ)で拭いた。SangiaTM SOP指先穿刺手順を再度行い、血液の小滴を回収し、これをSangiaTM tPSAアッセイを用いて試験した。SangiaTM tPSAアッセイで測定した静脈血を参照として使用した。界面活性剤ワイプの使用前後の両方について、指先穿刺結果対基準のバイアスを計算した。
図3は、静脈血におけるSangiaTM tPSA回収量に対する回収バイアスを示す。界面活性剤ワイプなしの場合の平均バイアス(指先穿刺対静脈全血)は、界面活性剤ワイプの使用で22%であったのに対し、168%であった。
【0108】
何人かの患者が指先穿刺のために診療所に呼ばれ、以下の検査を受けた。
手を石鹸と水で洗った。2本の指を選択した。それぞれをアルコールパッドで拭き取り、SangiaTM SOP指先穿刺手順を用いて試験して、血液滴を得、Claros1アナライザーでSangiaTM tPSAアッセイを用いて試験した。いずれかの結果(静脈穿刺からのEDTA全血の試験によって測定された結果が、他の指と比べて、またはその患者の以前の結果と比べて高かった場合、「ハイ・フライヤー」)が高いとみなされた場合、さらに2本の指を選択して試験した。各指を界面活性剤ワイプで拭き取り後、アルコールワイプで拭き取り、次に実施例4に記載したように、SangiaTM SOP指先穿刺手順と試験を行った。
本実施例で使用したワイプは、実施例6のカスタムワイプと比較して指からPSAを除去する能力が同等または低い、5%SDSを含む滑らかな仕上げ用ワイプを基にした。
合計91人の患者を試験し、3人の患者(そのうち1人は患者112であった)が不一致の結果を示した。結果をTable 8に示す。
界面活性剤ワイプによって、不一致は解消された。Table 9に示されるように、界面活性剤ワイプによって、SangiaTM tPSAアッセイで以前に試験した全患者のうち極端に外れた値(汚染に関して)であると考えられる患者112からのフライヤーの全部ではないが一部が解消された。
【表7】

【表8】
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を本明細書に記載し説明してきたが、当業者であれば、本明細書に記載された機能を実行し、および/または結果および/または1以上の利点を得るためのさまざまな他の手段および/または構造を容易に想定するであろうし、そのような変形および/または修正はそれぞれ、本発明の範囲内である。より一般的には、当業者は、本明細書に記載される全てのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示的であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料および/または構成は、本発明の教示が用いられる具体的な適用に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載された本発明の特定の実施形態の多くの等価物を認識するか、あるいは慣用の実験だけで確認することができるであろう。従って、上記の実施形態は単なる例示であり、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で、具体的に記載したおよび請求項に記載された以外の方法で本発明を実施することができることは理解されよう。本発明は、本明細書に記載の個々の特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法を対象とする。さらに、そのような特徴、システム、物品、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、そのような特徴、システム、物品、キットおよび/または方法の2つ以上の任意の組み合わせは本発明の範囲内である。
【0110】
本明細書および特許請求の範囲において使用される不定冠詞「a」および「an」は、特に指定しない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解される。
【0111】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「および/または」という語は、そのように結合された要素の「一方または両方」、すなわち、ある場合には結合的に存在し、他の場合では選言的に存在する要素を意味する。特に指定しない限り、具体的に特定された要素に関連するかどうかにかかわらず、「および/または」なる語によって具体的に特定される要素以外の他の要素が任意に存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」は、「含む」などのオープンな文言と併せて用いられる場合、一実施形態では、BなしのA(場合によりB以外の要素を含む);別の実施形態では、AなしのB(場合によりA以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(場合により他の要素を含む)を意味する。
【0112】
本明細書および特許請求の範囲において用いられる「または」は、上で定義した「および/または」と同じ意味を有すると理解すべきである。例えば、リスト中の項目が分離される場合、「または」または「および/または」は包括的、すなわち列挙したうちの少なくとも1つ、あるいはその2以上を含み、場合により列挙されていないものも包含する、と解釈される。「1つのみ」または「厳密に1つ」のように、逆に明示された用語または特許請求の範囲において用いられる「〜からなる」という用語のみが、列挙されたうちの厳密に1つの要素を包含することを意味する。一般的に、本明細書で使用される「または」という用語は、「〜のいずれか」、「〜の1つ」、「〜の1つのみ」、「〜1つ」、「〜のちょうど1つ」などの排他的な語が先行する場合にのみ、選択肢を排除することを示す(即ち「〜のどちらか一方または他方であって両方でない」)と解釈される。特許請求の範囲で使用される場合、「本質的に〜からなる」とは、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0113】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、1つまたは複数の要素のリストを参照して、「少なくとも1つの」なる語は、1つまたは複数の要素のリストのいずれか1つまたは複数の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味し、必ずしも要素のリスト内には具体的に列挙された各要素の少なくとも1つを含んでいる必要はなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外しないと理解される。この定義はまた、特定された要素に関連するものであろうと無関係なものであるかにかかわらず、「少なくとも1つの」という語が指し示す要素のリスト内で具体的に特定される要素以外の要素が任意に存在することも許容する。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または同等に「AまたはBの少なくとも1つ」または同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つ、場合により2以上の、Bが存在しない(場合によりB以外の要素を含む)A;別の実施形態では、少なくとも1つ、場合により2以上の、Aが存在しない(場合によりA以外の要素を含む)B;さらに別の実施形態では、少なくとも1つ場合により2以上のAおよび少なくとも1つ場合により2以上のB(場合により他の要素を含む)、などを意味し得る。
【0114】
特許請求の範囲、ならびに上記明細書において、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「保有する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「関与する(involving)」、「保持する(holding)」等の全ての移行句は、非限定的、すなわち、包含するがこれらに限定されないことを意味すると理解される。「からなる」および「本質的にからなる」という移行句のみが、米国特許商標庁の特許審査便覧のSection 2111.03に記載されているように、それぞれ制限的移行句(closed transitional phrases)または半制限的移行句(semi−closed transitional phrases)である。
【0115】
例えば、1つまたは複数の物品、構造物、力、領域、流れ、方向/軌跡、および/またはそれらのサブコンポーネントおよび/またはそれらの組み合わせの形状、向き、整列、および/またはそれらの間での幾何学的関係に関連する本明細書で用いられる任意の用語、および/またはそのような用語により特徴づけることができない上記以外の有形または無形の要素は、特に定義または指定されない限り、そのような用語の数学的定義への絶対的な適合を必要としないと理解され、むしろ、そのような主題に最も密接に関連する当業者が理解するように特徴付けられた主題について可能な程度まで、そのような用語の数学的定義への適合を示すと理解されるべきである。形状、方向、および/または幾何学的関係に関連するこのような用語の例としては、以下を記述する用語に限定されない:形状(円、正方形、円の/円、四角形の/四角、三角形の/三角、円柱の/円柱、楕円の/楕円、(n)多角形の/(n)多角形等)、角度の向き(直交、直交、平行、垂直、水平、同一線上など)、輪郭および/または軌跡(平面/平面の、同一平面上の、半球の、直線/直線の、双曲線の、放物線の、平面、曲線、直線、弓形、正弦曲線、接線/接線のなど)、方角(北、南、東、西など)、表面および/またはバルク材料特性および/または空間/時間分解能および/または分布(滑らか、反射する、透過性の、透明、不透明、剛体、不浸透性の、均一(均一な)、不活性の、非湿潤性の、不溶性の、安定した(steady)、不変の、一定の、均質の、など)、ならびに当業者には明らかである多くの他のものが挙げられる。一例として、本明細書において「正方形」であると記載される加工品は、完全に平面または直線であり、正確に90度の角度で交差する面または側面を有するような物品(実際、そのようなものは数学的抽象的概念としてしか存在し得ない)であることを必要とせず、むしろ、そのような物品の形状は、当業者に理解されるようにまたは具体的に記載されるように、記載された製造技術に関して典型的に達成可能であり達成される程度に、数学的に定義される「正方形」に近似するものとして解釈される。別の例として、本明細書で「整列」されていると記載される2つ以上の加工品は、完全に整列された面または側面を有するような物品(実際、そのような物品は数学的抽象的概念としてしか存在し得ない)であることを必要とせず、むしろ、そのような物品の配置は、当業者に理解されるようにまたは具体的に記載されるように、記載された製造技術に関して典型的に達成可能であり達成される程度に、数学的に定義される「整列」に近似するものとして解釈される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3