(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔基本形態〕
以下、図面を参照して、本発明のステントの実施形態を説明する。実施形態の説明に先立ち、
図1〜
図9を参照して、本発明の特徴的構成を備えていない第1基本構成のステント11の全体構成を説明する。本発明の実施形態は、例えば、基本形態に本発明の特徴的構成を設けたものである。本発明の特徴的構成については、
図10〜
図18等を用いて説明する。
【0014】
図1は、無負荷状態の基本形態のステントの斜視図である。
図2は、無負荷状態の基本形態のステントを仮想的に平面に展開してパターンを繰り返して示す展開図である。
図3は、
図2に示すステントの部分拡大図である。
図4は、
図3に示すステントの部分拡大図である。
図5は、ステントが縮径されるときにステントの環状体の波形要素の頂部に変形が生じることを示す説明図である。
図6A及び
図6Bは、ステントの環状体の波形要素の頂部にスリットが設けられていない場合の縮径時の波形要素の変形状態を示す模式図である。
図7A及び
図7Bは、ステントの環状体の波形要素の頂部にスリットが設けられている場合の縮径時の波形要素の変形状態を示す模式図である。
図8は、ステントの環状体の波形要素の頂部の第1の形態を示す部分拡大図である。
図9は、ステントの環状体の波形要素の頂部の第2の形態を示す部分拡大図である。
【0015】
図1に示すように、ステント11は略円筒形状である。ステント11の周壁は、ワイヤ状の材料で囲まれた合同な形状を有する複数のクローズドセルが周方向に敷き詰められたメッシュパターンの構造を、有している。
図2では、ステント11の構造の理解を容易にするために、ステント11は平面に展開した状態で示されている。また、
図2では、メッシュパターンの周期性を示すために、仮想的に、実際の展開状態よりもメッシュパターンを繰り返した形で示している。本明細書において、ステント11の周壁とは、ステント11の略円筒構造の円筒の内部と外部とを隔てる部分を意味する。また、セルとは、開口又は隔室ともいい、ステント11のメッシュパターンを形成するワイヤ状の材料で囲まれた部分をいう。
【0016】
ステント11は、ステンレス鋼、又はタンタル、プラチナ、金、コバルト、チタン若しくはこれらの合金のような生体適合性を有する材料から形成されている。ステント11は、特にニッケルチタン合金のような超弾性特性を有した材料から形成されていることが好ましい。
【0017】
ステント11は、長手軸線方向(すなわち中心軸線方向)LDに並んで配置される複数の波線状パターン体としての環状体13と、長手軸線方向LDに隣り合う環状体13の間に配置されている接続要素としての複数のコイル状要素15と、を備える。
図3に示すように、環状体13は、二つの脚部17aを頂部17bで連結した略V字形状の波形要素17を周方向に複数接続して形成される波線状パターンを、有する。詳細には、頂部17bを交互に逆側に配置した状態で、略V字形状の波形要素17は接続される。
【0018】
軸線方向LDに対して垂直な径方向RDに視たときに、環状体13の環方向CDは、径方向RDに対して傾斜している。径方向RDに対して環状体13の環方向CDが傾斜する角度θは、例えば30度〜60度である。
【0019】
各コイル状要素15の両端部は、それぞれ、隣り合う二つの環状体13の対向する側の頂部17bに接続されている。なお、隣り合う環状体13の対向する側の頂部17bの全ては、相互にコイル状要素15によって接続されている。ステント11は、いわゆるクローズドセル構造を有している。すなわち、隣り合う環状体13の一方において波線状パターンに沿って脚部17aによって互いに接続される三つの頂部17bのうちの波線状パターンに沿って隣に位置する二つの頂部17bは、それぞれコイル状要素15によって、隣り合う環状体13の他方において波線状パターンに沿って脚部17aによって互いに接続される三つの頂部のうちの波線状パターンに沿って隣に位置する二つの頂部に接続されて、セルを形成する。そして、各環状体13の波線状パターンの全ての頂部17bは、三つのセルに共有される。
【0020】
複数のコイル状要素15は、軸線方向LDに沿って等間隔で配置されている。各コイル状要素15は、中心軸線周りに螺旋状に延びている。
図3に示すように、環状体13に対して軸線方向LDの一方側に位置する一方のコイル状要素15(15R)の巻き方向(右巻き)と、軸線方向LDの他方側に位置する他方のコイル状要素15(15L)の巻き方向(左巻き)とは、逆である。一方のコイル状要素15Rの長さは、脚部17aの長さよりも長いが、脚部17aの長さの1.5倍以下である。他方のコイル状要素15Lの長さは、脚部17aの長さよりも短い。
【0021】
なお、本発明において、環状体13の環方向CDは、径方向RDに対して傾斜していなくてもよい(環方向CDと径方向RDとが平行であってもよい。)。頂部17bの一部は、コイル状要素15(接続要素)によって接続されていなくてもよい。接続要素は、軸線LD周りに螺旋状に延びていなくてもよく、直線状又は略直線状であってもよい。
【0022】
各コイル状要素15の両端部には、湾曲部15aが形成されている。各コイル状要素15の両端部は、それぞれ、湾曲部15aを介して、隣り合う二つの環状体13の対向する側の頂部17b(詳細にはその瘤状部19)に接続されている。
図4に示すように、コイル状要素15の両端部の湾曲部15aは、円弧形状を有している。コイル状要素15と環状体13の波線状パターンの頂部17bとの接続端におけるコイル状要素15の接線方向は、長手軸線方向LDに一致する。
【0023】
コイル状要素15の端部の幅方向中心と環状体13の頂部17bの頂点(幅方向中心)
とは、ずれている(一致していない)。コイル状要素15の端部の幅方向の一方の端縁と環状体13の頂部17bの幅方向の端縁とは、一致している。
【0024】
ステント11は、以上のような構造を備えることにより、優れた形状追従性や縮径性を実現すると共に、金属疲労によるステントの破損を生じにくくしている。ステント11の環状体13の波形要素17の頂部17bに設けられた瘤状部19は、金属疲労を軽減する効果を奏する。ステント11の環状体13の波形要素17の頂部17bの内側周縁から延びるスリット21は、ステント11の縮径性を向上させる効果を奏する。
【0025】
従来のクローズドセル構造のステントは、構造上、柔軟性に欠けるので、屈曲血管において座屈を生じて血流の阻害を招く危険性があった。また、ステントが局所的に変形すると、その変形の影響がステントの径方向RDだけでなく、長手軸線方向LDにも伝播され、ステントは局所的に独立して変形できない。これに起因して、ステントは、動脈瘤のような複雑な血管構造に適合できずにステントの周壁と血管壁との間に隙間を生じてしまい、血管の拍動に伴う変形でステントが血管内腔で滑りやすくなって、留置後のステントの移動(マイグレーション)を生じる恐れもあった。
【0026】
これに対して、基本形態のステント11は、拡張状態から縮径状態(クリンプ状態)に変形されるとき、環状体13の波線状パターンが折り畳まれるように圧縮した状態になると共に、コイル状要素15がコイルバネのように長手軸線方向LDに寝て長手軸線方向LDに引っ張られたような状態になる。ステント11の環状体13の波線状パターンの波形要素17の一つを取り出して考えると、波形要素17は、ステント11の縮径及び拡張の際に、
図5に示されているように、ピンセットの開閉のように変形する。
【0027】
図6Aに示されているように波形要素17の根本の谷側部分(頂部17bの内側周縁部)にスリット21が設けられていない場合、ステント11を縮径させるときに波形要素17を閉じるように変形させると、
図6Bに示されているように、脚部17aの中央部は、樽状に外側に膨らんで変形しやすい。波形要素17がこのように樽状に膨らんで変形すると、ステント11を縮径する際に、環状体13において周方向に隣り合う波形要素17の脚部17aの樽状に膨らんだ部分同士は、接触する。
【0028】
この接触は、ステント11(特にその環状体13)が縮径することを妨げ、縮径率を低くする要因となる。これに対して、基本形態のステント11では、
図7Aに示されているように、環状体13の波形要素17の根本部分にスリット21が設けられている。そのため、ステント11を縮径する際に、
図7Bに示すように、ステント11は変形して、環状体13において周方向に隣り合う波形要素17の脚部17a同士は、接触しにくくなり、縮径率を高めることができる。
【0029】
上述したように、波形要素17は、ステント11の縮径及び拡張の際に、
図5に示されているように、ピンセットの開閉のように変形する。このため、ステント11のクリンプ及び拡張の際に、変形が頂部に集中し、この部分に材料変形によるひずみを集中的に発生する。したがって、ステント11の縮径と拡張を繰り返し行った場合や、血管内の血流や血管壁の拍動による変形に伴ってステント11が繰り返し負荷を受けた場合には、波形要素17の頂部17bで過度な金属疲労が生じやすい。そこで、ステント11では、金属疲労が発生するリスクを低減させるために、頂部17bに発生するひずみを小さくするように頂部17bの形状に改良を加えている。
【0030】
ステント11の縮径及び拡張の際、波形要素17は、根本の谷側部分(内側周縁部)を中心に開閉するので、波形要素17の頂部17bのひずみは、頂部17bの領域のうちの特に外側周縁部(
図5において両端に矢印が付された曲線で示される頂部17bの外側)に、多く生じる。ここで、ひずみeは、変形前の長さをl0(エルゼロ)、変形量をu
とすると、以下の式により表される。
e=u/l0
したがって、ステント11の頂部17bの金属疲労の発生リスクを低減させるためには、ステント11の縮径及び拡張の際に発生する頂部17bのひずみを小さくすればよい。
【0031】
縮径の際の変形量uが同じだけ与えられるとすれば、l0に相当する長さを大きくすることにより、頂部17bに発生するひずみを小さくすることができる。また、波形要素17の変形は、波形要素17の根本の谷側部分(内側周縁部)を中心に行われ、実質的に変形に寄与するのは、波形要素17の頂部17bの山側部分(
図8〜
図9の上部において両側矢印で示されている範囲)、特にその外側周縁部分である。そこで、ステント11では、
図8から
図9に示されているように、延長部分19aと略半円形部分19bとを含み且つコイル状要素15の幅よりも大きい幅を有する瘤状部19を、頂部17bに形成することにより、頂部17bを長手軸線方向LDに延長するようにしている。
【0032】
具体的には、波形要素17の脚部17aと、その頂部17bを形成する略半円形部分19bとの間に、長手軸線方向LDに延びる延長部分19aを設けて、変形基点となる波形要素17の根本の谷側部分(内側周縁部)から外側へ向かって頂部17bをオフセットさせる。これにより、頂部17bの外側周縁部分を長くしている。延長部分19aは、縮径時に周方向に隣り合う瘤状部19同士が接触して縮径を妨げる要因となることを防ぐために、
図8から
図9に示されているように、長手軸線方向LDに延びる直線部分によって形成することが望ましい。
【0033】
なお、波形要素17の頂部17bに、頂部17bの内側周縁部から延びるスリット21が形成されている場合、
図7A及び
図7Bに示されているように、波形要素17の変形は、スリット21の先端(
図8から
図9におけるスリット21の上端)を中心として行われる。クリンプ及び拡張に伴う変形に関与する主たる部分は、波形要素17においてスリット21の先端よりも外側に位置する部分となる。したがって、
図8に示されているように、延長部分19aの長さがスリット21の長さと同じ又はスリット21の長さよりも短い形態よりも、
図9に示されているように、延長部分19aの長さがスリット21の長さよりも長く、延長部分19aがスリット21の先端を越えて延びている形態とすることが好ましい。
【0034】
図8及び
図9に示すように、スリット21の対向する側縁は、概略平行に延びる直線状である。なお、スリット21の対向する側縁は、概略平行に延びていなくてもよい(例えば、脚部17aへ向けてわずかに拡がっていてもよい。不図示)。また、スリット21の対向する側縁は、直線状でなくてもよい(不図示)。
【0035】
さらに、ニッケルチタン合金のような超弾性合金からステント11を形成している場合、
図9に示されているように、ステント11の環状体13の波形要素17の頂部17bに瘤状部19を設け且つ瘤状部19の延長部分19aの長さがスリット21を超える長さを有するように構成することができる。これにより、腸弾性合金の超弾性特性を最大限に引き出し、ステント11の外径変化に対する拡張力の変化を抑制することができる。
【0036】
ステント11の環状体13の波形要素17の頂部17bにスリット21が設けられている場合に、頂部17bに設けられた瘤状部19の延長部分19aの長さがスリット21を超える長さを有するように構成することにより、負荷時にスリット21の周辺部においてマルテンサイト相へ相変態する体積比率が高まる。したがって、ステント11が
図9に示されているような頂部17bを有する波形要素17を備えるように構成されることにより、ステント11の直径の変化に対する拡張力の変化が緩やかで、異なる血管径でも拡張力の変化の少ないステント11を実現することができる。
【0037】
ステント11のコイル状要素15の両端部に設けられた湾曲部15aは、環状体13との接続部におけるコイル状要素15の変形を一層円滑にさせ、ステント11の縮径性を高める効果を奏する。
【0038】
ステント11を縮径させる際には、コイル状要素15が長手軸線方向LDに引き伸ばされるように変形する。そのため、ステント11の柔軟性を高めるためには、環状体13の頂部17bとコイル状要素15との接続部分が柔軟となる設計にする必要がある。ステント11では、コイル状要素15の両端部に円弧形状を有する湾曲部15aを設け、湾曲部15aを介して環状体13の頂部17bとコイル状要素15とを接続している。ステント11の縮径時に、湾曲部15aが曲げを受けて変形することにより、コイル状要素15の柔軟な変形を可能にし、縮径性を向上させている。
【0039】
また、コイル状要素15と環状体13の頂部17bとが接続する接続端における湾曲部15aの接線方向が長手軸線方向LDに一致する構成は、ステント11の縮径及び拡張に伴う変形を容易にすると共に、ステント11の直径の変化に対する拡張力の変化を緩やかにする効果を奏する。
【0040】
コイル状要素15は、コイルバネのように変形して、長手軸線方向LDに伸長することにより、ステント11の縮径に伴う径方向RDの変形を可能にしている。したがって、環状体13とコイル状要素15とが接続する接続端における湾曲部15aの接線方向を長手軸線方向LDに一致させることにより、コイル状要素15の長手軸線方向LDへの変形特性を効果的に発揮できるようになる。コイル状要素15が長手軸線方向LDに円滑に変形できるようになる結果、ステント11の縮径及び拡張が容易になる。また、コイル状要素15の長手軸線方向LDの自然な変形が促されることによって、予期しない変形抵抗が発生することを防ぐことができ、ステント11の直径の変化に対する拡張力の応答が緩やかになる効果を奏する。
【0041】
ステント11は、縮径された状態でカテーテル内に挿入され、プッシャーなどの押出機で押されてカテーテル内を移動し、病変部位に展開される。このとき、押出機により付与される長手軸線方向LDの力は、ステント11の環状体13及びコイル状要素15の間で相互作用を及ぼしながらステント11の全体に伝達されていく。
【0042】
次に、ステント11の使用方法を説明する。患者の血管内にカテーテルが挿入され、カテーテルを病変部位まで到達させる。次に、ステント11は、縮径(クリンプ)されてカテーテル内に配置される。ステント11は、環状体13の波線状パターン、環状体13の頂部17bに形成されたスリット21、コイル状要素15の湾曲部15a、接続端における湾曲部15aの接線方向が長手軸線方向LDに一致する構成の複合的及び相乗的効果により、縮径性が高められている。そのため、従来のステントと比較してより細いカテーテル内にステント11を挿入することを容易にし、より細い血管へのステント11の適用を可能にする。
【0043】
次に、プッシャーなどの押出機を用いてカテーテルの内腔に沿って縮径した状態のステント11を押し、病変部位でカテーテルの先端からステント11を押し出して拡張(展開)させる。ステント11は、複数の環状体13をコイル状要素15によって接続した構成、コイル状要素15の湾曲部15a、接続端における湾曲部15aの接線方向が長手軸線方向LDに一致する構成の複合的及び相乗的効果により、輸送時の柔軟性が高められている。そのため、ステント11は、カテーテルが蛇行した血管内に挿入されている場合でも、カテーテルに沿って柔軟に変形し、病変部位へステント11を輸送することが容易である。
【0044】
さらに、ステント11は、環状体13の頂部17bに瘤状部19を設ける構成により、金属疲労の発生を抑制することができ、留置ミスによるステント11の縮径及び拡張の繰り返し、血流や血管壁の拍動によるステント11の繰り返し変形などによるステント11の破損を抑制することができる。
【0045】
加えて、ステント11は、環状体13の頂部17bにスリット21を設けることによりクリンプ時に変形部においてマルテンサイト相に相変態する領域を増加させる構成と、コイル状要素15の湾曲部15a、接続端における湾曲部15aの接線方向が長手軸線方向LDに一致する構成との複合的及び相乗的な効果により、柔軟性が向上すると共に、除荷過程においてステント11の直径の変化に対する拡張力の変化が穏やかになる。この結果、ステント11の形状追従性が向上されると共に、テーパー状の血管のように局所的に血管径が変化する部位においても、血管に過度な負荷を与えることなくステント11を留置することが可能となる。
【0046】
なお、基本形態のステント11の構成は、前述の構成に限定されない。例えば、一方のコイル状要素15Rの長さと他方のコイル状要素15Lの長さとは、同じであってもよい。一方のコイル状要素15Rの長さ及び他方のコイル状要素15Lの長さの両方が、脚部17aの長さよりも長くてもよく、あるいは、脚部17aの長さよりも短くてもよい。コイル状要素15の螺旋方向は、左巻きでもよく、右巻きでもよい。
【0047】
基本形態においては、波線状パターン体13は環状体を形成している。一方、本発明においては、周方向に非連続であり且つ環状体を形成しない波線状パターン体13を採用できる。環状体を形成しない波線状パターン体13は、環状体を形成する波線状パターン体と比べて、波線状パターン体を構成するストラット(脚部17a)が1本又は複数本抜けた形状を有する。抜くストラットの本数は、ステント11の形状が実現可能な範囲において、適宜に1本又は複数本を設定できる。
【0048】
〔不透過性部材の配列パターン〕
次に、不透過性部材の配列パターンのバリエーションについて、
図10〜
図16を用いて説明する。
図10は、
図1に示す基本形態のステントの実際の展開図である。
図11は、不透過性部材の第1の配列パターンを示す図である。
図12は、不透過性部材の第2の配列パターンを示す図である。
図13は、不透過性部材の第3の配列パターンを示す図である。
図14は、不透過性部材の第4の配列パターンを示す図である。
図15は、不透過性部材の第5の配列パターンを示す図である。
図16は、不透過性部材の第6の配列パターンを示す図である。
【0049】
本発明においては、放射線の不透過性が高い略筒状の複数の不透過性部材31が、環状パターン体(環状体13)及び/又は接続要素(コイル状要素15)を構成するストラットの近傍に配置されている。不透過性部材31が設けられる態様については、後で詳述する。
複数の不透過性部材31は、規則性を有して、環方向CD、軸線方向LD及びステントの周方向のうちの一つ以上に沿って配列していてもよい。
【0050】
不透過性部材31は、放射線の不透過性が高い部材であり、そのため、放射線を照射したときに視認性が高い部材である。不透過性部材31の材料は、金属でもよく、合成樹脂でもよい。ステント11に、不透過性部材31が設けられている場合、例えば、ステント11が拡張(展開)している状態や、ステント全体の湾曲形状などを容易に視認することができる。
【0051】
不透過性部材31が近傍に配置されるストラット(コイル状要素15、環状体13)としては、実質的に曲がらないストラットや実質的に変形しないストラットが好ましい。実質的に曲がらないストラットや実質的に変形しないストラットとしては、長さが短い他方のコイル状要素15Lが挙げられる。
【0052】
金属材料製の不透過性部材31における金属材料としては、例えば、金、タンタル、プラチナ、タングステン、イリジウム、プラチナタングステンなど、及びこれらの合金材料が挙げられる。また、放射線不透過性フィラー等を添加した放射線不透過性を有するポリマー材料が挙げられる。
【0053】
図10は、
図2と基本的には同じ展開図であるが、
図2は、
図1に示す基本形態のステントを仮想的に平面に展開してパターンを繰り返して示す展開図であるのに対して、
図10は、基本形態のステントの実際の展開図である。
図11〜
図16は、本発明の実施形態のステントの実際の展開図である。
【0054】
図11に示す第1の配列パターンを有するステント11−1においては、不透過性部材31は、環方向CDに沿って配列する環状体13の脚部17aに、軸線方向LDにジグザグに6か所(6個)設けられている。6個の不透過性部材31は、ステント11−1の縮径時に互いに干渉しないように配列している(以下、同様)。また、ステント11−1においては、不透過性部材31とは設けられる態様の異なる第2の不透過性部材32が2個の遠位端それぞれに設けられている(以下、同様)。6個の不透過性部材31は、1グループ、3個で2グループを形成している。これにより、2個の第2の不透過性部材32と併せて、湾曲状態のステントの湾曲形状やステントの遠位端の位置などを確認しやすくしている(以下、同様)。なお、不透過性部材31,32について、破線の円で囲んで示している(以下、同様)。
【0055】
図12に示す第2の配列パターンを有するステント11−2においては、不透過性部材31は、環方向CDに沿って配列する環状体13の脚部17aに、軸線方向LDにジグザグに4か所(4個)設けられている。4個の不透過性部材31は、1グループ、2個で2グループを形成している。2グループは軸線方向LDに間を空けている。
【0056】
図13に示す第3の配列パターンを有するステント11−3においては、不透過性部材31は、環方向CDに沿って配列する環状体13の脚部17aに、軸線方向LDにズレて2か所(2個)設けられている。
【0057】
図11〜
図13に示すステントの全体骨格と、
図14〜
図16に示すステントの全体骨格とは、基本的には同じであるが、寸法バランスが異なる。
図14に示す第4の配列パターンを有するステント11−4においては、不透過性部材31は、環方向CDに沿って配列する環状体13の脚部17aに、軸線方向LDにジグザグに11か所(11個)設けられている。11個の不透過性部材31は、1グループを形成している。
【0058】
図15に示す第5の配列パターンを有するステント11−5においては、不透過性部材31は、環方向CDに沿って配列する環状体13の脚部17aに、軸線方向LDにジグザグに6か所(6個)設けられている。6個の不透過性部材31は、1グループ、3個で2グループを形成している。2グループは軸線方向LDに間を空けている。
【0059】
図16に示す第6の配列パターンを有するステント11−6においては、不透過性部材31は、環方向CDに沿って配列する環状体13の脚部17aに、軸線方向LDにジグザグに6か所(6個)設けられている。6個の不透過性部材31は、1グループ、2個で3グループを形成している。3グループはそれぞれ軸線方向LDに間を空けている。
【0060】
なお、図示していないが、不透過性部材31は、ステントの周方向にも配列していてもよい。
【0061】
〔不透過性部材が設けられる態様〕
次に、不透過性部材31が設けられる態様について、
図17及び
図18を用いて説明する。
図17は、不透過性部材が設けられる第1態様を示す図であって、第1突部及び第2突部に不透過性部材が挿入されている部位を示す図である。
図18は、
図17について不透過性部材が挿入されていない状態を示す図である。
【0062】
図17及び
図18に示すように、環方向CDに沿って配列する環状体13の脚部17aに、対をなす第1突部40及び第2突部41が設けられる。第1突部40及び第2突部41に接着剤42で、不透過性部材31が固定されている。
【0063】
環方向CDに沿って配列する環状体13の脚部17aは、所定の方向(本形態では、環方向CD)に延びているストラットを構成する。
【0064】
第1突部40は、第2突部41よりもステント11の近位側(
図11における左側)に位置するように脚部17aに設けられ、脚部17aから離れる方向に延びてから所定の方向(環方向CD)におけるステント11の遠位側(
図11における右側)に延びている略L字形状の突起である。第1突部40は、脚部17aと一体に形成されている。第1突部40における所定の方向に延びている部分は、第2突部41における所定の方向に延びている部分よりも長くてもよい(L40>L41)。
【0065】
第2突部41は、第1突部40よりもステント11の遠位側に位置するように脚部17aに設けられ、脚部17aから離れる方向に延びてから所定の方向(環方向CD)におけるステント11の近位側に延びている略L字形状の突起である。第2突部41は、脚部17aと一体に形成されている。第1突部40及び第2突部41は、脚部17aから同じ方向に離れている。第2突部41における所定の方向に延びている部分は、第1突部40における所定の方向に延びている部分よりも短くてもよい(L41<L40)。
【0066】
第1突部40の先端401と第2突部41の先端411とは離間している。第1突部40の先端401と第2突部41の先端411との間隔L43は、好ましくは、30μm〜10mmである。
例えば、ステントの全長が10〜100mmの場合、間隔L43は、30μm〜300μmである。ステントの全長が50〜500mmの場合、間隔L43は、0.5mm〜5mmである。
また、例えば、不透過性部材31の全長が100〜1000μmの場合、間隔L43は、30μm〜300μmである。不透過性部材31の全長が1〜10mmの場合、間隔L43は、0.5mm〜5mmである。なお、間隔L43は実質的に無くてもよい(ゼロであってもよい)。
【0067】
第1突部40における所定の方向に延びている部分の長さL40は、好ましくは、30μm〜10mmである。
例えば、ステントの全長が10〜100mmの場合、長さL40は、50〜1000μmである。ステントの全長が50〜500mmの場合、長さL40は、0.5〜10mmである。
また、例えば、不透過性部材31の全長が100〜1000μmの場合、長さL40は、30μm〜200μmである。不透過性部材31の全長が1〜10mmの場合、長さL40は、5mm〜10mmである。
【0068】
第2突部41における所定の方向に延びている部分の長さL41は、好ましくは、20μm〜10mmである。
例えば、ステントの全長が10〜100mmの場合、長さL41は、50〜1000μmである。ステントの全長が50〜500mmの場合、長さL41は、0.5〜10mmである。
また、例えば、不透過性部材31の全長が100〜1000μmの場合、長さL41は、30μm〜200μmである。不透過性部材31の全長が1〜10mmの場合、長さL41は、5mm〜10mmである。
【0069】
第1突部40及び第2突部41は、所定の方向に延びている部分の基端における脚部17aの反対側の部分402,412に、凸となる形状を有している。
【0070】
第1突部40及び第2突部41が設けられているストラットは、隣接するストラットよりも第1突部40及び第2突部41が設けられている側とは反対側に、寄っている。これにより、第1突部40及び第2突部41が設けられていても、ストラット全体の長手方向に沿う基準位置よりも第1突部40及び第2突部41の突出距離を小さくすることができる。
【0071】
不透過性部材31は、放射線の不透過性が高い略筒状であって、その両端に第1突部40及び第2突部41の各々が挿入されている。略筒状とは、完全な筒状を含む他、全体視で筒状と見做せる形状を広く意味する。略筒状は、コイルバネの形状(螺旋状)や断面C字の形状などを含む。不透過性部材31は、作製時に、筒の軸方向(長さ方向)に伸縮性を有することが好ましく、本実施形態ではコイルバネである。
【0072】
このような不透過性部材31は、所定の疎密度よりも隙間の割合が大きい疎の範囲311と、所定の疎密度よりも隙間の割合が小さい密の範囲312と、を有する。具体的に、不透過性部材31は、ステント11の近位側(
図17における左側)から遠位側に向けて、疎の範囲311、密の範囲312、疎の範囲311の順に有し、疎の範囲311で第1突部40及び第2突部41に接着剤42で固定されている。すなわち、不透過性部材31は、対の第1突部40及び第2突部41を覆う長手方向の両端側の各々の部分が疎の範囲311であり、両端側の各々の部分の間が密の範囲312である。
【0073】
不透過性部材31において、疎の範囲311に対するそれに隣接する密の範囲312の長さの比は、好ましくは、疎の範囲311を基準(1)として、1:1.5〜20.0である。基準とする疎の範囲311は、不透過性部材31の端部に位置する疎の範囲311である。
【0074】
不透過性部材31の外径は、視認性が確保される観点から0.2mm以上であることが好ましい。また、不透過性部材31の外径は、内径が0.027inchのカテーテルに挿入する場合、0.52mm以下であり、内径が0.028inchのカテーテルに挿入する場合、0.55mm以下である必要がある。
【0075】
接着剤42は、UV硬化型のもの、熱硬化型のもの、2液混合のもの、シアノアクリレート系のもの等の樹脂系接着剤が適宜採用される。接着剤は、広く解釈され、半田、ロウ等の金属系接着を広く含む。
【0076】
図19A〜
図19Cは、第1突部及び第2突部に不透過性部材を挿入させる過程を順次示す図である。
図19Aに示すように、第1突部40にコイルバネからなる不透過性部材31の一端側を挿入してゆく。
図19Bに示すように、不透過性部材31は、第1突部40の基端近傍に突き当たり、その後縮む。そのため、不透過性部材31の他端は、第1突部40の先端401と第2突部41の先端411との間43に位置するか、それに近い状態になる。その後、
図19Cに示すように、不透過性部材31の他端を第2突部41に挿入する。不透過性部材31の弾性復元力を利用して、不透過性部材31の他端を第2突部41に容易に挿入することができる。
なお、
図19A〜
図19Cに示す挿入過程は一例であり、不透過性部材31の長さや伸縮性、第1突部40及び/又は第2突部41の長さ、第1突部40の先端401と第2突部41の先端411との間隔L43などによって、挿入過程(挿入形態)は異なる。
【0077】
図20に示す第2態様においては、環方向CDに沿って配列する環状体13の脚部17aに、突部44が設けられ、突部44に接着剤42で不透過性部材31が固定されている。突部44の先端は、遠位側を向いている。突部44と対となる突部は設けられていない。
【0078】
不透過性部材31は、放射線の不透過性が高い略筒状であって、突部44に挿入されている。このような不透過性部材31は、所定の疎密度よりも隙間の割合が大きい疎の範囲311と、所定の疎密度よりも隙間の割合が小さい密の範囲312と、を有する。具体的に、不透過性部材31は、ステント11の近位側(
図20における左側)から遠位側に向けて、疎の範囲311、密の範囲312の順に有し、疎の範囲311で突部44に接着剤42で固定されている。すなわち、不透過性部材31においては、疎の範囲311が密の範囲312よりも、ステント11の近位側に位置する。
【0079】
図21に示す第3態様においては、環方向CDに沿って配列する環状体13の脚部17a自体に接着剤42で不透過性部材31が固定されている。
【0080】
不透過性部材31は、放射線の不透過性が高い略筒状であって、脚部17aに挿入されている。このような不透過性部材31は、所定の疎密度よりも隙間の割合が大きい疎の範囲311と、所定の疎密度よりも隙間の割合が小さい密の範囲312と、を有する。具体的に、不透過性部材31は、ステント11の近位側(
図21における左側)から遠位側に向けて、疎の範囲311、密の範囲312の順に有し、疎の範囲311で脚部17aに接着剤42で固定されている。すなわち、不透過性部材31においては、疎の範囲311が密の範囲312よりも、ステント11の近位側に位置する。疎の範囲311に対するそれに隣接する密の範囲312の長さの好ましい比は、前述の説明が援用される。
【0081】
〔不透過性部材の別の態様〕
次に、不透過性部材31の別の態様について、
図22〜
図25を用いて説明する。
図22〜
図25は、不透過性部材の別の態様を示す図である。
【0082】
図22に示す別の態様において、不透過性部材31は、チューブ(筒状体)に、周方向に延びる隙間としてのスリット313が多数設けられている形態を有する。スリット313の幅、ピッチ、長さ等を異ならせることにより、疎の範囲311、密の範囲312を形成することができる。例えば、スリット313のピッチ及び長さが同じであれば、幅が広いスリット313が集合した範囲が疎の範囲311となり、幅が狭いスリット313が集合した範囲が密の範囲312となる。スリット313の幅及び長さが同じであれば、スリット313が小さいピッチで集合した範囲が疎の範囲311となり、スリット313が大きいピッチで集合した範囲が密の範囲312となる。スリット313の幅及びピッチが同じであれば、長さが長いスリット313が集合した範囲が疎の範囲311となり、長さが短いスリット313が集合した範囲が密の範囲312となる。これらの例示を組み合わせることができる。
【0083】
図23に示す別の態様において、不透過性部材31は、断面が円弧形状(C字形状)であり、周方向に延びる隙間としてのスリット313が多数設けられている形態を有する。すなわち、不透過性部材31の形状は、閉じた筒状のものに限定されるものではない。
また、不透過性部材31の形状は、略筒状とは言えないような断面が湾曲形状のもの(図示せず)であってもよい。
【0084】
図24に示す別の態様において、不透過性部材31は、チューブ(筒状体)に、軸方向に延びる隙間としてのスリット313が多数設けられている形態を有する。スリット313の幅、ピッチ、長さ等を異ならせることにより、疎の範囲311、密の範囲312を形成することができる。例えば、スリット313のピッチ及び長さが同じであれば、幅が広いスリット313が集合した範囲が疎の範囲311となり、幅が狭いスリット313が集合した範囲が密の範囲312となる。スリット313の幅及び長さが同じであれば、スリット313が小さいピッチで集合した範囲が疎の範囲311となり、スリット313が大きいピッチで集合した範囲が密の範囲312となる。スリット313の幅及びピッチが同じであれば、長さが長いスリット313が集合した範囲が疎の範囲311となり、長さが短いスリット313が集合した範囲が密の範囲312となる。これらの例示を組み合わせることができる。
【0085】
図25に示す別の態様において、不透過性部材31は、断面が円弧形状(C字形状)であり、軸方向に延びる隙間としてのスリット313が多数設けられている形態を有する。すなわち、不透過性部材31の形状は、閉じた筒状のものに限定されるものではない。
また、不透過性部材31の形状は、略筒状とは言えないような断面が湾曲形状のもの(図示せず)であってもよい。
【0086】
実施形態は、以下の効果を奏する。
(1)基本形態のステントは、ストラットと、前記ストラット自体又は前記ストラットに設けられた突部を覆うように前記ストラット自体又は前記突部の長手方向に沿って配置されている放射線の不透過性が高い不透過性部材31と、を備え、不透過性部材31は、所定の疎密度よりも隙間の割合が大きい疎の範囲311と、前記所定の疎密度よりも隙間の割合が小さい密の範囲312と、を有し、前記疎の範囲311で前記ストラット自体又は前記突部に接着剤42で固定されている。
このようなステントによれば、疎の範囲311の比較的大きい隙間を介して接着剤42を確認することができ、不透過性部材31とストラットとの接着が確実なものとなる。また、接着剤42にUV硬化型のものを用いる場合、接着剤42にUVを確実に照射することができ、不透過性部材31とストラットとの接着強度をより確実に担保ができる。ひいては、管腔構造内での不透過性部材31の脱落防止性が高いと。また、密の範囲312では、隙間が小さいので、不透過性部材31をより確実に視認させることができる。脳血管用のステントでは、不透過性部材31が細く、小さくなるので、接着強度を担保し、脱落防止性が高いことは特に有益である。
【0087】
(2)上記(1)のステントにおいて、不透過性部材31は、疎の範囲311が密の範囲312よりも近位側に位置する。
ステントをカテーテルに挿入する際にはカテーテルの開口に引っ掛かりやすいが、このようなステントによれば、接着力が強い疎の範囲311が近位側に配置されるので、不透過性部材31とステントとの接合が剥がれることを抑制できる。ひいては、管腔構造内で不透過性部材31が脱落することを更に防ぐことができる。
【0088】
(3)上記(1)のステントにおいて、突部40,41は、互いの先端401,411が対向するように対に設けられており、不透過性部材31は、対の突部40,41を覆う前記長手方向の両端側の各々の部分が疎の範囲311で、前記両端側の各々の部分の間に密の範囲312が配置される。
このようなステントによれば、不透過性部材31の両端側の各々の部分で不透過性部材31とステントとの接着を行うので、不透過性部材31とステントとの接合が剥がれることを抑制できる。ひいては、管腔構造内で不透過性部材31が脱落することを更に抑制ことができる。
【0089】
(4)上記(1)〜(3)のいずれかのステントを検査する方法であって、疎の範囲311の前記隙間を介して前記接着剤を確認する。
このようなステントの検査方法によれば、疎の範囲311の比較的広い隙間を介する視認により、不透過性部材31とステントとの接着力の確保を容易に視認することができる。
【0090】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
疎の範囲311と密の範囲312とが計2つ配置される形態や、疎の範囲311と密の範囲312と疎の範囲311とがこの順で計3つ配置される形態に制限されない。疎の範囲311と密の範囲312と疎の範囲311と密の範囲312とがこの順で計4つ配置される形態や、疎の範囲311と密の範囲312と疎の範囲311と密の範囲312と疎の範囲311とがこの順で計5つ配置される形態であってもよい。