特許第6989520号(P6989520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ワットバイク アイピー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6989520-定置式エルゴメトリック運動装置 図000007
  • 特許6989520-定置式エルゴメトリック運動装置 図000008
  • 特許6989520-定置式エルゴメトリック運動装置 図000009
  • 特許6989520-定置式エルゴメトリック運動装置 図000010
  • 特許6989520-定置式エルゴメトリック運動装置 図000011
  • 特許6989520-定置式エルゴメトリック運動装置 図000012
  • 特許6989520-定置式エルゴメトリック運動装置 図000013
  • 特許6989520-定置式エルゴメトリック運動装置 図000014
  • 特許6989520-定置式エルゴメトリック運動装置 図000015
  • 特許6989520-定置式エルゴメトリック運動装置 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989520
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】定置式エルゴメトリック運動装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 22/06 20060101AFI20211220BHJP
   A63B 21/005 20060101ALI20211220BHJP
   A63B 24/00 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   A63B22/06 H
   A63B21/005
   A63B24/00
【請求項の数】26
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-555312(P2018-555312)
(86)(22)【出願日】2017年1月11日
(65)【公表番号】特表2019-501002(P2019-501002A)
(43)【公表日】2019年1月17日
(86)【国際出願番号】GB2017050062
(87)【国際公開番号】WO2017122007
(87)【国際公開日】20170720
【審査請求日】2019年12月12日
(31)【優先権主張番号】1600466.5
(32)【優先日】2016年1月11日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517385449
【氏名又は名称】ワットバイク アイピー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Wattbike IP Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】バカノヴィック, ミラン
【審査官】 石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−538640(JP,A)
【文献】 特表2010−536508(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3009143(JP,U)
【文献】 実開平07−009363(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0035726(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0103030(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A63B 1/00−26/00
A63B 69/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定置式エルゴメトリック運動装置であって、
ペダルクランクを介して駆動ホイールの両側に取り付けられた足駆動ペダルの形態の交互に作動可能な駆動要素を含む足踏み式駆動装置と、
ギヤ機構を介して前記駆動ホイールに連結されたフライホイールであって、前記フライホイールは磁気リムを含む、フライホイールと、
1つ以上の永久磁石によって前記フライホイールに加えられる制動力を選択的に調整するように、モータによって前記フライホイールの前記磁気リムに向かって、及び前記磁気リムから離れて移動するために取り付けられた前記1つ以上の永久磁石の形態の制動装置と、
使用時に、前記駆動装置を介して加えられる駆動力及びそれに関連するトルクのうちの少なくとも1つを測定する測定ユニットと、
使用時に、ケイデンスを測定するための測定装置と、
前記測定ユニット、前記測定装置、及び前記制動装置の前記モータに接続されたコマンドモジュールと、
前記コマンドモジュールに接続され、かつコマンド信号を受信し、それらのコマンド信号を前記コマンドモジュールに送信するように構成され、かつ前記コマンドモジュールから受信した使用者のパフォーマンスを報告するフィードバック信号を送信するように構成された、通信モジュールと、を備え、
前記コマンドモジュールは、前記通信モジュールから前記コマンド信号の形態でパフォーマンス特性データを受信すると、所定のパフォーマンスプロファイルを計算するように構成され、
前記コマンドモジュールは、前記測定ユニット及び前記測定装置から測定値を受信し、これらの測定値を使用して使用者の動力出力を計算し、前記使用者の動力出力を前記所定のパフォーマンスプロファイルと比較して前記使用者の前記測定されたケイデンスで必要とされる前記動力出力を決定し、前記1つ以上の永久磁石によって加えられる前記制動力を調整するために、前記モータを制御して前記1つ以上の永久磁石を前記フライホイールの前記磁気リムに対して移動させ、それにより前記測定ユニット及び前記測定装置から受信した前記測定値を微調して、前記コマンドモジュールによって計算された、前記使用者の前記測定されたケイデンスでの動力出力を、前記所定のパフォーマンスプロファイルに適合するように調整するように構成されている、定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項2】
前記測定ユニットは、使用時に、前記駆動装置を介して加えられる前記駆動力及びそれに関連する前記トルクのうちの少なくとも1つを連続的に測定するように構成されている、請求項1に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項3】
前記測定ユニットは、使用時に、前記駆動装置を介して加えられる前記駆動力及びそれに関連する前記トルクのうちの少なくとも1つを、毎秒少なくとも100回の速度で測定するように構成されている、請求項2に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項4】
前記コマンドモジュールは、動力=力×速度の関係に基づいて、かつ前記測定装置によって測定された前記ケイデンスに基づいて計算された速度及び前記ペダルクランクの1回転あたりのプリセットされた走行距離に基づいて、前記ペダルクランクの1回転につき1回、使用者の出力動力を計算するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項5】
前記コマンドモジュールは、使用時に、より高いギヤの選択の際に前記フライホイールに加えられる前記制動力を増加させ、その逆も同様に行われ、かつ前記ペダルクランクの1回転当たりのプリセットされた走行距離を、最低ギヤから最高ギヤまでの各ギヤで徐々に増加させ、その逆も同様に行われるように、一連のプリセットギヤをシミュレートするように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項6】
ハンドルバーに設けられ、かつ前記ギヤを上下させるように前記通信モジュールにコマンド信号を送信するように構成されたボタンをさらに含む、請求項5に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項7】
前記パフォーマンス特性データは、サイクリング面の傾斜角、自転車タイヤとサイクリング面との間の転がり抵抗、サイクリストの質量、自転車の質量、ギヤの選択、及びサイクリストの動力出力からなる群から選択される1つ以上の静的サイクリングパラメータに関する情報を含む、請求項1に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項8】
前記パフォーマンス特性データは、風速の変化によって生み出される空気抵抗、高度の変化によって生み出される空気抵抗、ファンの使用によって生み出される空気抵抗からなる群から選択される1つ以上の動的サイクリングパラメータに関する情報を含む、請求項1または請求項7に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項9】
前記コマンドモジュールは、前記測定装置から受信した測定値を使用して前記フライホイールの回転速度を計算するように構成され、かつまた、前記計算された速度に応答して前記所定のパフォーマンスプロファイルを調整して、前記速度の影響を前記1つ以上の動的サイクリングパラメータに反映させるように構成されている、請求項8に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項10】
前記通信モジュールは、有線接続を介して、コマンド信号を受信し、かつフィードバック信号を送信するように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項11】
前記通信モジュールは、無線通信プロトコルを介して、コマンド信号を受信し、かつフィードバック信号を送信するように構成された無線機を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項12】
前記コマンドモジュールは、特定のサイクリングルートの特性に係るコマンド信号を受信すると、前記所定のパフォーマンスプロファイルを計算するように構成されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項13】
前記制動装置は、前記1つ以上の永久磁石を受け入れるためのヨーク要素を含み、前記ヨーク要素は、前記フライホイールの前記磁気リムに対する前記1つ以上の永久磁石の移動を駆動するために前記モータに接続されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項14】
前記フライホイールは、回転のために共通の車軸に取り付けられた一対のホイール要素を含み、前記ホイール要素の各々は磁気リムを含み、前記制動装置は2組の永久磁石を含み、前記永久磁石の組の各々は、前記ホイール要素のそれぞれ1つの前記磁気リムに向かって、及び前記磁気リムから離れて前記永久磁石の組の他方と一緒に移動するために取り付けられる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項15】
前記測定ユニットは、使用時に、前記駆動装置を介して加えられる前記駆動力を測定し、かつ前記ギヤ機構のチェーンに適用されるアームを含み、前記アームは、前記チェーンの側部をわずかに押圧し、前記測定ユニットは、牽引機構によって前記アームに加えられる復元力を測定するための測定センサをさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項16】
前記コマンドモジュールは、前記測定ユニットから受信した前記測定値に基づく、前記駆動力及び/または関連するトルクの時間的進捗、ならびにそれから導出可能な変数を計算し、前記通信モジュールへの前記フィードバック信号の形態でそれらを連続的に出力するように構成されている、請求項1〜15のいずれか1項に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項17】
ケイデンスを測定するための前記測定装置は、前記駆動ホイールに取り付けられた一対のセンサ片と、前記駆動ホイールに対して静止位置に位置決めされた少なくとも1つのセンサと、を含み、前記センサ片は、前記駆動装置の作動時に前記少なくとも1つのセンサに対して前記駆動ホイールと共に移動可能であり、それにより前記センサ片の各々は、前記駆動ホイールが2つの特定の角度位置のうちの1つに位置するときに前記センサを通過することを検出され、前記センサ片の各々が前記センサを通過することを検出されるときの前記駆動ホイールの前記2つの特定の角度位置は180°離れており、かつ前記交互に作動可能な駆動要素間の負荷交代の動作位置に対応する、請求項16に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項18】
ケイデンスを測定するための前記測定装置は、前記駆動ホイールに対して静止位置に位置決めされた一対のセンサと、前記駆動ホイールに取り付けられた少なくとも1つのセンサ片と、を含み、前記少なくとも1つのセンサ片は、前記駆動装置の作動時に前記センサに対して前記駆動ホイールと共に移動可能であり、それにより前記センサの各々は、前記駆動ホイールが2つの特定の角度位置のうちの1つに位置するときに通過する前記センサ片を検出し、前記センサの各々が前記通過するセンサ片を検出するときの前記駆動ホイールの前記2つの特定の角度位置は180°離れており、かつ前記交互に作動可能な駆動要素間の負荷交代の動作位置に対応する、請求項16に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項19】
前記1つ以上のセンサ片は磁石であり、前記1つ以上のセンサは磁界センサである、請求項17または請求項18に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項20】
前記コマンドモジュールは、前記交互に作動可能な駆動要素間の負荷交代の時間を識別する信号を前記測定装置から受信し、前記測定装置によって識別された負荷交代の前記時間を使用して、前記測定ユニットから受信した前記測定値に基づき計算された前記変数を使用者の右肢または左肢に交互に配分するように構成されている、請求項17〜19のいずれか1項に記載の定置式エルゴメトリック運動装置。
【請求項21】
クランクを介して駆動ホイールの両側に取り付けられた足駆動ペダルの形態の交互に作動可能な駆動要素を有する足踏み式駆動装置と、ギヤ機構を介して前記駆動ホイールに連結されたフライホイールであって、前記フライホイールは磁気リムを含む、フライホイールと、1つ以上の永久磁石によって前記フライホイールに加えられる制動力を選択的に調整するように、モータによって前記フライホイールの前記磁気リムに向かって、及び前記磁気リムから離れて移動するために取り付けられた1つ以上の永久磁石の形態の制動装置と、使用時に、前記駆動装置を介して加えられる駆動力及びそれに関連するトルクのうちの少なくとも1つを測定するための測定ユニットと、使用時に、ケイデンスを測定するための測定ユニットと、を含む定置式エルゴメトリック運動装置の作動方法であって、
パフォーマンス特性データを入力し、前記パフォーマンス特性データに基づいて所定のパフォーマンスプロファイルを計算するステップと、
前記測定ユニット及び測定装置から受信した測定値を使用して使用者の動力出力を計算するステップと、
前記使用者の前記計算された動力出力を前記所定のパフォーマンスプロファイルと比較して、前記使用者の前記測定されたケイデンスで必要とされる前記動力出力を決定するステップと、
前記1つ以上の永久磁石によって加えられる前記制動力を調整するために、前記モータを制御して前記1つ以上の永久磁石を前記フライホイールの前記磁気リムに対して移動させ、それにより前記測定ユニット及び前記測定装置から受信した前記測定値を微調して、コマンドモジュールによって計算された、前記使用者の前記測定されたケイデンスでの動力出力を、前記所定のパフォーマンスプロファイルに適合するように調整するステップと、を含む、定置式エルゴメトリック運動装置の作動方法。
【請求項22】
前記パフォーマンス特性データは、サイクリング面の傾斜角、自転車タイヤとサイクリング面との間の転がり抵抗、サイクリストの質量、自転車の質量、ギヤの選択、及びサイクリストの動力出力からなる群から選択される1つ以上の静的サイクリングパラメータに関する情報を含む、請求項21に記載の定置式エルゴメトリック運動装置の作動方法。
【請求項23】
前記パフォーマンス特性データは、風速の変化によって生み出される空気抵抗、高度の変化によって生み出される空気抵抗、ファンによって生み出される空気抵抗からなる群から選択される1つ以上の動的サイクリングパラメータに関する情報を含む、請求項21または請求項22に記載の定置式エルゴメトリック運動装置の作動方法。
【請求項24】
前記測定装置から受信した測定値を使用して前記フライホイールの回転速度を計算するステップと、前記計算された速度に応答して前記所定のパフォーマンスプロファイルを調整して、前記速度の影響を1つ以上の動的サイクリングパラメータに反映させるステップと、をさらに含む、請求項21に記載の定置式エルゴメトリック運動装置の作動方法。
【請求項25】
前記パフォーマンス特性データは、特定のサイクリングルートの特性に係る情報を含む、請求項21に記載の定置式エルゴメトリック運動装置の作動方法。
【請求項26】
コンピュータまたはプロセッサ及びメモリ上で実行されると、請求項21〜25のいずれか1項に記載の定置式エルゴメトリック運動装置の作動方法を行うコンピュータプログラムコードを含む、コンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定置式エルゴメトリック運動装置に関する。
【0002】
本発明はまた、定置式エルゴメトリック運動装置の作動方法及びコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品に関する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様によれば、定置式エルゴメトリック運動装置が提供され、該装置は、
ペダルクランクを介して駆動ホイールの両側に取り付けられた足駆動ペダルの形態の交互に作動可能な駆動要素を含む足踏み式駆動装置と、
ギヤ機構を介して該駆動ホイールに連結されたフライホイールであって、該フライホイールは磁気リムを含む、フライホイールと、
1つ以上の永久磁石によって該フライホイールに加えられる制動力を選択的に調整するように、モータによって該フライホイールの該磁気リムに向かって、及び該磁気リムから離れて移動するために取り付けられた1つ以上の永久磁石の形態の制動装置と、
使用時に、該駆動装置を介して加えられる駆動力及びそれに関連するトルクのうちの少なくとも1つを測定する測定ユニットと、
使用時に、ケイデンスを測定するための測定装置と、
該測定ユニット、該測定装置、及び該制動装置の該モータに接続されたコマンドモジュールと、
該コマンドモジュールに接続され、かつコマンド信号を受信し、それらのコマンド信号を該コマンドモジュールに送信するように構成され、かつ該コマンドモジュールから受信した使用者のパフォーマンスを報告するフィードバック信号を送信するように構成された、通信モジュールと、を備え、
該コマンドモジュールは、該通信モジュールから該コマンド信号の形態でパフォーマンス特性データを受信すると、所定のパフォーマンスプロファイルを計算するように構成され、
該コマンドモジュールは、測定ユニット及び測定装置から測定値を受信し、これらの測定値を使用して使用者の動力出力を計算し、該使用者の動力出力を該所定のパフォーマンスプロファイルと比較して該使用者の該測定されたケイデンスで必要とされる該動力出力を決定し、該1つ以上の永久磁石によって加えられる制動力を調整するために、モータを制御して該1つ以上の永久磁石をフライホイールの磁気リムに対して移動させ、それにより測定ユニット及び測定装置から受信した測定値を微調して、コマンドモジュールによって計算された、該使用者の該測定されたケイデンスでの動力出力を、所定のパフォーマンスプロファイルに適合するように調整するように構成されている。
【0004】
本発明の文脈において、「ケイデンス(cadence)」という用語は、通常は1分当たりのペダルクランクの回転数に関して計算される、使用者のペダリングの速度を指すことを意図している。
【0005】
フライホイールの磁気リムに対して可動の1つ以上の永久磁石を含む制動装置を設けることにより、フライホイールの回転に抵抗することを目指した力を加えることが可能な機構が提供されることを理解されたい。該永久磁石または各永久磁石によって供給される磁力の大きさは一定のままである一方で、該永久磁石または各永久磁石をフライホイールに向かって、及びフライホイールから離れて移動させる能力は、フライホイールに加えられる制動力の大きさを可能にし、こうして、フライホイールの回転に抵抗する力は変えられ調整される。
【0006】
フライホイールの磁気リムに対する該永久磁石または各永久磁石の移動を駆動するためのモータの使用は、制動装置の遠隔操作を容易にし、使用者がフライホイールの磁気リムに対して、該永久磁石または各永久磁石の位置を手動で調整する必要性を排除する。これにより、フライホイールに作用する制動力の大きさが変化され、測定ユニット及び測定装置からの測定に応じて直ちに調整されることを可能にし、定置式エルゴメトリック運動装置の使用中に、フライホイールの磁気リムに対する制動装置の位置の定期的調整を可能にする。
【0007】
1つ以上の永久磁石の使用は、単位質量当たりの永久磁石から利用可能な磁力の大きさが、電磁石の使用を介して達成され得るものよりも著しく大きいことを出願人が発見した点において、特に有利である。
【0008】
したがって、比較的小さいサイズの追加の永久磁石を含めることによって、制動装置から利用可能な磁力の大きさを容易に増加させることが可能である。これにより、制動装置とフライホイールの磁気リム間の相互作用から利用可能なはるかに広い範囲の制動力の創出を可能にするという点で、結果として得られる制動装置の柔軟性を大幅に向上させる。次にこれは、1つ以上の永久磁石の使用が、電磁石の使用を介して達成され得るよりも、より強力で、より軽い配置の創出を可能にすることを意味する。
【0009】
1つ以上の永久磁石の使用はまた、電磁石の使用を含む制動装置と比較するとき、装置によって要求される電力消費を低減する。モータ、コマンドモジュール及び通信モジュールによって必要とされる総電力は、主電源コンセントのような、同じ範囲の制動力を生成することができる電磁石を利用する装置に電力を供給するためにほぼ確実に必要となるより大きな電源とは対照的に、定置式エルゴメトリック運動装置はバッテリによって電力供給され得るようなものである。
【0010】
上記で概説した様態で構成されたコマンドモジュールを設けることによって、使用者が、特定のトレーニングまたは運動プログラムのための所定のパフォーマンスプロファイルを設定することもできる。次に、コマンドモジュールは、リアルタイムデータを収集して所定のパフォーマンスプロファイルと比較し、フライホイールに加えられる制動力を調整するためにモータを制御し、それによりフライホイールの回転に対する抵抗に、かつこうしてペダルリングに対する抵抗に影響を及ぼし、リアルタイムで使用者によって経験される。上記で概説したように、フライホイールの磁気リムに対する制動装置の位置を適切に調整することによって、コマンドモジュールは、測定ユニット及び測定装置から受信した測定値を微調することができ、それにより所定のパフォーマンスプロファイルに適合するようにコマンドモジュールによって計算された該パフォーマンスパラメータまたは各パフォーマンスパラメータを調整する。
【0011】
その最も単純な形態では、所定のパフォーマンスプロファイルは、使用者が定動力出力で装置を作動させることを確実にするように設定され得る。これは、使用者の実際の動力出力を計算するためにケイデンス及び力かつ/またはトルクの測定値を使用し、計算された動力を設定された動力出力値と比較し、同じケイデンスで必要な動力出力を達成するために使用者がペダルにより大きいまたはより小さい力を加えることを要求するように制動力を増減させるためにモータを制御することによって達成されてもよい。
【0012】
そのような動作モードでは、コマンドモジュールは、磁気フライホイールに加えられる制動力を増減させ、これにより、同じ動力出力を維持するために使用者がペダルに加えられる駆動力を増減することを要求するために、使用者のケイデンスが変化するときに制動力を調整してもよい。
【0013】
測定装置及び測定ユニットから得られた測定値を参照して使用者のパフォーマンスを監視するコマンドモジュールの部分について能力は、運動装置の連続的な作動中に、快適なケイデンスで使用者が必要な動力出力を達成することを可能にする制動力を創出するために、コマンドモジュールが、フライホイールの磁気リムに対して制動装置の位置を再調整することができることを意味する。
【0014】
使用者の動力出力を制御する能力は、評価において医療及び研究室の目的に特に有益であることができ、そこでは主な重要性は使用者が定動力出力を作り出すことであって、ペダルに加えられるケイデンス及び/または力は評価を完了するためには重要性がより低い。
【0015】
所定のパフォーマンスプロファイルは、様々な効果を創出するように個別化されてもよいことを理解されたい。例えば、別の作動モードでは、特定のギヤに対する動力出力とケイデンスとの間の関係を定義するためにパフォーマンスプロファイルを設定し得る。これは、動力出力とケイデンスとの間に曲線関係をもたらす。
【0016】
このような作動モードでは、コマンドモジュールは、使用者の実際の動力出力を計算するために、ケイデンス及び力かつ/またはトルク測定値を再び使用してもよく、その後、これらの値を、動力出力とケイデンスとの間の特定の曲線関係と比較してもよい。次いで、コマンドモジュールは、制動装置をフライホイールの磁気リムに向かって、またはリムから離れる方向に移動させるためにモータを作動させてもよく、それにより制動力を増減させ、それにより、ケイデンスを維持するために使用者から必要とされる力を適宜増減し、かつそれによって、所定のパフォーマンスプロファイル上のそのケイデンスに対応する動力出力を達成し得る。
【0017】
コマンドモジュールに接続され、コマンド信号を受信し、使用者のパフォーマンスを報告するフィードバック信号を送信するように構成された通信モジュールを設けることは、ユーザインターフェースを提供する目的で、定置式エルゴメトリック運動装置を外部装置に接続することを可能にする。
【0018】
例えば、通信モジュールは、通信モジュールと通信するように構成されたアプリケーションを実行するスマートフォン、タブレット、スマートウォッチまたは他のコンピューティング装置に接続することができることが想定でき、それにより所定のパフォーマンスプロファイルを創出する目的で使用者がデータを入力することを可能にする。また、装置のスクリーン上にフィードバック信号の視覚化の創出を可能にするために、そのような装置に接続することもできる。インターフェースは、例えば、ケイデンス及び/または力の測定値を表示することができる。それはまた二者択一的に、測定装置及び測定ユニットから得られた測定値から、コマンドモジュールによって計算された1つ以上のパフォーマンスパラメータを表示することもできる。
【0019】
正確かつリアルタイムの測定値を確実にするために、測定ユニットは、使用時に、駆動装置を介して加えられる駆動力及びそれに関連するトルクのうちの少なくとも1つを連続的に測定するように構成され得る。連続的であることによって、測定ユニットが、駆動装置を介して加えられる力及び/またはそれに関連するトルクを1秒当たり100回まで測定するかもしれないことが想定される。
【0020】
そのような実施形態では、駆動力及び/またはそれに関連するトルクのそのような連続的監視は、コマンドモジュールが、所定のパフォーマンスプロファイルとの比較のために1つ以上のパフォーマンスパラメータを連続的に再計算することを可能にする。したがって、コマンドモジュールは、制動装置によって加えられる制動力の調整を継続することを可能にするためにモータを制御し得る。
【0021】
コマンドモジュールが使用者の動力出力を計算するように構成されている実施形態では、コマンドユニットは、ペダルクランクの1回転につき1回、使用者の動力出力を計算するように構成され得る。そのような実施形態では、コマンドモジュールは、以下に基づいて動力を計算し得る:
動力=力×速度
【0022】
これは、コマンドモジュールが、該永久磁石または各永久磁石の移動を動的かつ応答性のある様態で調整するようにモータを制御することを可能にする。
【0023】
動力を計算する際に、コマンドモジュールは、測定されたケイデンス及びペダルクランクの1回転あたりの走行距離を参照して速度を計算し得る。ペダルクランクの1回転当たりの走行距離は、一連のプリセットギヤに従ってコマンドモジュール内でプリセットされ得る。そのような実施形態では、コマンドモジュールは、実際の自転車のギヤチェンジ時にサイクリストが経験するであろう付加的抵抗をシミュレートするために、より高いギヤの使用者による選択時にフライホイールに加えられる制動力を増加させるように構成されてもよく、その逆でもよい。同様に、コマンドモジュールは、ペダルクランクの1回転当たりの走行距離を、最低ギヤから最高ギヤまでの各ギヤで徐々に増加するように構成されてもよく、またその逆でもよい。
【0024】
特に好ましい実施形態では、1回転あたりの走行距離は、ボトムギヤ、ギヤ1、の最小値2.790mからトップギヤ、ギヤ22、の最大値10.258mまで徐々に増加する。そのような実施形態では、ギヤ1の運動装置を毎分60回転のケイデンスで作動させる使用者は、2.790ms−1の速度に等しくなると理解されたい。
【0025】
使用者がギヤを上下に変更することを可能にするために、運動装置は、ハンドルバーに含まれるボタンを含んでもよい。その結果、実際の自転車に乗っているかのように、使用者がギヤを容易に上下させること可能になる。そのようなボタンは、必要な信号を提供するためにコマンドモジュールに向けて接続されてもよい。代わりに、ボタンは、コマンドモジュールへの後続送信のために通信モジュールにコマンド信号を送るように構成されてもよい。
【0026】
本発明の基礎的な実施形態では、コマンドモジュールは、トレーニングプログラムを開始する前に使用者が選択し得る一連の所定のパフォーマンスプロファイルを含むようにプログラムされ得ると想定される。しかしながら、特に好ましい実施形態では、コマンドモジュールは、通信モジュールからのコマンド信号の形態でパフォーマンス特性データを受信すると、所定のパフォーマンスプロファイルを計算するように構成され得ると想定される。
【0027】
例えば、そのような実施形態では、使用者は、次に通信モジュールを介してコマンドモジュールに通信される一連のサイクリングパラメータを入力してもよく、コマンドモジュールが、選択されたサイクリングパラメータに基づいて、個別化された所定のパフォーマンスプロファイルを計算することを可能にする。
【0028】
パフォーマンス特性データは、サイクリング面の傾斜角、自転車タイヤとサイクリング面との間の転がり抵抗、サイクリストの質量、自転車の質量、及びサイクリストの動力出力からなる群から選択される1つ以上の静的サイクリングパラメータに関する情報を含み得ることが想定される。
【0029】
また、パフォーマンス特性データは、風速の変化によって生み出される空気抵抗、高度の変化によって生み出される空気抵抗、及びファンの使用を介して生み出される空気抵抗からなる群から選択される1つ以上の動的サイクリングパラメータに関する情報を含み得ることが想定される。
【0030】
そのような実施形態では、コマンドモジュールは、サイクリストがそれらの条件下で自転車に乗って経験する抗力上の任意の選択されたサイクリングパラメータの影響を計算し、追加の抗力を考慮して所定のパフォーマンスプロファイルを計算するように構成されてもよい。コマンドモジュールは、例えば、選択されたサイクリングパラメータの結果として経験する抗力を考慮して計算された動力出力対ケイデンスに基づいて所定のパフォーマンスプロファイルを生成することができる。これは、必要な抗力を生み出し、かつそれによって様々なサイクリング条件をシミュレートするために、コマンドモジュールが、モータを制御し、かつそれによってフライホイールの磁気リムに対する制動装置の移動を制御することを可能にする。
【0031】
サイクリングパラメータの適切な選択によって、使用者は、サイクリング条件の無限数の組み合わせをシミュレートするようにコマンドモジュールに命令するコマンド信号を生み出すことができることを理解されたい。例えば、コマンドモジュールは、競輪場の面を軽自転車に乗っている軽サイクリスト、ダートトラック上の同じサイクリスト及び自転車、5°の傾斜面上の同じサイクリスト及び自転車、毎時10マイルの後ろ風を有する−5°の傾斜面上の同じサイクリスト及び自転車、をシミュレートすることができる。コマンドモジュールはまた、例えば、様々な位置を取り、かつそれによりファンの回転を駆動するためのペダルの作動時にファンを通って流れる空気流に影響を及ぼしかつ制御するように調整することができる、ファンの外側ハウジング上の通気孔を備えたファンを有する定置式エルゴメトリック運動装置をシミュレートすることもできる。
【0032】
上記の動的サイクリングパラメータを参照すると、そのような条件下でサイクリストが経験する抗力は、流体力学の結果として速度に応じて変化することを理解されたい。
【0033】
したがって、特に好ましい実施形態では、コマンドモジュールは、上記で概説したように、測定装置によって測定されたケイデンス及びペダルクランクの1回転当たりの走行距離に基づいて、自転車の実際の速度を計算するように構成されてもよい。
【0034】
他のそのような実施形態では、コマンドモジュールは、フライホイールの回転速度を計算するために測定装置から受信した測定値を使用するように構成されてもよい。フライホイールの回転速度は、自転車の実際の速度を指示する値を提供することを理解されたい。
【0035】
いずれの場合でも、コマンドモジュールは、所定のパフォーマンスプロファイルの計算に採用される1つ以上の動的サイクリングパラメータに対する使用者の速度の影響を反映するように、所定のパフォーマンスプロファイルを調整するために計算された速度を使用するように構成されてもよい。
【0036】
選択されたサイクリングパラメータを入力するために、使用者は理想的には、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、または他のコンピューティング装置のような外部装置を、定置式エルゴメトリック運動装置の通信モジュールに接続することが想定される。
【0037】
本発明の実施形態では、そのような接続は、有線接続によって達成してもよい。そのような実施形態では、USBケーブルのようなデータケーブルを、外部装置のソケットと通信モジュールとの間に接続し得る。
【0038】
本発明の他の実施形態では、そのような接続は、無線通信プロトコルを介してコマンド信号を受信し、フィードバック信号を送信するように構成された無線機の通信モジュールに含ませることによって達成されてもよい。無線機は、例えば、BLUETOOTH(登録商標)またはANT+(登録商標)通信リンクによって、外部装置とのペアの通信リンクを形成するように構成することができる。
【0039】
外部装置から利用可能な機能及び通信モジュールに含まれる無線機の機能に依存して、通信モジュールと、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、または他のコンピューティング装置などの外部装置との間に無線通信リンクを創出するために、他の無線通信プロトコルを使用することができることを理解されたい。
【0040】
特に好ましい実施形態では、外部装置は、特定のサイクリングルートをシミュレートするためのコマンド信号を生成するために使用することができるサイクリングルートに関するデータを含み得ることが想定される。データは、例えば、ツールドフランスの特定のステージまたはオリンピックロードレースルートに関係する場合がある。
【0041】
そのような実施形態では、コマンドモジュールは、選択されたルートの特性に係るコマンド信号に基づいて所定のパフォーマンスプロファイルを生成するように構成されてもよい。このような特性は、傾斜角、自転車タイヤとサイクリング面との間の転がり抵抗、及び高度を含んでもよい。それらはまた、選択されたルートに沿って以前に記録された走行の正確な条件をシミュレートするために、使用者が選択する事象における、風速、風向き、及び他の天候特性を含むことができる。
【0042】
シミュレーション中に、コマンドモジュールは、上記で概説した方法に従って、使用者の動力出力を計算し、かつ使用者の測定されたケイデンスで必要とされる動力出力を決定するために所定のパフォーマンスプロファイルと比較する。これは、要求された動力出力を達成し、かつそれにより、選択されたギヤにおいて、及び使用者によって到達されるルートに沿った位置で、そのケイデンスで使用者が経験するであろうペダルへの抵抗をシミュレートするように、コマンドモジュールが、測定ユニット及び測定装置から受信した測定値を微調するためにフライホイールに加えられる制動力を調整するにことを可能にする。
【0043】
選択されたルートに関するデータは、通信モジュールを介して外部装置から単一送信の形態で提供することができることを理解されたい。しかしながらまた、より詳細で正確なシミュレーションを提供するために、より多くのデータの提供を可能にし、こうして所定のパフォーマンスプロファイルの進行中の調整を容易にするために、選択されたルートのシミュレーション中に、データは、通信モジュールを介して外部装置からコマンドモジュールへ連続的にストリームできることを理解されたい。
【0044】
いずれにしても、コマンドモジュールは、通信モジュールを介して外部装置にフィードバック信号を送り返してもよく、それは外部装置が選択されたルートに沿った使用者の進捗状況を追跡することを可能にする。これは外部装置の信号に変換することができ、それは、外部装置が、使用者が選択されたルートに沿って彼らの行程を視覚化することを可能にするであろうビデオ画像を生成することを可能にする。
【0045】
フライホイールの磁気リムに対する該永久磁石または各永久磁石の移動を制御するために、該永久磁石または各永久磁石は、フライホイールの磁気リムに向かって、及び磁気リムから離れてヨークの移動を駆動し、それによりフライホイールの磁気リムに向かって、及び離れて該永久磁石または各永久磁石の移動を駆動するために、モータに接続されたヨーク要素に取り付けられてもよい。
【0046】
本発明の実施形態では、フライホイールは、磁気リム部を創出するために、外縁の周りに設けられた銅インサートを有する鋼から形成されてもよいことが想定される。
【0047】
特に好ましい実施形態では、フライホイールは、回転のために共通の車軸に取り付けられた一対のホイール要素を含み得る。そのような実施形態では、ホイール要素の各々は磁気リムを含み、かつ制動装置は2組の永久磁石を含み、永久磁石の組の各々は、ホイール要素のそれぞれ1つの磁気リムに向かって、及び磁気リムから離れて永久磁石の組の他方と一緒に移動するように取り付けられている。
【0048】
上記で概説したように、本発明による定置式エルゴメトリック運動装置は、駆動装置を介して加えられる駆動力及び/またはそれに関連するトルクを測定するための測定ユニットを含める必要がある。特に好ましい実施形態では、定置式エルゴメトリック運動装置は、駆動装置を介して加えられる駆動力を測定するための測定ユニットを含む。そのような実施形態では、測定ユニットは、ギヤ機構のチェーンに適用されたアームを含み、該アームはチェーン側部をわずかに押圧し、測定ユニットは、牽引機構によってアームに加えられる復元力を測定するための測定センサをさらに含む。
【0049】
使用者のパフォーマンスを指示するフィードバック信号を計算するために、コマンドモジュールは、測定ユニットによってコマンドモジュールに届けられる測定値に基づく、駆動力及び/または関連するトルクの時間的進捗、同時にそれから導出可能な変数、を計算し、通信モジュールへのフィードバック信号の形態で連続的に出力するように構成されてもよい。
【0050】
ケイデンスを測定するために、測定装置は、駆動ホイールに取り付けられた一対のセンサ片と、駆動ホイールに対して静止位置に位置決めされた少なくとも1つのセンサとを含んでもよい。
【0051】
他のそのような実施形態では、測定装置は、駆動ホイールに対して静止位置に位置決めされた一対のセンサと、駆動ホイールに取り付けられた少なくとも1つのセンサ片とを含んでもよい。
【0052】
いずれの場合でも、該センサ片または各センサ片は、駆動装置の作動時に、該センサまたは各センサに対して駆動ホイールと共に移動可能であり、それによって該センサまたは各センサは通過するセンサ片を検出し、かつそれによって、駆動ホイールの回転速度、したがって使用者のケイデンスまたはペダリングの速度を計算することができる。
【0053】
該センサ片または各センサ片及び該センサまたは各センサの適切な位置決めにより、駆動ホイールが2つの特定の角度位置のうちの1つに位置するときに、該センサまたは各センサは通過するセンサ片を検出し、該位置は180°離れて位置し、交互に作動可能な駆動要素間の負荷交代の動作位置に対応する。
【0054】
好ましくは、該センサ片または各センサ片は磁石であり、該センサまたは各センサは磁界センサである。
【0055】
負荷交代の動作位置を識別する能力は、測定装置が交互に作動可能な駆動要素間の負荷交代の時間を識別することを可能にする。そのような実施形態では、コマンドモジュールは、交互に作動可能な駆動要素間の負荷交代の時間を識別する信号を測定装置から受信するように、かつ測定装置によって識別された負荷交代の時間を使用して、測定ユニットから受信した測定値に基づき計算された変数を右肢または左肢または使用者に交互に配分するようにさらに構成されてもよい。
【0056】
この情報は、使用者の右肢及び左肢を具体的に参照して使用者のペダリングのパフォーマンス及び技法を図示するPOLAR VIEW(商標)を表示し、かつこれにより、使用者が、自分のペダリングパフォーマンス及び/または技法が改善を必要とする可能性のある場所を決定すること可能にするために、通信モジュールを介して外部装置に送信されてもよい。
【0057】
本発明の第2の態様では、駆動ホイールの両側にクランクを介して取り付けられた足駆動ペダルの形態の交互に作動可能な駆動要素を有する足踏み式駆動装置と、ギヤ機構を介して駆動ホイールに連結され、磁気リムを含むフライホイールと、1つ以上の永久磁石によってフライホイールに加えられる制動力を選択的に調整するように、モータによってフライホイールの磁気リムに向かって、及び磁気リムから離れて移動するために取り付けられた1つ以上の永久磁石の形態の制動装置と、使用時に、駆動装置を介して加えられる駆動力及びそれに関連するトルクのうちの少なくとも1つを測定するための測定ユニットと、使用時に、ケイデンスを測定するための測定ユニットと、を含む、定置式エルゴメトリック運動装置の作動方法が提供され、
該方法は、
パフォーマンス特性データを入力し、該パフォーマンス特性データに基づいて所定のパフォーマンスプロファイルを計算するステップと、
該測定ユニット及び測定装置から受信した測定値を使用して使用者の動力出力を計算するステップと、
該使用者の該計算された動力出力を該所定のパフォーマンスプロファイルと比較して、該使用者の該測定されたケイデンスで必要とされる該動力出力を決定するステップと、
該1つ以上の永久磁石によって加えられる制動力を調整するために、モータを制御して該1つ以上の永久磁石を該フライホイールの磁気リムに対して移動させ、それにより測定ユニット及び測定装置から受信した測定値を微調して、コマンドモジュールによって計算された、該使用者の該測定されたケイデンスでの動力出力を、所定のパフォーマンスプロファイルに適合するように調整するステップと、を含む。
【0058】
本発明の実施形態では、該方法は、パフォーマンス特性データを入力し、かつパフォーマンス特性データに基づいて所定のパフォーマンスプロファイルを計算するステップをさらに含んでもよい。
【0059】
パフォーマンス特性データは、サイクリング面の傾斜角、自転車タイヤとサイクリング面との間の転がり抵抗、サイクリストの質量、自転車の質量、ギヤの選択、及びサイクリストの動力出力からなる群から選択される1つ以上の静的サイクリングパラメータに関する情報を含んでもよい。
【0060】
パフォーマンス特性データは、風速の変化によって生み出される空気抵抗、高度の変化によって生み出される空気抵抗、ファンによって生み出される空気抵抗からなる群から選択される1つ以上の動的サイクリングパラメータに関する情報を含んでもよい。
【0061】
好ましくは、本方法は、測定装置から受信した測定値を使用してフライホイールの回転速度を計算するステップと、計算された速度に応答して所定のパフォーマンスプロファイルを調整して、速度の影響を1つ以上の動的サイクリングパラメータに反映させるステップと、をさらに含む。
【0062】
本発明の第3の態様によれば、コンピュータまたはプロセッサ及びメモリ上で実行されると、上記で概説した定置式エルゴメトリック運動装置の作動方法を行うコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0063】
本発明の好ましい実施形態を、非限定的な例として、添付の図面を参照して、ここで説明する。
【0064】
図1】本発明の一実施形態による定置式エルゴメトリック運動装置を示す。
図2図1に示した定置式エルゴメトリック運動装置の測定装置を示す。
図3図1に示した定置式エルゴメトリック運動装置の測定ユニットを示す。
図4図1に示した定置式エルゴメトリック運動装置の駆動ホイールをフライホイールに接続するギヤ機構を示す。
図5】定置式エルゴメトリック運動装置の制動装置及びフライホイールアセンブリを示す。
図6】フライホイールアセンブリのフライホイール要素の磁気リムに対する制動装置の移動を制御するように配置されたコマンドモジュール及びモータを示す。
図7】フライホイールアセンブリのフライホイール要素の磁気リムに対する制動装置の移動を制御するように配置されたコマンドモジュール及びモータを示す。
図8】例示的なPOLAR VIEW(商標)を示す。
図9図3に示す測定ユニットの模式図である。
図10図3に示す測定ユニットの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本発明の一実施形態による定置式エルゴメトリック運動装置10を図1に示す。
【0066】
運動装置10は、例えば、家庭用の運動機械として、フィットネススタジオ内のトレーニング装置として、またはエリートスポーツでの使用のために使用することができる。また、評価目的で医療分野でも使用できる。
【0067】
運動装置10は、座部14とハンドルバー16とを有する自転車状フレーム12を有する。座部14及びハンドルバー16の位置は調整可能であるが、トレーニングサイクル中は固定されるよう意図されている。座部14の下の足区域に、運動装置10は、足駆動ペダル18の形態の交互に作動可能な駆動要素を含む足踏み式駆動装置を含む。ペダル18は、ペダルクランク20を介して、駆動ホイール22を通って延びるペダルシャフト23(図9)によって駆動ホイール22の両側に取り付けられている。
【0068】
フライホイールアセンブリ24は、ギヤ機構26を介して駆動ホイール22に連結されている。図1に示す実施形態では、フライホイールアセンブリ24は、図5に示すように、回転のために共通シャフト28に取り付けられた一対のフライホイール要素26を含む。
【0069】
ギヤ機構26は、駆動ホイール22及びピニオンホイール32(図2)の周りに延びるチェーン30を含む。ペダル18の作動はペダルシャフトの回転を駆動し、ペダルシャフトは次に駆動ホイール22の回転を駆動する。駆動ホイール22は、チェーン30によってピニオンホイール32の回転を駆動し、チェーンは次にピニオンホイール32を通り、かつディスクホイール34を通って延びるシャフトを駆動し、それによりディスクホイール34の回転を駆動する。
【0070】
ディスクホイール34は、ディスクホイール34及び共通シャフト28の周りに延びるように伸張されたベルト36(図4)によってフライホイールアセンブリ24の共通シャフト28の回転を駆動する。
【0071】
フライホイール要素26の各々は、それと共に回転する共通軸28に取り付けられ、鋼鉄から形成されるが、磁気リム部38(図6)を形成するように銅インサートを含む。複数の永久磁石を含む制動装置40は、サーボモータ42によってフライホイール要素26の磁気リム38に向かって、及び磁気リム38から離れて移動するために取り付けられる。フライホイール要素26の磁気リム38に向かって、及び磁気リム38離れる永久磁石の移動は、永久磁石とフライホイール要素26の磁気リム38との間の磁気吸引によって生成される制動を変化させる。したがって、磁気リム38に対して永久磁石を移動させることにより、フライホイール素子26の磁気リム38に加えられる制動力を調整することが可能となり、かつそれにより、フライホイール要素26の磁気リム38と永久磁石との間の磁気吸引力によって生み出されるライホイール要素26の回転に対する抵抗を調整する。
【0072】
図5から図7に示すように、永久磁石は、ヨーク46に支持された2組の永久磁石44a、44bを形成するように取り付けられ、各組の永久磁石44a、44bは、フライホイール要素26のそれぞれ1つの磁気リム38に向かって、及び磁気リム38から離れて移動するために、ヨーク46の両側に取り付けられている。
【0073】
ヨーク46の移動を駆動するために、ヨーク46は、自転車状フレーム12に取り付けられた支持体50に形成されたねじ付き孔を通って延びるねじ付きシャフト48の第1の端部に取り付けられる。ねじ付きシャフト48は駆動ホイール52内の第2の端部に固定され、駆動ホイール52は次に駆動ベルト56によってサーボモータ42の従動シャフト54に連結される。
【0074】
サーボモータ42の作動は、従動シャフト54の回転を駆動し、従動シャフト54は次に、駆動ベルト56によって駆動ホイール52の回転を駆動する。支持体50に形成されたねじ付き孔内のねじ付きシャフト48の係合は、フライホイール要素26に向かって、及びフライホイール要素26から離れるように、ねじ付き開口の内外へのねじ付きシャフト48の長手方向の移動をもたらす。ねじ付きシャフト48、ひいてはヨーク46の移動方向は、サーボモータ42の従動シャフト54の回転方向、したがってねじ付きシャフト48の回転方向に依存する。
【0075】
運動装置10は、使用時に、駆動装置を介して加えられる駆動力及びそれに関連するトルクのうちの少なくとも1つを測定するための測定ユニット58(図2)を含む。より具体的には、測定ユニット58は、自転車状フレーム12に取り付けられたアーム60を含む。駆動ホイール22及びピニオンホイール32の周りに延びるチェーン30の外縁に押しつけるために、好ましくはプラスチック材料から作られたグライド62がアーム60に取り付けられる。
【0076】
図2に示す実施形態では、グライド62がチェーン30をわずかに内向きに押圧する。他の実施形態では、チェーン30をわずかに外向きに押圧するために、グライド62をチェーンの内側に位置決めすることができる。
【0077】
チェーン30に張力がかかっている事象では、駆動力が使用者によって足駆動ペダル18に加えられる結果、力の接線方向の成分が、チェーン30の張力、ひいては駆動力に比例する復元力としてグライド62に作用する。アーム60の弾性曲げは、伸張測定ストリップ64によって測定される。
【0078】
復元力はチェーン30の張力、ひいては駆動力に比例するので、復元力の測定値を使用して、運動装置10の作動中にペダル18に加えられる駆動力の大きさを計算することができることを理解されたい。
【0079】
同様に、ペダルクランク20の各々の長さが分かっているので、復元力の測定値を使用して、ペダル18によって駆動ホイール22に加えられるトルクを計算することができる。
【0080】
力測定を較正するために、既知の大きさの質量がペダル18の1つに取り付けられ、かつフライホイール要素26またはディスクホイール34は、その回転を防止するようにロックされる。これらの条件下で測定ユニット58によって測定された力は、復元力を、ペダル18に取り付けられた既知の質量によって加えられる既知の力と比較することによって、測定ユニット58を較正することを可能にする。
【0081】
この実施形態では、測定ユニット58は、運動装置10の作動中に駆動装置を介して加えられる駆動力を連続的に測定するように構成されている。連続的であることによって、測定ユニット58は、駆動装置を介して加えられる力を1秒当たり100回まで測定することが想定される。
【0082】
運動装置10はまた、運動装置10の作動中にケイデンスを測定するための測定装置66(図3)を含む。
【0083】
サイクリングの文脈において、ケイデンスは、ペダリング速度、あるいは1分当たりのペダルクランク20の回転数(RPM)を指すことを理解されたい。
【0084】
図1に示す運動装置10の測定装置66は、図9及び図10に模式的に図示されており、駆動ホイール22に取り付けられた一対のセンサ片68と、自転車状フレーム12上の静止位置に位置決めされた一対のセンサ70とを含む。
【0085】
センサ片68とセンサ70は、駆動ホイール22の回転時に、センサ片68の各々が自転車状フレーム12に固定されたセンサ70のそれぞれ1つを通過するように互いに対して位置決めされ、それにより各センサ片68は、駆動ホイール22の回転のサイクル当たり1回だけ検出され、かつ同じセンサ70によって駆動ホイール22の回転の各サイクルで検出される。これは、駆動ホイール22ペダルシャフト上のセンサ片の半径方向距離を変化させることによって達成される。より具体的には、センサ片68の1つは、センサ片68の他方よりも駆動ホイール22上のペダルシャフトからより大きな半径方向距離に位置する。同様に、センサ70を自転車状フレーム12上に位置決めして、ペダルシャフトに対して対応する間隔をおいた場所に位置するようにすることにより、各センサ70は、駆動ホイール22の回転中にセンサ片68のうちの1つのみを検出する。
【0086】
センサ片68とセンサ70との相対位置もまた、センサ片68が動いて180°間隔でそれぞれのセンサ70と整列するように選択され、それによりセンサ片68の各々が動いてそれぞれのセンサ70と整列する点での駆動ホイール22の動作位置は、ペダル18間の負荷交代の動作位置に対応する。
【0087】
したがって、駆動ホイール22の各完全な回転中に、センサ片68及びセンサ70は、180°の間隔で2つの信号を生成する。これらの信号の間の時間は、駆動ホイール22の回転速度、したがってペダリングの速度を計算するために使用することができ、一方ではケイデンスと呼ばれる。
【0088】
同様に、信号は180°の間隔で生成され、使用者が1つのペダルから他のペダルへの駆動力を切り替えるという点から負荷交代がある点に対応するので、センサ70を通過するセンサ片68によって生成される信号は、負荷交代の時間を指示するものと解釈することができる。
【0089】
図9及び図10に示す実施形態では、センサ片68は磁石であり、センサ70は磁界センサである。他の実施形態では、他のセンサ片及びセンサを使用し得ると想定される。
【0090】
また、他の実施形態では、センサ片68の数またはセンサ70の数を変更し得ることも想定される。1つのそのような実施形態では、1つのセンサ片68を駆動ホイール22に固定してもよく、センサ片68がセンサ70の各々を180°の間隔で通過するように、センサ70を自転車状フレーム12に固定位置で取り付けてもよい。そのような一実施形態では、駆動ホイール22の回転中、センサ片68が動いて足踏み式ペダル18間の負荷交代に対応する駆動ホイール22の動作位置でセンサ70の各々と整列するように、センサ片68とセンサ70とは再び互いに対して位置してもよい。
【0091】
別のそのような実施形態では、センサ片68の各々が180°の間隔でセンサ70を通過するように、一対のセンサ片68を駆動ホイール22に固定してもよく、かつ1つのセンサ70を自転車状フレーム12上に固定位置で取り付けてもよい。そのような一実施形態では、駆動ホイール22の回転中、足踏み式ペダル18間の負荷交代に対応する駆動ホイール22の動作位置でセンサ70がセンサ片68のそれぞれ1つを検出するように、センサ片68とセンサ70とは再び互いに対して位置してもよい。
【0092】
測定ユニット58及び測定装置66によって収集されたデータを照合するために、運動装置10は、コマンドモジュール72(図5)を含む。
【0093】
コマンドモジュール72は、好ましくは、運動装置の作動中にチェーン30へ加えられる駆動力を指示する信号、及び2つのペダル18間の負荷交代の時間と一緒にペダルの回転速度を受信するために、測定ユニット58及び測定装置66に接続されたプログラム可能な装置である。
【0094】
コマンドモジュール72は、1つ以上のパフォーマンスパラメータを計算するために、測定ユニット58及び測定装置66から受信した測定値を使用するように構成されている。これらのパフォーマンスパラメータは、ケイデンス、動力、フライホイールの回転速度、ペダルに加えられる駆動力、及びそこから導出可能な他の変数を含み得る。
【0095】
それらのパフォーマンスパラメータは、通信モジュール74に接続された使用者インターフェース(図示せず)への後続送信のために、コマンドモジュール72から通信モジュール74に送信されてもよい。しかしながら、コマンドモジュール72はまた、少なくとも1つ以上の計算されたパフォーマンスパラメータを所定のパフォーマンスプロファイルと比較するように構成されている。
【0096】
以下でより詳細に論じる比較結果に依存して、コマンドモジュール74はサーボモータ42に接続され、かつフライホイール要素26の磁気リム38に対して2組の永久磁石44a、44bを移動させるためにサーボモータ42を制御するように構成されている。フライホイール要素26の磁気リム38に対する2組の永久磁石44a、44bの相対位置を調整することによって、コマンドモジュール72は、2組の永久磁石44a、44bによって加えられる制動力を調整する。これは次に、フライホイール要素26の回転に対する抵抗に影響を及ぼし、したがって、測定ユニット58及び測定装置66を介して得られる測定値に影響を及ぼす。したがって、サーボモータ42の適切な制御によって、コマンドモジュール72は、コマンドモジュールによって計算された該パフォーマンスパラメータまたは各パフォーマンスパラメータを所定のパフォーマンスプロファイルと適合するように調整するために、測定ユニット58及び測定装置66から受信した測定値を微調するように作動可能である。
【0097】
上記で概説したように、コマンドモジュール72は、コマンドモジュール72によって計算されたパフォーマンスパラメータを表す信号を使用者インターフェース上に表示するための外部装置に送信する目的で、通信モジュール74に接続される。
【0098】
使用者のパフォーマンスを報告するフィードバック信号の形で外部装置に信号を送信するのと同時に、通信モジュール74は、コマンド信号を受信し、かつそれらの信号をコマンドモジュール72に送信するように構成されている。
【0099】
図1に示す実施形態では、通信モジュール74は、BLUETOOTH(登録商標)として知られる無線通信プロトコルを介して、コマンド信号を受信し、かつフィードバック信号を送信するように構成された無線機を含む。これにより、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、または別のコンピューティング装置などの外部装置への通信モジュール74の無線接続が可能になる。
【0100】
他の実施形態では、通信モジュール74と外部装置との間の無線データ接続を創出するために、ANT+(登録商標)などの別の無線通信プロトコルが使用され得ることが想定される。また、通信モジュール74を外部装置に接続するために、有線接続が使用され得ることも想定される。通信モジュール74は、例えば、USBケーブルのようなデータ転送ケーブルによって外部装置に接続することができる。
【0101】
スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、または他のコンピューティング装置のような外部装置への接続を容易にする通信モジュール74の提供は、ユーザインターフェースの創出を可能にする。例えば、通信モジュール74は、通信モジュール74と通信するように構成されたアプリケーションを実行するスマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、または他のコンピューティング装置に接続することができることが想定でき、それにより所定のパフォーマンスプロファイルを創出する目的で使用者がデータを入力することを可能にする。
【0102】
通信モジュール74はまた、装置のスクリーン上にフィードバック信号の視覚化の創出を可能にするために、そのような装置に接続することもできる。インターフェースは、例えば、ケイデンス及び/または力の測定値を表示することができる。それはまた二者択一的に、測定ユニット58及び測定装置66から得られた測定値から、コマンドモジュールによって計算された1つ以上のパフォーマンスパラメータを表示することもできる。
【0103】
インターフェースはまた、測定装置66によって決定された負荷交代の時間、及び測定ユニット58から受信した測定値に応答してコマンドモジュール72によって計算された力測定値及びその他の変数に基づいてPOLAR VIEW(商標)を表示することもできる。時間に対する力を示すPOLAR VIEW(商標)の創出は、使用者の右肢及び左肢を具体的に参照しながら、使用者のペダリングのパフォーマンス及び技法を図示する。したがって、使用者のサイクリングパフォーマンスの視覚的印象を創出し、使用者が、自分のペダリングパフォーマンス及び/または技法が改善を必要とする可能性のある場所を視覚的に決定することを可能にする。
【0104】
POLAR VIEW(商標)の一例を図8に示す。
【0105】
運動装置10の作動についてここで説明する。
【0106】
運動装置10の作動中、使用者はペダル18の作動を介してフライホイール要素26の回転を駆動する。上で概説したように、駆動ホイール22の周りに伸びるチェーンに加わる結果として生じる駆動力は、測定ユニット58によって連続的に測定され、その結果の測定値はコマンドモジュール72に送信される。
【0107】
同様に、ケイデンスまたはペダリングの速度は、測定装置66によって測定され、その結果の測定値は、ペダル18間の負荷交代の時間を指示する信号と一緒にコマンドモジュール72に送信される。
【0108】
コマンドモジュール72は、測定装置58及び測定装置66から受信した測定値及び信号を使用して、使用者の動力出力を計算する。
【0109】
コマンドユニット72は、好ましくは、動力=力×速度に基づいてペダルクランク20の1回転につき1回の使用者の動力出力を計算し、測定されたケイデンス及びペダルクランク20の1回転当たりの走行距離を参照して速度を計算することができる。上記で概説したように、ペダルクランク20の1回転当たりの走行距離は、一連のプリセットギヤに従ってコマンドモジュール内でプリセットされ得る。コマンドモジュール72は、実際の自転車のギヤチェンジ時にサイクリストが経験するであろう付加的抵抗をシミュレートするために、使用者によるより高いギヤの選択時にフライホイール24に加えられる制動力を増加させるように構成されてもよく、その逆でもよい。同様に、コマンドモジュール72は、ペダルクランク20の1回転当たりの走行距離を、最低ギヤから最高ギヤまでの各ギヤで徐々に増加するように構成されてもよく、またその逆でもよい。
【0110】
特に好ましい実施形態では、以下の表1に提示されるように、1回転あたりの走行距離は、ボトムギヤ、ギヤ1、の最小値2.790mからトップギヤ、ギヤ22、の最大値10.258mまで徐々に増加する。
【表1】
【0111】
そのような実施形態では、ギヤ1の運動装置を毎分60回転のケイデンスで作動させる使用者は、2.790ms−1の速度に等しくなると理解されたい。
【0112】
使用者がギヤを上下に変更することを可能にするために、ボタン(図示せず)が、ハンドルバー16に含まれてもよい。その結果、実際の自転車に乗っているかのように、使用者がギヤを容易に上下させること可能になる。そのようなボタンは、必要な信号を提供するためにコマンドモジュール72宛に接続されてもよく、好ましくはギヤを上げるための1つのボタンと、ギヤを下げるための第2ボタンとを含む。
【0113】
他の実施形態では、ボタンは、コマンドモジュール72への後続送信のために通信モジュール74にコマンド信号を送るように構成されてもよい。
【0114】
コマンドユニット72はまた、通信モジュール74を介して、ユーザインターフェースを提供するために通信モジュール74に接続された外部装置へ送信するための駆動力から導出される他のパフォーマンスパラメータまたは変数を計算してもよい。
【0115】
その最も単純な形態では、使用者が運動装置10の作動中に定動力出力を達成することを保証することを目指して、使用者は、コマンドモジュール72内に所定のパフォーマンスプロファイルを創出してもよい。これは、使用者の実際の動力出力を計算するためにケイデンス及び力測定値を使用し、計算された動力を所定のパフォーマンスプロファイルによって要求される動力出力値比較し、同じケイデンスで必要な動力出力を達成するために使用者がペダルにより大きいまたはより小さい力を加えることを要求するように制動力を増減させるためにモータを制御することによって達成されてもよい。
【0116】
使用者はまた、トレーニングプログラムを開始する前に、一連の所定のパフォーマンスプロファイルから選択してもよい。例えば、使用者は、特定のギヤに対する動力とケイデンスとの間の曲線関係を定義する所定のパフォーマンスプロファイルを選択することができる。その後、運動装置10の作動時に、コマンドモジュール72は、使用者の実際の動力出力を計算するためにケイデンス及び力測定値を使用し、ケイデンス測定値と一緒に計算された動力値を、所定のパフォーマンスプロファイルによって定義される動力とケイデンスとの間の曲線関係と比較する。
【0117】
この比較を実行すると、コマンドモジュール72は、使用者の実際の動力出力が、測定されたケイデンスに対して所定のパフォーマンスプロファイルによって要求されるよりも高いか低いかを判定することができ、サーボモータ42を作動させて、フライホイール要素26上の永久磁石44a、44bの組によって加えられる制動力を調整するようにフライホイール要素26に対する永久磁石44a、44bの組の相対位置を調整する。これは次に、同じケイデンスでペダルを駆動するために使用者から求められる駆動力を増減少させ、使用者の計算された動力出力が、測定されたケイデンスについての所定のパフォーマンスプロファイルによって要求される動力に適合するように、測定ユニット58及び測定装置66から得られる測定値を微調するために使用することができる。
【0118】
図に示された実施形態では、コマンドモジュール72はまた、通信モジュール74からのコマンド信号の形式でパフォーマンス特性データを受信すると、所定のパフォーマンスプロファイルを計算するように構成されている。
【0119】
これは、使用者が、一連のサイクリングパラメータを通信モジュール74に接続された外部装置に入力することを可能にし、それは次に、通信モジュール74を介してコマンドモジュール72に通信され、コマンドモジュール72が、選択されたサイクルパラメータに基づいて個別化された所定のパフォーマンスプロファイルを計算することを可能にする。
【0120】
パフォーマンス特性データは、サイクリング面の傾斜角、自転車タイヤとサイクリング面との間の転がり抵抗、サイクリストの質量、自転車の質量、及びサイクリストの動力出力からなる群から選択される1つ以上の静的サイクリングパラメータに関する情報を含んでもよい。
【0121】
パフォーマンス特性データはまた、風速の変化によって生み出される空気抵抗、高度の変化によって生み出される空気抵抗、及びファンの使用を介して生み出される空気抵抗からなる群から選択される1つ以上の動的サイクリングパラメータに関する情報を含んでもよい。
【0122】
通信モジュール74を介して受信されるコマンド信号の形態で、外部装置からこの情報を受信すると、コマンドモジュール72は、サイクリストがそれらの条件下で自転車に乗って経験する抗力上の任意の選択されたサイクリングパラメータの影響を計算するように構成されている。これは次に、コマンドモジュール72が追加の抗力を考慮して所定のパフォーマンスプロファイルを計算することを可能にする。
【0123】
ペダルクランク20の1回転当たりの走行距離が、上記表1に提示の一連のプリセットギヤに従ってコマンドモジュール内にプリセットされている特に好ましい実施形態では、コマンドモジュールは、以下の表2に提示するように、プリセットされたギヤセット及び例示的なケイデンス数字に従って、傾斜がなく、風力抵抗ゼロの平坦道路上をサイクリングする70kgの体重の使用者よって生み出される抗力を克服するために求められる付加的な力を計算する。
【表2】
【0124】
使用者がそのような条件下で自転車に乗っていた場合に創出される抗力は、各ギヤにおける使用者のケイデンス、したがって自転車の走行速度と共に増加することを理解されたい。
【0125】
コマンドモジュールによって計算された、ケイデンスの漸進的増加に対してギヤ1、10、及び22において増加する抗力を克服するために必要な動力の例を、以下の表3、4、及び5に示す。
【表3】

【表4】

【表5】
【0126】
コマンドモジュール72は、例えば、選択されたサイクリングパラメータの結果として経験する抗力を考慮して計算される動力出力対ケイデンスに基づいて所定のパフォーマンスプロファイルを生成することができる。これは、必要な抗力を生み出し、かつそれによって様々なサイクリング条件をシミュレートするために、コマンドモジュール72が、サーボモータ42を制御し、かつそれによってフライホイール要素26の磁気リム38に対する永久磁石44a、44bの組の移動を制御することを可能にする。
【0127】
サイクリングパラメータの適切な選択によって、使用者は、サイクリング条件の無限数の組み合わせをシミュレートするようにコマンドモジュール72に命令するコマンド信号を生み出し得る。例えば、コマンドモジュール72は、競輪場の面を軽自転車に乗っている軽サイクリスト、ダートトラック上の同じサイクリスト及び自転車、5°の傾斜面上の同じサイクリスト及び自転車、毎時10マイルの後ろ風を有する−5°の傾斜面上の同じサイクリスト及び自転車、をシミュレートすることができる。
【0128】
コマンドモジュール72はまた、例えば、様々な位置を取り、かつそれによりファンの回転を駆動するためのペダルの作動時にファンを通って流れる空気流に影響を及ぼしかつ制御するように調整することができる、ファンの外側ハウジング上に通気孔を備えたファンを有する定置式エルゴメトリック運動装置をシミュレートすることもできる。
【0129】
上記の動的サイクリングパラメータを参照すると、そのような条件下でサイクリストが経験する抗力は、流体力学の結果として速度に応じて変化する。したがって、コマンドモジュール72は、フライホイール要素26の回転速度、または同じケイデンスで、かつ同じ駆動力で作動される実際の自転車の等価速度を計算するために測定装置58から受信した測定値を使用するように構成され得る。
【0130】
現実の自転車の速度は、上記で概説したように、測定されたケイデンス及びペダルクランク20の1回転当たりの走行距離を参照して計算することができる。
【0131】
フライホイール要素26の回転速度はまた、所定のパフォーマンスプロファイルを調整するためにコマンドモジュール72によって使用されるかまたは代替的に使用され得る自転車の実際の速度を指示し、それにより所定のパフォーマンスプロファイルの計算に採用される1つ以上の動的サイクリングパラメータに使用者の速度の影響を反映させる。
【0132】
他の実施形態では、外部装置は、特定のサイクリングルートをシミュレートするためのコマンド信号を生成するために使用することができるサイクリングルートに関するデータを含み得る。データは、例えば、ツールドフランスの特定のステージまたはオリンピックロードレースルートに関係する場合がある。
【0133】
そのような実施形態では、コマンドモジュール72は、選択されたルートの特性に係るコマンド信号に基づいて所定のパフォーマンスプロファイルを生成するように構成されてもよい。このような特性は、傾斜角、自転車タイヤとサイクリング面との間の転がり抵抗、及び高度を含んでもよい。それらはまた、選択されたルートに沿って以前に記録された走行の正確な条件をシミュレートするために、使用者が選択する事象における、風速、風向き、及び他の天候特性を含むことができる。
【0134】
シミュレーション中に、コマンドモジュール72は、上記で概説した方法に従って、使用者の動力出力を計算し、かつ使用者の測定されたケイデンスで必要とされる動力出力を決定するために所定のパフォーマンスプロファイルと比較する。これは、要求される動力出力を達成し、かつそれにより、選択されたギヤにおいて、及び使用者によって到達されるルートに沿った位置で、そのケイデンスで使用者が経験するであろうペダルへの抵抗をシミュレートするように、コマンドモジュール72が、サーボモータ42を制御し、かつそれによって測定ユニット58及び測定装置66から受信した測定値を微調するためにフライホイール要素26の磁気リム38に対する永久磁石44a、44bの組の移動を制御することを可能にする。
【0135】
選択されたルートに関するデータは、通信モジュール74を介して外部装置から単一送信の形態で提供することができることを理解されたい。しかしながらまた、より詳細で正確なシミュレーションを提供するために、より多くのデータの提供を可能にし、こうして所定のパフォーマンスプロファイルの進行中の調整を容易にするために、選択されたルートのシミュレーション中に、データは、通信モジュール74を介して外部装置からコマンドモジュール72へ連続的にストリームできることを理解されたい。
【0136】
いずれにしても、コマンドモジュール72は、通信モジュール74を介して外部装置にフィードバック信号を送り返してもよく、それは外部装置が選択されたルートに沿った使用者の進捗状況を追跡することを可能にする。これは外部装置の信号に変換することができ、それは、外部装置が、使用者が選択されたルートに沿って彼らの行程を視覚化することを可能にするであろうビデオ画像を生成することを可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10