(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
ドリルチャックは、機械加工分野及び電動工具分野でよく使われている先端工具を締め付ける工具である。
【0004】
ドリルチャックは、チャックスリーブと、回転リングと、接続ブロックと、バックカバーとにより構成されることが一般である。チャックスリーブにおいて、軸方向の位置決めは、接続ブロックにより実現され、円周方向の回転用挿入孔を用いて、回転リングの雌ねじの作用で接続ブロックを軸方向に移動させ、自動的に中心を精確に決めるとともに先端工具を締め付ける。作業時、異なる先端工具(例えば、センタードリル、ドリルビット、リーマ、タップ等)が装着されたドリルチャックを用いる必要があるとき、位置決めねじを緩み、規定の位置まで扇形部材を回動させた後、位置決めねじを締めることによって、ドリルチャックの複数作業位置の移動が実現できる。
【0005】
現在、市販のドリルチャックは、挟持力の大きい順に、手締め式ドリルチャックと、チャックキー締め式ドリルチャックと、自己締付ドリルチャックとの3種がある。3種のドリルチャックのそれぞれは、メリットとデメリットがある。手締め式ドリルチャックは、コストが低く、操作が簡単で、軽量で、幅広く適用できるが、挟持力が小さく、精度が低い。チャックキー締め式ドリルチャックは、コストが低く、幅広く適用できるが、操作が不便である。自己締付ドリルチャックは、挟持力が大きく、精度が高いが、コストが高く、比較的に重く、操作が不便である。
【0006】
時代の変化に伴って、自己締付ドリルチャックの精度が高いので、その応用がますます広くなっている。
【0007】
現在、市販の自己締付ドリルチャックは、主に爪自己締付ドリルチャックと、歯車自己締付ドリルチャックと、雌ねじ自己締付ドリルチャックと、雄ねじ自己締付ドリルチャックとの4つの構成のものがある。
【0008】
この4つの構成のドリルチャックは、いずれも1条ねじにより動力を爪に伝達することによって、本体(フロント部材)の爪孔における爪の進退移動を実現し、さらに先端工具の挟持又は開放を実現するようになる。
【0009】
しかしながら、依然として上記の欠陥を解決できなかった。そして、挟持力が大きいため、動力を伝動するためのねじ山の間において、過大な押付力及び摩擦力が生じ、引いていは動けなくなることがよくある。この場合、専用工具で自己締付ドリルチャックを緩めなければならず、操作が不便である。さらに、専用工具がなくしやすいので、当該ドリルチャックが緩められなく廃棄され、無駄になることもある。
【0010】
ねじで動力を伝動する自己締付ドリルチャックを、作業に必要な適当な挟持力を有しながら、操作が簡単で、手動で簡単に緩めることを実現できる自己締付ドリルチャックを提供するは、解決すべく技術的難題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来技術における技術問題を解決できる歯車自己締付ドリルチャックを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による歯車自己締付ドリルチャックは、押圧バックカバーと、バック体と、本体と、前スリーブと、複数の爪と、前記爪と同じ数量の従動傘歯車とを有し、
前記バック体は、前記本体内に配置され、
前記バック体の一端に駆動傘歯車が配置され、
前記駆動傘歯車は、その大端部が前記バック体に接近する端に設けられ、
前記バック体の他端に外部設備と接続するための接続部が設けられ、
前記駆動傘歯車は、前記本体内に配置され、前記従動傘歯車と噛合し、
複数の前記従動傘歯車は、前記駆動傘歯車の軸線を中心線として均一に配置され、
前記従動傘歯車の内孔に雌ねじが設けられ、
前記爪の一端には、前記従動傘歯車の前記雌ねじと螺合する雄ねじが設けられ、
前記本体には、前記爪が貫通可能の爪孔と前記従動傘歯車を配置するための傘歯車孔とが設けられ、
前記本体は、その一端が前記前スリーブ内に固定設置され、その他端に前記バック体と回転可能に接続するためのバック孔が設けられ、
前記押圧バックカバーは、前記バック体を前記バック孔内に保持するように、前記本体の他端に配置され、
前記押圧バックカバーと、前記バック体と、前記駆動傘歯車と、前記本体と、前記前スリーブとが同軸に配置され、
前記雌ねじと前記雄ねじは、多条ねじである。
【0013】
さらに、前記爪の他端に、なす角が120°となる2つの挟持面が設けられる。
さらに、前記多条ねじのリード角αは、3.1°≦α≦18.7°となる。
【0014】
さらに、前記爪に位置決め溝が設けられ、前記位置決め溝は、前記本体に設けられる位置決め部と合わせて前記爪の回転を阻止することができるように、その長手方向を前記爪の軸線と平行に設けられている。
【0015】
さらに、前記位置決め部は、位置決めねじであり、前記位置決めねじは、取外し可能に前記本体に設けられる。
【0016】
さらに、前記本体の前記バック体に接近する端に、後スリーブが回転可能に設けられる。
【0017】
さらに、前記バック体の前記駆動傘歯車から離間する端に駆動部が配置され、前記駆動部は、前記後スリーブと固定接続し、ドリルチャックの作業前及び作業後に、後スリーブで、先端工具を挟持又は開放できるように、ドリルチャックを回転駆動する。
【0018】
さらに、前記後スリーブに前記駆動部と緊密に接続する駆動孔が設けられる。
さらに、前記接続部は、雌ねじを備えるストレート孔又はテーパ孔である。
【0019】
さらに、前記後スリーブと前記バック体とはサークリップを介して接続される。
本発明によるもう1つの歯車自己締付ドリルチャックは、押圧バックカバー又はストッパーリングと、バック体と、本体と、複数の爪と、前記爪と同じ数量の従動傘歯車とを有し、
前記バック体は、前記本体内に配置され、
前記バック体の一端に駆動傘歯車が配置され、
前記駆動傘歯車は、その大端部が、本体の奥側に入るバック体の端に設けられ、
前記バック体の他端に外部設備と接続するための接続部が設けられ、
前記駆動傘歯車は、前記本体内に配置され、前記従動傘歯車と噛合し、
複数の前記従動傘歯車は、前記駆動傘歯車の軸線を中心線として均一に配置され、
前記従動傘歯車の内孔に雌ねじが設けられ、
前記爪の一端には、前記従動傘歯車の前記雌ねじと螺合する雄ねじが設けられ、
前記本体には、前記爪が貫通可能の爪孔と前記従動傘歯車を配置するための傘歯車孔とが設けられ、
前記本体は、一端に先端工具収容孔が設けられ、その他端に前記バック体と回転可能に接続するためのバック孔が設けられ、
前記押圧バックカバー又は前記ストッパーリングは、前記バック体を前記バック孔内に保持するように、前記本体の他端に配置され、
前記押圧バックカバー又は前記ストッパーリングと、前記バック体と、前記駆動傘歯車と、前記本体とが同軸に配置され、
前記雌ねじと前記雄ねじは、多条ねじである。
【0020】
さらに、前記爪の他端に、なす角が120°となる2つの挟持面が設けられる。
さらに、前記多条ねじのリード角αは、3.1°≦α≦18.7°となる。
【0021】
さらに、前記爪に位置決め溝が設けられ、前記位置決め溝は、前記本体に設けられる位置決め部と合わせて前記爪の回転を阻止することができるように、その長手方向を前記爪の軸線と平行に設けられている。
【0022】
さらに、前記位置決め部は位置決めねじであり、前記位置決めねじは取外し可能に前記本体に設けられる。
【0023】
さらに、前記本体の前記バック体に接近する端に、後スリーブが回転可能に設けられる。
【0024】
さらに、前記バック体の前記駆動傘歯車から離間する端に駆動部が配置され、前記駆動部は、前記後スリーブと固定接続し、ドリルチャックの作業前及び作業後に、後スリーブで、先端工具を挟持又は開放できるように、ドリルチャックを回転駆動する。
【0025】
さらに、前記後スリーブに前記駆動部と緊密に接続する駆動孔が設けられる。
さらに、前記接続部は、雌ねじを備えるストレート孔又はテーパ孔である。
【0026】
さらに、前記後スリーブと前記バック体とはサークリップを介して接続される。
本発明による歯車自己締付ドリルチャックは、バック体の回転により駆動傘歯車を駆動し、そして従動傘歯車を回転駆動して、爪を移動させることによって、爪の開閉が実現される。また、爪と従動傘歯車とは多条ねじを介して接続され、容易に締め付けた状態から緩めることができるので、手動でドリルチャックの爪を楽に開ける目的を果たすことができ、操作が簡単且つ便利になる。
【0027】
以下、本発明の具体的な実施形態又は従来技術における技術案をより明瞭に説明するため、具体的な実施形態又は従来技術に必要となる図面を簡単に説明する。下記説明される図面は、本発明の実施形態の一部を示し、当業者が発明能力を用いなくても、これらの図面に基づいてその他の図面を得ることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の技術案を明瞭且つ完全に説明する。説明される実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、全部の実施例ではないことが無論である。本発明中の実施例をもとに、当業者は、発明能力を用いなくて獲得したすべてのその他の実施例も、本発明の保護範囲に属す。
【0030】
また、本発明の説明において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」等の用語で表された方向又は位置関係は、図面に基づくものであり、本発明を便宜及び簡略に説明するためのものに過ぎず、該当装置又は素子が、必ず定められた方向を有したり、定められた方向に構成されたり、操作されたり、することを明示又は暗示するものではないため、本発明を限定するものではない。
【0031】
また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明に用いられるものであり、相対の重要性を明示または暗示するものではないと理解すべきである。
【0032】
また、本発明の説明において、明確な定義と限定がない限り、「取付」、「接続」、「接続」などの用語は、広義的に理解すべきである。例えば、固定接続でもよいし、取外し可能な接続でもよいし、一体的な接続でもよい。そして、機械的な接続でもよいし、電気的な接続でもよい。また、直接に接続してもよいし、中間物を介して間接に接続してもよいし、2つの素子の内部が連通してもよい。当業者は、本出願における上記用語の具体的な意味を、具体的な状況に応じて理解することが可能である。
【0033】
(第1局面)
図1−7に示すように、本発明による歯車自己締付ドリルチャックは、押圧バックカバー10と、バック体9と、本体3と、前スリーブ1と、複数の爪7と、前記爪7と同じ数量の従動傘歯車2とを有する。
【0034】
前記バック体9は、前記本体3内に配置される。
前記バック体9の一端に駆動傘歯車8が配置される。
【0035】
前記駆動傘歯車8は、その大端部が前記バック体9に接近する端に設けられている。
前記バック体9の他端に外部設備と接続するための接続部が設けられている。
【0036】
前記駆動傘歯車8は、前記本体3内に配置され、前記従動傘歯車2と噛合する。
複数の前記従動傘歯車2は、前記駆動傘歯車8の軸線を中心線として均一に配置される。
【0037】
前記従動傘歯車2の内孔に雌ねじが設けられている。
前記爪7の一端には、前記従動傘歯車2の前記雌ねじと螺合する雄ねじが設けられている。
【0038】
前記本体3には、前記爪7が貫通可能な爪孔4と前記従動傘歯車2を配置するための傘歯車孔18とが設けられている。
【0039】
前記本体3は、その一端が前記前スリーブ1内に固定設置され、その他端に前記バック体9と回転可能に接続するためのバック孔5が設けられている。
【0040】
前記押圧バックカバー10は、前記バック体9を前記バック孔5内に保持するように、前記本体3の他端に配置されている。
【0041】
前記押圧バックカバー10と、前記バック体9と、前記駆動傘歯車8と、前記本体3と、前記前スリーブ1とが同軸に配置される。
【0042】
前記雌ねじと前記雄ねじは、多条ねじである。
本発明は、動力を、直接又は間接にねじを介して、直接又は間接に爪7に伝達して、爪の進退移動を駆動するすべての自己締付ドリルチャックに適用できる。
【0043】
本発明における多条ねじのリード角は、ねじの有効径に基づくものである。
1条ねじは自己ロックに寄与するが、緩みに不利である。多条ねじは、動力伝動に寄与し、さらに締付に寄与するとともに緩みにも寄与している。そして、ねじ山間の接触面積を増やしたため、1条ねじと同等の挟持力をより大きい接触面積に分散させたので、ねじの単位面積あたりの接触圧又は摩擦力が1条ねじの場合よりかなり小さくなって、楽にドリルチャックを開けることに寄与している。このため、本発明において、多条ねじが、従動傘歯車2と爪7との間の伝動ねじとして使用された。
【0044】
駆動傘歯車8とバック体9とがともに本体3のバック孔5に配置され、従動傘歯車2が本体3の傘歯車孔18に配置されるとともに駆動傘歯車8と噛合するように構成される。また、バック体9は、本体3のバック孔5に配置されるとともに本体3と回転可能に接続されている。本体3内におけるバック体9の安定性を保ち、回転過程においてバック孔5から飛び出すことを避けるため、バック体9の本体3から離間する端に押圧バックカバー10が配置される。押圧バックカバー10がボルトで本体3と固定接続されてバック体9がバック孔5内に保持されることによって、バック体9が回転可能且つ軸方向に移動不可能のようになった。このように、バック体9の作業時の安定性を保障できる。
【0045】
使用するとき、バック体9を回転させることにより、駆動傘歯車8を回転駆動し、そして駆動傘歯車8と噛合している従動傘歯車2を回転駆動し、さらに多条ねじを介して爪7を本体3の爪孔4に移動させて、爪7の開閉を実現させる。
【0046】
出願人は、歯車自己締付ドリルチャックを1050Wのハンマードリルに適用し、径12mmのハンマードリルビットを用い、それぞれ3°、4.7°、18°のリード角で、同径の爪7に対して、1条ねじ及び多条ねじで、コンクリート板において1万2千回以上の穿孔比較実験を行って、下表のデータを得た。
【0047】
下記の表及びデータの座標図から、ドリルチャックを開ける際の多条ねじのメリットが分かる。
【0051】
上記の表1、表2、表3及び
図8から分かるように、リード角が大きければ大きいほど、ねじ条数多ければ多いほど、爪7の緩みに必要なトルクが小さく、つまり、爪7の緩みが容易になる。
【0052】
前記爪7の他端に2つの挟持面6が設けられることが好ましい。
2つの前記挟持面6がなす角は120°である。
【0053】
本実施例において、爪7は、3つが設けられ、その一端に多条ねじが設けられ、その他端に2つの挟持面6が設けられ、3つの爪7に計6つの挟持面6を有し、挟持面6の互いの協力で、物体を完全に挟持することができる。
【0054】
また、本実施例において、爪7が3つが設けられたため、各爪7における2つの挟持面6がなす角が120°となるが、爪7の数が3つに限定されず、4つ、5つ等を設けてもよい。その場合、挟持面6を有するすべての爪7の端を接合する状態で掌合できるように、対応する挟持面6がなす角を90°、72°等に設定すればよい。
【0055】
前記多条ねじのリード角αは、3.1°≦α≦18.7°となることが好ましい。
複数の実験から分かるように、リード角αが3.1°より小さくなる場合、挟持力が過大になり、多条ねじであっても手動で開けることができなくなる。リード角αが18.7°より大きくなる場合、挟持力が激減し、1条ねじであっても先端工具(ドリルビット)をしっかり締め付けることができなくなる。
【0056】
したがって、従来の自己締付ドリルチャックに対して、先端工具をしっかり締め付けて産業上の生産要求を満たすとともに手動で楽に操作できるために、リード角αは3.1°≦α≦18.7°となるように設定する必要がある。
【0057】
前記爪7に位置決め溝17が設けられることが好ましい。
前記位置決め溝17は、前記本体3に設けられる位置決め部と合わせて前記爪7の回転を阻止することができるように、その長手方向を前記爪7の軸線と平行に設けられている。
【0058】
爪7に位置決め溝17を設けることによって、本体3における位置決め部と合わせて、爪7の移動方向を決めることができるとともに、爪7の移動過程における回転を阻止でき、さらに、複数の爪7が完璧に協力して作動することを保障した。
【0059】
前記位置決め部は位置決めねじであることが好ましい。
前記位置決めねじは取外し可能に前記本体3に設けられる。
【0060】
本実施例において、位置決め部が位置決めねじであり、つまり、本体3に位置決ねじ孔16を設けて、位置決めねじを位置決ねじ孔16に設けるように構成される。
【0061】
爪7に対して位置決めを行うとき、位置決めねじを締めて、位置決めねじを位置決ねじ孔16を通して位置決め溝17内に入らせることによって、爪7の移動軌跡が制御されるとともに、爪7と本体3とが一体に形成される。
【0062】
爪7に対してメンテナンス又は取外しを行う場合、位置決め溝17から外させるように、位置決めねじを緩め、爪7を爪孔4から完全且つ容易に抜き出すようにする。
【0063】
また、本実施例において、位置決め部として位置決めねじを使用したが、それに限定されず、その他の構成であってもよく、例えば、ピン、スライド等であってもよい。つまり、位置決め部は、位置決め溝17と合わせて爪7の移動軌跡を決めることができ、さらに作業中の爪7の安定性を確保できるものであればよい。
【0064】
前記本体3の前記バック体9に接近する端に、後スリーブ11が回転可能に設けられることが好ましい。
【0065】
本実施例において、後スリーブ11を設けることによって、バック体9、押圧バックカバー10及び本体3がカバーされ、そして前スリーブ1と回転可能にシール接続されることができるため、外部環境に影響されないように効果的に内部環境を保護できる。これによって、本体3とバック体9との間に入る異物を減少させて、本体3とバック体9との相対回転の安定性及び回転の耐久性を保障し、さらに歯車自己締付ドリルチャック全体の耐久性を保障できた。
【0066】
前記バック体9の前記駆動傘歯車8から離間する端に駆動部14が配置されることが好ましい。
【0067】
前記駆動部14は、前記後スリーブ11と固定接続する。これによって、ドリルチャックの作業前及び作業後に、後スリーブ11で、先端工具を挟持又は開放できるように、ドリルチャックを回転駆動することができる。
【0068】
前記駆動部14は、前記後スリーブ11と接続し、後スリーブ11で回転駆動されるように構成されている。
【0069】
つまり、本実施例において、バック体9と後スリーブ11とが駆動部14を介して接続され、後スリーブ11は、駆動部14を介してバック体9を回転駆動し、さらに駆動傘歯車8、従動傘歯車2を介して、爪7に対して開閉に必要な力を付与することができる。
【0070】
前記後スリーブ11に前記駆動部14と緊密に接続する駆動孔が設けられることが好ましい。
【0071】
本実施例において、駆動部及び駆動孔は、
図1に示すように、駆動部14の円柱状の側壁において対向に2つの平面が設けられ、後スリーブ11に相応構造の駆動孔13が設けられ、駆動孔13と駆動部14との接続によって、回転力の伝動が実現される。
【0072】
また、駆動部と駆動孔は本実施例のように構成されているが、これに限定されず、その他の構成であってもよい。例えば、四角形、楕円形等の構成の駆動部及びそれに対応する駆動孔であってもよい。つまり、駆動孔13と駆動部14との接続によって回転力の伝動が実現できるものであればよい。
【0073】
前記接続部は、雌ねじを備えるストレート孔又はテーパ孔であることが好ましい。
本実施例において、バック体9は雌ねじを備えるねじ孔16を介して設備と接続する。
【0074】
また、本実施例において、ねじ孔16はストレート孔又はテーパ孔であるが、その他のねじ孔であってもよい。つまり、その他の設備と接続できる構成であればよい。
【0075】
さらに、バック体9と設備との接続方式は、多数があり、例えば、ピン接続、ヒンジ接続等であってもよい。つまり、バック体9と設備とを接続できる方式であればよい。
【0076】
前記後スリーブ11と前記バック体9とはサークリップ12を介して接続されることが好ましい。
【0077】
本実施例において、バック体9は、後スリーブ11を通してはみ出した部分に係合溝15が設けられ、サークリップ12が係合溝15内に配置されることによって、軸方向に後スリーブ11とバック体9とが接続される。従って、後スリーブ11とバック体9とが軸方向に相対移動できないようになる。
【0078】
また、本実施例において、後スリーブ11とバック体9との接続は、サークリップ12による接続であるが、それに限定されず、その他の接続方式であってもよい。例えば、ピン接続等であってもよい。つまり、後スリーブ11とバック体9との軸方向における相対移動を制限できる方式であればよい。
【0079】
本発明による歯車自己締付ドリルチャックは、バック体9の回転により駆動傘歯車8を駆動し、そして従動傘歯車2を回転駆動して、爪7を移動させることによって、爪7の開閉が実現される。さらに、爪7と従動傘歯車2とは多条ねじを介して接続され、容易に締め付けた状態から緩めることができるので、手動で爪7を開ける目的を果たすことができ、操作が簡単且つ便利になる。
【0080】
(第2局面)
図1−7及び
図9−10に示すように、本発明による歯車自己締付ドリルチャックは、押圧バックカバー10又はストッパーリング19と、バック体9と、本体3と、複数の爪7と、前記爪7と同じ数量の従動傘歯車2とを有する。
【0081】
前記バック体9は、前記本体3内に配置される。
前記バック体9の一端に駆動傘歯車8が配置される。
【0082】
前記駆動傘歯車8は、その大端部が、本体の奥側に入るバック体9の端に設けられている。
【0083】
前記バック体9の他端に外部設備と接続するための接続部が設けられている。
前記駆動傘歯車8は、前記本体3内に配置され、前記従動傘歯車2と噛合する。
【0084】
複数の前記従動傘歯車2は、前記駆動傘歯車8の軸線を中心線として均一に配置される。
【0085】
前記従動傘歯車2の内孔に雌ねじが設けられている。
前記爪7の一端には、前記従動傘歯車2の前記雌ねじと螺合する雄ねじが設けられている。
【0086】
前記本体3には、前記爪7が貫通可能な爪孔4と前記従動傘歯車2を配置するための傘歯車孔18とが設けられている。
【0087】
前記本体3は、その一端に先端工具収容孔が設けられ、その他端に前記バック体9と回転接続するためのバック孔5が設けられている。
【0088】
前記押圧バックカバー10又は前記ストッパーリング19は、前記バック体9を前記バック孔5内に保持するように、前記本体3の他端に配置されている。
【0089】
前記押圧バックカバー10又は前記ストッパーリング19と、前記バック体9と、前記駆動傘歯車8と、前記本体3とが同軸に配置される。
【0090】
前記雌ねじと前記雄ねじは、多条ねじである。
本体の一端に先端工具収容孔20が設けられ、先端工具収容孔の外部に前スリーブが設けられている。また、前スリーブと本体とを一体にしてもよい。本体の他端にバック孔と押圧バックカバー又はストッパーリングとが設けられる。押圧バックカバー又はストッパーリングと、バック体と、駆動傘歯車と、本体と前スリーブとが同軸に配置される。雌ねじと雄ねじは多条ねじである。本発明によって、ドリルチャックを閉じて作業を行った後、手動で楽かつ簡単にリルチャックを開けることができるので、手動で爪を開ける目的を果たすことができ、操作が簡単且つ便利になる。
【0091】
本発明は、動力を、直接又は間接にねじを介して、直接又は間接に爪7に伝達して、爪の進退移動を駆動するすべての自己締付ドリルチャックに適用できる。
【0092】
本発明における多条ねじのリード角は、ねじの有効径に基づくものである。
1条ねじは自己ロックに寄与するが、緩みに不利である。多条ねじは、動力伝動に寄与し、さらに締付に寄与するとともに緩みにも寄与している。そして、ねじ山間の接触面積を増やしたため、1条ねじと同等の挟持力をより大きい接触面積に分散させたので、ねじの単位面積あたりの接触圧又は摩擦力が1条ねじの場合よりかなり小さくなって、楽にドリルチャックを開けることに寄与している。このため、本発明において、多条ねじが、従動傘歯車2と爪7との間の伝動ねじとして使用された。
【0093】
駆動傘歯車8とバック体9とがともに本体3のバック孔5に配置され、従動傘歯車2が本体3の傘歯車孔18に配置されるとともに駆動傘歯車8と噛合するように構成される。また、バック体9は、本体3のバック孔5に配置されるとともに本体3と回転可能に接続されている。本体3内におけるバック体9の安定性を保ち、回転過程においてバック孔5から飛び出すことを避けるため、バック体9の本体3からはみ出す端に押圧バックカバー10又はストッパーリング19が配置される。押圧バックカバー10がボルトで本体3と固定接続されて(又は、ストッパーリング19と本体3におけるバック孔の内部の環状溝21との接続で)バック体9がバック孔5内に固定されることによって、バック体9が本体3に対して回転可能且つ軸方向に移動不可能のようにした。このように、バック体9の作業時の安定性を保障できる。
【0094】
使用するとき、バック体9を回転させることにより、駆動傘歯車8を回転駆動し、そして駆動傘歯車8と噛合している従動傘歯車2を回転駆動し、さらに多条ねじを介して爪7を本体3の爪孔4に移動させて、爪7の開閉を実現させる。
【0095】
出願人は、歯車自己締付ドリルチャックを1050Wのハンマードリルに適用し、径12mmのハンマードリルビットを用い、それぞれ3°、4.7°、18°のリード角で、同径の爪7に対して、1条ねじ及び多条ねじで、コンクリート板において1万2千回以上の穿孔比較実験を行って、下表のデータを得た。
【0096】
下記の表及びデータの座標図から、ドリルチャックを開ける際の多条ねじのメリットが分かる。
【0100】
上記の表1、表2、表3及び
図8から分かるように、リード角が大きければ大きいほど、ねじ条数多ければ多いほど、爪7の緩みに必要なトルクが小さく、つまり、爪7の緩みが容易になる。
【0101】
前記爪7の他端に2つの挟持面6が設けられることが好ましい。
2つの前記挟持面6がなす角は120°である。
【0102】
本実施例において、爪7は、3つが設けられ、その一端に多条ねじが設けられ、その他端に2つの挟持面6が設けられ、3つの爪7に計6つの挟持面6を有し、挟持面6の互いの協力で、物体を完全に挟持することができる。
【0103】
また、本実施例において、爪7が3つが設けられたため、各爪7における2つの挟持面6がなす角が120°となるが、爪7の数が3つに限定されず、4つ、5つ等を設けてもよい。その場合、挟持面6を有するすべての爪7の端を接合する状態で掌合できるように、対応する挟持面6がなす角を90°、72°等に設定すればよい。
【0104】
前記多条ねじのリード角αは、3.1°≦α≦18.7°となることが好ましい。
複数の実験から分かるように、リード角αが3.1°より小さくなる場合、挟持力が過大になり、多条ねじであっても手動で開けることができなくなる。リード角αが18.7°より大きくなる場合、挟持力が激減し、1条ねじであっても先端工具(ドリルビット)をしっかり締め付けることができなくなる。
【0105】
したがって、従来の自己締付ドリルチャックに対して、先端工具をしっかり締め付けて産業上の生産要求を満たすとともに手動で楽に操作できるもために、リード角αは3.1°≦α≦18.7°となるように設定する必要がある。
【0106】
前記爪7に位置決め溝17が設けられることが好ましい。
前記位置決め溝17は、前記本体3に設けられる位置決め部と合わせて前記爪7の回転を阻止することができるように、その長手方向を前記爪7の軸線と平行に設けられている。
【0107】
爪7に位置決め溝17を設けることによって、本体3における位置決め部と合わせて、爪7の移動方向を決めることができるとともに、爪7の移動過程における回転を阻止でき、さらに、複数の爪7が完璧に協力して作動することを保障した。
【0108】
前記位置決め部は位置決めねじであることが好ましい。
前記位置決めねじは取外し可能に前記本体3に設けられる。
【0109】
本実施例において、位置決め部が位置決めねじであり、つまり、本体3に位置決ねじ孔16を設けて、位置決めねじを位置決ねじ孔16に設けるように構成される。
【0110】
爪7に対して位置決めを行うとき、位置決めねじを締めて、位置決めねじを位置決ねじ孔16を通して位置決め溝17内に入らせることによって、爪7の移動軌跡が制御されるとともに、爪7と本体3とが一体に形成される。
【0111】
爪7に対してメンテナンス又は取外しを行う場合、位置決め溝17から外させるように、位置決めねじを緩め、爪7を爪孔4から完全且つ容易に抜き出すようにする。
【0112】
また、本実施例において、位置決め部として位置決めねじを使用したが、それに限定されず、その他の構成であってもよく、例えば、ピン、スライド等であってもよい。つまり、位置決め部は、位置決め溝17と合わせて爪7の移動軌跡を決めることができ、さらに作業中の爪7の安定性を確保できるものであればよい。
【0113】
前記本体3の前記バック体9に接近する端に、後スリーブ11が回転可能に設けられることが好ましい。
【0114】
本実施例において、後スリーブ11を設けることによって、バック体9、押圧バックカバー10又はストッパーリング19及び本体3がカバーされ、そして前スリーブ1と回転可能にシール接続できるため、外部環境に影響されないように効果的に内部環境を保護できる。これによって、本体3とバック体9との間に入る異物を減少させて、本体3とバック体9との相対回転の安定性及び回転の耐久性を保障し、さらに歯車自己締付ドリルチャック全体の耐久性を保障できた。
【0115】
前記バック体9の前記駆動傘歯車8から離間する端に駆動部14が配置されることが好ましい。
【0116】
前記駆動部14は、前記後スリーブ11と固定接続する。これによって、ドリルチャックの作業前及び作業後に、後スリーブ11で、先端工具を挟持又は開放できるように、ドリルチャックを回転駆動することができる。
【0117】
前記駆動部14は、前記後スリーブ11と接続し、後スリーブ11で回転駆動されるように構成されている。
【0118】
つまり、本実施例において、バック体9と後スリーブ11とが駆動部14を介して接続され、後スリーブ11により、駆動部14を介してバック体9を手動で駆動し、そしてバック体9と本体3とを相対に回転させ、さらに駆動傘歯車8、従動傘歯車2を介して、爪7に対して開閉に必要な力を付与することができる。
【0119】
前記後スリーブ11に前記駆動部14と緊密に接続する駆動孔が設けられることが好ましい。
【0120】
本実施例において、駆動部及び駆動孔は、
図1に示すように、駆動部14の円柱状の側壁において対向に2つの平面を設けられ、後スリーブ11に相応構造の駆動孔13が設けられ、駆動孔13と駆動部14との接続によって、回転力の伝動が実現される。
【0121】
また、駆動部と駆動孔は本実施例のような構成されているが、これに限定されず、その他の構成であってもよい。例えば、四角形、楕円形等の構成の駆動部及びそれに対応する駆動孔であってもよい。つまり、駆動孔13と駆動部14との接続によって回転力の伝動が実現できるものであればよい。
【0122】
前記接続部は、雌ねじを備えるストレート孔又はテーパ孔であることが好ましい。
本実施例において、バック体9は雌ねじを備えるねじ孔16を介して設備と接続する。
【0123】
また、本実施例において、ねじ孔16はストレート孔又はテーパ孔であるが、その他のねじ孔であってもよい。つまり、その他の設備と接続できる構成であればよい。
【0124】
さらに、バック体9と設備との接続方式は、多数があり、例えば、ピン接続、ヒンジ接続等であってもよい。つまり、バック体9と設備とを接続できる方式であればよい。
【0125】
前記後スリーブ11と前記バック体9とはサークリップ12を介して接続されることが好ましい。
【0126】
本実施例において、バック体9は、後スリーブ11を通してはみ出した部分に係合溝15が設けられ、サークリップ12が係合溝15内に配置されることによって、軸方向に後スリーブ11とバック体9とが固定接続される。従って、後スリーブ11とバック体9とが軸方向に相対移動できないようになる。
【0127】
また、本実施例において、後スリーブ11とバック体9との接続は、サークリップ12による接続であるが、これに限定されず、その他の接続方式であってもよい。例えば、ピン接続等であってもよい。つまり、後スリーブ11とバック体9との軸方向における相対移動を制限できる方式であればよい。
【0128】
本発明による歯車自己締付ドリルチャックは、バック体9の回転により駆動傘歯車8を駆動し、そして従動傘歯車2を回転駆動して、爪7を移動させることによって、爪7の開閉が実現される。また、爪7と従動傘歯車2とは多条ねじを介して接続され、容易に締め付けた状態から緩めることができるので、手動で爪7を開ける目的を果たすことができ、操作が簡単且つ便利になる。
【0129】
上記各実施例が本発明の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを制限するものではない。上記各実施例を用いて本発明を詳細に説明したが、当業者にとって、上記各実施例に記載された技術案を変更し、又はその内の一部或いは全部の技術的特徴に対して均等置換を行うこともできる。これらの変更又は置換は、該当技術案の本質を本発明の各実施例による技術案の範囲から逸脱させていない。