(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989538
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】オープンシールド機
(51)【国際特許分類】
E21D 9/06 20060101AFI20211220BHJP
【FI】
E21D9/06 331
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-4231(P2019-4231)
(22)【出願日】2019年1月15日
(65)【公開番号】特開2020-111978(P2020-111978A)
(43)【公開日】2020年7月27日
【審査請求日】2020年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000189903
【氏名又は名称】植村 誠
(73)【特許権者】
【識別番号】501200491
【氏名又は名称】植村 賢治郎
(74)【代理人】
【識別番号】100078695
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 司
(74)【代理人】
【識別番号】100186864
【弁理士】
【氏名又は名称】尾関 眞里子
(72)【発明者】
【氏名】植村 誠
(72)【発明者】
【氏名】植村 賢治郎
(72)【発明者】
【氏名】竹川 廣明
(72)【発明者】
【氏名】日浦 正一
(72)【発明者】
【氏名】平久井 聡
【審査官】
三笠 雄司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第3916629(US,A)
【文献】
特開平2−167991(JP,A)
【文献】
実開平3−54896(JP,U)
【文献】
特開2005−30059(JP,A)
【文献】
特表2008−517184(JP,A)
【文献】
特許第3923973(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/00− 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オープンシールド機の前面または上面開口より前方の土砂を掘削・排土する工程と、推進ジャッキを伸長してコンクリート函体を反力にしてシールド機を前進させる工程と、シールド機のテール部内で縮めた推進ジャッキの後方に新たなコンクリート函体を上方から吊り降ろしてセットする工程とを適宜繰り返して順次コンクリート函体を縦列に埋設するオープンシールド工法に使用されるオープンシールド機であり、
オープンシールド機は先端の刃口を上下に複数に分割した可動分割刃口とし、それぞれの分割刃口はスライドジャッキで左右の側壁板から前方に突出するスライドボックスによるものであり、
オープンシールド機の側壁板の先端部にボックス収納部を形成し、先端鋭角刃口部を形成した前記スライドボックスによる可動分割刃口をオープンシールド機の側壁板の先端部を戸袋としての前記ボックス収納部に引き戸形式で出し入れ自在に収容し、前記可動分割刃口を左右の側壁板から突出することにより、前側方の地山の崩壊を防ぐようにするスライド土留板として用いるオープンシールド機において、前記スライドボックスは先端鋭角刃口部に機体側方へ張り出す可動部を設け、この可動部で外側部分をオーバーカット可能としたことを特徴とするオープンシールド機。
【請求項2】
可動部は、先端鋭角刃口部をピンにより水平方向に回転する可動式爪としたもので、伸長時にはこの可動式爪の先端が機体側方へ張り出す請求項1記載のオープンシールド機。
【請求項3】
可動式爪は側面および底面を回転用の凸状接合面とし、スライドボックスの縮小時には張り出し方向と逆向きに回転する請求項2記載のオープンシールド機。
【請求項4】
可動式爪は上下に複数段設ける請求項2または請求項3記載のオープンシールド機。
【請求項5】
可動部は、先端鋭角刃口部に円周が張出すように水平に設ける回転円盤カッターである請求項1記載のオープンシールド機。
【請求項6】
回転円盤カッターは、上下に複数段設ける請求項5記載のオープンシールド機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市街地に上下水道、地下道等の地下構造物を施工するオープンシールド工法に使用するオープンシールド機に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のごとくオープンシールド工法は、開削工法(オープン工法)とシールド工法の長所を生かした合理性に富む工法であり、このオープンシールド工法では、シールド機を前方の機体の後端に後方の機体の前端が嵌入して、相互の嵌合部で屈曲可能としてカーブ施工を可能としたり、方向修正を行えるようにした。
【0003】
その一例を説明すると、オープンシールド機1は、基本的には左右の側壁板とその間を連結する底板とからなる前面、後面及び上面を開口したシールド機である。
【0004】
該オープンシールド機1は
図19に示すように機体を前後方向で複数に分割し、フロント部2としての前方の機体の後端にテール部3としての後方の機体の前端が嵌入して、相互の嵌合部で屈曲可能とした。
【0005】
フロント部2は主として掘削を行うもので、前端と上面を開放面としてあり、機体内で後部に後方へ向けて中折ジャッキ4を左右によせて、また上下複数段に配設している。
【0006】
これに対してテール部3はコンクリート函体8の設置を行うもので、機体内で前部に後方へ向けてシールドジャッキ5を左右によせて、また上下複数段に配設したジャッキ部17と、その後方でスペースを確保した函体吊下し部18を構成している。
【0007】
図中6はフロント部2の前端に設けた可動分割刃口、19はこの可動分割刃口6のスライドジャッキ、10はプレスバー(押角)である。
【0008】
このようなオープンシールド機1を使用するオープンシールド工法は、
図23〜
図26に示すように、発進坑と到達坑との間で施工される。発進坑11内で前記オープンシールド機を組立て、発進坑11の前の地盤を地上に設置したシャベル系の掘削機12で掘削し、該オープンシールド機1のシールドジャッキ5を伸長して発進坑11内の反力壁に反力をとってオープンシールド機1を前進させ、地下構造物を形成する第1番目のコンクリート函体8を上方から吊り降し、オープンシールド機1のテール部3内で縮めたシールドジャッキ5の後方にストラットおよびプレスバー10とともにセットする。
【0009】
また、発進坑11はシートパイル等の土留壁で構成し、オープンシールド機1を発進させるにはこの土留壁を一部鏡切りするが、必要に応じて薬液注入等で発進坑11の前方部分に地盤改良を施しておくこともある。
【0010】
次いで、同様に掘削機12でフロント部2の前面又は上面から土砂を掘削し、かつ排土してオープンシールド機1を前進させ、前記第1番目のコンクリート函体8の前に第2番目のコンクリート函体8をテール部3内に吊り降す。
【0011】
以下、同様の掘進及びコンクリート函体8のセット工程を繰返して、順次コンクリート函体8を縦列に地中に埋設し、後方のコンクリート函体8上にダンプ14で埋戻しを施し、オープンシールド機1が到達坑13まで達したならばこれを分解・撤去して工事を完了する。図中15はグラウト機である。
【0012】
ところで、オープンシールド機1の掘進はシールドジャッキ5を伸長だけでなく、このシールドジャッキ5を固定して中折ジャッキ4の伸長でテール部3に対してフロント部2を進めることでも行なわれ、シールドジャッキ5と中折ジャッキ4との2段階で押し進める。
【0013】
その際、中折ジャッキ4のうち、左右いずれかを多く伸長させればフロント部2はその反対側に向きを変え、その方向に曲がる。また、上下いずれかを多く伸長させればフロント部2はその反対側に向きを変え、上向きまたは下向きに曲がる。このようにしたカーブ施工または方向修正が可能である。
【0014】
前記可動分割刃口6は、下記特許文献にもあるが
図20に示すように先端の刃口を上下の水平方向に複数に分割し、スライドジャッキ19で左右の側壁板から前方に突出するスライドボックス20によるもので、引き戸形式でオープンシールド機1の側壁板の先端部を戸袋としてのボックス収納部21に形成してこれに出し入れ自在に収容される。
【特許文献1】特許第3923973号公報
【0015】
前記可動分割刃口6は、これを左右の側壁板から突出することにより、前側方の地山の崩壊を防ぐようにするスライド土留板の役割がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従来の可動分割刃口6としてのスライドボックス20の構造では、
図21に示すようにスライドボックス20の外側に地山を切削できない部分αが残り、硬質な地盤においてはシールド機本体が掘進するときの抵抗が大きくなり、シールド機の姿勢制御及び敷設函体の出来形に影響を及ぼす傾向があった。
【0017】
さらに、従来のスライドボックス20の構造では、
図22に示すようにスライドボックス20の外壁全面が地山に接しているため、その土圧によりスライドボックス20の収縮動作に支障をきたす傾向があった。
【0018】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、左右側壁から突出するスライドボックスタイプの可動分割刃口を有するオープンシールド機において、シールド機の姿勢制御及び敷設函体の出来形に影響を及ぼすことがなく、また、スライドボックスが戻らなくなるおそれがないオープンシールド機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は前記目的を達成するため請求項1記載の発明は、オープンシールド機の前面または上面開口より前方の土砂を掘削・排土する工程と、推進ジャッキを伸長してコンクリート函体を反力にしてシールド機を前進させる工程と、シールド機のテール部内で縮めた推進ジャッキの後方に新たなコンクリート函体を上方から吊り降ろしてセットする工程とを適宜繰り返して順次コンクリート函体を縦列に埋設するオープンシールド工法に使用されるオープンシールド機であり、
オープンシールド機は先端の刃口を上下に複数に分割した可動分割刃口とし、それぞれの分割刃口はスライドジャッキで左右の側壁板から前方に突出するスライドボックスによるものであり、オープンシールド機の側壁板の先端部にボックス収納部を形成し、先端鋭角刃口部を形成した
前記スライドボックスによる可動分割刃口をオープンシールド機の側壁板の先端部を戸袋としての前記ボックス収納部に
引き戸形式で出し入れ自在に収容し、前記可動分割刃口を左右の側壁板から突出することにより、前側方の地山の崩壊を防ぐようにするスライド土留板として用いるオープンシールド機において、前記スライドボックスは先端鋭角刃口部に機体側方へ張り出す可動部を設け、この可動部で外側部分をオーバーカット可能としたことを要旨とするものである。
【0020】
請求項1記載の本発明によれば、先端に可動部を設けることで、スライドボックス伸張時には可動部がスライドボックスの更に外側の部分に張り出してその部分でオーバーカットすることができ、オーバーカットすることで地盤をほぐし、シールド機本体掘進時の抵抗を軽減することが期待できる。
【0021】
請求2記載の発明は、可動部は、先端鋭角刃口部をピンにより水平方向に回転する可動式爪としたもので、伸長時にはこの可動式爪の先端が機体側方へ張り出すことを要旨とするものである。
【0022】
請求2記載の発明によれば、先端を可動式に変えることで、スライドボックス伸張時には爪の先端部分がスライドボックスの更に外側の部分に張り出してその部分でオーバーカットすることができる。
【0023】
請求項3記載の本発明は、可動式爪は側面および底面を回転用の凸状接合面とし、スライドボックスの縮小時には張り出し方向と逆向きに回転することを要旨とするものである。
【0024】
請求項3記載の本発明によれば、オーバーカットするためスライドボックスの更に外側の部分に張り出した爪の先端部分を収縮時には戻す必要があるが、スライドボックスの縮小時には張り出し方向と逆向きに回転するようにしたので、自動的に戻すことができる。
【0025】
また、スライドボックス伸張時にスライドボックスと接する部分の地山の一部が切削されているため、スライドボックスに作用する土圧も軽減されるため、スライドボックスの収縮動作の改善が期待できる。
【0026】
請求項4記載の本発明は、可動式爪は上下に複数段設けることを要旨とするものである。
【0027】
請求項4記載の本発明によれば、可動式爪は上下に複数段設けることで、上下に幅広く地盤をほぐし、シールド機本体掘進時の抵抗を軽減することが期待できる。
【0028】
請求項5記載の本発明は、可動部は、先端鋭角刃口部に円周が張出すように水平に設ける回転円盤カッターであることを要旨とするものである。
【0029】
請求項5記載の本発明によれば、先端鋭角刃口部に円周が張出すように水平に設ける回転円盤カッターを設けることで、スライドボックス伸張時には回転円盤カッターがスライドボックスの更に外側の部分に張り出してその部分でオーバーカットすることができる。
【0030】
請求項6記載の本発明は、回転円盤カッターは、上下に複数段設けることを要旨とするものである。
【0031】
請求項6記載の本発明によれば、回転円盤カッターは、上下に複数段設けることで、上下に幅広く地盤をほぐし、シールド機本体掘進時の抵抗を軽減することが期待できる。
【発明の効果】
【0032】
以上述べたように本発明のオープンシールド機は、オープンシールド機の前面または上面開口より前方の土砂を掘削・排土する工程と、推進ジャッキを伸長してコンクリート函体を反力にしてシールド機を前進させる工程と、シールド機のテール部内で縮めた推進ジャッキの後方に新たなコンクリート函体を上方から吊り降ろしてセットする工程とを適宜繰り返して順次コンクリート函体を縦列に埋設するオープンシールド工法に使用され、左右側壁から突出するスライドボックスタイプの可動分割刃口を有するオープンシールド機において、シールド機の姿勢制御及び敷設函体の出来形に影響を及ぼすことがなく、また、スライドボックスが戻らなくなるおそれがないものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明のオープンシールド機の第1実施形態を示す要部の部分平面図である。
【
図2】本発明のオープンシールド機の第1実施形態を示す要部の部分平面図で、スライドボックス伸張時のものである。
【
図3】本発明のオープンシールド機の第1実施形態を示す要部の部分平面図で、スライドボックス収縮時のものである。
【
図4】本発明のオープンシールド機の第1実施形態を示す縮小時の側面図である。
【
図5】本発明のオープンシールド機の第1実施形態を示す縮小時の平面図である。
【
図7】本発明のオープンシールド機の第1実施形態を示す伸長時の側面図である。
【
図8】本発明のオープンシールド機の第1実施形態を示す伸長時の平面図である。
【
図10】本発明のオープンシールド機の第2実施形態を示す縮小時の側面図である。
【
図11】本発明のオープンシールド機の第2実施形態を示す縮小時の平面図である。
【
図13】本発明のオープンシールド機の第2実施形態を示す伸長時の側面図である。
【
図14】本発明のオープンシールド機の第2実施形態を示す縮小時の平面図である。
【
図16】本発明のオープンシールド機の第2実施形態を示す縮小時の要部の部分平面図である。
【
図17】本発明のオープンシールド機の第2実施形態を示す伸長時の要部の部分平面図である。
【
図18】本発明のオープンシールド機の第2実施形態を示す戻り時の要部の部分平面図である。
【
図19】オープンシールド機の概要を示す横断平面図である。
【
図21】従来例を示すスライドボックス伸張時の平面図である。
【
図22】従来例を示すスライドボックス収縮時の平面図である。
【
図23】オープンシールド工法の第1工程を示す側面図である。
【
図24】オープンシールド工法の第2工程を示す側面図である。
【
図25】オープンシールド工法の第3工程を示す側面図である。
【
図26】オープンシールド工法の第4工程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明のオープンシールド機の第1実施形態を示す要部の部分平面図、
図2は同上スライドボックス伸張時の平面図、
図3は同上スライドボックス収縮時の平面図で、前記従来例を示す
図20〜
図22と同一構成要素には同一参照符号を付したものである。
【0035】
図4、
図5に全体を示すが、本発明のオープンシールド機1も全体構成として、
図19に示した従来例と基本構造は同様であるから同一の参照符号を付してここでの詳細な説明は省略する。
【0036】
本発明のオープンシールド機1も刃口を上下に複数に分割した可動分割刃口6とし、それぞれの分割刃口が単独で前方に突出するタイプのものであり、スライドジャッキ19で左右の側壁板から前方に突出する
ボックスタイプのスライドボックス20によるものである。
【0037】
可動分割刃口6を構成するスライドボックス20は、引き戸形式でオープンシールド機1の側壁板の先端部の戸袋としてのボックス収納部21に出し入れ自在に収容される。
【0038】
スライドボックス20は先端鋭角刃口部に機体側方へ張り出す可動部27を設け、この可動部27で外側部分をオーバーカット可能とした。
【0039】
可動部27は、先端鋭角刃口部を平面略三角形状の分割体として、これをピン22により回転可能に軸支し、水平方向に回転する可動式爪23とした。
【0040】
可動式爪23は2等辺三角形状であり、斜辺26は内側に向き、側面24および底面25を回転用の凸状接合面とする。
【0041】
この凸状接合面は図示の例は円弧面として形成したが、回転可能な接合面であれば、多角形面でもよい。
【0042】
可動式爪23はブレードタイプで、先端鋭角刃口部本体をホルダーとし、
図7、
図9に示すようにこの可動式爪23は一つのスライドボックス20に対しては上下に複数段(図示では3〜4個)設け、さらに、スライドボックス20自体も上下に複数段(図示では3段)設けられて、可動分割刃口6を構成する。
【0043】
また、他の実施形態として可動式爪23は先端鋭角刃口部本体に対して1個のみを設けるようにしてもよい。この場合は可動式爪23は上下に厚みのあるものとなる。
【0044】
次に使用法について説明する。前記可動分割刃口6を有するオープンシールド機1は
図19で説明したように、前面または上面開口より前方の土砂を掘削・排土する工程と、推進ジャッキを伸長してコンクリート函体を反力にしてシールド機を前進させる工程と、シールド機のテール部内で縮めた推進ジャッキの後方に新たなコンクリート函体を上方から吊り降ろしてセットする工程とを適宜繰り返して順次コンクリート函体を縦列に埋設するオープンシールド工法に使用されるものである。
【0045】
可動分割刃口6は、これを左右の側壁板から突出することにより、前側方の地山の崩壊を防ぐようにするスライド土留板の役割がある。
【0046】
図2に示すようにスライドジャッキ19によりスライドボックス20の伸長時にはこの可動式爪23の先端が機体側方へ張り出し、外側部分をオーバーカットする。
【0047】
また、スライドジャッキ19によりスライドボックス20の縮小時には、
図3に示すように可動式爪23の先端部分は地山から離れた状態となっていて、地山からは土圧を受けない部分βがあり、さらにスライドボックス伸張時にスライドボックスと接する部分の地山の一部が切削されているため、土圧が軽減される部分γがあるので、収縮動作の改善が期待できる。
【0048】
さらに、スライドジャッキ19によりスライドボックス20の縮小時には、可動式爪23は回転用の凸状接合面である側面24および底面25が地山の摩擦で
図2の張り出し方向と逆向きに回転する。
【0049】
その結果、可動式爪23は機体側方へ張り出していたのが元の状態に自動的に戻る。
【0050】
本発明の第2実施形態として
図16〜18に示すように、スライドボックス20は先端鋭角刃口部に機体側方へ張り出す可動部27を設けるのに、可動部27は先端鋭角刃口部に円周が張出すように水平に設ける回転円盤カッター28とした。
【0051】
回転円盤カッター28は固定ピン29により中心水平方向に回転可動なものである。
【0052】
なお、
図10、
図12に示すようにこの回転円盤カッター28は薄刃タイプで、一つのスライドボックス20に対しては上下に複数段(図示では3〜4個)設け、さらに、スライドボックス20自体も上下に複数段(図示では3段)設けられて、可動分割刃口6を構成する。
【0053】
他の実施形態として、一つのスライドボックス20に対して1個の回転円盤カッター28を設けるようにしてもよい。
【0054】
使用法および作用を
図16〜
図18に示す。
図16に示すように従来のスライドボックスの先端部分の一部又は全体が固定ピン29を中心水平方向に回転可動な構造となった。
【0055】
図17はスライドボックス20の伸長時を示すもので、スライドボックス20の先端鋭角刃口部が出ていく場合に、回転円盤カッター28は回転しながら地盤を切削する。
【0056】
従来のスライドボックス構造では、スライドボックスの外側に地山を切削できない部分が残り、硬質力地盤においてはシールド機本体が掘進するときの抵抗が大きくなり、シールド機の姿勢制御及び敷設函休の出来形に影響を及ぼす傾向があった。
【0057】
先端を回転円盤カッター28の可動式に変えることで、スライドボックス20の伸張時には爪の先端部分がスライドボックス20の更に外側の部分をオーバーカットすることができ、シールド機1の本体掘進時の抵抗を軽減することが期待できる。
【0058】
また、スライドボックス20が縮小する場合には、
図18に示すように、回転円盤カッター28が前記伸長時とは逆向きに回転し、土圧により作用する摩擦力を低減することできる。
【0059】
このように従来のスライドボックス構造では、ボックスの外壁全面が地山に接しているため、その土圧によりスライドボックスの収縮動作に支障をきたす傾向があったが、先蟷を回転可動式に変えることで、スライドボックスの先端部分は収縮時に側方土圧により作用する摩擦力を低減することでき、スライドボックス伸長時にスライドボックスと接する部分の地山の一部が切削されているため、スライドボックスに作用する土圧も軽滅されるため、スライドボックスの収縮動作の改善が期待できる。
【符号の説明】
【0060】
1…オープンシールド機 2…フロント部
3…テール部 4…中折ジャッキ
5…シールドジャッキ 6…可動分割刃口
8…コンクリート函体 10…プレスバー
11…発進坑 12…掘削機
13…到達坑 14…ダンプ
15…グラウト機 17…ジャッキ部
18…函体吊下し部 19…スライドジャッキ
20…スライドボックス 21…ボックス収納部
22…ピン 23…可動式爪
24…側面 25…底面
26…斜辺 27…可動部
28…回転円盤カッター 29…固定ピン