(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6989599
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】持ち上げシステムのための作動装置および家具の扉のための持ち上げシステム
(51)【国際特許分類】
E05F 1/12 20060101AFI20211220BHJP
E05F 11/22 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
E05F1/12
E05F11/22
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-517386(P2019-517386)
(86)(22)【出願日】2017年9月20日
(65)【公表番号】特表2019-529753(P2019-529753A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】EP2017073815
(87)【国際公開番号】WO2018060032
(87)【国際公開日】20180405
【審査請求日】2020年8月21日
(31)【優先権主張番号】102016000098088
(32)【優先日】2016年9月30日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517220911
【氏名又は名称】アルトゥーロ・サリチェ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】ARTURO SALICE S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ルチアーノ・サリチェ
【審査官】
秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−506054(JP,A)
【文献】
特表2016−507017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00− 3/22
E05F 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具(M)の扉(A)のための持ち上げシステム(10,20,30,40)に用いる作動装置(1)であって、
家具の本体に接続可能な固定プレート(2)と、
往復で移動できるように支点(5)において固定プレート(2)に接続され、支点(5)から離れる方向に延びる接続部(41)を支点(5)に備える、扉(A)のための支持レバー(4)と、
少なくとも1つの弾性要素(32)を収容する収容本体(31)を備える弾性手段(3)と、を備え、
作動装置(1)は、対向する二つの端部を含む中間レバー(6)を備え、中間レバー(6)の第1端部は、中間レバー(6)が往復で移動できるように、第1旋回軸(61)において支持レバー(4)の接続部(41)に結合され、
弾性手段(3)の収容本体(31)は、往復で移動可能な状態で固定プレート(2)に結合される少なくとも1つの第1端部と、第2旋回軸(62)を持つ反対側の第2端部と、を持ち、
中間接続レバー(6)の第2端部は、中間接続レバー(6)が往復で移動できるように、第2旋回軸(62)において収容本体(31)に結合され、
中間接続レバー(6)は、実質的に第2旋回軸(62)に配置されるカム(63)を備え、
弾性手段(3)はさらに、長手方向に可動なように収容本体(31)によって支持され少なくとも1つの弾性要素(32)によって押されるプッシャー(35)を備え、
カム(63)はプッシャー(35)と協働する、作動装置(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの弾性要素(32)は、少なくとも1つのらせんばね(32A,32B)を備える、請求項1に記載の作動装置(1)。
【請求項3】
少なくとも1つのらせんばね(32A,32B)の長さを調節することによって少なくとも1つのらせんばね(32A,32B)に予圧を付与するための要素をさらに備える、請求項2に記載の作動装置(1)。
【請求項4】
弾性手段(3)は、後方ベース(33)と前方フォーク状要素(34)を備え、それらの間で少なくとも1つの弾性要素(32)が伸展および作動し、プッシャー(35)は、前方フォーク状要素(34)と一体のローラーを備える、請求項1または2に記載の作動装置(1)。
【請求項5】
後方ベース(33)は、長手方向に可動なように収容本体(31)によって支持されており、一方側に調整ねじ(36A)のためのねじ穴を持ち、調整ねじ(36A)の一端は、収容本体(31)と一体の当接要素(36B)に寄り掛かる、請求項4に記載の作動装置(1)。
【請求項6】
カム(63)は、扉(A)の開き角度の関数として扉に持ち上げ力または引き下げ力を付与するような形状を持つ、請求項1から5の1つに記載の作動装置(1)。
【請求項7】
家具(M)の扉(A)のための持ち上げシステム(10,20,30,40)であって、請求項1から6の1つに記載の作動装置(1)を少なくとも1つ備える、持ち上げシステム(10,20,30,40)。
【請求項8】
持ち上げシステム(10,20,30,40)は、扉(A)に結合でき作動装置(1)に結合される接続ベース(70,80,90,100)を備える、請求項7に記載の持ち上げシステム(10,20,30,40)。
【請求項9】
接続ベース(70)は、扉Aと接続するためのプレート(72)を備え、かつ、接続ベースと支持レバーの両方に連結されるアーム(71)によって支持レバー(4)に接続される、請求項8に記載の持ち上げシステム(10)。
【請求項10】
持ち上げシステム(20,30)は、扉(A)に接続するための接続ベース(80,90)と、往復で移動してプレート(2)に対して回転するように連結される第2の支持レバー(45)と、を備え、各支持レバー(4,45)はさらに、接続ベース(80,90)に接続され、接続ベース(80,90)に対して往復で移動する、請求項7に記載の持ち上げシステム(20,30)。
【請求項11】
扉は、二重扉であって、相互にヒンジで連結された第1の扉と第2の扉(A,A1)を備え、システムは、一方の扉(A1)を家具(M)の本体に連結するためのヒンジ(102)と、他方の扉(A)に固定される少なくとも1つの接続ベース(100)と、を備え、支持レバー(4)は、接続ベース(100)に結合される、請求項7に記載の持ち上げシステム(40)。
【請求項12】
扉を閉じる動きを遅くするための装置(50)をさらに備え、装置(50)は、固定プレート(2)または接続ベースに配置される流体作動式の減速シリンダーを備える、請求項8から11の1つに記載の持ち上げシステム(10,20,30,40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち上げシステムのための作動装置および家具の扉のための持ち上げシステムに関する。特に、本発明は、水平軸の周りを上方向に回転する扉に関する。
【背景技術】
【0002】
家具業界において、少なくとも1つの支持レバーを備える持ち上げシステムの使用が知られている。当該支持レバーは、往復で移動(揺動)できるように、第1端部において、家具の側壁に固定可能な固定プレートによって支持され、他方の対向する端部において、往復で移動できるように家具の扉に接続されうる。
【0003】
前述のような持ち上げシステムの例として、欧州特許出願公開第1766172号がある。当該文献では、扉を持ち上げるために必要な力を供給するために、固定プレートと支持レバーの間に接続されたガス作動式ばねを使用することが示されている。
【0004】
この解決策は機能するが、いくつかの欠点がある。これらの欠点は主に、ガス作動式ばねのコスト、および使用に伴いガス作動式ばねが効力を失うという事実に関連する。
【0005】
これらの欠点を克服するために、解決策が開発されてきた。その解決策は、ガス作動式ばねの代わりに、1つまたは複数のらせんばねを備える弾性装置の使用することを含む。そうした弾性装置は、ガス作動式ばねを備える弾性装置に比べ、低コストで、平均的に長寿命である。
【0006】
この種の解決策は、例えば国際公開第2006/005086号や欧州特許出願公開第1713996号に示されている。これらの文献に示される弾性装置は、適合した伝達手段と協働する。伝達手段は、らせんばねの力をシステムの支持レバーに伝えるため、固定プレートに接続される。
【0007】
しかしながら、これらの解決策でさえ欠点は残る。特に、示された伝達手段の複雑性に欠点がある。
【0008】
別の欠点は、ガス作動式ばねのために一般に使用される固定プレートを、例えば可動スライダの形態のような、特に伝達手段の接続のために作られた他の要素に代える必要がある事実に関連する。したがって、ガス作動式ばねを使用するシステムを、らせんばねを使用する従来システムの1つと置き換える場合、全体の組み立てを置き換える必要があり、そのうえ多くの場合、家具に新たな固定点を設けることを要する。
【0009】
別の欠点は、前述のような持ち上げシステムの多用途性が低い、または多用途性がない事実に関連する。なぜなら、前述の持ち上げシステムは、設計された動きから大幅な変更を行わなければ、様々な種類の動きに適応できないからである。
【0010】
公知技術における従来の解決策に関する上記の簡単な検討から、従来の持ち上げシステムの代替となり、かつ、上記で説明した欠点を克服するシステムに対する要請が生じる。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、上述した技術的問題を解決して、欠点を補い公知技術の制限を克服する作動装置および当該作動装置を備える持ち上げシステムを提供することである。この目的は、組み立てが簡単で効果的な持ち上げシステムを利用可能にすることで実現される。
【0012】
この目的の中で、本発明の目的は、低コストで信頼できる弾性手段を持つ作動装置および当該作動装置を備える持ち上げシステムを提供することである。弾性装置は、固定プレートに、またはより一般に、既に使用されている持ち上げシステムに、何ら実質的な変更を必要としない、および/または容易に置き換えられる。
【0013】
本発明のもう1つの目的は、1つまたは多くとも少数の部分の簡単な変更によって、扉の様々な種類の動きに容易に適応できる作動装置、および当該作動装置を備える持ち上げシステムを提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、長期にわたって信頼性があり、様々な扉の重量や設置要件に適応させるために調節可能な持ち上げ力を供給する作動装置、および当該作動装置を備える持ち上げシステムを提供することである。
【0015】
この目的と、これらの目的と他の目的は、下記に明らかになり、家具の扉のための持ち上げシステムに用いる作動装置によって達成される。作動装置は、家具の本体に接続可能な固定プレートと、往復で移動できるように支点において固定プレートに接続され、支点から離れる方向に延びる接続部を支点に備える、扉のための支持レバーと、少なくとも1つの弾性要素を収容する本体を備える弾性手段と、を備える。当該作動装置は、対向する二つの端部を含む中間レバーを備え、中間レバーの第1端部は、中間レバーが往復で移動できるように、第1旋回軸において支持レバーの接続部に結合され、弾性手段の本体は、往復で移動可能な状態で固定プレートに結合される少なくとも1つの第1端部と、第2旋回軸を持つ反対側の第2端部と、を持ち、中間接続レバーの第2端部は、中間接続レバーが往復で移動できるように、第2旋回軸において弾性手段の本体に結合され、中間接続レバーは、実質的に第2旋回軸に配置される作動表面またはカムを備え、弾性手段はさらに、長手方向に可動なように収容本体によって支持され少なくとも1つの弾性要素によって押されるプッシャーを備え、カムはプッシャーと協働する。
【0016】
このような方法により、従来システムの制限を克服する作動装置と、それを備える持ち上げシステムが得られる。なぜなら、そのような作動装置と持ち上げシステムは、製造と設置が比較的容易で、そのうえ信頼性があるからである。
【0017】
本発明による作動装置および持ち上げシステムは、さらに、固定プレートに対して、またはより一般に既に使用されている持ち上げシステムに対して、実質的な変更が不要な装置を備える。
【0018】
最後に重要なこととして、前述のような作動装置、および当該作動装置を備える対応する持ち上げシステムは、1つまたは多くとも少数の部分の簡単な変更によって、扉の様々な種類の動きに容易に適応できる。
【0019】
さらに、本発明による作動装置および当該作動装置を備える持ち上げシステムは、様々な扉の重量や設置要件に適応させるため、調節可能な持ち上げ力を持っており、さらに、扉を動かすために、強い力および/または扉の動きの精確な制御を有することが必要な場合に使用できる。
【0020】
最後に重要なこととして、本発明による作動装置は、既存システムのガス作動式ばねと容易に置き換えることができ、したがって、既存システムの有利な改良を構成する。さらに、本発明による作動装置は、設置が簡単で、頑強で、低コストである。
【0021】
最後に、本発明による作動装置および当該作動装置を備える持ち上げシステムは、従来の持ち上げシステムの妥当な代替となる装置を備える。
【0022】
本発明のさらなる特徴と利点は、本発明による作動装置を備える持ち上げシステムの、好ましいが非排他的な4つの実施形態から、より明らかとなる。実施形態は、添付図面を用いて非制限的な例により説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】上げ起こし式の扉付きの家具に設置された本発明による持ち上げシステムの、第1の実施形態の扉が閉まった作動状態における断面図
【
図2】上げ起こし式の扉付きの家具に設置された本発明による持ち上げシステムの、第1の実施形態の扉が開いた作動状態における断面図
【
図3】
図1と
図2の持ち上げシステムの一部である作動装置の透視図
【
図5】傾きによって開く扉付きの家具に設置された本発明による持ち上げシステムの、第2の実施形態の側面図
【
図6】平行運動によって開く扉付きの家具に設置された本発明による持ち上げシステムの、第3の実施形態の側面図
【
図7】傾きと折り畳みによって開く扉付きの家具に設置された本発明による持ち上げシステムの、第4の実施形態の側面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1-4に関して、持ち上げシステムの第1の実施形態が全体として参照番号10で示されており、一方で
図5,6,7は参照番号20,30,40で示される別の実施形態を示す。
【0025】
概して、全ての様々な実施形態において、持ち上げシステム10,20,30,40は家具Mの扉Aに使用されるように構成され、特に水平軸を中心に上方向に傾く扉に用いられる。
【0026】
システム10,20,30,40は少なくとも1つの作動装置1を備え、これは全ての実施形態について実質的に同等である。
【0027】
作動装置1は固定プレート2を含み、固定プレート2は家具Mの本体に接続することができる。
【0028】
具体的には、固定プレート2は家具の肩部分に固定されることが意図され、適合した固定手段が設けられる(図示された例において、固定手段はネジを収容する穴から構成されるが、同等にプレート2の表面から突出するピン又はピンと穴の組み合わせでもよい)。
【0029】
装置1はさらに、扉Aのための支持レバー4を含み、支持レバー4は往復で移動可能となるように支点5において固定プレート2に接続される。
【0030】
支点5は例えば、支持レバー4と固定プレート2を回転するように係合させる旋回軸を備える。
【0031】
支持レバー4は様々な外形にでき、直線や曲線、それらが混合した輪郭でもよく、設置要件と扉の種類による。そのような詳細は本発明の理解に必須ではないため、ここでは詳述しない。
【0032】
支持レバー4は、実質的に支点5において、支点5から離れる方向に延びる接続部41を含む。接続部41の形状は、システム10,20,40におけるような、レバー4から延びるアームの形、またはシステム30におけるような、レバー4の本体部と一体化された一部でもよい。接続部41の機能は間もなくさらに明確になる。
【0033】
装置1は弾性手段3も含み、弾性手段3は少なくとも1つの弾性要素32を収容する本体31を備える。
【0034】
例示された実施形態において、本体31は箱状の本体であり、2つの金属製半殻体31Aと31Bを結合することによって構成され、
図4に詳しく示されている。しかし、他の実施形態(図示せず)においては、本体31は異なる材料(例えばプラスチック)および/または異なる構成となる。
【0035】
弾性要素32は、図示された非限定的な実施形態において、2つの金属製らせんばね32A,32Bを備える。他の実施形態においては、単一のらせんばね又は他の同等な種類の弾性手段もあり得る。ガス作動式のばねに代えてらせんばねを用いる利点は、簡潔に言えば、低コストと長期的な高信頼性だけでなく、市場で入手しやすいことである。
【0036】
ばね32Aとばね32B(あるいは、より一般に弾性要素32)は、後方ベース33と前方フォーク状要素34の間に伸び、弾性手段3の一部を形成する。下記に明確化されるように、後方ベース33は本体31と一体であるか、または本体31に対して可動である。
【0037】
本体31は少なくとも1つの第1端部を備え、往復で移動できるように第1端部が固定プレート2に結合され、例えば軸38によって回転するように設けられる。
【0038】
弾性手段3は、さらにプッシャー35を備える。プッシャー35は長手方向に可動なように収容本体31によって支持され、少なくとも1つの弾性要素32によって押される。
【0039】
図示された例において、プッシャー35は、短い内部シャフト35Bを中心に回転できるローラー35Aを備える。プッシャー35は前方フォーク状要素34に一体となっており、そのため、ばね32A,32Bの作用がプッシャー35に作用する。
【0040】
図示されていない他の実施形態においては、プッシャーはフォーク状要素34によって運ばれる異なるスライド要素から構成されうる。
【0041】
弾性手段3の本体31は第2端部も備え、第2端部は第1端部の反対側で、第2の旋回軸62を支持する。
【0042】
中間接続レバー6もまた装置1の一部であり、第2の旋回軸62に連結される。
【0043】
レバー6は第1端部と第2端部を備え、第1端部は、レバー6が往復で移動できるように第1の旋回軸61で支持レバー4の接続部41に結合される。第2端部は、旋回軸62によって回転するように本体31に連結される。
【0044】
中間接続レバー6はさらに、実質的に第2の旋回軸62に配置される作動表面またはカム63を備える。
【0045】
カム63はプッシャー35と協働し、プッシャー35と当接した状態で、弾性要素32の作用によって押されることで、弾性要素32によって生じる持ち上げ力を、プッシャー35・作動表面またはカム63・中間接続レバー6・支持レバー4を含む(かつ好ましくはこれらから構成される)運動連鎖に付与する。結果として、接続ベースを通して持ち上げ力を扉Aに付与することができる。接続ベースは持ち上げシステムの一部であり、弾性要素32からの持ち上げ力を扉Aに伝えるために運動連鎖に接続される。
【0046】
接続ベース70,80,90,100は実施形態10,20,30,40において異なり、後述される。
【0047】
中間接続レバー6のカム63に戻ると、レバー6の輪郭および/または全体形状構造は、様々な種類の家具の扉を支持し、持ち上げられるように、得たい持ち上げ力の変動法則の関数として選ばれ、従ってそのようなパラメータの関数として多様になりうる。当業者は、本明細書に挙げられた情報を考慮して、中間レバー6の輪郭および/または全体形状構造を容易に選択することができる。
【0048】
好ましい実施形態において、例えば図示された実施形態10に関して、部分的に開いた位置(好ましくは10°- 15°近傍)から始まり全開位置(
図2)に至るまで、プッシャー35はカム63の湾曲部に沿って動き、カム63の湾曲部において、扉Aの開く、または持ち上がる方向に力が働く。
【0049】
前述のような部分的に開いた位置より下のとき、例えば10°開いた位置から閉じた位置(
図1)に至るまで、プッシャー35はカム63の先端、またはカム63の傾斜の変化点を通り、カム63の先端または傾斜の変化点を越えて、扉Aの閉まる、または下がる方向に力が働く。
【0050】
角度の間隔は単に示されているのみで、制限するものではないと解されるべきである。
【0051】
さらに、中間レバー6とカム63は、本発明と適合するように設けられ、中間レバー6とカム63の存在は、他の従来システムに対して有利に強い力を得ること、さらに、扉の運動と持ち上げ力の変化の十分な制御を得ることを可能にする。
【0052】
弾性要素(この例で、ばね32Aと32Bを伴う)の当接のための後方ベース33に戻ると、後方ベース33はいくつかの実施形態(図示せず)においては本体31と一体である。
【0053】
しかし他の実施形態では、図示された実施形態の1つのように、らせんばねの1つまたは複数に予圧をかけるための要素がある。
【0054】
この目的のため、弾性要素32に予圧を加えるように、後方ベース33は本体31に対する複数の安定位置に移動できる。
【0055】
詳述すると、後方ベース33は収容本体31にしたがって長手方向に動くことができるように、一方側に調整ねじ36Aのためのねじ穴を備える。調整ねじ36Aの一端は、収容本体31に一体の当接要素36Bによりかかっている。
【0056】
このような方法で、ねじ36Aを作用させることにより後方ベース33は収容本体31に沿って動き、ばね32A,32Bの長さが変わって与圧を調節できる。
【0057】
特に
図1と
図2のシステム10に関して、扉Aが、図示された断面のヒンジ(見えず)によって、その持ち上げ運動において水平軸の周りを回転する(
図1の状態から
図2の状態)。
【0058】
この実施形態では、システム10は扉Aを家具Mに接続する他の支持アームを具備しないことが好ましい。
【0059】
全体として参照番号70で示される接続ベースは、扉Aとの接続のための標準的なプレート72を備える。プレート72は、アーム71によって支持レバー4と接続される。アーム71は両端において回転するように、それぞれの端部が接続プレート72と支持レバー4に接続される。
【0060】
したがって、この例では、扉Aの全重量はシステム10の支持レバー4によって支えられ、レバー4は扉Aを動かすための働きと、扉Aを支持するための働きの両方を有する。
【0061】
図5に20で示される第2の実施形態に関して、扉Aは回転と並進運動の混合した動きに従う。
【0062】
この目的のため、システム20は、扉Aと第2の支持レバー45を接続するための接続ベース80を備え、支持レバー45は往復で移動して、回転するようにプレート2に接続されている。
【0063】
支持レバー4と45は、所望の動きを行うようにどちらも接続ベース80に接続され、接続ベース80に対して往復で移動する。
【0064】
図6の30で示される第3の実施形態に関して、扉Aは平行状態を保ったまま回転の動きに従う。
【0065】
この目的のため、システム30は、扉Aと第2の支持レバー45を接続するための接続ベース90を備え、支持レバー45は往復で移動して、回転するようにプレート2に接続されている。
【0066】
この例においても、システム20と同様に、支持レバー4と45は、所望の動きを行うようにどちらも接続ベース90に接続され、接続ベース90に対して往復で移動する。2つのシステム20と30の違いは、形状構造と支持レバー4,45,41の長さ、支持レバー4の配置にある。支持レバー4はシステム20では支持レバー45の下にあるが、システム30では支持レバー45の上にある。
【0067】
最後に、
図7は実施形態40のシステムを示し,傾きと折り畳みによって開く扉を動かすために利用される。
【0068】
この例では、扉は事実上二つ折り扉で、扉Aと扉A1から構成される:上側扉A1は、システム40の一部を形成する独立した専用のヒンジ102によって、家具Mの本体に接続される。他方のレバー4は、下側扉Aに固定された接続ベース100に結合され、下側扉Aは、ヒンジ101によって上側扉A1に取り付けられる。
【0069】
任意に、1つまたは複数のシステム10,20,30,40はさらに、扉を閉じる動きを遅くするための装置50を備える。装置50は例えば、支持レバー4と接触する状態になるために固定プレート2に配置される流体作動式の減速シリンダーの形態であり、システム10,20,30の例に図示される。
【0070】
傾き折り畳みシステム40において、減速装置はレバー4の伸展部と接触する状態になるために接続ベース100の内部に配置することができる。
【0071】
実際に、本発明による持ち上げシステムは、設定された目標の達成を可能にするので、意図された目標と目的を達成することが分かった。
【0072】
最後に、作動装置1は、持ち上げシステムの実施形態10,20,30,40全てに共通で、既に使用されている従来の持ち上げシステムのガス作動式ばねを、システムの他の部品に特別な変更をせずに有利に代替することが可能である。
【0073】
したがって、着想された持ち上げシステムは、多数の変更と変形例が可能であり、その全てが添付された特許請求の範囲に含まれる。
【0074】
さらに、全ての詳細は、技術的に均等な他の要素によって代替されうる。
【0075】
実際に利用される材質は、特定の目的、および付随する規模と形状に適合するように、要件に応じてあらゆる材質になりうる。
【0076】
本出願が優先権を主張するイタリア特許出願第102016000098088(UA2016A006967)号の開示内容は参照により包含される。
【0077】
請求項で言及された技術的特徴は参照記号に従い、これらの参照記号は単に請求項の理解度を向上させる目的で設けられ、したがって参照記号で示される各要素の解釈を何ら制限するものではない。