特許第6989548号(P6989548)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989548
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/22 20060101AFI20211220BHJP
   F15B 11/00 20060101ALI20211220BHJP
   F04B 49/10 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   E02F9/22 L
   F15B11/00 M
   F04B49/10 311
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-45223(P2019-45223)
(22)【出願日】2019年3月12日
(65)【公開番号】特開2020-147963(P2020-147963A)
(43)【公開日】2020年9月17日
【審査請求日】2020年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 肇
(72)【発明者】
【氏名】竹林 圭文
(72)【発明者】
【氏名】岡 大輔
(72)【発明者】
【氏名】桑原 拓真
【審査官】 山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−162917(JP,A)
【文献】 特開2015−206420(JP,A)
【文献】 特開2018−054010(JP,A)
【文献】 特表2015−514942(JP,A)
【文献】 特開平11−269941(JP,A)
【文献】 特開2018−145984(JP,A)
【文献】 特開平11−256622(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/080825(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/22
F15B 11/00
F04B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変容量型の油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータと、
パイロット一次圧を供給するパイロット油圧源と、
前記油圧ポンプから前記複数のアクチュエータへ供給される圧油の流量を制御する複数の流量・方向制御弁と、
前記複数のアクチュエータの最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出回路と、
前記油圧ポンプの吐出圧が前記複数のアクチュエータの最高負荷圧より目標差圧だけ高くなるよう制御するロードセンシング制御部を有するポンプ制御装置と、
前記油圧ポンプを前記複数の流量・方向制御弁に接続する管路に設けられ、前記油圧ポンプの吐出圧が前記最高負荷圧に設定圧を加算した圧力よりも高くなると開状態になって前記油圧ポンプの吐出油をタンクに戻し、前記油圧ポンプの吐出圧の上昇を制限するアンロード弁とを備え、
前記ロードセンシング制御部は前記油圧ポンプの容量を変化させるLS制御傾転ピストンと、
前記LS制御傾転ピストンを前記パイロット油圧源とタンクとに選択的に連通させ、前記LS制御傾転ピストンの駆動を制御するLS制御弁を有する建設機械において、
前記LS制御弁と前記LS制御傾転ピストンとを連絡する油路に設けられ、前記最高負荷圧に基づいて絞り位置と連通位置との間で切り換わる応答制御切換弁を備え、
前記応答制御切換弁は、前記最高負荷圧がタンク圧以下の場合は連通位置となり、前記最高負荷圧がタンク圧より高い圧力の場合は絞り位置に切り換わる
ことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械において、
前記応答制御切換弁は、前記最高負荷圧が導かれ前記最高負荷圧を受圧し前記応答制御切換弁を絞り位置に切り換える最高負荷圧受圧部と、前記最高負荷圧受圧部の逆側に前記応答制御切換弁を連通位置に切り換えるバネとを有し、前記最高負荷圧受圧部にタンク圧が受圧している場合は連通位置となり、前記最高負荷圧受圧部にタンク圧より高い圧力が加わると絞り位置に切り換わる油圧切換弁である
ことを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項1に記載の建設機械において、
前記最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出装置と、
前記最高負荷圧検出装置の検出結果に基づき前記応答制御切換弁を切り換えるコントローラとを更に備え、
前記応答制御切換弁は、前記コントローラからの制御信号により切り換わる電磁切換弁である
ことを特徴とする建設機械。
【請求項4】
請求項1に記載の建設機械において、
前記パイロット一次圧を前記応答制御切換弁に供給可能な電磁切換弁と、
前記最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出装置と、
前記最高負荷圧検出装置の検出結果に基づき前記電磁切換弁を切り換えるコントローラとを更に備え、
前記応答制御切換弁は、前記電磁切換弁から出力される圧力により切り換わる油圧切換弁である
ことを特徴とする建設機械。
【請求項5】
請求項1に記載の建設機械において、
前記パイロット一次圧を前記応答制御切換弁に供給可能な電磁切換弁と、
前記最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出装置と、
前記複数の流量・方向制御弁が中立位置にあるか否かを検出する操作検出装置と、
前記操作検出装置と前記最高負荷圧検出装置の検出結果に基づき前記電磁切換弁を切り換えるコントローラとを更に備え、
前記応答制御切換弁は、前記電磁切換弁から出力される圧力により切り換わる油圧切換弁であり、
前記コントローラは、前記複数の流量・方向制御弁が作動位置で、かつ前記最高負荷圧がタンク圧以下の場合に前記油圧切換弁が連通位置となり、前記最高負荷圧がタンク圧より高い圧力の場合に前記油圧切換弁が絞り位置となるよう前記電磁切換弁を制御する
ことを特徴とする建設機械。
【請求項6】
請求項1に記載の建設機械において、
前記最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出装置と、
前記複数の流量・方向制御弁が中立位置にあるか否かを検出する操作検出装置と、
前記操作検出装置と前記最高負荷圧検出装置の検出結果に基づき前記応答制御切換弁を切り換えるコントローラとを更に備え、
前記応答制御切換弁は、前記コントローラからの制御信号により切り換わる電磁切換弁であり、
前記コントローラは、前記複数の流量・方向制御弁が作動位置で、かつ前記最高負荷圧がタンク圧以下の場合に前記電磁切換弁が連通位置となり、前記最高負荷圧がタンク圧より高い圧力の場合に前記電磁切換弁が絞り位置となるよう前記電磁切換弁を制御する
ことを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械に関し、特に、油圧ポンプの吐出圧が複数のアクチュエータの最高負荷圧だけ高くなるようにロードセンシング制御を行う油圧駆動システムが搭載された建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ポンプの吐出圧が複数のアクチュエータの最高負荷圧より目標差圧だけ高くなるようにロードセンシング制御を行う油圧駆動システムはロードセンシングシステムと呼ばれており、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の油圧駆動システムは、エンジンと、このエンジンにより駆動される可変容量型の油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータと、油圧ポンプから複数のアクチュエータへ供給される圧油の流量を制御する複数の流量・方向制御弁と、複数のアクチュエータの最高負荷圧を検出する検出回路と、油圧ポンプの吐出圧と複数のアクチュエータの最高負荷圧との差を絶対圧として出力する差圧減圧弁を設け、油圧ポンプの吐出圧が前記複数のアクチュエータの最高負荷圧より目標差圧だけ高くなるようロードセンシング制御する制御手段と、油圧ポンプを複数の流量・方向制御弁に接続する管路に設けられ、油圧ポンプの吐出圧が最高負荷圧に設定圧を加算した圧力よりも高くなると開状態になって油圧ポンプの吐出油をタンクに戻し、油圧ポンプの吐出圧の上昇を制限するアンロード弁とを備えている。
【0004】
ロードセンシングする制御手段としては、LS制御弁とLS制御傾転ピストンとを有し、前記差圧減圧弁の出力圧はLS制御弁の受圧部に導かれる。LS制御弁は差圧減圧弁の出力圧に応じて出力圧を変化させ、LS制御傾転ピストンはその出力圧に応じて油圧ポンプの傾転角(容量)を変化させる。LS制御弁の出力圧をLS制御傾転ピストンに導く油路には固定絞りが設けられことが多く、この固定絞りは、アクチュエータを操作する操作装置の操作レバーを中立位置から急操作したときなど、油圧ポンプの傾転角が増える際に、LS制御傾転ピストンより排出される油の流れを抑制し、油圧ポンプの傾転角の増大を緩やかにする役割を有する。
【0005】
油圧ショベルの場合、油圧アクチュエータは、フロント作業装置のブームを駆動するブームシリンダ、アームを駆動するアームシリンダ、バケットを駆動するバケットシリンダ、旋回体を旋回させるための旋回油圧モータ、走行体を走行させるための走行油圧モータ等であり、それぞれのアクチュエータに対して流量・方向制御弁が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−193705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように油圧アクチュエータを備える建設機械では、油圧アクチュエータの支持対象物(例えば、アームシリンダであればアームおよびバケット(アタッチメント)が主な支持対象となる)の自重が、当該油圧アクチュエータの動作方向と同一の方向の負荷(以下、「負の負荷」と称することがある)として作用することにより、当該油圧アクチュエータのメータイン側の圧油の流量が不足する場合がある。
【0008】
また、建設機械の油圧アクチュエータの支持対象物の重量は変化することが多い。例えば、油圧ショベルのフロント作業装置の先端(アームの先端)に装着されるアタッチメント(作業具)の交換により重量が変化することがある。油圧ショベルで利用されるアタッチメントは、標準バケットの他に、大型バケット、破砕機および小割機等、重量の異なる種々のものが存在しており、標準バケットより重いものが多い。このため、開発時に標準バケットを装着した状態を想定してアームシリンダのメータアウト絞りの開口面積が調整された油圧ショベルにおいて、標準バケットの代わりに他の重いアタッチメントがユーザーによって装着された場合には、そのフロント作業装置のアームを地面より上(すなわち空中)でクラウドするとき、アームとアタッチメントの合計重量が標準バケットを装着した状態よりも増加することによってアームシリンダの速度が標準バケットを装着した状態よりも速くなり、アームシリンダのメータイン側の圧油の流量が不足する場合がある。
【0009】
このように油圧アクチュエータのメータイン側の圧油の流量が不足すると、息継ぎ現象(キャビテーション)が発生して操作性が悪化し、オペレータが操作に違和感を覚えるおそれがある。
【0010】
しかし、特許文献1に記載の油圧駆動システムでは、油圧ポンプ傾転が最小になっているところにアクチュエータが駆動され負の負荷を受けている場合において、上述のように油圧ポンプのLS制御弁の出力圧をLS制御傾転ピストンに導く油路に設けられた固定絞りがある場合、この固定絞りの影響により油圧ポンプの傾転角の増大が遅れ、メータイン側の圧油の供給が遅れてしまう。従って、油圧ポンプのLS制御弁の出力圧をLS制御傾転ピストンに導く油路に設けられた固定絞りを持つロードセンシング方式では息継ぎ現象(キャビテーション)の発生が顕著になりやすい。
【0011】
そのため、例えば油圧ショベルのように、オペレータが実機に乗って操作している場合、不快に感じる上に操作自体やりづらくなり、オペレータの負担が大きくなるという問題があった。
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロードセンシング制御を行う油圧駆動システムを搭載し、油圧ポンプの良好な操作性を確保しつつ、メータイン側の圧油の流量が不足することによる息継ぎ現象(キャビテーション)を抑えることができる建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、可変容量型の油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータと、パイロット一次圧を供給するパイロット油圧源と、前記油圧ポンプから前記複数のアクチュエータへ供給される圧油の流量を制御する複数の流量・方向制御弁と、前記複数のアクチュエータの最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出回路と、前記油圧ポンプの吐出圧が前記複数のアクチュエータの最高負荷圧より目標差圧だけ高くなるよう制御するロードセンシング制御部を有するポンプ制御装置と、前記油圧ポンプを前記複数の流量・方向制御弁に接続する管路に設けられ、前記油圧ポンプの吐出圧が前記最高負荷圧に設定圧を加算した圧力よりも高くなると開状態になって前記油圧ポンプの吐出油をタンクに戻し、前記油圧ポンプの吐出圧の上昇を制限するアンロード弁とを備え、前記ロードセンシング制御部は前記油圧ポンプの容量を変化させるLS制御傾転ピストンと、前記LS制御傾転ピストンを前記パイロット油圧源とタンクとに選択的に連通させ、前記LS制御傾転ピストンの駆動を制御するLS制御弁を有する建設機械において、前記LS制御弁と前記LS制御傾転ピストンとを連絡する油路に設けられ、前記最高負荷圧に基づいて絞り位置と連通位置との間で切り換わる応答制御切換弁を備え、前記応答制御切換弁は、前記最高負荷圧がタンク圧以下の場合は連通位置となり、前記最高負荷圧がタンク圧より高い圧力の場合は絞り位置に切り換わるものとする。
【発明の効果】
【0014】
流量・方向制御弁を操作しアクチュエータが通常の負荷動作を行っておりメータイン側の圧油の流量が不足していない場合、最高負荷圧がタンク圧以上であるため、前記応答制御切換弁は絞り位置となる。これによりLS制御傾転ピストンからタンクへ排出される圧油の流れは、応答制御切換弁の絞り作用によって抑制され、油圧ポンプの傾転角の増減が緩やかになるため、従来通り旋回モータ、左右の走行モータ、ブームシリンダの様な被駆動体の慣性の影響を大きく受けるアクチュエータの起動時に体感する衝撃を緩和することができる。
【0015】
一方、流量・方向制御弁を操作してアクチュエータに負の負荷が掛かり息継ぎ現象(キャビテーション)が発生しうる場合、当該アクチュエータのメータイン側の圧油の流量が不足することで最高負荷圧がタンク圧のままとなるため、前記応答制御切換弁は連通位置に切り換わる。これによりLS制御傾転ピストンからタンクへ排出される圧油は、絞り作用が働かず速やかに排出され、油圧ポンプの傾転角が応答良く増加する。
【0016】
この結果、アームシリンダのような自重落下の影響により負の負荷を受け、圧油の供給流量が不足しているアクチュエータへの圧油の供給を素早く補うことができ、息継ぎ現象(キャビテーション)を速やかに解消もしくは未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る油圧ショベルの外観を示す図である。
図2】本発明の第1の実施例における油圧駆動システムの構成を示す図である。
図3】本発明の第1の実施例におけるコントローラの処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2の実施例における油圧駆動システムの構成を示す図である。
図5】本発明の第3の実施例における油圧駆動システムの構成を示す図である。
図6】本発明の第3の実施例におけるコントローラの処理を示すフローチャートである。
図7】本発明の第4の実施例における油圧駆動システムの構成を示す図である。
図8】本発明の第4の実施例におけるコントローラの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械として油圧ショベルを例に挙げ、図面を参照して説明する。なお、各図中、同等の部材には同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。
【0019】
図1は、本実施の形態における油圧ショベルの外観を示す図である。本実施の形態は、本発明をフロントスイング式の油圧ショベルに適用したものである。
【0020】
図1において、油圧ショベルは、下部走行体101と、この下部走行体101上に旋回可能に搭載された上部旋回体102と、この上部旋回体102の先端部分にスイングポスト103を介して上下及び左右方向に回動可能に連結されたフロント作業機104とを備えている。下部走行体101はクローラ式であり、トラックフレーム105の前方側に上下動可能な排土用のブレード106が設けられている。上部旋回体102は基礎下部構造をなす旋回台107と、旋回台107上に設けられたキャノピタイプの運転室108とを備えている。フロント作業機104はブーム111と、アーム112と、バケット113とを備え、ブーム111の基端はスイングポスト103にピン結合され、ブーム111の先端はアーム112の基端にピン結合され、アーム112の先端はバケット113にピン結合されている。
【0021】
上部旋回体102は下部走行体101に対して旋回モータ3aにより旋回駆動され、ブーム111、アーム112、バケット113は、それぞれ、ブームシリンダ3b、アームシリンダ3c、バケットシリンダ3dを伸縮することにより回動する。下部走行体101は左右の走行モータ3f,3gにより駆動される。ブレード106はブレードシリンダ3hにより上下に駆動される。
【0022】
運転室108には、運転席121、操作レバー装置122,123(図1では右側のみ図示)及びゲートロックレバー24が設けられている。
【実施例1】
【0023】
図2は、本発明の第1の実施例1に係る油圧ショベルに搭載された油圧駆動システムの構成を示す図である。
【0024】
図2において、本実施例における油圧駆動システムは、エンジン1と、エンジン1により駆動されるメインポンプとしての可変容量型の油圧ポンプ(以下メインポンプという)2及び固定容量型のパイロットポンプ30と、メインポンプ2から吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータ3a,3b,3c…と、メインポンプ2と複数のアクチュエータ3a,3b,3c…との間に位置するコントロールバルブ4と、メインポンプ2の吐出圧が高くなるにしたがってメインポンプ2の容量を減らし、メインポンプ2の吸収トルクが予め設定した最大トルクを超えないように制御する吸収トルク一定制御を行うトルク制御部17−1及びメインポンプ2の吐出圧が複数のアクチュエータ3a,3b,3c…の最高負荷圧より目標差圧(目標LS差圧)だけ高くなるようロードセンシング制御を行うロードセンシング制御部17−2を有するポンプ制御装置17と、パイロットポンプ30にパイロット油路31を介して接続され、パイロットポンプ30の吐出圧を一定(パイロット一次圧)に保持するパイロットリリーフ弁32と、パイロットリリーフ弁32とパイロットポンプ30との間に位置し、エンジン1の回転数に比例するパイロットポンプ30の吐出流量に基づいて、エンジン回転数に依存する油圧信号を絶対圧Pgrとして出力するエンジン回転数検出弁13と、エンジン回転数検出弁13の下流側に位置し、ゲートロックレバー24によって操作される安全弁としてのゲートロック弁100とを備えている。
【0025】
アクチュエータ3a,3b,3cは例えば油圧ショベルの旋回モータ、ブームシリンダ及びアームシリンダであり、流量・方向制御弁6a,6b,6cはそれぞれ例えば旋回用、ブーム用、アーム用の流量・方向制御弁である。なお、図2では、バケットシリンダ、ブームスイングシリンダ、走行モータ等のその他のアクチュエータ及びこれらアクチュエータに係わる流量・方向制御弁の図示は省略している。
【0026】
コントロールバルブ4は、メインポンプ2の吐出油が供給される第1圧油供給油路5(配管)に接続された第2圧油供給油路4a(内部通路)と、第2圧油供給油路4aから分岐する油路8a,8b,8c…に接続され、メインポンプ2からアクチュエータ3a,3b,3c…に供給される圧油の流量と方向をそれぞれ制御するクローズドセンタ型の複数の流量・方向制御弁6a,6b,6c…と、流量・方向制御弁6a,6b,6c…の上流側において油路8a,8b,8c…に接続され、流量・方向制御弁6a,6b,6c…のメータイン絞り部の前後差圧を制御する圧力補償弁7a,7b,7c…と、アクチュエータ3a,3b,3c…の負荷圧のうちの最高圧力(最高負荷圧)を選択して出力するシャトル弁9a,9b,9c…と、メインポンプ2の吐出圧と最高負荷圧との差圧を絶対圧として信号油路12a,12bに出力する差圧減圧弁11と、第2圧油供給油路4aに接続され、第2圧油供給油路4aの圧力(メインポンプ2の吐出圧)が設定圧力以上にならないように制限するメインリリーフ弁14と、メインポンプ2の吐出油が導かれる油路である第2圧油供給油路4aに接続され、メインポンプ2の吐出圧が最高負荷圧にアンロード設定圧を加算した圧力よりも高くなると開状態になってメインポンプ2の吐出油をタンクTに戻し、メインポンプ2の吐出圧の上昇を制限するアンロード弁15とを有している。
【0027】
流量・方向制御弁6a,6b,6c…はそれぞれ負荷ポート26a,26b,26c…を有し、これらの負荷ポート26a,26b,26c…は、流量・方向制御弁6a,6b,6c…が中立位置にあるときはタンクTに連通し、負荷圧としてタンク圧を出力し、流量・方向制御弁6a,6b,6c…が中立位置から図示左右の操作位置に切り換えられたときは、それぞれのアクチュエータ3a,3b,3c…に連通し、アクチュエータ3a,3b,3c…の負荷圧を出力する。
【0028】
シャトル弁9a,9b,9c…はトーナメント形式に接続され、負荷ポート26a,26b,26c…とともに最高負荷圧検出回路を構成する。すなわち、シャトル弁9aは、流量・方向制御弁6aの負荷ポート26aの圧力と流量・方向制御弁6bの負荷ポート26bの圧力との高圧側を選択して出力し、シャトル弁9bは、シャトル弁9aの出力圧と流量・方向制御弁6cの負荷ポート26cの圧力との高圧側を選択して出力し、シャトル弁9cは、シャトル弁9bの出力圧と図示しない他の同様なシャトル弁の出力圧との高圧側を選択して出力する。シャトル弁9cは最後段のシャトル弁であり、その出力圧は最高負荷圧として信号油路27,27aを介して差圧減圧弁11及びアンロード弁15に導かれる。
【0029】
差圧減圧弁11は、パイロットリリーフ弁32の圧力(パイロット一次圧)が油路33,34を介して導かれ、その圧力を元圧(一次圧)としてメインポンプ2の吐出圧と最高負荷圧との差圧をロードセンシング用制御圧として生成するバルブであり、メインポンプ2の吐出圧が導かれる受圧部11aと、最高負荷圧が導かれる受圧部11bと、自身の出力圧が導かれる受圧部11cとを有している。
【0030】
圧力補償弁7a,7b,7c…は、その目標補償差圧として差圧減圧弁11の出力圧が信号油路12aを介して導かれる開方向作動の受圧部21a,21b,21c…と、流量・方向制御弁6a,6b,6c…のメータイン絞り部の前後差圧を検出する受圧部22a,23a、22b,23b,22c,23c…を有し、流量・方向制御弁6a,6b,6c…のメータイン絞り部の前後差圧が差圧減圧弁11の出力圧(メインポンプ2の吐出圧とアクチュエータ3a,3b,3c…の最高負荷圧との差圧)に等しくなるように制御する。
【0031】
アンロード弁15は、アンロード弁のクラッキング圧Punを設定する閉方向作動の上述したバネ15aと、第1圧油供給油路5の圧力(メインポンプ2の吐出圧)が導かれる開方向作動の受圧部15bと、最高負荷圧が信号油路27aを介して導かれる閉方向作動の受圧部15cとを有し、第1圧油供給油路5の圧力が最高負荷圧にバネ15aの設定圧Punを加算した圧力よりも高くなると、開状態になって第1圧油供給油路5の圧油をタンクTに戻し、第1圧油供給油路5の圧力の上昇を制限する。アンロード弁15のバネ15aの設定圧は、一般的に、エンジン1が定格最高回転数にあるときのロードセンシング制御の目標差圧と概ね同じ値か、それよりも少し高い圧力に設定されており、本実施の形態では、エンジン1が定格最高回転数にあるときの通常のロードセンシング制御の目標差圧と同じ値(たとえば2MPa)に設定されている。
【0032】
パイロット油路31は、パイロットポンプ30とエンジン回転数検出弁13とを接続する油路部分31aと、エンジン回転数検出弁13とゲートロック弁100とを接続する油路部分31bと、ゲートロック弁100の下流側に位置する油路部分31cとから構成されている。以下、油路部分31a,31b,31cを適宜パイロット油路31a,31b,31cという。
【0033】
パイロット油路31bは、パイロット油路31bの圧力を一定に保つパイロットリリーフ弁32を有している。ゲートロック弁100は、ゲートロックレバー24を操作することによりパイロット油路31cをパイロット油路31bに接続する位置と、パイロット油路31cをタンクTに接続する位置とに切り換え可能である。
【0034】
パイロット油路31cには、流量・方向制御弁6a,6b,6c…を操作して対応するアクチュエータ3a,3b,3c…を動作させるための指令パイロット圧(指令信号)を生成する操作レバー装置122,123(図1参照)が接続されている。この操作レバー装置122,123は、ゲートロックレバー24がパイロット油路31cをパイロット油路31bに接続する位置に切り換えられているとき、それぞれの操作レバーの操作量に応じてパイロット油路31cの油圧を一次圧として指令パイロット圧(指令信号)を生成する。一方、ゲートロック弁100がパイロット油路31cをタンクTに接続する位置に切り換えられると、操作レバー装置122,123は、操作レバーを操作しても指令パイロット圧を生成不能な状態となる。
【0035】
エンジン回転数検出弁13は、入側がパイロット油路31aに接続され、出側がパイロット油路31bに接続され、パイロットポンプ30からの吐出流量に応じてその絞り量が可変である可変絞り弁13aと、その可変絞り弁13aの前後差圧を絶対圧Pgrとして出力する差圧減圧弁13bとから構成されている。パイロットポンプ30の吐出流量はエンジン回転数に依存して変化するため、可変絞り弁13aの前後差圧もエンジン回転数に依存して変化し、その結果、差圧減圧弁13bが出力する絶対圧Pgrもエンジン回転数に依存して変化する。差圧減圧弁13bの出力圧(可変絞り弁13aの前後差圧の絶対圧)は、信号油路40を介してロードセンシング制御の目標差圧(目標LS差圧)としてメインポンプ2の傾転角(容量或いは押しのけ容積)を制御するポンプ制御装置17に導かれる。これによりエンジン回転数に応じたサチュレーション現象の改善が図れ、エンジン回転数を低く設定した場合に良好な微操作性が得られる。この点は特開平10−196604号公報に詳しい。
【0036】
ポンプ制御装置17において、トルク制御部17−1はメインポンプ2の吐出圧が導かれるトルク制御傾転ピストン17aを有している。トルク制御傾転ピストン17aはメインポンプ2の吐出圧が高くなるにしたがってメインポンプ2の傾転角を減らして、メインポンプ2の吸収トルク(入力トルク)が図示しないバネによって予め設定した最大トルクを超えないように制御する。これによりメインポンプ2の吸収トルクがエンジン1の制限トルクを越えないように制御され、メインポンプ2の消費馬力を制限し、過負荷によるエンジン1の停止(エンジンストール)が防止される。
【0037】
ロードセンシング制御部17−2はLS制御弁17bとLS制御傾転ピストン17cとを有している。LS制御弁17bは対向するポンプ容量増加方向作動の受圧部17d及びポンプ容量減少方向作動の受圧部17eを有し、受圧部17dには信号油路40を介してエンジン回転数検出弁13の差圧減圧弁13bの出力圧がロードセンシング制御の目標差圧(目標LS差圧)として導かれ、受圧部17eに信号油路12bを介して差圧減圧弁11の出力圧(メインポンプ2の吐出圧と最高負荷圧との差圧の絶対圧)が導かれる。LS制御弁17bは、差圧減圧弁11の出力圧が差圧減圧弁13bの出力圧よりも高くなると、パイロットリリーフ弁32の圧力(パイロット一次圧)を油路33を介してLS制御傾転ピストン17cに導いてメインポンプ2の傾転角を減らし、差圧減圧弁11の出力圧が差圧減圧弁13bの出力圧よりも低くなると、LS制御傾転ピストン17cをタンクTに連通してメインポンプ2の傾転角を増やし、これによりメインポンプ2の吐出圧が最高負荷圧よりも差圧減圧弁13bの出力圧(目標差圧)だけ高くなるようにメインポンプ2の傾転角を制御する。このようにLS制御弁17b及びLS制御傾転ピストン17cは、メインポンプ2の吐出圧Pdが複数のアクチュエータ3a,3b,3c…の最高負荷圧PLmaxよりも目標差圧だけ高くなるようロードセンシング制御を行う。
【0038】
本実施の形態の油圧駆動システムは、上述した構成に加えて下記の構成を更に備えている。
【0039】
電磁切換弁70はパイロットリリーフ弁32の圧力(パイロット一次圧)を応答制御切換弁17f(後述)に導く油路38上に設置される。コントローラ49(後述)の出力する電気信号を受けて、パイロットリリーフ弁32の圧力(パイロット一次圧)とタンク圧とを切り換えて応答制御切換弁17fに出力する。
【0040】
応答制御切換弁17fはLS制御弁17bとLS制御傾転ピストン17cとの間の油路に設けられ、連通位置と絞り位置と有し、電磁切換弁70がタンクTと連通している場合は連通位置にあり、電磁切換弁70が切り換わりパイロット油圧源33と連通すると絞り位置に切り換えられる。
【0041】
圧力センサ47は信号油路35に設置される。流量・方向制御弁6a,6b,6c…が中立位置にあるときは信号油路35がタンクTに連通するので、圧力センサ47はタンクTの圧力を検知し、流量・方向制御弁6a,6b,6c…が中立位置にあり、アクチュエータ3a,3b,3c…が停止していることを検出する。流量・方向制御弁6a,6b,6c…が切り換えられたときは信号油路35が遮断され、圧力センサ47は信号油路35内の圧力がタンクTの圧力よりも高いことを検知し、流量・方向制御弁6a,6b,6c…が中立位置になく、アクチュエータ3a,3b,3c…が動作していることを検出する。圧力センサ47から出力される信号により、アクチュエータ3a,3b,3c…が停止した無作業時であるか否かをコントローラ49(後述)により判別できるようにする。
【0042】
圧力センサ48は信号油路27に設置される。流量・方向制御弁6a,6b,6c…が中立位置にあり、アクチュエータ3a,3b,3c…が停止しているときは信号油路27がタンクTに連通するので、圧力センサ48はタンクTの圧力を検知し、流量・方向制御弁6a,6b,6c…が中立位置にあり、アクチュエータ3a,3b,3c…が停止していることを検出する。流量・方向制御弁6a,6b,6c…が切り換えられアクチュエータ3a,3b,3c…が作動し作動負荷が掛かるときは、信号油路27はタンクTと遮断されアクチュエータ3a,3b,3c…の負荷圧が掛かり、圧力センサ48はアクチュエータ3a,3b,3c…の負荷圧を検出し、アクチュエータ3a,3b,3c…が通常の負荷動作を行っていることを検出する。流量・方向制御弁6a,6b,6c…が切り換えられアクチュエータ3a,3b,3c…が作動しているがアクチュエータ3a,3b,3c…に負の負荷が掛かりメータイン側の圧油の流量が不足するときは、圧力センサ48はタンク圧もしくはタンク圧以下の圧力を検知し、アクチュエータ3a,3b,3c…が負の負荷が掛かって作動していることを検出する。圧力センサ48から出力される信号により、アクチュエータ3a,3b,3c…が通常の作動負荷が掛かった状態で動作しているか否かを、コントローラ49(後述)により判別できるようにする。
【0043】
コントローラ49は入力側には圧力センサ47,48が接続され、出力側には電磁切換弁70が接続されている。
【0044】
図3は、コントローラ49の処理機能を示すフローチャートである。コントローラ49によるメインポンプ2の容量上昇制御手順を図3に従って説明する。
【0045】
コントローラ49は、圧力センサ47の測定値に基づいて、コントロールバルブ4の流量・方向制御弁6a,6b,6c…が作動位置にあるか否かを判定する(ステップS101)。
【0046】
ステップS101で圧力センサ47の測定値がタンク圧以下である(コントロールバルブ4の流量・方向制御弁6a,6b,6c…が中立位置にある)と判定した場合は、電磁切換弁70をOFFにして応答制御切換弁17fにタンク圧を導き、応答制御切換弁17fを絞り位置に切り換える(ステップS102)。
【0047】
ステップS101で圧力センサ47の測定値がタンク圧より大きい(コントロールバルブ4の流量・方向制御弁6a,6b,6c…が作動位置にある)と判定した場合は、圧力センサ48の測定値に基づいて、アクチュエータに負の負荷圧が掛かっている(メータイン側の圧油の流量が不足する可能性がある)か否かを判定する(ステップS103)。
【0048】
ステップS103で圧力センサ48の測定値がタンク圧より大きい(アクチュエータに正の負荷圧が掛かっている)と判定した場合は、電磁切換弁70をOFFにして応答制御切換弁17fにタンク圧を導き、応答制御切換弁17fを絞り位置に切り換える(ステップS102)。
【0049】
ステップS103で圧力センサ48の測定値がタンク圧以下である(アクチュエータに負の負荷圧が掛かっている)と判定した場合は、電磁切換弁70をONにして応答制御切換弁17fにパイロット一次圧を導き、応答制御切換弁17fを連通位置に切り換える(ステップS104)。
(2)動作
1.全操作レバー中立の場合
まず、全ての操作レバー(操作レバー装置122,123等の操作レバー)が中立にある場合、流量・方向制御弁6a,6b,6c…は図示の中立位置に保持され、それらの負荷ポート26a,26b,26c…の圧力もタンク圧となる。このため、シャトル弁9a,9b,9c…によって検出される最高負荷圧はタンク圧(0MPaと仮定)となり、メインポンプ2の吐出圧は、アンロード弁15により、アンロード弁15のアンロード設定圧とアンロード弁15のオーバーライド特性により生じる圧力を加算した圧力に制御され、差圧減圧弁11の出力圧は、メインポンプ2の吐出圧と同じ圧力(アンロード弁15のアンロード設定圧とアンロード弁15のオーバーライド特性により生じる圧力を加算した圧力)となり、この出力圧がLS制御弁17bの受圧部17eに導かれる。
【0050】
上述したようにアンロード弁15の目標アンロード圧(アンロード設定圧)が2MPaである場合、メインポンプ2の吐出圧は2MPaより少し高い圧力となり、LS制御弁17bの受圧部17eに導かれる差圧減圧弁11の出力圧も2MPaより少し高い圧力となる。
【0051】
この状態では、LS制御弁17bの受圧部17eに導かれる圧力(2MPaより少し高い圧力)はLS制御弁17bの受圧部17dに導かれる差圧減圧弁13bの出力圧Pgrであるロードセンシング制御の目標差圧(2PMa)よりも高く、LS制御弁17bは図示右側の位置に切り換わる。
【0052】
流量・方向制御弁6a,6b,6c…は図示の中立位置にあるため信号油路35はタンクTに連通するので、圧力センサ47はタンクTの圧力を検知し、図3のフローチャートにてステップS101が否定され、コントローラ49から電磁切換弁70への切換信号は出力されず、電磁切換弁70は図1の図示の位置にあり、応答制御切換弁17fは図1の図示の絞り位置にある。LS制御弁17bと応答制御切換弁17fの絞りを通過したパイロットリリーフ弁32の圧力(パイロット一次圧)はLS制御傾転ピストン17cに導かれ、メインポンプ2の傾転角(容量)は最小となり、吐出流量も最少となる。また、メインポンプ2の吐出圧はアンロード弁15により制御された最小圧力となる。その結果、メインポンプ2の吸収トルクも最小となる。
【0053】
2.操作レバーを操作しアクチュエータに通常負荷が掛かっている場合
通常負荷が掛かるアクチュエータ、例えばブーム上げ用の操作レバーを操作した場合は、信号油路35は流量・方向制御弁6bで遮断され、信号油路35の圧力はパイロットリリーフ弁32で決められた圧力(パイロット一次圧)まで上昇し、圧力センサ47はパイロットリリーフ圧を検知する。流量・方向制御弁6bが切り換わり、ブームシリンダ3bに圧油が供給され、ブームシリンダ3bが駆動される。このとき、流量・方向制御弁6bの負荷ポート26bはブームシリンダ3bの負荷圧となる。このためシャトル弁9a,9b,9c…によって検出される最高負荷圧はブームシリンダ3bの負荷圧となり、この負荷圧が圧力センサ48に検知される。これにより図3のフローチャートにてステップS103が否定され、コントローラ49から電磁切換弁70への切換信号は出力されず、電磁切換弁70は図1の図示の位置にあり、応答制御切換弁17fは図1の図示の絞り位置にある。メインポンプ2の傾転角(容量)はメインポンプ2の吐出圧がアクチュエータ(ブームシリンダ)3bの負荷圧よりも差圧減圧弁13bの出力圧Pgrであるロードセンシング制御の目標差圧(2MPa)だけ高くなるように制御される。
【0054】
応答制御切換弁17fが絞り位置にあるときは上述した基本動作においてLS制御弁17bが図示左側の位置に切り換わりメインポンプ2の傾転角が増加されるとき、LS制御傾転ピストン17cからタンクTへ排出される圧油の流れは、応答制御切換弁17fが絞り位置にある絞り作用によって抑制され、メインポンプ2の傾転角の増加を緩やかにする。同様に、LS制御弁17bが図示右側の位置に切り換わりメインポンプ2の傾転角が減少するよう制御されるとき、LS制御傾転ピストン17cへパイロットリリーフ弁32で決められた圧力(パイロット一次圧)の供給は抑制され、メインポンプ2の傾転角の減少を緩やかにする。これにより被駆動体の慣性を大きく受けるアクチュエータを急操作した場合でも、アクチュエータへの圧油の流入が緩やかになり、アクチュエータ起動時の衝撃を緩和し良好な操作性が得られる。
【0055】
3.操作レバーを操作しアクチュエータに負の負荷が掛かってメータイン側の圧油の流量が不足している場合
自重落下するアクチュエータ、例えば重アタッチメントが付いたアームクラウド用の操作レバーを操作した場合、信号油路35は流量・方向制御弁6cで遮断され、信号油路35の圧力はパイロットリリーフ弁32で決められた圧力(パイロット一次圧)まで上昇し、圧力センサ47はパイロットリリーフ圧を検知する。流量・方向制御弁6cが切り換わり、アームシリンダ3cを支えていたメータアウト側の圧油がタンクに戻り、アームシリンダ3cが自重落下する。このとき、流量・方向制御弁6cの負荷ポート26cはアームシリンダ3cにかかる負の負荷圧となる。このためシャトル弁9a,9b,9c…によって検出される最高負荷圧はタンク圧以下となり、圧力センサ48はタンク圧以下の圧力を検知する。これにより図3のフローチャートにてステップS103が肯定され、コントローラ49から電磁切換弁70へ切換信号が出力され、電磁切換弁70は図1の図示の位置から切り換わり、応答制御切換弁17fにはパイロットリリーフ弁32で決められた圧力(パイロット一次圧)が導かれ、応答制御切換弁17fは連通位置となる。
【0056】
最高負荷圧がタンク圧以下の圧力が信号油路27を介して差圧減圧弁11に導かれ、ポンプ圧も負の負荷が掛かるアクチュエータ3cによってタンク圧以下となった油路8cへ圧油が流れ込むためタンク圧以下まで落ち込み、差圧減圧弁11の出力するロードセンシング用制御圧は0MPaに近くなる。これにより、LS制御弁17bの受圧部17dに導かれる差圧減圧弁13bの出力圧Pgrであるロードセンシング制御の目標差圧(2MPa)よりも低く、LS制御弁17bは図示左側の位置に切り換わる。この結果、LS制御傾転ピストン17cにはタンク圧が導かれ、メインポンプ2の傾転角(容量)はメインポンプ2の吐出圧がアクチュエータ(アームシリンダ)3cの負荷圧よりも差圧減圧弁13bの出力圧Pgrであるロードセンシング制御の目標差圧(2MPa)だけ高くなるように制御されメインポンプ2の傾転角が増加する。
【0057】
応答制御切換弁17fが連通位置にあるときは、上述した基本動作において、LS制御弁17bが図示左側の位置に切り換わりメインポンプ2の傾転角が増加されるとき、LS制御傾転ピストン17cからタンクTへ排出される圧油は、絞り作用が働かず速やかに排出され、メインポンプ2の傾転角が応答良く増加し、負の負荷が掛かるアクチュエータ3cへの圧油の供給を速やかに行う。アクチュエータ3cのメータイン側の圧油の供給が満たされ、最高負荷圧がタンク圧より高くなった後は、応答制御切換弁17fが連通位置に切り換わり、アクチュエータへの圧油の流入が緩やかになり、アクチュエータ起動時の衝撃を緩和し良好な操作性が得られる。
(3)効果
本実施例では、可変容量型の油圧ポンプ2と、油圧ポンプ2から吐出された圧油により駆動される複数のアクチュエータ3a,3b,3c…と、パイロット一次圧を供給するパイロット油圧源33と、油圧ポンプ2から複数のアクチュエータ3a,3b,3c…へ供給される圧油の流量を制御する複数の流量・方向制御弁6a,6b,6c…と、複数のアクチュエータ3a,3b,3c…の最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出回路9a,9b,9c…,26a,26b,26c…と、油圧ポンプ2の吐出圧が複数のアクチュエータ3a,3b,3c…の最高負荷圧より目標差圧だけ高くなるよう制御するロードセンシング制御部17−2を有するポンプ制御装置17と、油圧ポンプ2を複数の流量・方向制御弁6a,6b,6c…に接続する管路に設けられ、油圧ポンプ2の吐出圧が前記最高負荷圧に設定圧を加算した圧力よりも高くなると開状態になって油圧ポンプ2の吐出油をタンクTに戻し、油圧ポンプ2の吐出圧の上昇を制限するアンロード弁15とを備え、ロードセンシング制御部17−2は油圧ポンプ2の容量を変化させるLS制御傾転ピストン17cと、LS制御傾転ピストン17cをパイロット油圧源33とタンクTとに選択的に連通させ、LS制御傾転ピストン17cの駆動を制御するLS制御弁17bを有する油圧ショベルにおいて、LS制御弁17bとLS制御傾転ピストン17cとを連絡する油路に設けられ、前記最高負荷圧に基づいて絞り位置と連通位置との間で切り換わる応答制御切換弁17fを備え、応答制御切換弁17fは前記最高負荷圧がタンク圧以下の場合は連通位置となり、前記最高負荷圧がタンク圧より高い圧力の場合は絞り位置に切り換わる。
【0058】
また、本実施例に係る油圧ショベルは、パイロット一次圧を応答制御切換弁17fに供給可能な電磁切換弁70と、前記最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出装置48と、最高負荷圧検出装置48の検出結果に基づき電磁切換弁70を切り換えるコントローラ49とを備え、応答制御切換弁17fは、電磁切換弁70から出力される圧力により切り換わる油圧切換弁17fであり、コントローラ49は、複数の流量・方向制御弁6a,6b,6c…が作動位置で、かつ前記最高負荷圧がタンク圧以下の場合に油圧切換弁17fが連通位置となり、前記最高負荷圧がタンク圧より高い圧力の場合に油圧切換弁17fが絞り位置となるよう電磁切換弁70を制御する。
【0059】
以上のように構成した本実施例によれば、ロードセンシング制御方式油圧駆動システムを搭載した油圧ショベルにおいて、アクチュエータの負荷に応じてメインポンプ2の応答性を可変とし、被駆動体の慣性を大きく受けるアクチュエータを急操作した場合、アクチュエータへの圧油の流入が緩やかになり、アクチュエータ起動時の衝撃を緩和し良好な操作性を確保しつつ、負の負荷が掛かることで圧油の供給流量が不足しているアクチュエータを操作した場合、圧油の供給を素早く補うことで息継ぎ現象(キャビテーション)を速やかに解消もしくは未然に防ぐことができる。
【実施例2】
【0060】
図4は本発明の第2の実施例に係る油圧ショベルに搭載された油圧駆動システムの構成を示す図である。以下、第1の実施例との相違点を中心に説明する。
(1)構成
図4において、本実施例における油圧駆動システムは、圧力センサ47,48、コントローラ49、および電磁切換弁70(図2参照)を備えていない。応答制御切換弁17fは、信号油路27bにより最高負荷圧が導かれ、複数のアクチュエータ3a,3b,3c…の最高負荷圧がタンク圧以下の場合は連通位置にあり、最高負荷圧がタンク圧より大きくなると絞り位置に切り換えられる。
(2)動作
1.全操作レバー中立の場合
応答制御切換弁17fは図4の図示の連通位置にある。LS制御弁17bと応答制御切換弁17fの絞られていない油路を通過したパイロットリリーフ弁32の圧力(パイロット一次圧)はLS制御傾転ピストン17cに導かれ、メインポンプ2の傾転角(容量)は最小となり、吐出流量も最少となる。
【0061】
2.操作レバーを操作しアクチュエータに通常負荷が掛かっている場合
通常負荷が掛かるアクチュエータ、例えばブーム上げ用の操作レバーを操作した場合は、流量・方向制御弁6bが切り換わり、ブームシリンダ3bに圧油が供給され、ブームシリンダ3bが駆動される。このとき、流量・方向制御弁6bの負荷ポート26bはブームシリンダ3bの負荷圧となる。このためシャトル弁9a,9b,9c…によって検出される最高負荷圧はブームシリンダ3bの負荷圧となり、この負荷圧が圧力センサ48に検知される。これにより信号油路27bにより導かれた最高負荷圧により、応答制御切換弁17fは図4の図示の絞り位置にある。メインポンプ2の傾転角(容量)はメインポンプ2の吐出圧がアクチュエータ(ブームシリンダ)3bの負荷圧よりも差圧減圧弁13bの出力圧Pgrであるロードセンシング制御の目標差圧(2MPa)だけ高くなるように制御される。
【0062】
応答制御切換弁17fが絞り位置にあるときは上述した基本動作においてLS制御弁17bが図示左側の位置に切り換わりメインポンプ2の傾転角が増加されるとき、LS制御傾転ピストン17cからタンクTへ排出される圧油の流れは、応答制御切換弁17fが絞り位置にある絞り作用によって抑制され、メインポンプ2の傾転角の増加を緩やかにする。同様に、LS制御弁17bが図示右側の位置に切り換わりメインポンプ2の傾転角が減少するよう制御されるとき、LS制御傾転ピストン17cへパイロットリリーフ弁32で決められた圧力(パイロット一次圧)の供給は抑制され、メインポンプ2の傾転角の減少を緩やかにする。これにより被駆動体の慣性を大きく受けるアクチュエータを急操作した場合でも、アクチュエータへの圧油の流入が緩やかになり、アクチュエータ起動時の衝撃を緩和し良好な操作性が得られる。
【0063】
3.操作レバーを操作しアクチュエータに負の負荷が掛かってメータイン側の圧油の流量が不足している場合
自重落下するアクチュエータ、例えば重アタッチメントが付いたアームクラウド用の操作レバーを操作した場合、流量・方向制御弁6cが切り換わり、アームシリンダ3cを支えていたメータアウト側の圧油がタンクに戻り、アームシリンダ3cが自重落下する。このとき、流量・方向制御弁6cの負荷ポート26cはアームシリンダ3cにかかる負の負荷圧となる。このためシャトル弁9a,9b,9c…によって検出される最高負荷圧はタンク圧以下となり、圧力センサ48はタンク圧以下の圧力を検知する。これにより、応答制御切換弁17fには信号油路27よりタンク圧が導かれ、応答制御切換弁17fは連通位置のままとなる。
【0064】
最高負荷圧がタンク圧以下の圧力が信号油路27を介して差圧減圧弁11に導かれ、ポンプ圧も負の負荷が掛かるアクチュエータ3cによってタンク圧以下となった油路8cへ圧油が流れ込むためタンク圧以下まで落ち込み、差圧減圧弁11の出力するロードセンシング用制御圧は0MPaに近くなる。これにより、LS制御弁17bの受圧部17dに導かれる差圧減圧弁13bの出力圧Pgrであるロードセンシング制御の目標差圧(2MPa)よりも低く、LS制御弁17bは図示左側の位置に切り換わる。この結果、LS制御傾転ピストン17cにはタンク圧が導かれ、メインポンプ2の傾転角(容量)はメインポンプ2の吐出圧がアクチュエータ(アームシリンダ)3cの負荷圧よりも差圧減圧弁13bの出力圧Pgrであるロードセンシング制御の目標差圧(2MPa)だけ高くなるように制御されメインポンプ2の傾転角が増加する。
【0065】
応答制御切換弁17fが連通位置にあるときは、上述した基本動作において、LS制御弁17bが図示左側の位置に切り換わりメインポンプ2の傾転角が増加されるとき、LS制御傾転ピストン17cからタンクTへ排出される圧油は、絞り作用が働かず速やかに排出され、メインポンプ2の傾転角が応答良く増加し、負の負荷が掛かるアクチュエータ3cへの圧油の供給を速やかに行う。
【0066】
アクチュエータ3cのメータイン側の圧油の供給が満たされ、最高負荷圧がタンク圧より高くなった後は、応答制御切換弁17fが連通位置に切り換わり、アクチュエータへの圧油の流入が緩やかになり、アクチュエータ起動時の衝撃を緩和し良好な操作性が得られる。
(3)効果
本実施例では、応答制御切換弁17fは、複数のアクチュエータ3a,3b,3c…の最高負荷圧が導かれ前記最高負荷圧を受圧し応答制御切換弁17fを絞り位置に切り換える最高負荷圧受圧部17gと、最高負荷圧受圧部17gの逆側に応答制御切換弁17fを連通位置に切り換えるバネ17hとを有し、最高負荷圧受圧部17gにタンク圧が受圧している場合は連通位置となり、最高負荷圧受圧部17gにタンク圧より高い圧力が加わると絞り位置に切り換わる油圧切換弁17fである。
【0067】
以上のように構成した本実施例においても、第1の実施例と同様の効果が得られる。
【実施例3】
【0068】
図5は本発明の第3の実施例に係る油圧ショベルに搭載された油圧駆動システムの構成を示す図である。以下、第1の実施例との相違点を中心に説明する。
【0069】
図5において、応答制御切換弁17kは、コントローラ49からの制御信号により切り換わる電磁切換弁である。コントローラ49は、圧力センサ47,48の検出結果に応じて応答制御切換弁17kへ切換信号を出力する。応答制御切換弁17kは、コントローラ49から切換信号が出力されていない場合は絞り位置にあり、コントローラ49から切換信号が出力されると連通位置に切り換えられる。
【0070】
図6はコントローラ49の処理機能を示すフローチャートである。コントローラ49によるメインポンプ2の容量上昇制御手順を図6に従って説明する。
【0071】
コントローラ49は、圧力センサ47の測定値に基づいて、コントロールバルブ4の流量・方向制御弁6a,6b,6c…が作動位置にあるか否かを判定する(ステップS301)。
【0072】
ステップS301で圧力センサ47の測定値がタンク圧以下である(コントロールバルブ4の流量・方向制御弁6a,6b,6c…が中立位置にある)と判定した場合は、応答制御切換弁17kをOFFにして絞り位置に切り換える(ステップS302)。
【0073】
ステップS301で圧力センサ47の測定値がタンク圧より大きい(コントロールバルブ4の流量・方向制御弁6a,6b,6c…が作動位置にある)と判定した場合は、圧力センサ48の測定値に基づいて、アクチュエータ3a,3b,3c…に負の負荷圧が掛かっている(メータイン側の圧油の流量が不足する可能性がある)か否かを判定する(ステップS303)。
【0074】
ステップS303で圧力センサ48の測定値がタンク圧より大きい(アクチュエータ3a,3b,3c…に正の負荷圧が掛かっている)と判定した場合は、応答制御切換弁17kをOFFにして絞り位置に切り換える(ステップS302)。
【0075】
ステップS303で圧力センサ48の測定値がタンク圧以下である(アクチュエータ3a,3b,3c…に負の負荷圧が掛かっている)と判定した場合は、応答制御切換弁17kをONにして連通位置に切り換える(ステップS304)。
(2)動作
本実施例に係る油圧ショベルの動作は、応答制御切換弁17kがコントローラ49からの制御信号で切り換えられる点を除き、第1の実施例と同様である。
(3)効果
本実施例に係る油圧ショベルは、複数のアクチュエータ3a,3b,3c…の最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出装置48と、複数の流量・方向制御弁6a,6b,6c…が中立位置にあるか否かを検出する操作検出装置47と、操作検出装置47と最高負荷圧検出装置48の検出結果に基づき応答制御切換弁17kを切り換えるコントローラ49とを備え、応答制御切換弁17kは、コントローラ49からの制御信号により切り換わる電磁切換弁であり、コントローラ49は、複数の流量・方向制御弁6a,6b,6c…が作動位置で、かつ前記最高負荷圧がタンク圧以下の場合に電磁切換弁17kが連通位置となり、前記最高負荷圧がタンク圧より高い圧力の場合に電磁切換弁17kが絞り位置となるよう電磁切換弁17kを制御する。
【0076】
以上のように構成した本実施例においても、第1の実施例と同様の効果が得られる。
【実施例4】
【0077】
図7は、本発明の第4の実施例に係る油圧ショベルに搭載された油圧駆動システムの構成を示す図である。以下、第2の実施例との相違点を中心に説明する。
【0078】
図7において、応答制御切換弁17kは、コントローラ49からの制御信号により切り換わる電磁切換弁である。コントローラ49は、圧力センサ48の検出結果に応じて応答制御切換弁17kへ切換信号を出力する。応答制御切換弁17fは、コントローラ49から切換信号が出力されていない場合は絞り位置にあり、コントローラ49から切換信号が出力されると連通位置に切り換えられる。
【0079】
図8はコントローラ49の処理機能を示すフローチャートである。コントローラ49によるメインポンプ2の容量上昇制御手順を図8に従って説明する。
【0080】
コントローラ49は、圧力センサ48の測定値に基づいて、アクチュエータ3a,3b,3c…に負の負荷圧が掛かっている(メータイン側の圧油の流量が不足する可能性がある)か否かを判定する(ステップS401)。
【0081】
ステップS401で圧力センサ48の測定値がタンク圧より大きい(アクチュエータ3a,3b,3c…に正の負荷圧が掛かっている)と判定した場合は、電磁切換弁70をOFFにして応答制御切換弁17fにタンク圧を導き、応答制御切換弁17fを絞り位置に切り換える(ステップS402)。
【0082】
ステップS401で圧力センサ48の測定値がタンク圧以下である(アクチュエータ3a,3b,3c…に負の負荷圧が掛かっている)と判定した場合は、電磁切換弁70をONにして応答制御切換弁17fにパイロット一次圧を導き、応答制御切換弁17fを連通位置に切り換える(ステップS403)。
(2)動作
本実施例に係る油圧ショベルの動作は、応答制御切換弁17kがコントローラ49からの制御信号で切り換えられる点を除き、第2の実施例と同様である。
(3)効果
本実施例に係る油圧ショベルは、複数のアクチュエータ3a,3b,3c…の最高負荷圧を検出する最高負荷圧検出装置48と、最高負荷圧検出装置48の検出結果に基づき応答制御切換弁17kを切り換えるコントローラ49とを備え、応答制御切換弁17kは、コントローラ49からの制御信号により切り換わる電磁切換弁である。
【0083】
以上のように構成した本実施例においても、第2の実施例と同様の効果が得られる。
【0084】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成の一部を加えることも可能であり、ある実施例の構成の一部を削除し、あるいは、他の実施例の一部と置き換えることも可能である。
【符号の説明】
【0085】
1…エンジン、2…メインポンプ(油圧ポンプ)、3a…旋回モータ(アクチュエータ)、3b…ブームシリンダ(アクチュエータ)、3c…アームシリンダ(アクチュエータ)、3d…バケットシリンダ(アクチュエータ)、3f,3g…走行モータ(アクチュエータ)、3h…ブレードシリンダ(アクチュエータ)、4…コントロールバルブ、4a…第2圧油供給油路、5…第1圧油供給油路、6a,6b,6c…流量・方向制御弁、7a,7b,7c…圧力補償弁、8a,8b,8c…油路、9a,9b,9c…シャトル弁(最高負荷圧検出回路)、11…差圧減圧弁、11a,11b,11c…受圧部、12a,12b…信号油路、13…エンジン回転数検出弁、13a…可変絞り弁、13b…差圧減圧弁、14…メインリリーフ弁、15…アンロード弁、15a…バネ、15b,15c…受圧部、17…ポンプ制御装置、17−1…トルク制御部、17−2…ロードセンシング制御部、17a…トルク制御傾転ピストン、17b…LS制御弁、17c…LS制御傾転ピストン、17d,17e…受圧部、17f…応答制御切換弁(油圧切換弁)、17g…最高負荷圧受圧部、17h…バネ、17k…応答制御切換弁(電磁切換弁)、21a,21b,21c,22a,22b,22c,23a,23b,23c…受圧部、24…ゲートロックレバー、26a,26b,26c…負荷ポート(最高負荷圧検出回路)、27,27a,27b…信号油路、30…パイロットポンプ、31…パイロット油路、31a,31b,31c…パイロット油路、32…パイロットリリーフ弁、33…油路(パイロット油圧源)、34…油路、35…信号油路、38…油路、40…信号油路、47…圧力センサ(操作検出装置)、48…圧力センサ(最高負荷圧検出装置)、49…コントローラ、70…電磁切換弁、100…ゲートロック弁、101…下部走行体、102…上部旋回体、103…スイングポスト、104…フロント作業機、105…トラックフレーム、106…ブレード、107…旋回台、108…運転室、111…ブーム、112…アーム、113…バケット、121…運転席、122,123…操作レバー装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8